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特許7360676振動検出装置およびモーショナルフィードバック音響再生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】振動検出装置およびモーショナルフィードバック音響再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H04R3/04 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020044858
(22)【出願日】2020-03-15
(65)【公開番号】P2021150654
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】519274840
【氏名又は名称】足立 静雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】足立 静雄
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068147(JP,A)
【文献】特開2008-312088(JP,A)
【文献】実開昭54-096231(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00-3/14
H04R 9/00-9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光素子と、
前記発光素子の光と外部の光とを受光する第1の受光素子と、
前記外部の光のみを受光する第2の受光素子と、
音響再生部において音を発生させる振動部の動きに応じて移動し、当該振動部の動きに応じて前記第1の受光素子によって受光される前記発光素子の光の受光量を変化させる振動部材と、
前記第1の受光素子の受光量と前記第2の受光素子の受光量との差分に応じた再生信号を出力する信号検出部と、
を備える振動検出装置。
【請求項2】
前記第1の受光素子の出力の大きさと前記第2の受光素子の出力の大きさとを調整することができる受光量補正部を有する請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項3】
前記振動部材が、スリットを有し、
前記第1の受光素子が、前記スリットを通過した前記発光素子の光を受光する、
請求項1または2に記載の振動検出装置。
【請求項4】
前記振動部材が、前記スリットを側面に有する中空の円柱または円筒であり、
前記発光素子が、前記振動部材の内部に配置されており、
前記第1の受光素子と前記第2の受光素子が前記振動部材の外部に配置されている、
請求項3に記載の振動検出装置。
【請求項5】
光を発する発光素子であって、音響再生部において音を発生させる振動部の動きに応じて移動する当該発光素子と、
前記発光素子の光と外部の光とを受光する第1の受光素子であって、前記音響再生部に含まれる振動部の動きに応じて移動する当該第1の受光素子と、
前記外部の光のみを受光する第2の受光素子であって、前記音響再生部に含まれる振動部の動きに応じて移動する当該第2の受光素子と、
前記第1の受光素子が受光する前記発光素子の光の受光量を前記振動部の動きに応じて変化させるように配置された固定部材と、
前記第1の受光素子の受光量と前記第2の受光素子の受光量との差分に応じた再生信号を出力する信号検出部と、
を備える振動検出装置。
【請求項6】
前記第1の受光素子の出力の大きさと前記第2の受光素子の出力の大きさとを調整することができる受光量補正部を有する請求項5に記載の振動検出装置。
【請求項7】
前記固定部材が、スリットを有し、
前記第1の受光素子が、前記スリットを通過した前記発光素子の光を受光する、
請求項5または6に記載の振動検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動検出装置と、
音源から出力される原音信号と前記振動検出装置から出力される再生信号とに基づいて駆動信号を生成する駆動回路と、
前記駆動信号が供給される前記音響再生部と、
を備えるモーショナルフィードバック音響再生装置。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動検出装置と、
音源から出力される原音信号と前記振動検出装置から出力される再生信号とに基づいて駆動信号を生成する駆動回路と、
前記駆動信号が供給される前記音響再生部と、
を備え、
前記振動検出装置に含まれる振動部材の長手方向の一端が前記音響再生部の中心軸に沿って前記音響再生部のセンターキャップの裏面に固定されており、
前記振動検出装置に含まれる発光素子と第1の受光素子と第2の受光素子とが前記音響再生部のセンターキャップの裏側に配置されている、
モーショナルフィードバック音響再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカやヘッドホンのような音響再生装置においてMFB(Motional Feedback:モーショナルフィードバック)を行うためにコーン紙の動きを検出する振動検出装置およびモーショナルフィードバック音響再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFBは、コーン紙の動きを検出し、その動きに応じた信号をスピーカやヘッドホンの駆動回路に帰還させて駆動信号を補正する。これにより、スピーカやヘッドホンから原音に忠実な音響を出力させることができる。
特許文献1には、発光ダイオードとフォトダイオードを対向して配置し、それらの間の光路にコーン紙と共に動く遮光板が配置された振動検出装置が記載されている。コーン紙が動くとき、同時に遮光板も動く。コーン紙の動きに応じて遮光板が移動すると、フォトダイオードの受光量が変化する。この振動検出装置は、この受光量の変化により、コーン紙の動きを検出する。このため、この振動検出装置は、スピーカの駆動回路に含まれる磁気回路の影響を受けず、また、小型化が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-228212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の振動検出装置ではフォトダイオードの出力信号に直流成分が含まれる。例えば、この出力信号をコンデンサに通すことによって直流成分をカットすることができる。しかし、コンデンサは低い周波数を減衰させる。また、特許文献1に記載の振動検出装置では、正電源と負電源を用い、0電圧を中心として出力信号を生成することによりコンデンサを省くことができるが、このように構成すると、負電源が必要となる。
