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  • 特許-ジェットミル 図1
  • 特許-ジェットミル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ジェットミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/06 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B02C19/06 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018240450
(22)【出願日】2018-12-24
(65)【公開番号】P2020099876
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】高久 浩二
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-051916(JP,A)
【文献】特開2008-229548(JP,A)
【文献】特開平09-010620(JP,A)
【文献】特開2006-283099(JP,A)
【文献】特開昭54-054370(JP,A)
【文献】中国実用新案第206794127(CN,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0344818(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 9/00 - 11/08
19/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を受ける原料供給部と、
水平円盤状の粉砕室と、
原料供給部に連結され、原料供給部から供給された原料とともに、高圧ガスを粉砕室に噴射する原料供給ノズルと、
粉砕室の円周に所定の間隔で配置され、粉砕室に高圧ガスを噴射する粉砕ノズルと、
原料供給部と原料供給ノズルの連結部である固気混合部を振動させる振動装置と、を有し、
振動装置は、逆円錐状の原料供給部の上端から拡径するフランジ部に取り付けられており、
フランジ部(8a)には、周方向に沿って等間隔に離間して該フランジ部(8a)を上下方向に貫通する複数の貫通孔が形成され、振動装置は、貫通孔の1つに係合されていることを特徴とするジェットミル。
【請求項2】
振動装置は、エアージェット式で駆動され、上下方向に振動する装置である請求項1に 記載のジェットミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから噴射される高圧の気体を原料に供給し、加速された原料同士を衝突させることによって、原料を粉砕するジェットミルに関する。
【背景技術】
【0002】
ジェットミルは、ノズルから噴射される高圧ガスを原料に供給し、加速された原料同士を粉砕室にて衝突させることによって、原料を粉砕する気流式粉砕装置である。
【0003】
一般的なジェットミルは、密閉された中空円盤状の粉砕室の円周上に、複数の粉砕ノズルが均等配置されている。粉砕ノズルの1つ、もしくは複数個が、原料を供給する原料供給ノズルとなる。粉砕ノズルおよび原料供給ノズルから、高圧ガスを噴射することで、粉砕室に旋回流を発生させ、原料供給ノズルから噴射される原料同士を衝突させて粉砕する。従来のジェットミルは、粉砕室に送り込む高圧ガスが、粉砕室の下方に設けられた半球状のタンクに充填されており、粉砕ノズルおよび原料供給ノズルが、タンクに複数のホースで連結されている。
【0004】
このような従来のジェットミルに対し、出願人は、特許文献1の水平旋回流型のジェットミルを開発した。このジェットミルは、底面を球弧状としたタンク部を有し、そのタンク部の上面に、外縁フランジを形成した閉塞部を一体的に備えている。閉塞部の上部に、原料供給ノズルと、複数の原料の粉砕ノズルを臨ませた粉砕室を設け、閉塞部と粉砕室の下板とはフランジ部分をボルトで締結し、その粉砕室の上面に粉砕された原料の排出口を備えた排出パートがボルトで締結されている。このジェットミルは、各部位の締結用のボルトを外すことによって簡単に分解でき、内部全体を精巧に清掃、清浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-51916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、粉砕対象である原料が綿の繊維状である場合には、原料が投入される原料供給部と原料供給ノズルの連結部分で原料詰まりが発生し、原料を粉砕室にスムーズに供給することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、原料供給部から原料供給ノズルの連結部分での原料詰まりを低減し、原料を安定的に粉砕室に供給することができるジェットミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような目的を達成するために以下のような特徴を有している
【0009】
[1]原料を受ける原料供給部と、
水平円盤状の粉砕室と、
原料供給部に連結され、原料供給部から供給された原料とともに、高圧ガスを粉砕室に噴射する原料供給ノズルと、
粉砕室の円周に所定の間隔で配置され、粉砕室に高圧ガスを噴射する粉砕ノズルと、
原料供給部と原料供給ノズルの連結部である固気混合部を振動させる振動装置と、を有するジェットミル。
【0010】
[2]振動装置は、エアージェット式で駆動され、上下方向に振動する装置である[1]に記載のジェットミル。
【0011】
[3]振動装置は、原料供給部のフランジに設置されている[1]または[2]に記載のジェットミル。
【0012】
[4]振動装置は、原料供給部のフランジのうち原料供給ノズルの基端側に設置されている[3]に記載のジェットミル。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るジェットミルによれば、原料供給部から原料供給ノズルの連結部分での原料詰まりを低減し、原料を安定的に粉砕室に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るジェットミルの構成を示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るジェットミルの構成を示す平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るジェットミルの要部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1及び2は、本発明の実施の形態に係るジェットミルを示したものであり、図3は、ジェットミルの要部の構成を示す縦断面図である。
