(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】網戸
(51)【国際特許分類】
E06B 9/54 20060101AFI20231005BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20231005BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20231005BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/13 A
E06B9/56 A
E06B9/56 Z
E06B9/58 A
(21)【出願番号】P 2019239679
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】本倉 一彦
(72)【発明者】
【氏名】服部 智弥
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-056699(JP,U)
【文献】特開2019-190267(JP,A)
【文献】実開昭59-078496(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/54
E06B 9/13
E06B 9/56
E06B 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網体と、
前記網体の端部に沿って固定されるシート状の帯状部材と、
前記帯状部材が係止される係止部を有し、前記帯状部材が前記係止部に係止されることで前記網体の端部を保持する網体端部保持部と、を備え
、
前記網体端部保持部は、前記網体が引き出される場合において前記網体の引き出し方向の先端部に設けられる先端部保持部を有する網戸。
【請求項2】
回転可能な巻取軸部を備え、
前記網体は、前記巻取軸部に巻き取られること及び前記巻取軸部から引き出されることが可能であり、
前記網体端部保持部は、前記巻取軸部から前記網体が引き出された状態において前記網体
における前記網体が引き出される方向に直交する方向の端部の移動をガイドする
側端部保持部を有する、請求項1に記載の網戸。
【請求項3】
前記帯状部材は、該帯状部材の幅方向の途中部分において前記網体の端部に沿って固定された状態で、該帯状部材の幅方向の少なくとも一方の端部が前記係止部に係止される、請求項1又は2に記載の網戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能な巻取軸部と、巻取軸部に巻き取られること及び巻取軸部から引き出されることが可能な網体と、網体の端部が取り付けられる取付部材と、を備える網戸が知られている(例えば、特許文献1参照)。網体の端部には、ファスナ部材が設けられている。ファスナ部材は、複数の係合子が一列に設けられて構成されており、ガイド部材のガイド溝に挿入して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファスナ部材は、複数の係合子が一列に設けられて構成されている。そのため、網体の端部を保持する構造が複雑になりやすい。簡易な構成で、網体の端部を保持できることが求められている。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、網体の端部を保持できる網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、網体と、前記網体の端部に沿って固定されるシート状の帯状部材と、前記帯状部材が係止される係止部を有し、前記帯状部材が前記係止部に係止されることで前記網体の端部を保持する網体端部保持部と、を備える網戸に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るロール式網戸を開けた状態で室内側から見た斜視図である。
【
図2】ロール式網戸を閉じた状態で室内側から見た斜視図である。
【
図5】網体の上端及び下端が保持される構造を示す図である。
【
図6】網体の基端及び先端が保持される構造を示す図である。
【
図7】縁部材が網体の端部に沿って固定される構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体100の開口部100a(
図3及び
