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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】アンテナアセンブリ及び携帯端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/04 20060101AFI20231004BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20231004BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20231004BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20231004BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q21/28
H01Q5/335
H01Q1/52
H01Q1/24 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021564657
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020086038
(87)【国際公開番号】W WO2020221075
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】201910360018.5
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユエンプオン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ランチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジエン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/365623(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108666741(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/048363(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104953289(CN,A)
【文献】特開2018-157242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/04
H01Q 21/28
H01Q 5/335
H01Q 1/52
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に適用されるアンテナアセンブリであって、当該アンテナアセンブリは少なくとも第1のアンテナ及び第2のアンテナを含み、
前記第1のアンテナは、第1の給電点と、該第1の給電点に接続された第1の放射体とを含み、
前記第2のアンテナは、第2の給電点と、該第2の給電点に接続された第2の放射体とを含み、前記第1の放射体と前記第2の放射体との間にギャップが配置され、該ギャップに近い前記第2の放射体の端部には、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナによって共有される第1の接地ワイヤが設けられ、それによって前記第1のアンテナの前記第1の放射体上の電流の少なくとも一部が、前記第2の放射体に結合され、次に前記第2の放射体で前記第1の接地ワイヤを介して接地され、前記ギャップから離れた前記第2の放射体の端部には、第2の接地ワイヤが設けられており、
当該アンテナアセンブリにはさらに接地が含まれ、前記第1の接地ワイヤ及び前記第2の接地ワイヤは別々に前記接地に接続され、
前記第1のアンテナは、少なくとも2つの動作周波数帯域を有しており、前記第1の接地ワイヤには、前記少なくとも2つの動作周波数帯域をフィルタリングするための周波数選択ネットワークが設けられており、
前記第1の接地ワイヤは、第1のワイヤと、該第1のワイヤに別々に接続された少なくとも2本の第2のワイヤとを含み、各第2のワイヤは接地されており、前記周波数選択ネットワークは、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの各動作周波数帯域に対応するLC回路を含み、各LC回路の第1のインダクタが前記少なくとも2本の第2のワイヤの間において前記第1のワイヤに配置され、各LC回路の第1のコンデンサが各第2のワイヤに対応する、
アンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の放射体の電流経路長は、前記第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/8より大きく、前記第1のアンテナの前記動作周波数帯域に対応する前記波長の1/2より小さい、請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の接地ワイヤと前記第2の放射体との間の接続点から、前記ギャップに近い前記第2の放射体の前記端部までの電流経路の長さが、前記第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/8よりも大きく、前記第1のアンテナの前記動作周波数帯域に対応する前記波長の1/4より小さい、請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の接地ワイヤと前記第2の放射体との間の接続点から、前記第2の接地ワイヤと前記第2の放射体との間の接続点までの電流経路の長さが、前記第2のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4より大きく、前記第2のアンテナの前記動作周波数帯域に対応する前記波長よりも小さい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、少なくとも1つの同一の動作周波数帯域を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項6】
