(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】組織を撮像するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61B5/055 312
A61B5/055 380
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019114786
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2019-08-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-08
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508135530
【氏名又は名称】アスペクト イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル ピーター
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-30909(JP,A)
【文献】特開2010-158459(JP,A)
【文献】Bartha R.et al.,“In Vivo 1H2O T2* Measurement in the Human Occipital Lobe at 4T and 7T by Carr-Purcell MRI: Detection of Microscopic Susceptibility Contrast”,Magn.Reson.Med.,2002年,Vol.47, No.4,p.742-750
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20 - 33/64
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴撮像(MRI)装置を用いて、局所磁化率の変化を有する組織内の一部を検出する方法であって、前記MRI装置は、従来の磁化率強調撮像が前記MRI装置を用いて実行される場合に、局所磁化率の変化によって引き起こされる位相シフトが、そのような局所磁化率の変化の検出の信頼性が低い従来の磁化率強調撮像をレンダリングする不均質な磁場によって引き起こされる位相シフトに比べてより小さくなるような、不均質な磁場を有し、前記方法は、以下のステップ:
前記MRI装置によって、前記組織に第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送するステップであって、前記第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスと第1のエコー時間(TE)値とを含む、ステップ;
前記MRI装置によって、前記組織の第1の画像を得るステップ;
前記MRI装置によって、第2のスピンエコーパルスシーケンスを前記組織に伝送するステップであって、前記第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスと第2のTE値とを含む、ステップ;
前記MRI装置によって、前記組織の第2の画像を得るステップ;
前記組織の前記第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する前記組織の前記第2の画像内の1つ以上の位置を決定するステップ;
前記組織の前記第2の画像内の決定された1つ以上の位置に基づいて、様々な局所磁化率を有する組織の一部を同定するステップ、を含み、
再焦点パルスの前記第1の数と再焦点パルスの前記第2の数とは異なる
が、前記第1のTE値および前記第2のTE値を含む他の全ての取得パラメータは同じであるかまたは実質的に同じである、方法。
【請求項2】
前記組織の部分を同定することは、前記第1の
スピンエコーパルスシーケンスおよび前記第2の
スピンエコーパルスシーケンスの有効TEが同一である前記組織内の位置を同定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組織の部分を同定することは、前記組織の前記第1の画像および前記組織の前記第2の画像に補正マトリックスを適用することをさらに含み、前記補正マトリックスは、前記MRI装置を使用して撮影された少なくとも2つの較正画像に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
再焦点パルスの前記第1の数は、再焦点パルスの前記第2の数よりも少ない、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
再焦点パルスの前記第2の数は、再焦点パルスの前記第1の数よりも少ない、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
内部感受性勾配のないファントムから1つ以上の較正画像を取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ:
前記1つ以上の較正画像に基づいて補正マトリックスを生成するステップ;ならびに
前記生成した補正マトリックスを、前記組織の前記第1の画像および前記組織の前記第2の画像のうちの少なくとも1つに適用するステップ
をさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記組織が脳である、請求項
3に記載の方法。
【請求項9】
前記MRIが永久磁石MRIである、請求項
3に記載の方法。
【請求項10】
前記組織の前記同定した部分をディスプレイに伝送するステップをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項11】
前記組織の前記第1の画像と前記組織の前記第2の画像との間の信号強度差は、局所磁化率勾配の強度によって引き起こされる、請求項
3に記載の方法。
【請求項12】
以下のステップ:
画像マスクを生成するステップ;
前記組織の前記第1の画像および前記組織の前記第2の画像を緩和時間T2で重み付けするステップ;ならびに
前記組織の重み付けした前記第1の画像および前記組織の前記第2の画像上に画像マスクを重ね合わせるステップ
をさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のスピンエコーパルスシーケンスおよび前記第2のスピンエコーパルスシーケンスのうちの少なくとも1つは、3次元シーケンスである、請求項
