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特許7361025ポリウレタンフォームに基づく粘弾性要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームに基づく粘弾性要素
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20231005BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231005BHJP
   C08G 18/12 20060101ALI20231005BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20231005BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20231005BHJP
   A61F 11/08 20060101ALI20231005BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/48 033
C08G18/12
C08G18/73
C08G18/75 010
C08G18/48 054
A61F11/08
C08G101:00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020519247
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018076852
(87)【国際公開番号】W WO2019068732
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】17195351.6
(32)【優先日】2017-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ワイザー,マルク-ステファン
(72)【発明者】
【氏名】プラグ,サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ドール,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】モトリー,ジェフリー
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515815(JP,A)
【文献】特表2011-527349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームを含む粘弾性要素であって、当該ポリウレタンフォームは少なくとも以下の成分:
(V2)ポリウレタンウレアが少なくとも
V2A)1.8以上2.6以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分;
V2B)ポリマーポリエーテルポリオール成分;
V2C)少なくとも1つのいかなるイオン性もしくはイオノゲン性基も有さないアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン性もしくはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性鎖延長剤成分;
2G)確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物であって、イソシアネート反応性基の1つのみが、選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する化合物、および
V2H)任意で、2.6超4以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって得られる、水性ポリウレタンウレア分散体の存在下で、
(V1)少なくとも以下の成分:
V1A)脂肪族ジイソシアネートと
V1B)存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%のエチレンオキシド含有量を有する二~六官能性ポリアルキレンオキシド
の反応によって得られるイソシアネート官能性プレポリマー
を反応させることによって得られ、
前記ポリウレタンウレア(V2)の存在下での前記プレポリマー(V1)の反応がイソシアネート反応性基を含む媒体(当該媒体は水である)で行われる、粘弾性要素。
【請求項2】
成分(V1)と(V2)が、2つの成分(V1)および(V2)の総重量に基づいて、成分(V1)と(V2)の反応において5:1~1:1の重量比である、請求項1に記載の粘弾性要素。
【請求項3】
以下の特性のすべてを有する、請求項1または2に記載の粘弾性要素:
i.DIN EN ISO 3386-1:2015-10に準拠して測定して、0.40~0.90の減衰;
ii.DIN EN ISO 527-2に準拠して測定して、0.12MPa~0.40MPaの範囲内の破壊応力;
iii.DIN EN ISO 527-2に準拠して測定して、150%~300%の範囲内の破壊時の伸び率;
iv.DIN EN 13726-1に準拠して測定して、乾燥フォームの重量に基づいて、1800%(g/g)以下の吸水率;
v.最大吸収に基づいて、80%以下の保水率;
vi.2~50秒の範囲内の、標準圧およびRTでの、元の体積の少なくとも90%までの、50%の元の体積の圧縮(7kPaの圧力で)後の回復時間;
vii.0.1cm~1mの範囲内の体積;
viii.150~400g/lの範囲内の密度;
ix.DIN EN ISO 6721-1に準拠して測定して、0.140以上の損失係数;
x.0.08MPa~0.25MPaの範囲内の、DIN EN ISO 527-2に準拠した弾性率。
【請求項4】
成分V2A)がイソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1からのいずれか一項に記載の粘弾性要素。
【請求項5】
成分V2B)がポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールを含むまたはからなることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の粘弾性要素。
【請求項6】
前記成分(V1)が、
V1A)140g/mol以上278g/mol以下のモル質量の低分子量脂肪族ジイソシアネートと、
V1B)22.5mg KOH/g以上112mg KOH/g以下のOH価、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50mol%以上100mol%以下のエチレンオキシド含有量の二~六官能性ポリアルキレンオキシド;
V1C)任意で、140g/mol以上278g/mol以下のモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートの複素環式4員または6員環オリゴマー;
V1D)任意で、触媒;
V1E)任意で、弱無機酸のアルカリ金属塩;
V1F)任意で、界面活性剤;
V1G)任意で、一価または多価アルコール;
V1H)以下の成分:
V1H1)1つまたは複数の、140g/mol以上278g/mol以下のモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネート、および/または2以上6以下のイソシアネート官能価を有するそこから調製可能なポリイソシアネート;
および/または
V1H2)1つまたは複数の、10以上250以下のOH価、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50mol%以上100mol%以下のエチレンオキシド含有量を有する単官能性ポリアルキレンオキシド;
および/または
V1H3)V1H1)で言及した成分とV1H2)で言及した成分の反応によって得られる親水性イソシアネート成分
の反応によって得られる、プレポリマーに基づいて、1.0重量%以下の重量割合の、140g/mol以上278g/mol以下のモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートを有するイソシアネート官能性プレポリマーであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の粘弾性要素。
