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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】オゾン発生体及びオゾン発生器
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
C01B13/11 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021110564
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2023007605
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 洋一
(72)【発明者】
【氏名】上山 剛
(72)【発明者】
【氏名】西山 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 英樹
(72)【発明者】
【氏名】今泉 潤哉
【審査官】小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-185955(JP,A)
【文献】特開2005-328915(JP,A)
【文献】特開2001-353209(JP,A)
【文献】特開2020-047382(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001961(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/053940(WO,A1)
【文献】特開昭55-007564(JP,A)
【文献】特開平02-040475(JP,A)
【文献】特開昭57-088006(JP,A)
【文献】特開昭57-088004(JP,A)
【文献】特開昭55-144407(JP,A)
【文献】特開2009-170267(JP,A)
【文献】国際公開第2005/005798(WO,A1)
【文献】特開2006-181458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/11
A61L 9/015-9/12
B01J 19/08-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極を覆う第1誘電体と、
第2電極と、
前記第2電極を覆う第2誘電体と、
前記第1誘電体及び前記第2誘電体を支持する支持部と、を有し、
前記第1誘電体と前記第2誘電体との間に放電空間が形成され、
前記支持部は、前記第1誘電体及び前記第2誘電体のいずれよりもヤング率が低く、
前記支持部は、前記第1誘電体及び前記第2誘電体を、前記第1誘電体及び前記第2誘電体の並び方向に対して直交する直交方向の一端側で片持ち支持し、
前記第1誘電体及び前記第2誘電体は、セラミックであり、
前記支持部は、樹脂製であるオゾン発生体。
【請求項2】
前記支持部は、前記第1誘電体と前記第2誘電体との間に配置されるスペーサを有する請求項1に記載のオゾン発生体。
【請求項3】
前記第1電極に電気的に接続される第1端子と、
前記第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有し、
前記第1端子は、前記第1電極に電気的に接続される第1接続部と、前記第1接続部に連なり、前記第1誘電体の端部よりも前記一端側に突出した第1突出部と、を有し、
前記第2端子は、前記第2電極に電気的に接続される第2接続部と、前記第2接続部に連なり、前記第1突出部と同じ方向に突出した第2突出部と、を有し、
前記スペーサは、絶縁性を有する部材であり、前記第1誘電体と前記第2誘電体との間に配置されるスペーサ部と、前記スペーサ部から延びて前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置される延設部と、を有する請求項2に記載のオゾン発生体。
【請求項4】
前記第1電極に電気的に接続される第1端子と、
前記第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有し、
前記第1端子は、前記第1電極に電気的に接続される第1接続部と、前記第1接続部に連なり、前記第1誘電体の端部よりも前記一端側に突出した第1突出部と、前記第1突出部の先端から屈曲して延びる第3接続部と、を有し、
前記第2端子は、前記第2電極に電気的に接続される第2接続部と、前記第2接続部に連なり、前記第1突出部と同じ方向に突出した第2突出部と、前記第2突出部の先端から屈曲して延びる第4接続部と、を有する請求項2又は請求項3に記載のオゾン発生体。
【請求項5】
前記支持部は、前記スペーサを挟んだ前記第1誘電体及び前記第2誘電体を保持するホルダを有する請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のオゾン発生体。
【請求項6】
前記ホルダは、前記スペーサを挟んだ前記第1誘電体及び前記第2誘電体の外周を囲む環状をなしている請求項5に記載のオゾン発生体。
【請求項7】
前記第1電極に電気的に接続される第1端子と、
前記第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有し、
前記第1端子は、前記第1誘電体の前記スペーサ側とは反対側に配置され、
前記第2端子は、前記第2誘電体の前記スペーサ側とは反対側に配置され、
前記ホルダは、前記第1端子及び前記第2端子を露出させるように切り欠いた切欠部を有する請求項6に記載のオゾン発生体。
【請求項8】
前記ホルダは、前記放電空間を露出させるように切り欠いた第2切欠部を有する請求項6又は請求項7に記載のオゾン発生体。
【請求項9】
前記第1誘電体及び前記第2誘電体の固有振動数が、200Hz以上である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のオゾン発生体。
