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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20231004BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020138132
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034373
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】安井 隼人
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋平
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-166432(JP,A)
【文献】特開2000-141400(JP,A)
【文献】特開2001-326238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを形成する成形型と、
前記成形型に設けられ、樹脂材料を収容可能であり、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットと、
前記ポット内を摺動可能となるように設けられ、前記ポットに収容された樹脂材料を押し出すことにより、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送するプランジャと、
を具備し、
前記開口部の内径は、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きく形成され、
前記成形型は、前記開口部に対向する位置に貫通孔が形成された離型フィルムのうち前記貫通孔の周囲の部分を吸着する吸着部を具備する、
樹脂成形装置。
【請求項2】
前記離型フィルムにおける前記貫通孔の周囲の一部又は全部を、前記成形型から剥離しないように押さえる押圧部材をさらに具備する、
請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記貫通孔の周囲を囲む環状に形成されると共に、内周面と外周面とを連通する放射状の連通部を具備する、
請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記ポットは、前記キャビティの中央部に設けられている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記成形型は、前記キャビティの外周部から前記キャビティ内の空気を外部へ排出可能な空気排出部を具備する、
請求項4に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、
前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、
を含み、
前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され、
前記移送工程の後に、前記基板のうち前記開口部と対向する部分に形成された不要部分を除去する除去工程をさらに含む、
樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、
前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、
を含み、
前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され
前記型締め工程より前に、前記基板のうち前記開口部と対向する部分に離型層を形成する離型層形成工程をさらに含む、
樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、
前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、
を含み、
前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され、
前記型締め工程より前に、前記開口部に対応する位置に貫通孔が形成された離型フィルムを前記成形型に配置するフィルム配置工程をさらに含む、
樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体チップを露出させて樹脂成形することが可能な樹脂モールド装置が開示されている。この樹脂モールド装置では、キャリアプレートの上面に保持されたワークが、上型と下型によってクランプされる。キャリアプレートには先細り状の貫通孔が形成されている。下型に設けられたポット内で溶融したモールド樹脂をプランジャによって押し上げることで、キャリアプレートの貫通孔を通じてキャリアプレートの反対側(上側)に形成された上型キャビティ内にモールド樹脂が充填され、樹脂成形が行われる。この際、ワークに設けられた半導体チップの下面は、粘着シートによってキャリアプレートの上面に粘着している。これによって、半導体チップの下面が露出した樹脂成形品を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-37947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された樹脂モールド装置では、先細り状に形成された貫通孔から樹脂を上型キャビティ内へと供給するため、樹脂の流路が狭く、上型キャビティ内への樹脂の充填が困難である。