(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】樹脂材料供給装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/34 20060101AFI20231004BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20231004BHJP
B29C 31/04 20060101ALI20231004BHJP
B29C 31/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C43/18
B29C31/04
B29C31/06
(21)【出願番号】P 2020120415
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 拓人
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128908(JP,A)
【文献】特開2008-183828(JP,A)
【文献】特開2014-231185(JP,A)
【文献】特開2019-181881(JP,A)
【文献】特開2017-1276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/34
B29C 43/18
B29C 31/04
B29C 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を収容するストッカと、
前記ストッカから樹脂材料が供給される樹脂材料供給部と、
前記樹脂材料供給部から樹脂材料が供給される第一樹脂材料搬送部と、
前記第一樹脂材料搬送部により搬送された樹脂材料を、成形型へと搬送する第二樹脂材料搬送部と、
1つの前記第二樹脂材料搬送部に供給される樹脂材料を複数回に分けて前記樹脂材料供給部から前記第一樹脂材料搬送部へと供給する場合、ある回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量を、その回より前の回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量に基づいて調整する制御部と、
を具備
し、
前記ストッカを2つ備えるとともに前記樹脂材料供給部を4つ備え、4つの前記樹脂材料供給部のそれぞれに重量計を設け、2つの前記ストッカのそれぞれから2つずつの前記樹脂材料供給部に樹脂材料を分配して供給し、
2つの前記第一樹脂材料搬送部を水平方向に移動させながら、4つの前記樹脂材料供給部から同時に樹脂材料を供給し、
2つの前記第一樹脂材料搬送部のそれぞれから1つの前記第二樹脂材料搬送部の異なる領域に樹脂材料を供給し、
4つの前記樹脂材料供給部から2つの前記第一樹脂材料搬送部への樹脂材料供給動作及び2つの前記第一樹脂材料搬送部から1つの前記第二樹脂材料搬送部の樹脂材料供給動作を繰り返し、
4つの前記樹脂材料供給部から2つの前記第一樹脂材料搬送部への樹脂材料供給動作において、4つの前記樹脂材料供給部のそれぞれに設けられた前記重量計の測定に基づき、前記制御部による供給量の調整を行う、樹脂材料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記樹脂材料供給部から前記第一樹脂材料搬送部へと樹脂材料を供給する場合、前記第一樹脂材料搬送部を回転させて、前記第一樹脂材料搬送部における異なる領域に対して樹脂材料を複数回に分けて供給する、
請求項1に記載の樹脂材料供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記樹脂材料供給部から前記第一樹脂材料搬送部への1回の樹脂材料の供給において、樹脂材料を連続的に前記第一樹脂材料搬送部へと供給した後で、樹脂材料を間欠的に前記第一樹脂材料搬送部へと供給するように、前記樹脂材料供給部を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂材料供給装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂材料供給装置を備える樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料供給装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂供給機構から供給される樹脂材料を、小型樹脂保持トレイを介して大型樹脂保持トレイへと供給する樹脂材料供給装置が開示されている。この樹脂材料供給装置では、大型樹脂保持トレイが予め複数の区分に区分けされている。樹脂供給機構から樹脂材料を受け取った小型樹脂保持トレイは、大型樹脂保持トレイの1つの区分へと樹脂材料を供給する。小型樹脂保持トレイは、樹脂供給機構からの樹脂材料の受け取りと、大型樹脂保持トレイへの樹脂材料の供給を区分の数だけ繰り返す。このようにして大型樹脂保持トレイの全体に樹脂材料が供給された後で、大型樹脂保持トレイによって成形型のキャビティへと樹脂材料が搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、成形型へと樹脂材料を供給するために、1つの樹脂供給機構から小型樹脂保持トレイへと樹脂材料を複数回供給することになる。この場合、樹脂供給機構が供給する樹脂材料の供給量に誤差が生じると、樹脂供給機構による樹脂材料の供給回数に応じて誤差が累積し、増大するおそれがある。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、樹脂材料の供給量を高精度に制御することが可能な樹脂材料供給装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂材料供給装置は、樹脂材料を収容するストッカと、前記ストッカから樹脂材料が供給される樹脂材料供給部と、前記樹脂材料供給部から樹脂材料が供給される第一樹脂材料搬送部と、前記第一樹脂材料搬送部により搬送された樹脂材料を、成形型へと搬送する第二樹脂材料搬送部と、1つの前記第二樹脂材料搬送部に供給される樹脂材料を複数回に分けて前記樹脂材料供給部から前記第一樹脂材料搬送部へと供給する場合、ある回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量を、その回より前の回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量に基づいて調整する制御部と、を具備し、前記ストッカを2つ備えるとともに前記樹脂材料供給部を4つ備え、4つの前記樹脂材料供給部のそれぞれに重量計を設け、2つの前記ストッカのそれぞれから2つずつの前記樹脂材料供給部に樹脂材料を分配して供給し、2つの前記第一樹脂材料搬送部を水平方向に移動させながら、4つの前記樹脂材料供給部から同時に樹脂材料を供給し、2つの前記第一樹脂材料搬送部のそれぞれから1つの前記第二樹脂材料搬送部の異なる領域に樹脂材料を供給し、4つの前記樹脂材料供給部から2つの前記第一樹脂材料搬送部への樹脂材料供給動作及び2つの前記第一樹脂材料搬送部から1つの前記第二樹脂材料搬送部の樹脂材料供給動作を繰り返し、4つの前記樹脂材料供給部から2つの前記第一樹脂材料搬送部への樹脂材料供給動作において、4つの前記樹脂材料供給部のそれぞれに設けられた前記重量計の測定に基づき、前記制御部による供給量の調整を行うものである。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形装置は、前記樹脂材料供給装置を備えたものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面模式図。
【
図2】樹脂材料収容装置が樹脂供給モジュールに設けられた状態を示した正面図。
【
図5】小トレイ、大トレイ及び拡散板の構成を示した側面断面図。
【
図6】小トレイ及び大トレイの構成を示した平面図。
【
