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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A47K13/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020012599
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021115388
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康智
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-055951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0313343(US,A1)
【文献】特開2007-319412(JP,A)
【文献】特開2017-124112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して開閉可能な第1開閉部材と、
前記第1開閉部材の開閉角度を検出する第1角度センサと、
前記便器に対して開閉可能な第2開閉部材と、
前記第2開閉部材の開閉角度を検出する第2角度センサと、
前記第1角度センサにより検出された検出値及び前記第2角度センサにより検出された検出値に基づいて、前記第1開閉部材が便座および便蓋の何れであるかを判別する判別部と、を備えるトイレ装置。
【請求項2】
前記便座の全閉から全開までの開閉角度の第1角度情報及び前記便蓋の全閉から全開までの開閉角度の第2角度情報を予め記憶する記憶部を備え、
前記判別部は、前記判別を実行する際に、前記記憶部に記憶された前記第1角度情報及び前記第2角度情報を参照する請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記第1角度センサにより検出された検出値及び前記第2角度センサにより検出された検出値のうち先に変化した検出値に基づいて、前記判別を実行する請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記判別部は、前記第1開閉部材を第1駆動装置により全閉から全開まで移動させた場合と前記第2開閉部材を第2駆動装置により全閉から全開まで移動させた場合とにおいて、前記第1開閉部材及び前記第2開閉部材それぞれを全閉から全開まで同一速度で移動させた場合の前記第1開閉部材及び前記第2開閉部材の開閉時間に基づいて、前記判別を実行する請求項1に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便座及び便蓋を自動で開閉可能なトイレ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のトイレ装置において、便座及び便蓋は、それぞれ、別々の電動開閉ユニット(駆動装置)に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-124112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便座を駆動する駆動装置及び便蓋を駆動する駆動装置は、いずれも、それぞれの接続ケーブルを介して、制御基板に接続されている。便座を駆動する駆動装置の接続ケーブルのコネクタ及び便蓋を駆動する駆動装置の接続ケーブルのコネクタが同一である場合には、便座を駆動する駆動装置の接続ケーブルを制御基板の便蓋側のコネクタに接続したり、便蓋を駆動する駆動装置の接続ケーブルを制御基板の便座側のコネクタに接続したりすることで、制御基板への誤接続が生じる可能性がある。これに対して、コネクタの形状を変えたり、接続ケーブルの色を変えたりすることで、接続ケーブルの誤接続を防止する構造を採用するものがある。しかし、接続ケーブルの誤接続を防止する構造を設ける必要がある。
【0005】
本開示は、便座を駆動する駆動装置及び便蓋を駆動する駆動装置の誤接続について考慮することなく、便座及び便蓋を正常に動作させることが可能なトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、便器に対して開閉可能な第1開閉部材と、前記第1開閉部材の開閉角度を検出する第1角度センサと、前記便器に対して開閉可能な第2開閉部材と、前記第2開閉部材の開閉角度を検出する第2角度センサと、前記第1角度センサにより検出された検出値及び前記第2角度センサにより検出された検出値に基づいて、前記第1開閉部材が便座および便蓋の何れであるかを判別する判別部と、を備えるトイレ装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るトイレ装置を示す斜視図である。