図4参照)に取り付けられた窓サッシ1の障子12の面方向又はロール式網戸2の巻取軸部3から引き出された網体4の面方向を意味する。「見込方向」とは、障子12の厚さ方向又はロール式網戸2の巻取軸部3から引き出された網体4の厚さ方向を意味する。「見付面」は、窓サッシ1又はロール式網戸2における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、窓サッシ1又はロール式網戸2において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、室外側を「OUTSIDE」と記載し、室内側を「INSIDE」と記載する。
【0009】
本実施形態のロール式網戸2は、
図1及び
図2に示すように、窓サッシ1の障子12の室内側に取り付けられている。本実施形態においては、ロール式網戸2は、横引きの片引きタイプのロール式の網戸を構成する。窓サッシ1及びロール式網戸2は、
図3及び
図4に示すように、建物躯体100の開口部100aに取り付けられる。
【0010】
窓サッシ1について説明する。窓サッシ1は、
図1及び
図2に示すように、矩形状の窓枠11と、障子12と、レバーハンドル13と、を備える。窓枠11は、上枠111、下枠112及び一対の縦枠113,114を有し、これらが矩形状に組み付けられることによって形成されている。障子12は、窓枠11内に、開閉可能に設けられる。
【0011】
一対の縦枠113,114は、
図4に示すように、それぞれ、縦枠本体113a,114aと、縦枠延在枠113b,114bと、を有する。縦枠本体113a,114aは、障子12の左右方向の端部の左右方向の外側に配置される。縦枠延在枠113b,114bは、縦枠本体113a,114aの左右方向の外側の端部の角部から見込方向の室内側に延びる。縦枠延在枠113b,114bの見込面には、取付溝113c,114cが形成される。左右方向の一方側(例えば
図4の左側)の縦枠113の取付溝113cには、額縁固定板14が取り付けられる。左右方向の他方側(例えば
図4の右側)の縦枠114の取付溝114cには、額縁固定板15が取り付けられる。
【0012】
障子12は、窓枠11内に開閉可能に設けられており、室外に向かって滑り出しながら縦軸回りに回動して開放される。障子12は、
図1~
図4に示すように、枠組みされた框体120と、框体120の内側に配置されたガラス125と、を有する。框体120は、上框121、下框122及び一対の縦框123、124によって矩形状に枠組みされている。ガラス125は、框体120内に嵌め込まれて固定される。
【0013】
ロール式網戸2について説明する。ロール式網戸2は、窓サッシ1の障子12の見込方向の室内側に配置される。ロール式網戸2は、
図1~
図4に示すように、収納縦枠5と、収納縦枠5に収納された巻取軸部3(
図4参照)と、巻取軸部3に巻き取られること及び巻取軸部3から引き出されることが可能な網体4と、網体4の先端に固定された可動框6と、上下のガイド横枠71,72と、網体先端側縦枠8と、を備える。収納縦枠5とガイド横枠71,72と網体先端側縦枠8との内側に形成される網戸開口2aは、網体4により開閉可能である。
【0014】
ロール式網戸2は、
図4に示すように、窓サッシ1の左右方向の一方側(例えば
図4の左側)の収納縦枠5が、第1アタッチメント91を介して、窓サッシ1の窓枠11に取り付けられ、窓サッシ1の左右方向の他方側(例えば
図4の右側)の網体先端側縦枠8が、第2アタッチメント92を介して、着脱可能な留め具82により、窓サッシ1の窓枠11に取り付けられる。
【0015】
上下のガイド横枠71,72は、可動框6の上端部及び下端部を左右方向にスライド可能に支持すると共に、網体4が左右方向に移動する場合に、網体4の上端部及び下端部を左右方向にスライド可能にガイドする。上下のガイド横枠71,72は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0016】
収納縦枠5は、建物躯体100の開口部100aの左右方向の一方側(例えば
図4の左側)に設けられる。収納縦枠5の内部には、巻取軸部3が収納される。収納縦枠5は、網体4が巻取軸部3に巻き取られ且つ巻取軸部3から引き出されることで、網体4を巻き入れ及び巻き出し可能に収納する。
【0017】
収納縦枠5の見込方向の幅は、
図4に示すように、上下のガイド横枠71,72の見込方向の幅よりも大きく形成される。
