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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】miRNAを含むがん治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20231005BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231005BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K31/7088 ZNA
A61K31/713
A61K45/00
A61K47/42
A61P35/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020005751
(22)【出願日】2020-01-17
(62)【分割の表示】P 2019550876の分割
【原出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020055886
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2017216336
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521553243
【氏名又は名称】株式会社PURMX Therapeutics
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】田原 栄俊
(72)【発明者】
【氏名】木根原 匡希
(72)【発明者】
【氏名】山本 佑樹
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-171876(JP,A)
【文献】特開2010-222338(JP,A)
【文献】特表2015-519374(JP,A)
【文献】国際公開第2010/078037(WO,A1)
【文献】特開2008-239596(JP,A)
【文献】国際公開第2015/020122(WO,A1)
【文献】Int.J.Clin.Exp.Pathol.,2017年01月,Vol.10,p.409-416
【文献】Biochem.Biophys.Res.Commun.,2016年,Vol.469,pp.345-351
【文献】Oncol.Rep.,2017年02月,Vol.37,pp.961-968
【文献】Hepatology,2013年,Vol.57,pp.1919-1930
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
mature-miRNAとして機能するRNAを含むがん治療用医薬組成物であって、
前記RNAが、
(i)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNA;
(ii)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNAに対して、1~塩基の置換、付加、および/または欠失を有し、がん治療効果を有する、RNA;または、
(iii)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNAに対して、90%以上の配列相同性を有し、がん治療効果を有する、RNA;
を含み、
前記医薬組成物は、AAAAAAK(A6K)のアミノ酸配列で表されるペプチドを含む核酸トランスフェクション剤をさらに含む、
医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
前記がんが、固形がんであることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の医薬組成物であって、
前記固形がんが、大腸がん、膵臓がん、舌がん、中皮腫、子宮肉腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、または頭頸部がんであることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
前記RNAは、相補鎖と組み合わせた二本鎖RNAとして適用されることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の医薬組成物であって、
前記二本鎖RNAは、一部ミスマッチを含む二本鎖RNAであることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
前記RNAが、化学的に修飾されていることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の医薬組成物であって、
前記化学的修飾が、LNA化、BNA化、ENA化、2’-OMe修飾、ホスホロチオエート化、S-TuD化、モルフォリノ修飾、ペプチド付加、糖鎖付加、アプタマー付加、疎水性分子付加、高分子付加、および、非修飾DNA付加からなる群から選択される、1または複数の化学的修飾であることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、局所投与用であることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
他の抗がん剤と併用されることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項10】
請求項に記載の医薬組成物であって、
前記他の抗がん剤が、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害剤、抗がん性抗生物質、分子標的薬、ホルモン製剤、免疫調節薬、インターフェロン、インターロイキン、植物由来抗がん剤、BRM製剤からなる群から選択される、1または複数の抗がん剤であることを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項11】
mature-miRNAとして機能するRNAの、がん治療用医薬組成物の製造のための使用であって、
前記RNAが、
(i)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNA;
(ii)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNAに対して、1~塩基の置換、付加、および/または欠失を有し、がん治療効果を有する、RNA;または、
(iii)配列番号5で表される配列からなるmature-miRNAに対して、90%以上の配列相同性を有し、がん治療効果を有する、RNA;
を含み、
前記医薬組成物は、AAAAAAK(A6K)のアミノ酸配列で表されるペプチドを含む核酸トランスフェクション剤をさらに含む、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のmiRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物を含む、がん治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロRNA(以下、miRNA)は、ゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て、最終的に20~25塩基長程度の微小RNAとなる、機能性核酸である。miRNAは機能性のncRNA(non-coding RNA)に分類され、様々な生命現象(例えば、遺伝子の発現制御、等)において重要な役割を果たすことが解明されつつある。現在までに公知となっている種々のmiRNAは、ヒトのmiRNAも含め、miRBase(http://www.mirbase.org/参照)に登録されている。
