(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光重合による構築材料の光造形凝固によって成形体を構築する方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
B29C 64/124 20170101AFI20231005BHJP
B29C 64/232 20170101ALI20231005BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20231005BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20231005BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20231005BHJP
B29C 64/259 20170101ALI20231005BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20231005BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231005BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231005BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20231005BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/232
B29C64/241
B29C64/245
B29C64/25
B29C64/259
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
(21)【出願番号】P 2019190085
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ ルス
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03354442(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/006018(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/026640(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合による構築材料の光造形凝固によって成形体を構築する方法であって、
構築材料が、構築プラットフォームと透明な底部プレート(12)との間に搬送され、前記構築材料は、所定の輪郭内で前記底部プレート(12)の上方で構築材料を凝固させるために、前記底部プレートを通して空間的に選択的な様式で露光され、
前記構築プラットフォームは、前記底部プレート(12)に対して持ち上げられ、構築材料が、補充され、
これらの2つのステップは、前記成形体が空間的に選択的に凝固させられた構築材料によって構築されるまで、継続され、
前記構築プラットフォームは、ピストン(16)の正面上に位置し、前記ピストン(16)は、シリンダ(10)の中にスライド可能に誘導され、前記ピストンに面する前記シリンダの端面は、前記底部プレート(12)によって閉鎖されていることと、さらなる構築材料が、前記ピストン(60)を前記底部プレート(12)から離れるように移動させ、同時に、供給ライン(14)を通して構築材料を搬送することによって、補充されることとを特徴とし、前記供給ライン(14)は、前記底部プレート(12)から離れ
る前記ピストン(16)の移動によってもたらされる追加の容積を構築材料で充填するために前記シリンダの内部につながって
おり、
前記ピストンは、前記底部プレートから離れるように前記シリンダ内で移動させられると、同時に、前記シリンダ(10)の縦軸と一致する回転軸の周りに回転させられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記成形体は、
最初に、間隙を構築材料で充填することによって、所望される層厚の距離を空けて設定された前記ピストン(16)と前記底部プレート(12)との間に構築材料の第1の層を形成することと、この層のために事前決定された輪郭を伴う層エリアを凝固させ、前記ピストン(16)に前記形成された層を固定するために、前記形成された層を前記底部プレートを通して空間的に選択的に露光することと、
前記ピストン(16)を前記底部プレート(12)から層厚分離れるように移動させることと、構築材料を補充することによって、最後に凝固させられた層と前記底部プレート(12)との間にさらなる層構築材料を形成することと、
それぞれの層のために事前決定された輪郭を伴う層エリアを凝固させるために、前記さらなる層を前記底部プレート(12)を通して空間的に選択的に露光することと、
前記成形体が互いの上の凝固させられた層エリアによって構築されるまで、2つの最後に言及されたステップを必要な回数だけ繰り返すことと
によって、層毎に構築され、
構築材料のさらなる層が、前記ピストン(16)を
前記底部プレート
(12)から所望される層厚に対応する距離分離れるように移動させることと、同時に、前記底部プレートから離れるような前記ピストンの移動によってもたらされる追加の容積を構築材料で充填するために、構築材料を前記供給ライン(17)を通して搬送することとによって、形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピストン(16)の回転は、駆動モータ(52)によってもたらされることと、前記底部プレート(12)から離れるような前記ピストンの移動と前記ピストン(16)の回転とは、伝動接続によって結合されていることとを特徴とする、請求項
1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記構築材料は、前記シリンダの供給ライン(14、14’)に接続されたカートリッジ(40、40’)内に利用可能に保持されることと、構築材料は、前記構築材料に圧力
を及ぼし、それを前記カートリッジの外に押し出し、前記シリンダ(10)の中に入れるように制御された様式でカートリッジピストン(42)を駆動することによって、前記供給ラインを通して搬送されることとを特徴とする、請求項1
~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
供給ライン(40、40’)を介して前記シリンダ(10)に接続されたいくつかのカートリッジ(14、14’)が存在し、それらのカートリッジは、それぞれ、異なる構築材料で充填され、それらから、制御ユニットの制御のもとで、前記構築材料のうちの1つ以上のものが、前記シリンダ(10)の中に選択的に搬送されることを特徴とする、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記成形体の構築が完了された後、未使用の未重合構築材料が、前記ピストンによる前記シリンダの内部における閉鎖された構築空間から外
に加圧空気によって
押し出されることを特徴とする、請求項1
~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記未使用構築材料の除去の後、洗浄液が、シリンダ(10)の中におよび/またはそれを通して導かれ、前記成形体に付着している構築材料残留物を除去することを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
シリンダ(10)であって、前記シリンダの端面のうちの1つは、少なくとも中心エリアにおいて透明である底部プレートによって閉鎖され、前記シリンダ内において、ピストン(16)が、前記シリンダの長手方向に駆動モータによって変位可能であるように誘導され、
これにより、前記シリンダ(10)
および前記ピストン(16)
および前記底部プレート(12)は、前記シリンダ(10)の内部における可変容積を有する閉鎖された構築空間を画定する、シリンダ(10)と、