【請求項7】
I)イソシアネート反応性基を含む媒体の存在下で、請求項1に記載のイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(V1)を請求項1に記載の少なくとも1つのポリウレタンウレア分散体(V2)と混合して、ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物を得るステップであって、前記媒体は水であるステップと;
II)ステップI)の前記ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物を基板に適用するステップと;
III)前記ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物、特にステップII)のポリウレタンプレポリマー/水混合物を硬化して、粘弾性要素を得るステップと;
IV)任意で、前記基板から前記粘弾性要素を取り除くステップと
を含む、粘弾性要素を製造する方法。
【請求項8】
ステップI)の前記混合が、ステップII)で前記混合物を前記基板に適用する前に3~90秒以内行われる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の、または請求項からのいずれか一項に従って製造された粘弾性要素を含む、耳に挿入するための耳栓。
【請求項10】
(V1)イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと;
(V2)ポリウレタンウレア分散体と
からなるキットであって、
前記成分(V1)が、少なくとも以下の成分:
V1A)脂肪族ジイソシアネートと
V1B)存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%のエチレンオキシド含有量を有する二~六官能性ポリアルキレンオキシドと
の反応によって得られ、
前記ポリウレタンウレア分散体V2)の前記ポリウレタンウレアが、少なくとも
V2A)1.8以上2.6以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分、
V2B)ポリマーポリエーテルポリオール成分、
V2C)少なくとも1つのいかなるイオン性もしくはイオノゲン性基も有さないアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン性もしくはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性鎖延長剤成分、
2G)確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物であって、イソシアネート反応性基の1つのみが、選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する化合物、および
任意で、2.6超4以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって得られ、
成分(V2)が水性分散体の形態である、粘弾性要素を製造するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームを含む粘弾性要素であって、ポリウレタンフォームは特定のポリウレタンウレア分散体(V2)の存在下での少なくとも1つのイソシアネート官能性プレポリマー(V1)の反応によって得られ、ポリウレタンウレア(V2)の存在下でのプレポリマー(V1)の反応はイソシアネート反応性基を含む媒体で行われる、粘弾性要素に関する。本発明はさらに、粘弾性要素を製造する方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、医療用途のための創傷被覆材として既知である。これらのフォームは、好ましくは、欧州特許第2143744号明細書に示されるように、水に関して高い吸収率および保持率を有する。
【0003】
欧州特許第2143744号明細書に従って得られるフォームは、医学的に承認された原材料から製造されるが、これらは、遮音/耳栓としての使用には適さない;より具体的には、これらは圧縮時に過度に速い回復能力を示す。遮音/耳栓として使用するためには、フォームが圧縮後に徐々にその形状に回復するか、または内耳などの他の空間的状況に適合できるということが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2143744号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術の少なくとも1つの欠点を少なくとも部分的に克服することが本発明の目的である。
【0006】
例えば欧州特許第2143744号明細書に記載される材料などの医学的に承認された原材料に基づいて粘弾性要素を製造すること、およびこれらを比較してより遅い回復特性が達成されるように修正することが、本発明のさらなる目的である。
【0007】
加えて、最適化された回復時間を有する粘弾性要素を提供することが本発明の目的である。
【0008】
例えば使用者の耳において粘弾性要素の形態で、耳栓の最大の着用快適性を達成することが、本発明のさらなる目的である。
【0009】
資源を最大限に節約しながら、数ステップでの要素の製造を可能にする粘弾性要素を製造する方法を提供することが、本発明の別の目的である。室温および標準圧力で実施可能な粘弾性要素を製造する方法を提供することが、本発明の追加の目的である。
【0010】
特に雑音を最小化するための、使用者の耳道での使用に適した粘弾性要素を提供することが、本発明の別の目的である。
【0011】
粘弾性要素の簡単な製造手段を可能にするキットを提供することが、本発明の追加の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第一に、少なくとも以下の成分:
(V2)ポリウレタンウレアが少なくとも
V2A)1.8以上2.6以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分、
V2B)ポリマーポリエーテルポリオール成分、
V2C)少なくとも1つのいかなるイオン性もしくはイオノゲン性(ionogenic)基も有さないアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン性もしくはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性鎖延長剤成分、
V2D)任意で、C2)とは異なるさらなる親水化成分、
V2E)任意で、62~399g/molの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物、
V2F)任意で、V2B)とは異なる少なくとも1つのさらなるポリマーポリオール、
V2G)イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、正確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物、および
V2H)任意で、2.6以上4以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって得られる、ポリウレタンウレア分散体の存在下で、
(V1)少なくとも以下の成分:
V1A)脂肪族ジイソシアネートと
V1B)存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%のエチレンオキシド含有量を有する二~六官能性ポリアルキレンオキシド
の反応によって得られるイソシアネート官能性プレポリマー
を反応させることによって得られ、
ポリウレタンウレア(V2)の存在下でのプレポリマー(V1)の反応はイソシアネート反応性基を含む媒体で行われる、ポリウレタンフォームを含む、粘弾性要素(以下では製品とも呼ばれる)に関する。
【0013】
