(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】基材ラックならびに基材処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20231005BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20231005BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231005BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231005BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20231005BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/02 Z
H01L21/68 N
H01L21/31 B
H01L21/302 201A
C23C16/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019057703
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317045
【氏名又は名称】アーエスエム・イーぺー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピエルー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・クナーペン
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ヨングブルート
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・タデウス・ヘルブスレブ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセル・スプレイ
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-196873(JP,A)
【文献】特開2016-154222(JP,A)
【文献】特開2009-032998(JP,A)
【文献】特開平8-31764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/02
H01L 21/683
H01L 21/31
H01L 21/302
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理システムの反応チャンバー内で複数の基材を保持するように構築された基材ラックであって、間隔を置いて前記複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備え、前記基材保持支持部に保持される前記基材のうちの少なくとも一つの上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を放射するように構築され配置される照射システムを備える、基材ラック。
【請求項2】
前記照射システムは前記ラックに設けられる複数の照射装置を備え、各照射装置は、前記照射装置の前記
紫外線放射内に前記基材の一つの前記上面を保持するために、前記ラック上に専用の基材保持支持部を有する、請求項1に記載のラック。
【請求項3】
前記ラック上の前記専用の基材保持支持部は、二つの照射装置の間に一つの基材を保持するように構成される、請求項
2に記載のラック。
【請求項4】
前記照射装置は、上面および裏面を有す
る板状を備え、ならびに前記裏面は、放射線出力表面を備える、請求項
2に記載のラック。
【請求項5】
前記照射装置は、前記上面と平行な方向において前記基材
と同一のサイズを有する、請求項
2に記載のラック。
【請求項6】
前記照射装置は、前記基材ラック内の前記基材のうちの少なくとも一つの上面上に紫外線を照射する照射源を設けている、請求項
2に記載のラック。
【請求項7】
前記照射装置は、100~500ナノメートルの範囲の
前記紫外線を照射するための第一の発光ダイオードを備える、請求項
6に記載のラック。
【請求項8】
前記照射装置は、700ナノメートル~1ミリメートルの範囲内の赤外線を照射するための第二の発光ダイオードを備え、前記基材を加熱する、請求項
6に記載のラック。
【請求項9】
基材処理システムの反応チャンバー内で複数の基材を保持するように構築された基材ラックであって、間隔を置いて前記複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備え、前記ラックの外側から前記基材保持支持部に保持される前記基材のうちの少なくとも一つの上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を向けるように構築され配置されるパッシブな照射装置を備える、基材ラック。
