(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20231004BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231004BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312J
H05K5/02 Z
F16C11/04 F
(21)【出願番号】P 2022038243
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】劉 ガロ
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125841(JP,A)
【文献】特開2020-119304(JP,A)
【文献】特開2020-159429(JP,A)
【文献】特開2021-196760(JP,A)
【文献】特開2020-135790(JP,A)
【文献】特開2020-184355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
G06F 1/16- 1/18
F16C 11/00-11/12
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1フレーム部材を有する第1筐体と、
前記第1フレーム部材と隣接する第2フレーム部材を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体及び前記第2筐体に支持されたディスプレイと、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記第2フレーム部材と隣接する前記第1フレーム部材の第1縁部と、前記第1フレーム部材と隣接する前記第2フレーム部材の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部及び前記第2縁部の互いの内面間に形成される隙間を塞ぐように配置され、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される背表紙部品と、
前記第1フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第1プレートと、
前記第2フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第2プレートと、
を備え、
前記第1フレーム部材の前記第1縁部は、
その長手方向の複数位置で前記第1プレートと固定され、
前記第2フレーム部材の前記第2縁部は、
その長手方向の複数位置で前記第2プレートと固定され
、
前記第1プレート及び前記第2プレートはそれぞれ、炭素繊維にマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板と、該炭素繊維強化樹脂板の裏面に固定された金属フレームと、を有し、
前記第1フレーム部材は、前記第1プレートの前記金属フレームに設けられた複数の第1ねじ穴を用いて前記第1プレートに締結され、
前記第2フレーム部材は、前記第2プレートの前記金属フレームに設けられた複数の第2ねじ穴を用いて前記第2プレートに締結されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器であって、
前記ディスプレイは、前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有し、
前記第1プレートは、前記ヒンジ装置の前記第1筐体側に隣接して配置され、
前記第2プレートは、前記ヒンジ装置の前記第2筐体側に隣接して配置され、
前記複数の第1ねじ穴は、前記第1プレートの前記ヒンジ装置に隣接する端部に沿って並び、
前記複数の第2ねじ穴は、前記第2プレートの前記ヒンジ装置に隣接する端部に沿って並んでいる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器であって、
第1フレーム部材を有する第1筐体と、
前記第1フレーム部材と隣接する第2フレーム部材を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体及び前記第2筐体に支持されたディスプレイと、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記第2フレーム部材と隣接する前記第1フレーム部材の第1縁部と、前記第1フレーム部材と隣接する前記第2フレーム部材の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部及び前記第2縁部の互いの内面間に形成される隙間を塞ぐように配置され、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される背表紙部品と、
前記第1フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第1プレートと、
前記第2フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第2プレートと、
を備え、
前記第1フレーム部材の前記第1縁部は、その長手方向の複数位置で前記第1プレートと固定され、
前記第2フレーム部材の前記第2縁部は、その長手方向の複数位置で前記第2プレートと固定され、
前記第1フレーム部材は、前記第1縁部の端面から後退した位置を前記第1プレート側に凹ませた第1段差部を有すると共に、該第1段差部には該第1フレーム部材を前記第1プレートに固定するねじを挿通する複数の孔部が形成され、
前記第2フレーム部材は、前記第2縁部の端面から後退した位置を前記第2プレート側に凹ませた第2段差部を有すると共に、該第2段差部には該第2フレーム部材を前記第2プレートに固定するねじを挿通する複数の孔部が形成され、
前記第1筐体は、前記第1段差部を覆う第1カバー部材を有し、
前記第2筐体は、前記第2段差部を覆う第2カバー部材を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器であって、
第1フレーム部材を有する第1筐体と、