【0003】
miRNAは、がん、心血管疾患、神経変性疾患、精神疾患、慢性炎症性疾患、等などの発症と進行に関わっていることが指摘されている。特に近年、miRNAが、細胞のがん化や細胞の老化に深く関与していることが指摘されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、miR-22が、細胞の老化を促進させ、がんの浸潤および/転移を抑制することが記載さている。また、特許文献2には、miR-34を含む組成物が、がんの治療に用い得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2011/078037
【文献】WO2008/137867
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、極めて多くのmiRNAの中から、がんに対して治療効果を有するmiRNAを鋭意探索した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その結果、本発明者らは、先行技術に記載のmiRNAよりも顕著に高いがん治療効果を有する特定のmiRNAを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0008】
すなわち本発明は、miRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物を含むがん治療用医薬組成物であって、
前記miRNAが、miR-3140、miR-137、miR-631、およびmiR-657からなる群から選択される1または複数のmiRNAであることを特徴とする、
医薬組成物に関する。
【0009】
本発明の一実施形態においては、前記がんが、固形がんであることを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態においては、前記固形がんが、大腸がん、膵臓がん、舌がん、中皮腫、子宮肉腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、または頭頸部がんであることを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態においては、前記miRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物は、pri-miRNA、pre-miRNA、2本鎖mature-miRNA、pre-miRNAの5’末端側から発現する1本鎖mature-miRNA、または、pre-miRNAの3’末端側から発現する1本鎖mature-miRNAであることを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態においては、前記miRNAが、
(i)配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNA;
(ii)配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAに対して、1~5塩基の置換、付加、および/または欠失を有し、がん治療効果を有する、miRNA;または、
(iii)配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAに対して、80%以上の配列相同性を有し、がん治療効果を有する、miRNA;
であることを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態においては、前記miRNAが、化学的に修飾されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態においては、前記化学的修飾が、LNA化、BNA化、ENA化、2’-OMe修飾、ホスホロチオエート化、S-TuD化、モルフォリノ修飾、ペプチド付加、糖鎖付加、アプタマー付加、疎水性分子付加、高分子付加、および、非修飾DNA付加からなる群から選択される、1または複数の化学的修飾であることを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施形態においては、前記医薬組成物が、核酸トランスフェクション剤をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の一実施形態においては、前記トランスフェクション剤が、脂質系トランスフェクション剤、ポリマー系トランスフェクション剤、磁気粒子系トランスフェクション剤、核酸デリバリー用エクソソーム、または、核酸デリバリー用ウイルスタンパク質であることを特徴とする。
【0017】
本発明の一実施形態においては、前記トランスフェクション剤は、GGGGDD(G4D2)、GGGGGGDD(G6D2)、GGGGGGGGDD(G8D2)、GGGGGGGGGGDD(G10D2)、AAAAAAD(A6D)、AAAAAADD(A6D2)、AAAAAAK(A6K)、AAAAAAKK(A6K2)、VVVVVVD(V6D)、VVVVVVDD(V6D2)、VVVVVVK(V6K)、VVVVVVKK(V6K2)、LLLLLLD(L6D)、LLLLLLDD(L6D2)、LLLLLLK(L6K)、または、LLLLLLKK(L6K2)のアミノ酸配列で表されるペプチドを含むトランスフェクション剤であることを特徴とする。
【0018】
本発明の一実施形態においては、本発明の医薬組成物は、局所投与用であることを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態においては、本発明の医薬組成物は、他の抗がん剤と併用されることを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施形態においては、前記他の抗がん剤が、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害剤、抗がん性抗生物質、分子標的薬、ホルモン製剤、免疫調節薬、インターフェロン、インターロイキン、植物由来抗がん剤、BRM製剤からなる群から選択される、1または複数の抗がん剤であることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の実施形態は、miRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物の、がん治療用医薬組成物の製造のための使用であって、
前記miRNAが、miR-3140、miR-137、miR-631、およびmiR-657からなる群から選択される1または複数のmiRNAであることを特徴とする、
使用に関する。
【0022】
本発明の他の実施形態は、がんの治療方法であって、
前記方法は、がん患者に対して、治療上有効量の、miRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物を含む抗がん用医薬組成物を適用するステップ、
を含み、
前記miRNAが、miR-3140、miR-137、miR-631、およびmiR-657からなる群から選択される1または複数のmiRNAであることを特徴とする、
治療方法に関する。
【0023】
上記に挙げた本発明の一または複数の特徴を任意に組み合わせた発明も、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施例における、miRNAのスクリーニングの流れを説明する。
図2図2は、本実施例における、miRNAのスクリーニングの流れを説明する。
図3図3は、miRNAのスクリーニングにおいて選別された、多くの種類のがん細胞に対して増殖抑制効果を示す、4つのmiRNAを示す。
