(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/07 020
G06K19/07 230
(21)【出願番号】P 2019170289
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 功昌
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114345(JP,A)
【文献】特開2017-214790(JP,A)
【文献】特開2019-031833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0210920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06K 7/00 - 7/14
G06K 19/00 - 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティシステムに用いられる無線通信システムであって、
内蔵電池を有し、無線通信を実行可能な携帯装置と、
前記携帯装置と前記無線通信を行うことで前記携帯装置の認証情報を取得可能であり、取得した前記認証情報を、前記携帯装置の認証を実行する前記セキュリティシステムの制御装置に送信する設置装置と、
を備え、
前記携帯装置は、
前記無線通信を実行可能な携帯装置側無線通信部と、
前記携帯装置の振動の大きさを検出する振動検出部と、
前記携帯装置の振動状態について、第1状態から、前記第1状態に
比べて前記検出された振動の大きさが小さい第2状態に変化し、前記第2状態が予め定められた閾値期間以下の期間継続した後に、前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する認証情報送信部と、
を有し、
前記設置装置は、
前記無線通信を実行可能な設置装置側無線通信部と、
前記認証情報を受信した場合に、前記認証情報を前記制御装置に送信する認証情報中継部と、
を有する、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のセキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、
前記第2状態における振動の大きさは、前記第1状態における振動の大きさに比べて小さい、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、
前記振動検出部は、
振動方向を規定するための座標系における複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、
前記認証情報送信部は、前記複数軸のうち、少なくとも1つの軸についての振動状態が、前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記第2状態が前記閾値期間
以下の期間継続した後に前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載のセキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、
前記認証情報送信部は、前記複数軸のうち、すべての軸についての振動状態が、前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記第2状態が前記閾値期間
以下の期間継続した後に前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のセキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、
前記振動検出部は、
振動方向を規定するための座標系における複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、
前記振動状態は、前記複数軸のうちの各軸についての振動の大きさの合計値で示される状態であり、
前記認証情報送信部は、前記合計値が、前記第1状態に対応する値から前記第2状態に対応する値に変化し、前記第2状態に対応する値を前記閾値期間
以下の期間継続した後に前記第1状態に対応する値に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティシステムにおいて用いられる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線タグと、電波を利用して無線タグを読み取る無線タグリーダとを有する無線通信システムがセキュリティシステムにおいて用いられる。例えば、ホームセキュリティシステムにおいて家屋内の防犯状態と非防犯状態とを切り替えるための操作部が玄関に設けられている構成において、操作部を操作する人物が該当の家屋の住人であることを特定するために用いられる。具体的には、かかる家屋の住人がID等の認証情報を含む電波を出力する無線タグを所持することを前提として、かかる無線タグを所持している人物が操作部を操作しているか否かを判定するために、玄関に無線タグリーダが設置されることがある。このようなセキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、無線タグの電池の消耗を抑えるための様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、所定の時間間隔で識別情報を送信する無線タグが記載されている。