図7】(a)小トレイに対するトラフの移動軌跡を示した平面図。(b)小トレイの半分に樹脂材料が供給された様子を示した平面図。(c)小トレイが反転する様子を示した平面図。(d)小トレイの全域に樹脂材料が供給された様子を示した平面図。
【
図8】樹脂材料を供給した結果の一例(目標供給量と、実際の供給量)を示した図。
【
図9】前回の樹脂材料の供給量に基づいて目標供給量を設定するための処理内容を示したフローチャート。
【
図10】第一フェーズ及び第二フェーズにおける樹脂材料の供給の一例を示したタイムチャート。
【
図11】第一フェーズにおいて樹脂材料を供給するための処理内容を示したフローチャート。
【
図12】第二フェーズにおいて樹脂材料を供給するための処理内容を示したフローチャート。
【
図13】(a)第二フェーズの出力周期を変更した例を示したタイムチャート。(b)第二フェーズの出力周期及び指令出力を変更した例を示したタイムチャート。(c)第二フェーズの指令出力の時間幅を変更した例を示したタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0012】
まず、
図1を用いて、本実施形態に係る樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子部品を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、キャビティ内の樹脂材料を圧縮して成形する圧縮成形方式(コンプレッション方式)を採用した樹脂成形装置1を例示している。なお、本実施形態においては顆粒状の樹脂材料を用いることを想定しているが、樹脂材料としては、顆粒状のものだけでなく、粉末状や液状など任意の形態のものを用いることが可能である。
【0013】
樹脂成形装置1は、構成要素として、基板搬入搬出モジュール10、基板受け渡しモジュール20、成形モジュール30、樹脂供給モジュール40及び制御部50を具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。また、例えば成形モジュール30を1つにしたり3つ以上にしたりするなど、各構成要素を増減することもできる。
【0014】
基板搬入搬出モジュール10は、電子部品を装着した基板Pを搬入すると共に、電子部品が樹脂封止された基板Pを搬出するものである。本実施形態においては、比較的大型の基板Pを用いることを想定している。例えば、基板Pは、1辺が450mm以上、500mm以上、又は600mm以上の矩形板状に形成される。基板搬入搬出モジュール10は、主として搬入部11、搬出部12、検査部13及びアーム機構14を具備する。
【0015】
搬入部11は、樹脂封止されていない基板Pが配置される部分である。搬出部12は、樹脂封止された基板Pが配置される部分である。搬入部11及び搬出部12は、それぞれ基板Pを複数収容することができる。
【0016】
検査部13は、樹脂封止された基板Pの検査を行う部分である。検査部13は、樹脂封止された基板Pを載置する載置部、基板Pを検査する検査機構(不図示)等を具備する。
【0017】
アーム機構14は、基板Pを移動させるものである。アーム機構14は、基板Pを吸着する吸着ハンド部14a、吸着ハンド部14aが取り付けられるアーム部14b、アーム部14bを適宜回転させたり移動させたりする駆動部14c等を具備する。
【0018】
基板受け渡しモジュール20は、基板搬入搬出モジュール10と後述する成形モジュール30との間で基板Pの受け渡しを行う部分である。基板受け渡しモジュール20は、主としてローダ21及びアンローダ22を具備する。
【0019】
ローダ21は、樹脂封止されていない基板Pをアーム機構14から受け取り、後述する成形モジュール30の成形型31へと搬送するものである。アンローダ22は、樹脂封止された基板Pを後述する成形型31から受け取り、基板搬入搬出モジュール10へと搬送するものである。ローダ21及びアンローダ22は、左右方向に延びるレールLに沿って移動することができる。本実施形態においては、ローダ21とアンローダ22は、一体的に移動するように互いに連結されている。
【0020】
成形モジュール30は、後述する樹脂供給モジュール40から供給される樹脂材料を用いて、基板Pに装着された電子部品を樹脂封止するものである。本実施形態においては、成形モジュール30は2つ並べて配置される。2つの成形モジュール30によって基板Pの樹脂封止を並行して行うことで、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。成形モジュール30は、主として成形型31、型締め機構(不図示)等を具備する。
【0021】
成形型31は、溶融した樹脂材料を用いて、基板Pに対して圧縮成形するものである。成形型31は上下一対の型(上型及び下型)を具備する。下型には、樹脂材料が収容される凹状のキャビティ(不図示)が形成される。また成形型31には、樹脂材料を溶融させるためのヒーター(不図示)が設けられる。
【0022】
樹脂供給モジュール40は、成形モジュール30の成形型31に樹脂材料を供給するものである。樹脂供給モジュール40は、主として樹脂材料収容装置100、小トレイ41、小トレイ搬送機構42、大トレイ43及び大トレイ搬送機構44を具備する。
【0023】
樹脂材料収容装置100は、樹脂材料を収容すると共に、後述する小トレイ41に樹脂材料を供給するものである。樹脂材料収容装置100は、左右に並ぶように2つ設けられる。2つの樹脂材料収容装置100は、並行して2つの小トレイ41に樹脂材料を供給することができる。なお、樹脂材料収容装置100の詳細な構成については後述する。
【0024】
小トレイ41は、樹脂材料収容装置100から受け取った樹脂材料を、後述する大トレイ43へと供給するものである。小トレイ41は、上面に樹脂材料を保持することができる。小トレイ41は、平面視における大きさが、後述する大トレイ43の大きさの4分の1程度となるように形成される。
【0025】
小トレイ搬送機構42は、小トレイ41を適宜の位置に搬送するものである。小トレイ搬送機構42は、樹脂材料収容装置100と大トレイ43との間で、小トレイ41を往復させるように搬送することができる。
【0026】
大トレイ43は、小トレイ41から受け取った樹脂材料を、成形モジュール30の成形型31へと供給するものである。大トレイ43は、上面に樹脂材料を保持することができる。大トレイ43は、成形型31のキャビティの平面形状に対応した平面形状(例えば、矩形状)となるように形成される。
【0027】
大トレイ搬送機構44は、大トレイ43を適宜の位置に搬送するものである。大トレイ搬送機構44は、左右方向に延びるレールLに沿って移動することができる。
【0028】
なお、樹脂供給モジュール40は、本発明に係る樹脂材料供給装置の実施の一形態である。また、小トレイ41及び大トレイ43は、それぞれ本発明に係る第一樹脂材料搬送部及び第二樹脂材料搬送部の実施の一形態である。小トレイ41及び大トレイ43の詳細な構成については後述する。
【0029】
制御部50は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。制御部50によって、基板搬入搬出モジュール10、基板受け渡しモジュール20、成形モジュール30及び樹脂供給モジュール40の動作が制御される。また、制御部50を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。
【0030】
次に、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形品の成形方法、樹脂成形品の製造方法)の概要について説明する。
【0031】
まず、搬入部11に配置された樹脂封止されていない基板Pが、アーム機構14によってローダ21へと搬送される。
【0032】
次に、ローダ21がレールLに沿って移動し、基板Pを一方の成形モジュール30へと搬送する。成形モジュール30に搬送された基板Pは、成形型31の上型に吸着されて保持される。
