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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】流体制御装置及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20231005BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20231005BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F15B11/02 M
F15B11/042
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019164453
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021042800
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-079212(JP,A)
【文献】特開2017-215004(JP,A)
【文献】特開2018-017347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
E02F 3/42- 3/43; 3/84- 3/85; 9/20- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディと、
前記バルブボディに軸方向に沿って移動可能に保持されるとともに、アクチュエータの駆動制御を行うスプールと、
前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第1流体通路と、
前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第2流体通路と、
前記バルブボディに形成され、前記第1流体通路と前記第2流体通路とがそれぞれ別々に通じるとともに、前記スプールに通じる合流通路と、
少なくとも前記第1流体通路に設けられ、前記第1流体通路を通る流体と前記第2流体通路を通る流体とが前記合流通路で合流したときの合流量を電気信号に基づいて制御する量調整弁と、
を備え
前記第1流体通路は、前記第2流体通路と比較して負荷が軽く、
前記合流通路の流体は、前記スプールに供給される、
流体制御装置。
【請求項2】
電気信号に基づいて前記スプールの駆動制御を行う他の流量調整弁を備える請求項1又は請求項に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記アクチュエータから排出される前記流体の流量を制御する調整弁を備える請求項1又は請求項に記載の流体制御装置。
【請求項4】
バルブボディと、
前記バルブボディに軸方向に沿って移動可能に保持されるとともに、アクチュエータの駆動制御を行うスプールと、
前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第1流体通路と、
前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第2流体通路と、
前記バルブボディに形成され、前記第1流体通路と前記第2流体通路とがそれぞれ別々に通じるとともに、前記スプールに通じる合流通路と、
少なくとも前記第1流体通路に設けられ、前記第1流体通路を通る流体と前記第2流体通路を通る流体とが前記合流通路で合流したときの合流量を電気信号に基づいて制御する量調整弁と、
電気信号に基づいて前記スプールの駆動制御を行う他の流量調整弁と、
を備え
前記第1流体通路は、前記第2流体通路と比較して負荷が軽く、
前記合流通路の流体は、前記スプールに供給される、
流体制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の流体制御装置が搭載された車体を備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置及び建設機に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械は、さまざまな油圧アクチュエータによって駆動される。油圧アクチュエータは、ポンプ(油圧ポンプ)から吐出される作動油によって駆動される。油圧アクチュエータの駆動制御は、作動油の流量を調整する流体制御装置によって行われる。流体制御装置は、丸棒状のスプールを備えた制御弁等を備えている。スプールは、環状に形成された複数の凹部(環状凹所)と、凹部間に形成されたランド(隆起部)と、ランドに形成されたノッチとを備えている。制御弁は、スプールの位置を移動することによって作動油の流れる流路の幅が調整される。この結果、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が調整される。
【0003】