当該アンテナアセンブリは第3のアンテナをさらに含み、該第3のアンテナの動作周波数帯域が前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの前記動作周波数帯域よりも低く、
前記第3のアンテナは第3の給電点を含み、該第3の給電点は前記第1の接地ワイヤを介して前記第2の放射体に電気的に接続されており、前記第1の接地ワイヤには、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワークが設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項7】
低周波を通過させ、高周波を分離するための前記マッチングネットワークは第2のインダクタを含む、請求項6に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の給電点は、第2の給電線を介して前記第2の放射体に接続され、前記第2の給電線には、高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワークが設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項9】
高周波を通過させ、低周波を分離するための前記第2のマッチングネットワークは第2のコンデンサを含む、請求項8に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の放射体には、電流の方向を分割するための設定点が設けられており、該設定点では、前記電流の一部が第1の方向に流れ、前記電流の一部が前記第1の方向とは反対である第2の方向に流れる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項11】
前記接地において前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナによって励起される電流が直交して相補的である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のアンテナは、前記接地において縦方向の電流を励起することができ、前記第2のアンテナは、前記接地において横方向の電流を励起することができる、請求項11に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項13】
金属フレームと、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアンテナアセンブリとを含む携帯端末であって、
前記金属フレームは、少なくとも第1の金属セグメント及び第2の金属セグメントを含み、前記第1の金属セグメントと前記第2の金属セグメントとの間にギャップが配置され、前記第1の放射体は前記第1の金属セグメントを含み、前記第2の放射体は前記第2の金属セグメントを含む、携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、携帯端末技術の分野に関連し、特に、アンテナアセンブリ及び携帯端末に関連する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末技術の急速な発展に伴い、携帯電話又はタブレットコンピュータ等の携帯端末装置が、一般に、セルラー通信、Wi-Fi(Wireless-Fidelity、略してWiFi)通信、及びBluetooth通信等の複数の無線通信機能を有する。従って、無線通信のための複数の動作周波数帯域をカバーするように、複数のアンテナ又は複数の共振周波数を有するアンテナを携帯端末装置のために構成する必要がある。しかしながら、現段階では、シンプルで薄型の携帯端末装置への設計トレンドの下で、アンテナが使用できる正味のスペースが益々制限され、アンテナの動作環境が悪化し、アンテナ同士の間の分離が不十分になっており、アンテナの性能に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願は、アンテナ同士の間の分離及びアンテナの性能を改善するための、アンテナアセンブリ及び携帯端末を提供する。
【0004】
第1の態様によれば、アンテナアセンブリが提供され、アンテナアセンブリは、携帯端末の通信に適用される。アンテナアセンブリの特定の構成中に、アンテナアセンブリは少なくとも2つのアンテナを含み、例えば、アンテナアセンブリは第1のアンテナ及び第2のアンテナを含む。第1のアンテナは結合ループアンテナであり、第2のアンテナはループアンテナである。第1のアンテナの構成中に、第1のアンテナは、第1の給電点と、第1の給電点に接続された第1の放射体とを含む。同様に、第2のアンテナの構成中に、第2のアンテナは、第2の給電点と、第2の給電点に接続された第2の放射体とを含む。また、第1のアンテナ及び第2のアンテナが携帯端末に配置される場合に、第1のアンテナ及び第2のアンテナの放射体同士の間には特定の位置関係がある。具体的には、第1の放射体と第2の放射体との間にギャップが配置される。加えて、ギャップに近い第2の放射体の端部には、第1のアンテナ及び第2のアンテナによって共有される第1の接地ワイヤが設けられる。ギャップから離れた第2の放射体の端部には、第2の接地ワイヤが設けられる。アンテナアセンブリにはさらに接地(ground)が含まれる。第1の接地ワイヤ及び第2の接地ワイヤは別々に接地に接続される。通信中に、第1の放射体の電流は第1の接地ワイヤを介して接地に導かれ、第2の放射体の電流は第1の接地ワイヤ及び第2の接地ワイヤを介して接地に導かれる。さらに、アンテナが使用されているときに、第1のアンテナ及び第2のアンテナはさらに接地における電流を励起し、接地において第1のアンテナ及び第2のアンテナによって励起される電流は直交して相補的である。前述の説明から、第1のアンテナ及び第2のアンテナの構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナの放射体の端部同士の間にギャップしかないことが分かり得る。ただし、接地において第1のアンテナ及び第2のアンテナによって励起される電流が直交して相補的であるため、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の電流にクロストークが発生せず、それにより第1のアンテナと第2のアンテナとの間のアイソレーション(isolation:分離)が向上し、通信中の第1のアンテナ及び第2のアンテナの性能を保証する。
【0005】
