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▶ キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ステント拡張の検出および表示
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20231004BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/00 526
A61B1/313 510
A61B1/045 622
A61B1/045 615
A61B1/045 610
A61B1/00 620
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021209282
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2018188501の分割
【原出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2022037189
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】15/723,633
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/148,421
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】國尾 美絵
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】エルマアナオウイ バドル
(72)【発明者】
【氏名】湊谷 洋平
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527418(JP,A)
【文献】特表2012-505669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022208(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0094127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
A61F 2/82 - 2/97
A61M 25/00 -29/04
A61M 35/00 -36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
G01N 21/00 -21/01
G01N 21/17 -21/61
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管に挿入された撮像用カテーテルのプルバック中に得られる複数の画像フレームを含む血管内画像を処理するデバイスの作動方法であって、
前記デバイスは、プロセッサ及び前記撮像用カテーテルを含み、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記撮像用カテーテルによって取得された血管内画像を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記血管内画像内で検出された1つまたは複数の管腔の境界の1つまたは複数の位置を示す第1の情報と、前記血管内画像内で検出された1つまたは複数のステントストラットの1つまたは複数の位置を示す第2の情報とを取得するステップであって、前記1つまたは複数のステントストラットは前記血管に留置されたステントのものである、取得するステップと、
前記プロセッサが、前記ステントが留置された前記血管に沿うステント範囲において、ステント拡張を評価するために、前記血管内画像内の前記血管に沿う第1の範囲を決定するステップと、
前記プロセッサが、前記ステント範囲の外側の位置における前記第1の情報に基づいて、前記ステント拡張を評価するための参照値を決定するステップと、
前記プロセッサが、前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記第1の範囲に沿う分布位置を決定するステップと、
前記プロセッサが、前記分布位置において、前記位置での前記第2の情報と前記参照値とに基づいて、留置された前記ステントのステント拡張値を決定するステップと、
前記プロセッサが、前記ステント拡張値に基づいて、ステント拡張の状況を示す1つまたは複数のインジケータを生成するステップと、
前記プロセッサが、表示ユニットに、
前記第1の範囲を含む前記血管の第1の画像と、
検出された前記1つまたは複数の管腔の境界の前記位置と、検出された前記1つまたは複数のステントストラットの前記位置とを含む、前記第1の範囲内の位置での前記血管の断面画像と、
前記第1の画像に沿う前記1つまたは複数のインジケータと、
を表示させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記分布位置は、前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、ステント拡張評価のための複数の画像フレームを選択するために、前記血管内画像に含まれる複数の画像フレームから画像フレームを除去することによって決定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分布位置は、前記血管内画像のうち、前記1つまたは複数の管腔の境界および前記1つまたは複数のステントストラットが検出された複数の画像フレームを選択することによって決定され、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記ステント拡張値が有効であるか否かを決定するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表示させるステップにおいて、前記1つまたは複数のインジケータは、前記ステント拡張値が有効であるか否かの決定に対応して表示される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記参照値は、基準フレームのステント面積である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準フレームは、ステントストラットが検出された画像フレームの数から計算されるステント長と、前記血管に挿入された前記撮像用カテーテルのプルバックのプルバック速度とに基づいて、選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準フレームは、ステントストラットが検出された画像フレームの数に依存しないステント長に基づいて選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記血管内画像が取得された撮像モダリティのユーザインターフェースを介してユーザによって入力、選択、編集または確認された、ステント拡張値を評価するための基準値を取得するステップであって、前記基準値は、0%~100%の範囲の前記ステント拡張値の割合である、取得するステップ、
をさらに含み、
前記プロセッサが、前記第1の範囲内の1つまたは複数の第2の範囲を示す1つまたは複数のインジケータを生成するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の第2の範囲は、前記基準値を下回る前記ステント拡張値、または、前記基準値以上の前記ステント拡張値を表す、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の範囲は、前記ステント範囲の少なくとも一部、または、前記ステント範囲の全体をカバーする、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記表示させるステップは、前記プロセッサが、前記表示ユニットに、前記基準値、および/または、前記第1の範囲内の前記1つまたは複数の第2の範囲を示す前記1つまたは複数のインジケータ、のうちの1つまたは複数を表示させるステップ、をさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
検出された前記1つまたは複数の管腔の境界、前記第1の情報、検出された前記1つまたは複数のステントストラット、および/または前記第2の情報、のうちの1つまたは複数を修正するステップ、および/または、
前記プロセッサが、前記第1の範囲を決定するステップと、前記参照値を決定するステップと、前記分布位置を決定するステップと、前記ステント拡張値を決定するステップと、前記1つまたは複数のインジケータを生成するステップと、前記表示させるステップとを繰り返すことによって、前記血管内画像を再評価するステップ、
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記修正するステップは、ユーザによる手動の修正、または、ユーザ入力に基づく自動の修正であり、
前記再評価するステップは、自動的に実行される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記分布位置において、前記位置での前記第2の情報と前記参照値とに基づいて、留置された前記ステントの前記ステント拡張値を決定するステップは、
前記プロセッサが、測定されたステント領域ASと基準面積ARを比較することにより、前記ステント拡張値を計算するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステント拡張値を計算するステップは、
前記プロセッサが、前記血管の直径の補間を実行するか、または、前記基準面積ARにおける直径に基づいて前記血管の直径を評価するステップ、
前記プロセッサが、前記血管内のまたは前記血管に沿う対象領域の直径の補間を実行するか、または、前記基準面積ARの直径に基づいて、前記血管内のまたは前記血管に沿う対象領域の直径を評価するステップ、
前記プロセッサが、ステント拡張評価を補間し、かつ/または、前記ステント拡張評価を実行するための前記複数の画像フレームのうちの1つまたは複数を補間するステップ、および/または、
前記プロセッサが、前記基準面積ARを補間または線形補間するステップ、
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記血管の前記対象領域は、前記血管の分岐位置または一部である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フレーム群のうちi番目のフレームについて、前記基準面積ARは、以下の式
Ri=ARD+wi×(ARP-ARD
に基づいて計算され、式中、0≦wi≦1であり、ARiは、前記i番目のフレームについての前記基準面積であり、ARPは、前記ステントの近位エッジでの基準面積であり、ARDは、前記ステントの遠位エッジでの基準面積である、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記基準面積ARiが線形補間される場合、wiはi/Nに等しく、Nは、前記フレーム群のフレーム数である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分布位置において、留置された前記ステントの前記ステント拡張値を決定するステップは、前記位置での前記第2の情報に基づいて、かつ、複数の参照値、基準フレームおよび/または基準面積に基づいて、前記ステント拡張値を決定すること、および/または、
前記表示させるステップは、前記複数の参照値、基準フレームおよび/または基準面積を前記表示ユニットにさらに表示させること、
のうちの1つまたは複数である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
血管内画像を処理するための方法であって、
撮像用カテーテルによって取得された血管内画像を取得するステップと、
