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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】駐車ロック棒組立体
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20231004BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20231004BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20231004BHJP
   F16D 121/14 20120101ALN20231004BHJP
   F16D 125/70 20120101ALN20231004BHJP
   F16D 125/64 20120101ALN20231004BHJP
   F16D 127/06 20120101ALN20231004BHJP
   F16D 127/02 20120101ALN20231004BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
F16D65/16
F16D121:14
F16D125:70
F16D125:64
F16D127:06
F16D127:02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020555903
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026991
(87)【国際公開番号】W WO2019200099
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】62/656,319
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518392026
【氏名又は名称】リナマー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,キャメロン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ジエンバ,ジェフリー
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233580(JP,A)
【文献】特開2010-202099(JP,A)
【文献】米国特許第05295412(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
B60T 1/06
F16D 65/16
F16D 121/14
F16D 125/70
F16D 125/64
F16D 127/06
F16D 127/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車時に車両トランスミッションを解除可能にロックすることを目的として歯止め部材を作動させて駐車ロックギアにロック係合させるための、駐車ロック機構の中に設置可能である駐車ロック棒組立体であって、前記駐車ロック棒組立体が、
軸方向反対側にある第1の棒端部と第2の棒端部との間を延在するロック棒と、
前記ロック棒の周りで前記第1の棒端部と前記第2の棒端部との間に着座するコイルばねと、
前記歯止め部材に係合されるために前記第2の棒端部に堅固に固定されるローラーケージ機構と、
アンロック位置と駐車位置との間で作動させるように前記ロック棒および前記ばねを摺動可能に支持するガイド部材であって、前記ガイド部材が、軸方向において離間される第1および第2の設置用脚部、ならびに前記第1の設置用脚部から軸方向に延在するネック部分を有し、前記ガイド部材が、前記ネック部分内で軸方向に延在する第1のスロット部分および前記第1の設置用脚部内で前記ネック部分に対して横方向に延在する第2のスロット部分によって画定されるL形状に延在する第1の開スロットを有し、さらに前記ロック棒を横方向に受けて第2の開スロットを通しての前記ロック棒の軸方向の摺動を可能にするための、前記ネック部分に対して横方向に延在してスロット口から開いている、前記第2の設置用脚部内にある第2の開スロットを有し、前記ロック棒が、組立て中に前記ガイド部材に対して横方向に方向付けられるときに前記第1のスロット部分の中に横向きで挿入可能であり、前記第1の開スロットに沿って枢動可能であり、それにより前記第2のスロット部分の中でおよび前記第2の開スロットの中で横方向に着座し、前記ロック棒が、組立て後に、前記ガイド部材に対して軸方向に配置され、前記第2の開スロットを通るようにおよび前記第1の開スロットの前記第2のスロット部分を通るように軸方向に摺動可能である、ガイド部材と
