(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】断熱用ワッシャーおよび断熱構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20231005BHJP
E04D 3/35 20060101ALI20231005BHJP
E04D 3/36 20060101ALI20231005BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04B1/80 100E
E04D3/35 F
E04D3/36 T
F16B43/00 Z
(21)【出願番号】P 2023097643
(22)【出願日】2023-06-14
【審査請求日】2023-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507110268
【氏名又は名称】北開技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】中川 義則
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298281(JP,A)
【文献】米国特許第4884932(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102425593(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/80
E04D 3/35
E04D 3/36
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材を締結固定するために用いられる断熱用ワッシャーであって、
円盤状に形成された座金部および前記座金部の中央位置下方に形成されて底部にビス挿通孔を備えた中空収容部を有するワッシャー本体と、
前記ビス挿通孔に挿通可能な外径とビスを挿通可能な内径とを有する筒状に形成されているとともに上端部が前記ビス挿通孔より大径に拡開されているビス受け部材と
を有しており、
前記ビス受け部材は、前記ビス挿通孔に挿通された際に、前記ワッシャー本体に対して軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能とする遊嵌部を有する、前記断熱用ワッシャー。
【請求項2】
前記ビス受け部材は、下端部に前記ビス挿通孔の内径より大径に拡開された抜け防止用返し部が形成されている、請求項1に記載の断熱用ワッシャー。
【請求項3】
前記座金部および/または前記中空収容部の側面には、複数個の熱伝導低減孔が形成されている、請求項1に記載の断熱用ワッシャー。
【請求項4】
請求項1に記載の断熱用ワッシャーを用いた建築物の断熱構造体であって、
ワッシャー嵌入穴を有する断熱材と、
前記ワッシャー嵌入穴に中空収容部を埋設させた前記断熱用ワッシャーと、
前記中空収容部の前記ビス挿通孔に遊嵌された前記ビス受け部材に挿通して前記断熱材を前記建築物に固定するビスと、
前記ビスの頭部を覆うように前記中空収容部に充填される充填用断熱材と
を有する前記断熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材の締結固定において、断熱効果を高めるとともにヒートブリッジ現象の発生を抑えることにより結露を防止することのできる、断熱用ワッシャーおよび断熱構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷地における建築物の壁や屋根には断熱材が張られており、建築物内を温暖に維持するための様々な工夫がなされているが、建築物内と外部との気温差の影響によりヒートブリッジ現象という問題が存在している。このヒートブリッジ現象とは、断熱された建物の屋根や外壁等に部分的に熱を伝えやすい物や状態がある場合において、その部分から橋を渡るように熱が出入りする現象をいい、結露や着霜の原因となっている。
【0003】
例えば屋根の断熱構造において、平ワッシャーにビスを挿通することにより断熱材をデッキプレート等に固定する構造では、ビスを介して外熱が伝わってヒートブリッジ現象が発生し、結露等を生じている。
【0004】
このような問題に対し、出願人は、特許第4208095号公報において、ヒートブリッジ現象による結露の発生を効果的に抑制し、取り付け作業が極めて簡単でありながら耐風圧効果が高く、繰り返しの振動や熱膨張収縮によるひずみにも対応し得る断熱用ワッシャーおよびこれを用いた断熱構造体を提案し、特許権を得ている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、異常気象の影響により自然災害が多発する傾向にあり、これまでに経験のない強風を伴う台風が発生することもある。このような想定を超える強風は屋根や壁にも想定外の浮力を及ぼし、断熱材やこれを固定するビスなどを破損するおそれがある。よって、可能な限り、そのような巨大な台風にも耐えうる断熱材固定用ワッシャーが求められている。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、台風などの強風によって屋根や壁の断熱材にかかる強力な浮力を緩衝することで、前記断熱材やビスの破損を防止することのできる、断熱用ワッシャーおよび断熱構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る断熱用ワッシャーは、断熱材にかかる強力な浮力を緩衝して、前記断熱材やビスの破損を防ぐという課題を解決するために、断熱材を締結固定するために用いられる断熱用ワッシャーであって、円盤状に形成された座金部および前記座金部の中央位置下方に形成されて底部にビス挿通孔を備えた中空収容部を有するワッシャー本体と、前記ビス挿通孔に挿通可能な外径とビスを挿通可能な内径とを有する筒状に形成されているとともに上端部が前記ビス挿通孔より大径に拡開されているビス受け部材とを有しており、前記ビス受け部材は、前記ビス挿通孔に挿通された際に、前記ワッシャー本体に対して軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能とする遊嵌部を有する。
