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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】安定化抗微生物性ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/46 20060101AFI20231004BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
C07K14/46 ZNA
A61K38/17
A61P31/04
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021091780
(22)【出願日】2021-05-31
(62)【分割の表示】P 2017568021の分割
【原出願日】2016-07-01
(65)【公開番号】P2021155423
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】62/188,448
(32)【優先日】2015-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/301,518
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399052796
【氏名又は名称】デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ロレン・ディ・ウォレンスキー
(72)【発明者】
【氏名】リダ・モータダ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイチ・バード
【審査官】中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】Hubert Chapuis et al.,Effect of hydrocarbon stapling on the properties of α-helical antimicrobial peptides isolated from the venom of hymenoptera,Amino Acids,2012年04月17日,Vol.43, No.5,p.2047-2058,doi: 10.1007/s00726-012-1283-1
【文献】Christopher J. Arnusch et al.,Enhanced membrane pore formation through high-affinity targeted antimicrobial peptides,PLoS One,2012年06月29日,Vol.7, Issue 6,e39768,doi: 10.1371/journal.pone.0039768
【文献】Tzu-Lin Sun et al.,Membrane permeability of hydrocarbon-cross-linked peptides,Biophys. J.,2013年05月07日,Vol.104, No.9,p.1923-1932,doi: 10.1016/j.bpj.2013.03.039
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K14/00
C12N15/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
式:
【化1】
[式中、
各R1およびR2は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり
3、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり
、3であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1であり;
各Xaaは、独立して、アミノ酸である]
を有する内部架橋アミノ酸配列を含み、
内部架橋アミノ酸配列が、
(a)配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列;または
(b)Mag(i+4)2(配列番号136)、Mag(i+4)4(配列番号138)、Mag(i+4)5(配列番号139)、Mag(i+4)11(配列番号145)、Mag(i+4)15(配列番号149)、Mag(i+4)15(G1K)(配列番号99)、Mag(i+4)15(I2K)(配列番号98)、Mag(i+4)15(G3K)(配列番号97)、Mag(i+4)15(H7K)(配列番号94)、Mag(i+4)15(S8K)(配列番号93)、Mag(i+4)15(E19K)(配列番号86)、Mag(i+4)15(N22K)(配列番号84)、Mag(i+4)15(G3E)(配列番号102)、Mag(i+4)15(H7E)(配列番号107)、Mag(i+4)15(S8E)(配列番号108)、Mag(i+4)15(G18E)(配列番号117)、Mag(i+4)15(N22E)(配列番号119)、Mag(i+4)1(配列番号135)、Mag(i+4)6(配列番号140)、またはMag(i+4)16(配列番号150)のアミノ酸配列
を含み;
内部架橋アミノ酸配列が、αヘリックス立体構造を有し;
該化合物またはその薬学的に許容される塩が、
少なくとも1つの細菌に対して抗微生物効果を示し、そして、
哺乳動物膜に対してではなく、細菌膜に対して選択的に溶解性/細胞毒性を示す、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも21個の連続するアミノ酸を有する内部架橋アミノ酸配列を含み、
ただし、
(i)配列番号3の16番目および20番目のアミノ酸は、第1の連結基R3で互いに架橋されており、
(ii)配列番号3の2番目および6番目のアミノ酸または配列番号3の3番目および7番目のアミノ酸は、第2の連結基R3で互いに架橋されており、そして
(iii)該配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも21個の連続するアミノ酸が、配列番号3に対して1、2、3または4つのさらなるアミノ酸置換を有し、
該さらなるアミノ酸置換が、(i)塩基性アミノ酸との置換、(ii)リジンとの置換、(iii)ヒスチジンとの置換、(iv)D-アラニンとの置換、(v)アラニンとの置換、(vi)ノルロイシンとの置換、および(vii)グルタミン酸との置換のうち1つ以上の置換であり、
該第1の連結基R 3 がC アルキレン、C アルケニレン、またはC アルキニレンであり、該第2の連結基R 3 がC アルキレン、C アルケニレン、またはC アルキニレンであり、
該化合物またはその薬学的に許容される塩が、
少なくとも1つの細菌に対して抗微生物効果を示し、
そして、
哺乳動物膜に対してではなく、細菌膜に対して選択的に溶解性/細胞毒性を示す、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
3がCアルキレン、Cアルケニレン、またはCアルキニレンである、請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
(i)R3が、1、2、3、4、5または6個のR4で置換されており、各R4が、独立して、-NHまたは-OHであり、ここで、各-NHが、別の化学物質とカップリングしていてもよいか;
(ii)R3が、2個のR4で置換されており、両方のR4が-OHであるか;
(iii)R3が、2個のR4で置換されており、1個のR4が置換されていてもよい-NHであり、他方のR4が-OHである、
請求項3記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
(i)該第1の連結基R3および/または第2の連結基R3が、1、2、3、4、5または6個のR4で置換されており、各R4が、独立して、-NHまたは-OHであり、ここで、各-NHが、別の化学物質とカップリングしていてもよいか;
(ii)該第1の連結基R3および/または第2の連結基R3が、2個のR4で置換されており、両方のR4が-OHであるか;
(iii)該第1の連結基R3および/または第2の連結基R3が、2個のR4で置換されており、1個のR4が置換されていてもよい-NHであり、他方のR4が-OHである、
請求項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
抗微生物効果が0.1μM~50μMまたは0.5μM~20μMの最小阻止濃度である、請求項1~いずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
治療を必要とする対象体における微生物によって引き起こされる感染症の治療のための、請求項1~のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬。
【請求項8】
対象体が動物または植物である、請求項記載の医薬。
【請求項9】
対象体が哺乳動物である、請求項7記載の医薬。
【請求項10】
対象体がヒトである、請求項記載の医薬。
【請求項11】
微生物が細菌性生物である、請求項10のいずれか1項記載の医薬または請求項1~のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
細菌性生物がグラム陽性、グラム陰性、またはマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)である、請求項11項記載の医薬または請求項11項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
感染症が細菌性膣感染症である、請求項10記載の医薬。
【請求項14】
細菌性膣感染症が細菌性膣症である、請求項13記載の医薬。
【請求項15】
細菌性膣感染症が、対象体へのウイルス感染症の感染の可能性を増大させる1種類以上の細菌性生物による感染症である、請求項13記載の医薬。
【請求項16】
ウイルス感染症がヒト免疫不全ウイルス1型感染症またはヒト免疫不全ウイルス-2感染症である、請求項15記載の医薬。
【請求項17】
請求項10記載の医薬であって、
(i)該化合物またはその薬学的に許容される塩が膣への局所投与用である、
(ii)該感染症が細菌性バイオフィルムを含む、および/または
(iii)該対象体が、嚢胞性線維症にかかっているかまたはそのリスクがあり、必要に応じて該化合物が肺への投与用である、医薬。
【請求項18】
抗生物質の治療有効量と併用するための、必要に応じて該化合物および該抗生物質が感染症を相乗的に処置するように作用する、および/または該化合物および該抗生物質が抗生物質に対する感染症の抵抗性を相乗的に克服するように作用する、請求項17のいずれか1項記載の医薬。
【請求項19】
微生物の増殖を阻害するための、請求項1~のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬であって、
該微生物の増殖の阻害が、該微生物と、該化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量と接触させることを含み、
(i)微生物が細胞外微生物である、
(ii)微生物が細胞内微生物である、
(iii)接触が、微生物を含む対象体内で生じる、
(iv)接触がインビトロで生じる、および/または
(v)微生物の増殖の阻害が、微生物を死滅させることである、
医薬。
【請求項20】
請求項1~のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、
(a)次のいずれかのペプチドを提供する工程:
(1)Mag(i+4)2(配列番号136)、Mag(i+4)4(配列番号138)、Mag(i+4)5(配列番号139)、Mag(i+4)11(配列番号145)、Mag(i+4)15(配列番号149)、Mag(i+4)15(G1K)(配列番号99)、Mag(i+4)15(I2K)(配列番号98)、Mag(i+4)15(G3K)(配列番号97)、Mag(i+4)15(H7K)(配列番号94)、Mag(i+4)15(S8K)(配列番号93)、Mag(i+4)15(E19K)(配列番号86)、Mag(i+4)15(N22K)(配列番号84)、Mag(i+4)15(G3E)(配列番号102)、Mag(i+4)15(H7E)(配列番号107)、Mag(i+4)15(S8E)(配列番号108)、Mag(i+4)15(G18E)(配列番号117)、Mag(i+4)15(N22E)(配列番号119)、Mag(i+4)1(配列番号135)、Mag(i+4)6(配列番号140)、またはMag(i+4)16(配列番号150)のアミノ酸配列を含む、
ペプチド;または
(2)配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも21個の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列を含み、
ただし、
(i)配列番号3の16番目および20番目のアミノ酸は、ステープル化アミノ酸で置換されており、
(ii)配列番号3の2番目および6番目のアミノ酸または配列番号3の3番目および7番目のアミノ酸は、ステープル化アミノ酸で置換されており、そして
(iii)該配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも21個の連続するアミノ酸が、1、2、3または4つのさらなるアミノ酸置換を有し、
該さらなる置換が、(i)塩基性アミノ酸との置換、(ii)リジンとの置換、(iii)ヒスチジンとの置換、(iv)D-アラニンとの置換、(v)アラニンとの置換、(vi)ノルロイシンとの置換、および(vii)グルタミン酸との置換のうち1つ以上の置換である、
ペプチド;および
(b)該ペプチドを架橋する工程
を含む方法。
【請求項22】
該化合物またはその薬学的に許容される塩を、無菌医薬組成物として製剤化する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2015年7月2日に出願した米国仮出願第62/188,448号、および2016年2月26日に出願した米国仮出願第62/301,518号(それぞれ、出典明示によりその全体として本書の一部を構成する)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
抗微生物性ペプチド(AMP)は、微生物侵入に対する本質的な防御線を形成する、進化的に保存されたクラスのタンパク質である。これらのペプチドは、多くの異種生物によって産生され、細菌、真菌類(酵母を含む)、原生動物(寄生虫を含む)およびウイルスに対して広範囲の活性を呈することが見出されている。
【0003】
AMPは、4つの主な構造群に分けることができる:4つのジスルフィド橋のうち2つを有する安定化βシートペプチド;単一のジスルフィド橋を有するループペプチド;αヘリックスペプチド;ならびにアルギニン、グリシン、プロリン、トリプトファンおよびヒスチジンにおいて豊富な拡張構造。典型的には、12~50アミノ酸の長さであるこれらのペプチドは、通常、両親媒性特性を有するカチオン性である。これらの生物物理学的特性により、それらが細菌膜と相互作用し、膜の完全性の破壊、または細菌細胞への移行および細胞内プロセスの破壊のいずれかを生じる。
【0004】
AMPのαヘリックス構造モチーフは、AMPが細菌膜と相互作用する能力にとって重要であり得る。膜へ結合すると、AMPは、それら自身を転座または挿入することができ、バレルストーブ(barrel-stove)機構、カーペット様(carpet-like)機構またはトロイダルポア(toroidal pore)機構を介して膜を透過性にすることができる。この透過化プロセスおよび膜の完全性の破壊は、αヘリックスAMPの抗微生物特性を説明することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、抗微生物性ペプチド(AMP)に関連する(例えば、それと配列相同性を共有する)構造安定化ペプチド、ならびにかかる安定化ペプチドを治療剤および/または予防剤として用いる方法を提供する。細菌に対して選択的に溶解性/細胞毒性を示し、哺乳動物膜破壊および細胞毒性を伴わない抗微生物性ペプチドの体内使用を可能にする、安定化抗微生物性ペプチドを設計するための方法もまた提供される。
【0006】
より具体的には、本書は、式(I):
【化1】
[式中、
各R1およびR2は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各R3は、独立して、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり、いずれもいずれも置換されているかまたは非置換であり;
各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各Xaaは、独立してアミノ酸である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも1種類の微生物に対して抗微生物効果を呈する、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
いくつかの態様において、xは、独立して、2、3または6である。
【0008】
さらに、本書は、加えて、アミノ酸を含有する内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)であって、2、3または6アミノ酸離れている少なくとも一対(例えば、一対または二対)のアミノ酸の側鎖が、対応する親非内部架橋AMPと比べて、
各R3が、独立して、例えば1~6個のR4で置換されていてもよい、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(例えば、C6、C7またはC11アルケニレン)であり;
各R4が、独立して、-NH3または-OHであり(ここで、各-NH3は、置換されていてもよい);各R1およびR2が、独立して、C1~C10アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換である
ような、該一対のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3に置き換えられている、内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)を提供する。
【0009】
いくつかの態様において、ICL AMPは、配列番号1~17のいずれかの少なくとも18個の連続するアミノ酸、または1、2、3、4もしくは5つのアミノ酸置換を有するその変種を含有することができるか、または(a)この18個の連続するアミノ酸内で、2、3または6アミノ酸離れている少なくとも一対(例えば、一対または二対)のアミノ酸の側鎖が、対応する親非内部架橋AMPと比べて、式(I)に示されるように該一対のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3に置き換えられており、該一対のアミノ酸のうちの2番目のもののα炭素が式(I)中に記載されているようにR2で置換されていることを除けば本書に記載されている別のポリペプチド配列を含有することができる。特定の態様において、AMP変種は、(i)アミノ酸のヒスチジンへの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ)の置換;および/または(ii)アミノ酸のリジンへの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ)の置換;および/または(iii)アミノ酸のD-アラニンへの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ)の置換を含むことを除けば配列番号1~17のいずれかの少なくとも18個の連続するアミノ酸を含む。
【0010】
さらにまた、本書は、加えて、少なくとも20個のアミノ酸を含有する内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)であって、2、3または6アミノ酸離れている少なくとも一対(例えば、一対または二対)のアミノ酸の側鎖が、対応する親非内部架橋AMPと比べて、
各R3が、独立して、例えば1~6個のR4で置換されていてもよい、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(例えば、C6、C7またはC11アルケニレン)であり;
各R4が、独立して、-NH3または-OHであり(ここで、各-NH3は、置換されていてもよい);各R1およびR2が、独立して、C1~C10アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換である
ような、該一対のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3に置き換えられている、内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)を提供する。
【0011】
上記ICL AMPのいずれかは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のR4で置換されているR3を有することができる。各R4は、-OHであり得る。いくつかの態様において、1つR3は-NH3であり、別のR3は-OHである。
【0012】
上記ICL AMPのいずれかは、配列番号1~17のいずれか(例えば、配列番号1)の少なくとも18個の連続するアミノ酸、または1、2、3、4もしくは5つのアミノ酸置換を有するその変種を含有することができるか、または(a)この18個の連続するアミノ酸内で、2、3または6アミノ酸離れている少なくとも一対(例えば、一対または二対)のアミノ酸の側鎖が、対応する親非内部架橋AMPと比べて、該組のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3に置き換えられており、側鎖が連結基R3に置き換えられた各対のアミノ酸のα炭素のHが、独立して、C1~C10アルキル、アルケニルまたはアルキニルに置き換えられていてもよいことを除けば本書に記載されている別のポリペプチド配列を含有することができる。
【0013】
上記ICL AMPのいずれかは、連結基との置き換えが、置き換えがない親AMPと比べて、該ペプチドのαヘリックス領域における第1の表面疎水性パッチとさらなる表面疎水性パッチとの間の不連続性を維持するかまたは引き起こすような、第1の表面疎水性パッチを包含するαヘリックス領域を含有し得る。さらにまた、該連結基は、親水性化修飾、例えば、ジヒドロキシル化を含有することができる。連結基の置き換えは、AMPにおける、第1の表面疎水性パッチ、さらなる表面疎水性パッチ、または第1の表面疎水性パッチおよびさらなる表面疎水性パッチに位置することができる。
【0014】
上記ICL AMPのいずれかは、配列番号18~168および170~174のいずれかの配列を含有することができる。それらは、例えば、Mag(i+4)1(配列番号135)、Mag(i+4)2(配列番号136)、Mag(i+4)4(配列番号138)、Mag(i+4)5(配列番号139)、Mag(i+4)6(配列番号140)、Mag(i+4)11(配列番号145)、Mag(i+4)15(配列番号149)、Mag(i+4)16(配列番号150)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9K、G18H)(配列番号170)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H)(配列番号171)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H、N21E)(配列番号172)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H、G18H、N21E)(配列番号173)、またはMag(i+4)1,15(S8H、A9K、G18H、N21E)(配列番号174)の配列を含有することができる。
【0015】
本書は、また、微生物感染症の処置または予防方法であって、微生物による感染症にかかっているかまたはそのリスクがある対象体に、上記ICL AMPのいずれかの有効量を投与することを含む方法を特徴付ける。該対象体は、動物または植物であり得る、該動物は、哺乳動物、例えばヒトであり得る。該微生物は、細菌性生物、例えば、グラム陽性菌性生物またはグラム陰性菌性生物であり得る。該対象体は、細菌性膣感染症にかかっていることができるかまたはそのリスクを有することができる。細菌性膣感染症は、細菌性膣症を包含し得る。細菌性膣感染症は、ウイルス感染症の対象体への感染の可能性を高める1種以上の細菌性生物による感染を包含し得る。ウイルス感染症は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)またはヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)感染症であり得る。上記ICL AMPのいずれかは、例えば膣へ、局所投与され得る。上記ICL AMPのいずれかは、例えば肺へ、投与され得る。対象体は、細菌性バイオフィルムを包含し得る。対象体は、嚢胞性線維症にかかっていることができるかまたはそのリスクを有することができる。
【0016】
該方法は、さらに、少なくとも1種の抗生物質の有効量を投与することを含むことができる。確立された抗生物質は、微生物による感染を阻害または予防するためにICL AMPと相乗的に作用することができる。ICL AMPおよび抗生物質は、抗生物質に対する抵抗性を相乗的に克服または予防することができる。
【0017】
本書の別の態様は、上記ICL AMPのいずれかの1種以上を含有する組成物である。該組成物は、さらに、食品または飲料を含むことができる。上記ICL AMPのいずれかは、醗酵または滅菌工程の前またはその間に食品または飲料に加えることができる。
【0018】
該組成物は、さらに、医学的または衛生学的デバイスを含むことができる。この1種以上のICL AMPは、医学的または衛生学的デバイス上に塗布され得るかまたは該デバイスに含浸され得る。該組成物は、また、1種以上の抗生物質を含むこともできる。
【0019】
本書によって、微生物の増殖阻害方法または死滅方法であって、微生物を上記ICL AMPのいずれかの1種以上と接触させることを含む方法もまた提供される。該微生物は、細胞外微生物または細胞内微生物であり得る。接触は、微生物を含む対象体内で生じ得る。別法としては、該方法は、インビトロ法であり得る。該方法は、本書に記載の特徴(例えば、微生物感染症の処置または予防方法について上記したもの)のいずれかを用いて実施され得ると解される。該微生物は、例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)であり得る。
【0020】
本書の別の特徴は、上記ICL AMPのいずれかの製造方法であって、式(I)を参照して、ICL AMPを合成すること、該ペプチドのαヘリックス領域における確立された表面疎水性パッチの位置を決定すること、および全てのアミノ酸[Xaa]xが該ペプチドにおけるこの確立された表面疎水性パッチ内に位置するように整数wおよびyを選択することを含む方法である。別法として、整数wおよびyは、アミノ酸[Xaa]xが該ペプチドのαヘリックス領域における2つ以上の確立された疎水性パッチを連結しないように選択され得る。さらにまた、該方法は、連結基に親水性化修飾を付加すること(例えば、ジヒドロキシル化が挙げられる)を包含し得る。
【0021】
本書の別の態様は、上記ICL AMPのいずれかの製造方法であって、ICL AMPが第1の表面疎水性パッチを含むαヘリックス領域を含み、連結基との置き換えが、対応する親非内部架橋AMPと比べて、内部架橋ペプチドにおける第1の疎水性パッチとさらなる表面の1種以上の疎水性パッチとの間の不連続性を維持するかまたは生じるようなICL AMPを合成することを含むことができる方法である。さらにまた、該方法は、連結基に親水性化修飾を付加すること(例えば、ジヒドロキシル化を包含する)を包含し得る。
【0022】
本書のさらに別の特徴は、上記ICL AMPのいずれかを設計する方法であって、
- ICL AMPの1つ以上のパネルを作成すること(各パネルは、(a)2、3または6アミノ酸離れている少なくとも一対のアミノ酸の側鎖が該一対のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3に置き換えられており;(b)各パネルの各メンバーにおいて、該一対のアミノ酸が、関連するパネルの他のメンバーと比べて異なる位置にある、複数のパネルメンバーICL AMPを含有する);および
- (i)関連するメンバーのαヘリックス領域における第1の表面疎水性パッチと、該メンバーのαヘリックス領域における1つ以上のさらなる表面疎水性パッチとの間の不連続性の存在について;および(ii)微生物細胞中に移動し、哺乳動物細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力についての各パネルの各メンバーの能力について全てのパネルの各メンバーを試験すること
を包含する方法である。該方法は、また、微生物細胞中に移動する能力が比較的高く、哺乳動物細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力がないかまたは比較的低い、全てのパネルの1つまたは複数のメンバーを製造することを含み得る。
【0023】
本書のさらなる特徴は、微生物感染症を同定する方法であって、
- 試験培地中の微生物感染症の微生物を上記ICL AMPのいずれかと接触させること;および
- 微生物から試験培地中に放出された核酸を分析することによって微生物を同定すること
を含む方法である。該試験培地は、微生物感染症にかかっている対象体からの組織試料、臓器試料または体液試料を含むことができる。該培地は、微生物感染症にかかっている対象体からの組織試料、臓器試料または体液試料が予め添加されている培養培地を包含し得る。体液は、例えば、血液、尿、痰および/または糞便を包含し得る。接触は、インビトロで、または微生物感染症にかかっている対象体において、生じることができる。該方法は、また、試験培地を含有する対象体または試験培地の入手元である対象体に、同定された微生物に適切な処置(例えば、上記ICL AMPのいずれかを包含する)を施すことを包含し得る。
【0024】
本書のさらなる特徴は、試験培地が微生物を含むかどうか決定する方法であって、
- 微生物を含有する疑いのある培地に上記ICL AMPのいずれかを送達させること;および
- 微生物が含むことまたは発現することが知られている核酸の試験培地中の存在について試験すること
を含む方法である。試験培地は、微生物によって感染している疑いのある対象体からの組織試料、臓器試料または体液試料を包含し得る。試験培地は、微生物によって感染している疑いのある対象体からの組織試料、臓器試料または体液試料が予め添加されている培養培地を包含し得る。体液は、例えば、血液、尿、痰および/または糞便を包含し得る。送達は、インビトロで、または微生物によって感染している疑いのある対象体において、生じることができる。該方法は、また、試験培地が微生物を含有することが判明している場合、試験培地を含有する対象体または試験培地の入手元である対象体に、該微生物に適切な処置(例えば、上記ICL AMPのいずれかを包含する)を施すことを包含し得る。
【0025】
「微生物の増殖を阻害する能力が比較的高く」かつ「哺乳動物細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力が比較的低い」薬剤の非限定的な例は、約0.1μM~約50μM、または約0.5μM~約20μMの最小阻止濃度(MIC)を有することができる。本発明の化合物のMICは、以下のものであり得る:約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約2.9μM、約3μM、約3.1μM、約3.2μM、約3.3μM、約3.4μM、約3.5μM、約3.6μM、約3.7μM、約3.8μM、約3.9μM、約4μM、約4.1μM、約4.2μM、約4.3μM、約4.4μM、約4.5μM、約4.6μM、約4.7μM、約4.8μM、約4.9μM、約5μM、約5.1μM、約5.2μM、約5.3μM、約5.4μM、約5.5μM、約5.6μM、約5.7μM、約5.8μM、約5.9μM、約6μM、約6.1μM、約6.2μM、約6.3μM、約6.4μM、約6.5μM、約6.6μM、約6.7μM、約6.8μM、約6.9μM、約7μM、約7.1μM、約7.2μM、約7.3μM、約7.4μM、約7.5μM、約7.6μM、約7.7μM、約7.8μM、約7.9μM、約8μM、約8.1μM、約8.2μM、約8.3μM、約8.4μM、約8.5μM、約8.6μM、約8.7μM、約8.8μM、約8.9μM、約9μM、約9.1μM、約9.2μM、約9.3μM、約9.4μM、約9.5μM、約9.6μM、約9.7μM、約9.8μM、約9.9μM、約10μM、約10.5μM、約11μM、約11.5μM、約12μM、約12.5μM、約13μM、約13.5μM、約14μM、約14.5μM、約15μM、約15.5μM、約16μM、約16.5μM、約17μM、約17.5μM、約18μM、約18.5μM、約19μM、約19.5μM、または約20μM。MICで、当該化合物は、本書の方法に記載されるインビトロ溶血アッセイで測定されるようにヒト赤血球に対して溶血活性を有し、これは、0~10%、5~10%、0~5%、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満であり得る。
【0026】
本書は、また、抗微生物性ペプチドまたはステープル化抗微生物性ペプチド(stapled antimicrobial peptide)(STAMP)であって、非修飾の抗微生物性ペプチドまたはステープル化抗微生物性ペプチドと比べて改善された微生物活性および/または減少した溶血活性を有する抗微生物性ペプチドまたはステープル化抗微生物性ペプチドを設計する方法を特徴付ける。該方法は、下記のことのうち1つ以上を含む:(i)抗微生物性ペプチドまたはステープル化抗微生物性ペプチドの正味の正電荷を増加させること(例えば、例えばアミノ酸置換によって、ペプチド中の塩基性残基(例えば、リジン)の数を増加させることによる);(ii)例えばアミノ酸置換によって、ヒスチジン残基の数を増加させること;および/または(iii)AMPまたはSTAMPの強固なヘリックスを軽減すること(例えば、アミノ酸のD-アラニンによる置換)。特定の場合に、AMPまたはSTAMPは、非修飾の抗微生物性ペプチドと比べて、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ)のヒスチジンおよび/またはリジンを有する。
【0027】
本書で用いる場合、用語「約」および「およそ」とは、所定の値または状態の±10%以内、好ましくは該値または状態の±5%以内であると定義される。
【0028】
他に特記しない限り、本書で用いる技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。方法および物質は、本発明において用いるために本書に記載される;当該技術分野で知られている他の好適な方法および物質を用いることもできる。物質、方法および実施例は、例示的であって、限定を意図するものではない。本書に記載の刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリーおよび他の文献はすべて、出典明示によりその全体として本書の一部を構成する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【0030】
ステープルは、図面中および本開示の全体にわたって、記号「X」で示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、種々のステープルおよびステッチの位置が示されている、マガニン(maganin)IIアミノ酸配列を示すチャートである。
図2図2は、種々のステープルおよびステッチの位置が示されている、ペキシガナン配列を示す図である。
図3A図3Aは、i,i+7ステープルの位置を示すために7つのステープル化誘導体の配列とともに整列させたマガイニンIIアミノ酸配列を示す図である。この図面に記載されているアミノ酸は、配列番号134および178~184(連続して番号が付けられた)に対応する。
図3B図3Bは、ステープル位置が配列の番号によって示されている、マガイニンIIアミノ酸配列のヘリカルホイール投影図(helical wheel projection)である。残基A15、N22、K4、K11、A18、H7、K14、G3、M21およびK10は親水性アミノ酸であり、残基A8、G1、E19、F12、F5、S23、F16、A9、I2、I20、A13、L6およびV17は疎水性アミノ酸である。
図4A図4Aは、水溶液中におけるマガイニンIIおよびステープル化アナログのCDスペクトルを示す一連の折れ線グラフである。
図4B図4Bは、TFE:水(1:1)混合物中におけるマガイニンIIおよびステープル化アナログのCDスペクトルを示す一連の折れ線グラフである。*は、測定したαヘリックス度がウンデカペプチド標準の計算された理想αヘリックス度を超えることを示している。
図5図5は、マガイニンIIおよびステープル化アナログの溶血活性を示す一連の折れ線グラフである。ペプチドをリン酸緩衝溶液中1%(v/v)ヒト赤血球と一緒に37℃で1時間インキュベートし、次いで、上清を単離し、放出されたヘモグロビンの量を540nmで測定した。溶血%は、未処理対照と比べて算出した。
図6A図6Aは、i,i+7ステープルの位置を示すためにステープル化誘導体の配列とともに整列させたペキシガナンアミノ酸配列を示す図である。この図面に記載されているアミノ酸は、配列番号2および185~187(連続して番号が付けられた)に対応する。
図6B図6Bは、ステープル位置が配列の番号によって示されている、ペキシガナンアミノ酸配列のヘリカルホイール投影図である。残基A15、K22、K4、K11、K18、K7、K14、G3、K21およびK10は親水性アミノ酸であり、残基K8、G1、I19、F12、F5、F16、A9、I2、L20、G13、L6およびV17は疎水性アミノ酸である。
図7A図7Aは、水溶液中におけるペキシガナンおよびステープル化アナログのCDスペクトルを示す一連の折れ線グラフである。
図7B図7Bは、TFE:水(1:1)混合物中におけるペキシガナンおよびステープル化アナログのCDスペクトルを示す一連の折れ線グラフである。
図8図8は、ペキシガナンおよびステープル化アナログの溶血活性を示す一連の折れ線グラフである。ペプチドをリン酸緩衝溶液中1%(v/v)ヒト赤血球と一緒に37℃で1時間インキュベートし、次いで、上清を単離し、放出されたヘモグロビンの量を540nmで測定した。溶血%は、未処理対照と比べて算出した。
図9図9は、単独および/または二重のステープルとしてi+3、i+4およびi+7ステープルを用いてマガイニンIIのアミノ酸配列および種々のマガイニンステープル化アナログのアミノ酸配列を示す図である。示したステープルは、例えば、i,i+4ステープルを得るための2つのS5ステープリングアミノ酸、i,i+7ステープルを得るための1つのS5と1つのR8とのカップルまたは1つのR5と1つのS8とのカップル、ならびにi,i+3ステープルを得るためのR5/S5対またはR3/S5対またはS3/R5対からなる。この図面に記載されるアミノ酸は配列番号134および188~252(連続して番号が付けられた)に対応する。
図10図10は、i+3、i+4、およびi+7ステープルを含有する種々のペキシガナンステープル化アナログのアミノ酸配列を示す図である。矢印は、ステープルスキャンまたはウォークの方向を示しており、固定数のアミノ酸(例えば、2、3または6)にまたがる(span)ステープルの位置はペプチドの長さを下回る時に1アミノ酸だけシフトされる。
図11図11は、マガイニンII i+4およびi+7ステープル化ペプチドライブラリーのメンバーのアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸Bは非天然アミノ酸であるノルロイシンを表す。X,Xは、i,i+4ステープル化ペプチドにおけるS5ペンテニルアラニン対、ならびに、i,i+7ステープル化ペプチドにおけるS5ペンテニルおよびR8オクテニルアラニン対を表す。
図12図12は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)およびスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対するマガイニンII i,i+4ステープル化ペプチドの最小阻止濃度(MIC)を示す棒グラフである。50μg/mLを超えるMIC値は測定されなかった。
図13図13は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、およびスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対するマガイニンII i+7ステープル化ペプチドのMICを示す棒グラフである。50μg/mLを超えるMIC値は測定されなかった。
図14図14は、37℃で1時間の1%赤血球懸濁液中におけるマガイニンII i,i+4およびi,i+7ステープル化ペプチドの溶血活性を示す棒グラフである。活性を1%トリトンX100溶液による全溶解に対して正規化した。
図15図15は、マガイニンIIの3D表面を示す一連の分子モデルであり、i,i+4ステープル化ペプチド誘導体を選択する。パネルAは、マガイニンIIの疎水性面を示すモデルである。パネルBは、マガイニンIIの親水性面を示すモデルである。パネルCは、Mag(i+4)1の疎水性面を示すモデルである。パネルDは、Mag(i+4)9の疎水性面を示すモデルである。パネルEは、Mag(i+4)16の疎水性面を示すモデルである。パネルFは、Mag(i+4)6の親水性面を示すモデルである。濃い灰色の領域は高疎水性残基(I、L、F、M、B)を表し;中程度の灰色の領域は比較的低い疎水性を有する残基(G、A)を含み;明るい灰色の領域は荷電されており/親水性であり(H、K、E、N、S);円で囲まれた領域は疎水性i+4ステープル位置を示す。
図16図16は、水素-重水素交換質量分析を用いて、マガイニンIIおよびステープル化誘導体と、細菌(例えば、エシェリキア・コリ(E. coli))または哺乳動物の細胞膜をシミュレートするリポソームとの相互作用の特異性を示す一連のプロットである。
図17図17は、マガイニンII(i+4)15リジン走査ライブラリーのメンバーのアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸Bは非天然アミノ酸であるノルロイシンを表す。
図18図18は、マガイニンII(i+4)15グルタミン酸走査ライブラリーのメンバーのアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸Bは非天然アミノ酸であるノルロイシンを表す。
図19図19は、マガイニンII(i+4)15ヒスチジン点変異配列およびG13変異体アナログのメンバーのアミノ酸配列を示す図である。以下の記号は、以下のとおり定義される:B=ノルロイシン;!=2-アミノイソ酪酸;&=ヒドロキシプロリン;a=d-アラニン;k=d-リジン。
図20図20は、マガイニンII二重ステープルアナログの第二世代のメンバーのアミノ酸配列を示す図である。アミノ酸Bは非天然アミノ酸であるノルロイシンを表す。
図21図21は、リューロシジン-NH2および2つの合理的に設計された二重ステープルアナログの配列を示す図である。
図22図22は、リューロシジン-NH2および二重ステープルアナログの3D表面モデルを例示する。パネルAはリューロシジン-NH2の疎水性面のモデルである。パネルBは、Pleu(i+4)1,15の親水性面のモデルである。パネルCは、Pleu(i+4)1,15(A9K)の疎水性面のモデルである。濃い灰色の領域は高疎水性残基(F、V、L、Y、W)を有し;明るい灰色の領域は比較的低い疎水性残基(G、A、T)を有し;非常に明るい灰色の領域は荷電/親水性残基(H、K、E、N、S)を表し;点線の楕円でマークされた領域は疎水性i+4二重ステープル位置を示し;円で囲まれた領域はリジン変異を示す。表面は、PDBファイル1Z64を用いて作成した。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
安定化ペプチド
本開示は、内部(分子内)架橋(またはステープル)によって結合された少なくとも2つの修飾アミノ酸(ここで、この少なくとも2つのアミノ酸は、例えば、2、3または6アミノ酸離れている)を含む抗細菌性ペプチド(AMP)に関連している、構造的に安定され、微生物選択性であるペプチド(時折、AMPの安定化αヘリックス、または安定化AMPもしくはSTAMPという)を提供する。本書における安定化ペプチドは、ステープル化ペプチド(例えば、1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上のステープルを有するペプチドを包含する)および/またはステッチ化ペプチド(stitched peptide)を包含する。
【0033】
本書における化合物は、円二色性またはNMRによって測定されるように本発明の化合物によるαヘリックス構造の維持によってヘリックス安定性を呈することができる。例えば、いくつかの態様において、当該化合物は、対応する非架橋ペプチドと比べて、円二色性によって決定されるように、αヘリックス度の少なくとも1.25倍、1.5倍、1.75倍または2倍の増加を呈する。いくつかの態様において、該化合物は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%のヘリックス度を呈することができる。
【0034】
アミノ酸は、本書におけるペプチドの構成要素である。用語「アミノ酸」とは、アミノ基とカルボキシル基の両方、および側鎖を含有する分子をいう。本書に記載のペプチドへの包含に好適なアミノ酸としては、天然αアミノ酸、例えばペプチドに見られる20個の一般的な天然に存在するαアミノ酸(例えば、Ala(A)、Arg(R)、Asn(N)、Cys(C)、Asp(D)、Gln(Q)、Glu(E)、Gly(G)、His(H)、Ile(I)、Leu(L)、Lys(K)、Met(M)、Phe(F)、Pro(P)、Ser(S)、Thr(T)、Trp(W)、Tyr(Y)およびVal(V))のD異性体およびL異性体、非天然αアミノ酸(α,α-二置換およびN-アルキル化アミノ酸が挙げられるがこれらに限定されない)、天然βアミノ酸(例えば、βアラニン)ならびに非天然βアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のペプチドの構成に用いられるアミノ酸は、有機合成によって製造することができるか、または他の経路、例えば天然源からの分解または単離によって得ることができる。
【0035】
本発明のペプチドに含むことができる多くの既知の非天然アミノ酸が存在する。非天然アミノ酸のいくつかの例は、4-ヒドロキシプロリン、デスモシン、γアミノ酪酸、βシアノアラニン、ノルバリン、4-(E)-ブテニル-4(R)-メチル-N-メチル-L-トレオニン、N-メチル-L-ロイシン、1-アミノ-シクロプロパンカルボン酸、1-アミノ-2-フェニル-シクロプロパンカルボン酸、1-アミノ-シクロブタンカルボン酸、4-アミノ-シクロペンテンカルボン酸、3-アミノ-シクロヘキサンカルボン酸、4-ピペリジル酢酸、4-アミノ-l-メチルピロール-2-カルボン酸、2,4-ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、2-アミノヘプタン二酸、4-(アミノメチル)安息香酸、4-アミノ安息香酸、オルト置換、メタ置換および/またはパラ置換フェニルアラニン(例えば、-C(=O)C65;-CF3;-CN;-ハロ;-NO2;CH3で置換されたもの)、二置換フェニルアラニン、置換チロシン(例えば、さらに、-C(=O)C65;-CF3;-CN;-ハロ;-NO2;CH3で置換されたもの)、およびスタチンである。加えて、アミノ酸は、いくつか挙げるとヒドロキシル化、ホスホリル化、スルホン化、アシル化、およびグリコシル化されているアミノ酸残基を含むように誘導体化され得る。
【0036】
「ペプチド」または「ポリペプチド」は、ペプチド(アミド)結合によって一緒に連結しているアミノ酸残基のポリマーを含む。これらの用語は、本書で用いる場合、あらゆるサイズ、構造または機能のタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドをいう。典型的には、ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも3アミノ酸長である。ペプチドまたはポリペプチドは、個々のタンパク質またはタンパク質の集合体をいう。いくつかの場合、ペプチドは天然アミノ酸だけを含むことができるが、別法として、当該技術分野で知られているような非天然アミノ酸(すなわち、天然に存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込むことができる化合物)および/またはアミノ酸アナログを用いることができる。また、ペプチドまたはポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸は、例えば、糖基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合、官能化または他の修飾のためのリンカーなどのような化学物質(chemical entity)の付加によって、修飾され得る。ペプチドまたはポリペプチドは、また、単一分子であっても、タンパク質のような多分子複合体であってもよい。ペプチドまたはポリペプチドは、天然に存在するタンパク質またはペプチドの単なるフラグメントであってよい。ペプチドまたはポリペプチドは、天然に存在するものであっても、組換え体であっても、合成物であっても、それらを組み合わせたものであってもよい。「ジペプチド」とは、2つの共有結合したアミノ酸をいう。
【0037】
いくつかの態様において、本開示は、アミノ酸配列:
GIGKFLHZ1AKKFZ2KAFVZ3EIMNS(配列番号1)
[ここで、
1はSまたはAであり、Z2およびZ3は、独立して、AまたはGであり;
2、3または6アミノ酸離れている2つのアミノ酸の側鎖が内部ステープルに置き換えられているか;3つのアミノ酸の側鎖が内部ステッチに置き換えられているか;4つのアミノ酸の側鎖が2つの内部ステープルに置き換えられているか、または5つのアミノ酸の側鎖が内部ステープルおよび内部ステッチの組み合わせに置き換えられている]
を含む内部架橋(ICL)ペプチドを提供する。
【0038】
いくつかの態様において、本開示は、アミノ酸配列:
GIGKFLKKAKKFGKAFVKILKK(配列番号2)
[ここで、
2、3または6アミノ酸離れている2つのアミノ酸の側鎖が内部ステープルに置き換えられているか;3つのアミノ酸の側鎖が内部ステッチに置き換えられているか;4つのアミノ酸の側鎖が2つの内部ステープルに置き換えられているか、または5つのアミノ酸の側鎖が内部ステープルおよび内部ステッチの組み合わせに置き換えられている]
を含む内部架橋ポリペプチドを提供する。
【0039】
いくつかの場合、1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)のV、F、IまたはLが非疎水性アミノ酸に置き換えられている。いくつかの場合、本開示の内部架橋ポリペプチドは、2、3または6アミノ酸離れている2つのアミノ酸の側鎖を置き換えている内部ステープルを包含し、図1または図2に示されるものから選択される内部ステープルを含む。いくつかの場合、この3つのアミノ酸の側鎖を置き換えている内部ステープルおよび/または内部ステッチは、図1および図2から選択される内部ステッチを包含する。いくつかの場合、内部ステープルおよび/または内部ステッチは、少なくとも2つの内部ステープル(4つのアミノ酸の側鎖と置き換わる、すなわち、各ステープルは3アミノ酸離れている2つのアミノ酸の間にある)を含む。いくつかの場合、内部ステープルおよび/または内部ステッチは、少なくとも1つの内部ステープルおよび内部ステッチの組み合わせを含む。いくつかの場合、内部ステッチは、第1のアミノ酸ならびに第2のアミノ酸および第3のアミノ酸の側鎖を置き換え、それにより内部架橋を介して第1のアミノ酸(第2のアミノ酸と第3のアミノ酸の間にある)を第2のアミノ酸および第3のアミノ酸に架橋する(ここで、第1のアミノ酸と第2のアミノ酸は、2、3または6アミノ酸離れており、第1のアミノ酸と第3のアミノ酸は2、3または6アミノ酸離れており、第2のアミノ酸と第3のアミノ酸は個別のアミノ酸である。いくつかの態様において、この3つのアミノ酸の側鎖と置き換わる内部ステッチは、2、3または6アミノ酸離れている一対のアミノ酸を架橋する。いくつかの態様において、本開示の内部架橋ポリペプチドの4つのアミノ酸の側鎖は、2つの個別の内部ステープルに置き換えられる。いくつかの態様において、2つの個別の内部ステープルのうち1つ目は、2、3または6アミノ酸離れている第1の対のアミノ酸を架橋し、少なくとも2つの個別の内部ステープルのうち2つ目は、2、3または6アミノ酸離れている第2の対のアミノ酸を架橋する。
【0040】
いくつかの場合、ペプチドは、

