(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】アルロースを含む餅およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20231004BHJP
A23G 3/42 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A23L7/10 102
A23G3/42
(21)【出願番号】P 2022525220
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2020015114
(87)【国際公開番号】W WO2021086145
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137595
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンミ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,チュンウ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,キョンホン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テチョル
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0053671(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0039368(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0075888(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉100重量部に対して、0.1~5重量部の塩、および5~20重量部の糖類を含
む餅類であって、
前記糖類が
、糖類の固形分100重量部を基準として、1~50重量部のアルロースを含
み、
前記餅類は、穀粉の生地を蒸熟し、前記蒸熟された生地をパンチングして製造され、前記パンチング工程に前記アルロースが投入され、
前記餅類は、63~70の明度値(L)を有し、アルロースによる褐変が防止され且つ経年変化が遅延するものである、経年変化が遅延した餅類。
【請求項2】
前記餅類は、室温で3日保管後の硬度が43,000(g)以下である、請求項1に記載の餅類。
【請求項3】
前記餅類は、室温で保管時、保管1日目対比保管3日目の硬度増加率が110%以下である、請求項1に記載の餅類。
【請求項4】
前記餅類は、室温で保管時、保管1日目対比保管3日目の弾力性減少率が60%以下である、請求項1に記載の餅類。
【請求項5】
前記餅類は、冷蔵保管3時間後の硬度が39,000(g)以下である、請求項1に記載の餅類。
【請求項6】
前記餅
類は、冷蔵保管1時間対比3時間後の弾力性減少率が10%以下である、請求項1に記載の餅類。
【請求項7】
前記アルロースは、穀粉と水とを混合した生地の蒸熟工程後に投入されるものである、請求項1に記載の餅類。
【請求項8】
前記餅
類は、白蒸し餅、松葉餅、蜂蜜餅、大福餅、モチ、きな粉餅、加皮餅(白小豆入りの半月形餅)、粟餅、松粳餅、ベピ餅(もち米で作り、緑豆あんを入れた餅)、およびマユ餅からなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載の餅類。
【請求項9】
前記穀粉は、米粉、もち米粉、うるち米粉、玄米粉、大麦粉、緑豆粉、小豆粉、もち粟粉、キビ粉、トウモロコシ粉、蕎麦粉、黒米粉、およびライ麦粉からなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載の餅類。
【請求項10】
前記穀粉は、アミロペクチンの含有量が80~100%である、請求項1に記載の餅類。
【請求項11】
前記アルロースは、アルロース、果糖およびブドウ糖を含む混合糖形態で提供させるものである、請求項1に記載の餅類。
【請求項12】
前記糖類は、糖類の固形分100重量部を基準として
、果糖10~60重量部、およびブドウ糖20~60重量部を
さらに含むものである、請求項1に記載の餅類。
【請求項13】
前記餅類は、小豆、きな粉、ゴマ、マメ、ヨモギ、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、クリ、ヤマボクチ、ナツメ、および堅果類からなる群より選択された1種以上を追加的に含むものである、請求項1に記載の餅類。
【請求項14】
穀粉と水とを混合して生地を製造する工程;
前記生地を蒸熟する工程;
前記蒸熟された生地をパンチングする工程;および
前記パンチングされた生地を成形して餅
類を製造する工程を含み、
前記餅
類が
、穀粉100重量部に対して、5~20重量部の糖類を含み、
前記糖類が、糖類の固形分100重量部を基準として、1~50重量部のアルロースを含み、
