(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ハイブリッド弾性/非弾性電気的相互接続システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20231005BHJP
H01R 4/04 20060101ALI20231005BHJP
H01R 12/62 20110101ALI20231005BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61N1/05
H01R4/04
H01R12/62
H05K1/14 C
(21)【出願番号】P 2022519424
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020075906
(87)【国際公開番号】W WO2021073828
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/077781
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512022631
【氏名又は名称】エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ (ウ・ペ・エフ・エル)
【氏名又は名称原語表記】ECOLE POLYTECHNIQUE FEDERALE DE LAUSANNE (EPFL)
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファレガー、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】スキャヴォーネ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ラクール、ステファニー ピー.
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-516473(JP,A)
【文献】国際公開第2018/224341(WO,A1)
【文献】特開2016-157660(JP,A)
【文献】特開2010-015164(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203441(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0075658(US,A1)
【文献】特開2008-178680(JP,A)
【文献】特開2018-086071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
H01R 4/04
H01R 12/62
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)
非弾
性基板(101)を含み、前記
非弾性基板(101)は、第1の面(102)及び対向する第2の面(103)を有し、前記
非弾性基板(101)の少なくとも一部の上及び/又は内部の少なくとも1つの導電性トラック(104)、を備える相互接続基板(100)と、
ii)弾
性基板(201)を含む伸縮可能相互接続部(200)であって、前記
弾性基板(201)は、少なくとも1つの導電性要素(203)をその中に含む
、前記弾性基板(201)上に設けられた2つの壁(204)の間に形成された少なくとも1つ
の溝(202)を含み、前記少なくとも1つ
の溝(202)は、前記相互接続基板(100)の前記少なくとも1つの導電性トラック(104)を収容する、伸縮可能相互接続部(200)と、
iii)前記少なくとも1つの導電性要素(203)を前記少なくとも1つの導電性トラック(104)と電気的に接続する、前記少なくとも1つ
の溝(202)内に配置された少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス(300)と、
を備える電気的相互接続システム
であって、
前記少なくとも1つの溝(202)は、前記少なくとも1つの導電性トラック(104)が前記少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス(300)内に完全に埋め込まれるように、前記相互接続基板(100)の前記少なくとも1つの導電性トラック(104)を完全に収容する、
電気的相互接続システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス(300)は、前記少なくとも1つの導電性要素(203)を前記少なくとも1つの導電性トラック(104)と機械的に接続するように構成された接着弾性ポリマーか
ら構成される、請求項1に記載の電気的相互接続システム。
【請求項3】
前記相互接続基板(100)の前記
非弾性基板(101)は
、可撓性材料からなる、請求項1又は請求項2に記載の電気的相互接続システム。
【請求項4】
前記
相互接続基板(100)は、平面である、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項5】
前記相互接続基板(100)の前記少なくとも1つの導電性トラック(104)は、前
記非弾
性基板(101)の細長部材(1000)上に位置する、請求項1~請求項4の何れか
1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項6】
前
記非弾
性基板(101)の前記細長部材(1000)は、平面である、請求項5に記載の電気的相互接続システム。
【請求項7】
前記相互接続基板(100)は、各々が少なくとも1つの導電性トラック(104)を備える細長部材(1000)のアレイを備える、請求項5又は請求項6に記載の電気的相互接続システム。
【請求項8】
前記伸縮可能相互接続部(200)は、
前記溝(202)のアレイを含み、
各溝(202)は、その中に前記少なくとも1つの導電性要素(203)のうちの1つを含む、請求項7に記載の電気的相互接続システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの溝(202)は、前記非弾性基板(101)を完全に収容する、請求項1~請求項8の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項10】
前記伸縮可能相互接続部(200)の前記少なくとも1つの導電性要素(203)は、伸縮可能な金属薄膜を含む、請求項1~請求項9の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項11】
前記伸縮可能相互接続部(200)の前記少なくとも1つの導電性要素(203)は、前
記弾性基板(201)内に埋め込まれている、請求項1~請求項9の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項12】
前記導電性ペーストのボーラス(300)は、軟質ポリマー材料と、複数の導電性マイクロ粒子又はナノ粒子
とを含む、請求項1~請求項11の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項13】
前記相互接続基板(100)の前記対向する第2の面(103)と、前記少なくとも1つ
の溝(202)の少なくとも一部を含む前記伸縮可能相互接続部(200)の少なくとも一部と、を封入する接着性及び電気絶縁性材料の封入層(400)を更に含む、請求項1~請求項12の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項14】
前記封入層(400)は
