(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】サセプタチューブを含むエアロゾル発生のためのサセプタ組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231004BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A24F40/465
H05B6/10 371
(21)【出願番号】P 2020565738
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063534
(87)【国際公開番号】W WO2019224380
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0105452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055583(US,A1)
【文献】国際公開第2017/068094(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/001818(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を誘導加熱するためのサセプタ組立品であって、内側に誘導コイルを受容するための空洞を画定する多層サセプタチューブを備え、前記多層サセプタチューブが、第一の導電性材料を含む内側管状層と、前記内側管状層を包囲する、第二の導電性材料を含む外側管状層とを備え、前記第一の導電性材料の電気抵抗率が前記第二の導電性材料の電気抵抗率よりも大きい、サセプタ組立品。
【請求項2】
前記第一の導電性材料の前記電気抵抗率が20℃の温度にて、少なくとも2.5×10E-08オームメート
ルである、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項3】
前記第一の導電性材料の前記電気抵抗率が、前記第二の導電性材料の前記電気抵抗率の少なくとも2
倍である、請求項1または請求項2に記載のサセプタ組立品。
【請求項4】
前記多層サセプタチューブが流体透過性で
ある、請求項1~3のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項5】
前記第一の導電性材料および第二の導電性材料が強磁性またはフェリ磁性で
ある、請求項1~4のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項6】
前記多層サセプタチューブの軸方向端面に配設された端カバーをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項7】
前記端カバーが少なくとも一つの開口を備える、かつ/または穿孔されている、請求項6に記載のサセプタ組立品。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品と
、前記多層サセプタチューブの前記空洞の内側に同軸に配設された、または配設可能な誘導コイルとを備える、エアロゾル形成基体を誘導加熱するための誘導加熱組立品。
【請求項9】
前記
多層サセプタチューブの内側に配設されている時に、前記多層サセプタチューブと前記誘導コイルの間の最小半径方向の距離が、0.05ミリメートル~0.3ミリメート
ルの範囲内である、請求項8に記載の
誘導加熱組立品。
【請求項10】
エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、前記物品が、エアロゾル形成基体と、前記エアロゾル形成基体の少なくとも一部分と熱的に接触している、請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品とを備える、エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体がエアロゾル形成液体であり、前記物品が、前記多層サセプタチューブの周りに円周状に配設された、かつ前記エアロゾル形成液体の少なくとも一部分を保持および搬送するように構成されたリング形状の液体保持要素をさらに備える、請求項10に記載の
エアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル形成液体を保持する液体貯蔵
部を少なくとも部分的に形成するハウジングをさらに備え、前記液体保持要素が前記液体貯蔵部の開口内に少なくとも部分的に配設されている、請求項11に記載の
エアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記物品が、前記液体貯蔵部を通って延びる中央空気チャネルと、前記多層サセプタチューブの前記空洞とを備える、請求項12に記載の
エアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記物品が、前記物品の中に前記サセプタ組立品を据え付けるための断熱材料で作製された少なくとも一つの保持要素を備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の
エアロゾル発生物品。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品と、請求項8または9に記載の誘導加熱組立品と、請求項10~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品とのうちの少なくとも一つを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するためのサセプタ組立品に関する。本発明は、誘導加熱組立品と、エアロゾル発生物品と、こうしたサセプタ組立品を備えるエアロゾル発生システムとにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体の誘導加熱に基づくエアロゾル発生システムは、先行技術から一般的に周知である。典型的に、これらのシステムは、発熱する渦電流および/またはヒステリシス損失をサセプタ素子に誘起するための交番磁界を発生するために、誘導コイルを含む誘導源を備える。サセプタ素子は、例えばエアロゾルを形成するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有する基体と熱的に近接または接触している。サセプタ素子およびエアロゾル形成基体は共に、エアロゾル発生装置で使用するように構成されたエアロゾル発生物品の中に提供されてもよく、これは結果として誘導源を含んでもよい。誘導加熱は一般に非常に効率的である一方、数多くの誘導加熱エアロゾル発生システムは、交番磁界によって提供されるエネルギーを熱に変換するには低い負荷係数しか有しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、先行技術の解決策の利点を有するが、それらの制限を有しない、サセプタ組立品および誘導加熱組立品のそれぞれを有することが望ましいことになる。特に、交番磁界によって提供されるエネルギーをより効率的に使用する能力を有するサセプタ組立品および誘導加熱組立品が望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、エアロゾル形成基体を誘導加熱するためのサセプタ組立品が提供されている。サセプタ組立品は、サセプタチューブの内側に誘導コイルを受容するための空洞を画定する多層サセプタチューブを備える。多層サセプタチューブは、内側管状層と、内側管状層を包囲する外側管状層とを備える。内側管状層は、第一の導電性材料を含み、好ましくは第一の導電性材料から成り、一方で外側管状層は第二の導電性材料を含み、好ましくは第二の導電性材料から成る。第一の導電性材料の電気抵抗率は、第二の導電性材料の電気抵抗率よりも大きい。
