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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】矢印板
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/646 20160101AFI20231004BHJP
   E01F 9/608 20160101ALI20231004BHJP
【FI】
E01F9/646
E01F9/608
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021128834
(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公開番号】P2022036018
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2020139019
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507297400
【氏名又は名称】西日本高速道路メンテナンス中国株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】石田 和行
(72)【発明者】
【氏名】岡田 延幸
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3030805(JP,U)
【文献】登録実用新案第3213742(JP,U)
【文献】特開2020-052216(JP,A)
【文献】特開2009-256996(JP,A)
【文献】実開昭54-048594(JP,U)
【文献】特開平10-280337(JP,A)
【文献】特開2022-091177(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/646
E01F 9/608
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に矢印が表示された矩形状の表示板と、該表示板を載置する矩形状のベース板と、前記表示板を裏面から支持する支持板とを有し、一般道路や高速道路の道路工事等において、車両を誘導するために使用される矢印板であって、
前記ベース板の上面の前端より後方に係止部が設けられており、
前記支持板の一端が前記ベース板の後端に回動可能に取り付けられ、前記支持板の他端が前記表示板の裏面に回動可能に取り付けられており、
使用状態において、前記表示板の下端部が前記係止部に固定されて前記表示板の前方に前記ベース板が突出し、前記表示板が表面を前方に向けた状態で裏面から前記支持板に支持されるとともに、
収納状態において、前記表示板を前記支持板の下側とし前記表示板の表面を下向きとして、前記表示板及び前記支持板が前記ベース板の上面に積層され、
前記表示板の下端部が前記係止部に磁力により固定されることを特徴とする矢印板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般道路や高速道路の道路工事等において、車両を誘導するために使用される矢印板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般道路や高速道路において道路工事等を行う場合、一般車両の進行方向を指示して誘導するための矢印板が用いられている。一般的な矢印板としては、2枚の板材を山型に形成したものが用いられ、その両面に進行方向を示す矢印が例えば赤地に白といった配色で標示されている。
【0003】
また、特許文献1には、矢印が表示された表示板と、表示板と端部同士が軸着された土台板と、表示板と土台板を開いて内側から支持する軸着された2枚の支持板からなる支持部を備えた矢印板に関する発明が記載されており、表示板を開くと支持部が自立し、表示板と土台板を閉じると支持部が折り重なって表示板と土台板の間に収容されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には、矩形状の外枠部と、外枠部の内側に配置された基盤部と、複数の高輝度白色LEDを有し基盤部に矢印を示すように取り付けられた発行部とを備えた矢印板に関する発明が記載されており、外枠部に取り付けられた2本の折りたたみフレームを開いて矢印板を設置するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3163324号公報
【文献】実用新案登録第3166080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、道路上に設置される矢印板は、通行車両からの風圧やその他の要因による転倒を防止する必要がある。そのため、例えば2枚の板材を山型に形成した一般的な矢印板の場合、矢印板を道路上に設置した後に、上部にウェイトを設置し、さらに内側にラバーコーンを設置して転倒を防止するようにしている。このような3段階の設置には相当な時間を要するが、設置場所は高速道路上等で規制の始まる先端の危険なエリアであり、設置時間を1秒でも短縮し、作業者の安全性を向上させる必要がある。
【0007】