【請求項10】
前記
パッシブな照射装置は、前記
紫外線を前記基材に導くための光導波路を備える、請求項
9に記載のラック。
【請求項11】
前記光導波路は光ファイバーである、請求項
10に記載のラック。
【請求項12】
前記
パッシブな照射装置は、前記紫外線を前記基材に向けるために放射線反射面を設けている、請求項
9に記載のラック。
【請求項13】
前記放射線反射面は、ガラス、鋼、アルミニウム、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む材料の群から選択される材料を含み、前記
紫外線を前記基材へ向ける、請求項
12に記載のラック。
【請求項14】
前記放射線反射面は、前記
紫外線を前記基材に散乱させるための散乱板を備える、請求項
12に記載のラック。
【請求項15】
前記照射システムは、前記基材のうちの前記少なくとも一つの前記上面に対して垂直な軸の0~45度内の方向に
前記紫外線を向けるように構築され配置される、請求項1に記載のラック。
【請求項16】
前記ラックは電力コネクターを設けており、前記照射システムはアクティブであり、電力から放射線を発生させ、前記
紫外線を前記基材に向けるように構築され配置される、請求項1に記載のラック。
【請求項17】
前記照射システムは、放電ランプを備える、請求項
16に記載のラック。
【請求項18】
前記照射システムは、放射線透過面または反射面を設け、前記ラックは、
前記放射線透過面または反射面上にガス流を供給するためのガス供給システムを設けている、請求項1に記載のラック。
【請求項19】
前記ラックは反応チャンバー内を移動するように構築され配置される、請求項1に記載のラック。
【請求項20】
基材処理システムであって、
請求項1に記載のラック内の複数の基材を処理するように構築され配置される反応チャンバーと、
前記ラックを前記反応チャンバーの中へ移動させるように構築され配置されるラックハンドラーと、を備える、基材処理システム。
【請求項21】
前記システムは
、基材を備える前記ラックを回転させる回転装置を備える、請求項
20に記載の基材処理システム。
【請求項22】
前記反応チャンバーはプロセスチューブによって制限され、前記システムは、前記プロセスチューブを通って前記反応チャンバー内への紫外線を前記ラックの前記照射システムに照射するように構築され配置されるUV照射システムを備
える、請求項
20に記載の基材処理システム。
【請求項23】
前記ラックは、前記ラックにエネルギーを供給するために前記基材処理システムのその他の部分に電気的に接続する電力接続部を設けている、請求項
20に記載の基材処理システム。
【請求項24】
基材処理方法であって、
間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える基材ラック内に複数の基材を供給することと、
基材が入ったラックを反応チャンバー内で移動することと、
ラックに設けられる照射システムから、前記基材ラックに保持される基材のうちの少なくとも一つの上面に、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射することと、を含む、方法が提供される。
【請求項25】
前記基材ラック内の前記基材に紫外線を照射することは、前記紫外線を
前記照射システムの放射線透過面または反射面によって前記基材へ向けることを含む、請求項
24に記載の基材処理方法。
【請求項26】
前記方法は、入口を経由して前記反応チャンバー内に流体を供給することを含む、請求項
24に記載の基材処理方法。
【請求項27】
前記方法は、前記入口を経由して前記反応チャンバー内に前駆体と共に流体を供給して、前記基材上に層を堆積させることを含む、請求項
26に記載の基材処理方法。
【請求項28】
前記方法は、前記放射線透過面または反射面上に堆積した層を酸化して、前記放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、反応チャンバー内に酸化流体を供給することを含む、請求項
25に記載の基材処理方法。
【請求項29】
前記方法は、前記放射線透過面または反射面上に堆積した層をエッチングして、前記放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、前記反応チャンバー内にエッチング液を供給することを含む、請求項
25に記載の基材処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、基材ラック、ならびに基材を処理するシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、基材処理方法の間に基材処理システムの反応チャンバー内に複数の基材を保持するために構築された基材ラックに関する。基材ラックは、間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備えることができる。
