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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】伸縮コード
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/56 20060101AFI20231005BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
H01B17/56 J
H01M50/572
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019070245
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020170606
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097997(JP,A)
【文献】特開平11-040323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/56
H01M 50/572
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に取付部、両端間に伸縮部を備え、絶縁性を有してなり、複数の電極端子において電気的に接続される同じ又は異なる間隔の2つの電極端子を2つの絶縁キャップで被覆絶縁し、前記2つの電極端子を関連付けるために、前記2つの絶縁キャップ間に連結される伸縮コードであって、
前記伸縮部は、
ゴム材からなり、
伸縮方向に対して交差する方向に長いリング形状に形成され、当該リング形状を伸縮方向に伸縮変形可能な複数のリング部と、
前記各リング部間を前記各リング部を伸縮変形可能に連結するリング連結部と、
を備え、
前記伸縮部の伸長により、前記各リング部は伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形され、
前記各取付部は、
全体が四角形状に形成され、その中央に、前記各絶縁キャップに設けられる取付部の径又は幅及び長さと同じ大きさ又は当該径又は幅及び長さより大きい大きさに、取付穴が形成される、
ことを特徴とする伸縮コード。
【請求項2】
伸縮部と各取付部は一体又は別体に形成される請求項1に記載の伸縮コード。
【請求項3】
各リング部は伸縮方向に対して交差する方向に長い円形又は角形に形成される請求項1又は2に記載の伸縮コード。
【請求項4】
各リング連結部は各リング部間において前記各リング部の長さ方向中央に形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の伸縮コード。
【請求項5】
各リング連結部は伸縮部の伸縮方向に対して交差する方向に幅広に形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の伸縮コード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮コードに関し、特に、同じ又は異なる間隔の2部材間に連結されて当該2部材を関連付けるのに使用する伸縮コードに関する。
【背景技術】
【0002】
電話局や通信基地局などの重要施設には、地震その他の災害により、商用電源からの電力供給が停止された場合に、電力供給をできる限り長く持続させるため、バックアップ用電源として数多くの蓄電池が設置されている。特に電話局や通信基地局では、数百個もの蓄電池がラックや架台などに縦横に並べて設置され、必要とされる蓄電容量により、多数の蓄電池がそれぞれ、縦方向又は横方向に隣接する各蓄電池の正極端子と負極端子を導電板により電気的に接続されて、直列に接続される。ところが、このような多数の蓄電池を設置された施設では、蓄電池の非接続の電極端子、つまり、導電板が接続されていない電極端子はむき出しのままで絶縁されていないことが多く、このままでは、蓄電池の取り付けや交換などこの施設での各種の作業の際に、不意に、工具などが正極端子と負極端子との間に触れて、短絡の危険性がある。また、数多くの蓄電池になると、電極端子間の接続作業も多いため、電極端子間の接続に当たって、誤った電極端子間に導電板を取り付けてしまうといった接続ミスの恐れも懸念される。
【0003】
そこで本願発明者は、従前、蓄電池を設置された施設において、蓄電池の非接続の電極端子に被せ付けて、非接続の電極端子の短絡、感電を防止する絶縁キャップを提供すること、また、この絶縁キャップを利用して適切な電極端子間の接続を事前に示し、電極端子間の接続ミスを防止することなど、を目的として、新たな絶縁キャップを、特許文献1により、提案している。