粘弾性とは、部分的に弾性で、部分的に粘性の材料特性を指す。よって、粘弾性物質は液体と固体の特徴を合わせ持つ。効果は時間-、温度-および周波数-依存性であり、高分子溶融物および固体、例えばプラスチックの場合に発生するが、他の材料でも発生する。
【0014】
貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’、または損失係数tanδ=G’’/G’を報告することができる場合、全ての液体および固体を粘弾性材料と見なすことができる。理想的な粘度の液体(ニュートン流体)の場合、貯蔵弾性率が損失弾性率と比較して極めて小さい;フックの法則に従う理想的な弾性の固体の場合、損失弾性率は貯蔵弾性率と比較して極めて小さい。粘弾性材料は、測定可能な貯蔵弾性率と測定可能な損失弾性率の両方を有する。貯蔵弾性率が損失弾性率よりも大きい場合、これらは固体と呼ばれ、そうでなければ液体と呼ばれる。粘弾性要素は、好ましくは、測定可能な貯蔵弾性率と測定可能な損失弾性率の両方を有する固体である。粘弾性要素は、好ましくは、損失弾性率よりも大きい貯蔵弾性率を有する。粘弾性要素は、好ましくは、1.1~7倍の範囲内、または好ましくは1.5~6.5倍の範囲内、または好ましくは2~6倍の範囲内で損失弾性率よりも大きい貯蔵弾性率を有する。
【0015】
よって、損失係数は、粘弾性体または粘弾性要素の減衰の尺度である。作用方向の圧縮または引張変形下での本発明の要素の損失係数tanδは、DIN EN ISO6721-1動的機械特性の測定方法(振動モードI、非共鳴、モジュールタイプGto、振動モードIVおよびパート2を使用)に準拠して測定して、好ましくは0.15~0.50、または好ましくは0.16~0.45、または好ましくは0.17~0.40、または好ましくは0.17~0.35である。
【0016】
驚くべきことに、言及した成分V1)およびV2)に基づいて、一方では柔らかく快適な触覚特性、他方では粘弾性特性を有する製品を得ることが可能であることが分かった。粘弾性特性の効果は、粘弾性要素が、変形時に、自発的な回復を有さないが、変形力が解放された場合の元の形状への遅れた回復を有することである。粘弾性と呼ばれるこの効果は、本発明の要素の多種多様な用途に利用することができる。例えば、これはクッション、マットレス、シートまたは同様の構造に非常に柔らかい外観を与えるが、特に、中空壁に圧力を及ぼすことなく、圧縮された空洞の幾何学に極めてよく適合し、空洞に挿入されるのに役立ち得る。
【0017】
成分V1A)として、当業者が目的のために選択する任意のジイソシアネートを使用することが可能である。好ましくは、脂肪族ジイソシアネートV1A)は、140~278g/molのモル質量を有する。
【0018】
適切な脂肪族ジイソシアネートV1A)の例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが極めて特に好ましい。
【0019】
成分V1B)として、当業者が目的のために選択する任意のポリアルキレンオキシドを使用することが可能である。
【0020】
二~六官能性ポリアルキレンオキシドV1B)が22.5~112のOH価を有する場合も有利である。
【0021】
ポリアルキレンオキシドは、存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%、好ましくは55~95mol%、または好ましくは60~80mol%のエチレンオキシド含有量を有する。
【0022】
ポリアルキレンオキシドは、典型的には、1000~15000g/mol、好ましくは1500~12000g/mol、または好ましくは2000~10000g/mol、または好ましくは2500~9000g/mol、または好ましくは3000~8000g/molの数平均分子量を有する。
【0023】
さらに、成分V1B)のポリアルキレンオキシドは、好ましくは2~6、より好ましくは3~6、特に好ましくは3~4のOH官能基を有する。
【0024】
適切なポリアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーである。
【0025】
ポリアルキレンオキシドがポリオールまたはアミンに基づいて開始される場合も特に好ましい。適切な開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、アンモニアまたはエチレンジアミンである。
【0026】
イソシアネート官能性プレポリマーV1)の調製では、ポリアルキレンオキシドV1B)と低分子量脂肪族ジイソシアネートV1A)の比が、典型的には、ポリアルキレンオキシドV1B)のOH基1mol毎に、2~20mol、好ましくは2~10mol、より好ましくは5~10molの低分子量脂肪族ジイソシアネートV1A)のNCO基があるように調整される。
【0027】
プレポリマーは、好ましくはスズ化合物、亜鉛化合物、アミン、グアニジンもしくはアミジンなどのウレタン化触媒の存在下、または亜鉛化合物などのアロファネート化触媒の存在下で調製される。
【0028】
ポリアルキレンオキシドV1B)とジイソシアネートV1A)の反応によるプレポリマーV1)の生成は、典型的には25~140℃、好ましくは60~100℃で行われる。
【0029】
過剰のジイソシアネートV1A)を反応に使用した場合、未変換残留物が、好ましくは薄層蒸留によって除去される。
【0030】
ジイソシアネートV1A)とポリアルキレンオキシドV1B)の反応または過剰のジイソシアネートの蒸留除去の前、間および後に、塩化ベンゾイル、塩化イソフタロイル、トシル酸メチル、クロロプロピオン酸、HClなどの酸性もしくはアルキル化安定剤、またはジ-tert-ブチルクレゾールもしくはトコフェロールなどの抗酸化剤を添加することが可能である。
【0031】
好ましくは、使用されるプレポリマーV1)は、プレポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%未満、または好ましくは0.3重量%未満の残留モノマー含有量を有する。この含有量は、ジイソシアネートV1A)およびポリアルキレンオキシドV1B)の使用量を適切に選択することにより達成することができる。しかしながら、ジイソシアネートV1A)を過剰に使用し、その後、好ましくは蒸留により、未変換モノマーを除去することが好ましい。
【0032】
イソシアネート官能性プレポリマーV1)のNCO含有量は、プレポリマーの総重量に基づいて、好ましくは1.5重量%~4.5重量%、より好ましくは1.5重量%~3.5重量%、最も好ましくは1.5重量%~3.0重量%である。
【0033】
本発明の文脈における水性分散体は、含水液相(分散媒)中の粒子状固体(分散相)の不均一混合物である。レーザー相関分光法によって決定される分散相の平均直径が1~1000nm、好ましくは2~800nm、より好ましくは5~500nm、特に好ましくは20~400nmである分散体が好ましい。分散媒が水のみからなる場合も同様に好ましい。
【0034】
本発明の文脈におけるポリウレタンウレアは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのウレタン含有繰り返し単位を有するポリマー化合物である:
【化1】
【0035】
本発明によると、ポリウレタンウレアは、その調製により、特にイソシアネート末端プレポリマーとアミノ官能性化合物の反応で形成される尿素基
【化2】
【0036】
を含有する繰り返し単位も有する。
【0037】
本発明の文脈におけるイオノゲン性基は、例えば塩基による中和によってイオン性基を形成することができる官能基を意味すると理解される。
【0038】
成分V2A)は、当業者が目的のために使用する任意のポリイソシアネートであり得る。成分V2A)として好ましい適切なポリイソシアネートは、特に、1.8以上2.6以下、好ましくは1.9以上2.5以下の平均イソシアネート官能価を有する、それ自体当業者に知られている脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族」という用語は、脂環式および/または芳香脂肪族ポリイソシアネートも含む。
【0039】
平均イソシアネート官能価は、1分子当たりのイソシアネート基の平均数を意味すると理解される。