構築材料を保持する容器であって、前記容器は、供給ラインに接続され、前記供給ラインは、前記底部プレートの内部表面に隣接して前記シリンダ(10)の内部に開放している、容器と、前記容器(40)から前記供給ライン(14)を通して前記シリンダ(10)の内部に構築材料を搬送するための搬送デバイスと、
前記底部プレートを通した空間的に選択的な露光のために構成され
ている露光ユニットと、
前記ピストンの駆動モータ(52)および前記搬送デバイスを制御するように配置され
ている制御ユニットと
によって特徴付けられ、
前記搬送デバイスは、前記底部プレートから離れ
る前記ピストンの移動によってもたらされる追加の空間を構築材料で充填し、前記制御ユニットは、前記制御ユニットによって規定される輪郭内で前記底部プレートの上方で充填された構築材料を凝固させるための空間的に選択的な露光のために、前記露光ユニットを制御するように配置されている、請求項1
~7のいずれかに記載の方法を実行するためのデバイス。
【請求項9】
前記ピストンは、前記底部プレート(12)と反対側にピストンロッドを具備し、前記ピストンロッドは、前記シリンダに対して固定された構成要素(22)内の内部ねじ山に係合する外部ねじ山(20)を有することと、前記ピストンロッドは、
円形ではない中心陥凹部を有し、その陥凹部の中に相補的な成形駆動ピン(50)がスライド可能に導入されることと、前記駆動ピン(50)は、前記駆動モータ(52)によって、その縦軸の周りに回転するように駆動可能であり、
これにより、前記ピストンロッド(18)と前記ピストン(16)とは、同じ様に回転させられ、
これにより、前記ピストンロッド(18)の外部ねじ山は、前記固定された構成要素(22)の内部ねじ山内で回転させられ、前記
底部プレート(12)に対して前記ピストン(16)を移動させ、前記駆動ピン(50)は、前記ピストンロッドの前記陥凹部内でシフトされることとを特徴とする、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記容器(40)は、カートリッジとして形成され、前記搬送デバイスは、駆動によって前方に押されることが可能なカートリッジピストン(42)として形成され、そのカートリッジピストンは、前記制御ユニットの制御のもとで前方に押されると、構築材料を前記カートリッジから外に押し出し、前記供給ライン(14)を通して前記シリンダ(10)の中に入れることを特徴とする、請求項
8または
請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記供給ライン(14)は、弁を装備し、前記弁は、前記供給ラインを開放した状態に保つこと、またはそれを遮断することを行うように前記制御ユニットによって制御されるように構成されていることを特徴とする、請求項
8~10のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
前記シリンダの周囲に円周方向に分散させられ、かつ
、前記
底部プレート
(12)に隣接して配置された複数の供給ライン(14、14’)が存在することを特徴とする、請求項
10または
請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記
底部プレート(12)は、前記シリンダ(10)の内部に面する前記
底部プレート
(12)の表面が、阻害剤として作用する薬剤を放出するような様式で形成されることを特徴とし、前記阻害剤は、前記シリンダの内部に面する前記
底部プレート(12)の表面への前記凝固させられる層の付着を最小化する、請求項
8~12のいずれかに記載のデバイス。
【請求項14】
前記
底部プレート(12)は、ナノ多孔性材料から成ることを特徴とし、前記ナノ多孔性材料の中に阻害剤が蓄積され、前記ナノ多孔性材料からこれらの薬品が放出され、および/または、前記ナノ多孔性材料を通して阻害剤が拡散し、前記底部プレート(12)を通過できる、請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記シリンダの内部と反対の前記底部プレート(12)の側に、供給ライン(30)を通して透明な阻害剤で充填可能であるチャンバ(28)が形成されていることを特徴とする、請求項
14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記シリンダの内部に面する前記底部プレートの表面は、前記底部プレートへの前記凝固させられる層の付着をさらに最小化する超撥油性層でコーティングされていることを特徴とする、請求項
8~14のいずれかに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合による構築材料の光造形凝固によって成形体を構築する方法を対象とし、方法において、構築材料は、構築プラットフォームと透明な底部プレートとの間に搬送され、底部プレートを通して空間的に選択的な様式で露光され、所定の輪郭内で、底部プレートの上方で構築材料を凝固させ、構築プラットフォームは、底部プレートに対して持ち上げられ、構築材料は、補充され、これらの2つのステップは、成形体が空間的に選択的に凝固させられる構築材料によって構築されるまで継続される。
【0002】
成形体の層毎または連続的な構築プロセスは、一般的用語「生成型製造」もしくは「付加製造」に分類される生産プロセスに属する。これは、3次元の物体(成形体)が成形体のデジタルモデル(例えば、CADモデル)に基づいて直接構築される方法のクラスとして理解されている。この目的のために、層毎構築の場合、成形体のデジタルモデルは、複数の後続の薄いスライスに細分され、各スライスは、モデルによって画定される輪郭を有する。構築プロセスは、材料層を追加することによって実施され、各層は、モデルによって規定される輪郭がこの層のために生成されるように、処理される。互いの上にあり、かつ互いに接続されているスライスの堆積物が、成形体を最終的に形成し、成形体は、いくつかの方法では、例えば、結合解除および焼結のために熱の印加によってさらに処理される。用語「輪郭」は、本発明の文脈において、一般的な意味で使用され、単に接続されたエリアを封入する単純な閉鎖された境界線に限定されず、それは、それぞれのスライスを一緒に形成する隣接した別個のエリアを封入するいくつかの別個の輪郭も含み得るか、スライスの環状エリアを画定する外側および内側の輪郭区分が、あり得る。
【背景技術】
【0003】
本発明は、成形体の付加製造を対象とし、構築材料が、光重合によってそれを凝固するために空間的に選択的に露光される。構築材料は、流動性から非流動性であるものまでの広範囲の粘度を有し得、光重合性モノマー化合物充填剤以外のもの(セラミック、ガラスセラミック、または金属の粉末、および、随意に、分散媒体および他の添加剤等)も含み得る。本発明は、特に、歯科インレー、アンレー、被覆冠、歯冠、ブリッジ、およびフレームワーク等、セラミックおよびガラスセラミック成形体(いわゆる、素地)の製造を対象とする。
【0004】
請求項1のプレアンブルが基礎とする第WO2010/045950A1号から、成形体を生成する方法のための例が公知であり、その方法は、液体と、光重合性成分と、その中に分散させられたセラミックまたはガラスセラミック粉末の充填剤とを備えているセラミックスラリーからの歯科修復物の生成を特に対象とする。この従来技術方法では、成形体は、互いの上に凝固させられる層によって連続的に蓄積される。この方法では、構築プラットフォームが、少なくとも構築エリアにおいて透明であるタンク底部の上方に垂直に可動に保持される。タンク底部の下方に、露光ユニットが、位置する。構築プラットフォームは、最初、所望される層厚を有する層が構築プラットフォームとタンク底部との間に留まるレベルまで、タンク内のスラリーの中へ下方に降下させられる。その後、この層は、この層のためにデジタルモデルによって規定された輪郭内で露光され、それによって、凝固させられる。構築プラットフォームを持ち上げた後、スラリーが、例えば、ドクターブレードを使用して補充され、次いで、構築プラットフォームは、再びスラリーの中に降下させられ、下降させることは、最後に凝固させられた層とタンク底部との間の距離が所望される厚さを有する構築材料の層を画定するような様式で制御される。最後の2つのステップは、成形体が、層の連続した凝固によって所望される3次元の形状を伴って構築されるまで、デジタルモデルによって規定された輪郭内で、各層に対して、何度も繰り返される。
