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特許7360982チップレスRFID復号システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】チップレスRFID復号システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231005BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20231005BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06K7/10 144
G06K7/00 095
G06K7/10 176
G06K7/10 240
G06K7/10 244
H04B1/59
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020063392
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2020181571
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】16/394,220
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ラリー・アージョマンディ
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/218313(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116444(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0121689(US,A1)
【文献】特表2015-509295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 19/067
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップレス無線周波数識別(RFID)タグを復号する方法であって、
前記RFIDタグに対する1つ以上のテスト位置から質問信号を送信することと、
前記RFIDタグから1つ以上のテスト応答信号を受信することであって、前記1つ以上のテスト応答信号が前記1つ以上のテスト位置から送信された前記質問信号にそれぞれ応答可能である、ことと、
前記質問信号の1つ以上の模擬位置に対応する1つ以上の模擬応答信号をシミュレートすることと、
前記テスト応答信号及び前記模擬応答信号を使用して、前記RFIDタグの識別(ID)を復号するように、復号化プロセッサを訓練することと
を含み、
前記1つ以上の模擬応答信号をシミュレートすることは、
データ拡張プロセッサに、RFIDタグの識別、模擬質問信号の周波数、及び前記模擬質問信号の位置を提供することと、
前記RFIDタグの識別と、前記模擬質問信号の周波数と、前記模擬質問信号の位置及び角度の一方又は両方とに基づいて、前記模擬応答信号のデータ点値をシミュレートすることと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記テスト位置から前記質問信号を送信することが、前記質問信号及び前記RFIDタグを送信するリーダの一方又は両方を移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リーダ及び前記RFIDタグの一方又は両方を移動させることが、
前記RFIDタグに対する前記リーダの角度を変更することと、
前記RFIDタグに対する前記リーダの移動位置を変更することと、
前記RFIDタグに対する前記リーダとの間の距離を変更することと、
前記リーダの送信アンテナ及び受信アンテナのうちの一方又は両方を変更することと
のうちの1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
背景雑音信号を測定することと、
前記テスト応答信号のそれぞれから前記背景雑音信号を減算することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データ拡張プロセッサを訓練して、前記模擬応答信号をシミュレートすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データ拡張プロセッサを訓練することが、前記テスト応答信号を使用する教師あり訓練を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各テスト応答信号及び各模擬応答信号を2次元アレイに変換することを更に含み、前記復号化プロセッサを訓練して前記RFIDタグのIDを復号することは、各テスト応答信号及び各模擬応答信号に対応する2次元アレイの群に基づいて、前記RFIDタグのIDを復号するように前記復号化プロセッサを訓練することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記データ拡張プロセッサがデータ推定機能を実施し、
前記復号化プロセッサが、深層学習ネットワークを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記データ推定機能が、浅い学習ネットワークを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記復号化プロセッサが、ガウスサポートベクターマシン分類器、バギング決定木分類器、細かいk最近傍分類器、重み付きk最近傍分類器、又は部分空間k最近傍分類器を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記復号化プロセッサが、RFIDタグのIDを誤って復号した場合、前記復号化プロセッサを再訓練することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
