(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】トンネル掘削機および掘削ツール交換方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/087 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E21D9/087 C
(21)【出願番号】P 2020211809
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】花岡 泰治
(72)【発明者】
【氏名】海道 正樹
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-202593(JP,A)
【文献】特開2001-055891(JP,A)
【文献】特開平07-259487(JP,A)
【文献】特開2002-266592(JP,A)
【文献】特開平09-303088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な掘削ツールが取り付けられ、前記掘削ツールの着脱作業時に前記掘削ツールを旋回させて後方に向けることが可能なカッタスポークを含むカッタヘッドと、
チャンバを挟んで前記カッタヘッドの後方に配置された隔壁と、
前記隔壁に設けられ、前記掘削ツールの前記着脱作業が内側で行われる作業室と、
前記作業室と前記カッタスポークとを前後方向に相対移動させることによって、前記作業室と旋回後の前記カッタスポークの側部とを当接させる移動機構と、
前記作業室に設けられ、前記カッタスポークの外周側の端面に前記カッタヘッドの半径方向の外周側から当接して、前記外周側の端面と前記作業室の内面との間の隙間を遮断するシール部材と、を備える、トンネル掘削機。
【請求項2】
前記シール部材は、内部に封入された流体の量を調整することにより拡大縮小が可能な流体バッグであり、
前記流体バッグは、前記外周側の端面と当接するように拡大することにより、前記隙間を遮断するように構成されている、請求項1に記載のトンネル掘削機。
【請求項3】
前記作業室は、前記カッタヘッドの半径方向に延びる一対の側部当接壁と、前記一対の側部当接壁の内周側の端部を接続する底部当接壁とを含み、
前記一対の側部当接壁および前記底部当接壁は、前記カッタスポークに当接することにより、前記外周側の端面よりも内周側において、前記作業室の内側と前記作業室の外側とを遮断するように構成され、
前記カッタスポークの前記側部は、前記一対の側部当接壁および前記底部当接壁が面接触により当接する当接部を含む、請求項1または2に記載のトンネル掘削機。
【請求項4】
前記作業室は、前記カッタスポークの前記側部と当接した状態で、前記カッタスポークの前記外周側の端面に略面一で接続される接続面を有し、
前記シール部材は、前記外周側の端面および前記接続面と当接するように拡大することにより、前記隙間を遮断するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
【請求項5】
前記カッタスポークは、前記カッタヘッドの半径方向に伸縮可能に構成されており、
前記作業室の最外周の内面および前記シール部材は、前記カッタスポークを縮めた状態で前記移動機構により前記作業室を前記カッタスポークに対して相対移動させることによって、前記カッタスポークに取り付けられた最外周の前記掘削ツールよりも外周側を通過するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
【請求項6】
前記カッタスポークは、前記カッタヘッドの本体部に固定される固定部材と、前記掘削ツールが取り付けられ、前記固定部材に対して移動する移動部材と、を有し、
前記固定部材および前記移動部材の一方には、係合部が設けられ、他方には、前記係合部が係合して前記移動部材の移動をガイドするガイド溝部が設けられ、
前記ガイド溝部は、
前記移動部材の移動をガイドして前記カッタスポークを伸縮させる伸縮ガイド溝部と、
前記カッタヘッドの半径方向において、前記伸縮ガイド溝部の内周側に接続され、前記カッタスポークが縮むことにより前記移動部材が内周側に位置する状態で、前記移動部材の移動をガイドして前記カッタスポークを旋回させる旋回ガイド溝部と、を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
【請求項7】
カッタスポークに取り付けられた着脱可能な掘削ツールを、前記掘削ツールの着脱作業時に旋回させて後方に向ける工程と、
隔壁に設けられ、内側で前記掘削ツールの前記着脱作業が行われる作業室を、前記カッタスポークに対して前後方向に相対移動させることによって、前記作業室と旋回後の前記カッタスポークの側部とを当接させる工程と、
前記作業室に設けられたシール部材を、前記カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、前記外周側の端面と前記作業室の内面との間の隙間を遮断する工程と、を備える、掘削ツール交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機および掘削ツール交換方法に関し、特に、カッタスポークの掘削ツールを交換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カッタスポークの掘削ツールを交換可能なシールド掘進機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、着脱可能なカッタビットが取り付けられたカッタスポークと、カッタビットの着脱作業が内側で行われる中空のスライドボックス(作業室)とを備えたシールド掘進機が開示されている。スライドボックスは、前後方向に貫通する貫通穴を有しており、貫通穴の後方側において大気室に連通している。貫通穴の前方側は、チャンバから内部に土砂が入り込まないように蓋部材により塞がれている。
【0004】
カッタスポークは、半径方向に延びるカッタスポークの中心軸線回りに旋回可能であり、交換対象のカッタビットを後方に向けることが可能に構成されている。スライドボックスは、前後方向に移動可能なように隔壁に設けられており、交換対象のカッタビットを後方に向けた状態で、前方に移動して後方側から前方端部をカッタスポークに圧接するように構成されている。その結果、スライドボックスは、内部に交換対象のカッタビットを配置した状態で、チャンバから内部に土砂が入り込まないように、水密性を確保している。なお、カッタビットは、カッタスポークの外周側に位置する程、摩耗しやすいため、交換対象のカッタビットには、最外周のカッタビットが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1には明記されてはいないが、一般的に、最外周のカッタビットは、カッタスポークの外周側の端面よりも外周側に突出した状態でカッタスポークに取り付けられる。上記特許文献1のシールド掘進機において、最外周のカッタビットがカッタスポークの外周側の端面よりも外周側に突出している場合、スライドボックス(作業室)を前方に移動させる際に、スライドボックスと最外周のカッタビットとの干渉を回避するために、スライドボックスの外周側部分を、突出する最外周のカッタビットよりも外周側を通過させる必要がある。しかしながら、この場合、スライドボックスの前進が完了した際(スライドボックスをカッタスポークに圧接した際)に、カッタスポークの外周側の端面と、スライドボックスの外周側部分の内面との間に、隙間が生じてしまい、スライドボックスの水密性を確実に確保することができないという問題点がある。