図4図4は、本発明のmiRNAの、舌がん細胞株(HSC-4細胞、OSC19細胞)に対する効果を示す。
図5図5は、本発明のmiRNAの、舌がん細胞株(SAS細胞)に対する効果を示す。
図6図6は、本発明のmiRNAの、中皮腫細胞株(MSTO-211H細胞)に対する効果を示す。
図7図7は、本発明のmiRNAの、中皮腫細胞株(EHMES-10細胞)に対する効果を示す。
図8図8は、本発明のmiRNAの、子宮肉腫細胞株(MES-SA細胞)に対する効果を示す。
図9図9は、本発明のmiRNAの、骨肉腫細胞株(U2-OS細胞)に対する効果を示す。
図10図10は、本発明のmiRNAの、がん幹細胞株(MDA-MB231-luc-D3H2LN細胞)に対する効果を示す。
図11図11は、本発明のmiRNAの、肺がん細胞株(A549細胞)に対する効果を示す。
図12図12は、本発明のmiRNAの、大腸がん細胞株(SW620細胞、SW480細胞、HT29細胞)に対する効果を示す。
図13図13は、本発明のmiRNAの、インビボにおけるがん治療効果を示す。
図14図14は、腫瘍細胞移植後12、19、26、33日後における腫瘍組織のイメージング解析結果を示す。
図15図15は、図14におけるイメージング解析結果を定量したグラフを示す。
図16図16は、エンドポイントにおける腫瘍の重量を比較した結果を示す。
図17図17は、腫瘍細胞移植後における腫瘍組織のイメージング解析結果を示す。
図18図18は、エンドポイントにおける腫瘍の重量を比較した結果を示す。
図19図19は、実験7のスケジュールを示す。
図20図20は、miR-3140-3pを1回投与したときのイメージング結果を示す。
図21図21は、miR-3140-3pを1回投与したときのイメージング結果を示す。
図22図22は、miR-3140-3pを1回投与したときのマウスの生存率を示す。
図23図23は、miR-3140-3pを2回投与したときのイメージング結果を示す。
図24図24は、miR-3140-3pを2回投与したときのイメージング結果を示す。
図25図25は、miR-3140-3pを2回投与したときのマウスの生存率を示す。
図26図26は、miR-3140-3pを3回投与したときのイメージング結果を示す。
図27図27は、miR-3140-3pを3回投与したときのイメージング結果を示す。
図28図28は、miR-3140-3pを3回投与したときのマウスの生存率を示す。
図29図29は、実験8の結果を示す。
図30図30は、miR-3140-3pとシスプラチンの腫瘍抑制効果の比較を示す。
図31図31は、miR-3140-3pとシスプラチンの腫瘍抑制効果の比較を示す。
図32図32は、miR-3140-3pとシスプラチンの腫瘍抑制効果の比較を示す。
図33図33は、miR-3140-3p投与群とシスプラチン投与群の生存率の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、miRNA(micro-RNA)をコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物を含むがん治療用医薬組成物に関する。一般的なmiRNAは、連続したプロセスを経て生合成される。miRNAをコードする遺伝子の一次転写産物はPrimary miRNA転写物(pri-miRNA)と呼ばれ、一般的に、ステムループのヘアピン構造を有する。pri-miRNAは、マイクロプロセッサ複合体により切断され、RNase III系酵素であるDroshaによりヘアピン形態をとり、70塩基程度の中間前駆体であるprecursor miRNA (pre-miRNA)が産生される。その後、pre-miRNAは核より細胞質へと移送される。細胞質では、別のRNaseIII酵素であるDicerによりさらに切断され、2本鎖mature miRNAが産生される。一般的に、2本鎖のうち、前駆体の5’末端側から発現するものに“-5p”、3’末端側から発現するものに“-3p”を付加し、“hsa-miR-21-5p”、“hsa-miR-21-3p”のように表記される。なお、公知のmiRNAについては、原則としてmiRBase(http://www.mirbase.org/)に登録される。
【0026】
なお、mature miRNAの一方の鎖のみが所望の効果を奏する場合もあり、それぞれの鎖が所望の効果を奏する場合もあり、2本鎖の状態で所望の効果を奏する場合もある。また、pri-miRNAの状態やpre-miRNAの状態で所望の効果を奏することもあり得る。
【0027】
本発明の組成物に含まれる核酸は、miR-3140、miR-137、miR-631、および、miR-657からなる群から選択される1または複数のmiRNAをコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物であってよく、また、当該核酸の機能を保持する変異体または改変体であってもよい。
【0028】
本発明の一実施形態において使用される、miR-3140をコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物の配列は以下のとおりである。
【表1】
なお、miR-3140のpri-miRNAをコードするIntron領域の配列を、配列番号4に示す。
【0029】
本発明の一実施形態において使用される、miR-137をコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物の配列は以下のとおりである。
【表2】
なお、miR-137のpri-miRNAをコードするIntron領域の配列を、配列番号7に示す。
【0030】
本発明の一実施形態において使用される、miR-631をコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物の配列は以下のとおりである。
【表3】
なお、miR-631のpri-miRNAをコードするIntron領域の配列を、配列番号10に示す。
【0031】
本発明の一実施形態において使用される、miR-657をコードする遺伝子の転写産物またはそのプロセシング産物の配列は以下のとおりである。
【表4】
なお、miR-657のpri-miRNAをコードするIntron領域の配列を、配列番号13に示す。
【0032】
本発明の組成物に含まれる核酸は、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAに対して、1、2、3、4または5塩基の置換、付加、および/または欠失を有し、がん細胞の成長を阻害する効果を有する核酸であってよい。mature-miRNAに対する塩基の置換は、例えば本分野において知られているRNAの保存的置換であってよい。
【0033】
また、本発明の組成物に含まれる核酸は、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAに対して、80%以上(好ましくは、85%以上、90%以上、95%以上)の配列相同性(または、配列同一性)を有し、がん細胞の成長を阻害する効果を有する核酸であってよい。
【0034】
配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAは、本分野において一般的に使用されるRNA合成機器によって容易に製造することができ、特定の塩基を置換、付加、および/または、欠失させた核酸も同様に容易に製造することができる。また、多くの企業が核酸の受託合成を行っており、そのような企業から所望の配列のRNAを入手することも容易である。したがって、本分野における当業者であれば、常法により、過度の負担なく、配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号8、または、配列番号11で表される配列からなるmature-miRNAの変異体や改変体の性質や機能を調査することができる。