【請求項10】
前記支持部は、前記スペーサに、前記第1誘電体及び前記第2誘電体を接着させる両面テープを有する請求項2から請求項8のいずれか一項に記載のオゾン発生体。
【請求項11】
気体の流路と、
前記流路の吸気口側から排気口側に向けて気体を送り込むファンと、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のオゾン発生体と、を有し、
前記オゾン発生体は、前記吸気口から吸い込まれた空気を原料として、前記流路にオゾンを発生させるオゾン発生器。
【請求項12】
前記オゾン発生体の前記支持部は、前記流路の壁面よりも外側で保持され、
前記オゾン発生体の前記第1誘電体及び前記第2誘電体は、前記壁面よりも内側に突出して配置される請求項11に記載のオゾン発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生体及びオゾン発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ発生電極が開示されている。このプラズマ発生電極は、互いに対向する電極を有する。電極は、誘電体であるセラミック体と、このセラミック体の内部に配設された導電膜と、を有する。互いに対向する電極は、それぞれ保持部材によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2005/005798
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、誘電体が振動した場合に保持部材によって保持される部分に応力がかかり、誘電体が破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、誘電体を破損しにくくすることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明のオゾン発生体は、第1電極と、第1電極を覆う第1誘電体と、第2電極と、第2電極を覆う第2誘電体と、を有する。オゾン発生体は、更に、第1誘電体及び第2誘電体を支持する支持部を有する。第1誘電体と第2誘電体との間には、放電空間が形成される。支持部は、第1誘電体及び第2誘電体のいずれよりもヤング率が低い。
【0007】
この構成によれば、第1誘電体又は第2誘電体が振動しても、支持部が支持する部分に応力がかかりにくい。このため、第1誘電体及び第2誘電体が破損しにくい。
【0008】
[2]上記支持部は、第1誘電体及び第2誘電体を、第1誘電体及び第2誘電体の並び方向に対して直交する直交方向の一端側で片持ち支持する構成であってもよい。
【0009】
この構成によれば、第1誘電体及び第2誘電体が同じ側で片持ち支持されるため、直交方向の他端側において、第1誘電体と第2誘電体との間を開口させることができる。このため、第1誘電体と第2誘電体との間に形成される放電空間に気体が入り込みやすくなり、その結果、オゾンの発生効率を向上させることができる。
【0010】
[3]上記支持部は、第1誘電体と第2誘電体との間に配置されるスペーサを有する構成であってもよい。
【0011】
この構成によれば、第1誘電体と第2誘電体との間隔を、スペーサによって容易に設定することができる。
【0012】
[4]上記オゾン発生体は、第1電極に電気的に接続される第1端子と、第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有してもよい。第1端子は、第1電極に電気的に接続される第1接続部と、第1接続部に連なり、第1誘電体の端部よりも一端側に突出した第1突出部と、を有してもよい。第2端子は、第2電極に電気的に接続される第2接続部と、第2接続部に連なり、第1突出部と同じ方向に突出した第2突出部と、を有してもよい。スペーサは、絶縁性を有する部材であり、第1誘電体と第2誘電体との間に配置されるスペーサ部と、スペーサ部から延びて第1突出部と第2突出部との間に配置される延設部と、を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、第1端子と第2端子とをより確実に絶縁させることができる。
【0014】
[5]上記オゾン発生体は、第1電極に電気的に接続される第1端子と、第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有してもよい。第1端子は、第1電極に電気的に接続される第1接続部と、第1接続部に連なり、第1誘電体の端部よりも一端側に突出した第1突出部と、第1突出部の先端から屈曲して延びる第3接続部と、を有してもよい。第2端子は、第2電極に電気的に接続される第2接続部と、第2接続部に連なり、第1突出部と同じ方向に突出した第2突出部と、第2突出部の先端から屈曲して延びる第4接続部と、を有してもよい。
【0015】
この構成によれば、第1端子の第3接続部は第1突出部の先端から屈曲して延びるため、第1突出部の突出方向への第1端子の広がりを抑えることができる。また、第2端子の第4接続部は第2突出部の先端から屈曲して延びるため、第2突出部の突出方向への第2端子の広がりを抑えることができる。
【0016】
[6]上記支持部は、スペーサを挟んだ第1誘電体及び第2誘電体を保持するホルダを有してもよい。
【0017】
この構成によれば、支持部のスペーサとホルダとによって、第1誘電体と第2誘電体との間隔を一定に保持することができる。
【0018】
[7]上記ホルダは、スペーサを挟んだ第1誘電体及び第2誘電体の外周を囲む環状をなしてもよい。
【0019】
この構成によれば、ホルダの孔に、スペーサを挟んだ第1誘電体及び第2誘電体を挿し通すことで、容易に組み付けることができる。
【0020】
[8]上記オゾン発生体は、第1電極に電気的に接続される第1端子と、第2電極に電気的に接続される第2端子と、を有してもよい。第1端子は、第1誘電体のスペーサ側とは反対側に配置され、第2端子は、第2誘電体のスペーサ側とは反対側に配置されてもよい。ホルダは、第1端子及び第2端子を露出させるように切り欠いた切欠部を有してもよい。