また、カッタスポークの外周側の端面は、掘削に伴い摩耗しやすいため、カッタスポークの外周側の端面と、スライドボックスの外周側部分の内面との間に、経時的に隙間が生じてしまい、この場合においても、スライドボックスの水密性を確実に確保することができないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、作業室の水密性を確実に確保することが可能なトンネル掘削機および掘削ツール交換方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明のトンネル掘削機は、着脱可能な掘削ツールが取り付けられ、掘削ツールの着脱作業時に掘削ツールを旋回させて後方に向けることが可能なカッタスポークを含むカッタヘッドと、チャンバを挟んでカッタヘッドの後方に配置された隔壁と、隔壁に設けられ、掘削ツールの着脱作業が内側で行われる作業室と、作業室とカッタスポークとを前後方向に相対移動させることによって、作業室と旋回後のカッタスポークの側部とを当接させる移動機構と、作業室に設けられ、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接して、外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断するシール部材と、を備える。
【0009】
この発明のトンネル掘削機では、上記のように、作業室に配置され、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接して、外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断するシール部材を設ける。これによって、カッタスポークの外周側の端面よりも外周側に突出する最外周の掘削ツールと、作業室とが干渉しないように、カッタスポークと作業室とを前後方向に相対移動させた場合に、シール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、カッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断して密着させることができる。また、カッタスポークの外周側の端面が掘削に伴い摩耗した場合においても、シール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、カッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断して密着させることができる。以上のように、シール部材により隙間を遮断して密着させることができるので、作業室の水密性を確実に確保することができる。
【0010】
上記トンネル掘削機において、好ましくは、シール部材は、内部に封入された流体の量を調整することにより拡大縮小が可能な流体バッグであり、流体バッグは、外周側の端面と当接するように拡大することにより、隙間を遮断するように構成されている。このように構成すれば、カッタスポークの外周側の端面よりも外周側に突出する最外周の掘削ツールと干渉することなく作業室を移動させることが可能であり、カッタスポークの外周側の端面が掘削に伴い摩耗した場合でも、流体バッグの内部に封入された流体の量を調整することにより、摩耗したカッタスポークの外周側の端面の形状に合わせて流体バッグを拡大させることができるので、より密着性を向上させることができる。その結果、作業室の水密性をより確実に確保することができる。
【0011】
上記トンネル掘削機において、好ましくは、作業室は、カッタヘッドの半径方向に延びる一対の側部当接壁と、一対の側部当接壁の内周側の端部を接続する底部当接壁とを含み、一対の側部当接壁および底部当接壁は、カッタスポークに当接することにより、外周側の端面よりも内周側において、作業室の内側と作業室の外側とを遮断するように構成され、カッタスポークの側部は、一対の側部当接壁および底部当接壁が面接触により当接する当接部を含む。このように構成すれば、一対の側部当接壁および底部当接壁を面接触で当接部に当接させることにより、外周側の端面よりも内周側においても、作業室の内側と作業室の外側とを遮断して、水密性を確実に確保することができる。
【0012】
上記トンネル掘削機において、好ましくは、作業室は、カッタスポークの側部と当接した際に、カッタスポークの外周側の端面に略面一で接続される接続面を有し、シール部材は、外周側の端面および接続面と当接するように拡大することにより、隙間を遮断するように構成されている。このように構成すれば、カッタスポークの外周側の端面に略面一で接続される接続面により、カッタスポークの外周側の端面と作業室との境界に段差が生じることを抑制することができる。その結果、シール部材をカッタスポークの外周側の端面に対してより一層沿った状態で配置することができるので、作業室の水密性をより確実に確保することができる。
【0013】
上記トンネル掘削機において、好ましくは、カッタスポークは、カッタヘッドの半径方向に伸縮可能に構成されており、作業室の最外周の内面およびシール部材は、カッタスポークを縮めた状態で移動機構により作業室をカッタスポークに対して相対移動させることによって、カッタスポークに取り付けられた最外周の掘削ツールよりも外周側を通過するように構成されている。このように構成すれば、作業室をカッタスポークに対して相対移動させる際に、作業室の最外周の内面およびシール部材を、カッタスポークに取り付けられた最外周の掘削ツールよりも外周側を通過させることができる。その結果、作業室の最外周の内面およびシール部材と、最外周の掘削ツールとが干渉することを確実に回避することができる。
【0014】
上記トンネル掘削機において、好ましくは、カッタスポークは、カッタヘッドの本体部に固定される固定部材と、掘削ツールが取り付けられ、固定部材に対して移動する移動部材と、を有し、固定部材および移動部材の一方には、係合部が設けられ、他方には、係合部が係合して移動部材の移動をガイドするガイド溝部が設けられ、ガイド溝部は、移動部材の移動をガイドしてカッタスポークを伸縮させる伸縮ガイド溝部と、カッタヘッドの半径方向において、伸縮ガイド溝部の内周側に接続され、カッタスポークが縮むことにより移動部材が内周側に位置する状態で、移動部材の移動をガイドしてカッタスポークを旋回させる旋回ガイド溝部と、を有する。このように構成すれば、移動部材の移動をガイドしてカッタスポークを伸縮させる伸縮ガイド溝部に係合部を係合させることより、掘削時においてカッタスポークが土砂から掘削力および外力を受けることによって、または、伸縮時においてカッタスポークが土砂から外力を受けることによって、カッタスポークが意図せずに旋回してしまうことを防止することができる。また、移動部材の移動をガイドしてカッタスポークを旋回させる旋回ガイド溝部に係合させることにより、旋回時において、土砂から外力を受けてカッタスポークが意図せずに伸縮してしまうことを防止することができる。また、旋回ガイド溝部により、カッタスポークが縮むことによって移動部材が内周側に位置する状態で、カッタスポークを旋回させることができる。
【0015】
この発明の掘削ツール交換方法は、カッタスポークに取り付けられた着脱可能な掘削ツールを、掘削ツールの着脱作業時に旋回させて後方に向ける工程と、隔壁に設けられ、内側で掘削ツールの着脱作業が行われる作業室を、カッタスポークに対して前後方向に相対移動させることによって、作業室と旋回後のカッタスポークの側部とを当接させる工程と、作業室に設けられたシール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断する工程と、を備える。
【0016】