マガイニン
GIGKFLHSAKKFGKAFVGEIMNS(配列番号3)

ペキシガナン
GIGKFLKKAKKFGKAFVKILKK(配列番号2)

から選択される配列の少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、またはそれ以上の連続するアミノ酸を包含する(例えば、該アミノ酸を含むか、本質的に該アミノ酸からなるか、または該アミノ酸からなる)ことができる。
【0041】
下記のさらなるペプチドは、内部架橋によって修飾されることができる。各々の場合、架橋変種の例が包含される(Xは、側鎖が内部ステープルに置き換えられてアミノ酸を示す)。配列のC末端にある「-NH2」は、C末端アミノ酸がアミド化されていることを示す。配列のC末端にある「-COOH」は、C末端アミノ酸が修飾されていないことを示す。

リューロシジン(ヒラメ(Winter Flounder)の粘膜)
GWGSFFKKAAHVGKHVGKAALTHYL(配列番号4)
GWGSFFKKAAHXGKHVGKXALTHYL(配列番号18)

パーダキシン(紅海のカレイ(Red Sea flatfish)の分泌物)
GFFALIPKIISSPLFKTLLSAVGSALSSSGEQE(配列番号5)
GFFALIPKIISXPLFKTLXSAVGSALSSSGEQE(配列番号19)
ヌタウナギ(Hagfish)の腸管内抗微生物性ペプチド(HFIAP)
GFFKKAWRKVKHAGRRVLKKGVGRHYVNNWLK(配列番号6)
W=臭素化Trp残基
GFFKKAWRKVKHAXRRVLKKXVGRHYVNNWLK(配列番号20)

PGQ(アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の分泌物)
GVLSNVIGYLKKLGTGALNAVLKQ(配列番号7)
GVLSNVIGYLKKLXTGALNAXLKQ(配列番号21)

ブフォリンII(アジアヒキガエル(Asian Toad)ブホ・ブホ・ガラグリザンス(Bufo bufo garagrizans)の胃分泌物)
TRSSRAGLQFPVGRVHRLLRK(配列番号8)
TRSSRAGLQFPXGRVHRLXRK(配列番号22)

デルマセプチン(ネコメガエル(Phyllomedusa frogs)の皮膚分泌物)
ALWKTMLKKLGTMALHAGKAALGAAADTISQGTQ-NH2(配列番号9)
ALWKTMLKKLGTMXLHAGKAXLGAAADTISQGTQ-NH2(配列番号23)

カエリン(アカメアメガエル(Tree Frog Litoria chloris)の皮膚腺)
GLFKVLGSVAKHLLPHVVPVIAEKL-NH2(配列番号10)
GLFKVLGSVAKHLXPHVVPVXAEKL-NH2(配列番号24)

メリチン
GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ-NH2(配列番号11)
GIGAVLKVLTTGXPALISWXKRKRQQ-NH2(配列番号25)

セクロピンA
KWKLFKKIEKVGQNIRDGIIKAGPAVAVVGQATQIAK-NH2(配列番号12)
KWKXFKKIEKXGQNIRDGIIKAGPAVAVVGQATQIAK-NH2(配列番号26)

リコトキシンI
KIKWFKTMKSIAKFIAKEQMKKHLGGE-COOH(配列番号13)
KIKWFKTXKSIAKFXAKEQMKKHLGGE-COOH(配列番号27)

スチエリン(Styelins)B
GFGPAFHSVSNFAKKHKTA-NH2(配列番号14)
GFGPXFHSVSNXAKKHKTA-NH2(配列番号28)

クラバニンB
VFQFLGRIIHHVGNFVHGFSHVF-NH2(配列番号15)
VFQFXGRIIHHXGNFVHGFSHVF-NH2(配列番号29)

カテリシジン(Cathelicidin)A(以下の例は、ウシの胃由来のインドリシジン誘導体であるCP-11である)
ILKKWPWWPWRRK-NH2(配列番号16)
IXKKWPWWXWRRK-NH2(配列番号30)

ダームシジン
SSLLEKGLDGAKKAVGGLGKLGKDAVEDLESVGKGAVHDVKDVLDSVL-COOH(配列番号17)
SSLLEKGLDGXKKAVGGXGKLGKDAVEDLESVGKGAVHDVKDVLDSVL-COOH(配列番号31)