【0021】
この構成によれば、切欠部を通して、第1端子及び第2端子を樹脂で埋めやすくなる。
【0022】
[9]上記ホルダは、放電空間を露出させるように切り欠いた第2切欠部を有してもよい。
【0023】
この構成によれば、ホルダによって第1誘電体及び第2誘電体の外周を囲みつつも、第2切欠部を通して、放電空間への気体の流入を許容することができる。このため、ホルダを設けることによる放電空間への気体の流入量の低下を抑制することができる。
【0024】
[10]第1誘電体及び第2誘電体は、セラミックでもよい。支持部は、樹脂製でもよい。
【0025】
この構成によれば、第1誘電体及び第2誘電体をセラミックで形成しつつも、振動が加わった際に支持部による支持部分に応力がかかった場合に、第1誘電体及び第2誘電体が破損することを抑制することができる。
【0026】
[11]上記第1誘電体及び第2誘電体の固有振動数が、200Hz以上でもよい。
【0027】
この構成によれば、輸送時など外部から振動が加わる状況において、共振に起因する振動を小さく抑えることができ、その結果、振動時に第1誘電体及び第2誘電体に及ぶ応力が小さくなるため、破損しにくくなる。
【0028】
[12]上記支持部は、スペーサに、第1誘電体及び第2誘電体を接着させる両面テープを有してもよい。
【0029】
この構成によれば、第1誘電体及び第2誘電体のスペーサに対する接着が容易である。
【0030】
[13]本発明のオゾン発生器は、気体の流路と、ファンと、[1]から[12]のいずれかのオゾン発生体と、を有する。ファンは、流路の吸気口側から排気口側に向けて気体を送り込む。オゾン発生体は、吸気口から吸い込まれた空気を原料として、流路にオゾンを発生させる。
【0031】
この構成によれば、[1]から[12]のいずれかのオゾン発生体をオゾン発生器に適用することができる。
【0032】
[14]オゾン発生体の支持部は、第1誘電体及び第2誘電体を、第1誘電体及び第2誘電体の並び方向に対して直交する直交方向の一端側で片持ち支持し、且つ流路の壁面よりも外側で保持されてもよい。オゾン発生体の第1誘電体及び第2誘電体は、壁面よりも内側に突出して配置されてもよい。
【0033】
この構成によれば、両持ち支持する構成又は互い違いに片持ち支持する構成と比較して、オゾン発生体を固定する構造や配線を集約することができるため、構造を簡素化できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、誘電体を破損しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、オゾン発生器の斜視図である。
図2図2は、オゾン発生器の断面の斜視図である。
図3図3は、図2とは異なる切断面におけるオゾン発生器の断面図である。
図4図4は、オゾン発生体の斜視図である。
図5図5は、オゾン発生体を短手方向から見た図である。
図6図6は、オゾン発生体を並び方向から見た図である。
図7図7は、オゾン発生体の分解斜視図である。
図8図8は、オゾン発生体のホルダを取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図9図9は、図6のA-A線断面図である。
図10図10は、オゾン発生体が保持部に保持された状態を示す斜視図である。
図11図11は、オゾン発生器の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.第1実施形態
1-1.オゾン発生器100の構成
図1に示すオゾン発生器100は、外部の空気を吸い込み、誘電体バリア放電により空気中の酸素からオゾンを発生させ、外部に排出させる装置である。オゾン発生器100は、図2及び図3に示すように、気体の流路1と、ファン2と、オゾン発生体3と、を有する。
【0037】
流路1は、吸気口5と、排気口6と、を有する。吸気口5は、オゾン発生器100の外部の気体(例えば空気)を流路1内に取り込む。排気口6は、流路1内の気体を、オゾン発生器100の外部に排出する。流路1は、吸気口5から吸い込んだ気体を排気口6から排出させる。
【0038】
流路1は、所定のZ方向(本実施形態では上下方向)に沿って延びている。吸気口5は、Z方向の一端側(本実施形態では下端側)に配置され、Z方向の一端側(本実施形態では下方)に開口している。吸気口5の吸気方向は、Z方向の他端側(本実施形態では上方)である。排気口6は、Z方向の他端側(本実施形態では上端側)に配置され、Z方向の他端側(本実施形態では上方)に開口している。排気口6の排気方向は、Z方向の他端側(本実施形態では上方)である。
【0039】
吸気口5は、Z方向を軸方向とした環状(具体的には円環状)に沿って配置されている。排気口6は、吸気口5が配置される環状部分よりも内側に配置されている。排気口6は、円形状に配置されている。
【0040】
流路1は、第1流路7と、第1流路7よりも下流側の第2流路8と、を有する。第1流路7は、吸気口5から排気口6側に延びている。第1流路7は、環状の吸気口5から吸い込まれた気体を吸気口5の内周よりも内側に誘導する。第2流路8は、第1流路7の下流側の端部から排気口6側に向けてZ方向の他端側(本実施形態では上方)に延びている。第2流路8の下流側の端部は、排気口6につながっている。第2流路8は、環状の吸気口5の内周よりも外形が小さく、第1流路7によって内側に誘導された気体を排気口6側(本実施形態では上方)に誘導し、排気口6から排出させる。
【0041】
ファン2は、流路1に気流(具体的には旋回流)を生成する装置であり、本実施形態では軸流ファンである。ファン2は、流路1の吸気口5側から排気口6側に向けて気体を送り込む送風動作を行う。ファン2は、モータを有する。ファン2は、電力が供給されることでモータが駆動し、送風動作を行う。ファン2は、流路1(具体的には第2流路8)に設けられる。ファン2は、ファン2の軸方向をZ方向に向けた状態で配置される。ファン2は、Z方向を軸方向として回転する。
