(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】発光ダイオード構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/02 20100101AFI20231005BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L33/02
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2022580259
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2021083173
(87)【国際公開番号】W WO2021203986
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522365258
【氏名又は名称】▲れい▼▲うぃ▼光電科技(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RAYSOLVE OPTOELECTRONICS (SUZHOU) CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】B302, Block 1, Creative Industry Park, No. 328 Xinghu Street, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チュン ウィンチョン
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530234(JP,A)
【文献】国際公開第13/157176(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014998(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110957399(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0333047(US,A1)
【文献】特表2020-503691(JP,A)
【文献】特開平09-223848(JP,A)
【文献】特開2020-086461(JP,A)
【文献】特表2010-517273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード構造であって、
基板と、
前記基板上に形成された結合層と、
前記結合層上に形成された第1ドープ半導体層と、
前記第1ドープ半導体層上に形成された多重量子井戸層と、
前記多重量子井戸層上に形成された、イオン注入によって形成された分離材料を含む第2ドープ半導体層と、
前記第2ドープ半導体層上に形成されたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に形成され、前記パッシベーション層上の第1開口を介して前記第2ドープ半導体層の一部と接触する電極層と、を含む
ことを特徴とする発光ダイオード構造。
【請求項2】
前記分離材料は、前記第2ドープ半導体層を複数の発光ダイオードメサに分割する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード構造。
【請求項3】
前記基板内に形成された駆動回路の、複数の接点をさらに含み、
各接点は隣接する発光ダイオードメサの間のギャップに位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード構造。
【請求項4】
前記電極層は、前記第1開口および各接点の上方の第2開口を介して、前記第2ドープ半導体層と前記接点とを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード構造。
【請求項5】
前記複数の発光ダイオードメサは、第1発光ダイオードメサと、前記第1発光ダイオードメサに隣接する第2発光ダイオードメサとを含み、
前記第1発光ダイオードメサの下方にある前記多重量子井戸層、前記第1ドープ半導体層および前記結合層は、前記第2発光ダイオードメサの下方にある前記多重量子井戸層、前記第1ドープ半導体層および前記結合層まで水平に延在する
ことを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード構造。
【請求項6】
前記分離材料は、イオン注入された材料を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード構造。
【請求項7】
発光ダイオード構造であって、
基板と、前記基板上に形成された複数の発光ダイオードユニットと、を含み、
各発光ダイオードユニットは、
前記基板上に形成された結合層と、
前記結合層上に形成された第1ドープ半導体層と、
前記第1ドープ半導体層上に形成された多重量子井戸層と、
前記多重量子井戸層上に形成された第2ドープ半導体層と、を含み、
前記複数の発光ダイオードユニットは、第1発光ダイオードユニットと、前記第1発光ダイオードユニットに隣接する第2発光ダイオードユニットとを含み、
前記第1発光ダイオードユニットの前記第2ドープ半導体層は、イオン注入された材料によって前記第2発光ダイオードユニットの前記第2ドープ半導体層と電気的に分離される
ことを特徴とする発光ダイオード構造。
【請求項8】
前記第1発光ダイオードユニットの前記多重量子井戸層、前記第1ドープ半導体層および前記結合層は、前記第2発光ダイオードユニットの前記多重量子井戸層、前記第1ドープ半導体層および前記結合層まで水平に延在する
ことを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード構造。
【請求項9】
前記イオン注入された材料は、前記第2ドープ半導体層の内部および前記多重量子井戸層の上に形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード構造。
【請求項10】
パッシベーション層および電極層をさらに含み、
前記パッシベーション層は、前記イオン注入された材料により分離される前記複数の発光ダイオードユニットの前記第2ドープ半導体層の上に形成され、
前記電極層は、前記パッシベーション層の上に形成され、各発光ダイオードユニットの前記パッシベーション層における第1開口を介して各発光ダイオードユニットの前記第2ドープ半導体層の一部と接触する
ことを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード構造。
【請求項11】
前記基板内に形成された駆動回路の、複数の接点をさらに含み、
各接点は隣接する発光ダイオードユニットの間のギャップに位置する
ことを特徴とする請求項10に記載の発光ダイオード構造。
【請求項12】
前記電極層は、各発光ダイオードユニットの前記第1開口および各接点の上にある第2開口を介して、各発光ダイオードユニットの前記第2ドープ半導体層と各接点とを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項11に記載の発光ダイオード構造。
【請求項13】
前記イオン注入された材料は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、シリコンまたはアルゴンのイオンが注入された材料を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード構造。
