(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-03
(45)【発行日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ロボット液体取り扱いシステムのための熱循環器
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20231004BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20231004BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20231004BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20231004BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20231004BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20231004BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20231004BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALN20231004BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N35/02 A
C12N15/10 Z
C12M1/00 A
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
(21)【出願番号】P 2022537004
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 US2020065810
(87)【国際公開番号】W WO2021127315
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビス, マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ルー, クリスティーナ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】モシェル, レイチェル エレン
(72)【発明者】
【氏名】ネイ, ピーター ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サウアーバーガー, マーク エフ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ザッカリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー, ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】スプリングストン, ジェイソン エル.
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513975(JP,A)
【文献】特開2016-135159(JP,A)
【文献】特開2016-165305(JP,A)
【文献】特開2007-017441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0112829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G01N 35/02
C12N 15/10
C12M 1/00
C12Q 1/6806
C12Q 1/6869
C12Q 1/686
C12Q 1/6851
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して、生物学的サンプルを調製する方法であって、前記方法は、
前記ロボット液体ハンドラの前記熱循環器を使用して、第1のタイプの反応容器の第1の反応容器内で、液体の第1の体積中で前記生物学的サンプルから核酸を増幅することであって、前記第1のタイプの反応容器は、より大容積の上側区分と、より低容積の下側区分とを有し、前記液体の第1の体積は、前記第1の反応容器の
前記より低容積の下側区分を包含するが、
前記より大容積の上側区分を包含しない、ことと、
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1のタイプの反応容器の反応容器内で、液体の第2の体積中で前記増幅された核酸を分離することと
を含み、
前記液体の第2の体積は、前記反応容器の
前記より大容積の上側区分と、前記より低容積の下側区分とを包含する、方法。
【請求項2】
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記核酸が増幅された前記第1の反応容器内で、前記生物学的サンプルから前記核酸を分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱循環器を使用して、
前記核酸を増幅する前の前記生物学的サンプル
を急冷することと、
前記生物学的サンプルに試薬を添加することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記下側区分に近接した前記熱循環器の下側加熱要素を使用して、前記下側区分内で、
前記核酸を増幅する前の前記生物学的サンプル
を加熱することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸を増幅する前の前記生物学的サンプル
を増幅することは、
前記下側区分内で、前記生物学的サンプルから分離された前記核酸にアダプタおよびマスタミックスを添加することと、
前記下側区分に近接した前記熱循環器の下側加熱要素を使用して、前記下側区分をインキュベートすることと
を含む、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記増幅された核酸を分離することは、
前記増幅された核酸にビーズを添加し、標的化された核酸の特異性を増大させることと、
エタノールを使用して前記分離された核酸を洗浄し、前記増幅された核酸の体積を増大させ、前記下側区分を充填し、前記上側区分を少なくとも部分的に充填することと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記下側加熱要素と前記上側区分に近接した上側加熱要素とを使用して、前記下側区分および前記上側区分内で、前記増幅された核酸をインキュベートすることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1のタイプの反応容器の第2の反応容器内で、前記生物学的サンプルからの前記核酸に対して断片化反応を実施することをさらに含む、請求項1-7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1の反応容器内で、前記生物学的サンプルからの前記核酸に対してアダプタ連結反応を実施することをさらに含む、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記自動化熱循環器は、
前記第1のタイプの反応容器の前記より低容積の下側区分の温度を制御するように構成された下側温度制御区域と、
前記第1のタイプの反応容器の前記より大容積の上側区分の温度を制御するように構成された上側温度制御区域と
を含む、請求項1-9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記下側温度制御区域は、迅速な熱循環のために適合され、前記上側温度制御区域は、標的化された温度インキュベーションのために適合されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記自動化熱循環器の前記上側温度制御区域は、前記第1の反応容器の前記より大容積の上側区分と並んで配置された加熱器ブロックの中に位置し、前記より大容積の上側区分の温度を制御する加熱器を備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記反応容器の前記下側区分に二重鎖ライブラリ断片およびオリゴプローブを添加することと、
前記下側区分を周囲温度を上回る第1の温度まで加熱し、前記二重鎖ライブラリ断片を単鎖ライブラリ断片に変性させることと、
前記反応容器の前記上側区分を前記第1の温度を上回る第2の温度まで加熱することと、
前記第1の温度を低下させ、前記オリゴプローブが前記単鎖ライブラリ断片に結合することを可能にすることと、
前記反応容器内の液体のある体積が前記反応容器の前記上側区分の中に延びているように、前記反応容器にストレプトアビジンビーズを添加することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記より大容積の上側区分の第1の容積は、前記より低容積の下側区分の第2の容積より大きく、前記第2の容積は、約100μlであり、前記第1の容積は、約900μlである、請求項1-13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記より大容積の上側区分は、第1の壁厚を有し、
前記より低容積の下側区分は、第2の壁厚を有し、
前記第1の壁厚は、前記第2の壁厚より大きい、
請求項1-14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本特許出願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2019年12月20日に出願された米国仮出願第62/951,720号の優先権の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本願は、概して、限定ではないが、試薬(例えば、液体試薬および溶媒)を組み合わせるための流体取り扱いシステム(種々の用途において使用されることができるそれら等)に関する。より具体的に、本願は、流体取り扱いシステム(複数の試薬および溶媒を使用してライブラリ構築(例えば、シーケンシングのためのDNAまたはRNA断片のライブラリ)を実施するための液体のコンテナを装填されたそれら等)において使用される熱循環器モジュールを使用したサンプルの加熱および冷却のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流体取り扱いシステム(液体ハンドラ等)を使用して、サンプルに対してライブラリ構築を実施するために、流体取り扱いシステムは、典型的に、オペレータまたはユーザによって設定される。設定は、サンプルと、ライブラリ構築試薬と、実験器具の種々のアイテム(ピペット先端、プレート蓋、および種々のタイプおよび構成の液体コンテナ(リザーバ、マイクロタイタプレート、試験管、バイアル、微量高速遠心機管等を含む))とを装填することを含み得る。ライブラリ構築のための試薬は、販売業者からキットとして供給され得る。したがって、典型的ライブラリ構築は、流体取り扱いシステムのプラットフォーム上への複数のキット試薬の装填を伴う。
【0004】
ライブラリ構築キットの処理は、種々の試薬および液体を選択することと、種々の数量および容積における種々の液体容器内で種々の温度においてそれらを混合することとを伴い得る。典型的キットは、およそ12~87個の任意の数の試薬コンテナを含むことができ、平均約28個の試薬コンテナを伴う。コンテナは、サイズ、形状、および容積において変動し得る。実施されているライブラリ構築プロセスのセグメントに応じて、ライブラリ試薬の一部のみが、任意の所与の時間において必要とされる。
【0005】
試薬は、典型的に、実施されるべきプロセスに応じて、種々の異なるコンテナ、容器、およびバイアル内で混合される。さらに、実施されるべきプロセスに応じて、種々のコンテナが、異なる時間にわたって異なるレベルまで加熱される。
【0006】