チップレス無線周波数識別(RFID)質問システムであって、
前記RFIDタグに対する1つ以上のテスト位置から質問信号を送信するように構成された送信機と、
前記RFIDタグから1つ以上のテスト応答信号を受信するように構成された受信機であって、前記1つ以上テスト応答信号が前記1つ以上の位置から送信された前記質問信号にそれぞれ応答可能である、受信機と、
前記質問信号の1つ以上の模擬位置に対応する1つ以上の模擬応答信号をシミュレートするように構成されたデータ拡張プロセッサと、
前記テスト応答信号及び前記模擬応答信号を使用して、前記RFIDタグの識別(ID)を復号するように訓練された復号化プロセッサと
を備え、
前記データ拡張プロセッサは、
RFIDタグの識別、模擬質問信号の周波数、及び前記模擬質問信号の位置を受信し、
前記RFIDタグの識別と、前記模擬質問信号の周波数と、前記模擬質問信号の位置及び角度の一方又は両方とに基づいて、前記模擬応答信号のデータ点値をシミュレートするように構成されている、チップレスRFID質問システム。
【請求項13】
前記テスト応答信号及び前記模擬応答信号のそれぞれを表すアレイを生成するように構成されたアレイ生成器を更に備え、前記復号化プロセッサは、前記テスト応答信号及び模擬応答信号を表すアレイを使用して前記RFIDタグのIDを復号するように訓練される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記質問信号及び前記RFIDタグを送信するリーダの一方又は両方の移動を制御するように構成された移動コントローラを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記移動コントローラが、
前記RFIDタグに対する前記リーダの角度を変更し、
前記RFIDタグに対する前記リーダの移動位置を変更し、
前記RFIDタグに対する前記リーダの供給源との間の距離を変更し、
前記質問信号の供給源を変更する
ように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記移動コントローラが、
前記質問信号が送信されるアンテナを選択的に起動させ、及び/又は
前記テスト応答信号が受信される受信機を選択的に起動する
ように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記データ拡張プロセッサが、関数推定器を実施し、
前記復号化プロセッサが、深層学習ネットワークを実施する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記関数推定器が、浅い学習ネットワークを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記復号化プロセッサが階調、及び/又は、赤色、緑色及び青色(RGB)画像認識深層学習器を実施する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線周波数識別(RFID)タグは、識別装置の一種である。質問器とも呼ばれる読み取り装置によって質問されると、RFIDタグは、符号化された識別情報(ID)を質問器に返すために、無線周波数信号を反映又は再送信する。RFIDタグ装置は、2つの基本タイプであってもよい。チップ化RFIDタグは、データを記憶するマイクロチップを含む。チップレスRFIDタグは、マイクロチップを含まないが、代わりに、データを記憶するために、磁気材料又はトランジスタのない薄膜回路に依存する。一般に、チップ化RFIDタグは、コストが高くなるが、チップレスRFIDタグよりもデータ容量が大きくなる。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態は、チップレスRFIDタグを復号する方法を含む。質問信号はRFIDタグに対する1つ以上のテスト位置から送信され、1つ以上のテスト応答信号が、RFIDタグから受信される。テスト応答信号は、それぞれ、1つ以上のテスト位置から送信された質問信号に応答できる。質問信号の1つ以上の模擬位置に対応する1つ以上の模擬応答信号がシミュレートされる。復号化プロセッサは、テスト応答信号及び模擬応答信号を使用して、RFIDタグの識別(ID)を復号するように訓練される。
【0003】
いくつかの実施形態は、チップレスRFID質問システムを対象とする。送信機は、RFIDタグに対する1つ以上のテスト位置から質問信号を送信するように構成される。受信機は、1つ以上の位置から送信された質問信号にそれぞれ応答できるRFIDタグから1つ以上のテスト応答信号を受信する。データ拡張プロセッサは、質問信号の1つ以上の模擬位置に対応する1つ以上の模擬応答信号をシミュレートする。復号化プロセッサは、テスト応答信号及び模擬応答信号を使用して、RFIDタグの識別(ID)を復号するように訓練される。
【0004】