特に、成形対象物のサイズが大きい場合等には、樹脂の流動距離も長くなるため、上型キャビティ内への樹脂の充填が上手くいかず、ボイドや未充填等の不具合が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は以上の如く状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することが可能な樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂成形装置は、キャビティを形成する成形型と、前記成形型に設けられ、樹脂材料を収容可能であり、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットと、前記ポット内を摺動可能となるように設けられ、前記ポットに収容された樹脂材料を押し出すことにより、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送するプランジャと、を具備し、前記開口部の内径は、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きく形成され、前記成形型は、前記開口部に対向する位置に貫通孔が形成された離型フィルムのうち前記貫通孔の周囲の部分を吸着する吸着部を具備するものである。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、を含み、前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され、前記移送工程の後に、前記基板のうち前記開口部と対向する部分に形成された不要部分を除去する除去工程をさらに含むものである。
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、を含み、前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され、前記型締め工程より前に、前記基板のうち前記開口部と対向する部分に離型層を形成する離型層形成工程をさらに含むものである。
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、キャビティを形成する成形型に基板を搬送し、前記キャビティに対して直接的に開口する開口部が形成されたポットに樹脂材料を搬送した後に、成形型を型締めする型締め工程と、前記型締め工程の後に、前記ポット内に収容された樹脂材料をプランジャで押し出すことによって、前記開口部を介して樹脂材料を前記キャビティに向けて移送する移送工程と、を含み、前記移送工程では、前記プランジャの外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きい内径を有する前記開口部を介して、樹脂材料が移送され、前記型締め工程より前に、前記開口部に対応する位置に貫通孔が形成された離型フィルムを前記成形型に配置するフィルム配置工程をさらに含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)樹脂封止の対象となる基板を表面側から見た図。(b)基板を示した斜視図。
図2】第一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した側面断面図。
図3】第一実施形態に係る樹脂成形装置の下部を示した断面斜視図。
図4】第一実施形態に係る樹脂成形装置の下部の拡大側面断面図。
図5】樹脂成形品の製造方法を示したフローチャート。
図6】準備工程、フィルム配置工程及び搬入工程を説明するための樹脂成形装置の側面断面図。
図7】型締め工程を説明するための樹脂成形装置の側面断面図。
図8】移送工程を説明するための樹脂成形装置の側面断面図。
図9】型開き工程及び搬出工程を説明するための樹脂成形装置の側面断面図。
図10】後処理工程を説明するための樹脂成形装置の側面断面図。
図11】(a)第二実施形態に係る樹脂成形装置を示した拡大側面断面図。(b)押圧部材を示した斜視図。(c)押圧部材を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図4までを用いて、本発明の第一実施形態に係る樹脂成形装置100について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は樹脂成形装置100の構成を概念的に説明するためのものであり、説明の便宜上、各部の寸法等を誇張していたり、部材の形状等を適宜簡略化している場合がある。
【0012】
樹脂成形装置100は、基板10の表面10aに配置された半導体チップ11などの電子部品を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。
【0013】
まず、樹脂成形装置100による樹脂封止の対象となる基板10について説明する。
【0014】
図1に示すように、基板10は、円形平板状に形成される。基板10の表面10aには、矩形平板状に形成された半導体チップ11が、適宜のピッチで複数配置される。
【0015】
なお、基板10としては、シリコンウェーハ等の半導体基板、リードフレーム、プリント配線基板、金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミック製基板等を用いることができる。また、基板10は、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)、FOPLP(Fan Out Panel Level Packaging)に用いられるキャリアであってもよい。