【0009】
また、本発明の一態様として、ビス受け部材がワッシャー本体のビス挿通孔から抜け落ちるのを防ぐという課題を解決するために、前記ビス受け部材は、下端部に前記ビス挿通孔の内径より大径に拡開された抜け防止用返し部が形成されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、ワッシャー本体を介したヒートブリッジ現象による熱の出入りを抑えるという課題を解決するために、前記座金部および/または前記中空収容部の側面には、複数個の熱伝導低減孔が形成されていてもよい。
【0011】
本発明に係る断熱構造体は、断熱材にかかる強力な浮力を緩衝して、前記断熱材やビスの破損を防ぐという課題を解決するために、前記断熱用ワッシャーを用いた建築物の断熱構造体であって、ワッシャー嵌入穴を有する断熱材と、前記ワッシャー嵌入穴に中空収容部を埋設させた前記断熱用ワッシャーと、前記中空収容部の前記ビス挿通孔に遊嵌された前記ビス受け部材に挿通して前記断熱材を前記建築物に固定するビスと、前記ビスの頭部を覆うように前記中空収容部に充填される充填用断熱材とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、台風などの強風によって屋根や壁の断熱材にかかる強力な浮力を緩衝することで、前記断熱材やビスの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る断熱構造体の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本実施形態の断熱用ワッシャーを示す正面図である。
【
図3】本実施形態の断熱用ワッシャーを示す平面図である。
【
図4】本実施形態の断熱用ワッシャーを示す側面図である。
【
図5】本実施形態の断熱用ワッシャーを示す断面図である。
【
図6】本実施形態におけるワッシャー本体に対してビス受け部材が軸線方向に移動しかつ半径方向に揺動する状態を示す模式図である。
【
図7】長い中間収容部を備えた他の実施形態の断熱用ワッシャーを示す断面図である。
【
図8】短い中間収容部を備えた他の実施形態の断熱用ワッシャーを示す断面図である。
【
図9】座金部および中空収容部に熱伝導低減孔を有さない他の実施形態の断熱用ワッシャーを示す断面図である。
【
図10】ビス受け部材に抜け防止用返し部を有さない他の実施形態の断熱用ワッシャーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る断熱用ワッシャーおよび断熱構造体の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
本実施形態の断熱構造体1は、建築物の屋根や壁等に採用される断熱構造であって、
図1に示すように、断熱用ワッシャー2と、断熱性能を有する板状の断熱材3と、前記断熱用ワッシャー2を介して断熱材3を固定するビス4と、前記ビス4の頭部41を覆い断熱性能を高める充填用断熱材5とを有しており、本実施形態では、その上にアスファルトルーフィングなどからなる防水層6を貼設することにより断熱性能の高い屋根としたものである。以下、各構成の詳細について説明する。
【0016】
本実施形態の断熱用ワッシャー2は、断熱材3を建築物に締結固定するために用いられるワッシャーであって、
図2乃至
図6に示すように、断熱材3を押さえるワッシャー本体21と、このワッシャー本体21を軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能に支持するビス受け部材22とを有する。
【0017】
ワッシャー本体21は、断熱材3を建築物に押止する部材であり、円盤状に形成された座金部211と、この座金部211の中央位置下方に形成された中空収容部212とを有する。
【0018】
座金部211は、断熱材3を押止する部分であり、円盤状に形成されている。座金部211の直径は、特に限定されるものではないが、本実施形態では約60mm~120mmに形成されている。
【0019】
また、座金部211には、断熱用ワッシャー2を介したヒートブリッジ現象による熱の出入りを抑制するために、複数個の熱伝導低減孔213が形成されている。つまり、座金部211に設ける熱伝導低減孔213は、外気側との接する表面積を減らすことで座金部211を介した熱の出入りを抑制するというものである。本実施形態では、
図3に示すように、座金部211の外周縁と中央の中空収容部212との約中間位置を通る円の上に、直径約15mmの熱伝導低減孔213が6個、等間隔(60度間隔毎)に形成されている。
【0020】