図2】トイレ装置の分解斜視図である。
図3】便座及び便蓋の開閉角度を説明するための図である。
図4】便座用電動開閉ユニット及び便蓋用電動開閉ユニットの取り付け状態を下方側から見た場合の斜視図である。
図5】便座用電動開閉ユニット及び便蓋用電動開閉ユニットの取り付け状態を示す下方側から見た分解斜視図である。
図6】取付部材の底面図である。
図7】便座用電動開閉ユニット及び便蓋用電動開閉ユニットの制御基板への接続状態を示す図である。
図8】トイレ装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、トイレ装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、便座11に着座したユーザから見た場合の前後の方向を前後方向とする。便座11に着座したユーザから見た場合の左右の方向を左右方向とする。鉛直方向を上下方向とする。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係るトイレ装置1は、便座11と、便蓋12と、便器13と、機能部2と、を備える。
【0010】
便器13は、上方に向けて開口して形成され、例えば陶器製である。便座11及び便蓋12は、機能部2の前部に、便器13に対して回転可能に取り付けられる。便座11は、使用者が着座する部分である。便座11は、便器13の開口縁の上に配置され、環状の形状に形成される。便蓋12は、便座11及び便器13の開口を開閉可能に覆う蓋である。
【0011】
便座11及び便蓋12は、図1に示すように、機能部2に取り付けられる。機能部2は、便座11及び便蓋12の後方側に配置される。機能部2は、機能部品21と、機能部品21を覆うように配置されるカバー部材3と、を備える。機能部品21は、便器13の後部の上部に配置される。
【0012】
機能部品は一部図示する。ほとんどの図示は省略する。機能部品は、例えば、便座11の保温装置や、洗浄タンクを備えた便器洗浄装置や、使用者の局部を洗浄するシャワーノズルや、ホースや、電源ユニットや、制御基板8(図7参照)や、便座11を電動で開閉できる便座用電動開閉ユニット61や、便蓋12を電動で開閉させる便蓋用電動開閉ユニット62や、バルブユニットや、各種配管等である。
【0013】
カバー部材3は、図1に示すように、機能部2の外形を覆うカバーである。カバー部材3は、図2に示すように、ベースカバー4と、トップカバー5と、を有する。
【0014】
ベースカバー4は、図2に示すように、便器13の後方側において、機能部2を覆うように配置される。ベースカバー4は、側面視で三角形状の左右一対の側壁41と、後部において一対の側壁41を繋ぐように左右方向に延びる背面壁42と、を有し、機能部2の側方及び後部を囲むように形成される。
【0015】
ベースカバー4は、背面壁42の前方側において、左右方向の略中央に形成される凸状部分43と、凸状部分43の前方側の下部において左右方向の両方の外側に形成される一対のヒンジ配置部44と、凸状部分43の前方側に形成される前側下側部分45と、を有する。
【0016】
凸状部分43は、上方側に突出する部分が、左右方向に延びると共に、前後方向に延びる。凸状部分43は、前面板431と、上面板432と、上面板432の前側の側部に形成される一対の側壁板434,435と、を有する。
【0017】
一方側の側壁板434においては、前側において、便座用電動開閉ユニット61の便座用モータ611の回転軸部612が突出し、後側において、便蓋用電動開閉ユニット62の便蓋用モータ621の回転軸部622が突出する。他方側の側壁板435においては、前側において、便座側軸穴447が形成され、後側において、便蓋側軸部22が突出する。前側の便座用モータ611の回転軸部612及び便座側軸穴447には、便座11が開閉可能に接続される。後側の便蓋用モータ621の回転軸部622及び便蓋側軸部22には、便蓋12が開閉可能に接続される。
【0018】
トップカバー5は、ベースカバー4の凸状部分43の後方側の上面を覆うように配置される。トップカバー5は、ベースカバー4に係合して固定される。
【0019】
便座11は、図1に示すように、便器13の上部に配置される。便座11は、便座本体111と、一対の便座ヒンジ部112と、を備える。便座本体111は、中央部に開口111aが形成された長円形状に形成される。