第1の放射体の特定の構成中に、第1の放射体の電流経路は、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/8より大きく、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/2より小さい。より具体的には、第1の放射体の長さが、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4である。
【0006】
第2の放射体の特定の構成中に、第1の接地ワイヤと第2の放射体との間の接続点から、ギャップに近い第2の放射体の端部までの電流経路の長さが、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/8よりも大きく、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4より小さい。
【0007】
さらに、第1の接地ワイヤと第2の放射体との間の接続点から、第2の接地ワイヤと第2の放射体との間の接続点までの電流経路の長さが、第2のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4より大きく、第2のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長よりも小さい。
【0008】
第1のアンテナ及び第2のアンテナの特定の構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナはそれぞれ、少なくとも1つの動作周波数帯域を有する。ただし、特定の構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、少なくとも1つの同一の動作周波数帯域を有する。
【0009】
第1のアンテナの特定の構成中に、第1のアンテナは、少なくとも2つの動作周波数帯域を有する。この場合に、第1の接地ワイヤの構成中に、第1の接地ワイヤには、少なくとも2つの動作周波数帯域をフィルタリングするための周波数選択ネットワークが設けられる。異なる動作周波数帯域に対応する電流は、配置された周波数選択ネットワークを介して個別に接地される。
【0010】
周波数選択ネットワークの特定の構成中に、第1のアンテナが少なくとも2つの動作周波数帯域を有する場合に、第1の接地ワイヤは、第1のワイヤと、第1のワイヤに並列に接続された少なくとも2本の第2のワイヤとを含む。各第2のワイヤは接地される。周波数選択ネットワークは、第1のアンテナ及び第2のアンテナの各動作周波数帯域に対応するLC回路を含む。各LC回路の第1のインダクタが、第1のワイヤに配置され、各LC回路の第1のコンデンサが、各第2のワイヤと1対1で対応している。LC回路は、配置された第1のインダクタ及び配置された第1のコンデンサによって形成され、異なる電流をフィルタリングする。
【0011】
特定の実施可能な解決策において、第1のアンテナ及び第2のアンテナが対応して複数の動作周波数帯域(2つ以上)を有する場合に、周波数選択ネットワークは、動作周波数帯域のサイズの降順で動作周波数帯域をフィルタリングし、その後、接地する。
【0012】
第1のアンテナ及び第2のアンテナが複数の動作周波数帯域(2つ以上)を有する場合に、対応する周波数選択ネットワークには、異なる動作周波数帯域に対応する電流をフィルタリングするために複数のLC回路が設けられる。さらに、特定の構成中に、LC回路によってフィルタリングされた動作周波数帯域に対応する電流は、第2の放射体から離れる方向に徐々に減少する。
【0013】
アンテナアセンブリの特定の構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナに加えて、アンテナアセンブリは第3のアンテナをさらに含み得、第3のアンテナの動作周波数帯域は、第1のアンテナ及び第2のアンテナの動作周波数帯域よりも低い。第3のアンテナは第3の給電点を含み、第3の給電点は、第1の接地ワイヤを介して第2の放射体に電気的に接続される。第1の接地ワイヤには、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワークが設けられる。これにより、アンテナアセンブリの通信効果がさらに向上する。
【0014】
前述のマッチングネットワークの特定の構成中に、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワークは、第2のインダクタを含む。確かに、マッチングネットワークは、並列に接続された複数の第2のインダクタをさらに含むことができ、第3の給電点は、選択スイッチを使用して選択された(複数の)第2のインダクタのうちの1つを介して第2の放射体に接続することができる。
【0015】
第3の給電点が第2の放射体に接続される場合に、第3の給電点は、第1の接地ワイヤの第1のワイヤを介して第2の放射体に特に接続される。
【0016】
さらに、第3のアンテナの特定の構成中に、第2の給電点は、第2の給電線を介して第2の放射体に接続され、第2の給電線には、高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワークが設けられる。高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワークの配置により、第3のアンテナの電流が第1の給電点及び第2の給電点に流れ込むのが防止され、3つのアンテナの間の分離を向上させる。
【0017】
第2のマッチングネットワークの特定の構成中に、高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワークは、第2のコンデンサを含む。
【0018】
第1のアンテナ及び第2のアンテナの特定の構成中に、接地において第1のアンテナ及び第2のアンテナによって励起される電流は、直交して相補的であり、それにより、アンテナ同士の間の分離を向上させる。
【0019】
第1のアンテナ及び第2のアンテナの特定の構成中に、第1のアンテナは、接地において縦方向の電流(longitudinal current:縦電流)を励起することができるアンテナであり、第2のアンテナは、接地において横方向の電流(lateral current:横電流)を励起することができるアンテナである。従って、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、直交して相補的な電流を生成することができ、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の分離を向上させる。