【背景技術】
【0002】
反応器として機能する炉は、基材上に微細寸法構造、例えば集積回路を作製するための反応チャンバーとして使用することができる。いくつかの基材、例えばシリコンウェーハを、基材ホルダー、例えば基材ラックまたはボート上に置き、反応器内に移動させることができる。後続の基材処理工程では、基材を加熱してもよい。更に、反応ガスを基材上に通過させて、処理される基材上に反応物質またはガスの反応物質の薄層を堆積させることができる。
【0003】
基材上の一連の処理工程はレシピと呼ばれる。堆積層が下にあるシリコン基材と同じ結晶構造を有する場合、それはエピタキシャル層と呼ばれる。これはまた、一つの結晶構造を持ちうるため、単結晶層と呼ばれることもある。その後の堆積、ドーピング、リソグラフィー、エッチングおよびその他のプロセスによって、これらの層は集積回路になり、基材のサイズおよび回路の複雑さに応じて、数十から数千、または数百万もの集積素子を製造する。
【0004】
得られる層の高品質を保証するために、様々な処理パラメータが注意深く制御される。このような重要なパラメータの一つは、各レシピ工程中の基材温度である。例えば、CVD中、堆積ガスは、特定の温度ウインドウ内で反応し、基材上へ堆積する。異なる温度は、異なる堆積率および品質をもたらす。したがって、反応処理が始まる前に、基材を望ましい温度しておくように基材温度を正確に制御することが重要である。基材は感温性である機能部を含んでもよく、その温度は、その感温機能部への損傷を回避するために特定の最大値に制限されてもよい。
【0005】
特定のプロセスでは、基材表面においてエネルギーを必要とする場合がある。このエネルギーが熱の形で提供される場合、これは、生産性、品質および/または反応性のために温度が高くなければならないが、一方、基材上の機能部への損傷を避けるために温度は低く保たれるべきであるという矛盾する要件となってしまう。
【発明の概要】
【0006】
したがって、反応チャンバー内の複数の基材の表面にエネルギーを供給する必要がある場合がある。
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、基材ラックを設けることができる。基材ラックを、基材処理システムの反応チャンバー内で複数の基材を保持するように構築することができる。基材ラックは、間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備えることができる。基材ラックには、基材保持支持部に保持される基材のうちの少なくとも一つの上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を放射するように構築され配置される照射システムを備えることができる。
【0008】
基材の表面を紫外線で照射することによって、エネルギーを上面に供給することができる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を放射するように構築して配置することができる。基材ラックの間隔を置いた基材保持支持部を、基材を特定の方向に独立して保持するように構成することができる。
【0009】
本発明の更なる実施形態によれば、基材処理システムが提供され、基材処理システムは:
ラック内の複数の基材を処理するように構築され配置される反応チャンバーと、
ラックを反応チャンバーに移動させるラックハンドラーと、を備える。ラックは、放射線出力表面から100~500ナノメートルの範囲の紫外線を、基材保持支持部に保持される基材のうちの少なくとも一つの上面上に放射するよう構築され配置される照射システムを備えることができる。ラックは、間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備えることができる。
【0010】
なお更なる実施形態によれば、基材処理方法であって、
間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える基材ラック内に複数の基材を供給することと;
基材が入ったラックを反応チャンバー内で移動することと;
ラックに設けられる照射システムから、基材ラックに保持される基材のうちの少なくとも一つの上面に、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射することと;を含む、方法が提供される。
【0011】
方法は、入口を経由して反応チャンバー内に流体を供給することを含みうる。流体を用いて、基材上に層を堆積させることができる。
【0012】
あるいは、流体を用いて、放射線透過面または反射面の透過率を改善することができる。流体は、放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、放射線透過面または反射面上に堆積した層を酸化するために用いられる酸化流体とすることができる。流体は、放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、放射線透過面または反射面上に堆積した層をエッチングするように、エッチング液とすることができる。
