(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】生理活性物質送達体
(51)【国際特許分類】
A61K 47/04 20060101AFI20231005BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231005BHJP
C01B 33/18 20060101ALI20231005BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20231005BHJP
A61K 38/46 20060101ALN20231005BHJP
A61K 38/38 20060101ALN20231005BHJP
A61K 38/17 20060101ALN20231005BHJP
A61K 31/713 20060101ALN20231005BHJP
A61K 31/4745 20060101ALN20231005BHJP
A61K 31/704 20060101ALN20231005BHJP
A61K 31/44 20060101ALN20231005BHJP
A61K 31/203 20060101ALN20231005BHJP
A61K 48/00 20060101ALN20231005BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20231005BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20231005BHJP
A61P 3/02 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
A61K47/04 ZNA
A61K9/14
C01B33/18 C
C01B33/18 E
A61K39/395 D
A61K38/46
A61K38/38
A61K38/17
A61K31/713
A61K31/4745
A61K31/704
A61K31/44
A61K31/203
A61K48/00
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P3/02 102
(21)【出願番号】P 2021075356
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2019563995の分割
【原出願日】2018-02-06
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2018-0014842
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517022072
【氏名又は名称】レモネックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEMONEX INC.
【住所又は居所原語表記】Seoul National University,1,Gwanak-ro,Gwanak-gu,Seoul,08826,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,チョルヘ
【審査官】平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-506972(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013751(WO,A1)
【文献】Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects,2014年,Vol.455,pp.111-121
【文献】Chem. Mater.,2010年,Vol.22,pp.3829-3831,Supporting Information(pp.1-16)
【文献】Adv. Mater.,1998年,Vol.10, No.16,pp.1376-1379
【文献】Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2009年,Vol.301,pp.152-158
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C01B33/00~33/193
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径5nm~100nmの複数の気孔を有し、
下記数式1の吸光度の比が1/2となるtが24以上であり、
外部表面または気孔内部が親水性置換基、疎水性置換基、陽電荷置換基または陰電荷置換基で改質され、
平均直径は、150nm~1000nmであることを特徴とする多孔性シリカ粒子。
[数式1]
A
t/A
0
(式中、A
0は、前記多孔性シリカ粒子1mg/mlの懸濁液5mlを直径50kDaの気孔を有する円筒状の透過膜に入れて測定した前記多孔性シリカ粒子の吸光度であり、
前記透過膜の外部には、前記透過膜と接し、前記懸濁液と同じ溶媒15mlが位置し、前記透過膜の内外部は、37℃で60rpmで水平攪拌され、
前記懸濁液のpHは、7.4であり、
A
tは、前記A
0の測定時からt時間経過後に測定した前記多孔性シリカ粒子の吸光度である。)
【請求項2】
前記tは、24~120である、請求項1に記載の多孔性シリカ粒子。
【請求項3】
生分解性である、請求項1または2に記載の多孔性シリカ粒子。
【請求項4】
球状である、請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔性シリカ粒子。
【請求項5】
BET表面積が200m
2/g~700m
2/gである、請求項1ないし
4のいずれかに記載の多孔性シリカ粒子。
【請求項6】
g当たりの体積が0.7ml~2.2mlである、請求項1ないし
5のいずれかに記載の多孔性シリカ粒子。
【請求項7】
前記粒子は、前記気孔に担持された親水性、疎水性または難溶性の化合物、陽電荷または陰電荷を帯びる化合物、親水性、疎水性または難溶性のペプチド、DNA、RNAおよびタンパク質からなる群より選択されるいずれかの生理活性物質をさらに含む、請求項1ないし
6のいずれかに記載の多孔性シリカ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性物質送達体に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達システムとは、医薬品の副作用を最小限に抑え、効能及び効果を極大化し、必要な量の薬物、例えば、タンパク質、核酸又はその他の低分子などを効率よく送達する医薬技術を意味する。新薬開発に必要なコストと時間を低減する効果を有する前記技術は、最近になってナノテクノロジーと結合し、医薬系において新たな付加価値を創出する先端技術の一分野として位置づけられている。米国と日本などの技術先進国では、去る80年代後半から、製薬会社などの企業を中心に新薬開発とともに薬物送達システムの開発に全力を注いでいる。
【0003】
これまでは、ウイルス遺伝子、組換えタンパク質、リポソーム(liposome)、陽イオン性高分子、並びに様々な形態のナノ粒子とナノ物質が、動物細胞内への薬物送達に使用されてきた。しかし、多くの陽イオン性リポソームと陽イオン性高分子は、細胞に強い毒性を示すため、臨床に適用するには不適なことが判明した。また、核酸の安定な細胞膜透過のために、核酸の主鎖を化学的に変形する方法も試みられた。しかし、この方法は、高コストで長時間がかかり、労働集約的な工程を必要とするため、臨床への適用には適していない。意味のある試みとして、量子ドット、磁性粒子又は金ナノ粒子を含む様々な形態のナノ粒子を用いる薬物送達システム(drug delivery system、DDS)が開発されている。その関連研究として、例えば「多孔性シリコン粒子を用いた画像診断薬物送達体及びその製造方法(大韓民国公開特許第2010‐0117433号)」などがある。しかし、これらの粒子は、細胞に毒性を示し、核酸などの生体高分子を導入するのに容易でない構造を有し、また細胞内への導入効率も低いという欠点があった。
【0004】
細胞内における生理活性物質の機能の研究または細胞内送達のためには、効率いい送達システムが必要となる。しかしながら、広範な生理活性物質を送達できる汎用的な送達システム、多量の薬物を収容及び送達できるシステム、薬物を徐放的に放出するシステムの開発は、まだ不十分な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、汎用的な生理活性物質送達体を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、様々な生理活性物質を徐放的に送達できる生理活性物質送達体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.生理活性物質と、該生理活性物質を担持し、直径5nm~100nmの複数の気孔を有する多孔性シリカ粒子とを含み、
前記多孔性シリカ粒子は、下記数式1の吸光度の比が1/2となるtが24以上である生理活性物質送達体。
[数式1]
At/ A0
(式中、A0は、前記多孔性シリカ粒子1mg/mlの懸濁液5mlを直径50kDaの気孔を有する円筒状の透過膜に入れて測定した多孔性シリカ粒子の吸光度であり、
前記透過膜の外部には、前記透過膜と接し、前記懸濁液と同じ溶媒15mlが位置し、前記透過膜の内外部は、37℃で60rpmで水平攪拌され、
前記懸濁液のpHは、7.4であり、
Atは、前記A0の測定時からt時間経過後に測定した多孔性シリカ粒子の吸光度である。)
【0008】
2.前記項目1において、前記懸濁液は、PBS(phosphate buffered saline)およびSBF(simulated body fluid)からなる群より選択される1種以上である生理活性物質送達体。
【0009】
3.前記項目1において、前記数式1のAtは、透過膜の外部の溶媒が所定の期間ごとに入れ替わる環境で測定したものである生理活性物質送達体。
【0010】
4.前記項目1において、前記tは、24~120である生理活性物質送達体。
【0011】
5.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、生分解性である生理活性物質送達体。
【0012】
6.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、前記数式1の吸光度の比が1/5となるtが70~120である生理活性物質送達体。
【0013】
7.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、前記数式1の吸光度の比が1/20となるtが130~220である生理活性物質送達体。
【0014】
8.前記項目1において、前記数式1の吸光度の比とtは、ピアソン相関係数が0.8以上である生理活性物質送達体。
【0015】
9.前記項目1において、前記気孔直径は、7nm~30nmである生理活性物質送達体。
【0016】
10.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、球状である生理活性物質送達体。
【0017】
11.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、平均直径が150nm~1000nmである生理活性物質送達体。
【0018】
12.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、BET表面積が200m2/g~700m2/gである生理活性物質送達体。
【0019】
13.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、BET表面積が300m2/g~450m2/gである生理活性物質送達体。
【0020】
14.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、g当たりの体積が0.7ml~2.2mlである生理活性物質送達体。
【0021】
15.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、g当たりの体積が1.0ml~2.0mlである生理活性物質送達体。
【0022】
16.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、外部表面または気孔内部に親水性置換基または疎水性置換基を有する生理活性物質送達体。
【0023】
17.前記項目1において、前記多孔性シリカ粒子は、外部表面または気孔内部が中性のpHで陽電荷または陰電荷を帯びる生理活性物質送達体。
【0024】
18.前記項目1において、前記生理活性物質は、難溶性であり、前記多孔性シリカ粒子は、外部表面または気孔内部に疎水性置換基を有する生理活性物質送達体。
【0025】
19.前記項目1において、前記生理活性物質は、難溶性であり、前記多孔性シリカ粒子は、気孔内部に疎水性置換基を、外部表面に親水性置換基を有する生理活性物質送達体。
【0026】
20.前記項目1において、前記生理活性物質は、中性のpHで陰電荷を帯びるものであり、前記シリカ粒子は、外部表面または気孔内部が中性のpHで陽電荷を帯びるものである生理活性物質送達体。
【0027】
21.前記項目1において、前記生理活性物質は、中性のpHで陽電荷を帯びるものであり、前記シリカ粒子は、外部表面または気孔内部が中性のpHで陰電荷を帯びるものである生理活性物質送達体。
【0028】
22.生理活性物質と、前記生理活性物質を担持し、粒径が150nm~500nmであり、直径7nm~30nmの複数の気孔を有する球状多孔性シリカ粒子とを含み、
前記多孔性シリカ粒子は、下記数式2の吸光度の比が1/2となるtが24~120である生理活性物質送達体。
[数式2]
At/A0
(式中、A0は、前記多孔性シリカ粒子1mg/mlの懸濁液5mlを直径50kDaの気孔を有する円筒状の透過膜に入れて測定した多孔性シリカ粒子の吸光度であり、
前記透過膜の外部には、前記透過膜と接し、前記懸濁液と同じ溶媒15mlが位置し、前記透過膜の内外部は、37℃で60rpmで水平攪拌され、
前記懸濁液は、PBSまたはSBFであり、pHが7.4であり、
Atは、前記A0の測定時からt時間経過後に測定した多孔性シリカ粒子の吸光度である。)
【0029】
23.前記項目22において、前記多孔性シリカ粒子は、BET表面積が300m2/g~450m2/gであり、g当たりの体積が1.0ml~2.0mlである生理活性物質送達体。
【0030】
24.前記項目22において、前記生理活性物質は、難溶性であり、前記多孔性シリカ粒子は、外部表面または気孔内部に疎水性置換基を有する生理活性物質送達体。
【0031】
25.前記項目22において、前記生理活性物質は、難溶性であり、前記多孔性シリカ粒子は、気孔内部に疎水性置換基を、外部表面に親水性置換基を有する生理活性物質送達体。
【0032】
26.前記項目22において、前記生理活性物質は、中性のpHで陰電荷を帯びるものであり、前記シリカ粒子は、外部表面または気孔内部が中性のpHで陽電荷を帯びるものである生理活性物質送達体。
【0033】
27.前記項目22において、前記生理活性物質は、中性のpHで陽電荷を帯びるものであり、前記シリカ粒子は、外部表面または気孔内部が中性のpHで陰電荷を帯びるものである生理活性物質送達体。
【0034】
28.溶媒中で多孔性シリカ粒子を生理活性物質に接触させることを含む生理活性物質送達体の製造方法。
【0035】
29.前記項目28において、前記溶媒は、水、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、PBS、SBF、Borate‐buffered salineおよびTris‐buffered salineからなる群より選択される1種以上である方法。
【0036】
30.前記項目28において、多孔性シリカ粒子と生理活性物質の重量比は、1:0.05~0.8である方法。
【0037】
31.前記項目1~27のいずれか一つに記載の薬物送達体を個体に非経口投与することを含む生理活性物質の送達方法。
【0038】
32.前記項目31において、前記非経口投与は、眼窩内、眼内、注入、動脈内、関節内、心臓内、真皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、脊椎腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜または経気管投与である方法。
【発明の効果】
【0039】
本発明の生理活性物質送達体は、生理活性物質を担持した多孔性シリカ粒子が生体内で徐々に分解され、薬物を徐放的に送達することができる。
【0040】
本発明の生理活性物質送達体は、生理活性物質を担持した多孔性シリカ粒子が生体内で完全に分解され、担持した生理活性物質を生体に完全に送達することができる。
【0041】
本発明の生理活性物質送達体は、非経口投与が可能である。
【0042】
本発明の生理活性物質送達体は、様々な薬物を徐放的に送達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の製造工程における小気孔粒子の顕微鏡写真である。
【
図4】
図4は、本発明の一具現例による小気孔粒子の顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の気孔直径別の顕微鏡写真である。 DDV(Degradable Delivery Vehicle)は、実施例の粒子であり、括弧内の数字は粒子の直径を、下付き文字の数字は気孔の直径を意味する。例えば、DDV(200)
10は、粒子直径が200nm、気孔直径が10nmである実施例の粒子を意味する。
【
図6】
図6は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の生分解性を確認できる顕微鏡写真である。
【
図7】
図7は、一つの例示による円筒状の透過膜を備えたチューブである。
【
図8】
図8は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の時間経過による吸光度の減少の結果である。
【
図9】
図9は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の時間経過による粒径別の吸光度の減少の結果である。
【
図10】
図10は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の時間経過による気孔直径別の吸光度の減少の結果である。
【
図11】
図11は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の時間経過による環境のpH別の吸光度の減少の結果である。
【
図12】
図12は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子の時間経過による吸光度の減少の結果である。
【
図13】
図13は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図14】
図14は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図15】
図15は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図16】
図16は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図17】
図17は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図18】
図18は、一つの例示による生理活性物質の放出を確認するチューブである。
【
図19】
図19は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図20】
図20は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図21】
図21は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図22】
図22は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図23】
図23は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図24】
図24は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図25】
図25は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の時間経過による放出程度である。
【
図26】
図26は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子にCas9タンパク質を担持して細胞内に送達した写真である。
【
図27】
図27は、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子にsiRNAを担持し、マウス内におけるsiRNAの放出を確認した顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の生理活性物質送達体は、生理活性物質と、該生理活性物質を担持し、直径5nm~100nmの複数の気孔を有する多孔性シリカ粒子とを含む。
