(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具及び位置決め装置
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20231005BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/06 T
(21)【出願番号】P 2019083979
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000135737
【氏名又は名称】株式会社バンザイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】海老原 康輔
(72)【発明者】
【氏名】藤江 洋慶
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194536(JP,A)
【文献】実開昭50-110257(JP,U)
【文献】特開2008-151733(JP,A)
【文献】特開2009-025252(JP,A)
【文献】特開2004-069658(JP,A)
【文献】特開2006-292413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
G01C 5/00-15/14
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に載置される台と、
該台に設けられた、上方に延びる支柱と、
該支柱に上下方向に移動自在に設けられた、車両用運転支援装置の校正用基準具が固定される
ためのスクリーン体と、
前記スクリーン体と被測定車両との距離を測定するための車両距離測定手段と、
被測定車両側にレーザー光が上下方向に線状に照射される被測定車両側の線状レーザーポインター部とよりなり、
該被測定車両側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向が、前記スクリーン体の前面及び水平面に対して、それぞれ直交するように形成され
、
前記スクリーン体の前面には、水平方向及び垂直方向にそれぞれ延びる複数の直線からなるグリッドの表示が設けられていることを特徴とする車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具。
【請求項2】
前記スクリーン体の高さを測定するための高さ測定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具。
【請求項3】
前記スクリーン体の全部又は一部が、磁石が吸着する材料よりなることを特徴とする請求項1または
2に記載の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具。
【請求項4】
車両中心線表示部と、位置決め部とよりなり、
前記車両中心線表示部は、床に設置される本体部と、該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、
前記位置決め部は、床に載置される台と、該台に設けられた、上方に延びる支柱と、該支柱に上下方向に移動自在に設けられた、車両用運転支援装置の校正用基準具が固定される
ためのスクリーン体と、前記スクリーン体と被測定車両との距離を測定するための車両距離測定手段と、被測定車両側にレーザー光が上下方向に線状に照射される被測定車両側の線状レーザーポインター部とよりなり、該被測定車両側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向が、前記スクリーン体の前面及び水平面に対して、それぞれ直交するように形成され
、
前記スクリーン体の前面には、水平方向及び垂直方向にそれぞれ延びる複数の直線からなるグリッドの表示が設けられていることを特徴とする車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置。
【請求項5】
前記位置決め部の線状レーザーポインター部のレーザー光の色は、前記車両中心線表示部の線状レーザーポインター部のレーザー光の色と異なることを特徴とする請求項
4に記載の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先進安全自動車に装備されたカメラや各種センサーなどの車両用運転支援装置の校正用の基準具(ターゲット板等)の位置決め具及び位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両は安全性を向上させるために、自動ブレーキシステムや自動運転システムなどの導入が進み、これら自動システムを制御するために、車両にはカメラや距離センサー等の各種センサーなどの車両用運転支援装置が設けられている。
【0003】
そして、このような先進安全自動車の車両整備等においては、前記運転支援装置が正しく取り付いているかの確認・校正(エイミング)をするため、自動車メーカーが指定した位置にターゲット板等の校正用基準具を設置する作業が必要となる。
【0004】