また、特許文献1に記載の振動検出装置では、フォトダイオードの受光面に外部の光(外光)が入ると、フォトダイオードの出力が変化する。このため、発光ダイオードとフォトダイオードの間の光路に外部の光が入ることを防ぐ必要がある。
【0005】
また、マグネットとコイルを用いた振動検出装置が存在するが、この振動検出装置は加速度センサーであるために、周波数が低いほど検出感度が下がる。
【0006】
本発明の目的は、受光素子への外部の光(外光)の影響を軽微にし、直流成分を含まない再生信号を生成することができる振動検出装置およびモーショナルフィードバック音響再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の振動検出装置は、
光を発する発光素子と、
前記発光素子の光と外部の光とを受光する第1の受光素子と、
前記外部の光のみを受光する第2の受光素子と、
音響再生部において音を発生させる振動部の動きに応じて移動し、当該振動部の動きに応じて前記第1の受光素子によって受光される前記発光素子の光の受光量を変化させる振動部材と、
前記第1の受光素子の受光量と前記第2の受光素子の受光量との差分に応じた再生信号を出力する信号検出部と、
を備える。
【0008】
好ましくは、本発明の振動検出装置は、
前記第1の受光素子の出力の大きさと前記第2の受光素子の出力の大きさとを調整することができる受光量補正部を有する。
【0009】
好ましくは、本発明の振動検出装置は、
前記振動部材が、スリットを有し、
前記第1の受光素子が、前記スリットを通過した前記発光素子の光を受光する。
【0010】
好ましくは、本発明の振動検出装置は、
前記振動部材が、前記スリットを側面に有する中空の円柱または円筒であり、
前記発光素子が、前記振動部材の内部に配置されており、
前記第1の受光素子と前記第2の受光素子が前記振動部材の外部に配置されている。
【0011】
また、本発明の振動検出装置は、
光を発する発光素子であって、音響再生部において音を発生させる振動部の動きに応じて移動する当該発光素子と、
前記発光素子の光と外部の光とを受光する第1の受光素子であって、前記音響再生部に含まれる振動部の動きに応じて移動する当該第1の受光素子と、
前記外部の光のみを受光する第2の受光素子であって、前記音響再生部に含まれる振動部の動きに応じて移動する当該第2の受光素子と、
前記第1の受光素子が受光する前記発光素子の光の受光量を前記振動部の動きに応じて変化させるように配置された固定部材と、
前記第1の受光素子の受光量と前記第2の受光素子の受光量との差分に応じた再生信号を出力する信号検出部と、
を備える。
【0012】
好ましくは、本発明の振動検出装置は、
前記第1の受光素子の出力の大きさと前記第2の受光素子の出力の大きさとを調整することができる受光量補正部を有する。
【0013】
好ましくは、本発明の振動検出装置は、
前記固定部材が、スリットを有し、
前記第1の受光素子が、前記スリットを通過した前記発光素子の光を受光する。
【0014】
また、本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置は、
上述した振動検出装置と、
音源から出力される原音信号と前記振動検出装置から出力される再生信号とに基づいて駆動信号を生成する駆動回路と、
前記駆動信号が供給される前記音響再生部と、
を備える。
【0015】
また、本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置は、
上述した振動検出装置と、
音源から出力される原音信号と前記振動検出装置から出力される再生信号とに基づいて駆動信号を生成する駆動回路と、
前記駆動信号が供給される前記音響再生部と、
を備え、
前記振動検出装置に含まれる振動部材の長手方向の一端が前記音響再生部の中心軸に沿って前記音響再生部のセンターキャップの裏面に固定されており、
前記振動検出装置に含まれる発光素子と第1の受光素子と第2の受光素子とが前記音響再生部のセンターキャップの裏側に配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、受光素子への外部の光(外光)の影響を軽微にし、直流成分を含まない再生信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの構成の一例を示す図である。
図2】振動部材に対する発光ダイオードと第1のフォトトランジスタのペア、および第2のフォトトランジスタの配置の例を示す図である。図2(A)はコーン紙が負方向の最大位置にあるときの配置を示す。図2(B)はコーン紙が0の位置(スピーカが音を出していないときの位置)にあるときの配置を示す。図2(C)はコーン紙が正方向の最大位置にあるときの配置を示す。
図3】振動検出装置に含まれる信号検出部の構成の例を示す図である。図3(A)は、信号検出部の構成の一例を示す。図3(B)は、信号検出部の構成の他の例を示す。
図4】発光ダイオードの発光面と第1のフォトトランジスタの受光面がそれぞれ円形である場合に、振動部材が距離xだけ移動したときの受光量の変化の一例を示す図である。図4(A)は、コーン紙が負方向の最大位置にあるときの振動部材に対する発光ダイオードと第1のフォトトランジスタのペアの配置における受光量を示す。図4(B)は、振動部材が図4(A)の位置から距離xだけ上方に移動したときの配置における受光量を示す。図4(C)は、振動部材が図4(B)の位置から更に距離xだけ上方に移動し、コーン紙が0の位置(スピーカが音を出していないときの位置)にあるときの配置における受光量を示す。
図5】スピーカを駆動する駆動回路の構成の一例を示す図である。
図6】振動部材の移動方向に長い縦長のダイヤ形のスリットの一例を示す図である。
図7】振動部材の移動方向に長い長方形のスリットの一例を示す図である
図8】振動部材の変形例の構成を示す図である。
図9】第1の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの第1の変形例の構成を示す図である。
図10図9における振動部材に対する発光ダイオードと第1のフォトトランジスタのペア、および第2のフォトトランジスタとダミー部材のペアの配置の例を示す図である。図10(A)はコーン紙が負方向の最大位置にあるときの配置を示す。図10(B)はコーン紙が0の位置(スピーカが音を出していないときの位置)にあるときの配置を示す。図10(C)はコーン紙が正方向の最大位置にあるときの配置を示す。