無線タグは加速度センサを備え、加速度が閾値以上となる移動時は当該送信間隔を小さく設定し、加速度が閾値未満になると当該送信間隔を段階的に増加させているため、無線タグの電池の消耗を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における無線タグの送信間隔設定手段は、検出される加速度によって自己の識別情報の送信間隔を設定する。このため、常に一定の送信間隔で識別情報を送信する無線タグよりも電池の消耗を低減できる。しかしながら、加速度が大きく変化する無線タグの移動時であっても認証情報を送信するタイミングではないことがある。例えば、無線タグリーダから離れた場所に無線タグが存在する場合には、認証情報を送信すべきタイミングではない。特許文献1では、そのような場合であっても無線タグから認証情報を送信し得るため、無線タグにおける過度な電池消耗を招いてしまう。このような問題は、無線タグに限らず、認証情報を無線出力可能な任意の種類の携帯装置が用いられる無線通信システムにおいて共通する。このため、セキュリティシステムに用いられる無線通信システムにおいて、認証情報の無線出力に起因する携帯装置の電池消耗を抑制可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]セキュリティシステムに用いられる無線通信システムであって、内蔵電池を有し、無線通信を実行可能な携帯装置と、前記携帯装置と前記無線通信を行うことで前記携帯装置の認証情報を取得可能であり、取得した前記認証情報を、前記携帯装置の認証を実行する前記セキュリティシステムの制御装置に送信する設置装置と、を備え、前記携帯装置は、前記無線通信を実行可能な携帯装置側無線通信部と、前記携帯装置の振動の大きさを検出する振動検出部と、前記携帯装置の振動状態について、第1状態から、前記第1状態に比べて前記検出された振動の大きさが小さい第2状態に変化し、前記第2状態が予め定められた閾値期間以下の期間継続した後に、前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する認証情報送信部と、を有し、前記設置装置は、前記無線通信を実行可能な設置装置側無線通信部と、前記認証情報を受信した場合に、前記認証情報を前記制御装置に送信する認証情報中継部と、を有する、セキュリティシステムに用いられる無線通信システム。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、セキュリティシステムに用いられる無線通信システムが提供される。この無線通信システムは、内蔵電池を有し、無線通信を実行可能な携帯装置と、前記携帯装置と前記無線通信を行うことで前記携帯装置の認証情報を取得可能であり、取得した前記認証情報を、前記携帯装置の認証を実行する前記セキュリティシステムの制御装置に送信する設置装置と、を備え、前記携帯装置は、前記無線通信を実行可能な携帯装置側無線通信部と、前記携帯装置の振動の大きさを検出する振動検出部と、前記携帯装置の振動状態について、第1状態から、前記第1状態における振動の大きさに比べて予め定められた大きさ以上相違する振動の大きさを有する第2状態に変化し、前記第2状態が予め定められた閾値期間以下の期間継続した後に、前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力する認証情報送信部と、を有し、前記設置装置は、前記無線通信を実行可能な設置装置側無線通信部と、前記認証情報を受信した場合に、前記認証情報を前記制御装置に送信する認証情報中継部と、を有する。
この形態のセキュリティシステムに用いられる無線通信システムによれば、携帯装置の振動状態が、第1状態から、第1状態における振動の大きさに比べて予め定められた大きさ以上相違する振動の大きさを有する第2状態に変化し、第2状態が予め定められた閾値期間以下の期間継続した後に、第1状態に変化した場合に、認証情報を出力する。このため、その他の場合にも認証情報を出力する構成に比べて、認証情報の出力に起因する携帯装置の電池消耗を抑制できる。一般に、設置装置は、玄関などのセキュリティを確保すべき対象の領域の入口のドア付近に設けられている。このため、ユーザがかかる領域に進入しようとする場合、ドアに向かう歩行によって携帯装置の振動状態は第1状態となる。その後、ドアを開くための操作、例えば、鍵孔に鍵を挿入して回す、或いはドアノブを回すなどの操作を行うためにユーザが立ち止まると、振動状態は第2状態となり、かかる状態が閾値期間以下の比較的短い期間継続した後にドアが開くと、ユーザは歩行を再開するために振動状態は再び第1状態となる。したがって、このような振動状態の変化は、ユーザがセキュリティを確保すべき対象の領域に進入していることを示している可能性が高い。また、例えば、携帯装置と鍵とがキーホルダでまとめられている場合など携帯装置が鍵と一緒になって携帯されている場合、ユーザが鍵孔に鍵を挿入して回す短い時間において携帯装置は大きく振動し、その前後では携帯装置の振動は小さい。したがって、かかる場合においても、上記の振動状態の変化は生じることとなる。したがって、上記形態の無線通信システムによれば、セキュリティを確保すべき対象の領域への進入時のような認証情報を出力すべき状況において認証情報を出力でき、ユーザの利便性を向上できる。他方、上述の振動状態の変化が無い場合には、ユーザがセキュリティを確保すべき対象の領域に進入しようとしておらず、認証情報を出力する必要性は低い。上記形態の無線通信システムによれば、このような場合には認証情報は出力されないため、携帯装置の認証情報を送信する必要のないタイミングで認証情報を送信して電池が無駄に消耗されることを抑制できる。
