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特許7360417管理装置、中継装置、管理方法および管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】管理装置、中継装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/42 20220101AFI20231004BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H04L45/42
H04L12/28 100A
H04L12/28 200B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021073729
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168353
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】大津 智弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】小方 賢太
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康広
(72)【発明者】
【氏名】安田 孝
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-017195(JP,A)
【文献】特開2015-024670(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111447(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/079638(WO,A1)
【文献】特開2021-141507(JP,A)
【文献】特開2009-049928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/42
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部とを備え、
前記設定変更部は、前記設定変更として、前記車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継処理部による、前記変化が生じた前記機能部である変化機能部とは異なる他の前記機能部についての前記中継処理の設定を変更する、管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化を認識可能な前記変化情報をさらに取得する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記設定変更部は、前記設定変更として、前記変化機能部が通信に用いる前記車載ネットワークの伝送路における帯域の割り当てを変更する、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記設定変更部は、前記変化機能部が前記伝送路を用いた通信を行うために前記変化機能部に割り当てられている帯域の少なくとも一部を、前記他の機能部に割り当てる、請求項に記載の管理装置。
【請求項5】
車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置であって、
前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信する送信部とを備える、中継装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記動作状態の変化として、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化をさらに検知し、
前記送信部は、前記検知部により検知された前記供給状態の変化を認識可能な前記変化情報を前記管理部へさらに送信する、請求項に記載の中継装置。
【請求項7】
管理装置における車載ネットワークの管理方法であって、
車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得するステップと、
取得した前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行うステップとを含み、
前記設定変更を行うステップにおいては、前記設定変更として、前記車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継処理部による、前記変化が生じた前記機能部である変化機能部とは異なる他の前記機能部についての前記中継処理の設定を変更する、管理方法。
【請求項8】
車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置における前記車載ネットワークの管理方法であって、
前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知するステップと、
検知した前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信するステップとを含む、管理方法。
【請求項9】
管理装置において用いられる管理プログラムであって、
コンピュータを、
車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記設定変更部は、前記設定変更として、前記車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継処理部による、前記変化が生じた前記機能部である変化機能部とは異なる他の前記機能部についての前記中継処理の設定を変更する、管理プログラム。
【請求項10】
車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置において用いられる管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理装置へ送信する送信部、
として機能させるための、管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、中継装置、管理方法および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載ネットワークの構成の柔軟な変更を可能とする技術が開発されている。たとえば、特許文献1(国際公開第2020/145334号)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、車両用制御装置は、複数の中継器からなる車両ネットワークが内部に構築された車両の状態と前記複数の中継器それぞれに設定する制御内容を対応付けた制御シナリオに基づき、前記複数の中継器を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/145334号
【文献】国際公開第2020/179123号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2の技術を超えて、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことが可能な管理装置、中継装置、管理方法および管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管理装置は、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部とを備える。