【0020】
一対の便座ヒンジ部112は、便座11の後端側の左右方向の両端部に配置され、便座本体111の後方側の両端部から、便座11の後方に延びる。一対の便座ヒンジ部112は、機能部2の前側に回転可能に取り付けられる。
【0021】
一対の便座ヒンジ部112は、図1及び図3に示すように、便座11の開閉に伴って回転軸J1を中心に回転可能に構成される。一対の便座ヒンジ部112は、図2に示すように、機能部2の左右方向の一方側において、ベースカバー4の凸状部分43の一方側の側壁板434の外側に突出する便座用電動開閉ユニット61の便座用モータ611の回転軸部612に取り付けられ、機能部2の左右方向の他方側において、ベースカバー4の凸状部分43の他方側の側壁板435に形成された便座側軸穴447に取り付けられる。
【0022】
便座11は、一対の便座ヒンジ部112が回転軸J1を中心に回転することで、便器13に対して開閉可能に構成される。本実施形態においては、図3に示すように、便座11の全閉から全開までの開閉角度は、α1である。便座11の開閉角度α1は、各部材の製造バラツキや組み付け誤差などを考慮すると、例えば、110~115°である。便座11の全閉の閉位置は、便座11が便器13に当接する位置である。便座11の全開の開位置は、便座11が開位置に位置した便蓋12の裏面に形成されたクッション部123に当接する位置である。本実施形態においては、便座11の全閉から全開までの開閉角度α1は、便蓋12の全閉から全開までの開閉角度α2よりも大きく構成される。
【0023】
便蓋12は、図1及び図2に示すように、便座11の上部に配置される。便蓋12は、便蓋本体121と、一対の便蓋ヒンジ部122と、を備える。一対の便蓋ヒンジ部122は、一対の便座ヒンジ部112の後側において、機能部2に回転可能に取り付けられる。
【0024】
一対の便蓋ヒンジ部122は、図2及び図3に示すように、便蓋12の開閉に伴って回転軸J2を中心に回転可能に構成される。一対の便蓋ヒンジ部122は、図2に示すように、機能部2の左右方向の一方側において、ベースカバー4の凸状部分43の一方側の側壁面の外側に突出する便蓋用電動開閉ユニット62の便蓋用モータ621の回転軸部622に取り付けられ、機能部2の左右方向の他方側において、ベースカバー4の凸状部分43の他方側の側壁板435の外側に突出する便蓋側軸部22に取り付けられる。
【0025】
便蓋12は、一対の便蓋ヒンジ部122が回転軸J2を中心に回転することで、便器13に対して開閉可能に構成される。本実施形態においては、図3に示すように、便蓋12の全閉から全開までの開閉角度は、α2である。便蓋12の開閉角度α2は、各部材の製造バラツキや組み付け誤差などを考慮すると、例えば、105~109°である。便蓋12の全閉の閉位置は、便蓋12が便器13に当接する位置である。便蓋12の全開の開位置は、便蓋12の便蓋ヒンジ部122の内側に取り付けられたブッシュ124の突出ストッパ部124aが機能部2のベースカバー4のブッシュ当て4aに当接する位置である。本実施形態においては、便蓋12の全閉から全開までの開閉角度α2は、便座11の全閉から全開までの開閉角度α1よりも小さく構成される。
【0026】
次に、便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62の取付構造について説明する。便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62の取付構造の説明においては、図4図7に示すように、トイレ装置1の左右方向をX方向という。X方向において、ベースカバー4の左右方向の一方の側壁板434側をX1側といい、ベースカバー4の左右方向の他方の側壁板435側をX2側という。トイレ装置1の前後方向をY方向という。Y方向において、ベースカバー4の前側をY1側といい、ベースカバー4の後側をY2側という。
【0027】
図4及び図5に示すように、便座用電動開閉ユニット61(第1駆動装置)及び便蓋用電動開閉ユニット62(第2駆動装置)は、取付部材7を介して、ベースカバー4の凸状部分43の上面板432の下面432aに取り付けられている。
【0028】
便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62は、ベースカバー4の凸状部分43の上面板432の下面432aにおけるX方向のX1側において、Y方向に並んで配置される。
【0029】