、弾性材料か
ら構成される、請求項13に記載の電気的相互接続システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの導電性トラック(104)、及び/又は前記少なくとも1つの導電性要素(203)は、外部装置に電気的に接続可能に構成された1つの端部を含む、請求項1~請求項14の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項16】
前記相互接続基板(100)の前記非弾性基板(101)は、一辺(101a)から反対側の辺(101b)までの所定の長さと、所定の幅と、を有し、
前記少なくとも1つの導電性トラック(104)は、前記非弾性基板(101)の側面を含まない前記非弾性基板(101)上の一部に有る、
請求項1~請求項15の何れか1項に記載の電気的相互接続システム。
【請求項17】
請求項1~請求項
16の何れか1項に記載の電気的相互接続システムを含む、製造
物品。
【請求項18】
被験者の体内に一時的又は永久的に移植されるように構成された生物医学的装置である、請求項
17に記載の製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子及び電気装置の分野に属する。特に、本発明は、ハイブリッド(弾性/非弾性)電気的相互接続システム、ならびにそれを製造するための方法、ならびに薄型ハイブリッド(弾性/非弾性)マルチコンポーネント電子/電気回路及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブル及び埋め込み式装置の分野では、柔らかくて伸縮性のある材料が活用され、複雑な静的及び動的3D形状に適合できる装置が製造されてきた。具体的には、埋め込まれた神経との接合の分野では、電子基板として従来から使用されている硬質材料が非毒性ではあるが、埋め込まれたときに、装置と軟質宿主組織との間の機械的不整合に起因する炎症反応を引き起こすことが最近示されている。機械的特性において標的組織により近い、順応性、軟質、及び伸縮性材料を使用することは、この副作用を軽減し得、そして体内への安全かつ信頼性のある移植を可能にし得る。
【0003】
埋め込み可能な装置は、使用される形状及び材料に応じて、装置の機械的特徴を典型的に決定づける基板及びカプセル封じと、被験者の身体内の標的位置との間で電気信号を搬送する埋め込まれた電気的トラック及び相互接続とから構成される。基材には、エラストマー(シリコーン、ポリウレタン、天然ゴムなど)、ヒドロゲル(大量の水を吸着することができるポリマーネットワーク)、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂(ポリイミド、パリレンCなど)などのいくつかの材料クラスを使用することができる。埋め込まれた電気的相互接続は、装置の機能性を保証するために、基板及び封入の伸縮可能な挙動を伴わなければならない。これは、本質的に伸張可能な導体(例えば、導電性ポリマー)を使用することによって、又は非弾性導体(例えば、パターン化された金属バネ構造)における工学的弾性によって、又は軟質キャリアにおける埋め込まれた薄い可撓性相互接続のいずれかによって達成される。複数の独立した相互接続は典型的には装置設計に含まれ、その結果、複数のチャネルは組織上の異なる位置を標的とし得る。これらの電気ラインは通常、幅が数十~数百ミクロンであり、装置の全体寸法を最小限に抑えることを目的として、同じサイズのギャップによって隔てられている。埋め込み型/ウェアラブル電子装置におけるパラレルチャネルの典型的な数は、8~128の範囲である。
【0004】
弾性材料に適合する確立された電子パッケージング技術がないため、偏在する課題は、弾性基板上にパターン化された多数の電気線を、刺激器又は処理ユニットなどの外部ハードウェア、又は埋め込みパルス発生器などの埋め込みハードウェアに確実に接続することにある。柔らかい基板又はキャリアの構造は、それらを、従来の接続技術(即ち、表面実装非弾性コネクタ、ワイヤボンディング、シリコンパッケージング)に適合させないようにし、それは、可能であれば、いずれにせよ、装置を強化する。弾性電子機器に最も広く採用されている接続方法は、基板上の個々のチャネルに小さなワイヤを接触させることに依存している。これは、信頼性が低く、労力を要するものであり、また、配線プロセスがほとんど縮小不可能であるため、接続点のサイズ(100ミクロンからミリメートルまで)への大幅な縮小制限をもたらす。
【0005】
国際特許出願WO2017/203441は、本質的に伸張可能な導体と本質的に伸張不可能な導体との間、又は2つの本質的に伸張可能な導体の間の電気的相互接続を得るためのシステムを記載している。このシステムは、神経刺激及び/又は神経記録のために、人間又は動物の体内に埋め込み可能で、順応性があり、変形可能な装置の製造に特に適している。ハイブリッド弾性/非弾性電気的相互接続の分野における進歩にもかかわらず、記載された相互接続システムは移植可能な装置に関係するものにとって最適ではないいくつかの欠点を提示し、特に、製造ステップ中に、様々なチャネル間の整列がそれらの間の様々な電気チャネル/トラックを組み立てるために正確に実行されなければならず、これは製造プロセス中に品質問題をもたらし、最終的には電気故障をもたらす可能性があり、さらに、外部電気導体は溶接、はんだ付け、機械的締結、又は任意の種類の導電性接着剤による接着などの既知の技法を介して相互接続システムに接合される。典型的な実施形態では、導電体の一端が埋め込まれた導電性物質(例えば、スズ)で充填された、基板上に形成されたスルーホールの手段によって接続部が行われる。これは、製造上の負担、相互接続システムの軟らかい部分の伸長(歪)に際しての応力力の再配分、及び移植可能な装置にとって望ましくないシステム全体の嵩を増大させることに関して、いくつかの問題を提起する。
【0006】
今日まで、本発明者らの知る限りでは、実装面積、信頼性、多数チャネルへの拡張性に関してシームレスであり、接続点での装置の過剰な剛化を防止するプロセスは、依然として不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の解決策の少なくともいくつかの上述の欠点に対処し、克服するために、本発明者らは、弾性電子インタフェースを、改善された特徴及び能力を有する、電気基板などの非伸縮性電気装置とシームレスに接続するための解決策を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、従来技術による既知の解決策に影響を及ぼす上述の欠点を克服するか、又は少なくとも低減する電気的相互接続システムを提供することである。
【0009】
特に、本発明の第1の目的は、薄く形成される装置、特に被験者の体内への永久的又は一時的な埋め込みのために適合された生物医学的装置に有利に含まれるように、サイズ及び形状に関して最適化された電気的相互接続システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ハイブリッド弾性/非弾性特性を有する電気的相互接続システムを製造するための容易で信頼性のある方法を提供することである。
【0011】
これらの目的はすべて、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明によって達成された。
【0012】
従来技術の電気的相互接続システムに影響を及ぼす上述の欠点及び/又は問題に鑑みて、本発明によれば、請求項1に記載の電気的相互接続システムが提供される。
【0013】
本発明の別の目的は、請求項16に記載の製品に関する。
【0014】