前記第1フレーム部材と隣接する第2フレーム部材を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体及び前記第2筐体に支持されたディスプレイと、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記第2フレーム部材と隣接する前記第1フレーム部材の第1縁部と、前記第1フレーム部材と隣接する前記第2フレーム部材の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部及び前記第2縁部の互いの内面間に形成される隙間を塞ぐように配置され、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される背表紙部品と、
前記第1フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第1プレートと、
前記第2フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第2プレートと、
を備え、
前記第1フレーム部材の前記第1縁部は、前記第1プレートと固定され、
前記第2フレーム部材の前記第2縁部は、前記第2プレートと固定され、
前記ヒンジ装置は、
前記第1フレーム部材に固定される第1ブラケットと、
前記第2フレーム部材に固定される第2ブラケットと、
を有し、
前記第1フレーム部材は、前記第1プレートに対して前記第1ブラケットと共通のねじで共締め固定され、
前記第2フレーム部材は、前記第2プレートに対して前記第2ブラケットと共通のねじで共締め固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記ディスプレイは、前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有し、
前記ディスプレイは、前記折曲領域が前記ヒンジ装置で支持され、前記折曲領域よりも前記第1筐体側の第1領域が前記第1プレートの表面に固定され、前記第2筐体側の第2領域が前記第2プレートの表面に固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筐体をヒンジ装置で連結した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないPCやスマートフォン等の電子機器が急速に普及している。この種の電子機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、非使用時には小型化できることが望まれている。そこで、本出願人は、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り曲げ可能に構成した電子機器を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した電子機器は、筐体間を折り畳んだ状態で外部に露出し、筐体間を開いた状態では筐体の内側に収容される背表紙部品を備える。このため、左右の筐体を構成するフレーム部材は、背表紙部品に面した端部を薄い1枚の金属プレートで形成し、背表紙部品を含めた筐体全体の厚みを抑制している。
【0005】
ところが、フレーム部材は、薄い金属プレートで形成されているため、筐体間を折り畳んだ際に背表紙部品から離間する方向の反り変形を生じる可能性があることがわかってきた。すなわち左右のフレーム部材は、背表紙部品を挟んで口開きするように変形し、電子機器の外観品質を損なう懸念がある。なお、フレーム部材の口開きの問題は、フレキシブルディスプレイを用いない折り畳み型の電子機器でも同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、筐体の変形を抑制し、外観品質の低下を抑制することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1フレーム部材を有する第1筐体と、前記第1フレーム部材と隣接する第2フレーム部材を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、前記第1筐体及び前記第2筐体に支持されたディスプレイと、前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、前記第2フレーム部材と隣接する前記第1フレーム部材の第1縁部と、前記第1フレーム部材と隣接する前記第2フレーム部材の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部及び前記第2縁部の互いの内面間に形成される隙間を塞ぐように配置され、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される背表紙部品と、前記第1フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第1プレートと、前記第2フレーム部材と固定され、その表面で前記ディスプレイを支持する第2プレートと、を備え、前記第1フレーム部材の前記第1縁部は、前記第1プレートと固定され、前記第2フレーム部材の前記第2縁部は、前記第2プレートと固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、筐体の変形を抑制し、外観品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す電子機器0の内部構造を模式的に示す底面図である。
【
図5】
図5は、
図3中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す電子機器を0度姿勢とした状態を示す模式的な斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0012】
図1~
図3に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0013】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体12Aは、第1フレーム部材17Aと、第1カバー部材18Aとを備える。第1フレーム部材17Aは、第2筐体12Bと隣接する第1縁部17Aa以外の3辺に立壁19Aを形成した矩形の枠状部材である。第1カバー部材18Aは、第1フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(