図11】第1のフォトトランジスタと第2のフォトトランジスタにおける外部の光の受光量の一例を示す図である。図11(A)は、第1のフォトトランジスタにおける外部の光の受光量の一例を示す。図11(B)は、ダミー部材が無い場合の第2のフォトトランジスタにおける外部の光の受光量の一例を示す。
図12】ダミー部材が有る場合の第2のフォトトランジスタにおける外部の光の受光量の一例を示す図である。
図13】第1の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの第2の変形例の構成を示す図である。
図14】スピーカボックス内に収容された第2の変形例のモーショナルフィードバックスピーカの一例を示す図である。
図15】ヘッドホンに適用された第2の変形例のモーショナルフィードバックスピーカの一例を示す図である。
図16】第1の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの第3の変形例の構成の一例を示す図である。
図17】スピーカボックス内に収容された第3の変形例のモーショナルフィードバックスピーカの一例を示す図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの構成の一例を示す図である。
図19】本発明の第3の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る振動検出装置およびモーショナルフィードバック音響再生装置について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカ1の構成の一例を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ1は、振動検出装置10Aとスピーカ100とを有する。
スピーカ100は、センターキャップ101と、振動板であるコーン紙102と、エッジ103と、スパイダー104と、ボイスコイル105と、ボイスコイルボビン106Aと、アウターポール107と、マグネット108と、センターポール109と、フレーム110とを有する。スピーカ100は、通常のスピーカである。
なお、スピーカ100は。本発明の音響再生部の例である。また、センターキャップ101とコーン紙102は、本発明の音響再生部に含まれる振動部の例である。
【0020】
振動検出装置10Aは、発光ダイオード(LED)11と、発光ダイオード12と、フォトトランジスタ13と、振動部材20Aと、支持部材30と、支柱31と、支柱32と、信号検出部40とを有する。
支持部材30は、スピーカ100のフレーム110の上部に固定されている。発光ダイオード11は支柱31を介して支持部材30の下部に取り付けられている。フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13とは支柱32を介して支持部材30の下部に取り付けられている。信号検出部40は、支持部材30の上部に取り付けられている。
発光ダイオード11とフォトトランジスタ12は、発光ダイオード11の発光面とフォトトランジスタ12の受光面とが対向するように配置されている。
【0021】
振動部材20Aは、例えば、平板である。振動部材20Aは、チタンや紙(例えば、コーン紙と同一の素材)のような軽くて固い材料でできている。振動部材20Aは、長手方向がスピーカ100の中心軸111に沿っている。振動部材20Aは、長手方向の一端(図1では下端)がセンターキャップ101の表面に接着剤等を用いて垂直に固定されている。センターキャップ101が動くとき、振動部材20Aはそれと同時に移動する。このため、振動部材20Aは、音を発生させるコーン紙102の動きに応じて移動する。その際、振動部材20Aは、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12の間を移動する。
振動部材20Aは、スリット21Aを有する。発光ダイオード11の光は、スリット21Aを通過し、フォトトランジスタ12によって受光される。
センターキャップ101は、コーン紙102と連動しているため、振動部材20Aの動きを検出することにより、コーン紙102の動きを検出することができる。
なお、モーショナルフィードバックスピーカ1は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例であり、発光ダイオード11は本発明の発光素子の例であり、フォトトランジスタ12は本発明の第1の受光素子の例であり、フォトトランジスタ13は本発明の第2の受光素子の例である。
【0022】
図2は、振動部材20Aに対する発光ダイオード11と第1のフォトトランジスタ12のペア、および第2のフォトトランジスタ13の配置の例を示す。
フォトトランジスタ12は、発光ダイオード11が発する光と外部の光とを受光する。フォトトランジスタ13は外部の光のみを受光する。フォトトランジスタ13における外部の光の受光量は、フォトトランジスタ12における外部の光の受光量と等しいことが望ましい。
図2の例では、図2(A)に示すように、コーン紙が負方向の最大位置にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は0である。図2(B)に示すように、コーン紙が0の位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は最大の受光量(図2(C)の場合)に比べて半分である。図2(C)に示すように、コーン紙が正方向の最大位置にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は最大である。
【0023】
振動部材20Aは、コーン紙102の動きに応じてその長手方向(図2における上下方向)に移動する。振動部材20Aは、コーン紙102の動きに応じてフォトトランジスタ12によって受光される発光ダイオード11の光の受光量を変化させる。
すなわち、コーン紙102が負の位置から正の位置に向けて動くとき(すなわち振動部材20Aが図2(A)に示す位置から図2(C)に示す位置に向けて移動するとき)、フォトトランジスタ12の受光量はコーン紙102の移動量に応じて増加する。
一方、コーン紙102が正の位置から負の位置に向けて動くとき(すなわち振動部材20が図2(C)に示す位置から図2(A)に示す位置に向けて移動するとき)、フォトトランジスタ12の受光量はコーン紙102の移動量に応じて減少する。
【0024】
図3(A)は、振動検出装置10Aに含まれる信号検出部40の構成の一例を示す。