特に、本発明によれば、電気的相互接続システムは以下を含む、
i)本質的に非弾性の基板を含み、基板は、第1の面及び対向する第2の面を有し、基板の少なくとも一部の上及び/又は内部の少なくとも1つの導電性トラック(104)と、を備える相互接続基板と、
ii)本質的に弾性の基板を含む伸縮可能相互接続部であって、基板は、少なくとも1つの導電性要素をその中に含む少なくとも1つのウェル又は溝を含み、少なくとも1つのウェル又は溝は、相互接続基板の少なくとも1つの導電性トラックを収容するように構成され、
iii)少なくとも1つの導電性要素を少なくとも1つの導電性トラックと電気的に接続するように構成され、少なくとも1つのウェル又は溝内に配置された少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス(塊)。
【0015】
一実施形態によれば、少なくとも1つの導電性ペーストのボーラスは、少なくとも1つの導電性要素を少なくとも1つの導電性トラックに機械的に接続するように構成された接着弾性ポリマーから実質的に構成される。
【0016】
一実施形態によれば、相互接続基板の基板は、実質的に可撓性材料で構成される。
【0017】
一実施形態によれば、本質的に非弾性の基板は、相互接続部位において平坦である。
【0018】
一実施形態によれば、相互接続基板の少なくとも1つの導電性トラックは、本質的に非弾性の基板の細長部材の上に位置している。
【0019】
一実施形態によれば、本質的に非弾性の基板の細長部材は平面である。
【0020】
一実施形態によれば、相互接続基板は、各々が少なくとも1つの導電性トラックを備える細長部材のアレイを備える。
【0021】
一実施形態によれば、伸縮可能相互接続部は、ウェル又は溝のアレイを含み、各ウェル又は溝は、その中に少なくとも1つの導電性要素のうちの1つを含む。
【0022】
一実施形態によれば、少なくとも1つのウェル又は溝は少なくとも1つの導電性トラックが少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス内に完全に埋め込まれるように、相互接続基板の少なくとも1つの導電性トラックを完全に収容するように構成される。
【0023】
一実施形態によれば、伸縮可能相互接続部の少なくとも1つの導電性要素は、伸縮可能な金属薄膜を含む。
【0024】
一実施形態によると、伸縮可能相互接続部の少なくとも1つの導電性要素は、本質的に弾性な基板の内部に埋め込まれる。
【0025】
一実施形態によれば、導電性ペーストのボーラスは、軟質ポリマー材料と、複数の導電性マイクロ粒子又はナノ粒子、チューブワイヤ及び/又はシートとのブレンドを含む。
【0026】
一実施形態によれば、相互接続基板の対向する第2の面と、少なくとも1つのウェル又は溝の少なくとも一部を含む伸縮可能相互接続部の少なくとも一部とを封入する、接着剤及び電気絶縁材料の封入層。
【0027】
好ましくは、封入層が本質的に弾性材料から実質的に構成される。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも1つの導電性トラック及び/又は少なくとも1つの導電性要素は、外部装置に電気的に接続可能であるように構成された端部を備える。
【0029】
本発明はさらに、上記で開示されたような電気的相互接続システム、例えば、被験者の身体に一時的又は永久的に移植されるように構成された生物医学的装置を含む製造物品に関する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0031】
本明細書で提示される主題の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、主題のいくつかの好ましい態様を示す添付の図面を参照した以下の説明の研究からより明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明の一実施形態による相互接続基板の上面図である。
【
図1B】
図1Aの相互接続基板の異なる点で取られた断面図である。
【
図1C】
図1Aの相互接続基板の異なる点で取られた断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による伸縮可能な相互接続部の上面図である。
【
図2B】
図2Aの伸縮可能相互接続の異なる点で取られた断面図である。
【
図2C】
図2Aの伸縮可能相互接続の異なる点で取られた断面図である。
【
図3A】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図3B】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図3C】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図3D】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図3E】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図3F】最終的に製造されるシステムの横断面である。
【
図4A】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図4B】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図4C】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図4D】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図4E】本発明による相互接続システムを製造する方法のステップを概略的に示す
【
図5A】本発明の一実施形態による、各々がその上に1つの導電性トラックを備えるフィンガアレイを備える相互接続基板の上面図である。
【
図5B】
図5Aの相互接続基板の異なる点で取られた断面図である。
【
図5C】
図5Aの相互接続基板の異なる点で取られた断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による、各々がその上に1つの導電性要素を備えるウェルアレイ又は溝を備える伸縮可能相互接続の上面図である。
【
図6B】
図6Aの伸縮可能相互接続の異なる点で取られた断面図である。
【
図6C】
図6Aの伸縮可能相互接続の異なる点で取られた断面図である。
【
図7A】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図7B】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図7C】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図7D】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図7E】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図7F】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図8】最終的に製造されるシステムの対応する横断面を表す。
【