また、運搬時や収納時には複数の矢印板を重ねなければならないため、矢印を表示した板面を痛めやすく、かつ嵩張るという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、風圧等による転倒を防止しながら設置時間を短縮して作業者の安全性を高めるとともに、矢印を表示した板面を痛めにくく、かつ収納時に嵩張らないようにした矢印板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の矢印板は、表面に矢印が表示された矩形状の表示板と、該表示板を載置する矩形状のベース板と、前記表示板を裏面から支持する支持板とを有する矢印板であって、前記ベース板の上面の前端より後方に係止部が設けられており、前記支持板の一端が前記ベース板の後端に回動可能に取り付けられ、前記支持板の他端が前記表示板の裏面に回動可能に取り付けられており、使用状態において、前記表示板の下端部が前記係止部に固定されて前記表示板の前方に前記ベース板が突出し、前記表示板が表面を前方に向けた状態で裏面から前記支持板に支持されるとともに、収納状態において、前記表示板を前記支持板の下側とし前記表示板の表面を下向きとして、前記表示板及び前記支持板が前記ベース板の上面に積層されることを特徴とする。
【0010】
また好ましくは、前記支持板に風抜きのための開口部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記矢印が左右に回転可能であることを特徴とする。
【0012】
また好ましくは、前記支持板の他端と前記表示板の裏面との回動範囲を規制して、前記表示板の下端部と前記係止部との位置決めを行う位置決め手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の矢印板は、表面に矢印が表示された矩形状の表示板と、表示板を載置する矩形状のベース板と、表示板を裏面から支持する支持板とを有する矢印板である。ベース板の上面の前端より後方には係止部が設けられており、支持板の一端がベース板の後端に回動可能に取り付けられ、支持板の他端が表示板の裏面に回動可能に取り付けられている。
【0014】
そして使用状態において、表示板の下端部が係止部に固定されて表示板の前方にベース板が突出し、表示板が表面を前方に向けた状態で裏面から支持板に支持されるようになっている。後方から風圧を受けたときには、表示板は下端部を支点として回転しようとするが、表示板の前方にはベース板が突出しているため回転できない。矢印板を転倒させるには、ベース板の前端を支点として回転させる力が必要となるため転倒しにくい。また、前方から風圧を受けたときにも、矢印板を転倒させるには、ベース板の後端を支点として回転させる力が必要となるため転倒しにくい。転倒しにくければ、転倒防止のためのウェイトやラバーコーンの設置が不要であり、短時間で道路上に設置することができる。
【0015】
また収納状態において、表示板を支持板の下側とし表示板の表面を下向きとして、表示板及び支持板がベース板の上面に積層されるようになっている。従って、矢印を表示した板面が外側に露出することがないため傷つきにくく、表示板、支持板、ベース板が積層されるため嵩張らない。
【0016】
また、前方から走行してきた車両が矢印板に乗り上げたときには、車両重量による大きな力で表示板が後方に倒れるので、車両がそのまま矢印板の上を通過しやすくなり、車両の走行への影響を小さくすることができる。
【0017】
また、支持板に風抜きのための開口部が設けられている場合には、支持板への風圧を開口部から逃がして風圧抵抗を減少させて、より転倒しにくくすることができる。
【0018】
また、矢印が左右に回転可能である場合には、左右両方の車両誘導に使用することができる。
【0019】
また、支持板の他端と表示板の裏面との回動範囲を規制して、表示板の下端部と係止部との位置決めを行う位置決め手段を有する場合には、設置時における表示板の下端部と係止部との位置決めが容易であり、より短時間で道路上に設置することができる。
【0020】
このように、本発明の矢印板によれば、風圧等による転倒を防止しながら設置時間を短縮して作業者の安全性を高めるとともに、矢印を表示した板面を痛めにくく、かつ収納時に嵩張らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る矢印板の使用状態を示す斜視図(前側・表側)である。
図2】本発明の実施形態に係る矢印板の使用状態を示す斜視図(後側・裏側)である。
図3】矢印板の収納状態を示す(A)平面図、(B)正面図である。
図4図3(A)のa-a断面図である。
図5】矢印板の収納状態を示す底面図である。
図6】矢印板の収納状態を示す右側面図である。
図7】矢印板の表示板及び支持板を開いた状態を示す平面図である。
図8図7のb-b断面図である。
図9】矢印板の組立手順の説明図である。
図10】矢印板の使用方法の説明図である。
図11】他の実施形態に係る矢印板の使用状態を示す斜視図(前側・表側)である。
図12】他の実施形態に係る矢印板の使用状態を示す斜視図(後側・裏側)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図1乃至図12を参照して、本発明の実施形態に係る矢印板について説明する。本実施形態に係る矢印板100は、一般道路や高速道路において道路工事等を行う場合、一般車両の進行方向を指示して誘導するためのものである。