【0033】
次に、成形型31の下型を覆うように、離型フィルムが配置される。
【0034】
次に、樹脂供給モジュール40から、成形モジュール30の成形型31に樹脂材料が供給される。ここで、樹脂供給モジュール40では、予め樹脂材料収容装置100から供給される樹脂材料が、小トレイ41を介して大トレイ43へと供給されている。小トレイ41は大トレイ43の4分の1程度の大きさとなるように形成されているため、延べ4つの小トレイ41によって、大トレイ43全体に略均一に樹脂材料が供給される。
【0035】
大トレイ搬送機構44がレールLに沿って移動することで、樹脂材料を保持した大トレイ43が成形モジュール30の成形型31まで搬送される。その後、大トレイ43の樹脂材料が成形型31(下型)のキャビティに供給される。大トレイ搬送機構44は、成形型31に樹脂材料を供給した後、樹脂供給モジュール40へと戻る。
【0036】
次に、成形型31のヒーターによって樹脂材料が溶融される。その後、前記型締め機構によって下型と上型が相対的に近づけられ(型締めされ)、基板Pの電子部品が樹脂材料に浸漬される。この状態で、樹脂材料に適宜圧力が加えられる。この状態で樹脂材料が硬化することで、電子部品が樹脂封止された基板Pを得ることができる。
【0037】
次に、前記型締め機構によって下型と上型が相対的に離される(型開きされる)。また、アンローダ22がレールLに沿って移動し、電子部品が樹脂封止された基板Pを成形型31から受け取る。この際、アンローダ22と共に移動してきたローダ21によって、新たな基板Pを成形型31に配置することができる。その後アンローダ22は、レールLに沿って移動し、基板受け渡しモジュール20へと戻る。
【0038】
次に、アンローダ22に保持された基板Pが、アーム機構14によって検査部13へと搬送される。検査部13において、電子部品が樹脂封止された基板Pの検査が行われる。
【0039】
次に、検査が終了した基板Pが、アーム機構14によって搬出部12へと搬送される。搬出部12に配置された基板Pは、外部へと適宜搬出される。
【0040】
以上のように、基板Pに装着された電子部品を樹脂封止することで、樹脂成形品を製造することができる。なお、上記の動作説明では説明を省略しているが、本実施形態の樹脂成形装置1では、2つ設けられた成形モジュール30によって、基板Pの樹脂封止を並行して行うことができる。具体的には、一方の成形モジュール30によって樹脂封止(樹脂材料の溶融や、基板Pへの押圧等)が行われている際に、もう一方の成形モジュール30に樹脂材料を供給したり、基板Pの樹脂封止を行ったりすることができる。このようにして、樹脂成形品(電子部品が樹脂封止された基板P)を効率よく製造することができる。
【0041】
以下では、
図2から
図8を用いて、樹脂供給モジュール40の樹脂材料収容装置100について具体的に説明する。
【0042】
図2に示すように、樹脂材料収容装置100は、樹脂供給モジュール40の筐体40a内に、左右に2つ並ぶように設けられる。2つの樹脂材料収容装置100は、左右略対称に配置されている点を除いて、互いに概ね同様の構成を備えている。よって以下では、一方(右側)の樹脂材料収容装置100の構成について具体的に説明し、他方(左側)の樹脂材料収容装置100の構成の説明は省略する。
【0043】
図3及び
図4に示すように、樹脂材料収容装置100は、主としてストッカ110、第一振動部120、トラフ130、第二振動部140、重量計150及び分配器160を具備する。なお、
図3及び
図4においては、ストッカ110及びトラフ130に収容されている樹脂材料をハッチングで示している。
【0044】
ストッカ110は、樹脂材料を収容し、後述するトラフ130へと供給するものである。ストッカ110は、主として収容部111及び供給部112を具備する。
【0045】
収容部111は、樹脂材料を収容する部分である。収容部111は、内部に樹脂材料が収容可能となるように中空状に形成される。収容部111の上部には、樹脂材料を内部に供給するための開口部(不図示)が形成されている。収容部111には、適宜のタイミングで樹脂材料が供給(補充)される。
【0046】
供給部112は、収容部111に収容された樹脂材料を後述するトラフ130へと供給する部分である。供給部112は、内部を樹脂材料が移動可能となるように中空状に形成される。供給部112は、収容部111の一側面の下部から、後述する分配器160の上方へと延びるように形成される。供給部112の先端部(左端部)近傍には、供給部112の内部の樹脂材料を下方へと排出するための供給口112aが設けられる。
【0047】
第一振動部120は、ストッカ110から樹脂を排出するためのものである。第一振動部120は、ストッカ110の下部に設けられ、ストッカ110を振動させることができる。第一振動部120は、ストッカ110を振動させることで、収容部111内の樹脂材料を供給部112へと移動させ、供給口112aから下方へと排出させることができる。
【0048】
トラフ130は、樹脂材料を収容し、小トレイ41へと供給するものである。なお、トラフ130は、本発明に係る樹脂材料供給部の実施の一形態である。
図3に示すように、トラフ130は、ストッカ110の下方において、左右に2つ並ぶように(平面視において、ストッカ110の供給口112aを挟んで左右対称な位置に)配置される。トラフ130は、主として収容部131及び供給部132を具備する。
【0049】
収容部131は、樹脂材料を収容する部分である。収容部131は、内部に樹脂材料が収容可能となるように中空状に形成される。収容部131の上部には、樹脂材料を内部に供給するための開口部(不図示)が形成されている。
【0050】
供給部132は、収容部131に収容された樹脂材料を小トレイ41へと供給する部分である。供給部132は、内部を樹脂材料が移動可能となるように中空状に形成される。供給部132は、収容部131の一側面の下部から、一方向(後方)へと延びるように形成される。供給部132の先端部(後端部)近傍には、供給部132の内部の樹脂材料を下方へと排出するための供給口132aが設けられる。
【0051】
なお、2つのトラフ130は、1つの小トレイ41に対して同時に樹脂材料を供給することができるように、互いにある程度近接した位置に配置される。具体的には、2つのトラフ130(特に、供給口132a)は、左右方向の間隔が、小トレイ41の左右幅の約2分の1となるように配置される。
【0052】
図4に示す第二振動部140は、トラフ130から樹脂を排出するためのものである。第二振動部140は、トラフ130の下部に設けられ、トラフ130を振動させることができる。第二振動部140は、トラフ130を振動させることで、収容部131内の樹脂材料を供給部132へと移動させ、供給口132aから下方へと排出させることができる。
【0053】
重量計150は、トラフ130に収容されている樹脂材料の重量を測定するためのものである。重量計150は、第二振動部140の下部に設けられ、トラフ130及び第二振動部140の重量を測定することができる。トラフ130及び第二振動部140の重量は既知であるため、重量計150の測定値からトラフ130及び第二振動部140の重量を差し引くことで、トラフ130に収容されている樹脂材料の重量を測定することができる。
【0054】
第二振動部140及び重量計150は、2つのトラフ130それぞれに設けられる。
【0055】
図3及び
図4に示す分配器160は、ストッカ110から供給される樹脂材料を、2つのトラフ130に分配するためのものである。分配器160は、ストッカ110の供給口112aの下方に配置される。分配器160は、主として筐体161及びアクチュエータ164を具備する。
【0056】
筐体161内には、樹脂材料の流通経路が形成される。アクチュエータ164は、筐体161内に配置された切替部材(不図示)を適宜作動させることで、筐体161内を流通する樹脂材料の流通経路を切り替えることができる。アクチュエータ164は、樹脂材料の流通経路を切り替えることで、上方(ストッカ110の供給口112a)から供給された樹脂材料を、下方に配置された左右一対のトラフ130のうちいずれか一方へと分配することができる。
