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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】渦カプセル空洞を備えた吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/06 20060101AFI20231004BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20231004BHJP
   A24F 42/20 20200101ALI20231004BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A24F42/60
A24F42/20
A61M15/06 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020547062
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 IB2019052412
(87)【国際公開番号】W WO2019186372
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】18164077.2
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ズーバー ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】セキ ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
(72)【発明者】
【氏名】スパダーロ ファビアナ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/109626(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/109678(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/207586(WO,A1)
【文献】特開2006-026436(JP,A)
【文献】特開昭50-045495(JP,A)
【文献】特開昭49-130094(JP,A)
【文献】特表平09-501581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0206350(US,A1)
【文献】国際公開第2015/166350(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A24F 42/60
A24F 42/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品であって、
マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体と、
前記遠位端にあるエンドピース要素と、
前記本体内に円筒状の空間を画定する内表面を有し、前記長軸方向軸に沿って空洞の長さに延びるカプセル空洞であって、前記カプセル空洞の前記内表面上または前記内表面内にらせん状の特徴を含み、前記らせん状の特徴が前記空洞の長さに沿って延びる突出部またはチャネルである、カプセル空洞と、
前記エンドピース要素と前記カプセル空洞との間の空気吸込み口領域であって、空気吸込み口および前記空気吸込み口から前記カプセル空洞に延びる空気通路を有する、空気吸込み口領域と、
前記カプセル空洞の下流端を画定する多孔性要素と、
前記カプセル空洞から、前記多孔性要素を通って前記マウスピース端に延びるマウスピース空気チャネルと、を備える、吸入器物品。
【請求項2】
前記らせん状の特徴が、前記カプセル空洞の前記内表面の中へと陥凹した溝またはチャネルである、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
前記らせん状の特徴が、前記カプセル空洞の前記内表面から離れるように延びる突出部である、請求項1または請求項2に記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記らせん状の特徴が、前記内表面の周り一フル回転の少なくとも約50%回転する、請求項1~3のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記らせん状の特徴が約2mm~約8mmの範囲のピッチを有する、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記らせん状の特徴が、それぞれ円形のらせんを画定する二つのらせん状の特徴を含む、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記らせん状の特徴が、それぞれ円形のらせんを画定する三つ以上のらせん状の特徴を含む、請求項1~6のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項8】
前記らせん状の特徴が、前記空洞の長さに沿って相互に均等に間隙を介している、請求項6または7に記載の吸入器物品。
【請求項9】
前記空気吸込み口領域が、前記カプセル空洞内に吸入気流の渦を誘発する、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項10】
空気吸込み口領域が、前記空気通路を画定する開いた円筒である渦トンネルを含み、前記空気通路が前記開いた円筒の長軸方向軸に沿って実質的に同軸に延び、前記渦トンネルが前記開いた円筒の内径の接線にて前記空気通路に入る二つの対向する空気吸込み口を含む、請求項9に記載の吸入器物品。
【請求項11】
前記エンドピース要素が、前記遠位端を通る前記カプセル空洞への気流を制限または防止するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項12】
前記エンドピース要素が、約100水柱mmよりも大きい引き出し抵抗(RTD)を有し、前記エンドピース要素が、セルロースおよびアセテート、繊維およびトウ、ならびにビスコース紙のうちの少なくとも一つから形成される、請求項1~11のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入器物品と、前記吸入器物品の前記カプセル空洞内に配置されたカプセルとを備え、前記カプセルが粒子を含有し、前記粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する、吸入器システム。
【請求項14】
前記カプセルがニコチンを含む粒子を含有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有する風味粒子の第二の集団をさらに含有する、請求項13または請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、前記カプセルを有効化するために前記吸入器物品と取り外し可能なように係合可能な貫通要素をさらに備え、前記エンドピース要素が、前記カプセルを有効化する時に前記貫通要素によって貫通されるように構成される、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、渦カプセル空洞を含む吸入器物品に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は操作するのに複雑である、またはそれには可動部品が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量の全部を提供しようとする。加えて、これらの複雑な乾燥粉末吸入器は、高速で製造することが困難である。
【0003】