前記アルロースは、前記パンチングする工程で投入される、餅類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースを含む餅およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、餅類にアルロースを含むことで、経年変化が遅延して保管による硬度増加または弾力性減少が最小化された餅類およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
餅類は製造後、時間の経過とともに次第に硬くなって、糊化されていたデンプン粒子が元の結晶状態に戻る経年変化が発生する。デンプンの経年変化によって硬く固まり弾力性を失った餅は商品価値を失って販売できず、このため、餅類は製造後早い時期内に販売および摂取されなければならないという不都合がある。特に、餅類を冷蔵保管する場合、このような経年変化現象はさらに加速化して、冷蔵保管に限界があり、このため、保管期間がさらに短くなる問題点がある。餅の経年変化現象は大部分の餅で発生し、餅の経年変化によって組織が不良になって消化性が悪化する問題点も発生する。そこで、餅類の経年変化を抑制するための方法が切実に求められている状況である。
【0003】
砂糖はスクロースを主成分とするもので、飲食に添加して甘味を出す代表的な甘味料の1つである。砂糖は優れた甘味度を有し、従来から様々な飲食、加工食品などに添加されて飲食の味を良くし食欲をかきたてる最も好まれる甘味料とされてきた。しかし最近、砂糖の有害性が究明され続けることによって問題が提起されている。具体的には、砂糖の過剰摂取が虫歯はもちろん、肥満、糖尿病など各種生活習慣病の大きな原因として指摘されていて、これを代替できる甘味料開発の必要性が全世界的に台頭しているのが現状である。最近、多様な甘味素材が開発されているが、甘味度および甘味質を考慮して、砂糖とこれらの甘味素材、食物繊維など多様な機能性素材を混合して製品化が行われている。
【0004】
前記砂糖を代替する甘味料として使用されるアルロースは、果糖の3番炭素のエピマーであって、果糖の70%に相当する甘味度を有し、血糖調節、虫歯予防および肝での脂肪合成を阻害する機能性糖である。砂糖代替甘味料として多く使用されている糖アルコール類は、一定量以上摂取時に下痢を誘発するなどの副作用があるが、アルロースは知られた副作用がない。したがって、アルロースの甘味料としての関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一例は、経年変化が遅延して保管による硬度増加または弾力性減少が最小化された、アルロースを含む餅類を提供する。
本発明の他の例は、明度値が高く黄色度が低くて、審美的に優れた餅類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、穀粉、塩、および糖類を含み、前記糖類がアルロースを含む餅類に関する。前記餅類は、経年変化が遅延し、保管による硬度増加または弾力性減少が最小化され、明度値が高く黄色度が低くて、審美的に優れた餅類が提供される。そこで、本発明は、餅類に含まれている糖類にアルロースを用いることによって、餅類の経年変化遅延用途、保管による硬度増加または弾力性減少防止または最小化用途、または餅類の色改善用途に関する。
【0007】
本発明の一例は、穀粉、塩、および糖類を含み、前記糖類は、アルロースを含む餅類に関し、具体的には、穀粉100重量部に対して、0.1~5重量部の塩、および5~20重量部の糖類を含むことができる。
【0008】
本発明による餅類は、経年変化が遅延し、保管による硬度増加または弾力性減少が最小化され、明度値が高く黄色度が低くて、審美的に優れている。具体的には、本発明による餅類は、室温で4日保管後の硬度が60,000(g)以下、室温で保管時、製造1日目対比4日保管後の硬度増加率が200%以下、または冷蔵保管3時間後の硬度が39,000(g)以下で、保管による硬度増加が最小化された特性を有する。
【0009】
本発明による餅類は、弾力性減少率が60%以下、具体的には、室温で保管時、保管1日目対比3日保管後の弾力性減少率が60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、または10%以下であってもよい。
【0010】
本発明の一例によるアルロースをパンチング工程に投入して製造した餅類の場合、弾力性減少率が30%以下、具体的には、室温で保管時、保管1日目対比3日保管後の弾力性減少率が34%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、または10%以下であってもよい。
【0011】
本発明による餅類は、冷蔵保管1時間対比3時間後の弾力性減少率が10%以下である、保管による弾力性減少が最小化された特性を有する。
【0012】
本発明による餅類は、明度値が高く黄色度が低くて、審美的に優れており、詳しくは、色差計で測定された明度値(L)が62~70である特性を有する。
【0013】
