(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ドレン回収システム
(51)【国際特許分類】
F22D 1/18 20060101AFI20231005BHJP
F22D 1/32 20060101ALI20231005BHJP
F22B 37/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F22D1/18
F22D1/32 Z
F22B37/26 A
(21)【出願番号】P 2019080375
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 広
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087043(JP,A)
【文献】特開平07-119918(JP,A)
【文献】特開平07-027304(JP,A)
【文献】特開平03-110307(JP,A)
【文献】特開平04-347305(JP,A)
【文献】特開2013-205006(JP,A)
【文献】特開平05-340209(JP,A)
【文献】特開2012-002385(JP,A)
【文献】特開昭07-027304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/18
F22D 1/32
F22B 37/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンを貯留するドレンタンクと、
ボイラへ供給するための水を貯留する給水タンクと、
前記給水タンクの水を圧送する給水ポンプと、
前記ドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気と前記給水ポンプで加圧後の水との間で熱交換を行う熱交換器と
、
前記ドレンタンクのドレンを、前記給水タンクを介することなく、ボイラへ圧送するエゼクタポンプとを備えているドレン回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン回収システムにおいて、
前記熱交換器へ流入する前のフラッシュ蒸気からドレンを分離する気液分離器をさらに備えているドレン回収システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドレン回収システムにおいて、
前記ドレンタンクの圧力に応じて前記ドレンタンクから流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する弁をさらに備えているドレン回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ドレン回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドレンタンクを備えたドレン回収システムにおいて、ドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気(再蒸発蒸気)を活用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、フラッシュタンク、即ち、ドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気を空気加熱器で利用するドレン回収システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気を活用する取り組みはよく行われている。フラッシュ蒸気を活用する単純な方法の1つは、ボイラへ給水するための給水タンクにフラッシュ蒸気を流入させることである。給水タンクの水によってフラッシュ蒸気の熱を回収すると共に、フラッシュ蒸気を凝縮させる。
【0005】