信号検出部40において、抵抗R1は、一端に電源電圧Vccが入力され、他端が発光ダイオード11のアノードに接続されている。発光ダイオード11のカソードは接地されている。抵抗R2は、一端に電源電圧Vccが入力され、他端がフォトトランジスタ12のコレクタとフォトトランジスタ13のコレクタとに接続されている。フォトトランジスタ12のエミッタは抵抗R3の一端に接続されている。抵抗R3の他端は接地されている。フォトトランジスタ13のエミッタは抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は接地されている。また、フォトトランジスタ12のエミッタは、差動増幅器41の非反転入力端子(+)に接続されている。フォトトランジスタ13のエミッタは、差動増幅器41の反転入力端子(-)に接続されている。差動増幅器41の出力は補正部42に入力されている。補正部42の出力は出力端子43に接続されている。出力端子43は再生信号を出力する。再生信号は、コーン紙102の振動を示す信号である。
【0025】
フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13のペアは、差動対として動作する。差動増幅器41は、フォトトランジスタ12の受光量とフォトトランジスタ13の受光量との差分に比例した信号を出力する。このため、差動増幅器41の出力は、直流成分を含まない。そして、振動検出装置10Aの外部からフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13に入射する光(外光)が変化するとき、フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13の受光量は同様に変化する。このため、外部からの光の変化は差動増幅器41の出力に影響を及ぼさない。
【0026】
図4は、発光ダイオード11の発光面と第1のフォトトランジスタ12の受光面がそれぞれ円形である場合に、振動部材20Aが距離xだけ移動したときの受光量の変化の一例を示す。距離xは、発光ダイオード11の発光面(すなわち、フォトトランジスタ12の受光面)の半径の半分である。図4(B)の網掛け部分は、振動部材20Aが図4(A)に示す位置(コーン紙における負方向の最大位置)から図4(B)に示す位置に移動した場合の受光量の変化を示す。また、図4(C)の網掛け部分は、振動部材20Aが図4(B)に示す位置から図4(C)に示す位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)に移動した場合の受光量の変化を示す。図4から分かる通り、振動部材20Aの移動量の変化に対し、フォトトランジスタ12の受光量は非線形に変化する。
【0027】
補正部42は、振動部材20Aの移動量の変化に対し、補正部42の出力が線形に変化するように補正する。従って、信号検出部40の出力端子43から出力される再生信号は、振動部材20Aの移動量の変化に対し、線形に変化する。
補正部42は、デジタル信号処理により容易に実現することができる。例えば、補正部42は、差動増幅器41の出力をA/D(Analog-to-Digital)変換回路でデジタル信号に変換する。次に、補正部42は、プロセサやデジタル回路でデジタル信号処理を行って変換された信号を補正し、デジタルの再生信号を生成する。そして、補正部42は、それをD/A(Digital-to-Analog)変換回路でアナログ信号に変換して再生信号を生成する。
【0028】
従って、信号検出部40の出力端子43は、フォトトランジスタ12の受光量とフォトトランジスタ13の受光量との差分に応じた再生信号を出力する。出力端子43から出力される再生信号は直流成分を含まない。また、外部からの光の変化は再生信号に影響を及ぼさない。
また、抵抗R3および/または抵抗R4を可変抵抗とすることにより、受光量補正部として機能させることができる。フォトトランジスタ12の受光面とフォトトランジスタ13の受光面の大きさが異なっており、フォトトランジスタ13における外部の光の受光量がフォトトランジスタ12における外部の光の受光量と異なっている場合に、可変抵抗R3および/または可変抵抗R4の抵抗値を調整することにより、外部からの光の変化が再生信号に影響しないようにフォトトランジスタ12の出力(エミッタの電圧)の大きさとフォトトランジスタ13の出力の大きさ(エミッタの電圧)とを調整することが可能である。
【0029】
図3(B)は、振動検出装置10Aに含まれる信号検出部40の構成の他の例を示す。
図3(B)の信号検出部40は、抵抗R2が定電流源44に置き換えられている点、接地が負の電源電圧-Vccに置き換えられている点、およびフォトトランジスタ12のエミッタが増幅器45の入力に接続され、増幅器45の出力が補正部43に入力されている点が図3(A)の信号検出部40と異なる。それら以外の点では、図3(B)の信号検出部40は図3(A)の信号検出部40と同一の構成である。
図3(B)の信号検出部40においても、図3(A)の信号検出部40と同様に、出力端子43は、フォトトランジスタ12の受光量とフォトトランジスタ13の受光量との差分に応じた再生信号を出力する。出力端子43から出力される再生信号は直流成分を含まない。また、外部からの光の変化は再生信号に影響を及ぼさない。
また、図3(A)の信号検出部40と同様に、抵抗R3および/または抵抗R4を可変抵抗とすることにより、受光量補正部として機能させることができる。フォトトランジスタ12の受光面とフォトトランジスタ13の受光面の大きさが異なっており、フォトトランジスタ13における外部の光の受光量がフォトトランジスタ12における外部の光の受光量と異なっている場合に、可変抵抗R3および/または可変抵抗R4の抵抗値を調整することにより、外部からの光の変化が再生信号に影響しないようにフォトトランジスタ12の出力の大きさ(エミッタの電圧)とフォトトランジスタ13の出力の大きさ(エミッタの電圧)とを調整することが可能である。
【0030】
図5は、スピーカ100を駆動する駆動回路50の構成の一例を示す。
駆動回路50は、従来のモーショナルフィードバックを行うスピーカ駆動回路である。駆動回路50は、減算器52と、差動増幅器53と、増幅器54とを有する。
入力端子51には、音源から出力される原音信号が入力される。減算器52には、原音信号と振動検出装置10Aからフィードバックされる再生信号とが入力される。減算器52は、原音信号と再生信号の差分をエラー信号として出力する。差動増幅器53の非反転入力端子(+)には原音信号が入力され、反転入力端子(-)にはエラー信号が入力される。差動増幅器53は原音信号からエラー信号が除かれた信号成分を増幅して出力する。増幅器54は、差動増幅器53の出力を増幅して駆動信号を生成する。駆動信号は、スピーカ100のボイスコイル105に供給される。
【0031】