図5も参照)。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aと隣接する第2縁部17Ba以外の3辺に立壁19Bを形成した第2フレーム部材17Bと、第2フレーム部材17Bの裏面開口を閉じる第2カバー部材18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0014】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。本実施形態では、フレーム部材17A,17Bがアルミニウム合金製であり、カバー部材18A,18Bがマグネシウム合金製である。
【0015】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される縁部17Aa,17Ba間の隙間Gを隠す背表紙としても機能する。ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘って延在している。
【0016】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する縁部17Aa,17Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(
図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(
図2参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0017】
図4は、
図3に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す底面図である。
図4は、カバー部材18A,18Bを取り外した筐体12A,12Bを底面側から見た図である。
図5は、
図3中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
図6は、
図5に示す電子機器10を0度姿勢とした状態を示す模式的な斜視断面図である。
【0018】
図1及び
図6に示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、有機ELで形成されたペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、
図2に示す第1筐体12A側の第1領域R1と第2筐体12B側の第2領域R2とが対向するように配置され、第1領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図2及び
図5に示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、第1領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0019】
ディスプレイ16は、第1領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、第2領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、第1領域R1の裏面16aが第1プレート20Aを介して第1筐体12Aと固定され、第2領域R2の裏面16aが第2プレート20Bを介して第2筐体12Bと固定される。ディスプレイ16の折曲領域R3は、ヒンジ装置14を構成する第1サポートプレート22A、ヒンジ本体23、及び第2サポートプレート22Bで支持される。
【0020】
図3~
図6に示すように、プレート20A,20Bは、相互間にヒンジ装置14を挟んで左右に配置され、それぞれの表面20Aa,20Baでディスプレイ16の裏面16aを支持する。ディスプレイ16の裏面16aは、第1領域R1が第1プレート20Aの表面20Aaに粘着固定され、第2領域R2が第2プレート20Bの表面20Baに粘着固定される。
【0021】
プレート20A,20Bは、ベースプレート24と、金属フレーム25とで構成されている。ベースプレート24は、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板である。金属フレーム25は、例えばマグネシウム合金等で形成され、ベースプレート24の裏面24aの外周縁部に固定されている。プレート20A,20Bは、炭素繊維強化樹脂板であるため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂板は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、プレート20A,20Bは、ベースプレート24の外周端面及び裏面24aの外縁部を囲むように金属フレーム25を接着剤等で固定している。
【0022】
第1プレート20Aの金属フレーム25には、複数のボス26が形成されている。各ボス26は、ベースプレート24の裏面24aから突出するように設けられ、第1プレート20Aの外周縁部に沿って並んでいる。各ボス26は、ベースプレート24の裏面24aから突出している。各ボス26には、内周面に雌ねじを形成したねじ穴26aが設けられている。ねじ穴26aは、ねじ27が螺合される。ねじ27は、第1プレート20Aと第1フレーム部材17Aとを締結し、固定するものである。第2プレート20Bの金属フレーム25にもねじ穴26aを形成した複数のボス26が設けられる。そして、第2プレート20B及び第2フレーム部材17Bは、ねじ穴26aを用いて互いにねじ27Aで締結され、固定される。
【0023】
ベースプレート24は、炭素繊維強化樹脂板ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム25は省略してもよく、ねじ穴26aはベースプレート24に設けてもよい。
【0024】
図5及び
図6に示すように、ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、ヒンジ本体23及びサポートプレート22A,22Bで支持される。0度姿勢時、折曲領域R3は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がサポートプレート22A,22Bで支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する。
【0025】
図3、
図5及び
図6に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体23と、第1サポートプレート22Aと、第2サポートプレート22Bとを有する。
【0026】