【0045】
生理活性物質
生理活性物質は、多孔性シリカ粒子に担持されて個体に送達されて活性を示すことができる生理活性物質/生体機能調節物質であり、ヒトまたは動物有機体に直接的または間接的、治療学的、生理学的及び/又は薬理学的な効果を提供できる治療学的活性剤であり得る。
【0046】
前記治療学的活性剤は、例えば、一般的な医薬、薬物、プロドラッグまたは標的基、または標的基を含む薬物またはプロドラッグであってもよい。
【0047】
治療学的活性剤は、例えば、心血管薬、特に抗高血圧剤(例えば、カルシウムチャネル遮断薬またはカルシウム拮抗薬)および抗不整脈剤;うっ血性心不全の医薬品;筋肉収縮剤;血管拡張薬;ACE阻害剤;利尿薬;炭酸脱水酵素阻害剤;強心配糖体;フォスフォジエステラーゼ阻害剤;遮断薬;β遮断薬;ナトリウムチャネル遮断薬;カリウムチャネル遮断薬;β‐アドレナリン作用薬;血小板阻害剤;アンジオテンシンII拮抗薬;抗凝固薬;血栓溶解剤;出血の治療剤;貧血の治療剤;トロンビン阻害剤;抗寄生虫剤;抗菌剤;抗炎症剤、特に非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)、より特にCOX‐2阻害剤;ステロイド系抗炎症剤;予防的抗炎症剤;抗緑内障剤;マスト細胞安定化剤;散瞳薬;呼吸器系に影響を与える薬剤;アレルギー性鼻炎医薬品;α‐アドレナリン拮抗薬;コルチコステロイド;慢性閉塞性肺疾患の医薬品;キサンチン‐オキシダーゼ阻害剤;抗関節炎薬;痛風の治療剤;オータコイドおよびオータコイド拮抗薬;抗結核菌剤;抗真菌剤;抗原虫剤;駆虫剤;抗ウイルス剤、特に呼吸器抗ウイルス薬、ヘルペス、サイトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルスおよび肝炎感染に対する抗ウイルス薬;白血病およびカポジ肉腫の治療薬;疼痛管理剤、特に麻酔薬および鎮痛薬、オピオイド受容体作用剤、オピオイド受容体部分作用剤、オピオイド拮抗剤、オピオイド受容体混合作用剤‐拮抗剤を含むオピオイド類;精神安定剤;交感神経興奮薬;アドレナリン拮抗薬;神経伝達物質の取り込みおよび放出に影響を及ぼす薬物;抗コリン医薬品;抗痔治療薬;放射線もしくは化学療法の効果の予防または治療剤;リポゲネシス薬;脂肪低減治療剤;リパーゼ阻害剤などの抗肥満薬;交感神経興奮薬;プロトンポンプ阻害剤などの胃潰瘍および炎症の治療剤;プロスタグランジン;VEGF阻害剤;抗高脂血症剤、特にスタチン;中枢神経系(CNS)に影響を与える薬物、例えば抗精神病、抗てんかんおよび抗発作薬(抗けいれん薬)、精神活性薬、刺激剤、抗不安および催眠薬、抗うつ剤;抗パーキンソン病の医薬品;性ホルモンなどのホルモンおよびそのフラグメント;成長ホルモン拮抗剤;性腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびその類似体;ステロイドホルモンおよびその拮抗剤;選択的エストロゲン調節薬;成長因子;インスリン、インスリンフラグメント、インスリン類似体、グルカゴン様ペプチドおよび血糖降下剤などの抗糖尿病医薬品;H1、H2、H3およびH4抗ヒスタミン薬;ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、核酸およびオリゴヌクレオチド薬物;天然タンパク質、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドおよび核酸などの類似体、フラグメントおよびバリアント;片頭痛を治療するために使用される薬剤;喘息のための医薬品;コリン性拮抗剤;グルココルチコイド;アンドロゲン;抗アンドロゲン;アドレノコルチコイド生合成阻害剤;ビスフォスフォネートなどの骨粗しょう症治療薬;抗甲状腺医薬品;日焼け止め、日焼け止めおよびフィルター;サイトカイン拮抗剤;抗腫瘍剤;抗アルツハイマー薬;HMGCoAレダクターゼ阻害剤;フィブラート;コレステロール吸収阻害剤;HDLコレステロール上昇剤;トリグリセリド低減剤;アンチエージングまたはアンチリンクル剤;ホルモン産生のための前駆体分子;コラーゲンおよびエラスチンなどのタンパク質;抗菌剤;抗にきび剤;抗酸化剤;ヘアトリートメントおよび美白剤;日焼け止め、日焼け止めおよびフィルター;ヒトアポリポタンパク質のバリアント;ホルモン産生のための前駆体分子;それらのタンパク質およびペプチド;アミノ酸;グレープシード抽出物などの植物抽出物;DHEA;イソフラボン;ビタミン、フィトステロールおよびイリドイドグリコシドを含む栄養剤、セスキテルペンラクトン、テルペン、フェノール性グリコシド、トリテルペン、ヒドロキノン誘導体、フェニルアルカノン;レチノールおよび他のレチノイン酸およびコエンザイムQ10を含むレチノイドなどの抗酸化剤;オメガ3脂肪酸;グルコサミン;核酸、オリゴヌクレオチド、アンチセンス医薬品;酵素;コエンザイム;サイトカイン類似体;サイトカイン作用剤;サイトカイン拮抗剤;免疫グロブリン;抗体;抗体医薬品;遺伝子治療剤;リポタンパク質;エリスロポエチン;ワクチン;アレルギー/喘息、関節炎、癌、糖尿病、成長障害、心血管疾患、炎症、免疫疾患、脱毛症、疼痛、眼科疾患、てんかん、婦人科疾患、CNS疾患、ウイルス感染症、細菌感染、寄生虫感染、GI疾患、肥満および血液疾患などのヒトおよび動物疾患の治療、または予防のための小分子治療薬などがあるが、これらに限定されない。
【0048】
治療学的活性剤は、例えば、エリスロポエチン(erythropoietine(EPO))、トロンボポエチン(thrombopoietine)、インターロイキン(interleukine(IL‐1~IL‐17を含む))などのサイトカイン、インスリン、インスリン様成長因子(IGF‐1及びIGF‐2を含む)、上皮成長因子(epidermal growth factor(EGF))、変換成長因子(transforming growth factor)(TGF‐アルファ及びTGF‐ベータを含む)、ヒト成長ホルモン、トランスフェリン(transferrine)、低密度リポタンパク質(low density lipoprotein)、高密度リポタンパク質(high density lipoprotein)、レプチン(leptine)、VEGF、PDGF、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor)、プロラクチン(prolactine)、副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone(ACTH))、カルシトニン(calcitonine)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(chrorionic gonadotropin)、コルチゾール(cortisol)、エストラジオール(estradiol)、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone(FSH))、甲状腺刺激ホルモン(thyroid‐stimulating hormone(TSH))、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone(LH))、プロゲステロン(progesterone)、テストステロン(testosterone)、リシン(ricine)を含む毒素などを含む追加的な活性剤であってもよい。
【0049】
治療学的活性剤は、腫瘍疾患(oncological disease)および細胞又は組織の変形を治療するための薬物の群から選択することができる。適切な治療学的製剤は、アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン(busulfan)、インプロスルファン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfane)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボクオン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)などのアリジジン(arizidine)などのアルキル化剤;アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylene melamine)、トリエチレンホスホラミド(triethylene phosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethylene thiophosphoramide)、トリメチロールメラミン(tromethylolmelamine)などのエチレンイミン(ethyleneimine)およびメチルメラミン(methylmelamine);クロラムブシル(chlorambucil)、クロルナファジン(chlornaphazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イホスファミド(ifosfamide)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシドヒドロクロライド(mechlorethaminoxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニマスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)などのいわゆる窒素マスタード(nitrogen mustard);カルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotenmustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)などのニトロソ尿素‐化合物(nitroso urea‐compound);ダカルバジン(dacarbazine)、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブラニトール(mitobranitol)、ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ソラフェニブ(sorafenib);ドキソルビシン(doxorubicin)およびシス‐プラチナム(cis‐platimum)ならびにその誘導体など、および前述したものの任意の組み合わせ及び/又は誘導体を含む抗腫瘍剤(antineoplastic agent)であってもよい。
【0050】
治療学的活性剤は、アクラシノマイシン(aclacinomycin)、アクチノマイシン(actinomycin)、アントラマイシン(anthramycin)、アザセリン(azaserin)、ブレオマイシン(bleomycin)、ククチノマイシン(cuctinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン(chromomycin)、ダクチノマイシン(ductinomycin)、ダウノルビシン(daunorbicin)、6‐ジアゾ‐5‐オキシン‐1‐ノリオイシン(6‐diazo‐5‐oxn‐1‐norieucin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、マイトマイシン(mitomycin)、ミコフェノールゾイレ(mycophenolsaure)、モガルマイシン(mogalumycin)、オリボマイシン(olivomycin)、ペプロマイシン(peplomycin)、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidine)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、アミノグリコシド(aminoglycoside)もしくはポリエン(polyene)またはマクロライド系抗生物質(macrolid‐antibiotics)、およびこれらの任意の組み合わせ及び/又は誘導体のような抗ウイルス剤および抗バクテリア剤を含む群より選択することができる。
【0051】
治療学的活性剤は、エンドスタチン(endostatin)、アンギオスタチン(angiostatin)、インターフェロン(interferone)、血小板因子4(platelet factor4(PF4))、トロンボスポンジン(thrombospondin)、形質転換成長因子β(transforming growth factor beta)、メタロプロテアーゼ‐1、‐2及び‐3の組織阻害剤(tissue inhibitor of the metalloproteinase‐1、‐2及び‐3)(TIMP‐1、‐2及び‐3)、TNP‐470、マリマスタット(marimastat)、ネオバスタット(neovastat)、BMS‐275291、COL‐3、AG3340、サリドマイド(thalidomide)、スクアラミン(squalamine)、コンブレスタスタチン(combrestastatin)、SU5416、SU6668、IFN‐[alpha]、EMD121974、CAI、IL‐12およびIM‐862などの放射線感作剤の薬物(radio‐sensitizer drug)、ステロイド性または非ステロイド性の抗炎症薬、または新生血管形成(angiogenesis)の製剤、およびこれらの組み合わせ及び/又は誘導体から選択することができる。
【0052】
治療学的活性剤は、核酸を含む群から選択することができる。ここで、核酸という用語は、例えば、遺伝子治療学的またはアンチセンス(antisense)の効果を提供するために、少なくとも2つのヌクレオチドが互いに共有的に連結されているオリゴヌクレオチドを含む。核酸は、好ましくは、ホスホジエステル(phosphodiester)結合を含み、また、異なる骨格を有する類似体(analoque)を含む。類似体は、例えば、ホスホラミド(phosphoramide)、ホスホロチオエート(phosphorothioate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate)、O‐メチルホスホロアミダイト‐化合物(O‐methylphosphoroamidit‐compound)、およびペプチド‐核酸骨格(peptide‐nukleic acid‐backbone)およびその化合物などの骨格を含有することができる。他の類似体は、イオン性骨格を有するもの、非イオン性骨格を有するもの、非リボース骨格(non‐ribose‐backbone)を有するものである。1以上のカルボサイクリック糖(carbocyclic sugar)を有する核酸は、本発明に用いられる核酸として適したものであり得る。従来技術で知られている核酸および核酸類似体の選択のほか、自然に発生する核酸および核酸類似体または核酸と類似体の混合物の任意の組み合わせも用いることができる。
【0053】
治療学的活性剤は、例えば、エベロリムス(everolimus)、タクロリムス(tacrolimus)、シロリムス(sirolimus)、マイコフェノラート‐モフェチル(mycofenolate‐mofetil)、ラパマイシン(rapamycin)、パクリタキセル(paclitaxel)、アクチノマイシンD(actinomycine D)、アンギオペプチン(angiopeptin)、バチマステート(batimastate)、エストラジオール(estradiol)、VEGF、スタチン(statine)などとその誘導体及び類似体のような抗移動性(anti‐migratory)、抗増殖性(anti‐proliferative)または免疫抑制性(immune‐suppresive)、抗炎症性(anti‐inflammatory)または再内皮化剤(re‐endotheliating agent)であってもよい。
【0054】
治療学的活性剤は、オピオイド受容体作用剤および拮抗剤、作用/拮抗混合活性を示す化合物および部分的作用活性を示す化合物、例えばモルヒネ、デポモルヒネ、エトルフィン、ジアセチルモルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、メタドン、レボメタジル、メペリジン、フェンタニル、スルフェンタニル、アルフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、テバイン、デソモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネ、エチルモルヒネ、ペチジン、メタドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン;ナロキソンおよびナルトレキソン;ブプレノルフィン、ナルブフィン、ブトルファノール、ペンタゾシンおよびエチルケトシクラゾシンであってもよい。
【0055】
治療学的活性剤及びその組み合わせは、ヘパリン(heparin)、合成ヘパリン類似体(例えばフォンダパリヌクス(fondaparinux))、ヒルジン(hirudin)、アンチトロンビンIII(antithrombinIII)、ドロトレコジンα(drotrecogin alpha);アルテプラーゼ(alteplase)、プラスミン(plasmin)、リソキナーゼ(lysokinase)、第VIIa因子(factorVIIa)、プロウロキナーゼ(prourokinase)、ウロキナーゼ(urokinase)、アニストレプラーゼ(anistreplase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)などの繊維素分解剤(fibrinolytics);アセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)[アスピリン(aspirine)]、チクロピジン(ticlopidine)、クロピドグレル(clopidogrel)、アブシキシマブ(abciximab)、デキストラン(dextran)などの血小板凝集阻害剤(platelet aggregation inhibitor);アルクロメタゾン(alclometasone)、アムシノニド(amcinonide)、増強ベタメタゾン(augmented betamethasone)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデソニド(budesonide)、コルチゾン(cortisone)、クロベタゾール(clobetasol)、クロコルトロン(clocortolone)、デソニド(desonide)、デソキシメタゾン(desoximetasone)、デキサメタゾン(sexamethasone)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルランドレノリド(flurandrenolide)、フルニソリド(flunisolide)、フルチカゾン(fluticasone)、ハルシノニド(halcinonide)、ハロベタゾール(halobetasol)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、モメタゾン(momethasone)、プレドニカルベート(prednicarbate)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)などのコルチコステロイド(corticosteroid);ジクロフェナク(diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、エトドラク(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラク(ketorolac)、メクロフェナマート(meclofenamate)、メフェナム酸(mefenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、オキサプロジン(oxaprozin)、ピロキシカム(piroxicam)、サルサラート(salsalate)、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)などのいわゆる非ステロイド系抗炎症薬(non‐steroidal anti‐inflammatory drugs)(NSAIDs);ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)などのアルカロイド(alkaloide)およびポドフィルムトキシン(podophyllum toxin)などの細胞増殖抑制剤(cytostatics);ダウノルビシン(daunorbicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)および他のアントラサイクリン(anthracycline)ならびに関連物質、ブレオマイシン(bleomycin)、マイトマイシン(mitomycin)などの細胞毒性抗生物質(cytotoxic antibiotics);葉酸類似体(folic acid analog)、プリン類似体(purine analog)またはピリミジン類似体(pyrimidine