【請求項14】
発光ダイオード構造を製造する方法であって、
半導体層を第1基板上に形成することであって、前記半導体層は第1ドープ半導体層と、前記第1ドープ半導体層上の多重量子井戸層と、前記多重量子井戸層上の第2ドープ半導体層とを含むことと、
注入操作を実行して前記第2ドープ半導体層内にイオン注入された材料を形成することと、
第1エッチング操作を実行して、少なくとも、前記イオン注入された材料の一部、前記多重量子井戸層の一部、前記第1ドープ半導体層の一部および結合層の一部を除去することによって、前記第1基板内に形成された駆動回路の接点を露出させることと、
前記第2ドープ半導体層上にパッシベーション層を形成することと、
前記パッシベーション層において第1開口を形成して前記第2ドープ半導体層の一部を露出させ、前記パッシベーション層において第2開口を形成して前記接点を露出させることと、
前記第1開口および前記第2開口を覆うように前記パッシベーション層上に電極層を形成することと、を含む
ことを特徴とする発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項15】
前記第2ドープ半導体層内に前記イオン注入された材料を形成することは、
注入によって前記第2ドープ半導体層内に前記イオン注入された材料を形成することによって、前記第2ドープ半導体層を複数の発光ダイオードメサに分割することを含み、
各発光ダイオードメサは、前記イオン注入された材料により電気的に分離される
ことを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項16】
前記注入操作を実行して前記第2ドープ半導体層内に前記イオン注入された材料を形成することは、
前記イオン注入された材料が前記第1ドープ半導体層に接触しないようにする注入深さでイオン材料を前記半導体層における所定領域に注入することを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項17】
前記注入操作を実行して前記第2ドープ半導体層内に前記イオン注入された材料を形成することは、
前記イオン注入された材料が前記第1ドープ半導体層および前記多重量子井戸層に接触しないようにする注入深さでイオン材料を前記半導体層における所定領内にイオン材料を注入することを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項18】
前記注入操作は約10keVから約300keVの間のイオン注入電力で実行される
ことを特徴とする請求項16に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項19】
前記イオン材料は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、シリコンまたはアルゴンのイオンを含む
ことを特徴とする請求項16に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【請求項20】
前記第1基板上に前記半導体層を形成することは、
前記第1基板内に駆動回路を形成することと、
第2基板上に前記半導体層を形成することと、
結合層を介して前記半導体層を前記第1基板上に結合することと、
前記第2基板を除去することと、を含む
ことを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード構造を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互引用>
本発明は、出願日が2020年4月9日であり、発明名称が「イオン注入のマイクロLED(Ion-implanted Micro-LED)」である米国仮特許出願第63/007,831号の優先権の利益を主張すると同時に、出願日が2021年2月17日であり、発明名称が「発光ダイオード構造およびその製造方法(LIGHT EMITTING DIODE STRUCTURE AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME)」である米国公式特許出願第17/177,827号の優先権の利益を主張し、その開示内容を参照により全体として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、発光ダイオード(LED)構造および当該LED構造を製造する方法に関し、さらに具体的には、分離層によって包囲された複数のLEDユニットを有するLED構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、LEDは照明用途で普及している。光源として、LEDは、より高い光効率、より低いエネルギー消費、より長い使用寿命、より小さいサイズ、より速いスイッチング速度など、多くの利点がある。
【0004】
マイクロサイズのLEDを有するディスプレイは、マイクロLED(micro-LED)と呼ばれる。マイクロLEDディスプレイは、それぞれのピクセル要素を形成するマイクロLEDアレイを有する。ピクセルは、画像を構成する多数のピクセルのうちの1つとして、ディスプレイ画面上の1つの小さな照明領域であり得る。言い換えれば、ピクセルは小さな個別の要素であり得、それらの要素がディスプレイ上の画像を構成することができる。ピクセルは、一般に、2次元(2D)マトリックスに配列され、ドット、正方形、長方形または他の形状で表される。ピクセルは、ディスプレイまたはデジタル画像の基本的な構成要素であり得、幾何学的座標を持っている。
【0005】
マイクロLEDを作製するとき、一般にはドライエッチングやウェットエッチングなどのプロセスによって個々のマイクロLEDを電気的に分離する。複数の完全に分離された機能的マイクロLEDメサを生成するために、従来のプロセスでは一般に、連続する機能的エピタキシャル層をエッチングして完全に除去する。しかしながら、従来のマイクロLEDメサを駆動回路基板などの基板に転写するときまたは転写した後、完全に分離された機能的マイクロLEDメサはマイクロLEDメサの接着力が弱いため基板から容易に剥離される可能性がある。マイクロLEDメサが小さくなるほど、この問題はさらに深刻になる。また、従来のエッチングプロセスによってマイクロLEDメサを分離するとき、マイクロLEDメサの側壁が損傷を受けてLED構造の光学的および電気的特性に影響を与える可能性がある。
【0006】
本発明の実施例は、上記の課題を解決するために、分離層によって包囲された複数のLEDユニットを有するLED構造およびその製造方法を提供して、エッチングプロセスによる欠点を回避することができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、LED構造および当該LED構造を形成する方法の実施例を開示する。
【0008】
1つの実施例においては、LED構造を開示する。当該LED構造は、基板と、結合層と、第1ドープ半導体層と、多重量子井戸(Multiple Quantum Well,MQW)層と、第2ドープ半導体層と、パッシベーション層と、電極層と、を含む。結合層は基板上に形成され、第1ドープ半導体層は結合層上に形成される。MQW層は第1ドープ半導体層上に形成され、第2ドープ半導体層はMQW層上に形成される。第2ドープ半導体層は、イオン注入によって製造された分離材料を含み、パッシベーション層は、第2ドープ半導体層上に形成される。電極層は、パッシベーション層上に形成され、パッシベーション層上の第1開口を介して第2ドープ半導体層の一部に接触される。