便座用電動開閉ユニット61は、図5に示すように、便座用モータ611と、便座側角度センサ613(第1角度センサ)と、を有する。便座用モータ611は、X方向のX1側に突出する回転軸部612を有する。回転軸部612は、ベースカバー4の凸状部分43の一方の側壁板434を貫通して、図2に示すように、ベースカバー4の凸状部分43の一方の側壁板434の側方に突出して配置される。便座側角度センサ613は、便座11の開閉角度を検出する。便座側角度センサ613は、例えば、ロータリエンコーダにより構成される。
【0030】
便蓋用電動開閉ユニット62は、図5に示すように、便蓋用モータ621と、便蓋側角度センサ623(第2角度センサ)と、を有する。便蓋用モータ621は、X方向のX1側に突出する回転軸部622を有する。回転軸部622は、便座用電動開閉ユニット61の回転軸部612よりもY方向のY2側において、ベースカバー4の凸状部分43の一方の側壁板434を貫通して、図2に示すように、ベースカバー4の凸状部分43の一方の側壁板434の側方に突出して配置される。便蓋側角度センサ623は、便蓋12の開閉角度を検出する。便蓋側角度センサ623は、例えば、ロータリエンコーダにより構成される。
【0031】
便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62は、図5に示すように、ベースカバー4の凸状部分43の上面板432の下面432aに固定された取付部材7の下面に取り付けられる。取付部材7は、ベースカバー4の凸状部分43の上面板432の下面432aに設けられた5つのカバー側ネジ固定部433にネジ固定される。
【0032】
取付部材7は、図5及び図6に示すように、便座用モータ配置部71と、便座側環状保持部72と、便蓋用モータ配置部73と、便蓋側環状保持部74と、5つの取付部材固定穴761,762,763,764,765と、2つのモータ固定穴771,772と、を有する。
【0033】
図5及び図6に示すように、便座用モータ配置部71には、便座用電動開閉ユニット61が配置される。便座用モータ配置部71は、取付部材7の下面における便座用モータ配置部71のY方向のY1側に配置される。便座用モータ配置部71のX方向のX1側には、便座側環状保持部72が形成されている。便座側環状保持部72の周辺には、複数のリブ721が形成される。複数のリブ721は、便蓋側環状保持部74のX方向のX1側の端部側の強度を補強する。
【0034】
便座用モータ配置部71において、X方向のX1側には、X方向に延びると共にY方向に並ぶ2本の傾斜突出ガイド711が形成される。2本の傾斜突出ガイド711は、便座用モータ配置部71のX方向のX1側において、Y方向に幅を有して、便座側環状保持部72からX2側に延びる。2本の傾斜突出ガイド711は、便座側環状保持部72からX方向のX2側に離れるに従って突出厚さが小さくなるように傾斜して形成される。これにより、便座用電動開閉ユニット61を便座用モータ配置部71に配置する際に、2本の傾斜突出ガイド711に沿ってガイドされて、便座側環状保持部72に容易に保持させることができる。
【0035】
便座用電動開閉ユニット61は、X方向のX1側が便座側環状保持部72に保持された状態で、便座用モータ配置部71に配置される。便座用電動開閉ユニット61のX方向のX2側の端部側の部分は、取付部材7の下面に形成されるモータ固定穴771にネジ固定される。モータ固定穴771は、便座用モータ配置部71のX方向のX2側の端部側において、Y方向のY1側の端部側の角部に形成される。
【0036】
図5及び図6に示すように、便蓋用モータ配置部73には、便蓋用電動開閉ユニット62が配置される。便蓋用モータ配置部73は、取付部材7の下面における便蓋用モータ配置部73のY方向のY2側に配置される。便蓋用モータ配置部73のX方向のX1側には、便蓋側環状保持部74が形成されている。便蓋側環状保持部74の周辺には、複数のリブ741が形成される。複数のリブ741は、便蓋側環状保持部74のX方向のX1側の端部側の強度を補強する。
【0037】
便蓋用モータ配置部73において、X方向のX1側には、X方向に延びると共にY方向に並ぶ2本の傾斜突出ガイド731が形成される。2本の傾斜突出ガイド731は、便蓋用モータ配置部73のX方向のX1側において、Y方向に幅を有して、便蓋側環状保持部74からX2側に延びる。2本の傾斜突出ガイド731は、便蓋側環状保持部74からX方向のX2側に離れるに従って突出厚さが小さくなるように傾斜して形成される。これにより、便蓋用電動開閉ユニット62をX方向のX2側からX1側に移動させて便蓋用モータ配置部73に配置する際に、2本の傾斜突出ガイド731に沿ってガイドされて、便蓋側環状保持部74に容易に保持させることができる。