3に記載の方法。
【請求項14】
前記組織に高速スピンエコーシーケンスを適用して前記組織の読み取りを得るステップをさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項15】
前記高速スピンエコーシーケンスを適用する前の所定の期間中に複数のスピンエコーパルスシーケンスを適用するステップをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
局所磁化率の変化を有する組織内の部分を検出するためのシステムであって、前記システムは磁気共鳴撮像(MRI)装置を含み、前記MRI装置は、従来の磁化率強調撮像が前記MRI装置を用いて実行される場合に、局所磁化率の変化によって引き起こされる位相シフトが、そのような局所磁化率の変化の検出の信頼性が低い従来の磁化率強調撮像をレンダリングする不均質な磁場によって引き起こされる位相シフトに比べてより小さくなるような、不均質な磁場を有し、前記MRI装置は:
前記組織に第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送し、前記第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスと第1のエコー時間(TE)値とを含み;
前記組織の第1の画像を得;
第2のスピンエコーパルスシーケンスを前記組織に伝送し、前記第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスと第2のTE値とを含み;
前記組織の第2の画像を得;
前記組織の前記第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する前記組織の前記第2の画像内の1つ以上の位置を決定し;
前記組織の前記第2の画像内の決定された1つ以上の位置に基づいて、様々な局所磁化率を有する組織の一部を同定する、ように構成され、
再焦点パルスの前記第1の数と再焦点パルスの前記第2の数とは異なる
が、前記第1のTE値および前記第2のTE値を含む他の全ての取得パラメータは同じであるかまたは実質的に同じである、システム。
【請求項17】
局所磁化率の変化を有する組織内の一部を検出するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに:
磁気共鳴撮像(MRI)の1つ以上のコンポーネントに対して、前記組織に第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送することであって、前記第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスと第1のエコー時間(TE)値とを含み、前記MRI装置は、従来の磁化率強調撮像が前記MRI装置を用いて実行される場合に、局所磁化率の変化によって引き起こされる位相シフトが、そのような局所磁化率の変化の検出の信頼性が低い従来の磁化率強調撮像をレンダリングする不均質な磁場によって引き起こされる位相シフトに比べてより小さくなるような、不均質な磁場を有している、第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送すること;
前記組織の第1の画像を得ること;
第2のスピンエコーパルスシーケンスを前記組織に伝送することであって、前記第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスと第2のTE値とを含む、第2のスピンエコーパルスシーケンスを伝送すること;
前記組織の第2の画像を得ること;
前記組織の前記第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する前記組織の前記第2の画像内の1つ以上の位置を決定すること;
前記組織の前記第2の画像内の決定された1つ以上の位置に基づいて、様々な局所磁化率を有する組織の一部を同定すること、
を実行させる命令を含み、
再焦点パルスの前記第1の数と再焦点パルスの前記第2の数とは異なる
が、前記第1のTE値および前記第2のTE値を含む他の全ての取得パラメータは同じであるかまたは実質的に同じである、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月20日に出願された米国仮通し番号62/687,513号および2018年8月28日に出願された同第62/723,703号の利益を主張し、それらを全て参照によりそれらの全体において本明細書に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、磁気共鳴撮像(MRI)装置を用いて組織を撮像することに関する。より詳細には、本発明は、MRI装置を用いて組織内の局所感受性変動を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脳の大量出血は常磁性であり得、周囲の組織とは明らかに異なる磁化率を有し得る。出血を有する脳のMRI画像を撮影する場合、出血は、例えば、出血の場所における局所内部磁場勾配の存在に起因する脳の非出血領域と比較して、信号励起と検出されたエコー信号(TE)の発生との間に十分に長い時間(例えば、10~40ms)を有するグラジエントエコー(GRE)シーケンスで得られた画像(例えば、T2*強調画像)で典型的により暗く見える(例えば、低強度)。しかし、MRI画像における低強度の単なる出現は、他の要因がMRI画像における低強度を引き起こし得るため、出血を宣言するには典型的に十分ではない。例えば、短いT2緩和時間(例えば、100ms以下)を有する組織も、低強度に見えることがある。
【0004】
MRI画像における低強度領域が出血に起因するかどうかを決定するための現在の方法は、典型的には、感受性強調画像(SWI)を含む。出血の部位は、常磁性中心を示し得る局所的な相変化を同定することによって同定できる。出血の位置は、符号(例えば、負の位相)、規模(例えば、所定の値を超える)、および/または空間周波数(例えば、短い距離にわたり生じる変化)によって同定できる。SWIは、GREシーケンスおよび位相マップを用いて得られたMRI画像の規模を組み合わせることを含むことができる。
【0005】