図3及び
図4に示すように、収納縦枠5の室内側の見込面5aと上下のガイド横枠71,72の室内側の見込面7aとは、同一平面上に位置する。収納縦枠5の室外側の部分は、
図4に示すように、ロール式網戸2の左右方向の一方側(例えば
図4の左側)において、上下のガイド横枠71,72よりも室外側に突出して配置される。
【0018】
収納縦枠5は、
図1に示すように、収納縦枠本体51と、カバー部材52と、収納縦枠本体51の上端及び下端に取り付けられる端部キャップ部材53と、を有する。収納縦枠本体51は、
図4に示すように、水平方向に切断した場合の断面形状が、室内側が開放した略U字状に形成される。カバー部材52は、収納縦枠本体51の左右方向の外側の室内側に形成されるカバー部材連結部512に回動可能に連結されることで、収納縦枠本体51の室内側の開放した部分を開閉可能に配置される。収納縦枠本体51は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0019】
巻取軸部3は、建物躯体100の開口部100aの左右方向の一方側(例えば
図4の左側)において、収納縦枠5の内部に配置される。巻取軸部3は、上下方向に延びて形成され、上下方向に延びる中心軸を中心に回転可能に構成される。巻取軸部3には、網体4の基端部が固定され、巻取軸部3は、網体4を巻き取ることが可能に構成される。巻取軸部3は、網体4を巻き取る方向に付勢する付勢部材(図示せず)により、網体4を巻き取り方向に回転するように付勢されている。例えば、付勢部材としては、スプリング式の巻きバネなどを用いることができる。
【0020】
網体4は、例えば、樹脂製の縦糸と横糸とを網状に織った網材から形成される。網体4は、左右方向(横方向)に長尺の帯状に形成されており、基端部が巻取軸部3に固定され、巻取軸部3に巻き取られることと、巻取軸部3から引き出されることとが可能である。網体4の上端部、下端部、基端部及び先端部には、
図3及び
図4に示すように、縁部材45(帯状部材)が取り付けられている。網体4の各端部を保持する構造の詳細については後述する。
【0021】
網体先端側縦枠8は、ガイド横枠71,72の左右方向の収納縦枠5とは反対側の他方側(例えば
図4の右側)の端部において、上下のガイド横枠71,72を接続するように上下方向に延びる。本実施形態においては、網体先端側縦枠8は、水平方向に切断した断面形状が、略長方形の中空部を有するホロー構造を備えて構成される。網体先端側縦枠8は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0022】
可動框6は、
図1及び
図2に示すように、網体4の先端に固定される。可動框6は、網体4の開閉操作を行う場合に使用者に把持される把持部としても機能する。可動框6は、網体4が網戸開口2aを開放する位置と、網体4が網戸開口2aを閉鎖する閉鎖位置と、に左右方向に移動可能に構成される。可動框6は、網体4を巻き取る方向に付勢する付勢部材(図示せず)により、収納縦枠5側に付勢される。
【0023】
可動框6が閉鎖位置に位置した場合には、
図2に示すように、網体先端側縦枠8に当接又は近接して配置される。可動框6は、閉鎖位置に位置した場合において、網体先端側縦枠8側に移動された場合に、例えば、磁石(図示せず)による磁力で、閉鎖位置を保持する。可動框6は、
図4に示すように、剛性を高めるために、中空部を有するホロー構造を備えて構成される。
【0024】
次に、網体4の各端部を保持する構造について説明する。網体4は、
図5に示すように、上端部及び下端部に固定された縁部材45を介して、上下のガイド横枠71,72に取り付けられている。網体4は、
図6に示すように、基端部及び先端部に固定された縁部材45を介して、収納縦枠5及び可動框6に取り付けられている。
【0025】
網体4に固定される縁部材45について説明する。本実施形態においては、網体4の上端部、下端部、基端部及び先端部に固定される縁部材45は、いずれも、同一の構成である。
図7に示すように、縁部材45は、所定幅を有して長尺に延びる帯状のシート状に形成される。縁部材45は、網体4の端部に沿って固定される。縁部材45は、剛性を有するシート状に形成される。網体4の上端部及び下端部に固定される縁部材45は、一定以上の剛性を有し、巻取軸部3に巻き取られることが可能な材料で形成されることが好ましい。縁部材45は、例えば、樹脂材料でシート状に形成される。