前記血管内画像内で検出された1つまたは複数の管腔の境界の1つまたは複数の位置を示す第1の情報と、前記血管内画像内で検出された1つまたは複数のステントストラットの1つまたは複数の位置を示す第2の情報とを取得するステップであって、前記1つまたは複数のステントストラットは血管に留置されたステントのものである、取得するステップと、
前記ステントが留置された前記血管に沿うステント範囲において、ステント拡張を評価するために、前記血管内画像内の前記血管に沿う第1の範囲を決定するステップと、
前記ステント範囲の外側の位置における前記第1の情報に基づいて、前記ステント拡張を評価するための参照値を決定するステップと、
前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記第1の範囲に沿う分布位置を決定するステップと、
前記分布位置において、前記位置での前記第2の情報と前記参照値とに基づいて、留置された前記ステントのステント拡張値を決定するステップと、
前記ステント拡張値に基づいて、ステント拡張の状況を示す1つまたは複数のインジケータを生成するステップと、
表示ユニットに、
前記第1の範囲を含む前記血管の第1の画像と、
検出された前記1つまたは複数の管腔の境界の前記位置と、検出された前記1つまたは複数のステントストラットの前記位置とを含む、前記第1の範囲内の位置での前記血管の断面画像と、
前記第1の画像に沿う前記1つまたは複数のインジケータと、
を表示させるステップと、
を含む方法をコンピュータに実行させるコンピュータ可読プログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その出願全体が本明細書に組み込まれている、2017年10月3日に出願され現在係属中の米国特許出願第15/723,633号の一部継続出願であり、その利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、患者の血管に移植されたステントのステント拡張の検出に関し、より詳細には、取得された血管内画像に基づいてステント留置(stenting)を最適化するために、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を用いたユーザ修正後、解釈された情報を再評価できるようにした情報の解釈に関する。
【背景技術】
【0003】
血管内撮像は、撮像用カテーテルに垂直な画像を取り込むカテーテルベースの撮像である。撮像用カテーテルは、血管の断面図を取得するために挿入され、対象血管領域に運ばれる。血管内画像によって、管腔および移植デバイスを同時に評価することが可能になる。したがって、血管内撮像は、経皮冠動脈インターベンション(PCI)術を最適化するように医師をナビゲートするのに適している。PCI術の一種として、冠動脈等の患者の血管へのステントの移植を伴うステント留置術が挙げられる。数種類の血管内撮像モダリティとしては、血管内超音波法(IVUS)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、およびマルチモダリティOCT(MM-OCT)が挙げられる。
【0004】
PCI術後には、多くの意図しない(adverse)転帰(outcome)の可能性がある。臨床研究により、ステント留置と関連付けられた意図しない転帰は、ステントが血管内で十分に拡張しないステント拡張不足(stent underexpansion)および移植されたステントが管腔に付着しないステント不完全圧着(stent malapposition)と相関があることが示されている。ステント拡張不足および/またはステント不完全圧着を検出可能な血管内撮像であっても、ステント留置と関連付けられた意図しない転帰をインターベンショナル心臓専門医が回避するのは難しい。現行のGUIは依然として、情報の解釈およびPCI術中に得られた情報に基づくステント留置の最適化に適していない可能性があるためである。OCTシステムと関連付けられた一種のGUIでは、最小管腔面積を特定可能であるものの、これをステント拡張不足のインジケータと考えられるのは、最小管腔面積の測定結果がステントが留置された部分(stented segment)内に位置する場合のみである。ステント拡張不足が複数の箇所に存在する場合、現行のGUIでは、ステント拡張不足が存在するすべての箇所を特定できないため、問題となる場合がある。
【0005】
IVUSを用いた臨床研究により、PCI術後の最小ステント面積がステント血栓症および再狭窄の強力な手技的予測因子となり得ることが実証されている。また、OCTを用いた研究により、最小ステント面積が将来的な有害事象を予測し得ることも実証されている。これらの研究に基づいて、ステント留置術中に介入するかの判定に、ステント拡張値を使用することが提案されている。ステント拡張は、ステント面積を求め、ステント面積を平均基準管腔面積で除することによって計算可能である。そして、結果に100を乗じることによって、百分率でのステント拡張値を求める。基準管腔面積は、基準部位内で最大の管腔面積を有する血管のスライスを選択することにより決定可能である。たとえば、ステント拡張値が70%以下しかない場合、心臓専門医は、介入を決定するようにしてもよい。
【0006】
基準部位内で最大の管腔面積を有する血管のスライスを選択することにより基準管腔面積を決定することは、最適な結果をもたらさない場合がある。このため、別の問題として、基準フレームおよび評価領域の決定方法が挙げられる。基準フレームを選択する現行の基準では、インターベンショナル心臓専門医(すなわち、ユーザ)による視覚的評価が必要であるため、PCI術中の分析には適していない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上から、当技術分野においては、確定されたステントが留置された部分内でステント拡張を評価する適当な基準フレームを決定することが求められている。また、画像処理に対するOCTプルバック(pullback)の質を確認することと、ステントが留置された部分における長手方向の評価されたステント拡張およびステント圧着不足ならびにステントが留置された部分における長手方向に沿ったステント拡張およびステント圧着不足のレベルを示すインジケータを表示することのほか、GUIを用いたユーザ修正後にステント拡張およびステント圧着不足を再評価することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、血管に挿入された撮像用カテーテルのプルバック中に得られる複数の画像フレームを含むOCT画像等の血管内画像を処理して、経皮冠動脈インターベンション(PCI)時に、血管に移植されたステントに関する情報をユーザに提供することを対象とする。ユーザは、ディスプレイを参照することにより、ステント拡張のレベル、ステント圧着のレベル、または実際のステント長と計算されたステント長との割合差を表すGUI上のインジケータと併せて、PCI時に、患者の血管に移植されたステントを観察するようにしてもよい。ユーザは、ステント拡張のレベルのインジケータを参照して、移植されたステントの全範囲の複数箇所でステント拡張不足が発生しているかを判定するようにしてもよい。同様に、ユーザは、ステント圧着のレベルのインジケータを参照して、移植されたステントの全範囲の異なる箇所でステントが十分に圧着しているか不完全圧着を起こしているかを判定するようにしてもよい。また、ユーザは、実際のステント長と計算されたステント長との割合差を参照して、たとえば如何なる画像処理に対してもプルバックの質が十分であるかを確認するようにしてもよい。ユーザがGUIを用いてステントおよび/または管腔の境界の検出結果を修正した場合は、ユーザ修正に基づいて、ステント拡張およびステント圧着が再評価されるようになっていてもよい。
【0009】
本開示の一実施形態は、血管に挿入された撮像用カテーテルのプルバック中に得られる複数の画像フレームを含む血管内画像を処理する方法を対象とする。この方法は、管腔の境界および少なくとも1つのステントの検出結果を含む画像であり、血管内画像により決定された評価済みステント拡張および評価済みステント圧着を含む、画像をGUIに表示するステップを含む。また、この方法は、ステントの検出結果の修正がGUIにより受信されたかを判定するステップを含む。そして、ステントの検出結果がGUIを介して修正されたものと判定された場合に、ステント長、ステント拡張、およびステント圧着を再評価するとともに、再評価されたステント拡張および再評価されたステント圧着をGUIに表示する。
【0010】
本開示のその他の特徴については、添付の図面を参照する以下の例示的な実施形態の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張を検出して表示するためにPCI術中に使用する撮像モダリティを示した模式図である。
図2図2は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、OCT画像を取得するマルチモダリティ光コヒーレンストモグラフィ(MM-OCT)システムの光学系を示した模式図である。
図3図3は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、OCTまたはMM-OCTシステムで用いられるコンピュータのハードウェア構成を示した例示的なブロック図である。
図4図4Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、長手方向の管腔およびステントを示した模式図である。図4Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステントが留置された部分の範囲の位置に沿って図4Aに示す管腔およびステントを表示するOCT画像フレームを示した模式図である。図4Cは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステントが留置された部分の範囲の位置に沿って図4Aに示す管腔およびステントを表示するOCT画像フレームを示した模式図である。図4Dは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステントが留置された部分の範囲の位置に沿って図4Aに示す管腔およびステントを表示するOCT画像フレームを示した模式図である。図4Eは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステントが留置された部分の範囲の位置に沿って図4Aに示す管腔およびステントを表示するOCT画像フレームを示した模式図である。
図5図5は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、複数のOCT画像フレームを含むOCT画像を評価するワークフローを示したフローチャートである。
図6図6は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント情報を入力する例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を示した図である。
図7図7は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、心拍動の影響を受けたOCTプルバックのOCT画像中の複数の画像フレームを示した模式図である。
図8図8は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、OCT画像の再取得をユーザに要求する例示的なGUI画面を示した図である。
図9A図9Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張を評価するワークフローを示したフローチャートである。
図9B図9Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張を評価するワークフローを示したフローチャートである。
図10図10Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張評価用の基準フレームを選択する一例を示した図である。図10Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張評価用の基準フレームを選択する一例を示した図である。