【0007】
本開示の中継装置は、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置であって、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信する送信部とを備える。
【0008】
本開示の管理方法は、管理装置における車載ネットワークの管理方法であって、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得するステップと、取得した前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行うステップとを含む。
【0009】
本開示の管理方法は、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置における前記車載ネットワークの管理方法であって、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知するステップと、検知した前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信するステップとを含む。
【0010】
本開示の管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
本開示の管理プログラムは、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理装置へ送信する送信部、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
本開示は、このような特徴的な処理部を備える管理装置として実現され得るだけでなく、管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、管理装置を含む車載通信システムとして実現され得る。また、本開示は、このような特徴的な処理部を備える中継装置として実現され得るだけでなく、中継装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、中継装置を含む車載通信システムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る中継装置における記憶部に保存されているアドレステーブルの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る設定変更部による更新後のアドレステーブルの一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置における検知処理のシーケンスの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る中継装置における検知処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る管理装置における設定変更の処理のシーケンスの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本開示の実施の形態に係る管理装置は、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部とを備える。
【0017】
このような構成により、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記取得部は、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化を認識可能な前記変化情報をさらに取得する。
【0019】
このような構成により、機能部への電力の供給状態に応じた適切な設定変更を行うことができる。
【0020】
(3)好ましくは、前記設定変更部は、前記設定変更として、前記車載ネットワークにおける複数の前記機能部間の情報の中継処理を行う中継処理部による前記中継処理の設定を変更する。
【0021】
このような構成により、機能部の動作状態に応じて、中継処理部による当該機能部と他の機能部との間の情報の中継処理を効率化することができる。
【0022】
(4)好ましくは、前記設定変更部は、前記設定変更として、前記機能部が通信に用いる前記車載ネットワークの伝送路における帯域の割り当てを変更する。
【0023】
このような構成により、機能部に割り当てる帯域を減少させたり増加させたりすることができるため、車載ネットワークにおいて効率的な通信を行うことができる。
【0024】
(5)より好ましくは、前記設定変更部は、前記機能部が前記伝送路を用いた通信を行うために前記機能部に割り当てられている帯域の少なくとも一部を、他の前記機能部に割り当てる。
【0025】
このような構成により、たとえば、動作状態の変化により通信量が減少した機能部に割り当てられている帯域を他の機能部に割り当てることにより車載ネットワークにおける帯域を有効活用することができる。
【0026】
(6)本開示の実施の形態に係る中継装置は、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置であって、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信する送信部とを備える。
【0027】
このような構成により、たとえば、管理部において、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0028】
(7)好ましくは、前記検知部は、前記動作状態の変化として、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化をさらに検知し、前記送信部は、前記検知部により検知された前記供給状態の変化を認識可能な前記変化情報を前記管理部へさらに送信する。
【0029】
このような構成により、たとえば、管理部において、機能部への電力の供給状態に応じた適切な設定変更を行うことができる。
【0030】
(8)本開示の実施の形態に係る管理方法は、管理装置における車載ネットワークの管理方法であって、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得するステップと、取得した前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行うステップとを含む。
【0031】
このような方法により、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0032】
(9)本開示の実施の形態に係る管理方法は、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置における前記車載ネットワークの管理方法であって、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知するステップと、検知した前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信するステップとを含む。