【0005】
露光ユニットが、露光野内のアレイ内に配置された多数の画素(picture element)を露光するために構成される。露光ユニットは、例えば、光源と、空間光変調器とを備えている。空間光変調器の活性表面は、露光要素のアレイまたは行列を備え、各露光要素は、露光ユニットの露光野内の1つの画素に関連付けられる。空間光変調器は、例えば、いわゆる、マイクロミラーデバイスまたはデジタルミラーデバイス(DMD)であることができる。そのようなデバイスは、アレイ内に配置された多数のマイクロミラーアクチュエータを具備するチップであることが知られている。各マイクロミラーアクチュエータは、マイクロミラーが光源からの光を関連付けられた画素に反射する露光位置と、マイクロミラーが光を不活性エリアの中に偏向させる暗位置との間に選択的に傾斜可能であるように、制御ユニットによって、個々かつ選択的に制御可能である。各露光要素のために選択的に定義されたデューティサイクルを使用してマイクロミラーを前後に切り替えることによって、関連付けられた画素のために生成される露光強度は、デューティサイクルによって決定される平均強度として設定されることができる。DMDを装備する露光ユニットは、DLPユニット(デジタル光処理)とも称される。空間光変調器の別の例は、液晶ディスプレイを備え、液晶ディスプレイは、光源によって透照され、液晶ディスプレイは、それらの各々が画素に割り当てられている多数の個々の露光要素の行列配列に細分されている。
【0006】
成形体が構築された後、構築プラットフォームは、成形体と一緒に取り出されることができる。多くの場合、さらなる処理ステップが、続く。上記に説明される方法では、構築材料の層毎の重合は、素地をもたらす。これは、次いで、結合剤、この場合、光重合体を除去するために、高温に露光される。これは、ポリマーをより低い質量分子に分解する熱分解および反応による高温下で生じ、より低い質量分子は、拡散によって成形体の表面に移動し、最終的にはガスとして逃散する。さらなる高密度化のために、結合解除のこのプロセスに続いて、さらなる温度処理が、続くことができ、成形体内の残りのセラミック粒子が、焼結される。
【0007】
比較的に低い粘度(<10Pas)の流動可能な構築材料し、処理されることができないので、公知の方法は、欠点を有する。相応して大きい構築プラットフォームを伴う構築材料を受け取るために上部において開放しているタンクは、システム全体に対して大きい占有面積を備えている。さらに、構築材料を保持する上部において開放しているタンクは、実験室環境においてしか使用可能ではなく、任意の場合、例えば、歯科的実践における動作にあまり好適ではない。何故なら、そのような実践において、作業者が、好ましくは、作業者が、理想的には未反応の構築材料(モノマー)に接触しない、「乾燥した」かつ単純なプロセスを取り扱っていることを確実にされる必要があるからである。
【0008】
本発明は、特に、流動可能ではない高粘性の構築材料を処理することが可能である能力を対象とする。例えば、セラミック粉末の形態の大量の充填剤を含む構築材料は、非常に高粘性を有し得、流動可能ではないこともある。そのような材料に対して、構築プラットフォームの下方のタンク内の構築エリアへの構築材料の補充は、問題となる。何故なら、ドクターブレードが使用される場合であっても、構築エリアへのタンク底部上の非常に粘性のある構築材料の支障のない供給が、技術的に複雑であるからである。
【0009】
さらなる欠点は、構築材料を伴うタンクが使用されるとき、構築プロセス中に異なる構築材料組成物の間で変化することは、非常に困難であり、いずれの場合にも非常に複雑であることである。何故なら、この目的のために、異なる構築材料組成物を伴う複数のタンクが、構築プラットフォームの下に位置付けられるように移動可能である必要があるからである。非常に困難であるものは、構築材料組成物間の緩やかで連続的な遷移の実現、例えば、成形体における色遷移の実現である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光造形光重合による構築材料の連続した凝固によって成形体を構築する方法を定義することが、本発明の目的であり、その方法は、狭い空間要件を伴い、かつ特定の訓練を伴わない作業者がいる環境においても安全に実施されることが可能であるように動作安全性を伴って実施され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。方法の好ましい実施形態は、請求項2-8に提示される。方法を実行するためのデバイスが、請求項9に定義され、デバイスの好ましい実施形態が、それに従属する請求項に提示される。
【0012】
本発明によると、構築プラットフォームは、シリンダ内にスライド可能に誘導されるピストンの正面によって形成される。ピストンの正面に面しているシリンダの開放端面または端部平面が、ピストン、シリンダ、および底部プレートが、シリンダの内部に構築空間として、閉鎖されるチャンバを形成するように、底部プレートによって閉鎖される。さらなる構築材料が、底部プレートから離れるようにピストンを移動させることによって、かつ同時に、シリンダの内部につながり、かつその中に開放する供給ラインを通して構築材料を搬送し、底部プレートから離れるようなピストンの移動によってもたらされる余分な空間を構築材料で充填することによって、補充される。好ましくは、供給ラインは、底部プレートに隣接したシリンダの内部に開放する。
【0013】
本発明による方法は、いくつかの利点を有する。方法は、実際の構築エリアを越えて側方に延びているタンクの部分が存在しないので、非常に小型のデバイス構造を使用して実行されることができる。代わりに、構築プラットフォームがシフト可能ピストンとして誘導される場合、シリンダのみが、要求される。ピストンに面するシリンダの開放端部は、底部プレートによって閉鎖される。ピストンは、シリンダ、底部プレート、およびピストンによって封入される構築空間が、構築プロセス中、成長する成形体とともに成長するように、底部プレートから離れるように移動させられる。
【0014】
さらなる利点は、開放タンク内の構築材料への自由なアクセスは存在しないが、構築材料は、動作する作業者が、構築材料に接触し得る危険性が存在しないように、シリンダ、ピストン、および基部プレートによって画定される閉鎖される構築空間内に含まれることである。加えて、構築材料は、成形体の構築高のために必要とされる量のみの構築材料が、構築プロセス中に成長する構築空間内に補充されるので、非常に効率的な様式で使用される。
【0015】
原理上、方法は、連続的に実施されることができ、すなわち、ピストンは、連続的に底部プレートから(成形体が成長する速度で)離れるように移動させられる。同時に、構築材料は、シリンダの内部における構築空間を充填された状態に保つために、連続的に補充され、露光ユニットは、連続的に、すなわち、現在凝固させられるべき輪郭が、成形体のデジタルモデルに従って連続的に調節されるように、ビデオフレームの急速な連続を伴うビデオに匹敵する様式で露光する。
【0016】
しかしながら、光造形凝固構築方法の中でもとりわけ、ステップ毎または層毎の方式で動作する方法が、より一般的である。好ましい実施形態では、本発明の方法は、層毎の構築方法として実行される。構築プロセスの始めにおいて、構築材料の第1の層が、底部プレートとピストンとの間の間隙を充填することによって、かつこの層のために成形体のデジタルモデルによって規定されるような輪郭を伴う層エリアを凝固させ、かつ凝固させられるエリアをピストンに固定するために、空間的に選択的な様式で、底部プレートを通してこの様式でもたされる層を露光することによって、互いに所望される層厚の距離を空けて設定されるピストンと底部プレートとの間に形成される。その後、ピストンは、層厚によって底部プレートからさらに離れるように移動させられ、構築材料が、同時に、最後に凝固させられた層と底部プレートとの間にさらなる層を形成するために補充される。さらなる層は、それぞれの層のためにデジタルモデルによって説明されるような輪郭内の層エリアを凝固させるために、空間的に選択的な様式で、底部プレートを通して露光される。2つの最後に言及されたステップは、成形体が、互いの上に凝固させられる層エリアによって蓄積されるまで、必要な回数繰り返される。構築プロセス中、構築材料のさらなる層が、同時に、底部プレートから離れるようなピストンの移動によってもたらされる成長する容積を構築材料で充填するために、それを供給ラインを通して給送することによって構築材料を補充することによって、ピストンを底部プレートから所望される層厚に対応する距離分さらに離れるように移動させることによって、形成される。
