(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20231005BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20231005BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/525
G06T1/00 510
H04N1/60
(21)【出願番号】P 2019165863
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】深澤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦史
(72)【発明者】
【氏名】石川 晋
(72)【発明者】
【氏名】宮地 光
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏佑
(72)【発明者】
【氏名】森下 陽介
(72)【発明者】
【氏名】西原 正輝
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-289200(JP,A)
【文献】特開2008-173800(JP,A)
【文献】特開2015-066879(JP,A)
【文献】特開2014-049836(JP,A)
【文献】特開2008-066923(JP,A)
【文献】特開2017-037195(JP,A)
【文献】特開2002-135497(JP,A)
【文献】特開2001-287406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 2/525
G06T 1/00
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントすべき画像をプリントシート上に物理的にプリントするプリントエンジンと、
前記プリントシートを搬送路に沿って搬送するシート搬送部と、
前記搬送路に対向して配置され、前記搬送路において搬送される有色プリントシート上のテストチャートの色を検出する光学センサーと、
前記有色プリントシートの下地色による前記プリントすべき画像の色変化を抑制するように、前記光学センサーにより検出された前記有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、前記プリントすべき画像の色補正を行う画像処理部と、
制御部と、
を備え
、
前記制御部は、プリント要求を受け付けると、前記プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして前記有色プリントシートが指定されているか否か、および、前記プリント要求において下地色補正設定がオンになっているか否かを判定し、
前記プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして前記有色プリントシートが指定されており、かつ、前記プリント要求において前記下地色補正設定がオンになっている場合、(a)前記光学センサーにより前記テストチャートの色が検出され、前記(b)画像処理部は、前記色補正を行い、(c)前記コントローラーは、前記プリントエンジンに、前記色補正後の前記プリントすべき画像を前記有色プリントシート上にプリントさせること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記光学センサーは、前記搬送路における前記プリントエンジンより上流側の所定位置に配置されたラインセンサーであって、
前記シート搬送部は、前記プリントエンジンより下流側から前記ラインセンサーより上流側へ前記プリントシートを搬送する循環シート搬送部とを備え、
前記制御部は、
前記プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして前記有色プリントシートが指定されており、かつ、前記プリント要求において前記下地色補正設定がオンになっている場合、(a)前記プリントエンジンに、前記有色プリントシート上に前記テストチャートをプリントさせ、(b)前記テストチャートをプリントされた前記有色プリントシートを前記循環シート搬送部で前記ラインセンサーより上流側の位置へ搬送し、(c)前記ラインセンサーに、前記テストチャートの色を検出させ、
前記画像処理部は、前記ラインセンサーにより検出された前記有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、前記有色プリントシートの下地色による前記プリントすべき画像の色変化を抑制するように、前記プリントすべき画像の色補正を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プリントエンジンは、前記プリントシートの搬送路の上方および下方の一方に配置され、
前記ラインセンサーは、前記プリントシートの搬送路の上方および下方の他方に配置され、
前記循環シート搬送部は、前記プリントエンジンより下流側から前記ラインセンサーより上流側へスイッチバックさせて前記プリントシートを搬送すること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記テストチャートの色と前記画像の色補正特性との対応関係を示す下地色補正テーブルに従って、検出された前記テストチャートの色に対応する前記色補正特性を特定し、特定した前記色補正特性で、前記有色プリントシートの下地色による前記プリントすべき画像の色変化を抑制するように、前記プリントすべき画像の色補正を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記テストチャートの基準色を示す基準色データと、前記下地色補正テーブルとを記憶した記憶装