【0042】
オゾン発生体3は、交流電圧が印加されることによって誘電体バリア放電を生じさせ、吸気口5から吸い込まれた空気中の酸素を原料として流路1にオゾンを発生させるものである。オゾン発生体3は、図4から図7に示すように、第1電極10と、第2電極30と、第1誘電体11と、第2誘電体31と、第1端子12と、第2端子32と、支持部50と、を有する。
【0043】
第1電極10及び第2電極30は、金属製であり、本実施形態ではタングステン(W)を材料として形成される。なお、第1電極10及び第2電極30は、タングステンに限らず、例えばモリブデン(Mo)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)などを材料として形成されてもよい。第1電極10及び第2電極30は、薄い金属層として構成され、所定方向に長い形態をなしている。第1電極10及び第2電極30(金属層)の厚さは、密着強度を確保する観点から10μm以上であることが望ましく、厚過ぎることによる剥がれを抑制する観点から50μm以下とすることが望ましい。第1電極10及び第2電極30の幅と長さは、必要なオゾン発生量に応じて任意に設定される。第1電極10及び第2電極30の幅WE(図6参照)は、1mmとする。第1電極10及び第2電極30の長さは、第1電極10と第2電極30との間に支持部50が存在しない部分の長さLE(図5参照)を基準に設定される。長さLEは、10mmとする。
【0044】
第1誘電体11及び第2誘電体31は、本実施形態ではアルミナ(Al)を材料として形成される。なお、第1誘電体11及び第2誘電体31は、アルミナに限らず、ガラス(SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y)等の別のセラミックやそれらの混合物を材料として形成されてもよい。第1誘電体11は、第1電極10を覆い、第2誘電体31は、第2電極30を覆う。第1誘電体11及び第2誘電体31は、それぞれ板状をなしている。
【0045】
第1誘電体11及び第2誘電体31は、第1誘電体11及び第2誘電体31の厚さ方向に並んで配置される。つまり、第1誘電体11及び第2誘電体31は、第1誘電体11及び第2誘電体31の厚さ方向に対向する。第1誘電体11と第2誘電体31との間には、放電空間DSが形成される。互いに対向する面は、それぞれ平坦な面であり、矩形状をなす。互いに対向する面のうち一方の面は、他方の面に沿って延びる。互いに対向する面のうち一方の面は、他方の面に対して平行であってもよいし、平行でなくてもよい。第1電極10及び第2電極30の厚さ方向は、第1誘電体11及び第2誘電体31の厚さ方向と同じである。第1誘電体11及び第2誘電体31の並び方向を、以下では「並び方向」という。
【0046】
第1電極10は、並び方向において、第1誘電体11内の第2電極30側に寄った位置に配置される。第2電極30は、並び方向において、第2誘電体31内の第1電極10側に寄った位置に配置される。第1電極10及び第2電極30は、薄く形成された誘電体層の上面に印刷等により配置される。その上に、更に厚めの誘電体層を形成することで第1電極10を覆う第1誘電体11及び第2電極30を覆う第2誘電体31が製造される。
【0047】
第1誘電体11のうち第1電極10よりも放電空間DS側の厚さ(第1電極10の放電空間DS側の面と第1誘電体11の放電空間DS側の面との距離)をD1とする(図5参照)。第2誘電体31のうち第2電極30よりも放電空間DS側の厚さ(第2電極30の放電空間DS側の面と第2誘電体31の放電空間DS側の面との距離)をD2とする(図5参照)。この場合、D1+D2の最小値は、下記式(1)によって求められる。
(D1+D2の最小値)=(オゾン発生体3に印加する電圧[kV])/(第1誘電体11及び第2誘電体31の材料の耐電圧(kV/mm)・・・式(1)
アルミナの耐電圧は15kV/mmであり、高圧の交流電圧のピーク値を4.5kVとすると、D1+D2の最小値は、0.3mmとなる。
他方、D1,D2が厚過ぎると、第1誘電体11及び第2誘電体31での損失が大きくなり、電力効率が低下する。このため、D1+D2の最大値は、D1+D2の最小値の2倍程度となる。具体的には、D1+D2は、0.3mm以上且つ0.6mm以下であることが好ましい。つまり、D1,D2は、それぞれ0.15mm以上且つ0.3mm以下であることが好ましい。本実施形態では、製造の容易さを考慮して、D1,D2をそれぞれ0.15mmとしている。
【0048】
第1電極10及び第2電極30の延び方向(長手方向)は、第1誘電体11及び第2誘電体31の長手方向(以下、単に「長手方向」という)と同じである。長手方向は、「第1誘電体及び第2誘電体の並び方向に対して直交する直交方向」の一例に相当する。なお、第1誘電体11及び第2誘電体31の短手方向は、以下では、単に「短手方向」という。
【0049】
第1誘電体11は、第1誘電体本体13と、第1張出部14と、第1凹部15と、を有する。第1誘電体本体13は、板状をなし、直方体形状をなす。第1誘電体本体13は、第1電極10を覆う。第1張出部14は、長手方向の一端側において、第1誘電体11の外側(第2誘電体31側とは反対側)に張り出した形態をなしている。第1張出部14は、第1誘電体11における短手方向全領域にわたって形成されている。第1張出部14は、第1誘電体11の長手方向の一端まで形成されている。第1凹部15は、第1誘電体11の外側(第2誘電体31側とは反対側)の面において、長手方向の一端側に形成されている。第1凹部15は、第1張出部14を凹ませた形態をなしている。第1凹部15は、第1誘電体11の長手方向の一端に開口している。
【0050】
