(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20231005BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20231005BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20231005BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20231005BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20231005BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231005BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20231005BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20231005BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/20
F21S45/47
F21V29/503
F21V29/70
F21W103:35
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020008309
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴義
【審査官】的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181482(JP,A)
【文献】特開平03-297526(JP,A)
【文献】実開昭57-13900(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/19
F21S 43/14
F21S 43/15
F21S 43/20
F21S 45/47
F21V 29/503
F21V 29/70
F21W 103/35
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付ベースを有するランプハウジングと、
光源が搭載された光源基板と、
前記光源を点消灯制御する制御基板とを備え、
前記ランプハウジングには前記取付ベースから反対方向に突出され前記光源基板と前記制御基板がそれぞれ熱カシメにより取り付けられる第1の取付部と第2の取付部が設けられ、
前記第1の取付部と前記第2の取付部が同一直線上に位置された
車輌用灯具。
【請求項2】
前記第1の取付部は前記取付ベースに連続する第1のベース突部と前記第1のベース突部の先端面から突出された第1のカシメピンとを有し、
前記第2の取付部は前記取付ベースに連続する第2のベース突部と前記第2のベース突部の先端面から突出された第2のカシメピンとを有し、
前記第1の取付部に前記第1のベース突部の外周面から突出された第1の補強リブが設けられ、
前記第2の取付部に前記第2のベース突部の外周面から突出された第2の補強リブが設けられた
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記ランプハウジングが樹脂材料によって形成され、
前記第1の補強リブと前記第2の補強リブがそれぞれ周方向に離隔して複数設けられ、
前記第1の補強リブの周方向における位置と前記第2の補強リブの周方向における位置とが異なる位置にされた
請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記第1のカシメピンが挿通される第1の挿通孔を有し前記光源基板に接した状態で前記第1の取付部に取り付けられる第1の放熱板と、
前記第2のカシメピンが挿通される第2の挿通孔を有し前記制御基板に接した状態で前記第2の取付部に取り付けられる第2の放熱板とが設けられた
請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記第1の放熱板と前記第2の放熱板が前記取付ベースを挟んで反対側に位置された
請求項4に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源基板と制御基板が熱カシメによりランプハウジングに取り付けられる車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウマウントストップランプ等の車輌用灯具には、光源が搭載された光源基板と光源の点消灯制御を行う制御基板とがランプハウジングに取り付けられ、制御基板の点消灯制御によって光源から出射された光がカバー(カバーレンズ)を透過され外部へ向けて照射される構成にされたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、光源基板が発光素子搭載部として設けられ制御基板が制御回路部として設けられている。
【0003】