【0040】
好ましいポリイソシアネートは、140~336g/molの分子量範囲のものである。これらは、より好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、ペンタン1,5-ジイソシアネート(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレン1,3-ジイソシアネート、XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレン1,4-ジイソシアネート、XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、4-イソシアナトメチルオクタン1,8-ジイソシアネート(トリスイソシアナトノナン(TIN))、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、および脂環式ジイソシアネート1,3-または1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2(4)-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサン、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-および/または2,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、および1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタンあるいはこのようなイソシアネートの混合物からなる群から選択される。ポリイソシアネートは、最も好ましくは、ブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の異性体含有量のその混合物(H12-MDI)、シクロヘキシレン1,4-ジイソシアネート、4-イソシアナトメチルオクタン1,8-ジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)およびC1~C8-アルキル基を有するアルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)から選択される。
【0041】
前記ポリイソシアネートと同様に、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する、2以上2.6以下の平均イソシアネート官能価を有する修飾ジイソシアネート、ならびにこれらのおよび/または上記の割合の混合物を使用することも可能である。
【0042】
脂肪族的もしくは脂環式的にのみ結合したイソシアネート基、またはこれらの混合物を有し、1.8以上2.6以下、より好ましくは2.0以上2.4以下の混合物の平均NCO官能価を有する、上記のタイプのポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物が好ましい。
【0043】
より好ましくは、有機ポリイソシアネート成分V2A)が、HDI、IPDIおよび/またはH12-MDIあるいはこれらの修飾生成物から選択される、最も好ましくはHDIおよび/またはIPDIから選択される脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを含有する。
【0044】
特に好ましい変形では、IPDIおよびHDIが成分V2A)として混合物中に存在する。
【0045】
ここで、IPDI:HDIの重量比は、好ましくは1.05~10の範囲、より好ましくは1.1~5の範囲、最も好ましくは1.1~1.5の範囲である。
【0046】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、5重量%以上40重量%以下の成分V2A)、より好ましくは10重量%以上35重量%以下の成分V2A)を使用して調製される。
【0047】
好ましくは、ポリウレタンウレアはまた、成分V2H)、2.6以上4以下、好ましくは2.8以上3.8以下の平均イソシアネート官能価(1分子当たりのイソシアネート基の平均数)を有する脂肪族ポリイソシアネート成分を使用して調製される。成分V2H)は、好ましくは成分V2A)との混合物で使用される。
【0048】
特に適切な成分V2H)は、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンまたはオキサジアジントリオン構造を有する、2.6以上4以下、好ましくは2.8以上3.8以下の官能価を有するオリゴマージイソシアネートである。最も好ましくは、V2H)はイソシアヌレート構造を含有する。
【0049】
より好ましくは、有機ポリイソシアネート成分V2H)は、HDI、IPDIおよび/またはH12-MDIに基づく、最も好ましくはHDIに基づく脂肪族または脂環式ポリイソシアネートオリゴマーからなる。
【0050】
成分V2A)と成分V2H)のNCO基のモル比は、好ましくは100:0.5~100:50、より好ましくは100:2~100:15、最も好ましくは100:3~100:8である。
【0051】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0重量%以上10重量%以下の成分V2H)、より好ましくは0.1重量%以上3重量%以下の成分V2H)を使用して調製される。
【0052】
成分V2B)として本発明により使用されるポリマーポリエーテルポリオールは、好ましくは、23℃でテトラヒドロフラン中、ポリスチレン標準に対してゲル浸透クロマトグラフィーを介して決定すると、500g/mol以上8000g/mol以下、より好ましくは400g/mol以上6000g/mol以下、特に好ましくは600g/mol以上3000g/mol以下の数平均分子量、および/または好ましくは1.5以上6以下、より好ましくは1.8以上3以下、特に好ましくは1.9以上2.1以下のOH官能価を有する。
【0053】
ここでの「ポリマー」ポリエーテルポリオールという表現は、より具体的には、言及したポリオールが少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つの互いに結合した繰り返し単位を有することを意味する。
【0054】
数平均分子量は、特に明言しない限り、23℃でテトラヒドロフラン中でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、本出願の文脈で決定される。ここでの手順は、DIN 55672-1:「ゲル浸透クロマトグラフィー、パート1-溶離液としてのテトラヒドロフラン」(PSS Polymer Service製のSECurity GPCシステム、流量1.0ml/分;カラム:2×PSS SDV linear M、8×300mm、5μm;RID検出器)に準拠する。既知のモル質量のポリスチレン試料が較正に使用される。数平均分子量はソフトウェアサポートで計算される。ベースライン点および評価限界はDIN 55672パート1に準拠して固定される。
【0055】
適切なポリエーテルポリオールは、例えば、酸化スチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンおよび/またはエピクロロヒドリンの二官能性または多官能性スターター分子へのそれ自体既知の付加生成物である。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールが、特に上記の好ましい分子量で使用可能である。使用される適切なスターター分子は、先行技術から既知の任意の化合物、例えば水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ブタン-1,4-ジオールであり得る。
【0056】
製品の好ましい実施形態では、成分V2B)が、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオール((HO-(CH-CH-CH-CH-O)-Hなど)を含有するまたはからなる。
【0057】