置をさらに備え、
前記制御部は、検出された前記テストチャートの色と前記基準色とに基づいて、新たな下地色補正テーブルを生成し、生成した前記新たな下地色補正テーブルで、前記記憶装置に記憶されている前記下地色補正テーブルを更新すること、
を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(特にインクジェット方式)において、白色以外の(赤系、青系、黄系、緑系などの有彩色の)有色プリントシートにプリントが実行されると、有色プリントシートの下地色の影響で、プリントされた画像の色味がユーザー所望の色味にならないことがある。
【0003】
ある画像形成装置は、有色プリントシートの下地色を予めテンプレートとして登録し、有色プリントシートをプリントに使用する際に、そのテンプレートに登録されている下地色に基づいて、プリント画像の色濃度を自動調整している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の画像形成装置では、装置、インクなどの色剤、および有色プリントシートの経時変化が発生している場合、過去に登録された下地色に基づいて固定的な特性で自動調整を行うと、有色プリントシートを使用したプリント生成物上の画像の色味が適切なものに調整されない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、有色プリントシートを使用したプリント生成物上の画像の色味を適切なものになるように色補正が実行される画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、プリントすべき画像をプリントシート上に物理的にプリントするプリントエンジンと、前記プリントシートを搬送路に沿って搬送するシート搬送部と、前記搬送路に対向して配置され、前記搬送路において搬送される有色プリントシート上のテストチャートの色を検出する光学センサーと、前記有色プリントシートの下地色による前記プリントすべき画像の色変化を抑制するように、前記光学センサーにより検出された前記有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、前記プリントすべき画像の色補正を行う画像処理部と、制御部とを備える。そして、前記制御部は、プリント要求を受け付けると、前記プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして前記有色プリントシートが指定されているか否か、および、前記プリント要求において下地色補正設定がオンになっているか否かを判定する。前記プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして前記有色プリントシートが指定されており、かつ、前記プリント要求において前記下地色補正設定がオンになっている場合、(a)前記光学センサーにより前記テストチャートの色が検出され、前記(b)画像処理部は、前記色補正を行い、(c)前記コントローラーは、前記プリントエンジンに、前記色補正後の前記プリントすべき画像を前記有色プリントシート上にプリントさせる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有色プリントシートを使用したプリント生成物上の画像の色味を適切なものになるように色補正が実行される画像形成装置が得られる。
【0009】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に示す画像形成装置10の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を説明する側面図である。この実施の形態に係る画像形成装置10は、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置である。
【0013】
図1に示す画像形成装置10は、プリントエンジン10aと、シート搬送部10bとを備える。プリントエンジン10aは、プリントすべきページ画像をプリントシート(プリント用紙など)上に物理的に形成する。この実施の形態では、プリントエンジン10aは、ライン型のインクジェット方式のプリントエンジンである。なお、プリントエンジン10aは、電子写真方式のプリントエンジンでもよい。
【0014】
プリントシートには、白色のプリントシートと、有色プリントシートとがある。
【0015】
この実施の形態では、プリントエンジン10aは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックという4つのインク色に対応するライン型のインクジェット記録部1a~1dを備える。この実施の形態では、各インクジェット記録部1a,1b,1c,1dは、1または複数のヘッド部を有する。
【0016】
シート搬送部10bは、所定の搬送路に沿って、プリント前のプリントシートをプリントエンジン10aに搬送するとともに、プリント後のプリントシートをプリントエンジン10aから所定の排出先(排出トレイ10cなど)へ搬送する。
【0017】
シート搬送部10bは、メインシート搬送部10b1と循環シート搬送部10b2とを備える。両面プリントにおいて、メインシート搬送部10b1は、第1面のページ画像のプリントに使用するプリントシートをプリントエンジン10aへ搬送し、循環シート搬送部10b2は、所定枚数のプリントシートを滞留させつつ、プリントエンジン10aの後段から前段へプリントシートを搬送する。つまり、循環シート搬送部10b2は両面プリントに使用される。