を備える駐車ロック棒組立体。
【請求項2】
前記第1および第2の開スロットが、前記アンロック位置と駐車位置との間で前記ロック棒を軸方向に往復動させるのを可能にし、それにより前記ローラーケージ機構が前記駐車ロックギアをロックおよびアンロックするために軸方向に作動させられる、請求項1に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項3】
前記ガイド部材が、トランスミッションのシフトレバーに接続可能である第1のU形部分と、前記ロック棒および前記ばねを拘束するための、前記ロック棒に対して横方向に方向付けられる前記第1および第2の設置用脚部を備える第2のU形部分と、を形成する型打ちプレート部材である、請求項2に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項4】
前記ネック部分が前記第1および第2のU形部分を相互接続する、請求項3に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項5】
前記第1の開スロットの前記第2のスロット部分および前記第2の開スロットが、そこを通しての前記ロック棒の前記軸方向の摺動を可能にするために同軸となるように位置合わせされる、請求項1に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項6】
前記コイルばねが、前記ロック棒に沿って前記コイルばねを軸方向で保持し前記ロック棒の軸方向の変位によるばね圧縮中に前記コイルばねに当接するための離間される第1および第2のワッシャの間に着座する、請求項5に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項7】
前記第1のスロット部分および第2のスロット部分が中間スロット部分によって一体に接合され、各々がそこを通して前記ロック棒を摺動させるのを可能にするために前記ロック棒の棒幅に対応する広いスロット幅を有し、前記中間スロット部分が前記広いスロット幅より小さい狭いスロット幅を画定し、前記ロック棒が、前記棒幅より狭い溝幅を有する、前記第1の棒端部に近い第1の棒溝を有し、その結果、前記第1の棒溝が前記中間スロット部分に位置合わせされるときのみ、前記ロック棒が前記中間スロット部分を通って前記第1および第2のスロット部分の間で枢動可能となる、請求項1に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項8】
前記第1の棒溝が軸方向に変位させられて前記中間スロット部分に位置合わせされた状態から外される場合の棒の軸方向の移動中に、前記ロック棒が前記第2のスロット部分の中で保持される、請求項7に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項9】
前記第2の開スロットが端部分および前記スロット口を備え、前記スロット口が前記端部分の中へ横方向に開いており、前記端部分が、そこを通して前記ロック棒を摺動させるのを可能にするために前記ロック棒の棒幅に対応する広いスロット幅を有し、前記スロット口が前記広いスロット幅より小さい狭いスロット幅を画定し、前記ロック棒が前記第2の棒端部に近い棒溝を有し、前記棒溝が前記棒幅より狭い溝幅を有し、その結果、組立て中、前記棒溝が前記スロット口に位置合わせされるときのみ、前記ロック棒が前記端部分内で横方向に着座する、請求項1に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項10】
前記棒溝が軸方向に変位させられて前記スロット口に位置合わせさせられた状態から外される場合の棒の軸方向の移動中に、前記ロック棒が前記第2の開スロットの前記端部分の中で保持される、請求項9に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項11】
駐車時に車両トランスミッションを解除可能にロックすることを目的として歯止め部材を作動させて駐車ロックギアにロック係合させるための、駐車ロック機構の中に設置可能である駐車ロック棒組立体であって、前記駐車ロック棒組立体が、
軸方向反対側にある第1の棒端部と第2の棒端部との間を延在するロック棒と、
前記ロック棒の周りで前記第1の棒端部と前記第2の棒端部との間に着座するコイルばねと、
前記歯止め部材に係合されるために前記第2の棒端部に堅固に固定されるローラーケージ機構と、
