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特許7360789信号線上に同時に存在する2つの信号を分離して測定するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】信号線上に同時に存在する2つの信号を分離して測定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/06 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01R27/06
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018190596
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2019074520
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】15/782,814
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046574
【氏名又は名称】キーサイト テクノロジーズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】堀上 博幸
(72)【発明者】
【氏名】依田 達夫
(72)【発明者】
【氏名】柳本 吉之
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-24197(JP,A)
【文献】特開2007-240320(JP,A)
【文献】特開2013-257329(JP,A)
【文献】特開平8-233879(JP,A)
【文献】国際公開第2017/103619(WO,A1)
【文献】特開2005-181306(JP,A)
【文献】特開2006-208060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00-27/32、
13/00-13/42、
31/28-31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法(1000)であって、
送信元デバイス(11c)の出力(1401)が、入射信号(3)を、信号線(1)を介して宛先デバイス(11c)の入力(1402)に送信している間、前記送信元デバイス(11c)と前記宛先デバイス(11c)との間の前記信号線(1)上の第1のロケーション(1403)においてプロービングされた第1のプローブ波形(21)を測定機器(1400)において受信することと、
前記送信元デバイス(11c)の前記出力(1401)が、前記入射信号(3)を、前記信号線(1)を介して前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)に送信している間、前記信号線(1)上の第2のロケーション(1404)においてプロービングされた第2のプローブ波形(23)を前記測定機器(1400)において受信することであって、前記第2のロケーション(1404)は、前記第1のロケーション(1403)から分離距離だけ分離及び離隔され、前記分離距離は、前記入射信号(3)が前記第1のロケーション(1403)から前記第2のロケーション(1404)に伝播する時間遅延を生成することと、
前記測定機器(1400)が、前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における反射係数を確認することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(1000)であって、
前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認することは、
前記測定機器(1400)が、前記第1のプローブ波形(21)を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第1のプローブ波形(21d)を生成することと、
前記測定機器(1400)が、前記遅延された第1のプローブ波形(21d)を前記第2のプローブ波形(23)から減算して、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)からの反射信号(5)を生成することと、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法(1000)であって、
前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認することは、
前記測定機器(1400)が、前記第2のプローブ波形(23)を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第2のプローブ波形(23bd)を生成することと、
前記測定機器(1400)が、前記遅延された第2のプローブ波形(23bd)を前記第1のプローブ波形(21)から減算して、前記送信元デバイス(11c)の前記出力(1401)からの前記入射信号(3)を生成することと、
を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法(1000)であって、
前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認することは、
前記測定機器(1400)が、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)を求めることと、
前記測定機器(1400)が、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)を求めることと、
前記測定機器(1400)が、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)の周波数応答を求めることと、
前記測定機器(1400)が、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)の周波数応答を求めることと、
前記測定機器(1400)が、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)の前記周波数応答を、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)の前記周波数応答によって除算することによって、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を求めることと、
を更に含む、方法。
【請求項5】
測定機器(1400)であって、
送信元デバイス(11c)の出力(1401)が、入射信号(3)を、信号線(1)を介して宛先デバイス(11c)の入力(1402)に送信している間、前記送信元デバイス(11c)と前記宛先デバイス(11c)との間の前記信号線(1)上の第1のロケーション(1403)においてプロービングされた第1のプローブ波形(21)を受信するように構成されるとともに、前記送信元デバイス(11c)の前記出力(1401)が、前記入射信号(3)を、前記信号線(1)を介して前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)に送信している間、前記信号線(1)上の第2のロケーション(1404)においてプロービングされた第2のプローブ波形(23)を受信するように更に構成された1つ以上のプローブ(15)入力であって、前記第2のロケーション(1404)は、前記第1のロケーション(1403)から分離距離だけ分離及び離隔され、前記分離距離は、前記入射信号(3)が前記第1のロケーション(1403)から前記第2のロケーション(1404)に伝播する時間遅延を生成する、1つ以上のプローブの入力と、
前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における反射係数を確認するように構成されたプロセッサと、
を備える、測定機器。
【請求項6】
請求項5に記載の測定機器(1400)であって、
前記プロセッサは、
該測定機器(1400)に、前記第1のプローブ波形(21)を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第1のプローブ波形(21d)を生成させることと、
前記遅延された第1のプローブ波形(21d)を前記第2のプローブ波形(23)から減算して、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)からの反射信号(5)を生成することと、
によって、前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認するように構成される、測定機器。
【請求項7】
請求項6に記載の測定機器(1400)であって、
前記プロセッサは、