【0017】
底部プレートが本説明において「透明である」ものとして示される限りにおいて、これは、底部プレートが半透明であることを意味し、かつある量の入射放射線が、底部プレートの中に吸収されるまたはその中に散乱されることを除外しない、底部プレートを通した、空間的に選択的な露光を実行することが可能であることが意図される。
【0018】
好ましい実施形態では、ピストンは、底部プレートから離れるようなシリンダ内の移動中、同時に、ピストンの外周上の点が、渦巻き状または螺旋状の移動を実施するように、シリンダの縦軸と一致する回転軸の周りに回転させられる。これは、底部プレートから離れるようなピストンの移動中、底部プレートから離れるようなこの線形移動が、底部プレートに対して横方向の移動構成要素上に重ねられる効果を有し、横方向に移動する構成要素は、底部プレートからの分離を促進する。層毎の方法では、これは、層を凝固させた後、ピストンが底部プレートから離れる方向に移動させられると、最後に凝固させられた層を持ち上げる間の移動は、底部プレートに対して厳密に垂直な移動ではないが、同時に、ピストンを回転させることによって、底部プレートに対して横方向の移動構成要素も含むことを意味する。この移動は、底部プレートからの最後に凝固させられた層の分離を支援する。底部プレートへの凝固させられる層の付着を防止し、それによって、分離を支援するためのさらに好ましい手段が、さらに下で説明されるであろう。
【0019】
好ましくは、ピストンの移動は、駆動モータによってもたらされ、ピストンの回転移動は、同時に、例えば、スピンドル駆動によって、底部プレートから離れるようなピストンの線形移動に変換される。これは、例えば、シリンダに対して固定式である内部ねじ山内に受け取られるねじ山付きロッドとしてピストンロッドの少なくとも一部を形成することによって遂行され得、駆動モータは、ピストンロッドを回転させ、それは、スピンドルとして、次いで、同時に、ピストンの長手方向移動および回転移動をもたらす。内部ねじ山は、例えば、底部プレートに平行な中間壁内の中心開口部の内壁の中またはシリンダのカバーの中に形成され得、中間壁を越えて、駆動モータおよび動作のためのさらなる構成要素が、収容され得る。ねじ山付きロッドは、次いで、スピンドル駆動によって、回転移動に加え、ピストンの線形移動がもたらされるように、駆動モータによって、カバー内のこの内部ねじ山の中で回転させられ得る。この場合、ねじ山付きロッドの外部ねじ山によって係合される内部ねじ山を伴う構成要素は、内部ねじ山内でのねじ山付きロッドの回転が、シリンダに対してピストンの定義される移動に変換されるように、構築プロセス中、シリンダに対して固定される必要がある。この構成要素の固定は、構築プロセスの完了後および固定の解放後、内部ねじ山を伴う構成要素が、その上に取り付く構築された成形体を有するねじ山付きロッドおよびピストンと一緒に取り出され得るように解放可能であるべきであり、内部ねじ山を伴う構成要素(例えば、シリンダカバー)は、ナットのように、ねじ山付きロッドの外部ねじ山上に係合したままである。
【0020】
好ましい実施形態では、構築材料は、シリンダの供給ラインに接続されたカートリッジ内に利用可能に保持され、カートリッジ内の構築材料は、構築材料をカートリッジの外に押し出し、シリンダの中に入れるように制御された様式でカートリッジピストンを駆動することによって、供給ラインを通してシリンダの中に搬送される。カートリッジピストンの移動は、例えば、油圧式、空気圧式、またはステップモータによって制御された様式で駆動され得る。
【0021】
好ましい実施形態では、複数の構築材料組成物が、利用可能に保持され、制御ユニットの制御のもとで、選択的に、構築材料組成物のうちの1つ以上のものが、シリンダの中に搬送される。例えば、それらの各々がシリンダへの供給ラインに接続されている複数のカートリッジがあり得、制御ユニットは、それぞれ、所望される構築材料組成物を保持するカートリッジのうちの1つ以上のものを選択的に駆動し、シリンダの中に材料を搬送する。原理上、いくつかのカートリッジが、次いで、シリンダの内部への供給ラインとしてつながる、回収パイプに接続されることも、可能である。
【0022】
好ましい実施形態では、成形体の構築プロセスが完了した後、未使用または剰余構築材料(未重合構築材料)が、加圧空気を用いて、シリンダの内部内に閉鎖される構築空間から外に押され、好ましくは、関連付けられたカートリッジの中に戻る。
【0023】
好ましい実施形態では、未使用構築材料の除去の後、洗浄液が、可能性として依然として成形体上に付着する構築材料残留物から成形体を清浄にするために、シリンダの中に導かれる。
【0024】
加圧空気および洗浄液のための入力ポートが、シリンダの上側区分に位置し得、この入力ポートは、入力ポートが、次いで、シリンダの内部に開放するように、ピストンを入力ポートのエリアを通過するように移動させることによって、遮断解除または開放される。1つの構築材料成分のみが存在する場合、凝固させられる構築材料は、加圧空気によって再びそれぞれのカートリッジの中に圧入されない。いくつかの構築材料組成物が存在する場合、それらは、集合的に配置される。洗浄液を放出するために、構築材料供給ラインに類似する別個の開口部が、底部プレートの真上に、出口として提供される。この様式で、洗浄液は、例えば、循環され、構築空間を洗浄し得、これは、成形体の改善された清掃効果につながる。
【0025】
その後、成形体は、さらなる処理ステップ、例えば、結合解除および焼結を受けることができる。
【0026】
本発明による方法を実行するためのデバイスは、シリンダの端面のうちの1つが、少なくとも中心エリアにおいて透明である底部プレートによって閉鎖され、シリンダにおいて、ピストンが、シリンダ、ピストン、および底部プレートが、シリンダの内部における可変容積を有する閉鎖された構築空間を画定するように、シリンダの長手方向に駆動モータによって変位可能であるように誘導される、シリンダと、構築材料を保持し、かつ底部プレートの内部表面に隣接した、シリンダの内部に開放している供給ラインに接続されている、容器と、容器から供給ラインを通してシリンダの内部に構築材料を搬送するための搬送デバイスと、底部プレートを通した空間的に選択的な露光のために構成された露光ユニットと、底部プレートから離れるようなピストンの移動によってもたらされる追加の空間を構築材料で充填するように、ピストンの駆動モータおよび搬送デバイスを制御するように配置され、かつ制御ユニットによって規定される輪郭内の底部プレートの上方で補充される構築材料を凝固させるための、空間的に選択的な露光のための露光ユニットを制御するように配置される、制御ユニットとによって特徴付けられる。
【0027】
そのようなデバイスはシリンダの延長部を形成する円筒形のより低い筐体区分内に露光ユニットを収容することによって、非常に小型の様式で構成されることができる一方、ピストンの懸架部および駆動モータならびに制御ユニットは、シリンダの延長部を形成する反対側の端部の上側筐体区分の中に収容され得る。構築材料を伴う容器として、カートリッジが、シリンダにおいて側方に位置し得、シリンダの供給ラインに接続され得る。そのような設計では、デバイスに関して必要とされる占有面積は、シリンダの断面積に限定されることができる。
【0028】
シリンダは、垂直シリンダである、すなわち、シリンダ軸およびシェル表面は、端面に対して垂直に向けられる。好ましくは、シリンダは、円形シリンダである。本発明に関連するシリンダの幾何学形状定義は、シリンダの内部空間に関することに留意されたい。シリンダシェルの壁厚が一定である限りにおいても、外部形状は、円筒形である。原理上、円筒の中空空間は、細長い立方体筐体本体においてまたは任意の他のプリズム様成形体もしくは筐体において成形され得ることも考えられ、そのような成形体も、本発明の意味において「シリンダ」であり、そのシリンダ内で、ピストンが、スライド可能に誘導される。