【0038】
便蓋用電動開閉ユニット62は、X方向のX1側が便蓋側環状保持部74に保持された状態で、便蓋用モータ配置部73に配置される。便蓋用電動開閉ユニット62のX方向のX2側の部分は、取付部材7の下面に形成されるモータ固定穴772にネジ固定される。モータ固定穴772は、便蓋用モータ配置部73のX方向のX2側の端部側において、Y方向のY1側に形成される。
【0039】
図5及び図6に示すように、5つの取付部材固定穴761,762,763,764,765は、1つの基準固定丸穴761と、1つの固定長穴762と、3つの大径固定丸穴763,764,765とである。
【0040】
基準固定丸穴761は、図6に示すように、取付部材7のX方向のX1側において、Y方向の略中央に形成される。基準固定丸穴761は、真円に形成される。基準固定丸穴761は、ベースカバー4におけるカバー側ネジ固定部433のカバー部材側固定穴433aにネジ固定される。基準固定丸穴761は、取付部材7をベースカバー4に固定する場合の基準穴である。基準固定丸穴761は、1つの固定長穴762よりも開口面積が小さく、3つの大径固定丸穴763,764,765よりも径が小さい。
【0041】
固定長穴762は、取付部材7のX方向のX2側において、Y方向の略中央に形成される。固定長穴762は、Y方向の長さよりもX方向の長さが僅かに長い長穴状に形成される。固定長穴762は、Y方向の長さが基準固定丸穴761の径と同じ大きさに形成され、X方向の長さが基準固定丸穴761の径よりも僅かに長く形成される。固定長穴762は、ベースカバー4におけるカバー側ネジ固定部433のカバー部材側固定穴433aにネジ固定される。固定長穴762においてネジ固定することで、取付部材7におけるX方向の固定位置を調整できるため、ベースカバー4や取付部材7の製造バラツキを吸収した状態で、取付部材7をベースカバー4に固定できる。
【0042】
3つの大径固定丸穴763,764,765は、第1大径固定丸穴763と、第2大径固定丸穴764と、第3大径固定丸穴765と、である。第1大径固定丸穴763は、取付部材7のX方向のX1側の端部側において、Y方向のY1側の端部側の角部に形成される。第2大径固定丸穴764は、取付部材7のX方向のX1側の端部側において、Y方向のY2側の端部側の角部に形成される。第3大径固定丸穴765は、取付部材7のX方向のX2側の端部側において、Y方向のY2側の端部側の角部に形成される。3つの大径固定丸穴763,764,765は、基準固定丸穴761よりも径が大きい真円に形成される。
【0043】
3つの大径固定丸穴763,764,765は、それぞれ、ベースカバー4におけるカバー側ネジ固定部433のカバー部材側固定穴433aにネジ固定される。基準固定丸穴761の径よりも大きい径で形成されるため、3つの大径固定丸穴763,764,765においてネジ固定することで、ベースカバー4や取付部材7の製造バラツキを吸収した状態で、取付部材7をベースカバー4に固定できる。
【0044】
取付部材7をベースカバー4に固定する場合には、まず、最初に、1つの基準固定丸穴761においてネジ固定した後に、1つの固定長穴762においてネジ固定し、3つの大径固定丸穴763,764,765をネジ固定することで、ベースカバー4や取付部材7の製造バラツキを吸収した状態で、取付部材7をベースカバー4に固定できる。
【0045】
図7に示すように、便座用電動開閉ユニット61は、取付部材7の便座用モータ配置部71に固定された状態で、便座用接続ケーブル78により、制御基板8に接続される。便蓋用電動開閉ユニット62は、取付部材7の便蓋用モータ配置部73に固定された状態で、便蓋用接続ケーブル79により、制御基板8に接続される。制御基板8は、便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62よりもY2側において、X方向のX2側にずれた位置に配置されている。
【0046】
制御基板8は、図7に示すように、X方向に延びる略長方形状に形成される。制御基板8には、第1コネクタ81、第2コネクタ82及び制御装置9が設けられている。第1コネクタ81は、制御基板8のX方向のX2側に配置される。第2コネクタ82は、制御基板8のX方向のX1側に配置される。第1コネクタ81及び第2コネクタ82は、同じ種類及び同じ形状のコネクタである。
【0047】