該測定機器(1400)に、前記第2のプローブ波形(23)を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第2のプローブ波形(23bd)を生成させることと、
前記遅延された第2のプローブ波形(23bd)を前記第1のプローブ波形(21)から減算して前記入射信号(3)を生成することと、
によって、前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認するように構成される、測定機器。
【請求項8】
請求項7に記載の測定機器(1400)であって、
前記プロセッサは、
前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)を求めることと、
前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)を求めることと、
前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)の周波数応答を求めることと、
前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)の周波数応答を求めることと、
前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射信号(5)の前記周波数応答を、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記入射信号(3)の前記周波数応答によって除算することによって、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を求めることと、
によって、前記第1のプローブ波形(21)及び前記第2のプローブ波形(23)から、前記宛先デバイス(11c)の前記入力(1402)における前記反射係数を確認するように構成される、測定機器。
【請求項9】
請求項5に記載の測定機器(1400)であって、該測定機器(1400)は、前記第1のプローブ波形(21)、前記第2のプローブ波形(23)、及び前記反射係数を表示するように構成されたディスプレイを備える、測定機器。
【請求項10】
請求項9に記載の測定機器(1400)であって、前記信号線(1)上の前記第1のロケーション(1403)においてプロービングされた前記第1のプローブ波形(21)と、前記信号線(1)上の前記第2のロケーション(1404)においてプロービングされた前記第2のプローブ波形(23)とはともに、単一のプローブ(15)を介して、前記1つ以上のプローブ(15)入力の中の同じプローブ(15)入力(1402)に提供される、測定機器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くのシステム及びデバイス、特に、例えば、高速デジタル通信回路を備えるデバイス及びシステムでは、2つ以上の信号が、所与の信号線上に同時に存在する場合がある。幾つかの場合には、これは、第1のデバイス(例えば、メモリコントローラ)の開始から第2のデバイス(例えば、メモリデバイス)の入力への信号線上の入射信号と、第2のデバイスの入力から第1のデバイスの出力に戻る同じ信号線上の対応する反射信号とを伴う場合がある。それらの場合に、入射信号の振幅(magnitude)に対する反射信号の振幅の比は、第2のデバイスの入力の反射係数と呼ばれる場合がある。それ以外の場合には、第1の信号は、第2のデバイスの入力/出力に信号線に沿って送信される第1のデバイスの出力信号とすることができ、第2の信号は、第2のデバイスの入力/出力に信号線に沿って送信される第2のデバイスの出力信号とすることができる。これは、第1のデバイス及び第2のデバイスが信号線を介して全二重通信を行う場合とすることができる。
【0002】
そのような信号の測定及び解析は、困難かつ複雑であり得る。
【0003】
入射信号及び反射信号を測定する場合の従来の解決策は、信号線を切断し、切断された信号線に無線周波数(RF)コネクタを取り付け、ネットワークアナライザを用いてS11パラメータとして反射係数を測定することを含んでいる。これは明らかに望ましくない。さらに、ネットワークアナライザの時定数は、通常は約100kHz(約10μsの時定数を意味する)とすることができるIF帯域幅に依存する。しかしながら、ダブルデータレート(DDR)メモリデバイス等の幾つかの場合には、実際の動作中の信号線に沿ったデータレートは、1GHz(1ナノ秒)の基本周波数成分及び333psの第3高調波を有する2Gbpsの範囲内にあり得る。これは、ネットワークアナライザがその通常の動作速度においてデバイスの反射係数を測定することができないことを意味する。
【0004】
幾つかのタイプのRF信号の他の解決策は、1つ以上の方向性結合器を信号線に組み込むことを含んでおり、結合された信号を双方向で測定することができるようにしている。方向性結合器を信号線に単純に追加して反射係数の測定を可能にすることは、追加のコスト、追加のサイズ、及び追加の信号損失と伴い、これらの全ては望ましくない。そして、多くの信号線と、測定されるデバイス入力又はデバイス出力とを有する回路では、これらの効果は全て倍増される。さらに、デジタル信号の場合、そのような方向性結合器は通常、用いられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
共有信号線上の2つのデバイスの2つの出力信号を測定する場合の従来の解決策は、他方の信号を測定又は評価している間、2つのデバイスのうちの一方による送信を停止して、信号のうちの一方を無信号状態にすることを伴う。しかしながら、2つの信号が信号線上に同時に存在するように2つのデバイスが同時に送信している実際の回路の動作モードにおいて回路を試験することは多くの場合に望ましい。したがって、そのような試験の場合、他方のデバイスからの信号を測定している間、デバイスのうちの一方からの送信を停止することは可能でない。
【0006】
したがって、信号線上に同時に存在する2つの信号を測定する新たなシステム及び方法を提供することが望ましい。信号線を介して第2のデバイスに接続された第1のデバイスの入力又は出力の反射係数を測定する新たなシステム及び方法を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法は、送信元デバイス(source device)の出力が、入射信号を、信号線を介して宛先デバイス(destination device)の入力に送信している間、前記送信元デバイスと前記宛先デバイスとの間の前記信号線上の第1のロケーションにおいてプロービングされた第1のプローブ波形を測定機器(measurement instrument)において受信することと、前記送信元デバイスの前記出力が、前記入射信号を、前記信号線を介して前記宛先デバイスの前記入力に送信している間、前記信号線上の第2のロケーションにおいてプロービングされた第2のプローブ波形を前記測定機器において受信することであって、前記第2のロケーションは、前記第1のロケーションから分離距離だけ分離及び離隔され、前記分離距離は、前記入射信号が前記第1のロケーションから前記第2のロケーションに伝播する時間遅延を生成することと、前記測定機器が、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における反射係数を確認する(ascertaining)こととを含む。
【0008】
幾つかの実施の形態では、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認することは、前記測定機器が、前記第1のプローブ波形を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第1のプローブ波形を生成することと、前記測定機器が、前記遅延された第1のプローブ波形を前記第2のプローブ波形から減算して、前記宛先デバイスの前記入力からの反射信号を生成することとを含む。
【0009】
これらの実施の形態の幾つかの態様(version)では、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認することは、前記測定機器が、前記第2のプローブ波形を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第2のプローブ波形を生成することと、前記測定機器が、前記遅延された第2のプローブ波形を前記第1のプローブ波形から減算して、前記送信元デバイスの前記出力からの前記入射信号を生成することとを更に含む。