前記カメラや各種センサーなどの運転支援装置の取り付け位置の校正は、自動車メーカーの指定に従って、例えば、車両の前後方向に延びる車両中心線上の、前記車両と所望の距離離間した位置に、ターゲット板などの校正用基準具を設置して、該校正用基準具を用いて、前記運転支援装置が正しくつけられているか否かを測定していた。
【0005】
そして、前記車両中心線は、従来においては、作業者が、車両の前後、例えば、車両の前面と後面とにそれぞれ設けられた、車両の中心の目安となるエンブレムの左右方向における中心から、それぞれ糸と逆円錐形状の重りとからなる下げ振りを下げて、そして、水糸を、前記前後の各重りの下方に位置させて水平方向に張設して、該水糸を車両中心線とすることにより設定していた(特許文献1明細書(0020))。
【0006】
また、車両と校正用基準具との距離は、メジャー等の測りを用いて測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自動車メーカーや車種により校正用基準具の設置方法や設置位置が異なり、都度、設置用の専用品の準備や設置位置の測定を行う必要があり、手間がかかっていた。
【0009】
本発明は、容易にターゲット等の校正用基準具を設置できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具は、床に載置される台と、該台に設けられた、上方に延びる支柱と、該支柱に上下方向に移動自在に設けられた、車両用運転支援装置の校正用基準具が固定されるためのスクリーン体と、前記スクリーン体と被測定車両との距離を測定するための車両距離測定手段と、被測定車両側にレーザー光が上下方向に線状に照射される被測定車両側の線状レーザーポインター部とよりなり、該被測定車両側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向が、前記スクリーン体の前面及び水平面に対して、それぞれ直交するように形成され、前記スクリーン体の前面には、水平方向及び垂直方向にそれぞれ延びる複数の直線からなるグリッドの表示が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置は、車両中心線表示部と、位置決め部とよりなり、前記車両中心線表示部は、床に設置される本体部と、該本体部に設けられた、前方にレーザー光が線状に照射される前側の線状レーザーポインター部及び後方にレーザー光が線状に照射される後側の線状レーザーポインター部と、前記本体部に設けられた基準線又は基準点とよりなり、前記前側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点とが、水平面に直交する同一平面内となるように設けられ、前記位置決め部は、床に載置される台と、該台に設けられた、上方に延びる支柱と、該支柱に上下方向に移動自在に設けられた、車両用運転支援装置の校正用基準具が固定されるためのスクリーン体と、前記スクリーン体と被測定車両との距離を測定するための車両距離測定手段と、被測定車両側にレーザー光が上下方向に線状に照射される被測定車両側の線状レーザーポインター部とよりなり、該被測定車両側の線状レーザーポインター部のレーザー光の線状の照射方向が、前記スクリーン体の前面及び水平面に対して、それぞれ直交するように形成され、前記スクリーン体の前面には、水平方向及び垂直方向にそれぞれ延びる複数の直線からなるグリッドの表示が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、前記スクリーン体の高さを測定するための高さ測定手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、前記スクリーン体の全部又は一部が、磁石が吸着する材料よりなることを特徴とする。また、前記位置決め部の線状レーザーポインター部のレーザー光の色は、前記車両中心線表示部の線状レーザーポインター部のレーザー光の色と異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両中心線を容易に床に表示できると共に、校正用基準具の位置決め具を容易に設置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置の説明用側面図である。
【
図2】本発明の車両中心線表示部の説明用正面図及び説明用背面図である。
【
図3】本発明の車両中心線表示部の説明用斜視図である。
【
図4】本発明の車両中心線表示部の説明用平面図である。
【
図8】本発明の位置決め具の台の説明用平面図である。
【
図9】本発明の位置決め装置の説明用平面図である。
【
図10】本発明の位置決め装置の説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
(1.全体構造の説明)
【0019】
本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置は、
図1~
図10に示すように、車両中心線表示具1と位置決め具2とよりなる。
【0020】
(1.1.車両中心線表示具1の説明)