ここで、該ペプチドは、強化または安定化α二次構造を有する(例えば、該ペプチドは、少なくとも1つの内部架橋を包含する)。
【0042】
以下の表1におけるさらなるペプチド(配列番号32~82(左欄の上から下へ、次いで、右欄の上から下へ、連続して番号が付けられた))は、特定のマガイニンステープル化アナログMag(i+4)15、Mag(i+4)0、およびMag(i+4)18、ならびにマガイニン二重ステープル化アナログMag(i+4)1,15(A9K)およびMag(i+4)2,15(A9K)である。記号「!」は2-アミノイソ酪酸を表し;記号「&」はヒドロキシプロリンを表し;記号「B」はノルロイシンを表し;記号「a」はD-アラニンを表し;記号「k」はD-リジンを表す。
【0043】
【表1】
【0044】
以下の表2におけるさらなるペプチド(配列番号83~133(左欄の上から下へ、次いで、右欄の上から下へ、連続して番号が付けられた))は、特定のマガイニンi+7ステープル化アナログである。記号「!」は2-アミノイソ酪酸を表し;記号「&」はヒドロキシプロリンを表し;記号「B」はノルロイシンを表し;記号「a」はD-アラニンを表し;記号「k」はD-リジンを表す。
【0045】
【表2】
【0046】
一例として、上記表1に示される二重ステープル化マガイニンアナログMag(i+4)1,15(A9K)は、特に、グラム陰性細菌(例えば、エシェリキア・コリ(E. coli)、シュードモナス・エルギノーサ(P. aeruginosa)を包含する)に対して強力な活性を示し、しかも、そのMICよりも8倍高い濃度でさえほとんど溶血活性を有さない。
【0047】
いくつかの場合、該ペプチドは、αヘリックス二次構造を有するかまたは有するように誘導することができる。
【0048】
いくつかの場合、該ペプチドは、下記の配列と比べて、1つ、2つまたは3つの保存的置換および/または1つまたは2つの非保存的置換および/または1つまたは2つの挿入または欠失を含む修飾ペプチドである:
GIGKFLHZ1AKKFZ2KAFZ3EIMNS(配列番号1)
ここで、Z1はSまたはAであり;Z2はGまたはAであり;Z3はGまたはAであり;
ここで、該ペプチドは、強化または安定化αヘリックス二次構造を有し(例えば、ここで、該ペプチドは、少なくとも1つの内部架橋を含み);ここで、該同一性のパーセントの計算は架橋アミノ酸を含み、架橋アミノ酸は非保存的置換であるとみなされる。いくつかの場合、内部架橋は、2または3アミノ酸離れている2つのアミノ酸の側鎖と置き換わる。いくつかの場合、内部架橋は、6アミノ酸離れている2つのアミノ酸の側鎖と置き換わる。いくつかの場合、2つの内部架橋が存在し、各々が3アミノ酸離れている一対のアミノ酸の側鎖と置き換わり、各架橋が、得られる本質的なαヘリックスペプチドの本質的に同一の面上にある。
【0049】
いくつかの場合、該ペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのアミノ酸置換含む(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸がAと置き換えられているか、または1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸が保存的に置換されている)修飾ペプチドである。
【0050】
いくつかの場合、安定化ペプチドは、配列番号1~17のうちの1つに対して少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.5%、または100%)同一性を有するか、または、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、例えば、1~2、1~3、1~4、または1~5)の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1~17のうちの1つを含むことができる。いくつかの場合、アミノ酸の側鎖は、式Iによって置換されている。いくつかの場合、安定化ペプチドは、1つまたは2つのステープル(例えば、2または3(または6)アミノ酸離れている2つのアミノ酸の間の1つのステープル、またはそれぞれが2または3(または6)アミノ酸離れている2つのアミノ酸の間にある2つのステープル)を有する配列番号1~17のうちの1つの配列を有する。加えて、この安定化ペプチドにおける該アミノ酸のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ(その側鎖はステープルに置き換えられていない)は、保存的置換に置き換えられることができるか、またはAに置き換えられることができる。
【0051】
いくつかの場合、該ペプチドは、配列:
ZZZKZZKKZKKZZKZZZKZZKK
[ここで、Z=天然に存在するペプチドの天然アミノ酸]
を提供するように置換される。
【0052】
いくつかの場合、「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基に置き換えられる置換を含むことができる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を包含する。
【0053】
アミノ酸配列間の同一性のパーセントを決定する方法は当該技術分野において知られている。例えば、比較の最適化のために、該配列を整列させる(例えば、最適な整列のために、第1のアミノ酸または核酸配列および第2のアミノ酸または核酸配列のうちの片方または両方にギャップを導入し、比較のために非相同配列を無視することができる)。比較のために整列させた参照配列の長さは、該参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、および少なくとも70%、80%、90%、または100%であり得る。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、該分子は、その位置で同一である。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントの決定は、例えばBLAST 2.0プログラムを用いて、行うことができる。配列比較は、アンギャップ整列を用い、デフォルトパラメータ(Blossom 62マトリックス、ギャップ存在コスト11、1残基あたりのギャップコスト1、およびλ比率0.85)を用いて行われる。BLASTプログラムで用いられる数学アルゴリズムは、例えば、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997に記載されている。
【0054】
上記のとおり、本書におけるペプチドは、一緒に内部(分子内)架橋(またはステープル)を形成する少なくとも2つの修飾アミノ酸を含み、ここで、この少なくとも2つの修飾アミノ酸は、(A)2アミノ酸(すなわち、i,i+3、図1および図2において◇で示される)、(B)3アミノ酸(すなわち、i,i+4、図1および図2において○で示される)、または(C)6アミノ酸(すなわち、i,i+7、図1および図2において†で示される)離れている。
【0055】
iとi+3との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C7アルキレンまたはアルケニレンであり得る。iとi+4との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C8アルキレンまたはアルケニレンであり得る。iとi+7との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C11、C12、またはC13アルキレンまたはアルケニレンであり得る。該架橋がアルケニレンである場合、1つ以上の二重結合が存在し得る。
【0056】
iとi+3との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C6、C7、またはC8アルキレンまたはアルケニレン(例えば、1つの二重結合を有するC6アルケニレン)であり得る。iとi+4との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C8アルキレンまたはアルケニレンであり得る。iとi+7との間の架橋の場合、該架橋は、例えば、C11、C12、またはC13アルキレンまたはアルケニレン(例えば、1つの二重結合を有するC11アルケニレン)であり得る。該架橋がアルケニレンである場合、1つ以上の二重結合が存在し得る。該架橋は、-OHおよび-NH3から選択される1~5個の置換基によって置換されていてもよい。
【0057】
「ペプチドステープリング」とは、架橋環を形成するために閉環メタセシス(RCM)反応を用いて、ポリペプチド鎖中に存在する2つのオレフィン含有側鎖(例えば、架橋性側鎖)が共有結合される(例えば、「一緒にステープル化される」)合成方法に由来する造語である(例えば、Blackwell et al., J Org Chem., 66: 5291-5302, 2001;Angew et al., Chem Int Ed. 37:3281, 1994を参照)。本書で用いる場合、用語「ペプチドステープリング」は、単独で「ステープル化」されたポリペプチドを提供するためにあらゆる反応条件および/またはこのような反応を促進する触媒を用いて、ポリペプチド鎖中に存在し得る2つ(例えば、少なくとも一対の)の二重結合含有側鎖、三重結合含有側鎖、または二重結合含有および三重結合含有側鎖を結合することを包含する。用語「多重にステープル化」されたポリペプチドとは、2つ以上の個別のステープルを含有するこれらのポリペプチドをいい、種々のスペーシングおよび組成の2つ、3つまたはそれ以上の独立したステープルを含有し得る。加えて、本書で用いる場合、用語「ペプチドステッチング」とは、2つのステープルが例えば共通の残基に連結されている「ステッチ化」された(例えば、タンデムにまたは多重にステープル化された)ポリペプチドを提供するための単一のポリペプチド鎖における複数の直列の「ステープリング」事象をいう。ペプチドステッチングは、例えば、国際公開第2008/121767号および国際公開第2010/068684号に記載されている(どちらも出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)。いくつかの場合、本書で用いる場合、ステープルは、不飽和結合を保持することができるか、または還元され得る(例えば、下記のステッチングのパラグラフの記載に記載されるとおり)。
【0058】
多くのペプチドステープルは全炭化水素架橋を有するが、他のタイプの架橋またはステープルを用いることができる。例えば、トリアゾール含有(例えば、1,4-トリアゾールまたは1,5-トリアゾール)架橋を用いることができる(例えば、Kawamoto et al. 2012 J Med Chem. 55:1137;国際公開第2010/060112号を参照)。
【0059】
全炭化水素架橋を用いるペプチドのステープリングは、特に生理学的に関連する条件下で、天然の立体構造および/または二次構造を維持するのに役立つことが示されている(例えば、Schafmiester et al., J Am Chem Soc., 122:5891-5892, 2000;Walensky et al., Science, 305:1466-1470, 2004を参照)。
【0060】
αヘリックス二次構造を有する傾向にある全炭化水素架橋による本書におけるペプチドのステープリングは、安定性および種々の薬物動態学的特性を向上させることができる。
【0061】
本書における安定化ペプチドは、少なくとも2つの内部架橋またはステープル化アミノ酸を包含し、ここで、この少なくとも2つのアミノ酸は、例えば、2アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+3)、3アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+4)、または6アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+7)離れている。少なくとも2つのアミノ酸は内部架橋(例えば、ステープル)を支持する必要があるが、例えばさらなる内部架橋(例えば、ステープル)を支持するために、ペプチド中にさらなる対の内部架橋アミノ酸を含むことができる。例えば、ペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のステープルを含むことができる。ペプチドステープルの例、図面に例示されている。架橋ペプチド(例えば、ステープル化および/またはステッチ化ペプチド)は、本書において一般にSTAMPペプチドと称される。
【0062】
別法としてまたは加えて、ペプチドは、例えば共通起源から生じる2つのステープルを生じる、3つの内部架橋またはステッチ化アミノ酸を含むことができる。ペプチドステッチは、少なくとも3つの内部架橋アミノ酸を含み、ここで、3つのアミノ酸の中央(本書においてコアまたは中央アミノ酸と称され、図1および図2において「i」と示される)は、この2つの隣接修飾アミノ酸の各々と内部架橋(α炭素間で)を形成する。該コアアミノ酸のα炭素は、飽和されていても飽和されていなくてもよい、該ペプチドにおける他のアミノ酸のα炭素との内部架橋である側鎖を有する。該コアアミノ酸と架橋されたアミノ酸は、該コアアミノ酸からいずれかの方向に2、3または6アミノ酸離れていることができる(例えば、i、i-3、i、i-4、i、i-7(図1および図2に示される)、i,i+3、i,i+4、i,i+7(図1および図2に示される)(ここで、「i」はコアアミノ酸である)。該コアのいずれかの側のアミノ酸の数(例えば、コアアミノ酸と該コアに架橋したアミノ酸との間)は、同じであっても異なってもよい。
【0063】
いくつかの態様において、本書におけるペプチドは、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のステープルおよび少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のステッチの組み合わせを含むことができる。
【0064】
架橋ペプチド(例えば、ステープル化および/またはステッチ化ペプチド)は、本書において一般にSTAMPペプチドと称される。ペプチドは、図1および図2に例示される1つ以上の位置に架橋アミノ酸を含むことができる。
【0065】
図1および図2において、架橋の位置は、記号および文字「i」で示される。例えば、i10(C1)は、i+3ステープルを介してF1またはG0(i-3とも称される)に連結することができ、またはi+4ステープルを介してG1またはF0(i-4とも称される)に、またはi+7ステープルを介してC2またはC0(i-7とも称される)に連結することができる。もちろん、i10(C1)は、例えばF1(i+3)およびC0(i-7)にステッチ化され得る。
【0066】
修飾(例えば、内部架橋を支持するため)のためのアミノ酸の選択は、また、ステープルスキャニングによって促進され得る。用語「ステープルスキャン」および「ステープルウォーク」は、ステープル化ペプチドのライブラリーの合成と同じ意味を表し、これにより、iとi+3;iとi+4;およびiとi+7の単一および複数のステープルまたはステッチの位置は、ステープル化またはステッチ化構築物について所望の、有効な、好適な、または最適な特性および活性を同定するために全ての可能な位置をサンプリングしてペプチド配列の長さに沿って連続して配置される。ステープルスキャニング方法の例は図面に例示される。
【0067】
好適なテザー(tether)は、本書、ならびに例えば米国特許出願公開第2005/0250680号、PCT出願PCT/US2008/058575、国際公開第2009/108261号および国際公開第2010/148335号に記載されている。
【0068】
本書に記載のペプチドにおける使用に適切なアミノ酸側鎖は当該技術分野において知られている。例えば、好適なアミノ酸側鎖としては、メチル(アラニンのαアミノ酸側鎖がメチルである場合)、4-ヒドロキシフェニルメチル(チロシンのαアミノ酸側鎖が4-ヒドロキシフェニルメチルである場合)およびチオメチル(システインのαアミノ酸側鎖がチオメチルである場合)などが挙げられる。「末端不飽和アミノ酸側鎖(terminally unsaturated amino acid side chain)」とは、ポリペプチド鎖における他の末端不飽和部分(terminal unsaturated moiety)との架橋反応に関与する末端不飽和部分、例えば置換もしくは非置換の二重結合(例えば、オレフィン系)または三重結合(例えば、アセチレン系)を有するアミノ酸側鎖をいう。特定の態様において、「末端不飽和アミノ酸側鎖」は、末端オレフィン系アミノ酸側鎖(terminal olefinic amino acid side chain)である。特定の態様において、「末端不飽和アミノ酸側鎖」は、末端アセチレン系アミノ酸側鎖(terminal acetylenic amino acid side chain)である。特定の態様において、「末端不飽和アミノ酸側鎖」の末端部分は、それ以上置換されていない。
【0069】
上記のとおり、内部テザーまたは架橋は、1ヘリカルターンの長さにわたって(すなわち、約3.4アミノ酸(すなわち、i,i+3、またはi,i+4))または2ヘリカルターンの長さにわたって(すなわち、約7アミノ酸(すなわち、i,i+7))伸びることができる。したがって、iとi+3;iとi+4;またはiとi+7に位置するアミノ酸は、化学修飾および架橋の理想的な候補である(図1および図2を参照)。かくして、例えば、ペプチドが配列...Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9...(ここで、「...」は、さらなるアミノ酸の任意の存在を示す)を有する場合、Xaa1とXaa4との間、またはXaa1とXaa5との間、またはXaa1とXaa8との間の架橋は、Xaa2とXaa5との間、またはXaa2とXaa6との間、またはXaa2とXaa9との間などの架橋と同様に有用である。
【0070】
ポリペプチドは、さらに配列を安定化するため、または、より長いポリペプチドストレッチの安定化を促進するために、ポリペプチド配列内に2つ以上の架橋を含むことができる。該ポリペプチドが1つの部分で容易に合成するには長すぎる場合、別々に合成した架橋ペプチドをネイティブ化学ライゲーション(native chemical ligation)と称される技術によって結合することができる(例えば、Bang, et al., J. Am. Chem. Soc. 126:1377を参照)。別法として、大きいペプチドは、フゼオンの工業的合成におけるように、収束的手法を用いてルーチン的に合成され、これにより、完全に保護された断片は、特異的かつ連続的に反応し、最後に脱保護した後に、所望の全長生成物を形成する。
【0071】
化合物
いくつかの態様において、安定化ペプチドは、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個または30個のアミノ酸を有することができる。
【0072】
本発明は、式(I):
【化2】
[式中、
各R1およびR2は、独立して、H、またはC1~C10アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキルもしくはヘテロシクリルアルキルであり;
各R3は、1~6個のR4で置換されている、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(例えば、C6、C7、またはC11アルケニレン)であり;
各R4は、独立して、-NH3または-OHであり、ここで、各-NH3は置換されていてもよく;
ここで、各R3は、対応する親(すなわち、非修飾)非内部架橋AMPと比べて、2、3または6アミノ酸離れている(すなわち、x=2、3または6)少なくとも一対(例えば、一対または二対)のアミノ酸の側鎖にとって代わる]
で示される修飾ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0073】
上記および本書の他の記載箇所で用いる場合、「対応する親(すなわち、非修飾)非内部架橋AMP」は、野生型AMP、または本書に記載の内部架橋を含まないことを除けば本書に記載の野生型AMPの変種のいずれかであり得る。
【0074】
式Iの場合、記載された態様のなかに以下の態様がある。
【0075】
x=2(すなわち、i+3リンケージ)の場合、R3は、例えば、C7アルキレン、アルケニレンであり得る。それがアルケニレンである場合、1つ以上の二重結合が存在し得る。x=6(すなわち、i+4リンケージ)の場合、R3は、例えば、C11、C12またはC13アルキレンまたはアルケニレンであり得る。それがアルケニレンである場合、1つ以上の二重結合が存在し得る。x=3(すなわち、i+4リンケージ)の場合、R3は、例えば、C8アルキレン、アルケニレンであり得る。それがアルケニレンである場合、1つ以上の二重結合が存在し得る。
【0076】
特定の場合、2つのα,α二置換立体中心(α炭素)は、ともにR配置またはS配置であるか(例えば、i,i+4架橋)、または1つの立体中心がRであり、残りの立体中心がSである(例えば、i,i+7架橋)。かくして、式Iが
【化3】
として示される場合、例えばxが3である場合、C'およびC''二置換立体中心は、ともにR配置であり得るか、またはそれらはともにS配置であり得る。xが6である場合、C'二置換立体中心がR配置であり、C''二置換立体中心がS配置であるか、または、C'二置換立体中心がS配置であり、C''二置換立体中心がR配置である。R3二重結合(上記定義に基づいて、R3はアルカン部分、アルケン部分またはアルキン部分を含有する;一般にそれはアルケンである)は、EまたはZ立体化学配置であり得る。類似の配置は、すぐ上に示した式におけるC'およびC''に対応する式IIにおける炭素についても可能である。
【0077】
いくつかの場合、ポリペプチドは、架橋に置き換えられる該アミノ酸側鎖に加えて配列番号1~17のいずれかにおける1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個のアミノ酸交換(例えば、保存的アミノ酸交換)を有するアミノ酸配列を包含する。
【0078】
いくつかの態様において、化合物は、式(II):
【化4】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各Bは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化5】
、[-NH-L4-CO-]、[NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはR1ならびに、R1およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであるか(これらのいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはR2ならびに、R2およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R3は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Lは、独立して、大環状分子(macrocycle)形成リンカーであり;
- 各L4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2の結合点である);
- 各nは、独立して、1、2、3、4または5であり;
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である]
を有する。
【0079】
いくつかの態様において、各vおよびwは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。いくつかの態様において、各wは、独立して、3~1000、例えば、3~500、3~200、3~100、3~50、3~30、3~20、または3~10の整数である。いくつかの態様において、wは、3~10、例えば、3~6、3~8、6~8、または6~10の整数である。いくつかの態様において、wは、3である。他の態様において、wは6である。いくつかの態様において、各vは、独立して、1~1000、例えば、1~500、1~200、1~100、1~50、1~30、1~20、または1~10の整数である。いくつかの態様において、vは2である。
【0080】
一例において、R1およびR2の少なくとも一方は、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。別の例において、R1およびR2はともに、独立して、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。いくつかの態様において、R1およびR2の少なくとも一方はメチルである。他の態様において、R1およびR2はメチルである。
【0081】
いくつかの態様において、x+y+zは少なくとも2または少なくとも3である。他の態様において、x+y+zは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。いくつかの態様において、x+y+zの合計は3または6である。いくつかの態様において、x+y+zの合計は3である。他の態様において、x+y+zの合計は6である。
【0082】
大環状分子または大環状分子前駆体におけるA、B、C、DまたはEの各出現は独立して選択される。例えば、式[A]xによって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一ではない態様(例えば、Gln-Asp-Ala)、およびアミノ酸が同一である態様(例えば、Gln-Gln-Gln)を包含する。これは、所定の範囲のx、yまたはzの値について当てはまる。同様に、uが1よりも大きい場合、各化合物は、同一または異なる化合物を包含し得る。例えば、化合物は、異なるリンカー長または化学組成を含む化合物を含み得る。
【0083】
いくつかの態様において、該化合物は、ヘリックス内水素結合を可能にさせる、R8が-Hであるαヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つはα,α-二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α-二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2-アミノイソ酪酸である。他の態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは
【化6】
である。
【0084】
他の態様において、第1のCαから第2のCαまで測定した大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαと第2のCαの間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるαヘリックスのような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。
【0085】
いくつかの態様において、式(II)で示される化合物は、式(IIa):
【化7】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各Bは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化8】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各Lは、独立して、大環状分子形成リンカーであり;
- 各L'は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンもしくはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、または結合であるか、またはR1ならびに、R1およびL'の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各L''は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンもしくはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、または結合であるか、またはR2ならびに、R2およびL''の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはL'ならびに、R1およびL'の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはL''ならびに、R2およびL''の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- R3は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各L4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2への結合点である);
- 各nは、独立して、1、2、3、4または5であり;
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である]
を有する。
【0086】
いくつかの態様において、Lは、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、L1およびL2は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)である。
【0087】
一例において、R1およびR2の少なくとも一方は、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。別の例において、R1およびR2はともに、独立して、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。いくつかの態様において、R1およびR2の少なくとも一方はメチルである。他の態様において、R1およびR2はメチルである。
【0088】
いくつかの態様において、x+y+zは少なくとも2または少なくとも3である。他の態様において、x+y+zは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。大環状分子または大環状分子前駆体におけるA、B、C、DまたはEの各出現は独立して選択される。例えば、式[A]xによって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一ではない態様(例えば、Gln-Asp-Ala)、およびアミノ酸が同一である態様(例えば、Gln-Gln-Gln)を包含する。これは、所定の範囲のx、yまたはzの値について当てはまる。同様に、uが1よりも大きい場合、各化合物は、同一または異なる部分を包含し得る。例えば、化合物は、異なるリンカー長または化学組成を含む部分を含み得る。
【0089】
いくつかの態様において、該化合物は、ヘリックス内水素結合を可能にさせる、R8が-Hであるヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つはα,α-二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α-二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2-アミノイソ酪酸である。他の態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、
【化9】
である。
【0090】
他の態様において、第1のCαから第2のCαまで測定した大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαと第2のCαの間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるヘリックスのような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。
【0091】
いくつかの態様において、式(II)で示される化合物は、式(IIb):
【化10】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、アミノ酸であり(ここで、A、B、C、DおよびEは、大環状分子形成リンカーLおよびL'によって連結された架橋アミノ酸と一緒になって目的ペプチドのアミノ酸配列を形成する);
- 各Bは、独立して、アミノ酸、
【化11】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- Lは、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはLならびに、R1およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、または、Lならびに、R2およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- R3は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- L'は、式-L1'-L2'-で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各R1'は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはL'ならびに、R1'およびL'の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2'は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはL'ならびに、R2'およびL'の両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- L1'、L2'およびL4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1、R2、R1'、またはR2'への結合点である);
- 各nは、独立して、1、2、3、4または5であり;
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各R7'は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8'は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各x'、y'およびz'は、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各v'およびw'は、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各nは、1、2、3、4または5である]
を有する。
【0092】
いくつかの態様において、x'+y'+z'の合計は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、例えば3または6であり、少なくとも2、または少なくとも3である。
【0093】
いくつかの態様において、該化合物は、式(IIc):
【化12】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各Bは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化13】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはR1ならびに、R1およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはR2ならびに、R2およびLの両方が結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R3は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Lは、独立して、式
【化14】
で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各L1、L2およびL3は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2への結合点である);
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各nは、1、2、3、4または5である]
を有する。
【0094】
一例において、R1およびR2の少なくとも一方は、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。別の例において、R1およびR2はともに、独立して、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。いくつかの態様において、R1およびR2の少なくとも一方はメチルである。他の態様において、R1およびR2はメチルである。
【0095】
いくつかの態様において、x+y+zは少なくとも2または少なくとも3である。他の態様において、x+y+zは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。大環状分子または大環状分子前駆体におけるA、B、C、DまたはEの各出現は独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一ではない態様(例えば、Gln-Asp-Ala)、およびアミノ酸が同一である態様(例えば、Gln-Gln-Gln)を包含する。これは、所定の範囲のx、yまたはzの値について当てはまる。
【0096】
いくつかの態様において、Eによって表される最初の2つのアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される最初の3つのアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される最初の4つのアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、Eに関するi+1、i+2、i+3、i+4、i+5、および/またはi+6であるアミノ酸の1つ以上または各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。
【0097】
いくつかの態様において、Eによって表される第1のC末端アミノ酸および/または第2のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖を含む。例えば、Eによって表される第1のC末端アミノ酸および/または第2のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖、例えば小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される第1のC末端アミノ酸、第2のC末端アミノ酸および/または第3のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖を含む。例えば、Eによって表される第1のC末端アミノ酸、第2のC末端アミノ酸および/または第3のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖、例えば小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、Eに関してi+1、i+2、i+3、i+4、i+5、および/またはi+6であるアミノ酸の1つ以上または各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。
【0098】
いくつかの態様において、各wは、独立して、1~1000の整数である。例えば、Eによって表される第1のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、wは、2~1000である。例えば、Eによって表される第2のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、wは、3~1000である。例えば、Eによって表される第3のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。例えば、Eによって表される第3のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、wは、4~1000である。いくつかの態様において、wは、5~1000である。いくつかの態様において、wは、6~1000である。いくつかの態様において、wは、7~1000である。いくつかの態様において、wは、8~1000である。
【0099】
いくつかの態様において、該化合物は、ヘリックス内水素結合を可能にさせる、R8が-Hであるヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つはα,α-二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α-二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2-アミノイソ酪酸である。他の態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、
【化15】
である。
【0100】
他の態様において、第1のCαから第2のCαまで測定した大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαと第2のCαの間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるヘリックスのような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。