振動部材20Aのスリットは様々な形状および大きさとすることができる。例えば、図6は、振動部材20Aの移動方向に長い縦長のダイヤ形のスリット21Bの一例を示す。図6には、コーン紙が0の位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)にあるときの発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とスリット21Bとの配置が示されている。
スリット21Bは、スリット幅の広い中央部分において通過する光量が大きくなり、上下の端部に近くなるほどスリット幅が狭くなり、通過する光量が小さくなる。スリットの形状がダイヤ形である場合、コーン紙が0の位置の近くに位置するときにはコーン紙がわずかに移動してもスリットを通過する光量は大きく変化する。スリット21Bはスリット幅が徐々に変化するため、振動検出装置10Aから出力される再生信号にひずみが生じるが、このひずみは補正部42で補正できる。このため、スリット21Bのようにダイヤ形とすることにより、フォトトランジスタ12の受光感度を実質的に向上させることができる。また、これにより、静止していたコーン紙が振動し始めるときの応答性も向上させることができる。
【0032】
また、例えば、図7は、振動部材20Aの移動方向に長い長方形のスリット21Cの一例を示す。図7には、コーン紙が0の位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)にあるときの発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とスリット21Cとの配置が示されている。
フォトトランジスタ12の受光部の直径は、センターキャップ101の最大の移動量(負の振幅と正の振幅の和)に等しい。その直径をHとすると、図7の例では、スリット21Cの長手方向(縦方向)の長さは例えばHであり、短手方法(横方向)の幅Wは例えばH/4である。この場合、発光ダイオード11から放射されてスリット21Cを通過する光の形状は、略矩形となる。このため、図3(A)の信号検出部40に含まれる差動増幅器41の出力および図3(B)の信号検出部40に含まれる増幅器45の出力は、振動部材20Aの移動量の変化に対し、略線形に変化する。従って、振動部材20Aがスリット21Cを有する場合には、信号検出部40において補正部42は不要となる。
なお、スリット21Cの短手方法(横方向)の幅Wは、スリット21Cを通過する光の形状が矩形に近くなる長さであればよい。幅Wは、H/4より大きくても小さくてもよいが、H/4以下かつH/10以上の長さであることが望ましい。
【0033】
図8は、振動部材20Aの変形例20Bの構成を示す。
振動検出装置10Aは、振動部材20Aの代わりに振動部材20Bで構成することができる。
振動部材20Bは、中空の円柱または円筒である。振動部材20Bは、側面にスリット21Aを有する。振動部材20Bは、チタンや紙(例えば、コーン紙と同一の素材)のような軽くて固い材料でできている。振動部材20Bは、振動部材20Aと同様に、長手方向がスピーカ100の中心軸111に沿っている。振動部材20Bは、長手方向における一端の面がセンターキャップ101の表面に接着剤等を用いて垂直に固定されている。
発光ダイオード11は、振動部材20Bの内部に配置される。発光ダイオード11は、支持部材30の下部に、振動部材20Bにおける長手方向の他端の面を突き抜ける支持棒(図示無し)によって取り付けられている。
【0034】
フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13は、振動部材20Bの外部に配置される。フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13は、支持部材30の下部に、それぞれ支柱(図示無し)を介して取り付けられている。発光ダイオード11とフォトトランジスタ12は、発光ダイオード11の発光面とフォトトランジスタ12の受光面とが対向するように配置されている。フォトトランジスタ12は、スリット21Aを通過した発光ダイオード11の光を受光する。
振動検出装置10Aは、振動部材20Bを用いても振動部材20Aを用いた場合と同様に動作する。センターキャップ101が動くとき、振動部材20Bはそれと共に移動する。センターキャップ101は、コーン紙102と連動しているため、振動部材20Bの動きを検出することにより、コーン紙102の動きを検出することができる。
なお、振動部材20Bのスリットは、スリット21Aではなく、縦長のダイヤ形のスリット21Bであってもよいし、細長い長方形のスリット21Cであってもよい。
【0035】
図9は、モーショナルフィードバックスピーカ1の第1の変形例2の構成を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ2は、振動検出装置10Bとスピーカ100とを有する。
モーショナルフィードバックスピーカ2のスピーカ100は、モーショナルフィードバックスピーカ1のスピーカ100と同一の構成である。
振動検出装置10Bは、発光ダイオード11と、発光ダイオード12と、フォトトランジスタ13と、ダミー部材14と、振動部材20Cと、支持部材30と、支柱31と、支柱32と、信号検出部40とを有する。
振動検出装置10Bは、ダミー部材14を有する点と、振動部材20Cがスリットの無い平板である点が振動検出装置10Aと異なる。
【0036】
ダミー部材14は、発光ダイオード11と同様に、支柱31を介して支持部材30の下部に取り付けられている。フォトトランジスタ13とダミー部材14は、フォトトランジスタ13の受光面とダミー部材14の一方の主面とが対向するように配置されている。
振動部材20Cは、例えば、平板である。振動部材20Cは、チタンや紙(例えば、コーン紙と同一の素材)のような軽くて固い材料でできている。振動部材20Cは、長手方向がスピーカ100の中心軸111に沿っている。振動部材20Cは、長手方向の一端(図9では下端)がセンターキャップ101の表面に接着剤等を用いて垂直に固定されている。センターキャップ101が動くとき、振動部材20Cはそれと同時に移動する。その際、振動部材20Cは、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12の間、かつフォトトランジスタ13とダミー部材14の間を移動する。センターキャップ101は、コーン紙102と連動しているため、振動部材20Cの動きを検出することにより、コーン紙102の動きを検出することができる。
【0037】
図10は、図9における振動部材20Cに対する発光ダイオード11と第1のフォトトランジスタ12のペア、および第2のフォトトランジスタ13とダミー部材14のペアの配置の例を示す。
