(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】暗記カード用リング式バインダー
(51)【国際特許分類】
B42F 13/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B42F13/16 A
(21)【出願番号】P 2019167731
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】301055734
【氏名又は名称】アロックス有限会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 隆次
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-120367(JP,A)
【文献】実開昭57-199482(JP,U)
【文献】実開昭51-051020(JP,U)
【文献】実公昭33-016619(JP,Y1)
【文献】実公昭40-035609(JP,Y1)
【文献】米国特許第04904103(US,A)
【文献】米国特許第04355916(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0007308(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
G09B 19/08
B42D 1/00 - 1/10
11/00
15/00 - 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外見が輪の筒状に加工された形状のとめ具(P)と、とめ具(P)に綴った表表紙(FC)と、とめ具(P)に綴った裏表紙(BC)と、を有するバインダー(B)であって、とめ具(P)は、多穴パンチであけたパンチ穴(H)のあいた用紙(Y)の脱着用に設けた切れ目(S)を有する複数の開閉リング(R)と開閉リング(R)の両基端を繋ぎ合わせるジョイント部(J)が一体化したものであり、開閉リング(R)は、開閉リング(R)の一方の基端から開閉リング(R)の切れ目(S)までの閉リング(R1)と、開閉リング(R)の他方の基端から開閉リング(R)の切れ目(S)までの閉リング(R2)とで、一式の開閉リング(R)とされ、開閉リング(R1)の長さは開閉リング(R)の前記一方の基端から開閉リング(R)の中央までの長さより長く、開閉リング(R2)の長さは開閉リング(R)の前記他方の基端から開閉リング(R)の中央までの長さより短く、とめ具(P)は、開閉リング(R1)と、開閉リング(R2)の位置関係が、交互に真逆方向となるように、一式の開閉リング(R)が複数配置され、縦方向に用いると一対となったそれぞれの開閉リング(R)が左右に開き、横方向に用いると上下に開くものであり、とめ具(P)に綴られた表表紙(FC)を反時計回りに裏返すと、とめ具(P)のジョイント部(J)及び複数配置された一式の各開閉リング(R)がてことなって、バインダー(B)のとめ具(P)の全ての開閉リング(R)の閉じられた切れ目(S)が左右又は上下に広がることによって生じる隙間(G)を介し、パンチ穴(H)で結束された用紙(Y)を脱着し、表表紙(FC)を元の位置に戻すと、バインダー(B)のとめ具(P)の全ての開閉リング(R)の切れ目(S)が素材の復元力で元の位置に戻り、広がった隙間(G)が塞がり、再び、全ての開閉リング(R)の長さの異なる開閉リング(R1)と開閉リング(R2)が、組み合わさることによって切れ目(S)より用紙(Y)が外れなくなる構造を特徴とするリング式バインダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダーのとめ具の長さが異なる一対の開閉リングのそれぞれが交互で真逆方向となるように配置すると、各リングの切れ目が一直線でなくなり、パンチ穴のあいた用紙をリングより外れなくしたものを、バインダーの表表紙を反時計回りに回し、バインダーのとめ具のジョイント部をてこにし、入り組んだ各リングの切れ目を広げ隙間を作り、その隙間からパンチ穴のあいた用紙を脱着する、多穴パンチ穴のあいた暗記カードや用紙のリング式バインダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
暗記カードや情報カードと称されるものには、バインダー用多穴パンチのあいたカードは見当たらない。有ったとしても、それらのカードを容易に脱着できるものは見当たらない。多穴パンチ穴のあいた暗記カードや情報カードでない為、そして、作成したカードを保管管理するものが無い為、暗記カードや情報カードだけでなく、通常の暗記カードや本やメモ帳やノートでも、覚えられないという人々が多数いるのが現状である。
【0003】
さらに、カードで覚えるには覚えやすいものと、覚えにくいものとがあり、覚えにくいものは、暗記の繰り返し頻度が多くなるように、カードの格納されている位置を変更することが必須であるが、カードの脱着が容易なものが無いため、必要に応じて位置を変更することが容易にできない。その為、能率的に暗記ができないのが現状である。
【0004】
しかも、これらの暗記カードや情報カードは、とめ具で結束しある為、その中から1枚を取り出したり、綴じ込んだりする場合は、そのとめ具で結束してあった複数の暗記カードや情報カード全体を開放し、その中から目的のものを取り出したり、しまい込んだりしている。そのため暗記カードや情報カードの脱着操作は非常に面倒である。