現在の紙巻たばこの構成を形成する材料で形成される吸入器物品を提供することが望ましい。高速で組み立てられうる吸入器物品を提供することが望ましい。また、従来の紙巻たばこと類似した、持ちやすくユーザーに馴染みのある形態を有する吸入器物品を提供することが望ましい。また、消費者によって便利に使用される吸入器物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示の様々な態様は、渦カプセル空洞を有する吸入器物品に関する。渦カプセル空洞は、吸入器のカプセル空洞を通して吸入気流の渦巻きまたは渦を誘発、増強、または維持するように構成されている。吸入気流の渦巻きまたは渦は、カプセル空洞内に包含されるカプセルの回転を誘発する。カプセル空洞の内表面上または内表面の一つ以上のらせん状の特徴は、吸入器のカプセル空洞を通して吸入気流の渦巻きまたは渦を誘発、増強、または維持する。
【0005】
本開示の一態様において、吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体を含み、遠位端にエンドピース要素を有する。カプセル空洞は本体内に画定されていて、長軸方向軸に沿って空洞の長さに延びる。カプセル空洞は、カプセル空洞の内表面上または内表面にらせん状の特徴を含む。らせん状の特徴は、空洞の長さに沿って延びる。空気吸込み口領域は、エンドピース要素とカプセル空洞との間にある。空気吸込み口領域は、空気吸込み口および空気吸込み口からカプセル空洞に延びる空気通路を有する。多孔性要素は、カプセル空洞の下流端を画定する。マウスピース空気チャネルは、カプセル空洞から、多孔性要素を通ってマウスピース端へと延びる。
【0006】
本開示の別の態様において、吸入器システムは、本明細書に記載の吸入器物品と、吸入器物品のカプセル空洞内に配置されたカプセルとを含む。カプセルは、約15マイクロメートル以下の空気動力学的中央粒子径、または10マイクロメートル以下の空気動力学的中央粒子径、または5マイクロメートル以下の空気動力学的中央粒子径、または約0.5マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約10マイクロメートルの範囲内、または約5マイクロメートル~約10マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含有する。
【0007】
一つ以上の態様では、渦カプセル空洞のらせん状の特徴は、カプセル空洞の内表面内に延びるチャネルまたは溝として画定されうる。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞の長さに沿って、一フル回転の50%、または一フルターンの少なくとも50%回転しうる。渦カプセル空洞は、相互に同延し、カプセル空洞の長さに沿って対称的に回転する二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状のチャネルまたは溝を有しうる。二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞の長さに沿ってさらに間隙を介していてもよい。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞を通して吸入気流渦を増強する。この増強された吸入気流渦は渦カプセル空洞内のスピンするカプセルをジャイロスコープ的に安定化させる。ジャイロスコープ的に安定化されたスピンするカプセルは、増強された吸入当たりの粒子部分送達を提供する。
【0008】
一つ以上の態様では、渦カプセル空洞のらせん状の特徴は、カプセル空洞の内表面から離れるように延びる突出部として画定されうる。らせん状の突出部は、カプセル空洞の長さに沿って、一フル回転の50%、または一フルターンの少なくとも50%回転しうる。渦カプセル空洞は、相互に同延し、カプセル空洞の長さに沿って対称的に回転する二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状の突出部を有しうる。二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状の突出部は、カプセル空洞の長さに沿ってさらに間隙を介していてもよい。らせん状の突出部は、カプセル空洞を通して吸入気流渦を増強する。この増強された吸入気流渦は渦カプセル空洞内のスピンするカプセルをジャイロスコープ的に安定化させる。ジャイロスコープ的に安定化されたスピンするカプセルは、増強された吸入当たりの粒子部分送達を提供する。
【0009】
一つ以上の態様において、多孔性要素は、カプセル空洞とマウスピース空気チャネルの間に提供されうる。エンドピース要素は、空気が遠位端から吸入器物品に入るのを実質的に防止または阻止しうる。一部の実施形態において、エンドピース要素は、空気が遠位端を通って吸入器物品に入るのを防止しうる。
【0010】
一つ以上の態様では、空気吸込み口領域は、吸入気流の渦をカプセル空洞内に誘発する。らせん状の特徴は、空気吸込み口領域の空気吸込み口と整列されてもよい。
【0011】
一つ以上の態様において、吸入器物品の本体は、遠位端からマウスピース端まで実質的に一定でありうる外径を有する。本体の外径は、約6mm~約10mm、または約7mm~約8mmの範囲であってもよい。
【0012】
一つ以上の態様において、エンドピースは、吸入器物品の本体の長軸方向軸に沿って長軸方向に延びうる。エンドピースは、約5mm~約10mmの範囲の長さを有してもよく、渦カプセル空洞は、本体の長軸方向軸に沿って約15mm~約25mmの範囲の長さに延びてもよい。
【0013】
一つ以上の態様において、システムは、ニコチンを含む粒子を含有するカプセルを含みうる。
【0014】
一つ以上の態様において、システムは、風味粒子の第二の集団をさらに含有するカプセルを含みうる。
【0015】
一つ以上の態様において、システムは、カプセルを有効化するために吸入器物品と取り外し可能なように係合可能な貫通要素をさらに含みうる。本明細書で使用される、カプセルを「有効化する」という用語は、カプセル内に含有された粒子が放出されるのを可能にするために、貫通することなどによって、カプセルを開放することを指す。エンドピース要素は、カプセルを有効化する時に貫通要素によって貫通されるように構成されうる。
【0016】
有利なことに、吸入器物品は、従来の紙巻たばこを組み立てるために利用される材料で形成されうる。加えて、吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を画定する。これは、吸入器物品の高速組立または製造を可能にしうる。有利なことに、カプセルの回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の吸入もしくは「吸煙」にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分または一分画の均一な混入を提供しうる。有利なことに、吸入器物品は生分解性材料で形成されうる。
【0017】
本明細書に記載の吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末を肺に提供してもよい。消費者は、各々の「吸煙」が、カプセル空洞内に包含されたカプセルの中に含まれる乾燥粉末の部分量を送達する、複数の吸入もしくは「吸煙」を行ってもよい。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を有してもよく、従来の喫煙の決まったやり方を真似てもよい。この吸入器は、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合でありうる。
【0018】
渦カプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中のカプセル回転を誘発する。カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を包含する。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器物品を通して移動する吸入空気中に放出されたニコチン粒子を懸濁およびエアロゾル化してもよい。風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またニコチン粒子をユーザーの肺に送るのを助け、一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に残る。ニコチン粒子および随意の風味粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、吸入器物品で送達されてもよい。