【0004】
この文献1の絶縁キャップは、絶縁性及び弾性を有する素材により一体に形成され、各種の電極端子の中で最も端子径の大きい電極端子の端子径よりも大きい径を有し、各種の電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部と、先端面カバー部の周囲から、各種の電極端子の中で最も端子高さの小さい電極端子の端子高さから最も端子高さの大きい電極端子の端子高さまでの高さに合せて伸縮可能に入れ子式の蛇腹形状に延び、各種の電極端子の周囲を被覆する周囲カバー部と、先端面カバー部の電極端子の先端面に対向する一方の面の中心に、各種の電極端子の中で最も雌ねじ径の大きい電極端子の雌ねじ径よりも大きい径を有し、雌ねじ内で加圧されて各種の電極端子の中で最も雌ねじ径の小さい電極端子の雌ねじに挿入可能な径まで縮径可能な変形部を有する略筒形形状に突出され、各種の電極端子の雌ねじに挿入し弾性係合される被覆状態固定部とを備え、各種の電極端子の端子高さに応じて周囲カバー部を伸縮し、被覆状態固定部を各種の電極端子の雌ねじに挿入することにより各種の電極端子に装着固定して、先端面カバー部及び周囲カバー部で各種の電極端子を被覆絶縁するようにした。このような絶縁キャップを、蓄電池の非接続の電極端子に被せ付けることにより、非接続の電極端子の短絡、感電を防止することができ、特に、この絶縁キャップでは、メーカーによって異なるサイズの電極端子でも共通に使用することができるので、各種の電極端子への取り付けや管理を簡易にすることができる。
【0005】
さらに、この絶縁キャップは、先端面カバー部の他方の面の中心に凸部を備え、凸部の先端縁部にフランジ及び/又は凸部の周面に貫通孔を有し、フランジ又は凸部に2つの絶縁キャップを連結するための絶縁性及び伸縮性を有するコードが取り付けられる。この伸縮式のコードは、ポリウレタンなどの絶縁性素材からなるコードをコイル状に巻いた所謂カールコードになっており、このコードの両端部には絶縁キャップの凸部に係止可能なリングが設けられる。このようにしてこの絶縁キャップを2つ絶縁性及び伸縮性を有するコードで繋いでおくことにより、このコードを利用して適切な電極端子間の接続を事前に示し、電極端子間の導電板の接続ミスを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-97997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように伸縮コードは、既述のような多くの電極端子間において2つの適切な電極端子を関連付けるのに使用できるなど、各種の機械器具において、同じ又は異なる間隔の2部材間に連結してその2部材を関連付けるのに用いることができる。
しかしながら、伸縮コードを、既述のようなカールコードとし、さらに両端部にリングを設けたものとすると、製作工程上製作が簡易でなく、製作に要するコストが増大する、という問題がある。また、カールコードの場合、2部材間が離れるほど、コードが細い紐状に延びて、コードの視認性が悪くなり、2部材間の関連付けの表示効果が低下する、という問題がある。さらに、カールコードの場合、長く延ばされると、コードに収縮方向に大きな力が生じ、コードで連結される2部材の取り付け状態が弱いと、コードに引張られて2部材の両方又は一方が取り付け位置から抜け外れる恐れがある、という問題もある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の(つまり、同じ又は異なる間隔の2部材間に連結されて当該2部材を関連付けるのに使用する)伸縮コードにおいて、製作工程上製作を簡易にしてコストの低減を図ること、2部材間が離れてコードが延ばされてもコードの視認性を高めて、2部材の関連付けの表示効果を向上させること、コードが長く延ばされても、コードの収縮方向の力を小さくし、コードで連結される2部材の取り付け状態が弱くても、コードに引張られて2部材の両方又は一方が取り付け位置から抜け外れることがないこと、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
両端に取付部、両端間に伸縮部を備え、絶縁性を有してなり、複数の電極端子において電気的に接続される同じ又は異なる間隔の2つの電極端子を2つの絶縁キャップで被覆絶縁し、前記2つの電極端子を関連付けるために、前記2つの絶縁キャップ間に連結される伸縮コードであって、
前記伸縮部は、
ゴム材からなり、
伸縮方向に対して交差する方向に長いリング形状に形成され、当該リング形状を伸縮方向に伸縮変形可能な複数のリング部と、
前記各リング部間を前記各リング部を伸縮変形可能に連結するリング連結部と、
