(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】まつ毛および眉毛パーマ用加温機
(51)【国際特許分類】
A45D 2/48 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A45D2/48
(21)【出願番号】P 2023136113
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2023-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522125803
【氏名又は名称】合同会社Paint Arc
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】清水 健
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-33897(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0159566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式のアームと、該アームの基部に装着された基台と、前記アームの先端に備えられた温風を吹き出すヒートガンと、該ヒートガンの吹出口に備えられた両目周辺を被覆するカバー体と、で構成されていることを特徴とするまつ毛および眉毛パーマ用加温機。
【請求項2】
前記アームの先端に、ヒートガンを角度調節自在に連結する連結部を装着した請求項1記載のまつ毛および眉毛パーマ用加温機。
【請求項3】
前記ヒートガンの吹出口の内周を、先方にかけて広口テーパ状に形成した請求項1または請求項2記載のまつ毛および眉毛パーマ用加温機。
【請求項4】
前記カバー体が、少なくとも二方向に温風を吹き出すアタッチメントである請求項1または請求項2記載のまつ毛および眉毛パーマ用加温機。
【請求項5】
前記基台に、タイマー、温度設定部および風量調節部を装着した請求項1または請求項2記載のまつ毛および眉毛パーマ用加温機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛および眉毛パーマ用加温機に関するものであり、特に、まつ毛および眉毛に温風をあててカールするまつ毛および眉毛パーマ用加温機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、髪の毛だけでなく、目の周りの美容を目的として、まつ毛や眉毛を専用のパーマ液とロットを使い、まつ毛や眉毛にパーマをかけてカールを作る「まつ毛パーマ」や「眉毛パーマ」が若い女性の間で人気が出てきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被施術者のまつ毛または眉毛の軟化を行うことを目的にして、まつ毛パーマ用または眉毛パーマ用の加温器が開示されている。
【0004】
かかる特許文献1記載のまつ毛パーマ用または眉毛パーマ用の加温器は、被施術者のまつ毛または眉毛に塗布した軟化剤を所定の温度に加温するための白熱電球と、前記白熱電球と前記施術者とが非接触状態で前記白熱電球を保持するための保持器と、を備えることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-33897号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたまつ毛パーマ用または眉毛パーマ用の加温器は、加温する際に使用されるものが白熱電球であるため、微妙な温度設定ができないものであった。そのため、まつ毛または眉毛にパーマをかけてカール効果の調整ができず、さらに、目の周りに白熱電球の強い光と熱があたるため目の周りへの負担が大きく安全性の面で問題が生じていた。また、遮光した場合でも、白熱電球の強い熱による影響を除くことはできなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、好適な角度調節や微妙な温度調節を可能とすることにより目の周りの安全性に優れ、かつ効果的にまつ毛および眉毛のパーマを行うことができるまつ毛および眉毛パーマ用加温機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、熱風をあてることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、可動式のアームと、該アームの基部に装着された基台と、前記アームの先端に備えられた温風を吹き出すヒートガンと、該ヒートガンの吹出口に備えられた両目周辺を被覆するカバー体と、で構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、前記アームの先端に、ヒートガンを角度調節自在に連結する連結部を装着したことが、好ましい。
【0011】
さらに、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、前記ヒートガンの吹出口の内周を、先方にかけて広口テーパ状に形成したことが、好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、前記カバー体が、少なくとも二方向に温風を吹き出すアタッチメントであることが、好ましい。
【0013】