この発明の掘削ツール交換方法では、上記のように、作業室に配置されたシール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断する工程を設ける。これによって、カッタスポークの外周側の端面よりも外周側に突出する最外周の掘削ツールと、作業室とが干渉しないように、カッタスポークに対して作業室を前後方向に相対移動させた場合に、シール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、カッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断して密着させることができる。また、カッタスポークの外周側の端面が掘削に伴い摩耗した場合においても、シール部材を、カッタスポークの外周側の端面にカッタヘッドの半径方向の外周側から当接させて、カッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断して密着させることができる。以上のように、シール部材により隙間を遮断して密着させることができるので、作業室の水密性を確実に確保することが可能な掘削ツール交換方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、作業室の水密性を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態によるトンネル掘削機を側方から示した断面図である。
【
図2】実施形態によるトンネル掘削機を前方から示した斜視図である。
【
図3】実施形態によるトンネル掘削機のカッタヘッドの移動式のカッタスポークの分解斜視図である。
【
図4】実施形態によるトンネル掘削機のカッタヘッドの移動式のカッタスポークの斜視図であり、
図3に示した各部の組立図である。
【
図5】実施形態によるトンネル掘削機のカッタヘッドの移動式のカッタスポークの伸縮および旋回について説明するための図である。
【
図6】
図2の92-92線に沿った作業室の断面図である。
【
図7】
図1の90-90線に沿った作業室の矢視図である。
【
図8】
図1の91-91線に沿った作業室の断面図である。
【
図9】実施形態による掘削ツールの交換方法の第1(第10)工程について説明するための図である。
【
図10】実施形態による掘削ツールの交換方法の第2(第9)工程について説明するための図である。
【
図11】実施形態による掘削ツールの交換方法の第3(第8)工程について説明するための図である。
【
図12】実施形態による掘削ツールの交換方法の第4(第7)工程について説明するための図である。
【
図13】実施形態による掘削ツールの交換方法の第5工程について説明するための図である。
【
図14】実施形態による掘削ツールの交換方法の第6工程について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施形態]
図1~
図14を参照して、実施形態によるトンネル掘削機100について説明する。以下では、トンネル掘削機100が、泥土圧式のシールド掘進機である例について説明する。
【0021】
(トンネル掘削機の構成)
図1および
図2に示す本実施形態のトンネル掘削機100は、小~中口径タイプのシールド掘進機である例を示している。カッタヘッド4の後方には、カッタヘッド4を回転可能に支持する中空のセンターシャフトSが設けられている。センターシャフトSは、軸受を介して隔壁3の後方部材により回転支持されている。センターシャフトSは、トンネル掘削機100の中心軸線αに沿って、前後方向(掘進に対して)に延びている。
【0022】
センターシャフトSは、隔壁3に設けられたモータMから軸受の回転輪に設けられたリングギアRGを介して回転力が付与されるように構成されている。その結果、センターシャフトSは、トンネル掘削機100の中心軸線α回りに回転して、カッタヘッド4を回転させるように構成されている。中心軸線αは、トンネルの中心軸線と略一致している。
【0023】
各図では、トンネル掘削機100の前後方向をX方向により示し、X方向のうち後方をX1方向により示し、前方(掘進方向)をX2方向により示している。
【0024】
また、各図では、上下方向をZ方向により示し、Z方向のうち上方をZ1方向により示し、下方をZ2方向により示している。
【0025】
また、各図では、X方向およびZ方向に直交する左右方向をY方向により示し、Y方向のうち前方側からトンネル掘削機100を見た場合の右方向をY1方向により示し、左方向をY2方向により示している。
【0026】
また、各図では、中心軸線αに直交するカッタヘッド4の半径方向をR方向により示し、カッタヘッド4の中心軸線α回りの回転方向をRT1方向により示している。以下では、カッタヘッド4の半径方向を、単に「半径方向」と記載する。また、以下では、カッタヘッド4の半径方向の外周側および内周側を、それぞれ、単に「外周側」および「内周側」と記載する。
【0027】
また、各図では、後述する伸縮式のカッタスポーク4bの中心軸線β回りの旋回方向をRT2方向により示している。なお、中心軸線βは、所定の半径方向(R方向)に延びている。
【0028】
トンネル掘削機100は、筒状の胴体1と、チャンバ(圧力室)2と、隔壁3と、カッタヘッド4と、隔壁3に設けられる作業室5と、作業室5に設けられる流体バッグ6と、作業室5を移動させる移動機構7とを備えている。なお、流体バッグ6は、特許請求の範囲の「シール部材」の一例である。
【0029】
本実施形態のトンネル掘削機100は、掘削ツールTの着脱作業時(交換作業時)に掘削ツールTを旋回させて後方に向けた状態で、移動機構7により、作業室5をカッタスポーク4bに対して前後方向に相対移動させることによって、作業室5と旋回後のカッタスポーク4bの側部(後述する凹部441)とを当接させるように構成されている。なお、作業室5とカッタスポーク4bとは、直接メタルタッチされる。作業室とカッタスポークとを、少なくとも一方に取り付けられた止水材を介して間接的に当接させてもよい。なお、凹部441は、特許請求の範囲の「当接部」の一例である。
【0030】
トンネル掘削機100は、最外周の掘削ツールTと作業室5との干渉を避けるために、カッタスポーク4bを縮めた状態で移動機構7により作業室5をカッタスポーク4bに対して相対移動させて、作業室5の最外周の内面52aおよび流体バッグ6を、カッタスポーク4bに取り付けられた最外周の掘削ツールTよりも外周側を通過させるように構成されている。
【0031】
その結果、カッタスポーク4bに対して作業室5が当接した際に、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと作業室5の最外周の内面52aとの間には、隙間C(
図12参照)が生じる。そこで、トンネル掘削機100は、流体バッグ6を、伸縮式のカッタスポーク4bの外周側の端面44aに外周側から当接させて、外周側の端面44aと作業室5の最外周の内面52aとの間の隙間Cを遮断するように構成されている。これにより、作業室5の水密性が確保される。作業室5の水密性が確保された後、作業室5内に作業者W(
図14参照)が入り込み、掘削ツールTの着脱作業が行われる。
【0032】
以下、トンネル掘削機100の各部の構成について順に説明する。
【0033】
(トンネル掘削機の「胴体」の構成)
図1に示すように、胴体1は、前後方向(X方向)に延びる円筒状に形成されている。胴体1は、チャンバ2、隔壁3および大気室Aなどを覆っている。
【0034】
(トンネル掘削機の「チャンバ」の構成)
チャンバ2は、カッタヘッド4により掘削された土砂が貯留される空間である。チャンバ2は、カッタヘッド4の後方で、かつ、隔壁3の前方に設けられている。チャンバ2内の土砂は、土砂排出機構Dを介して大気室Aに排出される。