を備え、
前記伸縮部の伸長により、前記各リング部は伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形され、
前記各取付部は、
全体が四角形状に形成され、その中央に、前記各絶縁キャップに設けられる取付部の径又は幅及び長さと同じ大きさ又は当該径又は幅及び長さより大きい大きさに、取付穴が形成される、
ことを要旨とする。
【0010】
また、この伸縮コードの各部は次のように具体化される。
(1)伸縮部と各取付部は一体又は別体に形成される。
(2)各リング部は伸縮方向に対して交差する方向に長い円形又は角形に形成される。
(3)各リング連結部は各リング部間において前記各リング部の長さ方向中央に形成される。
(4)各リング連結部は伸縮部の伸縮方向に対して交差する方向に幅広に形成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多くの電極端子において電気的に接続される同じ又は異なる間隔の2つの電極端子を2つの絶縁キャップで被覆絶縁し、2つの電極端子を関連付けるために、2つの絶縁キャップ間に連結される伸縮コードにおいて、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。すなわち、伸縮部が、ゴム材からなり、伸縮方向に対して交差する方向に長いリング形状に形成され、当該リング形状を伸縮方向に伸縮変形可能な複数のリング部と、各リング部間を各リング部を伸縮変形可能に連結するリング連結部とを備え、伸縮部の伸長により、各リング部が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形されるので、簡単な構造により、製作を簡易にして製作コストの低減を図ることができ、2つの絶縁キャップ間に連結して当該2つの絶縁キャップを関連付けるに際して、2つの絶縁キャップ間が離れてコードが延ばされても、各リング部が伸長方向に延びるリング形状に変形され、コードの視認性を高めて、2つの絶縁キャップの関連付けの表示効果を向上させることができ、また、コードが長く延ばされても、各リング部が伸長方向に延びるリング形状に変形されることにより、コードの収縮方向の力は小さく、コードで連結される2つの絶縁キャップの取り付け位置での取り付け状態が弱くても、コードに引張られて2つの絶縁キャップの両方又は一方が取り付け位置から抜け外れることがない。また、各取付部は全体が四角形状に形成され、その中央に取付穴が2つの絶縁キャップに設けられる取付部の径又は幅及び長さと略同じ大きさ又は僅かに大きい大きさに形成されるので、各取付部の四隅のいずれもを手の指先でつまみやすく、各取付部の2つの絶縁キャップへの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態による伸縮コードの構成を示す図((a)は平面図(b)は側面図)
図2】同伸縮コードの使用例として、2つの適切な電極端子に被着する2つの絶縁キャップを伸縮コードで繋ぐ場合を示す図(斜視図)
図3】同伸縮コードの作用を示す図((a)は伸縮コード(伸縮部)が通常の収縮された状態を示す平面図(b)は伸縮コード(伸縮部)が伸長された状態を示す平面図)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に伸縮コードを示している。なお、ここで伸縮コードは、既述のような各種の絶縁キャップに用いる伸縮コードとして例示している。
【0014】
図1に示すように、伸縮コードSは、両端に取付部4、両端間に伸縮部1を有し、同じ又は異なる間隔の2部材間に連結されて当該2部材を関連付けるために使用される。
【0015】
そして、この伸縮コードSでは、伸縮部1は、ゴム材からなり、伸縮方向に対して交差する方向に長いリング形状に形成され、当該リング形状を伸縮方向に伸縮変形可能な複数のリング部2と、各リング部2間(各取付部4とこれに隣接する各リング部2との間を含む。)を各リング部2を伸縮変形可能に連結するリング連結部3とを備え、伸縮部1の伸長により、各リング部2は伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形されるようになっている。
【0016】
伸縮部1と各取付部4は一体又は別体に形成される。この場合、伸縮部1と各取付部4は、絶縁性に優れ、発色性がよいEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)により、一体に、全体として細長く比較的幅を持つシート状に形成される。
【0017】
