IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 みずほ銀行の特許一覧

特許7360808銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム
<>
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図1
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図2
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図3
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図4
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図5
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図6
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図7
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図8
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図9
  • 特許-銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q40/03
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019087568
(22)【出願日】2019-05-07
(62)【分割の表示】P 2018553253の分割
【原出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020035417
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真智子
(72)【発明者】
【氏名】井出 真也
(72)【発明者】
【氏名】金光 恭治
(72)【発明者】
【氏名】上條 哲也
(72)【発明者】
【氏名】タンゲル マルティン
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049673(JP,A)
【文献】特開2004-318869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
前記情報記憶システムに記録された同一時期の金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況、外部状況情報を含むデータセットとする教師データを用いて、機械学習により生成された顧客行動予測モデルを記録した学習結果記憶部と、に接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムであって、
前記制御部が、
前記情報記憶システムから、現在の金融取引条件、顧客状況情報、外部状況情報を取得し、
前記現在の金融取引条件、顧客状況情報及び外部状況情報に対して、前記学習結果記憶部に記録された前記顧客行動予測モデルを用いて、金融取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出することを特徴とする銀行業務支援システム。
【請求項2】
前記金融取引条件として、金利を用いることを特徴とする請求項1に記載の銀行業務支援システム。
【請求項3】
銀行の資産状況を記憶する経営情報記憶部を更に備え、
前記制御部が、
前記経営情報記憶部に記憶した資産状況に基づいて算出した資金調達及び投資の金額を取得し、
前記資金調達及び投資の金額に基づいてバランスシートを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の銀行業務支援システム。
【請求項4】
前記制御部が、
顧客預金と貸出金とを含む目標バランスシートと現在のバランスシートとを取得し、前記目標バランスシートと前記現在のバランスシートとを比較して、前記顧客預金の差額から資金調達の金額を算出するとともに、前記貸出金の差額から投資の金額を算出し、
前記顧客預金の差額及び前記貸出金の差額について、前記顧客行動予測モデルを用いて、前記金融取引条件を算出することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の銀行業務支援システム。
【請求項5】
前記制御部が、銀行の外部状況情報、現預金、銀行行動パターン、バランスシートの評価結果を含む教師データを用い、銀行行動パターンとバランスシートの評価結果とを関連付ける銀行行動予測モデルを生成することを特徴とする請求項に記載の銀行業務支援システム。
【請求項6】
時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
前記情報記憶システムに記録された同一時期の金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況、外部状況情報を含むデータセットとする教師データを用いて、機械学習により生成された顧客行動予測モデルを記録した学習結果記憶部と、に接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムを用いて、銀行業務を支援するための方法であって、
前記制御部が、
前記情報記憶システムから、現在の金融取引条件、顧客状況情報、外部状況情報を取得し、
前記現在の金融取引条件、顧客状況情報及び外部状況情報に対して、前記学習結果記憶部に記録された前記顧客行動予測モデルを用いて、金融取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出することを特徴とする銀行業務支援方法。