いくつかの実施形態によれば、チップレスRFIDタグを復号する方法は、質問信号の少なくとも1つの読み取りパラメータを変化させることを含む。テスト応答信号は、質問信号の各変化に応答して受信される。1つ以上の模擬応答信号は、読み取りパラメータの1つ以上の変化に対してシミュレートされる。復号化プロセッサは、テスト応答信号及び模擬応答信号を使用して、RFIDタグの識別(ID)を復号するように訓練される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】10cmの距離で、中点から左へ3cmずれて、及び中点から右に3cmずれて、質問信号を送信するアンテナの中点のすぐ前の、RFIDタグ及び質問器の3つの相対位置を示す。
図1B】3つの異なる位置から図1AのRFIDタグから後方散乱(反射)された信号のプロットを示す。
図2】いくつかの実施形態による、RFIDタグのID復号化手法を実施するシステムの構成要素を概念的に示すブロック図である。
図3A】いくつかの実施形態による、データ拡張プロセッサを訓練するために使用されるテスト応答信号の収集中の図2のシステムの構成要素を示す。
図3B】いくつかの実施形態による、訓練中のデータ拡張プロセッサを示すブロック図である。
図3C】いくつかの実施形態による、復号化プロセッサを訓練するために使用される訓練アレイの形成を示す。
図3D】いくつかの実施形態による、復号化プロセッサ訓練段階中の図2のシステム構成を示すブロック図である。
図4】いくつかの実施形態による、データ拡張プロセッサ及び/又は復号化プロセッサに関する訓練及び再訓練段階を示すフロー図である。
図5A】いくつかの実施形態による、第1及び第2の訓練信号のI及びQ成分を示す。
図5B】いくつかの実施形態による、訓練信号のI及びQ信号成分から作成されたアレイを示す。
図6】いくつかの実施形態による、模擬信号のI及びQ信号成分から作成されたアレイを示す。
図7】いくつかの実施形態による、200×200階調アレイから生成された画像の一例を示す。
図8】いくつかの実施形態による、x個の異なる位置における特定のタグ、タグ1の応答を特徴付けるアレイの一群を示す。
図9】いくつかの実施形態による、復号化プロセッサを訓練するために使用されるタグ1、タグ2からタグyの応答を特徴付けるアレイ群を示す。
図10】輻輳領域(Region Under Convergence、ROC)曲線を示す。
図11】テストしたいくつかの復号器アルゴリズムについて、81個のRFIDタグサンプルセットの精度及び典型的な曲線下面積(Area Under Curve、AUC)を示すグラフである。
図12図11に示すアルゴリズムの重ねられた精度と訓練時間のグラフを示す。
図13】いくつかの実施形態による、復号化プロセッサが訓練された後に生じる、RFIDタグ復号化段階中の図2のシステムを示すブロック図である。
図14】いくつかの実施形態による、RFIDタグのIDを復号するために、訓練された復号器を有するリーダを使用するプロセスを示すフロー図である。
図15】いくつかの実施形態による、リーダを訓練し、RFIDタグのIDを復号するためのプロセスのフロー図である。
【0006】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図面に使用される同様の数字は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字でラベル付けされた別の図における構成要素を制限することを意図していないことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
周波数ベースのチップレスRFIDタグは、質問器(リーダとも呼ばれる)からRFIDタグに無線周波数信号を送信することで質問されることができる。チップレスRFIDタグは質問信号を散乱(反射)し、RFIDタグの識別(ID)データは後方散乱信号内に符号化される。使用中の多くのRFIDタグは、高価で、生産ラインのラベルとして使用するには柔軟性が足りないマイクロ波基材上に作製される。周波数ベースのチップレスRFIDタグに関する別の問題は、それらの応答が、読み取りパラメータの変化に伴い振幅及び共振周波数の両方において変化する可能性があることである。読み取りパラメータは、質問信号の強度、RFIDタグとリーダとの間の距離、RFIDタグとリーダの相対的な平行移動位置、及びRFIDタグへの質問波の角度及び/又はリーダへの反射された後方散乱応答波の角度などの、RFIDタグの読み取り角度に影響を及ぼす様々な要因を含み得る。読み取り角度は、3次元で1つ以上の回転角度を包含してもよい。
【0008】
図1Aは、相対位置1、2及び3におけるRFIDタグ及びリーダを示す。位置1では、質問波及び後方散乱波は、RFIDタグの表面に対して垂直であり、RFIDタグの基準点は、リーダ上の基準点から10cmである(例えば、リーダの送信又は受信アンテナアレイの中点であり得る)。位置2において、リーダは、左に3cmシフトされる(-3cmとして指定される)。位置3において、リーダは、右に3cmシフトされる(+3cmとして指定される)。位置2及び3において、質問波及び後方散乱波は、RFIDタグの表面に対して角度αをなす。
【0009】
図1Bは、リーダが、RFIDタグに対して3つの異なる位置で配置されたときの、後方散乱RFID信号の重ねられたプロットを示す。図1Bは、質問器が、10cmの距離でRFIDタグの直接前方に位置するとき(位置1、グラフ101)、左に3cmずれたとき(位置2、グラフ102)、右に3cmずれたとき(位置3、グラフ103)に、RFIDタグから後方散乱した信号を示す。この実験の送信アンテナは、13dBiの利得及び-5dBmの送信電力を有するモノスタティックホーンであった。図1Bの観察から、RFIDタグがリーダに対して異なる位置に位置するときに、RFIDタグ後方散乱信号からデータを正確に復号することの困難さを認識することができる。