ヒンジ本体23は、筐体12A,12Bの縁部17Aa,17Baを跨ぐ位置に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体23は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体23には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸14A,14Bが支持されている。
【0027】
第1ヒンジ軸14Aには、第1リンクアーム30Aの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。第2ヒンジ軸14Bには、第2リンクアーム30Bの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。リンクアーム30A,30Bは、ヒンジ軸14A,14Bから離間する方向に向かって次第に筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bbに近接するブーメラン状の湾曲形状を有する。
【0028】
第1リンクアーム30Aの第2端部は、第1ブラケット31Aに対して回転軸34を用いて相対回転可能に連結されている。第1ブラケット31Aは、第1フレーム部材17Aの第1縁部17Aaに対して第1プレート20Aと共にねじ27で共締めされる。第2リンクアーム30Bの第2端部は、第2ブラケット31Bに対して回転軸35を用いて相対回転可能に連結されている。第2ブラケット31Bは、第2フレーム部材17Bの第2縁部17Baに対して第2プレート20Bと共にねじ27で共締めされる。
【0029】
リンクアーム30A,30B及びブラケット31A,31Bは、ヒンジ本体23の長手方向(Y方向)に沿って複数並ぶように設けられている(
図3参照)。これによりヒンジ本体23は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体23内には、筐体12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。
【0030】
ヒンジ本体31の外面には、化粧カバーとなる背表紙部品36が取り付けられている。背表紙部品36は、ヒンジ本体31の外面形状に合わせた略U字状の金属プレートである。
【0031】
図5に示す180度姿勢時、ヒンジ本体23は、その表面23aでディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。この際、ヒンジ本体23及び背表紙部品36は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接又は当接した縁部17Aa,17BaをX方向に跨いだ配置となる。
図6に示す0度姿勢時、ヒンジ本体23及び背表紙部品36は、大きく離間した縁部17Aa,17Baの内面17Ab,17Bb間の隙間Gを塞ぐように配置され、本のように折り畳まれた電子機器10の背表紙となる。この際、電子機器10は、背表紙部品36が最外面に露出することで、外観意匠の低下を防止している(
図1も参照)。
【0032】
サポートプレート22A,22Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bb側に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。
【0033】
第1サポートプレート22Aは、第1プレート20Aとヒンジ本体23との間に配置される。第1サポートプレート22Aは、第1プレート20A側の縁部が第1ブラケット31Aに対して回転軸38を介して相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート22Aは、ヒンジ本体23側の縁部がヒンジ本体23に対して相対移動可能である。
【0034】
第2サポートプレート22Bは、第2プレート20Bとヒンジ本体23との間に配置される。第2サポートプレート22Bは、第2プレート20B側の縁部が第2ブラケット31Bに対して回転軸39を介して相対回転可能に連結されている。第2サポートプレート22Bは、ヒンジ本体23側の縁部がヒンジ本体23に対して相対移動可能である。
【0035】
サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの回動動作に応じて、回転軸38,39を回転中心として揺動する。180度姿勢時、サポートプレート22A,22Bは、その表面22Aa,22Baによってディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート22A,22Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する(
図6参照)。サポートプレート22A,22Bは、180度以外の角度姿勢でもディスプレイ16の折曲領域R3を支持し、その形状を矯正する構成としてもよい。このように、サポートプレート22A,22Bは、180度姿勢時にはディスプレイ16の折曲領域R3を平面で安定して支持する一方、折曲領域R3の折曲動作を阻害することはない。
【0036】
図4に示すように、第1筐体12Aには、例えばCPUを実装したマザーボード40及びサブバッテリ装置41が搭載され、さらに各種の電子部品が搭載される。第2筐体12Bには、例えばメインバッテリ装置42、ディスプレイボード43及びサブカード44が搭載され、さらに各種の電子部品が搭載される。ディスプレイボード43は、ディスプレイ16の制御基板である。サブカード44は、例えば電源ボタンやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠した外部コネクタ等を実装した基板である。
【0037】
ところで、
図5に示すように、このような電子機器10では、各フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa、17Baは、その内面17Ab,17Bbとディスプレイ16の裏面16aとの間に形成される浅いZ方向スペースに背表紙部品36も含めてヒンジ装置14を収容する必要がある。
【0038】
従って、フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa,17Baは、できる限り薄いプレートで形成する必要がある。本実施形態の縁部17Aa,17Baは、1枚の薄いアルミニウム合金製のプレートで形成されている。具体的には、フレーム部材17A,17Bは、縁部17Aa,17BaのY方向両端には立壁19A,19Bを有するものの、Y方向の全長が薄い1枚の金属プレートのみで形成されている。