【0019】
「引き出し抵抗」または「RTD」という用語は、体積流量が出力端で17.5ミリリットル/秒である安定した条件下での空気の流れによって横断された時の、標本の二つの端部間の静的圧力差を指す。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定できる。
【0020】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0021】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall,R.L.&Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg 151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0022】
本明細書に記載の吸入器物品は、貫通要素または貫通装置と組み合わされて、ニコチン粒子を消費者に送達しうる。貫通要素または貫通装置は吸入器物品の一部分から分離されてもよく、または吸入器物品の一部を形成しなくてもよい。複数のこれらの吸入器物品は貫通要素または貫通装置と組み合わせられて、キットを形成してもよい。
【0023】
本開示によると、吸入器物品は、マウスピース端から遠位端に長軸方向軸に沿って延びる本体を含み、遠位端にエンドピース要素を有する。カプセル空洞は本体内に画定されていて、長軸方向軸に沿って空洞の長さに延びる。カプセル空洞は、カプセル空洞の内表面上または内表面にらせん状の特徴を含む。らせん状の特徴は、空洞の長さに沿って延びる。空気吸込み口領域は、エンドピース要素とカプセル空洞との間にある。空気吸込み口領域は、空気吸込み口および空気吸込み口からカプセル空洞に延びる空気通路を有する。多孔性要素は、カプセル空洞の下流端を画定する。マウスピース空気チャネルは、カプセル空洞から、多孔性要素を通ってマウスピース端へと延びる。
【0024】
吸入器物品の本体、または「吸入器本体」は、任意の適切な形状を有しうる。吸入器本体は細長くてもよい。言い換えれば、吸入器本体は、吸入器本体のその他の寸法よりも実質的に大きい長さを有しうる。吸入器本体は、その長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、任意の適切な横断面形状を有しうる。例えば、横断面は、円形、楕円形、正方形、または長方形でありうる。吸入器本体は、細長い円筒状の本体を形成する吸入器本体の長さに沿って均一でありうる円形断面を有してもよい。
【0025】
吸入器物品の本体、または「吸入器本体」は、サイズおよび形状が喫煙物品または従来の紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒状の本体を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒状の本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒状の本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有してもよい。
【0026】
吸入器本体は、約6mm~約10mm、または約7mm~約10mm、または約7mm~約9mmの範囲内、または約8mmの外径を有してもよい。吸入器本体は、約40mm~約100mm、または約50mm~約80mm、または約60mm~約80mmの範囲内、または65mmの(長軸方向軸に沿った)長さを有してもよい。
【0027】
吸入器本体は、高分子もしくはセルロース系材料、または任意のその他の適切な材料で形成されうる。吸入器本体は、生分解性材料で形成されてもよい。吸入器本体は、板紙または厚紙で形成されてもよい。吸入器本体は、その長さに沿って均一な厚さを有しうる。吸入器本体は、約1mm~約2mmの範囲の厚さを有しうる。
【0028】
吸入器本体は、本体がエンドピース要素からマウスピース端に連続的に延びる一体構造を形成しうる。エンドピース要素、空気吸込み口領域、カプセル空洞(および存在する場合はカプセル)、多孔性要素およびマウスピース空気チャネルは、吸入器本体内に直列に配置されてもよい。言い換えれば、エンドピース要素、空気吸込み口領域、カプセル空洞(および存在する場合はカプセル)、多孔性要素およびマウスピース空気チャネルは、吸入器本体の長軸方向軸に沿って端と端を接して配設されてもよい。
【0029】
吸入器本体は、第一の部分と第二の部分の二つの部分で形成されうる。第一の部分および第二の部分は、直列に隣接する関係で軸方向に整列されて、またひとまとめにされて吸入器本体を形成してもよい。ラッパーは、第一の部分と第二の部分をひとまとめにするために利用されうる。ラッパーは生分解性材料であってもよい。ラッパーは紙ラッパーであってもよい。
【0030】
第一の部分は、マウスピースまたはマウスピース空気チャネル、および存在する場合には多孔性要素を含みうる。第二の部分は、カプセル空洞(および存在する場合はカプセル)、空気吸込み口領域、およびエンドピース要素を含みうる。
【0031】
一部の実施形態において、吸入器本体は、三つの部分、または四つ以上の部分で形成されうる。三つの部分、または四つ以上の部分は、直列に隣接する関係で軸方向に整列されて、またひとまとめにされて吸入器本体を形成してもよい。ラッパーは、三つの部分または四つ以上の部分をひとまとめにするために利用されうる。
【0032】
カプセル空洞は、吸入空気を、スパイラル状またはらせん状の特徴に沿って、一つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴の長さに沿って誘導するように構成された一つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含む。一つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴は、カプセル空洞の長さに沿った吸入気流のスパイラルまたは渦を支援、増強、または維持する。吸入気流のスパイラルまたは渦は、スピンするカプセルとカプセル空洞の内表面との間に気流のクッションを形成しうる。スパイラルまたは渦吸入空気のクッションは、スピンするまたは回転するカプセルをジャイロスコープ的に安定化させ、個々の吸入イベントそれぞれに対する、カプセルからユーザーへの乾燥粒子の増強された均一な部分送達を提供する。
【0033】
カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる一つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含む。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる二つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含むことが好ましい。二つ以上のらせん状の特徴は、相互から対称的に間隙を介し、かつ相互に合同的であってもよい。二つ以上のらせん状の特徴は、同一の軸を共有しうる。二つ以上のらせん状の特徴はそれぞれ、円形のらせんを画定しうる。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる三つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含みうる。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる四つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含みうる。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる五つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含みうる。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って延びる六つ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴を含みうる。