【0057】
次に、
図5及び
図6を用いて、樹脂材料収容装置100から受け取った樹脂材料を、成形モジュール30へと供給する小トレイ41及び大トレイ43について具体的に説明する。なお、
図5及び
図6は、各部材の構成を説明するための模式的な図であり、図示した各部材の相対的な位置関係は実際の位置関係と異なるものである。また、
図5及び
図6以外の図では、小トレイ41の形状を簡略化して図示している。
【0058】
小トレイ41は、主として樹脂保持部41a及びシャッター41bを具備する。
【0059】
樹脂保持部41aは、樹脂材料を保持する部分である。樹脂保持部41aは、平面視略正方形の板状に形成される。樹脂保持部41aには、左右に延びるスリット41cが、前後に複数並ぶように形成されている。
【0060】
シャッター41bは、樹脂保持部41aのスリット41cを下方から閉塞可能な部分である。シャッター41bは、平面視略正方形の板状に形成される。シャッター41bには、樹脂保持部41aのスリット41cと対応するように、スリット41dが形成されている。すなわち、シャッター41bのスリット41dは、左右に延びるように、かつ前後に複数並ぶように形成されている。またシャッター41bのスリット41dの前後の間隔は、樹脂保持部41aのスリット41cの前後の間隔と同一となるように形成されている。シャッター41bは、樹脂保持部41aのすぐ下方に配置される。シャッター41bは、図示せぬ移動機構によって、樹脂保持部41aに対して前後に相対的に移動することができる。
【0061】
図5に示すように、シャッター41bのスリット41dが、樹脂保持部41aのスリット41cと上下に対向していない場合、樹脂保持部41aのスリット41cは、シャッター41bによって下方から閉塞される。この状態では、小トレイ41の上面(具体的には、樹脂保持部41aのスリット41c内)に樹脂材料を保持することができる。また、シャッター41bを移動させ、樹脂保持部41aのスリット41cとシャッター41bのスリット41dを対向させることで、樹脂保持部41aのスリット41c内に保持された樹脂材料を下方へと排出することができる。小トレイ41から排出された樹脂材料は、後述する大トレイ43の収容部43bへと供給される。
【0062】
大トレイ43は、主として枠部材43a及び収容部43bを具備する。
【0063】
枠部材43aは、収容部43bを支持する部材である。枠部材43aは、平面視略正方形の枠状に形成される。すなわち枠部材43aは、平面視において、略中央部が開口するように形成されている。
【0064】
収容部43bは、樹脂材料を収容する部分である。収容部43bは、略円柱状に形成される。収容部43bは、長手方向を左右に向けて、枠部材43aの内側(開口部分)に配置される。収容部43bの左右両端部は、枠部材43aに対して回動可能に支持される。収容部43bの側面には、樹脂材料を収容可能な溝43cが形成される。溝43cは、収容部43bの長手方向に沿って延びるように形成される。収容部43bは、前後に複数並ぶように設けられる。隣接する収容部43b同士の前後の間隔(ピッチ)は、小トレイ41のスリット41cの前後の間隔(ピッチ)と同一となるように形成されている。収容部43bは、図示せぬ駆動機構によって、枠部材43aに対して任意の角度に回動することができる。
【0065】
図5に示すように、収容部43bの溝43cが上方を向いている場合、溝43cの内部に樹脂材料を収容することができる。また、収容部43bを回動させ、溝43cを下方に向けることで、溝43c内に収容された樹脂材料を下方へと排出することができる。
【0066】
ここで、小トレイ41のスリット41cの左右の長さは、大トレイ43の収容部43b(溝43c)の左右の長さの約半分となるように形成されている。また、小トレイ41のスリット41cの個数は、大トレイ43の収容部43bの個数の半数となるように形成されている。このように、小トレイ41の平面視における大きさは、大トレイ43の大きさの4分の1程度となるように形成されている。このため、小トレイ41を用いて大トレイ43の収容部43b全体に樹脂材料を供給するためには、延べ4つの小トレイ41を用いる必要がある。
【0067】
次に、上述の如く構成された樹脂供給モジュール40の動作(トラフ130から小トレイ41及び大トレイ43を介して成形型31へと樹脂材料を供給するための動作)について説明する。
【0068】
重量計150によってトラフ130に収容されている樹脂材料の重量が所定値を下回ったことが検出された場合、制御部50によって第一振動部120及び分配器160の動作が制御され、トラフ130に対して樹脂材料が供給される。
【0069】
具体的には、第一振動部120が作動されることによって、ストッカ110の供給口112aから樹脂材料が排出される。この樹脂材料は、分配器160によって適宜分配され、樹脂材料の重量が所定値を下回ったトラフ130へと供給される。これによって、トラフ130内には所定値以上の重量の樹脂材料が常時収容されることになる。
【0070】
上述のようにして左右のトラフ130に収容された樹脂材料は、小トレイ41を介して大トレイ43へと供給される。以下、具体的に説明する。
【0071】
図7(a)に示すように、小トレイ41に樹脂材料を供給する場合、小トレイ搬送機構42(
図1参照)によって、樹脂材料が供給される前の小トレイ41が2つのトラフ130の下方へと移動される。この際、2つのトラフ130の供給口132aが、所定の開始位置Sの真上に位置するように、小トレイ41の位置が調節される。
【0072】
次に、第二振動部140が作動され、2つのトラフ130の供給口132aのそれぞれから小トレイ41へと樹脂材料が供給される。また第二振動部140の作動と同時に、小トレイ41の水平方向への移動が開始される。具体的には、小トレイ搬送機構42によって、小トレイ41が前後及び左右へ適宜移動される。小トレイ搬送機構42は、2つのトラフ130の供給口132aが、小トレイ41の半分(前半分)の領域を通過するように小トレイ41を移動させる。また小トレイ搬送機構42は、2つのトラフ130の供給口132aが、最終的に開始位置Sの真上に戻るように、小トレイ41を移動させる。
図7(a)には、2つのトラフ130の、小トレイ41に対する相対的な移動軌跡の一例を示している。
【0073】
2つのトラフ130の供給口132aが、開始位置Sの真上に戻ると、第二振動部140が停止され、トラフ130から小トレイ41への樹脂材料の供給が停止される。
【0074】
このようにして、小トレイ41の半分(前半分)の領域に、樹脂材料が供給される(
図7(b)参照)。
図7では、樹脂材料が供給された領域を網掛けで示している。なお、トラフ130による1回の樹脂材料の供給(第二振動部140が作動されてから停止されるまでの樹脂材料の供給)によって、小トレイ41へと供給される樹脂材料の重量は、予め設定された目標値(目標供給量)となるように制御されている。具体的には、第二振動部140及び小トレイ搬送機構42の動作を適宜制御することで、目標供給量の樹脂材料が小トレイ41へと供給される。
【0075】
次に、小トレイ搬送機構42によって小トレイ41の前後の向きが反転され(
図7(c)参照)、小トレイ41の樹脂材料が供給されていない残り半分の領域に、2つのトラフ130から樹脂材料が供給される(
図7(d)参照)。この場合も、
図7(a)に示したような移動軌跡に沿って小トレイ41を移動させながら、トラフ130から小トレイ41へと樹脂材料が供給される。このようにして、1つの小トレイ41に対して樹脂材料を供給する場合、小トレイ41の前後の向きを反転させ、2回に分けて樹脂材料が供給される。
【0076】
本実施形態では、複数(2つ)のトラフ130を用いて1つの小トレイ41へと樹脂材料を供給する構成とすることによって、小トレイ41への樹脂材料の供給時間を短縮することができる。
【0077】
