(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/08 20120101AFI20231004BHJP
【FI】
G06Q20/08
(21)【出願番号】P 2021117721
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高島 玲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 夏男
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-043873(JP,A)
【文献】特開2019-175116(JP,A)
【文献】特開2006-079512(JP,A)
【文献】特開2020-144537(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057770(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づける口座関連部と、
送金に関する所定の条件を充たしている場合、所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる取引処理部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記所定の組織から送信される前記第2識別符号を含む全銀フォーマットを、前記取引処理部において前記第2識別符号に基づき特定される前記第1識別符号を含む前記資金移動業者のフォーマットに変換するフォーマット変換部をさらに備え、
前記取引処理部は、前記資金移動業者のフォーマットに基づき、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記所定の組織から前記ユーザへの送金の要求に含まれる前記第2識別符号に基づいて、前記資金移動業者に対して、前記第2識別符号に対応する前記第1識別符号が示す前記資金移動業者の口座が有効であるか否かの確認要求を実行する確認要求部を、さらに備え、
前記取引処理部は、前記第1識別符号が示す前記資金移動業者の口座が有効であると確認された場合、前記所定の組織から前記ユーザの前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記所定の組織における前記資金移動業者の口座に前記所定の組織が送金した金額と、前記ユーザに対して送金する金額に対応する前記所定の組織に対する請求額と、を比較する金額比較部を、さらに備え、
前記取引処理部は、前記金額比較部において、前記所定の組織が送金した金額と、前記請求額と、が一致することを示す比較結果が得られた場合、前記所定の組織から前記ユーザの前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記取引処理部は、前記金額比較部において、前記所定の組織が送金した金額が前記請求額よりも小さいことを示す比較結果が得られた場合、前記所定の組織に対して、前記所定の組織が送金した金額に対する前記請求額との差額の送金依頼を実行する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記所定の組織の前記資金移動業者の口座における前記所定の組織からの送金済みの金額が、所定の金額を充たすか否かを判定する預り金判定部を、さらに備え、
前記取引処理部は、前記預り金判定部において、前記所定の組織からの送金済みの金額が、前記所定の金額を充たすと判定された場合、前記所定の組織から前記ユーザの前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記取引処理部は、前記預り金判定部において、前記所定の組織からの送金済みの金額が、前記所定の金額を充たさないと判定された場合、少なくとも、前記所定の組織に対して、前記所定の金額に対する前記所定の組織からの送金済みの金額との差額の送金依頼を実行する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記預り金判定部は、前記所定の組織からの送金済みの金額が、前記ユーザに対して送金する金額に対応する前記所定の組織に対する請求額を充たすか否かを判定し、
前記取引処理部は、前記預り金判定部において、前記所定の組織からの送金済みの金額が、前記請求額を充たすと判定された場合、前記所定の組織から前記ユーザの前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記取引処理部は、前記預り金判定部において、前記所定の組織からの送金済みの金額が、前記請求額を充たさないと判定された場合、少なくとも、前記所定の組織に対して、
前記請求額に対する前記所定の組織からの送金済みの金額との差額の送金依頼を実行する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記預り金判定部は、前記取引処理部において、前記所定の組織から前記ユーザの前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させた後、前記所定の組織からの送金済みの金額から前記ユーザに対して送金する金額に対応する前記所定の組織に対する請求額を減算した差額が、所定の金額を充たすかを判定する、
請求項6または請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記所定の組織は、企業であり、
前記ユーザは、前記企業の労働者であり、
前記取引処理部は、前記所定の企業から前記労働者の前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する給与の振り込みを実行させる、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータが、
資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づけることと、
送金に関する所定の条件を充たしている場合
、所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させることと、
を実行する方法。
【請求項13】
コンピュータに、
資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づけることと、
送金に関する所定の条件を充たしている場合