適切なポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールは、例えば、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合によって得られる。
【0058】
好ましくは、成分V2B)は、その数平均分子量が異なるポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールの混合物を含有するまたはからなる。
【0059】
さらに好ましくは、成分V2B)は、400g/mol以上1500g/mol以下の範囲内、より好ましくは600g/mol以上1200g/mol以下の範囲内、最も好ましくは1000g/molの範囲内の数平均分子量Mを有するポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIと、1500g/mol以上8000g/mol以下の範囲内、より好ましくは1800g/mol以上3000g/mol以下の範囲内、最も好ましくは2000g/molの数平均分子量Mを有するポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIIの混合物を含有する。
【0060】
ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIとポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールIIの重量比は、好ましくは0.1~10の範囲、より好ましくは0.2~10の範囲、最も好ましくは1~6の範囲である。
【0061】
本発明によると、ポリウレタンウレアは、少なくとも1つのいかなるイオン性もしくはイオノゲン性基も有さないアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン性もしくはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性鎖延長剤成分V2C)を使用して調製される。
【0062】
好ましくは、アミノ官能性鎖延長剤成分V2C)は、2~4の範囲内、または好ましくは2.05~3の範囲内、または好ましくは2.1~2.3の範囲内、または好ましくは2つのイソシアネート反応性アミノ基を有する。アミノ官能性鎖延長剤成分V2C)に2つを超えるイソシアネート反応性アミノ基が存在する場合、2つを超えるイソシアネート反応性アミノ基の少なくとも1つは、他の2つのイソシアネート反応性アミノ基よりもイソシアネート基に対する反応性が低い。これの特定の効果は、2つを超える数のイソシアネート反応性アミノ基を使用しても、主に鎖延長が起こり、利用可能なイソシアネート基の架橋度が低くなることである。
【0063】
成分V2C)成分のアミノ官能性化合物は、好ましくは第一級および/または第二級ジアミンから選択される。より具体的には、アミノ官能性化合物V2C)は少なくとも1つのジアミンを含む。
【0064】
アミノ官能性成分V2C)は、好ましくは、少なくとも1つのイオン性および/またはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含む。
【0065】
アミノ官能性成分V2C)は、好ましくは、イオン性および/またはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)とイオン性またはイオノゲン性基を有さないアミノ官能性化合物C1)の両方を含む。
【0066】
例えば、使用される成分C1)は、有機ジアミンまたはポリアミン、例えばエチレン-1,2-ジアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン(IPDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミン、あるいはこれらの少なくとも2つの混合物であり得る。
【0067】
好ましくは、成分C1)は、エチレン-1,2-ジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,4-ジアミノブタン、IPDA、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチレントリアミン、またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。
【0068】
さらに好ましくは、成分C1)は、75mol%以上、より好ましくは80mol%以上、さらにより好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上、なおさらに好ましくは100mol%のエチレン-1,2-ジアミンまたはIPDAまたはエチレン-1,2-ジアミンとIPDAの混合物を含有し、C1)の総量に対する2つのアミンの総和は、好ましくは言及した範囲内である。好ましくは、成分C1)は、75mol%以上、より好ましくは80mol%以上、さらにより好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上、なおさらに好ましくは100mol%のエチレン-1,2-ジアミンを含有する。
【0069】
好ましくは、親水化成分C2)は、少なくとも1つのアニオン性親水化化合物を含む。さらに好ましくは、親水化成分C2)は、成分C2)の総重量に基づいて、少なくとも80重量%程度まで、または好ましくは少なくとも90重量%程度までのアニオン性親水化化合物を含む。より好ましくは、成分C2)は、アニオン性親水化化合物のみからなる。
【0070】
適切なアニオン性親水化化合物は、少なくとも1つのアニオン性基またはアニオン性基に変換され得るイオノゲン性基を含有する。さらに好ましくは、適切なアニオン性親水化化合物は、少なくとも2つのアミノ基、より好ましくは2つのアミノ基を有する。より好ましくは、親水化成分C2)は、少なくとも1つのアニオン性基またはイオノゲン性基および少なくとも2つのアミノ基を有するアニオン性親水化化合物を含むまたはからなる。
【0071】
以下で親水化剤C2)とも呼ばれる成分C2)としての適切なアニオン性親水化化合物は、好ましくはスルホン酸またはスルホネート基、より好ましくはスルホン酸ナトリウム基を含む。成分C2)として適切なアニオン性親水化化合物は、特にモノおよびジアミノスルホン酸のアルカリ金属塩である。このようなアニオン性親水化剤の例は、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、N-(プロピルもしくはブチル)エチレンジアミンスルホン酸またはプロピレン-1,2-もしくは-1,3-ジアミン-β-エチルスルホン酸またはこれらの少なくとも2つの混合物の塩である。
【0072】
特に好ましいアニオン性親水化剤C2)は、2-(2-アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸およびプロピレン-1,3-ジアミン-β-エチルスルホン酸の塩などの、イオン性基としてのスルホネート基および2つのアミノ基を含むものである。アニオン性親水化剤C2)として2-(2-アミノエチルアミノ)エチルスルホン酸またはその塩を使用することが極めて特に好ましい。
【0073】
成分C2)のアニオン性基は、カルボキシレートまたはカルボン酸基であってもよい。その場合、成分C2)は好ましくはジアミノカルボン酸から選択される。しかしながら、この代替実施形態では、カルボン酸系成分C2)が、スルホネートまたはスルホン酸基を有する成分C2)と比較して高い濃度で使用されなければならない。したがって、より好ましくは、ポリウレタンウレアは、成分C2)のアニオン性基としてカルボキシレート基のみを有する親水化化合物を使用せずに調製される。
【0074】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0.1重量%以上10重量%以下の範囲内の成分C2)、より好ましくは0.5重量%以上4重量%以下の範囲内の成分C2)を使用して調製される。
【0075】
親水化は、アニオン性親水化剤C2)とC2)とは異なるさらなる親水化剤V2D)の混合物を使用して達成することもできる。
【0076】