【0035】
(トンネル掘削機の「隔壁」の構成)
隔壁3は、チャンバ2を挟んでカッタヘッド4の後方に配置されている。隔壁3は、掘削した土砂が大気室Aに流れ込むことがないように、隔壁3の前方のチャンバ2と、隔壁3の後方の大気室Aとを区画している。
【0036】
隔壁3には、掘削ツールTの着脱作業が内側で行われる中空の作業室5が設けられている。詳細には、隔壁3は、作業室5を設置するための前後方向に貫通する貫通穴3aを含んでいる。貫通穴3aは、設置された作業室5により塞がれている。貫通穴3a(作業室5)は、中心軸線αの直上に配置されている。また、掘削ツールTの着脱作業は、伸縮式のカッタスポーク4bが中心軸線αの直上に延びるようなカッタヘッド4の所定の回転位置で行われる。
【0037】
(トンネル掘削機の「カッタヘッド」の構成)
図1および
図2に示すように、カッタヘッド4は、本体部40と、複数(2つ)の固定式のカッタスポーク4aと、着脱可能な掘削ツールTが取り付けられた複数(2つ)の伸縮式のカッタスポーク4bとを含んでいる。
【0038】
〈カッタヘッドの「本体部」の構成〉
本体部40は、前方側から見てカッタヘッド4の中央に配置されている。本体部40は、後方からセンターシャフトSに支持されており、センターシャフトSを介してモータMから回転力が伝達されて回転駆動されるように構成されている。その結果、本体部40は、固定式のカッタスポーク4aおよび伸縮式のカッタスポーク4bを、中心軸線α回りに回転させるように構成されている。
【0039】
〈カッタヘッドの「カッタスポーク」の構成〉
複数の固定式のカッタスポーク4aおよび複数の伸縮式のカッタスポーク4bは、本体部40から半径方向(R方向)に直線状に延びている。複数の固定式のカッタスポーク4aおよび複数の伸縮式のカッタスポーク4bは、カッタヘッド4の回転方向(RT1方向)において、一定の角度間隔(90度間隔)で交互に配置されている。
【0040】
固定式のカッタスポーク4aには、前方を向く複数の掘削ツールTが取り付けられている。複数の掘削ツールTは、固定式のカッタスポーク4aの長手方向に列状に並ぶように配置されている。なお、固定式のカッタスポーク4aの掘削ツールTは、旋回させて後方に向けることができないため、摩耗したとしても作業室5を用いた着脱作業により交換することはできない。
【0041】
伸縮式のカッタスポーク4bは、掘削作業時において前方を向く複数の掘削ツールTが取り付けられている。複数の掘削ツールTは、伸縮式のカッタスポーク4bの長手方向に列状に並ぶように配置されている。
【0042】
伸縮式のカッタスポーク4bは、半径方向に延びるカッタスポーク4bの中心軸線β回りに旋回して掘削ツールTを旋回させることにより、掘削ツールTを後方に向けることが可能に構成されている。すなわち、伸縮式のカッタスポーク4bは、掘削ツールTの前後方向の向きを変えることが可能である。
【0043】
伸縮式のカッタスポーク4bは、半径方向に伸縮可能に構成されている。すなわち、伸縮式のカッタスポーク4bは、掘削ツールTの半径方向の位置を変えることが可能である。
【0044】
図3および
図4に示すように、伸縮式のカッタスポーク4bは、旋回の駆動源であるロータリーアクチュエータ41と、伸縮の駆動源である伸縮ジャッキ42とを備えている。また、伸縮式のカッタスポーク4bは、本体部40に固定される筒状の固定部材43と、掘削ツールTが取り付けられ、固定部材43に対して移動する移動部材44とを備えている。移動部材44は、伸縮式のカッタスポーク4bの外周側の端面44aを含んでいる。
【0045】
なお、伸縮式のカッタスポーク4bによる掘削作業は、掘削ツールTが前方を向くとともに、カッタスポーク4bが伸びた状態(
図5(A)参照)で行われる。掘削ツールTの着脱作業は、カッタスポーク4bが縮むとともに、掘削ツールTが後方を向いた状態(
図5(C)参照)で行われる。なお、説明の中で、カッタスポーク4bが「伸びた状態」とは、伸縮式のカッタスポーク4bが最も伸びた状態の意味で用いる。また、カッタスポーク4bが「縮んだ状態」とは、伸縮式のカッタスポーク4bが最も縮んだ状態の意味で用いる。
【0046】
〈伸縮式のカッタスポークの「ロータリーアクチュエータ」の構成〉
ロータリーアクチュエータ41は、本体部40の内側に配置されている。ロータリーアクチュエータ41は、伸縮式のカッタスポーク4b(移動部材44)を中心軸線β回りに旋回させる駆動力を発生させるように構成されている。これにより、移動部材44に取り付けられた掘削ツールTの前後方向の向きが変更される。ロータリーアクチュエータ41は、中心軸線β回りの旋回角度を自在に制御可能に構成されている。
【0047】
ロータリーアクチュエータ41は、出力軸41a(
図1参照)を有している。出力軸41aには、旋回を同期させるキー部材41b(
図1参照)を介してスプライン軸41cが設置されている。
【0048】
〈伸縮式のカッタスポークの「伸縮ジャッキ」の構成〉
伸縮ジャッキ42は、本体部40の外側で、かつ、固定部材43および移動部材44の内側に配置されている。伸縮ジャッキ42は、シリンダー42aと、シリンダー42a内に配置され、半径方向(R方向)に移動する半径方向移動部材42bとを含んでいる。
【0049】
シリンダー42aは、固定部材43に固定されている。シリンダー42aには、内部に半径方向に延びる圧力室が設けられている。圧力室は、流体が加圧状態で供給されて、半径方向移動部材42bのピストン部421を移動させる空間である。
【0050】
半径方向移動部材42bは、シリンダー42a内に配置されたピストン部421と、ピストン部421から内周側に突出する内周ロッド部422と、ピストン部421から外周側に突出する外周ロッド部423とを一体的に有している。
【0051】
内周ロッド部422には、スプライン軸41cに接続されるスプライン穴422aが形成されている。内周ロッド部422(半径方向移動部材42b)には、スプライン軸41cを介して、ロータリーアクチュエータ41からの駆動力が伝達される。
【0052】
外周ロッド部423は、固定部材43の外周側の端部から、外周側に突出している。外周ロッド部423は、移動部材44に固定されている。したがって、伸縮ジャッキ42は、半径方向移動部材42bとともに移動部材44を半径方向に移動させて、伸縮式のカッタスポーク4bを伸縮させるように構成されている。
【0053】
〈伸縮式のカッタスポークの「固定部材」の構成〉
固定部材43は、本体部40に対して外側から直接固定されている。固定部材43は、概して、半径方向に延びる貫通穴を有する筒状に形成されている。
【0054】
図3に示すように、移動部材44の内周部には、凸状の係合部44bが設けられている。固定部材43の外周部には、係合部44bが係合する凹状のガイド溝部431が設けられている。ガイド溝部431には、常に、係合部44bが係合している。ガイド溝部431は、移動部材44の移動をガイドするように構成されている。
【0055】
詳細には、
図5に示すように、ガイド溝部431は、半径方向(R方向)に延びる直線状の伸縮ガイド溝部431aと、旋回方向(RT2方向)に延びる円環状の旋回ガイド溝部431bとの2種類の溝部を有している。
【0056】
伸縮ガイド溝部431aは、移動部材44の係合部44bの半径方向への移動をガイドしてカッタスポーク4bを伸縮させるように構成されている。伸縮ガイド溝部431aは、旋回方向(RT2方向)において、180度角度が異なる位置に一対設けられている。同様に、移動部材44の係合部44bは、旋回方向(RT2方向)において、180度角度が異なる位置に一対設けられている。
【0057】