本発明のさらなる例は、穀粉と水とを混合して生地を製造する工程;前記生地を蒸熟する工程;前記蒸熟された生地をパンチングする工程;および前記パンチングされた生地を成形して餅を製造する工程を含む、アルロースを含む餅類の製造方法を提供する。
【0014】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明による餅類は、穀粉を主原料として含む。前記穀粉のアミロペクチンの含有量は、80~100重量%、80~99重量%、80~95重量%、80~90重量%、90~100重量%、90~99重量%、90~95重量%、95~100重量%、または95~99重量%であってもよい。
【0015】
前記穀粉は、米粉、もち米粉、うるち米粉、玄米粉、大麦粉、緑豆粉、小豆粉、もち粟粉、キビ粉、トウモロコシ粉、蕎麦粉、およびライ麦粉からなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0016】
本発明の一例による餅類は、穀粉100重量部に対して、塩を0.1~5重量部、0.1~4重量部、0.1~3重量部、0.1~2重量部、0.1~1重量部、0.5~5重量部、0.5~4重量部、0.5~3重量部、0.5~2重量部、0.5~1重量部、1~5重量部、1~4重量部、1~3重量部、1~2重量部、または1~1.5重量部含むことができる。
【0017】
本発明による餅類は、穀粉に加えて糖類を含み、前記糖類は、アルロースを含むものであってもよい。前記糖類は、穀粉100重量部に対して、5~20重量部、5~18重量部、5~15重量部、5~13重量部、5~12重量部、7~20重量部、7~18重量部、7~15重量部、7~13重量部、7~12重量部、10~20重量部、10~18重量部、10~15重量部、10~13重量部、または10~12重量部含むことができる。
【0018】
前記糖類は、液状または粉末であってもよいし、前記糖類が液状の場合、前記糖類の固形分含有量は、50~99Brix、50~90Brix、50~85Brix、50~80Brix、50~75Brix、60~99Brix、60~90Brix、60~85Brix、60~80Brix、60~75Brix、70~99Brix、70~90Brix、70~85Brix、70~80Brix、70~75Brix、75~99Brix、75~90Brix、75~85Brix、または75~80Brixであってもよいし、例えば、75Brixであってもよい。
【0019】
前記糖類は、アルロースを含むものであってもよいし、前記糖類内のアルロースの含有量は、糖類の固形分100重量%を基準として、5~99.99重量%、5~99重量%、5~95重量%、5~90重量%、5~80重量%、5~70重量%、5~60重量%、5~50重量%、5~40重量%、5~30重量%、5~20重量%、5~18重量%、5~15重量%、7~99.99重量%、7~99重量%、7~95重量%、7~90重量%、7~80重量%、7~70重量%、7~60重量%、7~50重量%、7~40重量%、7~30重量%、7~20重量%、7~18重量%、7~15重量%、10~99.99重量%、10~99重量%、10~95重量%、10~90重量%、10~80重量%、10~70重量%、10~60重量%、10~50重量%、10~40重量%、10~30重量%、10~20重量%、10~18重量%、10~15重量%、13~99.99重量%、13~99重量%、13~95重量%、13~90重量%、13~80重量%、13~70重量%、13~60重量%、13~50重量%、13~40重量%、13~30重量%、13~20重量%、13~18重量%、13~15重量%、15~99.99重量%、15~99重量%、15~95重量%、15~90重量%、15~80重量%、15~70重量%、15~60重量%、15~50重量%、15~40重量%、15~30重量%、15~20重量%、15~18重量%、20~99.99重量%、20~99重量%、20~95重量%、20~90重量%、20~80重量%、20~70重量%、20~60重量%、20~50重量%、20~40重量%、20~30重量%、30~99.99重量%、30~99重量%、30~95重量%、30~90重量%、30~80重量%、30~70重量%、30~60重量%、30~50重量%、30~40重量%、40~99.99重量%、40~99重量%、40~95重量%、40~90重量%、40~80重量%、40~70重量%、40~60重量%、40~50重量%、50~99.99重量%、50~99重量%、50~95重量%、50~90重量%、50~80重量%、50~70重量%、50~60重量%、60~99.99重量%、60~99重量%、60~95重量%、60~90重量%、60~80重量%、60~70重量%、70~99.99重量%、70~99重量%、70~95重量%、70~90重量%、70~80重量%、80~99.99重量%、80~99重量%、80~95重量%、80~90重量%、90~99.99重量%、90~99重量%、90~95重量%、95~99.99重量%、95~99重量%、96~99.99重量%、96~99重量%、97~99.99重量%、97~99重量%、98~99.99重量%、98~99重量%、または99~99.99重量%であってもよいし、例えば、前記糖類は、固形分100重量%を基準として、アルロースを10~20重量%、13~17重量%、15~20重量%、90~99.99重量%、90~99重量%、95~99.99重量%、または95~99重量%含むものであってもよい。