しかしながら、給水タンクの水によってフラッシュ蒸気の熱を回収する場合、フラッシュ蒸気の流入量が多すぎると、給水タンクの水が沸騰し、結果として、熱が散逸する虞がある。さらには、給水タンクの水が高温になり過ぎると、給水タンクの水をボイラへ供給するための給水ポンプにおいてキャビテーションが発生する虞がある。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より多くのフラッシュ蒸気の熱を回収しつつ、給水ポンプでのキャビテーションの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示されたドレン回収システムは、ドレンを貯留するドレンタンクと、ボイラへ供給するための水を貯留する給水タンクと、前記給水タンクの水を圧送する給水ポンプと、前記ドレンタンクで発生したフラッシュ蒸気と前記給水ポンプで加圧後の水との間で熱交換を行う熱交換器とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
前記ドレン回収システムによれば、より多くのフラッシュ蒸気の熱を回収しつつ、給水ポンプでのキャビテーションの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ドレン回収システムの概略的な配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、ドレン回収システム100の概略的な配管図である。
【0011】
ドレン回収システム100は、ドレンを貯留するドレンタンク1と、ボイラ9へ供給するための水を貯留する給水タンク2と、給水タンク2の水を圧送する給水ポンプ3と、ドレンタンク1で発生したフラッシュ蒸気と給水ポンプ3で加圧後の水との間で熱交換を行う熱交換器4とを備えている。ドレン回収システム100は、熱交換器4へ流入する前のフラッシュ蒸気からドレンを分離する気液分離器5をさらに備えていてもよい。ドレン回収システム100は、ドレンタンク1の圧力に応じてドレンタンク1から流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する調節弁6をさらに備えていてもよい。以下、フラッシュ蒸気を単に「蒸気」とも称する。また、「上流」とは流体の流れ方向における上流を意味し、「下流」とは流体の流れ方向における下流を意味する。
【0012】
ドレンタンク1には、蒸気使用機器等で発生したドレンがドレン管80を介して流入する。ドレンタンク1は、比較的高温高圧(例えば、100℃より高温で且つ大気圧より高圧)のドレンを貯留する。ドレンタンク1内の圧力は、ドレン管80を介して流入するドレンに比べて低圧に設定されている。そのため、ドレンタンク1内では、ドレン管80を介して流入してくるドレンが再蒸発して、フラッシュ蒸気となる。ドレンタンク1内には、ドレンとフラッシュ蒸気とが貯留されている。ドレンタンク1には、ドレンタンク1内の圧力を検出する圧力センサ11が設けられている。
【0013】
ドレンタンク1の比較的下部には、ドレンタンク1のドレンを流出させるドレン管81が接続されている。ドレン管81の下流端は、エゼクタポンプ7に接続されている。ドレンタンク1の比較的上部には、ドレンタンク1のフラッシュ蒸気を流出させる蒸気管83が接続されている。蒸気管83の下流端は、熱交換器4に接続されている。
【0014】
エゼクタポンプ7は、エゼクタ71と、ポンプ72と、エゼクタ71とポンプ72との間でドレンを循環させる循環配管73とを有している。ポンプ72によって圧送されるドレンは、循環配管73を介してエゼクタ71のノズルに流入する。エゼクタ71のノズルから吐出されるドレンは、エゼクタ71のディフューザから排出され、循環配管73を介してポンプ72へ流入する。ドレン管81は、エゼクタ71の吸引口に接続されている。エゼクタ71のノズルからのドレンの吐出により発生する吸引力によって、ドレン管81を介してドレンタンク1のドレンがエゼクタ71に吸引される。
【0015】
循環配管73からは、ドレン管82が分岐している。ドレン管82の下流端は、ボイラ9に接続されている。循環配管73を流通するドレンの一部は、ドレン管82へ流出し、ドレン管82を介してボイラ9へ流入する。ドレン管82には、ドレン管82を流通するドレンの圧力を調整する調整弁82aと、ドレンの逆流を防止する逆止弁82bとが設けられている。逆止弁82bは、調整弁82aの下流側に設けられている。調整弁82aは、ドレンを所定の圧力(例えば、ボイラ9に要求される流入圧力)に調整する。調整弁82aによって圧力が調整されたドレンがボイラ9へ流入する。
【0016】
一方、蒸気管83には、蒸気管83を流通する蒸気の流量を調節する調節弁6と、蒸気管83を流通する蒸気からドレンを分離させる気液分離器5とが設けられている。気液分離器5は、調節弁6の下流側に設けられている。