【0026】
縁部材45は、網体4の端部に沿って配置され、幅方向の途中部分において、例えば糸46により網体4に縫い付けられて固定されている。縁部材45は、網体4に固定された状態で、縁部材45の剛性により、少なくとも一方の端部が、
図5に示すように、上下のガイド横枠71,72のガイド溝713,723に係止され、
図6に示すように、巻取軸部3の巻軸側取付溝31、及び可動框6の可動軸側取付溝62に係止されている。
【0027】
図5に示すように、網体4の上端部に取り付けられた縁部材45は、上方ガイド横枠71の上方ガイド横枠側ガイド溝713の一対の係止片(上方ガイド横枠側上側係止片713b、上方ガイド横枠側下側係止片713c)に係止された状態で左右方向にスライド可能に配置される。網体4の下端部に取り付けられた縁部材45は、下方ガイド横枠72の下方ガイド横枠側ガイド溝723の一対の係止片(下方ガイド横枠側下側係止片723b、下方ガイド横枠側上側係止片723c)に係止された状態で左右方向にスライド可能に配置される。
【0028】
上方ガイド横枠71は、見込方向に延びる上方ガイド横枠側横枠中空部711と、上方ガイド横枠側横枠中空部711の室外側の端部の下面から下方に延出する上方ガイド横枠側室外側延出片712と、上方ガイド横枠側横枠中空部711の室内側の端部の下面に形成される上方ガイド横枠側ガイド溝713(網体端部保持部)と、を有する。
【0029】
上方ガイド横枠側室外側延出片712は、室内側が開放するフック形状に形成される。上方ガイド横枠側ガイド溝713の内部には、網体4の上端部に固定された縁部材45が配置される。上方ガイド横枠側ガイド溝713は、網体4の上端部を保持すると共に、巻取軸部3から網体4が引き出された状態において網体4の上端部の移動をガイドする。
【0030】
上方ガイド横枠側ガイド溝713は、室外側が開放するC字状に形成される。上方ガイド横枠側ガイド溝713は、上方ガイド横枠側L字枠713aと、上方ガイド横枠側上側係止片713b(係止部)と、上方ガイド横枠側下側係止片713c(係止部)と、を有する。
【0031】
上方ガイド横枠側L字枠713aは、室外側が開放するL字状に形成される。上方ガイド横枠側L字枠713aは、上方ガイド横枠側横枠中空部711の下面の室外側の端部から下方に所定長さ延び、かつ、所定長さ延びた下端部から室外側に所定長さ延びるL字状に形成される。
【0032】
上方ガイド横枠側上側係止片713b及び上方ガイド横枠側下側係止片713cは、上方ガイド横枠側ガイド溝713におけるC字の開放側の両端部に形成される。上方ガイド横枠側上側係止片713bは、上方ガイド横枠側横枠中空部711の下面の見込方向の途中から下方に所定長さ直線状に延びる。上方ガイド横枠側下側係止片713cは、L字枠713aの室外側の端部から上方に所定長さ直線状に延びる。上方ガイド横枠側上側係止片713bと上方ガイド横枠側下側係止片713cとの間には、隙間S1が形成される。
【0033】
上方ガイド横枠側ガイド溝713の内部に縁部材45が配置された状態において、上方ガイド横枠側上側係止片713bの室内側の面には、縁部材45の幅方向の上端部が係止され、上方ガイド横枠側下側係止片713cの室内側の面には、縁部材45の幅方向の下端部が係止される。上方ガイド横枠側上側係止片713bと上方ガイド横枠側下側係止片713cとの間の隙間S1には、上端部が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0034】
下方ガイド横枠72は、上方側のガイド横枠71と上下対称の形状に形成される。下方ガイド横枠72は、見込方向に延びる下方ガイド横枠側横枠中空部721と、下方ガイド横枠側横枠中空部721の室外側の端部の上面から上方に延出する下方ガイド横枠側室外側延出片722と、下方ガイド横枠側横枠中空部721の室内側の端部の上面に形成される下方ガイド横枠側ガイド溝723(網体端部保持部)と、を有する。
【0035】
下方ガイド横枠側室外側延出片722は、室内側が開放するフック形状に形成される。下方ガイド横枠側ガイド溝723の内部には、網体4の下端部に固定された縁部材45が配置される。下方ガイド横枠側ガイド溝723は、網体4の下端部を保持すると共に、巻取軸部3から網体4が引き出された状態において網体4の下端部の移動をガイドする。
【0036】
