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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】釣りシミュレーション装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/818 20140101AFI20231005BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20231005BHJP
   A63F 13/21 20140101ALI20231005BHJP
【FI】
A63F13/818
A63F13/25
A63F13/21
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022524240
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 KR2020014406
(87)【国際公開番号】W WO2021080315
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0133929
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521182906
【氏名又は名称】ピーアンドアイ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】シン,チェ チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ウン ソク
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-000740(JP,A)
【文献】特開平07-248723(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069377(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F9/24
13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿に装着され、釣り糸が巻かれる手動式駆動プーリーが備えられ、釣り糸が両方向に移動可能な釣りリール;及び
前記釣り竿及び釣りリールに連結される前記釣り糸を牽引するメインモーター;を含んで構成され、前記釣り糸が前記釣り竿、釣りリール及びメインモーターを順次経由して無限循環式で連結されたことを特徴とする釣りシミュレーション装置。
【請求項2】
前記駆動プーリーにはアイドラープーリーが噛み合っており、前記アイドラープーリーは、入力プーリー及び出力プーリーの2個で構成され、前記駆動プーリーの外周面で互いに隣接するように設置されることによって、釣り糸が駆動プーリーの外周面に最大限に多く接触できるようにし、摩擦力を高めるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項3】
前記出力プーリーは、ヒンジによって回動可能なテンショナーの自由端に設置され、このテンショナーにスプリングが設置されることによって、前記出力プーリーが駆動プーリーと弾性的に接触するようになったことを特徴とする、請求項2に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項4】
前記駆動プーリー又は前記駆動プーリーに噛み合うアイドラープーリーに近接した位置には、釣り糸が通過し得る案内チューブがさらに設置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項5】
前記駆動プーリーの外周面には、回転方向に釣り糸が載置され得るリール円周溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項6】
前記釣りリールには、ヒンジ回動するベールと、前記ベールの自由端が選択的に接触するリミットスイッチと、が設置され、ベールとリミットスイッチの接触により、前記メインモーターに、釣り糸を解いたりテンションを維持する信号が印加されるようになったことを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項7】
前記メインモーターは、釣り糸が巻かれるベルト駆動プーリー及び多数の補助プーリーで構成され、ベルト駆動プーリーの外周面を巻いていく釣り糸を外側でベルトが覆っている形態で構成され、釣り糸が滑ることなく駆動できるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項8】
前記ベルト駆動プーリーに近接した位置には、ベルト駆動プーリーの周囲に巻かれる釣り糸が通過し得る案内チューブがさらに設置されることを特徴とする、請求項7に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項9】