【0016】
また基板10の表面10aの中央には、円形状の離型層12が形成される。離型層12は、後述する樹脂Rが基板10の表面10aに付着するのを防止し、基板10から樹脂Rを除去し易くするためのものである。離型層12としては、例えば比較的薄い板状(フィルム状)の部材にシリコンコーティング等を施し、離型性を持たせたもの(離型フィルム)を用いることができる。離型層12は、適宜の接着剤を用いて基板10の表面10aに貼り付けられる。
【0017】
次に、樹脂成形装置100の具体的な構成について説明する。
【0018】
図2から図4までに示す樹脂成形装置100は、主として成形型110(下型110D及び上型110U)、型締め機構120及び樹脂注入機構130等を具備する。
【0019】
成形型110は、下型110D及び上型110Uから構成され、樹脂Rを成形するためのキャビティ110Cを形成するものである。
【0020】
下型110Dは、主として底面部材111及び側面部材112等を具備する。
【0021】
底面部材111は、キャビティ110Cの底面を形成するものである。底面部材111は、平面視円形状に形成される。底面部材111は、適宜の上下幅を有するように形成される。
【0022】
側面部材112は、キャビティ110Cの側面を形成するものである。側面部材112は、底面部材111を外側から囲むような円筒状に形成される。側面部材112の上下幅は、底面部材111の上下幅よりも大きくなるように形成される。側面部材112は、底面部材111の外周面に嵌め合わされるように配置される。側面部材112は、底面部材111と共に後述するベースプレート121の上面に載せられた状態で配置される。側面部材112の上面は、底面部材111の上面よりも上方に位置する。このようにして、底面部材111と側面部材112によって囲まれた平面視円形状のキャビティ110Cが形成される。側面部材112には、接触面112a及び空気排出溝112bが形成される。
【0023】
接触面112aは、側面部材112の上面に形成される平面視円環状の平面である。接触面112aは、側面部材112の上面のうち、最も高い位置に形成される。
【0024】
空気排出溝112bは、キャビティ110C内の空気をキャビティ110Cの外部へと排出するためのものである。空気排出溝112bは、接触面112aを若干凹ませることで形成される。空気排出溝112bは、接触面112aの内周と外周を接続するように形成される。空気排出溝112bは、1点(接触面112aの中心)を中心とする放射状に複数形成される。なお、空気排出溝112bは、本発明に係る空気排出部の実施の一形態である。
【0025】
また、下型110Dは、吸着部(第一吸着部113、第二吸着部114及び第三吸着部115)を具備する。吸着部は、樹脂成形の際に用いられる離型フィルム20(図2参照)を成形型110(下型110D)に対して吸着するものである。なお図3では、簡略化のため、吸着部の図示を省略している。
【0026】
第一吸着部113は、底面部材111の上面に開口するように形成される開口部である。第一吸着部113は、底面部材111の中央部近傍において、ポット131のすぐ外側(ポット131と隣接する位置)に形成される。なお、第一吸着部113は、本発明に係る吸着部の実施の一形態である。
【0027】
第二吸着部114は、底面部材111の上面に開口するように形成される開口部である。第二吸着部114は、底面部材111の外周部近傍において、側面部材112のすぐ内側(側面部材112と隣接する位置)に形成される。
【0028】
第三吸着部115は、側面部材112の上面に開口するように形成される開口部である。第三吸着部115は、接触面112aの外側に形成される。
【0029】
なお、図示は省略するが、第一吸着部113、第二吸着部114及び第三吸着部115は、それぞれキャビティ110Cの中心を囲む円環状の溝状に形成してもよいし、キャビティ110Cの中心を囲む円周上に点在するように複数形成してもよい。
【0030】
第一吸着部113、第二吸着部114及び第三吸着部115は、真空ポンプ116によって負圧にすることができる。真空ポンプ116は、下型110D及びベースプレート121に適宜形成された連通孔を介して、第一吸着部113等と接続される。
【0031】
図2に示す上型110Uは、基板10を保持可能なものである。上型110Uは、適宜の上下幅を有するように形成される。上型110Uの底面には、基板10を吸着して保持するための吸着孔(不図示)が適宜形成される。この吸着孔を、真空ポンプ等(不図示)によって負圧にすることで、基板10を吸着して保持することができる。併せて、上型110U側に取り付けられた爪部(不図示)により、基板10の端部を機械的に保持する。
【0032】
図2から図4までに示す型締め機構120は、主としてベースプレート121、支持部122、固定部(不図示)及び昇降機構(不図示)等を具備する。
【0033】
ベースプレート121は、下型110Dを保持するものである。ベースプレート121の上面には、下型110Dの底面部材111及び側面部材112が適宜固定される。
【0034】
支持部122は、ベースプレート121を支持すると共に、上下に昇降可能に設けられるものである。支持部122の上面には、ベースプレート121が適宜固定される。支持部122は、複数のガイド部材(不図示)に沿って上下に昇降可能となるように設けられる。
【0035】