【0009】
もう1つの実施例においては、LED構造を開示する。当該LED構造は、基板と、基板上に形成された複数のLEDユニットと、を含む。各LEDユニットは、基板上に形成された結合層と、結合層上に形成された第1ドープ半導体層と、第1ドープ半導体層上に形成された多重量子井戸(MQW)層と、MQW層上に形成された第2ドープ半導体層と、を含む。複数のLEDユニットは、第1LEDユニットと、第1LEDユニットに隣接する第2LEDユニットと、を含む。第1LEDユニットの第2ドープ半導体層は、イオン注入された材料によって第2LEDユニットの第2ドープ半導体層と電気的に分離される。
【0010】
別の1つの実施例においては、LED構造を製造する方法を開示する。半導体層は第1基板上に形成される。該半導体層は、第1ドープ半導体層と、第1ドープ半導体層上のMQW層と、MQW層上の第2ドープ半導体層と、を含む。注入工程によって、第2ドープ半導体層の内には、イオン注入された材料が形成される。第1エッチング操作を実行することによって、少なくともイオン注入された材料の一部、MQWの一部、第1ドープ半導体層の一部、および結合層の一部を除去して、第1基板内に形成された駆動回路の接点を露出させる。パッシベーション層は第2ドープ半導体層上に形成される。パッシベーション層上に第1開口を形成して第2ドープ半導体層の一部を露出させ、パッシベーション層上に第2開口を形成して第1基板上の接点を露出させる。パッシベーション層上に、第1開口および第2開口を覆う電極層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する図面は、本発明の実施形態を示し、当業者が本願発明を製造や使用できるように本発明のより詳しい説明に寄与する。
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造の上面図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造の断面図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造のもう1つの断面図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造のもう1つの上面図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態によるもう1つの例示的なLED構造の上面図である。
【
図6A-6H】本発明のいくつかの実施形態による製造プロセスの異なる段階における例示的なLED構造の断面図である。
【
図7A-7D】本発明のいくつかの実施形態による製造プロセスの異なる段階における例示的なLED構造の上面図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態による、LED構造を製造するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参考しながら本発明の実施形態を説明する。具体的な構成および配置が記載されるが、ここでの記載は説明のためのものに過ぎないことを理解すべきである。したがって、本発明の範囲から逸脱しない前提で、他の構成および配置が使用されることができる。さらに、本発明は、さまざまな他の用途にも適用されることができる。本発明に記載の機能的および構造的な特徴は、図面に具体的に示されていない方式で互いに組み合わせ、調整、および変更されることができ、このような組み合わせ、調整、および変更も本発明の範囲に属するべきである。
【0013】
一般に、用語は少なくとも部分的に文脈の用法に基づいて理解されることができる。例えば、本明細書で使用される「1つまたは複数」のような用語は、少なくとも部分的に、文脈に応じて、任意の部品、構造、または特徴を単数形で記述するか、または、部品、構造、または特徴の組み合わせを複数形で記述するために使用され得る。同様に、「1」、「1つ」、「当該」などの用語についても、単数として使用されるかまたは複数として使用されるかを少なくとも部分的に文脈に応じて理解することができる。また、「に基づいて」のような用語は、排他的な一連の要因を表すことを必ずしも意図しておらず、少なくとも部分的に、文脈に応じて、必ずしも明示的に記述する必要のない付加の要素を代替的に許す。
【0014】
本発明における「…上に」、「…の上に」および「…上面に」の意味は、最も広い意味で解釈される。「…上に」は、「直接」ある物の「上にある」を意味するのみでなく、両者の間にある中間部品や層の「上に」あることも意味することができる。また、「ある物の上にある」または「ある物の上面にある」が「ある物の上にある」または「ある物の上面にある」を意味するのみでなく、両者の間に存在する中間部品や層の「上にある」または「上面にある」(すなわち、直接ある物の上にある)も意味すべきであると、容易に理解すべきである。
【0015】
さらに、説明を容易にするために、本明細書で、「…の下面に」、「…の下の」、「の下部」、「…の上に」、「の上部」などの空間的に相対的な用語を使用して、1つの要素または部品と、図面に示す他の要素または部品との関係を記載することがある。図面に記載される向きに加えて、空間的に相対的な用語は、装置の使用中または操作中の向きも含むことを意図している。デバイスは、他の方式で向きが決められてもよく(90°回転されるか、または他の向きに決められてもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な用語も同様に、それに応じて解釈され得る。
【0016】
本明細書で使用される「層」のような用語は、一定の厚さを有する領域の材料の部分を指す。層は、全体的な下層構造または上層構造において延在するか、または下層構造または上層構造よりも範囲が小さくてもよい。なお、層は、均一または不均一な連続構造の領域であってもよく、その厚さは連続構造の厚さよりも小さい。例えば、層は、連続構造の上面と底面との間、またはそれらの間の任意の1対の水平面の間に位置することができる。層は、水平、垂直、および/またはテーパ面に沿って延在することができる。基板は1つまたは複数の層を含む層であってもよく、および/または、その上、その上面、および/またはその下には1つまたは複数の層が配置されてもよい。1つの層は複数の層を含み得る。例えば、半導体層は、1つまたは複数のドープまたは非ドープの半導体層を含んでもよく、同一または異なる材料からなってもよい。
【0017】
本明細書で使用される「基板」のような用語は、その上に後続の材料層が追加される部材を指す。基板自体は、パターン化されることができる。基板の上部に追加された材料は、パターン化されていてもよく、パターン化されていないままであってもよい。なお、基板は、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの多種多様な半導体材料を含み得る。代替的に、基板は、ガラス、プラスチックまたはサファイアウェーハなどの非導電性材料で作成されてもよい。さらに、基板は、その中に形成された半導体装置または回路を有してもよい。
【0018】