また、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、前記基台に、タイマー、温度設定部、風量調節部を装着したことが、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、好適な角度調節や微妙な温度調節を可能とすることにより目の周りの安全性に優れ、かつ効果的にまつ毛および眉毛のパーマを行うことができるまつ毛および眉毛パーマ用加温機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機を表す全体斜視図である。
【
図3】可動式のアームの可動状態を表す使用例である。
【
図4】(a)は上下方向に、(b)は左右方向に角度を変えた状態をそれぞれ表す図である。
【
図5】他の好適例、吹出口の断面した側面図である。
【
図6】他の好適例、温風吹出口に装着されるアタッチメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、可動式のアームと、該アームの基部に装着された基台と、前記アームの先端に備えられた温風を吹き出すヒートガンと、該ヒートガンの吹出口に備えられた両目周辺を被覆するカバー体と、で構成されていることを特徴とするものであり、好適な角度調節や微妙な温度調節を可能とすることにより、効果的にまつ毛および眉毛のパーマができ、さらに安全性にも優れたものである。また、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機によれば、アームを可動式とし、かつヒートガンを角度調節自在に連結することにより、任意の高さや角度に調整して使用することができる。さらに、ヒートガンの吹出口に、両目周辺を被覆するカバー体を備えたことにより、均一した温風によるカール効果を高めることができる。さらにまた、ヒートガンの吹出口の内周を、先方にかけて広口テーパ状に形成したことにより、一点に集中することなく広範囲に効率よく温風を吹きかけることができる。なお、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、まつ毛および眉毛の両方にパーマをかけるだけでなく、温風のあてかたを調整することでまつ毛のみにパーマをかけることや眉毛のみにパーマをかけることもでき、まつ毛パーマ用加温機および眉毛パーマ用加温機をも含む概念である。また、本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、いわゆる、まつ毛用および眉毛用のローラーボールであり、まつ毛および眉毛のパーマの持続力と巻き上げる際のカールの強さを調整して、美しいまつ毛および眉毛の仕上がりを達成することができる。
【0017】
図1は本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機を表す全体斜視図であり、
図2はヒートガンの作用動作を表す側面図であり、
図3は可動式のアームの可動状態を表す使用例であり、
図4は(a)は上下方向に、(b)は左右方向に角度を変えた状態をそれぞれ表す図であり、
図5は他の好適例、吹出口の断面した側面図であり、
図6は他の好適例、温風吹出口に装着されるアタッチメントの斜視図である。
図1に示すまつ毛および眉毛パーマ用加温機1は、可動式のアーム2と、該アーム2の基部3に装着された基台10と、前記アーム2の先端4に具備された、温風を吹き出すヒートガン20と、該ヒートガン20の温風吹出口23に備えられた、両目周辺を被覆するカバー体30と、で構成されている。
【0018】
前記アーム2は、折り曲げ自在な可動式の構造(蛇腹式等)で形成されている。また、前記アーム2の基部には基台10が、上端にはヒートガン20がそれぞれ具備されている。また前記アーム2の周囲、もしくは内部には、前記ヒートガン20の後端に連結されている電気コード5が装着されている。
【0019】
前記アーム2の先端4に具備されたヒートガン20は、筒状の本体部21と、本体部21の後部に形成された外気吸込口22と、先方に装着された温風を排出する温風吹出口23とからなる。また、本体部21の内部には、ファン24と発熱部(図示せず)が収納されている。さらに、温風吹出口23の中央には温度感知センサ(図示せず)が装着されており、万一この温度感知センサが外れた場合、温度は80℃まで上昇する。なお、前記ヒートガン20は、市販のドライヤーと同じ構造のものが好適に利用できる。
【0020】
また、特に、ヒートガン20の温風吹出口23には、利用者のまつ毛および/または眉毛を被覆するカバー体30が具備されている。かかるカバー体30は、まつ毛および/または眉毛を被覆することができればよいが、
図1等では、一例として開口部31を有する略箱形状を呈しており、一辺には、使用の際に利用者の鼻部分が配置される凹部32が形成されている。カバー体30を設けることにより、ヒートガン20の温風を両まつ毛の中央部におくることができ、目に直接温風をあてないで、より目の安全性を確保した状態でまつ毛および眉毛をカールでき、まつ毛および眉毛のカール効果と目の安全性の両立を確保できる。
【0021】
基台10は、保持部11を介して前記アーム2の基部3に設置されている。また、基台10上面には、タイマー12、温度設定部13、風量調整部14、スイッチ15が装着され、側面には電源コード16が連設されている。
【0022】
前記温度設定部13は、0~9段階で50~80℃、好ましくは60~70℃に設定可能であり、まつ毛および眉毛用の還元剤を温めるのに好適な50~80℃の範囲内で、1℃ずつの温度調節ができる。また、温度は2秒に1℃ずつゆっくり上昇し、設定した温度を少し通り過ぎてから、設定した温度±1℃位のところに落ち着く。さらに、温度設定を切り替えると、約15秒位かけて追従する。なお、機器の吹き出し口からまつ毛や眉毛への距離は、吹き出し口から5cmまでの距離が好ましく、2cm~3cmの距離がさらに好ましい。また、吹き出し口からまつ毛や眉毛への距離が1cm~3cmの位置で測定した温度は、50~60℃であることが好ましい。