【0017】
調節弁6は、ドレンタンク1の圧力に応じてドレンタンク1から流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する。詳しくは、制御部61に、圧力センサ11の検出結果が入力される。制御部61は、圧力センサ11の検出結果に基づいて、調節弁6の開度を制御する指令を調節弁6に出力する。例えば、ドレンタンク1の圧力が所定の圧力閾値未満の場合には、調節弁6は全閉となり、ドレンタンク1からのフラッシュ蒸気の流出を停止する。一方、ドレンタンク1の圧力が圧力閾値以上の場合には、調節弁6が開き、ドレンタンク1からフラッシュ蒸気を流出させる。圧力閾値は、エゼクタポンプ7を適切に作動させるために要求される圧力又は、該圧力よりも少し高い圧力に設定され得る。ドレンタンク1の圧力が圧力閾値以上の場合の調節弁6の開度は、様々に設定され得る。例えば、調節弁6の開度は、一定の開度に維持されてもよい。あるいは、調節弁6の開度は、ドレンタンク1の圧力が高くなるのに従って、連続的又は段階的に大きく調節されてもよい。
【0018】
気液分離器5は、流入する蒸気からドレンを分離させる。気液分離器5には、分離させたドレンを排出するためのドレン管88が接続されている。ドレン管88の下流端は、給水タンク2に接続されている。気液分離器5は、ドレンを分離させた蒸気を蒸気管83へ流出させる一方、分離させたドレンをドレン管88へ流出させる。気液分離器5を通過し、蒸気管83を流通する蒸気は、熱交換器4へ流入する。気液分離器5から排出されるドレンは、ドレン管88を介して給水タンク2へ流入する。
【0019】
尚、蒸気管83のうち調節弁6の上流側の部分には、バイパス管87が接続されている。バイパス管87の下流端は、給水タンク2に接続されている。バイパス管87には、バイパス管87の開通及び遮断を切り替える安全弁87aが設けられている。安全弁87aは、通常時は全閉となっている。調節弁6よりも下流側において不具合が発生して、ドレンタンク1からの蒸気の流出が困難となった場合に、安全弁87aが開かれる。これにより、バイパス管87が開通し、蒸気管83を流通する蒸気がバイパス管87を介して給水タンク2へ流入する。
【0020】
給水タンク2は、ボイラ9へ供給される水を貯留している。給水タンク2は、大気圧に解放されている。ただし、給水タンク2は、大気圧以外の所定の圧力に維持されていてもよい。給水タンク2には、貯留された水が流出する給水管85が接続されている。給水管85の下流端は、熱交換器4に接続されている。給水管85には、給水ポンプ3が設けられている。例えば、給水ポンプ3は、電動ポンプである。給水ポンプ3は、非容積式のポンプであり得る。給水タンク2の水は、給水ポンプ3によって加圧され、給水管85を介して熱交換器4へ送られる。
【0021】
熱交換器4は、蒸気管83からの蒸気と給水管85からの水との間で熱交換を行わせる。蒸気管83から流入する蒸気は、熱交換器4の第1流路41を流通する。給水管85から流入する水は、熱交換器4の第2流路42を流通する。蒸気管83からの蒸気及び給水管85からの水は、それぞれ第1流路41及び第2流路42を流通する間に熱交換を行う。
【0022】
第1流路41を流通する蒸気の少なくとも一部は、冷却されてドレンとなり、熱交換器4からドレン管84へ流出する。ドレン管84の下流端は、給水タンク2へ接続されている。ドレン管84には、ドレンの通過を許容し、蒸気の通過を阻止するドレントラップ84aが設けられている。熱交換器4からドレン管84へ流出したドレンは、ドレン管84を流通して給水タンク2へ流入する。このとき、ドレンに蒸気が含まれる場合には、ドレントラップ84aによってドレンの通過が阻止され、ドレンだけがドレントラップ84aを通過して給水タンク2へ流入する。
【0023】
第2流路42を流通する水は、加熱された後、熱交換器4から給水管86へ流出する。給水管86の下流端は、ドレン管82のうち逆止弁82bよりも下流側の部分に合流している。給水管86には、水の逆流を防止する逆止弁86aが設けられている。熱交換器4から給水管86へ流出した水は、給水管86を流通してドレン管82へ合流し、ドレン管82を流通する水と共にボイラ9へ供給される。
【0024】
続いて、ドレン回収システム100の動作について説明する。
【0025】