【0005】
そこで、バインダー用パンチ穴の開いた暗記カードの各パンチ穴に切り込みを入れることにより、結束リングを開かずに用紙の脱着ができるようにしたものが開発されたが、パンチ穴に脱着用の切り込みを入れると、用紙同士が縺れてパンチ穴が破損したり、絡んだりする。そこで、それらの暗記カードや情報カードがもっと安全で容易にバインダーより脱着できると便利である。
【先行技術文献】
【0006】
【文献】特開2007-136752号公報
【文献】特許第6534077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市販の暗記カードや特許文献1のような暗記カードは、多穴パンチ穴のあいたカードでない為、市販のバインダーに保管できない。よって、作成したカードの知識定着度の把握及び管理を効率的にできない。その為、カードの使用を諦める人々が多々いる。
【0008】
特許文献2の暗記カードや情報カードは、書き写した問題を見ながらその解答を書き写したり、問題と解答を同一紙面上に表示し、問題と解答を何度も見比べ、ある程度覚えた後で、カード形式にして暗記を繰り返すというステップは有るが、各カード用紙の上下方向又は左右方向となる両基端に帯状余白部を形成し、結束部となる帯状余白部に複数のバインダー用パンチ穴を横一列にあけた穴に切り込みを入れ、その切込みを介してバインダーの開閉リングに綴じるものである。
【0009】
また、バインダー用パンチ穴に切り込みを入れた暗記カードや情報カードを製品化するには、金型が必要となるため、市販の安価で販売されている暗記カードや情報カードのような普及は望めない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の暗記カード用リング式バインダーは、用紙の脱着用に設けた切れ目が中央より長くなるものと短くなるものとで一式の開閉リングとなるものが、交互に真逆方向となるように組み合わさることによって、用紙やカードが切れ目より外れなくしたものと、全開閉リングの両基端をつなぎ合わせるジョイント部とが一体化したとめ具に表表紙と裏表紙とを綴りバインダーとし、表表紙を反時計回りに裏返すと、ジョイント部がてことなってバインダーのとめ具の全ての開閉リングの閉じられた切れ目が左右又は上下に広がることによって生じる隙間を介し、結束された暗記カードやルーズリーフを脱着するもので、表表紙を元の位置に戻すと、バインダーのとめ具の全べての開閉リングの切れ目が復元力で元の位置に戻り、脱着用に広がった隙間が塞がり、再び、長さの異なる一式の開閉リングが、交互に真逆方向に組み合わさることによって位置がずれた切れ目の構造となる為、暗記カードやルーズリーフが外れなくなるものである。このリングの恩恵で、市販のバインダー用パンチ穴のあいた用紙が、全て暗記カードや情報カードとして使用できるようになった上、市販の様々な色やサイズのバインダーに覚えたカードを綴じ直せば、それらの定着度把握や保管管理も効率的にできるようになった。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記の構成であるから、次のような作用効果がある。
多穴用パンチ穴のあいた暗記カードのパンチ穴に脱着用の切り込みを入れなくても、暗記カードを結束リングより容易に脱着することができるようになった。
【0012】
知識の定着に市販の暗記カードや情報カードは、非常に効果があるが、定着度把握や保管管理する機能が無い為、大多数の学習者は、『繰り返し覚える』という短期記憶にしか使えていないというのが現状である。これからの暗記カード等は、カードで繰り返し覚えるだけでなく、覚えたカードを他のバインダー等に綴じて、定着度把握や保管管理し、確実に知識として定着させるものでなければならない。本発明でそれが可能となった。
【0013】
通常の用紙に多穴用パンチで穴をあけ、本発明のバインダーに綴じるだけで、知識定着度把握やカードの管理が効率的にできる暗記カードや情報カードになるようになった。
【0014】
市販のバインダーには、通常、開閉リングを固定するものがあり、そこの破損が多々有る。しかし、本発明のバインダーは、開閉リング同士をかみ合わせ固定する構造でない為、リングの緩みや破損の心配が無い。また、リングの復元力が弱まった場合は、弱まったリングの両基端を輪ゴム等でとめれば、復元力は回復する。
【0015】
用紙の脱着が容易な為、カードの位置を移動し、繰り返し暗記の頻度を変えれば、覚えにくいカードや忘れやすいカードでも覚えられるようになった。
【0016】
さらに、大きなサイズのリングに綴じられたカードの中に、小さなサイズのカードで色の異なるカードを綴じるという方法を用いれば、小さいカードが大きいカードの補完カードとなり、これらの相乗効果で、より効率的な知識の定着が期待できる。
【0017】
ある用紙を取り出した後、別の場所に移動する場合、用紙を脱着する時以外は、各開閉リングの切れ目は塞がっている状態なので、他の用紙を取り出す必要はない。移動したい場所で、表表紙を反時計回りに裏返せば、全ての開閉リングの切れ目が広がり、脱着用の隙間が出来るので、楽々、その用紙の移動ができる。
【0018】
開閉リングの両いれ基端を繋ぎ合わせているジョイント部の間を切れば、好きなカードサイズのバインダーの作成ができる。