下方ガイド横枠側ガイド溝723は、室外側が開放するC字状に形成される。下方ガイド横枠側ガイド溝723は、下方ガイド横枠側L字枠723aと、下方ガイド横枠側下側係止片723b(係止部)と、下方ガイド横枠側上側係止片723c(係止部)と、を有する。
【0037】
下方ガイド横枠側L字枠723aは、室外側が開放するL字状に形成される。下方ガイド横枠側L字枠723aは、下方ガイド横枠側横枠中空部721の上面の室外側の端部から上方に所定長さ延び、かつ、所定長さ延びた上端部から室外側に所定長さ延びるL字状に形成される。
【0038】
下方ガイド横枠側下側係止片723b及び下方ガイド横枠側上側係止片723cは、下方ガイド横枠側ガイド溝723におけるC字の開放側の両端部に形成される。下方ガイド横枠側下側係止片723bは、下方ガイド横枠側横枠中空部721の下面の見込方向の途中から上方に所定長さ直線状に延びる。下方ガイド横枠側上側係止片723cは、L字枠723aの室外側の端部から下方に所定長さ直線状に延びる。下方ガイド横枠側下側係止片723bと下方ガイド横枠側上側係止片723cとの間には、隙間S2が形成される。
【0039】
下方ガイド横枠側ガイド溝723の内部に縁部材45が配置された状態において、下方ガイド横枠側下側係止片723bの室内側の面には、縁部材45の幅方向の下端部が係止され、下方ガイド横枠側上側係止片723cの室内側の面には、縁部材45の幅方向の上端部が係止される。下方ガイド横枠側下側係止片723bと下方ガイド横枠側上側係止片723cとの間の隙間S2には、下端部が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0040】
図6に示すように、網体4の基端に取り付けられた縁部材45は、巻取軸部3の巻軸側取付溝31(網体端部保持部)の一対の巻軸側係止片312,312(係止部)に係止されている。巻軸側取付溝31は、巻取軸部3の軸方向に延びて形成される溝状に形成される。巻軸側取付溝31の内部には、網体4の基端に固定された縁部材45が配置される。巻軸側取付溝31は、網体4の基端を保持する。巻軸側取付溝31は、巻取軸部3の外周面から窪む凹溝部311と、一対の巻軸側係止片312,312と、を有する。
【0041】
凹溝部311は、所定幅を有して巻取軸部3の軸方向に延びると共に、幅方向において、巻取軸部3の外周面に沿って所定幅で円弧状に延びる。一対の巻軸側係止片312,312は、凹溝部311の幅方向の両端部から外周面に沿って凹溝部311を閉じるように互いが近づく方向に円弧状に突出する。一対の巻軸側係止片312,312の間には、隙間S3が形成される。
【0042】
網体4の基端に固定された縁部材45が凹溝部311の内部に配置された状態において、一対の巻軸側係止片312,312の内側の面には、縁部材45の幅方向の両端部が係止される。一対の巻軸側係止片312,312の間の隙間S3には、基端が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0043】
図6に示すように、網体4の先端に取り付けれた縁部材45は、可動框6の可動軸側取付溝62(網体端部保持部)の可動軸側係止片622(係止部)に係止されている。可動軸側取付溝62の内部には、網体4の先端に固定された縁部材45が配置される。可動軸側取付溝62は、網体4の先端を保持する。可動框6は、L字状中空枠61と、可動軸側取付溝62と、を有する。L字状中空枠61は、室内側及び収納縦枠5が開放するL字状の中空状に形成される。可動軸側取付溝62は、L字状中空枠61の開放した部分において、L字状中空枠61の収納縦枠5側の見込面に形成される。可動軸側取付溝62は、可動軸側L字枠621と、可動軸側係止片622と、を有する。
【0044】
可動軸側L字枠621は、L字状中空枠61の開放した部分において、L字状中空枠61の収納縦枠5側の見込面から収納縦枠5側に所定長さ延び、かつ、所定長さ延びた収納縦枠5側の端部から室外側に所定長さ延びるL字状に形成される。可動軸側係止片622は、可動軸側L字枠621の室外側の端部から、収納縦枠5から離れる側に突出する。可動軸側係止片622とL字状中空枠61の見込面との間には、隙間S4が形成される。
【0045】
網体4の先端に固定された縁部材45が可動軸側取付溝62の内部に配置された状態において、可動軸側係止片622の室内側の面には、縁部材45の幅方向の端部が係止される。可動軸側係止片622とL字状中空枠61の見込面との間の隙間S4には、先端が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0046】