【0013】
従来の技術を超えて達成される本発明および利点を要約するために、本発明のある目的および利点について、本明細書において上に記載してきた。もちろん、そのような目的または利点の全てが、本発明のあらゆる特定の実施形態に従って、必ずしも達成されなくてもよいことは理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または利点の一群を達成または最適化する形式で、本明細書に教授または示唆されてもよい、他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0014】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、図の要素のうちいくつかの寸法は、本開示で示す実施形態の理解の向上を助けるために他の要素よりも強調されてもよい。
【0016】
【
図1】
図1は実施形態による基材ラックを備える基材処理システムの斜視図である。
【0017】
【0018】
【
図3】
図3A、3Bおよび3Cは第一(A)および第二(B)の実施形態による照射システムで照射される基材を備える基材ラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0020】
実施形態による基材ラックを備える基材処理システムを、
図1および
図2に示すことができる。システムは、ハウジング2を備える装置1に組み込まれてもよく、一般的に、いわゆる「クリーンルーム」に部分的または完全に据え付けられてもよい。
【0021】
特に
図2から分かるように、ハウジング2に加えて、仕切り部3、4および5が存在しうる。ハウジング2は、仕切り部3で反応領域21を区切ることができる。基材ハンドリングチャンバー22は、ハウジング2と仕切り部3、4との間で区切られてもよい。カセットハンドリングチャンバー23は、仕切り部4と5とハウジング2との間で区切られてもよい。装置1は、カセット導入部分33を更に備えうる。
【0022】
二つの反応チャンバー反応チャンバー6、7は、反応領域21内に配置されてもよいが、単一の反応チャンバー反応チャンバーを使用することもできる。反応チャンバーは垂直に配置され、基材13、例えば半導体ウェーハで充填された基材ラック12を、反応チャンバー6、7中で垂直方向に移動することができる。
【0023】
基材ラック12は、間隔を置いて複数の基材13を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備えることができる。基材ラック12は、底部で絶縁プラグ上に支持されてもよく、これは反応チャンバー6、7を封止する。
【0024】
各反応チャンバー6、7は、スピンドル38を用いて垂直方向に移動可能であり、基材ラック12を反応チャンバー内に移動させる挿入アーム14を備えるラックハンドラーを有してもよい。
図2では、装置の両側に二つの挿入アーム14があってもよいことが示されている。反応チャンバーは炉と呼ばれてもよく、基材を加熱するためにヒーターを設けてもよい。
【0025】
ラックハンドラーは、反応領域21内に配置された切り抜き15を設けたロータリープラットフォーム11を更に備えうる。切り抜き15は、切り抜き15が正しい位置に持ち込まれた場合、アーム14が切り抜きを通して上下に移動できるように形成されうる。一方、基材ラックの底部の直径は、アーム14が
図1に示す位置から下方に移動する場合、基材ラック12はロータリープラットフォーム11上に配置されることができ、逆動作でそこから再び取り外されることができるように、基材ラックの直径がプラットフォーム11内の切り抜き15よりも大きくなるようにすることができる。
【0026】
基材ラック12は、ラックハンドラーを用いて反応チャンバー6および7の両方に供給されてもよい。その中で連続的な処理を実施することが可能でありうる。また、基材ラック12の平行群を、反応チャンバー6によって排他的に処理し、反応チャンバー7によって排他的に処理することが可能であってもよい。基材ラック12は基材13を備えることができる。システムは、処理の均一性を改善するために、反応チャンバー6、7の垂直軸の周りで基材13を備えるラック12を回転させる回転装置を備える。
【0027】
基材13を(搬送)カセット10内に供給することができ、カセットをカセットハンドリングロボット35のアーム31を用いて、カセット導入部33から開閉式開口部34を通って収納部8に配置することができる。アーム31に、ロータリープラットフォーム27内の一連の切り抜き26の寸法よりもわずかに小さい寸法を持つ座面32を設けることができる。このような多くのロータリープラットフォームを、収納部8で垂直方向に上下に設けることができる。アーム31は、カセットハンドリングロボット35を用いて垂直方向に移動可能であることができる。アーム31が、導入部33から収納部8へ、または収納部8から導入部33へ、カセットをピックアップまたは取り出すことができるだけではなく、カセットを収納部8からロータリープラットフォーム30へ、またはロータリープラットフォーム30から収納部8へ移動させることも可能にするように、アームを取り付けることができる。