本明細書で使用される「マイクロ」LED、「マイクロ」p-nダイオード、または「マイクロ」装置のような用語は、本発明の実施形態による特定の装置または構造の説明的なサイズを指す。本明細書で使用される「マイクロ」装置または構造のような用語は、0.1から100μmのスケールを指すことを意図している。しかしながら、本発明の実施形態は、かならずしもこれに限定されず、実施形態の特定の態様は、より大きなサイズスケールおよびより小さなサイズスケールに適用できることを理解すべきである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、LED構造またはマイクロLED構造および当該構造を製造するための方法を記載する。マイクロLEDディスプレイを製造するために、エピタキシャル層を受容基板に結合させる。受容基板は、たとえば、CMOSバックプレーンまたはTFTガラス基板を含むディスプレイ基板であってもよいが、これらに限定されない。次いで、エピタキシャル層は、受容基板上のマイクロLEDアレイにより形成されている。受容基板上にマイクロLEDが形成される場合、小さな機能的マイクロLEDメサの、受容基板への接着力が弱く、加えてメサの大きさに比例するので、複数の小さな機能的マイクロLEDメサが受容基板上から剥離されてしまって製造プロセス中にディスプレイ不良(デッドピクセル)を引き起こす可能性がある。上記の課題を解決するために、本発明の実施形態は以下の解決策を導入する。エピタキシャル層上でエッチングプロセスを実行せず、機能的マイクロLEDメサを分離材料によって分離させ、したがって、機能的マイクロLEDと受容基板との間の接着面積を拡大して、潜在的な剥離リスクを回避することができる。また、本発明の実施形態に記載される製造方法は、機能的マイクロLEDメサの側壁の物理的損傷をさらに低減し、LEDの発光領域としての量子井戸構造の損傷を低減し、機能的メサの光学的特性および電気的特性を改善することができる。
【0020】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造100の上面図であり、
図2は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造100の、線A-A’に沿った断面図を示す。以下、本発明をより良く解釈するために、
図1に示すLED構造100の上面図および
図2に示すLED構造100の断面図を一緒に説明する。LED構造100は、第1基板102および複数のLEDユニット118(例えば、
図2に示すLEDユニット118-1、118-2、118-3、118-4)を含む。LEDユニット118は、結合層104を介して第1基板102上に結合される。いくつかの実施形態において、第1基板102は、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの半導体材料を含み得る。いくつかの実施形態において、第1基板102は、ガラス、プラスチック、サファイアウェーハなどの非導電性材料からなってもよい。いくつかの実施形態において、第1基板102は、内部に駆動回路が形成されていてもよく、CMOSバックプレーンまたはTFTガラス基板であり得る。駆動回路は、電気的信号をLEDユニット118に提供して輝度を制御する。いくつかの実施形態において、駆動回路は、アクティブマトリックス駆動回路を含むことができ、その中、各々の単独のLEDユニット118は、独立したドライバに対応するように構成される。いくつかの実施形態において、駆動回路は、パッシブマトリックス駆動回路を含むことができ、その中、複数のLEDユニット118は、アレイ状に配列され、駆動回路によって駆動されるデータ線および走査線に接続される。
【0021】
結合層104は、第1基板102上に形成され、第1基板102とLEDユニット118とを結合させるように構成される接着材料層である。いくつかの実施形態において、結合層104は、金属または金属合金などの導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は、Au、Sn、In、CuまたはTiを含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は、ポリイミド(PI)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの非導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は、SU-8フォトレジストなどのフォトレジストを含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は、水素シルセスキオキサン(HSQ)またはジビニルシロキサン-ビス-ベンゾシクロブテン(DVS-BCB)であり得る。結合層104の材料に対する記載は、限定的なものではなく、ただ例示的なものであり、当業者は必要に応じて変更することができ、このような変更はすべて本発明の範囲に属するべきである。
【0022】
図2を参考すると、各LEDユニット118はそれ自身に割り当てられる、結合層104、第1ドープ半導体層106、第2ドープ半導体層108、および、第1ドープ半導体層106と第2ドープ半導体層108との間に形成される多重量子井戸層110を含む。第1ドープ半導体層106は結合層104上に形成される。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106および第2ドープ半導体層108は、II-VI材料(ZnSe、ZnOなど)またはIII-V窒化物材料(GaN、AlN、InN、InGaN、GaP、AlInGaP、AlGaAsおよびそれらの合金など)によって形成された1つまたは複数の層を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106は、複数のLEDユニット118(例えば
図2に示す4つのLEDユニット118)をわたって延在してこれらのLEDユニット118の共通アノードを形成するp型半導体層であり得る。例えば、LEDユニット118-2の第1ドープ半導体層106は、それ自身に隣接するLEDユニット118-1および118-3まで延在し、同様に、LEDユニット118-3の第1ドープ半導体層106は、それ自身に隣接するLEDユニット118-2および118-4まで延在する。いくつかの実施形態において、LEDユニットをわたって延在する第1ドープ半導体層106は、比較的薄くてもよい。各LEDユニット上に、連続する第1ドープ半導体としての薄層を設けることにより、基板102と複数のLEDユニット118との間の結合領域を、第2ドープ半導体層108の下方の領域に限定されないようにして、各LEDユニット同士の間の領域まで更に延在させる。言い換えれば、連続する第1ドープ半導体106としての薄層が設けられることによって、結合層104は面積が広くなる。したがって、基板102と複数のLEDユニット118との間の結合強度が向上して、LED構造100の剥離リスクが緩和される。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106は、p型GaNを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106は、マグネシウム(Mg)がドープされたGaNから形成されることができる。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106は、p型InGaNを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106は、p型AlInGaPを含むことができる。各LEDユニット118は、駆動回路に接続されたアノードおよびカソードを有し、例示的に、駆動回路は基板102に形成される(駆動回路は明示されていない)。