ライブラリ構築キットの処理における使用のための熱循環器が、「Flexible Heating Cover Assembly for Thermal Cycling of Samples of Biological Material」と題された、Brown et al.の米国特許第6,730,883(特許文献1)において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、とりわけ、ライブラリ構築および他のサンプル構築プロセスを行うことにおいて解決されるべき問題が、異なる構築プロセスのために複数の異なる液体容器を使用する必要がある要件を伴うことを認識している。これは、そのうちのいくつかが、任意の所与のプロセスに使用されないであろう種々の容器を有することを要求するのみならず、非効率的な熱循環器の使用ももたらし得る。例えば、異なるサイズおよび形状の容器を加熱するように構成された一般的な熱循環器は、常時、均一に、または最も効率的な方法において各容器を加熱することができるわけではない。典型的な自動化熱循環器および対応するPCRプレートが、少量のみの迅速な熱循環のために好適であるように構成される一方、汎用目的のインキュベータおよび対応するサンプル/反応容器は、多くの場合、特定の用途、容積のために必要とされるものを超える、より大きい容積のために好適であるように構成され、適合されている。したがって、そのようなシステムは、熱浪費、非効率的動作、複数の液体容器タイプを維持する必要があること、および容器間で移送するときの溢流に起因する液体損失の可能性を伴う。
【0009】
本主題は、汎用的液体容器と、複数の加熱区域または段階を有する熱循環器とを含み得る熱循環器システムおよび方法等を提供することによって、これらの問題および他の問題に対する解決策を提供することができる。汎用的容器は、異なるサイズの隣接する容器容積を生成する幾何学形状を有することができる。異なる容積の壁が、熱循環器の異なる加熱区域に係合することができる。例では、各容積を生成する壁が、異なる厚さを有し、異なる熱伝達率を促進するように生成されることができる。したがって、単一の加熱デバイスおよび単一のタイプのサンプル/反応容器のみが、多種多様なプロセスおよび動作を実施するために必要とされる。
【0010】
ある例では、自動化熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して生物学的サンプルを調製する方法は、ロボット液体ハンドラの熱循環器を使用して、より大容積の上側区分と、より低容積の下側区分とを有する第1のタイプの反応容器の第1の反応容器内で、液体の第1の体積中で生物学的サンプルから核酸を増幅することであって、液体の第1の体積は、第1の反応容器のより低容積の下側区分を包含するが、そのより大容積の上側区分を包含しない、ことと、ロボット液体ハンドラを使用して、第1のタイプの反応容器の反応容器内で、液体の第2の体積中で増幅された核酸を分離することであって、液体の第2の体積は、反応容器のより大容積の上側区分と、そのより低容積の下側区分とを包含する、こととを含むことができる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
自動化熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して、生物学的サンプルを調製する方法であって、前記方法は、
前記ロボット液体ハンドラの前記熱循環器を使用して、第1のタイプの反応容器の第1の反応容器内で、液体の第1の体積中で前記生物学的サンプルから核酸を増幅することであって、前記第1のタイプの反応容器は、より大容積の上側区分と、より低容積の下側区分とを有し、前記液体の第1の体積は、前記第1の反応容器のより低容積の下側区分を包含するが、そのより大容積の上側区分を包含しない、ことと、
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1のタイプの反応容器の反応容器内で、液体の第2の体積中で前記増幅された核酸を分離することと
を含み、
前記液体の第2の体積は、前記反応容器のより大容積の上側区分と、前記より低容積の下側区分とを包含する、方法。
(項目2)
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記核酸が増幅された前記第1の反応容器内で、前記生物学的サンプルから前記核酸を分離することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記熱循環器を使用して、前記生物学的サンプルから分離された前記核酸を急冷することと、
前記生物学的サンプルに試薬を添加することと
をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記下側区分に近接した前記熱循環器の下側加熱要素を使用して、前記下側区分内で、前記生物学的サンプルから分離された前記核酸を加熱することをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記生物学的サンプルから分離された前記核酸を増幅することは、
前記下側区分内で、前記生物学的サンプルから分離された前記核酸にアダプタおよびマスタミックスを添加することと、
前記下側区分に近接した前記熱循環器の下側加熱要素を使用して、前記下側区分をインキュベートすることと
を含む、項目1-4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記増幅された核酸を分離することは、
前記増幅された核酸にビーズを添加し、標的化された核酸の特異性を増大させることと、
エタノールを使用して前記分離された核酸を洗浄し、前記増幅された核酸の体積を増大させ、前記下側区分を充填し、前記上側区分を少なくとも部分的に充填することと
をさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記下側加熱要素と前記上側区分に近接した上側加熱要素とを使用して、前記下側区分および前記上側区分内で、前記増幅された核酸をインキュベートすることをさらに含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1のタイプの反応容器の第2の反応容器内で、前記生物学的サンプルからの前記核酸に対して断片化反応を実施することをさらに含む、項目1-7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記ロボット液体ハンドラを使用して、前記第1の反応容器内で、前記生物学的サンプルからの前記核酸に対してアダプタ連結反応を実施することをさらに含む、項目1-8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記自動化熱循環器は、
前記第1のタイプの反応容器の前記より低容積の下側区分の温度を制御するように構成された下側温度制御区域と、
前記第1のタイプの反応容器の前記より大容積の上側区分の温度を制御するように構成された上側温度制御区域と
を含む、項目1-9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記下側温度制御区域は、迅速な熱循環のために適合され、前記上側温度制御区域は、標的化された温度インキュベーションのために適合されている、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記自動化熱循環器の前記上側温度制御区域は、前記第1の反応容器の前記より大容積の上側区分と並んで配置された加熱器ブロックの中に位置し、前記より大容積の上側区分の温度を制御する加熱器を備えている、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記反応容器の前記下側区分に二重鎖ライブラリ断片およびオリゴプローブを添加することと、
前記下側区分を周囲温度を上回る第1の温度まで加熱し、前記二重鎖ライブラリ断片を単鎖ライブラリ断片に変性させることと、
前記反応容器の前記上側区分を前記第1の温度を上回る第2の温度まで加熱することと、
前記第1の温度を低下させ、前記オリゴプローブが前記単鎖ライブラリ断片に結合することを可能にすることと、
前記反応容器内の液体のある体積が前記反応容器の前記上側区分の中に延びているように、前記反応容器にストレプトアビジンビーズを添加することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記より大容積の上側区分の第1の容積は、前記より低容積の下側区分の第2の容積より大きく、前記第2の容積は、約100μlであり、前記第1の容積は、約900μlである、項目1-13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記より大容積の上側区分は、第1の壁厚を有し、
前記より低容積の下側区分は、第2の壁厚を有し、
前記第1の壁厚は、前記第2の壁厚より大きい、
項目1-14のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示のある例による、流体取り扱いシステムのブロック図である。
【0012】
【
図2】
図2は、筐体と、カルーセルと、反応容器と、熱循環器モジュールと、撮像デバイスとを備えている
図1の例示的流体取り扱いシステムの斜視図である。
【0013】
【
図3】
図3は、反応容器と、熱循環器モジュールとを含む種々の構成要素のための空間を伴う
図2の筐体の中に装填するためのデッキの平面図である。
【0014】
【0015】
【
図5】
図5は、蓋を持ち上げるための駆動モジュールを含む
図4の熱循環器モジュールのための加熱蓋アセンブリの斜視図である。
【0016】
【0017】
【
図7】
図7は、
図4の熱循環器システム内での使用のための熱循環モジュールの斜視図である。
【0018】
【
図8】
図8は、インキュベーション熱ブロック、熱循環器熱ブロック、およびヒートシンクを示す
図7の熱循環モジュールの分解図である。
【0019】
【
図9】
図9および10は、
図7および8の熱循環モジュールとの使用のための反応容器の斜視図および上面図である。
【
図10】
図9および10は、
図7および8の熱循環モジュールとの使用のための反応容器の斜視図および上面図である。
【0020】
【
図11】
図11は、下側チャンバおよび上側チャンバを示す
図9の反応容器の断面図である。
【0021】
【
図12】
図12および13は、
図8の熱循環器熱ブロックの斜視図および上面図である。
【
図13】
図12および13は、
図8の熱循環器熱ブロックの斜視図および上面図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【
図17】
図17は、磁石およびピペット先端を示す
図9-11の反応容器の容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本開示のある実施形態による、処理システム100の高レベルブロック図である。処理システム100は、制御コンピュータ108を備えていることができ、制御コンピュータ108は、構造140、搬送デバイス141、処理装置101、および熱循環器システム107に動作可能に結合されている。入力/出力インターフェースが、これらのデバイスの各々の中に存在し、図示されるデバイスと外部デバイスとの間のデータ伝送を可能にし得る。処理システム100は、本明細書に説明されるような流体取り扱いシステムを備えていることができる。流体は、試薬等の種々の液体を含むことができる。本開示が実装され得る例示的処理システムは、Beckman Coulter,Inc.(Brea,California)によって市販されているBiomek i7自動化ワークステーションである。
【0028】
説明の目的のために、処理システム100は、主に、生物学的サンプルを処理することおよび分析すること(次世代シーケンシング(NGS)ライブラリを含む核酸断片のライブラリ(例えば、DNAまたはRNA分子から導出される断片のライブラリ)の調製等)を行うためのシステムとして説明されるであろう。例えば、本開示の実施形態は、熱循環システム内に装填された反応容器内で試薬を熱循環させること、およびインキュベートすることを含むことができ、単一の反応容器および単一の熱循環システムが、その中に装填される異なる液体のための複数の異なる加熱機能を実施することができる。
【0029】