図11図11は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、OCTプルバックが心拍動の影響を受けた場合のステント拡張評価用の基準フレームを選択する例を示した図である。
図12図12は、ステント拡張の評価の例示的な結果を示したグラフである。
図13図13Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、表示ユニットに表示されるグラフを下方に伴う縦断面視を含むステント拡張評価結果を示した図である。図13Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張レベル評価用のステントが留置された部分の範囲に沿うインジケータを示した図である。
図14A図14Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント圧着を評価するワークフローである。
図14B図14Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント圧着を評価するワークフローである。
図15図15は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張レベルおよびステント圧着レベルを同時に表示する例示的な方法を示した図である。
図16図16Aは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、さらなるインターベンションをナビゲートする3つの異なるレベルを伴うインジケータを示した図である。図16Bは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、さらなるインターベンションをナビゲートする2つの異なるレベルを伴うインジケータを示した図である。図16Cは、本開示の1つまたは複数の態様に係る、ステント拡張およびステント圧着を評価するとともに、さらなるインターベンションをナビゲートするための、OCT画像と位置合わせされた血管造影画像を示した図である。
図17図17は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、後拡張術をナビゲートする例示的な方法を示した図である。
図18図18は、ステント留置後のOCTおよび拡張後のOCTの表示を示した図である。
図19図19は、長手方向および断面視の部分的に重なるステントを示した図である。
図20図20は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、検出結果のユーザ修正後にステント拡張およびステント圧着を再評価するワークフローを示したフローチャートである。
図21図21は、縦断面視の検出されたステント留置領域のユーザ修正を示した例示的な図である。
図22図22は、検出されたステントストラットのユーザによる修正方法の断面視および検出されたステント留置領域に対する修正フレームの箇所を示した図である。
図23図23は、重ならない2つのステントの移植を示した図である。
図24図24は、部分的に重なる2つのステントの移植を示した図である。
図25図25は、全体が重なる2つのステントの移植およびOCTによる検出結果の例を示した図である。
図26図26は、本開示の1つまたは複数の態様に係る、検出結果を修正するグラフィカルユーザインターフェースを示した例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、特定の例示的な実施形態に関するが、他の実施形態に代替物、均等物、および改良物を含んでいてもよい。また、これら例示的な実施形態は、複数の新規特徴を含んでいてもよく、本明細書に記載のデバイス、システム、および方法の実施に対して、特定の特徴が必須ではなくてもよい。
【0013】
本開示は、血管に挿入された撮像用カテーテルのプルバック中に得られる複数の画像フレームを含む血管内画像の画像処理をして、経皮冠動脈インターベンション(PCI)時に、血管に移植されたステントに関する情報をユーザに提供することを含む。ユーザは、ディスプレイを参照することにより、ステント拡張のレベル、ステント圧着のレベル、または実際のステント長と計算されたステント長との割合差を表すインジケータと併せて、PCI時に、患者の血管に移植されたステントを観察するようにしてもよい。ユーザは、ステント拡張のレベルのインジケータを参照して、移植されたステントの全範囲の複数箇所でステント拡張不足が発生しているかを判定するようにしてもよい。また、ユーザは、ステント圧着のレベルのインジケータを参照して、移植されたステントの範囲の異なる箇所でステントが十分に圧着しているか不完全圧着を起こしているかを判定するようにしてもよい。また、ユーザは、実際のステント長と計算されたステント長との割合差を参照して、たとえば如何なる画像処理に対してもプルバックの質が十分であるかを確認するようにしてもよい。
【0014】
血管内撮像モダリティは、撮像用カテーテルと垂直に画像が取り込まれるカテーテルベースの撮像である。撮像用カテーテルは、挿入されて対象血管領域に運ばれる。血管内撮像モダリティによって、断面斜視からの血管の視覚化によって、管腔および移植デバイスを同時に評価することができる。したがって、この種の撮像モダリティは、PCI術、特にステント留置術を最適化するように医師をナビゲートするのに適している。本開示は、ステント拡張情報を検出・表示して、ステント留置結果を改善する方法を記載する。本明細書においては、OCT画像の画像処理を説明するが、複数の画像フレームを含む任意の種類の血管内画像をOCT画像と区別なく使用可能である。
【0015】
図1は、PCI術中に使用できるさまざまな接続を含む例示的な撮像システム10の模式図である。撮像システム10は、血管造影システム12と、血管内画像システム14と、ディスプレイ16と、病院情報システム(HIS)18および/または画像保管通信システム(PACS)20等の患者データを格納するシステムとを具備する。血管造影システム12は、血管造影システムコントローラ24および血管造影画像プロセッサ26に接続されて患者の血管28の血管造影画像を取得するCアーム22等のX線撮像デバイスを具備する。
【0016】
また、撮像システム10は、コンソール30、カテーテル32、およびカテーテル32とコンソール30とを接続して血管内画像を取得する患者インターフェースユニット34から成る血管内画像システム14を具備する。患者インターフェースユニット34は、画像取得中の撮像光学系のプルバックを可能にするモータ(図示せず)を具備する。コンソール30は、コンピュータ36と、1つまたは複数の光源を含む光学系38とを具備する。コンピュータ36のプロセッサがシステムコントローラ40および血管内画像プロセッサ42として機能するようになっていてもよい。システムコントローラ40としては、患者インターフェースユニット34のモータおよび光学系38をプロセッサが制御して、撮像信号を取得する。画像プロセッサ42は、光学系38から撮像信号を受信し、画像処理のステップを実行して、ディスプレイ16に表示される情報を制御する。血管内画像システム14としては、血管内超音波(IVUS)システム、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システム、またはマルチモダリティOCT(MM-OCT)システムが可能である。本開示においては、OCTまたはMM-OCTシステムが使用されるものの、OCTまたはMM-OCTシステムの代わりとして、管腔および移植デバイスの両方を視覚化できる任意の血管内撮像モダリティが用いられるようになっていてもよい。
【0017】
図2は、カテーテル32および画像プロセッサ42への接続とともに、血管内画像システム14(MM-OCT)の光学系38の詳細を示した模式図である。図2においては、波長掃引型OCTの光学系38を記載している。波長掃引型光源からの入力光44は、参照光46とサンプル光48とに分割される。サンプル光48は、カテーテル32の光ファイバを通じて、サンプル50すなわち患者の血管28に照射され、その反射(サンプル信号)がカテーテル32のファイバを通じて戻される。参照光46は、ミラー52により跳ね返され、レンズ54が反射(参照信号)を収集する。サンプル信号および参照信号は、干渉計56で干渉を受け、干渉信号が検出器58により検出される。血管内画像プロセッサ42は、検出された信号を処理して、OCT画像を生成する。同時に、MM-OCTシステムの場合は、サンプル光と同様に別の光60がサンプルに照射される。サンプル50から放出された蛍光は、カテーテル32のファイバを通じて運ばれ、別の検出器62により検出される。血管内画像プロセッサ42は、検出された信号を処理して、OCT画像で蛍光画像を作成する。
【0018】
図3は、血管内画像システム14(OCTまたはMM-OCTシステム)のコンピュータ36のハードウェア構成の例示的なブロック図である。上述の通り、このコンピュータ36のプロセッサは、システムコントローラ40および血管内画像プロセッサ42として作用し得る。中央演算処理装置(CPU)70は、ハードディスク72等の記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を読み出し、RAM74に展開して、命令を順序正しく実行するように構成されている。コンピュータ実行可能命令には、計算および/または本開示に記載の方法を含むが、これらに限定されない。また、血管造影システム12には、血管内画像システム14の代わりに、画像処理用のプロセッサが実装されていてもよい。あるいは、画像処理は、画像プロセッサ(図示せず)を含む独立型デバイス等の血管造影システム12および血管内画像システム14の外部で実装されてもよい。
【0019】
図3に示すように、コンピュータ36は、中央演算処理装置(「CPU」)70、ROM、RAM74、ネットワーク通信インターフェース76、ハードディスク(および/または、他の記憶デバイス)72、ディスプレイインターフェース78、キーボード(または、入力インターフェース(キーボードのほか、マウス等の入力装置が挙げられる))80、および上記構成要素のうちの1つまたは複数の間のバス82等の接続線を具備する。コンピュータ36は、OCTインターフェース84のほか、グラフィックス処理ユニット(GPU)86を具備する。コンピュータ300は、上記その他の構成要素の1つまたは複数の組み合わせを含んでいてもよい。コンピュータ36は、CPU70のほかに1つまたは複数の別のプロセッサを具備していてもよく、CPU70を含むこれらのプロセッサは、血管内画像システム14および血管造影システム12から情報を取得して、ステント拡張情報を検出・表示することにより、ステント留置結果を改善するのに用いられるようになっていてもよい。コンピュータ36は、ネットワーク接続(たとえば、ネットワークI/F76)を介して接続された1つまたは複数のプロセッサをさらに具備していてもよい。コンピュータ36が使用しているCPU70およびその他任意のプロセッサは、同じ通信網中に位置していてもよいし、異なる通信網中に位置していてもよい。
【0020】
図4Aは、管腔100およびステントストラット102の例示的な縦断面視である。ステントストラット102は、血管の遠位端の位置106から血管の近位端の位置112まで、管腔の境界内の移植ステントを構成する。位置106は、ステントの遠位エッジを表す。位置112は、ステントの近位エッジを表す。位置108および110は、ステントの遠位エッジ106とステントの近位エッジ112との間の2つの追加点を表す。図4Aにおいては、垂直破線を4本しか示していないが、ステントの遠位および近位エッジ(106、112)間には、他の位置を表す付加的な垂直破線が含まれていてもよい。各垂直破線は、OCT画像内のOCT画像フレームに対応した位置を表していてもよい。
【0021】