(2)上記形態の無線通信システムにおいて、前記第2状態における振動の大きさは、前記第1状態における振動の大きさに比べて小さくてもよい。
この形態の無線通信システムによれば、ドアを開くための操作、例えば、鍵孔に鍵を挿入して回したりドアノブを回したりするなどの操作の間、短時間だけユーザが立ち止まり、その前後においてはユーザが歩行するような状況において、認証情報を出力することができる。すなわち、設置装置がセキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドア近傍に設置されている場合に、設置装置に認証情報を受信させることができる。
(3)上記形態の無線通信システムにおいて、前記振動検出部は、複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、前記認証情報送信部は、前記複数軸のうち、少なくとも1つの軸についての振動状態が、前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記第2状態が前記閾値期間以下の期間継続した後に前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力してもよい。
ユーザが携帯装置を所持する際の携帯装置の姿勢によっては、複数軸のうちの一部の軸については、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する場合においても、予め定められた大きさよりも大きな振動の変化が生じないことが生じ得る。しかし、この形態の無線通信システムによれば、認証情報送信部は、複数軸のうち、少なくとも1つの軸についての振動状態が、第1状態から第2状態に変化し、第2状態が閾値期間以下の期間継続した後に第1状態に変化した場合に、認証情報を出力するので、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する場合に、認証情報が出力されないことを抑制できる。
(4)上記(3)の形態の無線通信システムにおいて、前記認証情報送信部は、前記複数軸のうち、すべての軸についての振動状態が、前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記第2状態が前記閾値期間以下の期間継続した後に前記第1状態に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力してもよい。
この形態の無線通信システムによれば、認証情報送信部は、複数軸のうち、すべての軸についての振動状態が、前記第1状態から前記第2状態に変化し、前記第2状態が前記閾値期間以下の期間継続した後に前記第1状態に変化した場合に認証情報を出力するので、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する状況である可能性が高い場合にのみ認証情報を出力できる。このため、認証情報の無駄な出力を、より抑制できる。
(5)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の無線通信システムにおいて、前記振動検出部は、複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、前記振動状態は、前記複数の軸のうちの各軸についての振動の大きさの合計値で示される状態であり、前記認証情報送信部は、前記合計値が、前記第1状態に対応する値から前記第2状態に対応する値に変化し、前記第2状態に対応する値を前記閾値期間以下の期間継続した後に前記第1状態に対応する値に変化した場合に、前記認証情報を、前記携帯装置側無線通信部を介して出力してもよい。
この形態の無線通信システムによれば、複数の軸のうちの各軸についての振動の大きさの合計値が第1状態に対応する値から第2状態に対応する値に変化し、第2状態に対応する値を閾値期間以下の期間継続した後に第1状態に対応する値に変化した場合に、認証情報を出力するので、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する状況である可能性が高い場合にのみ認証情報を出力できる。このため、認証情報の無駄な出力を、より抑制できる。また、ユーザが携帯装置を所持する際の携帯装置の姿勢によっては、複数軸のうちの一部の軸については、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する場合においても、予め定められた大きさよりも大きく相違する振動の変化が生じないことが生じ得る。しかし、上記形態の無線通信システムによれば、複数の軸のうちの各軸についての振動の大きさの合計値を利用するため、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する場合に、認証情報が出力されないことを抑制できる。