ここで、近年、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量制御を高精度に行うことにより、油圧アクチュエータの動作特性を向上させる要望が高まっている。スプールの凹部やランドは一体となって移動するので、スプールの位置調整のみで作動油の流量制御を高精度に行うには限界がある。このため、制御弁に、スプールに流れる作動油の流量を調整する調整弁を設ける場合がある。このように構成することで、調整弁とスプールとにより油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を高精度に制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭50-61734号公報
【文献】特開2004-360751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建設機械にポンプを2つ設け、2つのポンプを用いて各油圧アクチュエータに作動油を供給する場合がある。このような場合、油圧アクチュエータの負荷に応じて各ポンプから吐出された作動油を合流させ、所望の油圧アクチュエータへの作動油の供給量を増大させる。これにより、建設機械の操作性を向上させている。
【0006】
しかしながら、2つのポンプから吐出される作動油を単純に合流させるだけでは、各アクチュエータに供給される作動油の流量を高精度に制御することが困難という課題があった。
2つのポンプに接続された作動油の通路に上述の従来技術の制御弁を設けることも考えられるが、流体制御装置の構成が複雑になり、かつ製造コストもかかるという課題があった。
【0007】
本発明は、2つの通路を通る流体(2つのポンプから吐出される作動油)の合流量を高精度に制御でき、かつ簡素な構造で製造コストを抑えることができる流体制御装置及び建設機械提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る流体制御装置は、バルブボディと、前記バルブボディに軸方向に沿って移動可能に保持されるとともに、アクチュエータの駆動制御を行うスプールと、前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第1流体通路と、前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第2流体通路と、前記バルブボディに形成され、前記第1流体通路と前記第2流体通路とがそれぞれ別々に通じるとともに、前記スプールに通じる合流通路と、少なくとも前記第1流体通路に設けられ、前記第1流体通路を通る流体と前記第2流体通路を通る流体とが前記合流通路で合流したときの合流量を電気信号に基づいて制御する量調整弁と、を備え、前記第1流体通路は、前記第2流体通路と比較して負荷が軽く、前記合流通路の流体は、前記スプールに供給される
【0009】
このように構成することで、流量調整弁によって第1流体通路の流体と第2流体通路の流体との合流量を高精度に制御できる。また、流量調整弁は、電気信号に基づいて駆動する。このような流量調整弁を用いて、2つの通路を通る流体の合流量を簡素な構造で高精度に制御できる。流体制御装置の製造コストも抑えることができる。
【0011】
上記構成で、電気信号に基づいて前記スプールの駆動制御を行う他の流量調整弁を備えてもよい。
【0014】
上記構成で、前記アクチュエータから排出される前記流体の流量を制御する調整弁を備えてもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る流体制御装置は、バルブボディと、前記バルブボディに軸方向に沿って移動可能に保持されるとともに、アクチュエータの駆動制御を行うスプールと、前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第1流体通路と、前記バルブボディに形成され、前記スプールの上流側に接続された第2流体通路と、前記バルブボディに形成され、前記第1流体通路と前記第2流体通路とがそれぞれ別々に通じるとともに、前記スプールに通じる合流通路と、少なくとも前記第1流体通路に設けられ、前記第1流体通路を通る流体と前記第2流体通路を通る流体とが前記合流通路で合流したときの合流量を電気信号に基づいて制御する量調整弁と、電気信号に基づいて前記スプールの駆動制御を行う他の流量調整弁と、を備え、前記第1流体通路は、前記第2流体通路と比較して負荷が軽く、前記合流通路の流体は、前記スプールに供給される
【0016】
このように構成することで、流量調整弁によって第1流体通路の流体と第2流体通路の流体との合流量を高精度に制御できる。また、流量調整弁は、電気信号に基づいて駆動する。このような流量調整弁を用いて、2つの通路を通る流体の合流量を簡素な構造で高精度に制御できる。流体制御装置の製造コストも抑えることができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る建設機械は、上記に記載の流体制御装置が搭載された車体を備える。
【0018】
このように構成することで、2つの通路を通る流体の合流量を高精度に制御でき、かつ簡素な構造で製造コストを抑えることができる建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