【0020】
前記糖類は、アルロースを含有する糖類であれば制限なく使用可能であり、前記糖類は、果糖およびブドウ糖からなる群より選択された1種以上を追加的に含むものであってもよい。例えば、前記糖類は、糖類の固形分100重量部を基準として、アルロース1~50重量部、果糖10~60重量部、およびブドウ糖20~60重量部を含むアルロースシロップであってもよいし、一例として、糖類の固形分100重量%を基準として、アルロース10~20重量%、果糖20~50重量%、およびブドウ糖30~50重量%を含むアルロースシロップであってもよい。また、本発明の一例による餅類は、前記アルロースを含有する糖類とともに、砂糖、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖などの糖類を追加的に含むものであってもよい。
【0021】
本発明の一例による餅類は、経年変化が遅延したものであってもよいし、例えば、室温で一定時間保管しても経年変化が遅延して、前記餅類の硬度増加率(%)または弾力減少率(%)などが低いことを特徴とする。
【0022】
具体的には、試験例2の(3)および(4)によれば、アルロースを含まない餅類は、室温で保管時間が増加することによって、硬度が急激に増加し、弾力性が急激に減少するなど経年変化が急速に進行したが、本発明の一例によるアルロースを含む餅類は、硬度が急激に増加せず、弾力性が急激に減少しないので、経年変化が遅延することを確認できた。よって、前記アルロースは、本発明の一例による餅類の経年変化を遅延させる用途、つまり、餅の経年変化遅延剤である。
【0023】
例えば、前記餅類は、製造後、室温で3日保管後の硬度が43,000(g)以下、42,000(g)以下、41,000(g)以下、40,000(g)以下、39,000(g)以下、38,000(g)以下、37,000(g)以下、35,000(g)以下、または32,000(g)以下であってもよい(表5)。
【0024】
具体的には、前記餅類は、製造後、室温で4日保管後の硬度が62,000(g)以下、60,000(g)以下、55,000(g)以下、50,000(g)以下、45,000(g)以下、または42,000(g)以下であってもよい(表10)。
【0025】
例えば、前記餅類は、製造後、室温で保管時、保管1日目対比保管3日目の硬度増加率[{(保管3日目の硬度)-(保管1日目の硬度)}÷(保管1日目の硬度)×100]が110%以下、100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、または45%以下であってもよい(表5)。
【0026】
具体的には、前記餅類は、製造後、室温で保管時、保管1日目対比保管3日目の硬度増加率[{(保管3日目の硬度)-(保管1日目の硬度)}÷(保管1日目の硬度)×100]が110%以下、100%以下、90%以下、80%以下、または75%以下であってもよい(表10)。
【0027】
例えば、前記餅類は、製造後、室温で保管時、保管1日目対比保管4日目の硬度増加率[{(保管4日目の硬度)-(保管1日目の硬度)}÷(保管1日目の硬度)×100]が200%以下、180%以下、150%以下、140%以下、120%以下、110%以下、100%以下、または90%以下であってもよい(表10)。
【0028】
例えば、前記餅類は、製造後、室温で保管時、保管1日目対比保管3日目の弾力性減少率[{(保管1日目の弾力性)-(保管3日目の弾力性)}÷(保管1日目の硬度)×100]が60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、一例として、アルロースをパンチング工程に投入して製造された餅類の場合、30%以下、20%以下、15%以下、または10%以下であってもよい(表6)。
【0029】
例えば、前記餅類は、製造後、室温で保管時、保管1日目対比保管4日目の弾力性減少率[{(保管1日目の弾力性)-(保管4日目の弾力性)}÷(保管1日目の硬度)×100]が30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、または14%以下であってもよい(表11)。
【0030】
前記「室温」は、食品、例えば、餅類を通常保管する温度を包括する意味で使用され、例えば、20~30℃、20~25℃、一例として、23℃の温度であってもよい。また、前記「室温」には湿度条件が併せて含まれていてもよいし、食品、例えば、餅類を通常保管する湿度を包括する意味で使用され、例えば、30~60%、30~50%、35~60%、35~50%、一例として、40%の相対湿度であってもよい。
【0031】
本発明の一例による餅類は、経年変化が遅延したものであってもよいし、例えば、冷蔵温度で一定時間保管しても経年変化が遅延して、前記餅類の硬度増加率(%)または弾力減少率(%)などが低いことを特徴とする。