【0007】
本開示は、無線通信システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無線通信システムを備えるセキュリティシステム、携帯装置、携帯装置における認証情報の出力方法、無線通信システムまたは携帯装置の制御方法、各システムの機能や各方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態としての無線通信システムの概略構成および利用シーンを模式的に示す説明図である。
【
図2】無線通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の認証情報出力制御処理が実行された場合に認証情報が出力されるケースと、比較例において認証情報が出力されるケースとを比較して示す説明図である。
【
図4】認証情報出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】認証情報出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】振動センサにより検出される振動の変化の一例を示す説明図である。
【
図7】振動センサにより検出される振動の変化の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本開示の一実施形態としての無線通信システム10の概略構成および利用シーンを模式的に示す説明図である。無線通信システム10は、携帯装置100と設置装置200とを備え、セキュリティシステムにおいて用いられる。本実施形態において、セキュリティシステムは、住居等の家屋内の異常を検出して報知などの対処を行う、いわゆるホームセキュリティシステムである。携帯装置100は、内蔵電池により給電されて駆動し、ユーザにより携帯される。設置装置200は、本実施形態では、玄関に設置されている。なお、設置とは、玄関に取り付けられているだけでなく、棚に置かれていてもよい。
【0010】
図1に示すように、セキュリティシステムは、ユーザが携帯装置100を携帯した状態において設置装置200を操作することにより、家屋内の防犯状態の切り替えを実現する。防犯状態では、例えば、窓や扉の開閉動作の有無が、ユーザやセキュリティ会社に報知される。
図1に示すように、ユーザは、携帯装置100を所持して帰宅した際に、玄関付近に設置されている設置装置200の図示しない操作ボタンを押下することにより、家屋内の防犯状態を解除できる。但し、
図1の状況において、携帯装置100が正規の携帯装置であることを確認するため、携帯装置100の認証が実行される。具体的には、携帯装置100に予め設定されているID等の認証情報が、設置装置200を介してホームセキュリティシステムが有する図示しない認証用の制御装置(後述の制御装置300)に送信され、認証が行われる。認証が成功した場合には、設置装置200での操作に応じて防犯状態の設定および解除が実行され、認証が失敗した場合には、設置装置200での操作は無効となる。無線通信システム10は、携帯装置100と設置装置200との間で無線通信を行い、携帯装置100から認証情報を取得し、図示しないホームセキュリティシステムが有する認証用の制御装置(後述の制御装置300)に中継する。
【0011】
図2は、無線通信システム10の機能構成を示すブロック図である。携帯装置100は、携帯装置側無線通信部110と、携帯装置側制御部120と、記憶部130と、振動センサ140とを備える。携帯装置側無線通信部110と、携帯装置側制御部120と、記憶部130と、振動センサ140とは、それぞれ内部バスに接続され、互いにデータのやりとりが可能に構成されている。
図2に示すように、携帯装置100は、無線通信が実行可能であり、携帯装置側無線通信部110を介して、設置装置200の設置装置側無線通信部210と無線接続可能に構成されている。
【0012】
携帯装置側無線通信部110は、発振器、変調回路、増幅回路、符号化回路、およびアンテナなどを有し、無線通信を実行する。かかる無線通信としては、例えば、426MHz帯や920MHz帯の周波数帯域を利用する特定小電力無線を用いてもよい。また例えば、IEEE802.11において規定される無線LAN(Local Area Network)を用いてもよい。
【0013】
携帯装置側制御部120は、CPU、ROM、RAMを備えるコンピュータとして構成されている。かかるCPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、振動検出部121と、認証情報送信部122として機能する。振動検出部121は、振動センサ140の検出結果に基づき携帯装置100自身の振動の大きさを検出する。
【0014】
認証情報送信部122は、振動検出部121により、携帯装置100の振動状態が後述する状態変化をした場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力する。
【0015】
記憶部130には、無線通信システム10の動作に必要なパラメータの値が記憶されている。例えば、後述する徒歩振動の閾値の上下限値や停止振動の閾値の上下限値が予め記憶されている。
【0016】