固定部(不図示)は、下型110Dの上方において上型110Uを保持するものである。固定部(不図示)の下面には、適宜の部材を介して上型110Uが固定される。
【0036】
昇降機構(不図示)は、支持部122を昇降させるためのものである。昇降機構(不図示)としては、ボールねじ機構、油圧シリンダ、トグル機構等を用いることができる。
【0037】
図2から図4までに示す樹脂注入機構130は、キャビティ110Cへと樹脂Rを注入するものである。樹脂注入機構130は、主としてポット131及びプランジャ132等を具備する。
【0038】
ポット131は、樹脂封止に用いられる樹脂材料(後述するタブレット樹脂30)を収容するものである。ポット131は、円筒状に形成される。ポット131は、軸方向に沿って一定の内径を有する。ポット131は、軸方向を上下に向けた状態で、底面部材111、ベースプレート121及び支持部122を上下に貫通するように配置される。ポット131は、底面部材111(キャビティ110C)の中央部に設けられる。ポット131の上端は、底面部材111の上面と概ね同じ高さになるように配置される。このようにして、ポット131の上端側の開口部131aは、キャビティ110Cに対して直接的に開口するように配置される。
【0039】
なお、ポット131(開口部131a)がキャビティ110Cに対して直接的に開口するとは、ポット131とキャビティ110Cの間に、樹脂Rの流路を絞るような他の部材が配置されていないことを意味する。
【0040】
本実施形態では、ポット131とキャビティ110Cの間に何ら他の部材が配置されていない例を示しているが、樹脂Rの流路を絞らない(樹脂Rの流通を阻害しない)ような形状の他の部材を配置した場合も、ポット131がキャビティ110Cに対して直接的に開口すると言える。例えば、ポット131と同じ内径を有する筒状のスペーサ等を、ポット131の上部に配置してもよい。
【0041】
プランジャ132は、ポット131に収容されたタブレット状の樹脂材料(タブレット樹脂30)をキャビティ110Cに向けて移送するものである。プランジャ132は、ポット131の内径と概ね同一の外径を有する円柱状に形成される。なお厳密には、プランジャ132は、ポット131内を摺動可能な程度に、ポット131の内径より若干小さい外径を有している。プランジャ132は、ポット131の軸方向に沿って摺動可能となるように、ポット131の内側に配置される。プランジャ132は、適宜の部材を介してアクチュエータ(例えば、ボールねじ、モータ等)と接続される。このアクチュエータの駆動力によって、プランジャ132は上下(ポット131の軸方向)に昇降することができる。
【0042】
なお、上述の樹脂成形装置100の各部の動作は、図示せぬ制御装置によって適宜制御される。
【0043】
次に、上述の如く構成された樹脂成形装置100を用いた樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、主として準備工程S10、フィルム配置工程S20、搬入工程S30、型締め工程S40、移送工程S50、型開き工程S60、搬出工程S70及び後処理工程S80を含む。以下、順に説明する。
【0045】
準備工程S10は、樹脂成形に用いられる基板10及びタブレット樹脂30を準備する工程である。なお、準備工程S10は、本発明に係る離型層形成工程の実施の一形態である。
【0046】
具体的には、準備工程S10において、半導体チップ11が配置された基板10に、離型層12が形成される(図1参照)。例えば、円形状の離型フィルムが基板10の表面10aの中央に貼り付けられることで、基板10に離型層12が形成される。離型層12は、ポット131の開口部131aと対向する部分(例えば、図7に示すように、開口部131aの直上)に形成される。
【0047】
また、タブレット樹脂30は、予め所定の形状(本実施形態では、円柱状)に形成されている。タブレット樹脂30の外径は、ポット131の内径よりやや小さく形成されている(図6参照)。離型層12が形成された基板10やタブレット樹脂30は、搬入に備えて、所定の場所に配置される。
【0048】
基板10及びタブレット樹脂30が準備された後、準備工程S10からフィルム配置工程S20に移行する。
【0049】
フィルム配置工程S20は、下型110Dに離型フィルム20を配置する工程である。
【0050】
具体的には、フィルム配置工程S20において、離型フィルム20は、所定の搬送装置によって成形型110に搬入される。離型フィルム20は、図2に示すように、下型110Dの概ね全体(少なくともキャビティ110C)を覆うことができる程度の大さ、形状となるように形成されている。また、離型フィルム20には、ポット131の開口部131aに対応する位置(ポット131の開口部131aの上に位置する部分)に貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、開口部131aと概ね同一形状の円形状に形成されている。より詳細には、貫通孔21の径は、ポット131の内径(開口部131aの径)よりやや大きく、かつポット131の外径よりやや小さく形成されている。
【0051】