アンロック位置と駐車位置との間で作動させるように前記ロック棒および前記ばねを摺動可能に支持するガイド部材であって、前記ガイド部材が、軸方向において離間される第1および第2の設置用脚部、ならびに前記第1の設置用脚部から軸方向に延在するネック部分を有し、前記ガイド部材が、前記ネック部分内で軸方向に延在する第1のスロット部分および前記第1の設置用脚部内で前記ネック部分に対して横方向に延在する第2のスロット部分によって画定されるL形状に延在する第1の開スロットを有し、さらに前記ロック棒を横方向に受けて第2の開スロットを通しての前記ロック棒の軸方向の摺動を可能にするための、前記ネック部分に対して横方向に延在してスロット口から開いている端部分を有する、前記第2の設置用脚部内にある第2の開スロットを有し、前記ロック棒の前記第1の棒端部が、組立て中に前記ガイド部材に対して横方向に方向付けられるときに前記第1のスロット部分の中に横向きで挿入可能であり、前記第1の開スロットに沿って摺動するように枢動可能であり、それにより組立て後に前記第2のスロット部分の中で横方向に着座し、前記ロック棒の前記第2の端部が組立て中に前記スロット口の中に摺動可能であり、組立て後に前記第2の開スロットの前記端部分の中に着座し、前記第1の開スロットの前記第2のスロット部分および前記第2の開スロットが、組立て後にそこを通しての前記ロック棒の前記軸方向の摺動を可能にするために同軸となるように位置合わせされる、ガイド部材と
を備える駐車ロック棒組立体。
【請求項12】
前記第1および第2の開スロットが、前記アンロック位置と駐車位置との間で前記ロック棒を軸方向に往復動させるのを可能にし、それにより前記ローラーケージ機構が前記駐車ロックギアをロックおよびアンロックするために軸方向に作動させられる、請求項11に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項13】
前記ガイド部材が、トランスミッションのシフトレバーに接続可能である第1のU形部分と、前記ロック棒および前記ばねを拘束するための、前記ロック棒に対して横方向に方向付けられる前記第1および第2の設置用脚部を備える第2のU形部分と、を形成する型打ちプレート部材である、請求項12に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項14】
前記ネック部分が前記第1および第2のU形部分を相互接続する、請求項13に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項15】
前記コイルばねが前記ロック棒の上に着座し、前記ガイド部材に接触する状態で圧縮可能であり、それにより前記駐車位置までの前記ロック棒の軸方向の摺動を可能にし、前記ロック棒が前記アンロック位置まで逆方向に付勢される、請求項14に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項16】
前記第1および第2の開スロットが組立て中に前記ロック棒の枢動運動を可能にし、動作中に前記ガイド部材から前記ロック棒が外れるのを防止するために前記ロック棒を前記ガイド部材の中で保持する、請求項11に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項17】
前記ロック棒が、組立て中に前記第1の開スロットに沿って、前記第1および第2のスロット部分の間で変位する、請求項11に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項18】
前記第1のスロット部分および第2のスロット部分が中間スロット部分によって一体に接合され、各々がそこを通して前記ロック棒を摺動させるのを可能にするために前記ロック棒の棒幅に対応するそれぞれのスロット幅を有し、前記中間スロット部分が前記広いスロット幅より狭いそれぞれのスロット幅を画定し、前記ロック棒が、前記棒幅より狭いそれぞれの溝幅を有する、前記第1の棒端部に近い第1の棒溝を有し、その結果、前記第1の棒溝が前記中間スロット部分に位置合わせされるときのみ、前記ロック棒が前記中間スロット部分を通って前記第1および第2のスロット部分の間で枢動可能となる、請求項17に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項19】
前記第2の開スロットが端部分および前記スロット口を備え、前記スロット口が前記端部分の中へ横方向に開いており、前記端部分が、そこを通して前記ロック棒を摺動させるのを可能にするために前記棒幅に対応するそれぞれのスロット幅を有し、前記スロット口が前記広いスロット幅より狭いそれぞれのスロット幅を画定し、前記ロック棒が前記第2の棒端部に近い第2の棒溝を有し、前記第2の棒溝が前記棒幅より狭いそれぞれの溝幅を有し、その結果、組立て中、前記第2の棒溝が前記スロット口に位置合わせされるときのみ、前記ロック棒が前記端部分内で横方向に着座する、請求項18に記載の駐車ロック棒組立体。
【請求項20】