【0021】
前記車両中心線表示具1は、
図1~
図3に示すように、矩形箱状の本体部3と、該本体部3の上面に表示された直線状の基準線又は基準点10の基準部4と、前記本体部3の前面3aに設けられた、前方にレーザー光が上下方向の線状に照射される前側の線状レーザーポインター部5と、前記本体部3の後面に設けられた、後方にレーザー光が上下方向の線状に照射される後側の線状レーザーポインター部6とよりなる。
【0022】
なお、前記基準点10は、例えば、前記本体部3の前面3a(後述する、車両距離測定用レーザー距離計16のレーザーが照射される部分)から所望の距離a、後方(前記位置決め具2の反対方向)に離間した位置に設けられる。
【0023】
また、前記前側の線状レーザーポインター部5のレーザー光の線状の照射方向と、前記後側の線状レーザーポインター部6のレーザー光の線状の照射方向と、前記基準線又は基準点の基準部4とは、水平面(床面)に直交する同一平面内となるように設けられる。
【0024】
即ち、
図4に示すように、前記前後の線状レーザーポインター部5、6から照射されたレーザー光が、それぞれ床7などの被照射物に照射された時に、該床7に表示された線5a、6aと前記基準部4とが、平面視において直線状に表示されるように、前記前後の線状レーザーポインター部5、6と前記基準部4が設けられる。
【0025】
なお、8は、各種センサーなどの運転支援装置が調整される車両(被測定車両)を示し、8aは、
図2(a)に示すように、該車両8の正面に、該正面の左右方向における中心部分に設けられたエンブレムを示し、8bは、
図2(b)に示すように、前記車両8の後面に、該後面の左右方向における中心部分に設けられたエンブレムを示す。
【0026】
また、9は、前記本体部3の上面に表示された、前記基準線に直交すると共に、前記本体部3の上面の前記基準点10を通る直線を示す。
【0027】
また、11は、糸11aと逆円錐形状の重り11bとからなる下げ振りを示す。
【0028】
(1.2.位置決め具2の説明)
【0029】
また、前記位置決め具2は、例えば、
図5~
図8に示すように、床7に設置される台12と、該台12の上面に設けられた、上方に延びる、例えば、2本の支柱13と、該支柱13に昇降自在(上下動自在)に設けられた、その前面が垂直した面となる、例えば矩形板状のスクリーン体14と、該スクリーン体14を、前記支柱13に対して昇降させる、例えば、ラック(図示せず)と、このラックに噛合したギア(図示せず)と該ギアを回転させる回転ハンドル15aとからなる昇降手段15と、例えば、前記台12に設けた、前記車両8からの距離を測定するための車両距離測定用レーザー距離計(車両距離測定手段)16と、例えば、前記スクリーン体14の上端の左右方向における中間部に設けられた、車両側にレーザー光が上下方向の線状に照射されるスクリーン体の線状レーザーポインター部17とよりなる。
【0030】
なお、前記線状レーザーポインター部17のレーザー光の線状の照射方向(線状に照射されるレーザー光で構成される面)は、前記スクリーン体14の前面及び水平面(床面)に対して、それぞれ直交するように形成される。
【0031】
また、前記車両距離測定用レーザー距離計16は、例えば、前記スクリーン体14の前面に対して、後方(前記車両の反対方向)に所望の距離aだけ離間した位置に設けられる。
【0032】
前記台12は、例えば、
図8に示すように、平面視でT字状板体よりなり、該板体の下面には、キャスター台車等の移動手段18を有し、該移動手段18により、前記位置決め具2を任意の位置に移動可能にできるようにする、
【0033】
また、前記台12は、該台12を床に載置固定するための複数の固定脚部等の台固定手段19を有する。
【0034】
前記台固定手段19は、例えば、前記台12に設けられた上下方向に延びる貫通ネジ孔と、該孔に、貫通して螺合されたボルトと、該ボルトの上端に設けられた頭部と、該ボルトの下端に設けられた床支持台とよりなり、該固定脚部のボルトを回転させて、該床支持台を下方に突出させて、前記台固定手段19により、前記キャスター台車が床面に接しないように、前記台12を支えることにより、該台12を床7に載置固定するようにする。
【0035】
また、前記台12は、水準器等の水平検知器20を有し、該水平検知器20を用いて、前記台12が水平になるように、前記各固定脚部の前記台12下方への突出長さを調整して、床に載置固定されるようにする。
【0036】
なお、前記移動手段18や、前記台固定手段19や、前記水平検知装置20を省略し、直接、前記台12を床7に載置できるようにしてもよい。
【0037】
なお、前記支柱13に、上下方向に目盛りを設け、前記スクリーン体14の高さを容易に確認できるようしてもよい。
【0038】
また、前記スクリーン体14の前面には、例えば、左右方向(水平方向)及び上下方向(垂直方向)にそれぞれ延びる複数の直線からなるグリッドが表示され、指定された位置に、容易にターゲット等の校正用基準具を固定することができるようにする。
【0039】