【0101】
いくつかの態様において、Lは、式
【化16】
で示される大環状分子形成リンカーである。
【0102】
いくつかの態様において、Lは、式
【化17】
で示される大環状分子形成リンカーまたはその互変異性体である。
【0103】
大環状分子形成リンカーLの典型的な態様は、以下に示される。
【0104】
【化18】
【化19】
【0105】
トリアゾール架橋基(crosslinker)の形成に用いられるアミノ酸は、下記の説明に従って表される。各アミノ酸のα位の立体化学は、他に特記しない限り、Sである。アジドアミノ酸については、示された炭素原子の数は、α炭素と末端のアジドとの間にあるメチレン単位の数をいう。アルキンアミノ酸については、示された炭素原子の数は、α位とトリアゾール部分との間にあるメチレン単位の数に、アルキンに由来するトリアゾール基内の2つの炭素原子を足した数である。
$5a5 α-Me アルキン 1,5 トリアゾール(5炭素)
$5n3 α-Me アジド 1,5 トリアゾール(3炭素)
$4rn6 α-Me R-アジド 1,4 トリアゾール(6炭素)
$4a5 α-Me アルキン 1,4 トリアゾール(5炭素)
【0106】
大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ1ターンにまたがる場合、該リンケージは、およそ4個の原子~12個の原子、およそ6個の原子から10個の原子、またはおよそ8個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ2ターンにまたがる場合、該リンケージは、およそ7個の原子~15個の原子、およそ9個の原子~13個の原子、またはおよそ11個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ3ターンにまたがる場合、該リンケージは、およそ13個の原子~21個の原子、およそ15個の原子~19個の原子、またはおよそ17個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ4ターンにまたがる場合、該リンケージは、およそ19個の原子~27個の原子、およそ21個の原子~25個の原子、またはおよそ23個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ5ターンにまたがる場合、該リンケージは、およそ25個の原子~33個の原子、およそ27個の原子~31個の原子、またはおよそ29個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ1ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ17個の構成員~25個の構成員、およそ19個の構成員~23個の構成員、またはおよそ21個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ2ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ29個の構成員~37個の構成員、およそ31個の構成員~35個の構成員、またはおよそ33個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ3ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ44個の構成員~52個の構成員、およそ46個の構成員~50個の構成員、またはおよそ48個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ4ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ59個の構成員~67個の構成員、およそ61個の構成員~65個の構成員、またはおよそ63個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがαヘリックスのおよそ5ターンに及ぶ場合、得られた大環状分子は、およそ74個の構成員~82個の構成員、およそ76個の構成員~80個の構成員、またはおよそ78個の構成員を含有する環を形成する。
【0107】
本書におけるいずれの態様においても、各v、w、v'およびw'は、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であり得る。本書におけるいずれの態様においても、各v、w、v'およびw'は、独立して、0~1000、0~500、0~400、0~300、0~200、0~100、0~50、0~40、0~30、0~25、0~20、0~15、0~10、0~8、0~6、0~5、1~1000、1~500、1~400、1~300、1~200、1~100、1~50、1~40、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~8、1~6、1~5、3~1000、3~500、3~400、3~300、3~200、3~100、3~50、3~40、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、3~8、3~6、または3~5であり得る。
【0108】
ある態様において、式(II)で示される化合物は、
【化20】
[式中、各R1およびR2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)である]
である。
【0109】
関連する態様において、該化合物は、
【化21】
である式(II)の構造を含む。
【0110】
いくつかの態様において、式(II)で示される化合物は、
【化22】
[式中、各R1およびR2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(非置換であるかまたはハロ-で置換された)である]
である。
【0111】
関連する態様において、式(II)で示される化合物は、
【化23】
[式中、各R1'およびR2'は、独立して、アミノ酸側鎖である]
である。
【0112】
他の態様において、式(II)で示される化合物は、以下に示される式のいずれかによって示される化合物である:
【化24】
【化25】
【化26】
式中、「AA」は、いずれかの天然または非天然アミノ酸側鎖を表し、
【化27】
は、上記で定義した[D]vまたは[E]wであり、nは、0~20、50、100、200、300、400または500の整数である。いくつかの態様において、前のパラグラフで示される置換基「n」は0である。他の態様において、前のパラグラフで示される置換基「n」は50未満、40、30、20、10または5である。
【0113】
大環状分子形成リンカーLの典型的な態様は、以下に示される。
【化28】
【0114】
他の態様において、式(II)で示される化合物における[D]および/または[E]は、細胞取り込みを促進するためにさらに修飾される。いくつかの態様において、化合物の脂質付加またはPEG化は、細胞取り込みを促進し、バイオアベイラビリティを上昇させ、血液循環を増加させ、薬物動態を変化させ、免疫原性を低下させ、および/または、必要投与回数を減少させる。
【0115】
他の態様において、式(II)で示される化合物における[D]および[E]の少なくとも1つは、化合物が少なくとも2つの大環状分子形成リンカーを含むようにさらなる大環状分子形成リンカーを含む部分を表す。特定の態様において、化合物は2つの大環状分子形成リンカーを含む。ある態様において、uは2である。
【0116】
いくつかの態様において、Lは、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、L1およびL2は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;各R4は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2への結合点である);各nは、独立して、1、2、3、4または5である。
【0117】
本書に記載の式のいずれかの態様において、L1およびL2は、単独でまたは組み合わせて、トリアゾールまたはチオエーテルを形成する。
【0118】
本書に記載の式のいずれかの態様において、L1およびL2は、単独でまたは組み合わせて、トリアゾールまたはチオエーテルを形成しない。
【0119】
他の態様において、第1のα炭素から第2のα炭素まで測定した大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のα炭素と第2のα炭素の間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるヘリックスのような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。
【0120】
一例において、R1およびR2の少なくとも一方は、非置換であるかまたはハロ-で置換されているアルキルである。別の例において、R1およびR2はともに、独立して、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。いくつかの態様において、R1およびR2の少なくとも一方はメチルである。他の態様において、R1およびR2はメチルである。
【0121】
いくつかの態様において、x+y+zは少なくとも2または少なくとも3である。他の態様において、x+y+zは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。大環状分子または大環状分子前駆体におけるA、B、C、DまたはEの各出現は独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一ではない態様(例えば、Gln-Asp-Ala)、およびアミノ酸が同一である態様(例えば、Gln-Gln-Gln)を包含する。これは、所定の範囲のx、yまたはzの値について当てはまる。同様に、uが1よりも大きい場合、各化合物は、同一または異なる化合物を包含し得る。例えば、化合物は、異なるリンカー長または化学組成を含む化合物を含み得る。
【0122】
いくつかの態様において、該化合物は、ヘリックス内水素結合を可能にさせる、R8が-Hであるヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つはα,α-二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α-二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2-アミノイソ酪酸である。他の態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは
【化29】
である。
【0123】
いくつかの態様において、wは、1~1000である。例えば、Eによって表される第1のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、wは、2~1000である。例えば、Eによって表される第2のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、wは、3~1000である。例えば、Eによって表される第3のアミノ酸は、小さい疎水性側鎖を含むことができる。例えば、Eによって表される第3のアミノ酸は小さい疎水性側鎖を含むことができる。いくつかの態様において、wは、4~1000である。いくつかの態様において、wは5~1000である。いくつかの態様において、wは6~1000である。いくつかの態様において、wは7~1000である。いくつかの態様において、wは8~1000である。いくつかの態様において、wは、3~10、例えば3~6、3~8、6~8、または6~10の整数である。いくつかの態様において、wは3である。他の態様において、wは、6である。いくつかの態様において、vは、1~10、例えば、2~5の整数である。いくつかの態様において、vは2である。いくつかの態様において、vは3である。
【0124】
いくつかの態様において、Eによって表される第1の2個のアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される第1の3個のアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される第1の4個のアミノ酸の各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。
【0125】
いくつかの態様において、Eによって表される第1のC末端アミノ酸および/または第2のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖を含む。例えば、Eによって表される第1のC末端アミノ酸および/または第2のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖、例えば小さい疎水性側鎖を含む。いくつかの態様において、Eによって表される第1のC末端アミノ酸、第2のC末端アミノ酸、および/または第3のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖を含む。例えば、Eによって表される第1のC末端アミノ酸、第2のC末端アミノ酸、および/または第3のC末端アミノ酸は、疎水性側鎖、例えば小さい疎水性側鎖を含む。
【0126】
いくつかの態様において、第1のEに関してi+1、i+2、i+3、i+4、i+5、および/またはi+6であるアミノ酸の1つ以上または各々は、非荷電側鎖または負荷電側鎖を含む。いくつかの態様において、各Eは、独立して、Ala(アラニン)、D-Ala(D-アラニン)、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Sar(N-メチルグリシン)およびSer(セリン)からなる群から選択されるアミノ酸である。
【0127】
他の態様において、式I、Ia、IbまたはIcで示される化合物における[D]および/または[E]は、細胞取り込みを促進するためにさらに修飾される。いくつかの態様において、化合物の脂質付加またはPEG化は、細胞取り込みを促進し、バイオアベイラビリティを上昇させ、血液循環を増加させ、薬物動態を変化させ、免疫原性を低下させ、および/または、必要投与回数を減少させる。
【0128】
他の態様において、式I、Ia、IbまたはIcで示される化合物における[D]および[E]の少なくとも1つは、化合物が少なくとも2つの大環状分子形成リンカーを含むようにさらなる大環状分子形成リンカーを含む部分を表す。特定の態様において、化合物は2つの大環状分子形成リンカーを含む。ある態様において、uは2である。
【0129】
他の態様において、本発明は、式(III):
【化30】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各Bは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化31】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはR1ならびに、R1およびLが結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であるか、またはR2ならびに、R2およびLが結合している原子と一緒になって環を形成し;
- 各R3は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各L1、L2、L3、およびL4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2への結合点である);
- 各R4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはD残基との環状構造の一部であり;
- 各R8は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各nは、独立して、1、2、3、4または5である]
で示される化合物を提供する。
【0130】
いくつかの態様において、第1のα炭素から第2のα炭素まで測定した大環状分子形成リンカー[-L1-S-L2-S-L3-]の長さは、第1のα炭素と第2のα炭素の間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるヘリックス(310ヘリックスまたはαヘリックスが挙げられるがこれらに限定されない)のような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。いくつかの態様において、チオール部分は、アミノ酸残基であるL-システイン、D-システイン、α-メチル-L-システイン、α-メチル-D-システイン、L-ホモシステイン、D-ホモシステイン、α-メチル-L-ホモシステイン、またはα-メチル-D-ホモシステインの側鎖である。ビスアルキル化試薬は、一般式X-L2-Y(式中、L2はリンカー部分であり、XおよびYは、L2と結合を形成するために-SH部分に置き換えられる脱離基である)で示されるものである。いくつかの態様において、XおよびYはハロゲン、例えば、I、BrまたはClである。
【0131】
他の態様において、本発明は、式(IV)または(IVa):
【化32】
[式中、
- 各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各Bは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化33】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各R1は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各R2は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはE残基との環状構造の一部であり;
- 各R3は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Lは、独立して、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各L1、L2、およびL4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、CONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3qであり(ここで、各R3qは、独立して、R1またはR2への結合点である);
- 各R7は、独立して、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各vおよびwは、独立して、0~1000、1~1000、または3~1000の整数であり;
- 各x、yおよびzは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各nは、独立して、1、2、3、4、5である]
で示される化合物を提供する。
【0132】
一例において、L1およびL2は、単独でまたは組み合わせて、トリアゾールまたはチオエーテルを形成しない。
【0133】
一例において、R1およびR2の少なくとも一方は、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。別の例において、R1およびR2はともに、独立して、非置換であるかまたはハロ-で置換されたアルキルである。いくつかの態様において、R1およびR2の少なくとも一方はメチルである。他の態様において、R1およびR2はメチルである。
【0134】
いくつかの態様において、x+y+zは少なくとも1である。他の態様において、x+y+zは少なくとも2である。他の態様において、x+y+zは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。大環状分子または大環状分子前駆体におけるA、B、C、DまたはEの各出現は独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一ではない態様(例えば、Gln-Asp-Ala)、およびアミノ酸が同一である態様(例えば、Gln-Gln-Gln)を包含する。これは、所定の範囲のx、yまたはzの値について当てはまる。
【0135】
いくつかの態様において、該化合物は、ヘリックス内水素結合を可能にさせる、R8が-Hであるαヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、α,α-二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α-二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2-アミノイソ酪酸である。他の態様において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは
【化34】
である。
【0136】
他の態様において、第1のCαから第2のCαまで測定した大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαと第2のCαの間のものを包含するが必ずしもこれに限定されるわけではない該化合物の残基によって形成されるαヘリックスのような所望の二次ペプチド構造を安定化させるように選択される。
【0137】
いくつかの態様において、当該化合物は、式(V)または式(Va):
【化35】
[式中、
- 各Aa、Ca、Da、Ea、Ab、CbおよびDbは、独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
- 各BaおよびBbは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、
【化36】
、[-NH-L4-CO-]、[-NH-L4-SO2-]、または[-NH-L4-]であり;
- 各Ra1は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはHであるか;またはRa1は、DaまたはEaアミノ酸のうち1つのアミノ酸のα位に連結する大環状分子形成リンカーL'を形成するか;またはLaと一緒になって、非置換であるかまたは置換されている環を形成し;
- 各Ra2は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはHであるか;またはRa2は、DaまたはEaアミノ酸のうち1つのアミノ酸のα位に連結する大環状分子形成リンカーL'を形成するか;またはLaと一緒になって、非置換であるかまたは置換されている環を形成し;
- 各Rb1は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはHであるか;またはRb1は、Dbアミノ酸のうちの1つのアミノ酸のα位に連結する大環状分子形成リンカーL'を形成するか;またはLbと一緒になって、非置換であるかまたは置換されている環を形成し;
- 各R3は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)、またはHであり;
- 各Laは、独立して、大環状分子形成リンカーであり、非置換であるかまたは置換されているRa1またはRa2との環を形成してもよく;
- 各Lbは、独立して、大環状分子形成リンカーであり、非置換であるかまたは置換されているRb1との環を形成してもよく;
- 各L'は、独立して、大環状分子形成リンカーであり;
- 各L4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kは、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、OCO2、NR3、CONR3、OCONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3q(ここで、各R3qは、独立して、Ra1、Ra2またはRb1への結合点である)であり;
- 各Ra7は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはH;またはDaアミノ酸との環状構造の一部であり;
- 各Rb7は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはH;またはDbアミノ酸との環状構造の一部であり;
- 各Ra8は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはH;またはEaアミノ酸との環状構造の一部であり;
- 各Rb8は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリールもしくはヘテロシクロアリール(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている);またはH;または1~1000アミノ酸残基のアミノ酸配列であり;
- 各vaおよびvbは、独立して、0~1000の整数であり;
- 各waおよびwbは、独立して、0~1000の整数であり;
- 各uaおよびubは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、ここで、ua+ubは少なくとも1であり;
- 各xaおよびxbは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各yaおよびybは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各zaおよびzbは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
- 各nは、独立して、1、2、3、4または5である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0138】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、
- 各Laが、独立して、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーであり、非置換であるかまたは置換されているRa1またはRa2との環を形成してもよく;
- 各Lbが、独立して、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーであり、非置換であるかまたは置換されているRb1との環を形成してもよく;
- 各L'が、独立して、式-L1-L2-で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各L1およびL2が、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4が、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kが、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、OCO2、NR3、CONR3、OCONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3q(ここで、各R3qは、独立して、Ra1、Ra2、またはRb1への結合点である、
上記で定義した式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0139】
いくつかの態様において、当該化合物は、各LaおよびLbが、独立して、トリアゾール含有大環状分子形成リンカーである、上記で定義した式を有する。いくつかの態様において、当該化合物は、
- 各LaおよびLbが、独立して、式:
【化37】
で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各L1、L2、およびL3が、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各R4が、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kが、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、OCO2、NR3、CONR3、OCONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3q(ここで、各R3qは、独立して、Ra1、Ra2またはRb1への結合点である)であり;
- 各nが、独立して、1、2、3、4または5である、
上記で定義した式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0140】
いくつかの態様において、当該化合物は、
- 各LaおよびLbが、独立して、式-L1-SR910-L2-SR1112-L3-(式中、各L1、L2、およびL3は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレンまたは[-R4-K-R4-]n(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;各R9、R10、R11、およびR12は、独立して、存在しないかまたはOである)で示される大環状分子形成リンカーであり;
- 各R4が、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン(これらはいずれも非置換であるかまたは置換されている)であり;
- 各Kが、独立して、O、S、SO、SO2、CO、CO2、OCO2、NR3、CONR3、OCONR3、OSO2NR3、NR3q、CONR3q、OCONR3q、またはOSO2NR3q(ここで、各R3qは、独立して、Ra1、Ra2またはRb1への結合点である)であり;
- 各nが、独立して、1、2、3、4または5である、
上記で定義した式で示される化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0141】
いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLbのうち1つまたは両方が、独立して、ビスチオエーテル含有大環状分子形成リンカーである、上記で定義した式を有する。いくつかの態様において、各LaおよびLbは、独立して、式-L1-S-L2-S-L3-で示される大環状分子形成リンカーである。
【0142】
いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLbのうち1つまたは両方が、独立して、ビススルホン含有大環状分子形成リンカーである、上記で定義した式を有する。いくつかの態様において、各LaおよびLbは、独立して、式-L1-SO2-L2-SO2-L3-で示される大環状分子形成リンカーである。
【0143】
いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLbのうち1つまたは両方が、独立して、ビススルホキシド含有大環状分子形成リンカーである、上記で定義した式を有する。いくつかの態様において、各LaおよびLbは、独立して、式-L1-S(O)-L2-S(O)-L3-で示される大環状分子形成リンカーである。
【0144】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、1つ以上の二次構造を含む。いくつかの態様において、当該化合物は、αヘリックスである二次構造を含む。いくつかの態様において、当該化合物は、βヘアピンターンである二次構造を含む。
【0145】
いくつかの態様において、uaは0である。いくつかの態様において、uaは0であり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは0であり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。
【0146】
いくつかの態様において、ubは0である。いくつかの態様において、ubは0であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、ubは0であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。
【0147】
いくつかの態様において、当該化合物は、αヘリックス二次構造だけを含む。
【0148】
他の態様において、当該化合物は、αヘリックス構造およびβヘアピン構造である二次構造の組み合わせを含む。いくつかの態様において、LaおよびLbは、炭化水素含有大環状分子形成リンカー、トリアゾール含有大環状分子形成リンカー、または硫黄含有大環状分子形成リンカーの組み合わせである。いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLb(ここで、Laは、βヘアピン構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである)を含む。いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLb(ここで、Laは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである)を含む。いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLb(ここで、Laは、αヘリックス構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである)を含む。いくつかの態様において、当該化合物は、LaおよびLb(ここで、Laは、βヘアピン構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである)を含む。
【0149】
いくつかの態様において、ua+ubは少なくとも1である。いくつかの態様において、ua+ub=2である。
【0150】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1である。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、βヘアピン二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。
【0151】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、βヘアピン二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。
【0152】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、βヘアピン二次構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。
【0153】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造を架橋するトリアゾール含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、硫黄含有大環状分子形成リンカーである。
【0154】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、硫黄含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造とのトリアゾール含有大環状分子形成リンカーである。
【0155】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス二次構造との炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、硫黄含有大環状分子形成リンカーである。
【0156】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、硫黄含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス二次構造との炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。
【0157】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、硫黄含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、硫黄含有大環状分子形成リンカーである。
【0158】
いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、βヘアピン構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。いくつかの態様において、uaは1であり、ubは1であり、Laは、βヘアピン構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーであり、Lbは、αヘリックス構造を架橋する炭化水素含有大環状分子形成リンカーである。
【0159】
いくつかの態様において、Rb1はHである。
【0160】
いくつかの態様において、各vおよびwは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。いくつかの態様において、wは、3~1000、例えば3~500、3~200、3~100、3~50、3~30、3~20、または3~10の整数である。いくつかの態様において、x+y+zの合計は3または6である。いくつかの態様において、x+y+zの合計は3である。他の態様において、x+y+zの合計は6である。
【0161】
他に特記しない限り、いずれの化合物(化合物、大環状分子前駆体、および他の組成物を包含する)も、1個以上の同位体濃縮原子の存在だけが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、水素の重水素またはトリチウムとの置き換え、または炭素の13C濃縮または14C濃縮炭素との置き換えを除けば所望の構造を有する化合物は本開示の範囲内である。
【0162】
いくつかの態様において、本書に記載の化合物は、かかる化合物を構成する原子の1個以上において非天然の割合の原子同位体を含有することができる。例えば、該化合物は、放射性同位体、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)などで放射標識され得る。他の態様において、1個以上の炭素原子は、ケイ素原子に置き換えられる。本書に記載の化合物の全ての同位体変化は、放射性であってもなくても、本書において意図される。
【0163】
本書に記載の化合物は、化学的に、光学的に、異性体的に、エナンチオマー的に、またはジアステレオマー的に、少なくとも純度1%、少なくとも純度2%、少なくとも純度3%、少なくとも純度4%、少なくとも純度5%、少なくとも純度6%、少なくとも純度7%、少なくとも純度8%、少なくとも純度9%、少なくとも純度10%、少なくとも純度11%、少なくとも純度12%、少なくとも純度13%、少なくとも純度14%、少なくとも純度15%、少なくとも純度16%、少なくとも純度17%、少なくとも純度18%、少なくとも純度19%、少なくとも純度20%、少なくとも純度21%、少なくとも純度22%、少なくとも純度23%、少なくとも純度24%、少なくとも純度25%、少なくとも純度26%、少なくとも純度27%、少なくとも純度28%、少なくとも純度29%、少なくとも純度30%、少なくとも純度31%、少なくとも純度32%、少なくとも純度33%、少なくとも純度34%、少なくとも純度35%、少なくとも純度36%、少なくとも純度37%、少なくとも純度38%、少なくとも純度39%、少なくとも純度40%、少なくとも純度41%、少なくとも純度42%、少なくとも純度43%、少なくとも純度44%、少なくとも純度45%、少なくとも純度46%、少なくとも純度47%、少なくとも純度48%、少なくとも純度49%、少なくとも純度50%、少なくとも純度51%、少なくとも純度52%、少なくとも純度53%、少なくとも純度54%、少なくとも純度55%、少なくとも純度56%、少なくとも純度57%、少なくとも純度58%、少なくとも純度59%、少なくとも純度60%、少なくとも純度61%、少なくとも純度62%、少なくとも純度63%、少なくとも純度64%、少なくとも純度65%、少なくとも純度66%、少なくとも純度67%、少なくとも純度68%、少なくとも純度69%、少なくとも純度70%、少なくとも純度71%、少なくとも純度72%、少なくとも純度73%、少なくとも純度74%、少なくとも純度75%、少なくとも純度76%、少なくとも純度77%、少なくとも純度78%、少なくとも純度79%、少なくとも純度80%、少なくとも純度81%、少なくとも純度82%、少なくとも純度83%、少なくとも純度84%、少なくとも純度85%、少なくとも純度86%、少なくとも純度87%、少なくとも純度88%、少なくとも純度89%、少なくとも純度90%、少なくとも純度91%、少なくとも純度92%、少なくとも純度93%、少なくとも純度94%、少なくとも純度95%、少なくとも純度96%、少なくとも純度97%、少なくとも純度98%、少なくとも純度99%、少なくとも純度99.1%、少なくとも純度99.2%、少なくとも純度99.3%、少なくとも純度99.4%、少なくとも純度99.5%、少なくとも純度99.6%、少なくとも純度99.7%、少なくとも純度99.8%、または少なくとも純度99.9%であり得る。純度は、例えば、HPLC、MS、LC/MS、融点、またはNMRによって、評価することができる。
【0164】