離型フィルム20が下型110Dの上面に配置された後、吸着機構140によって離型フィルム20が下型110Dに対して吸着される。具体的には、真空ポンプ116によって第一吸着部113、第二吸着部114及び第三吸着部115が負圧にされ、各吸着部によって離型フィルム20が吸着される。これによって、図6に示すように、離型フィルム20が下型110Dの上面の形状に沿うように配置される。特に、第一吸着部113によって離型フィルム20の貫通孔21の周囲の部分が吸着されるため、後述する移送工程S50において樹脂Rがポット131からキャビティ110Cへと供給される際に、離型フィルム20が貫通孔21付近において下型110Dから剥がれるのを効果的に抑制することができる。これにより、樹脂Rをキャビティ110Cに供給する際に、下型110Dの底面部材111の上面に樹脂Rが回り込むことを抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、予め貫通孔21が形成された離型フィルム20を用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、貫通孔21が形成されていない離型フィルム20を下型110Dに吸着させた後で、貫通孔21を形成することも可能である。
【0053】
離型フィルム20が下型110Dに吸着された後、フィルム配置工程S20から搬入工程S30に移行する。
【0054】
搬入工程S30は、成形型110及び樹脂注入機構130に、基板10及びタブレット樹脂30を搬入する工程である。
【0055】
具体的には、搬入工程S30において、基板10及びタブレット樹脂30は、所定の搬送装置によって成形型110及び樹脂注入機構130に搬入される。図6に示すように、基板10は、半導体チップ11が配置された表面10aを下に向けた状態で、上型110Uに保持される。タブレット樹脂30は、ポット131の開口部131aを介して、ポット131内に収容される。
【0056】
基板10及びタブレット樹脂30の搬入が完了した後、搬入工程S30から型締め工程S40に移行する。
【0057】
型締め工程S40は、成形型110(下型110D及び上型110U)を閉める(型締めする)工程である。
【0058】
具体的には、型締め工程S40において、型締め機構120の昇降機構(不図示)が駆動されることで、下型110Dが上型110Uに向かって上昇する。下型110Dが所定の位置まで上昇すると、図7に示すように、下型110Dの接触面112aが基板10の下面(表面10a)と接触し、キャビティ110Cが基板10によって上方から塞がれる。またこの際、基板10に設けられた半導体チップ11の下面は、下型110Dの底面部材111と接触する。
【0059】
型締めが完了した後、型締め工程S40から移送工程S50に移行する。
【0060】
移送工程S50は、樹脂Rをキャビティ110Cに向けて移送する工程である。
【0061】
具体的には、移送工程S50において、下型110Dに設けられた加熱機構(不図示)によってポット131内に収容されたタブレット樹脂30が溶融される。溶融したタブレット樹脂30(樹脂R)は、プランジャ132によってポット131から上方へと押し出される。これによって、図8に示すように、樹脂Rはポット131の開口部131aを介してキャビティ110Cへと直接的に供給される。キャビティ110Cへと供給された樹脂Rは、キャビティ110C内を中央側から外周側へと向かって流動し、キャビティ110C内に充填される。
【0062】
この際、樹脂Rは比較的大きな内径(プランジャ132の外径と略同一の内径)を有する開口部131aを介して直接的にキャビティ110Cへと供給されるため、樹脂Rを淀みなくキャビティ110C内へと流入させることができる。これによって、キャビティ110C内に樹脂Rを充填させ易くなり、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0063】
また、キャビティ110Cの下方から直接樹脂Rを供給することができるため、樹脂成形後にランナーが形成されることがなく、樹脂材料の歩留まりが高い。
【0064】
また、キャビティ110C内の空気は、下型110Dに形成された空気排出溝112b(図3参照)を介してキャビティ110Cの外周部から排出されるため、樹脂Rの流動がキャビティ110C内の空気によって阻害されるのを抑制することができる。
【0065】
また、半導体チップ11の下面は底面部材111に接触しているため、半導体チップ11の下面は樹脂Rによって覆われることはない。すなわち、半導体チップ11の下面が露出するように樹脂成形を行うことができる。
【0066】
キャビティ110C内に樹脂Rが充填された後、所定時間待つことで、樹脂Rが硬化する。
【0067】
樹脂Rが硬化した後、移送工程S50から型開き工程S60に移行する。
【0068】
型開き工程S60は、成形型110(下型110D及び上型110U)を開く(型開きする)工程である。
【0069】
具体的には、型開き工程S60において、型締め機構120の昇降機構(不図示)が駆動されることで、下型110Dが上型110Uから離れるように下降する。これによって、図9に示すように、下型110Dの接触面112aが基板10の下面(表面10a)から離れる。
【0070】
型開きが完了した後、型開き工程S60から搬出工程S70に移行する。
【0071】
搬出工程S70は、樹脂封止された基板10を成形型110から搬出する工程である。
【0072】
具体的には、搬出工程S70において、図9に示すように、上型110Uから樹脂封止された基板10が取り外され、所定の搬送装置によって成形型110から搬出される。
【0073】
基板10の搬出が完了した後、搬出工程S70から後処理工程S80に移行する。
【0074】
後処理工程S80は、基板10の後処理を行う工程である。なお、後処理工程S80は、本発明に係る除去工程の実施の一形態である。
【0075】