また、前記スクリーン体14の前面には、目安として、例えば、該前面の左右方向(水平方向)の中心となる垂直線、又は基準となる垂直線を示す印や線などの垂直線部21aが設けられ、また、例えば、該前面の上下方向(垂直方向)の中心となる水平線、又は基準となる水平線を示す印や線などの水平線部21bが設けられる。なお、該垂直線部21aや水平線部21bは省略してもよい。
【0040】
また、前記スクリーン体14の全部、又は前面など一部を、磁石が吸着する鉄などの材料(強磁性体)とすることが望ましく、例えば、裏面に磁石が設けられた、ターゲット等の校正用基準具を容易に固定できるようになる。
【0041】
なお、前記スクリーン体14に、高さ測定用レーザー距離計(高さ測定手段)22を設け、該レーザー距離計22により、該スクリーン体14の高さを計測できるようにしてもよい。
【0042】
この際、該レーザー距離計22を、前記スクリーン体14に対して着脱自在にすると共に、磁石を有するものとし、該レーザー距離計22を、例えば、前記スクリーン体14のグリッドの所望の水平線に合わせて、前記スクリーン体14に磁力により吸着させて固定し、そして、該レーザー距離計22により、床7までの距離を測定することにより、前記スクリーン体14の高さを測定するようにしてもよい。
【0043】
また、例えば、前記スクリーン体14の下端の左右方向の中心に、ミリ波レーダー校正用のリフレクター23などを取り付けられる固定具24を設け、該固定具24に、ミリ波レーダー校正用のリフレクター23などを取り付けることにより、車両のミリ波レーダーなどの校正をできるようにしてもよい。
【0044】
なお、
図5において、前記リフレクター23は、該リフレクター23の後方が分かるように、透過した状態を示す。
【0045】
また、例えば、前記支柱13に対して、該支柱13の軸回りに前記スクリーン体14を左右方向に回動させるスクリーン体回動手段を設けてもよい。
【0046】
また、前記スクリーン体の線状レーザーポインター部17のレーザー光の色(例えば、緑色)は、前記車両中心線表示具1のレーザー光(例えば、赤色)と異なるように設定されるのが好ましい。
【0047】
(2.車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置の設置方法の説明)
【0048】
次に、本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め装置の設置方法と効果を説明する。
【0049】
カメラや各種センサーなどの運転支援装置が校正される車両(被測定車両)を整備ストールの所定の位置に入庫する。
【0050】
(2.1.車両中心線の表示方法の説明)
【0051】
作業者は、前記車両の車両中心線を床に表示させるために、
図1及び
図2に示すように、前記車両8の前後、例えば、車両の前面と後面にそれぞれ設けられた、車両中心の目安となるエンブレム8a、8bの左右方向の中心に、前記下げ振り11を下げる。
【0052】
なお、前記下げ振り11は、車両の前面、後面において、左右方向の中心点(又は基準点)が分かれば、エンブレム以外の車両の所望の基準点に設けるようにしてもよい。
【0053】
次に、前記車両中心線表示具1の前後の線状レーザーポインター部5、6からそれぞれ線状にレーザー光を照射させる。
【0054】
そして、前記前側の下げ振り11の重り11bの下端が、前記車両中心線表示具1の前記基準部4上(又は基準点10上)に位置するように、前記車両中心線表示具1を床7に載置すると共に、前記床7に照射された前記後側の線状レーザーポインター部6からのレーザー光の線6aが、前記後側の下げ振り11の重り11bの下端(又は、床面上の前記重り11bの下端の下の位置)に一致するように、前記車両中心線表示具1を水平面に対して回転(傾動)させる。
【0055】
なお、後述するように、前記前側の下げ振り11の重り11bの下端が、前記車両中心線表示具1の前記基準点10上に位置するように、前記車両中心線表示具1を床7に載置することにより、前記車両8に対する、前記車両中心線表示具1の前後方向の位置が定まり、従って、前記車両中心線表示具1の前面3aに、前記位置決め具2のレーザー距離計16のレーザーを照射させることにより、前記位置決め具2と車両8との距離を測定できるようになる。
【0056】
そして、
図4に示すように、前記床7に照射された、前記前後の線状レーザーポインター部5、6からのレーザー光の線5a、6aからなる直線を車両中心線25として表示させることができるようになる。
【0057】
なお、前記は、車両中心線表示具1を車両の前側に設置する場合であるが、車両中心線表示具1を車両の後側に設置する場合も同様に、前記後側の下げ振り11の重り11bの下端が、前記車両中心線表示具1の前記基準部4上(又は基準点10上)に位置するように、前記車両中心線表示具1を床7に載置すると共に、前記床7に照射された前記前側の線状レーザーポインター部5からのレーザー光の線5aが、前記前側の下げ振り11の重り11bの下端(又は、床面上の前記重り11bの下端の下の位置)に一致するように、前記車両中心線表示具1を水平面に対して回転(傾動)させるようにする。
【0058】
(2.2.位置決め具の設置の説明)
【0059】