【0035】
また、本発明の組成物に含まれる核酸は、RNAの安定性や特異性等を向上させる目的で、本分野において公知の化学的修飾が施されていてよい。本発明に用い得る化学的修飾は、例えば、LNA(Locked Nucleic Acid)化、BNA(Bridged Nucleic Acid)化、ENA(2’-O,4’-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)化、2’-OMe修飾、ホスホロチオエート化(S化)、S-TuD(合成Tough Decoy)化、モルフォリノ修飾、ペプチド付加、糖鎖付加、アプタマー付加、コレステロール等の疎水性分子付加、PEG等の高分子付加、または、非修飾DNA付加であってよい。これらの化学的修飾は、本分野において知られている公知の手段によって行うことができる。
【0036】
本発明は、様々ながんの治療に用いることができるが、例えば固形がんに好適に用いることができる。より好ましくは、本発明の対象は、大腸がん、膵臓がん、舌がん、中皮腫、子宮肉腫、骨肉腫、乳がん、肺がん、または頭頸部がんであってよい。
【0037】
本発明をがん細胞へ適切に導入するため、本発明の組成物は、核酸トランスフェクション剤をさらに含んでよい。本発明に用いてよい核酸トランスフェクション剤の例としては、脂質系トランスフェクション剤、ポリマー系トランスフェクション剤、磁気粒子系トランスフェクション剤、核酸デリバリー用エクソソーム、または、核酸デリバリー用ウイルスタンパク質が挙げられる。
【0038】
脂質系トランスフェクション剤の例としては、カチオン性脂質が挙げられる。カチオン性脂質は、核酸―カチオン性脂質複合体がエンドサイトーシスを介して細胞に取り込まれ、細胞質に放出されることにより、核酸が細胞へ導入される(リポフェクション)。具体的には、例えば、市販されている様々なリポフェクション用試薬を用いてよい。
【0039】
ポリマー系トランスフェクション剤の例としては、例えば、カチオン性ポリマーが挙げられる。カチオン性ポリマーは、核酸と接触すると核酸-ポリマー複合体を形成し、複合体は、静電相互作用を介して細胞膜に付着し、エンドサイトーシスを介して細胞に取り込まれる。具体的には、カチオン性ペプチドおよびその誘導体(例えば、ポリリジン、ポリオルニチン)、直鎖または分岐鎖の合成ポリマー(例えば、ポリブレン、ポリエチレンイミン)、多糖ベースの導入分子(例えば、シクロデキストリン、キトサン)、天然ポリマー(例えば、ヒストン、コラーゲン)、および、活性型および非活性型デンドリマー等を用いてよい。また、ミセル化ナノ粒子を形成するブロックコポリマーを用いたトランスフェクション剤、カーボンナノホーンを用いるトランスフェクション剤等、いわゆるナノDDSにおいて用いられるトランスフェクション剤も、本発明に使用することができる。
【0040】
磁気粒子系トランスフェクション剤の例としては、陽イオン分子でコートされた磁気粒子を用いたトランスフェクション剤が挙げられる。磁気粒子系トランスフェクション剤は、磁気粒子の表面に核酸を接着させた後、当該磁気粒子を磁気によって細胞内へ導入することにより、トランスフェクションを実行する。具体的には、例えば、市販されている様々なトランスフェクション用磁気粒子を用いてよい。
【0041】
また、一般的に利用可能なエクソソームを用いた核酸のトランスフェクション剤や、アデノウイルス等のウイルスタンパク質を利用したトランスフェクション剤も、本発明に使用することができる。
【0042】
さらに、本発明においては、GGGGDD(G4D2)(配列番号14)、GGGGGGDD(G6D2)(配列番号15)、GGGGGGGGDD(G8D2)(配列番号16)、GGGGGGGGGGDD(G10D2)(配列番号17)、AAAAAAD(A6D)(配列番号18)、AAAAAADD(A6D2)(配列番号19)、AAAAAAK(A6K)(配列番号20)、AAAAAAKK(A6K2)(配列番号21)、VVVVVVD(V6D)(配列番号22)、VVVVVVDD(V6D2)(配列番号23)、VVVVVVK(V6K)(配列番号24)、VVVVVVKK(V6K2)(配列番号25)、LLLLLLD(L6D)(配列番号26)、LLLLLLDD(L6D2)(配列番号27)、LLLLLLK(L6K)(配列番号28)、または、LLLLLLKK(L6K2)(配列番号29)のアミノ酸配列で表されるペプチドを含むトランスフェクション剤を用いてよく、特にAAAAAAD(A6D)またはAAAAAAK(A6K)を好適に用いることができる。これらのペプチドのトランスフェクション剤としての効果は、例えばWO2010/024262に開示されている。
【0043】
本発明のがん治療用医薬組成物は、本分野において公知の他の抗がん剤と併用することができる。併用される他の抗がん剤は限定されないが、例えば、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害剤、抗がん性抗生物質、分子標的薬、ホルモン製剤、免疫調節薬、インターフェロン、インターロイキン、植物由来抗がん剤、BRM製剤からなる群から選択される、1または複数の抗がん剤を用いることができる。
【0044】
本発明のがん治療用医薬組成物と本分野において公知の他の抗がん剤との併用の態様は限定されず、対象とするがんの種類や治療ステージ等に応じて、当業者(例えば、医師)が様々な態様で実施することができる。本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とは、同時又は異時に対象に投与されてよい。また、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とは、それぞれを含む配合剤として準備され、対象へ投与されてもよい。また、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とは、それぞれを別々に備えるキットとして準備されてもよい。
【0045】
本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とを同時に投与する態様としては、例えば、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とを含む配合剤を対象へ投与する態様であってよい。
【0046】
本発明において、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とを異時に投与する態様としては、例えば、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とを、時間をずらしてそれぞれ投与する態様であってよく、また、例えば、本発明のがん治療用医薬組成物と他の抗がん剤とを異なる投与経路から投与する態様であってよい。
【0047】
本発明のがん治療用医薬組成物の投与経路は限定されず、全身投与であっても、局所投与であってもよい。投与経路としては、例えば、舌下投与を含む経口投与、吸入投与、カテーテルや注射による標的組織に対する直接投与、点滴を含む静脈内投与、貼付剤等による経皮投与、座薬、または、経鼻胃管、経鼻腸管、胃ろうチューブ、もしくは腸ろうチューブ等を用いる強制的経腸栄養法による投与等の非経口投与を挙げることができる。
【0048】
本発明のがん治療用医薬組成物の剤型は、前記投与経路に応じて適宜決定してよく、限定はされないが、注射剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ等に溶解した水剤、貼付剤、座薬剤等を挙げることができる。
【0049】
本発明の医薬組成物を投与する対象は限定されず、例えば、哺乳動物(ヒト、ブタ、ウシ、サル、ヒヒ、イヌ、ネコ、ラット、マウス等)に対して本発明を用いることができる。しかし、好ましくない場合には、ヒトを対象から除くこともできる。