【0033】
このような方法により、たとえば、管理部において、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0034】
(10)本開示の実施の形態に係る管理プログラムは、管理装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部、として機能させるためのプログラムである。
【0035】
このような構成により、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0036】
(11)本開示の実施の形態に係る管理プログラムは、車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータを、前記機能部の動作状態の変化として、前記機能部による前記車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記使用状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理装置へ送信する送信部、として機能させるためのプログラムである。
【0037】
このような構成により、たとえば、管理部において、機能部による伝送路の使用状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0038】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0039】
[構成および基本動作]
<車載通信システム>
図1は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、車載通信システム301は、管理装置101と、中継装置201A,201B,201Cと、車載ECU(Electronic Control Unit)111A,111B,111C,111Dと、電源部51とを備える。以下、中継装置201A,201B,201Cの各々を中継装置201とも称し、車載ECU111A,111B,111C,111Dの各々を車載ECU111とも称する。中継装置201は、中継処理部の一例であり、かつ車載装置の一例である。車載ECU111は、機能部の一例であり、かつ車載装置の一例である。管理装置101は、管理部の一例であり、かつ車載装置の一例である。車載通信システム301は、車両1に搭載される。すなわち、管理装置101、中継装置201、車載ECU111および電源部51は、車両1に搭載される。
【0040】
車載通信システム301は、1つの管理装置101を備える構成に限定されず、2つ以上の管理装置101を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、3つの中継装置201を備える構成に限定されず、1つ、2つまたは4つ以上の中継装置201を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、4つの車載ECU111を備える構成に限定されず、1つ、2つ、3つまたは5つ以上の車載ECU111を備える構成であってもよい。
【0041】
中継装置201Aと中継装置201Bとは、ケーブル2を介して互いに接続されている。中継装置201Bと中継装置201Cとは、ケーブル2を介して互いに接続されている。中継装置201Cと中継装置201Aとは、ケーブル2を介して互いに接続されている。中継装置201Aは、ケーブル2を介して管理装置101、車載ECU111Aおよび車載ECU111Bと接続されている。中継装置201Bは、ケーブル2を介して管理装置101および車載ECU111Cと接続されている。中継装置201Cは、ケーブル2を介して車載ECU111Dと接続されている。ケーブル2は、たとえば、イーサネット(登録商標)ケーブルである。管理装置101、中継装置201、車載ECU111およびケーブル2は、車載ネットワークを構成する。
【0042】
車載ECU111は、たとえば、電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)、ブレーキ制御装置、アクセル制御装置、ステアリング制御装置、運転支援システム(Advanced Driver-Assistance System:ADAS)における各種装置への指示等を行う運転支援装置、またはセンサ等である。
【0043】
中継装置201は、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)に従うNM(Network Management)メッセージを自己に接続された車載ECU111へ送信する。具体的には、中継装置201は、たとえば定期的に、NMメッセージが格納されたイーサネットフレームを自己に接続された車載ECU111へ送信する。
【0044】
車載ECU111は、中継装置201からの定期的なNMメッセージの到来が停止した場合、起動状態からスリープ状態へ遷移する。また、車載ECU111は、中継装置201からの定期的なNMメッセージの到来が開始した場合、スリープ状態から起動状態へ遷移する。このように、NMメッセージを用いて車載ECU111の状態をスリープ状態および起動状態の間で切り替えることにより、車載通信システム301における消費電力を低減することができる。
【0045】
中継装置201は、車載ネットワークにおける複数の車載ECU111間の情報の中継処理を行う。より詳細には、中継装置201は、車載ECU111から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを直接または他の中継装置201経由で宛先の車載ECU111へ送信する。
【0046】
中継装置201は、他の中継装置201と管理装置101との間の情報の中継処理を行う。より詳細には、中継装置201は、他の中継装置201から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを管理装置101へ送信する。また、中継装置201は、管理装置101から各種情報が格納されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを直接または他の中継装置201経由で宛先の中継装置201へ送信する。
【0047】
管理装置101は、車載ネットワークの設定変更を行う。より詳細には、管理装置101は、車載ECU111の動作状態の変化に応じて、たとえば中継装置201による中継処理の設定を変更するための設定情報を生成し、生成した設定情報が格納されたイーサネットフレームを直接または中継装置201経由で宛先の中継装置201へ送信する。中継装置201は、受信したイーサネットフレームから設定情報を取得し、取得した設定情報に基づいて中継処理の設定を変更する。
【0048】
電源部51は、管理装置101、中継装置201および車載ECU111に電力を供給する。たとえば、電源部51は、常時電源、イグニッション電源、およびアクセサリ電源等の複数種類の電源を含む。電源部51は、車両1の動作状態に対応する種類の電源の電力を所定の車載ECU111に供給する。
【0049】