このような車輌用灯具には、光源基板と制御基板が熱カシメによってランプハウジングの取付部に取り付けられるものがある。この場合には、光源基板と制御基板に挿入孔が形成され、取付部にカシメピンが設けられ、カシメピンが挿入孔に挿入された状態でカシメ治具によってカシメピンに対して加熱及び加圧が行われ、カシメピンの先端部が変形されることにより光源基板と制御基板が取付部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ランプハウジングの取付部に光源基板と制御基板を熱カシメによって取り付ける取付工程においては、通常、光源基板と制御基板がそれぞれ複数の箇所でカシメ治具を用いて取付部に取り付けられるため、取付箇所が多くなると、その分、カシメ作業の数も増え、取付工程における作業に時間がかかり、作業性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、光源基板と制御基板を熱カシメによってランプハウジングに取り付ける取付工程における作業性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1に、本発明に係る車輌用灯具は、取付ベースを有するランプハウジングと、光源が搭載された光源基板と、前記光源を点消灯制御する制御基板とを備え、前記ランプハウジングには前記取付ベースから反対方向に突出され前記光源基板と前記制御基板がそれぞれ熱カシメにより取り付けられる第1の取付部と第2の取付部が設けられ、前記第1の取付部と前記第2の取付部が同一直線上に位置されたものである。
【0008】
これにより、取付ベースから反対方向に突出され同一直線上に位置された第1の取付部と第2の取付部に対してそれぞれカシメ治具を反対方向から同時に押し当てて光源基板と制御基板をそれぞれ第1の取付部と第2の取付部に取り付けることが可能になる。
【0009】
第2に、前記第1の取付部は前記取付ベースに連続する第1のベース突部と前記第1のベース突部の先端面から突出された第1のカシメピンとを有し、前記第2の取付部は前記取付ベースに連続する第2のベース突部と前記第2のベース突部の先端面から突出された第2のカシメピンとを有し、前記第1の取付部に前記第1のベース突部の外周面から突出された第1の補強リブが設けられ、前記第2の取付部に前記第2のベース突部の外周面から突出された第2の補強リブが設けられることが望ましい。
【0010】
これにより、第1のベース突部と第2のベース突部の強度がそれぞれ第1の補強リブと第2の補強リブによって高くされるため、第1のカシメピンと第2のカシメピンにそれぞれカシメ治具が押し当てられて熱カシメが行われるときに第1の取付部と第2の取付部が変形し難い。
【0011】
第3に、前記ランプハウジングが樹脂材料によって形成され、前記第1の補強リブと前記第2の補強リブがそれぞれ周方向に離隔して複数設けられ、前記第1の補強リブの周方向における位置と前記第2の補強リブの周方向における位置とが異なる位置にされることが望ましい。
【0012】
これにより、ランプハウジングの成形時における取付ベースに生じるヒケの発生が抑制される。
【0013】
第4に、前記第1のカシメピンが挿通される第1の挿通孔を有し前記光源基板に接した状態で前記第1の取付部に取り付けられる第1の放熱板と、前記第2のカシメピンが挿通される第2の挿通孔を有し前記制御基板に接した状態で前記第2の取付部に取り付けられる第2の放熱板とが設けられることが望ましい。
【0014】
これにより、第1のカシメピンにカシメ治具が押し当てられて熱カシメが行われるときに光源基板に加えて第1の放熱板が同時に第1の取付部に取り付けられ、第2のカシメピンにカシメ治具が押し当てられて熱カシメが行われるときに制御基板に加えて第2の放熱板が同時に第2の取付部に取り付けられる。
【0015】
第5に、前記第1の放熱板と前記第2の放熱板が前記取付ベースを挟んで反対側に位置されることが望ましい。
【0016】
これにより、制御基板の点消灯制御による光源の駆動時に第1の放熱板と第2の放熱板から放出される熱が取付ベースによって仕切られて互いに光源と制御基板の駆動状態に影響し難い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、取付ベースから反対方向に突出され同一直線上に位置された第1の取付部と第2の取付部に対してそれぞれカシメ治具を反対方向から同時に押し当てて光源基板と制御基板を取付ベースに取り付けることが可能になるため、取付工程における作業時間が短縮され、光源基板と制御基板を熱カシメによってランプハウジングに取り付ける取付工程における作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図2乃至
図6と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の斜視図である。
【
図3】一部を分解した状態で示す車輌用灯具の斜視図である。
【
図4】ランプハウジングのケース体を示す斜視図である。
【
図5】光源基板や制御基板等がランプハウジングに取り付けられた状態を示す水平断面図である。
【
図6】光源基板や制御基板等がランプハウジングに取り付けられた状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0020】
以下に示した実施の形態は、本発明車輌用灯具を後方に光を照射する車輌用灯具であるハイマウントストップランプに適用したものである。尚、本発明はハイマウントストップランプ以外の各種の車輌用灯具に広く適用することができる。