脳出血を同定するためのSWIの1つの困難性は、出血によって引き起こされる局所的な位相シフトが、主磁石の不均質な場によって引き起こされる位相シフトと比較して、非常に小さい(例えば、10度の程度の位相シフト)可能性があるという事実を含み得る。したがって、不均質な磁場で取得したMRIでは、主磁場の不均質性が局所的勾配を隠し、出血の検出を困難にすることがある。したがって、組織内の局所的な磁化率の変化(例えば、脳内の出血)を確実に検出することが所望され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、磁気共鳴撮像(MRI)デバイスを使用して、局所磁化率の変化を有する組織内の部分を検出することを含み、例えば、MRIデバイスによって、第1のスピンエコーパルスシーケンスを組織に伝送することを含み、第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスおよび第1のエコー時間(TE)値を含み、MRIデバイスによって、組織の第1の画像を取得し、MRIデバイスによって、第2のスピンエコーパルスシーケンスを組織に伝送し、第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスおよび第2のTE値を含み、MRIデバイスによって、組織の第2の画像を取得し、組織の第1の画像内の同じ1つ以上の場所の信号強度とは異なる信号強度を有する組織の第2の画像内の1つ以上の場所を決定し、組織の第2の画像内の決定された1つ以上の場所に基づいて、変化した局所磁化率を有する組織の部分を同定する。
【0007】
いくつかの実施形態では、再焦点パルスの第1の数と再焦点パルスの第2の数とは異なる。いくつかの実施形態において、第1のTE値と第2のTE値とは異なる。いくつかの実施形態において、組織の部分を同定することは、第1のパルスシーケンス及び第2のパルスシーケンスの有効TEが同一である組織内の位置を同定することを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、組織の一部を同定することは、組織の第1の画像および組織の第2の画像に補正マトリックスを適用することを含むことができ、補正マトリックスは、MRI装置を使用して撮影された少なくとも2つの較正画像に基づく。いくつかの実施形態において、再焦点パルスの第1の数は、再焦点パルスの第2の数よりも少ない。いくつかの実施形態において、再焦点パルスの第2の数は、再焦点パルスの第1の数よりも少ない。いくつかの実施形態では、内部感受性勾配のないファントムから1つ以上の較正画像を取得することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、補正マトリックスを、1つ以上の較正画像に基づいて生成することができ、生成された補正マトリックスを、組織の第1の画像および組織の第2の画像のうちの少なくとも1つに適用することができる。ある実施形態において、組織は脳である。いくつかの実施形態において、MRIは、永久磁石MRIである。いくつかの実施形態において、組織の同定された部分は、ディスプレイに伝送され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、組織の第1の画像と組織の第2の画像との間の信号強度差は、局所磁化率勾配の強度によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、画像マスクを生成することができ、組織の第1の画像および組織の第2の画像を緩和時間T2で重み付けすることができ、画像マスクを、組織の重み付けされた第1の画像および組織の第2の画像上に重ね合わせることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のスピンエコーパルスシーケンスおよび第2のスピンエコーパルスシーケンスのうちの少なくとも1つを、3次元シーケンスとすることができる。いくつかの実施形態では、高速スピンエコーシーケンスを組織に適用して、組織の読み取り値を得ることができる。いくつかの実施形態では、複数のスピンエコーパルスシーケンスを、高速スピンエコーシーケンスを適用する前の所定の期間の間に適用することができる。
【0012】
実施形態は、例えば、磁気共鳴撮像(MRI)デバイスを含む、局所磁化率の変化を有する組織内の部分を検出するためのシステムを含み、第1のスピンエコーパルスシーケンスを組織に伝送するためであり、第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスおよび第1のエコー時間(TE)値を含み、組織の第1の画像を取得し、第2のスピンエコーパルスシーケンスを組織に伝送し、第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスおよび第2のTE値を含み、組織の第2の画像を取得し、組織の第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する組織の第2の画像内の1つ以上の位置を決定し、組織の第2の画像内の決定された1つ以上の位置に基づいて、変化した局所磁化率を有する組織の部分を同定する。
【0013】
実施形態は、コンピュータによってプログラムが実行されるとき、前記コンピュータに、局所磁化率の変化を有する組織内の部分を検出するように磁気共鳴撮像(MRI)装置に命令させる命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、例えば、前記MRI装置によって、前記組織に第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送し、前記第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスと第1のエコー時間(TE)値とを含むステップ、前記MRI装置によって、前記組織の第1の画像を得るステップ、前記MRI装置によって、第2のスピンエコーパルスシーケンスを前記組織に伝送し、前記第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスと第2のTE値とを含むステップ、前記MRI装置によって、前記組織の第2の画像を得るステップ、前記組織の前記第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する前記組織の前記第2の画像内の1つ以上の位置を決定するステップ、前記組織の前記第2の画像内の決定された1つ以上の位置に基づいて、様々な局所磁化率を有する組織の一部を同定するステップを含む、前記コンピュータプログラム製品を含む。