【0020】
第2の放射体の構成中に、第2の放射体には、電流の方向を分割するための設定点が設けられる。設定点では、電流の一部が第1の方向に流れ、電流の一部が第2の方向に流れる。第1の方向は第2の方向と反対である。
【0021】
特定の実施可能な解決策では、第1のアンテナはLB/MB/HBアンテナであり、第2のアンテナはWiFiアンテナであり、第3のアンテナはGPSアンテナである。
【0022】
第2の態様によれば、携帯端末が提供される。携帯端末は、金属フレームと、前述の解決策のいずれか1つによるアンテナアセンブリとを含む。
【0023】
金属フレームは、少なくとも第1の金属セグメント及び第2の金属セグメントを含み、ギャップが、第1の金属セグメントと第2の金属セグメントとの間に配置される。第1の金属セグメントは第1の放射体を含み、第2の金属セグメントは第2の放射体を含む。
【0024】
前述の技術的解決策では、第1のアンテナ及び第2のアンテナの構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナの放射体の端部同士の間にギャップのみが存在する。ただし、接地において第1のアンテナ及び第2のアンテナによって励起される電流は直交して相補的であるため、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の電流にクロストークが発生せず、それにより第1のアンテナと第2のアンテナとの間の分離が向上し、通信中の第1のアンテナ及び第2のアンテナの性能を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの概略構造図である。
図2】本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの電流の概略図である。
図3】本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの別の概略構造図である。
図4】本願の一実施形態による、携帯端末内のアンテナアセンブリの概略図である。
図5】本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの定在波シミュレーションの概略図である。
図6】本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの効率シミュレーションの概略図である。
図7】本願の一実施形態による、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の分離のデバッグ図である。
図8】本願の一実施形態による、第1のアンテナと第3のアンテナとの間の分離のデバッグ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下では、添付の図面を参照して、本願をさらに詳細に説明する。
【0027】
本願の実施形態で提供されるアンテナアセンブリの理解を容易にするために、以下では、最初に、本願の実施形態で提供されるアンテナアセンブリの適用シナリオについて説明する。アンテナアセンブリは、携帯端末、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、又はノートブックコンピュータ等の一般的な携帯端末に適用される。しかしながら、携帯端末の薄型化の進展に伴い、アンテナのクリアランスが小さくなりつつあり、アンテナ同士の間のアイソレーションに大きな影響を与え、携帯端末の通信効果を低下させている。従って、本願の実施形態は、携帯端末の通信性能を向上させるためのアンテナアセンブリを提供する。以下では、添付の図面及び特定の実施形態を参照して、本願の実施形態で提供するアンテナアセンブリについて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの構造を示している。図1から分かるように、本願のこの実施形態で提供されるアンテナアセンブリは、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20を含む。第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の特定の構成中に、第1のアンテナ10は、第1の給電点12と、この第1の給電点12に接続された第1の放射体11とを含む。アンテナアセンブリが携帯端末に配置される場合に、第1のアンテナ10の第1の給電点12は、携帯端末のメインボードに配置される。第1の放射体11は、メインボードに配置されたフレキシブル回路又はプリントされた金属層、又は携帯端末の金属フレーム上の金属セグメントの一部等、携帯端末における異なる導電性構造であり得る。さらに、第1の給電点12が第1の放射体11に接続される場合に、第1の給電点12は、第1の給電線13を介して第1の放射体11に直接電気的に接続される。第1の給電線13は、第1の給電点12及び第1の放射体11を電気的に接続するためのワイヤ、フレキシブル回路、又はプリントされた金属層等様々な構造を使用することもできる。
【0029】
第1のアンテナ10の特定の構成中に、第1のアンテナ10は結合ループアンテナであり、第1のアンテナ10の第1の放射体11の電流は、スロットを介して第2のアンテナ20の第2の放射体21に結合され、且つ第2のアンテナ20の第2の放射体21の第1の接地ワイヤを介して接地される。第1の放射体11の特定の構成中に、第1の放射体11の電流経路長が、特定の長さの要件を満たし、第1の放射体11の長さが、第1のアンテナ10の動作周波数帯域に対応する波長の1/8より大きく、第1のアンテナ10の動作周波数帯域に対応する波長の1/2より小さい。例えば、第1の放射体11の電流経路長は、第1の給電線13が弾性シート又はLDS(Laser Direct Structuring:レーザー直接構造化)を介して第1の放射体11に接続されるときの上記の構造に関する電流経路の長さを含む。第1の放射体11の電流経路長はLであり、第1のアンテナ10の動作周波数帯域に対応する波長はhである。次に、hの1/8倍<L<hの1/2倍である。特定の構成中に、第1の放射体11の長さLは、第1のアンテナ10の動作周波数帯域に対応する波長の1/4であり得る。あるいはまた、第1の放射体11の長さは、第1のアンテナ10の動作周波数帯域に対応する波長の1/4に略等しい。第1の放射体11の電流経路長Lは、第1の放射体11と第1の給電線13との間の接続点aから第1の放射体11の端部bまでの長さを指す。