【0023】
図1は矢印板100の使用状態を示す斜視図(前側・表側)であり、図2は矢印板100の使用状態を示す斜視図(後側・裏側)である。図3は矢印板100の収納状態を示す(A)平面図、(B)正面図であり、図4図3(A)のa-a断面図である。図5は矢印板100の収納状態を示す底面図であり、図6は矢印板100の収納状態を示す右側面図である。図7は矢印板100の表示板10及び支持板30を開いた状態を示す平面図であり、図8図7のb-b断面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、矢印板100は、表示板10、ベース板20及び支持板30から構成されている。表示板10は、表面(前側の面)に矢印1が表示された矩形状の板である。ベース板20は、上面に表示板10を載置する矩形状の板である。支持板30は、表示板10を裏面(後側の面)から支持する板である。表示板10、ベース板20及び支持板30の材料としては、金属板や樹脂板等を用いることができる。
【0025】
なお、本実施形態の説明において、「前」とは使用状態における表示板10の表面(矢印1が表示された面)の側を示しており、「後」とは使用状態における表示板10の裏面(矢印1が表示された面の反対面)の側を示している。また、「左右」とは使用状態における表示板10を前方から見たときの左右を示している。
【0026】
表示板10は、前方から走ってくる車両の運転手に、進行方向を指示するための矢印1を視認させるものである。表示板10には、表示された矢印1が回転軸部13を介して回転可能に取り付けられており、表面から矢印1を操作して回転軸部13を中心に回転させて、矢印1の向きを左右に切り替えることができるようになっている。また、表示板10には円弧状のスライド孔11が形成されており、表示板10に取り付けられた回転操作部14がスライド孔11を移動するように裏面から操作することにより、矢印1の向きを左右に切り替えることができるようになっている。
【0027】
また、表示板10には把持部12が開口部として形成されており、表示板10の下端部には金属製の外枠が嵌め込まれている。
【0028】
ベース板20は、底面が道路上に接地するように設置され、上面に表示板10が載置されるようになっている。ベース板20の周縁の四辺はゴム製の外枠部24で補強されており、外枠部24をベース板20の周縁よりも高くすることにより、ベース板20が箱状に形成されている。そして、外枠部24で囲まれた箱内に、表示板10及び支持板30を収納できるようになっている。なお、使用状態における矢印板100の重心位置を低くして安定させるために、材料の選択や付属物によってベース板20の重量を調整することが好ましい。ベース板20の前後には、把持部22,22が開口部として形成されている。
【0029】
ベース板20の上面には係止部21が設けられている。係止部21は、ベース板20の上面の左右方向に沿って取り付けられた、断面矩形状の長尺部材である。係止部21の位置は、ベース板20の前端より後方である。また、係止部21の後部には、複数の磁石23が取り付けられている。図1及び図2に示すように、使用状態において、表示板10の下端部が係止部21に当接し、複数の磁石23の磁力により表示板10の下端部に嵌め込まれた金属製の外枠が吸着されて、表示板10の下端部が係止部21に固定されるようになっている。このとき、表示板10の前方には、ベース板20が突出している。なお、本実施形態では、係止部21をゴム製とすることにより、当接する表示板10の下端部との衝撃を緩和しているが、これに限定されるものではない。
【0030】
係止部21の前後方向の位置は、ベース板20の上面の前端よりも後方であればよいが、ベース板20の前後方向の長さを100%とすると、前端から20~80%の位置が好ましく、30~70%の位置がさらに好ましく、40~60%の位置がさらに好ましく、50%の位置(前後方向の中央)がさらに好ましい。
【0031】
支持板30は、使用状態においてベース板20に載置された表示板10を裏面から支持するものである。図1及び図2に示すように、使用状態において、表示板10は矢印が表示された表面を前方に向けた状態で裏面から支持板30に支持されている。
【0032】
支持板30の一端(使用状態における後端、下端)は、ベース板20の後端にヒンジ3を介して回動可能に取り付けられている。ヒンジ3は、ベース板20の後端及び支持板30の一端の左右方向に沿って取り付けられており、支持板30はヒンジ3を中心に前後方向に回動するようになっている。なお、本実施形態では、ヒンジ3の位置が道路面に近いため、砂等が入り込むことを想定しラバーヒンジとしている。ただし、回動可能に連結できるものであれば特に限定されない。
【0033】
支持板30の他端(使用状態における前端、上端)は、表示板10の裏面にヒンジ2を介して回動可能に取り付けられている。ヒンジ2は、表示板10の裏面の高さ方向の中央付近及び支持板30の他端の左右方向に沿って複数個取り付けられており、支持板30はヒンジ2を中心に前後方向に回動するようになっている。なお、本実施形態では、ヒンジ2を金属製ヒンジとしているが、回動可能に連結できるものであれば特に限定されない。
【0034】