【0005】
本発明によると、数多くのエアロゾル発生システムにおいて、誘導源によって発生する交番磁界の圧倒的大部分が、サセプタ素子の寸法を超えて大きく拡散することが認識されてきた。その結果、磁界エネルギーの相当な部分が未使用であり、すなわち熱に変換されず、それ故に無駄になっている。
【0006】
改善措置を提供するために、本発明によるサセプタ組立品は、サセプタチューブ、すなわち管状のサセプタ素子を備える。有利なことに、管形状は、管の内側空間によって画定されている空洞内に誘導源の誘導コイルを配設することを可能にする。その結果、特に誘導コイルによって発生する磁界の大部分もサセプタチューブ内に実質的に囲まれるように、誘導コイルはサセプタチューブの長さの延長部に沿って、サセプタチューブ内に囲まれる(少なくとも横方向に囲まれ、または完全に囲まれる場合さえある)。結果として、サセプタチューブに効果的に連結可能な磁界の部分は著しく増加する。その上、誘導コイルをサセプタチューブの空洞内に配設することはまた、エアロゾル発生システムのコンパクトな設計に関して有利であることも明確に示している。
【0007】
さらに、サセプタチューブへの交番磁界の連結は、サセプタチューブの多層構成に起因して、すなわち異なる抵抗率を有する第一の導電性材料および第二の導電性材料をそれぞれ含む内側管状層および外側管状層に起因して、さらに増大する。内層の第一の材料が外層の第二の材料よりも大きい抵抗率を有すると、またはその逆として、外層の第二の材料が内層の第一の材料よりも大きい導電率を有すると、外層はそのより大きい導電率に起因して交番磁界を集中させる/遮断するように実質的に機能する。対照的に、内層は主に、そのより高い抵抗率に起因して磁界のエネルギーを熱に変換するように機能する。
【0008】
第一の導電性材料の電気抵抗率は20℃の温度にて、少なくとも2.5×10E-08オームメートルであり、特に少なくとも5.0×10E-08オームメートルであることが好ましく、少なくとも5.0×10E-07オームメートルであることが好ましい。有利なことに、これらの抵抗率の範囲は、ジュール効果による十分な加熱を確実にする。その逆として、第二の導電性材料の電気抵抗率は20℃の温度にて、5.0×10E-07オームメートルを下回り、特に5.0×10E-08オームメートルを下回り、2.5×10E-08オームメートルを下回ることが好ましい。有利なことに、これらの抵抗率の範囲は、磁界の十分な集中/遮断を可能にする。
【0009】
第一の導電性材料の電気抵抗率は20℃の温度にて、1.5×10E-06オームメートル以下であることが好ましい。
【0010】
本明細書で使用される「導電性材料」は、少なくとも1×10E6ジーメンス/メートルの導電性を有する材料を意味する。
【0011】
上述の効果の強化、特にサセプタチューブへの交番磁界の連結の強化は、第一の材料の抵抗率と第二の材料の抵抗率との間の差を増大することによって達成されてもよい。その結果、第一の導電性材料の電気抵抗率は、第二の導電性材料の電気抵抗率の少なくとも2倍、特に少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍であってもよい。
【0012】
第一の導電性材料および第二の導電性材料のうちの少なくとも一つは、金属材料を含むことが好ましく、特に金属製であることが好ましい。その結果、第一の導電性材料または第二の導電性材料のうちの少なくとも一つは、フェライト鉄、または常磁性もしくは強磁性金属または金属合金(アルミニウムもしくは鋼、特に強磁性鋼、好ましくは強磁性ステンレス鋼など)を含んでもよく、またはこれらから成ってもよい。第一の導電性材料および第二の導電性材料のうちの少なくとも一つはまた、オーステナイト鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ニオブ、インコネル合金(オーステナイトニッケル-クロム系合金)、金属化フィルム、または導電性セラミックも含んでもよく、またはこれらで作製されてもよい。
【0013】
一般に、第一の導電性材料および第二の導電性材料は磁性材料である必要はなく、すなわち第一の導電性材料および第二の導電性材料は常磁性であってもよい。この場合、誘導加熱、特に内側管状層の第一の材料内での誘導加熱は、交番磁界によって誘起される渦電流によって発生したジュール加熱のみに起因する。
【0014】
第一の導電性材料および第二の導電性材料のうちの少なくとも一つが磁気的である、すなわち強磁性またはフェリ磁性である場合、加熱をさらに増大することができる。この場合、熱はまた、交番磁界の影響下で切り替えられる磁性材料内の磁区に起因するヒステリシス損失によって発生する場合がある。その結果、第一の導電性材料および第二の導電性材料のうちの少なくとも一つは、強磁性またはフェリ磁性であってもよい。
【0015】
さらに、内側管状層は、多層サセプタチューブの最も内側の層であってもよく、かつ/または外側管状層は多層サセプタチューブの最も外側の層であってもよい。なおさらに、内側管状層および外側管状層は、相互に直接接触している隣接した層であってもよい。特に、多層サセプタチューブは、二層サセプタチューブであってもよく、内側管状層および外側管状層は隣接した層であり、相互に直接接触していることが好ましい。
【0016】
数多くの誘導加熱エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル形成基体はサセプタ素子と密接に接触している。その結果、本発明によるサセプタ組立品のサセプタチューブは、サセプタチューブに近接近して気化したエアロゾル形成基体がサセプタチューブを通して基体から容易に漏れ出ることを可能にするように、流体透過性であってもよく、特に穿孔されていてもよく、および/または少なくとも一つの開口を備えてもよい。例えば、内側管状層および外側管状層のうちの少なくとも一つは、それぞれ第一の導電性材料または第二の導電性材料を含む、またはそれから成る管状のメッシュを含んでもよい。これは、サセプタチューブの空洞、すなわち内側の空間が、エアロゾル発生システムを通る気流通路と流体連通する場合に、または本発明によるサセプタ組立品を有するエアロゾル発生システムの気流通路がサセプタチューブの空洞を通過する場合に、特に有利であることを明確に示す。その結果、本発明の特定の態様を参照すると、サセプタチューブの空洞は気流通路を提供する場合がある。
【0017】
さらに、サセプタ組立品は、多層サセプタチューブの軸方向端面に配設された少なくとも一つの端カバーを備えてもよい。有利なことに、こうした端カバーは、サセプタ組立品内の磁界の囲みを強化し、それ故にサセプタ組立品への磁界の連結を強化する。
【0018】