中空収容部212は、ビス4の頭部41および充填用断熱材5を収容する部分であり、座金部211の中央位置下方に形成されている。本実施形態における中空収容部212は、直径約15mm~30mm、長さ約20mm~80mmの底部のある筒状に形成されており、底部の中心にはビスを挿通可能なビス挿通孔214を備えている。
【0021】
また、中空収容部212の側面には、座金部211と同様、ヒートブリッジ現象による熱の出入りを抑えるため熱伝導低減孔213が複数個形成されている。つまり、中空収容部212の熱伝導低減孔213は、断面積を狭くすことで座金部211とビス4との間の熱の移動を抑制するというものである。本実施形態では、
図4および
図5に示すように、直径約8mmの熱伝導低減孔213が、縦方向に1個または縦方向に2個を周方向に60度毎に交互に形成されている。
【0022】
なお、本実施形態において座金部211と中空収容部212は、一体的に形成されているが、別体として形成し、係合させてワッシャー本体21を構成してもよい。また、中空収容部212は、
図7および
図8に示すように、本実施形態より長さを長くしてもよく、逆に短くしてもよい。さらに、座金部211および中空収容部212の熱伝導低減孔213の直径や個数、配置は、特に限定されるものではなく、熱伝導低減孔213を形成したことにより抑制される出入りする熱量と低下する強度とのバランスにより適宜選択してもよく、座金部211や中空収容部212のいずれか、または
図9に示すように両方に、熱伝導低減孔213を有さない構成としてもよい。
【0023】
次に、ワッシャー本体21を軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能とするための、ビス受け部材22について説明する。
【0024】
ビス受け部材22は、ビス4の頭部41を受ける部材であり、かつビス4により締結固定されたワッシャー本体21を軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能に支持するためのものである。本実施形態におけるビス受け部材22は、
図5に示すように、上端部のビス受け部221と、中間部の遊嵌部222と、下端部の抜け防止用返し部223とにより構成されている。
【0025】
ビス受け部221は、ビス4の頭部41を受ける部分であり、かつビス受け部材22がビス挿通孔214を抜け落ちないようにするための部分である。本実施形態におけるビス受け部221は、ビス受け部材22の上端部をビス挿通孔214より大径に拡開させることにより形成されている。また、中心にはビス4を挿通可能な孔を備え、筒状に形成された遊嵌部222に連続して徐々に縮径するように形成されている。この縮径した部分は、
図1に示すように、ビス4の頭部41を嵌め入れる窪みとなり、ビス4が孔の中心を挿通するように構成されている。
【0026】
遊嵌部222は、
図6に示すように、ビス4で締結固定されたワッシャー本体21を軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能にする部分である。つまり、遊嵌部222は、ビス挿通孔214に挿通可能な外径とビス4を挿通可能な内径とを有する筒状に形成されている。そして遊嵌部222は、ワッシャー本体21が軸線方向に移動や半径方向に揺動したときにビス受け部材22がビス挿通孔214から抜け落ちない程度の長さを備えている。また、遊嵌部222の外周面は、ワッシャー本体21が半径方向に揺動し易いように、上端部のビス受け部221から連続して徐々に縮径しており、滑らかな湾曲状に形成されている。
【0027】
抜け防止用返し部223は、ビス受け部材22が軸線方向への移動した際にビス挿通孔214から抜け落ちるのを防止するものであり、下端部においてビス挿通孔214の内径より大径に拡開されている。抜け防止用返し部223の外周面は、ワッシャー本体21に対して半径方向に揺動し易いように、遊嵌部222から連続して徐々に拡開しており、滑らかな湾曲状に形成されている。
【0028】
なお、本実施形態における抜け防止用返し部223は、下端部の全周にわたって拡開されているが、抜け防止効果が発揮できるのであれば、下端部の一部または複数箇所のみを拡開させた形状でもよい。また、防水層6などによって、ワッシャー本体21の軸線方向への移動量が少なく、断熱材3が風圧により浮き上がったとしても、ビス受け部材22の下端部がビス挿通孔214から抜け落ちるおそれのない場合には、
図10に示すように、抜け防止用返し部223のない構成にしてもよい。
【0029】
次に、断熱構造体1の他の構成について説明する。
【0030】
断熱材3は、建築物を覆って内と外の断熱をするためのものであり、本実施形態では、硬質ウレタンフォームからなる板材により構成されている。また、断熱材3は、断熱用ワッシャー2を取り付ける部分に中空収容部212を嵌入可能なワッシャー嵌入穴31が形成されている。この断熱材3は、
図1に示すように、前記ワッシャー嵌入穴31がデッキプレート7の上に配置されるように載置される。
【0031】
なお、断熱材3は、硬質ウレタンフォームに限定されるものではなく、ポリスチレンフォームやフェノールフォームなどの発泡プラスチック系の板材などから適宜選択してもよい。
【0032】
ビス4は、断熱用ワッシャー2を介して断熱材3を締結固定するためのファスナーであり、頭部41は中空収容部212に収容可能な大きさを有しており、断熱材3を貫通してデッキプレート7に締結可能な長さを備えている。このビスは、