図9に示すように、基板10のうち、ポット131の開口部131aと対向する部分には、ポット131やプランジャ132の形状に応じた凹凸形状の不要樹脂Ra(カル)が形成される。そこで、後処理工程S80において、図10に示すように、基板10の中央に形成された不要樹脂Raが除去される。基板10の中央には離型層12が形成されているため、不要樹脂Raを容易に除去することができる。
【0076】
なお、不要樹脂Raを除去する方法としては、レーザー加工による除去、研削加工による除去、割断による除去等、種々の方法を採用することが可能である。例えばレーザー加工により除去する場合、不要樹脂Raの外周部分を円形に切断することで、不要樹脂Raを基板10から剥がして除去することができる。また研削加工により除去する場合、不要樹脂Raを研削して除去することができる。また割断により除去する場合、不要樹脂Raの突出した部分を掴んで力を加えることで、不要樹脂Raを割って除去することができる。
【0077】
以上のようにして、半導体チップ11の一部(下面)が露出した状態で樹脂封止された基板10(樹脂成形品)を製造することができる。
【0078】
以下では、図11を用いて、本発明の第二実施形態に係る樹脂成形装置200について説明する。
【0079】
第二実施形態に係る樹脂成形装置200が、第一実施形態に係る樹脂成形装置100(図7等参照)と異なる点は、押圧部材150を具備する点である。よって以下では、主に押圧部材150について説明する。
【0080】
押圧部材150は、離型フィルム20を成形型110(下型110D)に沿うように押さえるものである。押圧部材150は、環状(円筒状)に形成される。押圧部材150の外径は、ポット131の外径と概ね同一となるように(ポット131の外径より若干小さく)形成される。押圧部材150の内径は、ポット131の内径と概ね同一となるように(ポット131の内径より若干大きく)形成される。押圧部材150の軸方向幅は、キャビティ110Cの上下幅と概ね同一となるように(離型層12の厚みの分だけ若干小さく)形成される。押圧部材150には、連通溝151が形成される。
【0081】
連通溝151は、押圧部材150の内周面と外周面とを連通するものである。連通溝151は、押圧部材150の軸方向における一端面(図11では、上端面)に形成される。連通溝151は、適宜の深さ(上下幅)となるように形成される。連通溝151は、平面視において、1点(押圧部材150の中心)を中心とする放射状に複数形成される。なお、連通溝151は、本発明に係る連通部の実施の一形態である。
【0082】
押圧部材150は、離型フィルム20が下型110Dに配置された後(フィルム配置工程S20より後)、かつ、型締めされる前(型締め工程S40より前)にキャビティ110C内に配置される。例えば、押圧部材150は、搬入工程S30において基板10及びタブレット樹脂30が成形型110に搬入された後で、キャビティ110C内に配置される。この際、押圧部材150は、図11(a)に示すように、ポット131の上方に配置される。これによって押圧部材150は、離型フィルム20の貫通孔21の周囲を囲むように配置される。また押圧部材150は、ポット131と共に離型フィルム20を上下から挟むように配置される。
【0083】
押圧部材150がキャビティ110C内に配置された後、型締め工程S40において型締めされることで、押圧部材150の上面が基板10に形成された離型層12と接触する。このように、型締めされた状態では、押圧部材150が基板10(離型層12)によって上方から押さえられるため、押圧部材150がポット131の上部に保持される。
【0084】
このように押圧部材150を配置することで、離型フィルム20の貫通孔21の周囲を、下型110Dから剥離しないように押さえることができる。これによって、移送工程S50においてポット131からキャビティ110Cへと樹脂Rが供給される際に、樹脂Rが離型フィルム20と下型110Dの上面との間に侵入するのを抑制することができる。
【0085】
また、開口部131aを介してキャビティ110C内へと供給された樹脂Rは、その後、押圧部材150の内周側から外周側へと流出する。この際、樹脂Rは、押圧部材150に放射状に形成された連通溝151によって、概ね均等に分配され、キャビティ110C内を中央側から外周側へと流動する。このように押圧部材150によって樹脂Rの流れを整理することで、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0086】
以上の如く、本実施形態に係る樹脂成形装置100・200は、
キャビティ110Cを形成する成形型110と、
前記成形型110に設けられ、樹脂材料を収容可能であり、前記キャビティ110Cに対して直接的に開口する開口部131aが形成されたポット131と、
前記ポット131内を摺動可能となるように設けられ、前記ポット131に収容された樹脂材料を押し出すことにより、前記開口部131aを介して樹脂材料を前記キャビティ110Cに向けて移送するプランジャ132と、
を具備し、
前記開口部131aの内径は、前記プランジャ132の外径と同一、又は前記プランジャの外径よりも大きく形成されている。
【0087】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、開口部131aの内径を少なくともプランジャ132の外径と同程度大きく確保することで、ポット131内の樹脂材料がキャビティ110C内へと流入し易くなる。これによって、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0088】