上述の流体制御装置、建設機械及び流体制御装置の制御方法は、2つの通路を通る流体の合流量を簡素な構造で高精度に制御でき、かつ簡素な構造で製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態における建設機械の概略構成図。
図2】本発明の第1実施形態における油圧制御装置、油圧ポンプ、及び油圧アクチュエータの概略構成図。
図3】本発明の第1実施形態における制御弁の断面図。
図4】本発明の第2実施形態における制御弁の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<建設機械>
図1は、建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルである。建設機械100は、旋回体(請求項における車体の一例)101と、走行体(請求項における車体の一例)102とを備えている。旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、油圧ポンプ110と、油圧ポンプ110から吐出される作動油(請求項における流体の一例)の流量制御を行う油圧制御装置(請求項における流体制御装置の一例)1とが設けられている。
【0025】
旋回体101は、操作者が搭乗可能なキャブ103と、キャブ103に一端が揺動自在に連結されているブーム104と、ブーム104のキャブ103とは反対側の他端(先端)に揺動自在に一端が連結されているアーム105と、アーム105のブーム104とは反対側の他端(先端)に揺動自在に連結されているバケット106と、キャブ103に設けられた操作部107と、を備えている。走行体102、キャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106は、種々の油圧アクチュエータ(請求項におけるアクチュエータの一例)111によって駆動される。油圧アクチュエータ111は、油圧制御装置1を介して供給される油圧ポンプ1110からの作動油によって駆動される。
【0026】
図2は、油圧制御装置1、油圧ポンプ110、及び油圧アクチュエータ111の概略構成図である。
図2に示すように、油圧アクチュエータ111は、例えば走行体102を走行させたりキャブ103を旋回させたりするための油圧モータ111aと、ブーム104、アーム105、及びバケット106を駆動させるための油圧シリンダ111bとにより構成されている。
【0027】
油圧ポンプ110は、図示しない原動機によって駆動する。油圧ポンプ110は、いわゆるスプリットフロー型の油圧ピストンポンプである。油圧ポンプ110は、作動油が吐出される2つの吐出ポート110a,110b(第1吐出ポート110a、第2吐出ポート110b)を有している。これら2つの吐出ポート110a,110bは、油圧制御装置1に接続されている。このような油圧ポンプ110は、キャブ103に設けられた操作部107の操作信号に基づいて作動油の吐出量を可変させる。また、操作部107の操作信号に基づいて、油圧制御装置1も駆動制御される。
【0028】
[第1実施形態]
<油圧制御装置>
油圧制御装置1は、第1吐出ポート110aに接続された第1油通路2と、第2吐出ポート110bに接続された第2油通路(請求項における第2流体通路の一例)3と、第1油通路2から分岐された第3油通路(請求項における第1流体通路の一例)4と、各油通路2~4の途中に設けられた複数(本第1実施形態では6個)の制御弁5及び電磁比例弁6a,6bとを主構成としている。なお、以下の説明では、各油通路2~4の油圧ポンプ110側を上流側と称し、油圧ポンプ110とは反対側を下流側と称して説明する。
【0029】
各油通路2~4の最下流側は、タンクTに接続されている。このタンクTと油圧ポンプ110との間の各油通路2~4に、制御弁5が接続されている。
制御弁5は、いわゆるオープンセンタ型の制御弁であり、油圧アクチュエータ111に供給される作動油の流量を制御する。複数の制御弁5は、センター通路である第1油通路2に直列に接続されている。また、複数の制御弁5は、シリンダポート7を有しており、このシリンダポート7に所定の油圧アクチュエータ111が接続されている。なお、制御弁5の詳細な構成については後述する。
【0030】
第1油通路2は、全ての制御弁5に接続されている。第1油通路2の油圧ポンプ110と最上流側の制御弁5との間には、切替弁8が設けられている。
第2油通路3は、切替弁8よりも上流側で分岐されて第1分岐路9と第2分岐路(請求項における第2流体通路の一例)10とを備えている。第1分岐路9は、複数の制御弁5のうち、最上流から2番目の制御弁5と、この制御弁5よりも下流側の全ての制御弁5に接続されている。第2分岐路10は、切替弁8を介して最上流から3番目の制御弁5と、この制御弁5よりも下流側の全ての制御弁5に接続されている。つまり、第2分岐路10と切替弁8とタンクTとの間で、かつ第2分岐路10における所定の各制御弁5に対応する位置は、それぞれ分岐されて制御弁5に接続されている。
【0031】