図9A】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図9B】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図9C】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図9D】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図9E】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図9F】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図10】最終的に製造されるシステムの対応する横断面を表す。
【
図11A】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図11B】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図11C】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図11D】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図11E】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図11F】本発明による相互接続システムを製造する方法の異なる実施形態を概略的に表す。
【
図12】最終的に製造されるシステムの対応する横断面を表す。システムは、各々が伸縮可能相互接続の対応するウェル又は溝内に配置されるフィンガアレイを備える相互接続基板(
図7A~
図7F及び
図8)、全てが伸縮可能相互接続の単一のウェル又は溝内に配置されるフィンガアレイを備える相互接続基板(
図9A~
図9F及び
図10)、伸縮可能相互接続の対応するウェル又は溝内に対で配置されるフィンガアレイを備える相互接続基板(
図11A~
図11F及び
図12)を備える。
【
図13】少なくとも1つの導電性トラック及び/又は少なくとも1つの導電性要素が外部装置に電気的に接続可能であるように構成された一端を含む、本発明による電気的相互接続システムを概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に記載される主題は、図面に示される態様の記載を手段することによって明らかにされる。しかし、本発明の保護範囲は、以下に記載され、図面に示される態様に限定されず、逆に、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。さらに、以下で説明及び/又は示される特定の条件又はパラメータは、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本明細書で使用される用語は例としてのみ特定の態様を説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0034】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。本開示の方法及び技法は一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、また、特に指示がない限り、本明細書全体にわたって引用及び議論される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているように、実行される。さらに、明確にするために、用語「約」の使用は、本明細書において、所与の値の+/-10%の変動を包含することが意図される。
【0035】
以下の記載は、以下の定義を意味することにより、より良く理解されるのであろう。
【0036】
以下及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明白に別段の指示をしない限り、複数の言及を含む。また、特に断らない限り、「又は」手段「及び/又は」の使用。同様に、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」は互換性があり、さらに、様々な実施形態の説明のために、用語「備える」が使用される場合、当業者は、いくつかの特定の事例では実施形態が「本質的にからなる」又は「からなる」という言葉を使用して代替的に説明され得ることを理解するのであろうことを理解されたい
【0037】
本発明の枠内において、「動作可能に接続された」等の表現は、装置又は装置の幾つかの構成要素間の機能的な関連性、即ち、構成要素が指定された機能を実行するように相関されることを手段する語を反映する。「指定された機能」は接続部に関与する様々な構成要素に応じて変化することができ、例えば、接続部手段と動作可能に接続部された電極の指定された機能は例えば、神経を電気的に刺激するために神経に電流を送達することである。当業者は本開示に基づいて、本発明の装置又はシステムの各構成要素及びすべての構成要素の指定された機能、ならびにそれらの相関関係が何であるかを容易に理解し、理解するのであろう。
【0038】
「導電性トラック(track)」という表現は、本質的に導電性である任意のフィルム、経路、ストライプ、ストランド、ワイヤ等を指す。明確にするために、「電極」という用語は、本明細書では被験者の組織と直接接触している導電性トラックの遠位部分を意味するために使用される。しかしながら、本発明の実施形態では、「電極」という用語が導電性トラックと、生物学的組織とインタフェースするように構成されたその遠位末端部分との両方を意味するために使用される。本開示による導電性トラックは、電気回路を接続及び/又は閉じるために使用され、したがって、通常、電気コネクタ又は「相互接続」である。導電性トラックは、一般に、電流を電気回路に向かって又は電気回路から離れるように伝導する金属要素であるが、Au、Pt、Al、Cuなどの金属、ならびに任意の合金、酸化物、及び/又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切な導電性材料、導電性ポリマー材料、金属粒子及び/又は金属ストランド又はストライプを埋め込むポリマー材料などの複合材料、導電性フレーク又は繊維、例えば炭素充填ポリマーで機能化された絶縁材料、ガリウムなどのそれらの合金又は酸化物を含む液体金属、導電性インク、ならびにそれらの任意の適切な組合せで作製することができる。当技術分野において容易に利用可能な他の技術の中でも、マイクロリソグラフィ及び/又はマイクロ集積エレクトロニクスを採用して、電極の構成要素を製造することができる。
【0039】
「フィルム」又は「薄膜」という表現は、支持基板及び/又は導電性トラックなどの本発明の装置の要素の薄い形状因子に関する。一般的に言えば、本明細書で使用される「フィルム」又は「薄膜」は、他の寸法よりもはるかに小さい厚さ、例えば、他の寸法と比較して少なくとも5分の1の厚さを有する材料の層に関する。典型的には、フィルムが必要性及び状況、例えば、それを製造するために使用される製造工程に応じて、任意の適切な形状、及び一般にナノメートル、マイクロメートル、又はミリメートルのオーダーの厚さを有する、上面及び底面を有する固体層である。いくつかの実施形態では、本発明によるフィルムが1nm~10mm、例えば1nm~10nm、20nm~100nm、5μm~5mm、5μm~1mm、10μm~1mm、5μm~500μm、50μm~500μm、50μm~150μm、100μm~500μm、又は200μm~500μmの厚さを有する。薄い電極フィルムに言及する場合、それらは、1nm~500μm、例えば20nm~200nm、又は50nm~100nmの厚さを有することができる。これらの寸法は、本発明のフレームにおいて、身体組織と接合されることを意図される装置の伸縮性及び機械的適合性に関するものに最適であると考えられる
【0040】