前記釣り竿の前方には、左右移動モーターによって左右に移動する左右移動プレートが設置され、この左右移動プレートの下側には、前後移動モーターによって前後に移動する前後移動プレートが設置され、前記前後移動プレートに前記メインモーターが設置されることによってこれらが共に移動するようになり、左右移動プレートには、釣り糸がメインモーターと連結できるように前後方向に長く案内溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項10】
前記メインモーターの上端には、釣り糸が通過するブッシュが前記案内溝を貫通するように設置されることを特徴とする、請求項9に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項11】
前記メインモーターを駆動させるために入力されるプログラムによって仮想空間を視聴覚的に示すディスプレイ部が備えられることを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項12】
前記ディスプレイ部は、HMD、スクリーン及びディスプレイパネルのうち一つであることを特徴とする、請求項11に記載の釣りシミュレーション装置。
【請求項13】
前記釣り竿の動きを感知し、その信号を出力するトラッキングセンサーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の釣りシミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りシミュレーション装置及び方法に関し、より詳細には、釣り行為に合わせて映像として提供されるプログラムと共に、釣り糸の巻き取りなどがリアルに具現されることによって、実際に釣りをするような感じを提供できる釣りシミュレーション装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、プログラムを用いた電子ゲームは、随分前から子供と青少年を主軸として広く用いられており、近年、発達したPCと共に、超高速インターネットの普及が拡大されながらオンラインゲームの急激な活性化をもたらし、老若男女を問わずに誰でも手軽に楽しめる一つの文化として位置付けられている。
【0003】
これを基にして、ゲーム産業は飛躍的な発展を繰り返えしており、ゲームの種類も、単純な頭脳ゲームを始めとして、各種戦闘ゲーム、スポーツゲーム、及びモーターサイクルや自動車競走ゲームなどに至るまで非常に多様な領域にわたっており、ユーザーは、自分の趣向に合わせて適切なゲームを選択して楽しむことができる。
【0004】
このようなゲームをよりリアルな状況で演出し、実際の状況が感じられるように開発されたものがシミュレーション装置であるが、シミュレーション装置は、実際に起こり得る状況を仮想的にコンピュータープログラムによって装置化し、ユーザーに間接的な体験を提供するものであって、仮想の立体的な状況をプログラム化し、シミュレーション装置によって立体的な動作を付与することによって実際の状況のような動きを感じるようにし、これを様々な状況に適用することによって仮想的な状況を実際の状況のように体感できるようにした。
【0005】
このようなシミュレーション装置は、各種ゲームに適用されたり、シミュレーションを通じた各種体験、教育及び立体映画観覧などの多様な分野に適用され得る。
【0006】
さらに、前記のようなシミュレーション装置は、立体的な感覚が感じられる装置の特性によって仮想現実装置と融合され、さらに大きなシナジー効果を得るようになる。
【0007】
一般に、仮想現実(virtual reality)装置は、モニター及びスピーカーを装着したHMD(Head mounted display)によって画像及び音声を発生させることによってユーザーに仮想現実を提供するものである。
【0008】
すなわち、コンピューターによって制御されるHMD及び周辺装置によって仮想環境による動的変化を再現することによって、ユーザーが仮想現実をまるで現実のように感じられるようにし、仮想現実装置は、多くの分野に普及されている実情である。
【0009】
近年、釣りにも前記のような仮想的なプログラムを適用し、室内で釣りを体感できるようにするシステムが導入されている。
【0010】
しかし、釣りの場合は、ユーザーの自体動作をシミュレーションする一般的なシミュレーション装置と異なり、相手物である魚の変化をシミュレーションしなければならないので、それによる変数が非常に多様であり、これを確実に演出しにくいという問題があった。
【0011】
韓国公開特許第10-2018-0134221号は、スクリーン釣り用釣り糸駆動装置を示しているが、これを検討すると、スクリーンで釣りシミュレーション映像を提供するスクリーン釣りシステムに含まれるスクリーン釣り用釣り糸駆動装置において、駆動力を提供するメインモーター;釣り竿の釣り糸に連結され、前記メインモーターの駆動力によって作動し、前記釣り糸を前記スクリーン方向に引っ張ったり前記釣り竿方向に解く牽引部;及び前記牽引部と前記メインモーターとの間に設置され、前記メインモーターの駆動力を前記牽引部に伝達したり、前記メインモーターの駆動力を前記牽引部に伝達することを遮断するクラッチ部;を含む構成であることが分かり、メインモーターによって釣り糸を巻いたり解くことによって魚の動き及び手ごたえを提供できるようにしている。
