(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】詰め替え容器用の内容物取出装置及びそれを含む詰め替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231005BHJP
B65D 33/36 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D33/36
(21)【出願番号】P 2023068348
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522137644
【氏名又は名称】株式会社サイトー
(73)【特許権者】
【識別番号】520214639
【氏名又は名称】株式会社ユメミグサ
(74)【代理人】
【識別番号】110003890
【氏名又は名称】弁理士法人SIPPs
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修男
(72)【発明者】
【氏名】陳 亜洲
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-347867(JP,A)
【文献】特開2018-100125(JP,A)
【文献】特開2017-137120(JP,A)
【文献】特開2020-019542(JP,A)
【文献】登録実用新案第3221629(JP,U)
【文献】特開2005-350107(JP,A)
【文献】特開2021-181320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 30/00-33/38
B65D 83/76
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
詰め替え容器(20)を順方向に使用するための内容物取出装置(10)であって、
前記詰め替え容器(20)の開口部(21)に前記内容物取出装置(10)を取り付けるための取付部(11)、
前記詰め替え容器(20)の開口部(21)から内容物を取り出すためのストロー管(12c)を有する内容物取出部(12)、
前記内容物取出部(12)と流通しており、かつ内容物を貯留可能なシリンジ部(13)、
前記シリンジ部(13)内を往復可能で、かつ外部から操作可能なピストン部(14)、
前記ピストン部(14)が前記シリンジ部(13)内を往復運動すると内容物が吐出されるノズル(16)、及び
前記ピストン部(14)を片手操作するためのフランジ(17)
を有
し、
前記取付部(11)は、ハンドル部分(11a)を有しており、前記ハンドル部分(11a)を開いて、詰め替え容器(20)の開口部(21)に内容物取出装置(10)を装着可能にし、前記ハンドル部分(11a)を閉じて、詰め替え容器(20)の開口部(21)に内容物取出装置(10)装着する、
内容物取出装置(10)。
【請求項2】
前記フランジの指を掛ける幅(17a)が、5mm~30mmの範囲である、請求項1に記載の内容物取出装置(10)。
【請求項3】
前記詰め替え容器(20)に取り付けした状態で、前記シリンジ部(13)が前記詰め替え容器(20)の外側に位置する、請求項1に記載の内容物取出装置(10)。
【請求項4】
前記詰め替え容器(20)内に挿入される前記ストロー管(12c)の長さが5.0cm以上である、請求項1に記載の内容物取出装置(10)。
【請求項5】
前記ピストン部(14)が前記シリンジ部(13)内を往復運動することで内容物を前記ノズル(16)へと流通可能する第1の弁(15)、及び
前記内容物取出部(12)と
前記シリンジ部(13)との間に位置する第2の弁(18)
を有する、請求項1に記載の内容物取出装置(10)。
【請求項6】
前記取付部(11)及び前記内容物取出部(12)を含む内容物取出部分(A)と
、前記シリンジ部(13)、前記ピストン部(14)、及び前記ノズル(16)を含む内容物吐出部分(B)とに分離可能であり、内容物取出部分(A)と内容物吐出部分(B)との間にOリング(12b)を有する、請求項1に記載の内容物取出装置(10)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の内容物取出装置(10)と、内容物を含む詰め替え容器(20)とを具備する、内容物取出装置付き詰め替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー等の詰め替え容器をそのまま使用するために用いられる、詰め替え容器用の内容物取出装置及びそれを含む詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディーソープ等は、専用の容器に充填されて販売されているだけではなく、その専用の容器に内容物を詰め替えるためのパウチ状の詰め替え容器にも充填されて販売されている。