サセプタチューブと同様に、端カバーは多層端カバーであってもよい。多層端カバーは、第一の導電性材料を含む、特に第一の導電性材料からなる内側端カバー層を備えてもよく、これはサセプタチューブの内側管状層の第一の導電性材料と同一の材料であることが好ましい。加えて、多層端カバーは、第二の導電性材料を含む、特に第二の導電性材料から成る外側端カバー層を備えてもよく、これはサセプタチューブの外側管状層の第二の導電性材料と同一の材料であることが好ましい。同様に、内側端カバー層の第一の導電性材料の電気抵抗率は、外側端カバー層の第二の導電性材料の電気抵抗率よりも大きくてもよい。
【0019】
気化したエアロゾル形成基体がサセプタの内側空洞から容易に通過して漏れ出ることを依然として可能にするために、端カバーは流体透過性であってもよく、特に少なくとも一つの開口を備えてもよく、かつ/または穿孔されていてもよい。
【0020】
本発明の別の態様によると、エアロゾル形成基体を誘導加熱するための誘導加熱組立品が提供されている。加熱組立品は、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品を備える。加熱組立品は、多層サセプタチューブの空洞の内側に同軸に配設された、または配設可能な誘導コイルを、特に多層サセプタチューブ内に完全に囲まれるように、さらに備える。その結果、サセプタチューブの高さの延長部または軸方向長さの延長部は、誘導コイルの高さの延長部または軸方向長さの延長部と等しいか、または誘導コイルの高さの延長部または軸方向長さの延長部よりも大きくてもよい。
【0021】
一般に、誘導コイルは、第一の態様または第二の態様のうちの一つによる加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品の一体型の部品であってもよい。別の方法として、誘導コイルはエアロゾル発生装置の一体型の部品であってもよく、装置は、好ましくは加熱組立品のもう一方の部品(誘導コイルとは別の)、特にサセプタ組立品を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するように構成されてもよい。
【0022】
誘導コイルは、サセプタチューブの形状と実質的に一致する形状、特にサセプタチューブの内側空間によって画定された空洞の形状を有してもよい。誘導コイルは、らせん状コイルまたはフラットスパイラルコイル、特に平坦なパンケーキもしくは「湾曲した」平面状コイルであることが好ましい。フラットスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交番磁界を発生することを可能にする。誘導コイルは、好ましくは円筒状コイル支持体、例えばフェライトコアの周りに巻かれてもよい。本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」は、一般的に平面状のコイルであり、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。フラットスパイラル誘導はコイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルだけでなく、曲面に適合するように成形されたフラットスパイラルコイルも網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、フラットスパイラルコイルは、例えば4回巻きフラットスパイラルコイルの二層、または4回巻きフラットスパイラルコイルの単層を備えてもよい。
【0023】
誘導コイルは、加熱組立品のハウジング、またはエアロゾル発生物品のハウジング、またはエアロゾル発生装置の主本体、またはエアロゾル発生装置のハウジングのうちの一つの中に保持されることができる。
【0024】
誘導コイルは、発生したエアロゾルに露出される必要がないことが好ましい。それ故に、コイル上の沈着物および可能性のある腐食を防止することができる。特に、誘導コイルは保護カバーまたは層を備えてもよい。
【0025】
誘導コイルは、2ミリメートル~10ミリメートルの範囲の直径、特に3ミリメートル~8ミリメートルの範囲の直径、好ましくは5ミリメートルの直径を有してもよい。こうした値は、エアロゾル形成基体のコンパクトな設計に関して有利であることを明確に示す。
【0026】
磁界によって提供されるエネルギーの、熱への変換をさらに強化するために、多層サセプタチューブと誘導コイルの間の最小半径方向距離は、サセプタチューブの内側に配設されている時に、有利なことに0.05ミリメートル~0.3ミリメートル、特に0.1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲である。
【0027】
本発明による誘導加熱組立品のさらなる特徴および利点は、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品に関して記述されてきた。従って、これらのさらなる特徴および利点を繰り返さない。
【0028】
本発明のまた別の態様によると、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品が提供されている。物品は、少なくとも一つのエアロゾル形成基体だけでなく、本発明による、および本明細書に記載の通りの少なくとも一つのサセプタ組立品を備える。サセプタ組立品は、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分と熱的に接触している。
【0029】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を、加熱された時に放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品であることが好ましい。すなわち、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されているエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品である。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。例えば、物品は、加熱される液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジであってもよい。別の方法として、物品は従来の紙巻たばこに似ているロッド状の物品(特にたばこ物品)であってもよい。
【0030】
エアロゾル発生物品は、誘導源を備える電気的に作動するエアロゾル発生装置と係合するように設計されていることが好ましい。誘導源、またはインダクタは、交番磁界内に位置する時に、エアロゾル発生物品のサセプタ組立品を加熱するための交番磁界を発生する。使用時に、エアロゾル発生物品は、インダクタによって発生された交番磁界内にサセプタ組立品が位置するように、エアロゾル発生装置と係合する。