第2誘電体31は、第2誘電体本体33と、第2張出部34と、第2凹部35と、を有する。第2誘電体本体33は、板状をなし、直方体形状をなす。第2誘電体本体33は、第2電極30を覆う。第2誘電体本体33は、第1誘電体本体13と対向し、第1誘電体本体13との間に放電空間DSを形成する。第2張出部34は、長手方向の一端側において、第2誘電体31の外側(第1誘電体11側とは反対側)に張り出した形態をなしている。第2張出部34は、第2誘電体31における短手方向全領域にわたって形成されている。第2張出部34は、第2誘電体31の長手方向の一端まで形成されている。第2凹部35は、第2誘電体31の外側(第1誘電体11側とは反対側)の面において、長手方向の一端側に形成されている。第2凹部35は、第2張出部34を凹ませた形態をなしている。第2凹部35は、第2誘電体31の長手方向の一端に開口している。
【0051】
第1誘電体11(具体的には第1誘電体本体13)と第2誘電体31(具体的には第2誘電体本体33)との距離である誘電体間ギャップGC(図5参照)は、空気の耐電圧が3.0kV/mm程度であることを考慮すると、オゾン発生体3に印加する交流電圧のピーク値を4.5kVとする場合、放電させるためには1.5mm未満とする必要がある。しかし、放電時間を長くし安定した放電を維持するためには、その3分の1以下、つまり0.5mm以下にすることが好ましい。他方、誘電体間ギャップGCが小さくなりすぎると、供給される空気が不足し、オゾン発生量が低下する。このため、誘電体間ギャップGCは、0.2mm以上であることが好ましい。例えば、誘電体間ギャップGCは、0.37mmであることが好ましい。なお、誘電体間ギャップGCは、第1誘電体11及び第2誘電体31の互いの対向面が平行でない場合、第1電極10及び第2電極30の先端(長手方向の他端)の位置を基準とする。
【0052】
第1誘電体11及び第2誘電体31の固有振動数Fn[Hz]は、第1誘電体11及び第2誘電体31が片持ち支持される構造において、それぞれ200Hz以上である。固有振動数Fn[Hz]は、実験結果から導き出すようにしてもよいし、演算式によって求めるようにしてもよい。固有振動数Fn[Hz]は、演算式によって求める場合、例えば、以下の式(A)によって求めることができる。
【数1】

Knは、定数であり、第1誘電体11及び第2誘電体31が片持ち支持される構造である場合には1.875である。E[Pa]は、第1誘電体11及び第2誘電体31のヤング率である。E[Pa]は、第1誘電体11及び第2誘電体31がアルミナである場合、280GPa程度である。I[m]は、第1誘電体11及び第2誘電体31の断面2次モーメントである。ρ[kg/m]は、第1誘電体11及び第2誘電体31の密度である。A[m]は、第1誘電体11及び第2誘電体31の断面積である。L[m]は、第1誘電体11及び第2誘電体31における支持部50によって支持される固定端から自由端までの長さである(図5参照)。
【0053】
Lは、第1電極10及び第2電極30の長さLEよりも長いことが必要である。他方、Lが長すぎると固有振動数Fn[Hz]が小さくなる。このため、本実施形態では、Lは21.5mmとしている。この場合、固有振動数Fn[Hz]は、3500Hzとなり、200Hzを大きく超える。仮に第1誘電体11及び第2誘電体31の厚さを1.15mmとした場合、Lが90mm以下であれば、固有振動数Fn[Hz]が200Hz以上となる。また、第1誘電体11及び第2誘電体31の厚さをより厚くすれば、Lがより長くても、固有振動数Fn[Hz]を200Hzとすることができる。
【0054】
第1電極10及び第2電極30は、互いに同一の大きさで且つ同一形状をなしており、面対称となる位置関係で配置される。第1誘電体11及び第2誘電体31は、互いに同一の大きさで且つ同一形状をなしており、面対称となる位置関係で配置される。
【0055】
第1端子12及び第2端子32は、それぞれ金属製であり、板状をなす。第1端子12は、第1凹部15に配置され、第2端子32は、第2凹部35に配置される。第1端子12は、第1電極10に電気的に接続され、第2端子32は、第2電極30に電気的に接続される。第1端子12及び第2端子32は、それぞれ短手方向から見てL字型をなす。
【0056】
第1端子12は、第1接続部21と、第1突出部22と、第3接続部23と、を有する。第1接続部21は、図5及び図6に示すように、第1誘電体11に設けられた第1導電部24を介して第1電極10に電気的に接続される。第1導電部24は、本実施形態では、第1誘電体11に形成されるビアである。第1導電部24は、第1電極10から第1誘電体11の外側(第2誘電体31側とは反対側)の面まで延びている。第1誘電体11の外側(第2誘電体31側とは反対側)の面には、第1導電部24が露出しており、第1導電部24の露出部分にランドが形成される。このランドに対して、第1接続部21がロウ付けされる。これにより、第1端子12が第1電極10に電気的に接続される。第1突出部22は、第1接続部21の一端に連なり、第1誘電体11の端部よりも一端側に突出している。第3接続部23は、第1突出部22の先端(一端側の端部)から屈曲して並び方向に延びている。
【0057】
第2端子32は、第2接続部41と、第2突出部42と、第4接続部43と、を有する。第2接続部41は、第2誘電体31に設けられる第2導電部44を介して第2電極30に電気的に接続される。第2導電部44は、本実施形態では、第2誘電体31に形成されるビアである。第2接続部41は、上述した第1接続部21と第1電極10との接続と同様に、第2電極30に接続される。第2突出部42は、第2接続部41の一端に連なり、第2誘電体31の端部よりも一端側に突出している。第4接続部43は、第2突出部42の先端(一端側の端部)から屈曲して並び方向に延びている。第3接続部23及び第4接続部43は、互いに反対方向に延びている。
【0058】