ドレンタンク1には、ドレン管80を介して高温高圧のドレンが流入する。ドレンタンク1内の圧力は流入するドレンに比べて低圧となっているので、ドレンタンク1に流入したドレンの一部は再蒸発してフラッシュ蒸気となる。ドレンタンク1の比較的下部にドレンが貯留され、ドレンタンク1の比較的上部に蒸気が滞留する。
【0026】
エゼクタポンプ7においては、ポンプ72の作動により循環配管73をドレンが循環すると共にエゼクタ71に吸引力が発生する。ドレンタンク1に貯留されたドレンは、エゼクタポンプ7によって吸引され、ドレン管81を介して循環配管73へ流入する。
【0027】
循環配管73を流通するドレンの一部は、ドレン管82へ流出する。ドレン管82へ流入したドレンは、調整弁82aによって所定の圧力に調整され、ボイラ9へ流入する。
【0028】
一方、ドレンタンク1に貯留された蒸気は、蒸気管83へ流出する。蒸気管83を流通する蒸気の一部は、蒸気管83を流通する間に凝縮してドレンとなる場合がある。そのような場合でも、ドレン混じりの蒸気が気液分離器5を通過することによって、蒸気からドレンが分離され、乾いた蒸気が熱交換器4へ流入する。熱交換器4には、給水タンク2の水が給水ポンプ3によって加圧されて流入している。熱交換器4においては、給水タンク2からの水が蒸気によって加熱される。蒸気は、水を加熱した後、凝縮してドレンとなり、ドレン管84を介して給水タンク2へ流入する。蒸気によって加熱された水は、給水管86を介してドレン管82へ合流し、ドレン管82を流通するドレンと共にボイラ9へ供給される。
【0029】
このように、ドレンタンク1のフラッシュ蒸気は、給水タンク2からボイラ9へ供給される水であって給水ポンプ3によって加圧後の水を加熱する。これにより、より多くのフラッシュ蒸気の熱を回収しつつ、給水ポンプ3でのキャビテーションの発生を抑制することができる。
【0030】
詳しくは、給水ポンプ3による加圧後の水の飽和温度は、加圧前の水の飽和温度に比べて高い。そのため、加圧後の水を蒸気で加熱することによって、加圧前の水を蒸気で加熱する場合に比べて、水をより高温まで加熱することができる。すなわち、より多くの蒸気の熱を水に加えることができる。一方、加圧前の水を加熱すると、比較的高温の水が給水ポンプ3に流入することになる。その場合、給水ポンプ3においてキャビテーションが発生する虞がある。それに対し、加圧後の水を加熱することによって、給水ポンプ3に流入する水の温度上昇を防ぐことができる。その結果、給水ポンプ3におけるキャビテーションの発生を抑制することができる。
【0031】
また、熱交換器4に流入する蒸気は、流入前に気液分離器5によってドレンが分離されている。これにより、熱交換器4における熱交換効率を向上させることができる。
【0032】
さらに、ドレン回収システム100においては、ドレンタンク1のドレンをエゼクタポンプ7によってボイラ9へ供給している。エゼクタポンプ7を適切に作動させるためには、ドレンタンク1の圧力を適切な範囲に維持する必要がある。そのため、ドレンタンク1から流出する蒸気の流量は、ドレンタンク1の圧力に応じて調節弁6によって調節される。具体的には、ドレンタンク1の圧力がエゼクタポンプ7の適切な作動のために要求される圧力未満である場合には、調節弁6が全閉となり、ドレンタンク1からのドレンの流出が停止される。これにより、ドレンタンク1の圧力が適切に維持され、エゼクタポンプ7を適切に作動させることができる。尚、この場合、熱交換器4には蒸気が流入しない。給水管85から熱交換器4に流入する水は、熱交換器4を単に通過し、給水管86を介してドレン管82へ合流する。一方、ドレンタンク1の圧力がエゼクタポンプ7の適切な作動のために要求される圧力以上である場合には、調節弁6が開かれ、ドレンタンク1から蒸気が流出する。これにより、エゼクタポンプ7が適切に作動すると共に、給水タンク2からボイラ9へ供給される水が加熱される。
【0033】
以上のように、ドレン回収システム100は、ドレンを貯留するドレンタンク1と、ボイラ9へ供給するための水を貯留する給水タンク2と、給水タンク2の水を圧送する給水ポンプ3と、ドレンタンク1で発生したフラッシュ蒸気と給水ポンプ3で加圧後の水との間で熱交換を行う熱交換器4とを備えている。
【0034】
