IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイガースポリマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-可撓性ホースの使用 図1
  • 特許-可撓性ホースの使用 図2
  • 特許-可撓性ホースの使用 図3
  • 特許-可撓性ホースの使用 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】可撓性ホースの使用
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/06 20060101AFI20231005BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16L11/06
B32B1/08 B
B32B27/18 F
B32B27/30 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020007979
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021116815
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108498
【氏名又は名称】タイガースポリマー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福居 宏之
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044088(JP,A)
【文献】特開2019-044009(JP,A)
【文献】国際公開第2015/020104(WO,A1)
【文献】特開2014-231492(JP,A)
【文献】特開2003-026879(JP,A)
【文献】特開平11-049911(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1034495(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/06
B32B 1/08
B32B 27/18
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性を求められる用途への可撓性ホースの使用であって、
前記用途は、食品製造装置もしくは食品製造ラインに用いられる配管、
または、飲料製造装置もしくは飲料製造ラインに用いられる配管、
または、医療機器に用いられる配管もしくはシース部材、
または、酸素、水素もしくは呼気を送るための配管、
または、住宅の居室、台所もしくはふろの換気を行うための配管、
または、農業施設もしくは農場の排水管、
または、養殖場、貯水施設、港湾施設もしくは上下水処理施設で水を送るための配管、
または、船舶のバラスト水を給排水するための配管であり、
前記可撓性ホースは、
合成樹脂製のホース壁を有する可撓性ホースであって、
ホース壁の内周には塩化ビニル樹脂が露出しており、
前記塩化ビニル樹脂の硬度は、JIS-K7215に規定されるタイプA硬度で50~95度であり、
前記塩化ビニル樹脂はバリウム-亜鉛系安定剤を含み、
かつ、前記塩化ビニル樹脂は公知の抗菌剤を含まず、
JIS-Z2801に規定されるフィルム密着法により測定した前記塩化ビニル樹脂の抗菌活性値が2.0以上である、
可撓性ホースの使用
【請求項2】
ホース内周の全体が前記塩化ビニル樹脂により覆われている、
請求項1に記載の可撓性ホースの使用
【請求項3】
ホース壁の内周に替えてホース壁の外周に前記塩化ビニル樹脂が露出している、
請求項1に記載の可撓性ホースの使用
【請求項4】
ホース外周の全体が前記塩化ビニル樹脂により覆われている、
請求項3に記載の可撓性ホースの使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性ホース、特に合成樹脂製のホース壁を有する可撓性ホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製のホース壁を有する可撓性ホースは、柔軟であり、気体や液体、固体(特に粉体や粒状体)を搬送するといった多彩な用途に使用されている。特に、ホース壁を構成する合成樹脂が塩化ビニル樹脂であると、柔軟で強度等の特性に優れたホースを効率的に製造しやすい。
【0003】