【0032】
具体的には、試験例4によれば、アルロースを含まない餅類は、冷蔵温度で保管時間が増加することによって、硬度が急激に増加し、弾力性が急激に減少するなど経年変化が急速に進行したが、本発明の一例によるアルロースを含む餅類は、硬度が急激に増加せず、弾力性が急激に減少しないので、経年変化が遅延することを確認できた。
【0033】
例えば、前記餅類は、製造後、冷蔵温度で3時間保管後の硬度が39,000(g)以下、35,000(g)以下、33,000(g)以下、32,000(g)以下、または31,000(g)以下であってもよい。
【0034】
例えば、前記餅類は、製造後、冷蔵温度で保管時、保管1時間対比保管3時間の弾力性減少率[{(保管1時間目の弾力性)-(保管3時間目の弾力性)}÷(保管1時間目の弾力性)×100]が10%以下、8%以下、7%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.3%以下、または0.1%以下であってもよい。
【0035】
本発明の一例による餅類は、アルロースを含むことで、経年変化が遅延するものであってもよく、餅類の製造過程中、前記アルロースが投入される工程により経年変化が遅延する効果がさらに優れることができる。具体的には、試験例1の(4)によれば、アルロースを餅製造過程中のパンチング工程に投入した時、餅の弾力性減少率がさらに低くて、経年変化遅延効果がさらに優れていることが分かった。よって、本発明の具体的な一例による餅類は、アルロースを蒸熟工程後に投入して製造された餅類、さらに具体的には、アルロースをパンチング工程に投入して製造された餅類であってもよい。
【0036】
本発明の一例による餅類は、餅の明度値が高くてより明るい色を有するものであってもよい。具体的には、餅類は、明るい色を有するほど美観上優れた品質価値を有するため、別途の食品添加剤がなくても明るい明度値を有する餅類を提供するための要求が続いている。
【0037】
具体的には、試験例2の(1)で本発明の一例による餅類の明度を色差計を用いて測定し、表3に示されているように、本発明の一例による餅類が従来の餅類よりも高い明度値を有し、別途の食品添加剤の使用がなくても優れた品質の餅類を提供できることが分かった。例えば、前記餅類の明度値(L値)は、62以上、63以上、または64以上であってもよい(この時、上限値は、70以下、69以下、68以下、67以下、または65以下であってもよい)。
【0038】
本発明の一例による餅類は、餅類の製造過程中、アルロースが投入される工程により褐変が防止されて餅類の黄色度(b値)が減少する効果がさらに優れることができる。具体的には、大福餅、モチ、白蒸し餅、松葉餅、加皮餅(白小豆入りの半月形餅)などのように白い色を有する餅類の場合、黄色度(b値)が低くて白色に近い色差値を有することが美観上優れた品質価値を有するため、別途の食品添加剤がなくても白色に近い色差値を有する餅類を提供するための要求が続いている。
【0039】
このため、試験例1の(2)で本発明の一例による餅類の黄色度を色差計を用いて測定し、表3に示されているように、アルロースを餅製造過程中のパンチング工程に投入した時、餅の黄色度がさらに低くて、褐変防止効果がさらに優れていることが分かった。例えば、前記餅類の黄色度(b値)は、5.4以下、5以下、または4.9以下であってもよい。これは、アルロースを加熱した時、褐変する性質を有し、蒸熟工程前にアルロースを添加する場合、加熱によってアルロース褐変が発生して黄色度(b値)が増加すると考えられた。よって、前記アルロースは、本発明の一例による餅類の製造時、穀粉と水とを混合した生地の蒸熟工程後に投入されるものであってもよい。一例として、前記アルロースは、本発明の一例による餅類の製造過程中、前記餅類のパンチング工程に投入されるものであってもよい。
【0040】
本発明の一例による餅類は、白蒸し餅、松葉餅、蜂蜜餅、大福餅、モチ、きな粉餅、加皮餅(白小豆入りの半月形餅)、粟餅、松粳餅、ベピ餅(もち米で作り、緑豆あんを入れた餅)、およびマユ餅からなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。特に、白蒸し餅、大福餅、モチなどのように白い色を有する餅類の場合、蒸熟工程後にアルロースを投入する場合、黄色度(b値)が低く、明度(L値)は高くて、優れた審美性を有する餅類を提供することができる。
【0041】
本発明の一例による餅類は、小豆、きな粉、ゴマ、マメ、ヨモギ、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、クリ、ヤマボクチ、ナツメ、および堅果類からなる群より選択された1種以上を追加的に含むものであってもよい。
【0042】
本発明の他の例は、穀粉と水とを混合して生地を製造する工程;前記生地を蒸熟する工程;前記蒸熟された生地をパンチングする工程;および前記パンチングされた生地を成形して餅を製造する工程を含み、前記餅がアルロースを含む、餅類の製造方法に関する。前記穀粉、前記餅類などは、上述した通りである。