【0023】
また、タイマー12は、1分刻みの15分カウントの時間調節を設定することができる。さらに、風量調整部14は、例えば、市販のドライヤーの0.8~2.4m3/分の範囲で調整でき、市販のドライヤーの約1/5の微風(例えば、0.8~1.0m3/分)を設定することが可能である。本発明では、カバー体30があるため、微風でもカールすることができる。毛髪用のパーマ加温機が赤外線を使用しているのに対して、本発明では赤外線を使用していないので、まつ毛および眉毛を含め目の周りに対して安全に使用できる。
【0024】
また、他の好適例として、アーム2とヒートガン20は、連結部40を介して上下、左右方向に角度調節自在に連結されている。連結部40は、ヒートガン20の本体部21を挟持する挟持部41と、挟持部41の下部に装着された回動部42とで構成されている。前記連結部40にて連結することで、
図4の(a)に示すようにヒートガン20を上下方向に、また(b)に示すようにヒートガン20を左右方向に自在に角度を調整することができる。
【0025】
さらに、その他の好適例として、
図5に示すように、前記ヒートガン20の温風吹出口23の内周を、先方にかけて広口テーパ状に形成することが好ましい。温風吹出口23の先方を広口テーパ状に形成することにより、ヒートガン20から吐出される温風を広範囲に吹き出すことができる。これにより、ヒートガン20の温風を両まつ毛や両眉毛の中央部から両まつ毛や両眉毛へと広範囲で温風をあてることができ、両目部分を避けて両まつ毛や両眉毛に直接温風をあてることで、目の安全性を維持しながらまつ毛をよりカールしやすくすることができる。
【0026】
また、その他の好適例として、
図6に示すように、前記ヒートガン20の温風吹出口23に備えられたカバー体30が、前記ヒートガン20の温風吹出口23に連結し少なくとも二方向に温風を吹き出すアタッチメント25であってもよい。前記アタッチメント25は、ヒートガン20から吐出される温風を吹き出す第一吹出口27と、ヒートガン20から吐出される温風を吹き出す第ニ吹出口28とで形成されている。さらに、前記第一吹出口27と第ニ吹出口28とは、適宜角度を有する放射状に配置されている。
【0027】
前記アタッチメント25を装着することにより、ヒートガン20から吐出される温風は、前記第一吹出口27と第ニ吹出口28とから適宜角度で吐出されるため、使用の際、右目のまつ毛や眉毛と左目のまつ毛や眉毛に、それぞれ好適な状態で還元剤Aを温めることができる。
【0028】
図7は使用状態の側面図である。本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機1の使用方法を
図7に基づいて説明する。
先ず、瞼の上に還元剤Aを使用する。この際、還元剤A塗布中に50~80℃で温めることにより、タンパク質変形を促進する。また温度が高くなるにつれてカール効果が向上する。
【0029】
次に、外気吸込口22と温風吹出口23の周囲に何もないことを確認する。そして、温度調整部14が「0(ゼロ)」になっていることを確認する。
【0030】
その後、基台10のタイマー12、温度設定部12、風量調整部13にて温度、稼働時間、風量をそれぞれ設定する。そして、
図3および
図4に示すように、ヒートガン20を使いやすい高さや角度に移行させ、カバー体30を両目周辺に配置させる。この状態でスイッチ15を入れ、還元剤Aを温める。
【0031】
使用後は、温度調整部14を0にし、温風が室温と同じくらいになるまで待ち、電源コード16を抜く。
【0032】
また、本発明において、還元剤Aとしては、本発明の効果が得られれば特に限定されず、1剤(還元剤)と2剤(酸化剤)からなっていてもよい。さらに、まつ毛に使用することから、目への刺激を考慮するなど、毛髪用の還元剤より安全性が高いものであることが好ましい。
【0033】
上述の如く本発明のまつ毛および眉毛パーマ用加温機は、好適な角度調節や微妙な温度調節や風量調節を可能とすることにより、効果的にまつ毛および眉毛のパーマができ、さらに目の周りの安全性にも優れるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 まつ毛および眉毛用パーマ加温機
2 アーム
3 基部
4 先端部
5 電気コード
10 基台
11 保持部
12 タイマー
13 温度設定部
14 風量調整部
15 スイッチ
16 電源コード
20 ヒートガン
21 本体部
22 外気吸引部
23 温風吹出口
24 ファン
25 アタッチメント
26 本体部
27 第一吹出口
28 第二吹出口
30 カバー体
31 開口部
32 凹部
40 連結部
41 挟持部
42 回動部
A 還元剤
【要約】
【課題】 好適な角度調節や微妙な温度調節を可能とすることにより、効果的にまつ毛および眉毛のパーマができ、さらに安全性にも優れたまつ毛および眉毛パーマ用加温機を提供する。
【解決手段】 まつ毛および眉毛パーマ用加温機1は、可動式のアーム2と、該アーム2の基部3に装着された基台10と、前記アーム2の先端に具にされた温風を吹き出すヒートガン20と、該ヒートガン20の温風吹出口23に備えられた両目周辺を被覆するカバー体23と、で構成されている。また、前記アーム2の先端に、ヒートガン20を角度調節自在に連結する連結部40を装着した。
【選択図】
図1