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特許7360586梁補強金具及び梁補強金具重ね合わせ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】梁補強金具及び梁補強金具重ね合わせ構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/08 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E04C3/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019238234
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105323
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】望月 久智
(72)【発明者】
【氏名】冨田 拓
(72)【発明者】
【氏名】林 郁実
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-037757(JP,A)
【文献】実開昭60-041618(JP,U)
【文献】特開平07-238635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0262914(US,A1)
【文献】特開2020-133312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/00 - 3/46
E04B 1/38 - 1/61
B65D 21/00 -21/08
F16L 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁を貫通する貫通孔に固定する梁補強金具であって、
外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面を有するリング状本体を備え、
前記リング状本体は、
前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能であり、前記貫通孔と同心の円弧状に形成された突起と、
前記一端面に形成された収容部と、を備え、
前記収容部は、前記突起と同一形状を有する他の梁補強金具の突起を収容可能である
ことを特徴とする梁補強金具。
【請求項2】
前記突起及び前記収容部は、前記リング状本体の内周縁に沿って交互に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梁補強金具。
【請求項3】
前記収容部は、前記リング状本体の前記一端面の内周縁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の梁補強金具。
【請求項4】
梁を貫通する貫通孔に固定する梁補強金具であって、
外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面及び前記一端面の反対側の他端面を有するリング状本体を備え、
前記リング状本体は、
前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能な突起と、
前記他端面に突設された突部と、
前記他端面に形成された収容部と、を備え、
前記収容部は、前記突部を同一形状を有する他の梁補強金具の突部を収容可能である
ことを特徴とする梁補強金具。
【請求項5】
前記突部及び前記収容部は、前記リング状本体の内周縁に沿って交互に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の梁補強金具。
【請求項6】
前記収容部は、前記リング状本体の前記他端面の内周縁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の梁補強金具。
【請求項7】
前記突起の軸線方向の高さが前記貫通孔の軸線方向の寸法の1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の梁補強金具。
【請求項8】
梁を貫通する貫通孔に固定される梁補強金具を2つ重ね合わせた梁補強金具重ね合わせ構造であって、
前記2つ重ね合わせた梁補強金具のうち一の梁補強金具と他の梁補強金具の各々は、外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面及び前記一端面の反対側の他端面を有するリング状本体を備え、
前記リング状本体は、
前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能な突起と、
前記他端面に形成された突部と、
前記他端面に形成された収容部と、を備え、
前記収容部は、前記一又は他の梁補強金具が備える前記突部を収容可能な形状であり、
前記一又は他の梁補強金具の前記突部を、前記他又は一の梁補強金具の前記収容部に収容させて重ね合わせた
ことを特徴とする梁補強金具重ね合わせ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁に形成された貫通孔の周囲に固定され、貫通孔を形成したことによって強度が低下した鉄骨梁を補強する梁補強金具及び梁補強金具重ね合わせ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