、所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させることと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
労働者から給与のデジタルマネー払いの申請(または給与前払いの申請等も含む)を受け付けたとき、労働者の勤怠報告に基づいて、給与の全部又は一部を労働者のデジタルマネー(電子マネーカード等)に入金する給与システム(給与前払いシステム)が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、労働者から給与のデジタルマネー払い申請を受け付けたときに、給与の全部又は一部を労働者のデジタルマネーに入金することで、労働者に対する給与のデジタルマネー払いを実現している。しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、企業において、給与振込先として銀行及び資金移動業者が混在する場合、銀行及び資金移動業者それぞれの口座形式に適合するシステム設計を要するため、システム開発費用が増大するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みて、ユーザにおける資金移動業者の口座に対する所定の組織からの送金を、簡易なシステム構成によって実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づける口座関連部と、送金に関する所定の条件を充たしている場合、前記所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させる取引処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る方法は、コンピュータが、資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づけることと、送金に関する所定の条件を充たしている場合、前記所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させることと、を実行する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、ユーザにおける前記資金移動業者の口座を識別するための第1識別符号に、前記銀行の口座に関する形式で構成される第2識別符号を関連づけることと、送金に関する所定の条件を充たしている場合、前記所定の組織に登録される前記ユーザの前記第2識別符号に基づき前記第1識別符号を特定することによって、前記所定の組織からの、前記ユーザの前記第1識別符号に対応する前記資金移動業者の口座に対する送金を実行させることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザにおける資金移動業者の口座に対する所定の組織からの送金を、簡易なシステム構成によって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】送金システムの処理の概要の一例を示す図である。
【
図5】フォーマット変換情報の構成を示す図である。
【
図8】送金システムの処理手順を示すフロー図である。
【
図9】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態における送金システム10について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、または各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
【0012】
===送金システム10の概要===
<<構成>>
図1を参照しつつ、送金システム10の構成について説明する。
図1は、送金システム10の構成を示す図である。送金システム10は、ユーザにおける資金移動業者の口座に所定の組織から当該ユーザに対する送金を実行するシステムである。所定の組織とは、例えば、企業、行政機関などである。ユーザとは、例えば、企業の労働者、年金受給者、保険金受給者などである。資金移動業者とは、例えば、送金や決済などを行う、銀行以外の事業者であって、資金決済法に基づき認可された事業者である。送金とは、例えば、銀行振込、郵便為替、外国為替などを含み、現金の手渡しでない方法でお金が移動することをいう。具体的に、送金には、組織からの、給与の振り込み、報酬の支払い、退職金の支払い、経費の支払い、保険金・配当金の支払い、融資、謝礼、給付金の給付、還付金の還付、年金の給付などが含まれる。以下、便宜上、一例として、「所定の組織」を「企業」とし、「ユーザ」を企業の「労働者」とし、「送金」を企業が労働者に対して労働者における資金移動業者の口座への「給与振込」として説明する。
【0013】
図1を参照して、送金システム10の構成の概要について説明する。
図1は、送金システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、送金システム10は、例えば、送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、資金移動業者サーバ300、労働者端末400を含んでいてもよい。送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、資金移動業者サーバ300、及び労働者端末400のそれぞれは、例えば、API(Application Programming Interface)連携によって各種情報を送受信してもよい。
【0014】
送金管理サーバ100は、労働者における資金移動業者の口座(以下、「資金移動口座」という)の識別符号を、銀行の口座の形式で構成される識別符号に対応づけて管理する装置である。資金移動口座の識別符号は、例えば銀行の口座の形式とは異なる形式の口座番号を含む識別符号(以下、「資金移動口座番号」という)である。銀行の口座の形式とは、例えば全銀フォーマットに適合する形式である。全銀フォーマットは、例えば、全銀協標準通信プロトコルによりデータ伝送を行うために全国銀行協会連合会が定めたフォーマットである。以下、便宜上、全銀フォーマットで構成される識別符号を、「ペイロール口座番号」という。ペイロール口座番号は、例えば、銀行番号、支点番号、口座番号などの識別符号(例えば、1234-567-8901234)を含む。送金管理サーバ100は、資金移動口座番号をペイロール口座番号に関連づけて管理する。すなわち、送金管理サーバ100は、資金移動口座番号をペイロール口座番号に変換できる。これにより、労働者は、給与管理サーバ200に、全銀フォーマットに適合した口座番号を統一的に登録できるため、給与管理サーバ200を簡易なシステム構成によって実現できる。また、送金管理サーバ100は、給与管理サーバ200から送信される、労働者への給与振込に関する情報を含む全銀フォーマットを、資金移動業者のフォーマットに変換する。これにより、企業は、給与振込のために給与管理サーバ200から出力する給与振込用のフォーマットを統一できるため、給与管理サーバ200を簡易なシステム構成によって実現できる。