【0014】
本開示の実施形態の非限定的な例を、このパラグラフの後に列挙される本明細書に添付の図を参照して以下に記載する。図に示す特徴の寸法を、提示の便宜および明確性のために選択し、必ずしも縮尺通りには示さない。
【0015】
本発明とみなされる主題を、明細書の結論部分において特に指摘し、明確に特許請求する。しかしながら、本発明は、その構成、動作方法、およびその目的、特徴および利点の両方に関して、添付の図面とともに読まれるときに以下の詳細な説明を参照することにより理解することができる。本発明の実施形態を、添付図面の図に限定ではなく例として示し、同様の参照番号は、対応する、類似の、または同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるスピンエコーMRIのためのパルスシーケンスを概略的に示す図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて、局所的な磁化率の変化を有する組織内の一部を検出するための方法のフローチャートを示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて、局所的な磁化率の変化を有する組織内の一部を検出するための方法のフローチャートを示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織(例えば、試料組織)の画像の例を示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織(例えば、試料組織)の画像の例を示す。
【
図3C】
図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、
図3Aおよび3BのMRI画像から決定される所望の局所感受性特異性MRI画像を示す。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織のMRI画像の例を示す。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織のMRI画像の例を示す。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、スピンエコーMRIのための別のパルスシーケンスを示す。
【0017】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図に示す要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法を、明確にするために他の要素に対して誇張することがある。さらに、適切と考えられる場合、参照符号を、対応するまたは類似の要素を示すために、図の中で繰り返すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細について述べる。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特定の詳細がなくても実施され得ることを理解するであろう。他の例において、周知の方法、手順、および成分、モジュール、ユニット、および/または回路は、本発明を不明瞭にしないように、詳細には記載しない。一実施形態に関して説明したいくつかの特徴または要素を、他の実施形態に関して説明した特徴または要素と組み合わせることができる。分かりやすくするために、同一または類似の特徴または要素の考察は、繰り返さないことがある。
【0019】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」などの用語を利用する考察は、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電子コンピューティングデバイスの、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量(例えば、電子的)として表されるデータを、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量として同様に表される他のデータに操作および/または変換する操作(複数可)および/またはプロセス(複数可)、あるいは操作および/またはプロセスを実行し得る命令を格納し得る他の情報非一時的記憶媒体を指し得る。本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、本明細書で使用する「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」という用語は、例えば、「複数(multiple)」または「2つ以上」を含み得る。用語「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」を、2つ以上の成分、装置、要素、単位、パラメータなどを記述するために、明細書全体を通じて使用することがある。用語「組」は、本明細書で使用する場合、1以上の項目を含み得る。明示的に述べない限り、本明細書に記載する方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。さらに、記載した方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に(simultaneously)、同じ時点で、または同時に(concurrently)存在し得るか、または実行され得る。
【0020】
本発明の利点は、組織内の局所磁化率変化、例えば、脳内の出血によって引き起こされる局所磁化率を検出する能力を含むことができる。
【0021】
物体の磁気共鳴画像を得るとき、不均一な磁場(例えば、B
0場)の存在下で、物体内にスピンエコー減衰が存在し得る。緩和時間T2は、スピンエコー(SE)パルスシーケンスにおける横磁化の減衰(例えば、信号強度対エコー時間(TE))を示すことができる。減衰は、下記の式番号1に示すように、指数関数的であり得る。
【数1】
式中、Aはエコータイム(TE)で測定された信号強度であり、A
0は利用可能な信号強度であり、例えば、スピン密度および/またはMRIを撮影する物体の他のパラメータおよび/またはパルスシーケンスに依存し得る。パラメータおよび/または変数の式番号1は、局所値であり得、言い換えれば、それらは、空間座標(x,y,z)の関数であり得る。