【0021】
以下の説明にあっては、光の外部への照射方向を後方として前後上下左右の方向を示すものとする。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0022】
車輌用灯具1は、例えば、車体の左右方向における中央部に取り付けられて配置されている。車輌用灯具1はそれぞれ樹脂材料によって形成されたランプハウジング2とカバーレンズ3とを有し、ランプハウジング2とカバーレンズ3によって灯具外筐4が構成されている(
図1参照)。
【0023】
ランプハウジング2はケース体5とカバー体6が結合されて構成される(
図1乃至
図3参照)。
【0024】
ケース体5は上下方向を向き横長の底面ベース7と底面ベース7の前端部から上方に突出された横長の取付ベース8と底面ベース7の左右両端部からそれぞれ上方に突出された側面部9、9とを有している(
図2乃至
図4参照)。一方の側面部9の前端部は取付ベース8の左右方向における一方の端部に連続されている。取付ベース8の左右方向における略中央部には上方に開口された螺合部8aが設けられている。側面部9には外面側にそれぞれ係合突部9a、9aが設けられている。
【0025】
ケース体5における取付ベース8の後側の空間は第1の配置空間5aとして形成され、ケース体5における取付ベース8の前側の空間は第2の配置空間5bとして形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0026】
ケース体5には取付ベース8の左右方向における他方の端部に連続する仕切面部10が設けられ、仕切面部10が左右方向において他方の側面部9に対向して位置されている(
図2乃至
図4参照)。従って、仕切面部10と他方の側面部9との間には空間が形成され、この空間が第3の配置空間5cとして形成されている。
【0027】
ケース体5には、例えば、三つずつの第1の取付部11、11、11と第2の取付部12、12、12がそれぞれ左右に離隔して設けられている。尚、第1の取付部11と第2の取付部12の数は任意であり、少なくとも二つずつが設けられていることが望ましい。
【0028】
第1の取付部11は取付ベース8から後方に突出されている(
図4乃至
図6参照)。第1の取付部11は取付ベース8の後面に連続する軸状の第1のベース突部13と第1のベース突部13の外周面からそれぞれ突出された第1の補強リブ14、14、・・・と第1のベース突部13の先端面から後方に突出された第1のカシメピン15とによって構成されている。尚、
図5及び
図6には、理解を容易にするために、第1のベース突部13と第1の補強リブ14の境界又は第1の取付部11と取付ベース8の境界を一点鎖線で仮想線として示す。第1の補強リブ14、14、・・・は第1のベース突部13の外周面から放射方向に突出され、周方向に等間隔に離隔して位置されている。第1の補強リブ14、14、・・・は前端が取付ベース8の後面に連続されている。
【0029】
第2の取付部12は取付ベース8から前方に突出されている。第2の取付部12は取付ベース8の前面に連続する軸状の第2のベース突部16と第2のベース突部16の外周面からそれぞれ突出された第2の補強リブ17、17、・・・と第2のベース突部16の先端面から前方に突出された第2のカシメピン18とによって構成されている。尚、
図5及び
図6には、理解を容易にするために、第2のベース突部16と第2の補強リブ17の境界又は第2の取付部12と取付ベース8の境界を一点鎖線で仮想線として示す。第2の補強リブ17、17、・・・は第2のベース突部16の外周面から放射方向に突出され、周方向に等間隔に離隔して位置されている。第2の補強リブ17、17、・・・は後端が取付ベース8の前面に連続されている。
【0030】
第1の補強リブ14、14、・・・と第2の補強リブ17、17、・・・は、例えば、四つずつが設けられている。但し、第1の補強リブ14と第2の補強リブ17の数はそれぞれ任意である。
【0031】
第1の取付部11と第2の取付部12は取付ベース8を挟んで正反対の位置に存在し、同一直線上に位置されている。特に、第1のベース突部13と第2のベース突部16は同一軸上に位置されている。
【0032】
一方、第1の取付部11と第2の取付部12は、第1の補強リブ14、14、・・・の周方向における位置と第2の補強リブ17、17、・・・の周方向における位置とが異なる位置にされている。第1の補強リブ14、14、・・・の周方向における位置と第2の補強リブ17、17、・・・の周方向における位置とは、例えば、45度ずれている。但し、第1の補強リブ14、14、・・・の周方向における位置と第2の補強リブ17、17、・・・の周方向における位置との間での角度のずれは45度に限られることはなく、任意である。
【0033】
ケース体5には係止片19、19が左右に離隔して設けられている(
図4参照)。係止片19は底面ベース7から前方に突出され、底面ベース7に対して略上下方向へ弾性変形可能にされ、先端部に係止爪19aを有している。
【0034】
カバー体6は上下方向を向き横長のカバーベース20とカバーベース20の前端部から下方に突出されたフロントベース21とカバーベース20の左右両端部からそれぞれ下方に突出されたサイドベース22、22とを有している(