2つ以上のペプチドは、ある程度の相同性を共有することができる。一対のペプチドは、例えば、約20%までのペアワイズ相同性、約25%までのペアワイズ相同性、約30%までのペアワイズ相同性、約35%までのペアワイズ相同性、約40%までのペアワイズ相同性、約45%までのペアワイズ相同性、約50%までのペアワイズ相同性、約55%までのペアワイズ相同性、約60%までのペアワイズ相同性、約65%までのペアワイズ相同性、約70%までのペアワイズ相同性、約75%までのペアワイズ相同性、約80%までのペアワイズ相同性、約85%までのペアワイズ相同性、約90%までのペアワイズ相同性、約95%までのペアワイズ相同性、約96%までのペアワイズ相同性、約97%までのペアワイズ相同性、約98%までのペアワイズ相同性、約99%までのペアワイズ相同性、約99.5%までのペアワイズ相同性、または約99.9%までのペアワイズ相同性を有することができる。一対のペプチドは、例えば、少なくとも約20%のペアワイズ相同性、少なくとも約25%のペアワイズ相同性、少なくとも約30%のペアワイズ相同性、少なくとも約35%のペアワイズ相同性、少なくとも約40%のペアワイズ相同性、少なくとも約45%のペアワイズ相同性、少なくとも約50%のペアワイズ相同性、少なくとも約55%のペアワイズ相同性、少なくとも約60%のペアワイズ相同性、少なくとも約65%のペアワイズ相同性、少なくとも約70%のペアワイズ相同性、少なくとも約75%のペアワイズ相同性、少なくとも約80%のペアワイズ相同性、少なくとも約85%のペアワイズ相同性、少なくとも約90%のペアワイズ相同性、少なくとも約95%のペアワイズ相同性、少なくとも約96%のペアワイズ相同性、少なくとも約97%のペアワイズ相同性、少なくとも約98%のペアワイズ相同性、少なくとも約99%のペアワイズ相同性、少なくとも約99.5%のペアワイズ相同性、少なくとも約99.9%のペアワイズ相同性を有することができる。
【0165】
2つ以上のペプチド間の相同性を決定するために、NCBI BLAST、Clustal W、MAFFT、Clustal Omega、AlignMe、Praline、または他の好適な方法またはアルゴリズムなどの様々な方法およびソフトウエアプログラムを用いることができる。
【0166】
いくつかの態様において、当該化合物は、310またはαヘリックスモチーフなどの少なくとも1つのヘリックスモチーフを含む。例えば、式I、IIまたはIIIで示される化合物におけるA、B、および/またはCは、1つ以上のヘリックスを含む。一般的な事柄として、ヘリックスは、1ターンあたり3~4個のアミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、該化合物のヘリックスは、1~5ターンを含み、したがって、3~20個のアミノ酸残基を含む。特定の態様において、ヘリックスは、1ターン、2ターン、3ターン、4ターン、または5ターンを含む。いくつかの態様において、大環状分子形成リンカーは、化合物内に含まれるヘリックスモチーフを安定化する。かくして、いくつかの態様において、第1のα炭素から第2のα炭素までの大環状分子形成リンカーLの長さは、ヘリックスの安定性を増大させるように選択される。いくつかの態様において、大環状分子形成リンカーは、ヘリックスの1ターン~5ターンにまたがる。いくつかの態様において、大環状分子形成リンカーは、ヘリックスのおよそ1ターン、2ターン、3ターン、4ターン、または5ターンにまたがる。いくつかの態様において、大環状分子形成リンカーの長さは、ヘリックスの1ターンあたりおよそ5Å~9Å、またはヘリックスの1ターンあたりおよそ6Å~8Åである。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ1ターンにまたがる場合、長さは、およそ5個の炭素-炭素結合~13個の炭素-炭素結合、およそ7個の炭素-炭素結合~11個の炭素-炭素結合、またはおよそ9個の炭素-炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ2ターンにまたがる場合、長さは、およそ8個の炭素-炭素結合~16個の炭素-炭素結合、およそ10個の炭素-炭素結合~14炭素-炭素結合、またはおよそ12個の炭素-炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ3ターンにまたがる場合、長さは、およそ14個の炭素-炭素結合~22個の炭素-炭素結合、およそ16個の炭素-炭素結合~20個の炭素-炭素結合、またはおよそ18個の炭素-炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ4ターンにまたがる場合、長さは、およそ20個の炭素-炭素結合~28個の炭素-炭素結合、およそ22個の炭素-炭素結合~26個の炭素-炭素結合、またはおよそ24個の炭素-炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ5ターンにまたがる場合、長さは、およそ26個の炭素-炭素結合~34個の炭素-炭素結合、およそ28個の炭素-炭素結合~32個の炭素-炭素結合、またはおよそ30個の炭素-炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ1ターンにまたがる場合、リンケージは、およそ4個の原子~12個の原子、およそ6個の原子~10個の原子、またはおよそ8個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ2ターンにまたがる場合、リンケージは、およそ7個の原子~15個の原子、およそ9個の原子~13個の原子、またはおよそ11個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ3ターンにまたがる場合、リンケージは、およそ13個の原子~21個の原子、およそ15個の原子~19個の原子、またはおよそ17個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ4ターンにまたがる場合、リンケージは、およそ19個の原子~27個の原子、およそ21個の原子~25個の原子、またはおよそ23個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ5ターンにまたがる場合、リンケージは、およそ25個の原子~33個の原子、およそ27個の原子~31個の原子、またはおよそ29個の原子を含有する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ1ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ17個の構成員~25個の構成員、およそ19個の構成員~23個の構成員、またはおよそ21個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ2ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ29個の構成員~37個の構成員、およそ31個の構成員~35個の構成員、またはおよそ33個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ3ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ44個の構成員~52個の構成員、およそ46個の構成員~50個の構成員、またはおよそ48個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ4ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ59個の構成員~67個の構成員、およそ61個の構成員~65個の構成員、またはおよそ63個の構成員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーがヘリックスのおよそ5ターンにまたがる場合、得られた大環状分子は、およそ74個の構成員~82個の構成員、およそ76個の構成員~80個の構成員、またはおよそ78個の構成員を含有する環を形成する。
【0167】
ペプチドは、1つ以上の不斉中心を含有することができ、かくして、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物、ならびに存在するオレフィンの幾何異性体(例えば、Zまたはcis、およびEまたはtrans)として生じることができる。例えば、本書に記載のペプチドは、例えば、cis-異性体およびtrans-異性体、R-およびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、そのラセミ混合物、ならびに他のその混合物を包含する特定の幾何異性体または立体異性体形態で存在することができる。エナンチオマーは、それらの対応するエナンチオマーを含まなくてもよく(例えば、実質的に含まなくてもよく)、および/または光学的に濃縮されていてもよい。本書で用いる場合、「光学的に濃縮されている」とは、化合物が有意に大きい割合の1つのエナンチオマーで構成されていることを意味する。特定の態様において、実質的に含まないとは、組成物が少なくとも約90重量%の好ましいエナンチオマーを含有することを意味する。他の態様において、化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、または99重量%の好ましいエナンチオマーから構成される。好ましいエナンチオマーは、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化が挙げられるがこれらに限定されない当該技術分野において知られている技術を用いて、ラセミ混合物から単離することができるか、または、不斉合成によって製造することができる(例えば、Jacques, et al, Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981);Wilen, S. H., et al., Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, EX. Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw- Hill, NY, 1962);Wilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (EX. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照)。これらの化合物のかかる異性体形態は全て、本発明に明示的に包含される。
【0168】
ペプチドは、また、複数の互変異性体形態で表すこともでき、このような場合、本発明は、本書に記載の化合物の全ての互変異性体形態(例えば、複数の部位でのアルキル化が位置異性体を生じ得る場合、平衡状態の異性体(例えば、ケト-エノール))、位置異性体、および本書に記載の化合物の酸化生成物を自明的に包含する(本発明は、このような反応生成物を全て自明的に包含する)。このような化合物のかかる異性体形態は全て、全ての結晶形態と同様に包含される。
【0169】
用語「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のラジカルをいう。用語「アルキル」とは、示された数の炭素原子を含有する直鎖であっても分岐鎖であってもよい炭化水素鎖をいう。例えば、C1~C10は、基が1~10個(境界も含む)の炭素原子を有し得ることを示す。数字表示がない場合、「アルキル」は、1~20個(境界も含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分岐鎖)である。用語「アルキレン」とは、二価のアルキル(すなわち、-R-)をいう。
【0170】
用語「アルケニル」とは、ZまたはEいずれかの幾何学的配置の炭素-炭素二重結合を1つ以上有する直鎖であっても分岐鎖あってもよい炭化水素鎖をいう。アルケニル部分は、所定の数の炭素原子を含有する。例えば、C2~C10は、基が2個~10個(境界も含む)の炭素原子を有し得ることを示す。用語「低級アルケニル」とは、C2~C8アルケニル鎖をいう。数字表示がない場合、「アルケニル」は、2~20個(境界も含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分岐鎖)である。
【0171】
用語「アルキニル」とは、炭素-炭素三重結合を1つ以上有する直鎖であっても分岐鎖であってもよい炭化水素鎖をいう。アルキニル部分は、示された数の炭素原子を含有する。例えば、C2~C10は、基が2~10個(境界も含む)の炭素原子を有し得ることを示す。用語「低級アルキニル」とは、C2~C8アルキニル鎖をいう。数字表示がない場合、「アルキニル」は、2~20個(境界も含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分岐鎖)である。
【0172】
用語「アリール」とは、各環の0個、1個、2個、3個、4個または5個の原子が置換基によって置換され得る、6炭素単環式または10炭素二環式芳香族環系をいう。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。用語「アリールアルキル」または用語「アラルキル」とは、アリールで置換されたアルキルをいう。用語「アリールアルコキシ」とは、アリールで置換されたアルコキシをいう。
【0173】
本書で用いる場合、用語「シクロアルキル」は、3~12個の炭素、好ましくは3~8個の炭素、より好ましくは3~6個の炭素を有する飽和または部分不飽和環状炭化水素基を包含し、ここで、該シクロアルキル基は、さらに、置換されていてもよい。好ましいシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、およびシクロオクチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
用語「ヘテロアリール」とは、単環式の場合には1~3個のヘテロ原子、二環式の場合には1個~6個のヘテロ原子、または三環式の場合には1~9個のヘテロ原子を有し(ここで、該ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択される)(例えば、単環式、二環式または三環式の場合にそれぞれ炭素原子および1~3個、1~6個、または1~9個のN、OまたはSのヘテロ原子)、各環の0個、1個、2個、3個または4個の原子が置換基によって置換され得る、芳香族5~8員単環式環系、芳香族8~12員二環式環系、または芳香族11~14員三環式環系をいう。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリダジル、ピリミジル、チオフェニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリールアルキル」または用語「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリールで置換されたアルキルをいう。用語「ヘテロアリールアルコキシ」とは、ヘテロアリールで置換されたアルコキシをいう。
【0175】
用語「ヘテロシクリル」とは、単環式の場合には1~3個のヘテロ原子、二環式の場合には1~6個のヘテロ原子、または三環式の場合には1~9個のヘテロ原子を有し(ここで、該ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択される)(例えば、単環式、二環式または三環式の場合にそれぞれ炭素原子および1~3個、1~6個、または1~9個のN、OまたはSのヘテロ原子)、各環の0個、1個、2個または3個の原子が置換基によって置換され得る、非芳香族5~8員単環式環系、非芳香族8~12員二環式環系または非芳香族11~14員三環式環系をいう。ヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、アジリジニル、オキシリル、チイリル(thiiryl)、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0176】
用語「置換基」とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基においてその基のいずれかの原子において「置換される」基をいう。好適な置換基としては、ハロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基、ニトロ基、ハロアルキル基、アルキル基、アルカリール(alkaryl)基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、カルボキシ基、アルカンスルホニル基、アルキルカルボニル基、アジド基およびシアノ基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
炭化水素テザーが記載されているが、他のテザーも想定される。例えば、テザーは、エーテル部分、チオエーテル部分、エステル部分、アミン部分またはアミド部分のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの場合、天然に存在するアミノ酸側鎖をテザーに組み込むことができる。例えば、テザーは、セリン中のヒドロキシル、システイン中のチオール、リジン中の第一アミン、アスパルテートまたはグルタメート中の酸、またはアスパラギンもしくはグルタミン中のアミドなどの官能基とカップリングすることができる。したがって、2つの天然に存在しないアミノ酸をカップリングすることによって製造されるテザーを用いるのではなく天然に存在するアミノ酸を用いてテザーを作成することが可能である。また、単一の天然に存在しないアミノ酸を天然に存在するアミノ酸と一緒に用いることも可能である。
【0178】
さらに、テザーの長さは変えることができることも想定される。例えば、二次αヘリックス構造に比較的高度な拘束を与えることが望ましい場合には、より短いテザーを用いることができるが、一方、二次αヘリックス構造にあまり拘束を与えないことが望ましい場合があり、したがって、より長いテザーが望ましい場合がある。
【0179】
加えて、主にαヘリックスの単一面上にあるテザーを提供するために、アミノ酸iからi+3に、iからi+4に;およびiからi+7にまたがるテザーの例が記載されているが、該テザーは、多数のアミノ酸のあらゆる組み合わせにもまたがるように合成することができる。
【0180】
いくつかの場合、α二置換アミノ酸は、ポリペプチドにおいて、αヘリックス二次構造の安定性を向上させるために使用される。しかしながら、α二置換アミノ酸は必要ではなく、モノα置換基を用いる場合(例えば、テザー化アミノ酸において)も想定される。
【0181】
ステープル化ポリペプチドは、薬物、トキシン、ポリエチレングリコールの誘導体;第2のポリペプチド;炭水化物などを含むことができる。ポリマーまたは他の薬剤がステープル化ポリペプチドに結合する場合、組成物が実質的に均一であることが望ましい場合がある。
【0182】
ポリエチレングリコール(PEG)部分の付加は、ポリペプチドの薬物動態学的および薬力学的特性を向上させることができる。例えば、PEG化は、腎クリアランスを低下させ、より安定な血漿濃度をもたらすことができる。PEGは、水溶性ポリマーであり、ポリペプチドと連結するように、式:
XO--(CH2CH2O)n--CH2CH2--Y
[式中、nは2~10,000であり、XはHまたは末端修飾、例えば、C1-4アルキルであり;Yは、ポリペプチドのアミン基(リジンのεアミン、またはN末端が挙げられるがこれらに限定されるものではない)への、アミドリンケージ、カルバメートリンケージまたは尿素リンケージである]
として表すことができる。Yは、チオール基(システインのチオール基が挙げられるが、これに限定されるものではない)へのマレイミドリンケージであってもよい。PEGをポリペプチドへ直接または間接的に連結するための他の方法は、当該技術分野の当業者に知られている。PEGは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。種々の官能性誘導体を包含する種々の形態のPEGが市販されている。
【0183】
骨格に分解性リンケージを有するPEGを使用することができる。例えば、PEGは、加水分解を受けるエステルリンケージを用いて製造することができる。分解性PEGリンケージを有するコンジュゲート体は、例えば、国際公開第99/34833号、国際公開第99/14259号および米国特許第6,348,558号に記載されている。
【0184】
特定の態様において、高分子ポリマー(例えば、PEG)は、中間リンカーを介して本書に記載の薬剤に結合する。特定の態様において、該リンカーは、ペプチド結合によって連結される1~20個のアミノ酸から構成され、ここで、該アミノ酸は、20個の天然に存在するアミノ酸から選択される。これらのアミノ酸のいくつかは、当業者によって十分に理解されるように、グリコシル化され得る。他の態様において、この1~20個のアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミンおよびリジンから選択される。他の態様において、リンカーは、グリシンおよびアラニンのような立体障害のない大多数のアミノ酸から構成される。非ペプチドリンカーもまた可能である。例えば、-NH(CH2)nC(O)-(ここで、n=2~20である)のようなアルキルリンカーを使用することができる。これらのアルキルリンカーは、さらに、低級アルキル(例えば、C1~C6)、低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH2、フェニルなどの立体障害のない基によって置換され得る。米国特許第5,446,090号には、二官能性PEGリンカー、およびPEGリンカー末端の各々におけるペプチドを有するコンジュゲート体の形成におけるその使用が記載されている。
【0185】
本書に記載の化合物の合成方法は、当該技術分野において知られている。それにもかかわらず、以下に例示する方法を用いることができる。所望の化合物を得るために種々の工程を別のシーケンスまたは順序で行うことができることが理解される。本書に記載の所望の化合物の合成に有用な合成化学変換および保護基方法(保護および脱保護)は当該技術分野において知られており、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3d. Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)、ならびにそれらの続版に記載されるようなものが挙げられる。
【0186】
本発明のペプチドは、当業者に周知の化学合成方法によって作成することができる。例えば、Fields et al., Chapter 3 in Synthetic Peptides: A User's Guide, ed. Grant, W. H. Freeman & Co., New York, N.Y., 1992, p. 77を参照。故に、ペプチドは、例えばApplied Biosystems Peptide Synthesizer Model 430Aまたは431にて、側鎖保護アミノ酸を用いて、t-BocまたはFmoc化学によって保護されたα-NH2を用いる固相合成法の自動Merrifield技術を用いて合成することができる。
【0187】
本書に記載のペプチドを作成する1つの方法は、固相ペプチド合成法(SPPS)を用いることである。C末端アミノ酸は、リンカー分子との酸不安定性結合を介して架橋ポリスチレン樹脂に結合する。この樹脂は、比較的簡単かつ迅速に過剰の試薬および副生成物を洗浄する、合成に使用される溶媒に不溶である。N末端は、酸において安定であるが塩基によって除去可能であるFmoc基で保護される。側鎖官能基は、塩基安定で酸不安定な基によって保護される。
【0188】
長いペプチドは、ネイティブ・ケミカル・ライゲーションを用いて個々の合成ペプチドを結合することによって作成され得る。別法として、この長い合成ペプチドは、周知の組換えDNA技術によって合成することができる。かかる技術は、周知の標準マニュアルにて詳細なプロトコールとともに提供されている。本発明のペプチドをコードする遺伝子を構築するために、好ましくは該遺伝子が発現される生物に最適なコドンを用いて、該アミノ酸配列を逆翻訳して、アミノ酸配列をコードする核酸配列を得る。次に、必要に応じて、典型的にはペプチドおよびあらゆる調節エレメントをコードするオリゴヌクレオチドを合成することによって合成遺伝子を作成する。該合成遺伝子を好適なクローニングベクターに挿入し、宿主細胞内に導入する。次いで、該ペプチドを、選択した発現系および宿主にとって適切な好適な条件下で発現させる。標準的な方法によって該ペプチドの精製および特徴付けを行う。
【0189】
該ペプチドは、ハイスループットコンビナトリアル法で、例えばAdvanced Chemtechから入手可能なハイスループット多重チャネルコンビナトリアルシンセサイザーを用いて、作成することができる。
【0190】
ペプチド結合を、例えばペプチドの生理学的安定性を増大させるために、レトロインベルソ結合(C(O)-NH);還元アミド結合(NH-CH2);チオメチレン結合(S-CH2またはCH2-S);オキソメチレン結合(O-CH2またはCH2-O);エチレン結合(CH2-CH2);チオアミド結合(C(S)-NH);trans-オレフィン結合(CH=CH);フルオロ置換trans-オレフィン結合(CF=CH);ケトメチレン結合(C(O)-CHR)またはCHR-C(O)(ここで、RはHまたはCH3である);およびフルオロ-ケトメチレン結合(C(O)-CFRまたはCFR-C(O)(ここで、RはHまたはFまたはCH3である)に置き換えることができる。
【0191】
さらに、アセチル化、アミド化、ビオチニル化、シンナモイル化、ファルネシル化、フルオレセイン化、ホルミル化、ミリストイル化、パルミトイル化、リン酸化(Ser、TyrまたはThr)、ステアロイル化、スクシニル化およびスルフリル化によって、ポリペプチドを修飾することができる。上記したように、ペプチドを、例えば、ポリエチレングリコール(PEG);アルキル基(例えば、C1~C20直鎖または分岐鎖アルキル基);脂肪酸ラジカル;およびそれらの組み合わせとコンジュゲートすることができる。
【0192】
さまざまな長さのオレフィン系側鎖を含有するα,α-ジ置換非天然アミノ酸は、公知の方法によって合成することができる(例えば、Williams et al. J. Am. Chem. Soc., 113:9276, 1991;Schafmeister et al., J. Am. Chem Soc., 122:5891, 2000;およびBird et al., Methods Enzymol., 446:369, 2008; Bird et al, Current Protocols in Chemical Biology, 2011を参照)。ペプチドについて、iとi+7を連結するステープル(i linked to i+7 staple)を用いる場合(安定化されたヘリックスの2ターン)、a)1個のS5アミノ酸および1個のR8が使用されるか、またはb)1個のS8アミノ酸および1個のR5アミノ酸が使用される。R8は、出発キラル補助基がR-アルキル-立体異性体を与えることを除けば同一の経路を用いて合成される。また、5-ヨードペンテンに代えて8-ヨードオクテンを用いる。阻害剤は、MBHA樹脂において固相ペプチド合成法(SPPS)を用いて固体支持体上で合成される(例えば、国際公開第2010/148335号を参照)。
【0193】
Fmoc保護α-アミノ酸(オレフィン系アミノ酸Fmoc-S5-OH、Fmoc-R8-OH、Fmoc-R8-OH、Fmoc-S8-OHおよびFmoc-R5-OH以外)、2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、およびRink Amide MBHAは、例えば、Novabiochem(San Diego, CA)から市販されている。ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、フルオロセインイソチオシアネート(FITC)、およびピペリジンは、例えば、Sigma-Aldrichから市販されている。オレフィン系アミノ酸合成は、当該技術分野において報告されている(例えば、Williams et al., Org. Synth., 80:31, 2003を参照)。
【0194】
本発明の化合物は、選択的生物学的特性(例えば、疎水性、および/または、疎水性パッチの位置/出現率(occurrence)を包含する)を増強するために適切な官能性を付加することによって修飾され得る。このような修飾は、当該技術分野で知られており、所定の生物学的コンパートメント(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増大させるもの、経口アベイラビリティを増大させるもの、注射による投与を可能にする溶解性を増大させるもの、代謝を改変するもの、および排泄率を改変するものを包含する。
【0195】
微生物の膜対哺乳動物の膜に対して選択的である安定化AMP(すなわち、微生物を死滅させるかまたはその増殖を阻害することができるが、哺乳動物細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力は比較的低いペプチド)は、1種以上の微生物に対して、例えば、同一の1種以上の微生物に対する対応する親(すなわち、非修飾)非内部架橋ペプチドのMICよりも約1.5倍以上低い、約2倍以上低い、約2.5倍以上低い、約3倍以上低い、約4倍以上低い、約5倍以上低い、約6倍以上低い、約7倍以上低い、約8倍以上低い、約9倍以上低い、約10倍以上低い、約15倍以上低い、または約20倍以上低いMICを有し得る。微生物の膜対哺乳動物の膜に対して選択的である抗微生物性ペプチドは、例えば、約1μg/ml、約2μg/ml、約3μg/ml、約4μg/ml、約5μg/ml、約6μg/ml、約7μg/ml、約8μg/ml、約9μg/ml、約10μg/ml、約12μg/ml、約14μg/ml、約16μg/ml、約18μg/ml、約20μg/ml、約22μg/ml、約24μg/ml、約26μg/ml、約28μg/ml、または約30μg/mlのMICを有することができる。微生物の膜対哺乳動物の膜に対して選択的である抗微生物性ペプチドは、1種以上の微生物に対するMICの1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍よりも高いかまたはほぼ等しい濃度で投与された場合、RBC溶血活性アッセイにおいて、例えば、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約2%未満、または約1%未満の赤血球(RBC)を溶解することができる。
【0196】
哺乳動物細胞の溶解特性を回避し、微生物選択性安定化(例えば、ステープル化)AMPを得るために、本書の安定化(例えば、ステープル化)AMPのいずれかは、第1の表面疎水性パッチを含有するαヘリックス領域を含むことができる。これらの安定化AMPにおいて、関連する対のアミノ酸を連結基(例えば、式(I)におけるR3)に置き換えると、その結果として、αヘリックス領域における第1の表面疎水性パッチと1個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、8個、または10個)のさらなる表面疎水性パッチとの間で中断が生じる。例えば、実施例11を参照。式(I)を参照して、かかる安定化AMPは、例えば、安定化AMPのαヘリックス領域における確立した表面疎水性パッチの位置を決定すること、および全てのアミノ酸[Xaa]が確立した表面疎水性パッチ内に位置するように整数wおよびyを選択することによって作成することができる。微生物選択性構造安定化AMPを得るための別法において、式(I)を再度参照して、安定化AMPのαヘリックス領域における2個以上(例えば、3個、4個、5個、6個、8個、または10個)の確立した表面疎水性パッチの位置が決定され、整数wおよびyは、アミノ酸[Xaa]が安定化AMPのαヘリックス領域における2個以上(例えば、3個、4個、5個、6個、8個、または10個)の確立した表面疎水性パッチを連結しないように選択される。
【0197】
上記の選択的内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)を作成する別の方法は、ICL AMPが第1の表面疎水性パッチを含むαヘリックス領域を含むようにICL AMPを合成することを含んでおり、関連する対のアミノ酸を連結基(例えば、式(I)におけるR3)に置き換えると、対応する親非内部架橋AMPと比べて、ICL AMP上の第1の疎水性パッチと1個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、8個、または10個)のさらなる表面疎水性パッチとの間で中断が維持されるかまたは生じる。
【0198】
本書は、また、(a)ICL AMPの1個以上のパネルを作成すること(各パネルは、複数のパネルメンバーICL AMPを含有し、その各々において、(a)2、3または6アミノ酸離れている少なくとも1対のアミノ酸の側鎖が、当該対のアミノ酸のα炭素同士を連結する連結基R3(式(I)を参照)に置き換えられ;(b)各パネルの各メンバーにおいて、当該対のアミノ酸は関連するパネルの他のメンバーと比べて異なる位置にある);および(b)(i)関連するメンバーのαヘリックス領域における第1の表面疎水性パッチと該メンバーのαヘリックス領域上の1個以上のさらなる表面疎水性パッチとの間の中断の存在;および(ii)微生物(例えば、細菌などの本書に記載のもの)を死滅させるかまたはその増殖を阻害し、哺乳動物細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力についての各パネルの各メンバーの能力について全てのパネルの各メンバーを試験することを含む、内部架橋(ICL)抗微生物性ペプチド(AMP)を設計する方法を含む。この方法は、また、微生物(例えば、細菌)を死滅させるかまたはその増殖を阻害する能力が比較的高く、哺乳動物(例えば、ヒト)の細胞を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力が比較的低い全パネルのうち1つまたは複数のメンバーを製造することを含むことができる。化学的または生物学的薬剤の、微生物性生物を死滅させるかおよび/またはその増殖を阻害し、ヒトの細胞(例えば、赤血球、白血球、または上皮細胞)を溶解するかまたはその増殖を阻害する能力を測定する方法は、当該技術分野において知られている(例えば、本書の実施例を参照)。
【0199】
ペプチドまたはタンパク質内の疎水性パッチは、ペプチドまたはタンパク質の構造の、例えば、コンピューターによる予測/シミュレーション(例えば、ExPASy ProtScale、Scoobyドメイン予測、PSIPRED、Kyte Doolittleプロッティング、および/またはSPLITを用いる)および/または実験的決定(例えば、NMR分光法、電子顕微鏡、ホモロジーモデリング、X線および/またはニュートロン小角散乱(SAXS/SANS)、および/またはX線結晶解析を含む技術を用いる)を包含する、当該技術分野において一般的に知られている技術を用いて同定することができる。
【0200】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機酸および塩基ならびに有機酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。好適な酸塩の例としては酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸、トシル酸塩、トリフルオロメチルスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN-(アルキル)4 +塩が挙げられる。本発明は、また、本書に記載の化合物の塩基性窒素含有基の4級化を想定する。水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性生成物は、このような4級化によって得ることができる。
【0201】
本書に記載のペプチドを得る(例えば、合成する)、ステープリングする、および精製するのに好適な方法も当該技術分野において知られており(例えば、Bird et. al., Meth Enzymol., 446:369-386 (2008); Bird et al, Curr Protoc Chem Biol., 2011;Walensky et al., Science, 305:1466-1470 (2004);Schafmeister et al., J Am Chem Soc., 122:5891-5892 (2000);2010年3月18日に出願された米国特許出願第12/525,123号;および2010年5月23日に発行された米国特許第7,723,468号(各々、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照)、本書に記載されている(例えば、実施例1を参照)。
【0202】
いくつかの態様において、ペプチドは、非ステープル化ペプチド夾雑物を実質的に含まないか、または単離される。ペプチドの精製方法は、例えば、固相支持体上でペプチドを合成することを含む。環化後、固相支持体を単離し、DMSO、DMSO/ジクロロメタン混合物、またはDMSO/NMP混合物などの溶媒の溶液に懸濁することができる。DMSO/ジクロロメタン混合物またはDMSO/NMP混合物は、DMSOを約30%、40%、50%、または60%含むことができる。特定の態様において、50%/50%のDMSO/NMP溶液が使用される。該溶液は、1、6、12または24時間インキュベートすることができ、その後、該樹脂を、例えばジクロロメタンまたはNMPで、洗浄することができる。ある態様において、該樹脂はNMPで洗浄される。振盪し、該溶液に不活性ガスを通気することができる。
【0203】
本発明の架橋ポリペプチドの特性は、例えば下記の方法を用いて、アッセイすることができる。
【0204】
αヘリックス度を決定するためのアッセイ: 化合物を水溶液(例えば、pH7の5mMリン酸カリウム溶液、または蒸留水、25~50μMの濃度まで)に溶解する。分光偏光計(例えば、Jasco J-710、Aviv)において標準的な測定パラメータ(例えば、温度、20℃;波長、190~260nm;ステップ解像度(step resolution)、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;光路長、0.1cm)を用いて円偏光二色性(CD)スペクトルを得る。平均残基楕円率をモデルヘリックスデカペプチドについて報告されている値(Yang et al., Methods Enzymol. 130:208 (1986))で割ることによって、各ペプチドのαヘリックス含有量を算出する。
【0205】
融解温度(Tm)を決定するためのアッセイ: 架橋または非修飾テンプレートペプチドを蒸留水または他の緩衝液もしくは溶媒に溶解し(例えば、50μMの最終濃度で)、分光偏光計(例えば、Jasco J-710、Aviv)において標準的なパラメータ(例えば、波長222nm;ステップ解像度、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;温度上昇率:1℃/分;光路長、0.1cm)を用いて、ある温度範囲(例えば、4~95℃)にわたって楕円率の変化を測定することによってTmを決定する。
【0206】
インビトロプロテアーゼ耐性アッセイ: ペプチド骨格のアミド結合は、プロテアーゼによる加水分解を受けやすく、それによって、ペプチド系化合物はインビボで急速に分解しやすくなる。しかしながら、ペプチドヘリックス形成は、典型的にはアミド骨格を埋没させ、および/またはひずませ、および/または保護し、したがって、タンパク質切断を予防するかまたは実質的に遅らせることができる。本発明の化合物をインビトロ酵素タンパク質分解(例えば、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン)させて、対応する非架橋または別にステープル化されたポリペプチドと比べた分解速度の変化について評価することができる。例えば、該化合物および対応する非架橋ポリペプチドを、トリプシンアガロースと一緒にインキュベートし、該反応物を遠心分離によって様々な時点で反応をクエンチし、その後HPLC注入して280nmでの紫外線吸収により残存基質を定量する。簡潔に述べると、該化合物およびペプチド模倣体前駆体(5mcg)を、トリプシンアガロース(Pierce)(S/E約125)と一緒に0、10、20、90、および180分間インキュベートする。高速での卓上遠心分離によって反応をクエンチし、単離した上清中に残存している基質を280nmでのHPLCによるピーク検出によって定量する。タンパク質分解反応は一次速度則を示し、ln[S]対時間のプロットから速度定数、kを決定する。
【0207】
化合物および/または対応する非架橋ポリペプチドを、各々、マウス、ラットおよび/またはヒトの新鮮な血清(例えば、1~2mL)と一緒に、37℃で、例えば、0、1、2、4、8および24時間インキュベートする。大環状分子濃度が異なる試料を血清による段階希釈によって調製することができる。インタクトな化合物のレベルを決定するために、以下の手順を使用することができる:例えば、血清100μlを2ml遠心管に移し、その後、50%ギ酸10μLおよびアセトニトリル500μLを添加し、4±2℃で10分間、14,000RPMで遠心分離することにより、試料を抽出する。次いで上清を新しい2mlチューブに移し、TurbovapにおいてN2<10psi下にて37℃で蒸発させる。試料をアセトニトリル:水(50:50)100μLで再構成し、LC-MS/MS分析を行った。エクスビボ安定性を試験するための同等または同様の手順は知られており、血清における大環状分子の安定性を決定するために使用することができる。
【0208】
インビボプロテアーゼ耐性アッセイ: ペプチドステープリングの重要な利益は、インビトロプロテアーゼ耐性の、顕著に向上したインビボでの薬物動態への翻訳である。強力で選択的な抗微生物活性を有する構造的に安定化したAMPを、例えば従前に公開された方法(例えば、Bird et al., PNAS, 2010を参照)を用いて、インビボでのプロテアーゼ安定性についてスクリーニングする。