【0028】
ロータリープラットフォーム30は、回転時に開口部37が形成されている仕切り部4に対してカセットを配置し、カセットを開いた後、基材を基材ハンドラーのアーム24を用いて該当のカセットから一枚ずつ取り出し、基材ハンドリングチャンバー22内に配置される基材ラック12内に配置することができるように構築されてもよい。
【0029】
基材ラック12は、ラックハンドラーの一部であるヒンジアーム16によって支持され、端部に座面17が設けられ、座面の寸法はロータリープラットフォーム11の切り抜き15の寸法よりも多少小さい。アーム16は、回転点18の周りの回転によって、仕切り部3の開閉式開口部を通って基材ラックと共に移動することができる。反応領域21と基材ハンドリングチャンバー22の間の開口部19を閉じることができるように、クロージャーを設けることができる。
【0030】
オペレータまたは自動化されたカセット搬送システム(図示せず)は、多数のカセットを導入部33に導入することによって、収納部8を充填ことができる。制御操作を、パネル36で行うことができる。カセット10を、導入部分33からアーム31を用いて、収納部8内のこれらのカセットのために作られた収納区画9へ搬送することができる。開口部34を通して導入部33から該当するカセット10を取り外すために最も低い位置から開始することによって、カセットを、カセットハンドリングロボット35によって収納部8のより高い区画9に移動させるために上方向に移動させることができる。収納部8の回転により、カセット10で様々な区画9を充填することが可能である。
【0031】
該当のカセット10は、アーム31によって収納部から取り外され、ロータリープラットフォーム30上に配置されうる。カセットをロータリープラットフォーム30上で回転させて、それらのドアを仕切り部4に押し当てて配置する。カセットのドアは、ドアのオープナーで取り外されることができる。アーム24を用いて、基材を一枚ずつ取り外すことができ、基材ハンドラーを備えるスイングアーム16上に配置される基材ラック12内に配置することができる。
【0032】
その間に、ロータリープラットフォーム11は、反応領域21内に存在する基材上で実行される処理に関して最適な方法で、反応領域21内で移動することができる。基材ラック12が基材ハンドリングチャンバー22内に充填され、反応チャンバー6、7のうちの一つが利用可能になった後、この時間まで閉じていた開口部19が開かれ、新たに充填された基材ラック12をロータリープラットフォーム11上に配置することができる。そして、ロータリープラットフォーム11は位置を一つ移動し、充填された基材ラック12を、挿入アーム14を用いてプラットフォーム11から反応チャンバー6、7内へ移動させることができる。完成したラック内の処理された基材を、充填されるプラットフォーム11上に下降させることができる。基材は、上記と逆の動きして最終的にカセットに入る。
【0033】
新たな基材を有する基材ラック12は、挿入アーム14を用いて反応チャンバー6または7に供給されてもよく、該チャンバー内で処理されてもよい。反応チャンバー6、7内で連続処理を行うことが可能である。図示のように、装置は二つの反応チャンバー6、7を持つことができるが、装置はまた本発明の範囲を逸脱することなく、一つの反応チャンバーまたは三つ以上の反応チャンバーを持ちうる。
【0034】
処理は、ヒーターを用いて基材ラック12内の基材の温度を上昇させることを含むことができる。適切な反応を得るために、温度を上昇させることが必要な場合がある。したがって、処理が適切な反応性および生産性を得始める前に、基材の温度を正確に制御して基材を所望の温度にすることが重要である。更に、基材は感温性である機能部を含んでもよく、その温度は、それらの感温機能部への損傷を回避するために特定の最大値に制限されてもよい。これは、反応性に関しては基材の温度要件が高くなり得る一方で、基材の温度要件が基材上の感温機能部を損傷することを回避するために制限され得るという矛盾する要件となり得る。
【0035】
図3Aおよび
図3Bは、基材13を有する基材ラック12の断面を示す。基材ラック12は、支柱43と底板45に接続するトッププレート41を備えることができる。複数の基材13を間隔をおいて保持するように構成される複数の間隔をおいた基材保持支持部47を支柱43に設けることができる。一般的にラック12には2~4本の支柱を設け、基材13を保持するために10~200の基材保持支持部47を設けることができる。ラック12は、底部にある反応チャンバー6、7を封止する絶縁プラグ49によって支持され得る。