【0015】
給与管理サーバ200は、企業から労働者への給与振込に関する情報(以下、「給与振込情報」という。)を管理する装置である。給与振込情報は、労働者の口座に関する情報、給与の金額に関する情報を含んでいてもよい。給与振込情報は、例えば全銀フォーマットに適合した形式の情報である。
【0016】
資金移動業者サーバ300は、ユーザ(ここでは、労働者)の資金移動口座を管理する装置である。資金移動業者サーバ300は、送金管理サーバ100からの要求に応じて資金移動口座に労働者の給与を振り込む処理(以下、「振込処理」という)を実行する。
【0017】
労働者端末400は、例えば、労働者の操作入力を受け付けて、ブラウザを通じて給与管理サーバ200に給与振込情報を登録する。労働者端末400は、例えば、労働者の操作入力を受け付けて、資金移動業者サーバ300を通じて、送金管理サーバ100に対するペイロール口座番号の発行を要求する。
【0018】
なお、上記において、送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、及び資金移動業者サーバ300が別に設けられるように記載したが、これに限定されない。送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、及び資金移動業者サーバ300は、1つのサーバで構成されていてもよく、クラウドサーバであってもよい。また、送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、及び資金移動業者サーバ300は、機能ごとに分けられる複数のサーバで構成されていてもよい。また、送金管理サーバ100の一部の機能を、給与管理サーバ200または資金移動業者サーバ300が備えていてもよい。また、給与管理サーバ200の一部の機能を、送金管理サーバ100または資金移動業者サーバ300が備えていてもよい。
【0019】
<<処理>>
次に、
図2を参照して、送金システム10の処理の概要について説明する。
図2は、送金システム10の処理の概要の一例を示す図である。まず、ステップS1において、労働者端末400は、労働者の操作入力を受け付けて、資金移動業者サーバ300を通じて、送金管理サーバ100にペイロール口座番号の発行要求(以下、「ペイロール口座発行要求」という)を送信する。ペイロール口座発行要求には、資金移動業者サーバ300に対する労働者の資金移動口座番号の照会要求が含まれていてもよい。なお、労働者端末400は、直接に、送金管理サーバ100にペイロール口座発行要求を送信してもよい。また、給与管理サーバ200が、労働者にペイロール口座を発行させるべく、送金管理サーバ100にペイロール口座発行要求を送信してもよい。
【0020】
次に、ステップS2において、資金移動業者サーバ300は、送金管理サーバ100に、労働者に関する情報(以下、「労働者情報」という)を付して、労働者の資金移動口座番号を送信する。送金管理サーバ100は、労働者の資金資金移動口座番号に、労働者に新たに付与されるペイロール口座番号を関連づけて記憶する。次に、ステップS3において、送金管理サーバ100は、資金移動業者サーバ300を通じて、ペイロール口座番号を労働者端末400に送信する。なお、送金管理サーバ100は、直接に、ペイロール口座番号を労働者端末400に送信してもよい。これにより、労働者は、自分の資金移動口座番号に対応する、全銀フォーマットに適合したペイロール口座番号を取得することができる。
【0021】
次に、ステップS4において、労働者端末400は、労働者の操作入力を受け付けて、例えばブラウザを通じて給与管理サーバ200に給与振込の口座としてペイロール口座の登録を行う給与管理サーバ200は、労働者のペイロール口座を登録する。次に、ステップS5において、給与管理サーバ200は、企業が労働者の資金移動口座に給与振込を行うべく、送金管理サーバ100に給与振込の要求(以下、「給与振込要求」という)を送信する。なお、企業の担当者が、給与管理サーバ200から出力される給与振込に関するデータを参照し、送金管理サーバ100に対して給与振込要求を行ってもよい。給与振込要求には、例えば給与振込情報が含まれていてもよい。次に、送金管理サーバ100は、全銀フォーマットに適合する給与振込情報に含まれる資金移動業者を特定し、全銀フォーマットを当該資金移動業者に対応する給与振込用のフォーマット(以下、「資金移動業者フォーマット」という)に変換してもよい。次に、ステップS6において、送金管理サーバ100は、資金移動業者サーバ300に、資金移動業者に対応する資金移動業者フォーマットを送信する。次に、ステップS7において、資金移動業者サーバ300は、例えば、資金移動口座の正当性の確認を行った結果に基づき、給与振込の請求書に関する情報(以下、「請求書情報」という)を、送金管理サーバ100に送信する。次に、ステップS8において、送金管理サーバ100は、給与管理サーバ200に請求書情報を送信する。ステップS9において、企業は、請求書情報に基づき資金移動業者の所定の口座に請求額の入金を行う。次に、ステップS10において、資金移動業者サーバ300は、送金管理サーバ100に請求額の入金の結果に関する情報(以下、「入金結果情報」という)を送信する。ステップS11において、送金管理サーバ100は、給与管理サーバ200に入金の受領書に関する情報(以下、「受領書情報」という)を送信する。これにより、ステップS12において、送金管理サーバ100は、資金移動業者サーバ300に、労働者の資金移動口座に給与振込を実行するよう要求する。ステップS13において、資金移動業者サーバ300は、給与振込が完了したことを示す情報(以下、「給与振込結果通知」という)を、送金管理サーバ100および労働者端末400に通知する。ステップS14において、送金管理サーバ100は、給与管理サーバ200に給与振込結果通知を送信する。なお、
図2の破線矢印は現実の金銭の流れを示す。
【0022】