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、読み取りパラメータが変化するときにタグIDを得るために、RFIDタグからの信号を復号する精度を高めるシステム及び方法を対象とする。開示される方法は、RFIDタグが、プラスチック基材上のインク印刷によるなど、より安価な可撓性基材上に堆積されるときに特に有用である。
【0011】
本明細書に開示される方法は、例えば、深層学習ネットワークを含み得る復号化プロセッサを訓練して、質問器信号に応答して放出される後方散乱RFID応答信号からRFIDタグを復号することを含む。復号化プロセッサは、1つ以上の測定されたテスト応答信号及び/又は1つ以上の模擬応答信号を使用して訓練される。テスト応答信号は、RFIDタグに質問することと、RFIDタグからの後方散乱応答信号を測定することによって得られる。いくつかのテスト応答信号は、少なくとも1つの読み取りパラメータが変化するいくつかの異なる質問信号に対して得られてもよい。模擬応答信号は、読み取りパラメータの変化がシミュレートされるRFIDタグの応答をシミュレートすることによって得られる。以下に提供される実施例では、変化する読み取りパラメータは、RFIDタグ及びリーダの相対位置である。したがって、提供される実施例では、いくつかのテスト応答が、RFIDタグ及びリーダのいくつかの異なる相対位置について得られ、模擬応答は、RFIDタグ及びリーダの模擬相対位置に対して生成される。位置の変動について示されているが、この方法は、RFIDタグの読み取りから読み取りまでの変動を示すことができる任意の読み取りパラメータに対して実施されてもよい。
【0012】
模擬応答信号は、任意の好適な関数推定器によって推定され得る。いくつかの実施形態では、模擬応答信号は、浅い学習ネットワークによって推定される。各応答信号(テスト又は模擬)は、いくつかの構成要素を含み得る。例えば、いくつかの実施態様では、応答信号の成分は、周波数に対する大きさ信号及び周波数に対する位相信号である。いくつかの実施態様では、応答信号の成分は、周波数に対する同相(I)信号、及び周波数に対する直交(Q)信号である。開示された方法で使用されるテスト応答信号又は模擬応答信号の特色成分は、周波数、位相、偏光、振幅、I、Q、又は散乱信号の任意の他の特性、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。更に、特色成分は、本明細書の実施例で使用されるような1対の成分に限定されるものではなく、任意の数の成分であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、テスト応答信号及び模擬応答信号からのデータは、多次元アレイ、例えば、2次元(2D)画像アレイに変換される。これらの実施形態では、多次元アレイは、深層学習ネットワークを訓練して、RFIDタグのIDを復号するために使用される。
【0014】
上述のように、いくつかの実施形態によれば、RFID復号システムは、深層学習ネットワークを訓練してRFIDタグを復号するために使用される模擬信号を生成する、浅い学習ネットワークを含む。浅い学習ネットワークは、典型的には、1つの隠れ層を有するが、深層学習ネットワークは、複数の隠れ層及びプーリング技術を使用する。浅い学習器は主に特徴予測のモデリングに依存するが、深層学習器は、データからより良好な表現を抽出する可能性があり、その結果、より高い精度のモデルが得られる。より一般的には、データ拡張プロセッサは、1つ以上の読み取りパラメータにおける変化に対する応答信号をシミュレートすることが可能な任意の関数推定器を備えてもよく、読み取りパラメータは、質問信号の送信に関連する送信パラメータ、又は、RFIDタグからの応答信号の受信に関連する受信パラメータであってもよい。データ拡張プロセッサが浅い学習器である場合、浅い学習は、模擬応答信号を生成するように訓練される。データ拡張プロセッサ及び復号化プロセッサは両方とも、アルゴリズムが訓練データに対する予測を反復的に行い、アルゴリズムが許容可能なレベルの性能を達成するまで、教師によって修正される教師あり学習を使用して訓練され得る。いくつかの実施形態によれば、データ拡張プロセッサを訓練するために使用される訓練データセットは、測定されたテスト応答信号のセットである。本明細書の例示的な例として提供されるいくつかの実施形態によれば、復号化プロセッサを訓練するために使用される訓練データセットは、各タグIDの画像アレイ群を含むが、システムは、画像アレイに変換することなく任意のアレイデータに対して訓練され得る。
【0015】
図2は、いくつかの実施形態による、RFIDリーダシステム200の構成要素を示す概念ブロック図である。全ての構成要素が全てのシステム状態で使用される訳ではないことに留意されたい。図3A図3Dは、図2に示す構成要素が復号化プロセッサを訓練するためにどのように使用されるかを示す。図13は、訓練が完了した後にRFIDタグを復号するために、図2に示す構成要素がどのように使用されるかを示す。
【0016】
図3Aは、データ拡張プロセッサ230を訓練するために使用されるテスト応答信号の収集中のシステム200の構成要素を示す。テスト応答信号の収集中、送信機電子機器210は、送信アンテナ201を介して、質問信号をRFIDタグに送信する。質問信号は、周波数帯域、例えば、57~64GHzの帯域を掃引する連続波(CW)信号であってもよい。いくつかの実施形態では、質問信号は、代わりに周波数変調された連続波(FMCW)であってもよい。
【0017】