なお、本実施形態のように、トラフ130を複数用いるのではなく、1つのトラフ130を用いて小トレイ41への樹脂材料の供給時間を短縮する場合、トラフ130から小トレイ41へと供給される樹脂材料の流速を増加させる方法も考えられる。しかしながら、このためにはトラフ130の大型化が必要になる場合があり、好ましくない。またこれに伴って、樹脂材料の供給量の制御の精度(例えば、重量計150の測定精度や、トラフ130による樹脂材料の流速の精度)が低下するおそれがある点でも好ましくない。これに対して本実施形態では、複数のトラフ130を用いることで、それぞれのトラフ130の大型化や、樹脂材料の供給量の制御の精度の低下を抑制している。
【0078】
さらに本実施形態では、樹脂供給モジュール40に、2つの樹脂材料収容装置100を設けている(
図1及び
図2参照)。これによって、2つの小トレイ41に対して並行して樹脂材料を供給することができるため、大トレイ43及び成形型31への樹脂材料の供給時間を短縮することができ、ひいては樹脂成形装置1による樹脂成形品の製造の効率化を図ることができる。
【0079】
上述のようにして小トレイ41に供給された樹脂材料は、大トレイ43を介して成形型31のキャビティへと供給される。具体的には、樹脂材料を保持した小トレイ41は、小トレイ搬送機構42によって大トレイ43の上方へと移動される(
図5参照)。その後、小トレイ41のシャッター41bを樹脂保持部41aに対して相対的に移動させることで、樹脂保持部41aのスリット41cが開放され、小トレイ41から大トレイ43へと樹脂材料が供給される。大トレイ43へと供給された樹脂材料は、収容部43bの溝43c内に収容される。
【0080】
ここで、前述のように、小トレイ41は大トレイ43の大きさの4分の1程度に形成されている。このため、
図6に示すように、平面視において、大トレイ43を4等分した4つの領域(
図6の二点鎖線参照)それぞれに対して小トレイ41からの樹脂材料が供給される。すなわち、大トレイ43には、延べ4つの小トレイ41から樹脂材料が供給される。
【0081】
延べ4つの小トレイ41から樹脂材料の供給を受けることで、大トレイ43の全域に樹脂材料が収容される。樹脂材料を収容した大トレイ43は、大トレイ搬送機構44によって成形モジュール30の成形型31の上方まで搬送される。その後、大トレイ43の収容部43bが上下反転され、大トレイ43から成形型31のキャビティへと樹脂材料が供給される。
【0082】
この際、大トレイ43と成形型31のキャビティの間には、
図5に示すような拡散板31aが配置される。拡散板31aには複数の貫通孔が設けられる。また、拡散板31aは図示せぬ駆動機構によって振動することができる。大トレイ43から落下した樹脂材料は、振動する拡散板31aによって拡散される。これによって、成形型31のキャビティ内の樹脂材料の均一化を図ることができる。
【0083】
次に、上述の如く構成された樹脂材料収容装置100による樹脂供給量の精度の向上を図るための制御の一例について説明する。
【0084】
上述の如く、本実施形態において、トラフ130は、1つの小トレイ41に対して複数設けられている。これによって、樹脂材料収容装置100は、2つのトラフ130を用いて1つの小トレイ41に樹脂材料を供給する(
図7参照)。また樹脂成形装置1は2つの樹脂材料収容装置100を備えるものである(
図2参照)。すなわち、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、4つのトラフ130を用いて、2つの小トレイ41に同時に樹脂材料を供給することができる。
【0085】
また、本実施形態において、小トレイ41は、1つの大トレイ43に対して複数(例えば、4つ)設けられている。これによって、大トレイ43には、延べ4つの小トレイ41から樹脂材料が供給される(
図6参照)。また、樹脂材料収容装置100は、2回に分けて小トレイ41へと樹脂材料を供給するものである(
図7参照)。
【0086】
これらをまとめると、
図8に示すように、本実施形態においては、1つの大トレイ43に樹脂材料を供給する場合、4つのトラフ130(
図8においては、4つのトラフ130を区別するために、トラフ(1)~(4)と表記している)は樹脂材料を小トレイ41へとそれぞれ4回供給することになる。
【0087】
このように、複数のトラフ130を用いて複数回の樹脂材料の供給を行うと、樹脂材料の供給量の誤差が累積し、大トレイ43に供給される樹脂材料の総供給量が、目標値(目標総供給量)と大きく異なってしまう可能性がある。そこで本実施形態では、上述のようにトラフ130に収容された樹脂材料を小トレイ41を介して大トレイ43へと供給する際に、樹脂材料の総供給量の誤差を小さく抑えるための制御を行っている。以下、
図7から
図12までを用いて、この制御における具体的な処理内容について説明する。なお、
図8で示した数値は本制御を説明するために便宜上設定した値であり、実際に本制御を行う際の値を限定するものではない。
【0088】
図9に示すステップS101において、制御部50は、変数Nに1の値を代入する。なお、本実施形態における変数Nは、トラフ130から小トレイ41への樹脂材料の供給回数を把握するためのものである。制御部50は、ステップS101の処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0089】
ステップS102において、制御部50は、最初(1回目)にトラフ130から小トレイ41へと供給される樹脂材料の重量の目標値(目標供給量)を設定する。1回目の目標供給量の設定方法としては種々の方法を採用することができる。
【0090】
本実施形態では、制御部50は、4つのトラフ130による4回の樹脂供給によって供給される樹脂材料の目標総供給量(1つの大トレイ43に供給すべき樹脂材料の重量の目標値)を、トラフ130から小トレイ41への樹脂供給の延べ回数で除算することにより、1回あたりの供給量の平均値(平均供給量)を算出し、この平均値を1回目の目標供給量として設定している。
図8に示す例では、目標総供給量は160.0gであり、トラフ130による樹脂供給の延べ回数は16回である。従って、各トラフ130の1回目の目標供給量は、10.0gとなる。制御部50は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0091】
ステップS103において、制御部50は、第二振動部140に対して制御信号(指令値)を出力し、トラフ130から小トレイ41へと樹脂材料を供給する。制御部50は、設定された目標供給量の樹脂材料が小トレイ41へと供給されるように、第二振動部140を制御する。この際、制御部50は、
図10に示すように、第一の期間(第一フェーズ)において樹脂材料を連続的に小トレイ41へと供給し、第一の期間の後の第二の期間(第二フェーズ)において樹脂材料を間欠的に小トレイ41へと供給する。このように、樹脂材料の連続的な供給と間欠的な供給を組み合わせることにより、樹脂材料の供給を速やかに、かつ高精度に行うことができる。なお、ステップS103における処理の詳細については後述する。制御部50は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0092】
ステップS104において、制御部50は、トラフ130からの樹脂供給を停止させる。なお、ステップS103及びステップS104の処理によって、制御部50は、目標供給量の樹脂材料が小トレイ41へと供給されるように第二振動部140を制御するが、実際には多少の誤差が生じる可能性がある。例えば、
図8に示す例では、トラフ(1)とトラフ(2)による1回目の樹脂供給に着目すると、目標供給量に対して誤差が生じていることがわかる。制御部50は、ステップS104の処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0093】