【0031】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、基体を加熱することによってエアロゾルを発生するように、エアロゾル発生物品の少なくとも一つのエアロゾル形成基体と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0032】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部である。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体、または好ましくは液体エアロゾル形成基体であってもよい。両方の場合において、エアロゾル形成基体は固体成分または液体成分のうちの少なくとも一つを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたルースたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0033】
上述の通り、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体、すなわちエアロゾル形成液体であることが好ましい。この構成において、物品は、多層サセプタチューブの周りに円周状に配設されている、かつエアロゾル形成液体の少なくとも一部分を保持および搬送するように構成されているリング形状の液体保持要素をさらに備えることが好ましい。
【0034】
本明細書で使用される「液体保持要素」という用語は、エアロゾル形成液体のための搬送および貯蔵媒体を指す。それ故に、液体保持要素の中に貯蔵されるエアロゾル形成液体は、例えば毛細管作用によって、サセプタ素子に簡単に移動される場合がある。エアロゾル形成液体の十分な気化を確実にするために、液体保持要素は有利なことにサセプタ素子と直接接触する、または少なくとも近接近する。
【0035】
液体保持要素は、毛細管材料を含む、または毛細管材料から成ることが好ましい。なおより好ましくは、液体保持要素は、エアロゾル形成液体を保持および搬送するための高保持材料または高放出材料(HRM)を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。その上、液体保持要素は、非導電性および常磁性または反磁性のうちの少なくとも一つであってもよい。液体保持要素は誘導的に加熱可能ではないことがなおより好ましい。それ故に、液体保持要素は有利なことに、サセプタ素子で熱を発生する渦電流および/またはヒステリシス損失を誘起するために使用される交番磁界によって影響を受けない、または最小限の影響のみを受ける。例えば、液体保持要素は、ガラス繊維材料を含んでもよく、またはガラス繊維材料から成ってもよい。
【0036】
液体保持要素は多層サセプタチューブの周りに円周状に配設されるため、保持要素の内側リング部分のみが加熱されることが好ましい。エアロゾル形成液体は、例えばサセプタチューブ内の穿孔または開口を通して液体保持要素から直接放出されることができる場合に、主に気化されるので、こうした局所的に閉じ込められた加熱が有利であることを明確に示す。結果として、発生する可能性がある気泡が直接的に放出され、それ故に液体保持要素を通した毛細管液体搬送を混乱させる可能性がない。保持要素の内側リング部分内で気化されたエアロゾル形成液体は、空洞、すなわちサセプタチューブの内側空間によって形成される中央の気流通路の中に直接放出されることが好ましい。それ故に、気化されたエアロゾル形成液体は、気流通路の中に同伴され、かつその後冷却されてエアロゾルを形成してもよい。さらに、保持要素の局所的に閉じ込められた加熱は有利なことに、物品のその他の部品の中への(例えば、エアロゾル形成液体を包含する液体貯蔵部の中への)過剰な熱伝播を防止する(下記参照)。これは、サセプタ素子が断続的に加熱される時に、例えば吸煙ごとに加熱される時に、特に当てはまる。その結果、貯蔵部内のエアロゾル形成液体の熱的な変化の悪影響を回避することができる。なおさらに、閉じ込められた局所加熱は、加熱組立品の電力消費の低減を可能にする。これは、本発明によるものと同様に、数多くのエアロゾル発生装置で使用される誘導加熱組立品が典型的に、限定されたエネルギー容量しか有しない電池によって電力供給されるという事実に関して有利であることを明確に示す。その上、サセプタチューブを円周状に包囲する液体保持要素に起因して、後者は有利なことに、エアロゾル形成液体の漏れを防止するように、液体保持要素を覆う支持要素および/または密封要素として機能する場合がある。
【0037】
有利なことに、リング形状の液体保持要素は、トロイダルおよび/または中空円筒状である。液体保持要素はまた、トロイダルおよび/または中空円筒状であることが好ましい。すなわち、リング形状のサセプタ素子は、回転軸の周りの矩形の回転からもたらされる回転体であってもよい。回転する矩形の高さは、高さ、すなわちリング形状の液体保持要素の軸方向長さの延長部を決定する。回転軸と回転する矩形の内縁との間の距離は、リング形状の液体保持要素の内側半径方向の延長部を決定する。回転する矩形の外縁の間の距離、すなわち内側半径方向の延長部と回転軸に関して半径方向に測定した際の回転する矩形の長さとの合計は、リング形状の液体保持要素の外側半径方向の延長部を決定する。
【0038】
一般に、リング形状の液体保持要素の高さの延長部または軸方向長さの延長部は、サセプタチューブの高さの延長部または軸方向長さの延長部と等しくてもよく、またはそれよりも大きくてもよく、またはそれよりも小さくてもよい。リング形状の液体保持要素の高さの延長部または軸方向長さの延長部は、保持要素の半径方向内面が十分な量の気化されたエアロゾル形成液体を放出するために十分に大きいように選ばれることが好ましい。
【0039】
物品は、エアロゾル形成液体を保持する液体貯蔵部を少なくとも部分的に形成するハウジングをさらに備えてもよい。特に、液体貯蔵部はリング形状の液体貯蔵部であってもよい。液体保持要素に関して上述の通り、液体貯蔵部はまた、トロイダルおよび/または中空円筒状であってもよく、それ故に非常にコンパクトかつ対称な設計を容易にする。ハウジングは、断熱材料、および/または非導電性かつ常磁性または反磁性の材料で作製されることが好ましい。有利なことに、これはハウジングの過熱、および/または望ましくないやけどの危険性を回避する。
【0040】
特に、貯蔵部は、リング形状の内壁と、エアロゾル形成液体を貯蔵するためにそれらの間にリング形状もしくは中空円筒状の貯蔵部を形成するように内壁をある距離で包囲するリング形状の外壁とを備えてもよい。リング形状の外壁は、エアロゾル発生物品のハウジングの一部であってもよく、またはその少なくとも一部分を形成してもよい。
【0041】
リング形状の内壁は、加熱組立品の中心軸に沿って貯蔵部を通って延びる中央空気通路を形成することが好ましい。中央空気通路は管状、特に円筒状であってもよい。例えば、中央空気通路の内側半径方向の延長部、すなわちリング形状の液体貯蔵部の内側半径方向の延長部は、1mm(ミリメートル)~3mm(ミリメートル)であってもよく、約2mm(ミリメートル)であることが好ましい。中央空気通路の半径、すなわちリング形状の液体貯蔵部の半径は、サセプタチューブの内側半径方向の延長部と等しいことが好ましい。当然のことながら、中央空気通路の半径、すなわちリング形状の液体貯蔵部の半径は、サセプタチューブの内側半径方向の延長部よりも大きくても小さくてもよい。
【0042】
貯蔵部は、誘導的に加熱可能ではない、特に非導電性かつ常磁性もしくは反磁性の材料を含む、またはそれで作製されることが好ましい。貯蔵部は、断熱材料を含むか、または断熱材料で作製されることがなおより好ましい。有利なことに、これはエアロゾル形成液体の望ましくない過熱、および/またはやけどの危険性を防止する。