【0018】
この実施の形態では、メインシート搬送部10b1は、プリントエンジン10aに対向して配置されプリントシートを搬送する環状の搬送ベルト2と、搬送ベルト2を懸架される駆動ローラー3および従動ローラー4と、搬送ベルト2ととともにプリントシートをニップする吸着ローラー5と、排出ローラー対6,6aとを備える。
【0019】
駆動ローラー3および従動ローラー4は、搬送ベルト2を周回させる。そして、後述の給紙カセット20-1,20-2から搬送されてきたプリントシートを吸着ローラー5がニップし、ニップされたプリントシートは、搬送ベルト2によってインクジェット記録部1a~1dのプリント位置へ順番に搬送されていき、インクジェット記録部1a~1dによりそれぞれの色の画像をプリントされる。そして、カラープリント完了後のプリントシートが排出ローラー対6,6aによって、排出トレイ10cなどに排出される。
【0020】
さらに、メインシート搬送部10b1は、複数の給紙カセット20-1,20-2を備えている。給紙カセット20-1,20-2は、プリントシートSH1,SH2を収容しており、リフト板21,24でプリントシートSH1,SH2を上方に押し上げてピックアップローラー22,25に当接させる。給紙カセット20-1,20-2に載置されたプリントシートSH1,SH2は上側から1枚ずつピックアップローラー22,25によって給紙ローラー23,26へピックアップされる。給紙ローラー23,26は、給紙カセット20-1,20-2からピックアップローラー22,25によって給紙されたプリントシートSH1,SH2を1枚ずつ搬送路上へ搬送するローラーである。搬送ローラー27は、給紙カセット20-1,20-2から搬送されてくるプリントシートSH1,SH2に共通な搬送路上の搬送ローラーである。
【0021】
例えば、給紙カセット20-1,20-2の一方には、白色のプリントシートが収容され、他方には、有色プリントシートが収容される。例えば、ユーザーによって、給紙カセット20-1,20-2のそれぞれについて、白色のプリントシートが収容されているか有色プリントシートが収容されているかが後述のコントローラー61に対して設定される。
【0022】
循環シート搬送部10b2は、両面プリントの際にプリントシートをプリントエンジン10aの下流側の所定位置から上流側の所定位置(ここでは、後述のラインセンサー31の上流側の所定位置)へ戻す。循環シート搬送部10b2は、搬送ローラー41と、プリントエンジン10aに面するプリントシートの面を第1面から第2面へ切り替えるためにプリントシートの進行方向を反転させるスイッチバック搬送路41aを備える。
【0023】
さらに、画像形成装置10は、ラインセンサー31と、シート検知センサー32とを備える。
【0024】
ラインセンサー31は、プリントシートの搬送方向の垂直方向に沿って配置され、プリントシートの両端エッジの位置を検出する光学センサーである。例えば、ラインセンサー31は、CIS(Contact Image Sensor)である。この実施の形態では、ラインセンサー31は、レジストローラー28とプリントエンジン10aとの間に配置されている。
【0025】
シート検知センサー32は、プリントシートSH1,SH2の先端が搬送路上の所定の位置を通過したことを検知する光学式センサーである。
【0026】
ラインセンサー31は、シート検知センサー32によりプリントシートSH1,SH2の先端が検出された時点で、プリントシートの両端エッジの位置を検出する。
【0027】
また、ラインセンサー31は、搬送路に対向して配置され、搬送路において搬送される有色プリントシート上のテストチャートの色を検出する光学センサーである。この実施の形態では、搬送路におけるプリントエンジン10aより上流側の所定位置に配置されている。ここでは、テストチャートは、有色プリントシートの下地色に起因するプリント生成物上の画像の色味の変化を測定するための画像であって、ここでは、CMYKのそれぞれのトナー色のパッチ画像を含む。また、テストチャートは、各トナー色について、複数階調レベルをそれぞれ有する複数のパッチ画像を含む。
【0028】
図1に示すように、プリントエンジン10aは、プリントシートの搬送路の上方および下方の一方(ここでは上方)に配置され、ラインセンサー31は、プリントシートの搬送路の上方および下方の他方(ここでは下方)に配置され、循環シート搬送部10b2は、プリントエンジン10aより下流側からラインセンサー31より上流側へスイッチバックさせてプリントシートを搬送する。このようにすることで、両面プリントの場合と同様にして、テストチャートのプリントシートの搬送を行うことで、プリントシートの一方の面にプリントされたテストチャートの色をラインセンサー31で検出可能となる。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、画像形成装置10は、さらに、コントローラー61、および通信装置62を備える。
【0031】
コントローラー61は、画像処理、プリントエンジン10aおよびシート搬送部10bの制御などを行う。通信装置62は、例えばネットワークインターフェイスであって、ホスト装置からプリント要求(例えば、ページ記述言語で記述されたプリントデータを含む要求)を受信する。
【0032】
コントローラー61は、画像生成部71、記憶装置72、画像処理部73、プリント制御部74、および制御部75を備える。記憶装置72には、下地色補正テーブル81、デフォルトテーブル82、および基準色データ83が記憶されている。
【0033】