【0012】
しかし、上記のような従来の公開特許においては、次のような問題が指摘されている。
【0013】
韓国公開特許第10-2018-0134221号では、釣り糸の一端が釣り竿に固定され、他端がモーターに固定される方式であるので、釣り糸の長さに制限があり、この場合、キャスティングやリーリング時に十分な現実感を感じにくく、限定された長さの釣り糸を巻いたり解く過程で釣り糸がもつれやすいという問題が発生し得る。
【0014】
また、釣りに成功して魚を釣った後は、元通りに再度セッティングするためにメインモーターで釣り糸を巻かなければならないので、待機時間が要されるという問題があり、釣り糸を巻くためのボビンがモーター及びリールに備えられなければならないので、装置の体積が大きくなるという問題もある。
【0015】
これらの問題は、仮想的な釣りをするにおいて、実際と類似する状況を演出するのに障害的な要素として作用し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明に係る釣りシミュレーション装置は、より現実感のある釣り状況を演出できるようになった釣りシミュレーション装置及び方法を提供することを目的とする。
【0017】
本発明の他の目的は、釣り糸の長さに制限がないようにし、実際のようなキャスティング及びリーリングなどを行えるようになった釣りシミュレーション装置及び方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、釣り糸がもつれることを防止し、釣りに成功した後の別途のセッティングが必要でなく、直後に続いて釣りを行えるようにし、その結果、さらに便利且つ実感のある釣りが可能になった釣りシミュレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る釣りシミュレーション装置は、前記目的を達成するために、釣り竿に装着され、釣り糸が巻かれる手動式駆動プーリーが備えられ、釣り糸が両方向に移動可能な釣りリール;及び前記釣り竿及び釣りリールに連結される前記釣り糸を牽引するメインモーター;を含んで構成され、前記釣り糸が前記釣り竿、釣りリール及びメインモーターを順次経由して無限循環式で連結されるという特徴を有する。
【0020】
これによって、釣りをするユーザーは、実際のように釣り竿を使用するようになり、センサー及びプログラムによるメインモーターの駆動で操作する釣り糸の様々な状態に合わせて多様な環境の釣り体験を楽しめるようになり、釣り糸が無限に回転し得るので釣り糸を引っ張る際に長さの制限がなく、釣り糸のもつれを防止できるようになる。
【0021】
本発明の他の特徴によると、前記駆動プーリーにはアイドラープーリーが噛み合っており、前記アイドラープーリーは、入力プーリー及び出力プーリーの二つで構成され、前記駆動プーリーの外周面で互いに隣接するように設置されることによって、釣り糸が駆動プーリーの外周面に最大限に多く接触できるようにし、摩擦力を高めると同時に、釣り糸の離脱を防止できるようになる。
【0022】
本発明の更に他の特徴によると、前記出力プーリーは、ヒンジによって回動可能なテンショナーの自由端に設置され、このテンショナーにスプリングが設置されることによって、前記出力プーリーが駆動プーリーと弾性的に接触するようになった。
【0023】
本発明の更に他の特徴によると、前記駆動プーリー又はアイドラープーリーに近接した位置に釣り糸が通過し得る案内チューブがさらに設置されることによって、釣り糸の離脱を防止し、周辺物との接触や摩擦から釣り糸を保護するようになった。
【0024】
本発明の更に他の特徴によると、釣りリールには、ヒンジ回動するベールと、前記ベールの自由端が選択的に接触するリミットスイッチとが設置され、ベールとリミットスイッチの接触により、釣り糸を解いたりテンションを維持する信号が前記メインモーターに印加されるようになった。
【0025】
すなわち、釣り糸を巻いたり解くためのユーザーの操作意図をプログラムに伝達し、メインモーターでは、釣り糸を巻いたり解くようにするセンサー機能をするようになる。
【0026】
本発明の更に他の特徴によると、メインモーターは、釣り糸が巻かれるベルト駆動プーリー及び多数の補助プーリーで構成され、ベルト駆動プーリーの外周面を巻いていく釣り糸を外側でベルトが覆っている形態で構成されることによって、釣り糸が滑ることなく駆動できるようにした。
【0027】
本発明の更に他の特徴によると、前記釣り竿の前方には、左右移動モーターによって左右に移動する左右移動プレートが設置され、この左右移動プレートの下側には、前後移動モーターによって前後に移動する前後移動プレートが設置され、前記前後移動プレートに前記メインモーターが設置されることによってこれらが共に移動するようになり、左右移動プレートには、釣り糸がメインモーターと連結できるように前後方向に長く案内溝が形成されている。
