(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光接続装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20231005BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20231005BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/32
G02B6/34
(21)【出願番号】P 2019182396
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】304056637
【氏名又は名称】株式会社中原光電子研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中原 基博
(72)【発明者】
【氏名】有島 功一
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184667(JP,A)
【文献】特開2010-122312(JP,A)
【文献】特開2017-049613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0153881(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0033016(US,A1)
【文献】特開2016-095410(JP,A)
【文献】特開平11-153726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0321249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0196195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回路から出射された出射光が入射面に入射され、前記出射光を反射面で反射させて取り出すプリズムと、
GRIN(Gradient Index)レンズが2次元に配列され、前記プリズムで取り出された
前記出射光をそれぞれ異なる前記GRINレンズで集光する2次元GRINレンズアレイと、
前記プリズムでの光路長に等しい光路長を有し、前記2次元GRINレンズアレイから出射された各光を透過させるスペーサと、
前記GRINレンズの各焦点に光ファイバの端面が配置されている光ファイバを保持し、前記スペーサを透過した光を前記光ファイバに伝搬させる2次元ファイバアレイと、
を備え、
前記2次元GRINレンズアレイに備わるGRINレンズを前記入射面と平行な面に投影したとき、各GRINレンズの中心軸が互いに重ならない、
光接続装置。
【請求項2】
前記スペーサは、前記入射面から距離の等しい位置の厚みが等しく、前記入射面から距離の異なる位置の厚みが異なり、
前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズは、前記スペーサと前記2次元ファイバアレイとの接続面で焦点を結ぶレンズ長を有する、
請求項1に記載の光接続装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記入射面から距離の等しい位置の厚みが等しく、前記入射面から距離の異なる位置の厚みが異なり、
前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズは、前記スペーサと前記2次元ファイバアレイとの接続面で焦点を結ぶ屈折率分布定数を有する、
請求項1に記載の光接続装置。
【請求項4】
前記2次元GRINレンズアレイは、
前記2次元ファイバアレイに備わる各光ファイバのNAに応じた屈折率分布定数のGRINレンズが2次元配列され、前記スペーサに接続される第1の2次元GRINレンズアレイと、
1/4ピッチを超えるレンズ長を有し、前記プリズムで取り出された各光を、前記第1の2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズに入射させる第2の2次元GRINレンズアレイと、
を備える請求項1に記載の光接続装置。
【請求項5】
前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズのレンズ長は、nを自然数とした場合、1/2ピッチ又はn+1/2ピッチであり、
前記プリズムから前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズへの各光の入射位置は、前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズの中心軸と異なり、
前記2次元ファイバアレイに備わる各光ファイバのコアが、前記2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズの中心軸の延長線とは異なる位置に接続されている、
請求項1に記載の光接続装置。
【請求項6】