【0003】
近年、内容物入りの詰め替え容器を浴室のタオル掛け等にぶら下げて使用するための用具が販売されている。例えば、特許文献1では、容器を逆さまにぶら下げる保持部材と、容器の取り出し口に取り付けられるポンプとを具備した詰め替え容器用の内容物取出装置が開示されている。
【0004】
また、ストロー及びポンプが付いてある容器又は外枠に、詰め替え容器を容器ごと入れて、パウチの開口にストロー管を差すことで、順方向でそのまま使う内容物取出装置が販売されている。
【0005】
これらの内容物取出装置は、様々な種類の詰め替え容器をそのまま使用することができる点で便利であり、またプラスチック量の削減にも寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の内容物取出装置は、逆さまにぶら下げて使用されても、内容物が垂れてくることもなく一定量の内容物を取り出すことができるため、ぶら下げて使用するのに非常に有用である。しかし、特許文献1の内容物取出装置は、構造が複雑であり、これを製造するためには専用の金型が多数必要になる。
【0008】
順方向でそのまま使う上記の内容物取出装置では、容器部分又は外枠部分が必要になるため、プラスチック量の削減効果は限定的である。
【0009】
そこで、本発明は、非常に簡易な構成で、プラスチック量の削減にも寄与することができ、一定量の内容物を取り出すことができる内容物取出装置及びそれを含む詰め替え容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
詰め替え容器(20)を順方向に使用するための内容物取出装置(10)であって、
前記詰め替え容器(20)の開口部(21)に前記内容物取出装置(10)を取り付けるための取付部(11)、
前記詰め替え容器(20)の開口部(21)から内容物を取り出すためのストロー管(12c)を有する内容物取出部(12)、
前記内容物取出部(12)と流通しており、かつ内容物を貯留可能なシリンジ部(13)、
前記シリンジ部(13)内を往復可能で、かつ外部から操作可能なピストン部(14)、
前記ピストン部(14)が前記シリンジ部(13)内を往復運動すると内容物が吐出されるノズル(16)、及び
前記ピストン部(14)を片手操作するためのフランジ(17)
を有する、内容物取出装置(10)。
《態様2》
前記フランジの指を掛ける幅(17a)が、5mm~30mmの範囲である、態様1に記載の内容物取出装置(10)。
《態様3》
前記詰め替え容器(20)に取り付けした状態で、前記シリンジ部(13)が前記詰め替え容器(20)の外側に位置する、態様1に記載の内容物取出装置(10)。
《態様4》
前記ストロー管(12c)の長さが5.0cm以上である、態様1に記載の内容物取出装置(10)。
《態様5》
前記ピストン部(14)が前記シリンジ部(13)内を往復運動することで内容物を前記ノズル(16)へと流通可能する第1の弁(15)、及び
前記内容物取出部(12)と前期シリンジ部(13)との間に位置する第2の弁(18)
を有する、態様1に記載の内容物取出装置(10)。
《態様6》
内容物取出部分(A)と内容物吐出部分(B)とに分離可能であり、内容物取出部分(A)と内容物吐出部分(B)との間にOリング(12b)を有する、態様1に記載の内容物取出装置(10)。
《態様7》
態様1~6のいずれか一項に記載の内容物取出装置(10)と、内容物を含む詰め替え容器(20)とを具備する、内容物取出装置付き詰め替え容器。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非常に簡易な構成で、プラスチック量の削減にも寄与することができ、一定量の内容物を取り出すことができる内容物取出装置及びそれを含む詰め替え容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、内容物取出装置が順方向に装着された詰め替え容器の、使用されている状態の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図2】
図2は、内容物取出装置を詰め替え容器の開口部に取り付けようとしている状態の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、内容物取出装置を片手操作する場合の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図4】