具体的には、コントローラー61は、所定のプログラムを実行するコンピューター、特定のデータ処理を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)などといった演算処理部を備え、その演算処理部が、画像生成部71、画像処理部73、プリント制御部74、および制御部75として機能する。記憶装置72は、フラッシュメモリーなどといった不揮発性の記憶装置である。
【0034】
画像生成部71は、プリント要求におけるプリントデータから、プリントすべき画像のラスター画像データを生成する。
【0035】
画像処理部73は、所定の画像処理を上述の画像データに対して実行する。具体的には、画像処理部73は、画像回転、画像合成、色変換、色補正、ハーフトーニングなどといった所定の画像処理を実行する。
【0036】
特に、画像処理部73は、ラインセンサー31により検出された有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、有色プリントシートの下地色によるプリントすべき画像の色変化を抑制するように、プリントすべき画像(つまり、ユーザーのプリント要求により指定された画像)の色補正を行う。
【0037】
例えば、緑色の有色プリントシートの場合、プリントすべき画像における緑色成分(に対応するトナー色成分)が、色補正によって、少なくされる。
【0038】
プリント制御部74は、画像処理後の画像データに従って、プリントエンジン10aを制御して、プリントを実行するとともに、シート搬送部10bを制御して、プリントに使用するプリントシートの搬送を行う。
【0039】
また、この実施の形態では、プリント制御部74は、(a)ラインセンサー31によって検出されたプリントシートの両端エッジの位置に基づきプリントシートのセンター位置をシートセンター実際位置として特定し、(b)シートセンター実際位置に基づいてプリントすべき画像のセンター位置を調整する自動センタリング機能を有する。つまり、プリント制御部74は、主走査方向に沿って、プリントすべき画像を、プリントエンジン10aの基準センター位置とシートセンター実際位置との差分だけ移動させて画像のプリントをプリントエンジン10aに実行させる。
【0040】
制御部75は、(a)プリント制御部74を使用して、プリントエンジン10aに、有色プリントシート上に所定のテストチャートをプリントさせ、(b)そのテストチャートをプリントされた有色プリントシートを循環シート搬送部10b2でラインセンサー31より上流側の位置へ搬送し、(c)ラインセンサー31に、テストチャートの色を検出させる。そして、画像処理部73は、ラインセンサー31により検出された有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、有色プリントシートの下地色によるプリントすべき画像の色変化を抑制するように、プリントすべき画像の色補正を行う。
【0041】
さらに、この実施の形態では、下地色補正テーブル81は、検出されたテストチャートの色と画像の色補正特性との対応関係を示す。そして、画像処理部73は、下地色補正テーブル81を参照し、下地色補正テーブル81に従って、検出されたテストチャートの色に対応する色補正特性を特定し、特定した色補正特性で、有色プリントシートの下地色によるプリントすべき画像の色変化を抑制するように、プリントすべき画像の色補正を行う。色補正特性は、各トナー色について、各階調レベルの補正係数を有し、画像処理部73は、その補正係数を、プリントすべき画像の対応する階調レベルに乗算して、色補正後のプリントすべき画像を導出する。
【0042】
また、この実施の形態では、デフォルトテーブル82は、白色のプリントシートが使用される際の画像の色補正特性を示し、基準色データ83は、テストチャートの基準色(つまり、白色のプリントシート上にプリントされたテストチャートの標準的な色)を示す。そして、画像処理部73は、検出されたテストチャートの色と基準色とに基づいて、新たな下地色補正テーブルを生成し、生成した新たな下地色補正テーブルで、記憶装置72に記憶されている下地色補正テーブル81を更新する。この実施の形態では、制御部75は、新たな下地色補正テーブルと記憶装置72に記憶されている下地色補正テーブル81との差分値を導出し、その差分値が所定閾値以上である場合のみ、下地色補正テーブル81の更新を行う。なお、テストチャートが複数階調レベルのパッチ画像を含む場合、基準色データ83は、各トナー色について、複数階調レベルに対応する複数の基準色を示す。また、上述の差分値は、新たな下地色補正テーブルと記憶装置72に記憶されている下地色補正テーブル81との間での複数階調レベルでの誤差の総和、新たな下地色補正テーブルと記憶装置72に記憶されている下地色補正テーブル81との間での複数階調レベルでの誤差における最大値などとして特定される。
【0043】
なお、下地色補正テーブル81およびデフォルトテーブル82は、トナー色ごとに、上述の対応関係や色補正特性を有し、色補正は、トナー色ごとに、色補正特性に従って行われる。
【0044】
次に、上記画像形成装置10の動作について説明する。
図3は、
図1および
図2に示す画像形成装置10の動作を説明するフローチャートである。
【0045】
コントローラー61の制御部75が通信装置62を使用してプリント要求を受け付けると(ステップS1)、制御部75は、プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして有色プリントシートが指定されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0046】
例えば、プリント要求において、有色プリントシートを収容している給紙カセットが指定されている場合、プリントに使用すべきプリントシートとして有色プリントシートが指定されていると判定される。