前記スペーサを透過した各光を透過する第3の2次元GRINレンズアレイを、前記スペーサと前記2次元ファイバアレイとの間にさらに備え、
前記第3の2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズのレンズ長は、nを自然数とした場合、1/2ピッチ又はn+1/2ピッチであり、
前記第3の2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズの中心軸が、前記スペーサを透過した各光の焦点と異なる位置に配置され、
前記2次元ファイバアレイに備わる各光ファイバのコアが、前記第3の2次元GRINレンズアレイに備わる各GRINレンズの中心軸と異なる位置に接続されている、
請求項1に記載の光接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光回路と光ファイバを接続するための光接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SMF(Single Mode Fiber)と接続可能な光回路が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。光回路の導波路間隔は、SMFと接続するため、光ファイバの外径以上にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップの経済化及び小型化のためには、光回路の導波路間隔を狭くすることが重要である。そこで、本開示は、光回路の導波路間隔を狭くすることの可能な光接続装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光接続装置は、プリズム、二次元GRIN(Gradient Index)レンズ、二次元ファイバアレイを備え、光回路と光ファイバを接続するための光接続装置において表面実装を適用する。
【0006】
具体的には、本開示の光接続装置は、
N及びMを2以上の自然数とした場合に、光回路から出射されたN×Mの光を取り出すプリズムと、
GRIN(Gradient Index)レンズが前記N×Mに配列され、前記プリズムで取り出された各光を集光する2次元GRINレンズアレイと、
前記プリズムでの光路長に等しい光路長を有し、前記2次元GRINレンズアレイから出射されたN×Mの光を透過させるスペーサと、
前記GRINレンズの各焦点に光ファイバの端面が配置されているN×Mの光ファイバを保持し、前記スペーサを透過したN×Mの光をN×Mの光ファイバに伝搬させる2次元ファイバアレイと、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光回路の導波路間隔を狭くすることの可能な光接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】第1の実施形態に係る光接続装置の概略構成図を示す。
【
図10】第2の実施形態に係る光接続装置の構成例を示す。
【
図11】GRINレンズでの光線軌跡の一例を示す。
【
図12】第3の実施形態に係る光接続装置の構成例を示す。
【
図13】2次元GRINレンズアレイに備わるGRINレンズのピックアップ図を示す。
【
図14】第4の実施形態に係る光接続装置の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0010】
(光接続装置の基本構成)
図1に、本開示に係る光接続装置の構成例を示す。本開示に係る光接続装置は、プリズム30、2次元GRINレンズアレイ10及び2次元ファイバアレイ20を備える。プリズム30、2次元GRINレンズアレイ10及び2次元ファイバアレイ20は、z軸方向に、直列に接続されている。2次元GRINレンズアレイ10は、複数のGRINレンズ11を備える。2次元ファイバアレイ20は、複数の光ファイバ21を備える。
【0011】
本開示は、光回路からの出射光L3A,L3B,L3C,L3Dがプリズム30の入射面31に入射され、プリズム30の反射面32で反射された光L4A,L4B,L4C,L4Dが出射面33から出射され、GRINレンズ11に入射される。プリズム30からGRINレンズ11に入射した各光は光ファイバ21に集光される。これにより、光L5A,L5B,L5C,L5Dが光ファイバ21から出射される。例えば、ミラー42Aで反射された光L2は、光L3Aとしてプリズム30に入射される。
【0012】
図2に、本開示に係る光回路の一例を示す。光回路40は、光導波路41が形成された回路であり、シリコンフォトニクス及びPLC(Planar Lightwave Circuit)を含む。
【0013】
図2(A)は光回路のx-z平面における構成を示し、
図2(B)は
図2(A)におけるA-A’断面を示す。本開示に係る光回路40は、間隔Ggで平行にx軸方向に配列されている光導波路41を備える。各光導波路41の端部に、LD50が接続されている。
【0014】
図2(B)に示すように、各LD50からの光L1は、光導波路41を導波し、光導波路41に配置されているミラー42で反射される。反射された光L2は、光回路40の上面43から出射される。この光L2が、出射光L3A,L3B,L3C,L3Dとしてプリズム30に入射される。