【0034】
渦カプセル空洞のらせん状の特徴は、カプセル空洞の内表面内に延びるらせん状のチャネルまたは溝として画定されうる。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞の長さに沿って、一フル回転の少なくとも50%、または一フルターンの少なくとも50%回転しうる。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞の長さに沿って、少なくとも一フル回転、または少なくとも一フルターン回転しうる。渦カプセル空洞は、相互に同延かつ合同的であり、カプセル空洞の長さに沿って対称的に回転する二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状のチャネルまたは溝を有しうる。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞の長さに沿って均等に間隙を介してもよい。らせん状のチャネルまたは溝は、カプセル空洞を通して吸入気流渦を増強する。この増強された吸入気流渦は渦カプセル空洞内のスピンするカプセルをジャイロスコープ的に安定化させる。ジャイロスコープ的に安定化されたスピンするカプセルは、増強された吸入当たりの粒子部分送達を提供する。
【0035】
らせん状のチャネルまたは溝は、約2mm~約8mm、または約3mm~約7mm、または約4mm~約6mm、または約5mmの範囲のピッチ(一フルターンまたは一フル回転を完了するための、らせん上の二つの点を分離する横方向距離)を有しうる。らせん状のチャネルまたは溝は、約0.2mm~約1mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.2mm~約0.5mm、または約0.4mm~約0.8mm、または約0.5mm~約0.7mmの範囲の幅を有しうる。らせん状のチャネルまたは溝は、約0.2mm~約1mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.2mm~約0.5mm、または約0.4mm~約0.8mm、または約0.5mm~約0.7mmの範囲の高さまたは深さを有しうる。
【0036】
渦カプセル空洞のらせん状の特徴は、カプセル空洞の内表面から離れるように延びるらせん状の突出部として画定されうる。らせん状の突出部は、カプセル空洞の長さに沿って、一フル回転の少なくとも50%、または一フルターンの少なくとも50%回転しうる。らせん状の突出部は、カプセル空洞の長さに沿って、少なくとも一フル回転、または少なくとも一フルターン回転しうる。渦カプセル空洞は、相互に同延かつ合同的であり、カプセル空洞の長さに沿って対称的に回転する二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のらせん状の突出部を有しうる。らせん状の突出部は、カプセル空洞の長さに沿って均等に間隙を介してもよい。らせん状の突出部は、カプセル空洞を通して吸入気流渦を増強する。この増強された吸入気流渦は渦カプセル空洞内のスピンするカプセルをジャイロスコープ的に安定化させる。ジャイロスコープ的に安定化されたスピンするカプセルは、増強された吸入当たりの粒子部分送達を提供する。
【0037】
渦カプセル空洞のらせん状の特徴は、らせん状の突出部およびらせん状のチャネルまたは溝の両方を含みうる。らせん状の突出部およびらせん状のチャネルまたは溝の両方を含む渦カプセル空洞は、上述のこれらの特徴を任意の組み合わせで含みうる。例えば、渦カプセル空洞は、一つ、二つ、三つ、またはそれ以上のらせん状の突出部、および一つ、二つ、三つ、またはそれ以上のらせん状のチャネルまたは溝を含みうる。らせん状の突出部およびらせん状のチャネルまたは溝は、相互に同延かつ合同的であり、カプセル空洞の長さに沿って対称的に回転しうる。らせん状の突出部およびらせん状のチャネルまたは溝は、それぞれ相互に隣接してもよく、または相互から均等に間隙を介してもよい。
【0038】
エンドピース要素は、吸入器本体の遠位端またはエンドピース端内に配置されてもよい。エンドピース要素は、吸入器物品の本体の遠位端またはエンドピース端を通る気流を制限または防止するように構成されている。エンドピース要素は、以下に説明する通り、空気がエンドピース要素を通って流れるよりも優先的に、気流が本体の側壁に沿って空気吸込み口を通って吸入器本体に入ることを促進するように構成されている。
【0039】
空気が遠位端を通って一部の吸入器本体に入ることをエンドピース要素が許容する場合、エンドピース要素は概して高い引き出し抵抗(RTD)を有する。エンドピース要素は、約30水柱mmを超えるRTD、または約50水柱mmを超えるRTD、または約75水柱mmを超えるRTD、または100水柱mmを超えるRTD、または約200水柱mmを超えるRTD、または30水柱mm~100水柱mmの範囲のRTDを有しうる。
【0040】
エンドピース要素は、吸入器本体の長軸方向軸に沿って長軸方向に延びてもよい。エンドピース要素は、約5mm~約10mmの範囲の長さを有しうる。
【0041】
エンドピース要素は、吸入器物品の遠位端を占める任意の適切なる材料で形成されうる。例えば、エンドピース要素はビスコース紙で形成されてもよい。エンドピース要素は、トウ材料を形成する繊維、またはトウ材料のプラグで形成されてもよい。エンドピース要素は、生分解性材料で形成されてもよい。エンドピース要素は、セルロースまたはセルロースアセテートで形成されうる。エンドピース要素はアセテートトウで形成されてもよい。エンドピース要素はセルローストウで形成されてもよい。エンドピース要素はアセテートとセルロースのトウで形成されてもよい。エンドピース要素はセルロースおよびビスコース紙で形成されてもよい。
【0042】
エンドピース要素は、吸入器物品本体の遠位端を占めうる材料の円筒状プラグを形成しうる。この円筒状プラグの材料はトウ材料であってもよい。円筒状プラグの材料は、セルロースまたはセルロースアセテート材料であってもよい。円筒状プラグの材料は、アセテートトウであってもよい。円筒状プラグの材料は、セルローストウであってもよい。円筒状プラグの材料は、アセテートとセルロースのトウであってもよい。円筒状プラグの材料は、セルロースおよびビスコース紙であってもよい。一つ以上の態様において、エンドピース要素は、セルロースまたはアセテート、繊維またはトウ、またはビスコース紙で形成されうる。
【0043】
エンドピース要素は貫通可能であってもよい。剛直な細長い針などの貫通要素は、エンドピース要素を貫通し空気吸込み口領域を通過して、カプセル空洞内のカプセルに接触し、カプセル内に穴を形成しうる。次に、カプセル内に含有された粒子は、吸入器物品の使用中に貫通要素によって形成された穴を出ることができる。一部の実施形態において、貫通要素がエンドピース要素から引き出されると、エンドピース要素は少なくとも部分的に再び封じられうる。
【0044】
空気吸込み口領域は、エンドピース要素とカプセル空洞との間に位置付けられている。空気吸込み口領域は、エンドピース要素に当接してもよい。空気吸込み口領域は、軸方向に整列されて、かつエンドピース要素と直列に配設されてもよい。空気吸込み口領域は、カプセル空洞の上流端または遠位端または境界を形成しうる。
【0045】
空気吸込み口領域は、カプセル空洞内に吸入空気の「渦巻き」または渦を開始するように構成されうる。カプセル空洞(本明細書では「渦カプセル空洞」とも言及される)は、カプセル空洞の長さに沿って吸入空気の「渦巻き」または渦を増強または維持する一つ以上のらせん状の特徴を含む。空気吸込み口領域は、吸入器本体の周囲の周りに間隙を介した二つ以上の空気吸込み口を含みうる。空気吸込み口は、カプセル空洞の関連付けられたらせん状の特徴と整列されてもよい。この整列または関連は、カプセル空洞に沿った吸入空気の「渦巻き」または渦の効率をさらに増強し、各吸入イベント中のカプセルの回転をさらに増強しうる。
【0046】
一つ以上の態様では、空気吸込み口領域は渦トンネルを含む。渦トンネルは、吸入器のカプセル空洞を通して吸入気流の渦巻きを誘発するまたは渦を誘発するように構成されている。渦トンネルは、空気通路が円筒の軸に沿って実質的に同軸に延びる、開いた円筒を画定しうる。この開いた円筒の軸は、吸入器物品本体の長軸方向軸と同延であってもよい。渦トンネルは、吸入器物品本体の長軸方向軸に沿って、渦トンネルの内径よりも大きい長さだけ長軸方向に延びうる。