【請求項7】
時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
前記情報記憶システムに記録された同一時期の金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況、外部状況情報を含むデータセットとする教師データを用いて、機械学習により生成された顧客行動予測モデルを記録した学習結果記憶部と、に接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムを用いて、銀行業務を支援するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記情報記憶システムから、現在の金融取引条件、顧客状況情報、外部状況情報を取得し、
前記現在の金融取引条件、顧客状況情報及び外部状況情報に対して、前記学習結果記憶部に記録された前記顧客行動予測モデルを用いて、金融取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出する手段として機能させることを特徴とする銀行業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、銀行業務を支援するための銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行においては、預金、貸出等の各種金融サービスや商品を提供している。そして、金融機関の顧客に対して、その行動を予測して、サービスや商品の提案を行なうための技術が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。この特許文献1に記載された技術においては、来店可能性のある顧客に限り動機付けを行なう。特許文献1の顧客行動管理サーバは、店舗への顧客の来店履歴及びこの顧客の立寄箇所情報に基づいて、この顧客の来店日時を予測する。予測した来店日時が、この店舗の繁忙時間に当たるか否かを判別し、この顧客の来店日時が繁忙時間に当たると判別した場合は、別の日時の来店を促す情報をこの顧客に通知する。
【0003】
また、特許文献2に記載されたモデル作成装置は、顧客のサービスに対する認知度をサービスの存在の認知及びサービスの機能の認知を含む認知度として、顧客行動をモデル化する。そして、予測装置は、顧客行動モデルを利用して、顧客がどのサービスを選択するかを予測する。
【0004】
また、顧客の証券投資による資産運用を支援し、金融機関の貸付業務の円滑化や経営の健全化を図るための技術も検討されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載された技術においては、金融機関サーバに、金融機関に開設された顧客の預金口座の情報を記憶する預金口座DBと、証券会社で保管・管理される有価証券に対して発行される預託証券を顧客から金融機関が借り入れる形で金融機関に開設された顧客の預託証券口座の情報を記憶する預託証券口座DBとを設ける。そして、顧客の売買指示を受け付けて売買取次情報を作成して証券会社サーバへ送信し、証券会社サーバから売買結果情報を受信して預金口座DB及び預託証券口座DBの残高を更新する。
【0005】
また、機械学習等を利用して、業務を支援する技術も検討されている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4に記載された技術においては、受付部が、依頼業務に対する回答と判断理由とを受注者から受け付ける。類型分類部は、判断理由と回答とに基づいた類型に判断理由を分類する。類型抽出部は、分類された類型に基づいて、所定の類型に属する判断理由を抽出する。提供部は、抽出された判断理由を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-173649号公報
【文献】特開2005-352728号公報
【文献】特開2007-47940号公報
【文献】特開2016-177477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された技術では、各顧客の行動を予測しており、経営全体に資する顧客行動を予測するものではない。また、特許文献2に記載された技術では、銀行における顧客行動の制御は考慮されていない。特許文献3に記載された技術では、金融機関の経営の健全化は考慮されているが、顧客行動を促すことは想定されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
・上記課題を解決する銀行業務支援システムは、時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、を記憶する情報記憶システムと、前記情報記憶システムに記録された同一時期の金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況を含むデータセットとする教師データを用いて、機械学習により生成された顧客行動予測モデルを記録した学習結果記憶部と、に接続される制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記情報記憶システムから、現在の金融取引条件、顧客状況情報を取得し、前記現在の金融取引条件及び顧客状況情報に対して、前記学習結果記憶部に記録された前記顧客行動予測モデルを用いて、金融取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、的確かつ効率的な銀行業務の実行を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の銀行業務支援システムの説明図。
図2】ハードウェア構成例の説明図。
図3】本実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は顧客情報記憶部、(b)は口座情報記憶部、(c)は取引情報記憶部、(d)は条件情報記憶部の説明図。