【0010】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認することは、前記測定機器が、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号を求めることと、前記測定機器が、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号を求めることと、前記測定機器が、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号の周波数応答を求めることと、前記測定機器が、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号の周波数応答を求めることと、前記測定機器が、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号の前記周波数応答を、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号の前記周波数応答によって除算することによって、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を求めることとを更に含む。
【0011】
幾つかの実施の形態では、前記測定機器は、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形を受信する1つ以上のプローブ入力と、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形を処理するように構成されたプロセッサと、前記オシロスコープの出力信号を表示するように構成されたディスプレイとを備えるオシロスコープである。
【0012】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記信号線上の前記第1のロケーションにおいてプロービングされた前記第1のプローブ波形と、前記信号線上の前記第2のロケーションにおいてプロービングされた前記第2のプローブ波形とはともに、単一のプローブを介して、前記1つ以上のプローブ入力の中の同じプローブ入力に提供される。これらの実施の形態の他の態様では、前記第1のプローブ波形は、第1のプローブ入力に接続された第1のプローブを介して取得することができ、前記第2のプローブ波形は、第2のプローブ入力に接続された第2のプローブを介して取得することができる。
【0013】
測定機器は、送信元デバイスの出力が、入射信号を、信号線を介して宛先デバイスの入力に送信している間、前記送信元デバイスと前記宛先デバイスとの間の前記信号線上の第1のロケーションにおいてプロービングされた第1のプローブ波形を受信するように構成されるとともに、前記送信元デバイスの前記出力が、前記入射信号を、前記信号線を介して前記宛先デバイスの前記入力に送信している間、前記信号線上の第2のロケーションにおいてプロービングされた第2のプローブ波形を受信するように更に構成された1つ以上のプローブ入力であって、前記第2のロケーションは、前記第1のロケーションから分離距離だけ分離及び離隔され、前記分離距離は、前記入射信号が前記第1のロケーションから前記第2のロケーションに伝播する時間遅延を生成する、1つ以上のプローブの入力と、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における反射係数を確認するように構成されたプロセッサとを備える。
【0014】
幾つかの実施の形態では、前記プロセッサは、該測定機器に、前記第1のプローブ波形を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第1のプローブ波形を生成させることと、前記遅延された第1のプローブ波形を前記第2のプローブ波形から減算して、前記宛先デバイスの前記入力からの反射信号を生成することとによって、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認するように構成される。
【0015】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記プロセッサは、該測定機器に、前記第2のプローブ波形を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第2のプローブ波形を生成させることと、前記遅延された第2のプローブ波形を前記第1のプローブ波形から減算して前記入射信号を生成することとによって、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認するように構成される。
【0016】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記プロセッサは、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号を求めることと、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号を求めることと、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号の周波数応答を求めることと、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号の周波数応答を求めることと、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射信号の前記周波数応答を、前記宛先デバイスの前記入力における前記入射信号の前記周波数応答によって除算することによって、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を求めることとによって、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から、前記宛先デバイスの前記入力における前記反射係数を確認するように構成される。
【0017】
幾つかの実施の形態では、該測定機器は、前記第1のプローブ波形、前記第2のプローブ波形、及び前記反射係数を表示するように構成されたディスプレイを備える。
【0018】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記信号線上の前記第1のロケーションにおいてプロービングされた前記第1のプローブ波形と、前記信号線上の前記第2のロケーションにおいてプロービングされた前記第2のプローブ波形とはともに、単一のプローブを介して、前記1つ以上のプローブ入力の中の同じプローブ入力に提供される。これらの実施の形態の他の態様では、前記第1のプローブ波形は、第1のプローブ入力に接続された第1のプローブを介して取得することができ、前記第2のプローブ波形は、第2のプローブ入力に接続された第2のプローブを介して取得することができる。
【0019】
方法は、第1のデバイスの出力が、第1の信号を、信号線を介して第2のデバイスの入力に送信し、前記第2のデバイスの出力が、第2の信号を、前記信号線を介して前記第1のデバイスの入力に送信している間、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間の前記信号線上の第1のロケーションにおいてプロービングされた第1のプローブ波形を測定機器において受信することと、前記第1のデバイスの前記出力が、前記第1の信号を、前記信号線を介して前記第2のデバイスの前記入力に送信し、前記第2のデバイスの前記出力が、前記第2の信号を、前記信号線を介して前記第1のデバイスの前記入力に送信している間、前記信号線上の第2のロケーションにおいてプロービングされた第2のプローブ波形を前記測定機器において受信することであって、前記第2のロケーションは、前記第1のロケーションから分離距離だけ分離及び離隔され、前記分離距離は、前記第1の信号が前記第1のロケーションから前記第2のロケーションに伝播し、前記第2の信号が前記第2のロケーションから前記第1のロケーションに伝播する時間遅延を生成することと、前記測定機器が、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から前記第1の信号の推定値を確認することと、前記測定機器が、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から前記第2の信号の推定値を確認することとを含む。前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から前記第1の信号の前記推定値を確認することは、前記測定機器が、前記第2のプローブ波形を、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ遅延させて、遅延された第2のプローブ波形を生成することと、前記測定機器が、前記遅延された第2のプローブ波形を前記第1のプローブ波形から減算して差信号を生成することと、前記測定機器が、前記差信号を積分して前記第1の信号の前記推定値を生成することとを含む。
【0020】
幾つかの実施の形態では、前記第1の信号及び前記第2の信号はともにデジタル信号である。
【0021】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記方法は、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちの少なくとも一方の立ち上がり時間の約1/3未満の時間遅延を更に含む。