【0029】
好ましい実施形態では、ピストンは、底部プレートから反対側にあり、シリンダに対して固定される構成要素内の内部ねじ山に係合する外部ねじ山を有するピストンロッドに接続される。ピストンロッドは、ピストンロッドの縦軸に沿って中心を置かれて延び、かつ回転対称ではない陥凹部を有し、陥凹部は、例えば、長方形または任意の他の様式の多角形であり得る。この陥凹部では、駆動ピンが、スライド可能に導入され、その駆動ピンは、陥凹部内の駆動ピンの回転移動に対する正の嵌まりを伴う係合が、実現されるように、陥凹部に相補的な断面形状を有するのに対し、駆動ピンは、陥凹部内での軸の長手方向に自由に移動する。駆動ピンは、その縦軸の周りに回転するように、駆動モータによって駆動されることができ、それによって、ピストンロッドおよびピストンは、ピストンロッドの外部ねじ山が、それによって、ピストンを底部プレートに対して移動させるために、固定される構成要素の内部ねじ山内で回転させられるように、回転させられ、同時に、駆動ピンは、ピストンロッドの陥凹部内でその長手方向にシフトされる。ピストンロッドの陥凹部は、例えば、陥凹頭部ねじ(Allen Screw)の陥凹部のような断面形状を有することができ、駆動ピンは、対応する六角レンチ(Allen Key)のような相補的な六角形状を有し得る。ピストンロッドの対応する移動が付随する底部プレートから離れるようなピストンの移動中、駆動ピンは、ピストンロッドの陥凹部に対応して、さらに陥凹部の中にシフトされる。
【0030】
好ましい実施形態では、容器は、カートリッジによって形成され、搬送デバイスは、シフトされるように駆動され得、制御ユニットによってシフトされるように制御されると、構築材料をカートリッジから外に押し出し、供給ラインを通してシリンダの中に入れるカートリッジピストンとして形成される。
【0031】
供給ラインにおいて、好ましくは、例えば、別の構築材料が使用されるべき場合、または洗浄液が構築空間の中に導かれるべき場合、供給ラインを開放もしくは遮断し、それによって、カートリッジ内の構築材料が汚染されることを防止することが可能であるように構成される弁が、提供される。未使用の構築材料を圧出するとき、構築材料は、別の材料によって汚染されていない限り、次の構築作業のために、それを再生利用するために再びカートリッジの中に戻すように同一の供給ラインを通して圧入されるべきである。
【0032】
好ましい実施形態では、複数のカートリッジが、シリンダの円周の周囲に分散させられて位置し、各カートリッジは、シリンダにつながる供給ラインに接続され、構築材料をそれぞれのカートリッジから外に押し出し、シリンダの中に入れるために、制御ユニットによって選択的に制御可能である。追加の放出ラインが、混合される構築材料または洗浄液を放出する役割を果たし得る。
【0033】
好ましい実施形態では、基部プレートは、シリンダの内部に面する表面が、シリンダの内部に面する基部プレートの表面への凝固させられる層の付着を防止するまたは最小化する阻害剤として作用する薬剤を放出するように構成される。
【0034】
第WO2015/0360419A1号から、タンクを備えている光造形デバイスが、公知であり、タンクは、ある酸素透過率を有する材料から作製される。この場合、酸素は、タンク表面への凝固層の付着を低減させる反応不活性の薄い中間層を形成する阻害剤として作用する。酸素透過材料として、Teflon AFおよびフッ素ポリマーが、例として言及される。
【0035】
好ましい実施形態では、底部プレートは、その中に阻害剤が蓄積され、および/またはそこから阻害剤が拡散され、それらが底部プレートの表面上に解放され、凝固中、重合構築材料の付着を防止するように、底部プレートを通過し得る、ナノ多孔性材料から成る。
【0036】
好ましい実施形態では、シリンダの内部から反対側に面する底部プレートの側において、チャンバが、形成され、このチャンバは、透明な阻害剤、例えば、ガスで充填され得る。好ましい実施形態では、阻害剤をナノ多孔性材料の中に押し込み、それを通すために、超過圧力が、阻害剤で充填されるチャンバに加えられ得る。
【0037】
第DE 10 2013 215 040 A1号から、基部において、その中に阻害剤が供給される中空空間を被覆する半透明フィルムを備えている光造形デバイスが、公知である。半透明フィルムの使用および光重合後の付着を防止するための阻害剤の供給は、第US 5 122 441 B1号でも説明される。
【0038】
付着を防止するための、それを通して阻害剤が拡散し得るナノ多孔性材料も、同様に、すでに言及された文書である第DE 10 2013 215 040 A1号および第US 2017/0151718 A1号で説明される。
【0039】
好ましい実施形態では、シリンダの内部に面する底部プレートの表面は、底部プレートへの凝固層の付着を最小化する超撥油性層でコーティングされる。超撥油性表面は、それらが水分および油分の両方に関して疎性または撥性である性質を有する。そのような層は、例えば、Doris Vollmerの論説「Glas,das sich selbst reinigt - Superamphiphobe Beschichtungen」Max-Planck-Society,Yearbook 2013およびZonglin Chu、他の論説「Superamphiphobic Surfaces」Chemical Society Reviews,Issue 8,2014に説明される。
本発明は、さらに、以下の項目を提供する。
(項目1)
光重合による構築材料の光造形凝固によって成形体を構築する方法であって、
構築材料が、構築プラットフォームと透明な底部プレート(12)との間に搬送され、上記構築材料は、所定の輪郭内で上記底部プレート(12)の上方で構築材料を凝固させるために、上記底部プレートを通して空間的に選択的な様式で露光され、
上記構築プラットフォームは、上記底部プレート(12)に対して持ち上げられ、構築材料が、補充され、
これらの2つのステップは、上記成形体が空間的に選択的に凝固させられた構築材料によって構築されるまで、継続され、
上記構築プラットフォームは、ピストン(16)の正面上に位置し、上記ピストン(16)は、シリンダ(10)の中にスライド可能に誘導され、上記ピストンに面する上記シリンダの端面は、上記底部プレート(12)によって閉鎖されていることと、さらなる構築材料が、上記ピストン(60)を上記底部プレート(12)から離れるように移動させ、同時に、供給ライン(14)を通して構築材料を搬送することによって、補充されることとを特徴とし、上記供給ライン(14)は、上記底部プレート(12)から離れるような上記ピストン(16)の移動によってもたらされる追加の容積を構築材料で充填するために上記シリンダの内部につながっている、方法。
(項目2)
上記成形体は、
最初に、間隙を構築材料で充填することによって、所望される層厚の距離を空けて設定された上記ピストン(16)と上記底部プレート(12)との間に構築材料の第1の層を形成することと、この層のために事前決定された輪郭を伴う層エリアを凝固させ、上記ピストン(16)に上記形成された層を固定するために、上記形成された層を上記底部プレートを通して空間的に選択的に露光することと、
上記ピストン(16)を上記底部プレート(12)から層厚分離れるように移動させることと、構築材料を補充することによって、最後に凝固させられた層と上記底部プレート(12)との間にさらなる層構築材料を形成することと、
それぞれの層のために事前決定された輪郭を伴う層エリアを凝固させるために、上記さらなる層を上記底部プレート(12)を通して空間的に選択的に露光することと、
上記成形体が互いの上の凝固させられた層エリアによって構築されるまで、2つの最後に言及されたステップを必要な回数だけ繰り返すことと
によって、層毎に構築され、