例えば、特許文献1には、塩化ビニル樹脂製のホース壁に、塩化ビニル樹脂製の螺旋補強体を一体化し、螺旋補強体をポリエステル系熱可塑性エラストマーにより被覆した合成樹脂製ホースの技術が開示されており、当該合成樹脂製ホースによれば、合成樹脂製ホースの耐久性が高められることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-3926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、可撓性ホースを使用する際に、ホースの内周面や外周面が抗菌性を有していると好ましい。例えば、食品や飲料を扱う製造設備等に使用されるホースでは、ホース内周面が抗菌性を有していると、雑菌の繁殖が未然に防止されて、食品の衛生上好ましい。また汚泥等で汚れた環境に配置されるホースでは、ホース外周面が抗菌性を有していると、ホース外周に汚れが付着しにくくなり、ホースの見栄えや取り扱いの点で好ましい。
【0006】
しかしながら、ホース壁等に汎用される塩化ビニル樹脂材料は、一般に抗菌性を有するものではないと考えられてきており、塩化ビニル樹脂に抗菌性を付与するためには、別途高価な抗菌剤を配合するなどする必要があった。
【0007】
本発明の目的は、ホースの内周もしくは外周に抗菌性を有する可撓性ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、鋭意検討の結果、軟質塩化ビニル樹脂に特定の安定剤を含ませると、かかる軟質塩化ビニル樹脂に抗菌性が発現することを知見し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、抗菌性を求められる用途への可撓性ホースの使用であって、前記用途は、食品製造装置もしくは食品製造ラインに用いられる配管、または、飲料製造装置もしくは飲料製造ラインに用いられる配管、または、医療機器に用いられる配管もしくはシース部材、または、酸素、水素もしくは呼気を送るための配管、または、住宅の居室、台所もしくはふろの換気を行うための配管、または、農業施設もしくは農場の排水管、または、養殖場、貯水施設、港湾施設もしくは上下水処理施設で水を送るための配管、または、船舶のバラスト水を給排水するための配管であり、前記可撓性ホースは、合成樹脂製のホース壁を有する可撓性ホースであって、ホース壁の内周には塩化ビニル樹脂が露出しており、前記塩化ビニル樹脂の硬度は、JIS-K7215に規定されるタイプA硬度で50~95度であり、前記塩化ビニル樹脂はバリウム-亜鉛系安定剤を含み、かつ、前記塩化ビニル樹脂は公知の抗菌剤を含まず、JIS-Z2801に規定されるフィルム密着法により測定した前記塩化ビニル樹脂の抗菌活性値が2.0以上である、可撓性ホースの使用である(第1発明)。また、第1発明において、好ましくは、ホース内周の全体が前記塩化ビニル樹脂により覆われている(第2発明)。
【0010】
また、本発明は、第1発明において、ホース壁の内周に替えてホース壁の外周に前記塩化ビニル樹脂が露出している可撓性ホースの使用である(第3発明)。また、第3発明において、好ましくはホース外周の全体が前記塩化ビニル樹脂により覆われている(第4発明)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の可撓性ホースの使用(第1発明、第3発明)によれば、ホースの内周もしくは外周に抗菌性を有するので、雑菌の繁殖が抑えられ、飲料製造装置等や飲料等が清浄な状態に保たれる。また、第2発明もしくは第4発明のようにすれば、ホースの抗菌性がより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。
図2】第2実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。
図3】第3実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。
図4】第4実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照しながら、飲料の製造設備の配管に用いられる可撓性ホースを例として、発明の実施形態について説明する。発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。また、可撓性ホースの用途も以下に示す実施形態の用途に限定されない。
【0014】