図4は、内容物取出装置を詰め替え容器の開口部に取り付けるための取付部の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図5】
図5は、ストロー管を省略した内容物取出装置の内部構造の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、内容物取出装置のピストン部及び第1の弁の1つの実施形態を示す概略図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態の詰め替え容器に取り付けられている内容物取出装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を以下の実施形態を例として具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。したがって、各図面の実施形態について詳細に述べている各構成については、本発明の1つの実施形態であり、特許請求の範囲に含まれる範囲において、様々な構成となることができる。各実施形態は、当業者が通常の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、各実施形態について特記していない構成については、他の実施形態と同じ構成又はその実施形態に適した構成を有することができる。
【0014】
本明細書において、順方向に使用するとは、内容物取出装置の内容物取出部を地面方向に向けて、かつノズルを天井方向に向けた状態で内容物取出装置を使用することをいう。また、本明細書において、上方向とは、天井方向をいい、下方向とは、地面方向をいう。
【0015】
図1は、内容物取出装置10が順方向に使用されている状態の詰め替え容器20の1つの実施形態を示している。
図1に示す詰め替え容器20は、パウチ状容器であり、このような容器は、底部にマチ部23が形成されており、これにより店舗で自立させて販売できるようになっている。内容物取出装置10を詰め替え容器20に取り付けて使用する場合にも、詰め替え容器20をマチ部23によって浴室等で自立させることができる。
【0016】
このように、本発明の内容物取出装置10は、詰め替え容器20を自立させて用いる。詰め替え容器20の内容物が減ってきて自立しなくなった場合には、詰め替え容器20を横に寝かせて用いることもでき、詰め替え容器20を壁に固定して用いることもでき、またぶら下げ用フックでぶら下げて用いてもよい。詰め替え容器20を壁に固定して用いる場合には、詰め替え容器20又は内容物取出装置10を支持するフック等の支持部と、支持部と連結している壁に固定できる吸盤等の固定部とを有する固定具を用いることができる。内容物取出装置10は、固定具の支持部に支持できるようにフック等の支持部の係止部を有していてもよい。
【0017】
ぶら下げて用いる場合、マチ部23を有する詰め替え容器20は、通常、側部において未シール部が存在しておりその未シール部を通じて、S字フック等のぶら下げ用フックを取り付けることができる。ぶら下げ用フックを浴室のタオル掛け等の取り付け位置に取り付けることによって、内容物取出装置10が装着された詰め替え容器20を、ぶら下げて使用することが出来る。本発明者らは、内容物取出装置10を、ぶら下げて逆さにした状態で使用しても液漏れ等を発生させずに問題なく使用できることを見出した。
【0018】
このように本発明の内容物取出装置10には、詰め替え容器20の自立を支援し、また上からピストンを押して内容物を吐出できるようにするための従来技術で用いられていたような外枠を用いる必要がない。
【0019】
内容物取出装置10は、
図1に示すように、非常に簡易な構成でありながら片手操作することができる。
図1に示すように、他の指でフランジ17を抑えながら親指でピストン部14を押すことができる。
【0020】
図2は、内容物取出装置10を詰め替え容器20の通常の開口部21に取り付けようとしている状態を示す概略図である。
図3は、
図2の詰め替え容器20の通常の開口部ではなく、詰め替え容器20の一部を切り取って開口部21を形成し、そこに内容物取出装置10を取り付けようとしている状態を示す概略図である。
図4は、内容物取出装置10を詰め替え容器20の開口部21に取り付けるための取付部11の1つの実施形態を示す概略図であり、
図4(a)は、取付部11を開いて、詰め替え容器20の開口部21に内容物取出装置10を装着可能にした状態を示しており、
図4(b)は、取付部11を閉じて、詰め替え容器20の開口部21に内容物取出装置10を装着した時の状態を示している。