支持板30には、4つの開口部31が設けられている。開口部31は風抜きのためのものであり、支持板21への風圧抵抗を減少させて矢印板100の転倒防止効果を高めるものである。なお、開口部31の大きさ、形状、数等は特に限定されない。また、支持板30の後部(下部)には、把持部32が開口部として形成されている。
【0035】
本実施形態において、表示板10及びベース板20の大きさはほぼ同一であり、支持板30の大きさは表示板10及びベース板20の大きさの約1/2となっている。これらの大きさについては、使用状態における表示板10の傾斜角度、支持板30の表示板10への取付け高さ、係止部材21の位置等と合わせて、適宜調整することができる。
【0036】
図3乃至図6に示すように、収納状態において矢印板100は、下からベース板20、表示板10、支持板30の順番に積層される。そして、上述したように、外枠部24で囲まれた箱状のベース板20の中に、表示板10及び支持板30が収納されるようになっている。これにより、矢印板100を嵩張らずに収納することができる。
【0037】
また、表示板10の把持部12とベース板20の把持部22、支持板30の把持部32とベース板20の把持部22が各々重なっており、いずれかの組み合わせの把持部を持って矢印板100を持ち運ぶことができるようになっている。
【0038】
収納状態において、表示板10が支持板30の下側となり、表示板10の表面が下向きとなって、表示板10及び支持板30がベース板20の上面に積層されるようになっている。これにより、表示板10の矢印1が表示された表面は、外側に露出することがなく傷つきにくい。
【0039】
図7及び図8は、ヒンジ3を中心に回動させて、表示板10及び支持板30を開いた状態を示したものである。なお、実際に矢印板100を道路上に設置する場合には、表示板10及び支持板30をベース板20に対して水平になるまで開くことはないが、矢印板100の構造説明のため記載したものである。
【0040】
図9は、矢印板100の組立手順の説明図である。(1)収納状態の矢印板100を、ベース板20の下面を接地させながら道路上に載置する。(2)ヒンジ3を支点として表示板10及び支持板30を開く。(3)ヒンジ2を支点として表示板10の下側を前方に起こす。(4)表示板10及び支持板30を前方に倒しながら、表示板10の下端部をベース板20の係止部21に当接させて磁石23により固定する。(5)表示する矢印1の向きを選択する。以上により、矢印板100を組み立てて使用状態とすることができる。
【0041】
なお、(2)~(4)の手順は連続して行われるものであるため、明確に手順が区別されるものではない。また、選択した矢印1の向きは、固定金具等で固定してもよいし、矢印1の重量バランスにより逆方向に回転しないようにしてもよい。
【0042】
反対に、矢印板100を収納する場合には、表示板10の下端部を係止部21から取り外し、表示板10の矢印1が表示された表面を下向きにしながら支持板30の下側に表示板10の下端部を進入させるようにしながら畳んで、表示板10及び支持板30をベース板20の上面に積層すればよい。
【0043】
図10は、矢印板100の使用方法の説明図であり、道路工事を行う道路上に矢印板100を設置した状態を示したものである。矢印板100設置や撤去にあたっては、作業者は道路上に載置した収納状態の矢印板100の後側から、表示板10を持ち上げて作業することになる。そうすると、作業者は進行してくる車両に対して向かい合う形となり、万が一危険な車両が来ている場合でも容易に把握できるため安全性が高い。
【0044】
本実施形態に係る矢印板100は、表面に矢印が表示された矩形状の表示板10と、表示板10を載置する矩形状のベース板20と、表示板10を裏面から支持する支持板30とを有する矢印板である。ベース板20の上面の前端より後方には係止部21が設けられており、支持板30の一端がベース板20の後端に回動可能に取り付けられ、支持板30の他端が表示板10の裏面に回動可能に取り付けられている。
【0045】
そして使用状態において、表示板10の下端部が係止部21に固定されて表示板10の前方にベース板20が突出し、表示板10が表面を前方に向けた状態で裏面から支持板30に支持されるようになっている。後方から風圧を受けたときには、表示板10は下端部を支点として回転しようとするが、表示板10の前方にはベース板20が突出しているため回転できない。矢印板100を転倒させるには、ベース板20の前端を支点として回転させる力が必要となるため転倒しにくい。また、前方から風圧を受けたときにも、矢印板100を転倒させるには、ベース板20の後端を支点として回転させる力が必要となるため転倒しにくい。転倒しにくければ、転倒防止のためのウェイトやラバーコーンの設置が不要であり、短時間で道路上に設置することができる。
【0046】
また収納状態において、表示板10を支持板30の下側とし表示板10の表面を下向きとして、表示板10及び支持板30がベース板20の上面に積層されるようになっている。従って、矢印1を表示した板面が外側に露出することがないため傷つきにくく、表示板10、支持板30、ベース板20が積層されるため嵩張らない。
【0047】
また、前方から走行してきた車両が矢印板100に乗り上げたときには、車両重量による大きな力で表示板が後方に倒れるので、車両がそのまま矢印板100の上を通過しやすくなり、車両の走行への影響を小さくすることができる。