図1に示すように、前記断熱材3に設けられた断熱用ワッシャー2のビス受け部材22に挿入され、断熱材3を貫通させてデッキプレート7に締結されている。
【0033】
なお、ビス4の種類(頭部41の形状)は、特に限定されるものではなく、六角ネジやタッピンねじ、六角レンチ穴を有するねじなどから適宜選択してもよい。
【0034】
充填用断熱材5は、ビス4を介したヒートブリッジ現象による熱の出入りを抑制して断熱性能を高めるための部材であり、本実施形態では、断熱材3と同じ素材である硬質ウレタンフォームによって、中空収容部212の内径にほぼ等しい外径の円柱状に形成されている。この充填用断熱材5は、
図1に示すように、ビス4の頭部41を覆うように中空収容部212に嵌め入れて充填される。これにより、ビス4に対して外気が直接的に触れるのを防ぎ、ビス4を介した熱の出入りが抑制される。
【0035】
なお、充填用断熱材5は、硬質ウレタンフォームに限定されるものではなく、ポリスチレンフォームやフェノールフォームなどの発泡プラスチック系の板材などから適宜選択してもよい。
【0036】
次に、本実施形態の断熱用ワッシャー2および断熱構造体1における各構成の作用について説明する。
【0037】
断熱構造体1において、断熱用ワッシャー2は、
図1に示すように、中空収容部212を断熱材3のワッシャー嵌入穴31に嵌め入れるように断熱材3に設置される。ビス4は、断熱材3を貫通してデッキプレート7に締結固定されている。これにより、座金部211が、断熱材3をデッキプレート7側に押止している。
【0038】
また、中空収容部212には充填用断熱材5が充填されているため、外気とビス4とが直接的に接することが防がれている。よって、ビス4を介したヒートブリッジ現象による熱の出入りを抑制することができる。また、座金部211と中空収容部212の側面に形成された複数個の熱伝導低減孔213によりワッシャー本体21を介したヒートブリッジ現象の抑制ができる。
【0039】
このように、本実施形態の断熱構造体1では、単に断熱材3をデッキプレート7に締結固定するのみならず、ヒートブリッジ現象が抑制され、高い断熱性能が得られる。
【0040】
また、断熱材3が風圧による浮力を受けると、それによりビス4は張力を受ける。ここで、ビス4に対してワッシャー本体21の動きに余裕が無い場合は、ワッシャー本体21に係る力がビス4に直接的に伝わり、ビス4が破損するおそれがある。これに対し、本実施形態におけるワッシャー本体21は、
図6に示すように、ビス受け部材22の遊嵌部222によって、軸線方向への移動が可能であり、また半径方向にも揺動することが可能である。これによりビス4に対してワッシャー本体21が動ける余裕があり、ビス4や断熱材3にかかる衝撃を和らげることができ、前記ビス4や前記断熱材3の破損を防ぐことができる。
【0041】
また、浮力によりワッシャー本体21が大きく浮き上がろうとしても、ビス受け部材22の下端部に抜け防止用開始部223が形成されているため、ビス受け部材22がビス挿通孔214から抜け落ちることはなく、ワッシャー本体21との一体性を保つことができる。
【0042】
以上のような本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
1.ワッシャー本体21がビス受け部材22に対して軸線方向に移動したり、半径方向に揺動することにより強風による強力な浮力による衝撃を緩衝し、ビス4や断熱材3の破損を防止することができる。
2.抜け防止用返し部223によって、ビス受け部材22がビス挿通孔214から抜け落ちるのを防ぐことができる。
3.座金部211や中空収容部212の側面に設けられた複数個の熱伝導低減孔213によって、ヒートブリッジ現象が抑制され、結露や着霜を防止することができる。
4.中空収容部212に充填用断熱材5を充填することで、断熱性能がより高められ、ビス4を介したヒートブリッジ現象を抑制することができる。
【0043】
なお、本発明に係る断熱用ワッシャー2および断熱構造体1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、本実施形態では、断熱材3を防水層6で覆っているが、その上にトタンなどの表装材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 断熱構造体
2 断熱用ワッシャー
3 断熱材
4 ビス
5 充填用断熱材
6 防水層
7 デッキプレート
21 ワッシャー本体
22 ビス受け部材
31 ワッシャー嵌入穴
41 頭部
211 座金部
212 中空収容部
213 熱伝導低減孔
214 ビス挿通孔
221 ビス受け部
222 遊嵌部
223 抜け防止用返し部
【要約】
【課題】 台風などの強風によって屋根や壁の断熱材にかかる強力な浮力を緩衝することで、前記断熱材やビスの破損を防止することのできる、断熱用ワッシャーおよび断熱構造体を提供する。
【解決手段】 断熱材3を締結固定するために用いられる断熱用ワッシャー2であって、円盤状に形成された座金部211および座金部211の中央位置下方に形成されて底部にビス挿通孔214を備えた中空収容部212を有するワッシャー本体21と、ビス挿通孔214に挿通可能な外径とビス4を挿通可能な内径とを有する筒状に形成されているとともに上端部がビス挿通孔214より大径に拡開されているビス受け部材22とを有しており、ビス受け部材22は、ビス挿通孔214に挿通された際に、ワッシャー本体21に対して軸線方向に移動可能でかつ半径方向に揺動可能とする遊嵌部222を有する。
【選択図】
図5