便座用接続ケーブル78は、一端部に配置されるモータ側便座用コネクタ781と、他端部に配置される制御基板側便座用コネクタ782と、モータ側便座用コネクタ781と制御基板側便座用コネクタ782とを接続する便座側ハーネス783と、を有する。便座用接続ケーブル78は、一端部のモータ側便座用コネクタ781が便座用電動開閉ユニット61に接続され、他端部のモータ側便座用コネクタ781が制御基板8の第1コネクタ81に接続される。便座側ハーネス783の長さは、制御基板8に配置された第1コネクタ81に届く長さに設定される。
【0048】
便蓋用接続ケーブル79は、一端部に配置されるモータ側便蓋用コネクタ791と、他端部に配置される制御基板側便蓋用コネクタ792と、モータ側便蓋用コネクタ791と制御基板側便蓋用コネクタ792とを接続する便蓋側ハーネス793と、を有する。便蓋用接続ケーブル79は、一端部のモータ側便蓋用コネクタ791が便蓋用電動開閉ユニット62に接続され、他端部の制御基板側便蓋用コネクタ792が制御基板8の第2コネクタ82に接続される。
【0049】
便蓋側ハーネス793の長さは、制御基板8に配置された第2コネクタ82に届く長さであると共に、制御基板8に配置された第1コネクタ81に届かない長さに設定される。これにより、便蓋用接続ケーブル79のモータ側便蓋用コネクタ791が便座用電動開閉ユニット61に接続された状態においては、便蓋用接続ケーブル79の制御基板側便蓋用コネクタ792は、第2コネクタ82のみに接続可能である。よって、便蓋用接続ケーブル79の制御基板側便蓋用コネクタ792は、第1コネクタ81に接続されることがないため、便蓋用接続ケーブル79の誤接続を防止できる。
【0050】
本実施形態においては、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の誤接続を防止するために、便蓋用接続ケーブル79の長さを一方の第2コネクタ82のみに接続可能な長さで構成した。これに限定されない。例えば、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の色を異ならせることで、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の誤接続を防止できる。
【0051】
本実施形態においては、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の誤接続を防止するように構成した。しかし、本実施形態において、トイレ装置1の制御装置9は、便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62を制御基板8に接続することについて、誤接続について考慮することなく、便座11及び便蓋12を正常に動作させるように制御できる。仮に、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の誤接続が生じた場合であっても、以下の制御装置9の制御においては、便座用接続ケーブル78及び便蓋用接続ケーブル79の接続後に、便座11及び便蓋12を正しく判別できる。その後、制御装置9は、正しく判別された便座11及び便蓋12を制御することが可能である。
【0052】
制御装置9について説明する。図8に示すように、制御装置9は、制御部91と、記憶部92と、を有する。記憶部92は、便座11の全閉から全開までの開閉角度の第1角度情報及び便蓋12の全閉から全開までの開閉角度の第2角度情報を予め記憶する。記憶部92は、後述する判別部911により判別された便座11又は便蓋12の情報を記憶する。
【0053】
制御部91は、トイレ装置1の各動作を制御する。制御部91は、便座11及び便蓋12を判別する判別部911を有する。判別部911は、電動開閉ユニット(便座用電動開閉ユニット61又は便蓋用電動開閉ユニット62)を介して制御基板8に接続された第1開閉部材(便座11又は便蓋12)及び第2開閉部材(便座11又は便蓋12)について、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値に基づいて、第1開閉部材が便座11および便蓋12の何れであるかを判別する。判別部911は、第1開閉部材が便座11および便蓋12の何れであるかを判別できれば、第2開閉部材も、便座11および便蓋12の何れであるかを判別できる。判別部911は、例えば、以下の第1判別制御、第2判別制御又は第3判別制御により、便座11及び便蓋12を判別できる。
【0054】
(第1判別制御)
判別部911における第1判別制御においては、判別部911は、判別を実行する際に、記憶部92に記憶された便座11の第1角度情報及び便蓋12の第2角度情報を参照する。