より詳細には、車載通信システム301は、常時電源の電力を供給すべき車載ECU111と、アクセサリ電源の電力を供給すべき車載ECU111と、イグニッション電源の電力を供給すべき車載ECU111とを備える。電源部51は、車両1がオフ状態のときに、常時電源の電力を供給すべき車載ECU111に常時電源の電力を供給し、車両1がアクセサリオン状態のときに、アクセサリ電源の電力を供給すべき車載ECU111にアクセサリ電源の電力を供給し、車両1がイグニッション状態のときに、イグニッション電源の電力を供給すべき車載ECU111にイグニッション電源の電力を供給する。
【0050】
<中継装置>
図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。図2を参照して、中継装置201は、5つの通信ポート21と、中継部22と、検知部23と、処理部24と、記憶部25とを備える。中継部22は、送信部の一例である。なお、中継装置201は、5つの通信ポート21を備える構成に限定されず、2つ、3つ、4つまたは6つ以上の通信ポート21を備える構成であってもよい。
【0051】
通信ポート21は、たとえばケーブル2を接続可能な端子である。なお、通信ポート21は、集積回路の端子であってもよい。5つの通信ポート21の一部または全部は、ケーブル2を介して他の車載装置に接続されている。
【0052】
中継部22、検知部23および処理部24は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部25は、たとえば不揮発性メモリである。
【0053】
検知部23は、たとえば定期的に、NMメッセージをイーサネットフレームに含めて中継部22および通信ポート21経由で自己の中継装置201に接続された車載ECU111へ送信する。
【0054】
(中継処理)
中継部22は、複数の車載ECU111間の情報の中継処理を行う。すなわち、中継部22は、車載ECU111から送信されたイーサネットフレームを通信ポート21経由で受信し、受信したイーサネットフレームに対して中継処理を行う。たとえば、中継部22は、L2スイッチとして機能することが可能であり、自己の中継装置201に接続された車載ECU111間において伝送されるイーサネットフレームに対して中継処理を行う。また、たとえば、中継部22は、L3スイッチとして機能することが可能であり、異なる中継装置201に接続された車載ECU111間において伝送されるイーサネットフレームに対して中継処理を行う。
【0055】
また、中継部22は、管理装置101および他の中継装置201間の情報の中継処理を行う。すなわち、中継部22は、管理装置101または他の中継装置201から送信されたイーサネットフレームを通信ポート21経由で受信し、受信したイーサネットフレームに対して中継処理を行う。
【0056】
より詳細には、記憶部25には、イーサネットフレームに含まれる送信元IP(Internet Protocol)アドレスおよび宛先IPアドレスと、通信ポート21のポート番号との対応関係を示すアドレステーブルTbが保存されている。
【0057】
中継部22は、記憶部25におけるアドレステーブルTbを参照し、中継処理を行うべきイーサネットフレームに含まれる送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスに対応するポート番号を特定する。そして、中継部22は、当該イーサネットフレームを、特定したポート番号の通信ポート21経由で車載ECU111、管理装置101または他の中継装置201へ送信する。
【0058】
図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。図3は、中継装置201Aの構成を示している。図3を参照して、中継装置201Aにおいて、ポート番号が「#1」である通信ポート21_#1は、ケーブル2を介して車載ECU111Aに接続されている。また、ポート番号が「#2」である通信ポート21_#2は、ケーブル2を介して車載ECU111Bに接続されている。また、ポート番号が「#3」である通信ポート21_#3は、ケーブル2を介して中継装置201Bに接続されている。また、ポート番号が「#4」である通信ポート21_#4は、ケーブル2を介して中継装置201Cに接続されている。また、ポート番号が「#5」である通信ポート21_#5は、ケーブル2を介して管理装置101に接続されている。
【0059】
図4は、本開示の実施の形態に係る中継装置における記憶部に保存されているアドレステーブルの一例を示す図である。図4は、中継装置201Aにおける記憶部25に保存されているアドレステーブルTbAを示している。ここで、「IP_ECUA」は車載ECU111AのIPアドレスを示し、「IP_ECUB」は車載ECU111BのIPアドレスを示し、「IP_ECUC」は車載ECU111CのIPアドレスを示し、「IP_ECUD」は車載ECU111DのIPアドレスを示す。
【0060】
図3および図4を参照して、たとえば、中継装置201Aにおける中継部22は、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスとして「IP_ECUA」および「IP_ECUD」をそれぞれ含むイーサネットフレームを受信した場合、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスに対応するポート番号として「#3」を特定する。そして、中継部22は、当該イーサネットフレームを、通信ポート21_#3経由で中継装置201Bへ送信する。中継装置201Bは、中継装置201Aと同様に中継処理を行い、中継装置201Aから受信した当該イーサネットフレームを中継装置201Cへ送信する。中継装置201Cは、中継装置201Aと同様に中継処理を行い、中継装置201Bから受信した当該イーサネットフレームを車載ECU111Dへ送信する。すなわち、車載ECU111Aからの車載ECU111D宛のイーサネットフレームは、中継装置201A、中継装置201Bおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信される。
【0061】
また、たとえば、中継装置201Aにおける中継部22は、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスとして「IP_ECUB」および「IP_ECUD」をそれぞれ含むイーサネットフレームを受信した場合、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスに対応するポート番号として「#4」を特定する。そして、中継部22は、当該イーサネットフレームを、通信ポート21_#4経由で中継装置201Cへ送信する。中継装置201Cは、中継装置201Aと同様に中継処理を行い、中継装置201Aから受信した当該イーサネットフレームを車載ECU111Dへ送信する。すなわち、車載ECU111Bからの車載ECU111D宛のイーサネットフレームは、中継装置201Aおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信される。
【0062】
(検知処理)
再び図2を参照して、検知部23は、車載ECU111の動作状態の変化を検知する検知処理を行う。より詳細には、検知部23は、検知対象の車載ECU111として、自己の中継装置201に接続された車載ECU111の動作状態の変化を検知する。そして、検知部23は、検知対象の車載ECU111の動作状態の変化を認識可能な変化情報を生成し、生成した変化情報を含むイーサネットフレームを中継部22へ出力する。