旋回ガイド溝部431bは、カッタヘッド4の半径方向において伸縮ガイド溝部431aの内周側の端部に接続されている。旋回ガイド溝部431bは、カッタスポーク4bが縮むことにより、掘削作業時よりも移動部材44が内周側に位置する状態で、移動部材44の係合部44bの旋回方向(RT2方向)への移動をガイドしてカッタスポーク4bを旋回させるように構成されている。
【0058】
なお、伸縮式のカッタスポーク4b(移動部材44)の外周側の端面44aは、旋回ガイド溝部431bに係合部44bが係合している状態で、半径方向において、作業室5の最外周の内面52aおよび流体バッグ6よりも内周側に配置されている(
図10参照)。
【0059】
〈伸縮式のカッタスポークの「移動部材」の構成〉
図3および
図4に示すように、移動部材44は、半径方向(R方向)の外周側から固定部材43を覆うように配置されている。移動部材44は、概して、半径方向に延びるとともに、内周側に開口を有する中空の円柱状に形成されている。移動部材44は、上記の通り、伸縮式のカッタスポーク4bの外周側の端面44aを含んでいる。
【0060】
移動部材44の内周面には、移動部材44が移動する際において、固定部材43との間の動摩擦を低減する円環状の摺動部材SLが複数(2つ)設置されている。円環状の摺動部材SLは、外周面が移動部材44に直接接触しており、内周面が固定部材43に直接接触している。
【0061】
移動部材44には、複数(5つ)の掘削ツールTが取り付けられている。移動部材44に取り付けられた掘削ツールTのうち、外周側の3つの掘削ツールTは、移動部材44から着脱可能に構成されている。移動部材44の旋回後の後方側部分、および、外周側の3つの掘削ツールTは、着脱作業時において、作業室5(
図14参照)に覆われるように構成されている。
【0062】
なお、最外周の掘削ツールTは、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも外周側に位置している。すなわち、最外周の掘削ツールTは、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも外周側を掘削可能なように、端面44aよりも外周側に突出している(
図10参照)。
【0063】
移動部材44(カッタスポーク4bの側部)は、後述する作業室5の一対の側部当接壁50(
図8参照)および底部当接壁51(
図8参照)が面接触により当接する凹部441を含んでいる。
【0064】
凹部441は、半径方向に延びる直線状の一対の凹み部分441aと、一対の凹み部分441aの内周側の端部を接続する円弧状の凹み部分441bとを有している。
【0065】
直線状の一対の凹み部分441aは、作業室5の一対の側部当接壁50が当接する部分であり、カッタスポーク4bの外周側の端面44aまで延びている。一対の凹み部分441aは、掘削ツールTが後方を向いた状態で、左右方向(Y方向)において、掘削ツールTの両側に配置されている。
【0066】
円弧状の凹み部分441bは、作業室5の底部当接壁51が当接する部分であり、旋回方向(RT2)において約180度の角度範囲に設けられている。
【0067】
(トンネル掘削機の「作業室」の構成)
図1に示す作業室5は、作業者W(
図14参照)が後方側の大気室Aから内部に入り込んで掘削ツールTの着脱作業を行うための中空の空間である。作業室5は、隔壁3に設けられている。詳細には、作業室5は、隔壁3の貫通穴3aに設置されており、移動機構7により、隔壁3の貫通穴3aの内面に沿って前後方向(X方向)に移動可能に構成されている。作業室5は、前後方向に延びる矩形の筒状に形成されている。
【0068】
トンネル掘削機100による掘削作業時において、作業室5の前方端部は、隔壁3の前面と略面一(略同一平面上に位置する)である。そして、掘削ツールTの着脱作業時には、作業室5の前方端部が伸縮式のカッタスポーク4bの側部(凹部441)に当接するように、作業室5は、前方に移動される。
【0069】
図6~
図8に示すように、作業室5は、作業室扉5aと、一対の側部当接壁50と、底部当接壁51と、外周壁52とを備えている。
【0070】
作業室5は、一対の側部当接壁50と、側部当接壁50の下方側の底部当接壁51と、側部当接壁50の上方側の外周壁52とにより、前方側から見て、上記の通り、矩形の筒状に形成されている。
【0071】
〈作業室の「作業室扉」の構成〉
作業室扉5aは、作業室5の内部に配置され、開閉可能(取り外し可能)に構成されている。作業室扉5aは、作業室5内の空間を、作業室扉5aの前方側の前方室53aと、作業室扉5aの後方側の後方室53bとの2つに区画した状態で遮断している。前方室53aは、着脱作業時を除いてチャンバ2(
図1参照)に連通している。後方室53bは、大気室A(
図1参照)に常に連通している。
【0072】
〈作業室の「一対の側部当接壁」および「底部当接壁」の構成〉
一対の側部当接壁50は、左右方向(Y方向)を厚み方向とし、カッタヘッド4の半径方向に延びる一対の壁部である。
【0073】
一対の側部当接壁50の前方端部は、前方から見て上下方向に直線状に延びる細長い平坦面状に形成されている。一対の側部当接壁50の前方端部は、移動機構7により作業室5が前方に移動された際に、面接触によりカッタスポーク4b(移動部材44)の凹部441の一対の凹み部分441aに当接するように構成されている。
【0074】
一対の側部当接壁50の最外周位置には、前方からの切り欠き501が設けられている。切り欠き501は、一対の側部当接壁50がカッタスポーク4bと当接した状態で、伸縮式のカッタスポーク4bの外周側の端面44aに略面一で接続される接続面501aを含んでいる。切り欠き501には、拡大した流体バッグ6が接続面501aに当接した状態で配置される。
【0075】
図10に示すように、半径方向(R方向)において、接続面501aは、「縮んだ状態(掘削ツールTの着脱作業を行う際)におけるカッタスポーク4bの最外周の掘削ツールTの最外周の端部」よりも内周側に配置されている。
【0076】
すなわち、半径方向において、中心軸線αから接続面501aまでの距離L1は、中心軸線αから「縮んだ状態におけるカッタスポーク4bの最外周の掘削ツールTの最外周の端部」までの距離L2よりも小さい(L1<L2)。なお、距離L1は、中心軸線αから「縮んだ状態におけるカッタスポーク4bの外周側の端面44a」までの距離と等しい。
【0077】
図6~
図8に示すように、底部当接壁51は、上下方向を厚み方向とし、左右方向(Y方向)に延びる壁部である。底部当接壁51は、一対の側部当接壁50の内周側(下方側)の端部を接続している。
【0078】
底部当接壁51の前方端部は、平面視で約180度の凹状の円弧状に形成されている。底部当接壁51の前方端部は、移動機構7により前方に移動された際に、面接触によりカッタスポーク4bの凹部441の円弧状の凹み部分441bに当接するように構成されている。
【0079】
一対の側部当接壁50および底部当接壁51は、カッタスポーク4bの凹部441に当接することにより、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも内周側において、作業室5の内側と作業室5の外側とを遮断するように構成されている。これにより、作業室5は、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも内周側において、内部に土砂が流入することがないように遮断される。
【0080】
なお、トンネル掘削機100は、図示しない洗浄機構を備えており、洗浄機構により、移動式のカッタスポーク4bと作業室5との当接箇所を所定のタイミングで洗浄するように構成されている。これにより、トンネル掘削機100は、当接箇所に土砂や礫などが介在して当接箇所における止水性が低下することを抑制できる。