次に、自動車メーカー等の整備マニュアル等に基づき、前記表示された車両中心線25を基準として、車両前方の所望の距離の位置に、前記スクリーン体14の前面を、前記車両側に向けて、前記位置決め具2を設置する。
【0060】
なお、例えば、前記台固定手段19を解除して、前記台12を前記キャスター台車等の移動手段18により、容易に移動できるようにする。
【0061】
即ち、作業者は、前記位置決め具2を、例えば、該位置決め具2のスクリーン体14のグリッドの中心の垂直線に、前記レーザー光の線5aが一致するように移動すると共に、前記車両距離測定用レーザー距離計16から、前記車両8に対して所望の位置に設けられた前記車両中心線表示具1の前面3aに向けて、レーザーを照射させて、該位置決め具2と前記車両中心線表示具1(即ち、車両8)との距離を測定し、該距離が所望となる位置となるように移動する。
【0062】
なお、例えば、前記車両距離測定用レーザー距離計16を、前記スクリーン体14の前面に対して、後方(前記車両の反対方向)に所望の距離aだけ離間した位置に設けると共に、前記車両中心線表示具1の本体部3の基準点10を、前記本体部3の前面3a(該レーザー距離計16のレーザーが照射される部分)から所望の距離a、後方(前記位置決め具2の反対方向)に離間した位置に設定することにより、前記車両距離測定用レーザー距離計16により、前記スクリーン体14の前面と、前記車両の前側のエンブレム(又は車両の所望の基準点)との距離が計測できるようになる。
【0063】
また、前記位置決め具2の線状レーザーポインター部17から、例えば、緑色のレーザー光を照射させて、前記車両中心線表示具1の、例えば、赤色のレーザー光と一致するようにして、又は、例えば、前記車両前側の下げ振り11や、前記車両中心線表示具1の基準部等に一致するようにして、車両の正面とスクリーン体14の前面が互いに正面を向き合い平行に正対するようにする。
【0064】
なお、
図9は、車両とスクリーン体14とが正対する前の図を示し、前記位置決め具2の線状レーザーポインター部17からのレーザー光と、前記車両中心線表示具1の線状レーザーポインター部5からのレーザー光とは一致していない。
【0065】
そして、前記状態から、前記位置決め具2を左右方向に対して、回動させることにより、
図10に示すように、前記位置決め具2の線状レーザーポインター部17からのレーザー光と、前記車両中心線表示具1の線状レーザーポインター部5からのレーザー光とが一致するように調整し、又は、前記車両前側の下げ振り11や、前記車両中心線表示具1の基準部等に一致するよう調整し、これにより、正対するようになる。
【0066】
そして、前記台12の水平検知器20で水平度を確認しながら、前記台固定手段19により、前記台12を床7に水平に載置固定するようにする。
【0067】
そして、前記スクリーン体14に、ターゲット等の基準具を取り付ける所望の高さの位置まで、前記スクリーン体14を前記支柱13に対して、昇降させる。
【0068】
なお、前記支柱13の目盛により、前記スクリーン体14の高さを調整するようにし、または、前記スクリーン体14の前面の所望の位置、例えば、グリッドの基準となる水平線、または、任意の水平線に、高さ測定用レーザー距離計22を固定して、該高さ測定用レーザー距離計22により、前記スクリーン体14の高さを測定し、調整するようにしてもよい。
【0069】
そして、前記スクリーン体14の前面に、ターゲット板などの車両校正用基準具を、前記グリッドの垂直線や水平線を目安として位置決めして、例えば、磁石により固定されて設置するようにする。
【0070】
なお、ターゲット等の基準具を前記スクリーン体14の所望の位置に固定した後に、該スクリーン体14を昇降させるようにしてもよい。
【0071】
また、前記スクリーン体14を昇降することなく、前記ターゲット等の基準具を所望の位置に固定するようにしてもよい。
【0072】
なお、後に、車両と前記スクリーン体との正対がずれた場合には、前記スクリーン体回動手段等により調整するようにしてもよい。
【0073】
本発明によれば、車両中心線を容易に床に表示できると共に、校正用基準具の位置決め具を容易に設置できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の車両用運転支援装置の校正用基準具の位置決め具及び位置決め装置は、車検整備場や、車両整備工場等のあらゆる工場に用いられる。
【符号の説明】
【0075】
1 車両中心線表示具
2 位置決め具
3 本体部
3a 前面
4 基準部
5 線状レーザーポインター部
5a 線
6 線状レーザーポインター部
6a 線
7 床
8 車両
8a エンブレム
8b エンブレム
9 直線
10 基準点
11 下げ振り
11a 糸
11b 重り
12 台
13 支柱
14 スクリーン体
15 昇降手段
15a ハンドル
16 車両距離測定用レーザー距離計
17 線状レーザーポインター部
18 移動手段
19 台固定手段
20 水平検知器
21a 垂直線部
21b 水平線部
22 高さ測定用レーザー距離計
23 リフレクター
24 固定具
25 車両中心線