【0022】
幾つかの実施の形態では、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から前記第2の信号の前記推定値を確認することは、前記第1の信号の前記推定値を第1のプローブ波形から減算することを含む。
【0023】
幾つかの実施の形態では、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形から前記第2の信号の前記推定値を確認することは、前記測定機器が、前記時間遅延に等しい処理遅延だけ前記第1のプローブ波形を遅延させて、遅延された第1のプローブ波形を生成することと、前記測定機器が、前記遅延された第1のプローブ波形を前記第2のプローブ波形から減算して第2の差信号を生成することと、前記測定機器が、前記第2の差信号を積分して前記第2の信号の前記推定値を生成することとを含む。
【0024】
幾つかの実施の形態では、前記測定機器は、第1のプローブ及び第2のプローブからそれぞれ前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形を受信する2つのプローブ入力を備えるオシロスコープである。
【0025】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記方法は、前記第1のプローブ波形及び前記第2のプローブ波形を処理するように構成されたプロセッサと、前記オシロスコープの出力信号を表示するように構成されたディスプレイとを更に含む。
【0026】
これらの実施の形態の幾つかの態様では、前記方法は、前記第1のプローブと前記第2のプローブとの間の相違を較正することを更に含む。
【0027】
例示的な実施形態は、以下の詳細な説明を添付図面の図とともに読むことによって最もよく理解される。適用可能な箇所及び実際に役立つ箇所であればどの箇所でも、同様の参照符号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】メモリコントローラとメモリデバイスとの間を信号線に沿って伝播する前進波(入射波)及び逆進波(反射波)を示す図である。
図1B】メモリコントローラとメモリデバイスとの間を信号線に沿って伝播する前進波(入射波)及び逆進波(反射波)を示す図である。
図1C】メモリコントローラとメモリデバイスとの間を信号線に沿って伝播する前進波(入射波)及び逆進波(反射波)を示す図である。
図2】信号線に沿った2つの異なるロケーションにあるメモリコントローラとメモリデバイスとの間の信号線をプローブする測定機器の一例を示す図である。
図3】メモリコントローラからメモリデバイスへの信号線に沿った入射波の伝播と、メモリデバイスからメモリコントローラへの信号線に沿った反射波の伝播とを示す図である。
図4】送信元デバイスの出力が信号線を介して宛先デバイスの入力に入射信号を送信している間に送信元デバイスと宛先デバイスとの間の信号線上の第1のロケーションにおいてプロービングされた第1のプローブ波形と、送信元デバイスの出力が信号線を介して宛先デバイスの入力に入射信号を送信している間に信号線上の第2のロケーションにおいてプロービングされた第2のプローブ波形との一例を示す図である。
図5図4の第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形から反射信号をどのようにして取得することができるのかを示す図である。
図6図4の第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形から入射信号をどのようにして取得することができるのかを示す図である。
図7図5及び図6に示すステップを通じて取得される入射信号及び反射信号の例を示す図である。
図8】入力の反射係数を確認することができる図7の入射信号及び反射信号が、メモリデバイスへの入力においてどのように現れるのかを示す図である。
図9A】入射波形が2つの異なるロケーションにおいて時間整列されるような異なるトリガを用いて、信号線上の2つの異なるロケーションにおけるデジタルオシロスコープによって波形をどのようにして捕捉することができるのかを示す図である。
図9B】入射波形が2つの異なるロケーションにおいて時間整列されるような異なるトリガを用いて、信号線上の2つの異なるロケーションにおけるデジタルオシロスコープによって波形をどのようにして捕捉することができるのかを示す図である。
図10】メモリデバイスの入力において反射係数を確認する方法の一例示の実施形態のフローチャートである。
図11A】信号線に沿って第1のデバイスと第2のデバイスとの間を伝播する第1の信号及び第2の信号を示す図である。
図11B】信号線に沿って第1のデバイスと第2のデバイスとの間を伝播する第1の信号及び第2の信号を示す図である。
図12】第1の信号の推定値を、信号線に沿った第1のプローブロケーション及び第2のプローブロケーションにおける第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形からどのようにして取得することができるのかを示す図である。
図13】信号線に沿って第1のデバイスと第2のデバイスとの間を同時に反対方向に伝播する第1の信号及び第2の信号の推定値を取得する方法の一例示の実施形態のフローチャートである。
図14】上記で説明した1つ以上の方法に従って、被試験システム(SUT)の回路内の信号線上に同時に存在する2つの信号を測定するのに用いることができ、及び/又は、SUTの信号線を介して第2のデバイスに接続された第1のデバイスの入力若しくは出力の反射係数を測定するのに用いることができる測定機器の1つの例示の実施形態の簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明では、限定ではなく説明の目的で、本教示による一実施形態の十分な理解を提供するために、具体的な詳細を開示する例示的な実施形態が明らかにされる。しかしながら、本教示による他の実施形態は、本明細書に開示される具体的な詳細から逸脱しても、添付の特許請求の範囲の範囲内に依然として含まれることが、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。その上、よく知られた装置及び方法の説明は、例示的な実施形態の説明を不明瞭にしないために省略される場合がある。そのような方法及び装置は、明らかに本教示の範囲内にある。
【0030】
他に言及されない限り、第1のデバイスが第2のデバイスに接続されると言われるとき、これは、1つ以上の中間デバイスを利用して、2つのデバイスを互いに接続できる場合を含む。しかしながら、第1のデバイスが第2のデバイスに直接接続されると言われるとき、これは、2つのデバイスが、中間又は介在デバイスを用いることなく、互いに接続される場合のみを含む。同様に、信号がデバイスに結合されると言われるとき、これは、1つ以上の中間デバイスを利用して、信号をデバイスに結合できる場合を含む。しかしながら、信号がデバイスに直接結合されると言われるとき、これは、信号が、中間又は介在デバイスを用いることなく、デバイスに直接結合される場合のみを含む。
【0031】
図1は、メモリシステム等のデバイスに含めることができる回路14内の信号線13に沿って送信元デバイス(ここでは、メモリコントローラ11)と宛先デバイス(ここでは、メモリデバイス12)との間を伝播する入射信号3及び反射信号5を示している。以下では、用語「入射信号」は、入射波、前進波、及び前進信号と同じ意味に用いられる。同様に、用語「反射信号」は、反射波、逆進波、及び逆進信号と同じ意味に用いられる。
【0032】
ここで、入射信号3は、信号線13に沿ってメモリコントローラ11の出力1401からメモリデバイス12の入力1402(ここでは、ノードmとも呼ばれる)に進み、反射信号5は、信号線13に沿ってメモリデバイス12の入力1402(ノードm)からメモリコントローラ11の出力1401に進む。図1は、入射信号3及び反射信号5がメモリデバイス12の入力1402(ノードm)に現れるときのそれらの信号の組み合わせ信号7も示している。
【0033】
メモリデバイス12の入力1402(ノードm)における反射係数を求めるために、以下で更に詳細に説明するように、メモリデバイス12の入力1402(ノードm)において反射信号5及び入射信号3を測定することができるとともに、信号の比を取得することができることが望ましい。
【0034】
図2は、メモリコントローラ11とメモリデバイスとの間で信号線13に沿った2つの異なるロケーションにおいて信号線13をプローブする測定機器1400の一例を示している。ここで、測定機器1400は、デジタルオシロスコープとすることができ、その一例は、図14に関して以下でより詳細に説明される。
【0035】