【0036】
基材ラック12には、基材保持支持部47に保持された基材13のうちの少なくとも一つの上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を放射するように構築され配置される照射システム系を設けることができる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を放射するように構築して配置することができる。ラック12の基材保持支持部47を、基材のうちの少なくとも一つの上面上に紫外線を放射するように、照射システムの放射線出力表面の反対側の基材のうちの少なくとも一つの上面を保持するよう構築して配置することができる。
【0037】
基材の上面を紫外線で照射することによって、特定のプロセスのためにエネルギーを上面に供給することが可能となりうる。エネルギーは、上面上の反応性を向上させることができる。この反応性の向上は、基材を過熱させないで達成することができ、基材上の感温機能部が損傷を受けない。反応性の向上は、堆積層のより良好な品質および/または装置のより高い生産性につながりうる。また、それにより、以前は反応性がゼロであるために不可能であった温度で、いくつかのプロセスが可能になる可能性がある。
【0038】
照射システムは、ラック12に設けられる複数の照射装置51を備えることができる。各照射装置51は、照射装置の放射内に基材の一つの上面を保持するために、ラック上に専用の基材保持支持部47を有することができる。
【0039】
基材の上面上への(UV等の)電磁波からのエネルギー伝達は、基材の上面に垂直な軸と放射の方向との間の角度の余弦に比例する。したがって、照射装置を、基材の上面に、基材の上面に対して垂直な軸の0~60度、好ましくは0~45度、より好ましくは0~30度、最も好ましくは0~15度の範囲内の方向に放射線を向けるように構築して配置することができる。更に、基材の上面の微細構造に形成されうる深いトレンチに方向を向けることは困難である可能性がある。基材の上面に垂直な軸とのより小さな角度の方向への放射は、深いトレンチ内への放射線の結合を増大させる可能性がある。
【0040】
ラック12に設けられる専用の基材保持支持部47は、二つの照射装置の間に一つの基材を保持するように構成されることができる。照射装置51は、上面および裏面を有する実質的な板状であってもよい。裏面は、放射線出力表面を備えうる。照射装置51は、基材表面と平行な方向において基材13と実質的に同一のサイズを有してもよい。
【0041】
図3Cは、
図3Aの照射装置51の拡大図である。照射装置51には、照射源53、55を設けることができる照射。いくつかの照射源53は、基材ラック12内の基材のうちの少なくとも一つの上面上に紫外線を照射することができる。照射源53は、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲内の紫外線を照射するための第一の発光ダイオードを備える。別の照射源55は、700ナノメートル~1ミリメートルの範囲内の赤外線を照射するための第二の発光ダイオードを備え、基材を加熱する。
【0042】
図3Bでは、照射装置51は、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射するための第一の発光ダイオードのみを備える照射源53を設けている。
図3Bの加熱機能は、加熱コイル51を備えるヒーターによって達成される。加熱機能以外では、
図3Aと
図3Bは同一であり、
図3Bは
図3Aの下部およびその逆として機能するように互いに関連して機能する。
【0043】
ラック12には、電源Vに接続可能な電力接続部57を設けることができる。ラックは、例えば電力コネクターを有することができる。電力コネクターは、プラグおよびソケット接続を有することができる。照射システムはアクティブであり、電力から放射線を発生させ、放射線を基材に向けるように構築され配置されてもよい。照射装置51は、電力から放射線を発生させるためのガス放電ランプまたは発光ダイオードを備えることができる。
【0044】
ガス放電ランプは、イオン化されたガス、例えば管内のプラズマを介して二つの電極間の放電を引き起こすことによって放射線を発生させる。このようなランプは、希ガス、例えばアルゴン、ネオン、クリプトン、およびキセノン、またはそれらの混合物を使用してもよく、更に、管内の混合物中に水銀、ナトリウム、および金属ハロゲン化物を使用してもよい。一つの電極45のみが描かれている二つの電極間に印加される電界によって、陽極近傍でガスの原子から電子を強制的に引き離すことができ、これらの原子を陽イオン化したままにする。自由電子は陽極に流れ、一方、陽イオンは陰極に流れる。イオンは中性のガス原子と衝突する可能性があり、中性のガス原子はそれらの電子をイオンに移動させる。衝突中に電子を失った原子は、イオン化して陰極に向かって加速し、一方、衝突中に電子を得たイオンは、より低いエネルギー状態に戻る間に、基材の基材上面の方向に放射される放射の形態でエネルギーを放出しながら、そのエネルギを上面に伝達する。