【0022】
スピンエコーパルスシーケンスにおいて、シグナルは、励起パルス(例えば、90°のフリップ角)によって生成され得、これに、一連のn(n≧1)個の再集束パルス(例えば、180°のフリップ角)が続き得る。簡略化のために、一実施形態では、再焦点パルスは、180°反転角度を有すると仮定することができる。この例では、各再焦点パルスは、エコー信号を生成することができる。エコー信号は、エコーピークが発生するたびに、式番号1に従う強度を有することができる。エコー時間(TE)は、励起パルスとエコー信号のピークとの間の時間であり得る。
【0023】
図1を参照して、それは、本発明のいくつかの実施形態によるスピンエコーMRIのためのパルスシーケンスを概略的に示す。励起パルス110は、MRI装置100によって生成することができ、その後に再焦点パルス120が続く。再焦点パルス120が生成されると、MRIは信号130を検出することができる。再集束パルス120を、「N」回繰り返すことができ、「N」は1より大きい整数である。エコー時間(TE)は、励起パルスと検出信号との間の時間であり得る。また、
図1のパルスシーケンスは、単一SEパルスシーケンス、複数SEパルスシーケンス、および/または高速SE(FSE)パルスシーケンスの基礎を形成することもできる。FSEパルスシーケンスに対して、各エコーは、(全てのエコーが同じ位相符号化勾配を経験するSEパルスシーケンスとは対照的に)異なる位相符号化を有することができ、単一のMRI画像を、全てのエコーから再構成することができる。FSEにおけるコントラストを、「kスペース」の中心における1つのエコー(例えば、ゼロ位相符号化で獲得されたエコー)によって決定することができる。
【0024】
緩和時間T2の数値は、磁場B0の均質性および/またはT2を測定するために使用する特定のパルス列の細部に依存し得る。スピンエコーの現象は、信号励起パルスと信号再焦点パルスとの間の観測体積内の核のそれぞれの共鳴周波数が、再焦点パルスとエコーの形成との間の周波数と同一であり得るという事実に依存し得る。しかし、この条件は、例えば、核が、2つの時間間隔(例えば、時間間隔は再焦点パルスの前および後の期間である)の間で不均一なB0場内を移動する場合には当てはまらないことがある。(例えば、拡散および/または流動により)移動する核の存在下では、信号再集束は不完全であり得、および/またはエコー信号の振幅は、(例えば、式番号1によって示唆され得るように)移動する核なしで生じるT2の値のみを考慮することから予想されるよりも低くなり得る。
【0025】
不均一なB
0場における核スピンの拡散を考慮に入れると、式番号1に示す通りということになるエコーの減衰を記述する式を、次のように修正することができる。
【数2】
式中、「HE」は、「Hahn Echo」であり、これは、式番号2が、励振パルス(
図1における「N」=1に対応する)の後の時間TE/2において適用することができる、単一の180°再焦点パルスに続くエコーシグナル強度を記述することができることを示すことができる。パラメータ「D」は、分子自己拡散係数であり、「g」は、局所場勾配の値である(例えば、空間におけるB
0場の変化が線形であると仮定して)。式番号2の指数における第2項を無視すると、エコー強度の減衰は、式番号1によって記述されたものと同じになる。第2項を無視することは、「D」および/または「g」が小さい場合、および信号が測定される時間TEが短い場合に正当化され得る。しかし、第2項の規模が有意である(または優性でさえある)場合、エコー振幅の減衰は、もはや指数関数的ではなく、B
0の局所的不均一性によって強く影響を受けることがある。様々なシナリオにおいて、「B
0の局所的不均一性」は、磁石の固有の場および/または場の不均一性(例えば、試料中および/または試料-空気界面における磁化率勾配による)に起因する可能性がある。
【0026】
MRI測定に関する別の考慮事項は、緩和時間T2に対する核の効果タイプ、分子環境および/または温度であり得る。式番号2を見れば分かるように、変化する時間で単一のエコー信号を生成することによってT2を測定した結果、T2の不正確さおよび/またはT2測定値を得るにあたっての困難がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、再焦点パルスの印加を(例えば、等間隔で)繰り返すことにより、式番号2の第2項の効果を低減することができるエコー信号の系列(例えば、または「トレイン」)が生成され得る。いくつかの実施形態では、再焦点パルスの印加を繰り返すことは、「Carr-Purcell-Meiboom-Gill」(CPMG)エコートレインパルスシーケンスに従って行うことができ、例えば、任意の核の横断またはスピン-スピンT2緩和時間を測定する。これらの実施形態では、TEの変化する値で複数のエコーを検出することができる。いくつかの実施形態において、「N」個の再焦点パルスを、例えば、
図1において示すように、n個のエコー信号を検出および/または測定するために適用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、式番号2の第2項の寄与を、例えば、下記の式番号4に示すように、再焦点パルスの数を増加させることによって低減することができる:連続する再焦点パルスと再焦点エコー信号との間の時間間隔を、IED(inter-echo-delay)によって表す。励起パルスと第1の再集束パルスの間の時間は、IED/2に等しい。トレイン内の各エコーのエコー時間TEは、以下であり得る:
TE=n(IED) 式番号3
【0028】
【0029】
式番号4から分かるように、第2項の相対的寄与(局所的勾配における拡散に起因し得る)を、所与のTE内の再焦点パルス「n」の数を増加させることによって低減することができる(これは、IEDを短縮することと等価であり得る)。第2項の規模が第1項の規模と比較して無視できるいくつかの実施形態では、緩和時間T2を、例えば、場B0が強く不均一であり、TEが長い場合であっても、エコートレインの信号の減衰から正確に(または実質的に正確に)測定することができる。いくつかの実施形態において、T2を、単一のシグナル励起を用いて測定することができる。
【0030】