図2に示すように、送信元デバイス(メモリコントローラ11)の出力1401が、入射信号(例えば、WRITEコマンド又はWRITEデータ)を、信号線13を介して宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402に送信している間、測定機器1400は、送信元デバイス(メモリコントローラ11)と宛先デバイス(メモリデバイス12)との間の信号線13上の第1のロケーションA 1403においてプローブ15を介してプロービングされた第1のプローブ波形を測定機器1400において受信する。
【0036】
送信元デバイス(メモリコントローラ11)の出力1401が、入射信号を、信号線13を介して宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402に送信している間、測定機器1400は、信号線13上の第2のロケーションB 1404においてプローブ15を介してプロービングされた第2のプローブ波形も受信する。ここで、第2のロケーションB 1404は、第1のロケーションA 1403から分離距離だけ分離及び離隔される。幾つかの実施形態では、この分離距離は小さくすることができ、入射信号3の1ビットの立ち上がり時間よりも小さな時間に対応する距離、及び、より一層有利には、入射信号3の1ビットの立ち上がり時間の1/3よりも小さな時間に対応する距離等とすることができる。
【0037】
有利には、2つの異なるプローブの不一致及び測定機器1400内のプローブ入力の異なる信号処理経路の不一致に起因したあらゆる誤差が取り除かれるように、プローブ16はプローブ15と同じプローブとすることができる。その場合、測定機器1400は、第1の時刻に信号線13上の第1のロケーションA 1403においてプローブ15を介してプロービングされた第1のプローブ波形を第1のプローブ入力において受信することができ、その後、プローブ15を、ロケーションA 1403からロケーションB 1404に移動させることができ、測定機器1400は、第2の時刻に信号線13上の第2のロケーションB 1404においてプローブ15を介してプロービングされた第2のプローブ波形を同じ第1のプローブ入力において受信することができる。その場合、測定機器1400は、幾つかの測定機器、特にデジタルオシロスコープにおいて一般に利用可能な技法を用いて第1の波形のパターン及び第2の波形のパターンを時間整列することができる。
【0038】
図3は、送信元デバイス(メモリコントローラ11)から宛先デバイス(メモリデバイス12)への信号線13に沿った入射信号3の伝播と、メモリデバイス12からメモリコントローラ11への信号線13に沿った反射信号5の伝播とを示している。
【0039】
ここで、入射信号3は、以下の式として表すことができ、
【数1】
反射信号5は、以下の式として表すことができる。
【数2】
【0040】
反射信号5の振幅が入射信号3の振幅よりも小さく、通常ははるかに小さいことを図3に見て取ることができる。これは、通常は望ましいことではあるが、メモリデバイス12の入力1402のインピーダンス及び信号線13のインピーダンスが、入射信号3の動作周波数においてメモリコントローラ11の出力1401のインピーダンスと十分に整合している場合に当てはまる。これらのインピーダンスが十分に整合しているほど、反射信号5の振幅は、入射信号3の振幅と比較して小さくなる。
【0041】
他の反射信号が信号線13上に一般に存在し得ることにも留意されたい。例えば、メモリコントローラ11の出力1401からの逆進反射信号が、信号線13上に存在し得る。さらに、この逆進反射信号に応答して生成されたメモリデバイス12の入力1402からの第2の反射信号も、信号線1上に存在し得る。多くのそのような反射信号が信号線13上に存在し得る。しかしながら、メモリデバイス12の入力1402のインピーダンス及び信号線13のインピーダンスが、入射信号3の動作周波数においてメモリコントローラ11の出力1401のインピーダンスと十分に整合されていると仮定すると(通常は当てはまる)、これらの追加の信号の全ては、入射信号3及び反射信号5の振幅と比較してはるかに低減された振幅にある。したがって、これらの信号の存在は、以下で説明する技法を用いてメモリデバイス12の入力1402の反射係数を求める精度に大きな影響を与えることなく無視することができる。
【0042】
図4は、メモリコントローラ11の出力1401が信号線13を介してメモリデバイス12の入力1402に入射信号を送信している間に、送信元デバイス(メモリコントローラ11)と宛先デバイス(メモリデバイス)との間の信号線13上の第1のロケーションA 1403においてプロービングされた第1のプローブ波形21の一例を示している。図4は、メモリコントローラ11の出力1401が信号線13を介してメモリデバイス12の入力1402に入射信号3を送信している間に信号線13上の第2のロケーションB 1404においてプロービングされた第2のプローブ波形23の一例も示している。
【0043】
図4は、入射信号3が信号線13上の第1のロケーションA 1403から信号線13上の第2のロケーションB 1404に伝播するのに要する時間と、逆に、反射信号5が信号線13上の第2のロケーションB 1404から信号線13上の第1のロケーションA 1403に伝播するのに要する時間とを表す遅延Tdを示している。図4は、入射信号3が信号線13上の第2のロケーションB 1404から信号線13上のメモリデバイス12の入力ノードM 1402に伝播するのに要する時間と、逆に、反射信号5が信号線13上のメモリデバイス12の入力ノードM 1402から信号線13上の第2のロケーションB 1404に伝播するのに要する時間とを表す遅延Tmも示している。
【0044】
ここで、第1のロケーションA 1403における第1のプローブ波形21の電圧V(a)は、以下の式として表すことができ、
【数3】
第2のロケーションB 1404における第2のプローブ波形23の電圧V(b)は、以下の式として表すことができる。
【数4】
【0045】
上記で説明したように、第1のプローブ波形21及び第2のプローブ波形23は、メモリコントローラ11の出力1401が信号線13を介してメモリデバイス12の入力1402に同じ入射信号3を送信している間、同じプローブ15を用いて、互いに異なる時刻に測定することができる。
【0046】
図5は、図4の第1のプローブ波形21及び第2のプローブ波形23から反射信号5をどのようにして取得することができるのかを示している。
【0047】
第1の動作又はステップにおいて、第1のプローブ波形21が処理遅延Tdだけ遅延されて、遅延された第1のプローブ波形21dが生成される。ここで、Tdは、入射信号3が信号線13上の第1のロケーションA 1403から信号線13上の第2のロケーションB 1404に伝播するのに要する時間と、逆に、反射信号5が信号線13上の第2のロケーションB 1404から信号線13上の第1のロケーションA 1403に伝播するのに要する時間とを表す図4に示すものと同じ遅延である。
【0048】
したがって、遅延された第1のプローブ波形21dの電圧(Xa)は、以下の式として表すことができる。
【数5】
【0049】
ここで、測定機器1400は、測定機器1400に付属又は付随するプロセッサに、当該プロセッサに付属又は付随するメモリデバイス(例えば、不揮発性メモリ)に記憶されたプロセッサ命令を用いて、ソフトウェアアルゴリズムを実行させる測定機器1400の組み込み機能を用いることによって、第1のプローブ波形21の遅延を行うことができる。
【0050】
次の動作又はステップにおいて、測定機器は、第2のプローブ波形23から、遅延された第1のプローブ波形21dを減算して、以下のような反射信号の電圧Vrefを生成する。
【数6】
【0051】
ここで、第1のロケーションA 1403における入射信号3の振幅は、第2のロケーションB 1404における入射信号3の振幅とほぼ同じであると仮定することができる。なぜならば、第1のロケーションA 1403と第2のロケーションB 1404との間の距離は小さく、したがって、入射信号3の減衰は小さいか又は無視できるからである。
【0052】
図5に示すように、波形Vrefは、メモリデバイス12の入力1402におけるノードMからの元の反射波と、遅延及び反転された反射波との2つの反射波を重ね合わせたものである。
【0053】
図6は、図4の第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形から入射信号をどのようにして取得することができるのかを示している。
【0054】
第1の動作又はステップにおいて、第2のプローブ波形23が処理遅延Tdだけ遅延されて、遅延された第2のプローブ波形23dが生成される。ここで、Tdは、入射信号3が信号線13上の第1のロケーションA 1403から信号線13上の第2のロケーションB 1404に伝播するのに要する時間と、逆に、反射信号5が信号線13上の第2のロケーションB 1404から信号線13上の第1のロケーションA 1403に伝播するのに要する時間とを表す図4に示すものと同じ遅延である。
【0055】