フォトトランジスタ12は、発光ダイオード11が発する光と外部の光とを受光する。フォトトランジスタ13は外部の光のみを受光する。
図10(A)に示すように、コーン紙が負方向の最大位置にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は最大である。図10(B)に示すように、コーン紙が0の位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は最大の受光量(図10(A)の場合)に比べて半分である。図10(C)に示すように、コーン紙が正方向の最大位置にあるとき、フォトトランジスタ12の受光量は0である。
【0038】
振動部材20Cは、コーン紙102の動きに応じてその長手方向(図10における上下方向)に移動する。振動部材20Cは、コーン紙102の動きに応じてフォトトランジスタ12によって受光される発光ダイオード11が発する光の受光量を変化させる。
すなわち、コーン紙102が負の位置から正の位置に向けて動くとき(すなわち振動部材20Cが図10(A)に示す位置から図10(C)に示す位置に向けて移動するとき)、フォトトランジスタ12の受光量はコーン紙102の移動量に応じて減少する。
一方、コーン紙102が正の位置から負の位置に向けて動くとき(すなわち振動部材20Cが図10(C)に示す位置から図10(A)に示す位置に向けて移動するとき)、フォトトランジスタ12の受光量はコーン紙102の移動量に応じて増加する。
【0039】
発光ダイオード11の発光面とダミー部材14の一方の主面とは同一の形状および同一の大きさである。ダミー部材14が無い場合、図11(A)と図11(B)に示すように外部の光が左上から斜めにフォトトランジスタ12の受光面とフォトトランジスタ13の受光面に入射した場合、両方の受光面における外部の光の受光量が異なる場合がある。しかし、図12に示すように、振動検出装置10Bでは、ダミー部材14がフォトトランジスタ12と同様に外部の光を遮蔽する。このため、外部の光の向きに関わらず、フォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13は外部の光の受光量が等しい。
なお、モーショナルフィードバックスピーカ2は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例である。
【0040】
図13は、モーショナルフィードバックスピーカ1の第2の変形例3の構成の一例を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ3は、振動検出装置10Aとスピーカ100とを有する。
モーショナルフィードバックスピーカ3のスピーカ100は、モーショナルフィードバックスピーカ1のスピーカ100と同一の構成である。
モーショナルフィードバックスピーカ3では、振動検出装置10Aは、モーショナルフィードバックスピーカ1と異なり、振動部材20Aがコーン紙102に固定されている。
振動部材20Aは、長手方向の一端(図13では下端)がスピーカ100の中心軸111と並行に、接着剤等を用いてコーン紙102に固定されている。支持部材30は、コーン紙102が振動しても発光ダイオード11等がコーン紙102に接触しないように、フレーム110の上部に取り付けられる。
なお、モーショナルフィードバックスピーカ3では振動部材20Aがコーン紙102に固定されているが、バランスを保つために、コーン紙102において振動部材20Aの位置と対称な位置にダミーの振動部材を取り付けてもよい。
モーショナルフィードバックスピーカ3は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例である。
【0041】
図14は、スピーカボックス200内に収容されたモーショナルフィードバックスピーカ3の一例を示す。この構成では、コーン紙102の振動によって生じる音は、コーン紙102の前方の開放空間とコーン紙102の後方の密閉空間とに伝搬する。前方の開放空間に伝搬した音波は、部屋の壁や天井、床等で反射してコーン紙102に戻る。また、後方に伝搬した音波はスピーカボックス200の内壁で反射され、コーン紙102に戻る。コーン紙102に戻った音波は、コーン紙に余分な振動102aを生じさせる。この音波は、原音に対して遅延しているため、スピーカで再生される音を乱す。振動検出装置10Aはコーン紙102の振動を直接検出し、コーン紙102の動きを駆動回路50にフィードバックする。このため、モーショナルフィードバックスピーカ3は、モーショナルフィードバックスピーカ1よりも原音に忠実な音を再生できる可能性がある。
【0042】
さらに、5.1チャンネルなどのマルチチャンネルスピーカ仕様のサラウンドシステムでは、対向したスピーカからの音波が、他チャンネルのスピーカのコーン紙やスピーカボックス内に飛び込んでくる可能性もあり、スピーカが増えるほどこの音波が原音に忠実な音の再生に障害となる可能性が生じる。この点でも、図14に示すスピーカボックス200内に収容されたモーショナルフィードバックスピーカ3は、より原音に忠実な音を再生し、サラウンド音場をより忠実に再現できる可能性がある。
【0043】
例えば、図15に示すように、モーショナルフィードバックスピーカ3がヘッドホンに適用された場合、コーン紙102と耳の間には密閉空間が形成される。この密閉空間には外光が入りにくい。
コーン紙102の前方の密閉空間に伝搬した音波は、外耳で反射してコーン紙102に戻る。また、裏面201が開放された構造のヘッドホンの場合、裏面201と側面202とスピーカ100とで囲まれる開放空間に周囲の騒音が侵入する。外耳で反射した音波に加えて開放空間に侵入する騒音も、コーン紙に余分な振動102aを生じさせる。しかし、振動検出装置10Aは周りの騒音を含め、あらゆる音波を拾うので、ノイズキャンセル機能付きヘッドホンとしての動作までも可能になる。
【0044】
また、飛行機の飛行中や電車がトンネルを通過するときに気圧が急激に変化する場合がある。振動検出装置10Aは、スピーカボックス200の内壁や部屋の壁、人の外耳等からの反射音や周囲の騒音によってコーン紙102に生じる余分な振動だけでなく、このような気圧の急激な変化等によりコーン紙102に生じる余分な振動も検出することができる。駆動回路50はその余分な振動に応じて修正されたスピーカ100の駆動信号を出力する。このことは結果的に、圧力センサー等を使うことなく、外耳から内耳に加わる気圧変化を軽減することになる。
【0045】
図16は、モーショナルフィードバックスピーカの第3の変形例4の構成の一例を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ4は、振動検出装置10Cとスピーカ100とを有する。