第3油通路4は、第1油通路2の切替弁8よりも上流側から分岐されている。第3油通路4は、最上流から4番目の制御弁5と、この制御弁5よりも下流側の3個の制御弁5に接続されている。つまり、第3油通路4とタンクTとの間で、かつ第3油通路4における所定の各制御弁5に対応する位置は、それぞれ分岐されて制御弁5に接続されている。
【0032】
このように、第3油通路4を流れる作動油は、下流側の4個の制御弁5を介してこれら制御弁5に接続された油圧アクチュエータ111を主に駆動させるために供される。一方、第2油通路3の第2分岐路10を流れる作動油は、下流側の4個の制御弁5に対しては、補足的に油圧アクチュエータ111を駆動させるために供される。
なお、第2分岐路10に接続されている制御弁5は、建設機械100を走行させるための油圧モータ111a等が接続されている。これに対し、第3油通路4に接続されている制御弁5は、比較的負荷の小さい油圧シリンダ111b等が接続されている。このため、第2分岐路10にかかる負荷は、第3油通路4にかかる負荷よりも大きくなりやすい。
【0033】
このような下流側の4個の制御弁5のうち、最下流から4番目の制御弁5は、チェック弁112を介して第3油通路4に接続されている。最下流から3個の制御弁5(後述のスプール13)と第3油通路4との間には、第1電磁比例弁(請求項における流量調整弁の一例)6aが設けられている。また、最下流から3個の制御弁5(後述のスプール13)と第2油通路3(第2分岐路10)との間には、第2電磁比例弁(請求項における流量調整弁の一例)6bが設けられている。
【0034】
各電磁比例弁6a,6bは、第2油通路3の作動油と第3油通路4の作動油との合流量を制御する。なお、以下の説明では、第1電磁比例弁6a及び第2電磁比例弁6bを後述の電磁比例弁14と区別するために第1合流用電磁比例弁6a、第2合流用電磁比例弁6bと称する。以下、制御弁5の詳細について説明する。
【0035】
<制御弁>
図3は、制御弁5の断面図である。
図3に示すように、制御弁5は、バルブボディ11と、バルブボディ11の一方向(図3では左右方向)に沿って形成されたスリーブ孔12と、スリーブ孔12内にスライド移動可能に収納された丸棒状のスプール13とを主構成としている。以下、スプール13の軸方向を単に軸方向と称し、スプール13における軸方向の中央側を単に軸方向中央側と称し、スプール13における軸方向の両端側を軸方向外側と称して説明する。
【0036】
バルブボディ11には、スプール13の軸方向両端側に対応する位置に、スプール駆動用の電磁比例弁(請求項における他の流量調整弁の一例、以下、スプール用電磁比例弁という)14が設けられている。また、バルブボディ11には、スプール13の軸方向両端が収納される圧力室20が形成されている。スプール用電磁比例弁14は、操作部107からの操作信号を電気信号として受信し、この信号に基づいて圧力室20に圧力を発生させる。これにより、スリーブ孔12内でスプール13がスライド移動される。スプール13は、中立位置(センター位置)と、この中立位置に対して左右方向の位置との3つの位置に位置決めされる。なお、図3では、スプール13は中立位置にある。
圧力室20には、コイルばね32が圧縮した状態で収納されている。コイルばね32によって、無負荷状態ではスプール13が中立位置に維持される。
【0037】
バルブボディ11には、軸方向中央を挟んで両側に、シリンダポート7が設けられている。このシリンダポート7に油圧アクチュエータ111が接続される。
バルブボディ11のスリーブ孔12の周囲には、軸方向中央側に、第1ポンプ通路15及び第2ポンプ通路16が設けられている。第1ポンプ通路15は、第2油通路3に接続されている。第2ポンプ通路16は、第3油通路4に接続されている。各ポンプ通路15,16の一部は、スリーブ孔12に通じている。
【0038】
また、スリーブ孔12の周囲には、各ポンプ通路15,16の軸方向両外側に、第1バイパス通路17と第2バイパス通路18とが設けられている。各バイパス通路17,18もスリーブ孔12に通じている。
さらに、スリーブ孔12の周囲には、各バイパス通路17,18の軸方向両外側に、第1供給通路21と第2供給通路22とが設けられている。第1供給通路21は、スリーブ孔12から第1ポンプ通路15の周囲に至る間に延びており、この第1ポンプ通路15に通じている。第2供給通路22は、スリーブ孔12から第2ポンプ通路16の周囲に至る間に延びており、この第2ポンプ通路16に通じている。
【0039】
また、第1供給通路21と第2供給通路22とは、合流通路23を介して通じている。第1ポンプ通路15と第1供給通路21と合流通路23との合流部に、第1合流用電磁比例弁6aが設けられている。また、第2ポンプ通路16と第2供給通路22と合流通路23との合流部に、第2合流用電磁比例弁6bが設けられている。
【0040】
各合流用電磁比例弁6a,6bは、バルブボディ11に一体的に設けられている。各合流用電磁比例弁6a,6bは、操作部107からの操作信号を電気信号として受信し、この信号に基づいて、各ポンプ通路15,16から対応する各供給通路21,22(合流通路23)へ流れる作動油の流量を制御する。これにより、各合流用電磁比例弁6a,6bは、第2油通路3の作動油と第3油通路4の作動油との合流量を制御する。