【0030】
動作中に、第1のアンテナ10は、図2に示されるように、少なくとも1つの動作周波数帯域を有する。図2は、第1のアンテナ10が2つの動作周波数帯域を有しており、2つの動作周波数帯域が異なる電流の流れに対応するケースを示している。実線の矢印は一方の動作周波数帯域に対応する電流の流れを表し、破線の矢印は他方の動作周波数帯域に対応する電流の流れを表す。ただし、使用される動作周波数帯域に関係なく、第1のアンテナ10に対応する電流は、第1の給電点12から流れ出し、第1の給電線13を通って第1の放射体11に流れ込み、第1の放射体11に沿って接地に流れる。図2に示される矢印の太さは電流の大きさを示す。図2から確認できるように、第1のアンテナ10において、第1の給電点12から第1の放射体11に流れる電流は徐々に減少する。さらに、動作中に、第1のアンテナ10は、接地50における電流を励起し、ここで、接地50は、携帯端末のプリント回路基板又は中間フレーム等の構造であり得る。引き続き図2を参照すると、第1のアンテナ10は、図2の接地50において実線の矢印によって示されるように、接地50において縦方向の電流を励起することができる。電流の流れの方向は、図2に示される矢印によって示される方向である。確かに、2つの動作周波数帯域を有する第1のアンテナ10は特定の例であり、本願の実施形態で提供される第1のアンテナ10は、3つ、4つ、及び他の異なる量の動作周波数帯域等の他の量の動作周波数帯域を有し得ることを理解されたい。
【0031】
引き続き図1を参照すると、第1のアンテナ10が接地されると、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の接地の理解を容易にするために、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は接地ワイヤを共有する。以下では、第2のアンテナ20について説明する。図1に示されるように、第2のアンテナ20はループアンテナであり、このループアンテナは、第2の給電点22及びこの第2の給電点22に接続された第2の放射体21を含み、さらに第2の放射体21の両端に配置された2本の接地ワイヤを含む。アンテナアセンブリが携帯端末に配置されるときに、第2のアンテナ20の第2の給電点22は携帯端末のメインボードに配置される。第2の放射体21は、メインボードに配置されたフレキシブル回路又はプリントされた金属層、或いは携帯端末の金属フレーム上の金属セグメントの一部等、携帯端末における異なる導電性構造であり得る。また、第2の給電点22が第2の放射体21に接続されるときに、第2の給電点22は、第2の給電線23を介して第2の放射体21に直接電気的に接続される。第2の給電線23は、第2の給電点22と第2の放射体21とを電気的に接続するためのワイヤ、フレキシブル回路、又はプリントされた金属層等の様々な構造を使用することもできる。
【0032】
図1に示されるように、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の特定の構成中に、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は互いに隣接して配置され、第1のアンテナ10の第1の放射体11と第2のアンテナ20の第2の放射体21との間にギャップがある。引き続き図1を参照すると、第2のアンテナ20の2つの接地を説明し易くするために、2本の接地ワイヤを、それぞれ、第1の接地ワイヤ30及び第2の接地ワイヤ40と呼ぶことにする。第1の接地ワイヤ30は、ギャップに近い第2の放射体21の端部に配置された接地ワイヤであり、第2の接地ワイヤ40は、ギャップから離れた端部に配置された接地ワイヤである。第2の給電線23は、第1の接地ワイヤ30と第2の接地ワイヤ40との間に配置される。第1の接地ワイヤ30は、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20によって共有される接地ワイヤである。動作中に、第1のアンテナ10の第1の放射体11における電流の少なくとも一部が、第2の放射体21に結合され、次に第2の放射体21における第1の接地ワイヤ30を介して接地される。第2の放射体21の電流の少なくとも一部もまた、第1の接地ワイヤ30を介して接地される。前述の説明から、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、接地のために第1の接地ワイヤ30を共有することが分かり得る。
【0033】
第2の放射体21の特定の構成中に、前述の説明から、第2の放射体21のセクション(部分)が第1のアンテナ10に結合されることが分かり得る。図1に示されるように、特定の構成中に、第1のアンテナに結合された第2の放射体21のセクションは、第1の接地ワイヤ30と第2の放射体21との間の接続点cから、ギャップに近い第2の放射体21の端部eまでのセクションである。特定の構成中に、第1の接地ワイヤ30と第2の放射体21との間の接続点cから、ギャップに近い第2の放射体21の端部eまでの電流経路の長さは、第1のアンテナ21の動作周波数帯域に対応する波長の1/8より大きく、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4より小さい。確かに、第1の接地ワイヤ30が前述の弾性シート及びLDSを介して第2の放射体21に接続されるときに、弾性シート及びLDSの長さをさらに含めることができる。
【0034】
さらに、第2の放射体21の電流経路長は、特定の長さ要件、すなわち、第1の接地ワイヤ30と第2の放射体21との間の接続点から、第2の接地ワイヤ40と第2の放射体21との間の接続点までの電流経路の長さが、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長の1/4より大きく、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長よりも小さいという要件をさらに満たす。第2の放射体21の電流経路長は、第2の給電線23が弾性シート又はLDS(Laser Direct Structuring:レーザー直接構造化)を介して第2の放射体21に接続されるときの上記の構造に関する電流経路の長さを含む。第2の放射体21の長さL1は、第2の放射体21と第1の接地ワイヤ30との間の接続点cから、第2の放射体21と第2の接地ワイヤ40との間の接続点dまでの電流経路の長さである。第2の放射体21における点cと点dとの間の電流経路の長さはL1であり、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長はh1であり、h1の1/4倍<L1<h1の1倍である。例えば、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長の1/2を使用してもよい。あるいはまた、第2の放射体21の長さは、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長の1/2に略等しい。