S構造,SRC構造の構造物においては、鉄骨梁に配管や配線のための貫通孔を形成することがある。このように貫通孔が形成されて強度が低下した鉄骨梁を補強するために、従来、貫通孔の周囲にリング状の鉄骨補強部材を溶接する梁の補強構造が知られていた(特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載のような梁の補強構造は、貫通孔に鉄骨補強部材をはめ込み、鉄骨補強部材の一方の面側の周部全周を鉄骨に溶接してあり、他方の面側の周部全周を鉄骨に溶接しないので、施工コストの増加を抑制できる。
しかし、このような梁の補強構造は、鉄骨補強部材を鉄骨の厚み方向に位置決めするのが難しかったり、あるいは、梁を寝かせた状態で貫通孔に鉄骨補強部材をはめ込み、鉄骨補強部材と梁を仮溶接してから梁を裏返し、その後、鉄骨補強部材の周部全周を梁に溶接しなければならず、作業に多大な労力を要し、コストが増大しかねなかった。
【0003】
そこで、本出願人は、先に、環状の本体部を備え、本体部の軸線方向の一端面に、鉄骨梁のウェブの側面に接触する接触端面が形成され、接触他端面から軸線方向に突出する突出部が形成され、突出部の外周面の断面形状は鉄骨梁の貫通孔の断面形状と略同一である鉄骨梁補強金具を、特許文献2として提案した。
この鉄骨梁補強金具は、鉄骨梁を寝かせた状態で、貫通孔の内部に突出部を挿入し、本体部の接触端面を鉄骨梁のウェブの側面に接触させるだけで、貫通孔に対して径方向および軸線方向に位置決めされるので、仮溶接が不要であり、固定作業中に鉄骨梁を裏返す必要がなく、作業の負担を大きく軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4859069号公報
【文献】特願2018-185622号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先願に係る鉄骨梁補強金具は、鉄骨梁の強度低下が著しい場合に、貫通孔の軸線方向の両端部にそれぞれ固定して補強強度を高めることがあり、このような構造にするには、2個の鉄骨梁補強金具を一組にして保管あるいは搬送すると、使用数を把握しやすく、施工ミスも生じにくい。
本発明が解決しようとする課題は、保管あるいは搬送の際に、2個を一組にして安定して重ねることができ、2個の梁補強金具をひとつの貫通孔に固定する場合に施工しやすい梁補強金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る発明は、梁を貫通する貫通孔に固定する梁補強金具であって、外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面を有するリング状本体を備え、前記リング状本体は、前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能であり、前記貫通孔と同心の円弧状に形成された突起と、前記一端面に形成された収容部と、を備え、前記収容部は、前記突起と同一形状を有する他の梁補強金具の突起を収容可能であることを特徴とする梁補強金具である。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、前記突起及び前記収容部は、前記リング状本体の内周縁に沿って交互に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梁補強金具である。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、前記収容部は、前記リング状本体の前記一端面の内周縁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の梁補強金具である。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、梁を貫通する貫通孔に固定する梁補強金具であって、外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面及び前記一端面の反対側の他端面を有するリング状本体を備え、前記リング状本体は、前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能な突起と、前記他端面に突設された突部と、前記他端面に形成された収容部と、を備え、前記収容部は、前記突部を同一形状を有する他の梁補強金具の突部を収容可能であることを特徴とする梁補強金具である。
【0010】
本願請求項5に係る発明は、前記突部及び前記収容部は、前記リング状本体の内周縁に沿って交互に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の梁補強金具である。
【0011】
本願請求項6に係る発明は、前記収容部は、前記リング状本体の前記他端面の内周縁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の梁補強金具である。
【0012】
本願請求項7に係る発明は、前記突起の軸線方向の高さが前記貫通孔の軸線方向の寸法の1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の梁補強金具である。
【0013】