analog)などの代謝拮抗物質(antimetabolite);パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、シロリムス(sirolumus);カルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)またはオキサリプラチン(oxaliplatin)などの白金(platinum)化合物;アムサクリン(amsacrin)、イリノテカン(irinitecan)、イマチニブ(imatinib)、トポテカン(topotecan)、インターフェロン‐α2a(interferone‐alpha 2a)、インターフェロン‐α2b(interferone‐alpha 2b)、ヒドロキシカルバミド(hydroxycarbide) 、ミルテホシン(miltefosine)、ペントスタチン(pentostatin)、ポルフィマー(porfimer)、アルデスロイキン(aldesleukin)、ベキサロテン(bexaroten)、トレチノイン(tretinoin);抗アンドロゲン剤(antiandrogen)および抗エストロゲン剤(antiestrogen);キニジン(quinidine)型の不整脈治療剤(antiarrhythmic)、キニジン、ジソピラミド、アジマリン(ajmaline)、プラジュマリウム・ビタルトラート(prajmalium bitartrate)、デタジュミウム・ビタルトラート(detajmium bitartrate)などの、特にクラスIの不整脈治療剤である不整脈治療剤;例えば、リドカイン(lidocaine)、メキシレチン(mexiletin)、フェニトイン(phenytoin)、トカイニド(tocainid)などのリドカイン型の不整脈治療剤;例えばプロパフェノン (propafenon)、フレカイニド(flecainid)(アセタート)などのクラスIcの不整脈治療剤;メトプロロール(metoprolol)、エスモロール(esmolol)、プロプラノロール(propranolol)、アテノロール(atenolol)、オクスプレノロール(oxprenolol)などのクラスIIの不整脈治療剤β受容体遮断薬(classIIantiarrhythmics beta‐receptor blocker);アミオダロン(amiodarone)、ソタロール(sotalol)などのクラスIIIの不整脈治療剤;ジルチアゼム(diltiazem)、ベラパミル(verapami)、ガロパミル(gallopamil)などのクラスIVの不整脈治療剤;アデノシン(adenosine)、オルシプレナリン(orciprenaline)、イプラトロピウムブロミド(ipratropium bromide)などの他の不整脈治療剤;血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、 基本線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor、bFGF)、非ウイルス性DNA、ウイルス性DNA、内皮成長因子などの心筋における血管形成を刺激するための物質;FGF‐1、FGF‐2、VEGF、TGF;抗生物質、モノクローナル抗体(monoclonal antibidy)、アンチカリン(anticalin);幹細胞(stem cell)、内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell、EPC);アセチルジゴキシン/メチルジゴキシン(acetyl digoxin/metildigoxin)、ジギトキシン(digitoxin)、ジゴキシン(digoxin)などのジギタリス配糖体(digitalis glycoside);ウアバイン(ouabain)、プロスシラリジン(proscillaridin)などの強心配糖体(cardiac glycoside);例えばメチルドパ(methyldopa)、イミダゾリン受容体作用薬(imidazoline receptor agonist)であるCNS活性抗アドレナリン性物質(CNS active antiadrenergic substances)などの抗高血圧薬(antihypertensive);ニフェジピン(nifedipine)、ニトレンジピン(nitrendipine)などのジヒドロピリジン型のカルシウムチャンネル遮断薬(calcium channel blocker);ACE阻害剤;キナプリラート(quinaprilate)、シラザプリル(cilazapril)、モエキシプリル(moexipril)、トランドラプリル(trandolapril)、スピラプリル(spirapril)、イミダプリル(imidapril);アンギオテンシンII拮抗薬(angiotensinIIantagonist);カンデサルタンシレキセチル(candesartancilexetil)、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)、オルメサルタンメドキソミル(olmesartanmedoxomil)、エプロサルタン(eprosartan);プラゾシン(prozosin)、ウラピジル(urapidil)、ドキサゾシン(doxazosin)、ブナゾシン(bunazosin)、テラゾシン(terazosin)、インドラミン(indoramin)などの末梢活性α 受容体遮断薬(peripherally active alpha‐receptor blocker);ジヒドララジン(dihydralazine)、ジイソプロピルアミンジクロルアセタート(diisopropylamine dichloraetate)、ミノキシジル(minoxidil)、ニトロプルシドナトリウム(nitroprusside sodium)などの血管拡張剤(vasodilatator);インダパミド(indapamide)、コ‐デルゴクリン・メシラート(co‐dergocrine mesylate)、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホナート(dihydroergotoxin methanesulfonate)、シクレタニン(cicletanin)、ボセンタン(bosetan)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)などの他の抗高血圧薬;ミルリノン(milrinon)、エノキシモン(enoximon)などのホスホジエステラーゼ阻害剤(phosphodiesterase inhibitor)、および特にドブタミン(dobutamine)、エピネフリン(ephinephrine)、エチレフリン(etilefrine)、ノルフェネフリン(norfenefrine )、ノルエピネフリン(norepinephrine)、オキシロフリン(oxilofrine)、ドーパミン(dopamine)、ミドドリン(midodrine)、フォレドリン(pholedrine)、アメジニウムメチル(ameziniummetil)などのアドレナリン性物質およびドーパミン性物質(adrenergic and dopaminergic substance)などの抗高血圧薬;ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine)などの部分的なアドレナリン受容体作用薬(partial adrenoceptor agonist);フィブロネクチン(fibronectin)、ポリリシン(polylysine)、エチレンビニルアセタート(ethylene vinyl acetate)、TGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM‐CSF、IGF‐a、IL‐1、IL‐8、IL‐6、成長ホルモンなどの炎症性サイトカイン(inflammatory cytokine);更にはシアノアクリラート、ベリリウム、シリカなどの接着性物質(adhesive substance);およびエリスロポエチン(erythropoetin)などの成長因子、コルチコトロピン(corticotropin)、ゴナドトロピン(gonadotropin)、ソマトロピン(somatropin)、チロトロピン(thyrotrophin)、デスモプレシン(desmopressin)、テルリプレシン(terlipressin)、ピクシトシン(pxytocin)、セトロレリクス(cetrorelix)、コルチコレリン(corticorelin)、ロイプロレリン(leuprorelin)、トリプトレリン(triptorelin)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ガニレリクス(ganirelix)、ブセレリン(buserelin)、ナファレリン(nafarelin)、ゴセレリン(goserelin)などのホルモン、更にはソマトスタチン(somatostatin)、オクトレオチド(octreotid)などの調節ペプチド(regulatory peptide);骨および軟骨の刺激ペプチド(bone and cartilage stimulating peptide)、組換えヒトBMP‐2(rhBMP‐2)、ビスホスホナート(bisphophonate)(例えばリセドロナート(riseddronate)、パミドロナート(pamidronate)、イバンドロナート(ibandronate )、ゾレドロン酸(zoledronic acid)、クロドロン酸(clodronic acid)、エチドロン酸(etidronic acid)、アレンドロン酸(alendronic acid)、チルドロン酸(tiludronic acid))のような組換えBMPs、二ナトリウムフルオロホスファート、ナトリウムフルオリドのようなフルオリドである骨形成タンパク質(bone morphogenetic proteins(BMPs));カルシトニン(calcitonin)、ジヒドロタキスチロール(dihydrotachystyrol);上皮成長因子(epidermal growth factor(EGF))、血小板由来成長因子(platelet‐derived growth factor(PDGF))、線維芽細胞増殖因子(fibrobast growth factor(FGFs))、形質転換成長因子‐b(transforming growth factors‐b(TGFs‐b))、形質転換成長因子‐a(transforming growth factors‐a(TGFs‐a))、エリスロポエチン(erythropoietin(EPO))、インスリン様成長因子‐I(insuline‐like growth factor‐I( IGF‐I))、インスリン様成長因子‐II(insuline‐like growth factor‐II(IGF‐II))、インターロイキン‐1(interleukin‐1(IL‐1))、インターロイキン‐2(interleukin‐2(IL‐2))、インターロイキン‐6(interleukin‐6(IL‐6))、インターロイキン‐8(interleukin‐8(IL‐8))、腫瘍壊死因子‐a(tumor necrosis factor‐a(TNF‐a)) 、腫瘍壊死因子‐b(tumor necrosis factor‐b(TNF‐b))、インターフェロン‐g(interferon‐g(INF‐g))、コロニー刺激因子(colony stimulating factors(CSFs));単球走化性タンパク質(monocyte chemotactic protein)、線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン(histamine)、フィブリンまたはフィブリノーゲン(fibrin or fibrinogen)、エンドセリン‐1(endothelin‐1)、アンギオテンシンII
(angiotensinII)、コラーゲン、ブロモクリプチン(bromocriptine)、メチセルジド(methysergide)、メトトレキサート(methotrexate)、カーボンテトラクロリド(carbon tetrachloride)、チオアセトアミド(thioacetamide)およびエタノール;更には銀(イオン)、チタンジオキシド、特に例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV )などのβ‐ラクタムアゼ‐感受性ペニシリン(β‐lactamase‐sensitive penicillin);例えば、アモキシシリン(amoxicillin)、アンピシリン(ampicillin)、バカンピシリン(bacampicillin)などのβ‐ラクタマーゼ耐性ペニシリン(β‐lactamase‐resistent penicillin);メズロシリン(mezlocillin)、ピペラシリン(piperacillin)などのアシルアミノペニシリン;セファゾリン(cefazoline)、セフロキシム(cefuroxim)、セフォキシチン(cefoxitin)、セフォチアム(cefotiam)、セファクロル(cefaclor)、セファドロキシル(cefadroxil)、セファレキシン(cefalexin)、ロラカルベフ(loracarbef)、セフィキシム(cefixim) 、セフロキシマキセチル(cefuroximaxetil)、セフチブテン(ceftibuten)、セフポドキシムプロキセチル(cefpodoximproxetil)などのカルボキシペニシリン;アズトレオナム(aztreonam)、エルタペネム(ertapenem)、メロペネム(meropenem);スルバクタム(sulbactam)、スタミシリントシラート(sultamicillintosylate)などのβ‐ラクタマーゼ阻害剤;ドキシサイクリン(doxycycline)、ミノサイクリン(minocycline)、テトラサイクリン(tetracycline)、クロロテトラサイクリン(chlorotetracycline)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)などのテトラサイクリン(tetracycline);ゲンタマイシン(gentamicin)、ネオマイシン(neomycin)、ストレプトマイシン(streptomycin)、トブラマイシン(tonramycin)、アミカシン(amikacin)、ネチルマイシン(netilmicin)、パロモマイシン(paromomycin)、フラマイセチン(framyceetin )、スペクチノマイシン(spectinomycin)などのアミノグリコシド;アジスロマイシン(azithromycin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、スピラマイシン(spiramycin)、ジョサマイシン(josamycin)などのマクロライド系抗生物質(macrolide antibiotics);クリンダマイシン(clindamycin)、リンコマイシン(lincomycin)などのリンコサミド(limcosamide);例えば、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、エノキサシン(enoxacin)、フレロキサシン(fleroxacin)、レボフロキサシン(levofloxacin)であるフルオロキノロン(fluoroquinolone)などのジャイレース阻害剤(gyrase inhibitor);ピペミド酸(pipemidic acid)などのキノロン(quinolone);スルホンアミド(sulfonamide)、トリメトプリム(trimethoprim)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファレン(sulfalene);バンコマイシン(vancomycin)、テイコプラニン(teicoplanin)などのグリコペプチド系抗生物質(glycopeptide antibiotics);例えば、コリスチン(colistin)、ポリミキシン‐b(polymyxin‐b)であるポリマイシン、例えば、メトロニダゾール(metronidazole)、チニダゾール(tinidazole)であるニトロイミダゾール(nitroimidazole)誘導体などのポリペプチド系抗生物質;クロロキン(cloroquin)、メフロキン(mefloquin)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquin)などのアミノキノロン(aminoquinolone);プログアニル(proguanil)などのビグアニド(biguanid);ピリメタミン(pyrimethamine)などのキニンアルカロイド(quinine alkaloid)およびジアミノピリミジン(diaminopyrimidine);クロラムフェニコール(chloramphenicol)などのアンフェニコール(amphenicol);リファブチン(rifabutin)、ダプソン(dapson)、フシジン酸(fusidic acid)、ホスホマイシン(fosfomycin)、ニフラテル(nifuratel)、テリスロマイシン(telithromycin)、フサフンギン(fusafungin)、ペンタミジンジイセチオナート(pentamidine diisethionate)、リファムピシン(rifampicin)、タウロリジン(taurolidin)、アトバコン(atovaquon)、リネゾリド(linezolid);アシクロビル(aciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)、フォスカルネット(foscarnet)、イノシン‐(ジメプラノール‐4‐アセトアミドベンゾアート)(ionsine‐(dimepranol‐4‐acetanidobenzoate))、バルガンシクロビル(valganciclovir)、バラシクロビル(valaciclovir)、シドホビル(cidofovir)、ブリブジン(brivudin)などのウイルス抑制剤(virus static);ラミブジン(lamivudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、ジダノシン(didanosine)、ジドブジン(zidovudin)、テノホビル(tenofovir)、スタブジン(stavudin)、アバカビル(avacavir)などの抗レトロウイルス活性成分(antiretroviral active ingredient)(ヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤および誘導体(nucleoside analog reverse‐transcriptase inhibitors and derivatives));非ヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤(non‐nucleoside analog reverse‐transcriptase inhibitor);アンプレナビル(amprenavir)、インジナビル(indinavir)、サキナビル(saquinavir)、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir);アマンタジン(amantadine)、リバビリン(ribavirine)、ザナミビル(zanamivir)、オセルタミビル(oseltamivir)またはラミブジン(lamivudine)、並びにそれらの任意の組み合わせおよび混合物から選択することができる。
【0056】
治療学的活性剤は、例えば、アルプラゾラム、アモキサピン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、クロラジピン、クロバザム、クロチアゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、マプロチリン、ミアンセリン、ノルトリプチリン、リスペリドン、セルトラリン、トラゾドン、バロペリドール、トリミプラミンマレート、フルオキセチン、オンダンセトロン、ミダゾラム、クロルプロマジン、ハロペリドール、トリアゾラム、クロザピン、フルオプロマジン、フルフェナジンデカノエート、フルアニソン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、チオリダジン、パロキセチン、シタロプラム、ブプロピオン、フェネルジン、オランザピン、ジバルプロエクスナトリウムおよびベンラファクシンを含む抗うつ薬、抗精神病薬または抗不安薬であってもよい。
【0057】
治療学的活性剤は、例えば、オピオイド受容体作用剤および拮抗剤、作用/拮抗混合活性を示す化合物および部分的作用活性を示す化合物、例えば、モルヒネ、デポモルヒネ、エトルフィン、ジアセチルモルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、メタドン、レボメタジル、メペリジン、フェンタニル、スルフェンタニル、アルフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、テバイン、デソモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネ、エチルモルヒネ、ペチジン、メタドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェン;ナロキソンおよびナルトレキソン;ブプレノルフィン、ナルブフィン、ブトルファノール、ペンタゾシンおよびエチルケトシクラゾシンであってもよい。