【0047】
渦トンネルは、空気通路と流体連通している空気吸込み口を含みうる。空気通路は、開いた円筒の内部通路を画定しうる。空気通路は、内径または渦トンネルによって画定されている。渦トンネルの内径は、吸入器本体の内径よりも小さい。空気吸込み口は、空気が吸入器物品の外側から空気通路または開いた円筒に入るための開口を提供する。空気吸込み口は、渦トンネルの側壁(または厚さ)を通って延びてもよい。一部の実施形態において、空気吸込み口は、吸入器物品の本体を通って延びる。一部の実施形態において、吸入器物品の本体はまた、空気吸込み口を備える。吸入器物品の本体の空気吸込み口は、渦トンネルの空気吸込み口と整列しうる。渦トンネルが複数の空気吸込み口を備える場合、吸入器物品の本体は相補的な数の空気吸込み口を備えてもよく、吸入器本体の各空気吸込み口は、渦トンネルの空気吸込み口と整列または登録されている。
【0048】
渦トンネルは、本体の内径と接触する外径を有しうる。渦トンネルは、渦トンネルの外径もしくは本体の内径の約60%~約25%の範囲の内径を有してもよく、または内径は、渦トンネルの外径もしくは本体の内径の約50%~約35%の範囲であってもよい。渦トンネルは、渦トンネルの内径よりも大きい長さを有しうる。言い換えれば、渦トンネルの内径は、渦トンネルの外径と比較して狭くてもよく、または薄くてもよい。
【0049】
渦トンネルは、吸入器物品本体の内径と実質的に等しい外径を有しうる。渦トンネルは、カプセル空洞内に配置されたカプセルの外径よりも小さい内径を有してもよい。渦トンネルは、約7mm~約8mmの外径を有しうる。渦トンネルは、約2mm~約4.5mm、または約3mm~約4mmの内径を有しうる。渦トンネルは、約2mm~約3mmの範囲の壁厚を有しうる。渦トンネルは、吸入器物品本体の長軸方向軸に沿って約5mm~約10mmの範囲の長さだけ長軸方向に延びてもよい。
【0050】
空気吸込み口は、表面(渦トンネルの内径)および空気通路のうちの少なくとも一つの接線にて、渦トンネルの空気通路に合流するまたは入ってもよい。特に、空気吸込み口は、吸入器本体の軸の接線にて実質的に延びうる。渦トンネルは、空気通路と連通している二つの空気吸込み口を含んでもよい。渦トンネルは、開いた円筒の内径の接線にて、開いた円筒に入る二つの対向する空気吸込み口を含みうる。開いた円筒の内径の接線にて、一つまたは二つの対向する空気吸込み口を提供することは、吸入器本体のカプセル空洞内の渦巻きまたは渦気流パターンを誘発する。
【0051】
一つ以上の空気吸込み口は、任意の適切なまたは有用な形状を有してもよい。一つ以上の空気吸込み口は、円筒形状または円形断面を有してもよい。一つ以上の空気吸込み口は、約0.8~約1.2mmの範囲の直径、または約1mmの直径を有しうる。一つ以上の空気吸込み口は、機械的穿刺によって、またはレーザー穿孔によって形成されうる。
【0052】
空気吸込み口領域または渦トンネルは、任意の有用な材料で形成されうる。例えば、空気吸込み口領域または渦トンネルはセルロースアセテートトウで形成されうる。空気吸込み口領域または渦トンネルは板紙または厚紙で形成されうる。空気吸込み口領域または渦トンネルは高分子材料で形成されうる。
【0053】
渦トンネルは、中空のセルロースアセテートチューブ(「HAT」と呼ばれる場合がある)から構築されうる。渦トンネルは、中空のセルロースアセテートチューブまたはセルロースアセテートトウの開いた円筒で形成されうる。渦トンネルの内径および外径のうちの少なくとも一つを紙で覆いうる。渦トンネルは、内径を覆う紙を有するセルロースアセテートトウの開いた円筒で形成されうる。渦トンネルは、外径を覆う紙を有するセルロースアセテートトウの開いた円筒で形成されうる。渦トンネルは、この渦トンネルの内径および外径の両方を覆う紙を有するセルロースアセテートトウの開いた円筒で形成されうる(ディフューザープラグと呼ばれる場合もある)。
【0054】
カプセル空洞は、空気吸込み口領域または渦トンネルからすぐ下流にあってもよい。カプセル空洞は、空気吸込み口領域または渦トンネルに当接してもよい。カプセル空洞は、軸方向に整列されて、空気吸込み口領域または渦トンネルと直列に配設されてもよい。空気吸込み口領域または渦トンネルは、カプセル空洞の上流端または遠位端または境界を形成しうる。
【0055】
カプセル空洞は、カプセルを包含するように構成された円筒状の空間を画定しうる。カプセル空洞は、長円のまたは丸みのある長方形の形状を有するカプセルを受容するように構成された空間を画定しうる。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有してもよい。カプセル空洞は、カプセル空洞の長さに沿って円形の横断面を有してもよい。カプセル空洞は、円筒形状を有しうる。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞内で安定性を有して回転することを可能にしてもよい。カプセルの長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸を中心に安定性を有して回転してもよい。
【0056】
安定な回転は、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行であることを意味する。安定な回転は、回転するカプセルの前進の欠如を意味する場合がある。吸入器本体の長軸方向軸は、カプセルの回転の軸と実質的に同一の広がりを持つことが好ましい。カプセルの安定な回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の「吸煙」にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な混入を提供してもよい。
【0057】
カプセル空洞は、上流端または遠位端上で空気吸込み口領域によって境界された、かつ下流端上で多孔性要素によって境界された、固定の空洞の長さを有してもよい。カプセル空洞は、その中に包含されたカプセルの長さの少なくとも約110%~約200%未満の空洞の長さ、またはカプセルの長さの約120%~約130%の空洞の長さ、またはカプセル長さの約125%の空洞の長さを有してもよい。空洞の長さは約15mm~約25mmの範囲内であってもよく、カプセルの長さは約14mm~約18mmの範囲であってもよく、または空洞の長さは約20mmであってもよく、カプセルの長さは約16mmであってもよい。
【0058】
カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル外径は空洞内径の約80%~約99%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約85%~約95%の範囲内であってもよく、またはカプセル外径は空洞内径の約90%であってもよい。カプセル外径は約5.4mm~約6.4mmの範囲であってもよく、空洞内径は約6mm~約7mmの範囲であってもよい。
【0059】
カプセル空洞は、上流遠位側面上で空気吸込み口領域によって境界されてもよく、かつ下流またはマウスピース側面上で多孔性支持要素によって境界されてもよい。空気吸込み口領域および多孔性支持要素は、カプセルをカプセル空洞内で長軸方向に包含するように協働しうる。多孔性支持要素は細長い吸入器本体の内径を占めてもよい。多孔性支持要素は、気流が細長い吸入器本体の断面に沿って、多孔性支持要素を通して均一な気流を呈することを可能にしうる。多孔性支持要素は、乱流効果または周縁効果を低減し、かつカプセル空洞を通して所望の気流パターンを確保または維持するように、ディフューザーとして機能してもよい。多孔性支持要素は、貫通要素が遠位端で吸入器物品に受容され、カプセルを貫通してカプセルを有効化する際に、カプセルに支持を提供することによるなど、カプセルの有効化中にカプセル空洞の内側のカプセルを支持しうる。
【0060】