振動検出装置10Cは、発光ダイオード11と、フォトトランジスタ12と、フォトトランジスタ13と、振動部材26と、支持部材33と、信号検出部40とを有する。
振動検出装置10Aがセンターキャップ101の表側に配置されているのに対し、振動検出装置10Cはセンターキャップ101の裏側に配置される。それ以外の点は、モーショナルフィードバックスピーカ4はモーショナルフィードバックスピーカ1と同一である。
振動部材26は、例えば、平板である。振動部材26は、チタンや紙(例えば、コーン紙と同一の素材)のような軽くて固い材料でできている。振動部材26は、長手方向がスピーカ100の中心軸111に沿っている。振動部材26は、長手方向の一端(図1では上端)がセンターキャップ101の裏面に接着剤等を用いて垂直に固定されている。
【0046】
支持部材33は、例えば、円筒であり、センターポール109の上面に固定される。支持部材33の内部に発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13と信号検出部40とが配置される。振動検出装置10Cにおける発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13と信号検出部40とは、振動検出装置10Aのものと同一の構成である。
センターキャップ101が動くとき、振動部材26はそれと同時に移動する。その際、振動部材26は、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12の間を移動する。
振動部材26は、スリット21Aを有する。フォトトランジスタ12は、スリット21Aを通過した発光ダイオード11の光を受光する。
【0047】
センターポール109は、孔112を有する。孔112は、中心軸111の周りに、中心軸111と並行に配置されている。孔112の中を振動検出装置10Cのための配線が通る。
なお、図16では支持部材33の外径が孔112の直径よりも大きい例を示したが、支持部材33の外径と孔112の直径が略同一であって、支持部材33の下部が孔112を貫通し、支持部材33の下端がセンターポール109の下端に達する構成としてもよい。空気を抜くために孔112が設けられたセンターポール109が存在する。そのようなセンターポール109では、その孔112を利用して振動検出装置10Cを設置することができる。例えば、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13と信号検出部40と支持部材33とを、支持部材33に仮固定された振動部材26と一緒に孔112から挿入し、振動部材26をセンターキャップ101に予め付けてある接着部材に接着固定した後、振動部材26と支持部材33の仮止めを解除し(外し)、振動部材26をセンターキャップ101の裏面に固定することにより、振動検出装置10Cを設置することができる。
なお、モーショナルフィードバックスピーカ4は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例である。
【0048】
図17は、スピーカボックス200内に収容された第3の変形例のモーショナルフィードバックスピーカ4の一例を示す。
この構成では、振動検出装置10Cは外光の入りにくい密閉空間に配置される。このため、振動検出装置10Cは、振動検出装置10Aと振動検出装置10Bよりも更に外光の変化の影響を受けずに、センターキャップの振動101aとコーン紙の振動102bを検出することができる。
なお、振動部材26のスリットは、スリット21Aではなく、縦長のダイヤ形のスリット21Bであってもよいし、細長い長方形のスリット21Cであってもよい。また、振動部材26は、振動部材20Bのように中空の円柱または円筒であってもよい。この場合、発光ダイオード11は、振動部材の内部に配置される。
【0049】
図18は、本発明の第2の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカ5の構成の一例を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ5は、振動検出装置10Dとスピーカ100Aとを有する。
スピーカ100Aは、センターキャップ101と、振動板であるコーン紙102と、エッジ103と、スパイダー104と、ボイスコイル105と、ボイスコイルボビン106Bと、アウターポール107と、マグネット108と、センターポール109と、フレーム110とを有する。
ボイスコイルボビン106Bは、スピーカ100のボイスコイルボビン106Aと異なり、スリット21Aを有する。この点以外は、スピーカ100Aはスピーカ100と同一の構造である。
【0050】
振動検出装置10Dは、発光ダイオード11と、フォトトランジスタ12と、フォトトランジスタ13と、支柱34と、支柱35と、支柱36と、信号検出部40とを有する。
発光ダイオード11は、ボイスコイルボビン106Bの内側かつセンターキャップ101の裏側においてセンターポール109の上部に支柱34を介して取り付けられる。フォトトランジスタ12は、ボイスコイルボビン106Bの外側において発光ダイオード11に対向する位置に支柱35を介してフレーム109に取り付けられる。フォトトランジスタ32は、ボイスコイルボビン106Bの外側において支柱36を介してフレーム109に取り付けられる。信号検出部40はセンターポール109の上部に設置される。
モーショナルフィードバックスピーカ5では、ボイスコイルボビン106Bは音響再生部に含まれる振動部の一部として機能するとともに本発明の振動部材として機能する。
なお、ボイスコイルボビン106Bのスリットは、スリット21Aではなく、縦長のダイヤ形のスリット21Bであってもよいし、細長い長方形のスリット21Cであってもよい。
モーショナルフィードバックスピーカ5は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例である。
【0051】
図19は、本発明の第3の実施形態に係るモーショナルフィードバックスピーカ6の構成の一例を示す。
モーショナルフィードバックスピーカ6は、振動検出装置10Eとスピーカ100とを有する。
モーショナルフィードバックスピーカ6のスピーカ100は、モーショナルフィードバックスピーカ1のスピーカ100と同一の構成である。
振動検出装置10Eは、発光ダイオード11と、フォトトランジスタ12と、フォトトランジスタ13と、固定部材27と、支持部材30と、支柱37と、支柱38と、信号検出部40とを有する。