振動センサ140は、携帯装置100の揺れを周期的に取得する。振動センサは、例えば3軸加速度センサであり、X方向、Y方向、Z方向の加速度を検出する。具体的には、ばね定数kのばねに支えられたおもりを使って、ばねの変位量を基に加速度を検出する。
【0017】
設置装置200は、携帯装置100と無線通信を行なって携帯装置100の認証情報を取得可能であると共に、携帯装置100と制御装置300との間でやり取りされるデータ、例えば、認証情報を中継する。また、設置装置200は、図示しない操作部を備え、ユーザによるセキュリティに関わる操作の入力、例えば、防犯状態と非防犯状態との切り替えのための入力を受け付ける。設置装置200は、設置装置側無線通信部210と、設置装置側制御部220とを備える。設置装置側無線通信部210と設置装置側制御部220とは、それぞれ内部バスに接続され、互いにデータのやりとりが可能に構成されている。
【0018】
設置装置側無線通信部210は、携帯装置側無線通信部110と同様に、発振器、変調回路、増幅回路、符号化回路、およびアンテナなどを有し、携帯装置100および制御装置300と無線通信を実行する。かかる無線通信として、上述した426MHz帯や920MHz帯の周波数帯域を利用する特定小電力無線を用いてもよい。
【0019】
設置装置側制御部220は、認証情報中継部222を備える。認証情報中継部222は、携帯装置100から認証情報を受信した場合に、設置装置側無線通信部210を介して制御装置300に認証情報を送信する、いわゆる中継する役割を担う。
【0020】
制御装置300は、携帯装置100の認証を実行すると共に、設置装置200において受け付けられるユーザ操作に応じた要求を実行する。例えば、ユーザ操作が「防犯状態の設定の解除」を要求する操作である場合には、家屋内の防犯状態の設定を解除する。
【0021】
制御装置300は、制御装置側無線通信部310と、制御部320を備える。制御装置側無線通信部310は、発振器、変調回路、増幅回路、符号化回路、およびアンテナなどを有し、無線通信を実行する。
【0022】
制御部320は、認証部322を備える。認証部322は、設置装置200から中継されて受信した認証情報を基に認証を行う。具体的には、認証部322は、受信した認証情報のデータと予め登録されている認証情報のデータとを照合する。認証部322は、照合の結果、受信した認証情報のデータが予め登録されている認証情報のデータと一致する場合は、制御装置側無線通信部310を介して設置装置200へ認証成功の結果を送信する。認証部322は、照合の結果、受信した認証情報のデータが予め登録されている認証情報のデータと一致しない場合は、制御装置側無線通信部310を介して設置装置200へ認証失敗の結果を送信する。
【0023】
上記構成を有する無線通信システム10では、後述の認証情報出力制御処理が実行されることにより、携帯装置100からの認証情報の出力を、ユーザが自宅に帰宅して設置装置200の近傍にいる場合に出力し、その他の場合には出力を抑制するようにしている。
【0024】
A2.認証情報出力制御処理:
図3は、第1実施形態の認証情報出力制御処理が実行された場合に認証情報が出力されるケースと、比較例において認証情報が出力されるケースとを比較して示す説明図である。先ず、認証情報出力制御処理実行中において認証情報が出力される状況を、
図3を用いて説明する。
【0025】
図3において横軸は時間を示す。ユーザが携帯装置100を所持した状態で自宅に向かっている途中で、時刻T0~T1の間、例えば信号待ちなどで停止し、その後、時刻T1~T2の間、歩いて
図1に示す自宅のドアD1の前まで来る。ユーザは、
図1に示すようにドアD1に設置されている2つの鍵K1、K2を開錠するために鍵穴に鍵を差込んで回し、ドアノブN1を掴んでドアD1を開く。これらの動作(以下、「開動作」と呼ぶ)を行う際に、ユーザはドアD1の前に短時間だけ止まり、その後、ドアが開くとユーザは屋内に進むために徒歩を再開する。したがって、
図3に示すように、時刻T2~T3の間停止し、その後、時刻T3~T4の間徒歩が行われる。上述のような、徒歩、開動作に伴う短時間の停止、徒歩の再開がこの順序で行われたことを、携帯装置100では、振動センサ140により検出される振動により特定し、時刻T3の直後に認証情報を出力する。なお、本実施形態においては、このような徒歩、開動作に伴う短時間の停止、徒歩の再開がこの順序で変化するパターンが生じない場合には、認証情報送信部122は認証情報を出力しない。
【0026】
図3に示す比較例では、徒歩に伴う振動が検知される場合に認証情報が携帯装置から出力される。かかる比較例では、時刻T1~T2の間、および時刻T3~T4の間、認証情報の出力が継続される。特に時刻T1~T2の間は、ユーザは設置装置200の近傍にいないため、かかる期間における認証情報の出力は無駄となる。これに対して、第1実施形態では、認証情報が出力される状況が限定されるため、認証情報の出力は抑制される。なお、期間は、後述する検出回数に相当する。以下、詳細な手順について説明する。
【0027】
図4および
図5は、認証情報出力制御処理の手順を示すフローチャートである。認証情報出力制御処理とは、携帯装置100からの認証情報の出力を制御するための処理である。携帯装置100では、図示しない内蔵電池から電力が供給されると、認証情報出力制御処理が実行される。
【0028】