多孔性支持要素は、吸入器本体の長軸方向軸に沿って延びる長さを有してもよい。多孔性支持要素は、約5mm~約10mmなど、任意の適切な長さを有しうる。多孔性支持要素は吸入器本体の内径を実質的に占めてもよい。多孔性支持要素は、吸入器本体の内径との摩擦嵌めを形成するために十分な外径を有してもよい。多孔性支持要素は、約7mm~約8mmの範囲の外径を有しうる。
【0061】
多孔性支持要素は、非常に低い引き出し抵抗(RTD)を有してもよい。例えば、多孔性支持要素は、約20水柱mm未満、約10水柱mm未満または約1水柱mm未満のRTDを有してもよい。
【0062】
多孔性支持要素はフィルター要素を画定してもよい。フィルター要素は低効率の濾過材料を含みうる。言い換えれば、フィルター要素は、カプセルから放出された粒子が、実質的に抑制されずにまたは妨げられずにカプセル空洞からマウスピース端に通過することを可能にしうる。濾過材料は概して高多孔性材料である。フィルター要素は繊維の網状組織で形成されてもよい。繊維の網状組織は不織繊維要素であってもよい。多孔性支持要素は濾過材料のプラグであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、ポリ乳酸に由来するものであってもよい。多孔性支持要素を形成する繊維は、セルロースアセテートであってもよい。フィルター要素はセルロースアセテートのプラグまたはポリ乳酸のプラグであってもよい。
【0063】
一部の実施形態において、多孔性支持要素はメッシュを含みうる。メッシュは任意の適切な材料で形成されてもよく、例えば多孔性支持要素はメッシュを含んでもよい。メッシュは、任意の適切な数の穴または穴の網状組織、および任意の適切なサイズおよび形状の穴を有しうる。メッシュは約1mm2~約4mm2、または約2mm2の穴を有してもよい。
【0064】
カプセルは消費の前に、吸入器物品内に密封されていてもよい。輸送および保管のために、吸入器物品は、密封されたまたは気密の容器または袋の中に包含されていてもよい。吸入器物品は、吸入器物品の一つ以上の空気吸込み口チャネル、または空気出口、もしくはマウスピースを覆うための、一つ以上の剥離可能なシール層を含みうる。これは、吸入器物品が適切な衛生状態および新鮮さを維持することを確実にし、またはカプセルが乾燥して硬くなったり、破砕しやすくなることを防止しうる。
【0065】
カプセルは、空気が吸入器物品を通して引き出される時に、その長軸方向軸または中央軸を中心に回転してもよい。カプセルは、カプセル内部の粒子を実質的に包含する気密材料で形成されてもよい。カプセルは、カプセルがカプセル空洞内にある時に、貫通要素によって貫通または穿孔されるように構成されうる。貫通要素は、吸入器物品と別個でもよく、または組み合わされてもよい。カプセルは任意の適切な材料で形成されうる。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセル内からのニコチン粒子の放出を可能にするために消費前に貫通要素によって貫通または穿孔されることができる。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは任意の適切なサイズを有しうる。カプセルは、サイズ1~サイズ4カプセル、またサイズ3カプセル、またはサイズ2カプセルとしうる。
【0066】
システムは、金属または剛直な針などの別個の貫通要素を備えうる。貫通要素は、カプセル空洞内に受容されたカプセルを通して単一の開口部を形成する。貫通要素は、エンドピース要素を通過し、渦トンネルの空気通路を通ってカプセル空洞の中に入るように構成されうる。エンドピース要素は、貫通要素が吸入器物品から引き出された後で再密封可能であって、カプセル空洞を通して吸入空気の渦巻きまたは渦を増強することが好ましい。一部の実施形態において、吸入器物品は、貫通要素が吸入器物品から引き出された後に、エンドピース要素を密封するための再密封可能な要素を備えてもよい。
【0067】
カプセルは、医薬的に活性な粒子と、随意に風味粒子とを含む乾燥粉末を含有する。カプセルは所定の量の乾燥粉末を含有してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分な乾燥粉末を含有してもよい。カプセルは、約5~35回の吸入もしくは「吸煙」、または約8~25回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分な乾燥粉末を含有してもよい。各吸入もしくは「吸煙」は、およそ、または実質的に等しい、もしくは等価の量の乾燥粉末を吸入気流の中に放出する。
【0068】
カプセルは、約50重量%~約95重量%の医薬的に活性な粒子および50重量%~5重量%の風味粒子の乾燥粉末、または70重量%~約90重量%の医薬的に活性な粒子および30重量%~10重量%の風味粒子の乾燥粉末を含有してもよい。カプセルは、30mg~70mgの乾燥粉末、または40mg~60mgの乾燥粉末を含有してもよい。
【0069】
カプセルは、医薬的に活性なニコチン粒子および風味粒子を含有することが好ましい。カプセルは、約50重量%~約95重量%のニコチン粒子および50重量%~5重量%の風味粒子の乾燥粉末、または70重量%~約90重量%のニコチン粒子および30重量%~10重量%の風味粒子の乾燥粉末を含有してもよい。カプセルは、30mg~70mgの乾燥粉末、または40mg~60mgの乾燥粉末を含有してもよい。ニコチン粒子は、約1~約10%の有効なニコチン、または約3~約7%の有効なニコチン、または約5%の有効なニコチンを含んでもよい。
【0070】
カプセルの中で風味粒子が医薬的に活性な粒子とブレンドされたまたは組み合わされた時、ユーザーに送達される毎回の吸入もしくは「吸煙」に所望の風味を提供する量の風味粒子が存在する。
【0071】
医薬的に活性な粒子は、ユーザーの肺の中に優先的に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。カプセルは医薬的に活性な粒子以外の粒子を含んでもよい。医薬的に活性な粒子およびその他の粒子は、粉体系を形成する。
【0072】
粉体系は、約10マイクロメートル以下、または約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の粒子サイズを有する医薬的に活性な粒子から成る粉体系の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0073】
粉体系は、約10マイクロメートル以下、または約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の粒子サイズを有する医薬的に活性な粒子から成る粉体系の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0074】
医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0075】
ニコチンを含む粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0076】
風味を含む粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0077】
乾燥粉末は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内の中央粒子径を有してもよい。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を指し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定されることが好ましい。
【0078】
医薬的に活性な粒子はニコチン粒子であることが好ましい。粉体系中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬的に許容される遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であることが好ましい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選ばれてもよい。
【0079】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであることが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。