ステップS105において、制御部50は、変数Nが奇数であるか否かを判定する。ステップS105の処理は、小トレイ41の動作(ステップS106又はステップS107)を決定するための処理である。制御部50は、変数Nが奇数であると判定した場合、ステップS106に移行する。一方、制御部50は、変数Nが奇数ではないと判定した場合、ステップS107に移行する。
【0094】
ステップS106において、制御部50は、小トレイ41を回転(反転)させる。このように、変数Nが奇数である場合(ステップS105でYES)、
図7(b)に示すように、小トレイ41の半分の領域に樹脂材料が供給された状態であるため、制御部50は、小トレイ41を回転(反転)させ、残り半分の領域に樹脂材料を供給可能な状態とする。
【0095】
一方、ステップS107において、制御部50は、小トレイ41を大トレイ43へと搬送し、大トレイ43へと樹脂材料を供給する。このように、変数Nが偶数である場合(ステップS105でNO)、
図7(d)に示すように、小トレイ41の全域に樹脂材料が供給された状態であるため、制御部50は、小トレイ41から大トレイ43へと樹脂材料を供給する。
【0096】
制御部50は、ステップS106又はステップS107の処理を行った後、ステップS108に移行する。
【0097】
ステップS108において、制御部50は、変数Nが4であるか否かを判定する。ステップS108の処理は、1つの大トレイ43への樹脂供給が完了したか否かを判定するための処理である。変数Nが4であれば、各トラフ130から4回の樹脂供給(
図8参照)が完了している、すなわち、1つの大トレイ43への樹脂供給が完了していると判定することができる。なお、本実施形態では、各トラフ130が1つの大トレイ43へ4回の樹脂供給を行うため、ステップS108において変数Nが4であるか否かを判定しているが、この判定に用いられる数値は4に限るものではなく、大トレイ43への樹脂材料の必要供給回数に応じて任意に設定することができる。
【0098】
制御部50は、変数Nが4であると判定した場合、本制御を終了する。一方、制御部50は、変数Nが4ではないと判定した場合、ステップS109に移行する。
【0099】
ステップS109において、制御部50は、ステップS103において小トレイ41へと実際に供給された樹脂材料の量(供給量)を記憶する。なお、小トレイ41への樹脂材料の供給量は、トラフ130に収容されている樹脂材料の重量の変化(減少量)を重量計150で測定することで把握することができる。制御部50は、ステップS109の処理を行った後、ステップS110に移行する。
【0100】
ステップS110において、制御部50は、変数NにN+1の値を代入する。すなわち制御部50は、変数Nの値を1つ増加させる。制御部50は、ステップS110の処理を行った後、ステップS111に移行する。
【0101】
ステップS111において、制御部50は、N回目の目標供給量を設定する。制御部50は、前回(N-1回目)の樹脂材料の供給で生じた誤差を打ち消すような値となるように、目標供給量を設定(調整)する。具体的には、制御部50は、前回の目標供給量から、前回の実際の供給量を差し引いた値(差分)を算出し、1回目の目標供給量(平均供給量)に加えることで、今回(N回目)の目標供給量を算出する。
【0102】
例えば、
図8に示す例では、トラフ(1)の1回目の目標供給量が10.0gであるのに対して、実際の供給量は10.1gとなっている。そこで制御部50は、その差分(-0.1g)を算出し、1回目の目標供給量に加えることで、2回目の目標供給量を9.9gに決定している。トラフ(1)による2回目の樹脂供給において、このように設定された目標供給量の樹脂材料を供給することができれば、1回目と2回目の供給量の平均が10.0gとなる。すなわち、1回目の樹脂材料の供給で生じた誤差を打ち消すことができる。
【0103】
制御部50は、ステップS111の処理を行った後、ステップS103に移行し、目標供給量の樹脂材料を小トレイ41へと供給する。
【0104】
このように制御部50は、2回目以降の樹脂供給においては、前回の樹脂材料の供給量に基づいて目標供給量を設定し(ステップS111)、樹脂の供給を行う(ステップS103)。制御部50は、ステップS108でN=4となるまで(すなわち、各トラフ130から4回の樹脂供給が行われるまで)、上記処理を繰り返し行う。
【0105】
図8には、制御部50によって4回目までの目標供給量が設定された結果と、実際の供給量の一例を示している。このように、2回目以降の各回の樹脂材料の供給の際に、各トラフ130による樹脂材料の目標供給量を補正する制御を行うことで、目標総供給量に対する誤差を小さく抑えることができる。
【0106】
なお、本実施形態においては、前回の樹脂材料の目標供給量と実際の供給量との差分に基づいて、各回(2回目以降)の目標供給量を調整する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、本実施形態のように2回目以降の樹脂材料の目標供給量を毎回調整するのではなく、1回目から3回目までの樹脂材料の供給量に基づいて、4回目の樹脂材料の目標供給量だけを調整することも可能である。この場合、1回目から3回目までの樹脂材料の目標供給量の合計と、実際の供給量の合計と、の差分に基づいて、4回目の目標供給量を調整することができる。このように、本発明は、前回以前の樹脂材料の供給量に基づいて、樹脂材料の供給量の調整を行うことができる。
【0107】
また、本実施形態においては、前回の樹脂材料の目標供給量と実際の供給量との差分を1回目の目標供給量(平均供給量)に加えることで、今回の目標供給量を算出する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、目標供給量の算出方法は任意に設定することができる。例えば、樹脂材料の目標供給量と実際の供給量との差分だけでなく、誤差の傾向を考慮して目標供給量を算出することもできる。具体的には、各回の樹脂材料の供給において、トラフ130の誤差の傾向(目標供給量に対してX%~Y%の誤差が生じ易い、等)を学習し、その傾向を打ち消すような目標供給量を算出することも可能である。
【0108】
さらに本実施形態では、
図9のステップS103の処理において、樹脂材料の連続的な供給と間欠的な供給を組み合わせることで、高精度な樹脂材料の供給を行っている。以下、ステップS103の制御について具体的に説明する。
【0109】
図10に示すように、制御部50は、第一フェーズにおいて、樹脂材料の供給速度(単位時間あたりの供給量)が一定となるように、第二振動部140に与える指令値の大きさを制御する。指令値の大きさに応じて、第二振動部140の振動強度が変化する。指令値の大きさは、供給速度の目標値と、供給速度の実測値と、の偏差に応じて逐次算出される。例えば、指令値の大きさは、供給速度の目標値と供給速度の実測値とを入力とするフィードバック制御により逐次算出される。フィードバック制御の典型例として、PID(Proportional Integral Differential)制御が用いられてもよい。なお、
図10においては記載の簡略化のため、指令値を略直線状に示している。
【0110】
第一フェーズ(時刻t1~t2)における樹脂供給は、樹脂材料の供給量の実測値が、目標量より予め定められた量だけ少ない終了判定値に到達した時点で終了される。すなわち、第一フェーズの終了時点においては、指令値がゼロに更新される。第一フェーズを終了する終了判定値は、第二振動部140の振動が停止した後に、トラフ130の供給口132aから吐出される樹脂材料(すなわち、振動停止後の流れ込み)によって、樹脂材料の供給量が目標量を超えない範囲に設定される。
【0111】
このように、第一フェーズにおいては、第二振動部140を連続的に振動させるため、トラフ130の供給口132aからは樹脂材料が連続的に吐出されることになる。
【0112】
制御部50は、第一フェーズの後の第二フェーズ(時刻t2~t3)において、樹脂材料の供給量が目標量となるように、トラフ130から樹脂材料を間欠的に吐出させる。第二フェーズは、供給量の高精度化を図るための調整期間に相当する。具体的には、制御部50は、第二振動部140に対して、所定の大きさの指令値を間欠的に与える。すなわち制御部50は、第二フェーズにおいて、パルス状の指令値を第二振動部140に与える。