【0050】
本発明の医薬組成物の対象への投与方法(投与経路、投与量、1日の投与回数、投与のタイミング、等)は限定されず、対象の健康状態、疾患の程度、併用する薬剤の種類等に応じて、当業者(例えば、医師)が適宜決定することができる。
【0051】
本明細書において用いられる用語は、特に定義されたものを除き、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
【0052】
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
【0053】
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
【0054】
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
【実施例
【0055】
実験1:細胞の老化誘導能の高いmiRNAのスクリーニング
【0056】
(1)全miRNAのTIG-3細胞へのトランスフェクション(図1
【0057】
全2028種類のmiRNA(mirVana;Ambion)を、自動分注機Bravo(Agilent)を用いて、TIG-3細胞(ヒト線維芽細胞)へトランスフェクションした。トランスフェクションは以下の手順によって実施した。
【0058】
1:70μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))に対して0.35μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液を、Bravoを用いて96well plate(μ-plate;ibidi)に加えた。
3:2にmiRNA(Stock Conc. 2μM)を、Bravoを用いて0.7μL加え、ピペッティングにより混和した。
4:室温で20分間インキュベートした。
5:3.5×10cells/mLに希釈した細胞懸濁液を、Bravoを用いて70μLずつ分注した。
6:37℃,5%CO条件下でインキュベートした。
【0059】
(2-1)トランスフェクション細胞の染色
【0060】
トランスフェクションを行った日を0日として、5日後に細胞数と細胞の大きさを評価するため、染色を行った。以下にその手順を示した。
【0061】
1:PBS(-)を用いて2回洗浄を行った。
2:3.7%ホルマリン溶液を加え、室温で10分間インキュベートし細胞を固定した。
3:PBS(-)を用いて2回洗浄を行った。
4:Stain Solutionを加え、室温で30分間インキュベートし、染色した。
5:PBS(-)を用いて3回洗浄を行った。
6:染色し終わったプレートは、自動写真撮影装置Operetta(Perkin Elmer)を用いて全視野撮影を行った。
7:撮影した写真は、画像解析ソフトColumbus(Perkin Elmer)を用いて定量解析を行った。
【0062】
【表5】
【0063】
(2-2)トランスフェクション細胞のSA-β-ガラクトシダーゼアッセイ
【0064】
トランスフェクションを行った日を0日として、7日目にSA-β-ガラクトシダーゼアッセイを行った。操作手順を以下に示した。
【0065】
1:PBS(-)を用いて2回洗浄した。
2:2%ホルマリン溶液を加え、室温で5分間インキュベートし細胞を固定した。
3:PBS(-)を用いて2回洗浄した。
4:β-Gal stain solutionを用事調製し、ウェルに加えた。
5:37℃で12-16時間インキュベートした。
6:染色し終わったプレートは、自動写真撮影装置Opera(Perkin Elmer)を用いて撮影した。
【0066】
【表6】
【0067】
(3)スクリーニングの結果解析(図2
得られた細胞数、細胞の大きさの数値をそれぞれ、ネガティブコントロールであるランダム配列miRNAの数値およびポジティブコントロールであるmiR-34a-5pの数値を用いてスコア化した。スコア化の方法を以下に示した。
【0068】
各プレート内において
1:ネガティブコントロールの値からポジティブコントロールの値を引いた。
2:ネガティブコントロールの値からそれぞれのmiRNAの値を引いた。
3:2の値を1の値で割り、スコア値とした。
4:横軸に細胞数のスコア値を縦軸に細胞の大きさのスコア値を取り散布図を描いた。
5:miR-22-3pおよびmiR-22-5pのスコア値よりも少なくとも一方が高いスコア値を示したmiRNAを老化誘導miRNA候補として579種類同定した。
6:579種類の候補中、細胞老化マーカーであるβ-ガラクトシダーゼの活性化を誘導したmiRNAを老化誘導miRNAとして349種類同定した。
【0069】
実験2:がん細胞株を用いたさらなるスクリーニング
【0070】
スクリーニングで得られた349種類の老化誘導miRNA(mirVana;Ambion)を、自動分注機Bravo(Agilent)を用いて、各種がん細胞株(大腸がん細胞株HCT116(p53野生型およびp53欠損)、膵臓がん細胞株BxPC-3およびCFPAC-1、舌がん細胞株HSC-4)へトランスフェクションした。
トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0071】
1:70μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))に対して0.35μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液を、Bravoを用いて96well plate(μ-plate;ibidi)に加えた。
3:2にmiRNA(Stock Conc. 200nM)をBravoを用いて0.7μL加え、ピペッティングにより混和した。
4:室温で20分間インキュベートした。
5:3.5×10cells/mL希釈した細胞懸濁液をBravoを用いて70μLずつ分注した。
6:37℃,5%CO条件下でインキュベートした。
【0072】
トランスフェクションを行った日を0日として、5日目に細胞生存率をPrestoBlue(Invitrogen)を用いて評価した。以下に操作手順を示した。
【0073】
1.20倍希釈したPrestoBlueを含む培地に交換し、37℃で1時間インキュベートした。
2.Enspire(Perkin Elmer)を用いて蛍光値(Ex/Em=560nm/590nm)を測定した。
3.試薬のみのウェルから得られる蛍光値をバックグラウンドとして、細胞生存率を求めた。
【0074】
上記の手順をそれぞれのがん細胞株(大腸がん細胞株HCT116(p53野生型およびp53欠損)、膵臓がん細胞株BxPC-3およびCFPAC-1、舌がん細胞株HSC-4)について実施し、miR-34a-5pよりも有意に細胞増殖を抑制するmiRNAを選別した。
【0075】
すべての細胞株で共通してmiR-34-5pよりも有意に細胞増殖を抑制したmiRNAを選別した結果、4つのmiRNA(miR-137-3p,miR-631-5p,miR-657-3p,miR-3140-3p)が見出された(図3)。
【0076】
実験3.各種がん細胞株を用いた細胞増殖抑制効果の確認
【0077】
(1)舌がん細胞株(HSC-4,OSC-19)(図4
【0078】
舌がん細胞株(HSC-4,OSC-19)へ4つのmiRNA(miR-137-3p,miR-631-5p,miR-657-3p,miR-3140-3p)をトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0079】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液に核酸(Control,miR-137-3p,miR-631-5p,miR-657-3p,miR-3140-3p,4つのmiRNAの等量混合物)をそれぞれ1μLずつ加えた。(終濃度10nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×10cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mm dishに加えた。