図4】本実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は外部状況記憶部、(b)は規制情報記憶部、(c)は経営情報記憶部の説明図。
図5】本実施形態の顧客行動及び銀行行動の関係の説明図。
図6】本実施形態のバランスシートの説明図。
図7】本実施形態の顧客行動モデルの説明図。
図8】他の実施形態の処理手順の説明図。
図9】他の実施形態の顧客行動モデルの説明図。
図10】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、図1図7に従って、銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、銀行(金融機関)における的確なバランスシートの実現のために、銀行の顧客に対して提供するサービスや商品の金融取引条件を制御する場合を想定する。
【0012】
ここでは、図1に示すように、ユーザ端末10、支援サーバ20、バックエンドシステム40(業務システム)を備える銀行業務システムを用いる。
まず、図5を用いて、本実施形態の概念を説明する。機械学習を用いて、顧客行動A1を予測する場合を想定する。顧客行動A1としては、銀行への資金の預金や銀行からの資金の借入がある。この顧客行動A1は、顧客属性が属するセグメントに応じた顧客状況D01、物価や市場状況等の外部状況D02に依存する。この場合、銀行は、金融取引条件としての預金条件D03や貸出条件D04を制御することにより、顧客行動A1を促すことができる。そして、この顧客行動A01による借入(貸出金)や預金により、銀行の現預金D05が決まる。
【0013】
この現預金D05に応じて銀行行動A2を行なう。この銀行行動A2には、資金調達や投資がある。本実施形態では、投資として、例えば有価証券購入を想定する。この銀行行動A2は、市場状況やインターバンク金利等の外部状況D11や、制約等の規制D12に依存する。
【0014】
そして、現預金D05、資金調達、投資に基づいて、銀行のバランスシートBS1が決まる。
次に、図6を用いて、銀行のバランスシートBS1を説明する。このバランスシートBS1は、借方として、現預金、貸出金、有価証券、その他の項目から構成される。また、貸方として、顧客預金、純資産の各項目から構成される。この場合、バランスシートBS1を構成する各項目には、優先度や制約がある。
【0015】
例えば、優先度(1)としては、「現預金は顧客預金のa%(例えば、20%程度)」がある。現預金は、顧客預金の解約に対する備えであるが、収益性が低いため、現預金の割合が少ない方がよい。
【0016】
優先度(2)としては、「貸出金及び有価証券は、顧客預金のb%(例えば、70%程度)」がある。貸出金及び有価証券は、収益性が高いが、信用リスクがあるため、自己資本比率は低下するためである。そこで、貸出金利、貸出期間で金額を制御する必要がある。
【0017】
優先度(3)としては、「有価証券は、優先度(1)、(2)を除いたc%(例えば、10%程度)」がある。有価証券は、収益性では貸出金に劣後するものの、国債であれば信用リスクはない。そこで、現預金の余剰資金として運用する。
【0018】
また、制約(1)としては、「自己資本比率」に関する規制がある。この自己資本比率規制は、リスクアセットに対する自己資本比率であり、普通株式等のTier1比率が10%程度とする規制である。
【0019】
制約(2)としては、「純資産」に関する規制がある。純資産は総資産の例えば、10%程度とする。この純資産は損失発生時のバッファとして用いる。
制約(3)としては、「流動性カバレッジ比率」に関する規制がある。流動性カバレッジ比率では、30日間のストレス時の資金流出に対応し、流動性が高い資産を確保することである。
【0020】
制約(4)としては、「安定調達比率」に関する規制がある。この安定調達比率は、短期に売却困難な資産に対し、中長期的に安定的な調達を確保することである。
制約(5)は、「IRRBB(銀行の金利リスク)」に関するものである。具体的には、金利リスク(例えば、米ドル・ユーロ:200bp、日本円:100bp金利上昇時)の損失をTier1の15%に限定することである。
【0021】
ユーザ端末10は、銀行の担当者が用いるコンピュータ端末である。
支援サーバ20は、制御部21、学習結果記憶部22を備える。この制御部21は、支援管理部211、学習部212、予測部213、解析部214を備える。
【0022】
支援管理部211は、銀行業務の業務を支援する処理を実行する。具体的には、支援管理部211は、バックエンドシステム40から各種情報を取得し、学習部212や予測部213に提供する。更に、予測部213から予測結果を取得し、ユーザ端末10に出力する。また、支援管理部211は、条件候補リストを保持する。この条件候補リストには、支援処理に用いる複数の預金条件候補、貸出条件候補に関するデータが記録されている。
【0023】
学習部212は、入力層や出力層を構成する各変数からなる教師データを用いて機械学習を行ない、予測モデルを生成する処理を実行する。この学習部212は、多変量解析、機械学習、ディープラーニングにより、各種情報から予測に用いる予測モデルを生成する。
【0024】
予測部213は、学習部212によって生成された予測モデルを用いて、各変数を予測する処理を実行する。
解析部214は、企業の経営活動において、収益が最大になる行動を予測する処理を実行する。解析部214は、現預金を評価するための基準割合に関するデータを保持する。更に、解析部214は、現預金及び顧客預金残高に応じて、投資シミュレーション、調達シミュレーションを実行する。投資シミュレーション、調達シミュレーションにおいては、上述した規制(優先度や制約)を考慮して、シミュレーションを行なう。
【0025】
投資シミュレーションにおいては、余剰している現預金を用いて、有価証券を購入するシミュレーションを行なう。例えば、現在の余剰金で国債を購入した場合の損益を予測する。