図1は、第1実施形態の可撓性ホース1の構造を示す一部断面図である。図1では、ホースの中心軸よりも上側の部分を断面図で示し、下側の部分を外観で示している。図2図4でも同様である。
可撓性ホース1は、合成樹脂製のホース壁12を有する。ホース壁12は円筒状に形成されていて、ホース壁12の外周には、合成樹脂製の螺旋状補強体13が一体化されている。本実施形態ではホース壁12は平滑な円筒状であるが、ホース壁12は波付管状、もしくは螺旋状蛇腹管状にされていてもよい。
【0015】
ホース壁12の内周には塩化ビニル樹脂が露出している。この塩化ビニル樹脂は軟質塩化ビニル樹脂である。ここで、軟質塩化ビニル樹脂とは、樹脂の硬度が、JIS-K7215に規定されるタイプA硬度で50~95度の塩化ビニル樹脂である。
【0016】
ホース壁12は、本実施形態のように、単一の樹脂材料により形成された単層のホース壁であってもよいし、後述する他の実施形態のように積層構造を有するホース壁であってもよい。本実施形態では、タイプA硬度が65度の塩化ビニル樹脂により単層のホース壁12が形成されている。従って、本実施形態では、ホース内周が塩化ビニル樹脂により覆われている。また、本実施形態のホースでは、ホース壁12の外周にも塩化ビニル樹脂が露出している。
【0017】
ホース壁12を構成する塩化ビニル樹脂は、バリウム-亜鉛系安定剤を含む。発明者は、塩化ビニル樹脂がバリウム-亜鉛系安定剤を含むと、塩化ビニル樹脂に抗菌性が発現することを発見した。バリウム-亜鉛系安定剤としては、例えば株式会社ADEKA製のアデカスタブACシリーズ(例えば品番AC-169)の安定剤が例示される。バリウム-亜鉛系安定材の好ましい配合量は、従来公知の安定剤としての配合量でよく、例えば、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、バリウム-亜鉛系安定材を0.5~5重量部、より好ましくは、1~2重量部である。
【0018】
塩化ビニル樹脂がバリウム-亜鉛系安定剤を含むことにより発現する抗菌性は、JIS-Z2801の抗菌性試験方法に規定されるフィルム密着法により、黄色ぶどう球菌および大腸菌に対し測定した抗菌活性値で2.0以上である。
【0019】
塩化ビニル樹脂は、バリウム-亜鉛系安定剤の他に、可塑剤や、他の安定化剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、充填材などの添加剤等を含んでいてもよい。また、塩化ビニル樹脂に対し、塩化ビニル用として市販されている公知の抗菌剤、例えば銀系抗菌剤を含ませてもよい。もちろん、塩化ビニル樹脂に対し、公知の抗菌剤を含ませなくてもよい。
【0020】
本実施形態では、螺旋状補強体13は硬質塩化ビニル樹脂製である。ここで、硬質塩化ビニル樹脂とは、樹脂の硬度が、JIS-K7215に規定されるタイプD硬度で65~85度の塩化ビニル樹脂である。螺旋状補強体13は、ホース壁12を構成する樹脂材料よりも硬度が高い材料により構成される。なお、ホースの円筒状形状が維持できるのであれば、螺旋状補強体13は必須ではない。また、螺旋状補強体13は金属等、他の材料により構成されていてもよい。
【0021】
上記実施形態の可撓性ホース1は、例えば、飲料の製造設備の配管に用いられる。また、可撓性ホース1を他の用途に用いることもできる。
【0022】
上記実施形態の可撓性ホース1は、公知の製造方法により製造できる。
例えば、スパイラル成形法により製造するのであれば、まず、ホース材料をらせん状に捲回しながら回転送り動作が可能なホース成型軸を有するホース製造装置を準備する。このホース製造装置は公知である。上記軟質塩化ビニル樹脂を調製し、所定の断面形状(例えば矩形状)を有する条帯に押出成形し、半溶融状態でホース成型軸に供給する。ホース成型軸上で条帯はらせん状に捲回され、隣接する条帯側縁部同士が互いに融着して、円筒状のホース壁12が形成される。一方で、上記硬質塩化ビニル樹脂を調製し、所定の断面形状のひもを押出成形し、ホース成型軸に形成されたホース壁12の外周に半溶融状態で供給する。すると、硬質塩化ビニル樹脂製のひもがホース壁の外周に融着し、螺旋状補強体13となって、可撓性ホース1が連続的に製造される。
【0023】
本実施形態では、条帯側縁部の接合や、ホース壁12と螺旋状補強体13の接合に融着を利用したが、これら接合は他の手段、例えば、接着剤や粘着剤を利用したものであってもよい。また、螺旋状補強体13をホース壁12に埋入して両者を一体化するようにしてもよい。