【0045】
ラック12には、ラックの外側から基材へ放射線を向けるように構築され配置されるパッシブな照射装置を設けてもよい。照射源のアクティブな構成要素は、装置内の反応チャンバーの外側に設けられてもよく、ラック内に設けられたパッシブな照射装置に放射を向けることができる。反応チャンバーのパッシブな構成要素は、アクティブな構成要素よりも反応チャンバー内の高温および反応性環境に対する感受性が低い可能性がある。
【0046】
パッシブな照射装置は、放射線を基材に導くための光導波路を備えうる。光導波路は光ファイバーであってもよい。光導波路は中空であってもよい。
【0047】
パッシブな照射装置には、紫外線を基材に向けるために放射線反射面を設けることができる。放射線反射面は、放射線を基材に向け直すミラーを備えることができる。放射線反射面は、ガラス、鋼、アルミニウムまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作製され、紫外線を反射することができる。放射線反射面は、ラックの側面から下向きに基材表面へ紫外線を反映するために、逆さ円錐形状を持ちうる。放射線反射面は、放射線を基材に散乱させるための散乱板を備えることができる。
【0048】
ラック12には、放射線透過面または反射面上にガス流を供給するためのガス供給システムを設けることができる。このようにして、放射線透過面または反射面上への汚染物質の堆積を、回避することができる。照射システムは、複数の側から基材ラック内の基材に紫外線を照射する複数の部品を備えてもよい。
【0049】
基材表面を照射するための照射システムは、5W~100Kw、好ましくは300W~20Kwの、更により好ましくは1~10Kwの出力を有することができる。基材表面を照射するための照射装置は、0.05~150W、好ましくは1W~60W、更により好ましくは4~50Wの出力を有することができる。照射システムは、電気エネルギーの紫外線への変換において50~90%の効率を有することができる。基材表面は、0.1~200ミリワット(mW)/cm2、好ましくは1~100mw/cm2、更により好ましくは5~80mW/cm2の電力を受け入れることができる。
【0050】
ラック12は、長さが50~200cmであって、幅が20~50cm、好ましくは約30cmとすることができる。ラック12は、等量の基材を保持するために、支柱に沿って最大20~120、好ましくは40~80の間隔を置いた基材保持支持部を有することができる。ラック12には、20~130、好ましくは40~80の照射装置51を設けることができる。ラック12の基材13と照射装置51との間の距離は、4~20、好ましくは5~10mmとすることができる。
【0051】
装置には、少なくとも一つの流体入口59を設けてもよい。流体入口59は、反応チャンバーの中へ流体を供給するための反応チャンバー内の注入口として具体化され得る。パージまたはプロセスガスは、入口59を経由して供給されることができる。装置には、入口を経由して反応チャンバー内に流体、例えばプロセスガスまたはパージガスを供給するためのバルブを制御する制御システムを備える流体システムを設けてもよい。流体は、流体貯蔵部またはガスラインから受け入れることができる。
【0052】
制御システムおよびバルブを、基材を処理するように構築して配置することができる。より具体的には、制御システムおよびバルブを、流体貯蔵部に保存される第一および/または第二の前駆体を用いて、基材上に原子層堆積(ALD)または化学蒸着(CVD)サイクルを実施するように構築して配置することができる。装置には、反応チャンバー6、7からガスを除去するための流体出口61を設けてもよい。紫外線照射を用いて、原子層堆積(ALD)層、化学蒸着堆積(CVD)層、または他の層を堆積または緻密化することができる。
【0053】
例えば、シリコンまたは窒化ケイ素の層が反応チャンバー6、7内に堆積する場合、紫外線照射システムの効率は、堆積した材料の厚さが放射線透過面の上に積み重なっている場合の吸収によって低下する可能性がある。放射線透過面をパージすることにより、この問題をある程度軽減する可能性がある。
【0054】
照射装置51の放射線透過面または反射面を清掃するために、エッチングガスで補完的に定期的にその場で洗浄することが必要である場合がある。装置はエッチングシステムを備えてもよい。エッチングシステムは、流体貯蔵部、制御システムおよびバルブを備えてもよい。制御システムには、層が放射線透過面または反射面上に堆積した後に、放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、制御システム上で実行される場合プログラムを提供することができる。
【0055】