前記第1および第2の棒溝が軸方向に変位させられて前記中間スロット部分および前記スロット口にそれぞれ位置合わせさせられた状態から外される場合の棒の軸方向の移動中に、前記ロック棒が前記第1の開スロットの第2のスロット部分の中でおよび前記第2の開スロットの前記端部分の中で保持される、請求項19に記載の駐車ロック棒組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる、2018年4月11日に出願した米国仮特許出願第62/656,319号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0001]本発明は、車両トランスミッションの駐車ロック機構のための駐車ロック棒(park lock rod)組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]車両トランスミッションが、トランスミッション内のギアをロックすることにより車両を駐車位置へ電子的にまたは手動でシフトするための駐車ロック機構を有することが広く知られている。駐車ロック機構は、通常、アンロック位置と、パーキングロックギア(parking lock gear)の回転を防止してトランスミッションを駐車位置でロックすることを目的として歯止め部材をパーキングロックギアに係合させるためのロック位置との間で駐車ロック棒組立体を作動させるための、車両運転手により作動されるシフトレバーおよび棒を有する。駐車ロック機構の例が、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,295,412号に開示されている。
【0004】
[0003]駐車ロック棒組立体が、ガイド部材内でシフトレバーと歯止め部材との間で荷重を加えられて拘束される棒およびばねを有する。現在、棒およびばねを拘束するには、駐車ロック棒の組立てを完了することを目的としてばねを圧縮して棒をガイド部材に押し合わせるかまたは重ね合わせるための固定具が必要となる。この固定具および押合わせプロセスにより組立体のコストおよび複雑さが増大し、また要求される許容誤差を維持するために動作を厳密に制御することも必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0004]したがって、固定具の補助なしで、および追加の押合わせプロセスなしで、手動で棒およびばねがガイド部材内で荷重を加えられて拘束され得るような、手動で組み立てられる駐車ロック棒組立体を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0005]本発明は、車両トランスミッションを駐車位置でロックすることを目的として歯止め部材を作動させて駐車ロックギア(park lock gear)にロック係合させるための、シフト棒とレバーとの間で接続可能である駐車ロック棒組立体に関連する。駐車ロック棒組立体は荷重を加えられたばねであり、ローラーケージ機構を駆動してさらには歯止め部材を駆動して駐車ロックギアにロック係合させるためにガイド部材によって拘束されるロック棒を有する。ガイド部材が、略L形であってロック棒の一方の端部を受ける第1の球根形状の開スロットと、ロック棒のもう一方の端部を受ける、第1の開スロットから軸方向において離間される別の開スロットとを有する。このスロット構成が第1の開スロットの長さ方向に沿って棒が摺動するのを可能にし、その結果、棒がガイド部材を基準として揺動または枢動して第2の開スロットの中に着座することができ、それによりロック棒をガイド部材に迅速に組み付けることが可能となる。したがって、駐車ロック棒組立体が、固定具を必要することなく手を使って手動で組み立てられ得、ここでは、ばねがガイド部材の中に着座して、押し合わせることを必要とすることなくつまり他の固定具を必要とすることなく、ガイド部材に対して棒を摺動係合した状態で維持する。
【0007】
[0006]好適には、棒をガイド部材に接合するのを容易にするために、開スロット中に設けられるキー穴形状と協働するための溝が棒に形成され、ここでは、これらの溝構成およびスロット構成がツールまたは固定具を使わずに棒をガイド部材の中に組み付けるのを可能にし、また同時にロック棒の往復動中にこれらの構成要素を分離させるのを防止する。
【0008】
[0007]添付図面と併せて考察する形で以下の詳細な説明を参照することにより良好に理解されることを理由として、本発明の利点が容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0008]本発明の好適な実施形態による駐車ロック棒組立体の斜視図である。