【0028】
これによって、釣り糸に掛かった魚が前後左右に動く状況を演出し、より現実感を付与できるようになった。
【0029】
前記メインモーターの上端には、釣り糸が通過するブッシュが前記案内溝を貫通するように設置され、メインモーターの移動にもかかわらず、釣り糸が安定的に連結されるようにすることが好ましい。
【0030】
本発明の更に他の特徴によると、メインモーターを駆動させるために入力されるプログラムによって仮想空間を視覚的に示すディスプレイ部が備えられる。
【0031】
前記ディスプレイ部は、HMD、スクリーン、又はディスプレイパネルからなり得る。
【0032】
本発明の更に他の特徴によると、釣り竿の動きを感知し、その信号を出力するトラッキングセンサーをさらに含み、釣り竿の操作状態に合わせてプログラムで適切な対応演出をするようになる。
【0033】
本発明は、方法として、ユーザーがHMDを着用し、釣り竿を把持すると、トラッキングセンシングをプロセッサで認識し、メインモーターで釣り糸を解いて垂れた状態にする第1段階と;釣り竿を用いて餌を投擲すると、プロセッサは、腕で投げる速度を認識し、演算された値に基づいて仮想空間で餌を遠く送るようになり、垂れた釣り糸を巻くと、釣り糸のテンションによるメインモーターのトルクを維持し、投げられた餌の地点及び距離をメインモーターのエンコーダで計算し、プロセッサに信号を送ることによって釣り糸のテンションを維持する第2段階と;魚を待つ間にメインモーターが正逆回動を短く駆動することによって、当たりを演出する第3段階と;魚が掛かると、魚の揺動及び移動などの釣り糸の長さの変動データをモーター回転数値と同期化し、比例制御によってメインモーターが正逆回動をしながら魚が揺動する状況を演出する第4段階と;釣りリールのハンドルを回転させると、メインモーターがリールの巻き取り力によって回転しながらエンコーダによる回転データを伝送することによって、仮想空間で魚との距離が狭められる第5段階と;釣りに成功すると、魚を水槽に貯蔵して完了し、ゲームを再開する第6段階と;を含み、前記第5段階において、釣りリールを魚の大きさに比例した許容トルク以上に巻いたり、釣り竿を過度に引っ張ると、メインモーターが巻き戻し方向に急回転しながら釣り糸が垂れるようにし、その結果、釣り糸が切れる状況を仮想空間で演出するようになり、ゲームを再開することによって上記のルーチンを繰り返す段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
このような本発明に係る釣りシミュレーション装置によると、無限に連続循環される釣り糸を適用することによって釣り糸の長さに制限がないようにし、その結果、十分なキャスティング及びリーリングを楽しめるという効果を提供する。
【0035】
本発明は、釣り糸がもつれるという問題を防止し、釣りの終了や中途にゲームを再開しようとするとき、釣り糸を最初に巻き戻すなどのセッティングをしなければならないという不便さを解消することによって、より便利且つ実感のある仮想釣りを楽しめるという効果を提供する。
【0036】
本発明は、釣り糸の無限回転により、リールに直接加えられる張力がリアルタイムで感じられるという効果を提供する。
【0037】
本発明は、モーターのプーリーや釣りリールのプーリーに巻かれる釣り糸が滑ることなく巻かれるようにし、安定的な釣りを可能にするという効果も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に係る釣りシミュレーション装置の一例を示した斜視図である。
図2図1の側面図である。
図3図1において装置の半分を切り取って示す斜視図である。
図4図3の底面斜視図である。
図5】本発明に係る釣り竿の一例を示す斜視図である。
図6図5の側面図である。
図7】本発明に係る釣りリール部分を一例として示す斜視図である。
図8図7における釣りリールの内部を示す斜視図である。
図9図8の側面図である。
図10】本発明に係る駆動プーリーと釣り糸の接触状態図である。
図11】本発明に係る駆動テーブルの一例を示した斜視図である。
図12図11の底面斜視図である。
図13】本発明に係るメインモーターの駆動部分を示す斜視図である。
図14図13の正面図である。
図15】本発明に係る釣りシミュレーション方法を一例として示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の具体的な内容を添付の実施例としての図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
後述する各用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザー及び運用者の意図又は慣例によって変わり得る。そのため、これらの用語は、本明細書全般にわたる内容を基にして定義されるべきであろう。
【0041】