また、前記成形型110は、前記開口部131aに対向する位置に貫通孔21が形成された離型フィルム20のうち前記貫通孔21の周囲の部分を吸着する第一吸着部113(吸着部)を具備する。
【0089】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、開口部131a周辺において、離型フィルム20と成形型110との間に樹脂材料が入り込んで成形不良が発生するのを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る樹脂成形装置200は、前記離型フィルム20における前記貫通孔21の周囲の一部又は全部を、前記成形型110から剥離しないように押さえる押圧部材150をさらに具備する。
【0091】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、開口部131a周辺において、離型フィルム20と成形型110との間に樹脂材料が入り込んで成形不良が発生するのを抑制することができる。
【0092】
また、前記押圧部材150は、前記貫通孔21の周囲を囲む環状に形成されると共に、内周面と外周面とを連通する放射状の連通溝151(連通部)を具備する。
【0093】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、開口部131aを介してキャビティ110Cに向けて移送された樹脂材料を、連通溝151によって放射状に分配して案内することで、樹脂材料の流通方向の偏りを抑制することができる。これによって、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0094】
また、前記ポット131は、前記キャビティ110Cの中央部に設けられている。
【0095】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、樹脂材料をキャビティ110Cの全体に均一に供給しやすくなり、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。また、樹脂材料がキャビティ110Cの中央部から外側に向かって拡がるように充填されるため、樹脂材料の流動距離が比較的短くなり、成形時間の短縮を図ることができる。
【0096】
また、前記成形型110は、前記キャビティ110Cの外周部から前記キャビティ110C内の空気を外部へ排出可能な空気排出溝112b(空気排出部)を具備する。
【0097】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、キャビティ110Cの外周部から空気を排出することで、キャビティ110Cの中央部から樹脂材料がキャビティ110C内へと流入し易くなる。これによって、ボイドや未充填等の樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形装置100・200を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0099】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、
キャビティ110Cを形成する成形型110に基板10を搬送し、前記キャビティ110Cに対して直接的に開口する開口部131aが形成されたポット131に樹脂材料を搬送した後に、成形型110を型締めする型締め工程S40と、
前記型締め工程S40の後に、前記ポット131内に収容された樹脂材料をプランジャ132で押し出すことによって、前記開口部131aを介して樹脂材料を前記キャビティ110Cに向けて移送する移送工程S50と、
を含み、
前記移送工程S50では、前記プランジャ132の外径と同一、又は前記プランジャ132の外径よりも大きい内径を有する前記開口部131aを介して、樹脂材料が移送されるものである。
【0101】
このように構成することにより、不具合の発生を抑制することができる。すなわち、開口部131aの内径を少なくともプランジャ132の外径と同程度大きく確保することで、ポット131内の樹脂材料がキャビティ110C内へと流入し易くなる。これによって、ボイドや未充填等の不具合の発生を抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、前記移送工程S50の後に、前記基板10のうち前記開口部131aと対向する部分に形成された不要樹脂Ra(不要部分)を除去する後処理工程S80(除去工程)をさらに含むものである。
【0103】
このように構成することにより、不要部分が除去された樹脂成形品を得ることができる。
【0104】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、前記型締め工程S40より前に、前記基板10のうち前記開口部131aと対向する部分に離型層12を形成する準備工程S10(離型層形成工程)をさらに含むものである。
【0105】
このように構成することにより、不要部分を容易に除去することができる。すなわち、開口部131aと対向する部分に形成される不要部分が、基板10から剥がれ易くなるため、不要部分を基板10から容易に除去することができる。
【0106】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、前記型締め工程S40より前に、前記開口部131aに対応する位置に貫通孔21が形成された離型フィルム20を前記成形型110に配置するフィルム配置工程S20をさらに含むものである。