構造140は、筐体(例えば、
図2の筐体202)と、筐体を支持するための脚部またはキャスタと、電源と、筐体内に装填可能なデッキ105と、任意の他の好適な特徴とを含むことができる。デッキ105は、平面状の物理的表面等の物理的表面(例えば、
図2のプラットフォーム212)を含むことができ、構成要素は、その物理的表面上に設置され、実験、分析、およびプロセスのためにアクセスされ得る。いくつかの事例では、デッキ105は、床またはテーブルトップ表面であることができる。デッキ105は、異なる構成要素を設置するために、複数の別々のデッキ場所(例えば、
図3の場所L1-L16)に細分されることができる。場所は、直接、隣接することができるか、または、互いに間隔を置かれることができる。各デッキ場所は、異なるデッキ場所を分離し、構成要素を含むための仕切、挿入体、および/または任意の他の支持構造を含むことができる。例示的目的のために、
図1は、第1の場所105Aと、第2の場所105Bと、第3の場所105Cとをデッキ105上に示すが、追加の場所も、含まれることができる。場所105A-105Cのうちの1つ以上のものは、カルーセル(例えば、
図2のカルーセル204)または1つ以上の反応容器(例えば、
図2の反応容器205)を装填されることができ、それらは、1つ以上の構成要素(液体のバイアル等)を保持するための空間を含み得る。構造140は、加えて、カルーセルをデッキ105に対して回転させ、とりわけ、移送デバイス141、反応容器、および熱循環器システム107との相互作用を促進するために、モータまたは別のデバイスを含むことができる。さらに、構造140のモータまたは構造140の追加のモータが、デッキ105上に装填される個々のバイアル、デッキ105上に装填されるトレイまたは反応容器、または、デッキ105上に位置しているカルーセルを回転させるために使用されることができる。
【0030】
XおよびY方向における移動能力とZ方向における巻き上げ能力とを有するトローリ、ブリッジ、または輸送システムを備え得る搬送デバイス141(複数の搬送デバイスを表し得る)が、構成要素を調製、および/または、デッキ105と処理装置101との間、および、デッキ105上の異なる場所間で搬送することができる。搬送デバイスの例は、コンベヤ、クレーン、サンプルトラック、ピックアンドプレースグリッパ、独立して移動し得る実験室用搬送要素(例えば、パック、ハブ、または台座)、ロボットアーム、および他の管または構成要素運搬機構を含み得る。いくつかの実施形態では、搬送デバイス141は、液体を移送するように構成されたピペット採取ヘッドを含む。そのようなピペット採取ヘッドは、除去可能ピペット先端内の液体を移送し得、マイクロウェルプレート等の他の実験器具を握持または解放するために好適なグリッパを含み得る。
【0031】
処理装置101は、任意の好適なプロセスを実行するための任意の数の機械または器具を含むことができる。例えば、処理装置101は、分析器を含むことができ、それは、生物学的サンプル等のサンプルを分析することが可能である任意の好適な器具を含み得る。分析器の例は、分光光度計、輝度計、質量分析計、免疫分析器、血液学分析器、微生物学分析器、および/または分子生物学分析器を含む。いくつかの実施形態では、処理装置101は、サンプルステージ分類装置を含むことができる。サンプルステージ分類装置は、生物学的サンプルを伴うサンプル管を受け取るためのサンプル提示ユニットと、サンプル管またはサンプル保持容器を一時的に保管するためのサンプル保管ユニットと、サンプルを分取するための手段またはデバイス(アリコータ等)と、分析器のために必要とされる試薬を備えている少なくとも1つの試薬パックを保持するための手段と、任意の他の好適な特徴とを含むことができる。
【0032】
熱循環器システム107は、デッキ105に対して位置付けられることができ、反応容器205(
図2)等の液体容器を受け取るように構成されることができる。液体容器は、熱循環器システム107の中に手動で、または搬送デバイス141を介して装填されることができる。熱循環器システム107は、
図3-16Bを参照してより詳細に下で議論されるであろうような複数の異なる加熱区域を提供するように構成されることができ、複数の異なる加熱区域は、反応容器205の異なる部分を異なる温度まで加熱することができる。例えば、熱循環器システム107は、加熱の3つのスタックされた(または垂直の)レベルを備えていることによって、上部、中側、および底部加熱区域を反応容器205に提供することができる。したがって、例えば、反応容器205内に配置された液体の量およびタイプに応じて、異なる量の熱が、印加され、熱循環およびインキュベートプロセス等を実施することができる。
【0033】
処理システム100は、撮像システム、例えば、カメラを装備し、デッキ105上に装填される試薬バイアルのラベルを読み取ることができる。撮像システムは、システム100の中に装填される任意の単一の試薬バイアルラベルの全ての部分が、少なくとも1つのカメラの視野内にあることを確実にすることができる。したがって、試薬バイアルの円周の周りに巻き付けられた試薬バイアルラベルに関して、ミラーまたはターンテーブルの使用の有無にかかわらず、1つ以上の撮像デバイスは、各試薬バイアルの完全な360度ビューを有することができる。撮像デバイスは、デッキ105およびデッキ105上の任意の構成要素、または構造140の全体の画像を捕捉するための任意の好適なデバイスであることができる。撮像デバイスは、構造140またはその近傍に搭載された複数の撮像デバイスのうちの1つを備えていることができる。追加の例では、複数の撮像デバイスが、デッキ105上に配置された試薬バイアルの複数のビューを取得するように搭載されることができる。例えば、撮像デバイスは、光カメラ、ビデオカメラ、3次元画像カメラ、赤外線カメラ等の任意の好適なタイプのカメラであることができる。いくつかの実施形態はまた、3次元レーザスキャナ、赤外線光深度感知技術、または物体および/または部屋の3次元表面マップを生成するための他のツールを含むことができる。例では、撮像デバイスは、当技術分野において公知であるように、スリット走査技術を利用し、パノラマ画像を生成することができる。撮像システムによって撮影された画像は、流体取り扱いシステムによって、視覚インジケータ(例えば、数字、テキスト、またはシンボル)の認識に関して、分析されることができる。
【0034】
制御コンピュータ108は、処理システム100上で起動されるプロセスを制御し、最初に、プロセスを構成し、構成要素設定がプロセスのために正しく調製されているかどうかをチェックすることができる。制御コンピュータ108は、処理装置101、搬送デバイス141、および/または熱循環器システム107を制御し、および/またはそれらにメッセージを伝送することができる。制御コンピュータ108は、データプロセッサ108Aと、データプロセッサ108Aに結合された非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体108Bおよびデータ記憶装置108Cと、1つ以上の入力デバイス108Dと、1つ以上の出力デバイス108Eとを備えていることができる。制御コンピュータ108は、
図1では、単一のエンティティとして描写されるが、制御コンピュータ108が、分散型システム内またはクラウドベースの環境内に存在し得ることを理解されたい。加えて、実施形態は、制御コンピュータ108、処理装置101、搬送デバイス141、および/または熱循環器システム107のうちのいくつかまたは全てが、単一デバイス内の構成部品として、組み合わせられることを可能にする。
【0035】
出力デバイス108Eは、データを出力し得る任意の好適なデバイスを備えていることができる。出力デバイス108Eの例は、表示画面、ビデオモニタ、スピーカ、オーディオおよび視覚アラーム、およびデータ伝送デバイスを含むことができる。入力デバイス108Dは、データを制御コンピュータ108の中に入力することが可能な任意の好適なデバイスを含むことができる。入力デバイスの例は、ボタン、キーボード、マウス、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロホン、ビデオカメラ、およびセンサ(例えば、光センサ、位置センサ、速度センサ、近接度センサ)を含み得る。
【0036】
データプロセッサ108Aは、任意の好適なデータ計算デバイスまたはそのようなデバイスの組み合わせを含むことができる。例示的データプロセッサは、所望の機能を遂行するために協働する、1つ以上のマイクロプロセッサを備え得る。データプロセッサ108Aは、ユーザおよび/またはシステム発生要求を実行するためのプログラム構成要素を実行するために適正な少なくとも1つの高速データプロセッサを備えているCPUを含むことができる。CPUは、AMD製Athlon、Duron、および/またはOpteron、IBMおよび/またはMotorola製PowerPC、IBMおよびSony製Cellプロセッサ、Intel製Celeron、Itanium、Pentium(登録商標)、Xeon、および/またはXScale、および/または同様のプロセッサ等のマイクロプロセッサであり得る。
【0037】
コンピュータ読み取り可能な媒体108Bおよびデータ記憶装置108Cは、電子データを記憶し得る任意の好適なデバイスまたは複数のデバイスであることができる。メモリの例は、1つ以上のメモリチップ、ディスクドライブ等を備え得る。そのようなメモリは、任意の好適な電気、光学、および/または磁気動作モードを使用して動作し得る。
【0038】
コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、任意の好適な方法を実施するためのデータプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備えていることができる。例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、プロセッサ108Aによって実行可能なコードを含み、コードは、実験器具内で種々の試薬を異なるレベルまで混合することと、実験器具を異なるレベルまで加熱することと、追加の試薬を添加することと、熱循環器システム107を使用して追加の加熱を実施することとを含む自動化された試薬処理および加熱方法を処理システム100に実施させることができる。
【0039】
コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、1つ以上のプロトコル(例えば、生物学的サンプルを処理するためのプロトコルまたはライブラリ構築プロセスのためのプロトコル)のためのプロセスステップを受信および記憶することと、1つ以上のプロトコルのためのプロセスステップ(下記の例の節を参照して説明されるそれら等)を実行するように熱循環器システム107、構造140、搬送デバイス141、および/または処理装置101を制御することとを行うためのデータプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備えている。コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、処理装置101からの結果(例えば、生物学的サンプルを分析することからの結果)を受信し、結果を転送することまたは追加の分析の(例えば、患者を診断する)ために結果を使用することを行うためのデータプロセッサ108Aによって実行可能なコードも備えていることができる。
加えて、コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、デッキ105の画像を取得し、デッキ105の画像内の情報を識別し、データ記憶装置108Cまたはコンピュータ読み取り可能な媒体108B内に記憶される情報を使用して、解読される情報をプロトコル108F内に含まれる情報と比較することによって、画像内の情報を解読し、それに応じて熱循環器システム107を装填するために、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備えていることができる。
【0040】