【0026】
調達シミュレーションにおいては、不足している現預金を用いて、現金を調達するシミュレーションを行なう。例えば、現在の余剰金でインターバンク金利を用いて現金を調達した場合の損益を予測する。
【0027】
学習結果記憶部22には、顧客の行動を予測するための予測モデルデータが記録される。この予測モデルデータは、顧客状況、外部状況、金利に基づいて、学習を行なった場合に記録される。この学習結果記憶部22には、顧客に関する予測モデルデータが記録される。
【0028】
バックエンドシステム40は、情報記憶システムとして機能する。このため、バックエンドシステム40は、顧客情報記憶部42、口座情報記憶部43、取引情報記憶部44、条件情報記憶部45、外部状況記憶部46、規制情報記憶部47、経営情報記憶部48を備える。
【0029】
図3(a)に示すように、顧客情報記憶部42には、銀行の顧客についての顧客管理レコードが記録されている。顧客管理レコードは、顧客が銀行に口座を開設した場合に登録され、変更時等に更新される。顧客管理レコードには、顧客番号などの顧客識別子、顧客情報、顧客属性、口座識別子に関するデータが記録される。
【0030】
顧客識別子データ領域には、銀行の各顧客を特定するための識別子に関するデータが記録される。
顧客情報データ領域には、この顧客の個人情報(氏名、口座識別子、連絡先、住所等)に関するデータが記録される。
【0031】
顧客属性データ領域には、この顧客の属性(年齢や性別、職種等)に関するデータが記録される。この顧客属性により、顧客が属するセグメントが決まる。この顧客属性は、登録時期や変更時期に関連付けられて記憶される。
【0032】
口座識別子データ領域には、この顧客が保有する口座を特定するための識別子(本支店コード、種別コード、口座番号)に関するデータが記録される。
図3(b)に示すように、口座情報記憶部43には、銀行に開設された預金口座に関する口座管理レコード430が記録される。口座管理レコード430は、銀行に開設された口座の残高状況を統計的に評価したときに記録される。この口座管理レコード430には、評価時期、セグメント、預金種別、預金残高総量に関するデータが記録されている。
【0033】
評価時期データ領域には、銀行に開設された口座を評価した時期(年月日)に関するデータが記録される。
セグメントデータ領域には、顧客属性のセグメントを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0034】
預金種別データ領域には、預金の種類(例えば、普通預金、定期預金等)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
預金残高総量データ領域には、このセグメントに属する顧客が保有する預金種別の全口座の残高の合計額に関するデータが記録される。
【0035】
図3(c)に示すように、取引情報記憶部44には、顧客との取引(本実施形態では貸出)に関する取引管理レコード440が記録される。取引管理レコードは、顧客との間での取引状況を統計的に評価したときに記録される。この取引管理レコードには、評価時期、セグメント、貸出種別、貸出残高総量に関するデータが記録されている。
【0036】
評価時期データ領域には、銀行における貸出を評価した時期(年月日)に関するデータが記録される。
セグメントデータ領域には、顧客属性のセグメントを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0037】
貸出種別データ領域には、貸出の種類(例えば、住宅ローン、カードローン等)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
貸出残高総量データ領域には、このセグメントに属する顧客に対する貸出種別の全貸出の残高の合計額に関するデータが記録される。
【0038】
図3(d)に示すように、条件情報記憶部45には、預金条件管理レコード450や貸出条件管理レコード451が記録される。預金条件管理レコード450や貸出条件管理レコード451は、顧客に提供する金融取引条件(預金条件や貸出条件)が決められた場合に記録される。
【0039】
預金条件管理レコード450には、変更時期、預金種別、預金条件に関するデータが記録される。
変更時期データ領域には、預金条件を変更した年月日に関するデータが記録される。
【0040】
預金種別データ領域には、預金の種類を特定するための識別子に関するデータが記録される。
預金条件データ領域には、変更された預金条件(預金金利、預金期間)に関するデータが記録される。
【0041】
貸出条件管理レコード451には、変更時期、貸出種別、貸出条件に関するデータが記録される。
変更時期データ領域には、貸出条件を変更した年月日に関するデータが記録される。
【0042】
貸出種別データ領域には、貸出の種類を特定するための識別子に関するデータが記録される。ここで、貸出種別データ領域に、貸出を行なう顧客のセグメントや与信スコアに応じた貸出種別を記録するようにしてもよい。
【0043】
貸出条件データ領域には、変更された貸出条件(貸出金利、貸出期間)に関するデータが記録される。
図4(a)に示すように、外部状況記憶部46には、各種外部状況に関するデータが記録される。本実施形態では、外部状況情報として、経済指標情報461、市場情報462、金利情報463を用いる。
【0044】
経済指標情報461には、経済指標情報を取得した時期(年月日)に関連付けて、経済指標に関する情報が記録される。この経済指標としては、例えば、GDP、物価等に関する情報を用いることができる。
【0045】
市場情報462には、市場情報を取得した時期(年月日)に関連付けて、市場情報が記録される。この市場情報としては、例えば、国債(国内・海外)、株式(国内・海外)、為替等に関するインデックス情報を用いることができる。
【0046】