【0055】
第1判別制御の制御例について説明する。まず、工場などにおいて、図5に示すように、取付部材7を介して、便座用電動開閉ユニット61及び便蓋用電動開閉ユニット62を、ベースカバー4の凸状部分43の上面板432の下面432aに固定する。そして、図7に示すように、便座用接続ケーブル78により、便座用電動開閉ユニット61と制御基板8とを接続する。便蓋用接続ケーブル79により、便蓋用電動開閉ユニット62と制御基板8とを接続する。
【0056】
この状態において、判別部911により、便座11又は便蓋12の判別を行う。具体的には、まず、人手による手動により、便蓋12を全閉位置から全開位置に移動させる。人手による手動により、便座11を全閉位置から全開位置まで移動させる。記憶部92には、便座11の第1角度情報として、便座11の全閉から全開までの開閉角度α1(例えば、110~115°)を記憶しており、便蓋12の第2角度情報として、便蓋12の全閉から全開までの開閉角度α2(例えば、105~109)を記憶している。便座11の全閉から全開までの開閉角度α1は、便蓋12の全閉から全開までの開閉角度α2よりも大きく構成される。
【0057】
これにより、判別部911は、判別を実行する際に、記憶部92に記憶された便座11の第1角度情報及び便蓋12の第2角度情報を参照する。判別部911は、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値に基づいて、第1開閉部材(便座11又は便蓋12)が便座11および便蓋12の何れかを判別できる。判別部911は、第1開閉部材が便座11および便蓋12の何れであるかを判別できれば、第2開閉部材も、便座11および便蓋12の何れであるかを判別できる。判別部911により判別された便座11又は便蓋12の情報は、記憶部92に記憶される。その後、制御部91は、記憶部92に記憶された便座11又は便蓋12の情報に基づいて、便座11及び便蓋12の通常動作を制御する。
【0058】
第1判別制御においては、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62を接続する場合に、いずれの接続状態であっても、判別部911により便座11および便蓋12の何れであるかを判別できるため、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62の制御基板8への誤接続について考慮することなく、便座及び便蓋を正常に動作させることができる。
【0059】
第1判別制御においては、判別部911は、判別を実行する際に、記憶部92に記憶された便座11の第1角度情報及び便蓋12の第2角度情報を参照する。これにより、判別部911は、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値に基づいて、便座11又は便蓋12を簡単かつ確実に判別できる。
【0060】
第1判別制御においては、人手による手動により、便座11及び便蓋12を全閉位置から全開位置まで移動させるように構成した。しかし、これに限定されない。便座用電動開閉ユニット61により、便座11を全閉位置から全開位置まで電動で移動させ、便蓋用電動開閉ユニット62により、便蓋12を全閉位置から全開位置まで電動で移動させて、判別部911により判定してもよい。
【0061】
(第2判別制御)
判別部911における第2判別制御においては、判別部911は、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値のうち先に変化した検出値に基づいて、判別を実行する。
【0062】
第2判別制御の制御例について説明する。まず、第1判別制御と同様に、工場などにおいて、図7に示すように、便座用接続ケーブル78により、便座用電動開閉ユニット61と制御基板8とを接続する。便蓋用接続ケーブル79により、便蓋用電動開閉ユニット62と制御基板8とを接続する。
【0063】
この状態において、判別部911により、便座11又は便蓋12の判別を行う。具体的には、人手による手動により、便座11及び便蓋12が全閉位置に位置した状態において、便蓋12を全閉位置から全開位置の方向に移動させる。判別部911は、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値のうち先に変化した検出値に基づいて、判別を実行して、全閉位置から先に移動させた便蓋12であることを判別できる。判別部911により判別された便座11又は便蓋12の情報は、記憶部92に記憶される。その後、制御部91は、記憶部92に記憶された便座11又は便蓋12の情報に基づいて、便座11及び便蓋12の通常動作を制御する。