【0021】
詰め替え容器20の開口部21には、内容物取出装置10の取付部11を使って内容物取出部12を装着させることができる。パウチ状の詰め替え容器20は、開口部21が切り取りシール部22によってシールされて店舗において通常は販売されており、切り取りシール部22を切り取って開口部21を露出させた後に、詰め替え容器20の開口部21に内容物取出装置10を装着させることができる。
【0022】
一方で、
図3に示すように、切り取りシール部22を有する詰め替え容器20について、切り取りシール部22以外の場所に開口部21を形成して、内容物取出装置10を装着することもできる。
図2に示すように切り取りシール部22を切り取って開口部21を露出させると、その開口部21付近には、エンボス加工等がされて内容物を流出させやすくなっている場合がある。この場合、エンボス加工がされた開口部21には、取付部11が取り付けにくいことがある。そこで、
図3においては、詰め替え容器20上部の切り取りシール部22がない端部を、ハサミ等で切断して、その切断部を内容物取出装置10を取り付けるための開口部21としている。また、
図1のように、詰め替え容器20が切り取りシール部22を有しておらず、キャップ付きの開口を有している場合にも、端部をハサミ等で切断して、その切断部を内容物取出装置10を取り付けるための開口部21とすることができる。なお、
図7に記載した実施形態のように、取付部11がキャップ付きの開口に適合されている場合には、そこに内容物取出装置10が装着されていてもよい。
【0023】
ここで、
図2及び
図4(a)に示すように、取付部11のハンドル部分11aを開くと、取付部11と、内容物取出部12との間に隙間ができる。切り取りシール部22を切り取って露出させた開口部21は2枚のフィルムで形成されるが、ストロー管12cを有する内容物取出部12を開口部21に挿入させた状態で
図4(b)に示すように取付部11のハンドル部分11aを閉じることで、一方の取付部11と内容物取出部12との間で一枚のフィルムを挟持し、他方の取付部11と内容物取出部12との間でもう一枚のフィルムを挟持することができる。これによって、内容物が漏出しないようにして、詰め替え容器20の開口部21に内容物取出装置10を装着することができる。
【0024】
内容物取出部12は、ここでは開口部21に挿入可能な管の形態であり、その管にさらにストロー管12cが別部品として接続されている。ただし、内容物取出部12は、ストロー管12cと一体の部品であってもよい。
【0025】
なお、内容物取出装置10が装着された詰め替え容器20をぶら下げて使用する場合には、別部品であるストロー管12cを内容物取出部12から取り外して使用することができる。すなわち、内容物取出装置10は、詰め替え容器をぶら下げて使用するための内容物取出装置でもあり、この場合には、内容物取出部12はストロー管12cを有していない。
【0026】
ストロー管12cが別部品である場合に、ストロー管12cを除いた状態の内容物取出部12の開口部21内に挿入される管の長さは、3.0cm以下、2.0cm以下、又は1.0cm以下とすることができる。ただし、ストロー管12cが別部品である場合に、ストロー管12cを除いた状態の内容物取出部12は、開口部21内に挿入される必要はなく、ストロー管12cのみが開口部21内に挿入されていてもよい。詰め替え容器20内に挿入されるストロー管12cの長さは、例えば、3.0cm以上、5.0cm以上、7.0cm以上、又は10.0cm以上であってもよい。ストロー管の長さが適切なことによって、詰め替え容器20を使用し続けた際に、内容物を使い切ることが可能になる。
【0027】
内容物取出装置10のピストン部14が押し込まれた状態から初期位置に戻ると、内容物取出装置10のシリンジ部13の内部が減圧状態になり、開口部21からシリンジ部13内にストロー管12cを有する内容物取出部12を通じて内容物を流入させることができる。
【0028】
内容物取出装置10は、
図4(a)に示すように、フランジ17を有することができる。このようなフランジ17が存在することによって、
図1及び
図3に示すように、ピストン部14を片手操作することができる。したがって、例えば、フランジ17は、フランジ17を人差し指と中指とで支えながら、内容物取出装置10のピストン部を操作する部分を親指で押すことができるような位置に存在していることが好ましい。フランジ17は、容器との取付部11とは別の部分であり、片手操作を可能とするために構成された部分である。ただし、フランジ17は、片手操作できるように構成されていれば特にその位置及び形状について限定されるものではない。