5:37℃,5%CO条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後5日後に細胞計数を行った。
【0080】
図4に示すとおり、いずれの舌がん細胞株においても、4つのmiRNAは細胞増殖抑制効果を示した。
【0081】
(2)舌がん細胞株(SAS)(図5
【0082】
舌がん細胞株(SAS)へ4つのmiRNA(miR-137-3p,miR-631-5p,miR-657-3p,miR-3140-3p)をトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0083】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液にmiRNA溶液をそれぞれ4μLずつ加えた(表3参照)。(終濃度10nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×10cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mmdishに加えた。
5:37℃,5%CO条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後2日後に再び1-3の操作を行った。
7:6により調製した溶液を5で培養中のdishにそれぞれ添加した。
8:最初のトランスフェクション後7日後に細胞計数を行った。
【0084】
図5に示すとおり、4つのmiRNAは、いずれも舌がん細胞株SASに対して細胞増殖抑制効果を示した。
【0085】
【表7】
【0086】
(3)悪性胸膜中皮腫細胞株、子宮肉腫細胞株、骨肉腫細胞株(図6~9)
【0087】
上記の4つのmiRNAのうち、特に細胞増殖抑制効果が高かったmiR-3140-3pを悪性胸膜中皮腫細胞株(MSTO-211HおよびEHMES-10)、子宮肉腫細胞株(MES-SA)、骨肉腫細胞株(U2-OS)へそれぞれトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。比較対象として、先行研究において細胞増殖抑制効果が示されているmiR-22-3pおよびmiR-34a-5pを用いた。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0088】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液にmiR-ControlまたはmiR-3140-3p,miR-22-3p,miR-34a-5p(stock conc. 20μM)をそれぞれ1μL加えた。(終濃度10nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×10cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mmdishに加えた。
5:37℃,5%CO条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後4日後に細胞計数を行った。
【0089】
図6~9に示すとおり、いずれの細胞株においても、miR-3140-3pは、先行技術であるmiR-22-3pおよびmiR-34a-5pと比較して、極めて高い細胞増殖抑制効果を示した。
【0090】
(4)乳がん幹細胞株(MDA-MB231-luc-D3H2LN細胞)(図10
【0091】
miR-3140-3pを、乳がんの高転移がん細胞株(MDA-MB231-luc-D3H2LN細胞)へトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。比較対象として、先行研究において細胞増殖抑制効果が示されているmiR-22-3pおよびmiR-34a-5pを用いた。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0092】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液にmiR-ControlまたはmiR-3140-3p,miR-22-3p,miR-34a-5p(stock conc. 2μM)をそれぞれ12.5μL加えた。(終濃度12.5nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×104cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mmdishに加えた。
5:37℃,5%CO2条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後4日後に細胞計数を行った。
【0093】
また、下記の手順により、miR-3140-3pをトランスフェクションした乳がん細胞におけるアポトーシスマーカーAnnexin Vの発現を解析した。
1:上記と同様の手順で、miR-3140-3pのトランスフェクションを行なった。
2:トランスフェクション6日後に細胞を上清ごと回収した。
3:Annexin V assay kitのプロトコルに従い、FACS用サンプルを調製した。
4:Annexin V-FITCにより染色した細胞を、がん幹細胞マーカーであるCD44に対する抗体(eBioScience)を用いて染色した。
5:調製したサンプルを、セルソーター(SONY)を用いて解析した。
【0094】
図10の上段に示すとおり、miR-3140-3pは、乳がん幹細胞株(MDA-MB231-luc-D3H2LN細胞)に対して、極めて高い細胞増殖抑制効果を示した。
【0095】
また、図10の下段に示すとおり、miR-3140-3pをトランスフェクションして6日後の乳がん幹細胞においては、アポトーシスマーカーであるAnnexin Vが高度に陽性であった(96.97%)。すなわち、miR-3140-3pはがん幹細胞に対して顕著にアポトーシスを誘導することが示された。
【0096】
(5)肺がん細胞株(A549)(図11
【0097】
miR-3140-3pを、肺がん細胞株(A549)へトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。比較対象として、先行研究において細胞増殖抑制効果が示されているmiR-22-3pおよびmiR-34a-5pを用いた。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0098】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液にmiR-ControlまたはmiR-3140-3p,miR-22-3p,miR-34a-5p(stock conc. 20μM)をそれぞれ1μL加えた。(終濃度10.0nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×10cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mmdishに加えた。
5:37℃,5%CO2条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後6日後に細胞計数を行った。
【0099】
図11に示すとおり、miR-3140-3pは肺がん細胞株(A549)に対して極めて高い細胞増殖抑制効果を示した。