このように、送金システム10は、資金移動口座番号を変換したペイロール口座番号を労働者に付与する。これにより、送金システム10は、労働者が資金移動口座で給与振込を受けるための、給与管理サーバ200および資金移動業者サーバ300における改修を大幅に削減できる。具体的には、送金システム10では、資金移動口座番号を全銀フォーマットの口座番号の体系に統一的に変換する。これにより、給与管理サーバ200は、資金移動業者サーバ300ごとにデータフォーマットを変更する設計を要しない。また、送金システム10では、企業から労働者に給与振込の要求を受け付けた際に、給与管理サーバ200から送信される全銀フォーマットを、資金移動業者ごとに対応するフォーマットに変換する。これにより、給与管理サーバ200は全銀フォーマットに統一して給与振込を実行でき、また、資金移動業者サーバ300は自社のデータフォーマットを利用することができるため、企業および資金移動業者においてシステムの改修を要しない。すなわち、送金システム10は、給与管理サーバ200および資金移動業者サーバ300の改修費用を削減できる。また、送金システム10は、労働者が資金移動口座によって給与を受け取れる機会を増大できるため、労働者に多様な給与の受け取り方を提供できる。また、送金システム10は、給与振込において資金移動業者が企業と接続するための障壁を低くでき、資金移動業者にとって接続可能な企業を増やすことができる。すなわち、送金システム10は、企業が資金移動口座を利用して労働者に給与振込を可能とすることで、経済の活性化を図ることができる。
【0023】
===送金管理サーバ100の構成===
図1に戻り、送金管理サーバ100の構成について説明する。
図1に示すように、送金管理サーバ100は、例えば、記憶部110と、口座関連部120と、フォーマット変換部130と、確認要求部140と、金額比較部150と、取引処理部160との機能部を含む。各機能部は、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。
【0024】
記憶部110は、口座変換情報D111、給与振込要求情報D112、及びフォーマット変換情報D113を記憶する。
図3を参照して、口座変換情報D111について説明する。
図3は、口座変換情報D111の構成を示す図である。
図3に示すように、口座変換情報D111は、例えば、[ユーザID]、[企業ID]、[資金移動口座]、[ペイロール口座]の項目を含んでいてもよい。[ユーザID]はユーザである労働者を一意に特定可能なユーザIDを記憶する。[企業ID]はユーザが所属する企業を一意に特定可能な企業IDを記憶する。[資金移動口座]はユーザIDに対応する資金移動口座番号を記憶する。[ペイロール口座]はユーザIDに対応する資金移動口座番号を記憶する。すなわち、口座変換情報D111は、資金移動口座をペイロール口座に変換する変換テーブルの役割を有する。
【0025】
次に、
図4を参照して、給与振込要求情報D112について説明する。
図4は、給与振込要求情報D112の構成を示す図である。
図4に示すように、給与振込要求情報D112は、例えば、[企業ID]、[ユーザID]、[ペイロール口座]、[資金移動口座]、[資金移動業者ID]、[振込金額]の項目を含んでいてもよい。[企業ID]、[ユーザID]、[ペイロール口座]、[資金移動口座]は、口座変換情報D111における[企業ID]、[ユーザID]、[ペイロール口座]、[資金移動口座]と同じであるため説明を省略する。[資金移動業者ID]は資金移動業者を一意に特定可能な資金移動業者IDを記憶する。[振込金額]は企業IDの企業からユーザIDの労働者に給与振込される金額を記憶する。送金管理サーバ100は、給与振込要求情報D112を参照することで、企業に対する請求額を特定できる。
【0026】
次に、
図5を参照して、フォーマット変換情報D113について説明する。
図5は、フォーマット変換情報D113の構成を示す図である。
図5に示すように、フォーマット変換情報D113は、例えば、[資金移動業者ID]、[フォーマット]の項目を含んでいてもよい。[資金移動業者ID]は資金移動業者を一意に特定可能な資金移動業者IDを記憶する。[フォーマット]は資金移動業者IDに対応する資金移動業者が振り込みに用いるフォーマットを記憶する。すなわち、フォーマット変換情報D113は、全銀フォーマットを資金移動業者ごとのフォーマットに変換する変換テーブルの役割を有する。
【0027】
口座関連部120は、労働者の資金移動口座番号に、銀行の口座に関する形式(ここでは、全銀フォーマット)に適合するペイロール口座番号を関連づけて、口座変換情報D111に記憶する。口座関連部120は、口座変換情報D111を参照して、ペイロール口座を労働者に付与する。具体的には、口座関連部120は、労働者端末400からペイロール口座発行要求を受け付けた場合、資金移動業者サーバ300から労働者の資金移動口座番号を取得する。口座関連部120は、資金移動口座番号にペイロール口座番号を関連づけて口座変換情報D111に記憶する。口座関連部120は、ペイロール口座番号を労働者端末400に送信する。これにより、労働者は、ペイロール口座を要求する簡易な手続きより、ペイロール口座番号を取得できる。
【0028】
フォーマット変換部130は、給与管理サーバ200から送信される、ペイロール口座番号を含む全銀フォーマットを、資金移動口座番号を含む資金移動業者のフォーマットに変換する。具体的には、フォーマット変換部130は、給与振込要求に含まれる資金移動業者IDに基づき、フォーマット変換情報D113を参照して、資金移動業者のフォーマットを特定する。フォーマット変換部130は、給与管理サーバ200から送信される全銀フォーマットを、特定した資金移動業者のフォーマットに変換して、資金移動業者サーバ300に送信することができる。これにより、送金システム10は、給与管理サーバ200において資金移動業者ごとに対応する給与振込用のフォーマットで振込要求を行う必要がないため、給与管理サーバ200を簡易なシステム構成によって実現できる。
【0029】
確認要求部140は、例えば、資金移動口座番号とペイロール口座番号とが関連づけられた後、企業から給与振込の要求を受け付けた場合、資金移動業者に対して、ペイロール口座番号に対応する資金移動口座が有効であるか否かの確認要求(以下、「口座確認要求」という)を送信する。具体的には、確認要求部140は、給与管理サーバ200から給与振込要求(例えば、ペイロール口座「1234-567-8901234」と給与振込「200,000」円を含む情報)を受け付けた場合、ペイロール口座「1234-567-8901234」に対応する資金移動口座「A」を特定する。確認要求部140は、資金移動業者サーバ300に資金移動口座「A」が有効であるか否かの確認を要求する口座確認要求を送信する。これにより、送金システム10は、労働者の資金移動口座が利用可能な状態か否かを確認した上で、給与の振込処理を実行できるため、円滑な振込処理を実現できる。