【0016】
このジェットミル1は、底面が球状に構成された半球状のタンク2と、タンク2の上に配された中空円盤状のハウジング3を有している。ハウジング3の内部空間は、2重構造を有している。ハウジング3の平面視中央には、水平円盤状の粉砕室4が配され、その外周を取り囲むように、リング状の流路である高圧ガス送り部5が配されている。
【0017】
高圧ガス送り部5と、タンク2とは連結流路12を介して連結されており、タンク2に充填された高圧ガスが、連結流路12を通って高圧ガス送り部5に供給される。粉砕室4の外周には、粉砕ノズル6が均等配置されている。粉砕ノズル6の1つもしくは複数が、原料を供給するベンチュリーノズル7として構成される。図1の例では、9個の粉砕ノズル6と、1つのベンチュリーノズル7を有している。粉砕ノズル6には、高圧ガス送り部12から高圧ガスが供給される。
【0018】
粉砕ノズル6およびベンチュリーノズル7は、粉砕室4に対し、円盤状の粉砕室4の中心よりも外周側に傾いて取り付けられている。このように粉砕ノズル6およびベンチュリーノズル7を、角度をつけて粉砕室4に取り付けることで、それぞれの粉砕ノズル6およびベンチュリーノズル7から噴射された高圧ガスが、粉砕室4の側面に沿って流れ、粉砕室4内に高速な旋回流を発生させることができる。
【0019】
ベンチュリーノズル7の上流には、フィーダ(図示せず)から供給される原料をとり、ベンチュリーノズル7に供給する原料供給部8が設けられている。原料供給部8は、下方になるに従い径が小さくなる円錐状に形成されており、ベンチュリーノズル7の入側に設けられた固気混合部11に対して、原料を落下供給する。ベンチュリーノズル7は、ベンチュリーノズルにより構成されている。
【0020】
原料供給部8から固気混合部11に落下供給された原料は、材料供給ノズル9からの高速ジェット流によってベンチュリーノズル7の入側に吸い込まれ、粉砕室6に送り込まれる。
【0021】
原料供給部8には、原料供給部8とベンチュリーノズル7との連結部である固気混合部11を上下方向に振動させる振動装置10が取り付けられている。図1の例では、振動装置10は、逆円錐状の原料供給部8の上端から拡径するフランジ部8aに取り付けられている。
【0022】
上述のとおり、固気混合部11では、材料供給ノズル9によって図2の右から左方向に向けて気流が発生しているため、粉砕対象である原料が綿の繊維状である場合には、原料供給部8の下端付近において、図2の左側寄りに上下方向に亘るブリッジが発生しやすい。
【0023】
そのため、本実施形態では、振動装置10は、フランジ部8aの材料供給ノズル9側に取り付けられている。これによれば、図2のブリッジを右側に崩すことで原料詰まりを予防・解消することができる。
【0024】
なお、振動装置10の振動方向は、上下方向、水平方向もしくはこれを組み合わせたものなど、種々のものを用いることができる。もっとも、本実施形態のように振動装置10として上下方向に振動するものを選択すれば、固気混合部11に詰まった原料を重力の力を利用して振り落とすことができるため好ましい。
【0025】
また、原料供給部8とベンチュリーノズル7との連結部である固気混合部11を振動させることができれば、振動装置10はどのような位置に取り付けられていても構わないが、例えば水平方向に振動するものをフランジ部8aの上下方向(図2)に取り付ける組み合わせも、ブリッジの根本を崩せるため好ましい一例である。
【0026】
振動装置10の駆動方式はどのようなものでも構わないが、コンタミを防ぐ観点からエアージェット式を用いることが好ましい。
【0027】
粉砕室4の下板4aの上面には、中央部位に円錐状の突起4bが形成されている。突起4bは、粉砕室4内での高圧ガスの旋回流を補助し、その上昇を補助するように構成されている。
【0028】
粉砕室4の上面中央には、粉砕した原料を取り出す排出口14が設けられている。
【0029】
タンク2の底面の中央には、高圧ガスの送気管13の先端が連結されている。
【0030】
ジェットミル1は、複数の脚体20、20‥を備えた架台22に支持されている。架台22は、下面にキャスター21、21‥を備えており、ジェットミル1を容易に移動することができる。
【0031】
このように構成されたジェットミル1では、原料供給部8に供給された原料が、固気混合部11に落下供給される。原料供給部8には、振動装置10が連結されているため、原料供給部8が原料を供給している間は、振動装置10の振動により、原料供給部8および固気混合部11が一体となって振動する。そのため、この振動装置10の振動により、原料供給部8と原料供給ノズル10との連結部である固気混合部11での原料詰まりを予防でき、仮に詰まりが発生しても、詰まった原料を振動により振り落とすことができる。
【0032】
固気混合部11に落下した原料は、材料供給ノズル9から供給される高速ジェット流によってベンチュリーノズル7に吸い込まれ、ベンチュリーノズル7から粉砕室4に供給される。
【0033】
粉砕室4には、粉砕室4の外周上に均等配置された粉砕ノズル6からの高圧ガスが供給されてている。粉砕室4に導入された原料は、ベンチュリーノズル7および粉砕ノズル6から噴射される高圧ガスの高速旋回流によって、粉砕室4内を高速で旋回する。旋回した原料同士が衝突し、原料が破砕される。破砕された原料は、粉砕室4の中央部の上方に設けられた排出口14より取り出される。
【0034】
本発明に係るジェットミル1では、原料供給部8とベンチュリーノズル7との連結部である固気混合部11を振動させる振動装置10を設けることで、固気混合部11に発生する原料詰まりを防止し、粉砕処理をスムーズに行うことができる。また、固気混合部11の詰まりを低減することで、メンテナンス性を向上させることができる。また、振動装置10を原料供給部8に設置することで、固気混合部11においてより詰まりやすい入側を振動させ、詰まりを低減することができる。
【0035】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の設計変更を行うことができる。例えば、上記の説明では、特開2017-51916号公報に開示されたハウジングの外側にホースを連結しないジェットミルに対し、本発明の振動装置を適用したが、従来のようなハウジングの円周方向から複数のホースが連結されるジェットミルに対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ジェットミル
2 タンク
3 ハウジング
4 粉砕室
6 粉砕ノズル
7 ベンチュリーノズル
8 原料供給部
9 材料供給ノズル
10 振動装置
11 固気混合部
12 連結流路
13 送気管
14 排出口
20 脚体
21 キャスター
22 架台

図1
図2
図3