データ記憶構成要素108Cは、制御コンピュータ108の内部または外部にあることができる。データ記憶構成要素108Cは、1つ以上のメモリチップ、ディスクドライブ等を含む1つ以上のメモリを含むことができる。データ記憶構成要素108Cは、従来のフォルトトレラント、相関的、拡張可能、セキュアなデータベース(OracleTMまたはSybaseTMから市販のそれら等)も含むことができる。いくつかの実施形態では、データ記憶装置108Cは、プロトコル108Fと、画像108Gとを記憶することができる。データ記憶構成要素108Cは、加えて、プロトコルを含むデータプロセッサ108Aのための命令を含むことができる。コンピュータ読み取り可能な媒体108Bおよびデータ記憶構成要素108Cは、不揮発性メモリ、磁気メモリ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、プログラマブル読み取り専用メモリ等の任意の好適な記憶デバイスを備えていることができる。
【0041】
データ記憶構成要素108Cにおけるプロトコル108Fは、1つ以上のプロトコルについての情報を含むことができる。プロトコルは、完了するための1つ以上の処理ステップ、プロセス中に使用される構成要素、構成要素場所レイアウト、熱循環器システム107の装填、熱循環器システム107の加熱レベルについての情報、および/またはプロセスを完了するための任意の他の好適な情報を含むことができる。例えば、プロトコルは、生物学的サンプルを処理することまたはDNAライブラリを処理することを行うための1つ以上の順序付けられたステップを含むことができる。プロトコルは、プロセスを開始する前に構成要素のリストを調製するためのステップも含むことができる。構成要素は、反応容器(例えば、反応容器205)内、またはカルーセル(例えば、カルーセル204)内の特定の場所にマップされることができ、反応容器またはカルーセルにおいて、搬送デバイス141は、構成要素または構成要素が装填されるコンテナを処理装置101または熱循環器システム107に搬送するためにそれらを取得し得る。このマッピングは、液体のある体積をカルーセル内の反応容器から吸引し、その体積を所定の目的地に分注するようにピペッタに指示する命令等、搬送デバイス141を動作させるための命令として、エンコーディングされることができ、マッピングは、ユーザが構成要素をデッキ105、反応容器、およびカルーセル上に設置し得るように、ユーザに示される仮想画像によって表されることもできる。実施形態は、処理システム100が、複数のプロセス(例えば、複数の異なるサンプルプロセスまたは調製手技)のために使用されることを可能にする。故に、複数のプロトコル108Fについての情報は、必要とされるとき、記憶され、読み出されることができる。デッキ105、反応容器、およびカルーセル上の構成要素は、第1のプロセスから第2のプロセスに変更するとき、または第1のプロセスを再開するとき、必要に応じて、再配置、変更、および/または補充されることができる。
【0042】
データ記憶装置108C内の画像108Gは、デッキ105、反応容器、およびカルーセルのみならず、デッキ105、反応容器、およびカルーセル上または内に配置された構成要素、およびそれらの構成要素上に配置されたラベルの実世界視覚表現を含むことができる。各画像において、デッキ105、反応容器、およびカルーセルは、あるプロセスを開始するための準備完了状態において示されることができ、プロトコルを実行するための構成要素は、搬送デバイス141にアクセス可能な場所に設置されている。画像108Gの各々は、記憶されたプロトコル108Fからの特定のプロトコルに関連付けられていることができる。いくつかの実施形態では、あるプロトコルのために単一の画像が、存在することができる。他の実施形態では、あるプロトコルのための(例えば、異なる角度からの異なる照明レベルを伴う、または容認可能な実験器具代用物をいくつかの場所に含む)複数の画像が、存在することができる。画像108Gは、JPEG、TIFF、GIF、BMP、PNG、および/またはRAW画像ファイル、およびAVI、WMV、MOV、MP4、および/またはFLVビデオファイルを含む種々のタイプまたはフォーマットの画像ファイルとして記憶されることができる。
【0043】
デッキ105は、異なる構成要素をステージ分類するために、複数の別々のデッキ場所に細分されることができる。別々の場所は、任意の好適なサイズであり得る。複数の場所を伴うデッキ105のある例が、
図3に示される。
図3のデッキ220は、L1-L16と付番された別個のエリアと熱循環器208とを示し、それれは、別個のタイプの構成要素または構成要素のパッケージのための別個の場所として動作することができる。デッキ105は、所望に応じて、追加の場所またはより少ない場所を有することができる。これらの場所は、付番または命名されることができるが、それらは、システムの物理的実施形態では、デッキ105上で物理的にラベル貼付またはマーキングされることも、されないこともある。
【0044】
画像108G等の画像が、オペレータによって処理システム100の中にプログラムされるプロトコル108Fを完了するために、適切な構成要素がデッキ105、試薬容器、カルーセル、および熱循環器システム107の中に装填されているかどうか、および、プロトコルによって要求される場合、それらの構成要素がプログラムされたプロトコルを実行するための正しい位置に位置しているかどうかを検証するために、使用されることができる。本明細書において議論されるように、処理システム100は、その後、反応容器(例えば、反応容器205)の中に装填された液体のための混合手技を実行し、熱循環器システム107を使用して、反応容器の中に装填される液体に応じて、種々の異なる様式において反応容器を制御可能に加熱し、それによって、システム100内に含まれた異なるタイプおよびサイズの反応容器と、異なる容量および構成の熱循環器システムとを有する必要性を排除することができる。
【0045】
図2は、
図1の処理システム100のある例を備え得る流体取り扱いシステム200の斜視図である。流体取り扱いシステム200は、筐体202と、カルーセル204と、反応容器205と、撮像デバイス206と、熱循環器システム208とを備えていることができる。
図2の構成要素が、例証的目的のために、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことに留意されたい。筐体202は、カルーセル204が位置付けられ得るエンクロージャを形成する複数の壁またはパネルを備えていることができる。エンクロージャは、開口部を有することができ、カバーパネル210が、カルーセル204、撮像デバイス206、および熱循環器システム208をエンクロージャ内にカプセル化するために、開口部を覆って位置付けられ得る。筐体202は、加えて、デッキ105(
図1)またはデッキ220(
図3)等のデッキが位置付けられ得るプラットフォーム212を含むことができる。デッキは、カルーセル204および反応容器205のうちの1つ以上のものを受け取るためのスロットまたはソケットを含むことができる。例では、スロットまたはソケットは、カルーセル204および反応容器205を撮像デバイス206に対して所定または既知の位置に保持するように構成されることができる。プラットフォーム212は、デッキを撮像デバイス206に対して所定または既知の位置に保持することができる。筐体202は、加えて、制御コンピュータ108(
図1)のそれら等のコントローラ214を保持するための空間を備えていることができる。コントローラ214は、無線または有線通信回線等を介してネットワーク216と通信するように構成されることができる。
【0046】
図1を参照して説明される撮像デバイスを備え得る撮像デバイス206は、固定された場所において、筐体202内に位置することができる。1つ以上の撮像デバイス206が、筐体202内の単一の場所または複数の場所に向くように構成されることができる。同時に、搬送デバイス141または処理装置101(
図1)のピペッタが、カルーセル204の場所にアクセスするように、筐体202内に位置することができる。搬送デバイス141は、加えて、反応容器205を熱循環器システム208の中に移動させるように構成されることができる。カルーセル204は、回り(または回転し)、異なる場所をピペッタおよび撮像デバイス206に提示することができる。他の例では、撮像デバイス206は、筐体202内に搭載され、視認エリアを筐体202の内部の異なる部分にわたって移動させることができる。
【0047】
コントローラ214は、カルーセル204および反応容器205の中に装填され、筐体202内のデッキ上に装填された構成要素のためのプロトコルを実行するように構成されることができる。コントローラ214が、プロトコルに従って、ステップの1つ以上のシーケンスをカルーセル204および反応容器205の中に装填されたバイアルの組に対して実施するために、コントローラ214は、カルーセル204および反応容器205内の各バイアルの場所、例えば、カルーセル204および反応容器205内の各場所における各バイアルの内容を把握すべきである。反応容器205が、共通の構造によって一緒に拘束された複数の個々の細長い容器を備え得ることに留意されたい。本明細書に議論されるように、コントローラ214は、撮像デバイス206を動作させ、カルーセル204および反応容器205およびそれらの中に装填される構成要素の画像を取得するように構成されることができる。特に、カルーセル204および反応容器205は、材料のバイアルが装填されることができ、各バイアルは、各バイアルの内容、各バイアルが属するバイアルの組、バイアルの組の製造業者、処理システム200がバイアルの組を用いて実行するための1つ以上のプロトコルに関する識別情報を提供するラベルを有することができる。バイアルラベルの画像が、コントローラ214によって読み取られ、ラベル内に提示される情報を認識することができる。ラベルから読み取られた情報は、
図1の媒体108B等のコンピュータ読み取り可能な媒体内に記憶されたネットワーク216から取得された情報等の情報と比較されることができる。コンピュータ読み取り可能な媒体内に記憶される情報は、バイアルの組と相互作用するためのステップの1つ以上のシーケンス(搬送デバイス141がカルーセル204および反応容器205の中に、およびそれらの間で試薬を移動させる等のために各バイアルと相互作用し得る順序等)を含むバイアルの組のためのプロトコルを含むことができる。
【0048】
反応容器205は、熱循環器システム208の中に、手動で、または搬送デバイス141によって自動的に移動させられることができる。コントローラ214は、熱循環器システム208を動作させ、種々のプロトコルおよびプロトコルステップを実行すること、または部分的に実行することができる。コントローラ214は、熱循環器システム208および搬送デバイス141を動作させ、熱循環器システム208の中に装填された反応容器205等の液体容器を加熱することができる。
熱循環器システム208は、複数の加熱区域を備えていることができ、反応容器は、複数の異なる形状の保管容積を形成する幾何学形状を有することができ、保管容積の各々は加熱区域と相互作用するための異なる壁厚を有し得る。したがって、単一の熱循環器システム208および単一の反応容器205が、下記の例の節において説明されるもの等、追加の機器または反応容器の必要性を伴うことなく、加熱区域および保管容積の異なる組み合わせを使用する大量の手技を実施するために使用されることができる。
【0049】
図3は、
図2の筐体202のプラットフォーム212上に装填するためのデッキ220の平面図である。デッキ220は、カルーセル204を含む種々の構成要素のための空間または場所を含むことができる。撮像デバイス206が、撮像デバイスが、プラットフォーム212の全てを覆う視野を生成し得るように、プラットフォーム212に対して筐体202内に搭載されることができる。しかしながら、種々の例では、視野は、プラットフォーム212の一部のみを覆うように構成されることができ、複数の撮像デバイスが、使用されることができるか、または、関節運動式撮像デバイスが、総対象範囲を達成するために、視野をプラットフォーム212を横断して異なる場所に移動させ得るように、使用されることができる。同様に、
図1の搬送デバイス141等の搬送システムが、プラットフォーム212の全体に到達するように構成されることができる。
【0050】