【0015】
ここで、隣接する光導波路41に配置されるミラー42は、z軸方向にずらして配置されている。
図2(A)では、一例として、z軸方向の4箇所にミラー42を配置する、4×10の2次元配置を採用している。これにより、x軸方向におけるミラー42の間隔Gmxを間隔Ggの4倍に広げている。間隔Gmxは、光ファイバ21の配置可能な間隔であり、例えば125μm以上又は80μm以上である。
【0016】
ここで、光回路40におけるミラー42の配置は4×10に限定されない。例えば、2以上の任意の自然数をN及びMとして、光回路40からN×Mの光が出射されうる。プリズム30は、x軸方向の間隔Gg及びGmxを維持した状態で、N×Mの光を取り出す。以下、本開示の一例として、N=4かつM=10の例について説明する。
【0017】
また、光導波回路41からのプリズム30への出射は、ミラー構造とは限らない。光導波路を導波する光をプリズム30に効率的に出射するものであればよく、ミラー以外に、プリズム構造、グレーティング構造が挙げられる。
【0018】
図3に、
図1におけるA-A’断面図の一例を示す。A-A’断面図は、2次元GRINレンズアレイ10の断面を示す。2次元GRINレンズアレイ10は、複数のGRINレンズ11
A1~11
A10,11
B1~11
B10,11
C1~11
C10,11
D1~11
D10と、各GRINレンズ11
A1~11
A10,11
B1~11
B10,11
C1~11
C10,11
D1~11
D10の周囲を覆うキャピラリ12と、を備える。以下の開示では、GRINレンズ11
A1~11
A10,11
B1~11
B10,11
C1~11
C10,11
D1~11
D10について個別に特定する必要のない場合は「11」と表記する。
【0019】
複数のGRINレンズ11は、ミラー42の配置に対応した、10×4の2次元配列である。x軸方向におけるGRINレンズ11の中心軸の間隔G4xは、ミラー42の間隔Gmxに等しい。y軸方向におけるGRINレンズ11の中心軸の間隔G4yは、ミラー42のz軸方向の間隔G4z及び角度θに応じて定められる。
【0020】
平面PA上に投影したGRINレンズ11A1とGRINレンズ11B1の間隔、平面PA上に投影したGRINレンズ11C1とGRINレンズ11D1の間隔は、いずれも光導波路41の間隔Ggに等しい。このように、本開示は、複数のGRINレンズ11を共通のx-z平面に投影した各GRINレンズ11の中心軸は、互いに重ならず、光導波路41の間隔Ggで並ぶ。
【0021】
x軸方向に配列されているGRINレンズ11の中心軸は同一平面上に配置されている。例えば、GRINレンズ11A1~11A10は平面PA上に配置され、GRINレンズ11B1~11B10は平面PB上に配置され、GRINレンズ11C1~11C10は平面PC上に配置され、GRINレンズ11D1~11D10は平面PD上に配置されている。このように、Nの値の等しい光を導波するGRINレンズは同一面上に配置される。
【0022】
図4に、
図1に示すB-B’断面図の一例を示す。B-B’断面図は、2次元ファイバアレイ20の断面を示す。2次元ファイバアレイ20は、複数の光ファイバ21
A1~21
A10,21
B1~21
B10,21
C1~21
C10,21
D1~21
D10と、各光ファイバ21
A1~21
A10,21
B1~21
B10,21
C1~21
C10,21
D1~21
D10の周囲を覆うキャピラリ22と、を備える。以下の開示では、GRINレンズ21
A1~21
A10,21
B1~21
B10,21
C1~21
C10,21
D1~21
D10について個別に特定する必要のない場合は「21」と表記する。
【0023】
光ファイバ21のコアの中心軸は、接続されるGRINレンズ11に対応する位置に配置される。例えば、複数の光ファイバ21のコアは、ミラー42の配置に対応した、10×4の2次元配列である。例えば、y軸方向における光ファイバ21同士の間隔G5yはG4yに等しく、x軸方向におけるファイバ21同士の間隔G5xはG4xに等しい。
【0024】
本開示は、間隔G5x及びG5yに配列された光ファイバ21を用いて、LD50からの光を取り出すことができる。ここで、本開示は、光ファイバ21同士の間隔を広くすることができるため、光ファイバ21同士のクロストークを低減することができる。間隔Gg及び間隔G5xの値の組合せは任意であるが、例えば、間隔Ggが50μmの場合であっても、間隔G5xを200μmにすることができる。
【0025】
本開示では、LD50が光回路40に接続される例を示したが、本開示はLD50に限定されない。例えば、LD50に代えて、トランシーバ、レシーバ等の送受信モジュール用素子を適用することができる。さらに、光回路40に代えて、ボード内配線やマルチコアファイバとの接続にも適用することができる。
【0026】
(プリズム内の光路)
本開示では、
図5を参照しながら、プリズム30内の光路について説明する。
図5において、「L