図2】[0009]図2Aは、駐車ロック棒組立体の組立てステップの正面図である。図2Bは、駐車ロック棒組立体の組立てステップの正面図である。図2Cは、駐車ロック棒組立体の組立てステップの正面図である。図2Dは、駐車ロック棒組立体の組立てステップの正面図である。
図3】[0010]図3Aは、圧縮・設置位置にある駐車ロック棒組立体の上面図である。 [0011]図3Bは、圧縮・設置位置にある駐車ロック棒組立体の側面図である。
図4】[0012]図4Aは、完全な延伸・設置位置にある駐車ロック棒組立体の上面図である。 [0013]図4Bは、完全な延伸・設置位置にある駐車ロック棒組立体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]複数の図を通して同様の参照符号が同様のまたは対応する部品を示している図を参照すると、図1で、本発明の好適な実施形態による駐車ロック棒組立体が10で示される。駐車ロック棒組立体10が駐車ロック機構の中で概して12で示されるシフト棒およびレバーと概して14で示される歯止め部材との間に組み付けられ、それにより、歯止め部材14を作動させて駐車ロックギア16にロック係合させ、それによりギア16の回転を防止し、それにより一般に知られる形でトランスミッション16Aを駐車位置でロックする。駐車ロック棒組立体10は、シフトレバー12と歯止め部材14との間で動作可能に接続されるようにガイド部材30によって荷重を加えられて拘束されるばねである。
【0011】
[0015]図2A~2Dを参照すると、駐車ロック棒組立体10は、軸方向反対側にある第1の端部20Aと第2の端部20Bとの間を延在する細長い棒20と、上記棒20の周りで上記端部の間に着座するコイルばね22とを有する。コイルばね22が離間される第1のワッシャ24と第2のワッシャ26との間に着座し、それによりロッド20に沿ってコイルばね22を軸方向で保持し、ばね圧縮中にガイド部材30に当接するように構成されるショルダを画定する。ローラーケージ機構28が、歯止め部材14を作動させて駐車ロックギア16にロック係合させることを目的として歯止め部材14に係合されるために、棒20の第2の端部20Bに堅固に固定される。
【0012】
[0016]棒20およびばね22が、アンロック位置と駐車位置との間で動作するようにガイド部材30に動作可能に結合されてガイド部材30によって支持される。ガイド部材30は、シフトレバー12に接続される第1のU形部分32と、棒20およびばね22を拘束するための第2のU形部分34とを形成する型打ちプレート部材である。平坦なネック部分36が第1のU形部分32および第2のU形部分34を相互接続し、その中に球根形状の開スロット38を有する。第2のU形部分が、ネック部分36から垂直に延在する第1の脚部40と、第1の脚部40と平行である離間される第2の脚部42とを有する。第1の脚部40および第2の脚部42がブリッジ部分44によって相互接続される。開スロット38を通して棒20の第1の端部20Aを受けるために、および開スロット46を通して第2の端部20Bを受けるために、第1の脚部40が、貫通する形で延在する、球根形状の開スロット38の第1のスロット部分38Aを有し、第2の脚部42が、開スロット38と同軸となるように位置合わせされる開スロット46を有する。
【0013】
[0017]開スロット38が、平坦なネック部分36内に形成される第2のスロット部分38Bに概して垂直に方向付けられる第1のスロット部分38Aを有し、その結果、開スロット38が側方から見て略L形となる。第2のスロット部分38Bが、図2Aで見ることができるように、棒20をガイド部材30の下方に配置して第2のスロット部分38Bに位置合わせするのを可能にする。次いで、棒20が、図2B~2Cに概して示されるように、第2のスロット部分38Bの中へと上方に挿入される。さらに、細長い開スロット38がL形状を有し、ここでは、第1のスロット部分38Aおよび第2のスロット部分38Bが中間スロット部分38Cによって接合される。このスロット構成が、開スロット38の長さ方向に沿って、第2のスロット部分38Bから、垂直の第1のスロット部分38Aまで、棒20が摺動するのを可能にし、その結果、図2Dで概して見ることができるように、棒20がガイド部材30を基準として揺動または枢動することができる。この揺動動作により、以下でさらに説明されるように、ロック棒20をガイド部材30に迅速に組み付けることが可能となる。
【0014】
[0018]組立て中、図2A~2Dを参照すると、コイルばね22が棒20の周りに着座して、軸方向において、離間される第1のワッシャ24と第2のワッシャ26との間に配置される。棒20が図2Aではガイド部材30に対して概して垂直に配置され、次いで棒20の第2の端部が、図2Bおよび2Cに示されるようにコイルばね22を完全に圧縮するまで球根形状の開スロット38を通して挿入される。次いで、棒20が、図3Aおよび3Bに示されるように第2の脚部42内の開スロット46内で棒20を受けるようになるまで、図2Dに示されるように第2のU形部分34の方に向かうように枢動させられる。