したがって、遅延された第2のプローブ波形23dの電圧V(Xb)は、以下の式として表すことができる。
【数7】
【0056】
ここで、測定機器1400は、測定機器1400に付属又は付随するプロセッサに、当該プロセッサに付属又は付随するメモリデバイス(例えば、不揮発性メモリ)に記憶されたプロセッサ命令を用いて、ソフトウェアアルゴリズムを実行させる測定機器1400の組み込み機能を用いることによって、第2のプローブ波形23の遅延を行うことができる。
【0057】
次の動作又はステップにおいて、測定機器1400は、第1のプローブ波形21から、遅延された第2のプローブ波形23dを減算して、以下のような入射信号の電圧Vinc
を生成する。
【数8】
【0058】
ここで、第1のロケーションA 1403における反射信号5の振幅は、第2のロケーションB 1404における反射信号5の振幅とほぼ同じであると仮定することができる。なぜならば、第1のロケーションA 1403と第2のロケーションB 1404との間の距離は小さく、したがって、反射信号5の減衰は小さいか又は無視できるからである。
【0059】
図6に示すように、波形Vincは、メモリコントローラ11の出力1401からの元の入射波と、遅延及び反転された入射波との2つの入射波を重ね合わせたものである。
【0060】
図7は、図5及び図6に示すステップを通じて分離され、個別に捕捉された入射信号及び反射信号の例を示している。
【0061】
図7に示すように、測定機器1400は、以下の式として、図5及び図6に関して上記で説明した手順によって入射波及び反射波を個別に捕捉することが可能になっている。
【数9】
及び
【数10】
ここで、「c」及び「d」は、図7に示すような信号線13上の仮想的なロケーションである。
【0062】
図8は、図7の入射信号3及び反射信号5が、図2図7に関して上記で説明したように分離及び測定された信号Vinc(t)及びVref(t)から入力1402の反射係数を確認することができる信号線13のノードM(メモリデバイス12の入力1402)にどのように現れるのかを示している。
【0063】
特に、測定機器1400は、時間シフトされたVinc及び時間シフトされたVrefを重ね合わせて、ノードMにおける波形を求めることができる。
【0064】
信号線13に沿った距離は小さく、信号線13に沿って伝播する信号の対応する減衰は小さいので、Vinc(t-Td)+Vref(t)は、図8に示すように、遅延Tm(Tmは、第2のロケーションBとノードMとの間の遅延である)を有するノードMにおける波形Vmem(t-Tm)と同じであるとして表される。
【0065】
最後に、メモリデバイス12の入力1402(すなわち、ノードM)における反射係数は、(1)測定機器1400が、ノードM(すなわち、宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402)における入射信号3 Vinc(t)の周波数応答を求めることと、(2)測定機器1400が、ノードM(すなわち、宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402)における反射信号5 Vref(t)の周波数応答を求めることと、(3)測定機器1400が、ノードM(すなわち、宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402)における反射信号5 Vref(t)の周波数応答を、ノードM(すなわち、宛先デバイス(メモリデバイス12)の入力1402)における入射信号3 Vinc(t)の周波数応答によって除算することとによって見つけることができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、測定機器(例えば、デジタルオシロスコープ)は、次のように、2つの異なるロケーション、すなわち、第1のロケーションA及び第2のロケーションBにおいて入射信号及び反射信号を捕捉することができる。まず、図9Aに示すように、デジタルオシロスコープは、当該デジタルオシロスコープの第1のチャネル(CH1)を用いて、第1の時刻に第1のトリガを用いて第1のロケーションAで入射信号及び反射信号の第1のプローブ波形を捕捉することができる。デジタルオシロスコープの内部機能を用いて、CH1について捕捉されたデータから入射信号のターゲット波形905を見つけることができる。次に、図9Bに示すように、デジタルオシロスコープは、入射信号の同じターゲット波形905が第2のロケーションBにおいて整列されるように選択された第2のトリガを用いて、デジタルオシロスコープの第2のチャネル(CH2)を用いて第2の時刻に第2のロケーションBで入射信号及び反射信号の第2のプローブ波形を捕捉することができる。第1のトリガを用いて第1のロケーションAでデジタルオシロスコープのCH1によって捕捉された第1のプローブ波形における入射信号3及び前進送信信号4(無視される場合がある)は、第2のトリガを用いて第2のロケーションBでCH2によって捕捉された第2のプローブ波形における入射信号3及び前進送信信号4と同じであることが、図9A及び図9Bにおける強調表示エリアから見て取ることができる。一方、第1のロケーションAでCH1によって捕捉された第1のプローブ波形における反射信号5及び6は、第2のロケーションBでCH2によって捕捉された第2のプローブ波形における反射信号5及び6と同じではない。このため、第2のロケーションBにおけるCH2の第2のプローブ波形及び第1のロケーションAにおけるCH1の第1のプローブ波形に対して減算操作を行うことによって、入射信号3及び前進送信信号4は、反射のみを残して、相殺することができる。同様の手順を適用して反射信号を相殺し、入射信号3を取得することができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、時間遅延Δt(第1のロケーションAと第2のロケーションBとの間の距離を設定する)は、特に、入射信号3が疑似乱数ビットストリーム(PRBS)信号を近似していると仮定されるとき、入射信号3のビット間隔の約10%~30%に設定することができる。1つの例では、データレートが3Gbpsであるとき、1ビット間隔は333psである。その場合、第1のロケーションAから第2のロケーションBまでの時間遅延Δtは、約33psに設定することができる。信号が1の誘電率を有する媒体内を伝播する場合、これは、第1のロケーションAと第2のロケーションBとの間の距離が約1cmであることを意味する。
【0068】
図10は、上記で説明したように、信号線13上のメモリデバイス12等の信号線上の宛先デバイスの入力における反射係数を確認する方法1000の一例示の実施形態のフローチャートである。
【0069】
第1の動作1005において、送信元デバイス(例えば、メモリコントローラ11)は、入射信号を、信号線(例えば、信号線13)を介して宛先デバイス(例えば、メモリデバイス12)に提供する。
【0070】
動作1010において、測定機器(例えば、測定機器1400)に接続されたプローブは、信号線13上の第1のロケーション(例えば、第1のロケーションA 1403)において第1のプローブ波形(例えば、第1のプローブ波形21)をプロービングする。ここで、プロービングは、信号線13、送信元デバイス(例えば、メモリコントローラ11)の出力1401及び宛先デバイス(例えば、メモリデバイス12)の入力1402のインピーダンスよりもはるかに大きい(例えば、数桁大きい)インピーダンスを有する高インピーダンスプローブを用いて信号線13と接触すること又はこれを検知することを伴うものと解釈することができる。そのようなプロービングは、プロービングの性質が、プローブが存在しない場合に信号線13に現れる波形(複数の場合もある)を擾乱しないか又は無視できる程度にしか擾乱しないので、非擾乱(non-disturbing)プロービングと呼ぶことができる。したがって、本明細書において用いられるプロービングは、方向性結合器、パワースプリッタ等のデバイスの使用を通じて信号線13からの波形を結合することと区別されるべきである。
【0071】
動作1015において、測定機器1400は、測定機器1400のプローブ入力(多くのプローブ入力のうちの1つとすることができる)において第1のプローブ波形を受信する。
【0072】
動作1020において、測定機器1400に接続されたプローブは、信号線13上の第2のロケーション(例えば、第2のロケーションB 1404)において第2のプローブ波形(例えば、第2のプローブ波形23)をプロービングする。ここで、第2のロケーションB 1404は、信号線13上の入射信号(例えば、入射信号3)が第1のロケーションA 1403から第2のロケーションB 1404に伝播するときにこの入射信号を遅延Tdだけ遅延させる分離距離だけ第1のロケーションA 1403から分離及び離隔されている。
【0073】
動作1025において、測定機器1400は、第2のプローブ波形をプローブ入力において受信する。
【0074】