【0043】
貯蔵部は軸方向端面にて解放していてもよい。すなわち、貯蔵部は、例えば軸方向端面に開口を有してもよい。開口はリング形状であることが好ましい。物品が上述の通り液体保持要素を含む場合には、液体保持要素は少なくとも部分的に貯蔵部内に、特に液体貯蔵部の開口内に配置されていることが好ましく、それ故に液体保持要素が貯蔵部に中に含有されたエアロゾル形成液体と直接接触することを可能にする。
【0044】
なお、リング形状の液体保持要素は、その毛細管特性に起因して、必ずしも液体貯蔵部の開口の密封を提供しない。従って、サセプタチューブは、既に上述の通り、内側液体保持要素のために側方カバーまたは密封要素を提供してもよい。さらに、一つ以上の密封、例えば密封ガスケットが、物品のハウジングの、特に液体貯蔵部および液体保持要素の壁(複数可)の、接触/据え付け区域の周りに提供されてもよい。これは、液体貯蔵部の漏れ防止性をさらに改善する。
【0045】
加えて、物品は、サセプタ組立品および/または液体保持要素を物品内に据え付けるための少なくとも一つの保持要素を備えてもよい。好ましくは、保持要素は、断熱材料で作製されてもよい。
【0046】
特に、物品は、貯蔵部容積と反対側に、リング形状の液体保持要素の軸方向端面に配設されている軸端カバーを(保持要素として)備えてもよい。軸端カバーは、貯蔵部の軸方向端面を少なくとも部分的に形成してもよい。軸端カバーはまた、リング形状であってもよいことが好ましい。
【0047】
別の方法として、また追加的に、物品は、存在する場合に貯蔵部容積に面して、すなわち軸端カバーの反対側に、リング形状の液体保持要素の別の軸方向端面に配設されている軸方向支持要素を(保持要素として)備えてもよい。軸方向支持要素はまた、リング形状であってもよいことが好ましい。エアロゾル形成基体が貯蔵部容積から液体保持要素に容易に移動することを可能にするために、軸方向支持要素は流体透過性であってもよく、特に少なくとも一つの開口を備えてもよく、かつ/または穿孔されてもよい。
【0048】
軸端カバーおよび軸方向支持要素のうちの少なくとも一つは、物品のハウジングの半径方向内側部分と半径方向外側部分の間に、例えば液体貯蔵部の半径方向内側壁と半径方向外側壁の間に延びてもよい。この構成は、液体貯蔵部の機械的安定性に関して特に有利であることを明確に示す。物品のハウジングへの軸端カバーおよび/または軸方向支持要素の適切な据え付けを確実にするために、端カバーの半径方向外側面および/または軸方向支持要素は、物品のハウジングの外壁において陥凹していてもよい。別の方法として、端カバーおよび/または軸方向支持要素は、物品のハウジングの外壁にリベット様の固定手段によって据え付けられてもよい。同様に、保持要素の半径方向の外側面は、物品のハウジングの外壁において陥凹していてもよい。これは、物品のハウジングの内壁に関しても、特に液体貯蔵部の半径方向内壁に関しても同様である。
【0049】
軸端カバーおよび軸方向支持要素のうちの少なくとも一つは、プラスチック、好ましくは熱的に安定な、もしくは熱可塑性のポリマー、例えばポリイミド(PI)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含んでもよく、特にこれらから成ってもよい。別の方法として、軸端カバーおよび軸方向支持要素のうちの少なくとも一つはまた、サセプタ材料、すなわち導電性および/または強磁性材料もしくはフェリ磁性材料を備えてもよい。
【0050】
上述の通り、物品は、液体貯蔵部および多層サセプタチューブの空洞を通って延びる中央空気チャネルを備えることが好ましい。
【0051】
本明細書で使用される「半径方向」、「軸方向」、および「同軸」という用語は、物品の中心軸を指す。この中心軸は、リング形状の保持要素およびサセプタチューブの対称軸であってもよい。それに応じて、本明細書で使用される「内側半径方向の延長部」および「外側半径方向の延長部」という用語は、加熱組立品の中心軸から測定される延長部を指す。例えば、サセプタチューブ、保持要素、または誘導コイルの外側半径方向の延長部は、それぞれ中心軸とサセプタ素子もしくは誘導コイルの半径方向の最も外側の縁との間の半径方向距離を指す。同様に、サセプタチューブ、保持要素、または誘導コイルの内側半径方向の延長部は、それぞれ中心軸とサセプタ素子もしくは誘導コイルの半径方向の最も内側の縁との間の半径方向距離を指す。
【0052】
本明細書で使用される「リング形状の」、「リング形状」、および「リング」という用語は、中心軸の周りの中央の内側空間を備える円形状または円周方向に閉じた幾何学的物体を指す。リングまたはリング形状の外側半径方向の延長部は、リングまたはリング形状の軸方向の延長部よりも大きいことが好ましい。すなわち、リングまたはリング形状は平坦であることが好ましい。当然のことながら、リングまたはリング形状の外側半径方向の延長部はまた、リングまたはリング形状の軸方向の延長部より小さくてもよい。
【0053】
その上、エアロゾル発生物品はマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、サセプタチューブおよび液体貯蔵部(存在する場合)の中央空間によって形成された中央空気通路と流体連通する出口を含むことが好ましい。マウスピースは、液体貯蔵部と一体型であってもよいことがなおより好ましい。特に、マウスピースは、液体貯蔵部の近位端部分であってもよく、液体貯蔵部のテーパー付端部分であってもよいことが好ましい。これは、エアロゾル発生物品の非常にコンパクトな設計に関して有利であることを明確に示す。
【0054】
液体貯蔵部はまた、物品のハウジングまたは外側シェルを形成してもよい。この構成による物品は、受容空洞の中へと挿入されてもよく、またはエアロゾル発生装置の近位端部分に取り付けられてもよい。エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置に取り付けるために、エアロゾル発生装置の遠位端部分は、例えばエアロゾル発生装置の近位端部分にて、対応する相手側と係合する、磁気的据え付け部または機械的据え付け部、例えばバヨネット据え付け部またはスナップ嵌め据え付け部を備えてもよい。
【0055】
別の方法として、エアロゾル発生物品は、マウスピースを備えなくてもよい。この構成による物品は、エアロゾル発生装置の受容空洞もしくは陥凹部または物品据え付け部の中への挿入のために容易に準備される場合がある。受容空洞の近位開放端または陥凹部もしくは据え付け部(物品の挿入に使用される)は、エアロゾル発生装置に属するマウスピースによって閉じられてもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の主本体に取り付けられてもよく、かつマウスピースを主本体に据え付ける際にエアロゾル発生装置のマウスピースによって形成された空洞の中に受容されてもよい。
【0056】
これらの構成のうちのいずれか一つにおいて、物品が装置に挿入される、または取り付けられる時に、サセプタチューブおよび液体貯蔵部(存在する場合)の中央空間によって形成された中央気流通路は、エアロゾル発生装置を通って延びる空気経路と流体連通することが好ましい。装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から受容空洞(存在する場合)を通って、少なくとも一つの空気出口に、例えばマウスピースの中の空気出口(存在する場合)に延びる空気経路を備えることが好ましい。