【0030】
金額比較部150は、例えば、給与振込を実行する前に、企業が当該企業の資金移動口座に送金した送金金額と、企業から労働者への振込金額に対応する請求額とを比較する。具体的には、金額比較部150は、資金移動業者サーバ300から、企業の資金移動口座に当該企業が送金した送金金額に関する情報を取得する。金額比較部150は、給与振込要求情報D112を参照して、企業から労働者への振込金額の合計である企業に対する請求額に関する請求書情報を取得する。金額比較部150は、企業から送金された送金金額と請求額とを比較する。金額比較部150は、比較した結果、送金金額と請求額とが一致する場合、振込の準備が確定したことを示す受領書に関する情報(以下、「受領書情報」という)を、給与管理サーバ200に送信する。これにより、企業による給与振込の処理が適切に行われるか否かを確認することができるため、不適切な送金処理を抑制できる。
【0031】
取引処理部160は、送金に関する所定の条件を充たしている場合、資金移動業者サーバ300に対して、資金移動業者のフォーマットに含まれる、ペイロール口座番号に対応する資金移動口座番号に基づき、資金移動口座への企業から労働者に対する給与振込を実行させる。具体的には、取引処理部160は、確認要求部140で資金移動口座が有効であることが確認された場合、労働者に対する給与振込を実行させる。これにより、送金システム10は円滑な給与振込の処理を実現できる。また、取引処理部160は、金額比較部150で送金金額と請求額とが一致することが確認された場合、労働者に対する給与振込を実行させてもよい。これにより、送金システム10は不適切な送金処理を抑制できる。この場合、取引処理部160は、労働者に対して、資金移動口座に企業から送金されたことを示す情報を通知してもよい。これにより、労働者の利便性を向上できる。一方、取引処理部160は、金額比較部150で送金金額と請求額とが一致しないことが確認された場合(例えば、送金金額が請求金額よりも低い場合など)、送金管理サーバ100は、給与管理サーバ200に対して請求金額に対する送金金額の不足額について通知してもよい。これにより、企業による迅速な対応が可能となる。
【0032】
<<変形例>>
送金管理サーバ100の変形例について説明する。上記では、企業が請求額を送金したことを確認した上で労働者に給与振込を行う処理について説明した。変形例に係る送金管理サーバ100は、企業が予め一定の金額を資金移動口座に送金しておくことで労働者に給与振込を行う処理を実行する。以下、便宜上、企業が予め資金移動口座に送金している金銭を「預り金」という。変形例に係る送金管理サーバ100は、例えば預り金判定部170の機能部をさらに含む。
【0033】
預り金判定部170は、企業の資金移動口座に企業から送金された預り金が所定の金額を充たすか否かを判定する。具体的には、預り金判定部170は、企業から労働者に給与振込を行う際に、給与振込要求を受け付けた場合、資金移動業者サーバ300に預り金の残高照会を要求する。預り金判定部170は、預り金の残高が所定の金額を充たすか否かを判定する。所定の金額は、例えば、予め設定された金額(以下、「設定金額」という)でもよいし、企業から複数の労働者への給与振込の金額の合計である、企業に対する請求額であってもよい。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0034】
この場合、取引処理部160は、預り金判定部170において、企業の資金移動口座に送金済みの預り金が、設定金額または請求額よりも大きい(又は「以上」)と判定された場合、資金移動業者サーバ300に労働者への給与振込を要求する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0035】
また、取引処理部160は、預り金判定部170において、企業の資金移動口座に送金済みの預り金が、設定金額または請求額よりも小さい(又は「以下」)と判定された場合、少なくとも、当該企業に対して設定金額に対する資金移動口座の預り金との差額の送金依頼を実行する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行不可能な状態の場合に企業に預り金を補充させて、振り込み実行可能な状態にできるため、円滑な送金処理を実現できる。
【0036】
また、預り金判定部170は、企業から労働者に給与振込が実行された後に、預り金の残額が設定金額を充たすか否かを判定してもよい。具体的には、預り金判定部170は、例えば、給与振込結果を取得した場合、給与振込前の預り金から給与振込した金額を減算した預り金の残額と、設定金額とを比較する。この場合、取引処理部160は、預り金判定部170において、預り金の残額が設定金額よりも小さいと判定された場合、少なくとも、当該企業に対して、設定金額に対する預り金の残額との差額の送金依頼を実行する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与の振り込みを実行可能な状態を維持しつつ給与振込の手続きが可能となるため、円滑な送金処理を実現できる。
【0037】
===給与管理サーバ200の構成===
図1に戻り、給与管理サーバ200の構成について説明する。
図1に示すように、給与管理サーバ200は、例えば、記憶部210と、口座管理部220と、振込要求部230と、口座確認部240との機能部を含む。各機能部は、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。
【0038】
記憶部210は、振込口座情報D211を記憶する。
図6を参照して、振込口座情報D211について説明する。
図6は、振込口座情報D211の構成を示す図である。
図6に示すように、振込口座情報D211は、例えば、[ユーザID]、[第1振込口座]、[第2振込口座]の項目を含んでいてもよい。[ユーザID]はユーザである労働者を一意に特定可能なユーザIDを記憶する。[第1振込口座]はユーザIDに対応する振り込み用の口座番号を記憶する。[第2振込口座]はユーザIDに対応する振り込み用の口座番号を記憶する。振込口座情報D211は、例えば、第1~第n振込口座のうち、少なくともいずれかの振込口座の項目にペイロール口座番号が記憶されている。すなわち、送金システム10は、ペイロール口座番号を銀行の口座番号と同様に扱うことができる。これにより、給与管理サーバ200では、資金移動口座に対する労働者への給与振込を、システム改修をほとんど要せず実現できる。