適切なさらなる親水化剤V2D)は、例えば、非イオン性親水化化合物D1)および/またはヒドロキシ官能性イオン性もしくはイオノゲン性親水化剤D2)である。好ましくは、成分V2D)は非イオン性親水化成分D1)を含む。
【0077】
成分D2)として適切なヒドロキシ官能性イオン性またはイオノゲン性親水化剤は、例えば、モノ-およびジヒドロキシカルボン酸などのヒドロキシカルボン酸、例えば2-ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシプロパン酸、12-ヒドロキシ-9-オクタデカン酸(リシノール酸)、ヒドロキシピバル酸、乳酸、ジメチロール酪酸および/またはジメチロールプロピオン酸あるいはこれらの少なくとも2つの混合物である。ヒドロキシピバル酸、乳酸および/またはジメチロールプロピオン酸が好ましく、ジメチロールプロピオン酸が特に好ましい。ヒドロキシ官能性イオン性またはイオノゲン性親水化剤D2)を使用しない、特に好ましくはカルボキシレートおよびヒドロキシル基を有する親水化剤、例えばジメチロールプロピオン酸を使用しないことが好ましい。好ましくは、ヒドロキシ官能性イオン性またはイオノゲン性親水化剤D2)の量は、ポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0重量%~1重量%の範囲内、または好ましくは0重量%~0.5重量%の範囲内でポリウレタンウレア中に存在する。
【0078】
成分V2D)として適切な非イオン性親水化化合物は、例えば、ヒドロキシル、アミノまたはチオール基などのイソシアネート反応性基を有するポリオキシアルキレンエーテルである。適切なスターター分子のアルコキシル化によるそれ自体既知の様式で得られるように(例えば、Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie [Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry],4th edition,volume 19,Verlag Chemie,Weinheim p.31-38)、1分子当たり統計平均5~70、好ましくは7~55のエチレンオキシド単位を有するモノヒドロキシ官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが好ましい。これらは、純粋なポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルであり、存在する全てのアルキレンオキシド単位に基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位を含む。
【0079】
特に好ましい非イオン性化合物は、40~100mol%のエチレンオキシド単位および0~60mol%のプロピレンオキシド単位を有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0080】
このような非イオン性親水化剤に適したスターター分子は、特に飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレインアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール、第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、ならびに複素環式第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾールである。好ましいスターター分子は、上記のタイプの飽和モノアルコールである。スターター分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテル、メタノールまたはn-ブタノールを使用することが特に好ましい。
【0081】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは任意の順序でまたは混合物でアルコキシル化反応に使用することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、本発明により使用されるポリウレタンウレアが、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0重量%以上20重量%以下の範囲内の成分V2D)、好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内の成分V2D)、最も好ましくは0重量%以上5重量%以下の範囲内の成分V2D)を含有する。さらに好ましい実施形態では、成分V2D)がポリウレタンウレアの調製に使用されない。
【0083】
成分V2E)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトール、およびこれらの互いの望ましい混合物などの、最大20個の炭素原子を有する62~399g/molの分子量範囲のポリオール、特に非ポリマーポリオールを使用することが可能であってもよい。
【0084】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、10重量%以下の成分V2E)、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0重量%の成分V2E)を含有する。好ましくは、ポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0.1重量%~10重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%~8重量%の範囲内、好ましくは0.1重量%~5重量%の範囲内の成分V2E)を含む。さらに好ましい実施形態では、成分V2E)がポリウレタンウレアの調製に使用されない。
【0085】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0.5重量%以上20重量%以下の範囲内の総和の成分C1)と任意のV2E)、より好ましくは1重量%以上15重量%以下の範囲内の総和の成分C1)と任意のV2E)を使用して調製される。
【0086】
成分V2F)として、V2B)とは異なるさらなるポリマーポリオールを使用することが可能である。
【0087】
例としては、ポリエーテルポリオールではないため、V2B)の定義によってはカバーされず、好ましくはV2E)の定義によってもカバーされないポリマーポリオール-例えばポリウレタンコーティング技術でそれ自体知られている以下のポリオールがある:ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオール。
【0088】
好ましくは、成分V2F)は、エステル基を有するポリマーポリオール、特にポリエステルポリオールを含まない。
【0089】
本発明によると、成分V2B)およびV2F)は合わせて、成分V2B)およびV2F)の総質量に基づいて、30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の成分V2F)を含有する。最も好ましくは、成分V2F)はポリウレタンウレアの調製に使用されない。
【0090】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、55重量%以上90重量%以下の範囲内の総和の成分V2B)と任意のV2F)、より好ましくは60重量%以上85重量%以下の範囲内の総和の成分V2B)と任意のV2F)を使用して調製される。
【0091】
成分V2G)は、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、正確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物を含む。
【0092】
成分V2G)のイソシアネート反応性基は、イソシアネート基、例えばヒドロキシル基、チオール基、または第一級および第二級アミノ基と反応することができる任意の官能基であり得る。
【0093】