伸縮部1において、各リング部2は伸縮方向に対して交差する方向に長い円形又は角形に形成され、各リング連結部3は各リング部2間において各リング部2の長さ方向中央に形成される。この場合、各リング部2は伸縮方向に対して直交する方向に細長い長円形(ここでは、特に、レーストラック形状)にかつ扁平状(薄肉)に形成され、各リング連結部3は伸縮部1の伸縮方向に対して直交する方向に少し幅広の略四角形にかつ各リング部2と同じ扁平状(薄肉)に形成される。なお、各リング部2の長さ(外周の長径)や幅(外周の短径)、さらに各取付部4を含めた全長は2部材の大きさや2部材間の間隔に応じて適宜設定される。また、この場合は、絶縁キャップ用として、各リング部2の長さ(外周の長径)は絶縁キャップの先端面の長さよりも少し短く、幅(外周の短径)は絶縁キャップの先端面の幅の半分よりも短く形成され、各取付部4を含めた全長は2つの絶縁キャップが被着される2つの電極端子間の寸法に応じて適宜決められる。なお、各リンク部2間で各リング連結部3の位置は任意である。つまり、各リンク部2間で各リング連結部3の位置は連結位置が1箇所であれば、連結位置はどこにあってもよい。例えば、各リング部2間で各リング連結部3が互い違いになるようにしてもよい。ただし、この伸縮コードSを2部材間に連結したときの伸縮コードS全体の形状の安定性を考慮すると、各リング連結部3は各リング部2間において各リング部2の長さ方向中央に形成されることが望ましい。
【0018】
各取付部4は全体が略四角形状に形成され、その略中央に取付穴40が2部材に設けられる取付部(特に取付穴が係合される部分)の径又は幅及び長さと略同じ大きさ又は僅かに大きい大きさに形成される。この場合は、絶縁キャップ用として、各取付部4の長さは伸縮部1の各リング部2と同様に絶縁キャップの先端面の長さと同じで、幅が絶縁キャップの先端面の幅よりも大きい四角形状にかつ伸縮部1と同様に扁平状(薄肉)に形成され、取付穴40は短径が絶縁キャップの先端面の取付部の軸の外径より少し大きくフランジの外径よりも少し小さく、長径がフランジの外径よりも少し大きい伸縮部1の伸縮方向に長い長円形(ここでは、特に、レーストラック形状)に開口される。なお、ここで各取付部4の取付穴40は長円形(レーストラック形状)としたが、この取付穴40の形状は任意であり、例えば円形の穴でも四角形の穴でもよい。ただし、絶縁キャップの取付部が丸棒状であれば、この取付部と取付穴40が係合可能に取付穴40の取付部に対する係合側の端部を半円状又は円弧状にするなど、取付穴40の取付部に対する係合側の端部を取付部の断面形状に対応する形状に合わせることが好ましい。
【0019】
なお、この伸縮コードSの素材の色は、後述する絶縁キャップと同様に、黒、青、赤以外の色とし、この場合、黄緑色とした。この色については後述する。
【0020】
このようにして伸縮コードSは、ゴム材により、伸縮部1と、取付部4とを一体に形成されるので、金型成形により製作可能になっている。そして、この伸縮コードSは2部材間に連結されて、伸縮部1の伸長により、各リング部2は伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形されるようになっている。そして、この伸縮コードSは、電極端子に被着される2つの絶縁キャップの間に連結されて、導電板で電気的に接続される正極の電極端子と負極の電極端子を事前に示すコードとして使用される。
【0021】
図2にこの伸縮コードの使用例として、2つの適切な電極端子に被着する2つの絶縁キャップを伸縮コードで繋ぐ場合を示している。
【0022】
図2において、絶縁キャップCは、各種の蓄電池に設けられる角型の電極端子に被覆して、角型の電極端子を絶縁するもので、全体が、絶縁性及び機械的特性を有する素材により、電極端子の外形に沿って僅かに遊びをもって外嵌可能に、一端に開口を有し、内部に角型の中空部を有するケース形状に形成されて、電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部c1と、電極端子の周囲を被覆する周囲カバー部c2とを備えて構成される。また、先端面カバー部c1には外面の中心に伸縮コードSのための取付部c3が設けられる。この取付部c3は、先端面カバー部c1の外面の中心から突出される軸部c31と、軸部c31の先端に外周方向に張り出されるフランジc32とからなる。また、この絶縁キャップCは全体が絶縁性及び強度、耐摩耗性など機械的特性を有する色付きの素材(PP(ポリプロピレン))により一体に形成される。また、素材の色は、黒、青、赤以外の色が好ましい。一般的に、電気コードで言えば、赤はプラスの電極、黒又は青はマイナスの電極と認識されており、また、蓄電池の電極端子のプラスは赤、マイナスは黒と色分けされる場合があり、電極の極性とは関係がないことを示すためである。この場合、素材の色を黄色とした。