有利には、プローブ間のあらゆる相違及びプローブ入力間のあらゆる相違を最小化又は除去するために、動作1020において用いられるプローブは、動作1010において用いられるプローブと同じであり、動作1025において用いられるプローブ入力は、動作1015において用いられるプローブ入力と同じである。ただし、精度の多少の低下を伴うこともあるが、動作1020において用いられる第1のプローブは、動作1010において用いられる第2のプローブと異なることも可能であり、動作1025において用いられる第1のプローブ入力は、動作1015において用いられる第2のプローブ入力と異なることも可能である。
【0075】
動作1030において、測定機器1400は、図5に関して上記で説明したように、第1のプローブ波形を遅延Tdだけ遅延させる。
【0076】
動作1035において、測定機器1400は、図5に関して上記で説明したように、遅延された第1のプローブ波形を第2のプローブ波形から減算して、信号線13上の反射信号を確認するか又は求める。
【0077】
動作1040において、測定機器1400は、図6に関して上記で説明したように、第2のプローブ波形を遅延Tdだけ遅延させる。
【0078】
動作1045において、測定機器1400は、図6に関して上記で説明したように、遅延された第2のプローブ波形を第1のプローブ波形から減算して、信号線13上の入射信号を確認するか又は求める。
【0079】
動作1050において、測定機器1400は、図7及び図8に関して上記で説明したように、入射信号及び反射信号から宛先デバイスの入力における反射係数を確認するか又は求める。
【0080】
他の実施形態では、入射信号を取得する動作1040及び1045は、反射信号を取得する動作1030及び1035の前に実行することができることも理解されるであろう。或いは、測定機器1400が処理能力を有する場合には、動作1030及び1035は、動作1040及び1045と並列に実行することができる。そのため、図10に示すこれらの動作の順序は1つの例に過ぎない。
【0081】
図11は、回路14b内の信号線13bに沿って第1のデバイス11bと第2のデバイス12bとの間を伝播する第1の信号及び第2の信号を示している。
【0082】
ここで、第1の信号は、信号Aと呼ばれ、信号線13b上の第1のロケーション1403bにおいて時刻tにA(t)として観測され、第1のロケーション1403bから分離及び離隔された信号線13b上の第2のロケーション1404bにおいて時刻(t+Δt)にA(t+Δt)として観測される。第2の信号は、信号Bと呼ばれ、信号線13b上の第1のロケーション1403bにおいてB(t)として認識され、信号線13b上の第2のロケーション1404bにおいてB(t-Δt)として認識される。第1の信号Aは、第1のデバイス11b、例えば、第1のデバイス11bの入力/出力ポートから出力され、第2のデバイス12b、例えば、第1のデバイス11bの入力/出力ポートによって受信される。第1の信号Aが第1のデバイス11bから出力されるのと同時に、第2の信号Bが第2のデバイス12bから出力される。そのような構成は、一般に全二重伝送又は全二重通信と呼ばれる。
【0083】
有利には、第1のロケーション1403bと第2のロケーション1404bとの間の距離は、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに要する時間、及び、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播するのに要する時間が、第1の信号A及び第2の信号Bの立ち上がり時間の1/3未満となるように選択される。幾つかの実施形態では、第1の信号A及び第2の信号Bの立ち上がり時間に応じて、第1のロケーション1403bと第2のロケーション1404bとの間の距離は、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに要する時間が100ps未満になるとともに、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播するのに要する時間が100ps未満になるようになっている。図10に示す例では、第1のロケーション1403bと第2のロケーション1404bとの間の距離は、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに要する時間が20psであるとともに、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播するのに要する時間が20psであるようになっている。信号A及びBの立ち上がり時間がより一層短い他の実施形態では、第1のロケーション1403bと第2のロケーション1404bとの間の距離は、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに要する時間が20ps未満であるとともに、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播するのに要する時間が20ps未満であるようにすることができる。
【0084】
図12は、第1の信号Aの推定値を、信号線に沿った第1のプローブロケーション及び第2のプローブロケーションにおける第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形からどのようにして取得することができるのかを示している。
【0085】
特に、図12では、測定機器(測定機器1400等)は、第1のロケーション1403bにおいてプロービングされた第1のプローブ波形21bを受信することができ、第2のロケーション1404bにおいてプロービングされた第2のプローブ波形23bも受信することができる。ここで、第1のプローブ波形21bは、以下の式として表すことができ、
【数11】
第2のプローブ波形23bは、以下の式として表すことができる。
【数12】
この場合、波形21b及び23bは、2つの異なるプローブを用いて同時に観測される。
【0086】
測定機器1400は、第2のプローブ波形23bを遅延Δtだけ遅延させる。ここで、Δtは、第1のロケーション1403bと第2のロケーション1404bとの間の距離を所与として、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに要する時間であり、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播する時間である。第2のプローブ波形23bを遅延Δtだけ遅延させることによって、以下の式として表すことができる遅延された第2のプローブ波形23bdを生成する。
【数13】
【0087】
測定機器1400は、測定機器1400に付属又は付随するプロセッサに、当該プロセッサに付属又は付随するメモリデバイス(例えば、不揮発性メモリ)に記憶されたプロセッサ命令を用いて、ソフトウェアアルゴリズムを実行させる測定機器1400の組み込み機能を用いることによって、第2のプローブ波形23bの遅延を行うことができる。
【0088】
測定機器1400は、遅延された第2のプローブ波形23bdを第1のプローブ波形21bから減算して、以下の式として表すことができる差信号を生成する。
【数14】
【0089】
測定機器1400は、以下の式として第1の信号Aの推定値を確認するか又は求めることができる。
【数15】
【0090】
測定機器1400は、次に、第1の信号Aを第1のプローブ波形21bから減算することによって第2の信号Bの推定値を取得することができる。代替的に、測定機器1400は、図12に示すように、第1のプローブ波形21bを遅延させ、遅延された第1のプローブ波形を第2のプローブ波形23bから減算して差信号を生成し、この差信号を積分することによって、第2の信号Bの推定値を取得することができる。
【0091】
図13は、第1のデバイスと第2のデバイスとの間を信号線に沿って反対方向に同時に伝播する第1の信号及び第2の信号の推定値を取得する方法1300の一例示の実施形態のフローチャートである。
【0092】
第1の動作1305において、第1のデバイス(例えば、第1のデバイス11b)が、第1の信号(例えば、第1の信号A)を、信号線(例えば、信号線13b)を介して第2のデバイス(例えば、第2のデバイス12b)に提供し、同時に、第2のデバイスが、第2の信号(例えば、第2の信号B)を同じ信号線を介して第1のデバイスに提供する。
【0093】
動作1310において、測定機器(例えば、測定機器1400)に接続された第1のプローブが、信号線13b上の第1のロケーション(例えば、第1のロケーション1403b)において第1のプローブ波形(例えば、第1のプローブ波形21)をプロービングする。ここで、プロービングは、信号線13b、第1のデバイス11bの入力/出力、及び第2のデバイス12bの入力/出力のインピーダンスよりもはるかに大きい(例えば、数桁大きい)インピーダンスを有する高インピーダンスプローブを用いて信号線13と接触すること又はこれを検知することを伴うものと解釈することができる。そのようなプロービングは、プロービングの性質が、プローブが存在しない場合に信号線13bに現れる波形(複数の場合もある)を擾乱しないか又は無視できる程度にしか擾乱しないので、非擾乱プロービングと呼ぶことができる。したがって、本明細書において用いられるプロービングは、方向性結合器、パワースプリッタ等のデバイスの使用を通じて信号線13bからの波形を結合することと区別されるべきである。