【0107】
このように構成することにより、樹脂充填に関する不具合の発生を抑制することができる。すなわち、貫通孔21が形成された離型フィルム20を用いることで、樹脂材料がキャビティ110C内へと流入するのを阻害することなく、成形品が成形型110に付着するのを防止することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0109】
例えば、本実施形態においては、円形状のキャビティ110C及び円形状の基板10を用いた樹脂成形装置100を例示したが、キャビティ110C及び基板10の形状はこれに限るものではない。例えば矩形状の基板10を用いることも可能であり、この場合、基板10の形状に合わせてキャビティ110Cの形状を平面視矩形状に形成することも可能である。
【0110】
また、本実施形態においては、基板10に形成される離型層12として、離型フィルムを用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の素材(例えば、金属材料等)を用いることも可能である。また、基板10に直接コーティングを施して離型層12を形成することも可能である。
【0111】
また、本実施形態においては、ポット131の開口部131aの内径はプランジャ132の外径と同一であるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ポット131の内径を上端に向かって徐々に大きくなるように(テーパ状に)形成し、開口部131aの内径をプランジャ132の外径よりも大きく形成することも可能である。これによって、より樹脂Rがキャビティ110C内へと流通し易くすることができる。
【0112】
また、本実施形態においては、ポット131をキャビティ110Cの中央部に設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、ポット131はキャビティ110Cの任意の位置に配置することが可能である。また、ポット131を複数設けることも可能である。
【0113】
また、本実施形態(第二実施形態)においては、円筒状に形成された押圧部材150を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、離型フィルム20の貫通孔21の周囲の少なくとも一部を押さえることが可能であれば、任意の形状に形成することが可能である。但し、離型フィルム20が貫通孔21近傍から剥がれるのを防止する観点からは、貫通孔21の周囲全部を押さえることができるような筒状(貫通孔21を囲むような筒状)に形成されることが好ましい。
【0114】
また、本実施形態(第二実施形態)においては、押圧部材150の上面に溝状の連通部(連通溝151)を形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、押圧部材150の上下中途部を、押圧部材150の径方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔によって押圧部材150の内周面と外周面とを連通することも可能である。
【0115】
また、本実施形態においては、タブレット状の樹脂材料(タブレット樹脂30)を用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、樹脂材料としては、タブレット状のものだけでなく、顆粒状、粉末状、液状など任意の形態のものを用いることが可能である。
【0116】
また、本実施形態において例示した樹脂成形品の製造方法(工程の順序や、各工程における作業内容や手順等)は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0117】
また、本実施形態においては、フィルム配置工程S20において、貫通孔21が予め形成された離型フィルム20を成形型110に配置する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、離型フィルム20を成形型110に配置した後で、ポット131の開口部131aに対応する位置に貫通孔21を形成してもよい。
【0118】
また、本実施形態においては、下型110Dは底面部材111及び側面部材112等を具備し、底面部材111と側面部材112によってキャビティ110Cが形成される例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、一つの部材からなる下型110Dの上面を加工して、キャビティ110Cを形成してもよい。
【0119】
また、本実施形態において例示した樹脂成形装置100・200は一例であり、本実施形態で示されていない種々の機構を具備するものであってもよい。例えば、樹脂成形装置100・200は、基板10の搬送(成形型110への搬入や、成形型110からの搬出)を行う基板搬送モジュール、樹脂(タブレット樹脂30)を樹脂注入機構130へと供給する樹脂供給モジュール等を具備するものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
10 基板
12 離型層
20 離型フィルム
21 貫通孔
100 樹脂成形装置
110 成形型
110C キャビティ
112b 空気排出溝
113 第一吸着部
120 型締め機構
130 樹脂注入機構
131 ポット
131a 開口部
132 プランジャ
150 押圧部材
151 連通溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11