金利情報463には、金利情報を取得した時期(年月日)に関連付けて、金利情報が記録される。この金利情報としては、例えば、自行金利、海外金利、他行金利、インターバンク金利等を用いることができる。
【0047】
図4(b)に示すように、規制情報記憶部47には、各種規制に関する規制情報が記録される。この規制情報は、担当者により規制が登録された場合に記録される。
規制情報には、規制が設定された時期(年月日)に関連付けて、規制(優先度や制約等)に関する情報、すなわち、優先情報471及び制約情報472が記録される。
【0048】
図4(c)に示すように、経営情報記憶部48には、銀行の経営状態を説明するバランスシートを構成する各要素についての各種情報が記録される。本実施形態では、保有有価証券情報481、資金調達情報482、純資産情報483が記録される。
【0049】
保有有価証券情報481には、銀行が保有する有価証券(銘柄、数量、価格)に関する情報が記録される。
資金調達情報482には、銀行が調達した資金(調達先、金額)に関する情報が記録される。
【0050】
純資産情報483には、銀行が保有する純資産(資産内容、価格)に関する情報が記録される。
(ハードウェア構成例)
図2は、ユーザ端末10~バックエンドシステム40等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0051】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0052】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0053】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。
表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0054】
記憶部H14は、ユーザ端末10~バックエンドシステム40の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体又は記憶装置(例えば、学習結果記憶部22、事前準備情報記憶部23、顧客情報記憶部42~経営情報記憶部49)である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0055】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10~バックエンドシステム40における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、銀行業務支援プログラムが起動された場合、後述する図7に示す各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0056】
(支援処理)
図7図8を用いて、支援処理を説明する。
ここでは、図7に示すように、預金条件(変更前後)、貸出条件(変更前後)、外部状況、顧客状況から、借入増減、預金増減を予測する顧客行動予測モデルを算出する。
【0057】
図8に示すように、支援サーバ20の制御部21は、顧客行動の機械学習処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、条件情報記憶部45から預金金利や貸出金利が変更された年月日(金利変更時期)を、評価時期として特定する。そして、支援管理部211は、条件情報記憶部45から、金利変更時期前後の預金条件及び貸出条件を取得する。次に、支援管理部211は、評価時期の外部状況情報を外部状況記憶部46から取得する。ここでは、外部状況として、経済指標情報461、市場情報462、金利情報463を取得する。更に、支援管理部211は、顧客情報記憶部42から、評価時期における顧客管理レコード420に記録された顧客属性(セグメント)を取得し、顧客属性の分布を顧客状況として算出する。次に、支援管理部211は、評価時期前後における口座情報記憶部43に記録された口座残高総量、取引情報記憶部44に記録された貸出残高総量を取得する。そして、支援管理部211は、評価時期後の口座残高総量から評価時期前の口座残高総量を差し引くことにより、預金増減(金額)を算出する。更に、支援管理部211は、評価時期後の貸出残高総量から評価時期前の貸出残高総量を差し引くことにより、貸出増減(金額)を算出する。
【0058】
そして、支援管理部211は、評価時期毎に、預金条件(評価時期前後)、貸出条件(評価時期前後)、外部状況、顧客状況、借入増減、預金増減からなるデータセット(教師データ)を作成する。次に、学習部212は、預金条件~顧客状況を入力層とし、借入増減、預金増減を出力層として、機械学習を行なうことにより、顧客行動予測モデルを算出する。
【0059】
次に、支援サーバ20の制御部21は、学習結果の記録処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部21の学習部212は、生成した顧客行動予測モデルを学習結果記憶部22に記録する。
【0060】
次に、支援サーバ20の制御部21は、現在状況の設定処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、外部状況記憶部46から、現在の外部状況を取得する。更に、支援管理部211は、顧客情報記憶部42から、現在の顧客管理レコード420に記録された顧客属性(セグメント)を取得し、顧客属性の分布を顧客状況として算出する。そして、予測部213は、現在の外部状況及び顧客状況を、顧客行動予測モデルの入力層に設定する。
【0061】
次に、支援サーバ20の制御部21は、条件の仮設定処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、現在の預金条件、貸出条件に対して、新たな預金条件候補、貸出条件候補を、条件候補リストから取得する。そして、予測部213は、現在の預金条件、貸出条件、及び取得した預金条件候補、貸出条件候補を、顧客行動予測モデルの入力層に設定する。
【0062】