【0043】
前記アルロースは、前記生地を蒸熟する工程の後に投入されるものであってもよいし、例えば、前記アルロースは、前記パンチングする工程で投入されるものであってもよい。アルロースは、加熱によって褐変する性質を有していて、白い色の餅類の製造時には、加熱過程である蒸熟工程の後にアルロースを投入することがより優れた審美性を有する餅類を提供することができるが、餅類の経年変化遅延の目的でアルロースを添加する場合には、工程順序の制限なくアルロースが投入可能である。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、室温または冷蔵保管時、硬度増加率および/または弾性減少率が従来の餅類に比べて顕著に改善された、アルロースを含むことで、経年変化が遅延した餅類を提供することができる。また、本発明は、アルロースを含むことで、明度値が高く黄色度は低くて、優れた審美性を有する餅類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0045】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0046】
実施例1: アルロースを含む餅の製造(1)
もち米粉1,000gを篩にかけ、塩10gとアルロースシロップ(75Brix、アルロースの固形分含有量15重量%)150gを水100gに溶解した後、もち米粉に添加して塊をほぐした後、篩にかけて餅製造のための生地を製造した。前記完成した生地を20分間蒸熟した。
蒸熟された餅生地を5分間パンチング後、20gずつ分割して丸く成形して餅を製造した。各原料の含有量を表1に示し、表1の含有量の表示単位は、米粉100重量を基準として各成分の重量を表示した重量部である。
【0047】
【0048】
比較例1: 砂糖を含む餅の製造
実施例1と実質的に同様の方法で製造し、アルロースシロップを全量砂糖150gに代替して生地を製造し、製造された生地を20分間蒸熟した。
蒸熟された餅生地を5分間パンチングした。製造された餅生地を20gずつ分割して丸く成形して餅を製造した。各原料の含有量を表1に示した。
【0049】
実施例2: アルロースを含む餅の製造(2)
実施例1の餅製造過程中、蒸熟前に行われた生地製造工程にアルロースを添加せず、生地製造および蒸熟工程を行った後に、パンチング工程でアルロースを添加して餅を製造した。
具体的には、もち米粉1000gを篩にかけた後、塩10gを水100gに溶解した後、もち米粉に添加して塊をほぐした後、篩にかけて生地を製造した。製造された生地を20分間蒸熟した。
蒸熟された餅生地を5分間パンチングし、パンチング過程中にアルロースシロップ(アルロース純度15%、75Brix)150gを添加した。製造された餅生地を20gずつ分割して丸く成形して餅を製造した。各原料の含有量を表1に示した。
【0050】
試験例1: アルロース含有餅の物性分析
(1)水分含有量の測定
実施例1~2および比較例1で製造された餅の水分含有量を測定した。具体的には、餅試料2gを称量して、水分分析器(Satoriuns、Germany)を用いて、温度105℃、時間は自動モードに設定して水分含有量を測定した。測定結果を表2に示した。
【0051】
【0052】
表2から分かるように、アルロースを蒸熟過程に添加するより、パンチング工程に添加する場合、水分含有量がより高くなった。このため、アルロースをパンチング工程で添加する場合、水分保持力に優れ、餅の経年変化遅延効果がさらに優れていることが分かった。
【0053】
(2)色価分析
実施例1および2で製造された餅の色価を測定した。色差計(CM-3500d、konica Minolta osaka、Japan)を用いて、明度(lightess)を示すL値、赤色度(redness)を示すa値と黄色度(yellowness)を示すb値などを測定した。この時、標準色板のL値は98.07、a値は0.63、b値は0.47であった。420nmはyellownessを測定する波長で、その値が高いほど黄色に近いと考えられる。
実施例1および実施例2で製造した餅類のL、a、b、E値の測定結果を下記表3に示した。具体的には、餅製造工程中においてアルロースを投入する工程の差による効果を確認すべく、蒸熟過程でアルロースを投入した実施例1と、パンチング工程でアルロースを投入した実施例2で製造した餅類の色価の測定結果を下記表3に示した。
【0054】
【0055】
表3の分析結果に示したように、b値は、米粉の蒸熟時、アルロースを共に投入した実施例1による餅で高くなり、米粉蒸熟工程にアルロースが投入されたり、蒸熟工程前にアルロースが投入される場合、アルロースの褐変反応によって餅の色が黄色を呈して、餅製造工程中のパンチング工程にアルロースを添加する場合に、色が明るくて黄色を呈しないので、審美的に優れた餅の製造が可能であることが分かった。また、ΔE*ab値は、パンチング工程にアルロースを投入して製造した実施例2による餅でより低くなり、アルロースをパンチング工程に投入した餅が、蒸熟過程に投入した餅より褐変程度が低く、従来の砂糖を添加した餅とより類似する色を呈していることが分かった。