本願請求項8に係る発明は、梁を貫通する貫通孔に固定される梁補強金具を2つ重ね合わせた梁補強金具重ね合わせ構造であって、前記2つ重ね合わせた梁補強金具のうち一の梁補強金具と他の梁補強金具の各々は、外径が前記貫通孔の直径より大きく、内径が前記貫通孔の直径より小さく、前記梁の側面に接触する一端面及び前記一端面の反対側の他端面を有するリング状本体を備え、前記リング状本体は、前記一端面に突設され、前記貫通孔へ挿入可能な突起と、前記他端面に形成された突部と、前記他端面に形成された収容部と、を備え、前記収容部は、前記一又は他の梁補強金具が備える前記突部を収容可能な形状であり、前記一又は他の梁補強金具の前記突部を、前記他又は一の梁補強金具の前記収容部に収容させて重ね合わせたことを特徴とする梁補強金具重ね合わせ構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突起を貫通孔へ挿入し、リング状本体の一端面を梁の側面に重ねることにより、貫通孔に対して軸線方向および径方向に位置決めされるので、梁を裏返すことなく一面側のみから梁補強金具を梁に溶接して固定することができる。
また、突起あるいは突出部と収容部とを嵌合し、2個の梁補強金具を一組にして位置ずれしないよう安定して重ねた状態で保管や搬送ができ、特に、貫通孔の両端部にそれぞれ梁補強金具を固定する場合に施工しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態における使用状態の梁補強金具を示す図であり、(ア)は断面図、(イ)は正面図である。
図2】第1の実施形態における梁補強金具を示す図であり、(ア)は斜視図、(イ)は一端面を見た図である。
図3】第1の実施形態における2個の梁補強金具を重ねた状態の断面図である。
図4】第2の実施形態における梁補強金具を示す図であり、(ア)は斜視図、(イ)は一端面を見た図である。
図5】第2の実施形態における2個の梁補強金具を重ねた状態の断面図である。
図6】第3の実施形態における梁補強金具の一端面を見た図である。
図7】第3の実施形態における2個の梁補強金具を重ねた状態の断面図である。
図8】第4の実施形態における梁補強金具を示す図であり、(ア)は一端面を見た図、(イ)は他端面を見た図である。
図9】第4の実施形態における2個の梁補強金具を重ねた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。
図1は、使用状態の梁補強金具1を示し、図2は、一端面側を見た梁補強金具1を示し、図3は、2個の梁補強金具1を重ねた状態を示している。
【0018】
図1に示すように、梁補強金具1は、H型鋼より成る梁2のウェブ20を厚さ方向に貫通する円形の貫通孔21の軸線方向両端部にそれぞれ固定され、貫通孔21を形成したことによって強度が低下した梁2を補強している。
梁補強金具1は、鋼材を鍛造あるいは鋳造して成形され、貫通孔21と同心の円環状のリング状本体10を備える。リング状本体10の外径は貫通孔21の直径より大きく、リング状本体10の内径は貫通孔21の直径よりやや小さい。
また、リング状本体10の一端面10a及び他端面10bは、互いに平行で、かつ、梁2のウェブ20の側面と平行であり、一端面10aが梁2のウェブ20の側面に接触するようになっている。他端面10bは、一端面10aの反対側の面である。
【0019】
リング状本体10の一端面10aには、貫通孔21へ挿入可能で、外周面が貫通孔21の内周面に当接される位置決め用の2個の位置決め突起11が内周縁に沿って突設される。位置決め突起11は、貫通孔21と同心の円に沿う円弧状であり、その断面は角形である。
貫通孔21の直径を配管や配線に必要な寸法より無用に大きくしないために、位置決め突起11の径方向の幅は4mm~5mmとしてある。また、位置決め突起11の軸線方向の高さは、貫通孔21の両端部から挿入したときに干渉しあわないように、貫通孔21の軸線方向の寸法の1/2以下としてある。
【0020】
図2に示すように、位置決め突起11の周長はリング状本体10の内周囲の1/4よりもわずかに短く、2個の位置決め突起11は、リング状本体10の1本の直径(図2の(イ)における上下方向に沿う直径)の両端部に配置されて、相対向している。
また、リング状本体10の一端面10aの内周縁において、2個の位置決め突起11の間は、同一形状の他の梁補強金具1の位置決め突起11を収容するための収容部12となっている。収容部12の周長は、位置決め突起11の周長よりわずかに長い。
リング状本体10の他端面10bは、凹凸の無い平らな面となっている。
【0021】
梁補強金具1を保管あるいは搬送する際には、図3に示すように、2個の梁補強金具1を一組にし、一方の梁補強金具1を裏返して、リング状本体10の一端面10aどうしを対向させるとともに中心軸を一致させて2個の梁補強金具1を重ねる。そして、一方の梁補強金具1の位置決め突起11を他方の梁補強金具1の収容部12へ嵌合すると、一方の梁補強金具1と他方の梁補強金具1とは、位置決め突起11の周方向両端面どうしが当接して面方向の移動が規制され、重なった2個の梁補強金具1は安定して位置ずれしにくい。
また、位置決め突起11同士が互いに内側になるので、保管や搬送の際に、位置決め突起11が保護されることになり、損傷や変形による貫通孔21への挿入に支障が生じることを防止することができる。
さらにリング状本体10の他端面10bは凹凸の無い平らな面なので、2個重ねた梁補強金具1を多段に積み重ねても、保管や搬送の際に崩れにくい。
【0022】
2個の梁補強金具1を貫通孔21に固定するには、2個の梁補強金具1を重ねた状態で搬送し、梁2を倒してウェブ20の側面を上にした状態で、一方の梁補強金具1の位置決め突起11を上から貫通孔21の一端部へ挿入し、位置決め突起11の外周面を貫通孔21の内周面に当接するとともにリング状本体10の一端面10aを梁2のウェブ20の側面に接触させ、梁補強金具1を貫通孔21に対して軸線方向および径方向に位置決めしてから、リング状本体10の外周面の全周を梁2のウェブ20の側面に溶接する。
次いで、梁2を裏返し、貫通孔21の他端部に他方の梁補強金具1を同様にして固定する。
【0023】