図3は、別個のタイプの構成要素または構成要素のパッケージのための別個の場所として動作し得るLl-L16と付番された場所と熱循環器システム208等の他の構成要素とを含む、デッキ220を示す。デッキ220の例は、所望に応じて、追加の場所またはより少ない場所を有することができる。これらの場所は、付番または命名されることができるが、場所は、流体取り扱いシステム200の物理的実施形態では、デッキ220上で物理的にラベル貼付またはマーキングされることも、されないこともある。流体取り扱いシステム200の例では、場所のいくつかまたは全てが、あるプロトコルに従って、予め定義されたタイプの構成要素によって占有されることができる。例えば、場所L1-L4は、ピペット先端ラック218のための保管場所を備えていることができ、場所L5-L10は、パッケージまたは試薬キットの構成要素またはプロトコルによって規定される構成要素が装填され得るミリ先端ラック220のための保管場所を備えていることができ、場所L11は、カルーセル204が装填されることができる。ラック218および220は、反応容器205の事例を備えていることができる。場所L12は、反応容器205のための低温試薬保管エリアを備えていることができる。場所L13は、反応容器205のための暖温試薬保管エリアを備えていることができる。場所L15は、バルクリザーバ222のための保管エリアを備えていることができる。場所L14は、反応容器205のためのRVスタック保管エリアを備えていることができる。場所L16は、ビン224のための廃棄物保管エリアを備えていることができる。場所L1-L16のうちのいくつかは、同一のタイプの構成要素を含むことができる。構成要素は、試験管、マイクロウェルまたはマイクロタイタプレート、ピペット先端、プレート蓋、リザーバ、または任意の他の好適な実験器具構成要素を備えていることができる。構成要素は、震盪器、撹拌器、ミキサ、温度インキュベータ、真空マニホールド、磁気プレート、熱循環器等の実験室機器のアイテムも備えていることができる。例では、1つ以上の場所は、物理的に、構造140(
図1)、筐体202(
図2)、またはデッキ220(
図3)の一部であることができるか、または、プラットフォーム212上に配置された、別個の構成要素であることができる。場所L1-L16の各々は、搬送デバイス141(
図1)によってアクセスされることができる。例えば、場所LI-L16および熱循環器224は、構造140またはデッキ220と物理的に別個であることができる。
【0051】
撮像デバイス206は、例えば、場所L1-L16の各々における1つ以上の構成要素の存在、場所L11におけるカルーセル204の存在、および、場所L12、L13、およびL14における反応容器205の存在を認識するように構成されることができる。さらに、撮像デバイス206は、場所L1-L16の各々に位置している1つ以上の構成要素から情報を読み取るように構成されることができる。構成要素(例えば、液体のバイアル)が、所望の様式において(例えば、プロトコルに従って)、カルーセル204の中に装填されることができ、カルーセル204または別の場所からの液体が、プロトコルに従って熱循環器システム208の中に装填するために、反応容器205のうちの1つの中に装填されることができる。撮像デバイス206によって撮影された反応容器205の画像が、反応容器205の中に装填されるバイアルのラベルから情報を読み取るために使用されることができる。その後、熱循環器システム208は、下記の例の節を参照して議論されるもの等の加熱方法を実行し、プロトコルに従って反応容器205の中に装填された液体を加熱することができる。
【0052】
図4は、
図2および3の熱循環器システム208の斜視図である。熱循環器システム208は、加熱蓋302と、熱循環モジュール304とを備えていることができる。熱循環モジュール304は、インキュベーション熱ブロック306と、ヒートシンク308と、ベゼル309と、熱循環器熱ブロック310(
図8)とを備えていることができる。加熱蓋302は、蓋駆動システム312と、加熱器プラテン314と、蓋316とを備えていることができる。
【0053】
熱循環器システム208は、いくつかの異なる構成における反応容器205(
図2)を加熱するために使用され得る複数の加熱区域を提供するように構成されることができる。蓋駆動システム312は、蓋316を開放し、インキュベーション熱ブロック306へのアクセスを提供するために使用されることができる。反応容器205(
図2)は、搬送デバイス141を使用して、デッキ220上に保管される、試薬等の液体で充填されることができる。反応容器205は、次いで、搬送デバイス141等を使用することによって、インキュベーション熱ブロック306の中に装填されることができ、インキュベーション熱ブロック306を通して延び、熱循環器熱ブロック310に接触することができる。インキュベーション熱ブロック306および熱循環器熱ブロック310は、2つの異なる加熱構成要素を反応容器205上の2つの異なる場所に適用するために使用されることができる。さらに、加熱蓋302は、蓋駆動モジュール312によって移動させられ、第3の加熱構成要素、すなわち、加熱器プラテン314を第3の場所における反応容器205に適用することができる。ヒートシンク308が、熱循環器システム208の他の構成要素から離れるように熱を伝導し、剰余熱を吸熱するために使用されることができる。ヒートシンク308はまた、インキュベーション熱ブロック306および熱循環器熱ブロック310から離れるように熱を引き寄せるためのファン等を使用することによって、冷却を反応容器205に印加するために使用されることもできる。反応容器205(
図2)は、異なる壁厚または異なる断面積(例えば、直径)等を含むことによって、異なる様式において加熱区域の各々と相互作用し、異なる熱伝達率を促進するように構成されることができる。したがって、加熱器プラテン314、インキュベーション熱ブロック306、および熱循環器熱ブロック310は、反応容器205の中に装填される液体または試薬に応じて、ともに、別個に、または異なる組み合わせにおいて動作させられ、異なる様式において反応容器205の異なる部分を加熱することができる。
【0054】
図5は、加熱器プラテン314および蓋316を持ち上げるための駆動モジュール312を含む
図4の熱循環器モジュール208のための加熱蓋302の斜視図である。
図6は、
図5の加熱蓋302の分解斜視図である。
図5および6は、並行して議論される。
【0055】
蓋316は、軸受筒319Aおよび319Bを介して筐体318に旋回可能に搭載されることができる。第1のプーリ320が、蓋316と第1のプーリ320との間の回転が、可能にされないように、軸受筒319Bにおいて蓋316に固定して結合されることができる。筐体318が、流体取り扱いシステム200の筐体202(
図2)に結合され得る支持構造322Aに搭載されることができる。モータ324も、シャフト326が支持構造322Bを通して延びているように、筐体202に搭載されることができる。支持構造322Aおよび322Bは、ベルト330の張力を調節するために、互いに対して調節可能であることができる。第2のプーリ328が、シャフト326に結合されることができる。第1のプーリ320および第2のプーリ328は、ベルト330を介して結合されることができる。モータ324は、第2のプーリに動力入力を提供し得、加えて、インキュベーション熱ブロック306(
図4)に対して蓋316を保持する、例えば、ばね366A-366D(
図8および15)を圧縮するための保持力を提供し得るステッパモータを備えていることができる。ベルト330は、タイミングベルトを備えていることができる。したがって、モータ324によって提供されるシャフト326の回転出力が、ベルト330を介して第2のプーリ328から第1のプーリ320に伝達されることができる。第1のプーリ320の回転が、軸受筒319Aおよび319B上の筐体318に対する蓋316の旋回を引き起こすことができる。モータ324は、したがって、開放位置(例えば、第1のプーリ320および第2のプーリ328に関する回転中心を接続する線に対して平行に延びている)から、閉鎖位置(例えば、第1のプーリ320および第2のプーリ328に関する回転中心を接続する線に対して垂直に延びている)まで蓋316を移動させるように動作させられることができる。
【0056】
蓋316は、インキュベーション熱ブロック306(
図4)を覆うための構造を備えていることができる。加熱器プラテン314が、蓋316の内部表面上に位置付けられ、反応容器205に係合することができる。加熱器プラテン314は、サーミスタによって監視され、電力基板360(
図4および7)によって制御され得るサーモフォイル加熱器を備えていることができる。
図16Aおよび16Bを参照して議論されるように、加熱器プラテン314は、蓋316にジンバル搭載されるシール運搬器334を介して蓋316に搭載されることができる。加熱器プラテン314は、ばね336Aおよび336Bがインキュベーション熱ブロック306に対して加熱器プラテン314を押すように力を印加するために使用され得るように、蓋316から離れるようにばね負荷されることができる。留め具338Aおよび338Bが、蓋316内のボア340Aおよび340Bを通して中に挿入され、運搬器334に係合することができる。ばね336Aおよび3236Bは、それぞれ、蓋316から離れるように運搬器334を付勢するために、留め具338Aおよび338Bの周囲に位置付けられることができる。したがって、運搬器334は、蓋316に対して浮動するように構成されることができる。述べられるように、加熱器プラテン314は、特に、反応容器205の液体コンテナの上側または開放端を加熱し、例えば、熱循環およびインキュベーションプロセス中に凝縮がその中で生じることを防止するように構成された反応容器205のための3つの加熱区域のうちの1つを提供することができる。
【0057】
蓋316は、熱循環システム304(
図4)上のベゼル309(
図7および8)に係合し得るシールスライド332Aおよび332Bも含むことができる。加熱器プラテン314は、絶縁体340を介して蓋316に搭載されることができる。シールスライド332Aおよび332Bは、加熱器プラテン314をベゼル309およびインキュベーション熱ブロック306の上部平面に対して平行に整列させるように構成されることができる。
【0058】
図7は、ベゼル309が除去された、
図4の熱循環器システム208内での使用のための熱循環モジュール304の斜視図である。
図8は、インキュベーション熱ブロック306、ヒートシンク308、熱循環器熱ブロック310、加熱要素350Aおよび350B(
図8)、圧縮プレート352、熱センサ354Aおよび354B、ファン356、ファンシュラウド358、および電力基板360を示す
図7の熱循環モジュール304の分解図である。
図7および8は、並行して議論される。
【0059】
熱循環モジュール304は、流体取り扱いシステム200の筐体202(
図2)に搭載され得る筐体362を含むことができる。ファン356が、筐体362の底部において搭載されることができ、例えば、冷却機能性を提供するために、空気を筐体362の内外に移動させるように構成されることができる。ファンシュラウド358が、筐体262の中に位置し、空気流を筐体362を通して方向付けることができる。電力基板360も、筐体362取り付けられることができ、ファン356、熱循環器熱ブロック310、およびインキュベーション熱ブロック306、および可動蓋302に供給される電力を管理するように構成されることができる。電力基板360は、モータ324、ファン356、加熱要素422Aおよび422B、加熱要素350Aおよび350B、および加熱器プラテン314に接続するための構成要素を含むことができる。電力基板360は、本明細書に議論されるプロトコルの実行を用いて熱循環器システム208の動作を調整するために、制御コンピュータ108(
図1)に結合されることができる。
【0060】