【0056】
(3)餅の硬度変化(経年変化評価)
実施例1、実施例2および比較例1の餅を室温(23℃の温度)、40%の湿度条件で1日、2日、および3日保管後、表4の分析条件でTPA方法で硬度を測定して、保管による経年変化程度を測定した。TPA方法とは、口の中での咀嚼運動を現像化したもので、復元性のあるサンプルを連続2回圧縮して、Hardness(硬度)、Springiness(弾性)などの物性の結果値が求められる実験方法である。硬度の測定は5回繰り返して平均値で表した。
【0057】
【0058】
餅の硬度は、圧着時に加えられる力を測定して表し、その程度は単位面積あたりに加えられる重量(g)で表した。テクスチャー分析器による硬度(Hardness)の値が高ければ、餅を押す時に多くの力がかかることを意味し、より硬い食感を有することを意味する。測定結果を表5に示した。表5中、硬度増加率(%)は、保管1日目対比保管3日目の硬度増加率(%)を意味する。
【0059】
【0060】
表5から分かるように、比較例1の餅類に比べて、実施例1および2の餅類の硬度増加率が50%以下と顕著に低く、アルロース含有餅類の経年変化遅延効果を確認できた。
【0061】
(4)弾力性分析(経年変化評価)
実施例1および実施例2の餅を23℃の温度、40%の湿度条件で1日保管後の弾力性と3日保管後の弾力性を測定して、保管による弾力損失程度を測定した。
弾力性は、硬度の測定方法と同様に、表4による条件下、TPA方法で測定した。餅の弾力性とは、変形された餅が力の除去後に元の状態に戻ろうとする性質を示し、弾力性が低いことは、噛んだ後の復元性が低いことを意味し、弾力性が低い餅は経年変化が進行して硬くぼそぼそと切れたりパサパサの食感を有する。保管1日目対比3日目の弾力性減少率を計算して表6に示した。表6中、弾力性減少率(%)は、実施例1~2の餅の保管1日目対比3日目の弾力性減少率(%)を意味する。
【0062】
【0063】
表6から分かるように、アルロースを餅の蒸熟前に混合した時より、アルロースをパンチング工程に投入した時の弾力性減少率がさらに低く、餅製造工程中のパンチング工程にアルロースを添加する場合に餅の経年変化がさらに防止されることが分かった。
【0064】
実施例3: 多様なアルロース含有量を有する餅の製造
実施例2と同様の方法で餅を製造し、アルロースの一部を砂糖に代替して、アルロースの含有量を多様に変更して餅を製造した。
具体的には、篩にかけたもち米粉1000gに、砂糖105g(実施例3-1)、砂糖75g(実施例3-2)、または砂糖45g(実施例3-3)を、塩10gと水100gを添加して塊をほぐした後、生地を製造した。前記製造された生地を20分間蒸熟した。
前記蒸熟された餅生地を5分間パンチングし、パンチング過程中、75Brix純度15%のアルロースシロップを45g(実施例3-1)、75g(実施例3-2)、または105g(実施例3-3)添加した。製造された餅生地を20gずつ分割して丸く成形して餅を製造した。各原料の含有量を表7に示した。表7の含有量の表示単位は、米粉100重量を基準として各成分の重量を表示した重量部である。
【0065】
【0066】
試験例2: 多様なアルロース含有量を有する餅の物性分析
(1)水分含有量分析
実施例3-1~3-3により製造された餅試料2gを称量して、水分分析器(Satoriuns、Germany)を用いて、温度105℃、時間は自動モードに設定して水分含有量を測定した。測定結果を表8に示した。
【0067】
【0068】
表8から分かるように、比較例1による砂糖を添加した餅に比べて、実施例3によるアルロースを添加した餅の水分含有量が高くなり、アルロースの含有量が高くなるほど餅の水分含有量がさらに高くなった。これは、アルロースを添加した餅が、砂糖を添加した餅に比べてさらに柔らかい食感を提供することができ、高い水分含有量を示すことから、水分保持力に優れて餅の経年変化遅延に寄与し、室温保管や冷蔵、冷凍保管時にも、餅の品質変化を最小化して柔らかい食感を維持できることが分かった。
【0069】
(2)餅の色価の測定
実施例3-1および3-3および比較例1で製造された餅の色価を測定した。色差計(CM-3500d、konica Minolta osaka、Japan)を用いて、明度(lightess)を示すL値、赤色度(redness)を示すa値と黄色度(yellowness)を示すb値などを測定した。この時、標準色板のL値は98.07、a値は0.63、b値は0.47であった。420nmはyellownessを測定する波長で、その値が高いほど黄色に近いと考えられる。
アルロースの含有量による効果を確認すべく、比較例1と実施例3-1、3-2および3-3で製造した餅類の明度の測定結果を下記表9に示した。
【0070】
【0071】
表9の明度値に示したように、比較例1による砂糖を適用した餅に比べて、実施例3-1~3-3によるアルロースを適用した餅のL値(明度)が高くなり、これは、アルロースを添加した餅がより明るい色を示すことを意味する。アルロースを添加した餅が高い明度を有することは、明るくて白色を呈するほどさらに望ましい品質価値を有する大福餅などにアルロースを適用する場合、優れた官能を示すことができることを意味する。