【0039】
その結果、当該電子機器10は、
図6に示す0度姿勢時、各フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa,17Baが
図1中に矢印Aで示す方向の反り変形、つまり縁部17Aa,17Baが背表紙部品36を挟んで口開きするように膨む変形を生じ、外観品質を損なう懸念がある。
【0040】
そこで、本実施形態の電子機器10は、このようなフレーム部材17A,17Bの口開き変形を防止するための構造を備える。上記したように、本実施形態の電子機器10は、第1フレーム部材17Aと第1プレート20Aとの間、及び第2フレーム部材17Bと第2プレート20Bとの間を、それぞれねじ27で締結している。この際、
図3及び
図4に示すように、ねじ27は、縁部17Aa,17Baにも設置されている。特に本実施形態では、ねじ27は、縁部17Aa,17Baの長手方向の複数位置、本実施形態では4か所にY方向に略等間隔に並ぶように設置されている。
【0041】
このため、
図4~
図6に示すように、フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa,17Baは、ねじ27によってプレート20A,20Bと一体に連結され、高い剛性が確保される。特に、本実施形態では、縁部17Aa,17Baの長手方向で複数位置をねじ27によってプレート20A,20Bに締結している。このため、フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa17Baは、プレート20A,20Bと一体の箱構造を形成し、全体として一層高い剛性を確保できる。その結果、電子機器10は、
図6に示す0度姿勢時、縁部17Aa,17Baが図中の矢印Bで示す方向の押圧力をねじ27から受け、口開きするように反り変形することが抑制される。
【0042】
特に本実施形態のプレート20A,20Bは、極めて硬質な炭素繊維強化樹脂板製のベースプレート24で略全体を構成している。このため、プレート20A,20Bの高い剛性を利用して、フレーム部材17A,17Bの反り変形を一層確実に抑制できる。しかも、ベースプレート24は、炭素繊維強化樹脂板を採用しつつ、その外周に金属フレーム25を設けたことで、ねじ27の締結用のねじ穴26a及びボス26を容易に形成できる。
【0043】
当該電子機器10では、縁部17Aa,17Baをねじ27で締結するためのねじ穴26aは、プレート20のヒンジ装置14に隣接する端部20Ab,20Bbの長手方向に沿って並んでいる。このため、プレート20A,20Bは、縁部17Aa,17Baをその端面17Ac,17Bcから最短位置で支持していることになる。その結果、電子機器10は、プレート20A,20Bによるフレーム部材17A,17Bの変形抑制効果がさらに向上する。ここで、
図4に示すように、縁部17Aa,17Baのねじ27による締結点はそれぞれ4点であり、フレーム部材17A,17Bの他の3辺よりも多い。具体的には、フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa,17Baと平行する左右の辺はそれぞれ3点がねじ27で締結され、縁部17Aa,17Baと直交するX方向に沿う2辺はいずれも2点がねじ27で締結されている。このことからも当該電子機器10は、口開きを生じないこれらの各辺は2~3点での締結として構造を簡素化しつつ十分な剛性を確保し、一方、口開きを生じる縁部17Aa,17Baはねじ27による締結点数を増やして補強していることが理解されよう。
【0044】
ところで、当該電子機器10では、縁部17Aa,17Baの口開きをより効果的に防止のため、縁部17Aa,17Baをその長手方向の複数位置でプレート20A,20Bに締結している。このため、同じく縁部17Aa,17Baに締結するヒンジ装置14のねじ止めスペースの確保が問題となる。この点、当該電子機器10では、ヒンジ装置14のブラケット31A,31Bが、フレーム部材17A,17Bの縁部17Aa,17Baに対してプレート20A,20Bと共にねじ27で共締めされる。このため、幅狭な縁部17Aa,17Baにプレート20A,20B及びブラケット341,31Bの締結スペースを確実に確保することが可能となっている。
【0045】
図5及び
図6に示すように、本実施形態のフレーム部材17A,17Bは、縁部17Aa,17Baの端面17Ac,17Bcから所定距離だけ後退した位置に段差部50A,50Bを有する。具体的には、第1段差部50Aは、第2筐体12Bから離間する方向へと端面17Acから所定距離オフセットした位置に設けられ、第1フレーム部材17AをZ方向で第1プレート20A側に向かって一段凹ませた部分である。第2段差部50Bは、第1筐体12Aから離間する方向へと端面17Bcから所定距離オフセットした位置にもうけられ、第2フレーム部材17BをZ方向で第2プレート20B側に向かって一段凹ませた部分である。
【0046】
段差部50A,50Bは、カバー部材18A,18Bを嵌めるための部分である。従って、段差部50A,50Bの深さは、カバー部材18A,18Bの板厚と同一又は略同一である。また段差部50A,50Bは、ねじ27をカバー部材18A,18Bで隠すための部分でもある。すなわち、段差部50A,50Bの底面には、ねじ27の頭部を収容するザグリ50aと、ねじ27を通す孔部50bとがそれぞれ形成されている。つまりカバー部材18A,18Bは、ねじ27を隠しつつ、段差部50A,50Bの底面に対してねじ止め等で固定される。なお、
図4では、ザグリ50a及び孔部50bの図示を省略している。
【0047】
このように当該電子機器10は、フレーム部材17A,17bに段差部50A,50Bを設けたことで、フレーム部材17A,17Bとプレート20A,20Bを締結するねじ27をカバー部材18A,18Bで隠すことができ、一層高い外観品質が得られる。
【0048】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0049】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
17A 第1フレーム部材
17B 第2フレーム部材
18A 第1カバー部材
18B 第2カバー部材
20A 第1プレート
20B 第2プレート
24 ベースプレート
25 金属フレーム
31A 第1ブラケット
31B 第2ブラケット
36 背表紙部品
50A 第1段差部
50B 第2段差部