例えば、各LEDユニット118は、アノードが定電圧源に接続され、カソードが駆動回路のソース/ドレインに接続される。言い換えれば、各LEDユニット118をわたって連続する第1ドープ半導体106が形成されたため、複数のLEDユニット118は、第1ドープ半導体層106および結合層104によって形成された共通のアノードを有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、第2ドープ半導体層108はn型半導体層であって各LEDユニット118のカソードを形成することができる。いくつかの実施形態において、第2ドープ半導体層108はn型GaNを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ドープ半導体層108はn型InGaNを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ドープ半導体層108はn型AlInGaPを含んでもよい。異なるLEDユニット118の第2ドープ半導体層108は電気的に分離されるため、各LEDユニット118は、他のユニットと電圧レベルが異なる可能性があるカソードを有する。開示された実施形態の結果として、複数の個別に動作可能なLEDユニット118は、第1ドープ半導体層106が隣接するLEDユニットをわたって水平に延在するとともに、第2ドープ半導体層108が隣接するLEDユニットから電気的に分離されるように形成される。各LEDユニット118は、第1ドープ半導体層106と第2ドープ半導体層108との間に形成された多重量子井戸(MQW)層110をさらに含む。MQW層110は、LEDユニット118のアクティブ領域である。
【0026】
いくつかの実施形態において、第2ドープ半導体層108は分離材料116によって分割される。例えば、
図2に示すように、第2ドープ半導体層108は分離材料116によって複数のLEDメサ(108-1、108-2、108-3および108-4)に分割される。言い換えれば、LEDメサ(108-1、108-2、108-3および108-4)はそれらの間に形成された分離材料116によって電気的に分離される。例えば、LEDユニット118-2のLEDメサ108-2は分離材料116によってLEDユニット118-1のLEDメサ108-1およびLEDユニット118-3のLEDメサ108-3と電気的に分離される。
【0027】
いくつかの実施形態において、分離材料116は、イオン注入された材料であり得る。いくつかの実施形態においては、第2ドープ型半導体層108内にイオン材料を注入することによって分離材料116を形成することができる。いくつかの実施形態においては、第2ドープ型半導体層108内にH+、He+、N+、O+、F+、Mg+、Si+またはAr+のイオンを注入することによって、分離材料116を形成することができる。いくつかの実施形態においては、第2ドープ型半導体層108に1つまたは複数のイオン材料を注入することによって分離材料116を形成することができる。分離材料116は、電気絶縁体の物理的特性を有する。第2ドープ半導体層108における所定領域にイオン材料を注入することによって、所定領域内の第2ドープ半導体層108を分離材料116に変換することができ、分離材料116は複数のLEDメサ(108-1、108-2、108-3、および108-4)を互いに電気的に分離する。
【0028】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、分離材料116は、第2ドープ半導体層108内に形成されることができ、その深さはMQW層110を貫通するほど深くはない。各LEDメサの下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104は、隣接するLEDメサの下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104まで水平に延在することができる。例えば、LEDメサ108-2の下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104は、LEDメサ108-1およびLEDメサ108-3の下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104まで水平に延在することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、分離材料116のイオン注入深さは
図2に示すようにMQW層110の上方にあるように制御されることができる。いくつかの実施形態において、分離材料116のイオン注入深さはMQW層110を貫通しないように制御されて、分離材料116は第1ドープ半導体層106に接触できないように停止される。
図2に示す分離材料116の位置、形状および深さは限定的なものではなく、説明的なものに過ぎず、当業者は必要に応じて変更することができ、このような変更はすべて本発明の範囲に属するべきである。
【0030】
図2に示すように、パッシベーション層112は、LEDメサ(108-1、108-2、108-3、108-4)および分離材料116を含む第2ドープ半導体層108の上に形成される。パッシベーション層112は、LEDユニット118を保護および分離するために使用されることができる。いくつかの実施形態において、パッシベーション層112は、SiO
2、Al
2O
3、SiNまたは他の適当な材料を含み得る。いくつかの実施形態において、パッシベーション層112は、ポリイミド、SU-8フォトレジスト、または他のフォトリソグラフィでパターニング可能なポリマーを含み得る。電極層114はパッシベーション層112の一部の上に形成され、電極層114はパッシベーション層112における開口124を介して第2ドープ半導体層108に電気的に接続される。いくつかの実施形態において、電極層114は酸化インジウムスズ(ITO)、Cr、Ti、Pt、Au、Al、Cu、GeまたはNiなどの導電性材料であってもよい。
【0031】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なLED構造100の線B-B’に沿った断面図である。第1基板102内には、LEDユニット118を駆動するための駆動回路が形成される。駆動回路の接点120は2つのLEDユニット118同士の間の開口122から露出され、接点120は電極層114を介して第2ドープ半導体層108に電気的に接続される。言い換えれば、第2ドープ半導体層108と駆動回路の接点120との間の電気的接続は、電極層114によって提供される。上述のように、第2ドープ半導体層108が各LEDユニット118のカソードを形成するので、接点120は各LEDユニット118の駆動電圧を、電極層114を介して、駆動回路から第2ドープ半導体層108に提供する。
【0032】
図4は、本発明のいくつかの実施形態によるLED構造100のもう1つの上面図である。
図4においては、解釈の便宜上、電極層114およびパッシベーション層112の下方にある層を破線で示す。
図4によるLED構造100は16個のLEDユニット118を含む。各LEDユニット118は、第1ドープ半導体層106と第2ドープ半導体層108と多重量子井戸110とによって形成されるp-nダイオード層を含む。パッシベーション層112はp-nダイオード層上に形成され、電極層114はパッシベーション層112上に形成される。
【0033】