【0063】
中継部22は、検知部23により検知された車載ECU111の動作状態の変化を認識可能な変化情報を管理装置101へ送信する。より詳細には、中継部22は、検知部23から変化情報を含むイーサネットフレームを受けて、受けたイーサネットフレームを通信ポート21経由で管理装置101へ送信する。
【0064】
(検知例1)
検知部23は、車載ECU111の動作状態の変化として、車載ECU111による車載ネットワークにおける伝送路の使用状態の変化を検知する。より詳細には、検知部23は、検知対象の車載ECU111による、自己の中継装置201と当該車載ECU111とを接続するケーブル2の使用状態の変化を検知する。
【0065】
たとえば、車載ECU111は、定期的に、NMメッセージをイーサネットフレームに含めて自己に接続された中継装置201へ送信する。車載ECU111は、自発的に起動状態からスリープ状態へ遷移する場合、車載ECU111へのNMメッセージの送信を停止する。また、車載ECU111は、自発的にスリープ状態から起動状態へ遷移する場合、中継装置201への定期的なNMメッセージの送信を開始する。
【0066】
検知部23は、通信ポート21および中継部22経由で車載ECU111からNMメッセージを受信する。より詳細には、中継部22は、自己の中継装置201宛のNMメッセージを含むイーサネットフレームを通信ポート21経由で車載ECU111から受信し、受信したイーサネットフレームを検知部23へ出力する。検知部23は、中継部22から当該イーサネットフレームを受けて、受けたイーサネットフレームからNMメッセージを取得する。
【0067】
検知部23は、検知対象の車載ECU111からNMメッセージを受信して、当該検知対象の車載ECU111が起動状態であることを認識する。
【0068】
たとえば、検知部23は、検知対象の車載ECU111からのNMメッセージの到来が停止した場合、検知対象の車載ECU111が起動状態からスリープ状態へ遷移し、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したと判断する。そして、検知部23は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を生成し、生成した変化情報を含むイーサネットフレームを中継部22へ出力する。また、検知部23は、車載ECU111へのNMメッセージの送信を停止する。
【0069】
また、たとえば、検知部23は、検知対象の車載ECU111からのNMメッセージの到来が開始した場合、検知対象の車載ECU111がスリープ状態から起動状態へ遷移し、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオフ状態からオン状態へ遷移したと判断する。そして、検知部23は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報を生成し、生成した変化情報を含むイーサネットフレームを中継部22へ出力する。また、検知部23は、車載ECU111への定期的なNMメッセージの送信を開始する。
【0070】
中継部22は、検知部23により検知された車載ECU111によるケーブル2の使用状態の変化を示す変化情報を管理装置101へ送信する。より詳細には、中継部22は、検知部23から変化情報を含むイーサネットフレームを受けて、受けたイーサネットフレームを通信ポート21経由で管理装置101へ送信する。
【0071】
(検知例2)
検知部23は、車載ECU111の動作状態の変化として、電源部51から車載ECU111への電力の供給状態の変化を検知する。より詳細には、検知部23は、車両1の動作状態を監視し、監視結果に基づいて、検知対象の車載ECU111への電力の供給状態の変化を検知する。
【0072】
一例として、検知部23の検知対象の車載ECU111が、常時電源、アクセサリ電源およびイグニッション電源のうちのイグニッション電源の電力のみの供給を受けるべき車載ECU111である場合を考える。
【0073】
この場合、たとえば、検知部23は、車両1がイグニッションオン状態からオフ状態へ遷移したことを検知した場合、検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオン状態からオフ状態へ遷移したと判断する。そして、検知部23は、電源部51から検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を生成し、生成した変化情報を含むイーサネットフレームを中継部22へ出力する。また、検知部23は、車載ECU111へのNMメッセージの送信を停止する。
【0074】
また、たとえば、検知部23は、車両1がアクセサリオン状態からイグニッションオン状態へ遷移したことを検知した場合、検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオフ状態からオン状態へ遷移したと判断する。そして、検知部23は、電源部51から検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報を生成し、生成した変化情報を含むイーサネットフレームを中継部22へ出力する。また、検知部23は、車載ECU111への定期的なNMメッセージの送信を開始する。
【0075】
中継部22は、検知部23により検知された車載ECU111への電力の供給状態の変化を示す変化情報を管理装置101へ送信する。より詳細には、中継部22は、検知部23から変化情報を含むイーサネットフレームを受けて、受けたイーサネットフレームを通信ポート21経由で管理装置101へ送信する。
【0076】
<管理装置>
図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。図5を参照して、管理装置101は、3つの通信ポート11と、通信部12と、設定変更部13と、記憶部14とを備える。通信部12は、取得部の一例である。なお、管理装置101は、3つの通信ポート11を備える構成に限定されず、1つ、2つまたは4つ以上の通信ポート11を備える構成であってもよい。
【0077】
通信ポート11は、たとえばケーブル2を接続可能な端子である。なお、通信ポート11は、集積回路の端子であってもよい。たとえば、3つの通信ポート11のうちの2つは、ケーブル2を介して中継装置201A,201Bにそれぞれ接続されている。
【0078】
通信部12および設定変更部13は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサにより実現される。記憶部14は、たとえば不揮発性メモリである。
【0079】
記憶部14には、各中継装置201が中継処理に用いる複数種類のアドレステーブルTbが保存されている。
【0080】
通信部12は、車載ネットワークにおける車載ECU111の動作状態の変化を認識可能な変化情報を取得する。一例として、通信部12は、車載ECU111による車載ネットワークにおけるケーブル2の使用状態の変化を示す変化情報を取得する。また、他の例として、通信部12は、電源部51から車載ECU111への電力の供給状態の変化を示す変化情報を取得する。
【0081】
より詳細には、通信部12は、通信ポート11経由で対応の中継装置201からイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームから変化情報を取得する。通信部12は、取得した変化情報を設定変更部13へ出力する。