【0039】
口座管理部220は、労働者が労働者端末400を通じて給与振込用の口座(例えば、銀行口座、ペイロール口座)の登録操作に関する情報を受け付けた場合、振込口座情報D211に当該口座に関する情報を登録する。振込要求部230は、企業の担当者による操作入力または所定の日時が経過したことに基づき、送金管理サーバ100に給与振込要求を送信する。口座確認部240は、送金管理サーバ100から送信される労働者の口座が有効であるか否かを示す結果に関する情報(以下、「判定結果情報」という)に基づき、口座の有効性を確認する。
【0040】
===資金移動業者サーバ300の構成===
図1に戻り、資金移動業者サーバ300の構成について説明する。
図1に示すように、資金移動業者サーバ300は、例えば、記憶部310と、口座管理部320と、振込実行部330との機能部を含む。各機能部は、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。
【0041】
記憶部310は、口座管理情報D311を記憶する。
図7を参照して、口座管理情報D311について説明する。
図7は、口座管理情報D311の構成を示す図である。
図7に示すように、口座管理情報D311は、例えば、[資金移動口座]、[氏名]、[企業ID]、[残高]、[履歴]の項目を含んでいてもよい。[資金移動口座]はユーザIDに対応する資金移動口座番号を記憶する。[氏名]はユーザの氏名を記憶する。[企業ID]はユーザが所属する企業を一意に特定可能な企業IDを記憶する。[残高]は資金移動口座の残高を記憶する。[履歴]は資金移動口座の入出金の履歴を記憶する。
【0042】
口座管理部320は、労働者端末400から資金移動口座の登録要求(口座開設要求)を受け付けた場合、口座管理情報D311に労働者に対応づけて資金移動口座を登録する。また、口座管理部320は、例えば、労働者端末400と送金管理サーバ100との間において各種情報を中継する。具体的には、口座管理部320は、労働者端末400からペイロール口座発行要求を取得した場合、労働者の労働者情報および資金移動口座番号を、送金管理サーバ100に送信する。そして、口座管理部320は、送金管理サーバ100から労働者に関連づけたペイロール口座番号を取得した場合、当該ペイロール口座番号を労働者端末400に送信する。また、口座管理部320は、送金管理サーバ100から口座確認要求を受け付けた場合、労働者の資金移動口座が有効であるか否かを確認する。具体的には、口座管理部320は、例えば、口座管理情報D311を参照して、労働者情報に基づき、労働者の資金移動口座番号が登録されているか否か、資金移動口座番号の所有者が当該労働者であるか否か、当該資金移動口座に関する過去のトラブルの有無などについて確認する。口座管理部320は、労働者の資金移動口座が有効であるか否かを確認した結果に関する情報(以下、「口座確認結果情報」という)を送金管理サーバ100に送信する。これにより、企業は安全確実に資金移動口座を利用して労働者に給与振込を実行できる。振込実行部330は、送金管理サーバ100から給与振込要求を受信した場合、労働者の資金移動口座への給与振込を実行する。振込実行部330は、給与振込に関する情報を、口座管理情報D311に記憶する。
【0043】
===労働者端末400の構成===
図1に戻り、労働者端末400の構成について説明する。労働者端末400は、例えば労働者による操作入力を受けて各種情報を、給与管理サーバ200に登録し、資金移動業者サーバ300に送信する。また、労働者端末400は、各種サーバから取得される各種情報を表示部に表示させる。
図1に示すように、労働者端末400は、例えば、記憶部410と、取得部420と、表示処理部430と、送信部440との機能部を含む。各機能部は、例えば、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。記憶部410は各種情報を記憶する。取得部420は各種サーバから各種情報を取得する。表示処理部430は、取得した各種情報を表示部に表示させる。送信部440は各種情報を各種サーバ(例えば、資金移動業者サーバ300)に送信する。
【0044】
===送金システム10の処理手順===
図8を参照しつつ、送金システム10の処理手順について説明する。
図8は、送金システム10の処理手順を示すフロー図である。
図8では、労働者がペイロール口座を付与されて、企業から労働者の資金移動口座に給与振込を完了させるまでの、送金システム10の処理手順を示す。
【0045】
まず、労働者にペイロール口座が付与される処理手順について説明する。ステップS100において、労働者端末400は、労働者による操作入力を受け付けて、ペイロール口座発行要求を資金移動業者サーバ300に送信する。ペイロール口座発行要求には、例えば労働者情報が含まれる。ステップS101において、資金移動業者サーバ300は、口座管理情報D311を参照して、労働者に対応する資金移動口座番号を特定する。資金移動業者サーバ300は、労働者の資金移動口座番号を送金管理サーバ100に送信する。ステップS102において、送金管理サーバ100は、資金移動口座番号にペイロール口座番号を関連づけて口座変換情報D111に記憶する。送金管理サーバ100は、ペイロール口座番号を資金移動業者サーバ300に送信する。ステップS104において、資金移動業者サーバ300は、ペイロール口座番号を労働者端末400に送信する。ステップS105において、労働者端末400は、例えばブラウザを通じて、ペイロール口座番号を給与振込用の口座として給与管理サーバ200に登録する。給与管理サーバ200は、労働者IDにペイロール口座番号を関連づけて振込口座情報D211に記憶する。これにより、企業がペイロール口座を利用して労働者への給与振込を行うことができる。
【0046】