図4B図4Eは、図4Aに示す異なる位置(106、108、110、112)の断面図を表すOCT画像フレームである。図4B図4Eにおいて、中央の点線二重円114は、取得されたOCT撮像用カテーテルを表す。黒色の実線はステントストラット102を表し、灰色の外円は管腔100を表す。現在使用されているステントのほとんどは、金属ベースのステントである。金属ベースのステントの使用により、各ステントストラット102の直下には、灰色の外円の空白エリアにより表される影116が形成される場合がある。ステントが金属ベースのステントでない場合は、影が現れ得ず、空白エリアは存在しないことになる。OCTプルバックが終了となったら、撮像用カテーテルに沿って、複数のOCT画像フレームが取得される。取得画像から、ステント圧着およびステント拡張という2つの値が評価されるようになっていてもよい。ステント圧着は、各OCT画像フレームにおいて、管腔エッジとステントストラットとの間の距離を測定することにより評価される。この距離がステントストラットの幅よりも大きい場合、すなわち、ステントストラットが管腔エッジから離れている場合、ステントは、不完全圧着と考えられる。ステント拡張は、基準フレームにおけるステント面積に対して、特定の画像フレームにおけるステント面積を比較することにより評価される。着目している画像フレームにおけるステント面積が基準フレームにおけるステント面積と同等またはほぼ同等の場合、ステントは、十分に拡張しているものと考えられる。ステントのエッジで取り込まれた画像フレームが基準フレームとして用いられるようになっていてもよい。
【0022】
図4Bは、図4Aに示す位置106における管腔100およびステントストラット102の断面図を示した画像フレームである。106における画像フレームは、ステントの遠位エッジにあり、基準フレームとして用いられるようになっていてもよい。図4Eは、図4Aに示す位置112における管腔100およびステントストラット102の断面図を示した画像フレームである。112における画像フレームは、ステントの近位エッジにあり、基準フレームとして用いられるようになっていてもよい。
【0023】
ステント圧着およびステント拡張を評価する場合は、画像フレームごとにステント留置状態を割り当て可能である。表1は、ステント留置後(post-stenting)状態の分類を示している。理想的なステント留置シナリオは、ステントが十分に圧着および十分に拡張した場合である。ステント拡張不足は、ステントが十分に圧着しているものの、拡張が十分ではないシナリオである。図4Cは、図4Aに示す位置108における管腔100およびステントストラット102の断面図を示した画像フレームである。位置108における画像フレームは、ステント拡張不足の一例である。管腔エッジ100とステントストラット102との間の距離がステントストラット102の幅未満であるため、ステントは十分に圧着しているものの、管腔が十分に拡張しているようには見えない。
【0024】
ステント不完全圧着は、ステントが十分に拡張しているものの、不完全圧着が起きている状況である。図4Dは、図4Aに示す位置110における管腔100およびステントストラット102の断面図を示した画像フレームである。位置110における画像フレームは、ステント不完全圧着の一例である。管腔エッジ100とステントストラット102との間の距離がステントストラットの幅よりも大きいため、ステントは不完全圧着を起こしている。管腔100は、画像フレームにおいて十分に拡張しているように見える。ステントは、不完全圧着で十分に拡張していない場合、小さくなっているか、または、不適切に拡張している可能性がある。OCT画像が長手方向の複数のOCT画像フレームを含むことから、OCT画像内の各画像フレームにおいてステント拡張およびステント圧着を評価することにより、ステントの遠位エッジ106からステントの近位エッジ112まで、管腔100内の移植ステントの全領域のステント留置後の状態をより良く評価するのが有用である。
【表1】
【0025】
図5は、複数のOCT画像フレームを含むOCT画像を評価することにより、ステント拡張情報を検出及び表示して、ステント留置結果を改善するステップを示したフローチャートである。OCT画像を評価する最初のステップは、ステップS10において、プロセッサがステント情報を受信することにより開始となる。ステント情報は、一例としてステント長およびステントストラット幅等の情報を含んでいてもよいが、これらに限定されない。プロセッサとしては、血管内画像プロセッサ、血管造影画像プロセッサ、または外部の画像プロセッサも可能である。この情報は、一例としてタッチパネル、キーボード、および/または音声コマンドによる看護師または技師等の直接入力によって、プロセッサに送信されるようになっていてもよい。この情報は、看護師または技師がスキャンする製品バーコードによる直接入力によって、プロセッサに送信されるようになっていてもよい。この情報は、HIS18および/またはPACS20等、患者看護データを含むデータベースで情報を検索することによって、プロセッサに送信されるようになっていてもよい。ステップS10で受信される情報に含まれるステント長は、第1のステント長と称する場合もある。
【0026】
図6は、看護師または技師がステント情報を直接入力する例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面120である。本例では、看護師または技師が製造業者122または製品124を選択して、ステントの直径126および長さ128を入力することができる。製造業者122および/または製品名がリストまたはドロップダウンメニューにない場合、看護師または技師は、情報を手動で入力するようにしてもよい。また、看護師または技師は、製品のバーコードのスキャン130を選んでもよく、プロセッサがデータベース中の対応するステントを検索可能である。入力またはスキャン読み出しされたステント情報は、患者の血管に移植されるステントまたは患者の血管に移植済みのステントの実際のステント長を決定するのに用いられる。
【0027】
図5を再び参照して、ステップS20では、OCTプルバック中にOCT画像を取得する。OCT画像には、複数のOCT画像フレームを含むが、各OCT画像フレームは、OCTプルバックの異なる位置に対応していてもよい。ステント情報をインポートするインポートステップS10の後にステップS20を示しているが、インポートステップS10は、OCT画像の取得後かつOCT画像から得られた情報に対するステント情報の比較前の如何なるタイミングで行われるようになっていてもよい。
【0028】
ステップS30、S40、およびS50は、患者の血管に移植されたステントのステント長の計算を含む。計算によるステント長およびステント情報から得られる実際のステント長は、異なって導き出される。ステップS30において、プロセッサは、ステップS20で取得されたOCT画像の各OCT画像フレームにおいて管腔およびステントストラットを検出する。OCT画像のステントが留置された部分には、ステントストラットが検出されたOCT画像内のすべてのOCT画像フレームを含む。したがって、ステントが留置された部分は、ステントが移植された血管の部分を表す。ステントストラットが検出された場合、OCT画像フレームは、ステントが留置された部分内で取り込まれたフレームとして分類される(グループGS)。ステントストラットは、任意の利用可能な方法で検出可能である。たとえば、金属ベースのステントが用いられる場合、ステントストラットは、それぞれの表面で強い反射を生じ、直下に影を生じることから、角度ごとの半径方向の強度変化を評価することによって検出可能である。検出後、ステントが留置された部分内で取り込まれたOCT画像フレームごとに、検出されたステントストラットの質がチェックされる。複数のステントが移植された場合は、検出された各ステントストラットは、それぞれが属するステントに分類される必要がある。CPU70は、たとえば術中のステント数をユーザに入力させることによって、移植ステント数を既に把握している場合、数を特定済みの円および/または長円に検出されたステントストラットを適合させることによって、この分類を実行するようにしてもよい。CPU70は、移植ステント数を把握していない場合、画像の中心からの距離および/または検出された各ステントストラット間の距離に基づいて、検出されたステントストラットを円および/または長円に適合させるようにしてもよい。いずれの場合も、適合後、CPU70は、適合結果のチェックをユーザに求めるようにしてもよい。複数のステントが移植された場合は、ステントごとにステントが留置された部分(グループGS)が作成されるものとする。
【0029】
以下の表2は、着目しているフレームをステントが留置された部分(グループGS)から除去する基準の例を示している。各基準は、単独で使用することも可能であるし、他の基準と組み合わせることも可能である。
【表2】
【0030】
ステップS40においては、ステントストラットが検出されたOCT画像フレーム(グループGS)の数を決定する。そして、ステップS50においては、OCT画像フレーム数およびOCTプルバック速度に基づいて、ステント長を計算する。ステップS50で計算されたステント長は、第2のステント長と称する場合もあり、ステントが検出された血管に沿う範囲は、ステント領域またはステント範囲と称する。ステップS60においては、インポートしたステント情報からステップS10において求められた実際のステント長に対して、計算されたステント長を比較することにより、計算されたステント長と実際のステント長との差を評価する。ステップS70においては、計算されたステント長と実際のステント長との差が所定の閾値を超えるかを判定する。理想的な状況においては、計算されたステント長が実際のステント長と等しい。ただし、実際には、計算されたステント長が実際のステント長と等しくない場合がある。所定の閾値は、一例として10%等の特定の値に予め設定されていてもよい。あるいは、所定の閾値は、ユーザにより選択または修正されるようになっていてもよい。計算されたステント長と実際のステント長との差が10%の場合、これは、計算されたステント長が実際のステント長より10%短いことまたは10%長いことを意味する。
【0031】
ステップS70において、所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS70において「Yes」の場合)、プロセスは、ステップS80に進んで、ユーザがOCT画像を再取得したいかを判定する。ユーザがOCT画像の再取得を決定した場合(ステップS80において「Yes」の場合)、プロセスは、ステップS20に戻って、OCT画像を取得する。あるいは、ユーザがOCT画像を再取得しないと決定した場合(ステップS80において「No」の場合)、ユーザは、ステップS90において、取得したOCT画像を再評価するかを決定する。ユーザが取得したOCT画像の再評価を決定した場合(ステップS90において「Yes」の場合)、プロセスは、ステップS30に戻り、各OCT画像フレームにおいて管腔およびステントストラットを検出する。あるいは、ユーザが取得したOCT画像を再評価しないと決定した場合(ステップS90において「No」の場合)、プロセスは、ステップS100に進んで、図9A図9B図14A、および図14Bに関して詳述するステント拡張およびステント圧着を評価する。
【0032】
ステップS70に戻って、計算されたステント長と実際のステント長との差が所定の閾値を超えていない場合(ステップS90において「No」の場合)、次は、ステップS100において、ステント拡張を評価する。その後、ステップS110において、ステント圧着を評価する。ステント拡張および圧着の評価後は、ステップS120において、結果をGUIに表示する。ステント圧着の評価および表示については、ユーザの選好に基づいて省略されるようになっていてもよい。
【0033】