この構成によれば、給水ポンプ3により加圧後の給水タンク2からの水にフラッシュ蒸気の熱を加えることによって、加圧前の水を加熱する場合と比べて、より多くのフラッシュ蒸気の熱を水に加えることができる。それに加えて、給水タンク2からボイラ9へ供給される水を給水ポンプ3の下流側で加熱することによって、給水ポンプ3に吸い込まれる水の温度上昇を抑制することができる。これにより、給水ポンプ3でのキャビテーションの発生を抑制することができる。
【0035】
また、ドレン回収システム100は、熱交換器4へ流入する前のフラッシュ蒸気からドレンを分離する気液分離器5をさらに備えている。
【0036】
この構成によれば、熱交換器4に流入するフラッシュ蒸気の乾き度を上昇させることができる。その結果、熱交換器4における熱交換効率を向上させることができる。
【0037】
さらに、ドレン回収システム100は、ドレンタンク1の圧力に応じてドレンタンク1から流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する調節弁6をさらに備えている。
【0038】
この構成によれば、ドレンタンク1からのフラッシュ蒸気の流出量の増大により、ドレンタンク1の圧力が低下し過ぎることを防止することができる。その結果、ドレンタンク1の圧力を適切な範囲に維持することができる。特に、ドレンタンク1のドレンをエゼクタポンプ7によって吸引する構成においては、調節弁6によってフラッシュ蒸気の流量を調節することによって、ドレンタンク1の圧力をエゼクタポンプ7の適切な作動のために要求される圧力に維持することができる。
【0039】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0040】
例えば、ドレン回収システム100の構成は一例に過ぎない。例えば、バイパス管87及び安全弁87aは、ここに開示された発明にとって必須ではない。
【0041】
また、気液分離器5は、分離されたドレンを給水タンク2へ流入させているが、給水タンク2とは別の場所へ流入させてもよい。あるいは、気液分離器5を省略してもよい。
【0042】
さらに、調節弁6に代えて、給水管85のうち給水ポンプ3の下流側に、1つの流入口、第1流出口及び第2流出口を有する三方弁を設けてもよい。三方弁の流入口には、給水管85のうち給水ポンプ3からの延びる部分が接続されている。三方弁の第1流出口に、給水管85のうち熱交換器4へ延びる部分が接続されている。三方弁の第2流出口に、下流端がドレン管82のうち逆止弁82bの下流側の部分に接続されたバイパス管が接続されている。三方弁は、ドレンタンク1の圧力に応じてドレンタンク1から流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する。具体的には、三方弁は、圧力センサ11の検出結果に応じて、水の流出先を第1流出口と第2流出口とで切り替える。ドレンタンク1の圧力が所定の圧力閾値未満の場合には、三方弁は水の流出先を第2流出口とする。これにより、給水ポンプ3で加圧された水は、熱交換器4へ流入することなく、ドレン管82へ合流する。その結果、熱交換器4におけるフラッシュ蒸気の凝縮が低減され、ドレンタンク1からのフラッシュ蒸気の流出量が低減される。一方、ドレンタンク1の圧力が圧力閾値以上の場合には、三方弁は水の流出先を第1流出口とする。これにより、給水ポンプ3で加圧された水は、熱交換器4へ流入する。その結果、熱交換器4におけるフラッシュ蒸気の凝縮が促進され、ドレンタンク1からのフラッシュ蒸気の流出量も増加する。こうして、三方弁は、ドレンタンク1の圧力に応じてドレンタンク1から流出するフラッシュ蒸気の流量を調節する。尚、圧力閾値は、エゼクタポンプ7を適切に作動させるために要求される圧力又は、該圧力よりも少し高い圧力に設定され得る。
【0043】
熱交換器4は、ドレンタンク1からのフラッシュ蒸気と給水タンク2からの水とを熱交換させる限り、任意の構成を採用することができる。熱交換器4において凝縮して生成されたドレンは、給水タンク2ではなく別の場所に流入してもよい。熱交換器4において加熱された、給水タンク2からの水は、ドレン管82へ合流することなく、ボイラ9へ流入してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、ここに開示された技術は、ドレン回収システムについて有用である。
【符号の説明】
【0045】
100 ドレン回収システム
1 ドレンタンク
2 給水タンク
3 給水ポンプ
4 熱交換器
5 気液分離器
6 調節弁