受信アンテナ202は、質問信号に応答して、RFIDタグ299から後方散乱信号を受信する。受信機電子機器220は、受信信号を処理し、本明細書でより詳細に論じられるように、I及びQ信号、又は大きさ及び位相信号などの成分信号を提供する。アンテナ201、202は、例えば、モノスタティックホーンアンテナ、バイスタティックアンテナ、又は多入力多出力(MIMO)アンテナ構成に配置されたアンテナのアレイなどの任意の種類の好適なアンテナを備えてもよい。
【0018】
前述したように、テスト応答信号は、読み取りパラメータのいくつかの変化に対して収集されてもよい。一例として、RFIDタグ299に対するリーダ200の位置は、図2図3Dの実施形態で変化する読み取りパラメータである。システム200は、RFIDタグ及びリーダの相対的な移動を制御し、及び/又はTx、Rxアンテナ選択を制御するコントローラ260を含む。いくつかの実施形態によれば、移動コントローラ260は、1つ以上のテスト位置への、RFIDタグ299とリーダシステム200との間の相対的移動を提供する。例えば、様々な実施形態では、コントローラ260は、RFIDタグ299をリーダ200に対して移動させてもよく、又はコントローラ260は、リーダ200をRFIDタグ200に対して移動させてもよく、又はコントローラ260は、リーダ200及びRFIDタグ299の両方を互いに対して移動させることができる。
【0019】
別の例として、いくつかの実施形態では、Txアンテナ201及びRxアンテナ202は、多入力多出力(MIMO)アンテナアレイ内に配置された複数のアンテナを含んでもよい。このシナリオでは、コントローラ260は、質問信号の送信に使用するために異なるTxアンテナを選択することができ、及び/又は、異なるRFIDタグ299からの後方散乱応答信号の受信に使用するために異なるRxアンテナを選択することができる。Tx及びRxアンテナのMIMOアレイから異なるTx及び/又はRxを選択することにより、リーダ200とRFIDタグとの間の相対位置が効果的に変化する。
【0020】
いくつかの実施形態は、MIMOアレイにおけるTx及び/又はRxアンテナの選択に加えて、RFIDタグ299及び/又はリーダ200の物理的移動の両方を含む。そのようなシナリオでは、MIMOアレイからTx及び/又はRxアンテナを選択することにより、テスト応答信号を収集するために必要とされるRFIDタグ299及び/又はリーダ200の物理的移動の数、又は物理的移動の範囲の低減をもたらし得る。
【0021】
図3Bは、訓練中のデータ拡張プロセッサ230を示す。データ拡張プロセッサ230の訓練段階中、測定されたテスト応答信号は、データ拡張プロセッサ230を訓練して、RFIDタグ299とリーダ200の追加の模擬相対位置に対する追加の模擬応答信号を生成するために使用される。図3Bに示すように、データ拡張プロセッサは、タグID、周波数、及びテスト応答信号の位置を与えられるとき、テスト応答信号の成分、例えば、I及びQ又は大きさ及び位相を出力するように訓練される。図3A及び3Bに示される訓練プロセスの後は、データ拡張プロセッサ230は、RFIDタグ299及びリーダ200の模擬位置について模擬応答信号を出力するように訓練されている。
【0022】
図3Cは、深層ネットワーク学習器として実施され得る復号化プロセッサ250を訓練するために使用される訓練データの形成を示す。訓練されたデータ拡張プロセッサ230は、タグID、周波数、及び模擬位置を与えられるとき、模擬応答信号を出力する。データ拡張プロセッサ230によって生成されたテスト応答信号及び模擬応答信号の両方は、アレイ生成器240に入力される。前述のように、各テスト応答信号及び各模擬応答信号は、2つの成分を含んでもよい。例えば、いくつかの実施態様では、テスト応答信号及び模擬応答信号の成分は、周波数に対する大きさ信号及び位相信号である。いくつかの実施態様では、テスト応答信号及び模擬応答信号の成分は、周波数に対する同相(I)信号及び直交(Q)信号である。アレイ生成器240は、テスト応答信号及び模擬応答信号の成分信号(大きさ及び位相又はI及びQ)のデータ点値を、多次元アレイに配置する。アレイ生成器240はまた、各多次元アレイを、portable graphics network(png)フォーマット、タグ付き画像ファイルフォーマット(tiff)、又は別の好適な画像フォーマットなどの画像フォーマットに変換してもよい。テスト応答信号及び模擬応答信号の値から形成された画像アレイの群245は、復号化プロセッサ250を訓練して、RFIDタグ299のIDを復号するために使用される。図3Cは、RFIDタグ1、2、3及びyに対応するアレイの4つの群245-1、245-2、245-3、245-yを示す。各群245-1、245-2、245-3、245-yは、特定のRFIDタグのためのテスト応答信号から形成される画像アレイと、模擬応答信号から形成される画像アレイとを含む。
【0023】
図3Dは、復号化プロセッサ訓練段階中のシステム200の構成を示すブロック図である。テスト応答信号及び模擬応答信号の両方から形成された画像アレイを含むアレイ245の群は、復号化プロセッサ250を訓練して、RFIDタグからIDを復号する。
【0024】
図4は、様々な読み取りパラメータがRFIDタグの位置であるときの、訓練段階中のシステム200の動作を示すフロー図である。データ拡張訓練段階(図4のフロー図のブロック405~415)の間、テスト応答信号は、各テスト位置について、1つ以上のテスト位置から質問信号を送信405し、RFIDタグから後方散乱したテスト応答を受信410することによって、テスト応答信号が取得される。取得したテスト信号を使用して、データ拡張プロセッサを訓練415して、模擬応答信号データを提供する。
【0025】