【0035】
前述の説明から、第2の放射体21の構成中に、満たす必要のある電流経路長は以下の通りであることが分かり得る。セクションceの電流経路長は、第1のアンテナ21の動作周波数帯域に対応する波長の1/8より大きく、第1のアンテナの動作周波数帯域に対応する波長の1/4より小さい。セグメントcdの電流経路長は、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長の1/4より大きく、第2のアンテナ20の動作周波数帯域に対応する波長よりも小さい。
【0036】
動作中に、第2のアンテナ20は少なくとも1つの動作周波数帯域を有しており、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20がそれぞれ少なくとも1つの動作周波数帯域を有する場合に、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、少なくとも1つの同一又は類似の動作周波数帯域を有する。いわゆる類似性(類似)とは、第1のアンテナ10の動作周波数帯域が、第2のアンテナ20の動作周波数帯域と、指定された範囲だけ異なることを意味する。
【0037】
引き続き図2を参照すると、図2は、第2のアンテナ20が動作周波数帯域を有する場合の電流の流れのケースを示している。このケースでは、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、同一又は類似の動作周波数帯域を有する。図2に示される電流において、実線の矢印は、動作周波数帯域に対応する電流の流れを表す。図2に示される第2のアンテナ20が作動しているときに、電流は、第2の給電点22から流れ出て、第2の給電線23を通って第2の放射体21に流れ込み、第2の放射体21において第2の放射体21の両端に流れる。第2の放射体21の両端に流れる電流は、それぞれ、第1の接地ワイヤ30及び第2の接地ワイヤ40に沿って接地に流れる。また、第2の放射体21には、電流の方向を分割するための設定点fが設けられる。設定点では、電流の一部が第1の方向に流れ、電流の一部が第2の方向に流れる。第1の方向は第2の方向と反対である。例えば、第1の方向はfがeを指す方向であり、第2の方向はfがdを指す方向である。さらに、第1のアンテナ10が作動しているときに、第1のアンテナ10は、前述のギャップを横切って作動した後に、第1の接地ワイヤ30を介して接地される。接地50の特定の構成中に、接地50は、携帯端末のプリント回路基板又は中間フレーム等の構造であり得る。さらに、接地50は、第1の接地ワイヤ30及び第2の接地ワイヤ40に別々に電気的に接続される。さらに、動作中に、第2のアンテナ20は、接地50おいて電流を励起する。図2に示されるように、第2のアンテナ20は、図2の接地50における破線の矢印によって示されるように、接地50において横方向の電流を励起することができる。電流の流れの方向は、図2に示される矢印で示される方向である。図2に示される電流から、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20が作動しているときに、接地50において2つのアンテナによって励起される電流は直交して相補的であり、接地電流同士の間にクロストークがなく、それによりアンテナの分離が向上することが分かり得る。確かに、1つの動作周波数帯域を有する第2のアンテナ20は特定の例であり、本願の実施形態で提供される第2のアンテナ20は、3つ、4つ、及び他の異なる量の動作周波数帯域等の他の量の動作周波数帯域を有し得ることを理解されたい。
【0038】
第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20が同一又は類似の動作周波数帯域を有する場合に、図2から、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との両方が第1の接地ワイヤ30を介して接地されることが分かり得る。この場合に、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、同時に、接地において電流を励起する。第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、接地50おいて直交して相補的な電流を生成するために使用される。第1のアンテナ10は、接地50において縦方向の電流を励起し、第2のアンテナ20は、接地において横方向の電流を励起する。特定の実装中に、第1のアンテナ10は結合ループアンテナであり、第2のアンテナ20はループアンテナである。第1のアンテナ10の構造及び第2のアンテナ20の構造については、前述の説明を参照されたい。前述の説明から、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の端部はギャップを共有し、2つのアンテナの間の距離は比較的短いことが分かり得る。しかしながら、接地50において第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20によって励起される電流が直交して相補的であり、2つのアンテナの電流でクロストークが発生しないので、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との間の良好な分離がある。
【0039】