【0041】
スリーブ孔12の周囲には、各供給通路21,22の軸方向両外側に、シリンダ接続通路24a,24b(第1シリンダ接続通路24a、第2シリンダ接続通路24b)が設けられている。各シリンダ接続通路24a,24bは、スリーブ孔12と対応するシリンダポート7とを通じさせている。
また、スリーブ孔12の周囲には、シリンダ接続通路24a,24bよりも軸方向両外側にタンク通路25が設けられている。タンク通路25は、スリーブ孔12を介してシリンダ接続通路24a,24bとタンクT(図2参照)とを通じさせている。
タンク通路25には、2つのシリンダ接続通路24a,24bに各々対応するように、2つのリリーフ弁(請求項における調整弁の一例)26が設けられている。リリーフ弁26によって、シリンダ接続通路24a,24bに過度の高圧がかかった場合に、作動油がタンクTに還流される。
【0042】
スプール13は、軸方向両端に段差面13aを介して軸径が小さく形成された小径部31を有している。スプール13の段差面13aとバルブボディ11の圧力室20の壁面との間で、圧力室20に収納されたコイルばね32が圧縮されている。また、スプール13の段差面13a及び小径部31の端面31aは、バルブボディ11の圧力室20の圧力が作用する受圧面である。これら段差面13a及び小径部31の端面31aに圧力室20の圧力がかかることにより、コイルばね32のばね力に抗してスプール13がスライド移動される。
【0043】
スプール13は、軸方向中央位置に設けられた中央ランド部33を有している。この中央ランド部33の軸方向両外側に、第1環状凹部34a,34bが設けられている。また、スプール13には、第1環状凹部34a,34bの軸方向両外側に、第1ランド部35a,35bが設けられている。さらに、スプール13には、第1ランド部35a,35bの軸方向両側に、第2環状凹部36a,36bが設けられている。
【0044】
また、スプール13には、第2環状凹部36a,36bの軸方向両側に、第2ランド部37a,37bが設けられている。さらに、スプール13には、2つの第2ランド部27a,27bのうちの一方の第2ランド部37bにおける軸方向外側に、第3環状凹部38が設けられている。
スプール13の各ランド部33,35a,35b,37a,37bには、対応する各環状凹部34a,34b,36a,36b,38側の端面及び角部(エッジ)に、図示しないノッチが形成されている。これらランド部33,35a,35b,37a,37b、環状凹部34a,34b,36a,36b,38、及び図示しないノッチは、スプール13の移動に伴って作動油の流れを制御する役割を有している。
【0045】
<油圧制御装置の作用>
次に油圧制御装置1の作用について説明する。
図2に示すように、油圧ポンプ110が図示しない原動機によって駆動されると、油圧ポンプ110の各吐出ポート110a,110bから所定流量の作動油が吐出される。第1吐出ポート110aから吐出された作動油は、第3油通路4に流れるとともに、切替弁8を介して第1油通路2又は第2油通路3の第2分岐路10に流れる。第2吐出ポート110bから吐出された作動油は、第2油通路3の第1分岐路9に流れるとともに、切替弁8を介して第2分岐路10又は第1油通路2に流れる。各油通路2~4を流れる作動油は、制御弁5に供給される。
以下では、複数の制御弁5のうち、合流用電磁比例弁6a,6bが設けられた制御弁5の作用について説明する。なお、合流用電磁比例弁6a,6bが設けられていない制御弁5も合流用電磁比例弁6a,6b以外の制御弁5の作用は、以下で説明する制御弁5の作用と同様である。
【0046】
図3に示すように、制御弁5は、スプール13が移動することにより、中央ランド部33、中央ランド部33の図示しないノッチ、及び第1環状凹部34a,34bによって、第1ポンプ通路15や第2ポンプ通路16が対応する油通路3,4と通じたり遮断されたりする。また、第1ランド部35a,35b、第1ランド部35a,35bの図示しないノッチ、及び第2環状凹部36a,36bによって、第1供給通路21と第1シリンダ接続通路24aとが通じたり遮断されたりするとともに、第2供給通路22と第2シリンダ接続通路24bとが通じたり遮断されたりする。これにより、合流通路23を介して合流された第2油通路3及び第3油通路4の作動油の流れの方向、及び流量が制御される。
【0047】
制御弁5は、スプール13の位置が中立位置である場合、供給される作動油がそのままタンクTへと還流される。
以下では、例えば、スプール13が中立位置に対して図3中、左方向(図3における矢印Y1参照)に移動され、第2供給通路22と第2シリンダ接続通路24bとが通じる一方、第1供給通路21と第1シリンダ接続通路24aとが遮断される場合についてより詳しく説明する。
【0048】