【0081】
〈作業室の「外周壁」の構成〉
外周壁52は、半径方向(R方向)を厚み方向とし、カッタヘッド4の回転方向(RT1方向)に沿って緩やかに湾曲しながら延びる壁部である。
【0082】
外周壁52の内面52a(下面)は、作業室5の内面の中で最も外周側に配置されている。外周壁52には、流体バッグ6を格納するための流体バッグ格納室52bが設けられている。流体バッグ6は、内面52aの開口から内周側(下方側)に露出している。
【0083】
図10に示すように、半径方向において、作業室5の最外周の内面52aは、「縮んだ状態(掘削ツールTの着脱作業を行う際)におけるカッタスポーク4bの最外周の掘削ツールTの最外周の端部」よりも外周側に配置されている。
【0084】
すなわち、半径方向において、中心軸線αから内面52aまでの距離L3は、中心軸線αから「縮んだ状態におけるカッタスポーク4bの最外周の掘削ツールTの最外周の端部」までの距離L2よりも大きい(L3>L2)。
【0085】
したがって、移動機構7により作業室5が前方に移動されてカッタスポーク4bに当接した状態では、外周壁52の内面52aとカッタスポーク4bの外周側の端面44aとの間には、隙間C(
図12参照)が生まれる。
【0086】
(トンネル掘削機の「流体バッグ」の構成)
図6~
図8に示すように、流体バッグ6は、袋状の部材により形成されている。流体バッグ6は、袋状の部材の内部に封入された流体の量を、ポンプ6aを用いて調整することにより拡大縮小が可能に構成されている。流体バッグ6には、流体として、水が封入されている。なお、流体バッグには、水ではなく、油や空気などの他の流体が封入されてもよい。
【0087】
流体バッグ6は、移動機構7により作業室5が前方に移動されてカッタスポーク4bに当接するまでの間において、縮小した状態で保持されるように構成されている。流体バッグ6が縮小している状態では、流体バッグ6は、作業室5の最外周の内面52aから下方に突出することがないように、流体バッグ格納室52b内に全体が格納されている。
【0088】
すなわち、流体バッグ6は、移動機構7により作業室5が前方に移動される際に、最外周の掘削ツールTに干渉することがないように、流体バッグ格納室52b内に全体が格納されている。
【0089】
流体バッグ6は、カッタスポーク4bの外周側の端面44aにカッタヘッド4の半径方向の外周側から当接して、端面44aと作業室5の最外周の内面52aとの間の隙間C(
図12参照)を遮断するように構成されている。
【0090】
詳細には、流体バッグ6は、作業室5がカッタスポーク4bに当接した状態において、拡大して、外周側(上方側)からカッタスポーク4bの外周側の端面44aに徐々に近づくとともに、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと当接することによって、隙間Cを遮断するように構成されている。
【0091】
図7に示すように、流体バッグ6は、左右方向(Y方向)に細長く形成されている。流体バッグ6の左右方向(Y方向)の大きさL10は、一対の側部当接壁50(一対の接続面501a)の間の距離L11よりも大きい(L10>L11)。流体バッグ6の右方向(Y1方向)の端部は、右方向の側部当接壁50(接続面501a)よりも右側に配置されている。また、流体バッグ6の左方向(Y2方向)の端部は、左方向の側部当接壁50(接続面501a)よりも左側に配置されている。
【0092】
したがって、流体バッグ6は、移動機構7により作業室5が前方に移動されてカッタスポーク4bに当接した状態において、平面視で、一対の接続面501aと重なる位置に配置される。そして、流体バッグ6は、カッタスポーク4bの外周側の端面44a、および、作業室5の接続面501aと当接するように拡大することにより、隙間C(
図12参照)を遮断するように構成されている。
【0093】
(トンネル掘削機の「移動機構」の構成)
図1に示す移動機構7は、作業室5をカッタスポーク4bに対して前後方向に相対移動させることによって、作業室5と旋回後のカッタスポーク4bの側部とを当接させるように構成されている。
【0094】
移動機構7は、ロッドの先端が作業室5に固定された複数のジャッキにより構成されている。移動機構7は、ロッドを伸ばすことにより作業室5を前進させるように構成されている。移動機構7は、ロッドを縮めることにより作業室5を後進させるように構成されている。一例ではあるが、移動機構7を構成するジャッキのシリンダーは、図示しない固定ブラケットにより胴体1に固定されている。なお、移動機構のシリンダーは、胴体ではなく隔壁に固定されてもよい。
【0095】
移動機構7は、作業室5内に土砂が浸入することがないように、カッタスポーク4bに対して作業室5を所定の圧力値以上で押し付け続けることにより、カッタスポーク4bと作業室5との当接状態を保持するように構成されている。
【0096】
(掘削ツールの交換方法)
図5および
図9~
図14を参照して、掘削ツールTの交換方法について説明する。すなわち、伸縮式のカッタスポーク4bから摩耗した掘削ツールTを取り外し、新たな掘削ツールTを取り付ける方法について説明する。以下、交換方法の各工程について順に説明する。
【0097】
〈第1工程〉
まず、
図5(A)および
図9に示すように、第1工程において、トンネル掘削機100による掘削作業を行う伸縮式のカッタスポーク4bを伸ばした状態で、カッタヘッド4が回転されて、カッタスポーク4bが中心軸線αの直上に延びる位置に配置される。すなわち、前方から見て、カッタヘッド4が作業室5と重なる所定の回転位置に配置される。なお、カッタスポーク4bの掘削ツールTは、前方を向いている。
【0098】
〈第2工程〉
次に、
図5(B)および
図10に示すように、第2工程において、伸縮式のカッタスポーク4bを伸ばした状態から、カッタスポーク4bが縮められる。すなわち、移動部材44の係合部44bが、固定部材43の伸縮ガイド溝部431aにガイドされて内周側に移動する。その結果、カッタスポーク4bは、係合部44bが伸縮ガイド溝部431aに係合して旋回が規制された状態から、係合部44bが旋回ガイド溝部431bに係合して旋回が可能となる状態に移行する。
【0099】
カッタスポーク4bが縮んだ状態では、交換対象の外周側の3つの掘削ツールTは、上下方向において、作業室5の外周壁52と、作業室5の底部当接壁51との間に配置される。
【0100】
また、カッタスポーク4bが縮んだ状態では、半径方向(R方向)において、中心軸線αから接続面501aまでの距離L1が、中心軸線αから、縮んだ状態におけるカッタスポーク4bの外周側の端面44aまでの距離と等しくなる。
【0101】
また、カッタスポーク4bが縮んだ状態では、半径方向において、中心軸線αから作業室5の最外周の内面52aまでの距離L3が、中心軸線αから「最外周の掘削ツールTの最外周の端部」までの距離L2よりも大きくなる。すなわち、カッタスポーク4bが縮んだ状態では、半径方向において、内面52aが「最外周の掘削ツールTの最外周の端部」よりも外周側に配置される。
【0102】
〈第3工程〉
次に、
図5(C)および
図11に示すように、第3工程において、前方を向く掘削ツールTをカッタスポーク4bとともに旋回させて、後方の作業室5側に向ける。すなわち、移動部材44の係合部44bが、固定部材43の旋回ガイド溝部431bにガイドされて180度旋回する。カッタスポーク4bが旋回した状態では、交換対象の外周側の3つの掘削ツールTは、左右方向において、作業室5の一対の側部当接壁50の間に配置される。
【0103】
〈第4工程〉
次に、
図12に示すように、第4工程において、移動機構7により作業室5をカッタスポーク4bに対して前方に移動させることによって、作業室5と旋回後のカッタスポーク4bの側部とを当接させる。