【0082】
設定変更部13は、通信部12により取得された変化情報に基づいて、車載ネットワークの設定変更を行う。より詳細には、設定変更部13は、設定変更として、中継装置201による中継処理の設定を変更する。
【0083】
再び図1を参照して、たとえば、設定変更部13は、車載ECU111Bによる中継装置201Aと車載ECU111Bとの間のケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を通信部12から受ける。あるいは、設定変更部13は、電源部51から車載ECU111Bへの電力の供給状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を通信部12から受ける。
【0084】
この場合、設定変更部13は、通信部12から受けた変化情報に基づいて、車載ECU111Bと接続された中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する。
【0085】
たとえば、設定変更部13は、設定変更として、車載ECU111が通信に用いる車載ネットワークのケーブル2における帯域の割り当てを変更する。一例として、設定変更部13は、車載ECU111がケーブル2を用いた通信を行うために当該車載ECU111に割り当てられている帯域の少なくとも一部を、他の車載ECU111に割り当てる。
【0086】
より詳細には、上述したように、車載ECU111Aからの車載ECU111D宛のイーサネットフレームは、中継装置201A、中継装置201Bおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信される。設定変更部13は、通信部12から受けた変化情報に基づいて、設定変更として、車載ECU111Aからの車載ECU111D宛のイーサネットフレームの一部が中継装置201Aおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信されるように、中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する。
【0087】
図6は、本開示の実施の形態に係る設定変更部による更新後のアドレステーブルの一例を示す図である。図6を参照して、設定変更部13は、記憶部14に保存されている3つのアドレステーブルTbのうちの、中継装置201Aが中継処理に用いるアドレステーブルTbAを更新する。より詳細には、設定変更部13は、記憶部14におけるアドレステーブルTbAを、送信元IPアドレス「IP_ECUA」および宛先IPアドレス「IP_ECUD」に対応するポート番号に「#4」を追加したアドレステーブルTbAに更新する。
【0088】
設定変更部13は、更新後のアドレステーブルTbAを示す設定情報を通信部12へ出力する。
【0089】
通信部12は、設定変更部13から受けた設定情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信ポート11経由で中継装置201Aへ送信する。
【0090】
再び図3を参照して、中継装置201Aにおける中継部22は、通信ポート21_#5経由で管理装置101から設定情報を含むイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームを処理部24へ出力する。
【0091】
処理部24は、中継部22から受けたイーサネットフレームから設定情報を取得し、記憶部25におけるアドレステーブルTbAを、取得した設定情報が示す更新後のアドレステーブルTbAに更新する。
【0092】
その後、中継装置201Aにおける中継部22は、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスとして「IP_ECUA」および「IP_ECUD」をそれぞれ含むイーサネットフレームを受信した場合、送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスに対応するポート番号として「#3」および「#4」を特定する。そして、中継部22は、たとえばある期間に受信した複数のイーサネットフレームのうちの一部のイーサネットフレームを、通信ポート21_#3経由で中継装置201Bへ送信し、当該期間に受信した複数のイーサネットフレームのうちの残りのイーサネットフレームを、通信ポート21_#4経由で中継装置201Cへ送信する。中継装置201Bは、中継装置201Aと同様に中継処理を行い、中継装置201Aから受信した当該イーサネットフレームを中継装置201Cへ送信する。中継装置201Cは、中継装置201Aと同様に中継処理を行い、中継装置201Bから受信した当該イーサネットフレームを車載ECU111Dへ送信する。
【0093】
すなわち、車載ECU111Aからの車載ECU111D宛の複数のイーサネットフレームの一部は、中継装置201A、中継装置201Bおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信される。また、車載ECU111Aからの車載ECU111D宛の複数のイーサネットフレームの残りは、中継装置201Aおよび中継装置201Cをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信される。
【0094】
その後、たとえば、設定変更部13は、車載ECU111Bによる中継装置201Aと車載ECU111Bとの間のケーブル2の使用状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報を通信部12から受ける。あるいは、設定変更部13は、電源部51から車載ECU111Bへの電力の供給状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報を通信部12から受ける。
【0095】
この場合、設定変更部13は、通信部12から受けた変化情報に基づいて、車載ECU111Bと接続された中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する。より詳細には、設定変更部13は、記憶部14におけるアドレステーブルTbAを、送信元IPアドレス「IP_ECUA」および宛先IPアドレス「IP_ECUD」に対応するポート番号から「#4」を削除したアドレステーブルTbAに更新し、更新後のアドレステーブルTbAを示す設定情報を通信部12へ出力する。
【0096】
通信部12は、設定変更部13から受けた設定情報を含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを通信ポート11経由で中継装置201Aへ送信する。
【0097】
中継装置201Aにおける処理部24は、通信ポート22_#5および中継部22経由で管理装置101から当該イーサネットフレームを受信する。処理部24は、受信したイーサネットフレームから設定情報を取得し、記憶部25におけるアドレステーブルTbAを、取得した設定情報が示す更新後のアドレステーブルTbAに更新する。
【0098】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態でまたは通信回線を介して流通する。
【0099】