【0024】
上記第1実施形態の可撓性ホース1の作用および効果を説明する。
上記第1実施形態の可撓性ホース1では、ホース壁の内周には塩化ビニル樹脂が露出しており、前記塩化ビニル樹脂の硬度は、JIS-K7215に規定されるタイプA硬度で50~95度である。従って、ホース壁を柔軟なものとできる。
【0025】
また、ホース壁の内周に露出する塩化ビニル樹脂にはバリウム-亜鉛系安定剤が含まれる。これにより、後述するように、JIS-Z2801に規定されるフィルム密着法により測定した前記塩化ビニル樹脂の抗菌活性値が2.0以上となり、いわゆる抗菌性が発現する。
【0026】
このような抗菌性を有する塩化ビニル樹脂がホース内周に露出していると、ホース内部の抗菌性が高められる。従って、ホース内部に飲料や飲料の原材料が滞留しても、雑菌の繁殖が抑えられ、飲料製造装置や飲料が清浄な状態に保たれる。
【0027】
必須ではないが、ホース内部の抗菌性をより高める観点からは、本実施形態のように、ホース内周の全体が前記塩化ビニル樹脂により覆われていることが好ましい。
【0028】
また、抗菌性を有する塩化ビニル樹脂がホース外周に露出していると、ホース外面の抗菌性が高められる。従って、ホースの外面に付着した雑菌が繁殖して他の部分を汚染したりすることが抑制され、飲料製造装置等が清浄な状態に保たれる。
【0029】
必須ではないが、ホース外面の抗菌性をより高める観点からは、後述する実施形態のように、ホース外周の全体が前記抗菌性を有する塩化ビニル樹脂により覆われていることが好ましい。
【0030】
以下、上記第1実施形態のように、軟質塩化ビニル樹脂にバリウム-亜鉛系安定剤を含ませることにより、抗菌性が発現することを例証する。
【0031】
(実施例)
平均重合度1300の塩化ビニル樹脂(株式会社カネカ製カネビニールSシリーズ型番S1003)100重量部に対し、バリウム-亜鉛系安定剤(ADEKA社、型番AC-169)1.5重量部、可塑剤(DINP)100重量部およびその他の添加剤を混練し、実施例の軟質塩化ビニル樹脂を得た。
【0032】
(比較例1)
バリウム-亜鉛系安定剤1.5重量部に替えて、有機スズ系安定剤としてジオクチルスズ1.0重量部を配合する以外は実施例と同様の配合で、比較例1の軟質塩化ビニル樹脂を得た。
【0033】
(比較例2)
バリウム-亜鉛系安定剤1.5重量部に替えて、有機スズ系安定剤としてジオクチルスズ1.0重量部を配合し、さらに、抗菌剤である第4級アンモニウム塩(三洋化成工業株式会社、オスモリンDA50)1.0重量部を配合する以外は実施例と同様の配合で、比較例2の軟質塩化ビニル樹脂を得た。
【0034】
実施例および比較例1、比較例2の軟質塩化ビニルを、それぞれロールにより厚さ1mmのシート状に加工し、抗菌性試験に供した。抗菌性試験は一般財団法人化学研究評価機構高分子試験・評価センター等に委託して、JIS Z2801:2012に準拠したフィルム法により行った。被覆フィルムおよび無加工試験片の材質はポリエチレンフィルムであり、清浄化はエタノールにより行った。
【0035】
フィルム法による評価時間は24時間とし、無加工試験片に対する接種直後の生菌数や、24時間後の生菌数、抗菌評価試験片(実施例、比較例1、比較例2)の24時間後の生菌数を測定し、抗菌活性値を求めた。
【0036】
実施例の塩化ビニル樹脂では、抗菌活性値(黄色ぶどう球菌/大腸菌)が2.7/2.6であった。比較例1の塩化ビニル樹脂では、抗菌活性値(黄色ぶどう球菌/大腸菌)が0.1/0.1であった。比較例2の塩化ビニル樹脂では、抗菌活性値(黄色ぶどう球菌/大腸菌)が4.8/4.3であった。
【0037】
バリウム-亜鉛系安定剤を含む実施例の塩化ビニル樹脂では、2.0を超える抗菌活性値が得られ、塩化ビニル樹脂に十分な抗菌性が発現した。一方、バリウム-亜鉛系安定剤を含まず、有機スズ系安定剤を含む比較例1の塩化ビニル樹脂では、ほとんど抗菌性が示されなかった。なお、有機スズ系安定剤を含むものであっても、抗菌剤である第4級アンモニウム塩を含む比較例2の塩化ビニル樹脂では十分な抗菌性が発現している。従って、実施例の塩化ビニル樹脂では、バリウム-亜鉛系安定剤により抗菌性が発現している。
【0038】
発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、これら実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0039】