次に、支援サーバ20の制御部21は、増減の予測処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御部21の予測部213は、顧客行動予測モデルを用いて、出力層の預金増減、借入増減を算出する。
【0063】
次に、支援サーバ20の制御部21は、現預金と顧客預金の評価処理を実行する(ステップS1-6)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、予測部213が算出した預金増減、借入増減に基づいて、現在の顧客預金、現預金の残高を更新する。そして、解析部214は、顧客預金に対して現預金の割合を算出し、基準割合と比較する。
【0064】
ここで、現預金の割合が基準割合以上の場合には、支援サーバ20の制御部21は、投資シミュレーション処理を実行する(ステップS1-7)。具体的には、制御部21の解析部214は、外部サイトから購入可能な有価証券情報を取得し、投資を行なった場合の資金計算を行なう。この場合、規制情報記憶部47に記録されている各種規制(優先度や制約)を満たすように、投資金額を計算する。
【0065】
一方、現預金の割合が基準割合未満の場合には、支援サーバ20の制御部21は、調達シミュレーション処理を実行する(ステップS1-8)。具体的には、制御部21の解析部214は、外部サイトから利用可能な調達情報を取得し、調達を行なった場合の資金計算を行なう。この場合、規制情報記憶部47に記録されている各種規制(優先度や制約)を満たすように、調達シミュレーションを行なう。
【0066】
次に、支援サーバ20の制御部21は、バランスシートの評価処理を実行する(ステップS1-9)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、シミュレーション結果をバランスシートに適用する。更に、支援管理部211は、経営情報記憶部48に記録されている各種情報をバランスシートに設定する。次に、支援管理部211は、投資シミュレーション処理(ステップS1-7)、調達シミュレーション処理(ステップS1-8)によるシミュレーション結果をバランスシートに適用する。そして、支援管理部211は、算出したバランスシートを、預金条件、貸出条件に関連付けて仮記憶する。
【0067】
次に、支援サーバ20の制御部21は、終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-10)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、条件の仮設定処理(ステップS1-4)において、条件候補リストに記録されているすべての預金条件候補、貸出条件候補を使用した場合には、評価処理を終了と判定する。一方、条件候補リストにおいて、まだ使用していない預金条件候補や貸出条件候補が残っている場合には、終了でないと判定する。
【0068】
終了でないと判定した場合(ステップS1-10において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、条件の仮設定処理(ステップS1-4)以降の処理を繰り返す。
終了と判定した場合(ステップS1-10において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、出力処理を実行する(ステップS1-11)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、仮記憶したバランスシートにおいて、優先度や制約を満たすバランスシートを特定し、この場合の預金条件及び貸出条件を、ユーザ端末10に出力する。そして、出力されたバランスシートを用いて、目標値(収益が最大)となる金融取引条件を特定する。
【0069】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、顧客行動の機械学習処理を実行する(ステップS1-1)。評価時期毎に、預金条件、貸出条件、外部状況、顧客状況、借入増減、預金増減からなるデータセット(教師データ)を作成する。次に、学習部212は、預金条件~顧客状況を入力層、借入増減、預金増減を出力層として、機械学習を行なうことにより、顧客行動予測モデルを算出する。これにより、預金条件、貸出条件を入力層に用いることで、金融取引条件を変更した場合の借入増減、預金増減を予測することができる。
【0070】
外部状況を入力層に用いることにより、外部状況を考慮した借入増減、預金増減を予測することができる。
顧客状況を入力層に用いることにより、顧客状況を考慮した借入増減、預金増減を予測することができる。
【0071】
(1-2)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、条件の仮設定処理(ステップS1-4)、増減の予測処理(ステップS1-5)を実行する。これにより、金融取引条件候補を用いて、預金や貸出の増減を予測することができる。
【0072】
(1-3)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、現預金と顧客預金の評価処理を実行する(ステップS1-6)。現預金の割合が高い場合には、支援サーバ20の制御部21は、投資シミュレーション処理を実行する(ステップS1-7)。一方、現預金の割合が低い場合には、支援サーバ20の制御部21は、調達シミュレーション処理を実行する(ステップS1-8)。これにより、現預金の残高の適正化を図ることができる。
【0073】
この場合、規制情報記憶部47に記録されている各種規制(優先度や制約)を満たすように、シミュレーションを行なう。これにより、経営における優先度や銀行における規制を考慮したシミュレーションを行なうことができる。
【0074】