図2及び
図3参照)。サイドベース22、22の前端部はそれぞれカバーベース20の左右両端部に連続されている。
【0035】
カバーベース20には、左右方向における中央部にネジ挿通孔20aが形成され、前半部に放熱孔20b、20b、・・・が左右に離隔して形成されている。
【0036】
フロントベース21には係止孔21a、21aが左右に離隔して形成されている。フロントベース21の左右方向における中央部には挿通孔21bが形成されている。
【0037】
カバーレンズ3は横長の略矩形状に形成された光透過部23と光透過部23の左右両端部からそれぞれ前方に突出された結合面部24、24とを有している。光透過部23には、例えば、拡散機能を有するレンズステップ24a、24a、・・・が形成されている。結合面部24には係合孔24aが形成されている。結合面部24、24は光透過部23に対して略左右方向へ弾性変形可能にされている。
【0038】
灯具外筐4の内部には第1の配置空間5aに第1の放熱板25が配置される。第1の放熱板25は放熱性の高い金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、前後方向を向く横長の配置面部26と配置面部26の上縁から前方に折り曲げられた上面部27、27、・・・と配置面部26の下縁から前方に折り曲げられた下面部28、28、・・・とから成る。上面部27、27、・・・と下面部28、28は上下で対向して位置されている。配置面部26には第1の挿通孔26a、26a、26aが左右に離隔して形成されている。
【0039】
灯具外筐4の内部には第2の配置空間5bに第2の放熱板29が配置される。第2の放熱板29は放熱性の高い金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、前後方向を向く横長の配置面部30と配置面部30の上縁から後方に折り曲げられた上面部31、31と配置面部30の下縁から後方に折り曲げられた下面部32、32とから成る。上面部31、31、・・・と下面部32、32は上下で対向して位置されている。配置面部30には第2の挿通孔30a、30a、30aが左右に離隔して形成されている。
【0040】
灯具外筐4の内部には配線板33が配置される。配線板33は光源基板34と制御基板35と接続基板36によって構成され、光源基板34と制御基板35が接続基板36によって接続されている。配線板33は、例えば、一つのフレキシブルプリント配線板であり、光源基板34と制御基板35と接続基板36はフレキシブルプリント配線板の各一部として設けられている。光源基板34と制御基板35は略同じ大きさの横長の略矩形状に形成され、長手方向における一端部同士が接続基板36によって接続されている。
【0041】
光源基板34には第1の取付孔34a、34a、34aが左右に離隔して形成されている。光源基板34の後面には光源37、37、・・・が左右に離隔して搭載されている。光源37としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。
【0042】
制御基板35には第2の取付孔35a、35a、35aが左右に離隔して形成されている。制御基板35の前面には図示しない複数の電子部品が左右に離隔して搭載されている。制御基板35の前面には給電用のコネクター38が接続されている。
【0043】
以下に、上記のように構成された車輌用灯具1の組立手順について説明する。
【0044】
先ず、第1の放熱板25の第1の挿通孔26a、26a、26aにそれぞれケース体5における第1の取付部11、11、11の第1のカシメピン15、15、15が挿通され、第2の放熱板29の第2の挿通孔30a、30a、30aにそれぞれケース体5における第2の取付部12、12、12の第2のカシメピン18、18、18が挿通され、第1の放熱板25と第2の放熱板29がそれぞれ第1の取付部11、11、11と第2の取付部12、12、12に支持される。
【0045】
次に、光源基板34の第1の取付孔34a、34a、34aにそれぞれ第1の取付部11、11、11の第1のカシメピン15、15、15が挿通され、制御基板35の第2の取付孔35a、35a、35aにそれぞれ第2の取付部12、12、12の第2のカシメピン18、18、18が挿通され、光源基板34と制御基板35がそれぞれ第1の取付部11、11、11と第2の取付部12、12、12に支持される。
【0046】
尚、光源基板34が予め熱伝導性を有する接着剤によって第1の放熱板25の配置面部26に接着され、制御基板35が予め熱伝導性を有する接着剤によって第2の放熱板29の配置面部30に接着されていてもよい。この場合には、第1の挿通孔26a、26a、26aと第1の取付孔34a、34a、34aにそれぞれ第1のカシメピン15、15、15が挿通され、第2の挿通孔30a、30a、30aと第2の取付孔35a、35a、35aにそれぞれ第2のカシメピン18、18、18が挿通されることにより、第1の放熱板25と光源基板34が第1の取付部11、11、11に支持され、第2の放熱板29と制御基板35が第2の取付部12、12、12に支持される。
【0047】