本発明の文脈におけるイソシアネート反応性基は、特に好ましくは、イソシアネート基と反応して尿素基を形成する第一級または第二級アミノ基である。アミノ基と同様に、成分V2G)の化合物は、イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、原則としてイソシアネート反応性である他の基、例えば、OH基も有し得る。これは、例えば、比較的低い温度、例えば0~60℃、好ましくは20~40℃での適切なアミノアルコールの反応によって行うことができる。ここでは、イソシアネート基とアルコール基の反応を触媒する触媒の非存在下での作業が好ましい。
【0094】
成分V2G)の適切な化合物の例は、第一級/第二級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、ジエタノールアミン、3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、3-アミノ-1-エチルアミノプロパン、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノブタン、エタノールアミン、3-アミノプロパノールもしくはネオペンタノールアミンまたはこれらの少なくとも2つの混合物である。
【0095】
適切な単官能性化合物はまた、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-エチルヘキサノール、1-オクタノール、1-ドデカノール、1-ヘキサデカノールおよびこれらの少なくとも2つの混合物である。
【0096】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、各場合でポリウレタンウレアの総質量に基づいて、0.1重量%以上20重量%以下の成分V2G)、より好ましくは0.3重量%以上10重量%以下の成分V2G)を使用して調製される。
【0097】
成分V2H)を使用することが好ましい。好ましくは、成分V2G)と成分V2H)のモル比は5:1~1:5、より好ましくは1.5:1~1:4、最も好ましくは1:1~1:3である。
【0098】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、以下の量の成分V2A)~V2H)を使用して調製され、個々の量は常に合計で100重量%になる:
5重量%~40重量%の成分V2A)、
55重量%~90重量%の総和の成分V2B)と任意でV2F)、
0.5重量%~20重量%の総和の成分C1)と任意でV2E)、
0.1重量%~10重量%の成分C2)、
0重量%~20重量%の成分V2D)、
0.1重量%~20重量%の成分V2G)および
0重量%~10重量%の成分V2H)。
【0099】
最も好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンウレアは、成分A)~H)のみを反応させることによって得られる。その場合、ポリウレタンウレアの調製にさらなる成分は使用されない。
【0100】
本発明により好ましく使用されるポリウレタンウレアの数平均分子量は、好ましくは2000g/mol以上300000g/mol以下、好ましくは5000g/mol以上150000g/mol以下である。
【0101】
本発明により使用されるポリウレタンウレアは、好ましくは非晶質であり、Tgが-25℃以下、より好ましくは-50℃以下、最も好ましくは-70℃以下である。
【0102】
本発明の文脈における「非晶質」は、ポリウレタンウレアが、以下に詳述する試験方法で指定される温度範囲内で、たとえあるとしても、ごく微量のこのような結晶成分のみを形成し、記載されるDSC測定によって、言及した温度範囲内でただ1つまたは複数のガラス転移点Tを見つけるが可能であるが、20J/g以上の融解エンタルピーを有する融解領域を見つけることができないことを意味する。
【0103】
ガラス転移温度Tは、本発明の文脈では、加熱速度20K/分で、-100℃~+150℃の加熱運転、その後320K/分の冷却速度での冷却で構成される3回の直接連続実行を行い、第3の加熱曲線を用いて値を決定し、ガラス転移ステップの高さの半分の温度としてTを決定することによって、Tの測定のためにインジウムおよび鉛で較正したDSC機器を使用して、DIN EN 61006、方法Aに準拠して動的示差熱量測定法によって測定される。
【0104】
ポリウレタンウレアが分散体の形であるべきである場合、DSC測定用の試料調製において特別な手順に従う。DSCによる分散体のガラス転移温度Tの決定では、ポリマーのTが、分散剤(水、中和剤、乳化剤、共溶媒等)の熱効果によってマスクされ得る、またはポリマーとの混和性により明確に低下し得る。したがって、少量の残留料の分散剤でさえ可塑剤として作用し、結果としてガラス転移温度を低下させる可能性があるため、分散剤が、DSC測定前に、好ましくは最初に適切な乾燥によって完全に除去される。したがって、分散体は、好ましくはガラス板上に湿潤膜厚(WFT)100μmでナイフコーティングされ、フラッシュオフされ、次いで、ドライボックス中RTおよび0%相対空気湿度(rh)で2日間穏やかに乾燥される。DSC測定の最初の加熱操作でこの試料を調製した後でも、膜内の残留水分の広い吸熱蒸発範囲が発生し得る。したがって、特定の値を可能な限りこのような影響から解放するために、第3の加熱曲線が評価される。
【0105】
製品を製造するために本発明により使用されるポリウレタンウレアは、好ましくは、イソシアネート反応性基を含む生理学的に許容される媒体中にある。媒体はより好ましくは水であり、ポリウレタンウレアは最も好ましくは水性分散体の形態である。一般的に、存在していてもよい他の液体媒体、例えば溶媒と並んで、水は、イソシアネート反応性基を含む液体媒体の総量に基づいて、媒体の主成分(50重量%以上)を形成し、おそらくイソシアネート反応性基を含む唯一の液体媒体でさえある。
【0106】
本発明の粘弾性要素自体が、もしあれば、残留量のこの媒体のみを含有するポリウレタンウレア自体を含有する。
【0107】
したがって、好ましくは、使用されるポリウレタンウレアは水に分散可能であり、これは、本発明の文脈において、23℃のポリウレタンウレアが水中、特に脱イオン水中で沈降安定性分散体を形成することができることを意味する。
【0108】
本発明により使用されるポリウレタンウレアは、好ましくは、成分V2A)、V2B)ならびに任意でV2D)および/またはC2)、ならびに任意で化合物V2E)および/またはV2H)からイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)を調製し(ステップa)、次いで、その遊離NCO基を、アミノ官能性鎖延長剤成分V2C)、および成分V2G)、ならびに任意で成分V2D)およびV2H)と完全または部分的に反応させる(ステップb)ことによって得られる。
【0109】
しかし、成分V2H)をステップb)まで使用しない場合、これを好ましくは成分V2C)の添加前に添加し、プレポリマーa)と反応させる。
【0110】
本発明の好ましい実施形態では、ステップb)で、反応を、鎖延長剤のジアミンまたは複数のジアミン(成分V2C)を使用して、また分子量を制御するための鎖停止剤として単官能性成分V2G)を添加して行う。
【0111】
成分V2A)~V2H)はここでは、上に指定されるように定義される。上記の好ましい実施形態も適用可能である。
【0112】
好ましくは、ステップb)、ポリウレタンウレアを調製するためのプレポリマーa)の反応で、成分C1)、C2)およびV2G)の混合物を反応させる。成分C1)の使用は、前もって調製されたイソシアネート官能性プレポリマーの粘度を処理の障壁となる程度まで上昇させることなく、高いモル質量の形成をもたらすことができる。成分C1)、C2)およびV2G)の組み合わせを使用すると、親水性と鎖長の最適なバランスを確立することができる。
【0113】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンプレポリマーa)は末端イソシアネート基を有し、これは、イソシアネート基がプレポリマーの鎖末端にあることを意味する。より好ましくは、プレポリマーの全ての鎖末端はイソシアネート基を有する。
【0114】