本実施例において、同一の名称の構成要素には同一の図面符号を適用し、釣り糸の出力方向及び入力方向は、ユーザーがリールを巻く動作を基準にして釣り竿の先端から後方に巻かれることを入力方向として設定した。
【0042】
図1は、本発明に係る釣りシミュレーション装置の一例を示した斜視図で、図2は、図1の側面図で、図3は、図1において装置の半分を切り取って示す斜視図で、図4は、図3の底面斜視図である。これらの図面を参照すると、本発明に係る釣りシミュレーション装置1は、釣り竿10、前記釣り竿10に装着される釣りリール20、メインモーター30及び釣り糸40に大別される。
【0043】
シミュレーション装置1には、ユーザーUが着席する椅子2と、ユーザーUが着用するHMD 3とが備えられ、釣り竿10は、椅子2に近接して備えられ、前方には、メインモーター30が内蔵される駆動テーブル50が設置され、釣り糸40は、釣り竿10の先端から駆動テーブル50に引き込まれることによってメインモーター30と連結される。
【0044】
本発明に係る釣り糸40は、釣り竿10、釣りリール20及びメインモーター30を無限に循環経由する形態で連結される。
【0045】
したがって、メインモーター30を経由する釣り糸40は、シミュレーション装置1の内部を通じてユーザーUの隣接位置に引き出され、釣り竿10の釣りリール20に再度連結されることによって連続的に循環されるようになっている。
【0046】
図5及び図6は、本発明に係る釣り竿の一実施例を示しており、図7乃至図9は、本発明に係る釣りリールの一例を示しているが、これらの図面に示したように、釣り竿10の後端部には釣りリール20が装着されており、この釣りリール20によって釣り糸40を手動で巻いて操作するようになる。
【0047】
釣り竿10は、一般的に使用する実際の釣り竿を含めて、如何なる形態を適用しても構わなく、上側一端には、トラッキングセンサー11が任意の位置に装着される。
【0048】
釣りリール20には、リールハンドル21によって手動で駆動する駆動プーリー22が備えられ、この駆動プーリー22に1個又は2個以上のアイドラープーリーが噛み合って設置され、駆動プーリー22には釣り糸40が巻かれ、一側が釣り竿10の先端方向に引き出され、他側が釣り竿10の後端方向に引き出される。
【0049】
駆動プーリー22に噛み合うアイドラープーリーは、好ましくは、入力プーリー23及び出力プーリー24の2個で構成されており、駆動プーリー22の外周面で互いに隣接するように設置されている。
【0050】
すなわち、入力プーリー23及び出力プーリー24は、駆動プーリー22の外周面で釣り竿10の後端部側に偏って設置されるが、釣り竿10の先端から引き込まれる釣り糸40は、入力プーリー23の周囲に巻かれながら駆動プーリー22に一回り巻かれた後、出力プーリー24との接触地点から釣り竿10の後方に引き出されるようになっている。
【0051】
したがって、釣り糸40は、入力プーリー23に巻かれながら一次的な摩擦力を得るようになり、再度駆動プーリー22の外周縁に最大限に巻かれることによって摩擦力を極大化するようになっている。
【0052】
入力プーリー23及び出力プーリー24に近接した釣り糸40の移動経路上には案内チューブ41が設置され、釣り糸40が案内チューブ41を通過できるようにし、その結果、釣り糸40がプーリーから離脱することを防止し、正確な移動経路を維持できるようにし、安定的な釣り糸の巻き取りが可能になっている。
【0053】
駆動プーリー22には、図10に示すように、外周面に回転方向にリール円周溝25を形成することによって、釣り糸40がこのリール円周溝25に載置された状態で安定的に巻かれることを可能にし、リール円周溝25の深さは、釣り糸40が駆動プーリー22の外側にやや突出する程度にし、各アイドラープーリーとも十分な接触圧力を維持できるようになっている。
【0054】
出力プーリー24は、ヒンジによって回動可能なテンショナー26の自由端に設置され得る。この場合、テンショナー26の自由端は、スプリング27によって駆動プーリー22側に弾性的に押されるようにし、その結果、出力プーリー24が駆動プーリー22と弾性的に密着するようになっている。
【0055】
釣りリール20の前方下端には、ヒンジ回動するベール28が設置され、このベール28の自由端が選択的に接触するリミットスイッチ29が設置され、ベール28とリミットスイッチ29の接触により、釣り糸40を投げたりラッキングするためのユーザーの意図をメインモーター30に信号的に伝達するようになっている。
【0056】
また、釣り竿10の一端に設置されるトラッキングセンサー11は、ユーザーUが餌を投擲するなどの釣り竿10を操作する軌跡を立体的にセンシングし、それに合わせてメインモーター30の駆動を制御できるようにする。
【0057】