このように光源基板34と制御基板35が予め第1の放熱板25と第2の放熱板29に接着されることにより、光源基板34と第1の放熱板25を第1の取付部11、11、11に同時に支持させることが可能になると共に制御基板35と第2の放熱板29を第2の取付部12、12、12に同時に支持させることが可能になる。従って、車輌用灯具1の組立作業における作業時間の短縮化及び作業工程の低減を図ることができる。
【0048】
第1の放熱板25と光源基板34が第1の取付部11、11、11に支持されると共に第2の放熱板29と制御基板35が第2の取付部12、12、12に支持された状態においては、接続基板36が仕切面部10と他方の側面部9との間に形成された第3の配置空間5cに挿入されて配置される。
【0049】
熱カシメは第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60によって行われる。第1のカシメ治具50によって第1の取付部11の第1のカシメピン15に対して加熱及び加圧が行われ、第1のカシメピン15の先端部が変形されることにより第1の放熱板25と光源基板34が第1の取付部11に取り付けられる。また、第2のカシメ治具60によって第2の取付部12の第2のカシメピン18に対して加熱及び加圧が行われ、第2のカシメピン18の先端部が変形されることにより第2の放熱板29と制御基板35が第2の取付部12に取り付けられる。
【0050】
このとき、第1のカシメ治具50によって第1のカシメピン15が加圧され、第2のカシメ治具60によって第2のカシメピン18が加圧されるが、第1の取付部11と第2の取付部12が同一直線上に位置されているため、第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60を同時に用いることにより、第2のカシメ治具60が第1のカシメ治具50の加圧に対する受け治具として機能すると共に第1のカシメ治具50が第2のカシメ治具60の加圧に対する受け治具として機能する。従って、第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60により第1のカシメピン15と第2のカシメピン18に対してそれぞれ適正な圧力が付与されると共に専用の受け治具を用いることなく熱カシメを行うことが可能になる。
【0051】
第1の放熱板25と光源基板34が第1の取付部11、11、11に取り付けられると共に第2の放熱板29と制御基板35が第2の取付部12、12、12に取り付けられた状態においては、制御基板35に接続されているコネクター38がフロントベース21の挿通孔21bに対応して位置される。また、第1の放熱板25と光源基板34は第1の配置空間5aに配置され、第2の放熱板29と制御基板35は第2の配置空間5bに配置され、第1の放熱板25及び光源基板34と第2の放熱板29及び制御基板35とは取付ベース8を挟んで反対側に位置される。
【0052】
次いで、ケース体5の係止片19、19の係止爪19a、19aがそれぞれカバー体6の係止孔21a、21aの開口縁に係止されてケース体5とカバー体6が結合され、ランプハウジング2が構成される。ケース体5とカバー体6は取付ネジ70がカバーベース20のネジ挿通孔20aに挿通され取付ベース8の螺合部8aに螺合されることにより固定される(
図1参照)。
【0053】
続いて、カバーレンズ3の結合面部24、24にそれぞれ形成された係合孔24a、24aの開口縁にそれぞれケース体5の側面部9、9にそれぞれ設けられた係合突部9a、9aが係合されることにより、カバーレンズ3がランプハウジング2に結合され、車輌用灯具1の組立が完了する。
【0054】
尚、車輌用灯具1においては、ケース体5とカバー体6が結合される前に、先に、カバーレンズ3がケース体5に結合され、次に、ケース体5とカバー体6が結合されて車輌用灯具1の組立が完了されてもよい。
【0055】
上記のように車輌用灯具1が組み立てられ車輌用灯具1が車体に取り付けられた状態において、フロントベース21の挿入孔21aを介してコネクター38に電源ケーブルが接続される。図示しない電源回路から電源ケーブルとコネクター38を介して配線板33に駆動電流が供給されると、光源37、37、・・・から光が出射可能な状態にされる。
【0056】
光源37、37、・・・は制御基板35によって点消灯制御され、光源37、37、・・・から光が出射されると、出射された光がカバーレンズ3を透過して後方へ向けて照射される。このとき、カバーレンズ3のレンズステップ24a、24a、・・・によって光が拡散されて光が照射される。
【0057】
光源37、37の駆動時には、光源基板34や光源37、37、・・・や制御基板35から熱が発生する。光源基板34と光源37、37、・・・に発生した熱は第1の放熱板25に伝達されて第1の放熱板25から放出され、制御基板35に発生した熱は第2の放熱板29に伝達されて第2の放熱板29から放出される。第1の放熱板25と第2の放熱板29から放出された熱は、ランプハウジング2のカバーベース20に形成された放熱孔20b、20b、・・・からランプハウジング2の外部に放出される。
【0058】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、ランプハウジング2に取付ベース8から反対方向に突出され光源基板34と制御基板35がそれぞれ熱カシメにより取り付けられる第1の取付部11と第2の取付部12が設けられ、第1の取付部11と第2の取付部12が同一直線上に位置されている。
