(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】粉塵拡散防止装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E04G21/32 B
E04G21/32 Z
(21)【出願番号】P 2022212926
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2023-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515045994
【氏名又は名称】有限会社三立電気
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恒明
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-519883(JP,A)
【文献】特開2013-189787(JP,A)
【文献】特開平07-150816(JP,A)
【文献】特開2000-234456(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231639(JP,U)
【文献】実開昭49-061822(JP,U)
【文献】実開平02-093469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/32
E04H15/00-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に対し垂直に設置されてなる、少なくとも4本の、管形状を有する固定支柱と、
屈曲可能な接合部を介して2本の第一の棒状部材が接合されてなり、それぞれが前記固定支柱を構成する管の内部に収納され、前記固定支柱の外部に上端を引き出すことが可能な、少なくとも4本の可動支柱と、
前記可動支柱の屈曲可能な方向で対向する、一対の前記可動支柱の上端の間に配され、第二の棒状部材の両端に、摺動可能な状態で、管状部材が嵌合されてなり、前記第二の棒状部材と前記管状部材の相対的な位置関係の調整により、全体の長さを一定範囲で変えることが可能な、少なくとも2本の第一の水平部材と、
前記第一の水平部材が配される方向と直交する方向に、一対の前記
第一の水平部材のそれぞれの両端の間を接合する、少なくとも2本の第二の水平部材と
前記可動支柱の上端と、前記第一の水平部材の一方の端部と、前記第二の水平部材の一方の端部とを接続するアダプターを有する三方接合部材と、
前記第一の水平部材と、前記第二の水平部材とに、一辺を接合され、前記固定支柱と、前記可動支柱と、前記第一の水平部材と、前記第二
の水平部材
によって構成される面を覆うシートと、
を有することを特徴とする、粉塵拡散防止装置。
【請求項3】
前記シートに囲まれてなる空間に、集塵装置の吸引口が配されてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の粉塵拡散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の天井の補修作業や、天井への物品の取付作業の際に発生する、粉塵の拡散を防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋内やビルディング内のリニューアルやリフォームのために、天井板の交換、照明器具などの取付、電気工事を行うことがある。その際には、床や内壁の養生が必要となるが、ビルディング内の工事の対象となっていない区画は、通常どおり使用していることがあり、作業で生じる粉塵の拡散防止が不可欠となっている。
【0003】
建築工事においては、屋内に限らず、様々な場合で、粉塵の拡散や高所からの落下物が、工事が行われている区域以外に及ぶことを防止する手段が講じられていて、たとえば特許文献1には、粉塵が生じる工事域に沿って張設される防塵ネットと、前記防塵ネットに散水する散水手段と、前記防塵ネットへの散水を実施する散水実施条件が成立したか否かを判定し、前記散水実施条件が成立したらならば、予め定められた散水時間、前記防塵ネットに前記散水手段による散水を行なわせる制御手段とを備える、ことを特徴とする防塵装置が開示されている。
【0004】
しかし、ここに開示されている防塵装置は、屋外で用いられることを前提として構成されていて、粉塵の拡散防止の完全を期すため、水が用いられ、屋内の作業には適していない。
【0005】
また、特許文献2には、既居住室内の天井改修工事区域の下方に足場を配置して天井改修を行う際に使用される防塵養生装置において、足場床上に敷設される床面用シートと、該足場床の周囲を覆って、該足場床と天井面との間に布設された側面用シートとを備えて、前記足場床上に上方が開放された天井改修作業用ブースを画成することを特徴とする既居住室内の天井改修用防塵養生装置が開示されている。
【0006】
ここに開示されている天井改修用防塵養生装置は、屋外で使用されることを前提として構成されているが、構造が固定され、作業を実施する区画の状況に応じて、設計を調製する必要があり、やや汎用性に欠けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-152589号公報
【文献】特開2000-336941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前記の問題点に鑑み、屋内で使用可能で、しかも一定範囲で、作業現場の状況に対応可能な粉塵拡散防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題解決のため、棒状部材の組み合わせを適宜調整することにより、一定範囲で作業場の状況に、寸法などを適用し得るフレームに、シートを取り付ける構成を鋭意検討した結果、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