【0064】
第2判別制御においても、第1判別制御と同様に、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62を接続する場合に、いずれの接続状態であっても、判別部911により便座11又は便蓋12を判別できるため、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62の制御基板8への誤接続について考慮することなく、便座及び便蓋を正常に動作させることができる。
【0065】
第2判別制御においては、判別部911は、便座側角度センサ613により検出された検出値及び便蓋側角度センサ623により検出された検出値のうち先に変化した検出値に基づいて、便座11又は便蓋12を判別する。これにより、判別部911は、便座11又は便蓋12を簡単かつ確実に判別できる。
【0066】
(第3判別制御)
判別部における第3判別制御においては、判別部911は、第1開閉部材(便座11又は便蓋12)を電動開閉ユニット(便座用電動開閉ユニット61又は便蓋用電動開閉ユニット62)により全閉から全開まで移動させた場合と、便蓋12を電動開閉ユニット(便座用電動開閉ユニット61又は便蓋用電動開閉ユニット62)により全閉から全開まで移動させた場合とにおいて、第1開閉部材及び第2開閉部材それぞれを全閉から全開まで同一速度で移動させた場合の第1開閉部材及び第2開閉部材の開閉時間に基づいて、判別を実行する。
【0067】
第3判別制御の制御例について説明する。まず、第1判別制御と同様に、工場などにおいて、図7に示すように、便座用接続ケーブル78により、便座用電動開閉ユニット61と制御基板8とを接続する。便蓋用接続ケーブル79により、便蓋用電動開閉ユニット62と制御基板8とを接続する。
【0068】
この状態において、判別部911により、便座11又は便蓋12の判別を行う。具体的には、第1開閉部材(便座11又は便蓋12)と第2開閉部材(便座11又は便蓋12)とを、全閉から全開まで同一速度で移動させる。記憶部92は、便座11の全閉から全開までの開閉時間と、便蓋12の全閉から全開までの開閉時間とについて、便座11の開閉時間が長いことを記憶している。これにより、判別部911は、判別を実行して、便座11及び便蓋12の開閉時間うち長い方を、便座11であると判別できる。判別部911により判別された便座11又は便蓋12の情報は、記憶部92に記憶される。その後、制御部91は、記憶部92に記憶された便座11又は便蓋12の情報に基づいて、便座11及び便蓋12の通常動作を制御する。
【0069】
第3判別制御においても、第1判別制御及び第2判別制御と同様に、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62を接続する場合に、いずれの接続状態であっても、判別部911により便座11又は便蓋12を判別できるため、便座11を駆動する便座用電動開閉ユニット61及び便蓋12を駆動する便蓋用電動開閉ユニット62の制御基板8への誤接続について考慮することなく、便座及び便蓋を正常に動作させることができる。
【0070】
第3判別制御においては、判別部911は、第1開閉部材(便座11又は便蓋12)を電動開閉ユニット(便座用電動開閉ユニット61又は便蓋用電動開閉ユニット62)により全閉から全開まで移動させた場合と、便蓋12を電動開閉ユニット(便座用電動開閉ユニット61又は便蓋用電動開閉ユニット62)により全閉から全開まで移動させた場合とにおいて、第1開閉部材及び第2開閉部材それぞれを全閉から全開まで同一速度で移動させた場合の第1開閉部材及び第2開閉部材の開閉時間に基づいて、判別を実行する。これにより、判別部911は、便座11及び便蓋12の開閉時間に基づいて、便座11又は便蓋12を簡単かつ確実に判別できる。
【0071】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 トイレ装置、11 便座(第1開閉部材)、12 便蓋(第2開閉部材)、13 便器、61 便座用電動開閉ユニット(第1駆動装置)、62 便蓋用電動開閉ユニット(第2駆動装置)、92 記憶部、613 便座側角度センサ(第1角度センサ)、623 便蓋側角度センサ(第2角度センサ)、911 判別部
図1
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