【0029】
フランジ17の指を掛ける幅Lは、例えば3mm以上、5mm以上、8mm以上、10mm以上又は15mm以上であってもよく、50mm以下、30mm以下、20mm以下、又は15mm以下の範囲であってもよい。この幅Lは、常に一定の幅である必要はなく、フランジ17の一部で指を掛けるのに十分は幅がなかったとしても、指を掛けることができる部分が一部でもあればその幅とすることができる。
【0030】
図5は、内容物取出装置10の内部構造の1つの実施形態を示す概略図であり、これらの図面では、ストロー管12cは省略されている。
図5(a)は、取付部11、内容物取出部12等を含む内容物取出部分Aと、シリンジ部13、ピストン部14、ノズル16等を含む内容物吐出部分Bとを分離した状態を示しており、
図5(b)は、内容物吐出部分Bにおいて、ピストン部14が初期位置にある状態を示しており、
図5(c)は、内容物吐出部分Bにおいて、ピストン部14を押し込んだ状態を示している。
【0031】
この実施形態においては、内容物取出装置10は、内容物取出部分Aと内容物吐出部分Bとを分離可能であってもよい。
【0032】
内容物吐出部分Bについては、市販されているシャンプー用等のポンプの一部の構造をそのまま用いることができる。このようなポンプは、大量生産されているため、非常に低コストで内容物吐出部分Bを製造することが可能である。従来技術のぶら下げて使用する内容物取出装置は、ぶら下げて使用した際に内容物を漏出させることなく吐出可能とするために、内容物を吐出させる部分の形状が非常に複雑であり、そこに多くのコストがかかっていたが、本発明の内容物取出装置10においては、内容物吐出部分Bを非常に低コストにできるため有利である。ただし、このような有利な効果が得られるのであれば、内容物取出部分Aと内容物吐出部分Bとは、分離可能でなくてもよい。
【0033】
図5に示すような実施形態において、内容物取出部分Aと内容物吐出部分Bとは、内容物取出部分Aから取り出された内容物が途中で漏出することなく内容物吐出部分Bに流通可能になっている。
【0034】
図5(b)に示すように、内容物吐出部分Bは、内容物取出部分Aの内容物取出部12と流通している内容物流通部12aを有することができ、内容物流通部12aは、シリンジ部13の内部に内容物を流通させることができる。
【0035】
本発明者らは、内容物の粘度によっては、内容物取出部12の内周側と内容物流通部12aの外周側との間から液漏れが発生する場合があることを発見した。内容物取出部12の内周側と内容物流通部12aの外周側とでの隙間を実質的に存在させないように成形することは可能であるが、成形精度の問題等によって液漏れが発生することも考えられ、内容物が滲み出てくることがある。したがって、このような内容物のために内容物取出装置10を用いる場合には、容物取出部12の内周側と内容物流通部12aの外周側との間にOリング(12b)を取り付けることが好ましい。
【0036】
シリンジ部13には、内容物流通部12aから流通してきた内容物が貯留可能となっており、ピストン部14を往復運動させた際に、シリンジ部13内の内容物の実質的に全量が第1の弁15を通ってノズル16から吐出されることが好ましい。したがって、シリンジ部13内の容積は、ピストン部14の一度の往復運動によって吐出したい内容物の体積と同じとすることができる。
【0037】
図4(b)に示すように、内容物取出装置10のピストン部14は、ガスケット14aを有しており、ガスケット14aによって、ピストン部14を押し込んだ際に、シリンジ部13に貯留されている内容物を、シリンジ部13の上側に漏出させることなく、下方向に押し出すことができる。すなわち、ガスケット14aは、第1の弁15を通過して上側方向に流通する内容物以外を、下方向に押し出すことができる。
【0038】
また、
図5(b)に示すように、内容物取出装置10のピストン部14は、プランジャ14bを有しており、プランジャ14bを上下方向に運動させることによってピストン部14の全体がシリンジ部13内を往復運動可能になっている。プランジャ14bは、親指で押すことができる内容物取出装置10の最上部の平坦面14cを押すことによって下方向に動かすことができる。
【0039】
ピストン部14は、
図5(b)に示す初期位置では最も上側にあり、
図5(c)に示す押し込んだ状態では下側に移動するが、押し込んだ状態は、バネ(図示せず)等によって初期位置にすぐに戻ることができる。このようなバネは、市販のシャンプー用等のポンプで通常用いられている構成であり、本発明の内容物取出装置10においてもそのまま用いることができる。