【0048】
また、支持板30に風抜きのための開口部31が設けられているので、支持板30への風圧を開口部31から逃がして風圧抵抗を減少させて、より転倒しにくくすることができる。
【0049】
また、矢印1が左右に回転可能であるので、左右両方の車両誘導に使用することができる。
【0050】
次に、図11及び図12を参照して、他の実施形態に係る矢印板200について説明する。図11は矢印板200の使用状態を示す斜視図(前側・表側)であり、図12は矢印板200の使用状態を示す斜視図(後側・裏側)である。矢印板200は矢印板100とほぼ同一の構成であるため、矢印板100との相違点を中心に説明する。
【0051】
図11及び図12に示すように、矢印板200は、表示板40、ベース板50及び支持板60から構成されている。表示板40は、表面(前側の面)に矢印1が表示された矩形状の板であり、視認性を向上させるために、表面の上辺及び下辺、裏面の上辺のそれぞれに沿って反射材6が取り付けられている。また、表示板40には、風抜きのための複数の開口部41が設けられており、表示板40への風圧抵抗を減少させて矢印板200の転倒防止効果を高めるようになっている。
【0052】
ベース板50は、上面に表示板40を載置する矩形状の板である。ベース板50の上面の4箇所には係止部51が設けられている。係止部51は磁石を含む部材で構成されており、使用状態において、表示板40の下端部が係止部51に当接するとともに磁力により吸着されて固定されるようになっている。
【0053】
支持板60は、表示板40を裏面(後側の面)から支持する板である。図11及び図12に示すように、使用状態において、表示板40は矢印が表示された表面を前方に向けた状態で裏面から支持板60に支持されている。支持板60の裏面には、視認性を向上させるために、反射材6が取り付けられている。
【0054】
支持板60の一端(使用状態における後端、下端)は、ベース板50の後端にヒンジ5を介して回動可能に取り付けられている。また、支持板60の他端(使用状態における前端、上端)は、表示板40の裏面にヒンジ4を介して回動可能に取り付けられている。
【0055】
また、矢印板200においては、表示板40と支持板60とがチェーン7,7により連結されている。チェーン7,7は、表示板40の左右端部の下部近傍と支持板60の左右端部の下部近傍とを各々連結しており、支持板60の他端と表示板40の裏面との回動範囲(ヒンジ4)を規制するようになっている。そして、チェーン7,7の長さは、使用状態において、表示板40の下端部がベース板50の係止部51にちょうど当接して固定されるような長さに調整されている。すなわち、チェーン7,7は、表示板40の下端部とベース板50の係止部51との位置決めを行う位置決め手段として機能するものである。
【0056】
矢印板200を道路上に設置する場合には、収納状態の矢印板200を道路上に載置してから、ヒンジ5を支点として表示板40及び支持板60を開く。そして、ヒンジ4を支点として表示板40の下側を前方に起こす。このとき、チェーン7,7が完全に伸びた状態で表示板40の下端部とベース板50の係止部51とが位置決めされるので、そのまま表示板40及び支持板60を前方に倒して、表示板40の下端部をベース板50の係止部51に当接させて固定すればよい。
【0057】
矢印板200のように、支持板60の他端と表示板40の裏面との回動範囲を規制して、表示板40の下端部と係止部51との位置決めを行う位置決め手段(チェーン7)を設けることにより、設置時における表示板40の下端部と係止部51との位置決めが容易であり、より短時間で道路上に設置することができる。
【0058】
なお、位置決め手段はチェーン7に限定されるものではなく、例えばヒンジ4自体を一定範囲までしか回動しないような構造とするなど、支持板60の他端と表示板40の裏面との回動範囲を規制することにより表示板40の下端部と係止部51との位置決めを可能にするものであればよい。
【0059】
このように、本実施形態に係る矢印板によれば、風圧等による転倒を防止しながら設置時間を短縮して作業者の安全性を高めるとともに、矢印を表示した板面を痛めにくく、かつ収納時に嵩張らないようにすることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態に係る矢印板について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態では表示板10の下端部の係止部21への固定方法を磁石23によるものとしたが、これに限定されるものではなく、係止部材を係合させるような構成等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 矢印
2 ヒンジ
3 ヒンジ
4 ヒンジ
5 ヒンジ
6 反射材
7 チェーン
10 表示板
11 スライド孔
12 把持部
13 回転軸部
14 回転操作部
20 ベース板
21 係止部
22 把持部
23 磁石
24 外枠部
30 支持板
31 開口部
32 把持部
40 表示板
41 開口部
50 ベース板
51 係止部
60 支持板
100 矢印板
200 矢印板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12