【0058】
治療学的活性剤は、例えば、アゾチオピン、アミトリプチリン、ファモチジン、プロメタジン、パロキセチン、オキスカルバゼピンおよびメルタザピンを含むトリシクリック化合物であってもよい。
【0059】
治療学的活性剤は、例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクライド、グリクラジド、グリピジド、メトホルミン、トラザミド、グリブリド、グリメピリドおよびトルブタミドを含む抗糖尿病薬であってもよい。
【0060】
治療学的活性剤は、例えば、ベクラミド、カルバマゼピン、ガパペンチン、チアガビン、ビガバトリン、トピラマート、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オキシカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、フェニトインナトリウム、ニロフラントインモノハイドレート、ガバペンチン、ラモトリジン、ゾニサミド、エトスクシミドおよびバルプロ酸を含む抗てんかん薬であってもよい。
【0061】
治療学的活性剤は、例えば、ゾルピデムタータレート、アミロバルビトン、バルビトン、ブトバルビトン、ペントバルビトン、ブロチゾラム、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、エチナメート、メプロバメート、メタカロン、シクロベンザプレン、シクロベンザプリン、チザニジン、バクロフェン、ブタルビタール、ゾピクロン、アトラクリウム、ツボクラリンおよびフェノバルビタールを含む催眠/鎮静剤及び/又は筋弛緩剤であってもよい。
【0062】
治療学的活性剤は、例えば、アムホテリシン、ブトコナゾールニトレート、クロトリマゾール、エコナゾールニトレート、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、スルコナゾールニトレート、テルコナゾール、チオコナゾールおよびウンデセン酸;ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロアート、ジニトルミド、フラゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、テルビナフィン、クロトリマゾール、クロロキン、メフロキン、イトラコナゾール、ピリメタミン、プラジカンテル、キナクリン、メベンダゾールおよびチニダゾールを含む抗真菌、抗原虫または抗寄生虫薬であってもよい。
【0063】
治療学的活性剤は、例えば、カンデサルタン、ヒドララジン、クロニジン、トリアムテレン、フェロジピン、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ニフェディカル、プラゾシン、メカミラミン、ドキサゾシン、ドブタミンおよびシレキセチルを含む降圧薬または心臓治療薬であってもよい。
【0064】
治療学的活性剤は、例えば、ジヒドロエルゴタミンメシレート、エルゴタミンタータレート、メチセルギドマレート、ピゾチフェンマレートおよびスマトリプタンスクシネートを含む抗片頭痛剤であってもよい。
【0065】
治療学的活性剤は、例えば、アトロピン、ベンズヘキソール、ビペリデン、エトプロパジン、ヒヨスチアミン、メペンゾラートブロミド、オキシブチニン、オキシフェンサイクリミンおよびトロピカミドを含む抗ムスカリン剤であってもよい。
【0066】
治療学的活性剤は、例えば、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、プロカルバジン、タモキシフェンシトレート、テストラクトン、タクロリムス、メルカプトプリンおよびシロリムスを含む抗新生物剤(または免疫抑制剤)であってもよい。
【0067】
治療学的活性剤は、例えば、ブロモクリプチンメシレート、レボドパ、トルカポン、ロピニロール、ブロモクリプチン、低血糖剤、例えば、スルホニルウレア ビグアナイド、α‐グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、カベルゴリン、カルビドパおよびリスリドマレートを含む抗パーキンソン剤であってもよい。
【0068】
治療学的活性剤は、例えば、カルビマゾールおよびプロピルチオウラシルを含む抗甲状腺剤であってもよい。
【0069】
治療学的活性剤は、例えば、アムリノン、ミルリノン、ジギトキシン、エノキシモン、ラナトシドCおよびメジゴキシンを含む心筋収縮剤であってもよい。
【0070】
治療学的活性剤は、例えば、フェノフィブラート、クロフィブラート、プロブコール、エゼチミブおよびトルセトラピブを含む低脂血症剤または高脂血症剤であってもよい。
【0071】
治療学的活性剤は、例えば、メオキシカム、トリアムシノロン、クロモリン、ネドクロミル、ヒドロキシクロロキン、モンテルカスト、ジレウトン、ザフィルルカストおよびメロキシカムを含む抗炎症剤であってもよい。
【0072】
治療学的活性剤は、例えば、フェキソフェナジン、クロラールハイドレート、ヒドロキシジン、プロメタジン、セチラジン、シメチジン、シクリジン、メクリジン、ジメンヒドリナート、ロラタジン、ニザチジンおよびプロメタジンを含む抗ヒスタミン薬であってもよい。
【0073】
治療学的活性剤は、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾールおよびラニチジンを含む抗潰瘍剤であってもよい。
【0074】
治療学的活性剤は、例えば、ヒドロクロロチアジド、アミロリド、アセタゾラミド、フロセミドおよびトルセミドを含む利尿剤であってもよい。
【0075】
治療学的活性剤は、例えば、レチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸、レチン‐A)、イソトレチノインおよびアリトレチノインなどの第一世代レチノイド;エトレチナートおよびその代謝物アシトレチンなどの第二世代レチノイド;タザロテン、ベキサロテンおよびアダパレンなどの第三世代レチノイドを含むレチノイドであってもよい。
【0076】
治療学的活性剤は、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ナイスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、オルリスタットおよびシンバスタチンを含むスタチン及び/又はその誘導体であってもよい。
【0077】
治療学的活性剤は、例えば、アンフェタミン、フェンテルミン、チラミン、エフェドリン、メタラミノール、フェニレフリン、デクスアンフェタミン、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ニコチン、カフェインおよびマジンドールを含む刺激剤であってもよい。
【0078】
治療学的活性剤は、例えば、カルベジロール、テラゾシン、フェントラミンおよびメントールを含む血管拡張剤であってもよい。
【0079】
治療学的活性剤は、例えば、レベチラセタム、レビチラセタムおよびドネペジルを含む抗アルツハイマー薬であってもよい。
【0080】
治療学的活性剤は、例えば、ベンザプリル、エナラプリル、ラミプリル、フォシノプリルナトリウム、リシノプリル、ミノキシジル、イソソルビド、ラムプリルおよびキナプリルを含むACE阻害薬であってもよい。
【0081】
治療学的活性剤は、例えば、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロパノロールヒドロクロリド、ビソプロロール、エスモロール、メトプロロールスクシネート、メトプロロールおよびメトプロロールタータレートを含むβアドレナリン受容体拮抗剤であってもよい。
【0082】
治療学的活性剤は、例えば、ロサルタンを含むアンジオテンシンII拮抗剤であってもよい。
【0083】
治療学的活性剤は、例えば、アブシキシマブ、クロピドロゲル、チロフィバンおよびアスピリンを含む血小板阻害剤であってもよい。
【0084】
治療学的活性剤は、例えば、トラマドール、トラマドールヒドロクロリド、アロプリノール、カルシトリオール、シロスタゾール、ソルタロール、ウルソジオール、ブロムペリドール、ドロペリドール、フルペンチキソールデカノエート、アルブテロール、アルブテロールサルフェート、カリソプロドール、クロベタゾール、ロピニロール、ラベタロール、およびメトカルバモールを含むアルコールまたはフェノールであってもよい。
【0085】
治療学的活性剤は、例えば、アミオデロン、フルチカゾン、スピロノラクトン、プレドニゾン、トリアゾドン、デスオキシメタゾン、メチルプレドニスドン、ベンゾナテートナブメトンおよびブスピロンを含むケトンまたはエステルであってもよい。
【0086】
治療学的活性剤は、例えば、メトクロプラミドを含む制吐薬であってもよい。
【0087】
治療学的活性剤は、例えば、ドルゾラミド、ブリモニジン、オロパタジン、シクロペントレート、ピロカルピンおよびエコチオフェートを含む眼の治療薬であってもよい。
【0088】
治療学的活性剤は、例えば、ワルファリン、エノキサパリンおよびレピルジンを含む抗凝固剤または抗血栓症剤であってもよい。
【0089】
治療学的活性剤は、例えば、プロベネシドおよびスルフィンピラゾンを含む痛風の治療薬であってもよい。
【0090】
治療学的活性剤は、例えば、イプラトロピウムを含むCOPDまたは喘息の治療薬であってもよい。
【0091】
治療学的活性剤は、例えば、ラロキシフェン、パミドロネートおよびリセドロネートを含む骨粗しょう症の治療薬であってもよい。
【0092】
治療学的活性剤は、例えば、アセチルヘキサペプチド‐3、アセチルヘキサペプチド‐8、アセチルオクタペプチドおよび1‐カルノシンを含む化粧品用ペプチドであってもよい。
【0093】
治療学的活性剤は、例えば、トキソイド(不活性化毒性化合物)を含むワクチン;タンパク質、タンパク質サブユニットおよびポリペプチド;DNAおよびRNAなどのポリヌクレオチド;コンジュゲート;サポニン、ビロソーム、無機および有機アジュバント、例えば、ゾスタバックスを含むワクチンであってもよい。
【0094】
治療学的活性剤は、例えば、コエンザイムQ10(またはユビキノン)、ユビキノールまたはレスベラトロール;α、β、またはγ‐カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンおよびアスタキサンチンなどのカロテノイド;リコピン、ルテインおよびゼアキサンチンなどの植物栄養素;リノール酸、共役リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)およびそれらのグリセロール‐エステルなどを含むオメガ‐3脂肪酸;ビタミンD(D2、D3およびそれらの誘導体)、ビタミンE(α、β、γ、δ‐トコフェロール、または、α、β、γ、δ‐トコトリエノール)、ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸および誘導体)、ビタミンK(K1、K2、K3およびそれらの誘導体)を含む脂溶性ビタミン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、葉酸、鉄、ナイアシン、グリセリルリノレート、オメガ6脂肪酸、ビタミンF、セレン、シアノコバラミン、アロエベラ、ベータグルカン、ビサボロール、カメリアティー(緑茶)抽出物、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ツボクサ(gotu cola)抽出物、セテアリルオリベート、クロロフィル、オレンジオイル、ココイルプロリン、ジカプリルエーテル、ラウリミノジプロピオネートトコフェリルフォスフェート2ナトリウム(ビタミンEフォスフェート)、グリセリン、グリセリルオレアート、リコリス抽出物、ハマメリスバージニア(Witch Hazel)抽出物、乳酸、レシチン、ルテイン、マカダミアシードオイル、カモミール抽出物、月見草オイル、オリーブ葉抽出物、米ぬかオイル、アボカドオイル、ポリゴナムマルチフロラム抽出物、ポメグラネートステロール、レスベラトロール、ローズヒップオイル、サンダルウッドオイル、チタニウムジオキシド、葉酸、グリセリン、グリセリルリノレート(オメガ6脂肪酸、ビタミンF)、ビタミンAパルミテート、グレープシードオイル、ハロベタゾール、アデノシン、アデノシントリフォスフェート、アルファヒドロキシ酸、アラントイン、ヒアルロン酸および誘導体、イソルトロール、トラネキサム酸、グリコール酸、アルギニン、アスコルビルグルコサミン、アスコルビルパルミテート、サリチル酸、カルノシン酸、アルファリポ酸、ガンマリノレン酸(GLA)、パンテノール、レチニルプロピオネート、レチニルパルミテート、フルフリルアデニン、レチナールデヒド、銅ペプチド、イデベノン、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、ナイアシンアミド、β‐グルカン、パルミトイルペンタペプチド‐4、パルミトイルオリゴペプチド/テトラペプチド‐7、エトシン、セラミド、フェニルアラニン、グルクロノラクトン、L‐カルニチン、ヒドロキシルアパタイト)、パルミトイルトリペプチド‐3、フォルスコリン、酸化亜鉛、α‐ビサボロール、オイゲノール、シリビン、大豆イソフラボン、カタルポール、アルニカカミソニス由来のプソイドグアイアノリド(pseudoguaianolide)、ロスマリン酸、ロスマノール、サリチレート、例えばサリシン、サリゲニンおよびサリチル酸、タキサステロール、α‐ラクツセロール、イソラクツセロール、タラキサコシド、セレミド、アルブチン、ジンゲロール、シャガオール、ハイパーシン、エラスチン、コラーゲンおよびそれらのペプチドを含む栄養医学的または化粧医学的活性物質であってもよい。
【0095】
多孔性シリカ粒子
本発明に係るシリカ粒子(Porous Silica Particle、pSP)は、シリカ(SiO2)素材の粒子であって、ナノサイズの粒径を有するものである。
【0096】
本発明に係るシリカナノ粒子は、多孔性粒子であって、ナノサイズの気孔を有するものである。
【0097】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、その表面及び/又は気孔内部に生理活性物質を担持することができる。
【0098】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、生分解性粒子であり、生理活性物質を担持し、体内に投与されたときに体内で生分解されて生理活性物質を放出することができる。
【0099】
多孔性シリカ粒子が生分解されて生理活性物質が放出されるが、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、体内で徐々に分解され、担持された生理活性物質が徐放性を有するようにすることができる。例えば、下記数式1の吸光度の比が1/2となるtは24以上である。
【0100】
[数式1]
At/A0
(式中、A0は、前記多孔性シリカ粒子1mg/mlの懸濁液5mlを直径50kDaの気孔を有する円筒状の透過膜に入れて測定した多孔性シリカ粒子の吸光度であり、
前記透過膜の外部には、前記透過膜と接し、前記懸濁液と同じ溶媒15mlが位置し、前記透過膜の内外部は、37℃で60rpmで水平攪拌され、
前記懸濁液のpHは、7.4であり、
Atは、前記A0の測定時からt時間経過後に測定した多孔性シリカ粒子の吸光度である。)
【0101】
前記数式1は、多孔性シリカ粒子が体内と同様の環境でどの程度の速度で分解されるかを意味するものである。
【0102】
前記数式1の吸光度A
0、A
tは、例えば
図7に例示するように、円筒状の透過膜に多孔性シリカ粒子および懸濁液を入れ、透過膜の外部にも同じ懸濁液を入れて測定したものであり得る。
【0103】
本発明の多孔性シリカ粒子は、生分解性であり、懸濁液中で徐々に分解され得る。直径50kDaは約5nmに相当するものであり、生分解された多孔性シリカ粒子は、直径50kDaの透過膜を通過することができる。円筒状の透過膜は、60rpmの水平攪拌下にあるので、懸濁液を均一に混合することができ、分解された多孔性シリカ粒子は、透過膜の外部に放出され得る。
【0104】
数式1での吸光度は、例えば、透過膜の外部の懸濁液が新しい懸濁液に入れ替わる環境下で測定したものであり得る。懸濁液は、継続的に入れ替わるものであってもよく、一定期間ごとに入れ替わるものであってもよい。前記一定期間は、定期的または不定期的な期間であってもよい。たとえば、1時間~1週間の範囲内で、1時間おき、2時間おき、3時間おき、6時間おき、12時間おき、24時間おき、2日おき、3日おき、4日おき、7日おきなどに入れ替えることができるが、これらに限定されるものではない
【0105】
前記吸光度の比が1/2となるということは、t時間後の吸光度が初期吸光度の半分になるということであり、これは多孔性シリカ粒子の約半分が分解されたことを意味する。
【0106】
前記懸濁液は緩衝溶液であってもよく、具体的には、PBS(phosphate buffered saline)およびSBF(simulated body fluid)からなる群より選択される1種以上であってもよく、より具体的にはPBSであってもよい。
【0107】
本発明に係る前記数式1の吸光度の比が1/2となるtは24以上であり、例えば、tは24~120であってもよく、例えば、前記範囲内で24~96、24~72、30~70、40~70、50~65などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0108】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、前記数式1の吸光度の比が1/5となるtが、例えば70~140であってもよく、例えば、前記範囲内で80~140、80~120、80~110、70~140、70~120、70~110などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0109】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、前記数式1の吸光度の比が1/20となるtが、例えば130~220であってもよく、例えば、前記範囲内で130~200、140~200、140~180、150~180などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0110】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、測定される吸光度が0.01以下となるtが、例えば250以上、例えば、300以上、350以上、400以上、500以上、1000以上などであってもよく、その上限は2000であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0111】
本発明に係る多孔性シリカ粒子において、前記数式1の吸光度の比とtは、高い量の相関関係を有するものであり、例えば、ピアソン相関係数が0.8以上であってもよく、例えば0.9以上、0.95以上であってもよい。
【0112】
前記数式1のtは、多孔性シリカ粒子が体内と同様の環境でどの程度の速度で分解されるかを意味するものであり。これは、例えば多孔性シリカ粒子の表面積、粒径、気孔直径、表面及び/又は気孔内部の置換基、表面の緻密さの程度などを調節することによって調節できる。
【0113】
例えば、粒子の表面積を増加させてtを減少させたり、表面積を減少させてtを増加させることができる。表面積は、粒子の直径、気孔の直径を調節することによって調節できる。また、表面及び/又は気孔内部に置換基を位置させ、多孔性シリカ粒子が環境(溶媒など)に直接露出することを減らしてtを増加させることができる。また、多孔性シリカ粒子に生理活性物質を担持させ、生理活性物質と多孔性シリカ粒子間の親和度を増加させ、多孔性シリカ粒子が環境に直接露出することを減らしてtを増加させることができる。また、粒子の製造時に表面をより緻密に製造してtを増加させることもできる。前記に数式1のtを調節できる様々な例示を示したが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、例えば球状粒子であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0115】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、平均粒径が例えば150nm~1000nmであってもよく、例えば、前記範囲内で例えば150nm~800nm、150nm~500nm、150nm~400nm、150nm~300nm、150nm~200nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0116】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、平均気孔直径が例えば1nm~100nmであってもよく、例えば、前記範囲内で例えば5nm~100nm、7nm~100nm、7nm~50nm、10nm~50nm、10nm~30nm、7nm~30nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記のような大きな直径を有し、多くの生理活性物質を担持することができ、サイズが大きい生理活性物質の担持も可能である。