パッシベーション層112上には第2ドープ半導体層108を露出するために開口124が形成され、また、パッシベーション層112上には接点120を露出するために開口122が形成される。電極層114は開口124および開口122を覆うようにパッシベーション層112の一部の上に形成され、したがって電極層114は第2ドープ半導体層108および接点120と電気的に接続される。
図4の例において、開口124は各LEDユニット118の中心に位置し、開口122は、隣接するLEDユニット118同士の間のギャップに位置する。開口124、開口122および電極層114の位置と設計(例えば形状とサイズ)は、具体的な実施形態に応じて、
図4に示す例と相違してもよく、これらに限定されないことを理解すべきである。
【0034】
図4において、LED構造100は16個のLEDユニット118を含み、各LEDユニット118は個別に動作可能である。各LEDユニット118の第2ドープ半導体層108は、分離材料116によって電気的に分離される。第1ドープ半導体層106は、第2ドープ半導体層108およびパッシベーション層112の下に位置し、第1ドープ半導体層106はこれら16個のLEDユニット116の共通アノードである。本発明によると、これらのLEDユニット(例えば、16個のLEDユニット118)の第1ドープ半導体層106は、LED構造100を形成する製造プロセスの間だけでなく、製造プロセスの後にも電気的に接続されて、各LEDユニット118は異なる駆動回路によって個別に駆動されることができ、よって、複数のLEDユニットを「個別に動作可能である」と表現する。
【0035】
図5は、本発明のいくつかの実施形態によるもう1つのLED構造500の上面図である。
図5の上面図において、LEDメサ108-1の形状は円形であり、
図4に示すLED構造100の上面図によるLEDメサ108-1の形状とは異なる。第2ドープ半導体層108において異なるように画定された領域にイオン材料を注入することによって、LEDメサ108-1の形状を異なるように形成することができる。いくつかの実施形態において、上面図におけるLEDメサの位置および形状は様々な設計または用途に従って変更されてもよく、ここでは上面図におけるLEDメサまたはLEDユニット118の形状を限定しないことを理解すべきである。いくつかの実施形態において、上面図における開口124、開口122、電極層114または接点120の位置および形状も、様々な設計および用途に従って変更されることができ、ここの記載に限定されない。
【0036】
図6A~
図6Hは、本発明のいくつかの実施形態による製造プロセス中における例示的なLED構造100の断面図を示し、
図7A~
図7Dは、本発明のいくつかの実施形態による製造プロセスの異なる段階におけるLED構造100の上面図を示し、
図8は、本発明のいくつかの実施形態によるLED構造100を製造するための例示的な方法800のフローチャートを示す。本発明をより良く解釈するために、
図6A~
図6I、
図7A~
図7Dおよび
図8を一緒に説明する。
【0037】
図6Aにおいて、駆動回路は第1基板102内に形成され、当該駆動回路は接点120を含む。例えば、当該駆動回路はシリコンウェーハ上に製造されたCMOSデバイスを含んでよく、いくつかのウェーハレベルのパッケージング層またはファンアウト構造がCMOS装置上に積み重ねられて接点120を構成する。もう1つの例の場合、駆動回路はガラス基板上に製造されたTFTを含んでもよく、いくつかのウェーハレベルパッケージング層またはファンアウト構造がTFT上に積み重ねられて接点120を構成する。半導体層は第2基板126上に形成され、当該半導体層は第1ドープ半導体層106と、第2ドープ半導体層108と、MQW層110と、を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1基板102または第2基板126は、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの半導体材料を含み得る。いくつかの実施形態において、第1基板102または第2基板126は、ガラス、プラスチックまたはサファイアウェーハなどの非導電性材料によって製造されてもよい。いくつかの実施形態において、第1基板102の内部には駆動回路が形成されてもよく、第1基板102はCMOSバックプレーンまたはTFTガラス基板を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106および第2ドープ半導体層108は、II-VI材料(ZnSeまたはZnOなど)またはIII-V窒化物材料(GaN、AlN、InN、InGaN、GaP、AlInGaP、AlGaAsおよびそれらの合金など)に基づいた1つまたは複数の層を含み得る。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106はp型半導体層を含むことができ、第2ドープ半導体層108はn型半導体層を含むことができる。
【0039】
図6Bにおいて、結合層104は第1基板102上に形成される。いくつかの実施形態において、結合層104は金属または金属合金などの導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は、Au、Sn、In、CuまたはTiを含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104はポリイミド(PI)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの非導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104はSU-8フォトレジストなどのフォトレジストを含み得る。いくつかの実施形態において、結合層104は水素シルセスキオキサン(HSQ)またはジビニルシロキサン-ビス-ベンゾシクロブテン(DVS-BCB)などを含み得る。いくつかの実施形態において、導電性層128は第1ドープ半導体層106上に形成され得る。いくつかの実施形態において、導電性層128は、第1ドープ半導体層106の全体を覆う共通電極を構成する。いくつかの実施形態において、導電性層128は第1ドープ半導体層106上にオーミック接触を形成することができる。いくつかの実施形態において、導電性層128と結合層104は後続の操作において1つの層として表されてもよい。
【0040】
図6Cおよび
図8の操作802を参照すると、第2基板126と、第1ドープ半導体層106、第2ドープ半導体層108およびMQW層110を含む半導体層とは、反転され、結合層104および導電性層128を介して第1基板102に結合される。その後、第2基板126は半導体層から除去されることができる。
図6Cは、第1基板102と第1ドープ半導体層106との間にある結合層104を示す。しかしながら、いくつかの実施形態において、結合層104は1つまたは複数の層を含んで第1基板102と第1ドープ半導体層106を結合することができる。例えば、結合層104は1つの導電性層または非導電性層を含み得る。もう1つの例として、結合層104は接着層と、導電性または非導電性層とを含み得る。いくつかの実施形態において、操作802の後、結合層104と導電性層128は1つの層として表され得る。結合層104の材料に対する記載は説明的なものに過ぎず、限定的なものではなく、当業者は必要に応じて変更することができ、このような変更はすべて本発明の範囲に属するべきである。
【0041】
図6Dにおいて、第2ドープ半導体層108に対して薄化操作を実行することによって、第2ドープ半導体層108の一部を除去することができる。