振動検出装置10Eは、スリット21Aを有する固定部材27が支持部材30の下部に垂直に固定されている点、発光ダイオード11が支柱37を介してセンターキャップ101の表面に固定されている点、およびフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13とが支柱38を介してセンターキャップ101の表面に固定されている点がモーショナルフィードバックスピーカ1の振動検出装置10Aと異なる。
【0052】
フォトトランジスタ12は、発光ダイオード11に対向して配置されている。固定部材27は、例えば平板である。固定部材27は、スリット21Aを有する。フォトトランジスタ12は、スリット21Aを通過した発光ダイオード11の光を受光する。
センターキャップ101が動くとき、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13とはセンターキャップ101の動きに応じて移動する。センターキャップ101は、コーン紙102と連動しているため、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12の動きを検出することにより、コーン紙102の動きを検出することができる。
固定部材27は、振動部材20Aと同様に、コーン紙102の動きに応じてフォトトランジスタ12によって受光される発光ダイオード11の光の受光量を変化させる。
【0053】
なお、固定部材27のスリットは、スリット21Aではなく、縦長のダイヤ形のスリット21Bであってもよいし、細長い長方形のスリット21Cであってもよい。また、固定部材27は、振動部材20Bのように中空の円柱または円筒であってもよい。この場合、発光ダイオード11は、固定部材の内部に配置される。
また、振動検出装置10Eは、第1の実施形態における第2の変形例3の振動検出装置10Aと同様に、発光ダイオード11とフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13とが、支柱を介してコーン紙102に取り付けられていてもよい。
また、振動検出装置10Eは、第1の実施形態における第3の変形例4の振動検出装置10Cと同様に、センターキャップ101の裏側に設置されていてもよい。
モーショナルフィードバックスピーカ6は本発明のモーショナルフィードバック音響再生装置の例である。
【0054】
また、フォトトランジスタ12のエミッタとフォトトランジスタ13のエミッタの電圧をA/D変換回路でデジタル信号に変換し、プロセサやデジタル回路でデジタル信号処理を行ってデジタルの駆動信号を生成し、それをD/A変換回路でアナログ信号に変換してスピーカの駆動信号を生成することもできる。この場合、第1の受光素子と第2の受光素子としてフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13の代わりにCCD(Charge Coupled Device)やCMOSイメージセンサーを用いることもできる。
【0055】
また、上述した実施形態では第1の受光素子と第2の受光素子の例としてフォトトランジスタを示したが、フォトダイオード等の他の受光素子を用いることもできる。
また、上述した実施形態では、第1の発光素子の例として発光ダイオード11を示したが、これは一例であり、光源の光を光ファイバーや反射板で導いて第1の受光素子に入射させることもできる。
また、上述した実施形態では、振動板としてコーン紙の例を示したが、これに限らず、ポリエステル、アラミド、ポリプロピレン、炭素繊維樹脂などの高分子材料でできた膜等を振動板として使用することもできる。
【0056】
また、上述した第1の実施形態では、振動部材の一端をセンターキャップ101やコーン紙102に接着剤等を用いて固定する例を示したが、振動部材はセンターキャップ101やコーン紙102と一体的に形成することもできる。これにより、接着剤(接合材料)を省くことができ、振動部材とセンターキャップ101とコーン紙102とを含む振動部分を軽量化することができる。
第3の実施形態でも、同様に、発光ダイオード11を支える支柱37やフォトトランジスタ12とフォトトランジスタ13を支える支柱38はセンターキャップ101やコーン紙102と一体的に形成することもできる。
【0057】
また、実証実験等において、コーン紙が0の位置(スピーカ100が音を出していないときの位置)での振動検出装置の各構成部分の配置を機械的に微調整する機構が必要な場合がある。この微調整はデジタル信号処理により行うこともでき、この場合、機械的な微調整機構は不要である。
【0058】
また、本発明の振動検出装置を振動スピーカに適用し、振動スピーカでモーショナルフィードバックを行うこともできる。振動スピーカは、ボイスコイルを固定してマグネットを含む磁気回路を振動させる。そして、振動スピーカは、磁気回路の振動を木材、ガラス、金属のような振動可能な外部の物体に伝える。磁気回路は本発明の音響再生部に含まれる振動部の例である。本発明の振動検出装置を用いれば、振動スピーカにおける磁気回路の振動を検出することができる。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、受光素子への外部の光(外光)の影響を軽微にし、直流成分を含まない再生信号を生成することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計または製造上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1,2,3,4,5,6…モーショナルフィードバックスピーカ、10A,10B,10C,10D,10E…振動検出装置、11…発光ダイオード(LED)、12,13…フォトトランジスタ、20A,20B,20C…振動部材、21A,21B,21C…スリット、26…振動部材、27…固定部材、30…支持部材、31,32…支柱、33…支持部材、34,35,36,37,38…支柱、40…信号検出部、41…差動増幅器、42…補正部、44…定電流源、45…増幅器、50…駆動回路、52…減算器、53…差動増幅器、54…増幅器、100,100A…スピーカ、101…センターキャップ、102…コーン紙、103…エッジ、104…スパイダー、105…ボイスコイル、106A、106B…ボイスコイルボビン、107…アウターポール、108…マグネット、109…センターポール、110…フレーム、111…スピーカの中心軸、112…孔、200…スピーカボックス、201…ヘッドホンの裏面、202…ヘッドホンの側面
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