N」は
図1における光L3に相当する入射面31から反射面32までの光路を示し、「L
M」は
図1における光L4に相当する反射面32から出射面33までの光路を示す。「L
M」は入射面31と平行である。「b」はプリズム30の入射面31のz軸方向の長さを示す。「a」は、光路L
Nに相当する光が反射面32で反射する位置から入射面31までの距離を示す。「p」は第1の光路L
M(1)と第nの光路L
M(n)とのy軸方向における距離を示す。「q」は第1の光路L
N(1)と第nの光路L
N(n)とのz軸方向における距離を示す。本開示における角度「θ」は、反射面32と光路L
Nのなす角度、及び反射面32と光路L
Mのなす角度を示す。
【0027】
第nの光路をLN(n)、第nの光路をLM(n)とすると、c=a/tan(θ)より、次式で表される。
(数1)
LM=b-c=b-(a/tan(θ)) (式1)
(数2)
LN=a/sin(2θ) (式2)
【0028】
このため、プリズム30における光路LT(n)は次式で表される。
(数3)
LT(n)=LM(n)+LN(n)
=b-(a+p*(n-1))/tan(θ)
+(a+p*(n-1))/sin(2θ) (式3)
ここで、n=1,2,3・・・k
【0029】
一方、プリズム30内での光路LTの幾何学的長さは次式で表される。
(数4)
LT=LM+LN=(b-a/tan(θ))+a/sin(2θ) (式4)
【0030】
距離bは固定である。距離aは、ミラー42の間隔Gmzを調整することで、変化させることができる。また、角度θは、ミラー42の反射角度を調整することで、変化させることができる。このため、ミラー42の間隔Gmz、反射角度、及び角度θの少なくともいずれかを調整することで、光路LT(n)の光路長を調整することができる。
【0031】
光路長差ΔLTは次式で表される。
(数5)
ΔLT = LT(n) - LT(n-1)
=(LM(n) + LN(n)) - (LM(n-1) + LN(n-1))
=b - (a + p*( n - 1 )) / tan ( θ ) + ( a + p*( n - 1 )) / sin ( 2θ )
- (( b - ( a + p*(n-2 )) / tan ( θ ) + ( a + p*(n-2)) / sin ( 2θ ))
= - p/tan(θ) + p/sin(2θ) (式5)
【0032】
ここで、sin(2θ)=2sin(θ)cos(θ)、cos(2θ)=2cos(θ)2-1である。このため、光路長差ΔLTは次式で表される。
(数6)
ΔL=p*((-2cos(θ)2+1)/(2*sin(θ)cos(θ))
=-p*(cos(2θ)/sin(2θ)) (式6)
【0033】
ここで、θ<45°の場合、cos(2θ)>0、sin(2θ)>0であるため、ΔL
T<0、つまりnが小さいほど光路長は長い。このため、
図1に示す光L3A~L3Dの場合、入射面31への入射位置が2次元GRINレンズアレイ10から最も遠い光L3Aの光路長が最も長く、入射面31への入射位置が2次元GRINレンズアレイ10から最も近い光L3Dの光路長が最も短くなる。
【0034】
次に、距離p及びqの関係について説明する。
(数7)
q=LM(n-1)-LM(n)
=b-(a+(n-2)*p)/tan(θ)
-(b-(a+(n-1)*P)/tan(θ))
=p/tan(θ) (式7)
【0035】
θ<45°の場合、tan(θ)<1であるため、式7よりq<pである。このため、θ<45°の場合、間隔G4yはミラー42の間隔Gmzより小さくなる。なお、θは必ずしも45°以下である必要はなく、45°以上90°未満でも問題ない。
【0036】
(第1の実施形態)
GRINレンズ11の両サイドで焦点を結ぶためには、nを正数とした場合、GRINレンズ11のレンズ長が1/2ピッチ又はn+1/2ピッチであり、かつ光路長が対称となる必要がある。そこで、本実施形態の光接続装置は、
図6に示すように、GRINレンズ11の両サイドで光路長を対称にするためのスペーサ60を備える。
図6では、理解が容易になるよう、入射面31から出射面33までの光路における反射面32を省略している。
【0037】
図7に、本実施形態に係る第1の構成例を示す。
図7に示す構成は、角度αが、光L3A及びL4Aの光路長、光L3B及びL4Bの光路長、光L3C及びL4Cの光路長、並びに光L3D及びL4Dの光路長が等しくなるように設定されている。角度αは、入射面31と出射面33とがなす角度である。
【0038】
また、GRINレンズ11A,11B,11C,11Dの屈折率分布定数及びレンズ長は等しく、スペーサ60の厚みz60A,z60B,z60C,z60Dは等しい。また、厚みz60Aのスペーサ60を伝搬した光の光路長は、光L3A及びL4Aの光路長に等しい。これにより、第1の構成例は、GRINレンズ11の両サイドで光路長が対称になっている。
【0039】
本構成では、角度β及び角度γが角度αに等しい。角度βは、接続面17と面15とがなす角度である。接続面17は、2次元GRINレンズアレイ10の端面のうちの、スペーサ60と接続されている端面である。面15は、入射面31の配置されている面であり、