「適合した(compliant)」という用語は、電極、トラック、及び/又は相互接続などの導電性要素において、機械的及び/又は電気的性能を実質的に損なうことなく、接着する支持体の形状変化に従ってその形状を変化させるように適合する導電性要素の挙動を指す。用語「適合した」は、圧縮可能、可逆的に圧縮可能、弾性、可撓性、屈曲可能、伸縮可能、又はそれらの任意の組み合わせである任意の順応性構造を含むことが意図される。当技術分野で知られている適合電極の例には、金属薄膜(パターン電極、面外座屈電極、及び波形膜を含む)、金属ポリマーマイクロ/ナノ複合材料、炭素粉末、炭素グリース、導電性ゴム、又は導電性塗料が含まれ、その総説は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRosset及びShea(Applied Physics A、February 2013、Volume 110、Issue 2、281-307)に提供されている。当業者には明らかなように、上記のポリマー材料、複合材料、金属材料及び/又は酸化物材料、ならびにそれらの組み合わせのいずれかのいくつかの層の組込み多層又はスタックは、適合した相互接続の定義に包含される。好ましくは本発明による電極、トラック及び/又は相互接続は本質的に適合可能であるが、これらに限定されない。好ましくは本発明による電極、トラック及び/又は相互接続は本質的に伸縮性であるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、国際特許出願WO2004/095536、WO2016/110564、及び/又はWO2018/100005A1に記載されているような伸縮性電極を使用することができ、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0041】
本明細書で使用される「伸縮性」という用語は、物品の弾性挙動を指す。特に、伸縮性物品はその物理的及び/又は機械的特性の亀裂又は損失なしに、静止時のサイズの1~500%、好ましくは少なくとも5%、例えば約50%、約100%、又は約200%からなる単一又は複数回数、伸長又は多方向歪みに耐えることができ、これは、経時的な機械的応力が、いくつかの回数予見され得る状況及び/又は身体構造において利点を表す。
【0042】
本発明の枠組みにおいて、「物理的及び/又は機械的特性」は、として、応力-歪み挙動、弾性率、破壊歪み、曲線表面への適合性、軟質表面への適合性、厚さ、面積及び形状を意味し、これらは、本発明による一組の実施形態において、被験体の身体の組織において見出されるものと、可能な限り類似していなければならない。
【0043】
本発明の枠内で、「本質的に(intrinsically)非弾性の材料」という表現は歪(圧力、応力、伸張、歪みなど)を受けた後、永久的に、すなわち、自発的及び/又は自然な方法で再び戻ることなく、その元の形状及び寸法を破壊するか、又は変形する材料を意味すると理解されなければならない。反対に、「本質的に弾性の材料」は、歪が自発的及び/又は自然な方法で、元の形状及び寸法に戻る材料である。
【0044】
本明細書で使用される「対象」という用語は、鳥類及び哺乳動物を含む動物を指す。例えば、本発明によって意図される哺乳動物には、ヒト、霊長類、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、実験用げっ歯類など)が含まれる。
【0045】
本明細書中で使用される場合、「処置」及び「処置」などは、一般に、所望の生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、疾患、症状又はその状態を予防又は部分的に予防するという点で予防的であってもよく、及び/又は疾患、状態、症状又は疾患に起因する有害作用の部分的又は完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書で使用される用語「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患にかかりやすいが、例えば家族歴、過体重状態又は年齢に基づいて未だそれを有すると診断されていない対象において疾患が起こるのを予防すること、(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を停止させること;又は疾患を軽減すること、即ち、疾患及び/又はその症状もしくは状態(例えば、損傷の改善又は改善)の退行を引き起こすことを含む。用語「診断」、「診断」などは、対象における病的状態の存在又は性質を同定することを指す。
【0046】
図1~
図12を参照すると、本発明は、電気的相互接続システムを特徴とする:
【0047】
i)本質的に非弾性の基板101を含む相互接続基板100であって、基板101は、第1の面102と、対向する第2の面103と、基板101の少なくとも一部の上又は内部に配置された少なくとも1つの導電性トラック104とを有する(
図1a~
図1c)。
【0048】
ii)本質的に弾性の基板201を含む伸縮可能相互接続200であって、基板201は少なくとも1つの導電性要素203をその中に含む少なくとも1つのウェル又は溝202を含み、ウェル又は溝202は、相互接続基板100の少なくとも1つの導電性トラック104を収容するように構成される(例えば、
図2~
図4を参照)。
【0049】
iii)ウェル又は溝202内に配置され、導電性要素203を相互接続基板導電性トラック104に電気的に接続するように構成された少なくとも1つの導電性ペーストのボーラス300(例えば、
図3A~
図3F又は
図4A~
図4Fを参照)。本発明の実施形態では、システムが相互接続基板100の第2の面103と伸縮可能な相互接続部200の両方に配置された接着剤及び電気絶縁材料の封入層400をさらに備える(例えば、
図3A~
図3F又は
図4A~
図4Fを参照)。
【0050】
例えば、
図3Fを参照すると、相互接続基板100は、ウェル又は溝202内に収容され、第1の面102は基板201に向かって、即ちウェル又は溝202の底部に向かって、導電性トラック104が導電性要素203に向かい合っている。相互接続基板100の反対側の第2の面103は、ウェル又は溝202の開口部に、例えば、開口部から突出するように配置される。封止層400は、ウェル又は溝202内の相互接続基板100を閉じるように、相互接続基板100の反対側の第2の面103を、その開口部において溝202のウェルの少なくとも一部で封止する。ウェル又は溝202の残りの部分は、封入層400を含まなくてもよい。
【0051】
配線基板100の基板101は、一辺101aから、第1面102及び第2面103が配置される反対側の辺101bまで所定の長さを有していてもよい。基板101は、一方の側面101aから異なる距離を置いて配置されたその部分101c、101dにおいて異なる厚さを有してもよく、導電性軌道104は導電性軌道104が露出していない他の部分101dよりも厚さの小さい部分101cのうちの1つにおいて、第1の表面102から露出してもよい。
【0052】
従来技術に影響を及ぼす欠点に対処するために、本発明のシステムを特徴付ける重要な発明概念の1つは、ハイブリッド弾性/非弾性電気的相互接続システムの本質的に弾性の基板201上に、その中に少なくとも1つの導電性要素203を備えるウェル又は溝202として実装される個々の電子接点が存在することであり、ウェル又は溝202は、弾性基板201内にパターン化されている。予備計画段階において、ウェル又は溝202のサイズ(幅及びギャップ)に適合するように、嵌合相互接続基板100の固有非弾性基板101上に位置する導電性トラック104の設計を調整することによって、ウェル202構造の壁204に自己整合するように、導電性トラック104を弾性装置基板上に容易に配置することができる。有利には複数の導電性トラック104が存在する場合、1つの実施形態では各導電性トラック104は、ウェル202の内側に載置され、ウェル壁204によって互いに隔離される。