【0015】
[0019]次に図4Aおよび4Bを参照すると、棒20が開スロット46内で解放されることにより、ばね22が延伸して、付勢され、ガイド部材30の第1の脚部40と第2の脚部42との間で棒20を捕捉する第1のワッシャ24と第2のワッシャ26との間で圧縮される。駐車ロック棒組立体10が、固定具を必要とすることなく手を使って手動で組み立てられ得、第1のワッシャ24と第2のワッシャ26との間に着座するばね22が、押し合わせることを必要とすることなくつまり他の固定具を必要とすることなく、ガイド部材30の脚部40、42の間で棒20を拘束した状態で維持する。
【0016】
[0020]棒20をガイド部材30に接合するのをさらに容易にするために、開スロット38および46内に設けられるキー穴形状と協働するための溝が棒20に形成され、それにより棒20およびガイド部材30の上述の組立てが可能となる。これらの溝構成およびスロット構成が、ばね22により図4および4Bの延伸位置まで棒20を変位させるときに、図3Aおよび3Bで見ることができるようにガイド部材30の中に棒20を完全に挿入するのを可能にしまた同時にこれらの構成要素を分離させるのを防止する。より詳細には、棒20が、開スロット38および46に位置合わせされた状態から外すように棒20と共に溝51および52を軸方向に変位させるときにガイド部材30から棒20を分離させるのを防止しながら組立て中に開スロット38および46に位置合わせされるための、図2Aおよび2Cに見ることができる、反対側の棒の端部20Aおよび20Bの近くにある狭いセクションつまり溝51および52を有する。
【0017】
[0021]より詳細には、球根形状の開スロット38は、中間スロット部分38Cによって接合される第1のスロット部分38Aおよび第2のスロット部分38Bにあるキー穴形状である。中間スロット部分38Cが溝51に近い狭い幅を有し、開スロット38がスロット部分38Aおよび38Bで広い幅を有し、それにより軸方向において溝51に隣接して位置する棒20の最も幅広の部分がここを通って摺動することが可能となる。中間スロット部分38Cが溝51の直径の幅(diametric width)に近い幅を有することから、溝51が軸方向において狭いスロット部分38Cに位置合わせされるときのみ、棒20が中間スロット部分38Cに沿って摺動することができ、第1のスロット部分38Aと第2のスロット部分38Bとの間を枢動することができる。棒20が一方のスロット端部の第1のスロット部分38A内に着座すると、棒20がそこを通って軸方向に摺動することができ、それにより上述したようにロック棒20が往復動する。動作中、棒20が軸方向にシフトし、棒20は、狭いスロット部分38Cに対して溝51が位置合わせされない限り、棒20が狭いスロット部分38Cを通って逆方向に摺動することができない。これが、組立て後、動作中にガイド部分30内で棒20をロックするように働く。
【0018】
[0022]同様に、開スロット46が、広い端部分46Aおよび狭いスロット口46Bによって画定されるキー穴形状を有する。端部分46Aおよびスロット口46Bの幾何形状および寸法が、図3Aに示される溝部分38Bのキー穴形状に対応するキー穴形状を画定する。組立て中、上述したように棒20が図3Aおよび3Bの位置まで枢動するとき、棒20上の溝52がスロット口38Bに入って上方に摺動して端部分46Aの中に着座することができる。この組立て位置までの枢動中、溝52が軸方向においてスロット口46Bに位置合わせされ、端部分46Aまで枢動する。組み立てられると、棒20の往復動中に棒20が端部分46Aを通って軸方向に摺動することができるが、軸方向において溝52を狭いスロット口38Bに対して位置合わせしない限り狭いスロット口38Bを通って逆方向に摺動することができない。したがって、開スロット38および46によって画定されるこの溝・スロット構成がその通常動作中に棒20をガイド部材30内で保持し、ここでは特別な工具類または固定具を必要とすることなくこれらの構成要素を迅速に組み立てるのを可能にする。
【0019】
[0023]本発明を例示的に説明してきたが、使用した専門用語が限定的なものではなく説明のための用語としての性質のものであることが意図されることを理解されたい。上記の教示に照らして本発明の多くの変更形態および変形形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内において本発明が具体的に説明される手法以外の手法でも実施され得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B