この場合、第3油通路4から第1ポンプ通路15に流れ込む作動油は、操作部107の操作信号に基づいて駆動する第1合流用電磁比例弁6aによって流量が制御され、合流通路23へ流れ込む。また、第2油通路3(第2分岐路10)から第2ポンプ通路16に流れ込む作動油は、操作部107の操作信号に基づいて駆動する第2合流用電磁比例弁6bによって流量が制御され、第2供給通路22に流れ込む。そして、この第2供給通路22に流れ込んだ作動油に、合流通路23に流れ込んだ作動油が合流される。つまり、操作部107の操作信号に基づいて各合流用電磁比例弁6a,6bが駆動され、これによって、第3油通路4(第1ポンプ通路15)の作動油と第2油通路3(第2ポンプ通路16)の作動油との合流量が制御される。
【0049】
合流された第3油通路4(第1ポンプ通路15)及び第2油通路3(第2ポンプ通路16)の作動油は、第2供給通路22、スプール13の第2環状凹部36b、第1ランド部35bの図示しないノッチ、及び第2ランド部37bの図示しないノッチを介し、第2シリンダ接続通路24bに流れ込む(図3における矢印Y2参照)。この後、シリンダポート7を介して油圧アクチュエータ111(図2参照)に作動油が供給される。これにより、油圧アクチュエータ111が駆動される。
ここで、例えば油圧アクチュエータ111に大きな負荷がかかることにより、第2シリンダ接続通路24bに過度の高圧がかかった場合、リリーフ弁26によって、第2シリンダ接続通路24bの作動油がタンクTに還流される。このように、リリーフ弁26によって、制御弁5に過度の高圧がかかってしまうことが防止される。
【0050】
油圧アクチュエータ111に供給された作動油は、シリンダポート7を介して第1シリンダ接続通路24aに排出される。この排出された作動油は、スプール13の第2環状凹部36aを介し、タンク通路25に流れ(図3における矢印Y3参照)、タンクT(図2参照)に還流される。つまり、油圧アクチュエータ111から排出される作動油は、スプール13によって流量を制御されながらタンクTへと還流される。
【0051】
このように、油圧アクチュエータ111は、この油圧アクチュエータ111へと供給される作動油の流量制御(メータイン制御)と、油圧アクチュエータ111から排出された作動油の流量制御(メータアウト制御)とにより、駆動制御が行われている。スプール13は、スプール用電磁比例弁14によって駆動制御されているので、油圧アクチュエータ111から排出された作動油は、スプール用電磁比例弁14によって流量制御されているといえる。
【0052】
このように、上述の油圧制御装置1では、第2油通路3の第2分岐路10と、第3油通路4と、これら第2分岐路10及び第3油通路4を流れる作動油の合流量を制御する合流用電磁比例弁6a,6bとを備えている。換言すれば、第3油通路4を流れる作動油を主に駆動される油圧アクチュエータ111に対し、第2油通路3の第2分岐路10を流れる作動油への合流部に、合流用電磁比例弁6a,6bが設けられている。このため、第2分岐路10及び第3油通路4を流れる作動油の合流量を高精度に制御できる。また、作動油の合流量を容易に変更でき、油圧アクチュエータ111の動作特性を向上させることができる。
【0053】
また、合流用電磁比例弁6a,6bは、操作部107の操作信号(電気信号)に基づいて駆動する。このような合流用電磁比例弁6a,6bを用いて、油圧ポンプ110の2つの吐出ポート110a,110bから吐出される作動油の合流量を簡素な構造で高精度に制御できる。したがって、油圧制御装置1の製造コストも抑えることができる。
【0054】
また、合流用電磁比例弁6a,6bは、制御弁5の各供給通路21,22に設けられている。すなわち、制御弁5のスプール13よりも上流側に合流用電磁比例弁6a,6bが設けられている。このため、合流用電磁比例弁6a,6bによって、油圧アクチュエータ111へと供給される作動油の流量制御(メータイン制御)を行うことができる。
合流用電磁比例弁6a,6bは、制御弁5のバルブボディ11に一体的に設けられている。このため、油圧制御装置1全体として、作動油が流れる油通路を簡素化できる。
【0055】
油圧アクチュエータ111から排出された作動油の流量制御を行うスプール13を、スプール用電磁比例弁14を用いて駆動制御を行っている。このため、スプール用電磁比例弁14は、操作部107の操作信号(電気信号)に基づいて駆動する。このようなスプール用電磁比例弁14を用いることで、油圧制御装置1全体としては、スプール13に直接操作部107のパイロット圧を導入する場合と比較して作動油が流れる油通路をさらに簡素化できる。
【0056】
また、制御弁5は、第1ポンプ通路15と第1供給通路21と合流通路23との合流部、及び第2ポンプ通路16と第2供給通路22と合流通路23との合流部のそれぞれに合流用電磁比例弁6a,6bを備えている。すなわち、油圧ポンプ110の2つの吐出ポート110a,110bから吐出されるいずれの作動油も、スプール13の上流側で流量制御を行うので、作動油の合流量をさらに高精度に制御することができる。このため、油圧アクチュエータ111の動作特性を確実に向上させることができる。とりわけ、第3油通路4を流れる作動油を主に駆動される油圧アクチュエータ111では、第3油通路4を流れる作動油の流量制御をスプール13の上流側で行うことにより、所望の油圧アクチュエータ111に対する操作部107の操作の応答性を向上できる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、図4に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0058】