以上のように構成される網体4の上端部、下端部、基端及び先端に固定される縁部材45は、上下のガイド横枠71,72のガイド溝713,723、巻取軸部3の巻軸側取付溝31、及び可動框6の可動軸側取付溝62に係止されている。これにより、網体4の上端部及び下端部においては、上下のガイド横枠71,72のガイド溝713,723において、網体4を係止して保持した状態で左右方向の移動をガイドする。また、網体4の基端及び先端においては、網体4を係止して保持できる。縁部材45を帯状のシート状の部材により構成したため、簡易な構成で、網体4の各端部を係止して保持する構造を実現できる。
【0047】
本実施形態のロール式網戸2は、網体4と、網体4の端部に沿って固定されるシート状の縁部材45と、縁部材45が係止される係止部(巻軸側係止片312、可動軸側係止片622、上方ガイド横枠側上側係止片713b、上方ガイド横枠側下側係止片713c、下方ガイド横枠側下側係止片723b、下方ガイド横枠側上側係止片723c)を有し、帯状部材45が係止部(巻軸側係止片312、可動軸側係止片622、上方ガイド横枠側上側係止片713b、上方ガイド横枠側下側係止片713c、下方ガイド横枠側下側係止片723b、下方ガイド横枠側上側係止片723c)に係止されることで網体4の端部を保持する網体端部保持部(巻軸側取付溝31、可動軸側取付溝62、上方ガイド横枠側ガイド溝713、下方ガイド横枠側ガイド溝723)と、を備える。これにより、簡易な構成で網体4の各端部を保持する構造を実現できる。よって、従来のように複数の係合子が一列に設けられて構成されたファスナ部材を網体4の端部に設ける構成よりも、簡易に構成できるため、製造コストを低減できる。
【0048】
本実施形態においては、上方ガイド横枠側ガイド溝713及び下方ガイド横枠側ガイド溝723は、巻取軸部3から網体4が引き出された状態において網体4の上端部及び下端部の移動をガイドする。これにより、網体4の上端部及び下端部をガイドする部分において、簡易な構成で、網体4の端部を保持できる。
【0049】
本実施形態においては、縁部材45は、縁部材45の幅方向の途中部分において網体4の端部に沿って固定された状態で、縁部材45の幅方向の少なくとも一方の端部が係止部(巻軸側係止片312、可動軸側係止片622、上方ガイド横枠側上側係止片713b、上方ガイド横枠側下側係止片713c、下方ガイド横枠側下側係止片723b、下方ガイド横枠側上側係止片723c)に係止される。これにより、縁部材45の幅方向の端部を係止するだけの簡易な構成で、網体4の端部を保持させる構成を実現できる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態においては、網戸をロール式網戸で構成したが、これに限定されない。網戸を、四周を囲む枠と、枠の内側に配置された網体と、を備える網戸により構成してもよい。
【0052】
前記実施形態においては、縁部材45を、樹脂材料でシート状に形成したが、これに限定されない。例えば、縁部材を、薄い金属材料でシート状に形成してもよい。この場合には、縁部材と網体とは、例えば、溶着や接着により固定される。
【0053】
前記実施形態においては、網体4の上端部、下端部及び基端においては、縁部材45の幅方向の両端で係止部に係止する構成とした。網体4の先端においては、縁部材45の幅方向の一端で係止部に係止する構成とした。しかし、これに限定されない。縁部材45の幅方向の一端で係止部に係止する構成としてもよいし、縁部材45の幅方向の両端で係止部に係止する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
2 ロール式網戸(網戸)、3 巻取軸部、4 網体、31 巻軸側取付溝(網体端部保持部)、45 縁部材(帯状部材)、62 可動軸側取付溝(網体端部保持部)、312 巻軸側係止片(係止部)、622 可動軸側係止片(係止部)、713 上方ガイド横枠側ガイド溝(網体端部保持部)、713b 上方ガイド横枠側上側係止片(係止部)、713c 上方ガイド横枠側下側係止片(係止部)、723 下方ガイド横枠側ガイド溝(網体端部保持部)、723b 下方ガイド横枠側下側係止片(係止部)、723c 下方ガイド横枠側上側係止片(係止部)