【0117】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、BET表面積が例えば200m2/g~700m2/gであってもよい。例えば、前記範囲内で200m2/g~700m2/g、200m2/g~650m2/g、250m2/g~650m2/g、300m2/g~700m2/g、300m2/g~650m2/g、300m2/g~600m2/g、300m2/g~550m2/g、300m2/g~500m2/g、300m2/g~450m2/gなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0118】
本発明に係るシリカナノ粒子は、g当たりの体積が例えば0.7ml~2.2mlであってもよい。例えば、前記範囲内で0.7ml~2.0ml、0.8ml~2.2ml、0.8ml~2.0ml、0.9ml~2.0ml、1.0ml~2.0mlなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。g当たりの体積が小さすぎると、分解速度が速くなりすぎることがあり、大きすぎると、製造が困難であるか、完全な形状を有することができないことがある。
【0119】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、外部表面及び/又は気孔内部に親水性置換基及び/又は疎水性置換基が存在し得る。例えば、表面および気孔内部の両方に親水性置換基のみが存在するか、疎水性置換基のみが存在してもよく、表面または気孔内部のみに親水性置換基が存在するか、疎水性置換基が存在してもよく、表面に親水性置換基、気孔内部に疎水性置換基が存在してもよく、その逆の場合も可能である。
【0120】
多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質の放出は、主にナノ粒子の分解によって行われるものであるところ、前記置換基の調節により生理活性物質の放出環境に対する多孔性シリカ粒子の相互作用が調節され、ナノ粒子自体の分解速度が調節され、生理活性物質の放出速度が調節され得る。また、生理活性物質は、ナノ粒子から拡散して放出することもできるが、前記置換基の調節により生理活性物質のナノ粒子に対する結合力が調節され、生理活性物質の放出が調節され得る。
【0121】
また、難溶性(疎水性)生理活性物質との結合力を強化するために、気孔内部に疎水性置換基が存在し、使用、製形化のしやすさなどの側面から、粒子の表面に親水性置換基が存在するようにするなどの処理も可能である。
【0122】
親水性置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、スルフヒドリル基、ホスフェート基、チオール基、アンモニウム基、エステル基、イミド基、チオイミド基、ケト基、エーテル基、リンデン基、スルホニル基、ポリエチレングリコール基などが挙げられる。疎水性置換基としては、例えば置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換または非置換のC6~C30のアリール基、置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基、ハロゲン基、C1~C30のエステル基、およびハロゲン含有基などが挙げられる。
【0123】
また、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、外部表面及び/又は気孔内部が陽電荷及び/又は陰電荷に帯電したものであり得る。例えば、表面および気孔内部の両方が陽電荷に帯電するか陰電荷に帯電してもよく、表面または気孔内部のみが陽電荷に帯電するか陰電荷に帯電してもよく、表面が陽電荷、気孔内部が陰電荷に帯電してもよく、その逆の場合も可能である。
【0124】
前記帯電は、例えば、陽イオン性置換基または陰イオン性置換基が存在することによって行われたものであり得る。
【0125】
陽イオン性置換基は、例えば、塩基性基であり、アミノ基、その他の窒素含有基などであってもよく、陰イオン性置換基は、例えば、酸性基であり、カルボキシ基(‐COOH)、スルホン酸基(‐SO3H)、チオール基(‐SH)などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0126】
同様に、前記帯電によって、前記置換基の調節により生理活性物質の放出環境に対する多孔性シリカ粒子の相互作用が調節され、ナノ粒子自体の分解速度が調節され、生理活性物質の放出速度が調節され得る。また、生理活性物質は、ナノ粒子から拡散して放出することもできるが、前記置換基の調節により生理活性物質のナノ粒子に対する結合力が調節され、生理活性物質の放出が調節され得る。
【0127】
また、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、その表面及び/又は気孔内部に前記のほか、生理活性物質の担持、生理活性物質の標的細胞への移動、その他の目的のための物質の担持またはその他の追加置換基の結合などのための置換基が存在してもよく、これに結合した抗体、リガンド、細胞透過性ペプチドまたはアプタマーなどをさらに含んでもよい。
【0128】
前述した表面及び/又は気孔内部の置換基、電荷、結合物質などは、例えば、表面改質によって付加することができる。
【0129】
表面改質は、例えば、導入しようとする置換基を有する化合物を粒子と反応させて行うことができる。前記化合物は、例えば、C1~C10アルコキシ基を有するアルコキシシランであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記アルコキシシランは、前記アルコキシ基を1個以上有するものであり、例えば1~3個有してもよく、アルコキシ基の結合していない部位に導入しようとする置換基があるか、これに置換された置換基が有り得る。
【0130】
多孔性シリカ粒子の製造
本発明の多孔性シリカ粒子は、例えば、小気孔の粒子の製造および気孔拡張工程を経て製造したものであってもよく、必要に応じて、か焼(calcination)工程、表面改質工程などをさらに経て製造したものであってもよい。か焼及び表面改質工程をすべて経た場合は、か焼後に表面改質されたものであり得る。
【0131】
小気孔の粒子は、例えば、平均気孔直径が1nm~5nmの粒子であってもよい。
【0132】
小気孔の粒子は、溶媒に界面活性剤とシリカ前駆物質を入れて攪拌および均質化して得ることができる。
【0133】
溶媒は、水及び/又は有機溶媒であってもよい。有機溶媒は、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、γ‐ブチロラクトン、1,3‐ジメチル‐イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4‐ヒドロキシ‐4‐メチル‐2‐ペンタノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);その他ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N‐ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)、N‐メチルピロリドン(NMP)、N‐エチルピロリドン(NEP)、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N,N‐ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、テトラメチル尿素、N‐メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m‐ジオキサン、P‐ジオキサン、1,2‐ジメトキシエタンなどを使用でき、具体的にはアルコール、より具体的にはメタノールを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
水と有機溶媒の混合溶媒の使用時の割合は、例えば、水と有機溶媒を1:0.7~1.5の体積比、例えば1:0.8~1.3の体積比にすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
界面活性剤は、例えば、CTAB(cetyltrimethylammonium bromide)、TMABr(hexadecyltrimethylammonium bromide)、TMPrCl(hexadecyltrimethylpyridinium chloride)、TMACl(tetramethylammonium chloride)などであってもよく、具体的にはCTABを使用することができる。
【0136】
界面活性剤は、例えば、溶媒1リットル当たり1g~10g、例えば、前記範囲内で1g~8g、2g~8g、3g~8gなどの量で添加できるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
シリカ前駆物質は、溶媒に界面活性剤を添加して攪拌した後に添加することができる。シリカ前駆物質は、例えば、TMOS(Tetramethyl orthosilicate)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0138】
前記攪拌は、例えば、10分~30分間行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0139】
シリカ前駆物質は、例えば溶媒1リットル当たり0.5ml~5ml、例えば、前記範囲内で0.5ml~4ml、0.5ml~3ml、0.5ml~2ml、1ml~2mlなどの量で添加できるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
必要に応じて、触媒として水酸化ナトリウムをさらに使用することができ、これは溶媒に界面活性剤を添加した後、シリカ前駆物質の添加前に撹拌しながら添加することができる。
【0141】
水酸化ナトリウムは、例えば、1M水酸化ナトリウム水溶液を基準で溶媒1リットル当たり0.5ml~8ml、例えば、前記範囲内で0.5ml~5ml、0.5ml~4ml、1ml~4ml、1ml~3ml、2ml~3mlなどであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0142】
シリカ前駆物質の添加後に溶液を攪拌して反応させることができる。攪拌は、例えば2時間~15時間行うことができ、例えば、前記範囲内で3時間~15時間、4時間~15時間、4時間~13時間、5時間~12時間、6時間~12時間、6時間~10時間など行うことができるが、これらに限定されるものではない。攪拌時間(反応時間)が短すぎると、結晶核生成(nucleation)が不足することがある。
【0143】
前記攪拌の後には、溶液を熟成(aging)させることができる。熟成は、例えば、8時間~24時間行うことができ、例えば、前記範囲内で8時間~20時間、8時間~18時間、8時間~16時間、8時間~14時間、10時間~16時間、10時間~14時間など行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
その後、反応産物を洗浄および乾燥して多孔性シリカ粒子を得ることができる。
【0145】
必要に応じて、洗浄の前に未反応物質の分離を先行することができる。
【0146】
未反応物質の分離は、例えば遠心分離で上澄み液を分離して行うことができる。
【0147】
遠心分離は、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、例えば、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0148】
洗浄は、水及び/又は有機溶媒で行うことができ、具体的には、溶媒ごとに溶解できる物質が異なるので、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、例えば、3回以上10回以下、4回以上8回以下、4回以上6回以下などであってもよい。
【0149】
有機溶媒は、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、γ‐ブチロラクトン、1,3‐ジメチル‐イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4‐ヒドロキシ‐4‐メチル‐2‐ペンタノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);その他ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N‐ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)、N‐メチルピロリドン(NMP)、N‐エチルピロリドン(NEP)、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N,N‐ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、テトラメチル尿素、N‐メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m‐ジオキサン、P‐ジオキサン、1,2‐ジメトキシエタンなどを使用でき、具体的にはアルコール、より具体的にはエタノールを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
洗浄は遠心分離下で行うことができ、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、例えば、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0151】
洗浄は、遠心分離をせずに、フィルタで粒子をろ過して行うこともできる。フィルタは、多孔性シリカ粒子の直径以下の気孔を有するものであってもよい。反応液を、そのようなフィルタでろ過すると、粒子だけがフィルターの上に残り、そのフィルタの上に水及び/又は有機溶媒を注ぎ、洗浄することができる。
【0152】
洗浄時には、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、例えば、3回以上10回以下、4回以上8回以下、4回以上6回以下などであってもよい。
【0153】
乾燥は、例えば20℃~100℃で行うことができるが、これに限定されず、真空状態で行うこともできる。
【0154】
その後、前記で得られた多孔性シリカ粒子の気孔を拡張する。
【0155】
気孔の拡張は、気孔膨張剤を用いて行うことができる。
【0156】
気孔膨張剤としては、例えば、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、トリプロピルベンゼン、トリブチルベンゼン、トリペンチルベンゼン、トリヘキシルベンゼン、トルエン、ベンゼンなどを使用でき、具体的にはトリメチルベンゼンを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0157】
また、気孔膨張剤としては、例えばN,N‐ジメチルヘキサデシルアミン(N,N‐dimethylhexadecylamine、DMHA)を使用できるが、これに限定されるものではない。
【0158】
気孔の拡張は、例えば、溶媒中の多孔性シリカ粒子を気孔膨張剤と混合し、加熱して反応させて行うことができる。
【0159】
溶媒は、例えば、水及び/又は有機溶媒であってもよい。有機溶媒としては、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;などを使用でき、具体的にはアルコール、より具体的にはエタノールを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
多孔性シリカ粒子は、例えば、溶媒1リットル当たりに10g~200g、例えば、前記範囲内で10g~150g、10g~100g、30g~100g、40g~100g、50g~100g、50g~80g、60g~80gなどの割合で添加できるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
多孔性シリカ粒子は、溶媒中に均一に分散しているものであってもよく、例えば、溶媒に多孔性シリカ粒子を添加して超音波分散したものであってもよい。混合溶媒を使用する場合には、第1の溶媒に多孔性シリカ粒子を分散した後、第2の溶媒を添加したものであってもよい。
【0162】
気孔膨張剤は、例えば、溶媒100体積部に対して10~200体積部、前記範囲内で10~150体積部、10~100体積部、10~80体積部、30~80体積部、30~70体積部などの割合で添加できるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
反応は、例えば120℃~180℃で行うことができる。例えば、前記範囲内で120℃~170℃、120℃~160℃、120℃~150℃、130℃~180℃、130℃~170℃、130℃~160℃、130℃~150℃などで行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0164】
反応は、例えば、24時間~96時間行うことができる。例えば、前記範囲内で30時間~96時間、30時間~96時間、30時間~80時間、30時間~72時間、24時間~80時間、24時間~72時間、36時間~96時間、36時間~80時間、36時間~72時間、36時間~66時間、36時間~60時間、48時間~96時間、48時間~88時間、48時間~80時間、48時間~72時間などであってもよく、これらに限定されるものではない。
【0165】
前記例示した範囲内で時間および温度を調節し、反応が過剰せずに十分に行われるようにすることができる。例えば、反応温度が低くなると反応時間を増やしたり、反応温度が高くなると反応時間を短くしたりすることができる。反応が十分でないと、気孔の拡張が十分ではないことがあり、反応が進行しすぎると、気孔の過剰拡張により粒子が崩壊することがある。
【0166】
反応は、例えば、段階的に昇温させて行うことができる。具体的には、常温から前記温度まで0.5℃/分~15℃/分の速度で段階的に昇温して行うことができ、例えば、前記範囲内で1℃/分~15℃/分、3℃/分~15℃/分、3℃/分~12℃/分、3℃/分~10℃/分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0167】
反応後は、反応液を徐々に冷却させることができ、例えば、段階的に減温して冷却することができる。具体的には、前記温度から常温まで0.5℃/分~20℃/分の速度で段階的に減温して行うことができ、例えば、前記範囲内で1℃/分~20℃/分、3℃/分~20℃/分、3℃/分~12℃/分、3℃/分~10℃/分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0168】
冷却後に反応産物を洗浄および乾燥し、気孔が拡張された多孔性シリカ粒子を得ることができる。
【0169】
必要に応じて、洗浄の前に未反応物質の分離を先行することができる。
【0170】
未反応物質の分離は、例えば遠心分離で上澄み液を分離して行うことができる。
【0171】
遠心分離は、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、例えば、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0172】
洗浄は、水及び/又は有機溶媒で行うことができる。具体的には、溶媒ごとに分解できる物質が異なるので、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、例えば、3回、4回、5回、6回、7回、8回などであってもよい。
【0173】
有機溶媒は、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;などを使用することができ、具体的にはアルコール、より具体的にはエタノールを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0174】
洗浄は遠心分離下で行うことができ、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、例えば、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであるが、これらに限定されるものではない。
【0175】
洗浄は遠心分離をせずに、フィルタで粒子をろ過して行うこともできる。フィルタは、多孔性シリカ粒子の直径以下の気孔を有するものであってもよい。反応液をそのようなフィルタでろ過すると、粒子だけがフィルターの上に残り、そのフィルタの上に水及び/又は有機溶媒を注ぎ、洗浄することができる。
【0176】
洗浄時には、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、例えば、3回以上10回以下、4回以上8回以下、4回以上6回以下などであってもよい。
【0177】
乾燥は、例えば20℃~100℃で行うことができるが、これに限定されるものではなく、真空状態で行うこともできる。
【0178】
その後、得られた粒子は、か焼することができる。