【0057】
上述の通り、誘導コイルは、エアロゾル発生装置の一部であることが好ましい。これは誘導コイルの電力供給を容易にする。しかしながら、誘導コイルはエアロゾル発生物品の一体型の部品であってもよい。この構成において、誘導コイルは、エアロゾル発生装置の誘導源に電気的に接続されるコネクターを備えることが好ましい。コネクターは、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置に連結する際に、エアロゾル発生装置の対応するコネクターと自動的に係合するように構成されている。
【0058】
前述の通り、これは誘導コイルに電力供給するための誘導源を備えることが好ましいエアロゾル発生装置である。誘導源は交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は誘導コイルに動作可能に連結される。AC発電機は、交番磁界を発生させるために誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成されている。本明細書で使用される「高周波振動電流」は、500kHz~30MHz、好ましくは1MHz~10MHz、より好ましくは5MHz~7MHz、最も好ましくは約6.8MHzの周波数を有する振動電流を意味する。
【0059】
装置は、好ましくはAC発電機を含む、電気回路をさらに備えてもよい。電気回路は有利なことに、DC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を含んでもよい。電気回路はエアロゾル発生装置の電力供給源に接続されてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は誘導コイルへの電流の供給を調節するよう構成されてもよい。電流はシステムの起動後、誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0060】
また前述の通り、エアロゾル発生装置は有利なことに、電源、好ましくはリン酸鉄リチウム電池などの電池を備える。代替として、電源は別の形態の電荷蓄積装置(コンデンサーなど)であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導コイルの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0061】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品および加熱組立品に関して記載してきた。従って、これらのさらなる特徴および利点を繰り返さない。
【0062】
本発明によると、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品、誘導加熱組立品、およびエアロゾル発生物品のうちの少なくとも一つを備えるエアロゾル発生システムも提供されていて、物品および加熱組立品の各々は、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品を備える。加熱組立品は、サセプタ組立品の多層サセプタチューブの空洞の内側に同軸に配設される、または配設可能な誘導コイルをさらに備える。
【0063】
エアロゾル発生システムは、装置との相互作用のために構成されているエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を含むことが好ましい。特に、物品は、本発明による、および本明細書に記載の通りのエアロゾル発生物品であってもよく、これは、本発明による、および本明細書に記載の通りのサセプタ組立品を備える。サセプタ組立品は結果として、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品の一部であってもよい。
【0064】
同様に、エアロゾル発生システムは、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品を含んでもよい。加熱組立品のサセプタ組立品は、エアロゾル発生物品の一部であることが好ましく、一方で加熱組立品の誘導コイル(すなわち、サセプタ組立品の多層サセプタチューブの空洞の内側に配設された、または配設可能であるもの)は、エアロゾル発生装置の一部である。
【0065】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点を、本発明によるサセプタ組立品、加熱組立品、およびエアロゾル発生物品に関して上記に記載してきた。従って、これらのさらなる特徴および利点を繰り返さない。
【0066】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるサセプタ組立品の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1による線A~Aに沿ったサセプタ組立品の概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1によるサセプタ組立品を備えるエアロゾル発生物品の例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図4】
図4は、エアロゾル発生装置と、
図3によるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明によるサセプタ組立品を備えるエアロゾル発生物品の別の例示的な実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1~
図2は、本発明によるサセプタ組立品10の第一の実施形態を概略的に図示する。本発明によると、サセプタ組立品10は、サセプタチューブ12の内側に誘導コイルを受容するための空洞12を画定する多層サセプタチューブ11を備える(
図3に示す)。
図1および
図2から分かる通り、本実施形態によるサセプタチューブ11は、実質的に円形の断面を含む実質的に中空円筒状の形状を有し、サセプタチューブ11の中空円筒の内部空間は、誘導コイルを受容するための空洞12を実質的に形成する(
図3に示すが、
図1および
図2には図示せず)。本発明によると、多層サセプタチューブ11は、第一の導電性材料を含む内側管状層13と、内側管状層13を包囲する、第二の導電性材料を含む外側管状層14とをさらに備える。その結果、本実施形態の多層サセプタチューブ11は、二層または二重層サセプタチューブである。第一の導電性材料の電気抵抗率は、第二の導電性材料の電気抵抗率よりも大きい。これに起因して、外層14は、そのより大きい導電率に起因する交番磁界を集中させる/遮断するように実質的に機能する。対照的に、内層13は主に、そのより高い抵抗率に起因して磁界のエネルギーを熱に変換するように機能する。結果として、サセプタ組立品10は、サセプタチューブ11の空洞12内に配設された誘導コイルによって提供された交番磁界のエネルギーをより効率的に使用する能力を有する。サセプタ組立品10の本実施形態において、内側管状層13は、室温(20℃)で約6.9×10E-07オームメートルの抵抗率を有するステンレス鋼(第一の導電性材料として)で作製されていて、一方で外側管状層14は室温(20°C)で約2.65×10E-08オームメートルの抵抗率を有するアルミニウム(第二の導電性材料として)で作製される。