圧縮プレート352が、ヒートシンク308の筐体362に結合されることができ、窓363を介して熱循環器熱ブロック310のためのソケットを提供するために使用されることができる。シールが、圧縮プレート352と熱循環器熱ブロック310との間、および圧縮プレート352と筐体362との間に位置付けられ、凝縮および溢流した試薬等の他の液体が加熱要素350Aおよび350Bに接触することを防止することができる。インキュベーション熱ブロック306が、留め具364A-364Dを介して圧縮プレート352に対して浮動するように構成されることができる。ばね366A-366Dは、それぞれ、留め具364A-364Dの周囲に、およびインキュベーション熱ブロック306と圧縮プレート352との間に位置付けられることができる。したがって、ばね366A-366Dは、インキュベーション熱ブロック306を圧縮プレート352から離れるように付勢することができる。
【0061】
加熱要素350Aおよび350Bは、ペルチェ駆動される熱循環熱ブロックを備えていることができる。熱センサ354Aおよび354Bは、サーミスタを備えていることができる。熱センサ354Aおよび354Bは、潜在的なセンサ変動および過熱条件を監視するための冗長センサとして構成されることができる。加熱要素350Aおよび350Bおよび熱センサ354Aおよび354Bは、電力基板360に接続され、熱循環器システム208の制御および動作を促進することができる。述べられるように、加熱要素350Aおよび350Bは、特に、反応容器205の液体コンテナの下側または閉鎖端を加熱するように構成された反応容器205のための3つの加熱区域のうちの1つを提供することができる。
【0062】
図9および10は、
図7および8の熱循環モジュール304との使用のための反応容器205の斜視図および上面図である。反応容器205は、処理システム100によって処理されるべき液体を保持するための複数の容器380を備えていることができる。図示される例では、反応容器205は、8個×3列に配置された24個の容器380を備えている。容器380は、フレーム382を介して接続されることができる。各容器380は、下側チャンバ384と、上側チャンバ386とを備えていることができる。フレーム382は、端壁388と、側壁390と、縁392とを備えていることができる。上側チャンバ386は、端壁388が上側チャンバ386を受け取るための開口部またはソケットを含み得るように、端壁388を通して延びていることができる。上側チャンバ386の一部が、端壁388を越えて、例えば、その上方に延び、フランジ394を形成することができる。側壁390および縁392は、撮像デバイス206等の処理システム100の撮像システムによる識別のためのバーコード等のラベルを含むための平坦な表面を提供することができる。ラベルは、ステッカ、エッチング、成型された印等として提供されることができる。反応容器205は、溢流および気化を防止するための蓋を具備することができる。蓋は、縁392に取り付けられることができ、側壁390上のラベルの視認を可能にするために透明であることができる。側壁390および縁392の両方のうちの一方は、搬送デバイス141のグリッパとの相互作用および複数の反応容器205の互いの上へのスタックを促進することもできる。
【0063】
例では、反応容器205は、単一の製造プロセス中に作製される均一な材料組成物の単一のモノリシックな構成要素として作製されることができる。追加の例では、容器380の各々は、別個の構成要素として作製され、フレーム382に取り付けられることができる。例では、反応容器205は、透明な材料で作製されることができる。追加の例では、容器380は、ポリプロピレンから作製され、化学的適合性を提供することができ、フレーム382は、ポリカーボネートから作製され、熱変形に対する強度および耐性を提供することができる。
【0064】
下側チャンバ384は、容器380内に液体または材料の初期または第1の堆積物を保持するための第1の容積を備えていることができる。下側チャンバ384は、加熱ブロックのレセプタクル内に嵌入するように成形されることができる。特に、下側チャンバ384は、
図14に見られ得るように、熱循環器熱ブロック310内に嵌入するようにテーパ状であることができる。上側チャンバ386は、下側チャンバ384が充填された後、容器380内に液体または材料の後続または第2の蓄積物を保持するための第2の容積を備えていることができる。上側チャンバ386は、加熱ブロックのレセプタクル内に嵌入するように成形されることができる。特に、上側チャンバ386は、
図16Aおよび16Bに見られ得るように、インキュベーション熱ブロック306内に嵌入するように円筒形であることができる。
【0065】
図10に見られ得るように、容器380は、円形の断面プロファイルを有することができ、上側チャンバ386は、直径において下側チャンバ384より大きい。そのような構成は、インキュベーション熱ブロック306および熱循環器熱ブロック310への挿入およびそれらからの除去を促進する。加えて、そのような構成は、引っ掛かった状態になるリスクの低減を伴って容器380の中への器具の挿入を促進し、容器380の中への磁石の適用も促進する(
図17参照)。
【0066】
図11は、下側チャンバ384および上側チャンバ386を示す
図9の反応容器205の断面図である。下側チャンバ384は、円錐形壁396によって形成されることができ、円錐形壁396は、下側鉢状部398から上向きにテーパ状部400まで延び得る。上側チャンバ386は、テーパ状部400からリップ404(例えば、フランジ394)まで延び得る円筒形壁402によって形成されることができる。円錐形壁396は、第1の厚さt1を有することができ、円筒形壁402は、第2の厚さt2を有することができる。第1の厚さt1は、第2の厚さt2未満であることができる。第1の厚さt1は、熱循環ブロック310内に設置されると熱抵抗を最小化するように、薄くあることができる。円錐形壁396は、高さH1を有することができ、円筒形壁402は、高さH2を有することができる。高さH2は、高さH1より大きくあることができる。
【0067】
反応容器205は、下側チャンバ384が熱循環区域を提供し、上側チャンバ386がインキュベーション区域を提供するように構成されることができ、熱循環は、2つの昇温状態(4℃および98℃等)間の加熱および/または冷却の急速なバーストを伴い、インキュベーションは、より長い期間にわたる広い範囲の温度(25℃および110℃等)内での安定した加熱を伴う。追加の例では、熱循環モジュール304は、周囲温度を下回る温度まで反応容器205の上側チャンバ386および/または他の区分を冷却するための冷却要素を含むことができる。ある例では、冷却デバイスは、ペルチェ素子またはファンを備えていることができる。したがって、第1の厚さt1は、熱循環を促進するために、薄くあることができ、第2の厚さt2は、インキュベーションを促進するために、厚くあることができる。ある例では、容器380は、最大で1,000μLを保持するように構成されることができ、下側チャンバ384が、およそ100μLを保持するように構成され、上側チャンバ386が、最大でおよそ900μLを保持するように構成される。しかしながら、上側チャンバ386は、典型的動作中におよそ800μLをインキュベートするように構成されることができ、余剰容量が、溢流等を防止するために提供される。
【0068】
反応容器205の形状および設計は、1つのみの反応容器205の事例または複数の反応容器205のいずれかを伴う単一の容器タイプのみを用いた種々の異なるプロセスのパフォーマンスを促進することにおいて役立つ。例えば、反応容器205は、核酸(NA)抽出、NA分離、NA断片化、NAサイズ選択、NA終了処理、アダプタ連結、NA増幅、および増幅後の浄化等の種々のNAサンプル調製プロセスにおいて使用されることができる。いくつかの実施形態では、多ステップの方法/プロトコル/プロセス/ワークフロー内の各ステップが、同一のタイプの反応容器、例えば、反応容器205において実施され、異なるタイプのプレートのために消耗品およびデッキ空間を維持する必要性を排除することができる。ある実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、続いて、磁気ビーズに結合し、溶出することによる増幅された生成物の分離等、連続的反応/ステップが、同一の反応容器内で実施されることができる。さらに、より少ない、または1つのみの反応容器を使用することによって、反応容器間の移送量が、低減させられ、それは、対応して、その中に含まれる液体および核酸の量または体積が喪失されること、または直前に使用された反応容器内に残されることを低減させる。
【0069】
図12および13は、
図8の熱循環器熱ブロック310の斜視図および上面図である。
図14は、
図13の熱循環器熱ブロック310の断面図である。
図12-14は、並行して議論される。熱循環器熱ブロック310は、ベースプレート410と、ソケット412と、ウェブ414とを備えていることができる。ベースプレート410は、圧縮プレート352の窓363内に搭載するように構成された平坦な本体を備えていることができる(
図8)。ソケット412は、反応容器205の下側チャンバ384が嵌入し得る円形のレセプタクルを備えていることができる。したがって、ソケット412は、円錐形壁396(
図11)とじかに一致するように構成された円錐形壁を備えていることができる。ウェブ414は、空隙413が熱循環器熱ブロック310内に生成され、それによって、余剰質量を除去することによって熱効率を向上させるように、ソケット412の円錐形壁を接続することができる。ソケット412は、円錐形壁396の高さH1にほぼ等しくあり得る高さH3を有することができる。したがって、下側チャンバ384の下側鉢状部398は、ソケット412の床416上に置かれることができ、円錐形壁396は、テーパ状部400(
図11)が熱循環器熱ブロック310の上方に位置付けられるように、ソケット412の上部まで延びていることができる。熱循環器熱ブロック310は、ニッケル鍍着された6061-T6アルミニウム等、高強度および熱伝達特性を有する材料から製作されることができる。熱循環器熱ブロック310の一部または全てが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等でコーティングされ、反応容器205のそれへの粘着を低減させることができる。
【0070】
図15は、
図8のインキュベーション熱ブロック306の分解斜視図である。インキュベーション熱ブロック306は、留め具364A-364Dと、ばね366A-366Dと、閉鎖部材419A-419Dと、加熱器ブロック420と、加熱要素422Aおよび422Bとを備えていることができる。加熱器ブロック420は、フランジ424A-424Dと、側壁426と、ソケット428とを備えていることができる。加熱器ブロック420は、ニッケル鍍着された6061-T6アルミニウム等、高強度および熱伝達特性を有する材料から製作されることができる。
【0071】
留め具364A-364Dが、フランジ424A-424D内のボアを通して延びていることができ、留め具364A-364Dのねじ山付き端部が、圧縮プレート352の中に延びていることができる。閉鎖部材419A-419D、例えば、ねじ山付きナットまたは軸受筒が、留め具364A-364Dのねじ山付き端部に取り付き、留め具364A-364Dを固定することができる。したがって、加熱器ブロック420は、留め具364A-364D上で、留め具364A-364Dの頭部と圧縮プレート352との間でスライドすることができ、ばね366A-366Dが、加熱器ブロック420の圧縮プレート352から離れるような付勢を提供する。加熱器ブロック420のばね負荷作用が、反応容器205に排出力を提供し、反応容器205の熱循環熱ブロック310への粘着を防止することができる。
【0072】
加熱要素422Aおよび422Bは、加熱器ブロック420内のボアの中に挿入され得る抵抗加熱器等のカートリッジ加熱器を備えていることができる。加熱要素422Aおよび422Bの出力が、サーミスタによって監視されることができる。加熱要素422Aおよび422Bおよびサーミスタは、電力基板360に接続され、熱循環器システム208の制御および動作を促進することができる。述べられるように、加熱要素422Aおよび422Bは、特に、反応容器205の液体コンテナの上側部分を加熱するように構成された反応容器205のための3つの加熱区域のうちの1つを提供することができる。加えて、加熱要素422Aおよび422Bは、例えば、下側チャンバ384のみが使用されているとき、凝縮の形成を防止するために使用されることができる。