深層学習復号化プロセッサは、訓練及び検証のために大量のデータを必要とする。質問信号の多くの異なる位置からテスト応答信号を測定することは時間消費プロセスであり得るため、得られるテスト応答信号の数は限定される。データ拡張プロセッサは、一旦適切に訓練されると、多くの模擬位置から大量の模擬応答信号を迅速に生成することができる420。データ拡張プロセッサは、例えば、約1mmの位置分解能に応答信号をシミュレートすることができる。拡張データプロセッサからの模擬応答信号及びテスト応答信号は、訓練の次の段階で、深層学習ネットワークを訓練するために使用することができる。前述のように、テスト応答信号及び模擬応答信号は、復号化プロセッサを訓練するために使用される2D画像アレイに変換することができる。
【0026】
復号化プロセッサ訓練段階の間(図4のフロー図のブロック425)、復号化プロセッサは、RFIDタグのIDを復号するように訓練される。復号化プロセッサ、例えば、深層学習器は、テスト応答信号及び模擬応答信号を使用して訓練425される。本明細書で論じられるように、テスト及び模擬応答信号は、復号化プロセッサを訓練するために使用される前に、画像形式の2Dアレイに変換されてもよい。
【0027】
図4のフロー図の検証段階(ブロック430~445は、復号化プロセッサ訓練段階の後に実施されてもよい。リーダは、検証質問信号を送信し、RFIDタグから後方散乱検証応答信号を受信する。復号化プロセッサは、検証応答信号内に存在するタグIDを復号する。教師は、タグIDが正しいか不正確であるかを判定する。不正確な場合、再訓練が行われる。再訓練は、復号化プロセッサを再訓練するために検証応答信号を使用することを含むことができる。代替的に又は追加的に、再訓練は、検証応答信号を使用してデータ拡張プロセッサを再訓練して、追加の模擬応答信号を生成することを含むことができる。次いで、復号器は、追加の模擬応答信号及び/又は検証応答信号を使用して再訓練される。
【0028】
復号化プロセッサを訓練する前に、テスト応答信号及び模擬応答信号は、テスト及び模擬応答信号のそれぞれの値を多次元アレイに配列するアレイ生成器(図2の240)に提供されてもよい。復号化プロセッサは、テスト応答信号及び模擬応答信号のために作成されたアレイを使用して訓練される。図5A図5B及び図6は、テスト信号及び応答信号からのアレイの作成を示す。この実施例は、2つのテスト信号が取得され、x個の模擬信号が生成され、各信号にm個のデータ点が存在すると想定する。
【0029】
図5Aは、第1及び第2のテスト信号のI及びQ成分を概念的に示す。図5Aでは、グラフ511は、第1のテスト位置から送信された質問信号に応答する第1のテスト応答信号のI対周波数成分であり、グラフ512は、第1のテスト位置から送信された質問信号に応答する第1のテスト応答信号のQ対周波数成分であり、グラフ521は、第2のテスト位置から送信された質問信号に応答する第2のテスト応答信号のI対周波数成分であり、グラフ522は、第2のテスト位置から送信された質問信号に応答する第2のテスト応答信号のQ対周波数成分である。
【0030】
グラフ511は、それぞれ3つの周波数f、f、fで取られた第1のテスト応答信号のI成分の3つのデータ点値n、n、nを示している(他のデータ点値も取得されるが、図示されていない)。グラフ512は、それぞれ3つの周波数f、f、fで取られた第1のテスト応答信号のQ成分の3つのデータ点値p、p、pを示している(他のデータ点値も取得されるが、図示されていない)。同様に、グラフ521は、それぞれ3つの周波数f、f、fで取られた第2のテスト応答信号のI成分の3つのデータ点値n、n、nを示している(他のデータ点値も得られるが、図示されていない)。グラフ522は、3つの周波数f、f、fで取られた第2のテスト応答信号のQ成分の3つのデータ点値p、p、pをそれぞれ示す(他のデータ点値も得られるが、図示されていない)。グラフ511、521は、それぞれ取得され得る周波数f、f、...fで取られた多くのデータ点値n、nを含み、グラフ512、522は多くのデータ点p、p、...pを含むことが理解されるであろう。
【0031】
図6では、データ拡張プロセッサ230は、質問信号のx個の模擬位置にそれぞれ対応するx個の模擬信号のためのI及びQ成分をシミュレートする。
【0032】
図5B及び図6に示されるように、テスト応答信号及び模擬応答信号のI及びQ信号成分はアレイ生成器240に入力され、これは各応答信号のI及びQ成分に対するデータ点値n、n、...及びp、p、...を2次元アレイ540、550、640、650、660に編成する。図5Bは、I及びQ信号成分511及び512から作成されたアレイ540、並びにI及びQ信号成分521及び522から作成されたアレイ550を示す。図6は、第1の模擬信号のI及びQ信号成分から生成されたアレイ640、第2の模擬信号のI信号成分及びQ信号成分から生成されたアレイ650、並びに第xの模擬信号のI及びQ信号成分から作成されたアレイ660を示す。アレイを作成するために、I及びQ成分値は、例えば0~255のスケールに正規化されてもよい。いくつかのシナリオでは、I及びQ成分信号のデータ点は、図5B及び6に示すように、I値(n、n、n、...n)及びQ値(p、p、p、......p)が、アレイ内で交互になる(n、p、n、p、n、p...n、p)ようにインタレースされてもよい。いくつかの実施形態では、各I又はQ成分信号に対するデータ点の数mは、約40,000に等しくてもよく、アレイ540、550、640、650、660は、200×200アレイとして配列されてもよい。
【0033】