【0209】
医薬組成物
医薬組成物としての使用または医薬組成物における使用のために、本書に記載の安定化ペプチドの1種以上(例えば、配列番号1~17の1種以上)を製剤化することができる。かかる組成物は、あらゆる経路、例えば、食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)によって承認されたあらゆる経路による対象体への投与のために製剤化または適合させることができる。例示的な方法は、FDAデータ標準マニュアル(Data Standards Manual)(DSM)に記載されている。
【0210】
本発明の医薬組成物は、例えば、経口的に、非経口的に、吸入スプレーまたはネブライザーによって、局所に、直腸に、鼻腔に、頬側に、膣に、植え込みリザーバーによって、注射によって(例えば、静脈内に、動脈内に、真皮下に(subdermally)、腹腔内に、筋肉内に、および/または皮下に(subcutaneously))、眼科用製剤で、または経粘膜投与によって、投与され得る。好適な投与量は、約0.001~約100mg/kg体重の範囲であり得るか、または特定の薬物の要求に応じた範囲であり得る。本発明の医薬組成物は、慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含有し得る。いくつかの場合、該製剤のpHは、薬学的に許容される酸、塩基、または製剤化された化合物もしくはその送達形態の安定性を増大させるための緩衝液で調整することができる。本書で用いる場合、非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術を包含する。別法として、または、加えて、本発明は、FDA DSMに記載されるような方法のいずれかに従って投与することができる。
【0211】
本書で用いる場合、本書に記載の式で示される化合物を包含する本発明の化合物は、その薬学的に許容される誘導体またはプロドラグを包含するように定義される。「薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグ」は、レシピエントへの投与後に本発明の化合物を(直接または間接的に)提供する能力を有する、本書に記載の化合物または薬剤のいずれもの薬学的に許容される塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体を意味する。特に望ましい誘導体およびプロドラッグは、本発明の化合物を哺乳動物に投与した場合に(例えば、経口投与した化合物を血中にさらに容易に吸収させることによって)本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増大させるものまたは、生物学的コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への親化合物の送達を親種と比べて増強するものである。好ましいプロドラッグとしては、水溶解度または腸膜を介する能動輸送を増強する基が本書に記載の式の構造に付加されている誘導体を含む。
【0212】
いくつかの場合、医薬組成物は、1種以上の安定化ペプチドの有効量を含むことができる。本書で用いる場合、用語「有効量」および処置に有効な」とは、所定の効果または生理学的結果(例えば、感染症の処置)をもたらすためのその投与の状況内で有効な一定期間(急性または慢性投与および定期的または継続投与を包含する)用いられる、本書に記載の1種以上の化合物または医薬組成物の量または濃度をいう。
【0213】
本書における方法は、化合物または化合物の組成物の、所望の効果または記載の効果を達成するために有効な量の投与を企図する。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日に約1~約6回投与される、または、別法として、持続注入として投与される。かかる投与は、慢性または急性治療として用いることができる。単一剤形を調製するために担体材料と合わせることができる有効成分の量は、試験される対象体および特定の投与様式に依存して変わる。典型的な製剤は、約5%~約95%(w/w)の活性化合物を含有する。別法として、かかる製剤は、約20%~約80%の活性化合物を含有する。
【0214】
投薬は種々の技術を用いて決定することができる。選択された投与量レベルは、例えば、用いられる特定化合物の活性、投与経路、投与時間、用いられている特定化合物の排泄または代謝の速度、処置期間、用いられる特定化合物と合わせて用いられる他の薬物、化合物および/または物質、処置を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、総体的な健康、および/または治療歴、および医療分野で周知の同様の要因を含む種々の要因に依存し得る。投与量の値は、また、軽減すべき状態の重篤度によっても変わり得る。特定の対象体について、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人の専門的な判断に従って、特定の投与計画を経時的に調整することができる。
【0215】
いくつかの態様において、本開示の化合物の好適な日用量は、治療効果を生じるのに有効な最低用量である化合物の量であり得る。このような有効量は、一般的に、上記の要因に依存する。所与の患者において最も効果的な処置をもたらす特定の化合物の正確な投与時間および量は、特定化合物の活性、薬物動態およびバイオアベイラビリティ、患者の生理的状態(年齢、性別、病気のタイプおよびステージ、全身健康状態、所与の投薬量および投薬形態への応答性を包含する)、ならびに投与経路などに依存する。
【0216】
医師または獣医師は、必要とされる医薬組成物の有効量を処方することができる。例えば、医師または獣医師は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで医薬組成物に用いられる本開示の化合物の投薬を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増やすことができる。
【0217】
本書に記載の医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位投与剤形であり得る。単位投与剤形では、処方物は、1種以上の化合物の適切な量を含む単位投与量に分割される。単位投与量は、製剤の個別の量を含有するパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、バイアルまたはアンプルに入れた液剤である。水性懸濁組成物は、再密閉不能な単回投与用容器に包装することができる。例えば保存剤と組み合わせて、再密閉可能な複数投与用容器を使用することができる。非経口注射用製剤は、単位投与剤形で、例えば、アンプル、または保存剤を含む複数投与用容器で提供することができる。
【0218】
本書に記載の化合物は、約1mg~約2000mg;約100mg~約2000mg;約10mg~約2000mg;約5mg~約1000mg、約10mg~約500mg、約50mg~約250mg、約100mg~約200mg、約1mg~約50mg、約50mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、約200mg~約250mg、約250mg~約300mg、約300mg~約350mg、約350mg~約400mg、約400mg~約450mg、約450mg~約500mg、約500mg~約550mg、約550mg~約600mg、約600mg~約650mg、約650mg~約700mg、約700mg~約750mg、約750mg~約800mg、約800mg~約850mg、約850mg~約900mg、約900mg~約950mg、または約950mg~約1000mgの範囲内で組成物中に存在することができる。
【0219】
本書に記載の化合物は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1650mg、約1700mg、約1750mg、約1800mg、約1850mg、約1900mg、約1950mg、または約2000mgの量で組成物中に存在することができる。
【0220】
いくつかの態様において、投与量は、薬物の量を対象体の質量で割ったもの、例えば、対象体の体重の1キログラムあたりの薬物のミリグラムで表すことができる。いくつかの態様において、化合物は、約5mg/kg~約50mg/kg、250mg/kg~約2000mg/kg、約10mg/kg~約800mg/kg、約50mg/kg~約400mg/kg、約100mg/kg~約300mg/kg、または約150mg/kg~約200mg/kgの範囲の量で投与される。
【0221】
投与量は、患者の体重1kgあたりの化合物の量に基づくことができる。別法として、本開示の投与量は、化合物の血漿濃度を参照することによって決定することができる。例えば、最大血漿濃度(Cmax)および時間0から無限大までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)を用いることができる。
【0222】
いくつかの態様において、対象体は、ヒト対象体であり、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり0.01~100mgである。例えば、種々の例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり、約.01~50mg、約0.01~20mg、約0.01~10mg、約0.1~100mg、約0.1~50mg、約0.1~20mg、約0.1~10mg、約0.5~100mg、約0.5~50mg、約0.5~20mg、約0.5~10mg、約1~100mg、約1~50mg、約1~20mg、約1~10mgである。ある態様において、ヒト対象体の体重1kgあたり、約0.5mg~10mgの化合物が投与される。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり、約0.16mg、約0.32mg、約0.64mg、約1.28mg、約3.56mg、約7.12mg、約14.24mg、または約20mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり、約0.16mg、約0.32mg、約0.64mg、約1.28mg、約3.56mg、約7.12mg、または約14.24mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約0.16mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約0.32mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約0.64mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約1.28mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約3.56mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約7.12mgである。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約14.24mgである。
【0223】
いくつかの態様において、ヒト対象体の体重1kgあたり約0.5~約20mgまたは約0.5~約10mgの化合物が1週間に2回投与される。例えば、ヒト対象体の体重1kgあたり約0.5~約1mg、約0.5~約5mg、約0.5~約10mg、約0.5~約15mg、約1~約5mg、約1~約10mg、約1~約15mg、約1~約20mg、約5~約10mg、約1~約15mg、約5~約20mg、約10~約15mg、約10~約20mg、または約15~約20mgの化合物が1週間に約2回投与される。いくつかの例において、ヒト対象体の体重1kgあたり約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約11.5mg、約12mg、約12.5mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約14.5mg、約15mg、約15.5mg、約16mg、約16.5mg、約17mg、約17.5mg、約18mg、約18.5mg、約19mg、約19.5mg、または約20mgの化合物が1週間に2回投与される。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約1.25mg、約2.5mg、約5mg、約10mg、または約20mgであり、該化合物は、1週間に2回投与投与される。いくつかの例において、投与される化合物の量は、ヒト対象体の体重1kgあたり約1.25mg、約2.5mg、約5mgまたは約10mgである。当該化合物は、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、4回、5回、6回または7回投与することができる。当該化合物は、3週間に1回投与することができる。
【0224】
いくつかの態様において、当該化合物は、一定期間にわたって徐々に投与される。所望の量の化合物が、例えば、約0.1時間~24時間にわたって徐々に投与され得る。いくつかの場合、所望の量の化合物が、0.1時間、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、0.25~12時間にわたって、例えば、0.25~1時間、0.25~2時間、0.25~3時間、0.25~4時間、0.25~6時間、0.25~8時間、または0.25~10時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、0.25~2時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、0.25~1時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、0.25時間、0.3時間、0.4時間、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1.0時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、または2.0時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、1時間にわたって徐々に投与される。いくつかの例において、所望の量の化合物が、2時間にわたって徐々に投与される。
【0225】
当該化合物の投与は、必要な限り継続することができる。いくつかの態様において、本開示の1種以上の化合物は、1日以上、1週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、11か月以上、12か月以上、13か月以上、14か月以上、15か月以上、16か月以上、17か月以上、18か月以上、19か月以上、20か月以上、21か月以上、22か月以上、23か月以上、または24か月以上投与される。いくつかの態様において、本開示の1種以上の化合物は、1週間未満、1か月未満、2か月未満、3か月未満、4か月未満、5か月未満、6か月未満、7か月未満、8か月未満、9か月未満、10か月未満、11か月未満、12か月未満、13か月未満、14か月未満、15か月未満、16か月未満、17か月未満、18か月未満、19か月未満、20か月未満、21か月未満、22か月未満、23か月未満、または24か月未満投与される。
【0226】
いくつかの態様において、当該化合物は、28日サイクルの1日目、8日目、15日目、および28日目に投与される。いくつかの態様において、当該化合物は、28日サイクルの1日目、8日目、15日目、および28日目に投与され、投与は、2サイクルの間継続される。いくつかの態様において、当該化合物は、28日サイクルの1日目、8日目、15日目、および28日目に投与され、投与は、3サイクルの間継続される。いくつかの態様において、当該化合物は、28日サイクルの1日目、8日目、15日目、および28日目に投与され、投与は、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、またはそれ以上のサイクルの間継続される。
【0227】
いくつかの態様において、当該化合物は、21日サイクルの1日目、8日目、11日目、および21日目に投与される。いくつかの態様において、当該化合物は、21日サイクルの1日目、8日目、11日目、および21日目に投与され、投与は、2サイクルの間継続される。いくつかの態様において、当該化合物は、21日サイクルの1日目、8日目、11日目、および21日目に投与され、投与は、3サイクルの間継続される。いくつかの態様において、当該化合物は、21日サイクルの1日目、8日目、11日目、および21日目に投与され、投与は、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、またはそれ以上のサイクルの間継続される。
【0228】
いくつかの態様において、本開示の1種以上の化合物は、継続的に慢性的に投与される。いくつかの態様において本開示の1種以上の化合物の投与は、疾患の進行、許容されない毒性、または投与を中止するという患者もしくは医師の判断が文書化されるまで継続される。
【0229】
本発明の医薬組成物は、1種以上のペプチドおよび薬学的に許容される担体および/またはビヒクルを含むことができる。いくつかの場合、医薬は、さらに、疾患または疾患症状の調節の達成に有効な量で1種以上のさらなる治療剤を含むことができる。このようなさらなる治療剤としては、当該技術分野で知られている抗微生物剤(例えば、抗生物質)を挙げることができる。共投与される場合、本発明のステープル化AMPは、抗微生物剤と組み合わせて作用して、機構的に相加的または相乗的な抗微生物効果を生じる。例えば、これは、別の耐性細菌膜に穴を開けて他の抗生物質および薬物モダリティの侵入を可能にする構造的安定化AMPに起因し得る。同さらなる治療剤は、適切なステープル化ペプチドに(共有結合的にまたは非共有的に)化学的に結合した複合体として投与され得ることが理解される。
【0230】
本書に記載のステープルペプチドとの共投与に適切な抗生物質の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:キノロン(例えば、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ペルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、スパルフロキサシン、グレパフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ゲミフロキサシン、エノキサシン、シタフロキサシン、ナジフロキサシン、トスルフロキサン(tosulfloxacin)、シンノキサシン(cinnoxacin)、ロソクサシン、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、シンノキサシン(cinnoxacin)、エノキサシン、フレロキサシン、ロマフロキサシン(lomafloxacin)、ロメフロキサシン、ミロキサシン、ナリジクス酸、ナジフロキサシン、オキソリニン酸、ペフロキサシン、ピリミド酸(pirimidic acid)、ピペミド酸、ロソクサシン、ルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、ベシフロキサシン);以下のものを包含するβラクタム:セファロスポリン(例えば、セファセトリル、セフィキシム、セファドロキシル、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セフカペン、セフダルオキシム、セフジニル、セフジトレン、セファトリジン、セフェタメト、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セファラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セファクロル、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォタキシム、セフォベシン、セフピミゾール、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフポドキシム、セフタジジム、セフタロリン、セフクリジン、セフェピム、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セファレキシン、セファロリジン、セファマンドール、セフスロジン、セフォニシド、セフォペラジン、セフォペラゾン、セフォプロジル(cefoprozil)、セフトリアキソン)、ペニシリンおよびペニシリン誘導体(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、プロカインペニシリン、ベンザチンペニシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、アンピシリン、エピシリン、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、クロメトシリン、フェノキシメチルペニシリン、オキサシリン、メチシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、テモシリン、アズロシリン、カルベニシリン、リカルシリン(ricarcillin)、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、スルベニシリン、メシシラム(mecicilam)、ペブメシリナム(pevmecillinam)、シクラシリン、タラピシリン(talapicillin)、アスポキシシリン、アジドシリン、クロキサシリン、ナフシリン、ピバンピシリン、ペナメシリン、メシリナム、プロピシリン、フェネチシリン、チカルシリン、テモシリン)、カルバペネム(例えば、チエナマイシン、トモペネム、レナペネム、テビペネム、ラズペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム(ベタミプロン)、ビアペネム)、カルバセフェム(例えば、ロラカルベフ)、ペネム(例えば、ファロペネム)、セファマイシン(例えば、セフブペラゾン、セフメタゾール、セフミノクス、セフォテタン、セフォキシチン)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム、ノカルディシンA、タブトキシン、チゲモナム(tigemonam))、およびオキサセフェム(例えば、フロモキセフ、ラタモキセフ);リポペプチド抗生物質(例えば、アムフォマイシン(amphomycin)、アスパルトシン、ブレビスチン(brevistin)、セレキシンA、セレキシンB、グルママイシン、ラスパルトマイシン、ツシマイシン、ザオマイシン(zaomycin)、ダプトマイシン);ポリミキシン抗生物質(例えば、ポリミキシンB、コリスチン(ポリミキシンE)、ポリミキシンM);アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、デベカシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ステレプトマイシン);グリコペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ラモプラニン、ダプトマイシン、デカプラニン、ブレオマイシン);マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フィダキソマイシン、テリスロマイシン、カルボマイシンA、ジョサマイシン、キタサマイシン、ミデカマイシン/酢酸ミデカマイシン、オレアンドマイシン、ソリスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン、タイロシン、ロキシスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアンドマイシン、スペクチノマイシン、メチマイシン、ネオメチマイシン、エリスロノリド、メガロマイシン、ピクロマイシン、ナルボマイシン、オレアンドマイシン、トリアセチル-オレアンドマイシン、ラウカマイシン(laukamycin)、クジマイシンA、アルボサイクリン、シネロマイシンB);アンサマイシン(例えば、ストレプトバリシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、リファマイシン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、リファミキシン);リネゾリド;プリスチナマイシン;およびスルホンアミド(例えば、スルファニルアミド、スルファセルニミド(sulfacetarnide)、スルファピリジン、スルファチアゾール、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファジミジン、スルファソミジン、スルファサラジン、マフェニド、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファジメトキシン、スルファシマジン、スルファドキシン、スルファメトピラジン、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール)。
【0231】
本発明の組成物が本書に記載の式で示される化合物および1種以上のさらなる治療剤または予防剤の組合せを含む場合、当該化合物およびさらなる薬剤は、ともに、単独療法計画で通常投与される用量の約1%~約100%、または約5%~約95%の用量レベルで存在する。さらなる薬剤は、複数回投与計画の一部として、本発明の化合物とは別に投与することができる。別法として、これらの薬剤は、単一組成物中で本発明の化合物と一緒に混合された単一剤形の一部であってもよい。
【0232】
用語「薬学的に許容される担体または補助剤」とは、本発明の化合物と一緒に患者に投与することができ、その薬理学的活性を破壊せず、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与される場合に非毒性である、担体または補助剤をいう。
【0233】
本発明の医薬組成物に使用することができる薬学的に許容される担体、補助剤およびビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000サクシネート、薬学的投与剤形に使用される界面活性剤、例えば、ツイーンまたは他の類似のポリマー系送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。シクロデキストリン、例えば、α-、β-、およびγ-シクロデキストリンもまた、本書に記載の式によって示される化合物の送達を増強するために有利に使用することができる。
【0234】
本発明の医薬組成物は、慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤、またはビヒクルを含有することができる。いくつかの場合、該製剤のpHは、薬学的に許容される酸、塩基、または処方された化合物またはその送達形態の安定性を高めるための緩衝剤で調整することができる。本書で用いる場合、非経口という用語は、非経口、硬膜外、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術を包含する。
【0235】
本開示の化合物の有効量は、許容される投与様式のいずれかによって単回または複数回投与することができる。選択された投与経路にかかわらず、本開示の化合物および/または本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される投与剤形に製剤化される。本開示による化合物は、他の医薬品との類似性により、ヒト医学または獣医学における使用のための好都合な方法での投与のために製剤化することができる。
【0236】
ある態様において、本開示は、1種以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と一緒に処方された、1種以上の上記化合物の治療有効量を含む医薬製剤を提供する。ある態様において、本書に記載の1種以上の化合物は、非経口投与のための非経口投与のために製剤化され、本書に記載の1種以上の化合物は、水性または非水性の液剤、分散液剤、懸濁剤、または乳剤、または使用直前に滅菌注射液または分散液に再構成することができる滅菌散剤として製剤化することができる。このような製剤は、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含むことができる。これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含むことができる。対象化合物に対する微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウムなど)を組成物に含めることも望ましいことがある。さらに、注射用医薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。必要に応じて、製剤は、使用前に、例えば、等張生理食塩水またはデキストロース溶液で希釈することができる。いくつかの例において、当該化合物は水溶液として処方され、静脈内投与される。
【0237】
医薬組成物は、注射用の溶液または粉末の形態とすることができる。かかる組成物は、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween 80)および懸濁化剤を用いて当該技術分野で公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール中溶液として、非毒性の非経口上許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、マンニトール、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油(sterile, fixed oil)は、慣用的に溶媒または懸濁媒体として用いることができる。この目的で、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを包含する無菌性固定油(bland fixed oil)を用いることができる。脂肪酸、例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンで、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油と同様に、注射剤の製剤に有用である。これらの油性液剤または懸濁剤は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロース、または乳剤および/または懸濁剤のような薬学的に許容される投与剤形の製剤化に一般的に使用される類似の分散剤を含有することもできる。TweenまたはSpanのような一般的に使用される他の界面活性剤、および/または、薬学的に許容される固体、液体または他の投与剤形の製造に一般的に使用される他の類似の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤も製剤化の目的で使用することができる。
【0238】
医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、乳剤、および水性懸濁剤、分散製剤および液剤が挙げられるがこれらに限定されない経口的に許容される投与剤形で経口投与され得る。経口用の錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた典型的に添加される。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁剤および/または乳剤を経口投与する場合、有効成分は、乳化剤および/または懸濁化剤と合わせて、油相に懸濁または溶解することができる。必要に応じて、ある種の甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤を添加することができる。
【0239】
本発明の医薬組成物は、また、直腸投与用坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、本発明の化合物を、室温では固体であるが直腸温度では液体となって腸内で融解して有効成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような材料としては、カカオ脂、ミツロウおよびポリエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0240】
別法として、または、加えて、医薬組成物は、鼻エアゾールまたは吸入によって投与することができる。このような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高める吸収促進剤、フッ化炭素、および/または当該技術分野で知られている他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて生理食塩水で液剤として調製することができる。
【0241】
いくつかの場合、本書に記載の1種以上のペプチドは、例えば担体タンパク質と、コンジュゲート体を形成することができる。このようなコンジュゲート組成物は、一価または多価であり得る。例えば、コンジュゲート組成物は、本書に記載の1つのペプチドが担体タンパク質とコンジュゲートしたものを含むことができる。別法として、コンジュゲート組成物は、本書に記載の2種以上のペプチドが担体とコンジュゲートしたものを含むことができる。
【0242】
本書で用いる場合、2つのものが互いに「コンジュゲートし」た場合、それらは、直接的または間接的な共有または非共有相互作用によって連結される。特定の態様において、該会合は共有である。他の態様において、該会合は、非共有である。非共有相互作用としては、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気相互作用、静電相互作用などが挙げられる。間接的共有相互作用は、2つのものが共有連結している場合には、リンカー基を介していてもよい。
【0243】
担体タンパク質としては、対象体における免疫原性を増大または増強させるタンパク質をあげることができる。例示的な担体タンパク質は、当該技術分野において記載されている(例えば、Fattom et al., Infect. Immun., 58:2309-2312, 1990;Devi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7175-7179, 1991;Li et al., Infect. Immun. 57:3823-3827, 1989;Szu et al., Infect. Immun. 59:4555-4561,1991;Szu et al., J. Exp. Med. 166:1510-1524, 1987;およびSzu et al., Infect. Immun. 62:4440-4444, 1994を参照)。ポリマー担体は、1種以上の第一および/もしくは第二アミノ基、アジド基、またはカルボキシル基を含有する天然または合成材料であり得る。担体は水溶性であり得る。
【0244】
処置方法
本開示は、感染症の予防および/または処置のために本書におけるペプチドを使用する方法を包含する。本書で用いる場合、用語「処置する」、「処置すること」または「処置」とは、対象体が罹患している疾患または状態を、部分的または完全に、軽減(alleviating)、阻害、寛解(ameliorating)、および/または緩和(relieving)することをいう。これは、疾患または障害(例えば、癌)の症状のうち1種以上が寛解するかまたは有益に改変される様式を意味する。本書で用いる場合、特定の障害(例えば、感染症)の症状の寛解とは、永久的または一時的にかかわらず、本発明の組成物および方法に起因または関連することができる持続的または一過性の緩和(lessening)をいう。いくつかの態様において、処置は、例えば、処置前の微生物細胞または生物体の数に対する(例えば、対象体中の)微生物細胞または生物体の数の減少;処置前の(例えば、対象体中の)微生物細胞または生物体の生存率(例えば、平均生存率)に対する(例えば、対象体中の)微生物細胞または生物体の生存率(例えば、平均生存率)の減少;および/または処置前の対象体の症状に対する該対象体における1種以上の感染症に関連する1種以上の症状の軽減を促進することができるかまたはもたらすことができる。
【0245】
内部架橋AMPが有効な細菌の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ブドウ球菌(Staphylococci)(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)、スタフィロコッカス・インターメディウス(S. intermedius)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(S. epidermidis)、および他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌)、ナイセリア(例えば、ナイセリア・ゴノレア(N. gonorrheae)およびナイセリア・メニンギティディス(N. meningitidis))、連鎖球菌(Streptococci)(例えば、A群連鎖球菌(Group A Streptococcus)(例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes))、B群連鎖球菌(Group B Streptococcus)(例えば、ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae))、C群連鎖球菌(Group C Streptococcus)、G群連鎖球菌(Group G Streptococcus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(S. pneumoniae)、およびビリダンス連鎖球菌(viridans Streptococci))、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、トレポネーマ(Treponemae)(例えば、トレポネーマ・パリダム(T. pallidum)、トレポネーマ・ペルテヌエ(T. pertenue)、およびトレポネーマ・セラテウム(T. cerateum))、ヘモフィルス(Haemophilus)菌(例えば、ヘモフィルス・デュクレイ(H. ducreyi)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(H. influenzae)、およびヘモフィルス・エジプチウス(H. aegyptius))、ボルデテラ(Bordetellae)(例えば、ボルデテラ・パータシス(B. pertussis)、ボルデテラ・パラパータシス(B. parapertussis)、およびボルデテラ・ブロンキセプチカ(B. bronchiseptica))、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、バチルス(Bacillus)(例えば、バチルス・アントラシス(B. anthracis)およびバチルス・セレウス(B. cereus))、マイコバクテリア(Mycobacteria)(例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)およびマイコプラズマ・レプラエ(M. leprae))、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、アクチノバチルス・プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クロストリジウム(Clostridium)(例えば、クロストリジウム・パーフリンジェンス(C. perfringens)、クロストリジウム・セプティカム(C. septicum)、クロストリジウム・ノビー(C. novyi)、およびクロストリジウム・テタニ(C. tetani))、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、サルモネラ(Salmonella)菌(例えば、サルモネラ・エンテリティディス(S. enteriditis)、サルモネラ・チフィリウム(S. typhimurium)、およびサルモネラ・チフィ(S. typhi))、シゲラ(Shigella)菌、フランシセラ(Francisella)菌、えルシニア(Yersinia)菌(例えば、エルシニア・ペスチス(Y. pestis)およびエルシニア・エンテロコリチカ(Y. enterocolitica))、バークホルデリア(Burkholderia)菌、シュードモナス(Pseudomonas)菌、およびブルセラ(Brucella)菌。AMPが有効なマイコプラズマ生物体(Mycoplasmal organism)としては、例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ(M. pneumoniae)、マイコプラズマ・ファーメンタンス(M. fermentans)、マイコプラズマ・ホミニス(M. hominis)、およびマイコプラズマ・ペネトランス(M. penetrans)が挙げられる。
【0246】
内部架橋AMPが有効な真菌類(酵母を含む)生物体の例としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、他のカンジダ種、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、およびニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