【0179】
か焼は、粒子を加熱してその表面および内部をより緻密な構造にし、気孔を満たす有機物を除去する工程であって、例えば400℃~700℃で3時間~8時間、具体的には500℃~600℃で4時間~5時間行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0180】
その後、得られた多孔性シリカ粒子は、表面改質することができる。
【0181】
表面改質は、表面及び/又は気孔内部に行うことができる。粒子表面と気孔内部は同じように表面改質してもよく、互いに異なるように表面改質してもよい。
【0182】
表面改質により粒子が帯電されるようにするか、親水性及び/又は疎水性の性質を持つようにすることができる。表面改質は、例えば、導入しようとする親水性、疎水性、陽イオン性、陰イオン性などの置換基を有する化合物を粒子と反応させて行うことができる。前記化合物は、例えばC1~C10アルコキシ基を有するアルコキシシランであってもよいが、これに限定されるものではない。前記アルコキシシランは、前記アルコキシ基を1個以上有するものであり、例えば1~3個有することができ、アルコキシ基の結合していない部位に導入しようとする置換基があるか、またはこれに置換された置換基があり得る。
【0183】
アルコキシシランを多孔性シリコン粒子と反応させると、シリコン原子と酸素原子との共有結合が形成され、アルコキシシランが多孔性シリコン粒子の表面及び/又は気孔内部と結合することができ、前記アルコキシシランは、導入しようとする置換基を持っているので、その置換基を多孔性シリコン粒子の表面及び/又は気孔内部に導入することができる。
【0184】
前記反応は、溶媒に分散した多孔性シリカ粒子をアルコキシシランと反応して行うことができる。
【0185】
溶媒は、水及び/又は有機溶媒であってもよい。有機溶媒は、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、γ‐ブチロラクトン、1,3‐ジメチル‐イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4‐ヒドロキシ‐4‐メチル‐2‐ペンタノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);その他ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N‐ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)、N‐メチルピロリドン(NMP)、N‐エチルピロリドン(NEP)、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、N,N‐ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、テトラメチル尿素、N‐メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m‐ジオキサン、P‐ジオキサン、1,2‐ジメトキシエタンなどを使用でき、具体的にはトルエンを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0186】
陽電荷への帯電は、例えばアミノ基、アミノアルキル基などの窒素含有基などの塩基性基を有するアルコキシシランと反応させて行うことができる。具体的には、N‐[3‐(Trimethoxysilyl)propyl] ethylenediamine、N1‐(3‐Trimethoxysilylpropyl)diethylenetriamine、(3‐Aminopropyl)trimethoxysilane、N‐[3‐(Trimethoxysilyl)propyl] aniline、Trimethoxy[3‐(methylamino)propyl] silane、3‐(2‐Aminoethylamino)propyldimethoxymethylsilaneなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0187】
陰電荷への帯電は、例えばカルボキシ基、スルホン酸基、チオール基などの酸性基を有するアルコキシシランと反応させて行うことができる。具体的には、(3‐Mercaptopropyl)trimethoxysilaneなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0188】
親水性の性質は、親水性基、例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、スルフヒドリル基、ホスフェート基、チオール基、アンモニウム基、エステル基、イミド基、チオイミド基、ケト基、エーテル基、リンデン基、スルホニル基、ポリエチレングリコール基などを有するアルコキシシランと反応させて有するようにすることができる。具体的には、N‐[3‐(Trimethoxysilyl)propyl] ethylenediamine、N1‐(3‐Trimethoxysilylpropyl)diethylenetriamine、(3‐Aminopropyl)trimethoxysilane、(3‐Mercaptopropyl)trimethoxysilane、Trimethoxy [3‐(methylamino)propyl]silane、3‐(2‐Aminoethylamino)propyldimethoxymethylsilaneなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0189】
疎水性の性質は、疎水性置換基、例えば、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC3~C30のシクロアルキル基、置換または非置換のC6~C30のアリール基、置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基、ハロゲン基、C1~C30のエステル基、ハロゲン含有基などを有するアルコキシシランと反応させて有するようにすることができる。具体的には、Trimethoxy(octadecyl)silane、Trimethoxy‐n‐octylsilane、Trimethoxy(propyl)silane、Isobutyl(trimethoxy)silane、Trimethoxy(7‐octen‐1‐yl)silane、Trimethoxy(3,3,3‐trifluoropropyl)silane、Trimethoxy(2‐phenylethyl)silane、Vinyltrimethoxysilane、Cyanomethyl、3‐(trimethoxysilyl)propyl]trithiocarbonate、(3‐Bromopropyl)trimethoxysilaneなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
そのほか、表面改質により、難溶性(疎水性)生理活性物質との結合力を強化するために、気孔内部に疎水性置換基が存在し、使用、製形化のしやすさなどの側面から、粒子の表面に親水性置換基が存在するようにするなどの処理も可能であり、表面に生理活性物質のほか、他の物質を結合させるための置換基が存在してもよい。
【0191】
また、表面改質は、複合的に行うこともできる。例えば、外部表面または気孔内部に2回以上の表面改質を行うこともできる。具体的な例として、アミノ基が導入されたシリカ粒子にカルボキシル基を含む化合物をアミド結合で結合して陽電荷に帯電した粒子を、他の表面特性を有するように変化させることができるが、これに限定されるものではない。
【0192】
多孔性シリカ粒子のアルコキシシランとの反応は、例えば加熱下で行うことができる。
【0193】
加熱は、例えば80℃~180℃、例えば、前記範囲内で80℃~160℃、80℃~150℃、100℃~160℃、100℃~150℃、110℃~150℃などで行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0194】
多孔性シリカ粒子のアルコキシシランとの反応は、例えば4時間~20時間、例えば、前記範囲内で4時間~18時間、4時間~16時間、6時間~18時間、6時間~16時間、8時間~18時間、8時間~16時間、8時間~14時間、10時間~14時間など行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0195】
前記反応温度、時間、そして表面改質に使用される化合物の量などは、表面改質しようとする程度に応じて選択できるものである。生理活性物質の親水性、疎水性、電荷の程度によって反応条件を異ならせて多孔性シリカ粒子の親水性、疎水性、電荷の程度を調節することにより、生理活性物質の放出速度を調節することができる。例えば、生理活性物質が中性のpHで強い陰電荷を帯びる場合には、多孔性シリカ粒子が強い陽電荷を帯びるようにするために、反応温度を高くしたり、反応時間を長くすることができ、化合物の処理量を増やすことができるが、これに制限されるものではない。
【0196】
また、本発明の一具現例に係る多孔性シリカ粒子は、例えば、小気孔の粒子の製造、気孔拡張、表面改質、気孔内部の改質工程を経て製造したものであってもよい。
【0197】
小気孔の粒子の製造および気孔拡張工程は、前述通りの工程によって行うことができ、小気孔の粒子の製造の後、そして気孔拡張工程の後に洗浄及び乾燥工程を行うことができる。
【0198】
必要に応じて、洗浄の前に未反応物質の分離を先行することができる。
【0199】
未反応物質の分離は、例えば遠心分離で上澄み液を分離して行うことができる。
【0200】
遠心分離は、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、具体的には、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであるが、これらに限定されるものではない。
【0201】
小気孔の粒子製造後の洗浄は、先に例示した範囲内の方法/条件で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0202】
気孔拡張後の洗浄は、前述の例示よりは緩和された条件で行うことができる。例えば、洗浄を3回以内行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0203】
表面改質と気孔内部の改質は、それぞれ前述通りの工程により行うことができる。表面改質と気孔内部の改質の順に工程を行うことができ、前記二つの工程の間に粒子の洗浄工程をさらに行うことができる。
【0204】
小気孔の粒子の製造および気孔拡張の後に洗浄をより緩和された条件で行う場合、気孔内部には粒子製造、気孔拡張に使用された界面活性剤などの反応液が満たされており、表面改質時に気孔内部が改質されずに、表面だけを改質することができる。その後、粒子を洗浄すると、気孔内部の反応液を除去することができる。
【0205】
表面改質と気孔内部の改質工程の間の粒子の洗浄は、水及び/又は有機溶媒で行うことができる。具体的には、溶媒ごとに溶解できる物質が異なるので、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、具体的には、3回以上10回以下、4回以上8回以下、4回以上6回以下などであってもよい。
【0206】
洗浄は遠心分離下で行うことができ、例えば6,000~10,000rpmで行うことができる。その時間は、例えば3分~60分、具体的には、前記範囲内で3分~30分、3分~30分、5分~30分などであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0207】
洗浄は遠心分離をせずに、フィルタで粒子をろ過して行うこともできる。フィルタは、多孔性シリカ粒子の直径以下の気孔を有するものであってもよい。反応液をそのようなフィルタでろ過すると、粒子だけがフィルターの上に残り、そのフィルタの上に水及び/又は有機溶媒を注ぎ、洗浄することができる。
【0208】
洗浄時には、水と有機溶媒を1回または数回交互に使用してもよく、水または有機溶媒単独で1回または数回洗浄してもよい。前記数回は、例えば、2回以上、10回以下、具体的には、3回以上10回以下、4回以上8回以下、4回以上6回以下などであってもよい。
【0209】
乾燥は、例えば20℃~100℃で行うことができるが、これらに限定されるものではなく、真空状態で行うこともできる。
【0210】
生理活性物質の担持
生理活性物質は、多孔性シリカ粒子の表面及び/又は気孔内部に担持することができる。
【0211】
担持は、例えば、溶媒中の多孔性シリカ粒子と生理活性物質を混合して行うことができる。
【0212】
溶媒は、水及び/又は有機溶媒であってもよい。有機溶媒は、例えば、1,4‐ジオキサンなどのエーテル類(特に環状エーテル類);クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2‐ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭素系芳香族類;N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジブチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドンなどのアルキルアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;などを使用することができる。
【0213】
また、溶媒としてPBS(phosphate buffered saline solution)、SBF(Simulated Body Fluid)、Borate‐buffered saline、Tris‐buffered salineなどを使用することもできる。
【0214】
多孔性シリカ粒子と生理活性物質の割合は、特に限定されず、例えば重量比が1:0.05~0.8、例えば、前記範囲内で1:0.05~0.7、1:0.05~0.6、1:0.1~0.8、1:0.1~0.6、1:0.2~0.8、1:0.2~0.6などであってもよい。
【0215】
生理活性物質の放出
多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質は、延長された時間に渡って段階的に放出することができる。このような遅い放出は、連続性または非連続性、線形または非線形であってもよく、多孔性シリカ粒子の特徴及び/又はその生理活性物質との相互作用に起因して異なり得る。
【0216】
多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質は、多孔性シリカ粒子が生分解されながら放出されるが、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、徐々に分解され、担持された生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子の表面積、粒径、気孔直径、表面及び/又は気孔内部の置換基、表面の緻密さの程度などを調節することで調節できるが、これらに限定されるものではない。
【0217】
また、多孔性シリカ粒子に担持された生理活性物質は、多孔性シリカ粒子から離脱して拡散しながら放出することもでき、これは多孔性シリカ粒子と生理活性物質、生理活性物質の放出環境との関係に影響を受けるものであるところ、これを調節して生理活性物質の放出を調節することができる。例えば、表面改質によって多孔性シリカ粒子の生理活性物質との結合力を強化または弱化させることによって調節することができる。
【0218】
より具体的な例として、担持された生理活性物質が難溶性(疎水性)である場合には、粒子の表面及び/又は気孔内部が疎水性置換基を有して多孔性シリカ粒子と生理活性物質との結合力が増加したものであってもよく、これにより、生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子が疎水性置換基を有するアルコキシシランで表面改質されたものであってもよい。
【0219】
本明細書で「難溶性」とは、(水に対して)不溶性(insoluble)、実質的に不溶性(practically insoluble)、またはごくわずかの可溶性(only slightly soluble)を含む意味である。これは「Pharmaceutical Science」18th Edition(USP、Remington、Mack Publishing Company発行)に定義されている用語である。
【0220】
難溶性の生理活性物質は、例えば1気圧、25℃で水溶解度が10g/L未満、具体的には5g/L未満、より具体的には1g/L未満であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0221】
担持された生理活性物質が水溶性(親水性)である場合には、粒子の表面及び/又は気孔内部が親水性置換基を有して多孔性シリカ粒子と生理活性物質との結合力が増加したものであってもよく、これにより生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子が親水性置換基を有するアルコキシシランで表面改質されたものであってもよい。
【0222】
水溶性生理活性物質は、例えば1気圧、25℃で水溶解度が10g/L以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0223】
担持された生理活性物質が電荷を帯びる場合には、粒子の表面及び/又は気孔内部がその逆の電荷に帯電して多孔性シリカ粒子と生理活性物質との結合力が増加したものであってもよく、これにより生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子が酸性基または塩基性基を有するアルコキシシランで表面改質されたものであってもよい。
【0224】
具体的には、生理活性物質が中性のpHで陽電荷を帯びるものであれば、粒子の表面及び/又は気孔内部が中性のpHで陰電荷に帯電するものであってもよく、これにより多孔性シリカ粒子と生理活性物質との結合力が増加して生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子がカルボン酸(‐COOH)、スルホン酸基(‐SO3H)などの酸性基を有するアルコキシシランで表面改質されたものであってもよい。
【0225】
また、生理活性物質が中性のpHで陰電荷を帯びるものであれば、粒子の表面及び/又は気孔内部が陽電荷に帯電するものであってもよく、これにより多孔性シリカ粒子と生理活性物質との結合力が増加して生理活性物質を徐放的に放出することができる。これは例えば、多孔性シリカ粒子がアミノ基、その他窒素含有基などの塩基性基を有するアルコキシシランで表面改質されたものであってもよい。
【0226】
生理活性物質は、必要な治療の種類、放出環境、使用される多孔性シリカ粒子に依存して、例えば7日~1年またはそれ以上の期間に渡って放出され得る。
【0227】
また、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、生分解性で100%分解され得るので、担持された生理活性物質は100%放出され得る。
【0228】
生理活性物質送達体の製形化及び投与
本発明の生理活性物質送達体は、任意の投与経路を通じた送達のために製形化することができる。「投与経路」は、エアロゾル、鼻腔、経口、経粘膜、経皮、非経口または経腸を含むが、これらに限定されない当業界に公知の任意の投与経路を指すことができる。
【0229】
本発明に係る多孔性シリカ粒子は、生分解性で100%分解され得るので、体内安定性に優れている。このため、非経口投与が可能であり、非経口投与用の製剤に製剤化することができる。
【0230】
「非経口」は、眼窩内、眼内、注入、動脈内、関節内、心臓内、真皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、脊椎腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜または経気管などの、一般的に注射に関連した投与経路を指す。非経口経路により、送達体は、注入用または注射用または凍結乾燥形態の溶液または懸濁液の形態で存在し得る。非経口経路により、送達体は、注入用または注射用の溶液または懸濁液の形態で存在し得る。腸溶経路により、生理活性物質送達体は、錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、エマルジョン、マイクロスフィアまたはナノスフィアまたは脂質小胞または制御放出を許容する重合体小胞の形態で存在し得る。典型的に、送達体は、静脈内または腹腔内のいずれかの注射によって投与される。これらの投与のための方法は、当業者に公知されている。
【0231】