図5B及び図6に示されるように、アレイ生成器は、アレイ540、550、640、650、660を画像アレイ541、551、641、651、661に変換することができ、画像アレイは、例えば階調又はRGBアレイであってもよい。画像アレイは、pngフォーマット若しくはtiffフォーマットなどの任意のグラフィックファイルフォーマットであってもよく、及び/又はquick response(QR)コードのサイズを有してもよい。I及びQ成分アレイ540、550、640、650、660の画像アレイ541、551、641、651、661への変換は、復号化プロセッサとして画像認識深層学習器の使用を容易にする。
【0034】
図7は、200×200階調アレイから生成された画像の一例を示す。1mmの位置分解能を有する各RFIDタグについて、複数のテスト及び模擬位置のそれぞれに対して画像アレイを作成することができる。画像アレイは、復号化プロセッサの深層学習器ネットワークを訓練するために、訓練段階の次の部分で使用される。深層学習器は、典型的には、多くの画像及び訓練するGPUを有する強力なマシンを必要とする。訓練プロセスは、GoogleNet又はAlexNetなどの既に訓練された画像認識深層ネットワークを選択し、取得されたデータに適応するために深層ネットワークの初期層を修正し、出力層の最後の段階を、RFIDタグ復号のための所望の結果に対応するように適合させることによって合理化され得る。
【0035】
一例として、全ての事前訓練されたネットワークは、入力及び出力用の自身の構造を有する。GoogleNet及びAlexNet用の入力は、2242243画素のサイズを有する真のカラー画像である。アレイ生成器によって生成されるアレイは2002003であってもよく、その結果、事前訓練された深層学習器ネットワークの第1の層は、開示される実施形態による、2Dアレイ生成器によって生成されるアレイの入力画像フォーマットに一致するように調整することができる。
【0036】
図8は、x個の異なる位置における特定のタグであるタグ1の応答を特徴付ける画像アレイ541、551、641、651、661の群901を示す。アレイ541、551、641、651、661のこの群901は、復号化プロセッサ250を訓練してタグ1のIDを復号するために使用される。図9は、タグ1、タグ2からタグyの応答を特徴付けるアレイの群901、902、903から904を示す。各群901、902、903から904は、x個の異なるテスト位置及び模擬位置における関連タグのアレイを含む。アレイの群901、902、903から904は、復号化プロセッサ250を訓練して、タグ1、タグ2...~タグyのIDを復号するために使用される。
【0037】
機械学習のためのアルゴリズムを選択及び最適化するための多くの技術が存在し、これらは当業者には既知である。より大きい訓練セットは、通常、新しいデータをよりよく一般化するモデルを提供する。最良の結果を選択するために考慮されるべきパラメータは、訓練の速度、メモリ使用、予測の精度、及び解釈可能性(すなわちアルゴリズムの背後の理由がどの程度容易に理解可能であるか)である。1つの方法は、利用可能な全ての分類の結果を比較すること、初期結果を取得すること、及び良好な精度/曲線下面積(AUC)で初期結果を詳細に調整することを含む教師あり訓練法である。ここでのデータ精度は、検証データにおける正確な一致の割合として定義される。検証のために使用されるデータは、訓練に使用されない。例えば、訓練データの約70パーセントを訓練に使用することができ、約20パーセントの偏りのないデータを検証/確認のために、そしてテストのために約10パーセントを使用してもよい。曲線下面積とは、輻輳(ROC)曲線の領域下領域によって測定される精度を指す。ROC曲線は偽陽性率(FPR)に対して真陽性率(TPR)でプロットされ、ここでTPRは図10に示すようにy軸上にあり、FPRはx軸上にあり、
【0038】
【数1】
【0039】
である。
【0040】
いくつかのアルゴリズムを、いくつか例を挙げれば、細かい木、中程度の木、粗い木、線形判別、2次、細かいK最近傍(KNN)、中程度のKNN、粗いKNN、重み付きKNN、ブースティング木、バギング決定木、部分空間、部分空間KNNを含むRFIDタグ復号について、いくつかのアルゴリズムをテストした。図11は、テストしたアルゴリズムのうちのいくつかについて、81個のRFIDタグサンプルセットの精度及び典型的なAUCを示すグラフである。
【0041】
この特定の実験について、精度及び曲線下面積(AUC)を考慮すると、RFIDタグ復号化の最良のアルゴリズムは、密ガウスサポートベクターマシン(SVM)、細かい及び重み付きKNN、バギング決定木、及び部分空間KNNアンサンブル、又は同様のものであることが見出された。96%の検出速度は、部分空間KNNに達した。
【0042】
図12は、重ねられた精度及び訓練時間のグラフを示す。システムに新しいタグを追加することは、ネットワークの更なる訓練を必要とする。したがって、新しいタグを追加する柔軟性が所望される場合には、バギング決定木又はコサインKNNなどの訓練に長い時間を要するアルゴリズムが最適下限である。細かいKNNは、訓練時間及び精度の両方において非常に良好な歩み寄りを示し、また、精度及びその性能は、開示された出願に対して非常に満足できる。
【0043】