次に、企業から労働者の資金移動口座に給与振込を行う処理手順について説明する。ステップS200において、給与管理サーバ200は、労働者の資金移動口座に対する給与振込を実行するべく、送金管理サーバ100に全銀フォーマットに適合する給与振込情報を含む給与振込要求を送信する。ステップS201において、送金管理サーバ100は、給与振込要求に含まれる資金移動業者を特定し、フォーマット変換情報D113を参照して、全銀フォーマットを、特定された資金移動業者に対応する資金移動業者フォーマットに変換する。これにより、送金システム10は、給与管理サーバ200において、資金移動業者サーバ300ごとにデータフォーマットを変更する設計を要しないため、簡易なシステム構成で資金移動業者への給与振込を実現できる。ステップS202において、送金管理サーバ100は、労働者の資金移動口座の有効性を確認するべく、特定された資金移動業者の資金移動業者サーバ300に口座確認要求を送信する。ステップS203において、資金移動業者サーバ300は、口座確認結果を送金管理サーバ100に送信する。ステップS204において、送金管理サーバ100は、口座確認結果に基づき口座の有効性を判定する。ステップS205において、送金管理サーバ100は、判定結果情報を給与管理サーバ200に送信する。ステップS206において、給与管理サーバ200は、判定結果情報に基づき、労働者の資金移動口座が有効であるか否かを判定する。有効でないと判定された場合(ステップS205:NO)、給与管理サーバ200は、判定結果を労働者端末400に表示させるべく、判定結果情報を労働者端末400に送信してもよい。ステップS206において、労働者端末400は、判定結果を表示する。判定結果には、例えば、労働者の資金移動口座が存在しないことの通知、資金移動口座が利用不能になっていることの通知、資金移動口座が利用不能になっていることの理由に関する通知などが含まれていてもよい。これにより、労働者は資金移動口座を利用できるように迅速に対応できるため、円滑な給与振込を実現できる。有効であると判定された場合(ステップS205:YES)、ステップS207において、給与管理サーバ200は、労働者の資金移動口座が有効であることを示す確認結果を送金管理サーバ100に送信する。ステップS208において、送金管理サーバ100は、企業が企業の資金移動口座に送金した送金金額と、企業から労働者への振込金額に対応する請求額とを比較する。送金金額と請求額とが一致しない結果を取得した場合(ステップS209:NO)、送金管理サーバ100は、不足額を示す情報を給与管理サーバ200に送信する。ステップS210において、給与管理サーバ200は、資金移動口座に不足額を送金する処理を実行する。これにより、給与振込の処理を実行可能な準備を整えることができるため、円滑な給与振込を実現できる。ステップS211において、送金管理サーバ100は、給与振込を実行させるべく、資金移動業者サーバ300に、資金移動業者フォーマットに適合する給与振込情報を含む給与振込要求を送信する。ステップS212において、資金移動業者サーバ300は、労働者の資金移動口座に給与振込を実行するとともに、給与振込結果を労働者端末400に通知する。ステップS213において、労働者端末400は、給与振込結果を表示部に表示する。これにより、労働者は給与振込が完了したことをリアルタイムに知ることができるため、労働者の利便性を向上できる。
【0047】
===ハードウェア構成===
図9を参照して、送金管理サーバ100、給与管理サーバ200、資金移動業者サーバ300をコンピュータ1000で実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0048】
図9は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006、及び表示装置1007を含む。
【0049】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0050】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0051】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0052】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続されても良い。
【0053】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0054】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0055】
表示装置1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置1007は、コンピュータ1000の外部に設けられても良い。その場合、表示装置1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0056】
===まとめ===
本実施形態に係る送金システム10は、資金移動業者の口座に対応する銀行の口座に関する形式の口座を発行させる要求に応じて、所定の企業の労働者(ユーザ)における資金移動口座(資金移動業者の口座)を識別するための資金移動口座番号(第1識別符号)に、銀行の口座に関する形式で構成されるペイロール口座番号(第2識別符号)を関連づける口座関連部120と、送金に関する所定の条件を充たしている場合、所定の企業(組織)に登録される労働者のペイロール口座番号(第2識別符号)に基づき資金移動口座番号(第1識別符号)を特定することによって、所定の企業(組織)からの、労働者(ユーザ)の資金移動口座番号(第1識別符号)に対応する資金移動業者の口座に対する給与振込(送金)を実行させる取引処理部160と、を備える。これにより、労働者における資金移動業者の口座に対する企業からの給与振込を、簡易なシステム構成によって実現することができる。また、送金システム10は、給与振込において資金移動業者が企業と接続するための障壁を低くでき、資金移動業者にとって接続可能な企業を増やすことができる。すなわち、送金システム10は、企業が資金移動口座を利用して労働者に給与振込を可能とすることで、経済の活性化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る送金システム10は、所定の企業(組織)の給与管理サーバ200から送信されるペイロール口座番号(第2識別符号)を含む全銀フォーマットを、取引処理部160においてペイロール口座番号(第2識別符号)に基づき特定される資金移動口座番号(第1識別符号)を含む資金移動業者の資金移動業者フォーマット(フォーマット)に変換するフォーマット変換部130をさらに備え、取引処理部160は、資金移動業者の資金移動業者フォーマット(フォーマット)に基づき、労働者(ユーザ)の資金移動口座番号(第1識別符号)に対応する資金移動口座(資金移動業者の口座)に対する送金を実行させる。これにより、送金システム10は、給与管理サーバ200において資金移動業者ごとに対応する給与振込用のフォーマットで振込要求を行う必要がないため、給与管理サーバ200を簡易なシステム構成によって実現できる。
【0058】