エッチング液を、エッチングシステムの流体貯蔵部に保存してもよい。制御システムは、入口59を経由して反応チャンバー6、7にエッチング液を供給するためのバルブを制御することができる。制御システムは、放射線透過面または反射面上に堆積した層をエッチングして表面の透過率を向上させるために、バルブを制御してエッチング液、即ち反応チャンバー内のエッチング液を供給することができる。
【0056】
エッチング液は、塩化物(Cl2)、塩化ボリウム(BCl3)、塩化水素(HCl)、テトラフルオロメタン(CF4)、三フッ化窒素(NF3)、臭化水素(HBr)、六フッ化硫黄(SF6)、または水素もしくは酸素などのガスを含む水素もしくは酸素と組み合わせた紫外線照射により生成されるアッシング成分であってもよい。また、エッチングガスで定期的にその場で洗浄することは、放射線透過面または反射面をパージする代替方法として用いられることができ、装置の設計を簡略化することができる。
【0057】
また、放射線透過面または反射面を、酸化環境中の熱処理によりシリコンまたは窒化ケイ素層を酸化ケイ素に定期的に変換することによって、再び照射放射線に対する透過性または反射性をもたらすことができる。装置は変換システムを備えうる。変換システムは、流体貯蔵部、制御システム、およびバルブを備えうる。制御システムには、層が放射線透過面または反射面上に堆積した後に、放射線透過面または反射面の透過率を向上させるために、制御システム上で実行される場合プログラムを提供することができる。
【0058】
この目的のために、流体、例えば酸素(O2)、オゾン(O3)、過酸化水素(H2O2)、水(H2O)、または亜酸化窒素(N2O)を含む酸素を流体貯蔵部に貯蔵することができる。制御システムは、流体貯蔵部から入口59を経由して反応チャンバー6、7内に酸化流体を供給するためのバルブを制御すること、および反応チャンバーの加熱を制御することができる。シリコンまたは窒化ケイ素層の酸化シリコンへの変換後、酸化シリコンはUVを透過させることができ、その場での洗浄を不要とすることができる。また、酸化性ガスとの定期的なその場での変換はまた、放射線透過面または反射面をパージするための代替方法として用いられことができ、装置の設計を簡略化することができる。
【0059】
複数の基材13を間隔をおいて保持するように構成される、複数の間隔をおいた基材保持支持部47を備える三本の支柱43を有する基材ラック12に、基材13を配置することができる。支柱43は細長くてもよく、基材表面に対して実質的に垂直な方向、例えば、垂直方向に延在してもよい。複数の基材は、基材ラック12内に平行に配置されてもよい。トッププレート41および底板45は、基材と水平方向に平行に延在してもよい。
【0060】
あるいは、ラック12は、ラック内に配置されている取り外し可能な照射装置51で交互に処理される基材で充填されてもよい。例えば、取り外し可能な照射装置は、独自の独立した電源または電力コネクターを持つことができる。独立した電源は、充電式電池またはRFレシーバーで動作することができる。電力コネクターは、ラックまたは装置の一部とプラグおよびソケット接続を有し得る。基材ハンドラーを用いて、取り外し可能な照射装置51で交互に処理される基材13を、ラック12に充填することができる。取り外し可能な照射装置は、ラックを反応器内に移動した後にオンに切り替えられてもよい。取り外し可能な照射装置51は、ラックを反応チャンバーから移動させた後にラックから取り外され、洗浄されることができる。取り外し可能な照射装置は、非常に汎用性の高いシステムを創出する。
【0061】
示され説明された特定の実施形態は、本発明およびその最良の形態を例示するものであり、態様および実施形態の範囲を何ら限定する意図はない。実際、簡潔さのために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細には説明しない場合がある。更に、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加の機能的関係、もしくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、および/またはいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0062】
本明細書に記載された構成および/または方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態または実施例は、多くの変形が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではないことを理解されたい。本明細書に記載の具体的なルーチンまたは方法は、任意の数の処理方法のうちの一つまたは複数を表すことができる。したがって、例示された様々な作動は、例示されるシーケンスで、他のシーケンスで実施されてもよく、場合によっては省略されてもよい。
【0063】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびにその任意のおよび全ての均等物を含む。