【0100】
(6)大腸がん細胞株(SW620、SW480,HT29)(図12
【0101】
miR-3140-3pを、大腸がん細胞株(SW620、SW480、HT29)へトランスフェクションし、細胞の増殖を観察した。トランスフェクションは以下の手順で実施した。
【0102】
1:35mm dishに500μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))および5μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:1の溶液にmiR-ControlまたはmiR-3140-3p,miR-22-3p,miR-34a-5p(stock conc. 2μM)をそれぞれ12.5μL加えた。(終濃度10.0nM)
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×104cells/mLに希釈した細胞懸濁液を1.5mLずつ35mmdishに加えた。
5:37℃,5%CO2条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後7日後に細胞計数を行った。
【0103】
結果を図12に示した。コントロール導入細胞の細胞数100%とし、miR-3140-3pを導入した細胞の生存率を%で表した。図12に示すとおり、miR-3140-3pはいずれの大腸がん細胞株に対しても、極めて高い細胞増殖抑制効果を示した。
【0104】
実験4.本発明のmiRNAのin vivoにおける抗腫瘍効果(悪性胸膜中皮腫細胞)図13
【0105】
本発明のmiRNAのin vivoにおける抗腫瘍効果を確認するため、悪性胸膜中皮腫細胞を移植した実験動物を用いて実験を行った。
【0106】
(1)細胞調製
悪性胸膜中皮腫細胞MSTO-211H細胞を使用した。
1:ディッシュ上の細胞をPBS(-)で2回ウォッシュした。
2:トリプシンを用いて細胞を剥がした。
3:培地で懸濁し、細胞計数を行った。
4:1000rpm 3minの条件で遠心し、ペレットダウンした。
5:細胞を2.0×10cells/mLとなるようPBS(-)で再懸濁した。
【0107】
(2)マウスへの細胞移植
マウスは6週齢のC-B-17/Icr-scid/scid Jcl(SCID マウス)を使用した。SCIDマウスの皮下に調製した細胞懸濁液100μLを投与し、細胞を定着させた。
【0108】
(3)miRNA投与
コントロール配列であるネガティブコントロールと、本発明のmiRNAであるmiR-3140-3pを用いた。核酸デリバリー試薬として、A6K(3Dマトリックス社)を用いた。マウスへのmiRNAの投与は以下の手順で実施した。
【0109】
1:100μMの核酸(miRNA)を71.4μMとなるように、10%生理食塩水と滅菌水を用いて希釈した。
2:1%A6K溶液を使用前に5分間超音波処理を行った。
3:希釈した核酸と1%A6K溶液を1:1の割合で混合し、投与核酸とした。
4:SCIDマウス皮下(腫瘍部)に投与核酸を50μLずつ投与した。
【0110】
(5)評価
以下の手順で実験結果の評価を行った。
1:移植後4日後から、1日または2日おきに核酸を投与した。
2:計13回投与し、移植後34日後をエンドポイントとした。
3:マウスを解剖し、皮下にある腫瘍を摘出し、その重量を測定した。
【0111】
実験結果を図13に示す(n=3)。図13に示すとおり、腫瘍部にmiR-3140-3pを導入したマウスにおいては、コントロール群と比較して腫瘍の重量が有意に低かった。
【0112】
実験5.本発明のmiRNAのin vivoにおける抗腫瘍効果(悪性胸膜中皮腫細胞)図14~16)
【0113】
(1)細胞調製
悪性胸膜中皮腫細胞EHMES-10細胞を使用した。
1:ディッシュ上の細胞をPBS(-)で2回ウォッシュした。
2:トリプシンを用いて細胞を剥がした。
3:培地で懸濁し、細胞計数を行った。
4:1000rpm 3minの条件で遠心し、ペレットダウンした。
5:細胞を2.0×10cells/mLとなるようPBS(-)で再懸濁した。
【0114】
(2)マウスへの細胞移植
マウスは6週齢のC-B-17/Icr-scid/scid Jcl(SCID マウス)を使用した。SCIDマウスの皮下に調製した細胞懸濁液100μLを投与し、細胞を定着させた。
【0115】
(3)miRNA投与
コントロール配列であるネガティブコントロールと、本発明のmiRNAであるmiR-3140-3pを用いた。核酸デリバリー試薬として、A6K(3Dマトリックス社)を用いた。マウスへのmiRNAの投与は以下の手順で実施した。
【0116】
1:100μMの核酸(miRNA)を71.4μMとなるように、10%生理食塩水と滅菌水を用いて希釈した。
2:1%A6K溶液を使用前に5分間超音波処理を行った。
3:希釈した核酸と1%A6K溶液を1:1の割合で混合し、投与核酸とした。
4:SCIDマウス皮下(腫瘍部)に投与核酸を50μLずつ投与した。
【0117】
(5)評価
以下の手順で実験結果の評価を行った。
1:移植後2日後から、1日または2日おきに核酸を投与した。
2:計13回投与し、移植後33日後をエンドポイントとした。
3:移植後12、19、26、33日後にルシフェリンを腹腔内に投与し、イメージングを行うことで腫瘍の大きさをトレースした。
4:エンドポイントでマウスを解剖し、皮下にある腫瘍を摘出し、その重量を測定した。
【0118】
腫瘍細胞移植後12、19、26、33日後における腫瘍組織のイメージング解析結果を図14および図15に示す。図14および図15に示すとおり、腫瘍部にmiR-3140-3pを導入したマウスにおいては、コントロール群と比較して腫瘍の増大が抑制されていた。また、エンドポイントにおける腫瘍の重量を比較した図16においても、同様の結果が示された。
【0119】
実験6.本発明のmiRNAのin vivoにおける抗腫瘍効果(舌がん細胞)図17、18)
【0120】
(1)細胞調製
舌がん細胞株HSC-4細胞を使用した。
1:ディッシュ上の細胞をPBS(-)で2回ウォッシュした。
2:トリプシンを用いて細胞を剥がした。
3:培地で懸濁し、細胞計数を行った。
4:1000rpm 3minの条件で遠心し、ペレットダウンした。
5:細胞を2.0×10cells/mLとなるようPBS(-)で再懸濁した。
【0121】
(2)マウスへの細胞移植
マウスは6週齢のC-B-17/Icr-scid/scid Jcl(SCID マウス)を使用した。SCIDマウスの皮下に調製した細胞懸濁液100μLを投与し、細胞を定着させた。
【0122】
(3)miRNA投与
コントロール配列であるネガティブコントロールと、本発明のmiRNAであるmiR-3140-3p、miR-137、miR-631およびmiR-657を用いた。核酸デリバリー試薬として、A6K(3Dマトリックス社)を用いた。マウスへのmiRNAの投与は以下の手順で実施した。
【0123】
1:100μMの核酸(miRNA)を71.4μMとなるように、10%生理食塩水と滅菌水を用いて希釈した。
2:1%A6K溶液を使用前に5分間超音波処理を行った。
3:希釈した核酸と1%A6K溶液を1:1の割合で混合し、投与核酸とした。
4:SCIDマウス皮下(腫瘍部)に投与核酸を50μLずつ投与した。
【0124】
(5)評価
以下の手順で実験結果の評価を行った。
1:移植後3日後から、1日または2日おきに核酸を投与した。
2:計11回投与し、移植後28日後をエンドポイントとした。
3:移植後7、14、21、28日後にルシフェリンを腹腔内に投与し、イメージングを行うことで腫瘍の大きさをトレースした。
4:エンドポイントでマウスを解剖し、皮下にある腫瘍を摘出し、その重量を測定した。
【0125】