上記のように、例えば、脳出血を検出するために、強い内部磁場勾配の存在に基づいてMRI画像にコントラストを生成することが望ましいことがある。強度が(T1、T2などのような)あらゆる他の因子による影響を受けることなく(もしくは実質的に影響を受けることなく)局所的勾配(「g」によって表される)の強度に専ら(もしくは実質的に専ら)依存するMRI画像を得ること、ならびに/または内部感受性勾配を強調(highlight)および/または強調(emphasize)するためにT2強調MRI画像に重ね合わせることができる数学的MRI画像マスクを生成することが望ましいことがある。式番号4で検証されるように、MRI画像の信号強度に内部勾配に対する感度の異なるレベルを埋め込むためのIEDの変化量(「n」の変化量と同等とみなすことができる)を使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、2組のMRI画像を取得し、その場合、全ての取得パラメータ(TEを含む)は同じ(または実質的に同じ)であり、再焦点パルス(n)の数のみが異なる。これらの実施形態では、2つのMRI画像の組間の唯一の差(または唯一の実質的な差)は、局所磁化率勾配の強さに起因する。
【0032】
いくつかの実施形態によると、MRI装置を用いて、局所磁化率の変化を有する組織内の特定の関連部分を検出し、例えば、脳出血を検出する。
図2A~2Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置を用いて局所磁化率の変化を有する組織内の一部を検出する方法のフローチャートを示す。
【0033】
この方法は、MRI装置によって、組織に第1のスピンエコーパルスシーケンスを伝送することを含み、第1のスピンエコーパルスシーケンスは、第1の数の再焦点パルスおよび第1のエコー時間(TE)値を含む(ステップ210)。
【0034】
また、この方法は、MRI装置によって、組織の第1の画像を得ることを含む(ステップ220)。
【0035】
この方法はまた、MRI装置によって、第2のスピンエコーパルスシーケンスを組織に伝送することを含み、第2のスピンエコーパルスシーケンスは、第2の数の再焦点パルスおよび第2のエコー時間(TE)値を含む(ステップ230)。
【0036】
また、この方法は、MRI装置によって、組織の第2の画像を得ることを含む(ステップ240)。いくつかの実施形態では、第1の数の再焦点パルスと第2の数の再焦点パルスとは異なる。いくつかの実施形態において、第1のTE値と第2のTE値とは異なる。
【0037】
この方法はまた、組織の第1の画像内の同じ1つ以上の位置の信号強度とは異なる信号強度を有する組織の第2の画像内の1つ以上の位置を決定することを含む(ステップ250)。判定を、MRI装置および/またはコンピュータ処理装置によって行うことができる。
【0038】
この方法はまた、組織の第2の画像内の判定された1つ以上の位置に基づいて、様々な局所磁化率を有する組織の部分を同定することを含む(ステップ260)。局所磁化率変化を有する組織の部分の同定を、画像の代数的後処理の検出によって行うことができる。同定を、MRI装置および/またはコンピュータ処理装置によって行うことができる。
【0039】
様々な実施形態では、第1のスピンエコーパルスシーケンスおよび/または第2のスピンエコーパルスシーケンスは、取得マトリックス64x64x28、スライス厚が1.5mmに等しい、視野(FOV)が32mmに等しい、TRが400msに等しい、およびTEが22.4msに等しい、3次元シーケンスである。
【0040】
様々な実施形態では、再焦点パルスの第1の数は、1から「n」の間であり、「n」は、1より大きい整数である。様々な実施形態では、再焦点パルスの第2の数は、1から「m」の間であり、mは、1より大きい整数である。いくつかの実施形態において、「n」および「m」は異なる。いくつかの実施形態において、「n」は「m」よりも大きい。いくつかの実施形態において、「m」は「n」よりも大きい。
【0041】
いくつかの実施形態において、組織内で検出された局所磁化率変化量のインジケータは、例えば、MRI装置のオペレータによって見るために、ディスプレイに伝送される。
【0042】
様々な実施形態では、任意の数のスキャン(例えば、第1のスピンエコーシーケンス、第2のスピンエコーシーケンス、第3のスピンエコーシーケンス、...、「n」個のスピンエコーシーケンス、ここで「n」は1より大きい整数である)が存在することができる。これらの実施形態では、「n」個のスピンエコーシーケンス内の各スピンエコーシーケンスに対して、再焦点パルスの数は、任意の整数値であり得る。これらの実施形態では、「n」個のスピンエコーシーケンス内の各スピンエコーシーケンスに対して、再焦点パルスの数は、「n」個のスピンエコーシーケンスの各々に対して異なることがある。これらの実施形態では、「n」個のスピンエコーシーケンス内の各スピンエコーシーケンスに対して、TE値は、n個のスピンエコーシーケンスのそれぞれに対して異なることがある。これらの実施形態では、局所磁化率勾配の強度を、非最小二乗適合、「有効」T2またはR2値のマップを作成するための指数関数的適合、主成分分析(PCA)、および/または当技術分野で適切であることが知られている任意の数学的分析に基づいて決定することができる。
【0043】
いくつかのシナリオでは、第1および第2のパルスシーケンス中の無線周波数場は均一性を欠くことがあるため、この方法は、有意なレベル(例えば、ファントム)で内部感受性勾配のない目的から較正MRI画像を取得することと、第1および第2のパルスシーケンス中に受信するMRI画像の各々に適用することができる補正マトリックスを生成するために較正MRI画像を使用することとを含むことができる。補正マトリックスは、撮像中に使用される特定のRFコイルおよび再焦点パルスの数に依存することができるが、典型的には、視野、取得マトリックス、TRおよび/またはTEのような他のパラメータには依存しない。較正は、再焦点パルスの数に対する値の範囲で、各コイルに対して1回行うことができる。無線周波数場の変化量は、典型的には、各走査対象に対して較正が繰り返され得ないように試料依存性ではない。
【0044】