携帯装置100において振動検出部121は、変数「振動検出回数」を0(ゼロ)にセットする(ステップS10)。振動検出部121は、振動センサ140により検出される振動が、徒歩振動範囲を超えるか否かを判定する(ステップS12)。
【0029】
図6は、振動センサ140により検出される振動の変化の一例を示す説明図である。
図6の横軸は時間の経過、縦軸は振動の大きさを示す。太い実線で示す振動変化L1は、加速度センサの3軸のうちの垂直方向であるX軸方向の振動変化を示す。また、細い実線で示す振動変化L2は前方方向であるY軸方向の振動変化を、破線で示す振動変化L3は横方向であるZ軸方向の振動変化を、それぞれ示す。
図6の例では、ユーザがズボンのポケットに携帯装置100を入れて継続して歩いている場合の各軸の振動を示している。この例では、振動変化L1および振動変化L3は比較的小さい。これに対して、振動変化L2はユーザの徒歩のリズムに合わせて、換言すると、脚の上下の動きに合わせて、振動の大きさも上下に大きく変化する。そして、振動変化L2における最も大きく変化したときの大きさよりも絶対値が若干小さな値に予め閾値+Vth1および-Vth1が設定されている。そして、この-Vth1以上+Vth1以下の範囲が、徒歩振動範囲Rwとして設定されている。
図6の例では、振動変化L2が徒歩振動範囲Rwを定期的に超えており、このような場合には、ユーザが歩いていると推定される。なお、携帯装置100がズボンのポケットに入れられる場合に限らず、鞄の中に入れられている場合或いは手で握られている場合であっても、徒歩の際には
図6と同様な振動変化が検出される。但し、携帯装置100の姿勢によっては、Y軸ではなく、X軸またはZ軸についての振動が、振動変化L2のような変化を示し得る。
【0030】
図4に示すように、振動検出部121は、測定値が徒歩振動範囲を超えていると判定した場合(ステップS12:Yes)、振動検出回数に1加算する(ステップS14)。振動検出部121は、振動検出回数が予め定められた規定回数以上であるかどうか判定する(ステップS16)。振動検出部121は、振動検出回数が予め定められた規定回数以上であると判定した場合(ステップS16:Yes)、ステップS18へと処理を進める。振動検出部121は、振動検出回数が予め定められた規定回数より少ないと判定した場合(ステップS16:No)、処理はステップS12へ戻る。
【0031】
振動検出部121は、停止検出回数が予め定められた規定回数範囲内であるかどうか判定する(ステップS18)。停止検出回数が予め定められた規定回数範囲内とは、予め定められた閾値期間以下の期間継続して停止状態であることに相当する。停止検出回数の詳細については、後述する。
【0032】
停止検出回数が予め定められた規定回数範囲内であると判定された場合(ステップS18:Yes)、認証情報送信部122は、携帯装置側無線通信部110を介して認証情報を出力し(ステップS20)、ステップS22へと進む。認証情報には、例えば、機器固有の複数の番号が含まれており、かかる番号が、それぞれ認証電文として出力される。
【0033】
ステップS20の完了後、または、上述のステップS18において停止検出回数が予め定められた規定回数範囲内でないと判定された場合(ステップS18:No)、振動検出部121は、停止検出回数を0に設定し(ステップS22)、処理はステップS12へ戻る。
【0034】
上述のステップS12において、振動センサ140の振動の大きさが徒歩振動範囲Rwの閾値の上下限を超えていないと判定した場合(ステップS12:No)、振動検出部121は、停止判定を行う(ステップS24)。停止判定とは、携帯装置100が停止または停止に近い移動状態であるか否かを判定する処理である。
【0035】
図7は、振動センサ140により検出される振動の変化の一例を示す説明図である。
図7の縦軸および横軸、並びに、振動変化L1~L3が示すものは、
図6と同じであるのでその詳細な説明を省略する。
【0036】
図7に示すように、-Vth2以上+Vth2以下の振動の大きさの範囲が、停止振動範囲Rsとして、予め設定されている。+Vth2および-Vth2の絶対値は、上述の+Vth1および-Vth1の絶対値よりも小さい。携帯装置100が停止または停止に近い移動状態である場合、各軸の振動変化は非常に小さくなる。例えば、時刻Ta~Tbの期間Tsにおいて、3軸の振動変化は、いずれも停止振動範囲Rsに収まっている。ステップS24では、振動検出部121は、各軸の振動の大きさを特定し、この停止振動範囲Rs内であるか否かを特定する。なお、
図7では、時刻Tbの後、再びY軸の振動(振動変化L2)は大きく変動している。このような状況は例えば、時刻Ta~Tbが、
図3に示す時刻T2~T3のように、ユーザがドアD1近傍において開動作を行っている状況などが該当する。
【0037】
図5に示すように、振動検出部121は、ステップS24の結果、すべての軸の振動の大きさが停止振動範囲Rs内であるか否かを判定する(ステップS26)。振動検出部121は、いずれかの軸の振動が停止振動範囲Rs内でないと判定した場合(ステップS26:No)、リターンして処理は
図4におけるステップS10へ戻る。これに対して、すべての軸の振動が停止振動範囲Rs内にあると判定した場合(ステップS26:Yes)、振動検出部121は、振動検出回数が0より大きいかどうか判定する(ステップS28)。
【0038】