【0073】
図16Aは、部分的に開放している加熱蓋302を伴う
図4の熱循環器モジュール304の断面図である。加熱器プラテン314、またはそれに対して位置付けられるシールが、反応容器205の上部に係合し、それを押すことができる。反応容器205も、ばね366A-366Dを介して熱循環器熱ブロック310から外に押されている。シール運搬器ばね336Aおよび336Bは、圧縮されていない状態であることができる。
図16Aは、加熱蓋302の閉鎖直前、または、ばね366A-366Dが、反応容器205を排出するために使用されている加熱蓋302の開放直後の熱循環器モジュール304を描写することができる。
【0074】
図16Bは、完全に閉鎖された加熱蓋302を伴う
図4の熱循環器モジュール304の断面図である。加熱蓋302は、完全に下方位置にあるように図示される。加熱器プラテン314が、反応容器205上を下方に押し、反応容器205を下方に熱循環器熱ブロック310の中に押し、それによって、ばね366A-366Dおよびばね336Aおよび336Bを圧縮することができる。
図16Bの閉鎖状態では、熱循環器モジュール208は、4℃~70℃での数分から数時間等にわたる、長い期間にわたるインキュベーションを提供することができ、熱循環器モジュール208は、55℃~98℃での数秒から数分の期間にわたる、短い期間にわたる熱循環を提供することができる。
【0075】
図17は、磁石430およびピペット先端432を示す
図9-11の反応容器205の容器380の断面図である。容器は、フレーム382から延びていることができる。ピペット先端432は、上側チャンバ386の中に延び、液体を容器380の中に堆積させることができる。磁石430は、下側チャンバ384の中に位置することができる。金属ロッド等のプローブ434が、容器380に押し付けられ、下側チャンバ384の片側等への磁石430の移動を引き起こすことができる。
(実施例)
【0076】
本明細書に説明される実施形態は、例証としてもたらされる以下の非限定的実施例を参照することによって、より深く理解されることができる。本明細書に説明される方法のいくつかの利点のうちの1つは、異なる実験器具タイプに移送する必要なく、反応容器内で大量の希釈を実施し得ることである。本明細書に説明される方法のいくつかの利点のうちの別のものは、例えば、事前シーケンシング、ライブラリ調製中、またはライブラリ調製の終了時の他のプロセスステップのために使用される同じ反応容器内で、サンプルを貯留し得ることである。実行後に貯留することは、通常、PCRプレートのプレート容積を超過するであろう。しかし、本明細書に説明される反応容器は、同じ反応容器内でサンプルを貯留し、プレート移送を回避し得るように、大容積の組み合わせられた下側/上側チャンバ反応容器を有する。
(実施例1)
(従来的PCRプレートを使用する必要性を排除するための核酸結合磁気ビーズを使用したPCRおよびPCR後浄化における大容積反応容器の使用)
【0077】
本実施例は、とりわけ、本明細書に説明される反応容器およびシステムが、PCRおよびビーズベースのPCR後浄化反応において従来的PCRプレートを使用することを不必要にすることを示すことを意味する。本明細書に説明されるシステムおよび反応容器を使用することの追加される恩恵は、液体が、下位レベルにあり、結果として、飛散することが殆どないので、ウェル間の汚染の大幅な低減である。さらに、プレート移送の数を低減させることが、移送後のプレート内の液体保持に関連付けられる損失を低減させる。
(核酸の正規化)
【0078】
いくつかの公知のデバイスおよびキットでは、第1のステップは、入力DNAを0.2ng/μLに正規化することである。そのようなキットの中で進行する核酸精製濃度は、広く変動し得る。このプロセスにおける第1のステップは、サンプルを0.2ng/μLまで希釈することである。これは、材料の開始濃度に応じて、非常に大量な希釈体積をもたらし得る。10ng/μLから0.2ng/μLまでのサンプルの希釈は、開始に先立って大規模な希釈を要求するものではない(10ng/μLの濃度のDNAおよび245μLのTris-Clバッファにおける、5μLのストックDNA)。しかしながら、同一のサンプルが、30ng/μLから開始する場合、希釈体積は、はるかにより大量になり、標準的なマイクロプレート(30ng/μL、745μL Tris-Clにおける5μLのストックDNA)の単一のウェル内に収容されることが不可能であろう。本明細書に説明される反応容器(例えば、反応容器205)におけるように、より大容積の容量を有することは、本明細書に説明されるロボット液体ハンドラが、一連の希釈を通して中間ステップを伴わずにライブラリ調製を開始することを可能にする。
(断片化/タグ付け)
【0079】
反応容器が、最初に、本明細書に説明される熱循環器モジュール304内で急冷される。構成要素(例えば、DNA、タグ付け試薬、および断片DNAに添加された酵素)を急冷することは、システムが、全ての試薬が添加されるまでタグ付け試薬の酵素活性を低減させることを可能にする。全ての添加剤が分注され、混合されると、熱循環器モジュールは、即座に、添加された酵素が能動的にDNAを断片化する温度である55℃まで加熱する。熱循環器モジュールは、特に、反応容器の底部円錐形区分(例えば、下側チャンバ384)において標的化されるペルチェ素子(例えば、加熱要素350Aおよび350B)を使用して、本明細書に説明されるように反応容器の下側区分を加熱および冷却する。反応容器は、次いで、10℃まで冷却されることができる。反応容器が10℃まで冷却されると、反応容器蓋302が、開放し、中和試薬が、断片化プロセスを停止させるであろう。
(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))
【0080】
プロセスにおける次のステップは、ライブラリ断片の増幅、および各サンプルに一意であるアダプタの添加である。2つのアダプタまたはプライマおよびマスタミックスが、添加され、反応容器が、熱循環器モジュールの下側区分を使用した、PCRのために熱循環器モジュールに戻される。
【0081】
増幅の後、増幅されたPCR生成物が、Beckman Coulter(Brea,CA)から入手可能なAmpure XPビーズ等の磁気ビーズを使用して、分離または「浄化」される。添加に先立ったサンプル体積は、50μLである。公知のデバイスでは、サンプル内容物が、典型的に、さらなる処理のために深度ウェルプレートまたは保存プレートに移送される。しかしながら、本明細書に説明される反応容器は、そのような移送の必要性を不要にする。公知のPCRプレートは、従来的浄化プロセスを通してプレートを処理するための十分な容積容量を有していない。しかし、本明細書に説明されるシステムは、例えば、各サンプルへの30μLのビーズの添加、および反応容器205の上側チャンバ386等を使用することによる混合を収容することができる。インキュベーションの後、サンプルが、200μLの80%エタノールのいくつかの循環を用いて洗浄される。サンプルは、52.5μLの再懸濁バッファ(例えば、Tris-Clまたは溶出バッファ)中に再懸濁され、その50μLの体積が、新しい反応容器に移送される。サンプルは、本明細書に説明されるプロトコルのビーズベースの正規化セクションに進む前に、オフラインで評価される(QCステップ)。
(ビーズベースの正規化)
【0082】
公知のシステムでは、ユーザが、20μLのサンプルを新しい深度ウェルプレートまたは保存プレートに分取するように命令される。しかし、本明細書に説明されるシステムでは、新しい反応容器が、このステップのために使用される。反応容器内に利用可能な容積が存在するので、より大容積のプレートを使用する必要性は、存在しない。システムは、手技のまさに最後まで、そのプレートを用いて継続し、これは、シーケンシングのために貯留されるべき新しいプレートに単鎖サンプルを移送するであろう。
【0083】
本明細書に説明される反応容器の使用は、本明細書に説明されるもの等の反応容器およびシステムが利用不可能である場合に必要とされるであろう浪費可能なプレートの使用を排除するであろう。
(実施例2)
(2つの区域による加熱を伴う高厳密度洗浄のための熱循環器モジュールにおける加熱大容積の使用)
(バッファ調製およびハイブリダイゼーション)
【0084】
以前に構築されたDNAライブラリから開始して、プロトコルにおける第1のステップは、17μLの容積における4時間のハイブリダイゼーションである。このステップの後、一連の加熱洗浄が、バッファを使用して実施される。本明細書に説明される反応容器の容積容量は、増大させられた加熱ウェルの容量(例えば、下側チャンバ384および上側チャンバ386)に起因して、システムが試薬のアリコートを同一のウェル内に設置することを可能にする。そうすることにおいて、洗浄バッファ1が、合計で8個の反応容器の中に入ることができ、高厳密度洗浄バッファが、合計で24個の反応容器のうちの残りの16個の反応容器の中に入ることができる。これは、熱循環器モジュールではなく、デッキ105上の加熱保管位置内で行われるであろう。熱循環器位置が、サンプル反応容器によって利用されるであろう。第1の洗浄バッファが、ハイブリダイゼーション体積およびビーズ体積に添加される。ここでは、総体積は、およそ134μLである。この体積は、熱循環器能力の容積(100μL)を超過する。熱循環器モジュールは、加熱蓋302の加熱器プラテン314を計数せず、2つの異なる加熱要素(例えば、加熱要素350Aおよび350Bと、加熱要素422Aおよび422Bと)を有する。反応容器の下側区分は、熱循環器モジュール304と協働し、標準的な熱循環を提供する。上側区分は、熱循環器モジュール304と協働し、最大800μLのインキュベーション加熱を提供する。本時点において、熱循環器の上側区分および下側区分は両方とも、65℃に設定されるであろう。これらの洗浄は、温度変化に対して敏感である。第1の洗浄は、45分である。第2の洗浄は、150μLの総体積反応であり、これは、再び、熱循環器モジュールの両方の区分を利用する。標準的なPCRプレートでは、サンプル体積が、上部に近接するであろう。しかしながら、本明細書に説明される反応容器では、上部に近接するいかなる場所においても、混合の間に相互汚染の可能性を減少させるものは、存在しない。別の150μLの加熱洗浄が、本ステップに従う。次いで、反応が、次いで、一連の3つの150μLの室温洗浄を通して循環される。
(ポリメラーゼ連鎖反応および浄化)
【0085】
洗浄の全てが完了した後、本明細書に説明されるシステムは、PCR反応を生じさせる。PCR反応は、主に、上側部分および蓋が加熱され、凝縮を防止している状態で、加熱要素350および350Bの底部部分を使用して、熱循環器モジュール内で生じる。次いで、サンプルが、反応容器の底部の4mm上方に磁気ビーズを懸吊するであろうバー磁石(例えば、磁石430)の上に直接、反応容器を設置することを含む浄化プロトコルを使用して浄化される。これは、好適なバッファ中でのサンプルの再懸濁に先立って、ビーズを乾燥し、次のステップに向かって移行することを補助するであろう。本明細書に説明される反応容器の製造の全ての側面を制御することによって、ビーズペレットがほぼ同一の点にあることを確実にすることができる。これは、特に、サンプルが7μLの総体積で溶出する、New England Biolabs(登録商標) Inc.(Ipswich,MA)から入手可能なNEBNext(登録商標) UltraTM II RNAキット等に当てはまるように、溶出体積が非常に低い場合に、重要である。
【0086】
本明細書に説明される反応容器の使用は、増大させられた体積が、試薬保存および熱循環器モジュールにおける大量でのより良好な温度制御のために使用されることを可能にする。
(実施例3)
(2つの区域による加熱を伴う熱循環器モジュールにおける加熱大容積の使用)
【0087】
二重鎖ライブラリ断片および周囲温度オリゴプローブが、周囲温度において反応容器205の下側チャンバ384に添加されることができる。
【0088】