【0080】
同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減し、それ故に医薬的に活性な粒子の風味粒子との凝集も低減する。それ故に、本明細書に記載の粉体系は自由流動材料であってもよく、また医薬的に活性な粒子と風味粒子とが組み合わされる時でさえも、各粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有しうる。
【0081】
粉体系は風味粒子を含んでもよい。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。
【0082】
粉体系は、約20マイクロメートル以上の粒子サイズを有する粒子から成る粉体系の風味粒子の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉体系は、約50マイクロメートル以上の粒子サイズを有する粒子から成る粉体系の風味粒子の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉体系は、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズを有する粒子から成る粉体系の風味粒子の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。風味剤または風味は、固体の風味として(摂氏約22度の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記載の風味剤は、医薬的に活性またはニコチン構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費中または吸入中に変化させるために、または変化させることを意図するために選択および利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0083】
風味剤または風味とは、天然起源または合成起源の様々な風味剤材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中に医薬的に活性またはニコチン構成要素の体験を高める場合がある風味特性を有する。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似の体験を提供するように選ばれてもよい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0084】
適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、イソ吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0086】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0087】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200ppm未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β-ダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は典型的に、吸入空気の中に放出される風味剤の量が桁違いに多くなるレベルで使用される。適切な力価のより低い風味剤としては、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、ショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リナロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
風味を含む粒子としては、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物が挙げられうる。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に風味粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、医薬的に活性または粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉体系は、医薬的に活性または複数の粒子と風味粒子が組み合わされる時でさえも、医薬的に活性な粒子を含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有しうる。粉体系は自由流動であることが好ましい。
【0089】
乾燥粉末吸入用の従来の製剤は典型的に、活性粒子が、吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有する。これらの粉体系は典型的に、担体粒子を必要とする。これらの担体粒子は、約50マイクロメートルより大きい粒子サイズを有する、ラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであってもよい。担体粒子は、製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用されてもよい。これらの従来の製剤は典型的に、肺系統に入る粒子サイズを達成するために、高速吸入気流および脱集塊要素および篩要素を必要とする。吸入気流ブースト要素、脱集塊要素、および篩要素は、乾燥粉末吸入器の複雑さおよびコストを増大させる。
【0090】
本発明の乾燥粉末吸入器で利用される粉体系は、担体を含まないか、または実質的に担体を含まなくてもよい。担体を含まないこと、または実質的に担体を含まないことは、典型的な喫煙方法の吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量で、乾燥粉末を吸入することを可能にし、また医薬的に活性な粒子をユーザーの肺に送達することを可能にしうる。任意の担体様粒子は、乾燥粉体系の風味粒子または風味成分に限定されることが好ましい。
【0091】
乾燥粉体系は単一のカプセル内で組み合わせられてもよい。上述の通り、乾燥粉体系はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、これは組み合わされた時に各構成成分の粒子サイズが実質的に変化しない安定した粉末製剤をもたらす。
【0092】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、吸入器本体内のカプセルの回転は、医薬的に活性な粒子または粉体系をエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述の医薬的に活性な粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0093】
吸入器物品は、約5L/分未満、または約3L/分未満、または約2L/分、または約1.6L/分未満の流量を使用してもよい。流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であってもよいことが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の流量と同様であってもよく、すなわち約1.6L/分であってもよいことが好ましい。
【0094】
吸入器は、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0095】
本発明の乾燥粉末吸入器で利用される乾燥粉末は、「吐出」段階中に、医薬的に活性な粒子のあらゆる吐出を無くす、または実質的に減少させる場合がある。医薬的に活性な粒子のほぼすべて、または少なくとも約99%、または少なくとも約95%、または少なくとも90%は、肺に送達される粒子サイズを有するが、通常呼吸によって吐出されるのに十分に小さくないことが好ましい。この医薬的に活性な粒子サイズは、約0.75マイクロメートル~約5マイクロメートル、または0.8マイクロメートル~約3マイクロメートル、または0.8マイクロメートル~約2マイクロメートルの範囲内であってもよい。