構築材料のさらなる層が、上記ピストン(16)を基部プレートから所望される層厚に対応する距離分離れるように移動させることと、同時に、上記底部プレートから離れるような上記ピストンの移動によってもたらされる追加の容積を構築材料で充填するために、構築材料を上記供給ライン(17)を通して搬送することとによって、形成される、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記ピストンは、上記底部プレートから離れるように上記シリンダ内で移動させられると、同時に、上記シリンダ(10)の縦軸と一致する回転軸の周りに回転させられることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
上記ピストン(16)の回転は、駆動モータ(52)によってもたらされることと、上記底部プレート(12)から離れるような上記ピストンの移動と上記ピストン(16)の回転とは、伝動接続によって結合されていることとを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記構築材料は、上記シリンダの供給ライン(14、14’)に接続されたカートリッジ(40、40’)内に利用可能に保持されることと、構築材料は、上記構築材料に圧力を及ぼし、それを上記カートリッジの外に押し出し、上記シリンダ(10)の中に入れるように制御された様式でカートリッジピストン(42)を駆動することによって、上記供給ラインを通して搬送されることとを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
供給ライン(40、40’)を介して上記シリンダ(10)に接続されたいくつかのカートリッジ(14、14’)が存在し、それらのカートリッジは、それぞれ、異なる構築材料で充填され、それらから、制御ユニットの制御のもとで、上記構築材料のうちの1つ以上のものが、上記シリンダ(10)の中に選択的に搬送されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
上記成形体の構築が完了された後、未使用の未重合構築材料が、上記ピストンによる上記シリンダの内部における閉鎖された構築空間から外への加圧空気によって押し付けられることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
上記未使用構築材料の除去の後、洗浄液が、シリンダ(10)の中におよび/またはそれを通して導かれ、上記成形体に付着している構築材料残留物を除去することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
シリンダ(10)であって、上記シリンダの端面のうちの1つは、少なくとも中心エリアにおいて透明である底部プレートによって閉鎖され、上記シリンダ内において、ピストン(16)が、上記シリンダの長手方向に駆動モータによって変位可能であるように誘導され、それによって、上記シリンダ(10)、上記ピストン(16)、および上記底部プレート(12)は、上記シリンダ(10)の内部における可変容積を有する閉鎖された構築空間を画定する、シリンダ(10)と、
構築材料を保持する容器であって、上記容器は、供給ラインに接続され、上記供給ラインは、上記底部プレートの内部表面に隣接して上記シリンダ(10)の内部に開放している、容器と、上記容器(40)から上記供給ライン(14)を通して上記シリンダ(10)の内部に構築材料を搬送するための搬送デバイスと、
上記底部プレートを通した空間的に選択的な露光のために構成された露光ユニットと、
上記ピストンの駆動モータ(52)および上記搬送デバイスを制御するように配置された制御ユニットと
によって特徴付けられ、
上記搬送デバイスは、上記底部プレートから離れるような上記ピストンの移動によってもたらされる追加の空間を構築材料で充填し、上記制御ユニットは、上記制御ユニットによって規定される輪郭内で上記底部プレートの上方で充填された構築材料を凝固させるための空間的に選択的な露光のために、上記露光ユニットを制御するように配置されている、上記項目のいずれか一項に記載の方法を実行するためのデバイス。
(項目10)
上記ピストンは、上記底部プレート(12)と反対側にピストンロッドを具備し、上記ピストンロッドは、上記シリンダに対して固定された構成要素(22)内の内部ねじ山に係合する外部ねじ山(20)を有することと、上記ピストンロッドは、回転対称ではない中心陥凹部を有し、その陥凹部の中に相補的な成形駆動ピン(50)がスライド可能に導入されることと、上記駆動ピン(50)は、上記駆動モータ(52)によって、その縦軸の周りに回転するように駆動可能であり、それによって、上記ピストンロッド(18)と上記ピストン(16)とは、同じ様に回転させられ、それによって、上記ピストンロッド(18)の外部ねじ山は、上記固定された構成要素(22)の内部ねじ山内で回転させられ、上記基部プレート(12)に対して上記ピストン(16)を移動させ、上記駆動ピン(50)は、上記ピストンロッドの上記陥凹部内でシフトされることとを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目11)
上記容器(40)は、カートリッジとして形成され、上記搬送デバイスは、駆動によって前方に押されることが可能なカートリッジピストン(42)として形成され、そのカートリッジピストンは、上記制御ユニットの制御のもとで前方に押されると、構築材料を上記カートリッジから外に押し出し、上記供給ライン(14)を通して上記シリンダ(10)の中に入れることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目12)
上記供給ライン(14)は、弁を装備し、上記弁は、上記供給ラインを開放した状態に保つこと、またはそれを遮断することを行うように上記制御ユニットによって制御されるように構成されていることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目13)
上記シリンダの周囲に円周方向に分散させられ、かつ上記基部プレートに隣接して配置された複数の供給ライン(14、14’)が存在することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目14)
上記基部プレート(12)は、上記シリンダ(10)の内部に面する上記基部プレートの表面が、阻害剤として作用する薬剤を放出するような様式で形成されることを特徴とし、上記阻害剤は、上記シリンダの内部に面する上記基部プレート(12)の表面への上記凝固させられる層の付着を最小化する、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目15)
上記基部プレート(12)は、ナノ多孔性材料から成ることを特徴とし、上記ナノ多孔性材料の中に阻害剤が蓄積され、上記ナノ多孔性材料からこれらの薬品が放出され、および/または、上記ナノ多孔性材料を通して阻害剤が拡散し、上記底部プレート(12)を通過できる、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目16)
上記シリンダの内部と反対の上記底部プレート(12)の側に、供給ライン(30)を通して透明な阻害剤で充填可能であるチャンバ(28)が形成されていることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目17)
上記シリンダの内部に面する上記底部プレートの表面は、上記底部プレートへの上記凝固させられる層の付着をさらに最小化する超撥油性層でコーティングされていることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のデバイス。
(摘要)