【0053】
本発明によって提案される設計のさらなる利点は特に厚さの点で、相互接続システムの嵩高さが著しく減少することである。即ち、相互接続基板100の導電性トラック104が最終的に、伸縮可能の相互接続200の整合ウェル又は溝202内に位置するので、相互接続基板100及び相互接続200は共平面状となり、積み重ねられた構成では結合されない。このようにして得られた構成は当技術分野で知られている解決策と比較して、システム全体のサイズを大幅に縮小することを可能にし、シームレスなハイブリッド弾性/非弾性相互接続を作り出す。いかなる理論にも結びつかないが、提案された構成は電気的相互接続システムの伸張可能部分に沿った伸張応力に対する歪みのより均一な分布をさらに可能にし、したがって、破損による故障の危険性を低減すると考えられる。
【0054】
伸縮性相互接続200は、以下の説明で明らかになるように、微細加工及びフォトリソグラフィなどの当技術分野で知られている方法で製造することができる。固有弾性基板201は、まず、非弾性シリコンウェハのような一時的基板上に設けられる。基材201は生物医学的用途に適合するために、必要な場合はいつでも、軟質ポリマー材料、又は多くの軟質ポリマー材料、おそらくは生体適合性材料の組み合わせから作製される軟質ポリマーマトリックスから実質的に構成される。「柔らかい」という用語は、本明細書では圧縮可能、可逆的に圧縮可能、弾性、可撓性、伸縮可能、又はそれらの任意の組合せである任意の材料を含むことを意味する。特に、軟質材料は、小さなヤングのモジュール(典型的には0.01~100MPaの間など、100MPa以下)を有する材料を含み、静止状態の軟質構造の伸びの典型的には5%以上の歪応力の際に大きな伸びを提供する。このようにして、得られた装置は、変形を受けたときに数ミリメートルから数センチメートルの厚さでさえも非常に柔軟である。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、軟質材料が伸張可能であり、すなわち、伸張時に、好ましくはより多くの方向に弾性的に変形可能である。支持体201の伸縮性は、これが実質的に構成される材料によって提供され、この文脈において、好ましい実施形態において、支持基材201は実質的に、軟質ポリマー材料、又は多くの軟質ポリマー材料、おそらく生体適合性材料、又は軟質ポリマー材料もしくはヒドロゲルでコーティングされたポリマー材料の組み合わせ、又は複合材料から作製される。基板201を構成する軟質ポリマーマトリックスに適した材料の例は例えば、スチレンブタジエンスチレン(SBS)又はスチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)などの熱硬化性又は熱可塑性樹脂、網状ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ネオプレン、未架橋ネオプレン、架橋ポリエチレン、ポリエーテル、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ラテックス、シリコーンゴム(例えば、ポリジメチルシロキサンPDMS)又はフルオロシリコーンゴムなどのエラストマー材料、スチレンブロックコポリマー(SBC)などの熱可塑性エラストマー、エチレンプロピレンジエンモノマー(EDPM)ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、又は前述のいずれかの組合せなどの軟質発泡体である。
【0056】
したがって、支持体201は、本発明の好ましい実施形態では約1kPaから1GPa、例えば約100kPaから約1GPa、約100kPaから約1GPa、約5MPaから約1GPa、約100kPaから約100MPa、約100kPaから約5MPa、約10kPaから約300kPa又は約10kPaから約10MPa、好ましくは約1MPaから約10MPaの間に含まれるヤング率を有し、これらの装置は組織と生体組織との間の機械的不整合を回避するために、及び/又は身体組織の物理的及び/又は機械的特性を模倣するために、多くの生体組織及び表面のヤング率と一致する適切な装置の範囲である。
【0057】
第2の工程では、少なくとも1つの導電性要素203が基板201上に設けられる。例として、導電性要素203は、Au、Pd、Pt、Irなどの金属又はそれらの合金を、例えば、熱蒸着又はスパッタリングなどの物理蒸着、化学蒸着、スプレーコーティング、積層、クラスターイオン注入、又は超音速クラスタービーム注入によって堆積させることによって、PDMSなどの硬化した軟質かつ伸縮性のエラストマー材料の少なくとも1つの表面上に提供されてもよい。用語「硬化」は、本明細書では当業者に周知のように、電子ビーム、熱、及び/又は架橋剤などの化学添加剤によってもたらされる、ポリマー鎖の架橋によるポリマー材料の強化又は硬化を指すために使用される。添加剤が紫外線によって活性化される場合、この方法はUV硬化とも呼ばれる。この非限定的かつ組み合わせ可能な実施形態では、少なくとも1つの導電性要素203が10~80nmの間に含まれる厚さを有し、50~300μmの間に含まれるトラック幅を有する伸縮性金属薄膜を含むか、又はそれからなる。
【0058】
追加的に又は代替的に、少なくとも1つの導電性要素203は、例えば、スプレーコーティング、スパッタリング、スクリーン印刷又はインクジェット印刷によって硬化された軟質材料表面上に堆積された金属及び/又は炭素ベースのインク及びペーストのような複合材料から実質的に構成されてもよい。複合材料は代替的に、カーボンナノチューブ又はマイクロ/ナノ粒子、金マイクロ/ナノ粒子、白金マイクロ/ナノ粒子などのような軟質ポリマーマトリックス「ドープ」又は埋め込みマイクロ又はナノ粒子から構成されてもよい。
【0059】
追加的に又は代替的に、少なくとも1つの導電性要素203は例えば、物理蒸着、化学蒸着、スプレーコーティング、熱蒸着/凝縮、直接描画スクリーン印刷、ドクターブレーディング又はインクジェット印刷によって硬化された軟質材料表面上に堆積された、液体金属又はその合金、好ましくはガリウム及びガリウムベースの合金のうちの1つから実質的に構成されてもよい。上記の解決策のいずれかの組み合わせもまた、想定可能である。
【0060】
第3のステップでは、導電性要素203の少なくとも一部が軟質ポリマー材料から実質的に構成される同じ又は異なる軟質マトリックスに封入される。この目的のために、軟質硬化性材料は、オーバーモールディング、スプレーコーティング、分配(注入)、成形、圧縮成形、浸漬コーティングなどの当技術分野で知られている方法に従って、導電性要素203を埋め込むような方法で提供される。好ましくは、導電性要素203が同一又は異なる弾性マトリクス内に封入され、この後者は1)導電性要素203を貫通して露出すること、及び2)パターン形成プロセスから生じる壁204によって区切られたウェル又は溝202を作成することのために、例えばフォトリソグラフィによって、その後、パターン形成される。これらのステップの端部における結果は内部に少なくとも1つの導電性要素203を備える少なくとも1つのウェル又は溝202を備える基板201であり、カプセル封止はしたがって、伸張可能相互接続202の一端部上を除いて、基板をあらゆるところで覆い、ここで、導電性要素203からの「パッド」が電気的接触に使用される。ウェル又は溝202の寸法は後述するように、相互接続基板100の少なくとも1つの導電性トラック104を収容するために選択される。
【0061】