また、本実施形態に係る送金システム10は、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)への給与振込(送金)の要求に含まれるペイロール口座番号(第2識別符号)に基づいて、資金移動業者に対して、ペイロール口座番号(第2識別符号)に対応する資金移動口座番号(第1識別符号)が示す資金移動口座(資金移動業者の口座)が有効であるか否かの確認要求を実行する確認要求部140を、さらに備え、取引処理部160は、資金移動口座番号(第1識別符号)が示す資金移動口座(資金移動業者の口座)が有効であると確認された場合、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動業者の口座に対する給与振込(送金)を実行させる。これにより、送金システム10は、労働者の資金移動口座が利用可能な状態か否かを確認した上で、給与の振込処理を実行できるため、円滑な振込処理を実現できる。
【0059】
また、本実施形態に係る送金システム10は、所定の企業(組織)における資金移動口座(資金移動業者の口座)に所定の企業(組織)が送金した金額と、労働者(ユーザ)に対して給与振込(送金)する金額に対応する所定の企業(組織)に対する請求額と、を比較する金額比較部150を、さらに備え、取引処理部160は、金額比較部150において、所定の企業(組織)が送金した金額と、請求額と、が一致することを示す比較結果が得られた場合、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動業者の口座に対する給与振込(送金)を実行させる。これにより、企業による給与振込の処理が適切に行われるか否かを確認することができるため、不適切な送金処理を抑制できる。
【0060】
また、本実施形態に係る送金システム10の取引処理部160は、金額比較部150において、所定の企業(組織)が送金した金額が請求額よりも小さいことを示す比較結果が得られた場合、所定の企業(組織)に対して、所定の企業(組織)が送金した金額に対する請求額との差額の送金依頼を実行する。これにより、企業による給与振込の処理が適切に行われるか否かを確認することができるため、不適切な送金処理を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態に係る送金システム10は、所定の企業(組織)の資金移動業者の口座における所定の企業(組織)からの送金済みの金額が、所定の金額を充たすか否かを判定する預り金判定部170を、さらに備え、取引処理部160は、預り金判定部170において、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)が、所定の金額を充たすと判定された場合、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動口座(資金移動業者の口座)に対する給与振込(送金)を実行させる。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0062】
また、本実施形態に係る送金システム10の取引処理部160は、預り金判定部170において、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)が、所定の金額を充たさないと判定された場合、少なくとも、所定の企業(組織)に対して、所定の金額に対する所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)との差額の送金依頼を実行する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0063】
また、本実施形態に係る送金システム10の預り金判定部170は、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)が、労働者(ユーザ)に対して給与振込(送金)する金額に対応する所定の企業(組織)に対する請求額を充たすか否かを判定し、取引処理部160は、預り金判定部170において、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)が、請求額を充たすと判定された場合、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動口座(資金移動業者の口座)に対する給与振込(送金)を実行させる。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0064】
また、本実施形態に係る送金システム10の取引処理部160は、預り金判定部170において、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)が、請求額を充たさないと判定された場合、少なくとも、所定の企業(組織)に対して、請求額に対する所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)との差額の送金依頼を実行する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与振込を実行可能な状態で給与振込が可能となるため、円滑な給与振込を実現できる。
【0065】
また、本実施形態に係る送金システム10の預り金判定部170は、取引処理部160において、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動口座(資金移動業者の口座)に対する給与振込(送金)を実行させた後、所定の企業(組織)からの預り金(送金済みの金額)から労働者(ユーザ)に対して給与振込(送金)する金額に対応する所定の企業(組織)に対する請求額を減算した差額が、所定の金額を充たすかを判定する。これにより、送金システム10は資金移動業者が給与の振り込みを実行可能な状態を維持しつつ給与振込の手続きが可能となるため、円滑な送金処理を実現できる。
【0066】
また、本実施形態に係る送金システム10の取引処理部160は、所定の企業(組織)から労働者(ユーザ)の資金移動口座番号(第1識別符号)に対応する資金移動口座(資金移動業者の口座)に対する給与振込(給与の振り込み)を実行させる。これにより、労働者における資金移動業者の口座に対する企業からの給与振込を、簡易なシステム構成によって実現することができる。
【符号の説明】
【0067】
10…送金システム、100…送金管理サーバ、200…給与管理サーバ、300…資金移動業者サーバ、400…労働者端末、110…記憶部、120…口座関連部、130…フォーマット変換部、140…確認要求部、150…金額比較部、160…取引処理部、170…預り金判定部。