図11及び図12は、本発明に係る駆動テーブル50の斜視図及び底面斜視図である。これらの図面を参照すると、釣り竿10の前方に位置する駆動テーブル50には、釣り糸40の移動空間だけ中央部が開口されており、下側には、左右移動モーター53によって左右に移動する左右移動プレート51が設置され、この左右移動プレート51の下側には、前後移動モーター54によって前後に移動する前後移動プレート52が設置され、前記前後移動プレート52に前記メインモーター30が設置されることによってこれらが共に移動するようになり、左右移動プレート51には、釣り糸がメインモーターと連結できるように前後方向に長く案内溝59が貫通形成されている。
【0058】
前記左右移動プレート51を左右に移動させるために、駆動テーブル50には、前記左右移動モーター53によって回転するねじ軸としての左右アクチュエーター55が設置され、左右移動プレートが左右アクチュエーター55とねじ結合される。また、駆動テーブル50の下側には左右ガイドレール57が設置され、左右移動プレート51が左右ガイドレール57と移動可能に結合されている。
【0059】
また、左右移動プレート51には、前後移動モーター54によって回転するねじ軸としての前後アクチュエーター56が設置され、前後移動プレート52が前後アクチュエーター56とねじ結合される。また、左右移動プレート51の下側には前後ガイドレール58が設置され、前後移動プレート52が前後ガイドレール58と移動可能に結合されている。
【0060】
前後移動プレート52にはメインモーター30が設置され、左右移動プレート51及び前後移動プレート52の移動によってこれらが共に移動するようになり、メインモーター30に釣り糸40が連結されている。
【0061】
釣り糸40は、開口された駆動テーブル50の中央部を介してメインモーター30に連結されるが、前後移動プレート52に固定されたメインモーター30が左右移動プレート51の前後に移動するので、左右移動プレート51には、釣り糸40が前後に移動できる空間として案内溝59が前後に長く形成されており、この案内溝59を介して釣り糸40がメインモーター30と連結される。
【0062】
釣り糸40が案内溝59に直接接触せずに円滑にメインモーター30と連結されるようにするために、メインモーター30の上端には、案内溝59を貫通するブッシュ35が設置され、釣り糸40がブッシュ35を通過するようになっている。
【0063】
このような駆動テーブル50では、センサー及び入力されたプログラムによって左右移動プレート51及び前後移動プレート52が前後左右に移動するようになり、その結果、メインモーター30が移動しながら魚の動きを演出するようになる。
【0064】
左右移動プレート51及び前後移動プレート52は、左右移動モーター53及び前後移動モーター54によって駆動する各アクチュエーター55、56によって移動するようになり、左右ガイドレール57及び前後ガイドレール58に案内されることによって正確且つ迅速な動きを立体的に示すことができる。
【0065】
前記各アクチュエーターは、ねじ軸でない空圧シリンダーとしても適用され得る。
【0066】
図13及び図14は、メインモーター30の構成を実施例として示した図であって、これらを参照すると、メインモーター30は、釣り糸40が巻かれるベルト駆動プーリー31及び多数の補助プーリー32で構成され、ベルト駆動プーリー31の外周面を巻いていく釣り糸40を外側でベルト33が覆っている形態で構成される。
【0067】
したがって、釣り糸40は、ベルト駆動プーリー31の外面で単純に巻いていくのではなく、外側でベルト33が堅固に押しながら共に回転するようになるので、プーリーの外面で釣り糸40が滑ることなく、回転力が安定的に伝達できるようになる。
【0068】
特に、ベルトを支持する補助プーリー32のうちベルト駆動プーリー31に隣接した2個のプーリーは、ベルト33がベルト駆動プーリー31を最大限に巻いた後の隣接した位置に配置されることによって、釣り糸40とベルト33がベルト駆動プーリー31と最大限に接触するようになっており、ベルト33としては、滑りを防止するためにタイミングベルトが適用されることが好ましい。
【0069】
ベルト駆動プーリー31の外周面には、前記釣りリール20の駆動プーリー22に形成されたリール円周溝25と同様に、釣り糸40が載置され得る円周溝34が形成され得る。また、釣り糸40は、ベルト駆動プーリー31の外側にやや突出する程度に円周溝34に載置される。
【0070】
メインモーター30としては、サーボモーターを使用するようになり、モーターのトルク制御機能によって釣り糸の張力が調節され得る。また、エンコーダは、モーターの回転を感知するセンサーとして備えられる。
【0071】
ベルト駆動プーリー31の外周面を巻いていく釣り糸40は、隣接した2個の補助プーリー32の間に引き込まれたり、隣接した2個の補助プーリー32の間から引き出されるが、円滑な引き込み及び引き出しのために、釣りリール20部分と同様に、案内チューブ41がチューブホルダー42によって支持されるように設置され、釣り糸40がこの案内チューブ41を通じて案内されるようになっている。
【0072】
メインモーター30のベルト駆動プーリー31を巻いていく釣り糸40の一側が釣り竿10に連結され、他側がシミュレーション装置1の内部を経て釣り竿10の後端部に装着された釣りリール20に連結されることによって、釣り糸40が無限に循環されるようになっている。