図13は、復号化プロセッサが訓練された後に生じる、RFIDタグ復号化段階中のシステム200を示すブロック図である。図14は、訓練された復号器を使用してRFIDタグのIDを復号するプロセスを示す、対応するフロー図である。システム200は、RFIDタグに質問信号を送信し1410、RFIDタグ299から応答信号を受信する1420。応答信号は、応答信号を特徴付けるアレイを生成するアレイ生成器240に提供される1430。前述のように、いくつかの実施形態では、アレイは、階調アレイなどの2D画像アレイであってもよい。アレイは、本明細書で論じられるように、I及びQ信号成分からの、インタレースされたデータ点の200×200アレイを含み得る。アレイは、特定のRFIDタグのIDに対応するアレイを認識する1440、訓練された復号化プロセッサ250に入力される。復号化プロセッサ250は、その出力でタグIDを提供する。
【0044】
図15は、いくつかの実施形態による、システムを訓練し、RFIDタグのIDを復号するためのプロセスのフロー図である。復号化プロセッサの深層学習ネットワークを訓練するために、異なるRFIDタグが調製される1510。同じリーダが全てのRFIDタグを読み取る1520ために使用される場合、有用であり得る。異なるタグリーダ及び/又はタグ移動コントローラ(例えば、線形レール又はMIMO上の移動)が存在する場合、これらのタグリーダ及び/又は移動コントローラは、同様の結果を生成するように較正又は統合され得る。
【0045】
前述のように、質問信号は、対象の周波数帯域、例えば、57~64GHzをカバーするCW信号又はFMCW信号であってもよい。背景雑音のI及びQ(又は大きさ及び位相)成分は、RFIDタグの非存在下質問信号を送信し、後方散乱雑音信号を読み取ることによって得ることができる。
【0046】
RFIDタグからのテスト応答信号が得られ、背景雑音は、テスト応答信号のI及びQ(又は大きさ及び位相)成分から減算される1530。データ拡張プロセッサの浅いネットワークは、タグID、周波数、及び位置が入力として提供され、また模擬応答信号の散乱パラメータ値(例えば、I及びQ(又は大きさ及び位相)の値)成分が出力として提供される教師あり学習によって、訓練されることができる1540。データ拡張プロセッサによって使用されるアルゴリズムは、結果の精度、訓練時間、及びカバーできる領域を考慮することによって選択することができる。
【0047】
訓練されたデータ拡張プロセッサは、より多くのデータを提供し1550、テストデータ間のデータ取得におけるギャップをカバーすることができる。例えば、テストデータは、数センチメートルの位置分解能を提供することができる。模擬データは、位置分解能を約1ミリメートルまで増加させることができる。拡張されたデータ(模擬応答信号)を備えたRFIDタグの場合、RFIDタグとリーダの多くの相対位置に対してI及びQ信号成分が存在する場合がある。
【0048】
I及びQ成分信号のデータ点は、インタレースされてもよく、次いで、2Dアレイに配置されてもよい1560。アレイの寸法は、周波数走査の解像度に依存する。データは、例えば、0~255の範囲のスケールに対応して正規化することができ、次いで、例えば、portable network graphic(png)又はタグ付き画像ファイルフォーマット(tiff)などの任意のグラフィックファイルフォーマットの階調画像に配置されてもよい。事前訓練された深層学習器に色画像が必要とされる場合、この画像はまた、階調ファイルの2つの追加のコピーを生成することによってR、G、及びB成分について複製することもできる。これらの3つのファイルは、R、G、及びB成分として割り当てることができる。
【0049】
深層学習ネットワークの訓練1570は時間がかかり、事前訓練を受けたネットワークの使用は訓練時間を短縮することができる。事前訓練されたネットワークの第1の入力層は、例えば、アレイ生成器によって生成された画像のサイズ及び/又はフォーマットに調整するようにカスタマイズされてもよい。最終層(通常、パターン認識器)は、修正されてもよい。既に訓練されたネットワークが、いくつかの既知の入力層及び出力層を有していてもよい。これらの層は、本明細書に開示される実施形態に適合するように調整されてもよい。例えば、深層学習器の入力は、2002003画像を受け入れるように修正されてもよく、出力は、RFIDタグのタグIDを認識するように修正されてもよい。一例として、GoogleNet及びAlexNetへの入力は、appleの2242243のトゥルーカラー画像であってもよく、出力は「Apple」である。これらの深層学習器は、開示される実施形態のフォーマットに従ってRGBファイルを受け入れ、タグIDを出力するように修正することができる。
【0050】
深層学習器ネットワーク訓練が完了した後、RFIDタグ質問器の質問信号の供給源に対して異なる位置に配置されたRFIDタグは、正しく復号されることができる。システムは、質問信号を送信し、RFIDタグ応答信号を受信することにより、RFIDタグに質問する。応答信号のI及びQ成分のデータ点は、QR形状の階調画像アレイを作製するためにインタレースされる。このアレイは、復号用の深層学習器ネットワークに提示される。誤って復号された場合、復号化プロセッサは、誤って復号された画像ファイル及び真のタグIDで再訓練されて、後からこの認識誤りを訂正することができる。
【0051】
上記で論じされた実施形態の様々な修正及び変更は、当業者には明らかであり、本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。読者は、1つの開示された実施形態の特徴が、別段の指示がない限り、全ての他の開示された実施形態にも適用され得ると想定する必要がある。本明細書で参照される全ての米国特許、特許出願、特許出願公開、並びに他の特許及び非特許文献は、それらが前述の開示と矛盾しない範囲で、参照により組み込まれることも理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15