【0113】
ここで、制御部50は、第一フェーズにおいて第二振動部140に与えた指令値の大きさ(トラフ130が発生した振動強度)に基づいて、第二フェーズにおける指令値の大きさを決定するようにしてもよい。具体的には、第二フェーズの指令値の大きさを、第一フェーズの終了直前における指令値の大きさと略一致させるようにしてもよい。
【0114】
また、第二フェーズにおける指令値の大きさは、実際の使用において問題ない程度の値に適宜すればよい。例えば、第二フェーズの指令値の大きさを、第一フェーズの終了直前における指令値の大きさに対して、-50%~+10%としてもよく、より具体的には、-50%、-45%、-40%、-35%、-30%、-25%、-20%、-15%、-10%、-9%、-8%、-7%、-6%、-5%、-4%、-3%、-2%、-1%、0%、+1%、+2%、+3%、+4%、+5%、+6%、+7%、+8%、+9%、+10%の中から選択される二つの間としてもよいし、これらの中から選択される少なくとも一つとしてもよい。
【0115】
第二フェーズの指令値の大きさを、第一フェーズの終了直前における指令値の大きさと略一致させて、第一フェーズと第二フェーズとの間で指令値の大きさの連続性を維持することで、粉粒体供給路であるトラフ130に残留する樹脂材料の分布状態を維持でき、これによって、次回の樹脂材料の供給開始時においても、樹脂材料を連続的に吐出させることできる。
【0116】
以下、
図10から
図12までを用いて、第一フェーズ(
図11のステップS201~ステップS206)及び第二フェーズ(
図12のステップS211~ステップS214)における具体的な処理内容について説明する。
【0117】
まず、
図11を用いて第一フェーズの処理内容について説明する。
【0118】
ステップS201において、制御部50は、指令値の初期値である指令初期値を決定する。制御部50は、ステップS201の処理を行った後、ステップS202に移行する。
【0119】
ステップS202において、制御部50は、予め定められた初期動作時間に亘って、指令初期値を指令値として出力する。このように、初期動作時間に亘って指令値を指令初期値に固定することによって、樹脂材料の初期吐出の供給速度を安定させることができる。制御部50は、ステップS202の処理を行った後、ステップS203に移行する。
【0120】
ステップS203において、制御部50は、供給速度の目標値と供給速度の実測値に基づいて、指令値を算出する。制御部50は、ステップS203の処理を行った後、ステップS204に移行する。
【0121】
ステップS204において、制御部50は、出力される指令値を、ステップS203で算出された指令値に更新する。制御部50は、ステップS204の処理を行った後、ステップS205に移行する。
【0122】
ステップS205において、制御部50は、樹脂材料の供給量が終了判定値に到達したか否かを判定する。制御部50は、樹脂材料の供給量が終了判定値に到達したと判定した場合、ステップS206に移行する。一方、制御部50は、樹脂材料の供給量が終了判定値に到達していないと判定した場合、再度ステップS203に移行する。
【0123】
ステップS206において、制御部50は、指令値の出力を停止する。これによって、第一フェーズにおける処理は終了する。制御部50は、ステップS206の処理を行った後、
図12のステップS211(第二フェーズ)に移行する。
【0124】
このように、第一フェーズでは、ステップS203からステップS205までの処理を繰り返すことにより、樹脂材料の供給速度が一定となるようなフィードバック制御が行われ、樹脂材料が連続的に供給される(
図10参照)。
【0125】
次に、
図12を用いて第二フェーズの処理内容について説明する。
【0126】
ステップS211において、制御部50は、第二フェーズにおいて用いられる指令値の大きさを決定する。制御部50は、例えば、第一フェーズの終了直前における指令値の大きさを、第二フェーズにおいて用いられる指令値の大きさとすることができる。制御部50は、ステップS211の処理を行った後、ステップS212に移行する。
【0127】
ステップS212において、制御部50は、樹脂材料の供給量が、目標供給量に到達したか否かを判定する。制御部50は、樹脂材料の供給量が、目標供給量に到達したと判定した場合、本制御を終了する。一方、制御部50は、樹脂材料の供給量が、目標供給量に到達していないと判定した場合、ステップS213に移行する。
【0128】
ステップS213において、制御部50は、指令出力の出力周期が到来したか否かを判定する。制御部50は、指令出力の出力周期が到来したと判定した場合、ステップS214に移行する。一方、制御部50は、指令出力の出力周期が到来していないと判定した場合、再度ステップS213に移行する。
【0129】
ステップS214において、制御部50は、ステップS211で決定した大きさの指令値を、予め定められた時間幅に亘って出力する。制御部50は、ステップS214の処理を行った後、再度ステップS212に移行する。
【0130】
このように、第二フェーズでは、制御部50がステップS212からステップS214までの処理を繰り返すことにより、パルス状の指令値を出力することができる。これによって、樹脂材料の供給量が目標供給量に到達するまで、樹脂材料を間欠的に供給することができる(
図10参照)。
【0131】
なお、パルス状の指令値を出力する出力周期(ステップS213参照)や、指令値を出力する時間幅(若しくは、デューティー比)(ステップS214参照)は、予め定めておくことができる。
【0132】
このように、第一フェーズにおいては、樹脂材料を連続的に供給することによって、速やかに樹脂の供給を行うことができ、樹脂供給時間の短縮を図ることができる。また第二フェーズにおいては、樹脂材料を間欠的に供給することによって、樹脂材料の供給量の高精度化を図ることができる。
【0133】
なお、本実施形態では、第二フェーズにおいて、一定の出力周期及び時間幅でパルス状の指令値が出力される例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第二フェーズにおいて、樹脂材料の供給量が目標供給量に近づくにつれて、単位時間あたりの供給量を減らすようにしてもよい。これによって、樹脂材料の供給量のさらなる高精度化を図ることができる。
【0134】
一例として、
図13には、第二フェーズを2つの区間(第一サブフェーズ及び第二サブフェーズ)に分割して、それぞれのサブフェーズにおいて出力される指令値を異ならせた例を示している。
【0135】
なお、第一サブフェーズから第二サブフェーズへの遷移条件は任意に設定することができる。例えば、目標供給量と実際の供給量との差が所定値以下になったことを遷移条件とすることも可能である。また、第二フェーズを2つの区間ではなく、より多くの区間(3つ以上のサブフェーズ)に分割することも可能である。
【0136】
図13(a)に示す例では、第二サブフェーズの出力周期T2を、第一サブフェーズの出力周期T1よりも長くした例を示している。これによって、第二サブフェーズにおける単位時間あたりの樹脂の供給量を、第一サブフェーズよりも少なくすることができる。
【0137】
図13(b)に示す例では、
図13(a)に示す例と同様に出力周期を変更すると共に、第二サブフェーズの指令出力の大きさY2を、第一サブフェーズの指令出力の大きさY1よりも小さくした例を示している。これによって、第二サブフェーズにおける単位時間あたりの樹脂の供給量を、第一サブフェーズよりもさらに少なくすることができる。
【0138】
図13(c)に示す例では、第二サブフェーズの指令出力の時間幅Td2を、第一サブフェーズの指令出力の時間幅Td1よりも小さくした例を示している。これによって、第二サブフェーズにおける単位時間あたりの樹脂の供給量を、第一サブフェーズよりも少なくすることができる。