【0104】
詳細には、作業室5の一対の側部当接壁50とカッタスポーク4bの直線状の一対の凹み部分441aとを当接させるとともに、作業室5の底部当接壁51とカッタスポーク4bの円弧状の凹み部分441bとを当接させることにより、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも内周側において、作業室5の内側と作業室5の外側とを遮断する。なお、作業室5を前方に移動させる際、作業室5の最外周の内面52aおよび流体バッグ6を、最外周の掘削ツールTよりも外周側を通過させる。
【0105】
〈第5工程〉
次に、
図13に示すように、第5工程において、ポンプ6aにより流体バッグ6を拡大して、カッタスポーク4bの外周側の端面44aにカッタヘッド4の半径方向の外周側から流体バッグ6を当接させて、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと作業室5の最外周の内面52aとの間の隙間C(
図12参照)を遮断する。その結果、作業室5は、水密性が確保されるため、チャンバ2から内部に土砂が流入することがなくなる。
【0106】
〈第6工程〉
次に、
図14に示すように、第6工程において、作業者Wにより作業室扉5aが取り外されることにより、水密性が確保された前方室53aと後方室53bとが連通され、掘削ツールTの着脱作業が手作業により行われる。なお、作業室扉5aの取り外し作業や、掘削ツールTの着脱作業を、手作業ではなく専用の作業機械を用いて行ってもよい。
【0107】
〈第7工程〉
次に、
図12に示すように、第7工程において、作業室扉5aが取り付けられた後、流体バッグ6が縮小される。
【0108】
〈第8工程〉
次に、
図11に示すように、第8工程において、移動機構7により作業室5をカッタスポーク4bに対して後方に移動させる。
【0109】
〈第9工程〉
次に、
図10に示すように、第9工程において、後方を向く掘削ツールTをカッタスポーク4bとともに旋回させて、前方に向ける。
【0110】
〈第10工程〉
次に、
図9に示すように、第10工程において、カッタスポーク4bを縮めた状態から、カッタスポーク4bが伸ばされる。以上により、掘削ツールTの交換が完了する。
【0111】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0112】
本実施形態では、上記のように、作業室5に配置され、カッタスポーク4bの外周側の端面44aにカッタヘッド4の半径方向の外周側から当接して、外周側の端面44aと作業室5の内面52aとの間の隙間Cを遮断するシール部材(流体バッグ6)を設ける。これによって、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも外周側に突出する最外周の掘削ツールTと、作業室5とが干渉しないように、カッタスポーク4bに対して作業室5を前後方向に移動させた場合(カッタスポーク4bと作業室5とを前後方向に移動させた場合)に、シール部材を、カッタスポーク4bの外周側の端面44aにカッタヘッド4の半径方向の外周側から当接させて、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと作業室5の内面52aとの間の隙間Cを遮断して密着させることができる。また、カッタスポーク4bの外周側の端面44aが掘削に伴い摩耗した場合においても、シール部材を、カッタスポーク4bの外周側の端面44aにカッタヘッド4の半径方向の外周側から当接させて、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと作業室5の内面52aとの間の隙間Cを遮断して密着させることができる。以上のように、シール部材により隙間Cを遮断して密着させることができるので、作業室5の水密性を確実に確保することができる。
【0113】
本実施形態では、上記のように、シール部材は、内部に封入された流体の量を調整することにより拡大縮小が可能な流体バッグ6であり、流体バッグ6は、外周側の端面44aと当接するように拡大することにより、隙間Cを遮断するように構成されている。これによって、カッタスポーク4bの外周側の端面44aよりも外周側に突出する最外周の掘削ツールTと干渉することなく作業室5を移動させることが可能であり、カッタスポーク4bの外周側の端面44aが掘削に伴い摩耗した場合でも、流体バッグ6の内部に封入された流体の量を調整することにより、摩耗したカッタスポーク4bの外周側の端面44aの形状に合わせて流体バッグ6を拡大させることができるので、より密着性を向上させることができる。その結果、作業室5の水密性をより確実に確保することができる。
【0114】
本実施形態では、上記のように、作業室5は、カッタヘッド4の半径方向に延びる一対の側部当接壁50と、一対の側部当接壁50の内周側の端部を接続する底部当接壁51とを含み、一対の側部当接壁50および底部当接壁51は、カッタスポーク4bに当接することにより、外周側の端面44aよりも内周側において、作業室5の内側と作業室5の外側とを遮断するように構成され、カッタスポーク4bの側部は、一対の側部当接壁50および底部当接壁51が面接触により当接する凹部441を含む。これによって、一対の側部当接壁50および底部当接壁51を面接触で凹部441に当接させることにより、外周側の端面44aよりも内周側においても、作業室5の内側と作業室5の外側とを遮断して、水密性を確実に確保することができる。
【0115】
本実施形態では、上記のように、作業室5は、カッタスポーク4bの側部と当接した際に、カッタスポーク4bの外周側の端面44aに略面一で接続される接続面501aを有し、シール部材(流体バッグ6)は、外周側の端面44aおよび接続面501aと当接するように拡大することにより、隙間Cを遮断するように構成されている。これによって、カッタスポーク4bの外周側の端面44aに略面一で接続される接続面501aにより、カッタスポーク4bの外周側の端面44aと作業室5との境界に段差が生じることを抑制することができる。その結果、シール部材をカッタスポーク4bの外周側の端面44aに対してより一層沿った状態で配置することができるので、作業室5の水密性をより確実に確保することができる。
【0116】
本実施形態では、上記のように、カッタスポーク4bは、カッタヘッド4の半径方向に伸縮可能に構成されており、作業室5の最外周の内面52aおよびシール部材(流体バッグ6)は、カッタスポーク4bを縮めた状態で移動機構7により作業室5をカッタスポーク4bに対して相対移動させることによって、カッタスポーク4bに取り付けられた最外周の掘削ツールTよりも外周側を通過するように構成されている。これによって、作業室5をカッタスポーク4bに対して相対移動させる際に、作業室5の最外周の内面52aおよびシール部材を、カッタスポーク4bに取り付けられた最外周の掘削ツールTよりも外周側を通過させることができる。その結果、作業室5の最外周の内面52aおよびシール部材と、最外周の掘削ツールTとが干渉することを確実に回避することができる。
【0117】