図7Aは、薄化操作後の第2ドープ半導体層108の上面図を示す。いくつかの実施形態において、薄化操作はドライエッチング操作またはウェットエッチング操作を含み得る。いくつかの実施形態において、薄化操作は化学機械研磨(CMP)操作を含み得る。いくつかの実施形態において、第1ドープ半導体層106、MQW層110および第2ドープ半導体層108を含む厚さは、約0.3μmないし約5umであり得る。いくつかの他の実施形態において、第1ドープ半導体層106、MQW層110および第2ドープ半導体層108を含む厚さは、約0.4μmないし約4umであり得る。いくつかの選択的な実施形態において、第1ドープ半導体層106、MQW層110および第2ドープ半導体層108を含む厚さは、約0.5μmないし約3μmであり得る。
【0042】
図6Eと、
図8による操作804とに示すように、注入操作を実行して第2ドープ半導体層108内において分離材料116を形成する。イオン注入の結果として、第2ドープ半導体層108は分離材料116によって複数のLEDメサ(108-1、108-6、108-11および108-16)に分割される。複数のLEDメサ(108-1、108-6、108-11および108-16)は分離材料116によって互いに電気的に分離される。
図7Bは注入操作後のLED構造100の上面図を示し、
図6Eは、
図7Bにおける線B-B’に沿った断面図を示す。
図7Bにおいて、第2ドープ半導体層108は分離材料116によって複数のLEDメサ(108-1、108-6、108-11および108-16)に分割される。
【0043】
いくつかの実施形態においては、第2ドープ半導体層108における所定領域にイオン材料を注入することによって分離材料116を形成することができる。いくつかの実施形態においては、第2ドープ型半導体層108にH+、He+、N+、O+、F+、Mg+、Si+またはAr+のイオンを注入することによって分離材料116を形成することができる。いくつかの実施形態においては、第2ドープ型半導体層108に1つまたは複数のイオン材料を注入することによって分離材料116を形成することができる。分離材料116は電気絶縁体の物理的特性を有する。第2ドープ半導体層108における所定領域にイオン材料が注入されることによって、所定領域内の第2ドープ半導体層108の材料は分離材料116に変化してLEDメサ(108-1、108-6、108-11および108-16)を電気的に分離することができる。いくつかの実施形態においては、約10keVから約300keVの間のイオン注入電力で注入操作を実行することができる。いくつかの実施形態においては、約15keVから約250keVの間のイオン注入電力で注入操作を実行することができる。いくつかの実施形態においては、約20keVから約200keVの間のイオン注入電力で注入操作を実行することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、分離材料116は、第2ドープ半導体層108内に形成されることができ、その深さはMQW層110を貫通するほど深くはない。各LEDメサの下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104は、隣接するLEDメサの下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104まで水平に延在することができる。例えば、LEDメサ108-6の下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104は、LEDメサ108-1およびLEDメサ108-11の下方のMQW層110、第1ドープ半導体層106および結合層104まで水平に延在することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、
図6Eに示すように、分離材料116のイオン注入深さは、分離材料116がMQW層110に接触しないように制御される。いくつかの実施形態において、分離材料116のイオン注入深さはMQW層110を貫通しないように制御されて、分離材料は第1ドープ半導体層106に接触する前に停止される。
図6Eに示す分離材料116の位置、形状および深さは説明的なものに過ぎず、限定的なものではなく、当業者は具体的な実施形態に従って変更することができ、このような変更はすべて本発明の範囲に属するべきである。
【0046】
図6Fと、
図8における操作806とを参照すると、第1エッチング操作を実行して、分離材料116の一部、MQW層110の一部、および第1ドープ半導体層106の一部を除去することによって、第1基板102内に形成された駆動回路の接点120を露出させる。
図7Cは、第1エッチング操作後のLED構造100の上面図を示す。第1エッチング操作は、ドライエッチング操作またはウェットエッチング操作であり得る。ドライエッチング操作またはウェットエッチング操作においては、フォトリソグラフィプロセスによって第2ドープ半導体層108上にハードマスク(例えば、フォトレジスト)を形成することができる。その後、ドライエッチングプラズマまたはウェットエッチング溶液によって、第2ドープ半導体層108の、覆われていない部分を除去することによって、接点120を露出させる。第1エッチング操作が行われている間、LEDメサは絶縁材料116により保護されるため、LEDメサの側壁は物理的損傷から守られる。
【0047】
図6Gと、
図8による操作808および操作810とを参照すると、パッシベーション層112は第2ドープ半導体層108上に形成され、第1開口124はパッシベーション層112上に形成されて第2ドープ半導体層108の一部を露出させ、第2開口122はパッシベーション層112上に形成されて接点120を露出させる。
図7Dは、開口122および開口124が形成された後のLED構造100の上面図を示す。LED構造100はパッシベーション層112により覆われ、開口122および開口124は第2ドープ半導体層108および接点120を露出させる。
【0048】
いくつかの実施形態において、パッシベーション層112は、分離機能および保護機能を提供できるSiO
2、Al
2O
3、SiNまたは他の適当な材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、パッシベーション層112は、ポリイミド、SU-8フォトレジスト、または他のフォトリソグラフィでパターニング可能なポリマーを含み得る。
図8の操作810において、開口124および開口122は、第2ドープ半導体層108の一部および接点120を露出させるように形成される。いくつかの実施形態において、操作810は、第2エッチング操作によってパッシベーション層112の一部を除去して開口124および開口122を形成することを含み得る。いくつかのさらなる実施形態において、感光性材料(例えば、ポリイミド、SU-8フォトレジスト、または他のフォトリソグラフィでパターニング可能なポリマーなど)からなるパッシベーション層112が提供されて、操作810は、パッシベーション層112をフォトリソグラフィ操作によってパターン化して開口124および開口122を露出させることを含み得る。
【0049】
図6Hと、
図8の操作812とを参照すると、電極層114は開口124および開口122を覆うようにパッシベーション層112上に形成される。