振動検出部121は、振動検出回数が0より大きいと判定した場合(ステップS28:Yes)、振動検出回数を0に、停止検出回数を1にそれぞれ設定し(ステップS30)、ステップS34へ進む。これに対して、振動検出部121は、振動検出回数が0より大きくないと判定した場合(ステップS28:No)、停止検出回数を1加算して(ステップS32)、ステップS34へ進む。
【0039】
振動検出部121は、停止検出回数が予め定められた規定回数以上かどうか判定する(ステップS34)。振動検出部121は、停止検出回数が予め定められた規定回数以上であると判定した場合(ステップS34:Yes)、リターンして処理は
図4におけるステップS10へ戻る。振動検出部121は、停止検出回数が予め定められた規定回数以上でないと判定した場合(ステップS34:No)、処理はステップS26へ戻る。
【0040】
図3に示すように、時刻T1~T2の徒歩により、徒歩が継続されると、振動変化L2は、徒歩振動範囲Rwを超えることが継続するため、振動検出回数は規定回数以上となる(ステップS16:Yes)。ただし、この時点では、停止検出回数は0であるため、予め定められた閾値期間以下の期間継続して停止状態になく、停止検出回数が予め定められた規定回数範囲内にない(ステップS18:No)。ステップS20は実行されないので、認証情報は出力されない。この時点で、時刻T1~T2の徒歩の前に、予め定められた閾値期間以下の期間継続して停止状態、例えば、ユーザがドアD1近傍において開動作を行っている状況になかったことが推測できる。このため、停止検出回数は0のまま(ステップS22)、処理はステップS12へ戻る。
【0041】
時刻T2~T3の停止により、停止が継続されると、振動変化L2は停止振動範囲Rsに収まり停止検出回数は規定回数以上となる。また、振動変化L2は徒歩振動範囲Rwを超えなくなる(ステップS12:No)。このため、処理は停止判定へと進む(ステップS24)。振動変化L2は停止振動範囲Rsの範囲内である(ステップS26:Yes)。また、先のT1~T2の徒歩により、この時点で、振動検出回数は0より大きい(ステップS28:Yes)。前述のように、停止検出回数は規定回数以上である(ステップS34:Yes)ので
図4に示す処理へ戻り、振動検出部121は振動検出回数を0に設定する(ステップS10)。
【0042】
図3に示すように、時刻T3~T4の徒歩移動再開により、徒歩が継続されると、振動変化L2は、徒歩振動範囲Rwを超えることが継続するため、振動検出回数は規定回数以上となる(ステップS16:Yes)。時刻T3に徒歩移動再開になった後、振動検出部121は、時刻T2~T3の停止検出回数が、
図7に示す時刻Ta~TbのTsの期間以下に相当する回数と判定する(ステップS18:Yes)。認証情報送信部122は、認証情報を出力する(ステップS20)。
【0043】
本実施形態における徒歩は、特許請求の範囲における第1状態に相当し、停止は第2状態に相当する。
【0044】
以上説明した第1実施形態の無線通信システム10では、携帯装置100の振動状態について、玄関などのセキュリティを確保すべき対象の領域に向かう徒歩から、ドアの開動作に伴う短時間の停止、徒歩の再開がこの順序で行われる。短時間の停止における振動の大きさは、徒歩における振動の大きさに比べて小さい。当該順序で状態変化した場合、認証情報送信部122は認証情報を出力する。このため、セキュリティを確保すべき対象の領域への進入時のような認証情報を出力すべき状況において認証情報を出力でき、ユーザの利便性を向上できる。他方、上述の振動状態の変化が無い場合には、ユーザがセキュリティを確保すべき対象の領域に進入しようとしておらず、認証情報を出力する必要性は低い。このような場合には認証情報は出力されないため、携帯装置の認証情報を送信する必要のないタイミングで認証情報を送信して電池が無駄に消耗されることを抑制できる。
【0045】
また、本実施形態の無線通信システム10によれば、ドアを開くための操作、例えば、鍵孔に鍵を挿入して回したりドアノブを回したりするなどの操作の間、短時間だけユーザが立ち止まり、その前後においてはユーザが歩行するような状況において、認証情報を出力することができる。すなわち、設置装置200がセキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドア近傍に設置されている場合に、設置装置200に認証情報を受信させることができる。
【0046】
さらに、本実施形態の無線通信システム10において、振動検出部121は複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、認証情報送信部122は、1つの軸についての振動状態が、玄関などのセキュリティを確保すべき対象の領域に向かう徒歩から、すべての軸についての振動状態がドアの開動作に伴う短時間の停止、1つの軸についての振動状態が徒歩の再開、というように、この順序で状態変化した場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力する。このため、ユーザが歩行し、セキュリティを確保すべき対象の領域の出入口のドアの近傍で短時間立ち止まり、その後歩行を再開する状況である可能性が高い場合に認証情報を出力できる。したがって、認証情報の無駄な出力を、より抑制できる。
【0047】
B.他の実施形態:
(B1)第1実施形態における無線通信システム10は、ホームセキュリティシステムに適用されていたが、他の任意の種類のセキュリティシステムに適用されてもよい。例えば、企業において居室や倉庫や機械室等を監視するためのセキュリティシステムに適用されてもよい。
【0048】
(B2)第1実施形態では、無線通信システム10における携帯装置100は無線タグであったが、無線タグに限らず、携帯電話機など携帯可能であり、且つ認証情報を出力可能な任意の無線の装置であってもよい。
【0049】
(B3)第1実施形態の無線通信システム10では、携帯装置100の振動状態が、徒歩を示す状態から、徒歩状態に比べて振動の大きさが小さな停止状態に変化し、停止状態が予め定められた所定回数、すなわち閾値期間以下の期間継続した後に、徒歩状態に変化した場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力していたが、本開示はこれに限定されない。停止に相当する状態から、停止を示す状態に比べて予め定められた大きさ以上相違する、振動が大きな状態に変化し、当該状態が予め定められた所定回数、すなわち閾値期間以下の期間継続した後に、停止に相当する状態に変化した場合に認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力してもよい。例えば、携帯装置と鍵とがキーホルダでまとめられている場合など携帯装置が鍵と一緒になって携帯されている場合、ユーザが鍵孔に鍵を挿入して回す短い時間において携帯装置は大きく振動し、その前後では携帯装置の振動は小さい。かかる構成によれば、鍵の開錠時に携帯装置100の振動が大きいという場合も認証情報を送信するタイミングに含むことができる。
【0050】
(B4)第1実施形態の無線通信システム10において、振動検出部121は、複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、認証情報送信部122は、複数軸のうち、1つの軸についての振動状態が、徒歩を示す状態から、すべての軸についての振動状態が、徒歩状態に比べて振動の大きさが小さな停止状態に変化し、停止状態が予め定められた所定回数、すなわち閾値期間以下の期間継続した後に、1つの軸についての振動状態が徒歩状態に変化した場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力していたが、本開示はこれに限定されない。複数軸のうち、どれか1つの軸についての振動状態が上記変化をした場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力してもよい。また、すべての軸についての振動状態が上記変化をした場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力してもよい。さらに、複数軸についての振動状態が上記変化した場合に、認証情報を出力してもよい。また、任意の組み合わせの軸についての振動状態が上記変化した場合に、認証情報を出力してもよい。このような構成によれば、振動状態の変化が精度良く検出され、認証情報が送信されないことを抑制できる。
【0051】
(B5)第1実施形態の無線通信システム10において、振動検出部121は複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、1つの軸についての振動状態が、徒歩を示す状態から、すべての軸についての振動状態が、徒歩状態に比べて振動が小さな停止状態に変化し、停止状態が予め定められた所定回数、すなわち閾値期間以下の期間継続した後に、1つの軸についての振動状態が徒歩状態に変化した場合に、認証情報の出力が行われていたが、本開示はこれに限られない。振動検出部121は、複数軸の各軸方向の振動の大きさを検出し、認証情報送信部122は、複数軸のうちの各軸についての振動の大きさの合計値が、第1状態に対応する値から第2状態に対応する値に変化し、第2状態に対応する値を閾値期間以下の期間継続した後に第1状態に対応する値に変化した場合に、認証情報を、携帯装置側無線通信部110を介して出力してもよい。このような構成によれば、例えば、振動センサ140が3軸加速度センサの場合、携帯装置100の向きにより各軸から出力される値が異なってしまうが、3軸の振動の大きさを合計した値を用いることにより、携帯装置100の向きに影響を受けることなく認証情報の出力が行われる。
【0052】
(B6)第1実施形態における無線通信システム10における設置装置200は、制御装置300と無線接続されていたが、IEEE802.3等で規定される有線LANなどを用いて有線接続されてもよい。
【0053】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…無線通信システム、100…携帯装置、110…携帯装置側無線通信部、120…携帯装置側制御部、121…振動検出部、122…認証情報送信部、130…記憶部、140…振動センサ、200…設置装置、210…設置装置側無線通信部、220…設置装置側制御部、222…認証情報中継部、300…制御装置、310…制御装置側無線通信部、320…制御部、322…認証部、D1…ドア、K1…鍵、L1…振動変化、L2…振動変化、L3…振動変化、N1…ドアノブ、Rs…停止振動範囲、Rw…徒歩振動範囲、T0…時刻、T1…時刻、T2…時刻、T3…時刻、Ta…時刻、Tb…時刻、Ts…期間