支持部50は、第1誘電体11及び第2誘電体31を支持する。支持部50は、第1誘電体11及び第2誘電体31を長手方向の一端側で片持ち支持する。つまり、支持部50は、第1誘電体11及び第2誘電体31を同じ側で片持ち支持する。支持部50は、第1誘電体11及び第2誘電体31のいずれよりもヤング率が低い。支持部50は、樹脂(例えば、ポリカーボネート(PC)、ABS、PVC、PPなど)を材料として形成される。PCなどの樹脂材料のヤング率は、1GPaから2.5GPa程度であり、アルミナのヤング率280GPaと比較して非常に小さい。このため、アルミナで形成される第1誘電体11及び第2誘電体31の振動を、支持部50によって吸収しやすい。支持部50は、スペーサ51と、ホルダ52と、を有する。
【0059】
スペーサ51は、長手方向の一端側において第1誘電体11と第2誘電体31との間に配置され、長手方向の他端側において第1誘電体11と第2誘電体31との間に放電空間DSを形成させる。スペーサ51は、板状をなしている。スペーサ51は、厚さ方向を、第1誘電体11及び第2誘電体31の並び方向に向けて配置される。スペーサ51は、第1誘電体11と第2誘電体31との間に配置されるスペーサ部53と、スペーサ部53から長手方向の一端側に延びて第1突出部22と第2突出部42との間に配置される延設部54と、を有する。
【0060】
スペーサ部53は、板状をなす。スペーサ部53は、短手方向において、第1誘電体11及び第2誘電体31の範囲内に収まる。スペーサ部53の長手方向の一端は、第1誘電体11及び第2誘電体31の長手方向の一端よりも他端側に配置され、スペーサ部53の長手方向の他端は、第1張出部14及び第2張出部34の他端よりも一端側に配置される。
【0061】
延設部54は、板状をなす。延設部54は、スペーサ部53よりも厚さが小さい。なお、延設部54は、スペーサ部53よりも厚さが小さくなくてもよく、例えばスペーサ部53と同じ厚さであってもよい。延設部54は、短手方向において、第1端子12及び第2端子32の両側の端部よりも外側まで延びている。延設部54は、長手方向において、第1端子12及び第2端子32の一端側の端部よりも一端側に延びている。
【0062】
オゾン発生体3は、スペーサ51に、第1誘電体11及び第2誘電体31を接着させる両面テープ55を有する。第1誘電体11及び第2誘電体31は、それぞれ両面テープ55によってスペーサ51のスペーサ部53に接着される。
【0063】
ホルダ52は、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31を保持する部材である。ホルダ52は、環状(具体的には角筒状)をなしており、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31の外周を囲むように配置される。なお、ホルダ52は、円環状であってもよいし、円環状以外であってもよい。ホルダ52は、ホルダ本体56と、係止部57と、第1切欠部58と、第2切欠部59と、を有する。
【0064】
ホルダ本体56は、環状(具体的には角筒状)をなしている。なお、ホルダ本体56は、円環状であってもよいし、円環状以外であってもよい。ホルダ本体56は、並び方向の両側に配置される一対の第1壁部56Aと、短手方向の両側に配置される一対の第2壁部56Bと、を有する。
【0065】
係止部57は、ホルダ本体56における長手方向の他端側の内面から内側に突出する形態をなしている。係止部57は、一対の第1壁部56Aの内面からそれぞれ突出している。係止部57は、第1壁部56Aにおける短手方向全領域にわたって形成されている。
【0066】
第1切欠部58は、第1端子12及び第2端子32を露出させるように切り欠いた形態をなしている。第1切欠部58は、一対の第1壁部56Aにおける長手方向の一端側の端部を切り欠いた形態をなしている。
【0067】
第2切欠部59は、放電空間DSを露出させるように切り欠いた形態をなしている。第2切欠部59は、一対の第2壁部56Bにおける長手方向の他端側の端部を切り欠いた形態をなしている。第2切欠部59の長手方向の一端は、第1切欠部58の長手方向の他端よりも他端側に配置されている。第2切欠部59の幅(並び方向の間隔)は、誘電体間ギャップGCよりも大きいことが好ましい。
【0068】
ホルダ52は、図8に示すように、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31に対し、長手方向の他端側から挿し通される。ホルダ52は、係止部57が第1誘電体11の第1張出部14及び第2誘電体31の第2張出部34の長手方向の端部に接触することで、位置決めされる。なお、図9に示すように、並び方向において、スペーサ51を挟んだ状態の第1誘電体本体13及び第2誘電体本体33の外面同士の間隔をL1とし、スペーサ51を挟んだ状態の第1張出部14及び第2張出部34の外面同士の間隔をL2とし、ホルダ52の一対の第2壁部56Bの内面同士の最小の間隔をL3とし、ホルダ52の一対の係止部57の内面同士の間隔をL4とした場合、以下の式(2)及び式(3)が成り立つ。
L1≦L4 ・・・式(2)
L4<L2≦L3 ・・・式(3)
【0069】
オゾン発生器100は、図2及び図3に示すように、流路構成部60と、周壁部61と、底部62と、天井部63と、フィンガーガード64と、吸気部65と、拡散板66と、を有する。
【0070】
流路構成部60は、流路1を構成する部位である。流路構成部60は、周方向に複数(本実施形態では2)の分割体に分割される構造となっている。具体的には、流路構成部60は、周方向に分割された第1分割体60A及び第2分割体60Bを有し、第1分割体60A及び第2分割体60Bを連結させることで構成される。
【0071】
周壁部61は、環状(具体的には筒状、より具体的には円筒状)をなしており、流路構成部60及び流路1の外周を囲む形態をなしている。オゾン発生器100の外周の直径(周壁部61の外径)は、225mmであり、オゾン発生器100の高さは、204mmである。
【0072】
底部62は、載置面に載置される部位である。底部62は、上側に配置される流路構成部60を支持する。底部62は、環状に配置される吸気口5の内側に収まる形態をなしている。また、底部62は、周壁部61の内周よりも小さい外形をなしている。
【0073】