【0047】
プリント要求で、プリントに使用すべきプリントシートとして有色プリントシートが指定されている場合、制御部75は、プリント要求において、下地色補正設定がオンになっているか否かを判定する(ステップS3)。
【0048】
プリント要求やユーザー設定において、下地色補正設定がオンになっている場合、制御部75は、プリント制御部74を使用して、シート搬送部10bを制御して、指定された有色プリントシートを給紙カセット20-iからプリントエンジン10aへ搬送するとともに、プリントエンジン10aに、テストチャートをその有色プリントシート上にプリントさせる(ステップS4)。
【0049】
そして、制御部75は、プリント制御部74を使用して、シート搬送部10bを制御して、循環シート搬送部10b2で、テストチャートがプリントされた有色プリントシートを、ラインセンサー31の配置位置へ搬送させる(ステップS5)。
【0050】
その有色プリントシートがラインセンサー31の位置を通過する際に、ラインセンサー31は、その有色プリントシートのテストチャートの色を検出し(ステップS6)、検出した色を示す電気信号を制御部75に出力する。その後、その有色プリントシートは、プリントエンジン10aの下方を通過して、排出トレイ10cなどに排出される。
【0051】
テストチャートの色が検出されると、制御部75は、上述のようにして、新たな下地色補正テーブルを生成する(ステップS7)。
【0052】
例えば、テストチャートの画像の色補正が行われずに、テストチャートがプリントされた場合、各階調レベルのパッチ画像の色の検出レベルと、対応する基準色のレベルとの比が、色補正特性におけるその階調レベルの補正係数とされて、新たな下地色補正テーブルが生成される。
【0053】
例えば、テストチャートの画像の色補正が現時点の下地色補正テーブルに基づいて行われた後にテストチャートがプリントされた場合、各階調レベルのパッチ画像の色の検出レベルと、対応する基準色のレベルとの比に基づいて、現時点の下地色補正テーブルにおける色補正特性におけるその階調レベルの補正係数を調整して、新たな下地色補正テーブルが生成される。
【0054】
そして、制御部75は、新たな下地色補正テーブルと記憶装置72に記憶されている下地色補正テーブル81との差分値を上述のようにして導出し(ステップS8)、その差分値が所定閾値以上である場合のみ、新たな下地色補正テーブルで、下地色補正テーブル81を更新する(ステップS9)。
【0055】
また、制御部75は、プリント要求におけるプリントデータを画像生成部71に供給し、画像生成部71に、ラスター画像データを生成させ、画像処理部73に、現時点の下地色補正テーブル81に基づいて、そのラスター画像データ(つまり、プリントすべき画像)に対して、色補正を行わせる(ステップS10)。
【0056】
そして、制御部75は、プリント制御部74を使用して、(a)シート搬送部10bで、プリント要求で指定された画像をプリントするための有色プリントシートの搬送を行い、(b)プリントエンジン10aに、色補正後の画像をその有色プリントシート上にプリントさせる(ステップS11)。つまり、この場合、テストチャートは有色プリントシートにプリントされず、下地色補正を行わずに、デフォルトテーブル82で色補正が行われる。
【0057】
他方、ステップS2においてプリント要求で有色プリントシートが指定されていない場合、およびステップS3において下地色補正設定がオンになっていない場合、画像処理部73は、画像生成部71により生成されたラスター画像データに対して、デフォルトテーブル82に基づいて、そのラスター画像データ(つまり、プリントすべき画像)に対して色補正を行い、プリント制御部74は、(a)シート搬送部10bで、プリント要求で指定された画像をプリントするための白色プリントシートまたは有色プリントシートの搬送を行い、(b)プリントエンジン10aに、色補正後の画像をそのプリントシート上にプリントさせる(ステップS11)。
【0058】
以上のように、上記実施の形態によれば、プリントエンジン10aは、プリントすべき画像をプリントシート上に物理的にプリントする。シート搬送部10bは、プリントシートを搬送路に沿って搬送する。ラインセンサー31は、搬送路に対向して配置され、搬送路において搬送される有色プリントシート上のテストチャートの色を検出する。画像処理部73は、有色プリントシートの下地色によるプリントすべき画像の色変化を抑制するように、ラインセンサー31により検出された有色プリントシート上のテストチャートの色に基づいて、プリントすべき画像の色補正を行う。
【0059】
これにより、有色プリントシートを使用した、ユーザー指定の画像のプリントの直前に、テストチャートを同一種別の有色プリントシートにプリントして得られたテストチャートの色に基づいて色補正が行われるため、上述のような経時変化が発生していても、有色プリントシートを使用したプリント生成物上の画像の色味が適切なものになるように色補正が実行される。
【0060】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0061】
例えば、上記実施の形態において、ラインセンサー31の代わりに、プリントエンジン10aの下流側に、テストパターンの色を検出する光学センサーを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 画像形成装置
10a プリントエンジン
10b シート搬送部
10b2 循環シート搬送部
31 ラインセンサー(光学センサーの一例)
73 画像処理部
75 制御部