【0072】
(3)餅の硬度変化(経年変化評価)
試験例1と実質的に同様の方法により、実施例3-1~3-3、および比較例1の餅を23℃の温度、40%の湿度条件で1日、2日、3日、および4日保管後、表5の分析条件下、TPA方法で硬度を測定して保管による経年変化程度を測定し、結果を表10に示した。表10中、3日目の硬度増加率(%)は、保管1日目対比保管3日目の硬度増加率(%)を意味し、4日目の硬度増加率(%)は、保管1日目対比保管4日目の硬度増加率(%)を意味する。
【0073】
【0074】
表10から分かるように、比較例1および実施例3-1~3-3で餅に含まれているアルロースの砂糖代替率が高いほど保管時間が増加することによって、硬度増加速度が低くなり柔らかい食感が維持されることを確認でき、アルロースを含むことによって、餅が硬く固まる硬化が抑制されて、アルロースが餅の経年変化遅延効果を有することが分かった。また、水分含有量の測定時、アルロースを含む餅の水分含有量が高いことから、アルロースが餅の水分保持力を有していることを確認し、餅の主成分であるデンプンの鎖の再会合を抑制することによって、柔らかい餅の食感を維持することができた。これは、室温保管だけでなく、冷蔵または冷凍保管することにより進行する餅の経年変化を抑制して、アルロースを含まない餅に比べて貯蔵期間が長くなったにもかかわらず品質を維持できることを確認した。
【0075】
(4)餅の弾力性変化
試験例1と実質的に同様の方法により、実施例3-1~3-3、および比較例1の餅を23℃の温度、40%の湿度条件で1日保管後の弾力性と4日保管後の弾力性を測定して、保管による弾力損失程度を測定した。保管1日目対比保管4日目の弾力性減少率(%)を計算して表11に示した。表11中、弾力性減少率(%)は、保管1日目対比保管4日目の弾力性減少率(%)を意味する。
【0076】
【0077】
表11から分かるように、アルロースで砂糖の代替率が高いほど弾力性減少率が低くて初期の食感が維持されることを確認でき、アルロースを含むことによって餅の弾力性損失が抑制されて、アルロースが餅の経年変化遅延効果を有することが分かった。弾力性に優れるというのは、力を加えた後にも復元性が良いとの意味で、弾力性に優れた製品は優れたもちもちの食感が感じられる。一般に、餅類で好まれる食感としては、硬くて弾力的な食感よりは、柔らかくて弾力性に優れた食感が好まれるが、アルロースを含む餅の食感が柔らかくて弾力性が維持されることを確認した。また、大部分餅の経年変化が進行することによって、硬くてぼそぼそと切れる食感で弾力性は低下するのに対し、アルロースを含有した餅の弾力性減少率が低いというのは、初期のもちもちの食感が維持されることを意味する。
【0078】
試験例3: 餅の伸張性分析
テクスチャー分析器(TA-XT2i、Stable micro system社)を用いて、下記の条件により、実施例1および実施例2の餅と、比較例1の餅の伸張性を比較した。その結果を表12に示した。
-Test mode: Return to start(伸張性測定)
-試料サイズ: 直径5mm、長さ7cm(サンプルサイズ:ウドン麺のような筋状)
-速度: Test speed 5mm/sec(probeが試料を押す速度)
-距離(distance): 150mm(Probeが試料に当たった後150mmまで伸ばす)
-probe: Kieffer dough&gluten extensibility rig
【0079】
【0080】
表12から分かるように、餅の伸びる程度である伸張性がアルロースを適用した餅で顕著に高くなり、アルロースを適用した餅が柔らかくて伸張性が増進する効果を有することが分かった。
【0081】
試験例4: 冷蔵保管による餅の物性変化(経年変化評価)
(1)硬度変化の測定
餅の冷蔵保管による経年変化程度を比較するために、実施例1および実施例2の餅と、比較例1の餅を、冷蔵温度の5℃で1時間保管後の硬度と3時間保管後の硬度を測定して、冷蔵保管による経年変化程度を測定した。測定結果を表13に示した。
【0082】
【0083】
表13に示したように、餅の製造後、冷蔵保管1時間経過後から硬度を測定した結果、アルロースを適用した餅の硬度が低く、これは、アルロースを適用した餅の場合、冷蔵保管による硬化に対する抵抗性がより高いことを意味する。
【0084】
(2)弾力性変化の測定
餅の冷蔵保管による経年変化程度を比較するために、実施例1および実施例2の餅を、冷蔵温度の5℃で1時間保管後の弾力性と3時間保管後の弾力性を測定して、冷蔵保管による経年変化程度を測定した。測定結果を表14に示した。
【0085】
【0086】
表14から分かるように、餅の製造後、冷蔵保管1時間経過後から弾力性を測定した結果、アルロースを餅の蒸熟前に混合した時(実施例1)より、アルロースをパンチング工程に投入した時(実施例2)の弾力性減少率がさらに低く、餅製造工程中のパンチング工程にアルロースを添加する場合に、餅の冷蔵保管による経年変化がさらに防止されることが分かった。