心拍動のため、OCT撮像用カテーテルがプルバック方向の反対方向に移動する場合があるため、OCTにより取り込み済みの領域が同じプルバック中に再取り込みされるようになっていてもよい。OCT撮像用カテーテルがプルバック中に同じ領域を再取り込みする場合の画像処理エラーを回避するため、ステントが留置された部分(グループGS)における1フレーム前または1フレーム後からフレーム番号が連続していない1つまたは複数のフレームが存在し、欠損フレーム番号(図7のi+n+1番目およびi+n+2番目のフレーム)のOCT画像フレームにおいてステントストラットが検出されない場合、不連続なOCT画像フレーム(図7のi+n+3番目およびi+n+4番目のフレーム)は、OCT画像においてステントストラットが検出されたOCT画像フレームとしての計数から除外される。図7において、不連続なフレームを除去する場合、計算されたステント長は、遠位エッジを表すi番目のフレームと近位エッジを表すi+n番目のフレームとの間のすべてのOCT画像フレームに基づく。欠損フレーム番号以降の不連続なフレームを除外することにより、OCTプルバック中に取り込み済みの領域の誤使用が防止され得る。その後、フレームの計数およびOCTプルバック速度に基づいてステント長が計算され、ステント情報から得られた実際のステント長と比較される。計算されたステント長と実際のステント長との差が所定の閾値より大きい場合は、医師等のユーザが別のOCT画像を取得するかを決定するようにしてもよい。
【0034】
図8は、OCT画像を再取得するかをユーザに尋ねる例示的なGUI画面140である。また、GUI画面140は、計算されたステント長と実際のステント長との差を示していてもよく、計算されたステント長と実際のステント長との差に基づいて、ユーザが十分な情報に基づく決定を下すようにしてもよい。ユーザは、OCT画像を再取得しないと決定した場合、取得したOCT画像を再評価するかを決定することができる。ユーザが再評価を決定した場合は、プロセッサによる同じプロセスの繰り返しならびに/またはユーザによる管腔および/もしくはステントストラット検出の修正が可能である。2つ以上のOCT画像が取得された場合、最も新しく取得されたOCT画像の質がその前に取得されたOCT画像ほど良くないなら、ユーザは、以前取得されたOCT画像を選択してさらに画像処理を行うようにしてもよい。その後、プロセッサは、ステントが留置された部分(グループGS)内にある以前取得されたOCT画像の各OCT画像フレームのステント拡張を評価し、縦断面視に沿って、ステント拡張レベルをGUIに表示する。
【0035】
図9Aは、ステント拡張を評価するさまざまなステップを示した例示的なフローチャートである。ステップS200~S250は、OCT画像の不適切なOCT画像フレームをさらなる画像処理から除外するように機能する。そして、OCT画像フレームごとに、管腔の検出結果をチェックする。管腔が検出されていない場合または検出した管腔が任意のアーチファクトの影響を受けている場合は、OCT画像フレームが除去される。第1のステップS200においては、OCT画像から最初のOCT画像フレームを選択する。ステップS200において最初のOCT画像フレームを選択した後は、ステップS210において、選択したOCT画像フレーム中に管腔が検出されたかを判定する。ステップS210において、OCT画像フレーム中に管腔が検出されていないと判定した場合(ステップS210において「No」の場合)は、ステップS220において、OCT画像フレームをさらなる画像処理から除外し、プロセスはステップS240へと続く。あるいは、フレーム中に管腔が検出された場合(ステップS210において「Yes」の場合)は、ステップS230において、検出した管腔が任意のアーチファクトの影響を受けるかをさらに判定する。検出した管腔がアーチファクトの影響を受ける場合(ステップS230において「Yes」の場合)は、ステップS220において、OCT画像フレームをさらなる処理から除外し、プロセスはステップS240へと進む。検出した管腔がアーチファクトの影響を受けない場合(ステップS230において「No」の場合)は、ステップS240において、選択したOCT画像フレームがOCT画像の最後のOCT画像フレームであるかを判定する。選択したフレームがOCT画像の最後のフレームでない場合(ステップS240において「No」の場合)は、ステップS250において、OCT画像の次のOCT画像フレームを選択し、プロセスはステップS210に戻る。選択したOCT画像フレームが最後のOCT画像フレームである場合(ステップS240において「Yes」の場合)、プロセスは、ステップS260に進む。
【0036】
不適切なOCT画像フレームを除去した後、ステップS260においては、ステントストラットが検出されたすべてのOCT画像フレームを選択する(グループGS')。ステップS260においては、OCT画像のステント領域の全範囲について、ステント拡張の評価が行われることになっているものと判定するが、別の実施形態において、このステップS260では、ステントが移植されてステントストラットが検出されたステント領域から、ステント拡張を評価する1つまたは複数の(第1の)範囲をユーザが選択するようにしてもよい。ステント領域の全範囲または全ステント領域の一部の範囲としてユーザが第1の範囲を選択するかは、システム要件またはユーザの必要性に応じて決まり得る。一実施形態において、ユーザは、マウスデバイスまたはタッチスクリーンデバイスを用いることにより、ステント領域の1つまたは複数の(第1の)範囲を指定するようにしてもよく、CPU70がステント拡張評価用の第1の範囲を決定する。これにより、1つまたは複数の位置を指定可能である。その後、ステップS270においては、確認されたステント留置領域に基づく基準OCT画像フレームを選択する。図10Aおよび図10Bは、基準フレームの選択方法の例である。計算されたステント長が実際のステント長と同等またはその所定の閾値範囲内である場合は、図10Aに示すように、ステントが留置された部分の遠位端150を表す位置のOCT画像フレームおよび近位端152を表す位置のOCT画像フレームが基準フレームとして選択される。
【0037】
計算されたステント長が実際のステント長と同等ではなく、所定の閾値範囲内でもない場合、基準フレームは、図10Bに示すように、計算されたステント長または実際のステント長のいずれかに基づいて選択されるようになっていてもよい。計算されたステント長が基準フレームに選択された場合は、ステントが留置された部分の遠位端154を表す位置のOCT画像フレームおよび近位端156を表す位置のOCT画像フレームが基準フレームとして選択される。
【0038】
実際のステント長が選択された場合、一例においては、ステントが留置された部分の各端部から一定距離にある位置(158、160)を表すOCT画像フレームが基準フレームとして用いられるようになっていてもよい。各端部で加算される距離は、計算されたステント長と実際のステント長との差の半分等、等しくすることができる。また、各端部で加算される距離は、計算されたステント長と実際のステント長との差の異なる分割等、異ならせるようにしてもよい。別の例においては、ステントが留置された部分の一端(近位端または遠位端)を表す位置に対応するOCT画像フレームが基準フレームのうちの1つとして選択され、ステントが留置された部分の反対端から、計算されたステント長と実際のステント長との差と等しい距離にある位置に対応するOCT画像フレームが他方の基準フレームとして決定される。計算されたステント長が実際のステント長と等しくない場合の基準フレームの決定方法の選定は、画像処理前またはPCI術中に設定されるようになっていてもよい。
【0039】
OCTプルバックが心拍動の影響を受ける図7に示すシナリオにおいては、図11に示すように、コンピュータが自動的に選択するステント領域のエッジの位置に対応するOCT画像フレームが基準フレームとして選択される。画像プロセッサが自動的に選択可能なステント留置領域は、ステント留置領域の位置170に対応する基準フレームおよび位置172に対応する基準フレームを含む。位置(170、172)の選択により、心拍動の影響を受けるOCTプルバックと関連付けられた考え得る問題が回避される。
【0040】
別の例においては、図11に中実矢印でも示すように、ステントストラットが最も近位および遠位に観察されたOCT画像フレームに対応する位置(174、176)が基準フレームとして用いられるようになっていてもよい。あるいは、基準フレームの選択は、ユーザにより修正可能である。また、ユーザは、画像処理に先立って、基準フレームの選択用の一定の基準を設定するようにしてもよい。基準面積としては、検出したステントストラットに適合された長円の面積、検出した管腔エッジ内の面積、または両方の組み合わせが可能である。そして、ステント拡張は、グループGS'のフレームごとに評価される。グループGS'のフレーム番号がGS'-1番目から始まり、グループGS'にn個のフレームがあるものと仮定する。GS'-1番目から、ステント面積(AS)および基準面積(AR)を比較することによって、ステント面積が測定されるとともに、ステント拡張が評価される。
拡張[%]=(AS/AR)×100
【0041】
Sは、直線またはわずかに湾曲した線によって、検出したステントストラットに適合された長円の面積とすることができる。ARは、2つの異なる基準フレームにおける値の最大、最小、または平均とすることができる。この値に基づいて、ステント拡張レベルのインジケータが割り当てられ、評価されたステント拡張値の対応するOCT画像フレームに保存される。
【0042】
図9Aを再び参照して、ステップS270においては、確認されたステント留置領域に基づいて、基準OCT画像フレームを選択する。その後、ステップS280においては、選択した基準フレームの基準面積を評価する。ステップS290においては、ステントストラットが検出されたOCT画像フレームから最初のOCT画像フレームを選択する。そして、図9Bに示すように、ステップS300においては、最初のOCT画像フレームについて、ステント面積を測定する。最初のOCT画像フレームのステント面積を測定した後、ステップS310においては、測定したステント面積と基準面積とを比較することによって、ステント拡張を評価する。ステップS320においては、ステント拡張値および対応するステント拡張レベルのインジケータを最初のOCT画像フレームとともに保存する。ステント拡張値の保存後は、ステップS330において、選択したOCT画像フレームが最後のフレームであるかを判定する。選択したOCT画像フレームが最後のフレームでない場合(ステップS330において「No」の場合)は、ステップS340において、次のOCT画像フレームを選択し、プロセスはステップS300に戻る。本例においては、選択したOCT画像フレームが最初のOCT画像フレームであることから、次のフレームは、ステントストラットが検出された全OCT画像フレーム群のうちの2番目のOCT画像フレームとなる。次のOCT画像フレームを選択した後、プロセスは、ステップS300に戻って、次のOCT画像フレームのステント面積を測定する。あるいは、ステップS330において、選択したOCT画像フレームが最後のフレームであると判定した場合(ステップS330において「Yes」の場合)、ステント拡張を評価するプロセスは、取得したOCT画像について完了となる。このワークフローによれば、ステントストラットが検出され、アーチファクトの影響を受けないすべてのOCT画像フレームの処理により、選択したOCT画像フレームと関連付けられたステント面積および基準面積に基づいて、ステント拡張値を求める。基準面積は、ステントストラットが検出され、アーチファクトの影響を受けないOCT画像フレームの各OCT画像フレームについて同じままである。
【0043】
図12は、ステント拡張評価の結果のグラフ形式での一例である。x軸は、OCTプルバックの長手方向距離に対応し、y軸は、評価されたステント拡張値に対応する。x軸上の各マークは、ステントストラットが検出された各OCT画像フレームおよび対応するステント拡張値を表す。図12に示すように、OCT画像フレームごとにステント拡張が評価されているため、値が離散的であるとともに、各値が各OCT画像フレームに対応する。ステント拡張が評価されていないフレームが1つまたは複数存在する場合は、値が対応するフレームに示されないことになる。グラフを観察するユーザは、たとえば80%等の特定の閾値をステント拡張値が下回る場所を決定することができる。また、ユーザは、グラフの観察に基づいて、ステント拡張が十分な場所を決定するようにしてもよい。