引き続き図1及び図2を参照すると、第1のアンテナ10が少なくとも2つの動作周波数帯域を有する場合に、接地中の2つの電流のクロストークを回避するために、第1の接地ワイヤ30の構成中に、第1の接地ワイヤ30には、少なくとも2つの動作周波数帯域フィルタリングするための周波数選択ネットワークが設けられる。異なる動作周波数帯域に対応する電流は、第1の接地ワイヤ30に配置された周波数選択ネットワークを介して別々に接地される。図2に示される第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20を例として使用する。第1のアンテナ10は2つの動作周波数帯域を有しており、第2のアンテナ20は1つの動作周波数帯域を有する。第1の接地ワイヤ30の構成中に、第1の接地ワイヤ30は、第1のワイヤ33と、この第1のワイヤ33と並列に接続された2つの第2のワイヤ34とを含む。2つの第2のワイヤ34は接地される。配置された周波数選択ネットワークは、2つの第2のワイヤ34の間の第1のワイヤ33に配置された第1のインダクタ31と、第2のワイヤ34にそれぞれ配置された第1のコンデンサ32とを含む。すなわち、LC回路は、配置された第1のインダクタ31及び配置された第1のコンデンサ32によって形成され、異なる動作周波数帯域に対応する電流をフィルタリングする。図2に示されるように、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、同一又は類似の動作周波数帯域を有しており、動作周波数帯域に対応する電流は、図2の実線に対応する電流である。第1のアンテナ10に対応する別の動作周波数帯域の電流は、図2の破線に対応する電流であり、破線で表される電流は実線で表される電流よりも小さい。図2から、2つの電流が接地されると、実線で表される電流は、第1のワイヤ33と、第2のワイヤ34のうちの一方の第1のコンデンサ32とを通って流れ、次に接地に流れることが分かり得る。第2のワイヤ34は、配置された第2のワイヤ34の第2の放射体21に近いワイヤ、すなわち、電流が最初に電流の流れの方向に流れるワイヤである。破線で表される電流が第1の接地ワイヤ30を通って流れるときに、電流は、第2のワイヤ34(実線で表される電流が流れる第2のワイヤ34)の第1のコンデンサ32によってフィルタリングされ、次に、電流は、他方の第2のワイヤ34の第1のコンデンサ32を介して接地される。
【0040】
確かに、前述の実施形態は、第1のアンテナ10が2つの動作周波数帯域を有しており、第2のアンテナ20が1つの動作周波数帯域を有する例を使用して説明していることを理解されたい。本願の実施形態で提供される第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20は、それぞれ2つ以上の動作周波数帯域を有し得る。前述の動作周波数帯域が異なる場合に、対応する周波数選択ネットワークは、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の各動作周波数帯域に対応するLC回路を含む。各LC回路の第1のインダクタ31が、第1のワイヤ33に配置され、各LC回路の第1のコンデンサ32が、各第2のワイヤ34と1対1で対応している。複数のLC回路が、異なる動作周波数帯域に対応する電流をフィルタリングするように配置される。特定のフィルタリング中に、周波数選択ネットワークは、動作周波数帯域のサイズの降順で順次フィルタリングを実行することができる。特定の実装中に、前述のLC回路を使用してフィルタリングも実行される。不等動作周波数帯域に対応する第2のワイヤ34は、第1のワイヤ33に順次配置され、第1のインダクタ31が、任意の2つの第2のワイヤ34の間に配置される。さらに、第2の放射体21から離れる方向において、第2のワイヤ34に配置された第1のコンデンサ32の静電容量値は徐々に減少する。このようにして、異なる動作周波数帯域に対応する電流を、配置した周波数選択ネットワークを介して順次接地することができる。
【0041】
図3は、本願の一実施形態によるアンテナアセンブリの別の概略構造図である。図3に示される構造では、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20に加えて、アンテナアセンブリは、第3のアンテナをさらに含み得る。第3のアンテナの構成中に、第3のアンテナの動作周波数帯域は、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の動作周波数帯域よりも低い。
【0042】
例えば、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の動作周波数帯域は、2.4GHz及び2.5GHz等の2.4GHz~2.5GHzの間である。第3のアンテナの動作周波数帯域は1.575GHz又は700MHz~960MHzである。引き続き図3を参照すると、第3のアンテナは、第3の給電点60と、この第3の給電点60に接続された放射体とを含む。第3のアンテナ及び第2のアンテナ20は、放射体を共有する。つまり、第3のアンテナの放射体は上記の第2の放射体21である。図3に示されるように、第3の給電点60が第2の放射体21に電気的に接続されるときに、第3の給電点60は、第1の接地ワイヤ30を介して第2の放射体21に電気的に接続される。前述の説明から、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の電流が第1の接地ワイヤ30を通って流れることが分かり得る。従って、第3の給電点60が第1の接地ワイヤ30に接続される場合に、第1の接地ワイヤ30には、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワーク61が設けられる。
【0043】
引き続き図3を参照すると、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワーク61の特定の構成中に、図3に示されるように、第3の給電点60は、第1のワイヤ33に電気的に接続され、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワーク61は第1のワイヤ33に配置され、低周波を通過させ、高周波数を分離するための第1のマッチングネットワーク61の配置位置が、第3の給電点60と最も近い第2のワイヤ34との間にある。第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の電流が接地されるときに、低周波を通過させ、高周波を分離するための第1のマッチングネットワーク61の配置によって、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の電流が第3の給電点60に流れ込むのを防止することができる。第3の給電点60の電流が第1のワイヤ33を通って流れるときに、第2のワイヤ34に配置された第1のコンデンサ32は、第3の給電点60によって入力された低動作周波数帯域に対応する電流を遮断することができるので、第3の給電点60によって入力された電流は、第2の放射体21に流れ込むことができる。