図4A~
図4Fに例示的に示される一実施形態によれば、伸縮可能相互接続200の少なくとも1つの導電性要素203は、真性弾性基板201内に埋め込まれる。好ましくは、本質的に弾性の基板201内に埋め込まれた導電性要素203がカーボンナノチューブ又はマイクロ/ナノ粒子、金マイクロ/ナノ粒子、白金マイクロ/ナノ粒子などのマイクロ粒子又はナノ粒子がドープされた、又は埋め込まれた軟質ポリマーマトリックスから構成される。
【0062】
本発明の伸縮可能な相互接続に関して、本開示による相互接続基板100は、当技術分野で知られている方法で製造することができる。本発明による相互接続基板100は、本質的に非弾性の基板101と、例えば少なくとも第1の面102及び/又は対向する第2の面103上に配置された少なくとも1つの導電性トラック104とを備える。これに加えて、又はこれに代えて、導電性トラック104は、基板101内に埋め込まれ、バイア、場合によっては金属化バイアを介して露出又は部分的に露出させることができる。導電性トラック104は基板101を構成する同じ材料又は異なる材料でその少なくとも一部を不動態化することができ、ビアを開いてトラック104の導電性部分にアクセスすることができる。いくつかの好ましい実施形態では、相互接続基板100の基板101が実質的に可撓性材料で構成される。この文脈において、用語「可撓性」は例えば、プラスチック、熱可塑性プラスチック(例えば、ポリイミド又はパリレン)、液晶ポリマー(LCP)、エポキシ(例えば、FR4)中の薄いガラス繊維複合材料などの、屈曲可能な、本質的に非弾性の材料をいう。可撓性基板101は装置部分と、例えば皮質などの身体組織との間の機械的不整合を低減し、同時に、機械的故障の危険性を回避するために柔軟性があり、十分に耐性があるため、神経接合などの生物医学的インプラント/装置に実装するための相互接続システムにとって特に興味深い。
【0063】
好ましくは、本発明の範囲内で、相互接続基板本質的に非弾性の基板101は、少なくとも相互接続部位、すなわち、導電性トラック104が置かれている基板の少なくとも一部が平坦であり、伸縮可能な相互接続200のパートナー部分との電気接続を確立するように機能する。この構成は、厚さに関して最終アセンブリのフォームファクタを低減する可能性を可能にする、すなわち、トラック104が割り当てられたウェル又は溝202内に存在するように、少なくとも1つの導電性トラック104が伸縮可能相互接続200と結合されると、その可能性を可能にする。さらに、いくつかの実施形態によれば、伸縮性相互接続200は平面である。
【0064】
実施形態において、相互接続基板100の少なくとも1つの導電性トラック104は、本質的に非弾性基板101の、おそらく平面状の細長部材である細長部材1000上に位置する。本発明の実施形態(
図5A~
図5C)では、各々が少なくとも1つの導電性トラック104をその上/その中に備える複数又はアレイの細長部材1000が企図され、アレイはおそらく、最終的な相互接続システムの機能を多重化することを可能にし、複数の分離されたチャネルを提供する。細長部材1000のアレイは、以下では「フィンガ」と呼ばれることがある。上述の実施形態によれば、伸縮可能相互接続部200は、その中に少なくとも1つの導電性要素203を含む複数又はアレイのウェル又は溝202を有する基板201を備え、ウェル202はニーズ及び状況に応じて、整合する導電性トラック104(
図6A~
図6C)を収容するように構成される。
図7A、
図7B、
図7C、
図8、
図9A、
図9B、
図9C、
図10、
図11A、
図11B、
図11C、及び
図12には、アレイ構成のいくつかの例示的な実施形態、ならびにそれから得られる本発明による相互接続システムが示されている。
【0065】
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Cを参照すると、本発明による相互接続システムの1つの製造方法の2つの非限定的な実施形態、ならびに横断面で描かれたシステムの1つの実施形態が示されている。
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Cに示される実施形態の間の主な相違は、基板201の上(
図3A)又は内(
図4A)に配置される導電性要素203の位置決めに関する。第1のステップ(
図3A又は
図4A)では、伸縮可能相互接続200が提供され、
図2Aに上面図としてより良く示されている。
【0066】
第2の工程(
図3B又は
図4B)では、導電性ペーストの少なくとも1つのボーラス300がウェル又は溝202内に位置する。導電性ペーストのボーラス300は、導電性要素203を相互接続基板導電性トラック104と電気的に接続するように構成される。いくつかの実施形態では、導電性ペーストの少なくとも1つのボーラス300が導電性要素203を相互接続基板導電性トラック104に機械的に接続するように構成された接着性弾性ポリマーから実質的に構成される。この構成はシステムを構成する異なる要素の機械的リンクを容易にし、従って、最終アセンブリの「弾性」構成要素と「非弾性」構成要素との間の機械的ミスマッチを低減する。
【0067】
一実施形態では、導電性ペーストのボーラス300が軟質ポリマー材料と、複数の導電性マイクロ粒子又はナノ粒子、チューブワイヤ及び/又はシートとのブレンドを含む。典型的には、要素が銀(例えば、銀粉末)、金、白金などのマイクロ粒子又はナノ粒子、ワイヤ及び/又はシート、ならびに酸化物及び/又はそれらの組み合わせ、炭素粉末、カーボンナノチューブ、グラフェンナノシートなどから選択される金属材料から構成される。
【0068】
第3の工程(
図3C~
図3E又は
図4C~
図4E)において、導電性トラック104を備える相互接続基板100の本質的に非弾性基板101は、伸縮可能の相互接続部200との堅固な物理的及び電気的接続を確立する方法で、受けウェル202内に配置される。この目的のために、導電性トラック104は、必要性及び状況に応じて、伸縮可能相互接続部200の導電性要素203を相互接続基板導電性トラック104と機械的に接続するように構成された接着性弾性ポリマーで実質的に構成することができる導電性ペーストのボーラス300内に埋め込まれる。ボーラス300の接着弾性ポリマーは、初めは液状又は半固体状であってもよく、その後、導電性トラック104がウェル202内の平面内に入ると、光重合、化学重合、加熱(例えば、80℃の炉内で1時間硬化される)などの当該技術分野で公知の手段によって硬化されてもよい。ボーラス300は、硬化プロセスを助け、スピードアップし、及び/又は強化するために、架橋剤(例えば、光開始剤)として作用する反応性化学種を含み得る。したがって、本開示の枠組みにおいて、「ペースト」はまた、(1つ又は複数の)最初は軟らかくない固体前駆体の硬化プロセスから生じる軟らかい固体材料を含む。一実施形態では、少なくとも1つのウェル又は溝202が少なくとも1つの導電性トラック104が導電性ペーストの少なくとも1つのボーラス300内に完全に埋め込まれるように、相互接続基板100の少なくとも1つの導電性トラック104を完全に収容するように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つのウェル又は溝202が少なくとも1つの導電性トラック104ならびにそれを含む本質的に非弾性の基板101を完全に収容するように構成される。
【0069】
最後の、任意選択の工程(
図3F又は