図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置における検知処理のシーケンスの一例を示す図である。図7を参照して、まず、中継装置201は、検知対象の車載ECU111からのNMメッセージの到来状況の変化を待ち受け(ステップS102でNO)、たとえば検知対象の車載ECU111からのNMメッセージの到来が停止した場合(ステップS102でYES)、検知対象の車載ECU111の動作状態が変化したと判断する。具体的には、中継装置201は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したと判断する(ステップS104)。
【0100】
次に、中継装置201は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を生成する(ステップS106)。
【0101】
次に、中継装置201は、生成した変化情報を管理装置101へ送信する(ステップS108)。
【0102】
次に、中継装置201は、検知対象の車載ECU111からのNMメッセージの到来状況の新たな変化を待ち受ける(ステップS102でNO)。
【0103】
図8は、本開示の実施の形態に係る中継装置における検知処理のシーケンスの他の例を示す図である。図8を参照して、まず、中継装置201は、車両1の動作状態の変化を待ち受け(ステップS202でNO)、たとえば車両1がイグニッションオン状態からオフ状態へ遷移したことを検知した場合(ステップS202でYES)、検知対象の車載ECU111の動作状態が変化したと判断する。具体的には、中継装置201は、検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオン状態からオフ状態へ遷移したと判断する(ステップS204)。
【0104】
次に、中継装置201は、電源部51から検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオン状態からオフ状態へ遷移したことを示す変化情報を生成する(ステップS206)。
【0105】
次に、中継装置201は、生成した変化情報を管理装置101へ送信する(ステップS208)。
【0106】
次に、中継装置201は、車両1の動作状態の新たな変化を待ち受ける(ステップS202でNO)。
【0107】
図9は、本開示の実施の形態に係る管理装置における設定変更の処理のシーケンスの一例を示す図である。図9を参照して、まず、管理装置101は、変化情報を含むイーサネットフレームを待ち受け(ステップS302でNO)、中継装置201から変化情報を含むイーサネットフレームを受信した場合(ステップS302でYES)、受信したイーサネットフレームに含まれる変化情報に基づいて、たとえば中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する。より詳細には、管理装置101は、記憶部14に保存されているアドレステーブルTbAを更新する(ステップS304)。
【0108】
次に、管理装置101は、更新後のアドレステーブルTbAを示す設定情報を含むイーサネットフレームを中継装置201Aへ送信する(ステップS306)。
【0109】
次に、管理装置101は、変化情報を含む新たなイーサネットフレームを待ち受ける(ステップS302でNO)。
【0110】
図10は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける通信のシーケンスの一例を示す図である。
【0111】
図10を参照して、まず、中継装置201Aは、たとえば定期的に、NMメッセージが格納されたイーサネットフレームを車載ECU111Bへ送信する(ステップS402)。
【0112】
次に、中継装置201Aは、車載ECU111Bの動作状態の変化を検知する。より詳細には、たとえば、中継装置201Aは、車載ECU111Bによるケーブル2の使用状態がオン状態からオフ状態へ遷移したと判断する(ステップS404)。
【0113】
次に、中継装置201Aは、車載ECU111BへのNMメッセージの送信を停止する(ステップS406)。
【0114】
次に、中継装置201Aは、変化情報を管理装置101へ送信する(ステップS408)。
【0115】
次に、管理装置101は、中継装置201Aから受信した変化情報に基づいて、記憶部14に保存されているアドレステーブルTbAを更新する(ステップS410)。
【0116】
次に、管理装置101は、更新後のアドレステーブルTbAを示す設定情報を含むイーサネットフレームを中継装置201Aへ送信する(ステップS412)。
【0117】
次に、中継装置201Aは、管理装置101から受信したイーサネットフレームから設定情報を取得し、記憶部25におけるアドレステーブルTbAを、取得した設定情報が示す更新後のアドレステーブルTbAに更新する(ステップS414)。
【0118】
なお、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301では、管理装置101は、車両1に搭載される構成であるとしたが、これに限定するものではない。管理装置101は、車両1の外部に設けられてもよい。ただし、車載通信システム301は、管理装置101が車両1に搭載される構成により、管理装置101が車両1の外部に設けられる構成と比べて、中継装置201と管理装置101との間の通信トラフィックによる伝送遅延を抑制することができるので、車載ECU111の動作状態の変化に応じてより早期に車載ネットワークの設定変更を行うことができる。
【0119】
また、本開示の実施の形態に係る車載通信システム301は、管理装置101および中継装置201をそれぞれ別個の車載装置として備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム301は、中継装置201および管理装置101を備える代わりに、中継装置201の機能および管理装置101の機能を有する1つの車載装置を備える構成であってもよい。すなわち、管理装置101および中継装置201は、一体化されてもよい。
【0120】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置201では、検知部23は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報、または電源部51から検知対象の車載ECU111への電力の供給状態がオフ状態からオン状態へ遷移したことを示す変化情報を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部23は、検知対象の車載ECU111の動作状態の変化を認識可能な変化情報を生成する構成であればよい。より詳細には、検知部23は、検知対象の車載ECU111の動作状態の変化内容を示す変化情報を生成する代わりに、検知対象の車載ECU111の動作状態が変化したことを示す変化情報を生成する構成であってもよい。具体的には、検知部23は、検知対象の車載ECU111によるケーブル2の使用状態が変化したことを示す変化情報、または電源部51から検知対象の車載ECU111への電力の供給状態が変化したことを示す変化情報を生成する。