(1-4)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、バランスシートの評価処理(ステップS1-9)、出力処理(ステップS1-11)を実行する。これにより、金融取引条件を変更した場合のバランスシート上の影響を評価することができる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、図9図10に従って、銀行業務支援システム、銀行業務支援方法及び銀行業務支援プログラムを具体化した第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の顧客行動の予測方法を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。第1の実施形態では、預金条件~顧客状況を入力層、借入増減、預金増減を出力層として、機械学習を行なうことにより、顧客行動予測モデルを算出する。
【0076】
第2の実施形態では、図9に示すように、預金条件(変更前)、貸出条件(変更前)、外部状況、顧客状況において、目標とする借入増減、預金増減を得るための預金条件(変更後)、貸出条件(変更後)を予測する顧客行動予測モデルを算出する。
【0077】
図10に示すように、支援サーバ20の制御部21は、顧客行動の機械学習処理を実行する(ステップS2-1)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、ステップS1-1と同様に、バックエンドシステム40から、評価時期毎に取得した情報に基づいて、預金条件、貸出条件、外部状況、顧客状況、借入増減、預金増減からなるデータセット(教師データ)を作成する。次に、学習部212は、預金条件(変更前)、貸出条件(変更前)、借入増減、預金増減、外部状況、顧客状況を入力層とし、預金条件(変更後)、貸出条件(変更後)を出力層として、機械学習を行なうことにより、顧客行動予測モデルを算出する。
【0078】
まず、支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-2と同様に、学習結果の記録処理を実行する(ステップS2-2)。
次に、支援サーバ20の制御部21は、バランスシートの評価処理を実行する(ステップS2-3)。具体的には、制御部21の解析部214は、経営情報記憶部48から各種情報を取得し、バランスシートに入力する。次に、解析部214は、バランスシートの各項目を所定の変動幅で調整し、目標とするバランスシート(目標バランスシート)を作成する。この目標バランスシートにおいては、例えば、規制情報記憶部47に記録された優先項目や制約を満たしながら、収益が最大になるバランスシートである。
【0079】
次に、支援サーバ20の制御部21は、バランスシートから現預金の目標額設定処理を実行する(ステップS2-4)。具体的には、制御部21の解析部214は、目標のバランスシートにおける顧客預金と、現在のバランスシートにおける顧客預金との差額から預金増減を算出する。更に、解析部214は、目標のバランスシートにおける貸出金と、現在のバランスシートにおける貸出金との差額から借入増減を算出する。
【0080】
次に、支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-3と同様に、現在状況の設定処理を実行する(ステップS2-5)。
次に、支援サーバ20の制御部21は、金融取引条件の予測処理を実行する(ステップS2-6)。具体的には、制御部21の予測部213は、ステップS2-4において算出した預金増減、借入増減を顧客行動予測モデルに入力する。そして、予測部213は、顧客行動予測モデルを用いて、預金条件、貸出条件を算出する。
【0081】
次に、支援サーバ20の制御部21は、出力処理を実行する(ステップS2-7)。具体的には、制御部21の支援管理部211は、算出した預金条件(変更後)及び貸出条件(変更後)を、ユーザ端末10に出力する。
【0082】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、顧客行動の機械学習処理を実行する(ステップS2-1)。ここでは、学習部212は、預金条件(変更前)、貸出条件(変更前)、借入増減、預金増減、外部状況、顧客状況を入力層とし、預金条件(変更後)、貸出条件(変更後)を出力層として、機械学習を行なうことにより、顧客行動予測モデルを算出する。これにより、目標バランスシートを実現するための金融取引条件を、予測することができる。
【0083】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1の実施形態では、預金条件、貸出条件を変更することにより、最適化されたバランスシートを検索する。これに代えて、よりよいバランスシートを算出するための銀行行動についても機械学習により予測するようにしてもよい。この場合には、銀行の外部状況情報、現預金、銀行行動パターン(資金調達又は投資)、バランスシートの評価結果を含む教師データを用い、銀行行動パターンとバランスシートの評価結果とを関連付ける銀行行動予測モデルを生成する。更に、金融取引の規制情報を入力層に用いて、銀行行動予測モデルを生成するようにしてもよい。
【0084】
・上記各実施形態では、金融取引条件を用いて、顧客行動としての金融取引(預金と借入)を予測する。金融取引は、預金、借入に限定されるものではなく、いずれか一方や他の取引と組み合わせてもよい。例えば、銀行が提供する商品やサービスを用いて、顧客行動を予測するようにしてもよい。この場合には、バックエンドシステム40に、サービス情報記憶部や商品情報記憶部を設け、サービスや商品の提供条件や提供状況に関する履歴情報を記録する。そして、サービスや商品の提供条件や提供状況情報をデータセットとする教師データとして用いて機械学習を行ない、顧客行動モデルを算出する。
【0085】
・上記各実施形態では、自行の情報を用いて、教師データを作成する。これに加えて、他行の情報を含めて、機械学習を行なうようにしてもよい。ここで、他行より入手できない情報については、自行の情報を用いて補完する。例えば、顧客情報については、他行支店の位置情報を取得し、他行支店に近隣に存在する自行支店の顧客情報により代用する。