図3A~3Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、MRI装置(例えば、アスペクト撮像によって製造されたMRI装置)上で走査された第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織(例えば、試料組織)のMRI画像の例を示す。試料組織は、長さ37mm、内径10mmの試験管に入れたファントムであり、ゲル1ml当たり酸化鉄粉末44μgの濃度の少量の磁鉄鉱ゲルを用いる。試料上のGRE由来の位相マップは、磁鉄鉱ゲルと背景ゲルとの間のバルク感受性の差(Δχ)が1.0ppmであることを示すことができる。1.0ppmの値は、例えば0.1~1.5ppmの範囲にある出血についてのΔχ値と比較して、特定の出血性病変について推定された値の上限で見ることができる。
【0045】
MRI装置は、1.0テスラの磁場強度を有する永久磁石MRI装置であってもよく、垂直のB0磁場の方向(例えば、円筒状の試料管の長軸に対して垂直)を有する。送信/受信RFコイルは、内径35mmのソレノイドである。
【0046】
図3Aおよび3Bにおいて、MRI画像は、3次元シーケンス、取得マトリックス64x64x28、1.5mmに等しいスライス厚、32mmに等しい視野(FOV)、400msに等しいTR、および22.4msに等しいTEの第1および第2のパルスシーケンスに基づいて得られる。
図3Aの場合、再焦点パルスの数は「n」=4であり、
図3Bの場合、再焦点パルスの数は「m」=1であった。
図3Aの最初のパルスシーケンスでは、エコー間遅延(IED)は5.6msである。
図3Aは、第1のパルスシーケンスのエコートレインの4番目のエコーからのものであり、従って、そのTE=5.6×4=22.4msであり、これは、「m」=1の第2のパルスシーケンスのTEと同一である。
【0047】
図3Aおよび
図3Bに示すように、磁鉄鉱ゲル(実質的な内部勾配が存在する)の信号強度は、「n」=1 MRI画像(
図3A)上では、「n」=4 MRI画像(
図3B)と比較してはるかに低く、一方周囲のゲル(勾配がはるかに弱い)の強度は、実質的に同一である。この特定の例において、信号強度は、2つの走査間で定量的に比較可能である。したがって、2つの走査間の正規化された差(dn)を示すMRI画像を、次のように定義することができる。
【数4】
【0048】
本発明のいくつかの実施形態による、
図3Aおよび3BのMRI画像から決定される所望の局所感受性特異性MRI画像を示す
図3Cを、参照する。
図3Cにおいて、十分に強い内部勾配を有する領域のみが、0より大きいdn画素値(例えば、MRI画像の画素における強度)を示し、一方、全ての他の領域は、それらの組織タイプ、緩和時間などに関係なく、0に近い(例えば、実験的不確実性の範囲内)MRI画像強度を有する。
【0049】
図3Cは、理想的にフィルタリングされた従来の感受性強調撮像(SWI)位相マップに完全に等価であるMRI画像の一例を示し、SWIは典型的に低強度として血管および出血を示すという区別を伴う。
【0050】
図3Cのグラフは(I4-I1)/I4によって決定され、ここでI4は
図3AのMRI画像の強度であり、I1は3BからのMRI画像の強度である。
【0051】
いくつかの実施形態では、MRIは、MRI画像マスクを生成し、組織の重み付けされた第1のMRI画像および組織の第2のMRI画像上にMRI画像マスクを重ね合わせることによって、緩和時間T2で組織の第1のMRI画像および組織の第2のMRI画像に重み付けすることができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態による、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織(例えば、試料)のMRI画像の例を示す
図4Aおよび4Bを参照する。試料は、B
0の均質性が非常に不良な領域に位置するようにMRI内に配置されたファントムを含む。この例では、ファントムは、長さ10cm、内径16mmのチューブからなる。磁鉄鉱ゲルは、ゲル1ml当たり22μgの濃度の酸化鉄粉末を含有する。
【0053】
図4Aでは、MRI画像は、2次元高速スピンエコーシーケンスの第1パルスシーケンスで得られ、
図4Bでは、MRI画像は、2次元スピンエコーシーケンスの第2パルスシーケンスで得られる。
【0054】
図4Aおよび4BのMRI画像は、スライス厚が2mmに等しい、視野(FOV)が50×100mmに等しい、取得マトリックス=128X140、TRが2000msに等しい、およびTEが40msに等しい、第1および第2のパルスシーケンスで得られる。第1のパルスシーケンスは、エコートレイン長さ=16およびIED=5.0msを含み、第2のパルスシーケンスは、エコートレイン長さ=1およびIED=40msを含む。第1のパルスシーケンスは多数の再焦点パルス「n」=8を有し、第2のパルスシーケンスは多数の再焦点パルス「m」=1を有する。第1のパルスシーケンスにおける位相符号化パターンは、「k空間」の中心が8番目のエコーで収集されるように設定され、結果として39.9msの有効TEとなる。いくつかの実施形態において、組織の部分の同定は、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスの有効TEが同一である組織内の位置を同定することを含むことができる。
【0055】
磁鉄鉱ゲルは、2つのMRI画像上に明確に異なるコントラストで現れ、その強度は、
図4Aと比較して
図4Bでははるかに低い。
図4Bは、MRI画像の下部(白色の長方形で囲まれた領域)を示し、それは、磁石のこの領域におけるB
0場の不均一性(例えば、高次背景勾配によって引き起こされる)に起因する歪みを伴って現れる。この領域の外観(例えば、幾何学的形状および強度の観点から)は、
図4Aおよび
図4Bにおいて実質的に同一である。これは、背景勾配の規模が有意な効果を引き起こすのに十分大きくなく、磁鉄鉱ゲルの存在が検出可能であることを示すことができる。いくつかの実施形態において、磁鉄鉱ゲルは、従来のSWI結果の後処理に必要とされ得るハイパスフィルタの適用なしで検出され得る。
【0056】
当業者には明らかなように、本発明は、任意のタイプのMRI装置内で実施することができる。MRI装置は、当技術分野で公知の任意のMRI装置であり得る。MRI装置は、永久磁石MRIとすることができる。MRI装置は、1.0テスラの磁場強度を有することができる。MRI装置は、鉛直方向(例えば、円筒状の試料管の長軸に対して垂直方向)のB0磁場を有することができる。MRI装置は、Aspect Imaging(Shoham,Isreal)からのMRIスキャナとすることができる。送信/受信RFコイルは、ソレノイドとすることができる。送信/受信RFコイルは、内径35mmのソレノイドとすることができる。