【0044】
ステント拡張評価が完了したら、結果がモニターに表示されるようになっていてもよい。ここで図13Aを参照して、この図は、OCTプルバックから作成された縦断面視182の直下のグラフ180としてステント拡張値を示している。ステントが留置された部分の縦断面視182には、管腔の境界181のほか、ステント留置領域を構成するステントストラット183を含む。この場合、ユーザは、長手方向のステントが留置された部分の範囲に沿ってステント拡張値を解釈することができる。図13Aに示すグラフにおいて、ユーザは、ステント拡張値が80%を下回るグラフ中のエリアが、ステント拡張不足の存在が考えられるエリアであることを一例として認識し得る。
【0045】
図13Bにおいては、インジケータ186によってステント拡張を示しており、これによってユーザは、ステント拡張のレベルをより容易に解釈し得る。たとえば、ステップS120において、CPU70は、ステント拡張インジケータを生成する。インジケータ186としては、2つまたは3つのレベルも可能であり、各レベルの範囲は、ユーザにより予備設定または修正されるようになっていてもよい。図13Bのインジケータは、3レベルインジケータである。インジケータと関連付けられた各レベルは、ステント拡張値の範囲を表す。たとえば、第1のレベルは、90%以上の良好なステント拡張に対応し得るステント拡張値の範囲を表していてもよい。第2のレベルは、80%~90%の十分なステント拡張を表し得るステント拡張値の範囲を表していてもよい。第3のレベルは、80%未満の不十分なステント拡張またはステント拡張不足を表し得るステント拡張値の範囲を表していてもよい。インジケータ186は、たとえば色分けされていてもよく、緑色が第1のレベルを表し、黄色が第2のレベルを表し、赤色が第3のレベルを表す。ステント拡張インジケータ生成の一実施形態においては、ステント拡張値のレベルを表す特定の色に対して、取得されたOCT画像の2次元画像フレームに対する有効な各ステント拡張値がマッピングされる。このマッピングは、各ステント拡張値と、たとえば上記説明のような80%または90%の基準値とに基づいて実行される。図13Bにおいて、インジケータ186は、点線、実線、および半実線により表されており、点線が第1のレベルを表し、半実線が第2のレベルを表し、実線が第3のレベルを表している。図13Bにおいて、実線は、拡張不足が発生した(第2の)範囲を示す。この第2の範囲は、ステント拡張が評価された(第1の)範囲内である。異なる場合において、インジケータは、拡張不足が発生した2つ以上の(第2の)範囲を示していてもよい。あるいは、インジケータが2つのレベルの場合は、第1のレベルが十分なステント拡張を表し、第2のレベルが不十分またはステント拡張不足と考えられるステント拡張の範囲を表していてもよい。図13A図13Bの両方において、ユーザがOCTプルバックの質を認識できるように、実際のステント長と計算されたステント長との差184をOCTプルバックの縦断面視182の直下に示している。たとえば、ステント長の差が小さくなるほど、OCTプルバックの質は優れたものとなる。ステント長の差が大きくなるほど、OCTプルバックの質は劣ったものとなる。
【0046】
図14Aおよび図14Bは、ステント圧着を評価するさまざまなステップを示した例示的なフローチャートである。図14AのステップS400~S460は、図9AのステップS200~S260に類似するため、本明細書においては繰り返さない。ステップ470においては、ステントストラットが検出された選択OCT画像フレームのうちの最初のOCT画像フレームを選択する。その後、ステップS480においては、選択した最初のOCT画像フレームについて、管腔エッジと最初のOCT画像フレームにて検出されたステントストラットとの間の距離を測定する。ステップS490においては、ステント圧着を評価する。ステント圧着は、ステント情報から得られたステントストラット幅に対して、管腔エッジとステントストラットとの間の測定距離を比較することにより評価される。ステップS500においては、対応するOCT画像フレームに関して、ステント圧着値およびステント圧着レベルのインジケータを保存する。ステップS510においては、選択したOCT画像フレームが最後のOCT画像フレームであるかを判定し、選択フレームが最後のフレームである場合(ステップS510において「Yes」の場合)は、プロセスが終了となる。本例においては、選択したOCT画像フレームが最初のOCT画像フレームであるため、ステップS520において、2番目のOCT画像フレームを選択し、プロセスはステップS480に戻る。このプロセスは、ステップS460で選択した各OCT画像フレームが評価され、ステント圧着値が求められるまで繰り返される。
【0047】
一例においては、実際のステントストラット幅に対して、フレーム中のすべての評価距離の最大、最小、または平均距離等、フレームの代表距離を比較することにより、ステント圧着が評価される。別の例においては、フレーム中の実際のステントストラット幅よりも大きな距離を有するステントストラットの割合として、ステント圧着が評価される。
【0048】
図15は、OCTプルバックの縦断面視190とともにステント拡張およびステント圧着を表示する方法の一例を示している。ステント拡張インジケータ192と同様に、ステント圧着のインジケータ194は、3つのレベルまたは2つのレベルを含んでいてもよい。グループGS'のすべてのOCT画像フレームについてステント圧着を評価したら、ステント拡張の結果と同様に、ステント圧着の結果をモニターに表示することができる。図15において、ステント拡張とステント圧着の両方のインジケータは、一例として十分な状態、不十分な状態、および注意すべき状態を表す3レベルインジケータである。
【0049】
ここで、図16A図16Cを参照して、画像プロセッサは、医師に対して、別のインターベンション術をナビゲートする新たな単一のインジケータを生成するようにしてもよい。このような単一のインジケータの一例として、後拡張(post-dilation)のインジケータが挙げられる。表1に記載の通り、複数のステント留置後の状態が存在する。目標は、ステントが留置された部分全体が十分に拡張および圧着するようにすることである。この目標に達するため、移植ステントは、後で膨張されるようになっていてもよい。図16A図16Cは、後拡張インジケータを表示する複数の例を示している。後拡張インジケータ200は、図16Aに示すように3つのレベルを含んでいてもよいし、図16Bのインジケータ202で示すように2つのレベルを含んでいてもよい。別の例においては、取得されたOCTプルバックにより作成されるフライスルー視または3次元(3D)レンダリング視で情報を示すことができる。OCT画像が血管造影画像に位置合わせされている場合、インジケータ208は、図16Cに示すように、血管206を含む血管造影画像フレーム204に表示されるようになっていてもよい。ユーザは、血管造影画像204中の血管内のステント留置領域を観察するようにしてもよい。位置合わせは、如何なる利用可能な方法で実行されるようになっていてもよい。
【0050】
単一インジケータの別の例を図17に示す。図17の単一インジケータは、後拡張のバルーン箇所のナビゲータである。後拡張は通常、ステント留置用の元のバルーンよりも短いために複数回の膨張を要するバルーンで実行される。図17の両方向矢印(210、212、214、216)は、後拡張用のバルーンを配置すべき場所を示している。このインジケータ(210、212、214、216)を生成するため、バルーン箇所の一定の重なり(たとえば、2~4mm)および後拡張エリアのエッジにおける一定の余白(たとえば、2~4mm)を考慮して、後拡張エリアの長手方向の長さが後拡張バルーンの長さによって分割される。これは、医師が使用を計画しており、術中に看護師または技師によってシステムに入力されたバルーン情報に基づいて生成されるようになっていてもよい。インジケータは、予め設定された後拡張バルーン情報に基づいて生成されるようになっていてもよい。また、インジケータは、バルーンの種類およびサイズ(直径および長さ)を提案する画像プロセッサの提案に基づいて生成されるようになっていてもよい。後拡張バルーンの直径は、基準面積ARから計算可能な基準フレームでの直径に基づいて決定することができる。長さは、後拡張の回数を最小限に抑えられるように決定することができる。
【0051】
後拡張の後、別のOCTプルバックが取得された場合は、図18に示すように、後拡張の前後の比較がモニターに表示されるようになっていてもよい。拡張前(ステント留置後)の血管の縦断面視220および後拡張の後の縦断面視222を表示することにより、医師は、ステント留置後の状態を改善する方法をより良く理解することができる。ステント拡張のステント留置後のインジケータ221は依然として、ステント拡張不足が残る範囲を含む。ただし、医師は、インジケータ221を使用して、後拡張のインジケータ223が示すように、ステント拡張を改善することができる。なお、この比較においては、解釈を容易化するため、長手方向のステントの箇所を一致させている。
【0052】
本開示の別の実施形態においては、OCT画像フレーム1つおきまたは数個おきにステント拡張が評価されるようになっていてもよい。飛ばされるフレームの数は、ユーザにより予備設定または選択されるようになっていてもよい。ステント圧着評価についても、同じように実行されるようになっていてもよい。
【0053】
本開示の別の実施形態において、基準面積ARは、近位および遠位エッジにおける基準面積に基づいて、グループGS'のOCT画像フレームごとに決定可能である。ARPおよびARDをそれぞれ、近位および遠位エッジにおける基準面積と考える。グループGS'のi番目のフレームに関して、基準面積ARiは、以下のように計算される。
Ri=ARD+wi×(ARP-ARD) ただし、0≦wi≦1
基準面積ARiが線形補間されている場合、wiは、以下のようになる。
i=i/N ただし、Nは、グループGS'のフレーム数である。
【0054】
本開示の別の実施形態において、グループGS'から連続して除外されるフレームの数がフレームの閾値量未満である場合は、グループGSには含まれるがグループGS'には含まれないOCT画像フレームごとにステント拡張または圧着評価が補間されるようになっていてもよい。フレームの閾値量は、予め設定されていてもよい。また、ユーザは、PCI術前または術中に閾値量を修正するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態のうちの1つにおいては、分布位置を決定してステント拡張を評価するため、図12ならびにステップS230およびS220に示すように、ステント拡張値の計算前に一部のOCTフレームを除去することによって、計算されたすべての拡張値を有効にする。ただし、別の実施形態においては、血管内画像のすべての画像フレームでステント拡張値が計算され、管腔の境界およびステントストラットが検出される。本実施形態においては、ステップS210に示すように、検出された管腔がフレーム中にあるか否かの判定プロセスと、ステップS260に示すように、検出されたステントストラットがフレーム中にあるか否かの判定プロセスとが存在する。ただし、検出された管腔が任意のアーチファクトの影響を受けるか否かの判定プロセス(ステップS230に示す)は存在しない。本実施形態において、CPU70は、ステント拡張値の計算後、OCT画像フレームで計算されたステント拡張値がそれぞれ有効であるか否かを判定する。このプロセスは、ステップS310とS320との間に実行されるようになっていてもよい。本実施形態において、ステント拡張を評価する分布位置の判定プロセスでは、各画像フレームでステントストラットが検出されたか、管腔の境界が検出されたかをチェックして適当な画像フレームを選択することにより計算を成功させるが、ステント拡張値の有効性を保証するものではない。ステント拡張の有効性は、上述の通り、ステント拡張値の計算後にチェックされる。
【0056】