図7では2次元GRINレンズアレイ10の底面を構成している例を示す。角度γは、接続面67と面65とがなす角度である。接続面67は、スペーサ60の端面のうちの、2次元ファイバアレイ20と接続されている端面である。面65は、入射面31の配置されている面であり、
図7ではスペーサ60の底面を構成している例を示す。これに伴い、2次元ファイバアレイ20の接続面26と底面25との角度がπ-αとなっている。
【0040】
本構成では、角度αが直角ではなく、接続面16、17、66、67、26が出射面33に平行である。このため、本構成の光接続装置は、接続面16、17、66、67、26での戻り光を防止することができる。
【0041】
図8に、本実施形態に係る第2の構成例を示す。第2の構成例は、角度αが90°であり、光L3A及びL4Aの光路長が最も長く、光L3D及びL4Dの光路長が最も短い。
【0042】
本構成では、GRINレンズ11A~11Dの屈折率分布定数が等しい。そこで、本構成では、GRINレンズ11A~11Dから出射された光が光ファイバ21A~21Dに焦点を結ぶよう、GRINレンズ11A~11Dのレンズ長すなわちレンズピッチと、スペーサ60における厚みz60A,z60B,z60C,z60Dと、が設定されている。このように、本構成のスペーサ60は、Nの値の等しい光に対しては厚みが等しく、Nの値の異なる光に対しては厚みが異なる。これにより、第2の構成例は、GRINレンズ11の両サイドで光路長を対称にすることができる。
【0043】
本構成では、角度β及びスペーサ60の屈折率を調整することで、角度γを直角にすることができる。このため、本構成の光接続装置は、市販の2次元ファイバアレイ20を用いることができ、スペーサ60への2次元ファイバアレイ20の接続が容易である。
【0044】
図9に、本実施形態に係る第3の構成例を示す。
図9に示す構成は、角度αが90°であり、光L3A及びL4Aの光路長が最も長く、光L3D及びL4Dの光路長が最も短い。
【0045】
本構成では、GRINレンズ11A~11Dのレンズ長すなわちレンズピッチが等しく、角度βが直角である。そこで、本構成では、GRINレンズ11A~11Dから出射された光が光ファイバ21A~21Dに焦点を結ぶよう、GRINレンズ11A~11Dのレンズ径及び屈折率分布定数の少なくともいずれかと、スペーサ60における厚みz60A,z60B,z60C,z60Dと、が設定されている。このように、本構成のスペーサ60は、Nの値の等しい光に対しては厚みが等しく、Nの値の異なる光に対しては厚みが異なる。これにより、第3の構成例は、GRINレンズ11の両サイドで光路長を対称にすることができる。屈折率分布定数の設定は、中心屈折率を変えてもよいし、周辺屈折率を変えてもよい。
【0046】
本構成では、角度α及び角度βが直角であるため、2次元GRINレンズアレイ10の加工が容易である。また、厚みz60A,z60B,z60C,z60Dが異なるため、角度γが直角ではない。このため、本構成の光接続装置は、接続面67及び26での戻り光を防止することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図10に、本実施形態に係る光接続装置の構成例を示す。光導波路41と光ファイバ21とでNA(Numerical Aperture)が異なる場合がある。そこで、本実施形態は、2種の2次元GRINレンズアレイ10P及び10Qを備える。
【0048】
図11に、2次元GRINレンズアレイ10P及び10Qでの光線軌跡の一例を示す。2次元GRINレンズアレイ10Pに備わるGRINレンズ11PA~11PDのレンズ長z
10Pは、光L4A~L4Dが収束し始めるよう、1/4ピッチよりも長くする。GRINレンズ11PAの中心軸とGRINレンズ11QAの中心軸とは同一直線上に配置される。他のGRINレンズ11PB~11PD及びGRINレンズ11QB~11QDについても同様である。これにより、ビーム径の小さくなった光L4A~L4Dが2次元GRINレンズアレイ10Qに備わるGRINレンズ11QA~11QDに入射される。
【0049】
2次元GRINレンズアレイ10Qに備わるGRINレンズ11QA~11QDの屈折率分布定数は、GRINレンズ11QA~11QDからの光が光ファイバ21A~21Dに入射するよう、光ファイバ21A~21DのNAに応じた値に設定されている。
【0050】
以上説明したように、本構成の光接続装置は、GRINレンズ11PA~11PDが光L4A~L4Dのビーム径を小さくし、GRINレンズ11QA~11QDが光ファイバ21A~21Dに入射させる。このため、本構成の光接続装置は、光導波路41側のNAが光ファイバ21と同等まで大きくできない場合に対応することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図12に、本実施形態に係る光接続装置の構成例を示す。本実施形態の光接続装置は、スペーサ60と2次元ファイバアレイ20との間に2次元GRINレンズアレイ70をさらに備える。距離p及びqの関係で説明したように、θ<45°の場合、間隔G4yはミラー42の間隔Gmzより小さくなる。本実施形態は、2次元GRINレンズアレイ70を備えることで、間隔G5yを間隔G4yよりも広げることができる。