本発明に係る生理活性物質送達体はまた、任意の薬剤学的に許容可能な担体を含有し得る。「薬剤学的に許容可能な担体」は、本明細書中で用いる場合、身体のある組織、器官または部分から、身体の別の組織、器官または部分に関心対象の化合物を運ぶかまたは輸送するのに関与する薬剤学的に許容可能な物質、組成物またはビヒクルを指す。例えば、担体は、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質、あるいはその組み合わせであり得る。担体の各構成成分は、「薬剤学的に許容可能」でなければならず、すなわち、それは製形の他の成分と相溶性でなければならない。それは、また、それが接触するようになり得る任意の組織または器官と接触して用いるのに適していなければならず、これは、毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、またはその治療的利益より過剰に力を有する任意の他の合併症の危険を保有してはならない、ということを意味する。
【0232】
本発明に係る生理活性物質送達体は、さらにまた、経口投与のためにエマルジョンまたはシロップにカプセル化、錠剤化または製造することができる。薬剤学的に許容可能な固体または液体担体は、組成物を増強または安定化するために、あるいは組成物の調製を容易にするために付加され得る。液体担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、グリセリン、生理食塩水、アルコールおよび水が挙げられる。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム2水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天またはゼラチンが挙げられる。担体はまた、単独でまたは蝋とともに、徐放性物質、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを包含し得る。
【0233】
生理活性物質送達体は、錠剤形態のためには、必要な場合には粉砕、混合、造粒および圧縮により;あるいは硬質ゼラチンカプセル形態のためには、粉砕、混合および充電により、通常の薬学技法に従って製造される。液体担体が用いられる場合、製剤は、シロップ、エリキシル、エマルジョン、あるいは水性または非水性懸濁液の形態で存在する。このような液体剤形は、直接的に経口投与され得るし、または軟質ゼラチンカプセル中に充填され得る。
【0234】
本発明に係る生理活性物質送達体は、治療的有効量で提供され得る。精確な治療的有効量は、所定の対象体における治療の効果の点で最も効果的な結果を生じる組成物の量である。この量は、治療化合物の特徴(例えば、活性、薬動学、薬力学および生体活性)、対象体の生理的条件(例えば、年齢、性別、疾患の種類および病期、全身状態、所定の投薬量に対する応答性、ならびに医薬品の種類)、剤形内の薬剤学的に許容可能な担体または担体の特性、および投与経路を含むが、これらに限定されない多数の因子によって変わる。臨床および薬理学分野における当業者は、例えば化合物の投与に対する対象体の応答をモニタリングし、それにしたがって投薬量を調整することにより、慣例的実験により治療的有効量を決定する。付加的指針に関しては、文献[Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro ed. 20th edition, Williams & Wilkins PA,USA)(2000)]を参照されたい。
【0235】
本発明の薬物送達体が投与される個体は、ヒトを含む哺乳類であり、具体的にはヒトであり得る。
【0236】
個体への投与の前に、剤形が製剤に添加されてもよい。好ましくは、液体剤形であり得る。例えば、これらの剤形は、油、重合体、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝剤、アルブミン、界面活性剤、増量剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0237】
炭水化物製形は、糖または糖アルコール、例えば単糖類、二糖類または多糖類、または水溶性グルカンを含む。糖類またはグルカンは、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、蔗糖、デキストラン、プルラン、デキストリン、アルファ及びベータシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチル澱粉、ならびにカルボキシメチルセルロース、またはこれらの混合物を含み得る。「糖アルコール」は、‐OH基を有するC4~C8の炭化水素として定義され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、およびアラビトールを含む。前記のこれらの糖または糖アルコールは、個々にまたは組み合わせで用いられてもよい。糖または糖アルコールが水性製剤に対して可溶性である限り、用いられる量に対する一定の制限はない。一実施形態では、糖または糖アルコールの濃度は、1.0w/v%~7.0w/v、より好ましくは2.0~6.0w/v%である。
【0238】
アミノ酸製形は、カルニチン、アルギニン、およびベタインの左旋性(L)体を含むが、他のアミノ酸が添加されてもよい。
【0239】
ある実施形態では、剤形としての重合体は、平均分子量が2,000~3,000のポリビニルピロリドン(PVP)、または、平均分子量が3,000~5,000のポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0240】
また、凍結乾燥の前または再構成の後に溶液のpH変化を最小にするために組成物に緩衝剤を用いることが好ましい。シトレート、ホスフェート、スクシネート、およびグルタメート緩衝剤、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない多くの任意の生理的緩衝剤を使用することができる。ある実施形態では、濃度は0.01~0.3モルである。剤形に添加できる界面活性剤は、EP270,799及び同268,110に示される。
【0241】
さらに、送達体は、例えば、その循環半減期を上昇させるために、重合体に共有結合することで化学的に改変させることができる。それらをペプチドに結合させるための好ましい重合体および方法の例は、米国特許第4,766,106号;第4,179,337号;第4,495,285号;及び第4,609,546号に示され、これらの全文が参考として含まれる。好ましい重合体は、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で水に可溶であり、一実施形態では、平均分子量が500~40,000、2,000~20,000、または3,000~12,000である。一実施形態では、PEGは少なくとも1つのヒドロキシ基、例えば、末端ヒドロキシ基を有する。ヒドロキシ基は、阻害剤上で遊離アミノ基と反応するように活性化され得る。しかしながら、反応基の種類および量は、本発明の共有結合したPEG/抗体を達成するために変えてもよい。
【0242】
また、水溶性ポリオキシエチル化ポリオールが、本発明において有用である。それは、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などを含む。POGが好ましい。一つの理由は、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格は、モノ‐、ジ‐、トリグリセリドにおいて、天然由来の、例えば、動物およびヒトにおいての骨格と同じであるからである。したがって、この分子は、体内で必ず外来製剤と考えられるものではない。POGの分子量は、PEGと同じ範囲である。POGの構造は、文献[Knauf et al.,1988、J. Bio.Chem.263:15064‐15070]に示され、POG/IL C2コンジュゲートの議論は、米国特許第4,766,106号に示され、これらの全文が本明細書に参考として含まれる。
【0243】
液体生理活性物質送達体が製造された後、これは、分解を防止し、滅菌性を保存するために凍結乾燥され得る。液体組成物を凍結乾燥する方法は、当業者に公知されている。使用直前に、送達体は、追加的な成分を含むことができる滅菌希釈剤(例えば、点滴液、蒸留水、または滅菌生理食塩水)で再構成することができる。再構成時、送達体は、当業者に公知の方法を用いて対象体に投与される。
【0244】
生理活性物質送達体の用途
前述した本発明の生理活性物質送達体は、薬物および多孔性シリカ粒子を含むものであり、本発明は、生理活性物質送達体の製造における、前述した多孔性シリカ粒子の用途を提供する。
【0245】
前述のように、本発明に係る多孔性シリカ粒子は、生分解性であり、生体内で徐々に分解され、担持した生理活性物質を徐放的に放出できるので、徐放性の生理活性物質送達体の製造に使用することができる。
【0246】
その詳細物性、仕様、表面改質などは、先に例示した範囲内であってもよく、先に例示した範囲内の方法/条件などで製造されてもよい。
【0247】
実施例
1.多孔性シリカ粒子の製造
(1)多孔性シリカ粒子の製造
1)小気孔粒子の製造
2L丸底フラスコに蒸留水(DW)の960mLとMeOHの810mLを入れた。前記フラスコにCTABを7.88g入れた後、攪拌しながら1M NaOHを4.52mL素早く入れた。10分間攪拌して均一な混合液を入れた後、TMOSを2.6mL入れた。6時間攪拌して均一に混合した後、24時間熟成した。
【0248】
その後、前記反応液を25℃で10分間8000rpmで遠心分離して上澄み液を除去し、25℃で10分間8000rpmで遠心分離し、エタノールおよび蒸留水で交互に5回洗浄した。
【0249】
その後、70℃のオーブンで乾燥し、1.5gの粉末状の小気孔多孔性シリカ粒子(気孔平均直径2nm、粒径200nm)を得た。
【0250】
2)気孔の拡張
1.5gの小気孔多孔性シリカ粒子の粉末をエタノール10mlに添加して超音波分散し、水10ml、TMB(trimethyl benzene)10mlを添加して超音波分散した。
その後、前記分散液をオートクレーブに入れて160℃、48時間反応させた。
【0251】
反応は、25℃で開始し、10℃/分の速度で昇温して行い、その後、オートクレーブ内で1~10℃/分の速度で徐々に冷却した。
【0252】
冷却した反応液を25℃で10分間8000rpmで遠心分離して上澄み液を除去し、25℃で10分間8000rpmで遠心分離し、エタノールおよび蒸留水で交互に5回洗浄した。
【0253】
その後、70℃のオーブンで乾燥し、粉末状の多孔性シリカ粒子(気孔直径10~15nm、粒径200nm)を得た。
【0254】
3)か焼
前記2)で製造された多孔性シリカ粒子をガラスvialに入れて550℃で5時間加熱し、反応終了後、常温に徐々に冷やして粒子を製造した。
【0255】
(2)多孔性シリカ粒子の製造
気孔拡張時の反応条件を140℃、72時間に変更した以外は、前記1.(1)と方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0256】
(3)多孔性シリカ粒子の製造(10Lスケール)
5倍大きい容器を使用し、各物質をいずれも5倍の容量で使用した以外は、実施例1.(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0257】
(4)多孔性シリカ粒子の製造(粒径300nm)
小気孔粒子の製造時に蒸留水920ml、メタノール850mlを使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0258】
(5)多孔性シリカ粒子の製造(粒径500nm)
小気孔粒子の製造時に蒸留水800ml、メタノール1,010ml、CTAB10.6gを使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0259】
(6)多孔性シリカ粒子の製造(粒径1000nm)
小気孔粒子の製造時に蒸留水620ml、メタノール1,380ml、CTAB7.88gを使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0260】
(7)多孔性シリカ粒子の製造(気孔直径4nm)
気孔拡張時にTMBを2.5mL使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0261】
(8)多孔性シリカ粒子の製造(気孔直径7nm)
気孔拡張時にTMBを4.5mL使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0262】
(9)多孔性シリカ粒子の製造(気孔直径17nm)
気孔拡張時にTMBを11mL使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0263】
(10)多孔性シリカ粒子の製造(気孔直径23nm)
気孔拡張時にTMBを12.5mL使用した以外は、(1)の方法と同様にして多孔性シリカ粒子を製造した。
【0264】
(11)多孔性シリカ粒子の製造(二重改質)
1)小気孔粒子の製造
実施例(1)1)の方法と同様にして小気孔粒子を製造した。
【0265】
2)気孔の拡張
実施例(1)2)の方法と同様にして小気孔粒子をTMBと反応させ、冷却させ、遠心分離して上澄み液を除去した。その後、実施例(1)2)と同じ条件で遠心分離し、エタノールおよび蒸留水で交互に3回洗浄した。その後、実施例(1)2)と同じ条件で乾燥し、粉末状の多孔性シリカ粒子(気孔直径10~15nm、粒径200nm)を得た。
【0266】
3)表面改質
気孔が拡張された多孔性シリカ粒子0.8g~1gを50mLのトルエンに分散した後、(3‐aminopropyl)triethoxysilaneを5mL入れて120℃で還流したまま12時間加熱した。この過程は、前述の洗浄過程および乾燥過程を経た後、1mLのトリエチレングリコール(PEG3、2‐[2‐(2‐methoxyethoxy)ethoxy]acetic acid)および100mgのEDC(1‐Ethyl‐3‐(3‐dimethylaminopropyl)carbodiimide)および200mgのN‐Hydroxysuccinimide(NHS)を30mLのPBSに分散して常温で攪拌したまま12時間反応する。その後、生成物は、前記の洗浄および乾燥過程を経る。
気孔内部に前のステップの反応液が残っているため、気孔内部は改質されない。
【0267】
4)気孔内部の洗浄
表面改質された粒子粉末800mgを2M HCl/エタノール40mlに溶かし、12時間強く撹拌下に還流した。
【0268】
その後、冷却された反応液を10分間8000rpmで遠心分離して上澄み液を除去し、25℃で10分間8000rpmで遠心分離し、エタノールおよび蒸留水で交互に5回洗浄した。
【0269】
その後、70℃のオーブンで乾燥して粉末状の多孔性シリカ粒子を得た。
【0270】
5)気孔内部の改質
i)後述する実施例2.(2)1)の方法と同様にして気孔内部にプロピル基を導入した。
ii)後述する実施例2.(2)2)の方法と同様にして気孔内部にオクチル基を導入した。
【0271】
2.表面改質
(1)陽電荷への帯電
1)粒径300nmの粒子
実施例1.(4)の多孔性シリカ粒子を(3‐Aminopropyl)triethoxysilane(APTES)と反応して陽電荷に帯電した。
【0272】
具体的には、100mL丸底フラスコに100mgの多孔性シリカ粒子を10mLのトルエンにbath sonicatorで分散した。その後、1mLのAPTESを添加し、400rpmで攪拌し、130℃で攪拌して12時間反応させた。
【0273】
反応後、常温まで徐々に冷やし、10分間8000rpmで遠心分離して上澄み液を除去し、25℃で10分間8000rpmで遠心分離し、エタノールおよび蒸留水で交互に5回洗浄した。
【0274】
その後、70℃のオーブンで乾燥し、表面および気孔内部にアミノ基を有する粉末状の多孔性シリカ粒子を得た。
【0275】
2)粒径200nmの粒子
i)実施例1.(1)の多孔性シリカ粒子を(3‐Aminopropyl)triethoxysilane(APTES)と反応して陽電荷に帯電し、APTESを0.4ml添加し、反応時間を3時間とした以外は、前記2.(1)1)の方法と同様にして改質した。
ii)実施例1.(9)の多孔性シリカ粒子を(3‐Aminopropyl)triethoxysilane(APTES)と反応して陽電荷に帯電した以外は、前記2.(1)1)の方法と同様にして改質した。
iii)実施例1.(10)の多孔性シリカ粒子を(3‐Aminopropyl)triethoxysilane(APTES)と反応して陽電荷に帯電し、前記2.(1)1)の方法と同様にして改質した。
【0276】
(2)疎水性基の導入
1)プロピル基
1.(1)の多孔性シリカ粒子をTrimethoxy(propyl)silaneと反応して表面および気孔内部にプロピル基を導入し、APTESの代わりにTrimethoxy(propyl)silaneを0.35ml添加し、12時間反応させた以外は、2.(1)の方法と同様にして改質した。
【0277】
2)オクチル基
1.(1)の多孔性シリカ粒子をTrimethoxy‐n‐octylsilaneと反応して表面および気孔内部にプロピル基を導入し、APTESの代わりにTrimethoxy‐n‐octylsilaneを0.5ml添加し、12時間反応させた以外は、2.(1)の方法と同様にして改質した。
【0278】
(3)陰電荷への帯電
1)カルボキシル基
1.(1)の多孔性シリカ粒子をsuccinic anhydrideと反応して陰電荷に帯電し、トルエンの代わりにDMSO(dimethyl sulfoxide)を使用し、APTESの代わりに80mgのsuccinic anhydrideを添加して24時間常温で攪拌し反応させ、洗浄時に蒸留水の代わりにDMSOを使用した以外は、前記実施例2.(1)1)の方法と同様にして改質した。
【0279】
2)チオール基
APTESの代わりにMPTES1.1mLを使用した以外は、前記実施例2.(1)1)の方法と同様にして改質した。
【0280】
3)スルホン酸基
(3)2)の多孔性シリカナノ粒子100mgを1M硫酸水溶液1mLと30%過酸化水素水20mLに分散して常温で攪拌し、酸化反応を誘導してチオール基をスルホン酸基に酸化した。その後、前記実施例2.(1)1)の方法と同様にして洗浄および乾燥した。
【0281】
3.生理活性物質のローディング
(1)ドキソルビシン(Doxorubicin)
実施例1.(1)の多孔性シリカ粒子にドキソルビシンをロードした。
具体的には、蒸留水下で多孔性シリカ粒子粉末5mgとドキソルビシン2mgを混合した後、室温で1時間静置した。
【0282】
(2)イリノテカン(Irinotecan)
陰電荷を帯びる実施例2.(3)1)の多孔性シリカ粒子粉末5mgを1mLの1xPBSに分散した後、2mgのイリノテカンを添加し、15分間分散した後、室温で1時間静置した。
【0283】
(3)ソラフェニブ(sorafenib)
実施例1.(11)5)i)の多孔性シリカ粒子にソラフェニブをロードした。
具体的には、5:5の混合比(体積比)の脱イオン水/エタノール1mlに多孔性シリカ粒子粉末5mgとソラフェニブ2mgを混合した後、室温で1時間インキュベートした。その後、脱イオン水1mlで3回洗浄した。
【0284】
(4)レチノイン酸(Retinoic acid)
実施例2.(1)2)i)の多孔性シリカ粒子の粉末100μgにレチノイン酸溶液(50mMエタノール)1mlを添加して室温で4時間静置した後、エタノール1mlで3回洗浄した。
【0285】
(5)p53ペプチド
多孔性シリカ粒子としては、実施例1.(11)5)i)の粒子を使用した。
使用したp53ペプチドは、細胞死滅機作に関与するp53タンパク質配列の一部を模倣した。模倣した配列は、p53タンパク質がhMDM2タンパク質と結合する疎水性の二次らせん構造部分の配列である。このため、p53ペプチドは、hMDM2タンパク質の対抗剤(antagonist)として作用する。
p53ペプチド(Cal.m.w.2596.78,found by MALDI‐TOF 2597.92)のアミノ酸配列は、下記化学式1(N末端‐>C末端)の通りである。
【0286】
[化学式1]
Z‐Gly‐Gly‐Qln‐Ser‐Qln‐Qln‐Thr‐Phe‐Y‐Asn‐Leu‐Trp‐Arg‐Leu‐Leu‐X‐Qln‐Asn‐NH2
(Xは、アジド(azide)作用基が導入された非天然アミノ酸であって、2‐amino‐5‐azido‐pentanoic acidであり、Yは、アルキン(alkyne)作用基が導入された非天然アミノ酸であって、D‐Lysの側鎖(side chain)に4‐pentynoic acidを導入したものであり、
XとYは、アジド‐アルキン環付加反応(azide‐alkyne cycloaddition、またはクリック反応、click reaction)によりトリアゾール作用基(triazole)を成しながら連結され、
Zは、5(6)‐carboxyfluorescein(FAM)である。)
【0287】
DMSO100μlにp53ペプチド1.3mg(500nmole)を溶かし、これを15mLのconical tubeで多孔性シリカ粒子粉末5mgを溶かした水溶液5mLを混合した後、室温で12時間インキュベートした。
【0288】
p53ペプチドがロードされた多孔性シリカ粒子は、遠心分離(9289rcf、8500rpm、20分、15mL conical tube)と水を用いた洗浄を3回繰り返して精製した。
【0289】
(6)siRNA
緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescence Protein、GFP)を標的とする21 base pair duplex siRNAを(株)バイオニアに合成依頼して購入した(配列:sense;5'‐GGCUACGUCCAGGAGCGCACC‐3'(配列番号1)、antisense;5'‐ UGCGCUCCUGGACGUAGCCUU‐3'(配列番号2))。
実施例2.(1)2)ii)の多孔性シリカ粒子10μgと50pmolのsiRNAを1xPBS条件で混ぜた後、常温で30分間置いてロードされるようにした。
【0290】
(7)Plasmid DNA
pcDNA3.3 backboneでGFPを発現するように作成された6.7k base pairのplasmid DNA(配列番号5)をバクテリアで生産し、精製後に使用した。
【0291】
実施例2.(1)2)iii)の多孔性シリカ粒子10μgと0.25μgのplasmid DNAを1xPBSの条件で混ぜた後、常温で30分間置いてロードした。
【0292】
(8)linear DNA
Forward primer‐CMV promotor‐eGFP cDNA‐Reverse primerの順に製作され、PCRで増幅して得た1.9k base pairのlinear DNA(配列番号6)を使用した。
【0293】
実施例2.(1)2)iii)の多孔性シリカ粒子12.5μgと0.25μgのlinear DNAを1xPBSの条件で混ぜた後、常温で30分間置いてロードした。
【0294】
(9)タンパク質
1)BSA
1xPBSの200μl内に実施例2.(1)2)ii)の多孔性シリカ粒子粉末100μgとBSA(sigma Aldrich、A6003)10μgを混合した後、室温で1時間インキュベートした。
【0295】
2)IgG
1xPBSの200μl内に実施例2.(1)2)ii)の多孔性シリカ粒子粉末100μgとanti‐twist IgG(Santacruz、sc‐81417)10μgを混合した後、室温で1時間インキュベートした。
【0296】
3)RNase A
1xPBSの200μl内に実施例1.(9)の多孔性シリカ粒子粉末100μgとRNase A(Sigma‐aldrich、R6513)10μgを混合した後、室温で1時間インキュベートした。
【0297】
4)Cas9
1xPBSの10μl内に実施例2.(1)2)i)の多孔性シリカ粒子の粉末40μgと、Cas9タンパク質(配列番号3)4μgと、ガイドRNA(配列番号4)2.25μgとを混合した後、室温で1時間インキュベートした。
【0298】
実験例
1.粒子形成の確認および気孔拡張の確認
実施例1.(1)~(3)の粒子の小気孔粒子、製造された多孔性シリカ粒子を顕微鏡で観察し、小気孔粒子が均一に生成されているか、気孔が十分に拡張されて多孔性シリカ粒子が均一に形成されているかを確認した(
図1~4)。
【0299】
図1は、1.(1)の多孔性シリカ粒子の写真、
図2は、1.(2)の多孔性シリカ粒子の写真であり、気孔が十分に拡張された球状多孔性シリカ粒子が均一に生成されたことを確認することができる。
図3は、1.(1)の小気孔粒子の写真、
図4は、1.(1)と1.(3)の小気孔粒子との比較写真であり、球状の小気孔粒子が均一に生成されたことを確認することができる。
【0300】
2.BET表面積および気孔体積の計算
実施例1.(1)の小気孔粒子、実施例1.(1)、(7)、(8)、(10)の多孔性シリカ粒子の表面積と気孔体積を計算した。表面積は、Brunauer‐Emmett‐Teller(BET)方法により計算し、気孔サイズの分布は、Barrett‐Joyner‐Halenda(BJH)方法により計算した。
前記各粒子の顕微鏡写真は
図5に、計算結果は下記表1に示す。
【0301】
【0302】
3.多孔性シリカ粒子の生分解性の確認
実施例1.(1)の多孔性シリカ粒子の生分解性を確認するために、37℃、SBF(pH7.4)における生分解の程度を0時間、120時間、360時間に顕微鏡で観察した。これを
図6に示す。
【0303】
これを参照すると、多孔性シリカ粒子が生分解され、360時間経過後は、ほぼすべてが分解されたことを確認することができる。
【0304】
4.多孔性シリカ粒子の吸光度比の測定
時間別に下記数式1による吸光度比を測定した。
【0305】
[数式1]
At/A0
(式中、A0は、前記多孔性シリカ粒子1mg/mlの懸濁液5mlを直径50kDaの気孔を有する円筒状の透過膜に入れて測定した多孔性シリカ粒子の吸光度であり、
【0306】
前記透過膜の外部には、前記透過膜と接し、前記懸濁液と同じ溶媒15mlが位置し、前記透過膜の内外部は、37℃で60rpmで水平攪拌され、
Atは、前記A0の測定時からt時間経過後に測定した多孔性シリカ粒子の吸光度である。)
【0307】
具体的には、多孔性シリカ粒子の粉末5mgをSBF(pH7.4)5mlに溶かした。その後、5mlの多孔性シリカ粒子溶液を
図7に示す直径50kDaの気孔を有する透過膜に入れた。外部膜に15mlのSBFを添加した。外部膜のSBFは12時間ごとに入れ替えた。多孔性シリカ粒子の分解は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0308】
その後、UV‐vis spectroscopyによって吸光度を測定し、λ=640nmで分析した。
【0309】
(1)吸光度比の測定
実施例1.(1)の多孔性シリカ粒子の吸光度比を前記方法に従い測定した。その結果は、
図8に示す。
これを参照すると、吸光度比が1/2となるtは約58時間であり、非常にゆっくりと分解されることが確認できた。
【0310】
(2)粒径別
実施例1.(1)、(5)、(6)の多孔性シリカ粒子の吸光度を前記数式1により測定した。その結果は、
図9に示す(懸濁液と溶媒としては、SBFを使用)。
これを参照すると、粒径の増加によってtが減少することが分かる。
【0311】
(2)気孔の平均直径別
実施例1.(1)、(9)の多孔性シリカ粒子、そしてコントロールとして実施例1.(1)の小気孔多孔性シリカ粒子の吸光度を前記数式1により測定した。その結果は、
図10に示す(懸濁液と溶媒としては、SBFを使用)。
これを参照すると、実施例の多孔性シリカ粒子は、コントロールに比べてtが非常に大きいことが確認できる。
【0312】
(3)pH別
実施例1.(4)の多孔性シリカ粒子のpH別吸光度を測定した。吸光度は、SBFで、そしてpH2、5および7.4のTrisで測定した。その結果は、
図11に示す。
これを参照すると、pH別にtの差はあるが、いずれも吸光度の比が1/2となるtが24以上であった。
【0313】
(4)帯電
実施例2.(1)1)の多孔性シリカ粒子の吸光度を測定した。その結果は、
図12に示す(懸濁液と溶媒としては、Tris(pH7.4)を使用)。
これを参照すると、陽電荷に帯電した粒子も吸光度の比が1/2となるtが24以上であった。
【0314】
5.生理活性物質の放出
(1)ドキソルビシン
ドキソルビシン(0.1mg)がロードされた0.5mgの多孔性シリカ粒子をPBSに分散した。この溶液を37℃で200rpmで水平攪拌する動的な条件を維持する。各時点ごとにドキソルビシンがロードされた多孔性シリカ溶液を遠心分離器を用いて沈め、上層液の吸光度(λab=480nm)を測定し、放出されたドキソルビシンの量を測定した。結果は、
図13に示す。
【0315】
これを参照すると、ドキソルビシンは、粒子表面と比較的弱い結合力でロードされており、ドキソルビシンのPBSで溶解度が高いため、相対的に速く放出されたことを確認することができ、70時間以上まで生理活性物質が継続的に放出されたことが分かる。
【0316】
(2)イリノテカン
イリノテカン(0.2mg)がロードされた1mgの多孔性シリカ粒子をhuman plasma 1mLに分散した。この溶液を37℃で200rpmで水平攪拌する動的な条件を維持する。各時点ごとにイリノテカンがロードされている多孔性シリカ溶液を、遠心分離器を用いて沈め、上層液の吸光度(λab=255または278nm)を測定し、放出されたイリノテカンの量を測定した。結果は、
図14に示す。
【0317】
これを参照すると、イリノテカンの約50%が5.5時間経過後に放出されたことを確認することができ、120時間以上まで生理活性物質が継続的に放出されたことを確認することができる。
【0318】
(3)ソラフェニブ
ソラフェニブ(0.1mg)がロードされた1mgの多孔性シリカ粒子をそれぞれ1xPBSの10mLに分散した。溶液を37℃で200rpmで水平攪拌する動的な条件を維持した。各時点ごとにソラフェニブがロードされている多孔性シリカ溶液を、遠心分離器を用いて沈め、上層液の吸光度(λab=270nm)を測定し、放出されたソラフェニブの量を測定した。結果は、
図15に示す。
【0319】
これを参照すると、難溶性の生理活性物質であるソラフェニブが疎水性置換基を有する多孔性シリカ粒子との相互作用によって、非常にゆっくりと放出されることを確認することができる。
【0320】
(4)レチノイン酸
レチノイン酸がロードされている粒子0.1mgを、5%エタノールが含まれているPBS(pH7.4)溶液に入れ、水平撹拌しながら37℃の温度を維持した。24時間ごとに粒子が含まれている溶液を遠心分離して上層液の吸光度を350nmの波長で測定し、放出されたレチノイン酸の量を測定した。結果は、
図16に示す。
【0321】
これを参照すると、陰電荷を有するレチノイン酸が陽電荷に帯電した多孔性シリカ粒子との相互作用によって、非常にゆっくりと放出され、10日近くにほぼ100%まで放出されることを確認することができる。
【0322】
(5)p53ペプチド
p53 peptideがロードされている粒子5mgを、10%FBSが含まれた1xPBS5mL、または1xPBS5mLに入れて、37℃で20rpmで回転させながら動的な環境を維持した。各時点ごとに8500rpmで遠心分離し、上層液からp53ペプチドに結合しておいた蛍光標識である5(6)‐carboxyfluorescein(FAM)の蛍光強度を測定した(Absorbance:480nm、Emmision:520nm)。
結果は、
図17に示す。
【0323】
これを参照すると、p53ペプチドは、多孔性シリカ粒子の内部に疎水性結合(hydrophobic effect)を通じた結合力によりロードされており、PBS溶液内では放出されないことが分かる。しかし、FBS(fetal bovine serum)のようなタンパク質が溶液中に存在する場合は、p53ペプチドがFBSタンパク質の疎水性部分(hydrophobic segment)と結合して溶液中に溶けるようになり、多孔性シリカ粒子の外側に放出されることを確認することができる。あるいは、粒子内部にロードされていたp53ペプチドが粒子の外側に放出され、FBSタンパク質が粒子内部に流入される現象も起こるはずである。
【0324】
(6)siRNA
Cy5‐siRNAをロードした多孔性シリカ粒子10μlをSBF(pH7.4、37℃)に再浮遊させ、気孔直径20kDaの透過膜(
図18のチューブ)に入れた。
その後、透過チューブを1.5mlのSBFに浸漬した。
【0325】
siRNAの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0326】
24時間の前は、0.5、1、2、4、8、12、24時間経過した時刻に放出溶媒を回収し、その後は24時間おきに0.5mlの放出溶媒を蛍光測定のために回収し、等量のSBFを添加した。
【0327】
Cy5‐siRNAの蛍光強度は、670nmの波長(λex=647nm)で測定し、siRNAの放出程度を測定した。その結果は、
図19に示す。
【0328】
これを参照すると、siRNAが50%放出された時間は約48時間であることを確認することができる。
【0329】
(7)Plasmid DNA
Plasmid DNAをロードした多孔性シリカ粒子(plsdmid DNA 1μg、多孔性シリカ粒子50μg)をPBS(pH7.4、37℃)に再浮遊させ、気孔直径20kDaの透過膜(
図18のチューブと同じチューブ)に入れた。
その後、透過チューブを1.5mlのPBSに浸漬した。
【0330】
Plasmid DNAの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0331】
24時間の前は、0.5、1、2、4、8、12、24時間経過した時刻に放出溶媒を回収し、その後は24時間おきに0.5mlの放出溶媒をHoechst‐binding assayのために回収し、等量のPBSを添加した。
【0332】
Hoechst33342の蛍光強度は、460nmの波長(λex=360nm)で測定し、plasmid DNAの放出程度を測定した。その結果は、
図20、21に示す。
【0333】
これを参照すると、plasmid DNAが50%放出された時間は約24時間であることを確認することができる。
【0334】
(8)linear DNA
Linear DNAをロードした多孔性シリカ粒子(linear DNA 3μg、多孔性シリカ粒子100μg)をPBS(pH7.4、37℃)に再浮遊させ、気孔直径20kDaの透過膜(
図18のチューブと同じチューブ)に入れた。
【0335】
その後、透過チューブを1.5mlのPBSに浸漬した。
【0336】
Plasmid DNAの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0337】
24時間の前は、0.5、1、2、3、4、6、12、24時間経過した時刻に放出溶媒を回収し、その後は24時間おきに0.5mlの放出溶媒をHoechst‐binding assayのために回収し、等量のPBSを添加した。
【0338】
Hoechst33342の蛍光強度は、460nmの波長(λex=360nm)で測定し、plasmid DNAの放出程度を測定した。その結果は、
図22に示す。
【0339】
これを参照すると、linear DNAが50%放出された時間は約24時間であることを確認することができる。
【0340】
(9)タンパク質
1)BSA
Fluorescein蛍光が標識されたBSAをロードした多孔性シリカ粒子100μgをSBF(pH7.4)またはPBS(pH7.4)200μlに再浮遊させた。
【0341】
BSAの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0342】
6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、144時間、240時間の時点で200μlの放出溶媒を蛍光測定のために回収し、等量のSBFまたはPBSを添加した。
【0343】
Fluorescein蛍光が標識されたBSAの蛍光強度は、517nmの波長(λex=492nm)で測定してBSAの放出程度を測定した。その結果は、
図23に示す。
【0344】
これを参照すると、BSAはSBFとPBSの両方で徐放的に放出され、250時間以上に渡ってほぼ100%まで放出されることを確認することができる。
【0345】
2)IgG
Fluorescein蛍光が標識されたIgGをロードした多孔性シリカ粒子100μgをSBF(pH7.4)またはPBS(pH7.4)200μlに再浮遊させた。
【0346】
IgGの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0347】
6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、144時間、240時間の時点で200μlの放出溶媒を蛍光測定のために回収し、等量のSBFまたはPBSを添加した。
【0348】
Fluorescein蛍光が標識されたIgGの蛍光強度は、517nmの波長(λex=492nm)で測定してBSAの放出程度を測定した。その結果は、
図24に示す。
【0349】
これを参照すると、IgGはSBFとPBSの両方で徐放的に放出され、250時間以上に渡ってほぼ100%まで放出されることを確認することができる。
【0350】
3)RNase A
Fluorescein蛍光が標識されたRNase Aをロードした多孔性シリカ粒子100μgをSBF(pH7.4)またはPBS(pH7.4)200μlに再浮遊させた。
【0351】
RNase Aの放出は、37℃で60rpmで水平攪拌して行った。
【0352】
6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、144時間、240時間の時点で200μlの放出溶媒を蛍光測定のために回収し、等量のSBFまたはPBSを添加した。
【0353】
Fluorescein蛍光が標識されたRNase Aの蛍光強度は、517nmの波長(λex=492nm)で測定してBSAの放出程度を測定した。その結果は、
図25に示す。
【0354】
これを参照すると、RNaseAはSBFとPBSの両方で徐放的に放出され、250時間以上に渡ってほぼ100%まで放出されることを確認することができる。
【0355】
4)Cas9
Cas9タンパク質/ガイドRNA複合体をロードした多孔性シリカ粒子40μgをPBS(pH 7.4)に浮遊させた。
【0356】
その後、マウス繊維芽細胞(fibroblast)として知られているNIH 3T3細胞50,000個を載せたスライドグラスに、多孔性シリカ粒子を無血清培地(serum free media)下で処理し、CO2 5%、37℃の条件でインキュベートした。
【0357】
1時間、3時間、6時間、24時間の時点で培地を除去し、1xPBS溶液で洗浄した後、4%paraformaldehydeを15分間インキュベートして細胞を固定した。
【0358】
その後、PBSで洗浄した後、blockingバッファ(1xPBS、5% normal goat serum、0.3% triton X-100)で1時間インキュベートした。
【0359】
PBSで洗浄した後、His tag抗体(Santa Cruz、sc‐8036)を16時間インキュベートした。
【0360】
再びPBSで洗浄した後、Alexa Fluor 488が連結された抗マウス二次抗体(Abcam、ab150113)を2時間インキュベートした。
【0361】
PBSで洗浄した後、スライドグラスにDAPI(細胞核を染色する染料)を処理して細胞の核を染色した。その後、蛍光顕微鏡を用いて細胞内のタンパク質の分布を確認した。その結果は、
図26に示す。
【0362】
図26において、DAPIは核を染色する試薬であり、蛍光顕微鏡画像で青色に見え、細胞核の位置を示す。Alexa Fluor488は、Cas9タンパク質に標識した蛍光染料であり、蛍光顕微鏡画像で緑色に見え、細胞内Cas9タンパク質の位置を示す。Alexa Fluor488が標識されたCas9タンパク質がロードされたシリカ粒子を細胞に処理し、DAPI染色をすると、シリカ粒子によってCas9タンパク質が細胞内に導入されたかどうかと、細胞核の位置を蛍光顕微鏡画像から確認することができる。
【0363】
これを参照すると、細胞内に導入されたCas9タンパク質は、導入後3時間経過時は主に細胞質部分で観察され、24時間経過時は、核内で観察されることを確認することができる。使用したシリカ粒子自体が細胞核内に入ることはほとんど不可能なので、細胞内でCas9タンパク質が24時間経過した時は、シリカ粒子から放出され、本来Cas9タンパク質が蓄積される細胞内小器官として知られている核内に流入されることが分かる。
【0364】
6.生理活性物質の送達
動物レベルにおけるsiRNA送達の研究に適したレベルの送達体として役割することが可能なことを検証するために、マウス(ネズミ)を対象として生理活性物質の放出による腫瘍の抑制程度を確認した。
【0365】
Balb/c nudeオス(5週齢)を(株)オリエントバイオから購入し、滅菌された1xPBSに300万個のHeLa細胞(子宮頸がん細胞)を分散して、マウスに皮下注射異種移植(Xenograft)腫瘍を成長させた。70mm3サイズの固形化された腫瘍が確認されたとき、PBS、FITC‐多孔性シリカ粒子(実施例2.(1)2)ii)の多孔性シリカ粒子)、Cy5‐siRNAをロードしたFITC‐多孔性シリカ粒子(実施例2.(1)2)ii)の多孔性シリカ粒子)をそれぞれマウスの腫瘍内に注射投与した。投与直前、投与直後、そして48時間後に蛍光強度および分布をFOBI Fluorescence in vivo imaging system(Neo science、Korea)機器により観察した。
【0366】
前記FITC標識は、シリカ粒子50mgを1mL DMSO(dimethyl sulfoxide)に分散し、FITC‐NHS(N‐hydroxycuccinimide)溶液(2.5mg/mL)25μg(10μl)を入れ、アルミホイルで光を遮断した状態で常温で18時間反応させた。反応物を遠心分離(8500rpm、10分)で精製して上澄み液は捨てて、沈んだ粒子を集めてエタノールに均一に分散し、これをエタノール‐蒸留水で交差して3~4回繰り返して上澄み液にFITC色が見えなくなるまで精製して行った。
結果は、
図27に示す。
【0367】
図27において、controlはPBS単独投与、cy5‐siRNAはcy5‐siRNA単独投与、FITC‐DDVはFITC標識された多孔性シリカ粒子単独投与、complexはcy5‐siRNAがロードされ、FITC標識された多孔性シリカ粒子の投与を示すものである。これを参照すると、粒子にロードして体内に送達されたsiRNAは、活性を維持する期間がより長く、注入された部位でより長く滞在して、48時間が経過しても強い蛍光を示すことを確認できる。
【配列表】