図2は、第2実施形態の可撓性ホース2の構造を示す一部断面図である。可撓性ホースはこのような構成のホースであってもよい。第2実施形態の可撓性ホース2では、ホース壁が、内層22、主層21、外層23がホース内側からこの順番に積層された積層構造を有している。主層21は、ホースの強度や柔軟性に対する寄与が大きな層であり、軟質塩化ビニル樹脂などの軟質樹脂材料により形成されている。内層22や外層23と接着や溶着により良好に一体化できる材料であれば、主層21を構成する軟質樹脂材料は他の樹脂材料例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどであってもよい。
【0040】
可撓性ホース2のように、鋼線製の螺旋状補強体24が主層21に埋入されていてもよい。また、ホース壁が螺旋をなす蛇腹状に形成されていてもよい。
【0041】
本実施形態では、内層22と外層23が、上記第1実施形態に示されたような、硬度がJIS-K7215に規定されるタイプA硬度で50~95度であり、バリウム-亜鉛系安定剤を含み、JIS-Z2801に規定されるフィルム密着法により測定した前記塩化ビニル樹脂の抗菌活性値が2.0以上である前記塩化ビニル樹脂により形成されている。かかる軟質塩化ビニル樹脂により、ホース2の内周および外周の全体が覆われていることになり、第2実施形態の可撓性ホース2では、ホースの内周および外周の抗菌性が特に良好なものとなる。
【0042】
図3は、第3実施形態の可撓性ホース3の構造を示す一部断面図である。可撓性ホースはこのような構成のホースであってもよい。第3実施形態の可撓性ホース3では、第2実施形態の可撓性ホース2と同様に、ホース壁が、内層32、主層31、外層33がホース内側からこの順番に積層された積層構造を有している。また、可撓性ホース3では、螺旋状補強体34が、外層33の外周に一体化されている。
【0043】
第3実施形態の可撓性ホース3においても、内層32や外層33を形成する軟質塩化ビニル樹脂がバリウム-亜鉛系安定剤を含むことにより、ホースの内周および外周に抗菌性が与えられる。
なお、ホース外周に面する部材のすべてが抗菌性を有する素材である必要はなく、本実施形態のように、ホース壁の外周部分が抗菌性とされていれば、その部分では抗菌性が発揮される。さらに、本実施形態の可撓性ホース3では、螺旋状補強体34の部分も抗菌性の樹脂で構成することが好ましい。
【0044】
図4は、第4実施形態の可撓性ホース4の構造を示す一部断面図である。可撓性ホースはこのような構成のホースであってもよい。第4実施形態の可撓性ホース4では、円筒状のホース壁41の外周に螺旋状補強体44が一体化されており、ホース壁41と螺旋状補強体44を覆うように、円筒状の被覆層42が設けられている。第4実施形態の可撓性ホース4においても、ホース壁41や被覆層42を形成する軟質塩化ビニル樹脂がバリウム-亜鉛系安定剤を含むことにより、ホースの内周および外周に抗菌性が与えられる。
本実施形態の可撓性ホース4では、特にホース外周のすべてが、バリウム-亜鉛系安定剤を含む軟質塩化ビニル樹脂により覆われているので、ホース外周面の抗菌性を特に高めることができる。
【0045】
以上説明した実施形態の可撓性ホースの用途は特に限定されず、抗菌性が求められる用途に広く利用可能である。上記実施形態の可撓性ホースは、例えば、食品製造装置や食品製造ラインに用いられる配管として使用できる。あるいは、上記実施形態の可撓性ホースは、飲料製造装置や飲料製造ラインに用いられる配管として、医療機器に用いられる配管やシース部材として、酸素や水素、呼気等の気体を送るための配管として、住宅の居室や台所、ふろなどの換気を行うための配管として、あるいは、農業施設や農場の排水管として、あるいは、養殖場や貯水施設、港湾施設、上下水処理施設などで水を送るための配管として、船舶のバラスト水を給排水するための配管として、屋外に設置される発電設備等に備えられる電力ケーブルのシース部材として、情報ケーブル等のシース部材として使用できる。上記実施形態の可撓性ホースは、これら例示した用途に限定されず、広く利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上記実施形態の可撓性ホースは、例えば飲料製造装置の配管に使用でき、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0047】
1 可撓性ホース
12 ホース壁
13 螺旋状補強体
図1
図2
図3
図4