【0139】
このように、本実施形態に係る樹脂成形装置1では、樹脂材料の連続的な供給と間欠的な供給を組み合わせることで(
図10から
図13参照)、各回の樹脂材料の供給量の高精度化を図りながら、さらに前回の樹脂供給の誤差を打ち消すような樹脂材料の供給量の調整を行うことで(
図8及び
図9参照)、1つの大トレイ43への樹脂材料の総供給量の高精度化を図ることができる。
【0140】
以上の如く、本実施形態に係る樹脂材料供給装置(樹脂供給モジュール40)は、
樹脂材料を供給する樹脂材料供給部(トラフ130)と、
前記樹脂材料供給部から樹脂材料が供給される第一樹脂材料搬送部(小トレイ41)と、
前記第一樹脂材料搬送部により搬送された樹脂材料を、成形型31へと搬送する第二樹脂材料搬送部(大トレイ43)と、
1つの前記第二樹脂材料搬送部に供給される樹脂材料を複数回に分けて前記樹脂材料供給部から前記第一樹脂材料搬送部へと供給する場合、ある回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量を、その回より前の回の前記樹脂材料供給部からの樹脂材料の供給量に基づいて調整する制御部50と、
を具備するものである。
【0141】
このように構成することにより、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。すなわち、トラフ130から小トレイ41への樹脂材料の供給量を、前回以前の供給量に基づいて調整することで、前回以前に発生した誤差を打ち消すことができ、大トレイ43へと供給される樹脂材料の総供給量を高精度に制御することができる。
【0142】
また、前記第一樹脂材料搬送部(小トレイ41)は、1つの前記第二樹脂材料搬送部(大トレイ43)に対して複数設けられている。
【0143】
このように構成することにより、誤差が累積し易い構成においても、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。すなわち、小トレイ41を複数設けることで樹脂材料を速やかに供給できる反面、誤差の累積による誤差の増大が懸念されるが、本願のような樹脂材料の供給量の調整によって、誤差の増大を抑制することができる。
【0144】
また、前記樹脂材料供給部(トラフ130)は、1つの前記第一樹脂材料搬送部(小トレイ41)に対して複数設けられている。
【0145】
このように構成することにより、誤差が累積し易い構成においても、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。すなわち、トラフ130を複数設けることで樹脂材料を速やかに供給できる反面、誤差の累積による誤差の増大が懸念されるが、本願のような樹脂材料の供給量の調整によって、誤差の増大を抑制することができる。
【0146】
また、前記制御部50は、前記樹脂材料供給部(トラフ130)から前記第一樹脂材料搬送部(小トレイ41)へと樹脂材料を供給する場合、前記第一樹脂材料搬送部を回転させて、前記第一樹脂材料搬送部における異なる領域に対して樹脂材料を複数回に分けて供給するものである。
【0147】
このように構成することにより、樹脂材料の均等化を図りながら、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。すなわち、小トレイ41を複数の領域に分けて樹脂材料を供給することで、小トレイ41における樹脂材料の均等化を図ることができると共に、その際の複数回の樹脂材料の供給を利用して、誤差を打ち消すような樹脂材料の調整を行うことができる。
【0148】
また、前記制御部50は、前記樹脂材料供給部(トラフ130)から前記第一樹脂材料搬送部(小トレイ41)への1回の樹脂材料の供給において、樹脂材料を連続的に前記第一樹脂材料搬送部へと供給した後で、樹脂材料を間欠的に前記第一樹脂材料搬送部へと供給するように、前記樹脂材料供給部を制御するものである。
【0149】
このように構成することにより、樹脂材料の供給量をより高精度に制御することができる。すなわち、樹脂材料を間欠的に供給することによって、1回の樹脂材料の供給の高精度化を図ることができ、ひいては大トレイ43へと供給される樹脂材料の総供給量を高精度に制御することができる。
【0150】
また、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、上記樹脂材料供給装置(樹脂供給モジュール40)を備えるものである。
【0151】
このように構成することにより、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。
【0152】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、上記樹脂成形装置1を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0153】
このように構成することにより、樹脂材料の供給量を高精度に制御することができる。
【0154】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0155】
例えば、本実施形態においては、コンプレッション方式の樹脂成形装置1を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、他の方式(例えば、溶融した樹脂をキャビティ内に移送して硬化させるトランスファ方式等)を採用することも可能である。
【0156】
また、本実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(基板搬入搬出モジュール10等)は一例であり、適宜着脱や交換することが可能である。例えば、基板搬入搬出モジュール10を設けずに、基板Pの搬入搬出を作業者が手動で行うことも可能である。
【0157】
また、本実施形態においては、矩形板状の基板Pを例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の形状(例えば、円形板状等)の基板Pを用いることが可能である。
【0158】
また、本実施形態において示した小トレイ41及び大トレイ43の構成は一例であり、樹脂材料を搬送することが可能な適宜の構成に変更することが可能である。
【0159】
また、本実施形態においては、1つの小トレイ41に対して2つのトラフ130(樹脂供給部)を備える樹脂材料収容装置100を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、トラフ130の個数を限定するものではない。
【0160】
また、本実施形態においては、1つの大トレイ43に対して4つの小トレイ41を備える樹脂材料収容装置100を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、小トレイ41の個数を限定するものではない。
【0161】
また、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、2つの樹脂材料収容装置100を備えるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、1つ、又は3つ以上の樹脂材料収容装置100を備えるものであってもよい。
【0162】
また、本実施形態では、単一の制御部50によって各モジュールの動作が制御されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、制御部50を複数設けることも可能である。例えば、制御部50をモジュールごとや装置ごとに設け、各モジュール等の動作を互いに連動させながら個別に制御することも可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 樹脂成形装置
40 樹脂供給モジュール
41 小トレイ
43 大トレイ
100 樹脂材料収容装置
130 トラフ