【0019】
開閉リングの直径が大きいリングの中に、直径がより小さいリングを格納すれば、とめ具をセットで販売することができる。
【0020】
多穴用パンチ穴のあいた暗記カード用リングである為、情報カードやルーズリーフのような、より大きなサイズの用紙にも対応できる。
【0021】
構造がシンプルである為、色々なサイズのリング式バインダーを安価で作成できる。
【0022】
多穴用パンチ穴のあいた暗記カードである為、安価な市販のバインダーでも保管管理ができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の暗記カード用リング式バインダーの平面図である。
【
図2】
図1の表表紙と裏表紙とを開いた状態の平面図である。
【
図3】
図1の表表紙と裏表紙を取り除いたとめ具の斜視図である。
【
図4】バインダーの表表紙を反時計回りに裏返し、各リングの切れ目を広げパンチ穴のあいた用紙の脱着用の隙間を作った斜視図である。
【
図5】各開閉リングの切れ目が一直線でなくなり、パンチ穴のあいた用紙がリングより外れない状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例を図面を参考にしながら説明する。
図1と
図2は、本発明のとめ具で表表紙と裏表紙が綴じられているだけの状態なので、
図4のように表表紙を反時計回りに裏返し、バインダーのとめ具等をてこにして、各リングの切れ目を広げ隙間を作ります。その隙間を介しパンチ穴のあいた用紙を取り付けます。その後の使い方は、通常の暗記カードと同じで、用紙の表に問題を書き、裏にその解答を書き込みます。バインダーに暗記カード用紙が既に綴じられている場合は、そのまま暗記カード用紙に問題とその解答をを書き込むか、表表紙を反時計回りに裏返し、各リングの切れ目を広げ隙間を作り、用紙を取り出し、その取り出した用紙に問題とその解答を書き込み、全て書き込み終えたら、通常は
図5のように、各リングの切れ目の隙間は塞がっているので、表表紙を反時計回りに裏返すと同時に、各リングの切れ目を広げ隙間を作り、その隙間を介し用紙を綴じます。
【0025】
何度も暗記を繰り返し、ある程度、書き込んだカードの問題と解答を覚えたら、市販のバインダーにそれらのカードを綴じ、保管管理します。その場合、定期的に知識として定着しているかの確認をします。また、出来るだけ、科目別に保管管理するとより効率的に知識の定着度把握ができます。
【0026】
苦手問題や何度も繰り返しても覚えられないカードは、繰り返しの頻度が多くなる位置に移動し、知識として定着するまで、暗記の繰り返しをしましょう。なかなか覚えられないというものでも、諦めずに暗記の繰り返しをすれば、どこかで、知識として定着します。ある程度覚えたら、他のバインダーに移し保管管理します。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の暗記カード用リング式バインダーは、バインダーに綴じたカードの順番を入れ替え、暗記の繰り返し頻度を変え、効率的に暗記の繰り返しをし、ある程度、知識として定着したら、それらを市販の保管管理用バインダーに移し、定期的にカードの記憶の定着度の把握をし、長期に渡って保管管理をするという、一連の段階的な学習とその管理保管が容易にできるようになった。その為、今まで以上に暗記カードや情報カードが使われる可能性が高くなった。
【0028】
また、本発明のバインダーは、素早くカードや用紙を取り出した後、用紙脱着用切れ目の隙間は自然と塞がる構造となっている為、他のカードや用紙を取り出さずに、取り出したカードや用紙を任意の場所に移動できるようになっている。その為、今までに無いメモ帳やノートとしても使われる可能性が出できた。
【0029】
また、スマートフォン等のカメラを用いて、問題と解答を表示したカードを写真に撮れば、スマートフォン等の画面上でもカードの暗記確認ができるので、学習の知識習得に用いられるだけでなく、各種の資格取得試験や生涯学習等あらゆる学習に使用できるようになる。
【0030】
しかも、用紙やカードをサッカーボールや野球のボール等、その他の色々な形状にも加工できる為、楽しみながらの学習もできるようになった。
【0031】
本発明は、暗記カードのほか、いわゆる京大式の情報カードやルーズリーフ用紙等の各種用紙をバインダーに綴じるものにして使用することができるので、用途の拡大が図れる。
【0032】
本発明の暗記カード用リング式バインダーのリングは、大・中・小のサイズのものを一番大きいリングの中に格納し、販売できる。
【0033】
本発明の暗記カード用リング式バインダーのリングの長さを変えれば、市販のルーズリーフ紙の結束にも用いることができる。
【0034】
本発明の暗記カード用リング式バインダーは、シンプルな構造である為、安価なプラスチック系のものから、高品質で丈夫な金属製のものまでの、様々なサイズや色のものを商品化できる為、普及する可能性は非常に高い。
【符号の説明】
【0035】
B…バインダー
FC…表表紙
BC…裏表紙
H…多穴パンチであけたパンチ穴
Y…パンチ穴あいた用紙
S…脱着用の切れ目
R1…切れ目の位置が中央より長くなる開閉リング
R2…切れ目の位置が中央より短くなる開閉リング
R…一式の開閉リング(R1+R2)
J…開閉リングのジョイント部
P…(Jを含む)とめ具
G…切れ目が広がって生じる隙間