上記課題を解決するための、本発明の一態様に係る粉塵拡散防止装置は、床面に対し垂直に設置されてなる、少なくとも4本の、管形状を有する固定支柱と、屈曲可能な接合部を介して2本の第一の棒状部材が接合されてなり、それぞれが前記固定支柱を構成する管の内部に収納され、前記固定支柱の外部に上端を引き出すことが可能な、少なくとも4本の可動支柱と、前記可動支柱の屈曲可能な方向で対向する、一対の前記可動支柱の上端の間に配され、第二の棒状部材の両端に、摺動可能な状態で、管状部材が嵌合されてなり、前記第二の棒状部材と前記管状部材の相対的な位置関係の調整により、全体の長さを一定範囲で変えることが可能な、少なくとも2本の第一の水平部材と、前記第一の水平部材が配される方向と直交する方向に配され、一対の前記第一の水平部材のそれぞれの両端の間を接合する、少なくとも2本の第二の水平部材と、前記可動支柱の上端と、前記第一の水平部材の一方の端部と、前記第二の水平部材の一方の端部とを接続するアダプターを有する三方接合部材と、前記第一の水平部材と、前記第二の水平部材とに、一辺を接合され、前記固定支柱と、前記可動支柱と、前記第一の水平部材と、前記第二の水平部材によって構成される面を覆うシートとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る粉塵拡散防止装置は、前記固定支柱に垂直な方向に、前記固定支柱によって支持されてなる、作業台、物置台が配されてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る粉塵拡散防止装置は、前記シートに囲まれてなる空間に、集塵装置の吸引口が配されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粉塵拡散防止装置は、屈曲可能で、固定支柱から一定範囲で引き出す長さが調整可能な可動支柱で支持された、第一の水平部材と第二の水平部材に、シートを吊り下げる構造であり、シートで囲う水平方向の面積と、シートの設置高さを、一定範囲内で任意に調整可能なので、天井の工事対象部位を、隙間が生じないように、覆うことができる。
【0014】
また、固定支柱には、作業台や物置台を接合可能で、シートに囲われた空間内の所要の位置での、産業の安全性が確保可能で、作業台や物置台に集塵装置の吸引口を設置することも可能なので、工事に伴って発生する粉塵が、シートで囲われた領域外に拡散することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】 本発明に係る粉塵拡散防止装置の一例の正面図
【
図2】 本発明に係る粉塵拡散防止装置の可動支柱を固定支柱に収納した状態の一例を示す図
【
図3】 本発明に係る粉塵拡散防止装置の一例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に具体的な図を参照しながら、本発明の実施の形態について、説明する。
図1は、本発明に係る粉塵拡散防止装置の一例の正面図、
図2は、本発明に係る粉塵拡散防止装置の可動支柱を、固定支柱に収納した状態の一例を示す図、また、
図3は、本発明に係る粉塵拡散防止装置の一例の側面図である。
【0017】
図1、
図2に示したように、本発明に係る粉塵拡散防止装置の一例は、床面に垂直に設置された固定支柱1a、1b、1cと、図示していない固定支柱と合わせて4本を有し、それぞれの固定支柱の内部には、摺動可能な状態で、可動支柱2a、2b、2cと図示していない可動支柱が収納されている。
図2は可動支柱が固定支柱内に収納された状態を示す。
【0018】
可動支柱は一対の棒状部材が、屈曲部3a,3b,3cと図示しない屈曲部で接合され、屈曲部が、固定支柱から露出するまで、可動支柱を引き出した状態では、
図1の矢印の方向に屈曲可能であり、可動支柱2a、2bの間には、三方接合部材5a、5bを介して、第一の水平部材4が接合されている。三方接合部材は、可動支柱と第一の水平部材が接合されるアダプターのなす角度を、調整できる構造とすることもできる。
【0019】
第一の水平部材4は、第二の棒状部材4aと、その両端に篏合されている管状部材4bと4cからなるなるので、可動支柱の屈曲により、第一の水平部材4の全体の長さを、一定範囲で延長することができる。
【0020】
可動支柱は、固定支柱から引き出す長さが、一定範囲内で調整できるので、床と第一の水平部材4との距離、言い換えれば、第一の水平部材4と作業の対象となる天井との距離を、一定範囲内で調整できる。
【0021】
また、
図2に示したように、可動支柱2bと2Cの上端には、第二の水平部材6aが、三方接合部材5b,5cを介して接合されている。これによって、第一の水平部材と第二の水平部材とが、天井の作業の対象となる範囲を囲む四角形を構成し、二つの水平部材にシート15を吊り下げれることで、天井とその直下の床の間の空間を、シートで亜覆うことが可能となる。
【0022】
固定支柱には、筋交い14が設けられ、作業台7、物置台8やはみ出し防止桁8a、8b、アウトリガー10a、10bなどが設けられているので、シート内部の空間に作業員が搭乗し、安全に作業できるのは前記のとおりである。さらに作業台や物置台に集塵装置12の吸引口13を設置することにより、作業に伴って生じる粉塵が外部の漏れることを防止できる。
【0023】
以上に説明したように、本発明によれば、建物内の天井部分に工事を施す際に、工事の対象となる領域外に、作業に起因する粉塵をが漏れることを防ぐ、粉塵拡散防止装置を提供できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、固定支柱を6本に増加するような、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1a,1b,1c・・・固定支柱 2a,2b,2c・・・可動支柱
3a,3b,3c・・・屈曲部 4・・・第一の水平部材
4a・・・第二の棒状部材 4b,4c・・・管状部材
5a,5b,5c・・・三方接合部材 6・・・第二の水平部材
7・・・作業台 8a,8b・・・はみ出し防止桁
9・・・物置台 10a,10b・・・アウトリガー
11a,11b,11c・・・キャスター
12・・・集塵機 13・・・吸引口
14・・・筋交い 15・・・防塵シート
【要約】 (修正有)
【課題】建物内の天井を対象とした工事に使用可能で、一定範囲で、作業現場の状況に対応可能な粉塵拡散防止装置を提供する。
【解決手段】床面に垂直に設置した固定支柱1a、1bに、固定支柱1a、1b内への収納・引き出しが可能な可動支柱2a、2bと、可動支柱2a、2bの上端を接合する水平部材4とで構成される枠内に、水平部材4から防塵シート15を吊り下げる。対向する位置の水平部材4は、棒状部材4aの両端に管状部材4b、4cを摺動可能に篏合することで、一定範囲で長さを調整可能な構造とし、可動支柱2a、2bを屈曲可能な構造とすることで、水平部材4が構成する四角形の一方の対向辺の長さを調整可能とする。防塵シート15の吊り下げ高さと、防塵シート15が囲む面積が、工事対象の天井に合わせて、一定範囲調整可能となる。また防塵シート15が覆われる領域に集塵機の吸入口を設置することで、粉塵のシート外への漏れを防止できる。
【選択図】
図1