【0073】
本発明では、入力されたプログラムによって釣り環境が正確にセッティングされ得る。また、魚種や周辺環境などの内容を選択的に入力して使用することも可能である。
【0074】
このように入力されたプログラム及び釣り竿のトラッキングセンサーに基づいて釣りリールのベール及び釣りリールの駆動プーリーを回転させる力などの信号を総合的に感知し、メインモーター30、左右移動モーター53及び前後移動モーター54などを駆動させるようになる。
【0075】
また、本発明のシミュレーション装置では、仮想空間を視聴覚的に示すディスプレイ部が備えられるが、このディスプレイ部は、体験者が着用するヘルメットの仮想現実体験用HMDで構成されることが好ましく、その他にも、スクリーンやディスプレイパネルで具現可能であり、入力されるプログラムによってその内容が変わり得る。
【0076】
図15は、本発明に係る釣りシミュレーション方法を一例として示したフローチャートであって、このような釣りシミュレーション方法は、上述したシミュレーション装置によって行われ得る。
【0077】
図15を参照すると、第1段階(a)において、ユーザーUが椅子に着席し、HMD 3を着用した後で釣り竿10を把持すると、トラッキングセンシングをプロセッサで認識しながらゲームが開始される。このとき、釣り糸40は、メインモーター30で解いて垂れた状態になる。
【0078】
第2段階(b)において、釣り竿10を用いて餌を投擲すると、プロセッサは、腕で投げる速度を認識し、仮想空間で餌を演算された値に基づいて遠く送るようになり、釣りリール20のハンドル21を回転させながら垂れた釣り糸のテンションを維持するようになるが、釣り糸のテンションによるメインモーターのトルクを維持し、投げられた餌の地点及び距離をメインモーターのエンコーダで計算し、信号をプロセッサに送るようになる。
【0079】
第3段階(c)は、魚を待つ間に、メインモーター30が正逆回転を短く駆動することによって当たりを演出するようになり、第4段階(d)において、魚が掛かると、メインモーター30が正逆回転をしながら魚が揺動する状況を演出するようになる。すなわち、魚の揺動及び移動などの釣り糸の長さの変動データをモーター回転数値と同期化し、比例制御によってメインモーター30、左右移動モーター53及び前後移動モーター54を駆動させることによって魚の動きを立体的に演出するようになる。
【0080】
第5段階(e)において、釣りリール20のハンドル21を回転させると、メインモーター30は、リールの巻き取り力によって回転しながらエンコーダによる回転データを伝送することによって、仮想空間で魚との距離が狭められるが、この段階でも、前記第4段階の状況が続くようになる。
【0081】
このとき、釣りリールを魚の大きさに比例した許容トルク以上に巻いたり、釣り竿を過度に引っ張ると、メインモーター30が巻き戻し方向に急回転しながら釣り糸40が垂れるようにし、その結果、釣り糸が切れる状況を仮想空間で演出するようになり、ゲームを再開することによって上記のルーチンを繰り返すようになる。
【0082】
第6段階(f)において、魚の釣りに成功すると、魚を水槽に貯蔵した後、ゲームを再開することができる。
【0083】
本発明では、シミュレーションの内容を仮想的にディスプレイすることによって、仮想空間で見られる視覚的な現象と本発明に係る装置の動作とが連係しながら実際の状況のように感じられるようにしているので、このようなディスプレイは、仮想現実体験用HMDによって具現され得る。
【0084】
したがって、入力されるプログラムの内容と釣り竿及び釣りリールの各操作に基づいてモーターを状況に合わせて駆動させることによって、実際の状況のような現実感のある仮想の釣りを楽しめるようになる。
【0085】
以上で説明及び図示した本発明は、上記の実施例に限定する趣旨のものではなく、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様な形態で実施可能であろう。
【0086】
また、上記の説明で基本的且つ任意的に使用可能な各機械要素、例えば、モーターに使用される減速機、ヒンジ、ベアリング、電気的な連結構成などの各汎用構成についての具体的な説明は省略した。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る釣りシミュレーション装置は、無限に連続循環される釣り糸を適用することによって釣り糸の長さに制限がないようにし、その結果、十分なキャスティング及びリーリングを楽しめると共に、釣り糸がもつれるという問題を防止し、釣りの終了や中途にゲームを再開しようとするとき、釣り糸を最初に巻き戻すなどのセッティングをしなければならないという不便さを解消することによって、より便利且つ実感のある仮想釣りを楽しめるものとして産業上の利用可能性が高いものである。
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