天井部63は、オゾン発生器100におけるZ方向の他端側に配置され、Z方向を軸方向とした環状をなしている。天井部63の内側には、排気口6が形成されている。天井部63は、外周が周壁部61の他端側の端部(本実施形態では上端部)に連結されており、周壁部61と一体に形成されている。周壁部61及び天井部63は、フィンガーガード64を間に挟んで流路構成部60の上側に配置され、流路構成部60に支持される。周壁部61は、載置面から浮いた状態で支持される。
【0074】
フィンガーガード64は、複数の貫通孔が形成された平面状(本実施形態では円板状)の部位である。貫通孔は、スリット状に形成されている。フィンガーガード64は、流路1内の排気を許容しつつ、外部からの異物(例えば指など)の侵入を抑制する機能を有する。フィンガーガード64は、流路構成部60及び天井部63とは別部材として構成されている。フィンガーガード64は、拡散板66よりも下流側に配置される。
【0075】
吸気部65は、吸気口5を形成する部位であり、環状をなしている。吸気部65は、周壁部61の下端側の内周側と、底部62の上端側の外周側との間に配置され、流路構成部60に対して係止される。吸気部65は、複数の吸気口5が形成されている。複数の吸気口5は、環状の吸気部65に沿って環状に並んで配置されている。吸気口5は、径方向に長い形状をなしている。
【0076】
拡散板66は、オゾン発生体3が発生させたオゾンを流路1内に拡散させるものである。拡散板66は、流路1のうちオゾン発生体3よりも下流側に配置される。拡散板66は、流路1の壁面1Aから内側に突出した形態をなしている。拡散板66は、壁面1Aの周方向の一部から突出している。拡散板66は、壁面1Aから離れるにつれて幅が小さくなっている。拡散板66は、扇形状をなしている。拡散板66は、Z方向の他端側から見た場合に、オゾン発生体3と重なる位置に配置される。拡散板66は、流路構成部60(具体的には第1分割体60A)と一体に形成されている。
【0077】
オゾン発生器100は、図3及び図10に示すように、保持部70と、第1相手側端子71と、第2相手側端子72と、ねじ73と、交流電源74と、を有する。
【0078】
保持部70は、オゾン発生体3を保持する部位である。保持部70は、第1収容部75と、端子固定部76と、第2収容部77と、を有する。第1収容部75は、底面と、底面から突出してホルダ52の外周を囲む囲み部と、を有する。第1収容部75には、ホルダ52における長手方向の一端側が収容される。ホルダ52の少なくとも一部は、第1収容部75の開口端から突出する。第1収容部75は、オゾン発生体3の第1端子12及び第2端子32が嵌まる切欠溝75Aを有する。端子固定部76は、第1端子12及び第2端子32のそれぞれに対応して設けられている。端子固定部76は、雌ねじ部を有する。第1端子12の第3接続部23は、一方の端子固定部76に対し、ねじ73によって第1相手側端子71と共締めされる。第2端子32の第4接続部43は、他方の端子固定部76に対し、ねじ73によって第2相手側端子72と共締めされる。第1相手側端子71及び第2相手側端子72は、それぞれ交流電源74に電気的に接続される。
【0079】
第2収容部77は、第1収容部75に収容されたオゾン発生体3における長手方向の一端側を収容し、少なくとも第1端子12及び第2端子32の全体を収容する。第2収容部77の内部は、少なくとも第1端子12及び第2端子32の全体が埋まる位置まで樹脂モールドされる。ホルダ52の少なくとも一部(具体的には、少なくとも第2切欠部59の長手方向の一端よりも他端側)は、モールドされた樹脂から突出した状態となる。
【0080】
保持部70は、流路構成部60の外側面に対して固定される。保持部70は、図3に示すように、流路1の壁面1Aの外側に配置され。壁面1Aの外側でオゾン発生体3の支持部50を保持する。流路1の壁面1Aには、オゾン発生体3を内側に突出させる開口部1Bが形成されている。オゾン発生体3の第1誘電体11及び第2誘電体31は、開口部1Bから壁面1Aの内側に突出した状態で配置される。第1電極10の少なくとも一部及び第2電極30の少なくとも一部は、壁面1Aよりも内側に配置される。また、ホルダ52も、開口部1Bから壁面1Aの内側に突出した状態で配置される。
【0081】
交流電源74は、トランスを有し、交流電力を供給しうる。交流電源74は、オゾン発生器100の外部の商用電源から供給される電力に基づいて所望の交流電力を生成し、オゾン発生体3等に供給する。
【0082】
オゾン発生器100は、図11に示すように、制御部80と、操作部81と、オゾン検出部82と、表示部83と、音出力部84と、を有する。制御部80は、オゾン発生器100の動作を制御する。制御部80は、マイクロコンピュータを主体として構成され、CPU、ROM、RAM、駆動回路等を有する。
【0083】
操作部81は、例えば押圧によってオンオフ状態が切り替わるスイッチであり、例えばタクトスイッチである。操作部81の操作結果を示す信号は、制御部80に入力される。オゾン検出部82は、オゾン発生器100の外部の空気のオゾン濃度を検出する。オゾン検出部82の検出値を示す信号は、制御部80に入力される。
【0084】
制御部80は、交流電源74を介して、オゾン発生体3の動作を制御しうる。制御部80は、オゾン発生体3に印加する交流電圧を制御することで、オゾン発生体3が発生させるオゾンの量を調整しうる。制御部80は、操作部81の操作結果に基づいてオゾンの発生量を調整しうる。制御部80は、オゾン検出部82で検出されたオゾン濃度に基づいて、オゾン濃度が目標値に近づくようにオゾン発生体3の動作をフィードバック制御しうる。
【0085】
制御部80は、ファン2の動作を制御しうる。制御部80は、ファン2にPWM信号を与えることで、ファン2をPWM制御する。これにより、制御部80は、風量を調整しうる。
【0086】
制御部80は、表示部83の動作を制御しうる。表示部83は、例えばLEDランプである。表示部83は、LEDの点灯状態によって、電源のオンオフ状態や、ファン2の動作状態、外部のオゾン濃度などを示す。