熱循環モジュール304は、加熱要素350Aおよび350Bを使用して、例えば、ライブラリ断片を単鎖ライブラリ断片に変性させるような高温まで、下側チャンバ384を加熱するために動作させられることができる。熱循環モジュール304は、加えて、加熱要素422Aおよび422Bを使用して、例えば、下側チャンバ384が加熱されているものを上回る温度まで、上側チャンバ386を加熱するために動作させられることができる。
【0089】
熱循環モジュール304は、次いで、オリゴプローブが、上側チャンバ386が下側チャンバ384の温度を上回るように保持される間、単鎖ライブラリ断片に結合することを可能にするように、下側チャンバ384内の温度をゆっくりと漸減させるように動作させられることができる。
【0090】
熱循環モジュール304は、次いで、熱循環モジュール304の下側チャンバ384および上側チャンバ386の両方が同一の温度に保持される間、プローブライブラリ断片複合体の安定化を確実にするように、一定の温度で保持されるように動作させられることができる。
【0091】
大量のストレプトアビジンビーズが、ハイブリダイズされたプローブライブラリ断片複合体に添加されることができる。ハイブリダイズされたライブラリおよびストレプトアビジンビーズの総体積は、下側チャンバ384の容積を超過し得る。上側チャンバ386および下側チャンバ384を同一の温度に保持することによって、容積全体のための反応温度が、正しい温度に維持される。
(例示的実施形態)
【0092】
1.自動化熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して、生物学的サンプルを調製する方法であって、方法は、ロボット液体ハンドラを使用して、より厚い壁状の上側区分と、より薄い壁状の下側区分とを有する反応容器内で、液体の第1の体積中でサンプルから核酸を分離することであって、液体の第1の体積は、反応容器のより厚い壁状の上側区分と、より薄い壁状の下側区分とを包含する、ことと、ロボット液体ハンドラの熱循環器を使用して、同一の反応容器内で、液体の第2の体積中で分離された核酸を増幅することであって、液体の第2の体積は、反応容器のより薄い壁状の下側区分を包含するが、そのより厚い壁状の上側区分を包含しない、こととを含む、方法。
【0093】
2.核酸を分離することは、核酸を希釈し、生物学的サンプルの体積を増大させ、下側区分を充填し、上側区分を少なくとも部分的に充填することを含む、項目1に記載の方法。
【0094】
3.熱循環器を使用して、生物学的サンプルを急冷することと、生物学的サンプルに試薬を添加することとをさらに含む、項目2に記載の方法。
【0095】
4.下側区分に近接した熱循環器の下側加熱要素を使用して、下側チャンバ内で生物学的サンプルを加熱することをさらに含む、項目3に記載の方法。
【0096】
5.分離された核酸を増幅することは、下側区分内で生物学的サンプルにアダプタおよびマスタミックスを添加することと、下側区分に近接した熱循環器の下側加熱要素を使用して、下側区分を熱循環加熱することとを含む、項目1に記載の方法。
【0097】
6.分離された核酸を増幅することは、反応容器にビーズを添加し、分離された核酸を混合することと、エタノールを使用して分離された核酸を洗浄し、生物学的サンプルの体積を増大させ、下側区分を充填し、上側区分を少なくとも部分的に充填することとをさらに含む、項目5に記載の方法。
【0098】
7.下側加熱要素および上側区分に近接した上側加熱要素を使用して、下側区分および上側区分内で生物学的サンプル酸をインキュベートすることをさらに含む、項目6に記載の方法。
【0099】
8.自動化熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して、生物学的サンプルを調製する多ステップ方法であって、自動化熱循環器は、下側温度制御区域と、上側温度制御区域とを含み、多ステップ方法の第1のステップにおいて、自動化熱循環器の下側温度制御区域と、上側温度制御区域とを包含する液体のある体積において、生物学的サンプルを一定の温度においてインキュベートすることと、多ステップ方法の第2のステップにおいて自動化熱循環器の下側温度制御区域内で、生物学的サンプルを熱循環させることとを含む、多ステップ方法。
【0100】
9.下側温度制御区域は、迅速な熱循環のために適合され、上側温度制御区域は、固定温度インキュベーションために適合される、項目8に記載の多ステップ方法。
【0101】
10.第1の容積と第1の壁厚とを備えている下側チャンバと、第2の容積と第2の壁厚とを備えている上側チャンバとを備え、上側チャンバは、下側チャンバの延長部である、反応容器内に生物学的サンプルを設置することをさらに含む、項目8に記載の多ステップ方法。
【0102】
11.第2の容積は、第1の容積より大きく、第2の壁厚は、第1の壁厚を上回り、上側チャンバは、約1mlを保持し、底部チャンバは、約100μLを保持する、項目10に記載の多ステップ方法。
【0103】
12.熱循環器の蓋加熱区域を使用して、上側チャンバ内の凝縮を防止することをさらに含む、項目10に記載の多ステップ方法。
【0104】
13.ばね負荷された排出装置を使用して、熱循環器から反応容器を排出することをさらに含む、項目10に記載の多ステップ方法。
【0105】
14.多区域熱循環器を有するロボット液体ハンドラを使用して、多チャンバ反応容器の中に位置する生物学的サンプルを調製する方法であって、方法は、生物学的サンプルを反応容器の下側チャンバの中に装填することと、熱循環器の下側加熱区域を使用して、反応容器の下側チャンバを加熱することと、添加剤を生物学的サンプルの中に組み合わせ、反応容器の下側チャンバを充填することと少なくとも部分的にその上側チャンバの中に延びていることとの組み合わせを生成することと、熱循環器の下側加熱区域および熱循環器の上側加熱区域を使用して、上側チャンバおよび下側チャンバを加熱することとを含む、方法。
【0106】
15.熱循環器の蓋加熱区域を使用して、上側チャンバの上部を加熱することをさらに含む、項目14に記載の方法。
【0107】
16.熱循環器の下側加熱区域を使用して反応容器の下側チャンバを加熱することは、より高温とより低温との間で生物学的サンプルを熱循環させることを含む、項目14に記載の方法。
【0108】
17.熱循環器の下側加熱区域を使用して反応容器の下側チャンバを加熱することは、下側チャンバの下方に位置する加熱器ブロック内のペルチェ素子をアクティブにすることをさらに含む、項目16に記載の方法。
【0109】
18.熱循環器の上側加熱区域を使用して反応容器の上側チャンバを加熱することは、周囲温度を上回る昇温において組み合わせをインキュベートすることを含む、項目14に記載の方法。
【0110】
19.熱循環器の上側加熱区域を使用して反応容器の上側チャンバを加熱することは、上側チャンバと並んで配置された加熱器ブロックの中に位置している抵抗加熱器をアクティブにすることをさらに含む、項目18に記載の方法。
【0111】
20.熱循環器の下側加熱区域および熱循環器の上側加熱区域を使用して上側チャンバおよび下側チャンバを加熱することは、下側チャンバを画定する反応容器の第1の壁を通して下側加熱区域から熱を伝導することと、上側チャンバを画定する反応容器の第2の壁を通して上側加熱区域から熱を伝導することとを含み、第2の壁は、第1の壁より厚い、項目14に記載の方法。
(種々の注記)
【0112】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する付随の図面の参照を含む。図面は、例証として、本発明が実践され得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では、「実施例」とも称される。そのような実施例は、示される、または説明されるものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者は、示され、または説明されるそれらの要素のみが提供される実施例も検討する。さらに、本発明者は、本明細書において示され、または説明される特定の実施例(またはその1つ以上の側面)に関して、または他の実施例(またはその1つ以上の側面)に関して、示され、または説明されるそれらの要素(またはその1つ以上の側面)の任意の組み合わせまたは順列を使用する実施例も検討する。
【0113】
参照することによってそのように組み込まれる本書と任意の文書との間に矛盾する使用法が生じた場合、本書での使用法が、優先される。
【0114】
本書では、用語「a」または「an」が、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」の任意の他の事例または使用法から独立して、「1つ」または「1つを上回る」を含むように使用される。本書では、用語「または(or)」は、別様に示されない限り、「AまたはB」が、「BではなくA」と、「AではなくB」と、「AおよびB」とを含むように、「非排他的または」を指すために使用される。本書では、用語「~を含む(including)」および「その中で(in which)」は、個別の用語「~を備えている(comprising)」および「その中で(wherein)」の平易な英語の均等物として使用される。以下の請求項では、用語「~を含む(including)」および「~を備えている(comprising)」が、非制約的であり、すなわち、請求項内でそのような用語の後に列挙されるものに加えて、要素を含むシステム、デバイス、物品、組成、形成、またはプロセスも、依然として、その請求項の範囲内にあると見なされる。さらに、以下の請求項では、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は、標識として使用されるにすぎず、それらの目的に数値要件を課すことを意図していない。
【0115】
本明細書に説明される方法実施例は、少なくとも部分的に、機械またはコンピュータ実装されることができる。いくつかの実施例は、上記の実施例に説明されるような方法を実施するための電子デバイスを構成するように動作可能な命令を用いてエンコードされるコンピュータ読み取り可能な媒体または機械読み取り可能な媒体を含むことができる。そのような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高レベルな言語コード等のコードを含み得る。そのようなコードは、種々の方法を実施するためのコンピュータ読み取り可能な命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、ある実施例では、コードは、実行の間または他の時間等に、1つ以上の揮発性、非一過性、または不揮発性の有形コンピュータ読み取り可能な媒体上に有形に記憶されることができる。これらの有形コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、限定ではないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)等を含むことができる。
【0116】
上記の説明は、例証的であり、制限的ではないことを意図している。例えば、上記に説明される実施例(またはそれらの1つ以上の側面)は、互いとの組み合わせにおいて使用され得る。他の実施形態も、上記の説明の精査に応じて、当業者等によって使用されることができる。要約は、37C.F.R.§1.72(b)に準拠し、読者が、本技術開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。これが、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないであろうという理解を伴って思量されたい。また、上記の詳細な説明では、種々の特徴が、本開示を簡潔にするために、ともに群化されている場合がある。これは、請求されていない開示された特徴がいずれの請求項にも不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないものにあり得る。したがって、以下の請求項は、実施例または実施形態として、本明細書の詳細な説明の中に組み込まれ、各請求項は、それ独自で別個の実施形態として成立し、そのような実施形態が、種々の組み合わせまたは順列において、相互と組み合わせられ得ることを想定されたい。本発明の範囲は、そのような請求項が享有する均等物の全範囲とともに、添付される請求項を参照して決定されるべきである。