本実施形態では、上記のように、カッタスポーク4bは、カッタヘッド4の本体部40に固定される固定部材43と、掘削ツールTが取り付けられ、固定部材43に対して移動する移動部材44と、を有し、固定部材43および移動部材44の一方には、係合部44bが設けられ、他方には、係合部44bが係合して移動部材44の移動をガイドするガイド溝部431が設けられ、ガイド溝部431は、移動部材44の移動をガイドしてカッタスポーク4bを伸縮させる伸縮ガイド溝部431aと、カッタヘッド4の半径方向において、伸縮ガイド溝部431aの内周側に接続され、カッタスポーク4bが縮むことにより移動部材44が内周側に位置する状態で、移動部材44の移動をガイドしてカッタスポーク4bを旋回させる旋回ガイド溝部431bと、を有する。これによって、移動部材44の移動をガイドしてカッタスポーク4bを伸縮させる伸縮ガイド溝部431aに係合部44bを係合させることより、掘削時においてカッタスポーク4bが土砂から掘削力および外力を受けることによって、または、伸縮時においてカッタスポーク4bが土砂から外力を受けることによって、カッタスポーク4bが意図せずに旋回してしまうことを防止することができる。また、移動部材44の移動をガイドしてカッタスポーク4bを旋回させる旋回ガイド溝部431bに係合させることにより、旋回時において、土砂から外力を受けてカッタスポーク4bが意図せずに伸縮してしまうことを防止することができる。また、旋回ガイド溝部431bにより、カッタスポーク4bが縮むことによって移動部材44が内周側に位置する状態で、カッタスポーク4bを旋回させることができる。
【0118】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0119】
たとえば、上記実施形態では、トンネル掘削機が、泥土圧式のシールド掘進機である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、泥水式のシールド掘進機であってもよい。なお、泥水式のシールド掘進機である場合には、作業室とカッタスポークとが、メタルタッチではなく、止水材を介して当接するように構成されるのが好ましい。
【0120】
また、上記実施形態では、カッタヘッドが、掘削ツールを交換可能な移動式のカッタスポーク、および、掘削ツールを交換することができない固定式のカッタスポークの2種類のカッタスポークを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カッタヘッドが、移動式のカッタスポークのみを備えていてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、カッタヘッドが、移動式のカッタスポークを2つ備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カッタヘッドが、移動式のカッタスポークを1つまたは3つ以上備えていてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、トンネル掘削機を、移動式のカッタスポークに取り付けられた外周側の一部の掘削ツールのみを交換可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トンネル掘削機を、移動式のカッタスポークに取り付けられたすべての掘削ツールを交換可能に構成してもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、移動式のカッタスポークを、ロータリーアクチュエータにより旋回させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、移動式のカッタスポークを、油圧モータにより旋回させてもよい。なお、油圧モータでは、通常、ロータリーアクチュエータのように旋回角度を自在に制御することができない。そこで、油圧モータを用いる場合には、上記実施形態用のように固定部材の旋回ガイド溝部を円環状に形成するのではなく、固定部材の旋回ガイド溝部を円弧状に形成して、円弧状の旋回ガイド溝部の端部に移動部材の係合部を当接させることにより、旋回角度を確定するように構成してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、固定部材にガイド溝部を設け、移動部材に係合部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、固定部材に係合部を設け、移動部材にガイド溝部を設けてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、隔壁に作業室を1つのみ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、隔壁に作業室を複数設けてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、移動式のカッタスポークに対して、作業室を前後方向に移動させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、作業室に対して、移動式のカッタスポークを前後方向に移動させてもよい。なお、作業室および移動式のカッタスポークの両方を前後方向に移動させてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、本発明のシール部材を、内部に封入された流体の量を調整することにより拡大縮小が可能な流体バッグにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本発明のシール部材を、ゴムなどにより形成された弾性変形可能な中実部材などにより構成してもよい。この場合、移動式のカッタスポークと作業室とを当接させた後、移動式のカッタスポークを伸ばして、移動式のカッタスポークを内周側から弾性変形可能な中実部材に当接させることにより、移動式のカッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の隙間を遮断してもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、トンネル掘削機を、センター(中央)支持方式により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トンネル掘削機を、上記の支持方式以外の外周支持方式などにより構成してもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、作業室を、前後方向に延びる矩形の筒状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、作業室を、前後方向に延びる円形の筒状などに形成してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、本発明の当接部を、凹部により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の当接部を、凸部により構成してもよい。この他、本発明の当接部を、凹部および凸部の両方により構成してもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、係合部を凸状に形成し、ガイド溝部を凹状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、係合部を凹状に形成し、ガイド溝部を凸状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0132】
2 チャンバ
3 隔壁
4 カッタヘッド
4b (移動式の)カッタスポーク
5 作業室
6 流体バッグ(シール部材)
7 移動機構
40 本体部
43 固定部材
44 移動部材
44a (外周側の)端面
44b 係合部
50 側部当接壁
51 底部当接壁
52a (作業室の最外周の)内面
100 トンネル掘削機
431 (固定部材の)ガイド溝部
431a 伸縮ガイド溝部
431b 旋回ガイド溝部
441 凹部(当接部)
501a (側部当接壁の切り欠きの)接続面
C (カッタスポークの外周側の端面と作業室の内面との間の)隙間
T 掘削ツール