本発明は、光重合による構築材料の光造形凝固によって成形体を構築する方法を対象とし、構築材料が、構築プラットフォームと透明な底部プレート(12)との間に搬送され、所定の輪郭内の底部プレート(12)の上方で構築材料を凝固させるために、底部プレートを通して空間的に選択的な様式で露光され、構築プラットフォームは、底部プレート(12)に対して持ち上げられ、構築材料が、補充され、これらの2つのステップが、成形体が空間的に選択的に凝固させられる構築材料によって構築されるまで、継続され、構築プラットフォームは、シリンダ(10)の中にスライド可能に誘導されるピストン(16)の正面上に位置し、ピストンに面するシリンダの端面は、底部プレート(12)によって閉鎖されていることと、さらなる構築材料が、ピストン(60)を底部プレート(12)から離れるように移動させ、同時に、底部プレート(12)から離れるようなピストン(16)の移動によってもたらされる追加の容積を構築材料で充填するために、シリンダの内部につながる供給ライン(14)を通して構築材料を搬送することによって、補充されることとを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は、図面における実施形態を参照して以下に説明されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明による、方法を実行するために構成されるデバイスの関連する部分の断面図である。
【
図2】
図2は、方法の次のステップにおける、
図1におけるような断面図である。
【
図3】
図3は、方法のさらに進んだ状態における、
図1および2におけるような断面図である。
【
図4a】
図4aは、成形体を構築するための構築プロセスの最終状態における、前述の図におけるような断面図である。
【
図4b】
図4bは、その断面内に洗浄液のための追加の入力ポートおよび出力ポートが、断面状に視認可能である
図4aに対してシリンダ軸の周りに回転させられた平面で得られる断面図である。
【
図5】
図5は、延長されたデバイスの前述の図におけるような断面図および構築材料のための回収パイプの詳細の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明による、方法を実行するためのデバイスの概略斜視外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図6は、本発明による方法を実行するためのデバイスの筐体の概略斜視外観図を示し、エネルギーおよび材料供給のためのポートおよびラインが、表現を単純化するために省略されている。デバイスの円筒形筐体2は、円筒形状の軸方向に3つの区分4、6、および8に分割されている。下側区分4に、露光ユニットが、位置する。露光ユニットは、多数の画素を所定の露光野内で露光するために構成される。露光ユニットは、例えば、光源と、空間光変調器とを含み、空間光変調器の有効表面は、光源によって照明される。空間光変調器は、露光要素の行列を備えている。空間光変調器は、例えば、いわゆる、マイクロミラーデバイスであり得、マイクロミラーデバイスは、多数のマイクロミラーアクチュエータがアレイとして配置されたチップとして理解されている。各マイクロミラーアクチュエータは、関連付けられたマイクロミラーが、光源からの光を関連付けられた画素に反射する露光位置と、マイクロミラーが、光源からの光を不活性エリアに偏向させる暗位置との間でそれを選択的に切り替えるように、制御ユニットによって、個々に、かつ選択的に制御される。各露光要素のために選択的に設定されたデューティサイクルを使用してマイクロミラーを周期的に傾斜させることによって、関連付けられた画素のために生成される平均露光強度は、パルス幅変調のデューティサイクルに従って設定されることができる。
【0042】
中央区分6は、成形体が蓄積される実際の構築空間を収容する。中央区分6の内部におけるデバイスの設計は、
図1-5を参照してさらに下でより詳細に説明されるであろう。
【0043】
上側区分8において、他の構成要素の中でも、駆動モータが、収容され、その駆動モータは、下でより詳細に説明されるであろうように、中央区分6の中で変位可能であるピストンを駆動する。
【0044】
中央区分6におけるデバイス構成要素の設計が、ここで、
図1を参照してより詳細に説明される。中央区分6は、シリンダ10を含む。シリンダ10の開放した下側端面は、透明な底部プレート12によって閉鎖されている。底部プレート12の上方で、それに隣接して軸方向に、供給ライン14が、シリンダ10の内部につながる。
【0045】
シリンダ10の内部では、ピストン16が、スライド可能に誘導され、そのピストンは、ピストンロッド18を備えている。ピストンロッド18は、外部ねじ山20を具備したその長手方向の延長部の大部分の間にあり、外部ねじ山20は、カバー22の中心開口部の内壁上に形成される内部ねじ山の中にねじ式で係合され、カバー22は、底部プレート12と反対のシリンダ10の端面を閉鎖している。カバー22は、ねじ24によってシリンダ10に固定されている。その固定は、ピストンロッド20がその縦軸の周りに回転するように駆動されているとき、カバー22の内部ねじ山が静止しており、それによって、ピストンロッド18の回転移動がピストンロッド18およびピストン16の画定された直進移動に変換されることを確実にするために、要求される。他方で、シリンダ10へのカバーの固定は、この場合におけるように、ねじ24を外すことによって解放可能であるべきであり、それによって、構築プロセスの完了後、固定が解放され、その後、ピストンおよびピストンロッドに係合するカバー22を伴うピストンロッドがシリンダから引き出され、ピストン16の正面に付着した成形体を取り出し得る。
【0046】
図式的に示される駆動モータ52は、ピストンロット18をその縦軸の周りに所定の回転ステップで回転させるためにピストンロット18に作用し、回転ステップは、カバー22におけるピストンロッド18のねじ山係合によって、ピストン16の軸方向の移動ステップをもたらす。それをより精密に説明するために、駆動モータ52は、駆動ピン50を回転させるように駆動し、その駆動ピンは、ピストンロッド18の縦軸上に中心を置かれた陥凹部内に受け取られる。駆動ピン50とピストンロッド18における陥凹部とは、その縦軸の周りのピストンロッド18の回転方向において回転対称ではない相補的な断面形状を有し、それによって、駆動ピン50とピストンロッド18との正係合が存在する。陥凹部と駆動ピンとは、例えば、回転方向の形状係止係合を提供する六角形または他の多角形の断面形状を有し得るが、駆動ピン50は、ピストンロッドの縦軸の方向にスライド可能に移動可能であり、それによって、駆動モータ52によって駆動されるピストンロッド18の回転時、および底部プレート12から離れるようなピストン16およびピストンロッド18の結果として生じる平行移動時、駆動ピン50は、ピストンロッドに対して移動し、陥凹部の中にさらに移動する。表現を単純化するために、駆動モータ52および駆動ピン50は、以下の
図2-5において省略されている。
【0047】
図1は、成形体の構築プロセスの早期段階における状態を示す。構築プロセスの最初において、底部プレート12に面するピストン16の正面は、底部プレート12の対向表面上に隣接している。光重合性材料の第1の層を露光するために、ピストン16は、制御ユニットによって設定されたその縦軸の周りの回転ステップを実施するように駆動モータによって駆動され、回転ステップの回転角度は、その回転角度に関する回転が、ピストン16の正面が所望される所定の層厚だけ底部プレート12の対向表面から間隔を置かれるように、底部プレート12から離れるようなピストン16の軸方向の変位をもたらすうような様式で、予め決定される。底部プレート12から離れるようなピストン16の移動と同時に、構築材料が、底部プレート12から離れるようなピストン16の移動によって、ピストン16の正面と底部プレート12の対向表面との間にもたらされる追加の容積が構築材料で充填されるように、供給ライン14を通して搬送される。所望される層厚を伴う層が、この様式で、ピストン16の正面と底部プレート12の対向表面との間にもたらされた後、この層に対して、所定の輪郭内の層エリアの露光が、ここで、露光によってこれらの層エリアを凝固させるために、続く。
図1に示される第1の層の露光は、ピンとして成形される取り付け構造を凝固させる役割を果たし、ピンは、構築されるべき成形体を構築プラットフォームの機能を有するピストン16の正面に接続する。
【0048】
第1の層の露光の後、ピストン16は、構築材料のさらなる層をもたらすために、底部プレート12の対向表面から離れるように、さらなる層厚分移動させられ、同時に、構築材料が、供給ライン14を通して補充される。この動作の結果は、