【0121】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置101では、設定変更部13は、車載ECU111Bの動作状態の変化を示す変化情報を通信部12から受けた場合、車載ECU111Bと接続された中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定変更部13は、車載ECU111Bの動作状態の変化を示す変化情報を通信部12から受けた場合、中継装置201Aによる中継処理の設定を変更する代わりに、または中継装置201Aによる中継処理の設定を変更することに加えて、中継装置201Cによる中継処理の設定を変更する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、設定変更部13は、車載ECU111Dからの車載ECU111A宛のイーサネットフレームが中継装置201C、中継装置201Bおよび中継装置201Aをこの順に経由して車載ECU111Dへ送信されるように中継装置201Cによる中継処理が設定されている状態において、車載ECU111Bの動作状態の変化を示す変化情報を通信部12から受けた場合、車載ECU111Dからの車載ECU111A宛のイーサネットフレームの一部が中継装置201Cおよび中継装置201Aをこの順に経由して車載ECU111Aへ送信されるように、中継装置201Cによる中継処理の設定を変更する。
【0122】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置101では、設定変更部13は、設定変更として、中継装置201による中継処理の設定を変更する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定変更部13は、中継処理の設定を変更する代わりに、車載ECU111の設定を変更する構成であってもよい。たとえば、設定変更部13は、車載通信システム301における一部の車載ECU111の通信帯域を増大または減少させる構成であってもよい。
【0123】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置101では、設定変更部13は、設定変更として、車載ECU111が通信に用いるケーブル2における帯域の割り当てを変更する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定変更部13は、設定変更として、車載ECU111が通信に用いるケーブル2における帯域の割り当てを変更する代わりに、または車載ECU111が通信に用いるケーブル2における帯域の割り当てを変更することに加えて、中継装置201によるイーサネットフレームのフィルタリングの設定を変更する構成であってもよい。
【0124】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置101では、設定変更部13は、車載ECU111がケーブル2を用いた通信を行うために当該車載ECU111に割り当てられている帯域の少なくとも一部を、他の車載ECU111に割り当てる構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、設定変更部13は、車載ECU111に割り当てられている帯域を他の車載ECU111に割り当てることなく、当該車載ECU111および当該他の車載ECU111に割り当てられている帯域の少なくともいずれか一方を変更する構成であってもよい。また、たとえば、設定変更部13は、車載ECU111に割り当てられている帯域を他の車載ECU111に割り当てる代わりに、中継装置201におけるイーサネットフレームのQoS(Quality of Service)の設定を変更する構成であってもよい。具体的には、設定変更部13は、イーサネットフレームの優先度に応じて確保すべき車載ECU111の帯域の設定を変更する。
【0125】
ところで、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことが可能な技術が望まれる。より詳細には、近年、車載通信システム301における各車載装置のOTA(Over The Air)アップデート、および車両1のユーザへのストリーミングサービスの提供等により、車載ネットワークにおける通信量は増加する傾向にある。
【0126】
たとえば、車両1の状態に応じて、自動運転機能に関わる車載装置等の、車載通信システム301における一部の車載装置が一時的に遊休する場合がある。従来の技術では、このような状況において車載ネットワークのリソースの有効活用ができない場合がある。
【0127】
これに対して、本開示の実施の形態に係る管理装置101では、通信部12は、車載ネットワークにおける車載ECU111の動作状態の変化を認識可能な変化情報を取得する。設定変更部13は、通信部12により取得された変化情報に基づいて、車載ネットワークの設定変更を行う。
【0128】
このような構成により、車載ECU111の動作状態の変化に応じて効率的な通信を行うことが可能な車載ネットワークを構築することができる。したがって、車載ネットワークにおける限られた帯域を用いて効率的に通信を行うことができる。
【0129】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0130】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
管理装置と、
車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置とを備え、
前記中継装置は、前記機能部の動作状態の変化を検知し、検知した前記動作状態の変化を認識可能な変化情報を前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記中継装置から受信した前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う、車載通信システム。
【0131】
[付記2]
車載ネットワークにおける機能部の動作状態の変化を認識可能な変化情報であって、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化を認識可能な前記変化情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記変化情報に基づいて、前記車載ネットワークの設定変更を行う設定変更部とを備える、管理装置。
【0132】
[付記3]
車載ネットワークにおける複数の機能部間の情報の中継処理を行う中継装置であって、
前記機能部の動作状態の変化として、電源から前記機能部への電力の供給状態の変化を検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記供給状態の変化を認識可能な変化情報を、前記車載ネットワークの設定変更を行う管理部へ送信する送信部とを備える、中継装置。
【符号の説明】
【0133】
1 車両
2 ケーブル
11 通信ポート
12 通信部
13 設定変更部
14 記憶部
21 通信ポート
22 中継部
23 検知部
24 処理部
25 記憶部
51電源部
101 管理装置
111,111A,111B,111C,111D 車載ECU
201,201A,201B,201C 中継装置
301 車載通信システム
図1
図2
図3
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図10