【0059】
従って、取付ベース8から反対方向に突出され同一直線上に位置された第1の取付部11と第2の取付部12に対してそれぞれ第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60を反対方向から同時に押し当てて光源基板11と制御基板12を取付ベース8に取り付けることが可能になる。これにより、光源基板34と制御基板35を熱カシメによってランプハウジング2に取り付ける取付工程における作業時間が短縮され、取付工程における作業性の向上を図ることができる。
【0060】
また、第1の取付部11は取付ベース8に連続する第1のベース突部13と第1のベース突部13の先端面から突出された第1のカシメピン15とを有し、第2の取付部12は取付ベース8に連続する第2のベース突部16と第2のベース突部16の先端面から突出された第2のカシメピン18とを有し、第1の取付部11に第1のベース突部13の外周面から突出された第1の補強リブ14が設けられ、第2の取付部12に第2のベース突部16の外周面から突出された第2の補強リブ17が設けられている。
【0061】
従って、第1のベース突部13と第2のベース突部16の強度がそれぞれ第1の補強リブ14と第2の補強リブ17によって高くされるため、第1のカシメピン15と第2のカシメピン18にそれぞれ第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60が押し当てられて熱カシメが行われるときに第1の取付部11と第2の取付部12が変形し難い。これにより、第1の取付部11と第2の取付部12に対する光源基板34と制御基板35の安定した取付状態を確保することができる。
【0062】
さらに、ランプハウジング2が樹脂材料によって形成され、第1の補強リブ14と第2の補強リブ17がそれぞれ周方向に離隔して複数設けられ、第1の補強リブ14の周方向における位置と第2の補強リブ17の周方向における位置とが異なる位置にされている。
【0063】
従って、ランプハウジング2の成形時における取付ベース8に生じるヒケの発生が抑制されるため、ランプハウジング2の成形精度の向上を図ることができると共にランプハウジング2に対する光源37、37、・・・の位置精度の向上により適正な配光状態を確保することができる。
【0064】
さらにまた、第1のカシメピン15が挿通される第1の挿通孔26aを有し光源基板34に接した状態で第1の取付部11に取り付けられる第1の放熱板25と、第2のカシメピン18が挿通される第2の挿通孔30aを有し制御基板35に接した状態で第2の取付部12に取り付けられる第2の放熱板29とが設けられている。
【0065】
従って、第1のカシメピン15に第1のカシメ治具50が押し当てられて熱カシメが行われるときに光源基板34に加えて第1の放熱板25が同時に第1の取付部11に取り付けられ、第2のカシメピン18に第2のカシメ治具60が押し当てられて熱カシメが行われるときに制御基板35に加えて第2の放熱板29が同時に第2の取付部12に取り付けられる。これにより、光源基板34及び制御基板35の取付作業と第1の放熱板25及び第2の放熱板29の取付作業とを各別に行う必要がなく、取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0066】
加えて、第1の放熱板25と第2の放熱板29が取付ベース8を挟んで反対側に位置されている。
【0067】
従って、制御基板35の点消灯制御による光源37、37、・・・の駆動時に第1の放熱板25と第2の放熱板29から放出される熱が取付ベース8によって仕切られて互いに光源37、37、・・・と制御基板35の駆動状態に影響し難いため、光源37、37、・・・の安定した駆動状態を確保することができる。
【0068】
尚、車輌用灯具1の上記した組立作業においては、第1の取付部11と第2の取付部12の数と同数の第1のカシメ治具50と第2のカシメ治具60を用いてもよい。例えば、上記のように三つずつの第1の取付部11、11、11と第2の取付部12、12、12が設けられている場合には、三つずつの第1のカシメ治具50、50、50と第2のカシメ治具60、60、60を用い、第1の取付部11、11、11と第2の取付部12、12、12に対してそれぞれ第1のカシメ治具50、50、50と第2のカシメ治具60、60、60によって同時に加熱及び加圧を行う。
【0069】
このような作業を行うことにより、光源基板34と制御基板35を熱カシメによってランプハウジング2に取り付ける取付工程における作業時間が大幅に短縮され、取付工程における一層の作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、8…取付ベース、11…第1の取付部、12…第2の取付部、13…第1のベース突部、14…第1の補強リブ、15…第1のカシメピン、16…第2のベース突部、17…第2の補強リブ、18…第2のカシメピン、25…第1の放熱板、26a…第1の挿通孔、29…第2の放熱板、30a…第2の挿通孔、34…光源基板、35…制御基板、37…光源