図1は、操作812が行われた後のLED構造100の上面図を示す。電極層114は、第2ドープ半導体層108と接点120とを電気的に接続し、電気経路を形成してLEDユニットと基板102内の駆動回路とを接続する。駆動回路は接点120および電極層114を介して第2ドープ半導体層108の電圧および電流のレベルを制御することができる。いくつかの実施形態において、電極層114は、酸化インジウムスズ(ITO)、Cr、Ti、Pt、Au、Al、Cu、GeまたはNiなどの導電性材料を含み得る。
【0050】
本発明は、第2ドープ半導体層108が分離材料116によって分離されるLED構造と、当該LED構造を製造するための方法を提供する。エピタキシャル層に対するエッチングプロセスを実行する必要がなく、機能的LEDメサは分離材料116によって分離され、したがって、機能的LEDと受容基板との間の接着面積が広くなって、潜在的な剥離を回避することができる。イオン注入された半導体材料は高抵抗の物理的特性を持つことができるため、LEDユニットの電流は、発光領域を画定するための特定の半導体層の内部に限定されることができる。イオン注入を利用して半導体の機能を有するエピタキシャル層の内部に分離材料を形成して高抵抗領域を形成することによって、本発明は、LEDメサを形成する際のウェットエッチングまたはドライエッチングを排除してLEDメサの側壁の物理的損傷を回避し、LEDユニットの光電特性を改善することができる。なお、メサ間で従来の分離トレンチを使用しないため、物理トレンチによって制限されるマイクロLEDアレイの空間と密度を大幅に向上させることができる。
【0051】
本発明の1つの態様によると、LED構造を開示する。当該LED構造は、基板と、結合層と、第1ドープ半導体層と、多重量子井戸(MQW)層と、第2ドープ半導体層と、パッシベーション層と、電極層と、を含む。結合層は基板上に形成され、第1ドープ半導体層は結合層上に形成される。第1ドープ半導体層上にMQW層が形成され、MQW層上に第2ドープ半導体層が形成される。第2ドープ半導体層はイオン注入によって製造された分離材料を含み、パッシベーション層は第2ドープ半導体層上に形成される。電極層は、パッシベーション層上に形成され、パッシベーション層における第1開口を介して第2ドープ半導体層の一部に接触する。
【0052】
いくつかの実施形態において、分離材料は、第2ドープ半導体層を複数のLEDメサに分割する。いくつかの実施形態において、LED構造は、基板内に形成された駆動回路の複数の接点をさらに含み、各接点は、隣接するLEDメサの間のギャップに位置する。いくつかの実施形態において、電極層は、各接点上の第1開口と第2開口を介して、第2ドープ半導体層と接点とを電気的に接続する。
【0053】
いくつかの実施形態において、複数のLEDメサは第1LEDメサと、第1LEDメサに隣接する第2LEDメサとを含み、第1LEDメサの下方のMQW層、第1ドープ半導体層および結合層は、第2LEDメサの下方のMQW層、第1ドープ半導体層および結合層まで水平に延在する。いくつかの実施形態において、分離材料は、イオン注入された材料を含む。
【0054】
本発明のもう1つの態様によると、LED構造を開示する。当該LED構造は、基板と、基板上に形成された複数のLEDユニットと、を含む。各LEDユニットは、基板上に形成された結合層と、結合層上に形成された第1ドープ半導体層と、第1ドープ半導体層上に形成された多重量子井戸(MQW)層と、MQW層上に形成された第2ドープ半導体層と、を含む。複数のLEDユニットは、第1LEDユニットと、第1LEDユニットと隣接する第2LEDユニットと、を含む。第1LEDユニットの第2ドープ半導体層は、イオン注入された材料によって第2LEDユニットの第2ドープ半導体層と電気的に分離される。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1LEDユニットのMQW層、第1ドープ半導体層および結合層は、第2LEDユニットのMQW層、第1ドープ半導体層、および結合層まで水平に延在される。いくつかの実施形態において、イオン注入された材料は、第2ドープ半導体層の内部およびMQW層の上に形成される。
【0056】
いくつかの実施形態において、当該LED構造はパッシベーション層および電極層をさらに含む。パッシベーション層は、イオン注入された材料によって分離された複数のLEDユニットの第2ドープ半導体層上に形成され、電極層は、各LEDユニットのパッシベーション層上の第1開口を介して各LEDの第2ドープ半導体層の一部と接触する。
【0057】
いくつかの実施形態において、LED構造は、基板内に形成された駆動回路の複数の接点をさらに含み、各接点は隣接するLEDユニットの間のギャップに位置する。いくつかの実施形態において、電極層は、各LEDユニットの第1開口および各接点上の第2開口を介して、各LEDユニットの第2ドープ型半導体層と各接点とを電気的に接続する。いくつかの実施形態において、イオン注入された材料は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、シリコンまたはアルゴンのイオンが注入された材料を含む。
【0058】
本発明の別の1つの態様によると、LED構造を製造するための方法を開示する。第1基板上に半導体層が形成される。半導体層は、第1ドープ半導体層と、第1ドープ半導体層上のMQW層と、MQW層上の第2ドープ半導体層と、を含む。注入操作によって、第2ドープ半導体層内にイオン注入された材料が形成される。第1エッチング操作によって、少なくとも、イオン注入された材料の一部、MQWの一部、第1ドープ半導体層の一部および結合層の一部が除去されて、第1基板内に形成された駆動回路の接点が露出する。第2ドープ半導体層上にパッシベーション層が形成される。パッシベーション層に第1開口が形成されて第2ドープ半導体層の一部が露出し、パッシベーション層に第2開口が形成されて第1基板上の接点が露出する。電極層が第1開口および第2開口を覆うようにパッシベーション層上に形成される。
【0059】
いくつかの実施形態において、イオン注入された材料は、注入作業によって第2ドープ半導体層内に形成されて、第2ドープ半導体層を複数のLEDメサに分割する。各LEDメサはイオン注入された材料によって電気的に分離される。いくつかの実施形態において、イオン材料は、イオン注入された材料が第1ドープ半導体層と接触しないようにする深さで、半導体層における所定領域に注入される。いくつかの実施形態において、イオン材料は、イオン注入された材料が第1ドープ半導体層およびMQW層と接触しないようにする深さで、半導体層における所定領域に注入される。
【0060】
いくつかの実施形態において、約10keVから約300keVの間のイオン注入電力で注入操作を実行する。いくつかの実施形態において、イオン材料は、水素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、シリコンまたはアルゴンのイオンを含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、第1基板内に駆動回路を形成し、第2基板上に半導体層を形成し、結合層によって半導体層を第1基板上に結合させ、第2基板を除去する。
【0062】
具体的な実施形態に対する前述の説明は、容易に変更および/または様々な用途に適合されることができる。したがって、本明細書で提示される教示およびガイダンスに基づいて、このような適応および修正は、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあることが意図される。
【0063】
本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物のみにより定義されるべきである。