〔第2の実施形態〕
図4および図5を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0024】
図4に示すように、リング状本体10の一端面10aにおいて、2個の位置決め突起11の間には、リング状本体10の内周縁を切り欠いて、断面角形の段状の収容部12が形成されている。収容部12の断面寸法は、位置決め突起11の断面寸法よりわずかに大きい。
【0025】
梁補強金具1を保管あるいは搬送する際には、図5に示すように、2個の梁補強金具1を一組にし、一方の梁補強金具1を裏返して、リング状本体10の一端面10aどうしを対向させるとともに中心軸を一致させて2個の梁補強金具1を重ねる。そして、一方の梁補強金具1の位置決め突起11を他方の梁補強金具1の収容部12へ嵌合させると、リング状本体10の一端面10aどうしが接触し、重なった2個の梁補強金具1は安定して位置ずれしない。
双方の梁補強金具1の位置決め突起11と収容部12とが嵌合しているので、重なった2個の梁補強金具1はより安定することになる。
【0026】
〔第3の実施形態〕
図6および図7を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第1及び第2の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0027】
第3の実施形態においては、収容部12が、リング状本体10の一端面10aの内周縁を、他端面10bに近づくに従って径小となるよう斜めに切り欠いて形成された凹部より成る。
収容部12の寸法は、リング状本体10の一端面10aどうしを対向させるとともに中心軸を一致させて2個の梁補強金具1を重ねたとき、位置決め突起11が完全に収容される寸法とする。
このように収容部12を斜めに切り欠いた凹部としても、一方の梁補強金具1の位置決め突起11は他方の梁補強金具1の収容部12に収容されて、リング状本体10の一端面10aどうしは接触し、しかも、一方の梁補強金具1の位置決め突起11の周方向両端面が他方の梁補強金具1の位置決め突起11の周方向両端面に当接して、面方向の移動が規制されるので、2個の梁補強金具1は重なった状態で安定して保持される。
【0028】
〔第4の実施形態〕
図8および図9を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。なお、第1乃至第3の実施形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0029】
図8の(ア)に示すように、リング状本体10の一端面10aには、内周縁に沿って円環状の位置決め突起11が形成される。
図8の(イ)に示すように、リング状本体10の他端面10bには、内周縁に沿って2個の突部13と2個の収容部12が交互に形成される。
突部13の断面は角形であり、突部13の周長はリング状本体10の内周囲の1/4よりもわずかに短い。また、2個の突部13は、リング状本体10の1本の直径(図4の(イ)における上下方向に沿う直径)の両端部に配置されて、相対向している。
収容部12は断面角形の段状をなし、リング状本体10の内周縁を切り欠いて形成される。収容部12の断面寸法および周長は、突部13の断面寸法および周長よりわずかに大きい。
【0030】
梁補強金具1を保管あるいは搬送する際には、図9に示すように、2個の梁補強金具1を一組にし、一方の梁補強金具1を裏返して、リング状本体10の他端面10bどうしを対向させるとともに中心軸を一致させて2個の梁補強金具1を重ねる。そして、一方の梁補強金具1の突部13を他方の梁補強金具1の収容部12へ嵌合すると、リング状本体10の他端面10bどうしが接触し、重なった2個の梁補強金具1は安定して位置ずれしない。
双方の梁補強金具1の突部13と収容部12とが嵌合しているので、重なった2個の梁補強金具1はより安定することになる。
【0031】
〔その他の実施形態〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0032】
本実施形態においては、梁をH型鋼としてあるが、その他の断面形状の梁であってもよい。
【0033】
本実施形態においては、リング状本体を円環状とし、位置決め突起を円環状あるいは円弧状としてあるが、貫通孔の形状に応じて角形の環状あるいは角形環に沿う形状とすることもできる。
【0034】
本実施形態では、位置決め突起あるいは突部と、収容部とをそれぞれ2個形成してあるが、周方向に等間隔で3個以上形成することもでき、十分な周長であれば1個のみであってもよい。
【0035】
第4の実施形態では、位置決め突起を円環状に連続して形成してあるが、円に沿って断続的に形成することも可能である。
【0036】
第4の実施形態では、リング状本体の他端面の内周縁を角形の段状に切り欠いて収容部を形成してあるが、第1の実施形態と同様に、突出部の間を切り欠くことなく収容部としてもよいし、第3の実施形態と同様に斜めに切り欠いて収容部を形成してもよい。
【0037】
本実施形態では、位置決め突起は、その外周面が梁の貫通孔の内周面に当接する態様のものであったが、これに限られない。当接するものよりは、位置決めの精度は低下するが、外周面が梁の貫通孔の内周面に当接しないようなものでも良い。
【0038】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 梁補強金具
10 リング状本体
11 位置決め突起
12 収容部
13 突部
2 梁
20 ウェブ
21 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9