図2に示される。ピストン16の移動は、ピストンロッド18を、10°の回転角度だけ、回転ステップでその縦軸の周りに回転させることによってもたらされる。回転角度は、この回転角度と、ピストンロッド18のねじ山とカバー22の内部ねじ山との所与のねじ山ピッチとに対して、底部プレートから離れるようなピストン16の正面の軸方向の変位の効果が、所望される層厚に等しくなるように予め決定される。底部プレート12の対向表面から離れるようなピストン16の移動の間にもたらされた追加の容積空間は、同時に、供給ライン14を通して構築材料を補充することによって充填される。その後、第2の層のための露光ステップが、続く。これに関連して、ここで、第1の層の凝固させられ露光された層エリアが、ピストン16の回転の結果、10°の回転角度だけ回転させられており、露光される層エリアである第2のものの露光エリアが相応して10°だけ回転させられ、それによって、それらが第1の層の凝固させられた層エリアに対して正確に位置付けられる必要があることが考慮される。この相対的回転は、
図2の下側部分に図示され、第1の凝固させられた層エリアに対するある例として示される層エリア(開放している内部正方形を伴う正方形)が、露光ユニットの座標系に対して回転させられた10°の所定の回転角度分のピストン16の回転の後、どのように位置付けられるかが示され、回転位置は、点線で図示されている。露光ユニットを制御する制御ユニットは、凝固させられるべき次の層が、次いで、直前の凝固させられた層に対する回転位置に正確に位置付けられた層エリアにおいて凝固させられるように、この相対的回転を考慮する必要がある。これは、回転ステップによって凝固させられる層エリアとなるべき次のものを回転させ、それによって、最後に凝固させられた層エリアを追跡する計算動作によって実施されることができる。露光ユニット自体は、変更されないその位置および向きに留まり、対応する層エリアの輪郭のみが、回転させられる。
【0049】
図3は、すでにいくつかの層が連続的に形成され、それぞれに与えられた輪郭を伴って露光エリア内で凝固させられたときの構築プロセスの中間段階におけるデバイスを示し、すでに成形体の一部が、蓄積している。ピストンは、層厚のステップごとに、数回、基部プレート12の対向表面から離れるように移動させられている。最後のステップでは、ピストンは、さらなる層厚だけ、基部プレート12の対向表面から離れるように移動するために、10°だけさらなる回転を実施し、この移動と同時に、構築材料が、構築空間における移動によってもたらされる追加の容積を充填された状態に保つために、供給ライン14を通して補充されている。
【0050】
図3の下方に示される湾曲矢印は、露光ユニットの制御が、現在、露光される層になるべきものが、その露光エリアが直前の露光エリアに対して正しい回転位置にあるように、第1の露光以来の累積した回転角度を考慮する必要があることを図示するためのものである。言い換えると、座標系において、現在の層のために凝固させられるべき層エリアの形状または輪郭データも、露光エリアの相応して回転させられる画像が、底部プレート12の上方に露光されるように、ピストンの累積した回転に従って回転させられる。
【0051】
図3はまた、底部プレート12、シリンダ10、およびピストン16によって封入される構築空間が、構築プロセス中、連続的かつ層厚分ずつ、成形体と一緒に増大していることも示す。
【0052】
図4aは、構築される成形体、この場合、義歯の最後の層が露光されている最終段階における構築プロセスを示す。最後の露光の完了後、未使用かつ未重合構築材料は、加圧空気をポート(図示せず)を通してシリンダの内部に導くことによって、シリンダから除去されることができ、それによって、任意の未重合構築材料が、シリンダの内部から外に押され、供給ラインを通して、再び関連付けられた構築材料カートリッジの中に戻される。その後、依然として構築される成形体に付着している任意の残りの残留モノマーは、
図4b内に示されるように、シリンダの内部に洗浄液を導入することによって、除去されることができ、
図4bは、
図4aの断面の平面に対してシリンダ軸の周りに回転させられた平面においてとられた断面を示し、この断面図では、洗浄液のための供給ライン50および排出ライン52が、断面で示されている。この最終段階において、ピストンは、供給ライン50の入口開口部が、開放し、シリンダの内部につながるように、ピストンが、洗浄液のための入口開口部をすでに通過しているように、上向きに移動させられる。清掃プロセスの後、かつカバー22を開放した後、ピストン16に付着する成形体は、取り除かれることができる。この場合におけるように、構築材料が、歯科修復物を構築するためのセラミック粒子で充填されるスラリーである場合、シリンダから取り除かれる成形体は、次いで、さらなる処理ステップ、すなわち、セラミック成形体のさらなる高密度化のための、結合解除およびその後の焼結を受ける。
【0053】
図1-4では、供給ライン14は、管に接続されるように示されるが、容器および供給ライン14の中に構築材料を搬送するための搬送デバイスは、表現を単純化するために省略されている。
【0054】
図5では、構築材料の供給分を保持する容器40が、示される。この例では、容器40は、カートリッジピストンまたはプラグが位置するカートリッジとして構成されている。制御可能な駆動部は、カートリッジピストン42に作用し、制御された様式でカートリッジピストン42をさらにカートリッジの内部の中に押し、それによって、構築材料をカートリッジから外に、接続される管の中に、最終的に、供給ライン12およびシリンダ10の内部の中に搬送する。カートリッジピストン42に作用する制御可能な駆動部は、例えば、カートリッジピストン42上の変位可能な歯ラックを介して作用するステップモータであり得る。代替として、圧力が、油圧式または空気圧式にカートリッジピストン42に及ぼされ、カートリッジピストンをカートリッジの内部の中に押し、この様式で構築材料を搬送し得る。
【0055】
図5において、方法の代替実施形態のために、
図1-4と比較してアップグレードされたある例が、示され、すなわち、デバイスは、2つのカートリッジのうちの一方からまたは両方のカートリッジから同時に、構築材料を選択的に補充するために、さらなるカートリッジが接続された第2の供給ライン14’を備え、異なるカートリッジにおいて、異なる構築材料組成物の供給が、保持される。この様式において、作成されるべき各層のための異なる構築材料組成が、補充され得、この様式において、材料組成物は、構築される成形体にわたって変動させられ得る。異なる供給ライン14、14’を介してシリンダの内部の中への異なる構築材料組成物の搬送のための代替として、いくつ科の容器40、40’が、次いで、供給ライン14につながる共通回収パイプに接続されることができる。この接続パイプの入口に、異なるカートリッジから供給される構築材料組成物の完全な混合を供給する混合要素が、配置され得る。
【0056】
さらに、
図1-5では、底部プレート12の真下に位置するチャンバ28が、示されている。ポート30が、チャンバ28の中に材料を搬送するための管の接続を可能にする。本実施形態は、阻害剤が通過することを可能にする底部プレート12に関し、その阻害剤は、シリンダ10の内部に面する底部プレート12の表面への凝固構築材料の付着を防止または最小化する。底部プレート12は、例えば、ナノ多孔性材料から作製され得る。ガス状の阻害剤は、ある圧力のもとでポート30を通してチャンバ28の中に圧送され。それによって、それらは、ナノ多孔性プレート12を通して押し付けられ、それらは、シリンダ10の内部に面する底部プレート12の表面上に放出され、それへの構築材料の付着を防止し得る。この様式で、ピストン16は、露光エリアの露光および最後に凝固させられた層エリアの凝固の後、それに付着することなく、底部プレート12から離れるように移動させられることができる。最後に凝固させられた層エリアの底部プレートからの分離は、加えて、
図1-5の実施形態に関連して説明されるように、ピスン16の結合された回転と軸方向の移動とによって支援される。何故なら、この様式において、最後に凝固させられた層エリアの表面の底部プレート12の表面に対して横方向の移動成分も、存在するからである。