【0086】
・上記各実施形態では、外部状況情報をバックエンドシステム40に記録する。外部状況情報は、情報提供サイト等の外部システムから取得するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、ユーザ端末10、支援サーバ20、バックエンドシステム40を用いる。ハードウェア構成は、これに限定されるものではない。例えば、これらを一体で構成してもよい。
【0087】
・制御部21は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部21は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部21は、〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0088】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
〔a〕時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
ユーザ端末及び前記情報記憶システムに接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムであって、
前記制御部が、
前記情報記憶システムから、同一時期の外部状況情報、金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況を取得し、
前記取得した情報をデータセットとする教師データを用いて機械学習を行ない、金融取引条件と金融取引状況とを関連付ける顧客行動予測モデルを生成し、
現在の外部状況及び顧客状況に対して、前記顧客行動予測モデルを用いて、取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出することを特徴とする銀行業務支援システム。
〔b〕前記金融取引条件として、金利を用いることを特徴とする〔a〕に記載の銀行業務支援システム。
〔c〕前記金融取引には、預金と貸出の少なくとも一方を含み、
前記金融取引状況としての預金状況と貸出状況に基づいて、銀行の経営状況を予測することを特徴とする〔a〕又は〔b〕に記載の銀行業務支援システム。
〔d〕銀行の資産状況を記憶する経営情報記憶部を更に備え、
前記制御部が、
前記経営情報記憶部に記憶した資産状況に基づいて算出した資金調達及び投資の金額を取得し、
前記資金調達及び投資の金額に基づいてバランスシートを算出することを特徴とする〔a〕~〔c〕のいずれか一項に記載の銀行業務支援システム。
〔e〕前記制御部が、
目標バランスシートを取得し、前記目標バランスシートにおける資金調達又は投資の金額を特定し、
前記金額に基づいて、前記金融取引状況の目標値を算出することを特徴とする〔a〕~〔d〕のいずれか一項に記載の銀行業務支援システム。
〔f〕前記制御部が、銀行の外部状況情報、現預金、銀行行動パターン、バランスシートの評価結果を含む教師データを用い、銀行行動パターンとバランスシートとを関連付ける銀行行動予測モデルを生成することを特徴とする請求項〔e〕に記載の銀行業務支援システム。
〔g〕前記情報記憶システムは、金融取引の規制情報を更に記憶し、
前記制御部が、前記情報記憶システムに記憶された金融取引の規制情報を用いて、銀行行動を予測することを特徴とする〔a〕~〔f〕のいずれか一項に記載の銀行業務支援システム。
〔h〕時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
ユーザ端末及び前記情報記憶システムに接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムを用いて、銀行業務を支援するための方法であって、
前記制御部が、
前記情報記憶システムから、同一時期の外部状況情報、金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況を取得し、
前記取得した情報をデータセットとする教師データを用いて機械学習を行ない、金融取引条件と金融取引状況とを関連付ける顧客行動予測モデルを生成し、
現在の外部状況及び顧客状況に対して、前記顧客行動予測モデルを用いて、取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出することを特徴とする銀行業務支援方法。
〔i〕時期毎に、金融取引の金融取引条件と、顧客状況情報と、顧客との間での金融取引状況を含む履歴情報と、外部状況情報とを記憶する情報記憶システムと、
ユーザ端末及び前記情報記憶システムに接続される制御部とを備えた銀行業務支援システムを用いて、銀行業務を支援するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記情報記憶システムから、同一時期の外部状況情報、金融取引条件、顧客状況情報、金融取引状況を取得し、
前記取得した情報をデータセットとする教師データを用いて機械学習を行ない、金融取引条件と金融取引状況とを関連付ける顧客行動予測モデルを生成し、
現在の外部状況及び顧客状況に対して、前記顧客行動予測モデルを用いて、取引状況の目標値に対応する金融取引条件を算出する手段として機能させることを特徴とする銀行業務支援プログラム。
【符号の説明】
【0089】
10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、22…学習結果記憶部、211…支援管理部、212…学習部、213…予測部、214…解析部、40…バックエンドシステム、42…顧客情報記憶部、43…口座情報記憶部、44…取引情報記憶部、45…条件情報記憶部、46…外部状況記憶部、47…規制情報記憶部、48…経営情報記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10