【0040】
内容物吐出部分Bの内容物流通部12aは、第2の弁18を有していることができ、これによりピストン部14によってシリンジ部13内から押し出された内容物の内容物取出部分Aへの逆流を防ぐことができる。しかし、シリンジ部13内の内容物の多くが、第1の弁15からノズル16へと流通するため、第2の弁18がなかったとしても内容物取出部分Aに逆流する内容物はそれほど多くなく、第2の弁18は、存在していなくてもよい。
【0041】
第2の弁18は、
図5(c)に示すようにボール状の弁体とそのための弁座であることができる。このようなボール状の弁体及びそのための弁座は、市販のシャンプー用等のポンプで用いられている場合があり、本発明の内容物取出装置10においてもそのまま用いることができる。
【0042】
図6は、内容物取出装置のピストン部14及び第1の弁15の1つの実施形態を示す概略図であり、
図6(a)は、ピストン部14の初期位置の状態を示しており、第1の弁15は閉じている状態を示しており、
図6(b)は、ピストン部14が押し込まれた位置の状態を示しており、第1の弁15が開いている状態を示している。
【0043】
この実施形態では、ピストン部14内にノズル16まで内容物が流通する内部流路19が存在している。その内部流路19は、ガスケット14aの下部に通じており、ピストン部14の初期位置の状態では、第1の弁15によって閉じられている。ピストン部14が押し込まれると、ガスケット14aは下方向に移動するが、第1の弁15は、ガスケット14aの下方向の移動量よりも大きい移動量で下方向に移動するように構成されており、それによりガスケット14aの下部と、第1の弁15との間に隙間が生じて、シリンジ内の内容物が内部流路19に流通できるようになる。したがって、この場合、正確には、ガスケット14aの下部が弁座を構成し、第1の弁15が弁体を構成している。このような弁体及び弁座は、市販のシャンプー用等のポンプで用いられている場合があり、本発明の内容物取出装置10においてもそのまま用いることができる。
【0044】
内部流路19には、内容物をノズルから吐出する際に泡状又は霧状に吐出できるような構成となっていてもよい。例えば、内部流路19は、泡状に内容物を吐出できるようなメッシュが存在していてもよく、また霧状に内容物を吐出できるようにエアを取り込んだりする周知の構成を有していてもよい。
【0045】
図7は、他の実施形態の詰め替え容器20に取り付けられている内容物取出装置10を示している。この実施形態の詰め替え容器20は、開口部21が幅方向の中心部に存在している。
【0046】
このような詰め替え容器20は、開口部21にキャップが装着されて店舗において通常は販売されている。このような詰め替え容器20の開口部21に内容物取出装置10を装着する場合には、内容物取出装置10の取付部11は、キャップの代わりに装着できるようになっていればよく、
図3及び
図4に示すような実施形態と比較して、大幅な簡素化ができるため好ましい。
【符号の説明】
【0047】
10:内容物取出装置
11:取付部
11a:ハンドル部分
12:内容物取出部
12a:内容物流通部
12b:Oリング
13:シリンジ部
14:ピストン部
14a:ガスケット
14b:プランジャ
14c:平坦部
15:第1の弁
16:ノズル
17:フランジ
18:第2の弁
19:内部流路
20:詰め替え容器
21:開口部
22:切り取りシール部
23:底マチ部
30:ぶら下げ用フック
40:取り付け位置
A:内容物取出部分
B:内容物吐出部分
L:フランジの指を掛ける幅
【要約】
【課題】 本発明は、非常に簡易な構成で、プラスチック量の削減にも寄与することができ、一定量の内容物を取り出すことができる内容物取出装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、詰め替え容器(20)を順方向に使用するための内容物取出装置(10)であって、前記詰め替え容器(20)の開口部(21)に前記内容物取出装置(10)を取り付けるための取付部(11)、前記詰め替え容器(20)の開口部(21)から内容物を取り出すためのストロー管(12c)を有する内容物取出部(12)、前記内容物取出部(12)と流通しており、かつ内容物を貯留可能なシリンジ部(13)、前記シリンジ部(13)内を往復可能で、かつ外部から操作可能なピストン部(14)、前記ピストン部(14)が前記シリンジ部(13)内を往復運動すると内容物が吐出されるノズル(16)、及び 前記ピストン部(14)を片手操作するためのフランジ(17)を有する、内容物取出装置(10)に関する。
【選択図】
図2