内部架橋AMPが有効な寄生原虫としては、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、プラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモディウム・ビバックス(P. vivax)、プラスモディウム・オバル(P. ovale)、プラスモディウム・マラリアエ(P. malariae)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ・ブルセイ(Toxoplasma brucei)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)およびリーシュマニア・メジャー(Leishmania major)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
内部架橋AMPを用いることができるウイルスの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1型および2型、ヒトリンパ球向性ウイルス(HTLV)、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、A型、B型およびC型肝炎ウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、パルボウイルスB19)、ロジオラウイルス、エンテロウイルス、パピローマウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6型、7型および8型)、ポックスウイルス(例えば、大痘瘡および小痘瘡、ワクシニア、およびサル痘ウイルス)、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、およびサル免疫不全ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0249】
本書に記載の組成物、製剤および/または方法によって処置することができる障害としては、感染性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。感染性疾患は、細菌、ウイルス、真菌類または寄生虫などの病原体によって引き起こされ得る。いくつかの態様において、感染性疾患は、ヒトからヒトへうつることができる。いくつかの態様において、感染性疾患は、昆虫または動物の咬傷によってうつることがある。いくつかの態様において、感染性疾患は、汚染されている食物もしくは水の摂取、または環境中の生物への暴露によって獲得することができる。いくつかの感染性疾患はワクチンによって予防することができます。
【0250】
特定の態様において、本書に記載の組成物、製剤および/または方法によって処置することができる疾患としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アシネトバクター感染症、放線菌症、アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)、AIDS(後天性免疫不全症候群)、アメーバ症、アナプラズマ症、住血線虫症、アニサキス症、炭疽、溶血性アルカノバクテリア感染症、アルゼンチン出血熱、回虫症、アスペルギルス症、アストロウイルス感染症、バベシア症、バチルス・セレウス感染症、細菌性肺炎、細菌性膣症、バクテロイデス感染症、バランチジウム症、バルトネラ症、バイリサスカリス感染症(Baylisascaris infecton)、BKウイルス感染症、黒色砂毛症(Black piedra)、ブラストシストシス(Blastocystosis)、ブラストミセス症、ボリビア出血熱、ボツリヌス中毒(および乳児ボツリヌス中毒)、ブラジル出血熱、ブルセラ症、腺ペスト、バークホルデリア感染症、ブルーリ潰瘍、カイシウイルス感染症(Caicivirus infection)(ノロウイルスおよびサポウイルス)、カンピロバクター症、カンジダ症(モニリア症;鵞口瘡)、毛細虫症、カリオン病、ネコひっかき病、蜂巣炎、シャガス病(アメリカトリパノソーマ症)、軟性下疳、水痘、チクングニア、クラミジア、肺炎クラミジア感染症(台湾急性呼吸器因子またはTWAR)、コレラ、黒色分芽菌症、ツボカビ症、肝吸虫症、クロストリジウム・ディフィシル大腸炎、コクシジオイデス症、コロラドダニ熱(CTF)、感冒(急性ウイルス性鼻咽喉炎;急性コリーザ)、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、クリプトコッカス症、クリプトスポリジウム症、皮膚幼虫移行症(CLM)、シクロスポラ症、嚢虫症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、デスモデスムス感染症、二核アメーバ症、ジフテリア、裂頭条虫症、メジナ虫症、エボラ出血熱、エキノコックス症、エーリキア症、腸蟯虫症(蟯虫感染症)、エンテロコッカス感染症、エンテロウイルス感染症、発疹チフス、伝染性紅斑(第五病)、急性発疹症(第六病)、肝蛭症(Fasciolasis)、肥大吸虫症、致死性家族性不眠症(FFI)、フィラリア症、ウェルシュ菌食中毒、自由生息アメーバ感染症、フソバクテリウム感染症、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、ゲオトリクム症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、ジアルジア症、鼻疽、顎口虫症、淋病、鼠径肉芽腫(鼠径リンパ肉芽腫症)、A群連鎖球菌感染症、B群連鎖球菌感染症、インフルエンザ菌感染症、手足口病(HFMD)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、ハートランドウイルス病、ヘリコバクター・ピロリ感染症、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腎症候性出血熱(HFRS)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペス、ヒストプラスマ症、鉤虫感染症、ヒトボカウイルス感染症、ヒト・エウィンギー・エーリキア症(Human ewingii ehrlichiosis)、ヒト顆粒球性アナプラズマ症(HGA)、ヒトメタニューモウイルス感染症、ヒト単球性エーリキア症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ヒトパラインフルエンザウイルス感染症、条虫症、エプスタイン・バーウイルス伝染性単核症(Mono)、インフルエンザ(flu)、イソスポーラ症、川崎病、角膜炎、キンゲラ・キンゲ感染症、クールー病、ラッサ熱、レジオネラ症(レジオネラ症)、レジオネラ症(ポンティアック熱)、リーシュマニア症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病(ライムボレリア症)、リンパ管フィラリア症(象皮症)、リンパ球性脈絡髄膜炎、マラリア、マールブルグ出血熱(MHF)、麻疹、中東呼吸器症候群(MERS)、類鼻疽(ホイットモア病)、髄膜炎、髄膜炎菌性病、横川吸虫症、微胞子虫症、伝染性軟属腫(MC)、サル痘、ムンプス、発疹熱(地方病性チフス(Endemic typhus))、マイコプラズマ肺炎、菌腫(曖昧性除去(disambiguation)、ハエ幼虫症、新生児結膜炎(Neonatal conjunctivitis)(新生児眼炎)、異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD、nvCJD)、ノカルジア症、オンコセルカ症(河川盲目症)、オピストルキス症、パラコクシジオイデス症(南アメリカブラストミセス症)、肺吸虫症、パスツレラ症、頭部シラミ症(Pediculosis capitis)(アタマジラミ)、体部シラミ症(Pediculosis corporis)(コロモジラミ)、ケジラミ症(陰部のシラミ、ケジラミ)、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳、ペスト、肺炎球菌性感染症、ニューモシスチス肺炎(PCP)、肺炎、灰白髄炎、プレボテラ感染症、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)、進行性多巣性白質脳症、オウム病、Q熱、狂犬病、回帰熱、呼吸器多核体ウイルス感染症、リノスポリジウム症、ライノウイルス感染症、リケッチア感染症、リケッチア痘症、リフトバレー熱(RVF)、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、ロタウイルス感染症、風疹、サルモネラ症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、疥癬、住血吸虫症、敗血症、赤痢菌感染症(細菌性赤痢)、帯状疱疹、天然痘(痘瘡)、スポロトリクム症、ブドウ球菌性食中毒、黄色ブドウ球菌感染症、糞線虫症、亜急性硬化性全脳炎、梅毒、条虫症、破傷風(開口障害)、白癬性毛瘡(かみそり負け(Barber's itch))、頭部白癬、体部白癬、股部白癬、手白癬、黒癬、足白癬、爪白癬(爪真菌症)、癜風、トキソカラ症(眼幼虫移行症(OLM))、トキソカラ症(内臓幼虫移行症(VLM))、トラコーマ、トキソプラスマ症、旋毛虫症、トリコモナス症、鞭虫症(鞭虫感染症)、結核、野兎病、腸チフス熱、発疹チフス熱(Typhus fever)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム感染症、渓谷熱(Valley fever)、ベネズエラウマ脳炎、ベネズエラ出血熱、ビブリオ・バルニフィカス感染症、腸炎ビブリオ性腸炎、ウイルス性肺炎、西ナイル熱、白砂毛症(White piedra)(Tinea blanca)、偽結核菌感染症、エルシニア症、黄熱、および接合菌症。
【0251】
本書に記載の組成物、製剤および/または方法は、病原を処置するために使用することができる。いくつかの態様において、該病原は、ウイルス、細菌、プリオン、真菌類または寄生虫であり得る。特定の態様において、本書に記載の病原としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、アクチノミセス・イスラエリィ(Actinomyces israelii)、アクチノミセス・ゲエンセリアエ(Actinomyces gerencseriae)およびプロピオバクテリウム・プロピオニクス(Propionibacterium propionicus)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、アナプラズマ種(Anaplasma species)、アンギオストロンギルス属(Angiostrongylus)、アニサキス、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、溶血性アルカノバクテリア(Arcanobacterium haemolyticum)、フニンウイルス、ヒト回虫、アスペルギルス種(Aspergillus species)、アストロウイルス科(Astroviridae family)、バベシア種(Babesia species)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、細菌性腟症細菌叢(bacterial vaginosis microbiota)、バクテロイデス種(Bacteroides species)、バランチジウム・コリ(Balantidium coli)、バルトネラ(Bartonella)、バイリサスカリス種(Baylisascaris species)、BKウイルス、ピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、ブラストシスチス種(Blastocystis species)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、マチュポウイルス、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、サビア(Sabia)、ブルセラ種(Brucella species)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)および他のバークホルデリア種(Burkholderia species)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、カリシウイルス科(Caliciviridae family)、カンピロバクター種(Campylobacter species)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)および他のカンジダ種(Candida species)、キャピラリア・フィリピネシス(Capillaria philippinensis)、キャピラリア・ヘパチカ(Capillaria hepatica)、キャピラリア・エロフィラ(Capillaria aerophila)、バルトネラ・バシリホルミス(Bartonella bacilliformis)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、A群連鎖球菌およびブドウ球菌(Group A Streptococcus and Staphylococcus)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus )(VZV)、アルファウイルス(Alphavirus)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholera)、フォンセカエア・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi)、バトラコキトリウム・デンドラバチディス(Batrachochytrium dendrabatidis)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)およびコクシジオイデス・ポサダシ(Coccidioides posadasii)、コロラドダニ熱ウイルス(Colorado tick fever virus)(CTFV)、ライノウイルス(rhinoviruses)およびコロナウイルス(coronaviruses)、PRNP、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトスポリジウム種(Cryptosporidium species)、ブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense);複数の他の寄生虫、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、有鉤条虫(Taenia solium)、サイトメガロウイルス、デングウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3およびDEN-4)-フラビウイルス(Flaviviruses)、緑藻類(Green algae)、デスモデスムス・アルマツス(Desmodesmus armatus)、二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheria)、裂頭条虫(Diphyllobothrium)、メジナ虫(Dracunculus medinensis)、エエボラウイルス(EBOV)、エキノコックス種(Echinococcus species)、エシェリキア種(Ehrlichia species)、エンテロビウス・ベルミクラリス(Enterobius vermicularis)、エンテロコッカス種(Enterococcus species)、エンテロウイルス種(Enterovirus species)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、パルボウイルス(Parvovirus)B19、ヒトヘルペスウイルス(Human herpesvirus)6(HHV-6)およびヒトヘルペスウイルス(Human herpesvirus)7(HHV-7)、ファスキオラ・ヘパチカ(Fasciola hepatica)およびファスキオラ・ギガンチカ(Fasciola gigantica)、ファシオロプシス・ブスキ(Fasciolopsis buski)、PRNP、フィラリア上科(Filarioidea superfamily)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、フソバクテリウム種(Fusobacterium species)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、他のクロストリジウム種(Clostridium species)、ゲオトリクム・カンジダム(Geotrichum candidum)、ジアルジア・ラムブリア(Giardia lamblia)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、グナソストーマ・スピニゲルム(Gnathostoma spinigerum)およびグナソストーマ・ヒスピダム(Gnathostoma hispidum)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、クレブシエラ・グラニュロマチス(Klebsiella granulomatis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenza)、エンテロウイルス(Enteroviruses)、主にコクサッキーAウイルス(Coxsackie A virus)およびエンテロウイルス(Enterovirus)71(EV71)、シンノンブルウイルス(Sin Nombre virus)、ハートランドウイルス(Heartland virus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)O157:H7、O111およびO104:H4、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae family)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)1型および2型(HSV-1およびHSV-2)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)およびアメリカ鉤虫(Necator americanus)、ヒトボカウイルス(Human bocavirus)(HBoV)、エシェリキア・エウィンギー(Ehrlichia ewingii)、アナプラズマ・ファゴサイトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus)(hMPV)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chaffeensis)、ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus)(HPV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(Human parainfluenza viruses)(HPIV)、小型条虫(Hymenolepis nana)および縮小条虫(Hymenolepis diminuta)、エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr Virus)(EBV)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae family)、イソスポーラ・ベリ(Isospora belli)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、ラッサウイルス(Lassa virus)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、リーシュマニア種(Leishmania species)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・レプロマトシス(Mycobacterium lepromatosis)、レプトスピラ種(Leptospira species)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)、マレー糸状虫(Brugia malayi)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus)(LCMV)、プラスモジウム種(Plasmodium species)、マールブルグウイルス(Marburg virus)、麻疹ウイルス(Measles virus)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(Middle East respiratory syndrome coronavirus)、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides)、横川吸虫(Metagonimus yokagawai)、マイクロスポリジア・フィルム(Microsporidia phylum)、伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus)(MCV)、サル痘ウイルス(Monkeypox virus)、ムンプスウイルス(Mumps virus)、リケッチア・チフィ(Rickettsia typhi)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、アクチノマウセトーマ(Actinomycetoma)、ユーマイセトーマ(Eumycetoma)、寄生虫性双翅目ハエ幼虫(parasitic dipterous fly larvae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルジア種(Nocardia species)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、タイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)およびネコ肝吸虫(Opisthorchis felineus)、南アメリカ分芽菌(Paracoccidioides brasiliensis)、ペディクルス・ヒューマヌス・カピチス(Pediculus humanus capitis)、フィチルス・プビス(Phthirus pubis)、ボルデテラ・パータシス(Bordetella pertussis)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii)、ポリオウイルス(Poliovirus)、プレボテラ種(Prevotella species)、ネグレリア・フォーレリ(Naegleria fowleri)、JCウイルス、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)、狂犬病ウイルス、ボレリア・ヘルムシイ(Borrelia hermsii)、ボレリア・レクルレンチス(Borrelia recurrentis)、ボレリア種(Borrelia species)、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory syncytial virus)(RSV)、リノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、ライノウイルス(Rhinovirus)、リケッチア種(Rickettsia species)、リケッチア・アカリ(Rickettsia akari)、リフトバレー熱ウイルス(Rift Valley fever virus)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、ロタウイルス(Rotavirus)、風疹ウイルス(Rubella virus)、サルモネラ種(Salmonella species)、SARSコロナウイルス(SARS coronavirus)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、シストソーマ種(Schistosoma species)、シゲラ種(Shigella species)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus)(VZV)、大痘瘡(Variola major)、小痘瘡(Variola minor)、スポロトリクス・シェンクッキイ(Sporothrix schenckii)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus species)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)、麻疹ウイルス(Measles virus)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、テニア種(Taenia species)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、トリコフィトン種(Trichophyton species)、トリコフィトン・トンズランス(Trichophyton tonsurans)、エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、ホルタエア・ウエルネクキイ(Hortaea werneckii)、トリコフィトン種(Trichophyton species)、マラセチア種(Malassezi
a species)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(Toxocara cati)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、鞭虫(Trichuris trichiura)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ(Salmonella enterica subsp. enterica)、血清型チフス(serovar typhi)、リケッチア(Rickettsia)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、コクシジオイデス・ポサダシ(Coccidioides posadasii)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、グアナリトウイルス(Guanarito virus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus)、複数のウイルス(multiple viruses)、ウエストナイルウイルス(West Nile virus)、トリコスポロン・ベイゲリイ(Trichosporon beigelii)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、黄熱ウイルス(Yellow fever virus)、ケカビ目(Mucorales order)(ムコール症)、およびハエカビ目(Entomophthorales order)(エントモフトラ症)。
【0252】
本書に記載の全ての処置および予防方法は、上記の微生物性生物の少なくともいずれかまたは全てに適用することができる。
【0253】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、1種の微生物に対して有毒であり得る。いくつかの態様において、本発明の化合物は、2種の微生物に対して有毒であり得る。いくつかの態様において、本発明の化合物は、3種の微生物に対して有毒であり得る。いくつかの態様において、本発明の化合物は、4種の微生物に対して有毒であり得る。いくつかの態様において、本発明の化合物は、5種の微生物に対して有毒であり得る。
【0254】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、宿主対象体にダメージを与えることなく微生物を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、本発明の化合物は、宿主対象体にダメージを与えることなく2種の微生物を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、本発明の化合物は、宿主対象体にダメージを与えることなく3種の微生物を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、本発明の化合物は、宿主対象体にダメージを与えることなく4種の微生物を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、本発明の化合物は、宿主対象体にダメージを与えることなく5種の微生物を処置するために用いることができる。
【0255】
一般的に、方法は、対象体を選択すること、および、例えば医薬組成物においてまたは医薬組成物として、本書におけるペプチドのうち1種以上の有効量を対象体に投与することを含み、また、微生物感染症の予防または処置に必要な場合には投与を繰り返すことを含んでもよく、また、例えば経口、静脈内または局所投与することができる。
【0256】
特定の患者のための特定の投与量および処置計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物組み合わせ(drug combination)、疾患、状態または症状の重篤度および経過、疾患、状態または症状に対する患者の素質、ならびに処置を行う医師の判断を含む種々の要因に依存する。
【0257】
1回以上の投与、適用または投薬で、有効量を投与することができる。治療化合物の治療有効量(すなわち、有効な投与量)は、選択された治療化合物に依存する。当該組成物は、1日1回以上~1週間に1回以上(1日おきに1回を包含する)投与することができる。当業者は、疾患または障害の重篤度、以前の処置、対象体の総体的な健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられるがこれらに限定されない特定の要因が対象体を有効に処置するために必要とされる投与量およびタイミングに影響を及ぼし得ると解する。
【0258】
さらにまた、本書に記載の治療化合物の治療有効量による対象体の処置は、単回の処置または一連の処置を含み得る。例えば、少なくとも1回、有効量を投与することができる。患者の状態が改善されると、必要に応じて、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量を投与することができる。その後、投与量もしくは投与頻度、またはその両方を、症状の関数として、改善された状態が維持されるレベルまで低下させることができる。しかしながら、患者は、疾患症状の再発時に長期間断続的治療を必要とすることがある。
【0259】
いくつかの場合、本書におけるペプチドは、さらに、疾患または疾患症状の調節を行うのに有用な量で1種以上のさらなる治療剤と共投与することができる。かかるさらなる治療剤としては、当該技術分野で知られている慣用の抗微生物剤(例えば、抗生物質)を挙げることができる。共投与される場合、本発明のステープル化AMPは、慣用の抗微生物剤と組み合わせて、機構的に相加的または相乗的な抗微生物効果を生じるように機能する。特定の作用機序に限定されずに、特定の微生物性生物(例えば、グラム陰性細菌を包含する)の膜に「細孔」を生じる能力を有する特定の内部架橋(例えば、ステープル化)AMPは、適切な慣用の抗微生物剤の、関連する微生物細胞の内部への通過を促進および/または増強するように作用することができる。同じ目的で、内部架橋AMPは、適切な抗微生物剤と(共有的または非共有的に)コンジュゲートすることができ、得られたコンジュゲート体は、適切な対象体へ投与される。
【0260】
微生物性生物の膜に「細孔」を生じる内部架橋AMPの能力は、それらのための別の有用性の基礎をもたらす。かくして、例えば、関連する微生物性生物(例えば、本書に記載のもののいずれか)を、対象体内で、またはインビトロで、微生物の「細孔」または溶解を生じる能力を有する内部架橋AMPと接触させることができる。この活性の結果として、核酸(例えば、DNAおよび/またはRNA)が、微生物性生物からそれらの周囲へ放出される。この現象は、微生物の正確で迅速で安価な同定の基礎として用いることができる。接触が対象体内で生じる場合、種々の体液(例えば、血液、リンパ液、尿、糞便、粘液、または涙)のいずれかまたは体洗浄を試験することができる。接触がインビトロで生じる場合、培養培地を試験することができる。
【0261】
医学的または衛生学的デバイスへの応用
本発明の抗微生物性ペプチドは、様々な医学的および/または衛生学的デバイス(例えば、コーティングとして、またはデバイスが脊椎動物対象体の体管(bodily canal)に挿入された後、脊椎動物対象体の体腔に挿入された後または脊椎動物の組織もしくは器官に適用された後に分解または溶解した場合の暴露または放出のために生分解性デバイス内に含浸される)に応用または組み込むことができて、微生物(例えば、細菌またはバイオフィルム)の増殖を防止または阻害することができる。本書に記載のステープル化ペプチドとともに用いるのに好適な医学的または衛生学的デバイスとしては、下記の目的で脊椎動物対象体の体管に挿入されるか、脊椎動物対象体の体腔に挿入されるか、または脊椎動物の組織もしくは器官に適用されるデバイスが挙げられるがこれらに限定されない:(a)傷の保護;(b)脊椎動物対象体の体からの、体液、分泌液または排泄物(例えば、血液、月経、尿、リンパ液、脳脊髄液、精液、唾液、膣分泌物、粘液、または糞便)の望ましくない放出の防止または軽減、または制限された放出の解消;(c)対象体への薬物またはいくつかの他の治療剤もしくは予防剤の送達;(d)不在の臓器機能の置換または欠損した臓器機能の補完;または(e)体管(例えば、血管)の開存性の維持。医学的または衛生学的デバイスの具体的な例としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:末梢IV、中心ライン、ポート・ア・キャス(portacath)、透析用カテーテル;直腸デバイス、例えば、坐剤、浣腸、およびカテーテル;鼻送達、器官送達、または食道送達デバイス;膣用デバイス、例えば、膣用タンポンおよび避妊デバイス(例えば、ペッサリーまたは子宮内デバイス(IUD));静脈用、動脈用、頭蓋内用および他のためのニードル、カテーテルおよびステント;腎透析用アクセス;外科用の絆創膏、縫合または包帯;オストミーデバイス;天然および合成の埋め込み型組織マトリックス(例えば、米国特許第5,885,829号を参照(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する));ペースメーカー、ならびにおよびペースメーカーワイヤおよびリード;合成および自然のプロテーゼ、例えば、臀部および膝および関節用プロテーゼ、ならびに心臓弁;体腔(例えば、腹腔)に埋め込まれ、薬物またはいくつかの他の治療もしくは予防剤のゆっくりとした送達を提供する浸透圧ポンプ(例えば、ミニ浸透圧ポンプ)。
【0262】
バイオフィルムおよびバイオフィルム関連感染症の処置
本発明のステープル化AMPは、インビボまたはインビトロで細菌性バイオフィルムを処置または滅菌するために使用することができる。例えば、嚢胞性線維症の処置のために肺へ、または細菌性膣症(BV)の処置のために膣へ(局所的に)、有効量を投与することができる。BVは、膣内フローラが、ラクトバチルス種がもはや優勢ではないように変えられる症状である[Forsum et al. (2005) APMIS 113:81-90]。BVは、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、いくつかの嫌気性菌、およびマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)のような生物の過剰増殖によって特徴付けられる。アトポビウム(Atopobium)種のような膣内生物はBVと関連し得る[Verstraelen et al. (2004) Am J. Obstet. and Gynecol. 191:1130-1132]。BVと関連する嫌気性菌としては、バクテロイデス(Bacteroides)種、プレボテラ(Prevotella)種、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)種およびモビルンカス(Morbiluncus)種が挙げられる[Forsum et al. (2005)、上掲]。妊婦の研究において、無症候性BV患者および症候性BV患者は、ともに、これらの生物、特にガードネレラ(Gardnerella)が10倍以上増加していることが判明した。症候性の女性は、ガードネレラ(Gardnerella)細菌および嫌気性菌が100倍~1000倍増加している。このような患者において、乳酸桿菌の付随低下があり、未知の理由で、存在する乳酸桿菌は、それらの正常なカウンターパートよりも過酸化水素の生成が少ない。アミン生成物であるトリメチルアミンは、細菌の過剰増殖の代謝産物であり、その魚臭は、BVの徴候である。BVに関連している要因としては、性行為、特に新しい性交渉相手、抗生物質の使用、未知の理由によるpH低下、およびIUD(子宮内デバイス)の使用が挙げられる[Hawes et al. (1996) J. Infect. Dis. 190:1374-1381]。BV患者のおよそ半数は無症候性である。持続性膣炎はBVに関連する。
【0263】
BVの臨床診断は、膣分泌物において以下の4つの特徴のうちの3つを有することに基づいている:(1)pH4.5以上;(2)薄いスキムミルク様;(3)該分泌物上に10%水酸化カリウムを置いた時のアミン魚臭;および(4)手掛かり細胞(clue cell)[Amsel et al. (1983) Am. J. Med. 74:14-22]。手掛かり細胞は、その境界が不明瞭である細菌で覆われている膣細胞である。BV患者からの膣分泌物の顕微鏡検査では、BV患者からの膣排出物の顕微鏡検査では、長い乳酸桿菌の形態型が減少することが見られる。
【0264】
BVを有する妊婦は、早産、低出生体重出産、羊水感染症、および絨毛膜羊膜感染症が50%~100%増加する[Hillier et al. (1995) N. Engl. J. Med. 333:1737-1742]。高濃度の潜在的病原性微生物は、また、帝王切開後の分娩後子宮内膜炎、治療的流産後の骨盤内炎症性疾患、および腹式子宮摘出術後の膣断端部蜂巣炎(vaginal cuff cellulitis)を含む上部生殖管の感染症の素因となる。
【0265】
BVの処置オプションとしては、第一選択処置として、非妊娠女性におけるメトロニダゾール(経口)およびクリンダマイシン(局所)、ならびに症候性妊婦におけるメトロニダゾールが挙げられる。再発性BVについては、通常の処置、次いで、隔週の抑制量のメトロニダゾールが推奨される。経口または膣内投与された乳酸桿菌は、その有効性は依然として議論の余地があるが、助けになるかもしれない。
【0266】
さらなる適用
本書に記載のステープル化ペプチドは、また、ウイルス性(例えば、HIV)感染症の可能性を予防または軽減するために使用することができる。例えば、ステープル化AMPは、ウイルス性(例えば、HIV-1またはHIV-2)伝染および/または感染のリスクを増加させることが示される炎症性リスクをもたらす個別の膣細菌性フローラを排除するために膣内(例えば、局所)投与することができる。
【0267】
本書におけるペプチドは、微生物(例えば、細菌)汚染のリスクを低減または排除するために、食品または飲料処理の状況で(例えば、滅菌および/または発酵過程において食品および飲料品(例えば、ビール)に)適用することができる。現在、天然に存在する抗細菌性ペプチドであるナイシンは、病原性グラム陽性細菌を除菌するために食品加工処理において用いられている。しかしながら、有効な抗微生物剤は、食品加工処理の状況におけるグラム陰性細菌の除菌に利用可能ではない。ナイシンとは異なり、本発明の合成ペプチドは、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の両方に対して広域スペクトル活性を示す。
【0268】