【0094】
動作1315において、測定機器1400は、測定機器1400の第1のプローブ入力(多くのプローブ入力のうちの1つとすることができる)において第1のプローブ波形を受信する。
【0095】
動作1320において、測定機器1400に接続された第2のプローブが、信号線13b上の第2のロケーション(例えば、第2のロケーションB 1404b)において第2のプローブ波形(例えば、第2のプローブ波形23b)をプロービングする。ここで、第2のロケーション1404bは、図10及び図11を参照して上記で説明したように、第1の信号Aが第1のロケーション1403bから第2のロケーション1404bに伝播するのに遅延Δtを要するとともに、第2の信号Bが第2のロケーション1404bから第1のロケーション1403bに伝播するのに同じ遅延Δtを要するような分離距離だけ第1のロケーション1403bから分離及び離隔されている。
【0096】
動作1325において、測定機器1400は、第2のプローブ波形を第2のプローブ入力において受信する。
【0097】
ここで、動作1305、1310、1315、1320及び1325は、同じ時間中に行うことができることが理解されるであろう。より具体的には、第1のプローブが第1のロケーション1403bにおいて信号線13bをプロービングし、同時に、第2のプローブが第2のロケーション1404bにおいて信号線13bをプロービングすることが理解される。
【0098】
動作1330において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、第2のプローブ波形を遅延Δtだけ遅延させる。
【0099】
動作1335において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、遅延された第2のプローブ波形を第1のプローブ波形から減算して、第1の差信号を確認するか又は求める。
【0100】
動作1340において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、第1の差信号を積分して第1の信号Aの推定値を取得する。
【0101】
動作1345において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、第2のプローブ波形を遅延Δtだけ遅延させる。
【0102】
動作1350において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、遅延された第1のプローブ波形を第2のプローブ波形から減算する。
【0103】
動作1355において、測定機器1400は、図12に関して上記で説明したように、第1の差信号を積分して第2の信号Bの推定値を取得する。
【0104】
第1の信号Aの推定値が既に取得されていると、動作1345、1350及び1355の代わりに、他の技法を用いて、第2の信号Bの推定値を確認するか又は求めることができる。他の実施形態では、第2の信号Bの推定値を最初に取得することができ、その後、それに基づいて、第1の信号Aの推定値を取得することができることも理解されるであろう。
【0105】
図14は、上記で説明した1つ以上の方法に従って、被試験システム(SUT)10の回路14c内の信号線13c上に同時に存在する2つの信号を測定するのに用いることができ、及び/又は、送信元デバイス(例えば、デバイス11c)から信号線13cを介して入射信号を受信する宛先デバイス(例えば、デバイス12c)の入力若しくは出力の反射係数を測定するのに用いることができる測定機器1400の1つの例示の実施形態の簡略ブロック図である。
【0106】
幾つかの実施形態では、測定機器1400は、デジタルオシロスコープとすることができる。
【0107】
測定機器1400は、信号線13c上の第1のロケーション1403から(例えば、第1のプローブ15を介して)第1のプローブ波形を受信するように構成された第1のプローブ入力1410と、受信された第1のプローブ波形のサンプルを捕捉するように構成された第1のサンプラ1420と、信号線13c上の第2のロケーション1404から(例えば、第2のプローブ16を介して)第2のプローブ波形を受信するように構成された第2のプローブ入力1412と、受信された第2のプローブ波形のサンプルを捕捉するように構成された第2のサンプラ1422と、信号プロセッサ1450とを備えることができる。
【0108】
上記で説明したように、特に、測定機器1400が宛先デバイス(例えば、デバイス12c)の入力における反射係数を求めるのに用いられている一例の場合、第1のプローブ15及び第1のプローブ入力1410は、第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形の双方を取得するのに用いることができる。他方、測定機器1400が、第1のデバイス(例えば、デバイス11c)及び第2のデバイス(例えば、デバイス12c)によって反対方向に別々に送信された信号線13c上の2つの異なる信号を測定及び/又は表示するのに用いられているとき、第1のプローブ15及び第1のプローブ入力1410は、第1のプローブ波形を取得するのに用いることができ、第2のプローブ16及び第2のプローブ入力1412は、第2のプローブ波形を取得するのに用いることができる。代替の信号経路が図14に点線によって示されている。
【0109】
ここで、簡単にするために、第1のプローブ入力1410がSUT10の回路14の信号線13cから第1のプローブ波形又は第2のプローブ波形のいずれかを受信することができる2つのプローブ入力のみを有する測定機器が示されている。しかしながら、一般に、測定機器1400は、3つ以上のプローブ入力を有することができる。
【0110】
幾つかの実施形態では、第1のサンプラ1420及び第2のサンプラ1422のそれぞれは、測定機器1400のクロック1430に応答してクロック制御することができるアナログ/デジタル変換器(ADC)を備えることができる。幾つかの実施形態では、当業者に既知の多くのクロック回復技法のうちの任意のものによって、受信された第1のプローブ波形又は第2のプローブ波形の捕捉されたサンプルからクロック1430を回復することができる。
【0111】
測定機器1400は、ディスプレイデバイス1460及びユーザインタフェース1470を備えることができる。ディスプレイデバイス1460は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、陰極線管(CRT)等を含むことができる。ユーザインタフェース1470は、キーボード、キーパッド、コントロールノブ、マウス、トラックボール、ボタン、インジケータライト等のうちの1つ以上と、ユーザインタフェース370を実施する付随したプロセッサ及びソフトウェアとを備えることができる。
【0112】
測定機器1400は、第1のプローブ波形及び第2のプローブ波形のサンプル、及び/又は信号プロセッサ1450の動作において生成される中間データを記憶することができるメモリ1440を備えることができる。メモリ1440は、不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)とすることができるが、例えば、図4図13に関して上記で説明した動作を実行する信号プロセッサ1450のプロセッサによって実行される命令を記憶する不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ等)も含むことができる。測定機器1400の通信インタフェースは、例えば、イーサネット(登録商標)、専用化された試験機器標準規格等の標準規格に準拠した任意の適したインタフェースとすることができる。幾つかの実施形態では、通信インタフェースは、測定機器1400がコマンド及びデータを1つ以上の外部コンピュータ及び/又は他の測定機器とインターネットを介して通信することを可能にすることができる。
【0113】
測定機器1400は、図4図13に関して上記で説明したような動作を実行する本明細書において説明した測定機器1400の特徴を不明瞭にしないように、図14に図示していない他の構成要素及びサブシステムを備えることができる。
【0114】
本明細書において例示的な実施形態が開示されるが、当業者であれば、本教示に従って多くの変形形態が可能であり、添付の特許請求の範囲の範囲内に留まることを理解する。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内を除いて限定されない。

図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14