【0023】
この角型の絶縁キャップCを蓄電池の角型の電極端子に取り付ける場合、絶縁キャップCを角型の電極端子に上から被せて、電極端子の周囲を周囲カバーc2で被覆し、電極端子の先端面を先端面カバー部c1で被覆する。このようにして絶縁キャップCで電極端子を絶縁する。なお、絶縁キャップCは、既述のとおり、色付き(この場合、黄色)になっているので、非接続の各電極端子に取り付けられた絶縁キャップCは視認性に優れ、各電極端子が絶縁キャップCにより絶縁処理されたことを(ユーザーが)容易に確認できる。また、絶縁キャップCの色は黒、青、赤以外の色としてあることで、この絶縁キャップCの色によって各電極端子間の接続形式(言い換えれば、どの電極端子とどの電極端子を繋ぐか)について誤った認識を(ユーザーに)生じさせることがない。
【0024】
そして、この2つの絶縁キャップCを伸縮コードSで繋ぐ。この場合、各蓄電池間の適切な(電気的)接続となる一方の蓄電池の電極端子(正極)と他方の蓄電池の電極端子(負極)とを確認し、これらの電極端子を2つの絶縁キャップCで被覆絶縁し、これら2つの絶縁キャップCを伸縮コードSで連結することにより、その後各蓄電池間を電気的に接続する場合に、2つの絶縁キャップC間の伸縮コードSにより、適切な電極端子間の接続、つまり、どの電極端子とどの電極端子とを導電板で接続するかを視覚的に示すことができる。この場合、伸縮コードSは伸縮部1の各リング部2が伸縮方向に対して交差方向に長い長円形で幅広になっているので、伸縮コードSは全体が幅広に保持されて、伸縮コードSの高い視認性が良好に維持される。また、この伸縮コードSの伸縮により、各種の蓄電池毎に各電極端子間の間隔(寸法)が異なっていても、この伸縮コードSの伸縮により、各電極端子間の間隔に対応することができる。また、この伸縮コードSは両端の取付部4の取付穴40が各絶縁キャップCの取付部c3に係止されるので、伸縮コードSをこの取付部c3を中心に回すことができ、これにより、伸縮コードSの伸ばす方向が自由になり、各種の蓄電池毎に各電極端子の位置が異なっていても、伸縮コードSの回転方向の動きにより、各電極端子の位置に対応することができる。この場合、2つの電極端子間の間隔が比較的大きく、2つの電極端子間で伸縮コードSが比較的長く延ばされても、この伸縮コードSはゴム自体の伸長というよりも、図3に示すように、各リング部1が伸長方向に対して交差(直交)する方向に長いリング形状(この場合、長円形(レーストラック形状)のリング形状)から伸長方向に延びるリング形状(この場合、略ひし形のリング形状)に変形されて伸長されるので、カールコードのように長く紐状に延びるのと異なり、伸縮コードSは幅広に保持されて、伸縮コードSの高い視認性は良好に維持される。また、この場合、各リング連結部3は各リング部2間において各リング部2の長さ方向中央に伸縮部1の伸縮方向に対して交差(直交)する方向に幅広に形成されるので、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状の場合でも、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向から伸長方向に延びるリング形状の場合でも、伸縮コードS全体の形状を安定させて、伸縮コードSの視認性が良好に維持される。さらに、この伸縮コードSがゴム自体の伸長というよりも、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形されて伸長されることで、伸縮コードSが長く延ばされても、カールコードの場合と異なり、伸縮コードSの収縮方向の力は小さく、伸縮コードSで連結される2つの絶縁キャップCが伸縮コードSに引張られて2つの絶縁キャップCの両方又は一方が電極端子から抜け外れるといったことがない。
【0025】
また、伸縮コードSの色もまた、黒、青、赤以外の色とし、この場合は黄緑色としてあるので、この伸縮コードSの色によって電極端子間の接続形式(言い換えれば、どの電極端子とどの電極端子をどのように繋ぐか)について誤った認識を(ユーザーに)生じさせることがない。
【0026】
この伸縮コードSの各取付部4は長さが絶縁キャップCの先端面カバー部c1の長さよりも少し小さく、幅が絶縁キャップCのの先端面カバー部c1の幅よりも大きい四角形状で扁平状(薄肉)に形成され、取付穴40は絶縁キャップCの先端面カバー部c1の取付部c3の軸部c31の外径よりも少し大きくフランジc32の外径よりも少し小さい伸縮部1の伸縮方向に長い長円形(ここでは、特に、レーストラック形状)に開口されて、比較的大きく形成されるので、この伸縮コードSの絶縁キャップCへの取り付けでは、各取付部4の四隅のいずれもが手の指先でつまみやすく、伸縮コードS両端の各取付部4の取付穴40に先端面カバー部c1の取付部c3のフランジc32を通しやすく軸部c31に掛けやすく、伸縮コードSの各取付部4を絶縁キャップCの取付部c3に簡単に取り付けることができる。また反対に、この伸縮コードSの絶縁キャップCからの取り外しも同様に、容易に行うことができる。