【0069】
図3は、
図1に示す例示的な実施形態によるサセプタ組立品10を備えるエアロゾル発生物品20を概略的に図示する。
図4に図示の通り、エアロゾル発生物品60は、エアロゾル発生装置70で使用するように構成されていて、装置70および物品20は共にエアロゾル発生システム1を形成する。エアロゾル発生物品20は、サセプタ組立品10を使用して気化されるエアロゾル形成液体を保持するための液体貯蔵部50を含む。本実施形態において、貯蔵部50は、リング形状の外壁51と、リング形状の内壁52と、物品20の近位端28にある近位端壁53とによって形成された実質的に中空円筒状の形状を有する。貯蔵部の外壁51、内壁52、および近位端壁53は、物品20のハウジングを実質的に形成する。さらに、リング形状の内壁52は、物品20の中心軸22に沿って延びる貯蔵部50を通る中央空気通路21を形成する。物品20の遠位端24にて、貯蔵部50は、リング形状の液体保持要素30によって閉じられた開口を有する。液体保持要素30は、中空円筒状の貯蔵部50のリング形状の貯蔵部容積55に貯蔵されたエアロゾル形成液体を保持および搬送するように構成されている。有利なことに、液体保持要素30は、貯蔵部50の開口内のその配設に起因して貯蔵部50の中に含有されたエアロゾル形成液体と直接接触する。液体保持要素30は、例えば多孔性セラミック材料などの高保持材料もしくは高放出材料(HRM)を含むこと、またはそれらから成ることさえも好ましい。液体保持要素の材料は、誘導的に加熱可能ではなく、特に非導電性かつ常磁性または反磁性であることが好ましい。有利なことに、これはエアロゾル形成液体の望ましくない過熱を防止する。
【0070】
液体保持要素30内のエアロゾル形成液体を加熱および気化するために、
図1および
図2による管状サセプタ組立品10は、液体保持要素30の半径方向の内面に同軸に配設されている。すなわち、液体保持要素30は、物品20の中心軸22に関して多層サセプタチューブ11の周りに円周状に配設されている。サセプタ組立品10は、液体保持要素30の半径方向内面と直接的に物理的に接触している、およびそれ故に熱的に接触していることが好ましい。管状サセプタ組立品10に近接近して気化されたエアロゾル形成基体が、液体保持要素30から管状サセプタ組立品10を通してサセプタチューブ11の空洞12または内側空間の中に、それ故に中央空気通路21の中に容易に漏れ出ることを可能にするために、サセプタチューブ11は流体透過性である。例えば、サセプタチューブ11は穿孔されていてもよく、かつ/または少なくとも一つの開口を備えてもよい。特に、内側管状層13および外側管状層14は、それぞれの導電性材料を含む、またはそれぞれの導電性材料から成る管状のメッシュを備えてもよい。
【0071】
図3を参照すると、サセプタチューブ11の空洞12は、エアロゾル発生装置70に属する誘導コイル75を受容するように構成されていて、エアロゾル発生物品2はこのエアロゾル発生装置70で使用するように構成されている。サセプタチューブ11の空洞12はまた、気流通路も提供し、特にエアロゾル発生物品20を通る中央空気通路21の少なくとも一部分を形成する。
【0072】
図3からも分かるように、液体貯蔵部50のリング形状の内壁52の長さの延長部は、外壁51の長さの延長部よりも短い。その結果、管状のサセプタ組立品10は、液体貯蔵部の内側半径方向面の少なくとも一部分を形成する。同時に、管状サセプタ組立品10はまた、液体保持要素30のための半径方向内側シールカバーを提供する。液体貯蔵部50の漏れ防止性をさらに改善するために、密封要素(図示せず)が、液体貯蔵部50の内壁52および外壁51と液体保持要素30との間に接触区域の周りに提供されてもよい。
【0073】
物品20中のリング形状の液体保持要素30および管状のサセプタ組立品10の適切な据え付けを確実にするために、物品20は断熱材料で作製された保持要素を備える。
図3に示す本実施形態において、物品20は、リング形状の液体保持要素30の、貯蔵部容積55と反対側の、軸方向端面に配設されている軸端カバー40(保持要素として)を備える。軸端カバー40は、貯蔵部50の軸方向端面を少なくとも部分的に形成する。軸端カバー40は、エアロゾル発生物品20を通る中央空気通路21の少なくとも一部分を形成するように、中央の内側空間を有するディスク形状またはリング形状である。さらに、軸端カバー40は、液体保持要素30用の軸方向の密封カバーを提供し、これは、液体保持要素30が典型的に、その毛細管特性に起因して液体貯蔵部50の十分な密封を提供しないため、有利であることを明確に示す。一般に、リング形状の端カバー40の半径方向内側の延長部および半径方向外側の延長部は、リング形状の液体貯蔵部50の半径方向内側の延長部および半径方向外側の延長部に実質的に対応してもよい。
【0074】
加えて、物品20は、貯蔵部容積55に面して、すなわち軸端カバー40の反対側に、リング形状の液体保持要素30の別の軸方向端面に配設されている軸方向支持要素60を(保持要素として)備える。本実施形態において、軸方向支持要素60は、貯蔵部50のリング形状の外壁51および内壁52に据え付けられた外側支持リング61および内側支持リング62を含む。外側支持リング61と内側支持リング62の両方は、液体貯蔵部50の外壁51および内壁52と液体保持要素30との間の接触区域の周りに密封を提供する。有利なことに、これは液体貯蔵部50の漏れ防止性を改善する。外側支持リング61および内側支持リング62は、複数の半径方向に延びるブリッジ要素(図示せず)によって結び付いてもよい。
【0075】
図3をさらに参照すると、端カバー40の半径方向の外側面、軸方向支持要素60の外側支持リング61、および液体保持要素は、物品20のハウジングへの適切な据え付けを確実にするために、貯蔵部50の外壁51に陥凹されている。同様に、軸方向支持要素60の内側支持リング62は、貯蔵部50の内壁52の軸方向端面に据え付けられている。別の方法として、端カバー40および/または軸方向支持要素60は、貯蔵部50の外壁51および/または内壁52にリベット様の固定手段によって据え付けられてもよい。
図3から特に分かる通り、軸方向支持要素60および軸端カバー40は、それらの間に管状のサセプタ組立品10を保持するように機能する。特に、サセプタチューブ11の軸方向端部分は、軸端カバー40および内側支持リング62の半径方向内側部分にそれぞれ陥凹されている。このために、内側支持リング62は、軸端カバー40に向かって軸方向に延びる円周状の突出部を備え、内側支持リング62が実質的にT字形状の断面を有するようにする。上述の構成全体は、液体貯蔵部の機械的安定性に関して特に有利であることを明確に示す。
【0076】
軸端カバー40および軸方向支持要素60は、プラスチック、好ましくは熱的に安定な、もしくは熱可塑性のポリマー、例えばポリイミド(PI)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成る。
【0077】