【0044】
第1のマッチングネットワーク61の特定の構成中に、第1のマッチングネットワーク61は、第2のインダクタ、又は直列に接続された複数の第2のインダクタ、又は第2のインダクタ及びコンデンサによって形成された回路等様々な形態になり得る。さらに、マッチングネットワーク61は、並列に接続された複数の第2のインダクタをさらに含むことができ、第3の給電点60は、選択スイッチを使用して選択された(複数の)第2のインダクタのうちの1つを介して第2の放射体21に接続することができ、それにより周波数選択機能を実現する。
【0045】
前述の説明から、動作中に、第3のアンテナは、第2のアンテナ20の第2の放射体21を使用することが分かり得る。第2の給電線23の特定の構成中に、第3のアンテナの電流が第2の給電点22に流れ込むのを防止するために、第2の給電点22は、第2の給電線23を介して第2の放射体21に接続され、第2の給電線23には、高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワーク24が設けられる。特定の構成中に、高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワーク24は、異なる電気部品を含み得る。例えば、第2のマッチングネットワーク24は、第2のコンデンサを含むか、又は第2のマッチングネットワーク24は、並列に接続された複数の第2のコンデンサをさらに含むことができ、第3の給電点60は、選択スイッチを使用して選択された(複数の)第2のコンデンサのうちの1つを介して第2の放射体21に接続することができ、それにより周波数選択機能を実現する。
【0046】
高周波を通過させ、低周波を分離するための第2のマッチングネットワーク24の配置により、第3の給電点60によって第2の放射体に供給される電流が第2の給電点22に流れ込むのを防止しながら、第2の給電点22によって出力される電流を第2の放射体21に供給することが可能になり、それにより第2のアンテナ20と第3のアンテナとの間の分離を向上させる。
【0047】
本願の実施形態で提供されるアンテナアセンブリの理解を容易にするために、アンテナアセンブリは、このアンテナアセンブリが第1のアンテナ10、第2のアンテナ20、及び第3のアンテナを含み、これら3つのアンテナの間の分離について説明する例を使用することによってシミュレートされる。第1のアンテナ10、第2のアンテナ20、及び第3のアンテナの放射体は、携帯端末の金属フレーム上の構造を使用する。具体的には、図4を参照すると、金属フレームは、少なくとも第1の金属セグメント71及び第2の金属セグメント72を含み、ギャップが、第1の金属セグメント71と第2の金属セグメント72との間に配置される。第1の放射体11は第1の金属セグメント71を含み、第2の放射体21は第2の金属セグメント72を含む。モバイル端末の全体のサイズは:75mm*155mm*7.5mmである。プラスチックのパラメータは:誘電定数3.5及び損失角正接0.0037である。第1のアンテナ10はLB/MB/HBアンテナであり、第2のアンテナ20はWiFiアンテナであり、第3のアンテナはGPSアンテナである。シミュレーション結果を図5及び図6に示す。図5は、第1のアンテナ10、第2のアンテナ20、及び第3のアンテナの定在波シミュレーション効果を示している。マーキングポイント7及び8が配置される曲線は、第2のアンテナのシミュレーション曲線である。マーキングポイント1及び2が配置される曲線は、第1のアンテナのシミュレーション曲線である。マーキングポイント3が配置される曲線は、第3のアンテナのシミュレーション曲線である。図6は、各アンテナの効率を示している。図5及び図6から、3つのアンテナの間で良好な分離及び良好な通信効果があることが分かり得る。図4に示されるアンテナは、デバッグされる。図7及び図8に示されるように、第2のアンテナ20と第1のアンテナとの間のアイソレーションは20dB以下に達することができ、第3のアンテナと第1のアンテナ10との間のアイソレーションは-16dB未満である。
【0048】
さらに、本願の一実施形態は、携帯端末をさらに提供する。携帯端末は、金属フレームと、前述の態様のいずれか1つによるアンテナアセンブリとを含む。金属フレームは、少なくとも第1の金属セグメント71及び第2の金属セグメント72を含み、ギャップが、第1の金属セグメント71と第2の金属セグメント72との間に配置される。第1の金属セグメント71は、第1の放射体11であり、第2の金属セグメント72は、第2の放射体21である。前述の技術的解決策では、第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20の構成中に、第1のアンテナ及び第2のアンテナの放射体の端部同士の間にギャップのみが存在する。しかしながら、接地において第1のアンテナ10及び第2のアンテナ20によって励起される電流は直交して相補的であるため、電流が接地ワイヤを介して接地に導かれるときに、接地において第1のアンテナ10によって励起される電流は、第2の給電点流れ込まない。同様に、接地において第2のアンテナ20によって励起された電流は、第1の給電点に流れ込まない。従って、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との間の電流にクロストークが発生せず、それにより、第1のアンテナ10と第2のアンテナ20との間の分離が向上し、通信中の第1のアンテナ10と第2のアンテナ20の性能が保証される。
【0049】
明らかに、当業者は、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、本願に様々な修正及び変更を加えることができる。本願は、本願のこれらの修正及び変更が本願の特許請求の範囲及びそれらの同等の技術の範囲内にあるという条件で、本願のこれらの修正及び変更を網羅することを目的としている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8