【0052】
図13に、2次元GRINレンズアレイ70に備わるGRINレンズ71A~71Dのピックアップ図を示す。光L4A~L4Dは、GRINレンズ71A~71Dの中心軸73A~73Dよりも平面P
10y側から、GRINレンズ71A~71Dに入射される。平面P
10yは、
図3における平面PBと平面PCの中間に配置されている面である。
【0053】
GRINレンズ71A~71Dのレンズ長z70は、nを正数とした場合、1/2ピッチ又はn+1/2ピッチに設定されている。このため、GRINレンズ71Aの中心軸73Aと光L4Aとの間隔がG73Aの場合、平面P10yから光ファイバ21Aまでの距離は、平面P10yから光L4Aまでの距離よりも2G73A長い。GRINレンズ71B~71Dについても同様である。これにより、光ファイバ21同士の間隔G5yを、GRINレンズ11の中心軸の間隔G4yよりも大きくすることができる
【0054】
なお、間隔G73A、GRINレンズ71Bの中心軸73Bと光L4Bとの間隔G73B、GRINレンズ71Cの中心軸73Cと光L4Cとの間隔G73C、GRINレンズ71Dの中心軸73Dと光L4Dとの間隔G73Dは、同一であってもよいが、異なっていてもよい。
【0055】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る光接続装置は、第1及び第2の実施形態における2次元GRINレンズアレイ10に、第3の実施形態の2次元GRINレンズアレイ70の構成を適用する。
図14に、本実施形態に係る2次元GRINレンズアレイ10、スペーサ60及び2次元ファイバアレイ20のピックアップ図を示す。
【0056】
本実施形態では、2次元GRINレンズアレイ10に備わる各GRINレンズ11A~11Dの中心軸13A~13Dが、プリズム30で取り出された各光L4A~L4Dと異なる位置に配置されている。具体的には、光L4A~L4Dは、GRINレンズ11A~11Dの中心軸13A~13Dよりも平面P10y側から、GRINレンズ11A~11Dに入射される。
【0057】
各GRINレンズ11A~11Dのレンズ長は、nを正数とした場合、1/2ピッチ又はn+1/2ピッチである。このため、本実施形態では、2次元ファイバアレイ20に備わる各光ファイバ21A~21Dのコアが、2次元GRINレンズアレイ10に備わる各GRINレンズ11A~11Dの中心軸と異なる位置に接続されている。
【0058】
本実施形態では、光L4Aと中心軸13Aとの距離がG13Aの場合、平面P10yから光ファイバ21までの距離を、平面P10yから光L4Aまでの距離よりも2G13A広げることができる。
【0059】
(第5の実施形態)
図15に、
図12に示すA-A’断面図の一例を示す。Piは接続面76での光L4A~L4Dの入射位置を示し、Poは接続面77での光ファイバ21A~21Dの接続位置を示す。入射位置Piは、
図4に示す光ファイバ21の位置に配置されている。これに対し、本実施形態では、間隔G
73A~G
73Dを調整することで、x軸方向での間隔Ggのずれをなくした4×10の光ファイバ21を接続することができる。
【0060】
なお、2次元GRINレンズアレイ10において、2次元GRINレンズアレイ70に備わるGRINレンズ71B~71Dと同様の配置を採用してもよい。このように、GRINレンズ11の入射位置を光軸からずらすことにより、光ファイバ21側の焦点間隔を広げることができる。これにより、光ファイバ21同士の間隔G5yを、ミラー42の間隔Gmzより広くすることができる。
【0061】
上述の実施形態では、光ファイバ21を高密度に並べる例を示したが、本開示は光ファイバに限らずレーザダイオード他種類の光部品であってもその効果は同様であり、光ファイバに限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10、10P、10Q、70:2次元GRINレンズアレイ
11、11A、11B、11C、11D、11A1~11A10,11B1~11B10,11C1~11C10,11D1~11D10、11PA、11PB、11PC、11PD、11QA、11QB、11QC、11QD、71A、71B、71C、71D:GRINレンズ
12、12P、12Q:キャピラリ
13A、13B、13C、13D、73A、73B、73C、73D:GRINレンズの中心軸
15、15P、15Q、25、65:面
16、16P、16Q、17、17P、17Q、26、66、67、76、77:接続面
20:2次元ファイバアレイ
21、21A、21B、21C、21D、21A1~21A10,21B1~21B10,21C1~21C10,21D1~21D10:光ファイバ
22:キャピラリ
30:プリズム
31:入射面
32:反射面
33:出射面
40:光回路
41:光導波路
42、42A、42B、42C、42D:ミラー
50:LD
60:スペーサ