サセプタ組立品10を誘導加熱するため、そしてそれ故に保持要素30内のエアロゾル形成液体を気化するために、誘導コイル75は、サセプタ組立品10の空洞12の中に、すなわちエアロゾル発生物品20の遠位端にて中央の気流通路内に配設されることができる、または配設される。誘導コイル75は、サセプタ組立品10内に交番磁界を発生するように構成されている。本実施形態において、誘導コイル40は、磁束を集中させるためにフェライト材料で作製されていることが好ましい円筒状コイル支持体76の周りに巻かれたらせん状コイルである。特に、サセプタチューブ11の高さの延長部または軸方向の長さの延長部は、誘導コイル75の高さの延長部または軸方向の長さの延長部よりもわずかに大きく、これによって誘導コイル75は多層サセプタチューブ11内に完全に囲まれている。それ故に、誘導コイル75によって発生した交番磁界の、サセプタチューブ11への連結は著しく増大する。
【0078】
一般に、誘導コイル75は、物品20の一部、または(
図3に示す本実施形態の通り)エアロゾル発生物品20との相互作用のために構成されているエアロゾル発生装置70の一部のいずれであってもよい。誘導コイル75が物品20または装置70の一部であるかどうかにかかわらず、誘導コイル75およびサセプタ組立品10は共に、本発明による誘導加熱組立品を形成する。
【0079】
図4は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生装置70の少なくとも一部分を概略的に図示する。装置70は、
図3によるエアロゾル発生物品20との相互作用のために構成されている。物品20および装置70は共に、エアロゾル発生システム1を形成する。エアロゾル発生装置70は、上述の通り、サセプタ組立品10内に交番磁界を発生するための誘導コイル75を備える。誘導コイル75に電力を供給するために、エアロゾル発生装置70は、電池(図示せず)によって電力供給される交流(AC)発電機を含む誘導源(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0080】
図4をさらに参照すると、エアロゾル発生装置70は、主本体80と、マウスピース90とを備える。マウスピース90は、主本体80に解放可能に取り付け可能である。このために、主本体80およびマウスピース90は、主本体80およびマウスピース90のそれぞれの壁81、91の対向する端部に配設されている、対応するバヨネット据え付け部84、94を備える。マウスピース90は、エアロゾル発生装置70の中にしっかりと据え付けられるように、エアロゾル発生物品20を収容するための空洞95を画定する。エアロゾル発生物品20がエアロゾル発生装置70に取り付けられると、リング形状の液体貯蔵部50およびサセプタチューブ10の中央空間によって形成された中央気流通路21は、エアロゾル発生装置70を通って延びる空気経路と流体連通する。本実施形態において、空気経路(
図4の点線矢印を参照のこと)は、マウスピース90の外壁91の側方空気吸込み口93から受容空洞95を通ってマウスピース90の近位端にある中央空気出口92に延びる。
【0081】
らせん状誘導コイル75を保持する円筒状コイル支持体76は、マウスピース90によって形成されている空洞95の中に延びる主本体80の中に同軸に配設されていて、かつこれに取り付けられている。装置70は、ユーザーがマウスピース90を吸煙する時を検出するためのマイクロフォンの形態の吸煙センサー86をさらに含んでもよい。吸煙センサー86は空気経路と流体連通していて、かつ円筒状コイル支持体76が本体80に取り付けられている点に近い主本体80内に配設されている。
【0082】
使用時に、ユーザーはマウスピース90を吸煙して、空気吸込み口93を通して空気を空洞95の中に引き出し、出口92から出してユーザーの口の中に引き出す。吸煙センサー86によって吸煙が検出された時、誘導源は、サセプタ組立品10を通過する交番磁界を発生するように、高周波振動電流をコイル75に提供する。結果として、サセプタチューブ11の導電性の第一の材料および第二の材料は、交番磁界によって誘起される渦電流に起因して加熱される。多層サセプタチューブ11の内層13および/または外層14の第一の材料および/または第二の材料が導電性であるだけでなく、磁性でもある場合に、熱はヒステリシス損失によっても発生される場合がある。サセプタ組立品10は、液体保持要素30の中に保持されたエアロゾル形成液体を気化するために十分な温度に達するまで加熱される。気化したエアロゾル形成材料は、流体透過性サセプタチューブ11を通過し、かつ空気吸込み口93から中央空気通路61に沿って空気出口92に向かって流れる空気に同伴される。この過程でベイパーは冷却されて、マウスピース90内でエアロゾルを形成した後で、出口92を通って漏れ出る。誘導源は、吸煙の検出後、誘導コイル75に所定の持続時間(例えば、5秒間)の間電力を供給し、その後、新しい吸煙が検出されるまで電流をオフに切り替えるように構成されてもよい。
【0083】
図5は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置170およびエアロゾル発生物品120を備えるエアロゾル発生システム101の別の例示的な実施形態を概略的に図示する。装置170は、特に主本体80および380のそれぞれに関して、
図4による装置70と非常に類似している。従って、同様または同一の特徴は、
図4と同一の参照符号に100を加えた参照符号で示されている。なおさらに、
図4による装置70とは対照的に、
図5による装置170はマウスピースを備えない。その代わりに、これは、液体貯蔵部150の近位端壁153に隣接するその近位端123にて円筒状のマウスピース部分190を備える物品120である。特に、マウスピース部分190は、液体貯蔵部150の壁と一体型である。
図5で分かる通り、貯蔵部150の空間の中心を通る中央空気通路121は、円筒状のマウスピース部分190の中心を通って空気出口192に向かってさらに延びる。
【0084】
図5でさらに分かる通り、液体貯蔵部150の外壁151は、遠位方向に液体保持要素130を越えて軸方向に延びるリング形状の突出部156を有する。その遠位端にて、リング形状の突出部156は、装置170の主本体180の壁181と対向する端に配設された対応するバヨネット据え付け部184と係合するバヨネット据え付け部194を備える。その結果、これは、外壁151を通って軸端カバー140に近接して延びる側方の空気吸込み口193を備える物品120である。そこから、空気経路は、軸端カバー140の端面およびサセプタチューブ111の半径方向内面に沿って通り、中央空気通路121をさらに通って、空気出口192に向う。有利なことに、物品120は非常にコンパクトな設計を提供する。
【0085】
図3および
図4に示す第一の実施形態によるエアロゾル発生物品20とはさらに対照的に、この第二の実施形態による物品120は、内側支持リングおよび外側支持リングの代わりに単一片の軸方向支持要素160を備える。単一片の軸方向支持要素160は、物品120の外壁151と内壁152の間に延びる、実質的に平坦なリング形状のディスクである。支持要素160は、エアロゾル形成基体が貯蔵部容積155から液体保持要素130に容易に通ることを可能にするように、複数の開口165を備える。
【0086】
それ以外に、
図5による物品120は、
図3および
図4による物品20と非常に類似している。特に、サセプタ組立品110および液体保持要素130は、第一の実施形態によるエアロゾル発生物品と実質的に同一である。