ステント拡張値がそれぞれ有効であるか否かに関する判定結果は、CPU70により用いられて、ステント拡張インジケータ192(または、186、200、202、208、210、212、214、216、221、223(以下、この段落では「192」と総称する))を表示するようにしてもよい。一実施形態において、有効ではないステント拡張値は表示されない。言い換えると、CPU70は、特定の画像フレームから計算された無効な拡張値については、表示されるステント拡張インジケータ192(または、186、200、202)を作成しない。別の実施形態において、CPU70は、ステント拡張インジケータ192に関して、有効な拡張値の色とは異なる色を無効な拡張値に設定する。たとえば、有効な拡張値に赤色、黄色、および緑色が使われている場合は、無効な拡張値に灰色または青色が用いられるため、ユーザは、有効と判定された拡張値および無効と判定された拡張値を理解することができる。
【0057】
上記実施形態のうちの1つにおいて、CPU70は、図12に示すように、たとえば80%等の特定の閾値をステント拡張値が下回る場所を決定するようにしてもよい。ただし、別の実施形態において、CPU70は、ステント拡張の異なる値を規定することによって、ステント拡張を評価する値が特定の閾値を上回る場合は、ステント拡張不足が発生しているものと判定するようにしてもよい。異なる値の一例としては、
(AR-AS)/AR×100
が可能である。
【0058】
別の実施形態において、CPU70は、評価されたステント拡張値の閾値に対する比を評価することにより、ステント拡張が発生したか否かを判定するようにしてもよい。たとえば、拡張[%]=(AS/AR)×100としてステント拡張が評価された場合、拡張/閾値の比が1以下であるなら、ステント拡張値が評価された箇所でステント拡張不足が発生したものと考えられる。
【0059】
図19は、ステントが留置された部分224の縦断面視とステントが留置された部分224の断面視225の両方を含む。ステントが留置された部分224には、部分的に重なる2つのステント(ステント1およびステント2)を含む。部分的に重なるステントが留置された部分224の管腔226の断面視225には、ステント1を表す参照番号233~238およびステント2を表す参照番号227~232を含む。2つ以上のステントが部分的に重なって移植された場合、CPU70は、管腔の最も内側にある検出されたステントストラットを用いて、重なった領域のステント拡張および不完全圧着を評価する(ステント2、227~232)。
【0060】
図13B図15図16A図16C図17、および図18に示す上記実施形態において、ステント拡張インジケータ192(または、186、200、202、208、210、212、214、216、221、223(以下、この段落では「192」と総称する))は、たとえばOCT画像、X線血管造影画像、またはこれらの血管画像の組み合わせの縦断面視等、血管画像とともに表示される。別の実施形態において、ステント拡張インジケータ192は、たとえば長手方向の管腔直径を示すルミノグラム等の画像とともに表示される。ステントストラットは、管腔の境界およびステントストラットからの距離に基づいて、この画像にモデル化可能である。この画像には、ステントが移植された全範囲を含むことにより、移植ステントの全範囲のステント拡張をユーザが理解できるようになっていてもよい。
【0061】
ここで図20を参照して、この図は、ユーザが検出結果を修正した後にステント拡張およびステント圧着を再評価するワークフローを示している。ユーザの修正は、図5のステップS10~S120が完了した後に行われるようになっていてもよい。図20のステップS600においては、管腔および/またはステントの検出結果をユーザが修正したかを判定する。ユーザが検出結果を修正した場合(ステップS600において「Yes」の場合)は、ステップS601において、ステントの検出結果をユーザが修正したかを判定する。ユーザがステントの検出結果を修正した場合(ステップS601において「Yes」の場合)、CPU70は、ステップS605においてステント長を再評価するほか、ステップS606においてステント拡張とステント圧着の両方を再評価する。ステント拡張とステント圧着の両方を再評価した後、CPU70は、ステップS609において、再評価結果をGUIに表示する。
【0062】
ステップS601を再び参照して、ユーザがステントの検出結果を修正していないと判定した場合(ステップS601において「No」の場合)は、ステップS602において、検出した管腔の境界をユーザが修正したかを判定する。検出した管腔の境界をユーザが修正した場合(ステップS602において「Yes」の場合)、CPU70は、ユーザが修正したフレームの場所をチェックする。ステップS603においては、修正したフレームがステント留置領域にあるかを判定する。修正したフレームがステント留置領域にある場合(ステップS603において「Yes」の場合)、CPU70は、ステップS606において、ステント拡張とステント圧着の両方を再評価する。ステップS603において、修正したフレームがステント留置領域にないと判定した場合は、ステップS604において、修正したフレームが基準フレームであるかを判定する。修正したフレームが基準フレームであると判定した場合(ステップS604において「Yes」の場合)、CPU70は、ステップS607において、ステント拡張を再評価する。修正したフレームがステント留置領域にない場合(ステップS603において「No」の場合)または基準フレームでない場合(ステップS604において「No」の場合)、CPU70は、ステップS608において、如何なる再評価も実行しない。
【0063】
ユーザは、縦断面視または断面視のいずれかにおいて、検出されたステントを修正するようにしてもよい。ステント拡張およびステント圧着の再評価は、ユーザが検出結果をどのように修正したかにより異なっていてもよい。図21は、CPU70がステント留置領域を検出したエリアの外側へと検出されたステントエッジ(239、240)が移動するように、管腔238の縦断面視において、検出されたステント留置領域をユーザが修正する場合を示している。エッジ(241、242)は、ユーザにより修正されたステントエッジを表す。本例において、CPU70は、基準フレームを再規定する。このプロセスは、図10Aおよび図10Bを参照して説明した方法に基づいて同様に実行されるようになっていてもよい。CPU70は、基準フレームの手動選択をユーザに要求するようにしてもよい。また、CPU70は、239と241との間のエリアおよび240と242との間のエリアにおいて、断面視でCPU70が検出していない任意のステントストラットをユーザがチェックすることを要求する通知を示すようにしてもよい。これらのフレームのいずれかにおいてユーザが任意のステントストラットを特定した場合、CPU70は、上述の通り、ステント拡張およびステント圧着を評価して、結果をGUIに表示する。これらのエリアにあるものの、ユーザがステントストラットを特定できないフレームについて、ユーザは、これらフレームのステント拡張およびステント圧着の評価の補間をCPU70が実行したかを選択して、その補間をGUIに表示するか、警告をGUIに表示するか、または、如何なる結果も警告もGUIに表示しないようにしてもよい。本例において、ユーザは、両ステントエッジの箇所を修正するが、CPU70は、ユーザが一方のステントエッジを変更した場合にのみ、同じプロセスを実行する。
【0064】
検出したステントエッジが検出したステント領域内となるようにユーザが修正した場合、CPU70は、基準フレームとして使用するフレームの選択をユーザに要求するようにしてもよい。ユーザは、図10Aおよび図10Bを参照して説明したのと同様に基準フレームを選択するようにしてもよいし、CPU70により最初に選択された同じ基準フレームの使用を選択することも可能である。ユーザが異なる基準フレームを選択した場合、CPU70は、修正されたステントエッジ内のフレームについて、ステント拡張およびステント圧着を再評価し、結果を表示する。CPU70は、検出されたステントエッジおよび修正されたステントエッジ内にあるフレームについては、ステント拡張情報もステント圧着情報も一切表示しない。ユーザが好む場合、CPU70は、CPU70が検出したステントエッジとユーザが修正したステントエッジとの間にあるフレーム上で検出されたステントストラットの色の表示も変更も行わないことを選択するようにしてもよい。この選択は、術中の初期設定および/または術後検査として行われるようになっていてもよいし、ユーザが任意のタイミングで行うことも可能である。
【0065】
170および172をCPUが検出したステントエッジとする図11において、ユーザが174および176としてステントエッジを修正した場合、CPU70は、CPU70がステントストラットを検出したフレーム(175と176との間のフレーム)について、ステント拡張およびステント圧着を再評価し、結果をGUIに表示する。CPU70がステントストラットを検出していないフレームについて、ユーザは、これらフレームの補間をCPU70が実行したかを選択して、それをGUIに表示するか、警告をGUIに表示するか、または、如何なる結果も警告もGUIに表示しないようにしてもよい。また、断面視において、検出されたステントストラットをユーザが修正するものと仮定する。図22に示すように、ユーザがステントストラットを特定して、ステント留置領域243の外側にある修正フレーム244にそれらを追加した場合、CPU70は、検出されたステント留置領域の外側で検出されたステントエッジをユーザが修正する場合に関して上述したのと同じプロセスを実行するようにしてもよい。修正フレーム244を含むようにステント留置領域243を延ばすことをユーザが好む場合、CPU70は、最初に検出されたステント留置領域243と修正フレーム244との間にあるフレームにおいてステントストラットが検出されたかを再チェックするようにしてもよい。CPU70は、このフレームにおいて、その他の如何なるステントストラットも特定し得ない場合、補間するかを決定し、ユーザの選好に基づいて表示することができる。
【0066】
ユーザがステントストラットを特定し、検出されたステント留置領域の外側ではあるものの、検出されたステント留置領域から連続するフレームにそれらを追加した場合、CPU70は、フレームが検出されたステント留置領域の外側にある場合に上述したのと同じように基準フレームを再規定し、ステント拡張およびステント圧着を再評価して、再評価結果をGUI表示する。
【0067】
ユーザが別のステントストラットを特定し、検出されたステント留置領域内のフレームにそれらを追加した場合、CPU70は、過去に規定済みの基準フレームを用いてステント拡張およびステント圧着を再評価し、再評価結果をGUIに表示する。修正されたフレームが表2に示す例に基づく基準を満たしていないため、ステント拡張およびステント圧着の評価用に含まれていなかったフレームではあるが、ユーザ修正後に基準を満たす場合は、CPU70がステント拡張およびステント圧着を再評価し、ステント拡張およびステント圧着の再評価後に、再評価結果がGUIに表示される。
【0068】
検出されたステントストラットをユーザが除去した場合、CPU70は、ステント留置領域に含まれる基準を修正フレームが依然として満たしているかを判定する。また、CPU70は、修正されたフレームがある場所を決定する。修正されたフレームが基準を満たし、このフレームがステントが留置された部分のエッジにない場合、CPU70は、ステント拡張およびステント圧着を再評価して、結果をGUIに表示する。修正されたフレームが基準を満たさず、ステントが留置された部分のエッジにない場合は、ステント拡張またはステント圧着の評価から修正フレームが除外される。ユーザは、過去の結果のGUI上の表示を保つように選択し、その他のフレームから補間を行って、更新結果をGUIに表示するか、または、修正フレームの結果を表示しないようにしてもよい。修正されたフレームが基準を満たさず、ステントが留置された部分のエッジにある場合、CPU70は、基準フレームを再規定し、ステント留置領域に含まれるすべてのフレームについて、ステント長、ステント拡張、およびステント圧着を再評価し、再評価結果をGUIに表示する。