【0027】
以上説明したように、この伸縮コードSによれば、伸縮部1が、ゴム材からなり、伸縮方向に対して交差する方向に長いリング形状に形成され、当該リング形状を伸縮方向に伸縮変形可能な複数のリング部2と、各リング部2間を各リング部2を伸縮変形可能に連結するリング連結部3とを備え、伸縮部1の伸長により、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状から伸長方向に延びるリング形状に変形されるので、この伸縮コードSの簡単な構造により、製作を簡易にして製作コストの低減を図ることができ、2部材間に連結して当該2部材を関連付けるに際して、2部材間が離れて伸縮コードSが延ばされても、各リング部2が伸長方向に延びるリング形状に変形され、伸縮コードSの視認性を高めて、2部材の関連付けの表示効果を向上させることができ、また、伸縮コードSが長く延ばされても、各リング部2が伸長方向に延びるリング形状に変形されることにより、伸縮コードSの収縮方向の力は小さく、伸縮コードSで連結される2部材の取り付け位置での取り付け状態が弱くても、伸縮コードSに引張られて2つの絶縁キャップの両方又は一方が取り付け位置から抜け外れることがない。
【0028】
また、この伸縮コードSは、さらに次のような格別な効果を奏する。
(1)伸縮部1と各取付部4はゴム材により一体に形成されるので、伸縮コードS全体を金型成形により製作することができ、従来のカールコイルに比べて、製作コストを低く抑えることができる。
(2)各リング部2は伸縮方向に対して交差する方向に長い円形又は角形に形成されるので、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状の場合でも、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向から伸長方向に延びるリング形状の場合でも、伸縮部1が幅広に保持されるので、伸縮コードSの視認性を高めることができる。
(3)各リング連結部3は各リング部2間において各リング部2の長さ方向中央に形成されるので、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状の場合でも、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向から伸長方向に延びるリング形状の場合でも、伸縮コードS全体の形状を安定させて、伸縮コードSの視認性を良好に維持することができる。
(4)各リング連結部3は伸縮部1の伸縮方向に対して交差する方向に幅広に形成されるので、各リング部2が伸長方向に対して交差する方向に長いリング形状の場合でも、各リング部が伸長方向に対して交差する方向から伸長方向に延びるリング形状の場合でも、伸縮コードS全体の形状を安定させて、伸縮コードSの視認性を良好に維持することができる。
(5)各取付部4は全体が四角形状に形成され、その略中央に取付穴40が2部材に設けられる取付部の径又は幅及び長さと略同じ大きさ又は僅かに大きい大きさに形成されるので、各取付部4の四隅のいずれもを手の指先でつまみやすく、各取付部4の2部材への取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【0029】
なお、この実施の形態では、伸縮部1と各取付部4は一体に形成されるものとしたが、伸縮部1と各取付部4は別体に形成されるものとしてもよい。この場合、例えば、伸縮部1はゴム材により上記と同様に形成され、各取付部4は伸縮先コードSの使用先に応じて、合成樹脂材又は金属材又は木材により形成されて、伸縮部1と各取付部2が任意の接合手段で結合されてもよい。
【0030】
また、この実施の形態で例示した伸縮コードSから、設計を変更して、伸縮部の各リング部、各リング連結部に代えて、伸縮部をへび形若しくは波形に形成することが考えられるが、この場合、この伸縮部の形状が安定しないため、視認性の向上は難しく、外観上も好ましくない(見た目が悪い)。
【符号の説明】
【0031】
S 伸縮コード
1 伸縮部
2 リング部
3 リング連結部
4 取付部
40取付穴
C 絶縁キャップ
c1 先端面カバー部
c2 周囲カバー部
c3 取付部
c31 軸部
c32 フランジ
図1
図2
図3