【0087】
制御部80は、音出力部84の動作を制御しうる。音出力部84は、音を出力するものであり、例えばブザーである。音出力部84は、例えばオゾン発生器100に異常が生じた場合に警報音を出力する。
【0088】
1-2.第1実施形態の効果
第1実施形態では、支持部50が、第1誘電体11及び第2誘電体31のいずれよりもヤング率が低い。このため、第1誘電体11又は第2誘電体31が振動しても、支持部50が支持する部分に応力がかかりにくい。ゆえに、第1誘電体11及び第2誘電体31が破損しにくい。
【0089】
更に、第1誘電体11及び第2誘電体31が同じ側で片持ち支持されるため、長手方向の他端側において、第1誘電体11と第2誘電体31との間を開口させることができる。このため、第1誘電体11と第2誘電体31との間に形成される放電空間DSに気体が入り込みやすくなり、その結果、オゾンの発生効率を向上させることができる。
【0090】
更に、支持部50は、第1誘電体11と第2誘電体31との間に配置されるスペーサ51を有する。このため、第1誘電体11と第2誘電体31との間隔を、スペーサ51によって容易に設定することができる。
【0091】
更に、支持部50は、スペーサ部53から延びて第1突出部22と第2突出部42との間に配置される延設部54と、を有する。このため、第1端子12と第2端子32とをより確実に絶縁させることができる。
【0092】
更に、第1端子12の第3接続部23は第1突出部22の先端から屈曲して延びるため、第1突出部22の突出方向への第1端子12の広がりを抑えることができる。また、第2端子32の第4接続部43は第2突出部42の先端から屈曲して延びるため、第2突出部42の突出方向への第2端子32の広がりを抑えることができる。
【0093】
更に、支持部50は、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31を保持するホルダ52を有する。このため、支持部50のスペーサ51とホルダ52とによって、第1誘電体11と第2誘電体31との間隔を一定に保持することができる。
【0094】
更に、ホルダ52は、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31の外周を囲む環状をなしている。このため、ホルダ52の孔に、スペーサ51を挟んだ第1誘電体11及び第2誘電体31を挿し通すことで、容易に組み付けることができる。
【0095】
更に、ホルダ52は、第1端子12及び第2端子32を露出させるように切り欠いた第1切欠部58を有する。このため、第1切欠部58を通して、第1端子12及び第2端子32を樹脂で埋めやすくなる。
【0096】
更に、ホルダ52は、放電空間DSを露出させるように切り欠いた第2切欠部59を有する。このため、ホルダ52によって第1誘電体11及び第2誘電体31の外周を囲みつつも、第2切欠部59を通して、放電空間DSへの気体の流入を許容することができる。ゆえに、ホルダ52を設けることによる放電空間DSへの気体の流入量の低下を抑制することができる。
【0097】
更に、第1誘電体11及び第2誘電体31は、セラミックであり、支持部50は、樹脂製である。このため、第1誘電体11及び第2誘電体31をセラミックで形成しつつも、振動が加わった際に支持部50による支持部分に応力がかかった場合に、第1誘電体11及び第2誘電体31が破損することを抑制することができる。
【0098】
更に、第1電極10及び第2電極30の固有振動数Fnが、200Hz以上である。このため、輸送時など外部から振動が加わる状況において、共振に起因する振動を小さく抑えることができ、その結果、振動時に第1誘電体11及び第2誘電体31に及ぶ応力が小さくなるため、破損しにくくなる。
【0099】
更に、支持部50は、スペーサ51に、第1誘電体11及び第2誘電体31を接着させる両面テープ55を有する。このため、第1誘電体11及び第2誘電体31のスペーサ51に対する接着が容易である。
【0100】
更に、オゾン発生体3の支持部50は、第1誘電体11及び第2誘電体31を、長手方向の一端側で片持ち支持し、且つ流路1の壁面1Aよりも外側で保持される。そして、オゾン発生体3の第1誘電体11及び第2誘電体31は、壁面1Aよりも内側に突出して配置される。このため、オゾン発生器100は、両持ち支持する構成又は互い違いに片持ち支持する構成と比較して、オゾン発生体3を固定する構造や配線を集約することができるため、構造を簡素化できる。
【0101】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0102】
上記実施形態では、Z方向が上下方向であったが、上下方向に限らない。例えば、Z方向は、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0103】
上記実施形態では、支持部が第1誘電体及び第2誘電体を片持ち支持する構成であったが、両持ち支持する構成であってもよい。
【0104】
上記実施形態では、支持部が第1誘電体及び第2誘電体を同じ側で片持ち支持する構成であったが、同じ側で片持ち支持する構成でなくてもよく、例えば互い違いに反対側の端部で片持ち支持する構成であってもよい。
【0105】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
1…流路
1A…壁面
2…ファン
3…オゾン発生体
5…吸気口
6…排気口
10…第1電極
11…第1誘電体
12…第1端子
21…第1接続部
22…第1突出部
23…第3接続部
30…第2電極
31…第2誘電体
32…第2端子
41…第2接続部
42…第2突出部
43…第4接続部
50…支持部
51…スペーサ
52…ホルダ
53…スペーサ部
54…延設部
55…両面テープ
58…第1切欠部(切欠部)
59…第2切欠部
100…オゾン発生器
DS…放電空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11