図4F)では、電気的相互接続システムが相互接続基板100の第2の面103及び伸張可能な相互接続200の両方に位置する接着性及び電気絶縁材料の封入層400で封入される。最終アセンブリの可撓性及び伸縮性を可能な限り維持するために、本発明の一般的精神に従い、封入層400は実質的に、本質的に弾性の材料、例えば、シリコーンゴム、ポリブチルゴム、ポリウレタン、熱可塑性加硫物などのエラストマー材料で構成されることが好ましい。封入層400は、システム全体に対する機械的ロバスト性を保証するだけでなく、周囲環境及び/又はシステムのいくつかの構成要素間のショートカットのリスクも回避する。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明による電気的相互接続システムでは少なくとも1つの導電性トラック104及び/又は少なくとも1つの導電性要素203が一端を含み、外部装置に電気的に接続可能であるように構成される(
図13)。明らかなように、本発明のシステムは「電気的相互接続」システムであり、それを構成する要素は、少なくとも2つの要素間に適切な電気的接続を生成すると考えられる。以下の説明で明らかになる理由のために、両方の要素は電気的、電子的、又は電気機械的な外部装置であってもよく、又はこれらの要素のうちの1つは、身体との接合のための生物医学的装置の場合のように、組織、器官、又それ以外の対象の身体の一部であってもよい。
【0071】
当業者には明らかなように、本発明の相互接続システムは、システム、装置等の「弾性」及び「非弾性」成分を接続するために使用及び実施することができる。したがって、本発明の一態様は、本明細書に記載の電気的相互接続システムを含む製造物品に関する。本明細書に記載される本発明を享受し得る製造物品は、埋め込み型装置、「スマート」衣類(tシャツ、キャップ、靴などの埋め込み型電子部品)などの着用可能装置、リストバンド、(可撓性)ディスプレイなどの薄型フォームファクタアイテム、椅子などの家具埋め込み型電子部品などを含む医療用及び生物医学用装置を含む。
【0072】
特に、予想されるように、本発明のフレームにおいて、電気的相互接続システムは有利に使用され、生物医学的装置、特に、被験体の身体に一時的に又は永久的に移植されるように構成された装置に組み込まれ得る。本明細書で使用される「対象」という用語は、哺乳類又は鳥類さえも指す。例えば、本発明によって意図される哺乳動物には、ヒト、霊長類、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、実験用げっ歯類など)が含まれる。本発明の意味の範囲内で、「固定インプラント」とは、確立された及び/又はカスタマイズされた外科的手順に適合し、そして長期間(例えば、7日間)にわたって有害な生物学的反応を生じることなくインビボに存在する能力を有する生物医学的装置を規定する。さらに、本発明の意味の範囲内で、「取り外し可能なインプラント」とは、確立された及び/又はカスタマイズされた外科的処置に適合し、かつ、例えば外科手術の時間などの限定された時間の間、生体内に存在する能力を有する生物医学的装置を規定する。
【0073】
有利には、生物医学的装置のフレームにおいて、本発明の電気的相互接続システムは、主に、1)それを含む装置の形状因子を低減すること、2)偏向刺激(例えば、膨張、収縮、曲げ、ねじれ、ねじれ、線形又は領域歪み)に対する装置に沿った機械的応力の分布を最適化すること、及び3)周囲の生物学的組織の機械的特性により良く従うこと、を可能にし、被験体における機械的ミスマッチ、したがって、有害反応(例えば、炎症又は線維性対応)を低減することを可能にし得る。
【0074】
本発明によるバイオメディカル装置は、それを治療する目的で、それを必要とする対象における生理学的及び/又は生理病理学的パラメータを感知、測定及び/又は監視するために使用することができる。有利には、本発明の相互接続システムが移植時の撓みなどの物理的及び/又は機械的応力を受けやすい装置に実装することができる。例えば、中枢神経系及び/又は末梢神経系の障害を治療するための神経との接合は、典型的には本発明のこの態様による装置のグループに含まれる。あるいは、心臓、肝臓、腸、膀胱、網膜などの軟組織の表面と接合することを目的とする電極アレイインプラントもまた、本発明のこの局面に含まれる。一例として、微小電極アレイは例えば、神経学的又は心臓活動を刺激及び/又は記録する目的のために、ならびに外傷性脳損傷又は膀胱求心性活動後の海馬電気活動を監視するために、又は興奮性細胞などの電位を刺激するために、脊髄、脳又は末梢神経又は軟部生物学的組織と、神経との接合として使用するのに特に適しており、本発明の相互接続電気システムを有利に享受することができる。
【0075】
実施例
【0076】
本発明による実施された非限定的な例では、相互接続電気システムが製造され、生物医学装置に含まれている。
【0077】
各々が金属材料の薄膜からなる導電性トラック104を有する複数のフィンガ1000を含む、可撓性PCB(FPCB)として実施されるコム構造100は各フィンガ1000がその割り当てられたチャネル202内に存在するように、軟質相互接続部200上に配置されており、コムのフィンガは装置上のウェル構造の壁に自動的に自己整合し、ウェル壁によって互いに隔離される。
【0078】
チャネル202は、例えばステンシル印刷によってくしが配置される前又は後に導電性ペースト300で充填され、フレキシブル構造100と装置上の伸縮性相互接続部200との間に固有弾性電気接触を提供する。一旦配置されると、FPCBは、所定の位置に固定され、シリコーンシーラント400によって電気的に絶縁されて、成分を所定の位置にロックし、基板に対して機械的安定性を提供する。フィンガ1000は、軟質基板200に堅固に接続されていないので、アセンブリは、導電性ペースト300が電気接点を機能的に保ちながら、屈曲及び伸張を可能にするように弾性を維持することができる。FPCBの他端は、標準コネクタ又はケーブルを介して外部ハードウェアに接続される。したがって、相互接続システムの全体的な厚さは、フィンガがウェルの内側に存在するとき、弾性基板及び封入の厚さによってのみ制限される。
【0079】
この実証において、弾性装置は半導体産業から適合されたプロセスを使用して製造されるが、この技術は必要とされるウェル/壁構造で機械加工することができる任意の封止材料に適用することができる。この例では、基板の厚さと封入の厚さは、両方とも200μmに等しい。パッド間ピッチは数百ミクロン程度、例えば500μmとすることができ、パターニング/機械加工プロセスの解像度によって制限される。チャネル(ウェル202)の長さは約1mmである。FPCBの全厚さは、製造プロセスに応じて約100μmとすることができる。金属薄膜の厚さは23nmである。この技術は適合する導電ペーストが利用可能であれば、メタライゼーション材料とは無関係である。
【0080】
この接続構造は、金属トレースの分解能(リソグラフィによる)と基板パターニング(レーザ加工による)のみに依存するため、サイズを縮小するとともにチャネル数を拡大することができる。加えて、可撓性プリント回路基板は、全てのチャネルを搬送するフラットリボンケーブルとして使用される狭いストリップとして延長されるか、又は従来の技術を使用して一緒にハンダ付け及び束ねることができる小さなワイヤで終端されるかのいずれかとすることができる(軟質材料によって提起される制限が適用されないので)。さらに、小さなアクティブ電子チップは装置に向上した機能性を提供するために、指の近くで標準的な電子パッケージング技術を使用して集積化され得る。
【0081】
本発明は、定の好ましい実施形態を参照して開示されてきたが、記載された実施形態に対する多数の修正、変更、及び変更、ならびにその均等物は本発明の範囲及び範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の言語に従って最も広い合理的な解釈が与えられることが意図される。