<制御弁>
図4は、第2実施形態における制御弁205の断面図である。図4は、前述の図3に対応している。なお、上述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態における制御弁5には、2つの合流用電磁比例弁6a,6bが設けられているのに対し、第2実施形態における制御弁205には、第1合流用電磁比例弁6aが設けられている点にある。すなわち、制御弁205は、第2ポンプ通路16(第2油通路3)と比較して負荷が小さくなりやすい第1ポンプ通路15(第3油通路4)と第1供給通路21と合流通路23との合流部に設けられた第1合流用電磁比例弁6aを備えている。制御弁205は、上述の第1実施形態における第2合流用電磁比例弁6bを備えていない。
【0059】
第2ポンプ通路16と第2供給通路22と合流通路23との合流部には、チェック弁40が設けられている。チェック弁40は、第2ポンプ通路16の作動油が所定の圧力に達すると、第2ポンプ通路16と第2供給通路22及び合流通路23とを通じさせる。
第2油通路3の第2分岐路10を流れる作動油は、下流側の4個の制御弁5に対しては、補足的に油圧アクチュエータ111を駆動させるために供される。このため、第2ポンプ通路16と第2供給通路22と合流通路23との合流部にチェック弁40を設けた場合であっても、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、上述の第1実施形態における第2合流用電磁比例弁6bに代えてチェック弁40を設けることにより、制御弁205の構成を簡素化でき、制御弁205の製造コストを抑えることができる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100は油圧ショベルである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな建設機械に上述の油圧ポンプ110を採用することができる。
【0061】
また、上述の実施形態では、油圧ポンプ110は、いわゆるスプリットフロー型の油圧ピストンポンプである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1吐出ポート110aの役割を有する油圧ポンプと第2吐出ポート110bの役割を有する油圧ポンプの2つの油圧ポンプを備えてもよい。
また、上述の実施形態では、制御弁5,205のスプール13は、スプール用電磁比例弁14によって駆動される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、スプール13は、操作部107から出力されるパイロット圧によって直接駆動されるように構成してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、流体として作動油を例とし、流体制御装置として油圧制御装置1を例として説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば油圧モータや油以外の流体を用いた制御装置に、上記制御弁5や各合流用電磁比例弁6a,6bの構成を適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、第2油通路3(第2分岐路10)の作動油と第3油通路4を流れる作動油との制御弁5,205への合流量を制御するために、合流用電磁比例弁6a,6bを設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、合流用電磁比例弁6a,6bに代わって、電気信号に基づいて作動油の合流量を制御するさまざまな弁を適用することができる。
【0063】
また、上述の実施形態では、タンク通路25には、2つのシリンダ接続通路24a,24bに各々対応するように、2つのリリーフ弁26が設けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、油圧アクチュエータ111から排出される作動油の流量を制御できる弁であればよい。
【符号の説明】
【0064】
1…油圧制御装置(流体制御装置)、2…第1油通路、3…第2油通路(第2流体通路)、4…第3油通路(第1流体通路)、5,205…制御弁、6a…第1合流用電磁比例弁(流量調整弁)、6b…第2合流用電磁比例弁(流量調整弁)、10…第2分岐路(第2流体通路)、11…バルブボディ、13…スプール、14…スプール用電磁比例弁(他の流量調整弁)、26…リリーフ弁(調整弁)、100…建設機械、101…旋回体(車体)、102…走行体(車体)、110…油圧ポンプ(第1ポンプ、第2ポンプ)、110a…第1吐出ポート(第1ポンプ)、110b…第2吐出ポート(第2ポンプ)、111…油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
図1
図2
図3
図4