【0096】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書に提供される定義は、本明細書で頻繁に使用されるある特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0097】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流が吸入器の本体を通して遠位端部分または空気吸込み口領域からマウスピース部分に引き出される際の吸入気流の方向に関して説明される吸入器の要素の相対的な位置を指す。
【0098】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0099】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0100】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0101】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1図1は、例示的な吸入器物品の斜視図である。
図2図2は、長軸方向軸に沿った、図1の例示的な吸入器物品の概略断面図であり、カプセル空洞に沿ったらせん状の突出部を図示する。
図3図3は、長軸方向軸に沿った、図1の例示的な吸入器物品の概略断面図であり、カプセル空洞に沿ったらせん状のチャネルを図示する。
図4図4は、カプセル空洞に沿ったらせん状の突出部を有する、長軸方向軸に沿った例示的なカプセル空洞の概略斜視断面切り取り図である。
図5図5は、軸方向軸に沿った例示的な空気吸込み口領域の概略断面図である。
図6図6は、六つのらせん状の特徴を有する例示的なカプセル空洞の斜視正面図である。
【0103】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、また図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかしながら、当然のことながら、図面に描写されていないその他の態様も本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【発明を実施するための形態】
【0104】
図1は、例示的な吸入器物品100を図示する。図2は、長軸方向軸LAに沿った、図1の例示的な吸入器物品100の概略断面図であり、カプセル空洞116に沿ったらせん状の突出部162を図示する。図3は、長軸方向軸LAに沿った、図1の例示的な吸入器物品100の概略断面図であり、カプセル空洞116に沿ったらせん状のチャネル164を図示する。図4は、カプセル空洞116に沿ったらせん状の突出部162を有する、長軸方向軸に沿った例示的なカプセル空洞116の概略斜視断面切り取り図である。吸入器物品100は、長軸方向軸LAに沿って、マウスピース端112から遠位端114に延びる本体110と、本体110内に画定されたカプセル空洞116とを含む。図6は、六つのらせん状の特徴162/164を有する例示的なカプセル空洞116の斜視正面図である。図5は、長軸方向軸LAに沿った、例示的な空気吸込み口領域150の概略断面図である。
【0105】
吸入器物品100は、マウスピース端112から遠位端114に長軸方向軸LAに沿って延びる本体110を含み、遠位端114にエンドピース要素120を有する。カプセル空洞116は本体110内に画定されていて、長軸方向軸LAに沿って空洞の長さに延びる。カプセル空洞116は、カプセル空洞116の内表面上または内表面にらせん状の特徴162/164を含む。らせん状の特徴162/164は、空洞の長さに沿って延びる。空気吸込み口領域150は、エンドピース要素120とカプセル空洞116との間にある。空気吸込み口領域150は、空気吸込み口113および空気吸込み口113からカプセル空洞116に延びる空気通路155を有する。多孔性要素140は、カプセル空洞116の下流端を画定する。マウスピース空気チャネル111は、カプセル空洞116から、多孔性要素140を通ってマウスピース端112へと延びる。
【0106】
カプセル空洞116は、カプセル空洞116の長さに沿って延びる一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたはそれ以上のスパイラル状またはらせん状の特徴(チャネル162または突出部164)を含む。二つ以上のらせん状の特徴(チャネル162または突出部164)は、相互から対称的に間隙を介し、かつ相互に合同的であってもよい。二つ以上のらせん状の特徴(チャネル162または突出部164)は、同一の軸を共有してもよい。
【0107】
吸入器物品100は、長軸方向軸LAに沿って、マウスピース端112から遠位端114に延びる本体110と、本体110内に画定されたカプセル空洞116とを含む。マウスピース空気チャネル111は、カプセル空洞116からマウスピース端112に延びる。エンドピース要素120は、遠位端114内に配置されていて、空気吸込み口領域150に延びる。エンドピース要素120は、エンドピース要素120を通る気流を制限または防止するように構成されうる。エンドピース要素120は、セルロースアセテートトウの本体で形成されていてもよく、1ミリメートル当たり少なくとも100水柱mmの高い引き出し抵抗(RTD)を有する。
【0108】
空気吸込み口領域150は本体110内に配置されていて、カプセル空洞116に延びる。空気吸込み口領域150は、カプセル空洞に吸入空気の渦巻きまたは渦を誘発する。空気吸込み口領域150は、内表面152によって画定される内径D1、および外表面151によって画定される外径D2を有しうる。内表面152によって画定された内径D1は、開いた円筒の形態の空気通路155を形成する。空気吸込み口領域150は、空気吸込み口領域150外表面151から空気通路155まで延びる二つの空気吸込み口または空気チャネル113を含みうる。空気吸込み口領域150は、吸入器物品100の反対側において空気通路155と連通する二つの空気吸込み口113を含みうる。二つの対向する空気吸込み口113は、開いた円筒155の内径D1の接線において空気通路155まで、空気吸込み口領域150の外表面151と内表面152との間に実質的に直線的に延びる。内表面152にある二つの対向する空気吸込み口113の開口は整列していなく、特にこの実施形態において、二つの対向する空気吸込み口113は、空気吸込み口領域150および吸入器物品100の中央長軸方向軸LAの反対側で延びる軸に沿って、実質的に平行な方向に延びる。開いた円筒155の内径D1の接線にて二つの対向する空気吸込み口113を提供することは、吸入器本体110のカプセル空洞116内に渦巻きまたは渦の気流パターンを誘発する。
【0109】
空気吸込み口領域150および多孔性支持要素140は、カプセル空洞116と境を接している。カプセル130は空洞116内に配置されうる。カプセル130はニコチンを含む粒子を含有する。空気吸込み口領域150および多孔性支持要素140は、カプセル130をカプセル空洞116内に長軸方向に包含するように協働する。マウスピース端112は、本体110がマウスピース端112にて開放空間と境を接する、陥凹した端を有する状態で図示されている。別の方法として、多孔性支持要素140はマウスピース端112全体を占めるようにマウスピース端112に延びてもよい。カプセル130は、長軸方向軸LAと同延である回転軸をカプセル空洞内に有する。
【0110】
別個の貫通要素(図示せず)を利用して、消費者はエンドピース要素120を貫通させ、カプセル空洞116内に包含されたカプセル130を穿孔しうる。ユーザーまたは消費者が吸入器物品100を吸う前に、貫通要素は吸入器物品100およびエンドピース要素120から引き出されうる。消費者は次に吸入器物品100を吸って、吸入器を利用しうる。貫通要素はエンドピース要素120に開口を作るが、これは典型的には、エンドピース要素120の引き出し抵抗を著しく減少させない小さい開口である。一部の実施形態において、エンドピース要素120は、貫通要素が前記エンドピース要素120から引き出された後に再密封可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6