腫瘍細胞移植後における腫瘍組織のイメージング解析結果を図17に示す。図17に示すとおり、腫瘍部に本発明のmiRNAを導入したマウスにおいては、コントロール群と比較して腫瘍の増大が抑制されていた。また、エンドポイントにおける腫瘍の重量を比較した図18においても、同様の結果が示された。
【0126】
以上の結果から、本発明のmiRNAは、in vivoにおいても極めて高い抗腫瘍効果を奏することが示された。
【0127】
実験7.本発明のmiRNAのin vivoにおける抗腫瘍効果(悪性胸膜中皮腫細胞)図19~28)
【0128】
in vivoにおけるmiR-3140-3pの腫瘍抑制効果を、胸腔内同所移植モデルマウスを用いて検討した。
【0129】
マウスは、6週齢のオスのマウス(C-B-17/Icr-scid/scidJcl)を使用した。腫瘍細胞は、ルシフェラーゼ遺伝子を発現する悪性胸膜中皮腫細胞株EHMES-10を使用した。
【0130】
以下に実験の手順を示す。
1:マウス腹腔内に体重10gあたり0.1mLの塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合麻酔薬を投与した。
2:麻酔後マウス胸部の毛を剃り、ハサミで表皮を切開した。
3:マウス胸腔内に27Gのインスリン用シリンジを用いて、腫瘍細胞(3×10cells/mL)を100μL移植した。
4:移植後3日後、IVIS SpectrumCT In Vivo Imaging Systemを用いて、腫瘍細胞のイメージングを行なった。
5:イメージング後、移植に成功したマウスを用いて、群分けを行なった。
6:マウス腹腔内に体重10gあたり0.1mLの塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合麻酔薬を投与し、マウスを麻酔した。
7:麻酔後、マウス胸腔内にmiRNA/A6K混合物を100μL投与した。
8:最初のイメージングから1週間おきにイメージングを行い、腫瘍増大を観察した。
9:マウスの死亡日時を記録し、マウス生存率を算出した。
【0131】
投与およびイメージングのスケジュールを図19に示した。塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合麻酔薬は下記表4のように調製した。miRNA/A6K混合物は表5のように調製した。また、コントロール群においては、本発明のmiRNAのかわりに、表6に示すRNAを投与した。
【0132】
なお、発現効率を向上させるため、miRNAは、一部ミスマッチを含む相補鎖と組み合わせた二本鎖として投与した。

【表8】
【表9】
【表10】
【0133】
実験結果を図20図28に示す。
【0134】
miR-3140-3pを1回投与した群では2回目のイメージング(移植後10日目)には腫瘍の縮小が見られ、4回目のイメージング(移植後24日目)までその効果が持続していた(図20)。
【0135】
イメージング結果を数値化し、グラフにしたところ、miR-3140-3pは有意に腫瘍増大を抑制することが示された(図21)。
【0136】
マウスの生存率を比較したところ、miR-3140-3p投与群でマウスの生存率が向上していることが観察された(図22)。
【0137】
miR-3140-3pを2回および3回投与した群においても、1回投与した群と同様に、miR-3140-3pが有意に悪性胸膜中皮腫を抑制することが示された(図23~28)。
【0138】
マウスの生存率は、3回miR-3140-3pを投与した群で、より向上した(図28)。
【0139】
実験8.IC 50 値の算出図29
【0140】
悪性胸膜中皮腫細胞EHMES-10を用いてmiR-3140-3pのIC50値の算出を行なった。
【0141】
以下にその手順を示す。
1:25μLの無血清培地(Serum Free Medium(SFM))に対し0.25μLのRNAiMAX(Invitrogen)を加えた。
2:miR-ControlおよびmiR-3140-3pを終濃度が40nM、20nM、10nM、5nM、1nM、500pM、100pM、50pM、10pM、5pM、1pMとなるように段階希釈し、SFM/RNAiMAX複合体と混合した。
3:室温で20分間インキュベートした。
4:6.7×10cells/mLの細胞を75μLずつ各wellに加えた。
5:37℃、5%CO条件下でインキュベートした。
6:トランスフェクション後5日後にCell Counting Kit 8(DOJINDO)を用いて細胞の生存率を検討した。以下にその手順を示す
(i)Cell Counting Kit を培地で10倍希釈した。
(ii)各wellに200μLずつ希釈したCell Counting Kitを添加した。
(iii)37℃、5%CO条件下で1時間インキュベートした。
(iv)プレートリーダーを用いて450nm/600nmの値を測定した。
【0142】
なお、コントロールとしては、実験7で使用したものと同じコントロールRNAを用いた。
【0143】
結果を図29に示す。図29に示すとおり、miR-3140-3pは悪性胸膜中皮腫細胞株EHMES-10に対して、非常に低い濃度でも増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。IC50値を算出したところ、終濃度0.57nMであった。
【0144】
実験9.化学療法剤との抗腫瘍効果の比較図30~33)
【0145】
miR-3140-3pの抗腫瘍効果の相対的な優位性を検討するため、悪性胸膜中皮腫の第一選択薬であるシスプラチンの腫瘍抑制効果とmiR-3140-3pの腫瘍抑制効果をin vivoにて比較した。
【0146】
マウスは、6週齢のオスのマウス(C-B-17/Icr-scid/scidJcl)を使用した。腫瘍細胞は、ルシフェラーゼ遺伝子を発現する悪性胸膜中皮腫細胞株 EHMES-10を使用した。
【0147】
以下に手順を示す。
1:マウス腹腔内に体重10gあたり0.1mLの塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合麻酔薬を投与した。
2:麻酔後マウス胸部の毛を剃り、ハサミで表皮を切開した。
3:マウス胸腔内に27Gのインスリン用シリンジを用いて、腫瘍細胞(3×10cells/mL)を100μL移植した。
4:移植後4日後にIVIS SpectrumCT In Vivo Imaging Systemを用いて腫瘍細胞のイメージングを行なった。
5:イメージング後、移植に成功したマウスを用いて、群分けを行なった。
6:マウス腹腔内に体重10gあたり0.1mLの塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールの混合麻酔薬を投与し、マウスを麻酔した。
7:麻酔後、miRNA投与群にはmiRNA/A6K混合物を胸腔内に100μL、シスプラチン投与群にはシスプラチン(6mg/kg)を腹腔内に投与した。
8:最初のイメージングから1週間おきにイメージングを行い、腫瘍増大を観察した。
【0148】
混合麻酔薬は前掲の表4のように調製した。miRNA/A6K混合物は前掲の表5、表6のように調製した。シスプラチンは以下の表7のように調製した。

【表11】
【0149】
なお、コントロールとしては、実験7で使用したものと同じコントロールRNAを用いた。
【0150】
実験結果を図30~33に示す。各図に示すとおり、miR-3140-3pは、悪性胸膜中皮腫の第一選択薬でもあるシスプラチンと比較して、同等あるいはそれ以上の抗腫瘍効果を奏し得ることが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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【配列表】
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