【0057】
図5Aおよび5Bを参照して、本発明のいくつかの実施形態による、第1のパルスシーケンスおよび第2のパルスシーケンスで得られた組織(例えば、試料)のMRI画像の例を示す。試料は、ゲル1ml当たり2.95μgの酸化鉄粉末を含有する磁鉄鉱ゲルファントムを含み、周囲の背景ゲルに対するΔχは、0.14ppmであり、これは、静脈血と周囲の組織との間の予想される感受性差にほぼ等しい。MRI画像に対する有効TEは、28msである。
【0058】
図5Aは、以下の取得パラメータ:64×64×13取得マトリックス、TR=400ms、サンプリング滞留時間=12μs、FOV=45mm、スライス厚=3.0mm、IED=28ms、合計撮像時間=5.5分を用いた、3次元マルチエコーSE(MESE)取得の1番目のエコー(n=1)からの特定のスライスに対するMRI画像を示す。
図5Bは、この取得IED=5.6msを除いて、同じパラメータを使用する第2の3次元MESE取得のためのMRI画像を示す。MRI画像は、5番目のエコー(「n」=5)から再構成された
図5Aの同じ特定のスライドを示す。
【0059】
磁鉄鉱ゲル(白矢印で示す)は、
図5AのMRI画像上の強度が、
図5Bの強度と比較して低下しており、ほとんど区別できないことを示す。この差は、例えば、
図5Aおよび5Bの試料中の酸化鉄粒子のより薄い存在に起因する
図3Aおよび3Bにおいて見られる差よりも弱い。
【0060】
図3Aおよび3Bに示した結果とは対照的に、
図5Aおよび5BのMRI画像は、背景ゲルの強度が、図面の
図5Aおよび
図5Bに示すスキャンと等しくないことを明らかにする。黒矢印によって指摘されるように、
図5Bの強度が
図5Aに比べて低い領域が試料中に存在する。これは、例えば、不均一なB
1場に起因する再焦点パルス不完全性に起因し得る。このような不完全性は、より多数の再焦点パルス(この場合、
図5Bの5つの再焦点パルス対
図5Aの単一の再焦点パルス)の後に検出されるエコーに対してより強い効果を有すると予想することができる。いくつかの実施形態では、
図3Aおよび3Bにはない
図5Aおよび
図5Bの強度差は、
図3Aおよび3Bは、
図5Aおよび5Bに示される領域よりも小さく、かつMRI装置の磁石の中心により近く、その上でB1磁場が比較的均一である領域のMRI画像を示すという事実に起因し得る。
図5Aおよび5BのMRI画像は、試料管の全長を網羅し、そこで縁部は、RFコイル長の縁部に近づき、B
1のより強い変化が予想される。
【0061】
いくつかの実施形態において、本方法は、インビボ適用中に実施することを含むことができる。インビボ適用に望まれるいくつかのものには、良好な空間分解能、薄い、かつ連続的なスライス(3次元収集プロトコルを必要とし得る)、および/または合理的に短いスキャン時間、例えば、2~3mmの程度のスライス厚、1mmの程度の空間分解能、および5~10分の程度のスキャン時間が挙げられ得る。従来のSWIは、これらの要件が困難すぎることなく満たされるGRE配列を使用することができる。SEシーケンス(特に、それらの3次元バージョン)は、通常、MRI画像を取得するためにはるかに時間がかかる可能性がある。この問題を克服するための1つのアプローチは、複数の受信コイルおよび/または圧縮センシングの使用のような、性能時間短縮の種々の方法の適用を含み得る。いくつかの実施形態において、生成されたパルスシーケンスは、必要とされるn=1およびn=n’スキャンの両方について、迅速な(例えば、5~10分)収集を可能にし得る。
【0062】
図6を参照して、本発明のいくつかの実施形態による、感受性撮像スピンエコーの実施のためのスピンエコーMRIのためのパルスシーケンスを示す。パルスシーケンスは、準備部分および読み取り部分を含むことができる。準備部分は、励起パルス610および再焦点パルス620に続くことができる信号630(A0)を含むことができる。信号630は、n=1の場合、局所的な内部勾配に対して高い感度を有し、n=n’の場合、そのような勾配に対してはるかに低い感度を有することができる。読み取り部分は、センターアウト位相符号化ならびに最小のIEDおよびTE(例えば、最小のIEDおよびTEは5msであり得る)を使用する、迅速なセグメント化FSEシーケンスを含み得る。
【0063】
準備部分(例えば、n=1とn=n’走査の間)において、横方向磁化は、内部勾配に対して低い感度(n=n’)または高い感度(n=1)のいずれかを有するT2重み付けで準備される。準備部分は、2Dまたは3D MRI画像を作成するために、FSEトレイン(例えば、「N」回反復)によってさらに再焦点を合わせることができる。いくつかの実施形態において、例えば、準備によって生成されるコントラストを保存するために、FSEシーケンスは、センターアウト相エンコーディングおよび可能な限り短い有効TE値を用いて収集され得る。このシーケンスは、3Dモードで適用することができ、その場合、準備部分および読み取り部分の両方におけるIEDは、非選択的な長方形RFパルスを使用することによって最小化することができる。
【0064】
図6に示すシーケンスは、以下の利点を有することができる:第一に、3Dモードでさえ比較的短い撮像時間を可能にし得る(収集は、スキャン時間のさらなる節約のために複数コイルおよび圧縮センシングと組み合わせることができる)、第二に、シーケンスの読み取り部分は、n=1およびn=n’収集に対して同一であり得る、という事実、これは、内部感受性勾配が小さい領域が、両方の収集に対して同じ絶対強度を有し得ることを保証することができる。
【0065】
明示的に述べない限り、本明細書に記載する方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。さらに、記載した方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に(simultaneously)、同じ時点で、または同時に(concurrently)、生じ得るか、または実行され得る。
【0066】
様々な実施形態が提示されている。これらの実施形態の各々は、もちろん、提示した他の実施形態からの特徴を含んでもよく、具体的に記載されていない実施形態は、本明細書に記載した様々な特徴を含んでもよい。
【符号の説明】
【0067】
100 MRI装置
110 励起パルス
120 再焦点パルス
130 信号
610 励起パルス
620 再焦点パルス
630 信号