【0069】
ここで図23を参照して、この図は、2つのステントが移植された例示的な一実施形態を示している。図23は、2つのステントしか示していないが、図23において適用される方法は、3つ以上のステントが移植された場合にも同様に当てはまる。図23においては、2つのステントが重ならずに移植されている。246および/もしくは247または検出されたステント留置領域248もしくは249内にあるフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正した場合、CPU70は、上述と同じプロセスを実行する。250内にあるフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正した場合、CPU70は、修正フレームが属するステントを決定する。一例において、CPU70は、GUIを示して、修正された各フレームのステントの選択をユーザに要求することができる。別の例において、CPU70は、予め定義された基準に基づいてステントを選択し、GUIを通じて、選択したステントが受け入れ可能であるか否かをユーザが判定することを要求するようにしてもよい。予め定義された基準としては、修正フレームから、検出されたステント領域の最も近いエッジまでの距離が挙げられる。あるいは、CPU70は、予め定義された基準に基づいてステントを自動的に選択し、GUIを介して、選択したステントをユーザに通知するようにしてもよい。別の例において、別のステントストラットを特定するフレームをユーザが選択した場合、CPU70は、GUIを介して、ユーザが選択したフレームが属すべきステントをユーザに尋ねることができる。フレームを修正して、修正フレームが属するステントを選択した後、CPU70は、単一のステント移植に関して上述したのと同じプロセスを実行する。
【0070】
ここで図24を参照して、この図は、2つのステントが部分的に重なって移植された場合を示している。検出されたステント留置領域の外側(すなわち、252または253内)にあるフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正した場合、CPU70は、上述と同じプロセスを実行する。重なった領域254内にあるフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正し、検出されたステントストラットの内側エリアにステントストラットを追加した場合、CPU70は、新たに追加された内側のステントストラットを用いて、ステント拡張およびステント圧着を再評価する。重なった領域254のフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正し、この修正によって、ステント拡張およびステント圧着の評価に用いられる検出ステントストラットが除去される場合、CPU70は、手動修正の後、ステント拡張およびステント圧着を再評価する。重なった領域254のフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正するものの、この修正によって、内側エリアでの新たなステントストラットの追加もなければ、評価に用いられる検出ステントストラットの除去もない場合、CPU70は、ステント拡張もステント圧着も再評価しない。領域255または領域256内にあるフレームにおいて、検出されたステントストラットをユーザが修正した場合、CPU70はまず、修正フレームが重なった領域254に近いかを確認する。この確認は、重なった領域のエッジからの距離に関する所定の閾値の設定またはユーザによる手動決定によって行うことができる。修正フレームが重なった領域254中のフレームとして確認された場合、CPU70は、追加されたステントストラットが属するステントを決定する。そして、CPU70は、ステント拡張およびステント圧着を再評価する。
【0071】
ここで図25を参照して、この図は、2つのステントが完全に重なって移植された場合を示している。これは、患者がステント内再狭窄の治療を要する場合に発生し得る。血管257は、2つのステントが完全に重なってどのように移植されるかを示している。このシナリオにおいては、ステント1のステント内再狭窄を治療するようにステント2が移植されているものと仮定する。したがって、ステント2は、ステント1よりも内側のエリアにあるものとする。CPU70がステント2のみを検出し(検出結果A、図25の血管258)、ユーザが検出されたステントストラットを修正した場合、CPU70は、ステントが1つだけ血管に移植されたシナリオと同じプロセスを実行する。CPU70が両ステントを検出しているものの、少なくとも一方のステントは完全に検出しておらず(検出結果B、図25の血管259)、ユーザが検出されたステントストラットを修正した場合、CPU70は、2つのステントが部分的に重なって移植された上記シナリオと同じプロセスを実行する。
【0072】
次に、図26には、検出結果を修正する例示的なGUI260を示している。この例示的なGUIにおいは、現在利用可能な任意の方法によって、血管造影画像と血管内画像との間の位置合わせが実行済みであるものと仮定する。GUI260は、血管造影画像261、血管内画像の断面視262、および血管内画像の縦断面視263から成る。一例において、ユーザは、「修正」ボタン264を選択することにより、修正プロセスを開始するようにしてもよい。あるいは、ユーザは、血管造影画像261、血管内画像の断面視262、または血管内画像の縦断面視263の任意の場所を選択することにより、修正プロセスを開始するようにしてもよい。ユーザが修正プロセスを開始すると、CPU70は、検出結果を修正することになる任意のユーザ入力を受け入れるモードとなる。この例示的なGUIにおいては、縦断面視263において、検出されたステントエッジ267を修正するようにユーザが準備している。そして、CPU70は、検出されたステントエッジ267の近くに矢印266を表示する。箇所を修正するため、ユーザは、修正したい検出結果を選択し、所望の箇所に対応する第2の選択を行うようにしてもよい。また、ユーザは、検出結果を所望箇所までドラッグするようにしてもよい。血管造影画像261および血管内画像262が位置合わせされているため、検出されたステントエッジ267が所望箇所に移動したら、CPU70は、表示されている血管造影画像261の対応するステンエッジ箇所268をユーザが修正した箇所まで移動させる。血管造影画像261上でユーザがステントエッジの検出結果を修正した場合、CPU70は、縦断面視263または血管造影画像261において、対応するステントエッジを変更し、対応する断面血管内画像フレームを262に表示するため、ユーザは、断面視262を用いることにより、ステントストラットが修正箇所で観察され得るかをチェックするようにしてもよい。血管造影画像261または縦断面視263においてユーザが検出結果を修正する場合、修正する箇所をユーザが選択すると、CPU70は、再評価プロセスを開始する。ユーザが好む場合、CPU70は、ユーザが「確認」ボタン265を選択した後に、再評価プロセスを開始するようにしてもよい。「確認」ボタン265は、ユーザが少なくとも1つの修正を終えると有効になる。
【0073】
ユーザは、断面視262において検出結果を修正することを好む場合、「修正」ボタン264の選択または一例として断面視262に表示された検出結果のクリックによって修正プロセスを開始するようにしてもよい。そして、ユーザは、検出結果を選択した後、所望箇所の選択または検出結果の所望箇所へのドラッグによって、検出結果を修正するようにしてもよい。ユーザは、検出結果の除去または検出結果の追加を望む場合、検出結果または追加したい場所をダブルクリックするようにしてもよい。ユーザは、すべての修正を終えたら、「確認」ボタン265を選択することによって、修正が終わったことをCPU70に知らせるようにしてもよい。その後、CPU70は、再評価プロセスを開始する。
【0074】
ステント拡張およびステント圧着を評価する方法等、本開示の如何なる方法および/またはデータも、コンピュータ可読記憶媒体に格納されるようになっていてもよい。本明細書に開示の方法のステップをプロセッサに実行させるため、ハードディスク(たとえば、磁気ディスク等)、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(「CD」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、ブルーレイ(商標)ディスク等)、光磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、DRAM、リードオンリーメモリ(「ROM」)、分散コンピュータシステムのストレージ、メモリカード、または同種のもの(たとえば、他の半導体メモリであって、不揮発性メモリカード、半導体ドライブ、SRAM等が挙げられるが、これらに限定されない)、これらの任意選択的な組み合わせ、サーバ/データベース等のうちの1つまたは複数等、一般的に使用されるコンピュータ可読および/または書き込み可能記憶媒体が用いられるようになっていてもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体が持続性コンピュータ可読媒体であることおよび/または一時的な伝搬信号だけを除いて、コンピュータ可読媒体がすべてのコンピュータ可読媒体を含むことが可能である。コンピュータ可読記憶媒体には、所定、限定、または短期間だけ情報を格納する媒体および/または電力の存在下でのみ情報を格納する媒体を含み、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ等が挙げられるが、これらに限定されない。また、本開示の実施形態は、記憶媒体(より具体的には「持続性コンピュータ可読記憶媒体」と称する場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(たとえば、1つもしくは複数のプログラム)を読み出して実行することにより、上記実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行するシステムもしくは装置ならびに/または上記実施形態のうちの1つもしくは複数の機能を実行する1つもしくは複数の回路(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステムもしくは装置のコンピュータあるいは、たとえば、記憶媒体からのコンピュータ実行可能命令の読み出しおよび実行による上記実施形態のうちの1つもしくは複数の機能の実行ならびに/または1つもしくは複数の回路の制御による上記実施形態のうちの1つもしくは複数の機能の実行等によって上記システムもしくは装置のコンピュータにより実行される方法によって、実現されるようになっていてもよい。
【0075】
上述のデバイス、システム、および方法は、上述の動作を実現するコンピュータ実行可能命令を読み出して実行するように構成された1つまたは複数のコンピュータ機器に対して、コンピュータ実行可能命令が格納された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を供給することにより実装可能である。この場合、システムまたはデバイスは、コンピュータ実行可能命令の実行に際して、上記実施形態の動作を実行する。また、1つまたは複数のシステムまたはデバイス上のオペレーティングシステムが上記実施形態の動作を実装するようにしてもよい。これにより、コンピュータ実行可能命令またはコンピュータ実行可能命令を格納する1つもしくは複数のコンピュータ可読媒体あるいはコンピュータ実行可能命令を格納した1つもしくは複数のコンピュータ可読媒体が一実施形態を構成する。
【0076】
以上の開示内容では、特定の例示的な実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲には、その範囲内の種々改良および同等の構成を含む。
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