本発明のステープル化AMPは、また、例えば感染症に罹患しているかまたは感染症のリスクがある動物または植物において、微生物感染症の予防および/または処置するために、獣医学用途および/または農業用途に適用することもできる。処置に好適な動物の例は、当該技術分野において一般的に知られており、以下のものが挙げられる(しかし、これらに限定されない):例えば、家禽類および他のトリ(ニワトリ、シメンチョウ、アヒル、ダチョウ、エミュー、ウズラを包含する)、反芻動物(ヤギ、ヒツジ、およびウシを包含する)、サカナ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、ウマ、ロバ、サル、類人猿、ネコ科動物(ネコを包含する)、ハムスター、フェレット、モルモットおよびイヌ科動物(イヌを包含する)。処置に好適な植物の例は、当該技術分野において一般的に知られており、以下のものが挙げられる(しかし、これらに限定されない):例えば、アーモンド、リンゴ、アマランス、チョウセンアザミ、アスパラガス、アボカド、バナナおよびプランテン、オオムギ、ビート、ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、ストロベリー、およびラズベリー)、パンノキおよびジャックフルーツ、芽キャベツ、キャベツ、ニンジン、キャッサバ、カリフラワーおよびブロッコリー、セロリ、ハヤトウリ、チェリー、ココナツ、コラードおよびケール、コーン(トウモロコシ)、キュウリおよびズッキーニ、タンポポ、ナスビ、エンダイブおよびチコリ、ニンニク、コールラビ、ブドウ、マメ科植物、レタス、メロン類(ハネデュー、カンタロープおよびスイカ)、カラシナ、オート麦、オカ(oca)、オリーブ、オクラ、タマネギ、オレンジおよびグレープフルーツ、オイスタープラント、西洋ナシ、モモ、ペミカン、ペッパー、ジャガイモおよび他の塊茎、キノア、ラディッシュ、コメ、ダイオウ、ライムギ、サゴ、ソルガム、ダイズ、ホウレンソウ、カボチャ(pumpkin)および他のカボチャ(squash)、キクイモ、タロイモ、テフ、トマト、カブ、ウルーコ(ulluco)、バニラ、クレソン、コムギ、ヤム、およびヤウティア。処置に好適な食品の例は、当該技術分野において一般的に知られており、以下のものが挙げられる(しかし、これらに限定されない):例えば、上記のような、藻類、キノコ類、および動物由来の食品(例えば、ビーフ、バター、タマゴ、(アイス)クリーム、グレイビー、ミルク、ポーク、ヴィール、ヨーグルト)および/または植物由来の食品(例えば、ビール、パン、シリアル、チョコレート、コーヒー、ケチャップ、マスタードソース、オートミール、ジュース、グルタミン酸ナトリウム、サラダ、ソーダ、ソフトドリンク、豆乳、醤油、茶、豆腐、揚げ物、酢、ワイン)。
【0269】
本書におけるペプチドは、また、微生物(例えば、細菌)汚染のリスクを低減または排除するために、パーソナルケアおよび/または消費者製品の状況において(例えば、滅菌プロセスにおける健康製品または美容製品に)適用することもできる。処置に好適な製品の例は、当該技術分野において一般的に知られており、以下のものが挙げられる(しかし、これらに限定されない):例えば、ブラシ、コンディショナー、クリップ、クリッパー、カールアイロン、シャンプー、ソープ、ローション、局所アクネ軟膏、オイル、着色料、染料、香料、ピン、フレグランス、カミソリ、ヒゲソリ用デバイス、デオドラント、化粧料、キッチン用および/またはダイニング用デバイス(例えば、まな板、ラック、容器、ポット、平鍋、器具(utensil))、および清掃デバイス(例えば、ホウキ、モップ、ちりとり、掃除機)および清浄液。
【実施例
【0270】
実施例1:ステープル化マガイニンIIアナログの合成
マガイニンIIは、化合物の設計のための足場として用いられた、十分に特徴付けられたAMPである。ステープル化マガイニンIIペプチドのパネルを作成した(図3A)。最初のパネルについて、αヘリックスの2ターン離れているi,i+7ステープルを用いる7つの異なる位置がサンプリングされた。ペプチドの疎水性面および親水性面上、ならびに2つの界面上のステープル位置を試験した(図3B)。アラニンは、ペプチド配列内でヘリックス℃を促進することができるので、3つの変異(S8A、G13A、G18A)を導入した。
【0271】
実施例2:ステープル化マガイニンIIアナログのヘリックス特徴付け
ヘリックス促進溶媒であるトリフルオロエタノール(TFE;50%v/v)の存在下および非存在下でCD分光法を用いて、ステープル化マガイニンIIアナログのパネルのヘリックス度を決定するために、ペプチドを水に溶解した。TFEの非存在下で、ステープル化アナログは、部分的に不規則であった非ステープル化マガイニンIIと比べて非常に高いレベルのヘリックス度を示した(図4A)。ヘリックス度のレベルは、理想的なαヘリックスペプチドと比べて、MagStap2についてのおよそ34%からMagStap1および3についての100%までの範囲であった。これらの結果は、炭化水素ステープルの位置がαヘリックス構造の誘導に重大な影響を及ぼすことを示唆している。TFEの存在下でのヘリックス度を測定した場合、ステープル化アナログの大部分は、100%のαヘリックス含有率を保持していたMagStap3を除いて、50~60%ヘリックスであった。対照的に、マガイニンIIについての誘導されたαヘリックス度は、TFEの存在下でさえ32%を超えなかった(図4B)。
【0272】
実施例3:ステープル化マガイニンIIペプチドの抗細菌活性
ステープル化マガイニンIIペプチドのパネルを、2種類のグラム陰性細菌株であるエシェリキア・コリ(E. coli)およびセラチア・マルセセンス(S. marcescens)、ならびに2種類のグラム陽性株であるバチルス・セレウス(B. cereus)およびエンテロコッカス・デューランス(E. durans)について試験した。この分析の結果を表3に示す。
【0273】
【表3】
【0274】
表3におけるペプチドは、配列番号134および178~184(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0275】
エシェリキア・コリ(E. coli)におけるステープル化ペプチドの最小阻止濃度(MIC)は、マガイニンIIのMICよりも3倍以上低かった;MagStap2および6のような選択された化合物は抗力が15倍以上増加したことを示した。セラチア・マルセセンス(S. marcescens)において試験した全てのペプチドのMICは試験した濃度の範囲よりも大きかったけれども、ステープルペプチドによる処置は、マガイニンIIと比べた場合、増殖の部分阻害をもたらした。バチルス・セレウス(B. cereus)について試験した場合、パネルのMICは、エシェリキア・コリ(E. coli)について得られた値と非常に類似していた。これらの結果は、グラム陰性菌の二重の膜構造が該病原体をAMP毒性から保護しないことを示唆している。エンテロコッカス・デューランス(E. durans)についての我々のMIC結果は、抗微生物活性の2~3倍増加を示した。エンテロコッカス・デューランス(E. durans)のMIC測定は、最適なエンテロコッカス・デューランス(E. durans)増殖のために5%の溶解したウマの血液の存在下で行ったことに注目すべきである。溶解度実験によって、ウシ血清アルブミン(BSA)の添加がペプチド活性を減弱させることが示されたので、ウマの血液中に存在する血清タンパク質は、AMPに結合し、それらの活性を阻害し得る。
【0276】
ステープル位置がAMPの抗微生物活性にどのように影響するかを理解することは、ペプチド設計を精緻化するために重要であり得る。ステープル化パネルのMIC値を比較すると、ステープル位置2および6は一貫してはるかに低いMIC値をもたらした。しかしながら、ステープル位置1および5は、4つの株すべてにおいて、パネル中のペプチドの中で最も高いMIC値を有した。かくして、ステープル位置がペプチドの疎水性面上にある場合、抗微生物効力の著しい増加を達成することができる。他方、ステープル位置が親水性面に設置されたとき、効力の増加はより低かった。
【0277】
実施例4:ステープル化マガイニンIIペプチドの溶血活性
AMPが真核細胞と細菌膜とを区別する能力は、宿主生物の細胞の損傷を防ぐのに役立つので、その活性の中心である。それにもかかわらず、AMP療法の分野における大きな障害は、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞への損傷を最小限に抑えながらAMP効力を増加させることである。ヘリシティヘリックス度および疎水性の増加はしばしば抗微生物活性の有利な増加をもたらすが、増加したヘリックス度および疎水性はまた、非常に低い膜選択性をもたらし得る。ステープル化ペプチドの最初のパネルがどれほど選択的であるかを評価するために、健康な患者の血液サンプルから単離した赤血球を溶解する能力を測定した(図5)。マガイニンIIは試験された濃度の範囲にわたって溶血活性を示さなかったが、ステープル化アナログはすべて、それらのMIC以下の濃度でも高度に溶血性であった。ステープル化アナログのうち、MagStap5は最も低い溶血活性を示し、一方、MagStap4は最も溶血活性が高かった。これらの結果の1つの可能な説明は、炭化水素ステープルが、C-18HPLCカラムでの溶出時間によって証明されるように、疎水性の有意な増加をもたらしたことである(例えば、実施例11参照)。
【0278】
実施例5:ステープル化ペキシガナンアナログの合成
最大および最小の活性を示した場所をテストするためにMagStap2、MagStap5、およびMagStap6で使用されている位置に対応する位置にステープルが配置された3種類のペキシガナンアナログを合成した(図6Aおよび図6B)。
【0279】
実施例6:ステープル化ペキシガナンアナログのヘリックス特徴付け
ヘリックス度誘発剤であるTFE(50%v/v)の存在下および非存在下で水中におけるペキシガナンおよびそのステープル化アナログのヘリックス度を測定した。TFEの非存在下では、ペキシガナンは溶液中でほとんど二次構造を示さなかったが、ステープル化アナログは非常に少ない量のヘリックス立体構造を示した(図7A)。TFEの添加時に、ペキシガナン、PexStap2、およびPexStap6は、25~35%の範囲で同様のレベルのヘリックス立体構造を示した。これらの結果は、静電反発がヘリックス立体構造をあまり好ましくないものにしたことを示唆している(図7B)。さらに、ステープルを親水性側に加え、2つのリジン残基を置き換えたPexStap5アナログは、非常に程度の高い約83%のヘリックス度を示した。この結果は、AMPが採用することができるヘリックス度の相対量を決定する際の、親水性側の残基間の静電反発の重要性をさらに強調する。
【0280】
実施例7:ステープル化ペキシガナンアナログの抗微生物活性
以下の細菌株に対してペキシガナンおよびそのステープル化アナログを試験した:エシェリキア・コリ(E. coli)、セラチア・マルセセンス(S. marcescens)、バチルス・セレウス(B. cereus)、スタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)およびシュードモナス・エルギノーサ(P. aeruginosa)。この研究の結果を表4に示す。
【0281】
【表4】
【0282】
ステープル化ペキシガナンアナログは、抗微生物活性の有意な増加を示さなかった。それらの活性は試験された株にわたってほとんど維持され、セラチア・マルセセンス(S. marcescens)の場合、ステープル化アナログは、ペキシガナンと比較して部分的な増殖阻害を示した。細孔形成が生じるためのある濃度のペプチドの存在を必要とするAMPの作用機序のために、ペプチド効力に関して上限が達成されている可能性がある。それにもかかわらず、ペプチドステープリングによって得られるプロテアーゼ耐性および好ましい薬物動態プロファイルは、非修飾ペプチドと比較してステープル化ペキシガンAMPの潜在的利益を示す。
【0283】
実施例8:ステープル化ペキシガナンアナログの溶血活性
ヒト赤血球をステープル化ペキシガナンペプチドの存在下でインキュベートすると、ペキシガナンの場合に溶血が起こらないのとは対照的に、有意な量の溶血活性が検出された(図8)。しかし、ステープル化マガイニンIIパネルと比較した場合、ペキシガナンアナログは、試験された濃度の範囲にわたってより低いレベルの溶血活性を示した。カチオン性残基の増加は、膜選択性を部分的に回復させたペプチドの全体的な疎水性の低下をもたらした。加えて、PexStap5は、PexStap2およびPexStap6と比較して、より高いレベルの溶血活性を示し、疎水性の増加が膜選択性を低下させるというさらなる証拠を提供した。興味深いことに、PexStap5は、疎水性が低いにもかかわらず、MagStap5よりも溶血性である。ヘリックス度に関して、ある閾値が存在すると考えられ、これを超えるとAMPの溶血活性を大幅に増加させることができる(例えば実施例11を参照)。
【0284】
実施例9:炭化水素ステープルのジヒドロキシル化
炭化水素ステープルの添加は抗微生物活性の有意な改善をもたらしたが、炭化水素ステープルの疎水性に起因し得る溶血活性の増加も観察された。したがって、抗微生物効力増強を保持する一方、溶解し易い疎水性を緩和する1つのアプローチは、ステープル自体の疎水性を調節することである;したがって、シャープレスジヒドロキシル化反応を用いて、ステープル中に存在するアルケン基に2つのアルコール基を導入した。ステープル上のこれらの2つの親水性基の存在は、その疎水性を低下させて、溶血活性を低下させることげできる。この仮説を試験するために、PexDiol5と呼ばれるPexStap5のジヒドロキシ化形態を合成した。
【0285】
最初に、PexStap5と比較した場合、PexDiol5のヘリックスフォールディングの程度を測定し、TFE(50%v/v)の存在下および非存在下で同様のレベルのヘリックス度が見いだされた(図7)。第2に、PexDiol5の抗微生物活性を我々の細菌性病原体パネルに対して試験した。抗微生物活性は、ステープル上のジオール部分の存在下で維持された(表3)。最後に、PexDiol5の溶血活性を試験した。PexDiol5は、試験した濃度の範囲にわたって有意な溶血活性を示したが、PexStap5の活性より顕著に低かった(図8)。この結果は、ステープルの疎水性が膜選択性の低下において重要な役割を果たすという推論を立証した。
【0286】
実施例10:炭化水素ステープルのアミノヒドロキシル化
ジオール部分はペプチドの全体的な疎水性を部分的に減少させたが、アミン部分の添加による点電荷を加えることにより、ステープルの疎水性をさらに低下させることができる。さらにまた、ステープル上のアミンハンドルは、抗微生物活性をさらに高めることができる他の化学基をステープルに取り付ける機会を提供する。この目的のために、シャープレスアミノヒドロキシル化反応を用いて、PexStap2、PexStap5およびPexStap6中のアルケン基を修飾し、PexAminol2、PexAminol5およびPexAminol6を生成した。
【0287】
実施例11:微生物対哺乳動物の膜選択性を有するステープル化AMPを生成するための設計原理
マガイニンIIの配列に基づくペプチドライブラリーを作成し、ステープルをそのN末端からC末端までペプチド配列を横切って連続的に移動させることにより、全ての可能なi,i+4、またはi,i+7のステープル挿入点を調査した(図11)。グラム陽性種およびグラム陰性種を含む4つの異なる細菌性病原体におけるこのライブラリーの抗微生物活性を試験し(図12図13)、赤血球(RBC)溶血活性アッセイを用いた哺乳動物膜溶解についてカウンタースクリーニングした(図14)。
【0288】
一般に、マガイニンII配列へのステープルの組み込みは、非修飾配列と比較してより大きな抗微生物活性をもたらし、活性は異なるステープル化種によって異なった。i+7ステープル化誘導体は、i+4ステープル化化合物よりも活性が高かったが、i+7アナログは同様にRBC溶血活性アッセイにおいて溶解性であり、i,i+7ステープルのより大きい疎水性含量と一致した。対照的に、i+4パネルは、ステープル挿入部位の周期性に基づいて異なるRBC溶解活性の顕著なパターンを示した(図14)。具体的には、αヘリックスマガイニンIIのトポグラフィー解析により、i,i+4ステープル化マガイニンペプチドによるRBC溶解が、ステープルがヘリックス表面の確立された疎水性パッチ内に局在しているかもしくはこの領域を超えて伸長したか、または新しい連続疎水性表面を生成するために以前に分離された疎水性パッチを結合していることにさえに依存していることが明らかになった(図15A、B)。例えば、ステープル化誘導体Mag(i+4)1の場合、非修飾ペプチドについての50μg/mLと同等またはそれ以上と比較して、抗微生物活性は、エシェリキア・コリ(E. coli)およびシュードモナス・エルジノーサ(P. aeruginosa)(ともにグラム陰性病原体)において実質的に増加し、それぞれ6.2および12.5μg/mLのMICを示した(表5、6、7、図15C)。
【0289】
【表5】
【0290】
表5におけるペプチドは、配列番号134、135、140、142および150(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0291】
【表6】
【0292】
表6におけるペプチドは、配列番号134、69および135~154(上から下へ連続して番号が付けられた)である。Mag(i+4)18(配列番号152)の配列は、GIGKFLHSAKKFGKAFVGXIBNXであり;Mag(i+4)1,15(A9K)(配列番号153)の配列は、GXGKFXHSKKKFGKAXVGEXBNSであり;Mag(i+4)2,15(A9K)(配列番号154)の配列は、GIXKFLXSKKKFGKAXVGEXBNSである。
【0293】
しかし、RBC溶血活性アッセイで用量を25μg/mLに増加させた場合でも、同じ用量で非修飾ペプチドについて観察された2%溶血と比較して、ステープル化ペプチドについてはわずか5%の溶血しか観察されなかった(表5、図15C)。したがって、Mag(i+4)1の特性は、細菌対哺乳動物の膜選択性のための適切な治療ウインドウを反映する。対照的に、ステープルを、Mag(i+4)8におけるような親水性の優先部位で疎水性を付与する位置に移動させた場合、無差別な溶解活性が観察された(表5、6、図15D)。しかしながら、ステープルが以前の疎水性領域を占めると、微生物選択的溶解活性が回復する(図15E)。Mag(i+4)6の特性は、膜選択性を達成するために疎水性表面パッチにおける不連続性を維持することの重要性を強調するさらに別の例を提供する:ステープルは配列中の2つのカチオン性アミノ酸を置き換えるが、25μg/mLでの溶血活性は11%で低いままである(図15F)。Mag(i+4)6は、Mag(i+4)8において示されると同程度に疎水性表面領域を増加させるが、疎水性パッチの不連続性が維持されているため、Mag(i+4)6の場合には溶血が増加しない。
【0294】
これらの結果に基づいて、少なくとも2つの内部架橋またはステープル化アミノ酸を有する他のステープル化ペプチド(例えば、マガイニンIIの配列に基づかないAMP)(ここで、少なくとも2つのアミノ酸は、2アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+3)、3アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+4)、または6アミノ酸(すなわち、図1および図2に示される、i,i+7;また下記の表7にも示される)離れている)を合成し、アッセイした。
【0295】
【表7】
【0296】
表7におけるペプチドは、配列番号134および155~168(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0297】
マガイニンII、Mag(i+4)14およびMag(i+4)15と、哺乳動物(DOPC:コレステロール(9:1))または細菌(DOPC:DOPG(8:2))細胞膜をシミュレートするリポソームとの相互作用を評価する水素-重水素交換質量分析実験は、Mag(i+4)14が哺乳動物および細菌の膜と無差別に相互作用することを示している(これらの膜をシミュレートするリポソームとの共インキュベーションはMag(i+4)14ペプチドを重水素化から保護するため)。図16を参照。
対照的に、Mag(i+4)15は、細菌膜と選択的に相互作用するが、哺乳類膜とは相互作用しない;細菌膜をシミュレートするリポソームとの共インキュベーションのみが、Mag(i+4)15ペプチドを重水素化から保護する。親ペプチド(マガイニンII)は、使用される濃度で細菌膜および哺乳動物膜の両方とあまり相互作用しないので、すべての条件下で重水素化される。
【0298】
実施例12:抗微生物性ペプチド選択性および活性に対する電荷分布の影響
マガイニンの正電荷は、N末端付近の親水性側に整列し、グルタミン酸残基はC末端近くで保存される。ステープル化AMP(STAMP)の活性および選択性に対する正電荷および負電荷の移動の影響を決定するために、リジンまたはグルタミン酸残基が様々な位置に設置されたペプチドライブラリーを作成した(図17および18)。Mag(i+4)15は、非ステープル化ペプチドと比較して、抗微生物活性の大幅な増加および溶血活性の適度な増加のために、モデルステープル化足場として選択された。
【0299】
リジン走査ライブラリーからは、リジン残基がどこに設置されても、溶血活性の減少の一般的傾向が観察された(表8)。この傾向は、非選択的毒性、例えば、細菌膜に加えて哺乳動物膜の溶解が、主にペプチド表面の疎水性パッチに起因することを示唆している。
【0300】
抗微生物活性は正電荷配置の位置に大きく依存した。グラム陽性活性は、疎水性残基がリシンに変異した場合、グラム陰性活性よりも容易に破壊された。Mag(i+4)15(A9K)などのいくつかの例では、グラム陽性活性は大きく減弱したが、グラム陰性活性は影響を受けなかった(表8)。
【0301】
親STAMP鋳型と比較して、グルタミン酸走査ライブラリーは、リジン走査ライブラリーから観察されたように、全体的により低い溶血活性を示した(表9)。しかし、抗微生物活性は大多数の場合に減弱し、AMPの抗微生物活性における正電荷の役割を強調している。リジン残基が変異したときはいつでも、抗微生物活性は細菌パネル全体で減少した。これらのデータは、マガイニンIIの正電荷の減少が抗微生物活性を著しく損なうという観察と一致している。特定のグルタミン酸変異に対するグラム陽性病原体の感受性は、リジン走査ライブラリーから観察されるように、グラム陰性細菌よりも顕著であった。例えば、Mag(i+4)15(G18E)およびMag(i+4)15(N22E)のように、C末端付近に負の電荷が加えられた場合、ペプチド活性のわずかな低下だけが観察された(表9)。この結果は、マガイニンII内の双極子モーメントが選択的な溶解活性を維持するのを助けるという主張を支持する。
【0302】
【表8】
【0303】
表8におけるペプチドは、配列番号149および32~48(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0304】
【表9】
【0305】
表9におけるペプチドは、配列番号149および49~68(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0306】
正および負電荷スキャン研究に加えて、AMP化合物の選択的ヒスチジン変異が作成された。ヒスチジン側鎖の正電荷は、イミダゾール内の共鳴に起因してリジン側鎖よりも「軟らかい」。さらに、イミダゾール側鎖のpKaは6に近くであり、生理学的条件では、残基がリジンの側鎖のように広範にプロトン化されない。細菌膜の近くの負荷電環境に起因して、細菌膜に隣接するpHはおそらく6未満であり、ヒスチジン残基をプロトン化させる可能性がある。さらに、ヒスタチンなどの抗微生物性ペプチドは、ヒスチジンの電荷スイッチング挙動に依存して、ペプチド活性および選択性を調節する。細菌膜に関連して正に荷電した領域を拡大し、膜貫通の可能性を増加させる、マガイニンIIの親水性面に近い領域にヒスチジンを設置する影響を試験した(表10)。この例示的なペプチドライブラリーでは、残基G3、S8、A15およびG18が変異された。全体として、変異は溶血活性をわずかに低下させ、抗微生物活性において適度な増加をもたらした。この群の最も有効な変異体はMag(i+4)15(S8H)であり、試験した細菌のパネル全体にわたる活性の増加が観察され、溶血活性の適度な低下が見られた。したがって、結果は、AMP薬物候補の選択性を保持しながら、その抗微生物活性を選択的に増加させるヒスチジン残基を設置する有用性を実証する。
【0307】
実施例13:AMPの抗微生物活性に及ぼすヘリックスベンドの影響
AMPのαヘリックス性は膜との相互作用を促進して細菌溶解を誘導する。しかしながら、いくつかのAMP配列は、ペプチドの中心に近いグリシンまたはプロリンのようなヘリックス破壊残基を有する。AMP配列中のヘリックス破壊因子の役割を決定するために、残基G13がアラニンおよび2-アミノイソ酪酸(Aib)のようなヘリックス促進残基、またはプロリン、ヒドロキシプロリン、D-アラニンおよびD-リジンなどのヘリックス破壊因子に変異したペプチドのライブラリーを合成した(表10)。ヘリックスプロモーターは、グラム陽性病原体およびグラム陰性病原体の両方において抗微生物活性の増加をもたらした。しかし、同時に溶血活性の増加が観察されたが、これはおそらくアラニンとAibの疎水性に起因している。対照的に、プロリンおよびヒドロキシプロリン変異は、細菌膜および哺乳動物膜の両方の溶解活性の全体的な低下をもたらした。d-アラニン変異体ステープル化AMPでは、溶血活性の低下とともに抗微生物活性の増加が観察された。疎水性に関して、アラニンの2つのエナンチオマー形態は同一である。しかしながら、d-アラニンはヘリックスを破壊し得る。これらの結果は、高いレベルのヘリックス剛性を有さない化合物においてさえ、AMP選択性が達成され得ることを示唆している。
【0308】
【表10】
【0309】
表10におけるペプチドは、配列番号149および73~82(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0310】
実施例14:電荷スキャンライブラリーおよびヒスチジン変異体からの統合洞察
上記のステープルスキャニングおよび突然変異スキャニングライブラリーの結果に基づく一連の化合物を設計した。二重ステープル化STAMP候補であるMag(i+4)1,15(A9K)およびMag(i+4)2,15(A9K)を用いて、以前のデータに基づいて変異体位置を選択したペプチド誘導体のパネルを作成した(表11)。例えば、最も強力な二重ステープル化AMPの1つであるMag(i+4)2,15の選択性を高める目的で、これらの二重ステープル化STAMPにグルタミン酸変異(N21E)を導入した。抗微生物活性の潜在的損失を補うために、および/または膜選択性を増加させるために、他の変異を組み込んだ。このパネルでは、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H)はほんのわずかに弱毒化された抗微生物活性を示したが、以前に観察された16%溶血活性は完全に排除された。さらなるヒスチジン変異を導入することによって正電荷を増強することは、選択性が維持または改善されることを確実にしながら、抗微生物活性を維持または改善することが示された。
【0311】
【表11】
【0312】
表11におけるペプチドは、配列番号149および170~174(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0313】
実施例15:STAMP疎水性パッチの検証
疎水性パッチの重要性を研究するために、冬のヒラメ(winter flounder)の皮膚に見出される抗微生物性ペプチドであるリューロシジンが選択された。リューロシジンは、低溶血活性をもってグラム陽性病原体およびグラム陰性病原体の両方に対して抗微生物活性を示す。しかしながら、このペプチドの構造化されていない性質は、インビボでの有用性を妨げている。負荷電ミセルの存在下でのリューロシジンのNMR構造を用いて、αヘリックス折りたたみ構造内の疎水性表面領域が同定された(図22A)。次いで、これらの疎水性領域の境界内に二重ステープルを挿入した(図22B)。不連続な疎水性面を作成し、それによって、(上記の実験に基づいて)抗微生物活性を保持しながら哺乳動物細胞溶解のリスクを低減するために、A9残基をリジンに変異させた(図22C)。グラム陽性病原体およびグラム陰性病原体に対して試験した場合、STAMP構築物は、親の非ステープル化ペプチドよりも優れた1つの希釈範囲であった改善された抗微生物活性を示した。Mag(i+4)2,15(A9K)と同様の低溶血活性を維持しながら、二重ステープル化AMP、Pleu(i+4)1,15(A9K)の抗微生物活性のこの改善が達成された(表12)。
【0314】
【表12】
【0315】
表12におけるペプチドは、配列番号175~177(上から下へ連続して番号が付けられた)である。
【0316】
実施例で用いた方法
固相ペプチド合成法:Fmocベースの固相ペプチド合成法を使用して、抗微生物性ペプチドおよびそれらのステープル化誘導体を合成した。様々なステープル長を達成するために、α-メチル、α-アルケニルアミノ酸を2個、3個、または6個の残基に隣接して使用した。R5残基は位置iで組み込まれ、S5は位置i+3で組み込まれ、一方、2個のS5残基はiおよびi+4位置で使用され、R8は位置iで使用され、S5はi+7で使用された[29]。別のステープリングアミノ酸カップルを使用して、対応するステープル(例えば、i,i+3についてはR3/S5またはS3/R5、i,i+4についてはR5/R5;i,i+7についてはS8/R5)を作成した。ステープリング反応のために、ジクロロエタンに溶解したGrubbsの第一世代ルテニウム触媒をなおも樹脂上にあるペプチドに加えた。最大変換を確実にするために、ステープリングを3~5ラウンド行った。一旦ステープル化した後、トリフルオロ酢酸を用いて該ペプチドを樹脂から切断し、次いで、ヘキサン:エーテル(1:1)混合物を用いて沈殿させ、その後、風乾し、LC-MSを用いて精製した。精製されたペプチドの量を正確に決定するため、および正確な配列が確実に作成されるようにアミノ酸分析を行った。
【0317】
円偏光二色性分光法:
化合物を水溶液(例えば、pH7の5mMリン酸カリウム溶液、または蒸留水で、25~50μMの濃度)に溶解した。標準的な測定パラメータ(例えば、温度、37℃;波長、190~260nm;ステップ解像度、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;光路長、0.1cm)を用いて分光偏光計(Aviv)で円偏光二色性(CD)スペクトルを得た。平均残基楕円率を、モデルヘリックスデカペプチドについて報告されている値(例えば、Yang et al., Meth Enzymol. 130:208 (1986を参照)で割ることによって、各ペプチドのαヘリックス含量を算出した。
【0318】
抗微生物活性アッセイ:以下のマイクロブロス希釈プロトコールを、各ペプチドの最小阻止濃度(MIC)を決定するために適合させた。最初に、Mueller-Hintonブロス(MHB)をアニオン交換カラムに通してポリアニオン種を除去し、精製MHBを得た。この精製ブロスをハンコック(Hancock)および共同研究者らが考案した96ウェルプレート用の標準的なマイクロブロス希釈プロトコールに使用した(注:BSAは、最初の研究でペプチド活性を妨げる可能性があることが判明したので、該プロトコールには使用しなかった)。簡潔には、細菌細胞を精製MHB中にて37℃で一夜増殖させ、次いで、希釈し、再び数時間増殖させた。透明な丸底ポリプロピレン96ウェルプレートを用いて、水(10μl)によるペプチドストックの段階希釈物を調製した。次いで、精製MHB中の細菌90μlを添加して、5×105CFU/mlの最終接種物を得た。次いで、プレートを多孔性テープで覆って蒸発を減少させ、37℃で20~24時間インキュベートした。MICは、目に見える成長が観察されない最小のペプチド濃度である。
【0319】
溶血活性アッセイ:溶血活性の決定のために、ヒト血液サンプルを遠心分離して赤血球(RBC)を単離し、次いで、これを洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水に懸濁させて1%(v/v)懸濁液を得た。次いで、懸濁液を透明丸底ポリプロピレン96-ウェルプレート中の水によるペプチドストックの段階希釈物に加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを遠心分離し、上清を単離して、放出されたヘモグロビンの量を、分光光度計(570nm)を用いて、式:%溶血=(処理された吸光度 - 未処理対照吸光度) / (1%Triton-X100処理された吸光度 - 未処理対照吸光度)に従って決定した。最小溶血濃度(MHC)は、ヘモグロビン放出が1%未満であるペプチド濃度である。
【0320】
他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記載されているが、前記説明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するものであって限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点、および変更は、特許請求の範囲の範囲内である。
本書で引用したすべての特許出願、特許、および他の刊行物は、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する。
本発明には、次の態様が含まれる。
1. 式:
[化1]
[式中、
各R 1 およびR 2 は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各R 3 は、独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各Xaaは、独立して、アミノ酸である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも1種類の微生物に対して抗微生物効果を呈する化合物またはその薬学的に許容される塩。
2. xが2、3または6である、項目1記載の化合物。
3. xが2であり;R 3 がC 8 アルキレン、C 8 アルケニレン、またはC 8 アルキニレンであり;x、wおよびyの合計が少なくとも10である、項目2記載の化合物。
4. xが3であり;R 3 がC 8 アルキレン、C 8 アルケニレン、またはC 8 アルキニレンであり;x、wおよびyの合計が少なくとも10である、項目1記載の化合物。
5. R 3 が、1、2、3、4、5または6個のR 4 で置換されており、各R 4 が、独立して、-NH 3 または-OHであり、ここで、各-NH 3 が、別の化学物質とカップリングしていてもよい、項目1記載の化合物。
6. R 3 が、2個のR 4 で置換されており、両方のR 4 が-OHである、項目5記載の化合物。
7. R 3 が、2個のR 4 で置換されており、1個のR 4 が置換されていてもよい-NH 3 であり、他方のR 4 が-OHである、項目5記載の化合物。
8. 少なくとも1個のXaaが、非天然アミノ酸であるアミノ酸である、項目1記載の化合物。
9. 該化合物がヘリックスを含む、項目1記載の化合物。
10. ヘリックスがαヘリックスである、項目8記載の化合物。
11. R 3 が、αヘリックスの1~2ターンにまたがる、項目1記載の化合物。
12. 該化合物が、配列番号1~17からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1記載の化合物。
13. 該化合物が、配列番号1~17からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1記載の化合物。
14. 該化合物が、配列番号1~17からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1記載の化合物。
15. 該化合物が、配列番号1~17からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1記載の化合物。
16. 該化合物が、配列番号1~17からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目1記載の化合物。
17. 該化合物が、Mag(i+4)2(配列番号136)、Mag(i+4)4(配列番号138)、Mag(i+4)5(配列番号139)、Mag(i+4)11(配列番号145)、Mag(i+4)15(配列番号149)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9K、G18H)(配列番号170)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H)(配列番号171)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H、N21E)(配列番号172)、Mag(i+4)2,15(I2K、A9H、G18H、N21E)(配列番号173)、またはMag(i+4)1,15(S8H、A9K、G18H、N21E)(配列番号174)の配列を含む、項目1記載の化合物。
18. 該化合物が、Mag(i+4)1(配列番号135)、Mag(i+4)6(配列番号140)、またはMag(i+4)16(配列番号150)の配列を含む、項目1記載の化合物。
19. 抗微生物効果が約0.1μM~約50μMの最小阻止濃度である、項目1記載の化合物。
20. 抗微生物効果が約0.5μM~約20μMの最小阻止濃度である、項目1記載の化合物。
21. 微生物が細菌性生物である、項目1記載の化合物。
22. 細菌性生物がグラム陽性である、項目21記載の化合物。
23. 細菌性生物がグラム陰性である、項目21記載の化合物。
24. 細菌性生物がマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)である、項目21記載の化合物。
25. 微生物によって引き起こされる感染症の処置方法であって、該微生物によって引き起こされる感染症にかかっているかまたはそのリスクがある対象体に式:
[化2]
[式中、
各R 1 およびR 2 は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各R 3 は、独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各Xaaは、独立して、アミノ酸である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む、方法。
26. 対象体が動物である、項目25記載の方法。
27. 動物が哺乳動物である、項目26記載の方法。
28. 動物がヒトである、項目26記載の方法。
29. 対象体が植物である、項目25記載の方法。
30. 微生物が細菌性生物である、項目25記載の方法。
31. 細菌性生物がグラム陽性である、項目30記載の方法。
32. 細菌性生物がグラム陰性である、項目30記載の方法。
33. 細菌性生物がマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)である、項目30記載の方法。
34. 感染症が細菌性膣感染症である、項目25記載の方法。
35. 細菌性膣感染症が細菌性膣症である、項目34記載の方法。
36. 細菌性膣感染症が、対象体へのウイルス感染症の感染の可能性を増大させる1種類以上の細菌性生物による感染症である、項目34記載の方法。
37. ウイルス感染症がヒト免疫不全ウイルス1型感染症である、項目36記載の方法。
38. ウイルス感染症がヒト免疫不全ウイルス-2感染症である、項目36記載の方法。
39. 投与が膣への局所投与である、項目25記載の方法。
40. 感染症が細菌性バイオフィルムを含む、項目25記載の方法。
41. 対象体が、嚢胞性線維症にかかっているかまたはそのリスクがある、項目25記載の方法。
42. 投与が肺に対するものである、項目41記載の方法。
43. 該対象体に、さらに抗生物質の治療有効量を投与することを含む、項目25記載の方法。
44. 該化合物および該抗生物質が感染症を相乗的に処置するように作用する、項目43記載の方法。
45. 該化合物および該抗生物質が抗生物質に対する感染症の抵抗性を相乗的に克服するように作用する、項目43記載の方法。
46. 微生物の増殖を阻害する方法であって、微生物と、式:
[化3]
[式中、
各R 1 およびR 2 は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各R 3 は、独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各Xaaは、独立して、アミノ酸である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量と接触させることを含む、方法。
47. 微生物が細胞外微生物である、項目46記載の方法。
48. 微生物が細胞内微生物である、項目46記載の方法。
49. 接触が、微生物を含む対象体内で生じる、項目46記載の方法。
50. 接触がインビトロで生じる、項目46記載の方法。
51. 微生物の増殖の阻害が、微生物を死滅させることである、項目46記載の方法。
52. 式:
[化4]
[式中、
各R 1 およびR 2 は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各R 3 は、独立して、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンであり、いずれも置換されているかまたは非置換であり;
各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各wおよびyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;
zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり;
各Xaaは、独立して、アミノ酸である]
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも1種類の微生物に対して抗微生物効果を呈する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
53. 各xが2、3または6である、項目25、46および52のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
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