V2A)~V2H)はここでは、上に指定されるように定義される。上記の好ましい実施形態も適用可能である。
【0115】
好ましくは、ステップb)、ポリウレタンウレアを調製するためのプレポリマーa)の反応で、成分C1)、C2)およびV2G)の混合物を反応させる。成分C1)の使用は、前もって調製されたイソシアネート官能性プレポリマーの粘度を処理の障壁となる程度まで上昇させることなく、高いモル質量の形成をもたらすことができる。成分C1)、C2)およびV2G)の組み合わせを使用すると、親水性と鎖長の最適なバランスを確立することができる。
【0116】
好ましくは、本発明により使用されるポリウレタンプレポリマーa)は末端イソシアネート基を有し、これは、イソシアネート基がプレポリマーの鎖末端にあることを意味する。より好ましくは、プレポリマーの全ての鎖末端はイソシアネート基を有する。
【0117】
親水化成分C2)および/またはV2D)を使用してプレポリマーの親水性を制御することができる。さらに、当然ながら、なおさらなる成分もプレポリマーの親水性、特に成分V2B)の親水性にとって重要である。
【0118】
好ましくは、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)が、水不溶性で非水分散性である。
【0119】
本発明の文脈において、「水不溶性で非水分散性のポリウレタンプレポリマー」という用語は、より具体的には、23℃で本発明により使用されるプレポリマーの水溶性が10g/リットル未満、好ましくは5g/リットル未満であり、23°でプレポリマーが、水、特に脱イオン水中で沈降安定性分散をもたらさないことを意味する。換言すれば、プレポリマーは、水中に分散させようとすると沈降する。水不溶性または水への分散性の欠如は、界面活性剤を添加しない脱イオン水に関連している。
【0120】
さらに、本発明により使用されるポリウレタンプレポリマーa)は、好ましくは、本質的にイオン性基もイオノゲン性基(イオン性基を形成することができる基)も有さない。本発明の文脈において、これは、イオン性および/またはイオノゲン性基、例えば特に、カルボキシレートもしくはサルフェートなどのアニオン性基、またはカチオン性基の割合が、ポリウレタンプレポリマーa1)100g当たり15ミリ当量未満、好ましくは5当量未満、より好ましくは1当量未満、最も好ましくはポリウレタンプレポリマーa)100g当たり0.1ミリ当量未満であることを意味する。
【0121】
酸性イオン性基および/またはイオノゲン性基の場合、プレポリマーの酸価は、適切には30mg KOH/gプレポリマー未満、好ましくは10mg KOH/gプレポリマー未満である。酸価は、検査する試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量をミリグラムで示す(DIN EN ISO 211に準拠した測定)。中和された酸、すなわち対応する塩は、当然、ゼロまたは減少した酸価を有する。ここで本発明により重要なことは、対応する遊離酸の酸価である。
【0122】
ここで、水不溶性で非水分散性のイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーa)は、好ましくは成分V2A)、V2B)ならびに任意にV2D)、V2E)および/またはV2H)からのみ得られる。
【0123】
成分はここでは、上に指定されるように定義される。上記の好ましい実施形態も適用可能である。
【0124】
結果的として、この実施形態では、プレポリマーa)を調製するためにイオン性親水化成分C2)もD2)も使用しないことが好ましい。このステップでは成分V2G)も添加されない。親水化剤D1)は、好ましくは、プレポリマーがそれにもかかわらず水不溶性で水分散性でないような量で使用される。ポリウレタンウレアの総質量に基づいて、より好ましくは10重量%以下の成分D1)、さらにより好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下の成分D1)が使用される。さらに好ましくは、成分D1)はプレポリマーa)の調製に使用されない。
【0125】
本発明のこの実施形態では、成分V2B)がイオン性基もイオノゲン性基も有さない。さらに、本発明のこの実施形態では、成分V2B)として、ポリエーテルポリオールのみ、特に存在する全てのアルキレンオキシド単位に基づいて、10mol%以下のエチレンオキシド単位を含む、好ましくはエチレンオキシド単位を含まないポリアルキレンオキシドエーテルを使用することが好ましい。
【0126】
結果として、本発明のこの実施形態で好ましく使用されるポリウレタンウレアは、イオン性基またはイオノゲン性基、好ましくはアニオン性基を有する;これらのアニオン性基は、ステップb)で使用される親水化成分C2)を介して、本発明により使用されるポリウレタンウレアに導入される。本発明により使用されるポリウレタンウレアは、親水化のための非イオン性成分をさらに含んでもよい
より好ましくは、親水化のために本発明により使用されるポリウレタンウレアは、成分C2)として対応するジアミンを介してステップb)でポリウレタンウレアに導入されるスルホネート基のみを含む。
【0127】
本発明のあまり好ましくない代替実施形態では、本発明のポリウレタンウレアの調製に使用されるプレポリマーa)が、水溶性または水分散性である。この実施形態では、親水化成分V2D)および/またはC2)が、プレポリマーが水溶性または水分散性であるのに十分な量でプレポリマーa)の調製に使用される。ここで、プレポリマーa)は、好ましくはイオン性基またはイオノゲン性基を有する。
【0128】
本発明のこの実施形態に適した親水化成分V2D)およびC2)は、V2D)およびC2)について上で言及した化合物である。使用される親水化成分は、好ましくは、少なくともD1)および/またはC2)上で言及した化合物である。
【0129】
本発明の製品の調製に使用されるポリウレタンウレアは、好ましくは、ステップb)の前、間または後に、より好ましくはステップb)の間または後に水に分散される。このようにして、ポリウレタンウレアの分散体が得られる。
【0130】
ポリウレタンウレア分散体の製造は、ここでは、部分的に分散相で、均一反応または多段階反応で、1つまたは複数の段階で、行うことができる。プレポリマーa)の調製に、好ましくは分散、乳化または溶解ステップが続く。これに、分散相のさらなる重付加または修飾が続いてもよい。この場合、各場合で対応するプレポリマーに適した溶媒または分散剤、例えば水またはアセトンまたはこれらの混合物が選択される。
【0131】
ここで、先行技術から知られている任意の方法、例えばプレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法を使用することが可能である。アセトン法を使用することが好ましい。
【0132】
アセトン法による調製では、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを調製するために、成分V2B)、任意でV2D)およびV2E)およびポリイソシアネート成分V2A)を任意で成分V2H)と組み合わせて全体的にまたは部分的に最初に装入し、任意でこれらを水混和性であるがイソシアネート基に対して不活性な溶媒で希釈し、これらを50~120℃の範囲の温度に加熱することが慣用的である。イソシアネート付加反応は、ポリウレタン化学で知られている触媒を使用して加速することができる。
【0133】
適切な溶媒は、アセトン、2-ブタノンなどの慣用的な脂肪族ケト官能性溶媒であり、調製の開始時だけでなく、後の段階で少しずつ添加してもよい。アセトンおよび2-ブタノンが好ましく、アセトンが特に好ましい。イソシアネート反応性基を含まない他の溶媒の添加も可能であるが、好ましくない。
【0134】
その後、反応の開始時にまだ添加していないV2A)、V2B)、ならびに任意でV2H)、V2D)およびV2E)の任意の成分を計量して入れることができる。
【0135】
V2A)、V2B)ならびに任意でV2H)、V2D)およびV2E)からのポリウレタンプレポリマーの調製では、イソシアネート基とイソシアネート反応性基のモル比が、好ましくは1.05~3.5、より好ましくは1.1~3.0、最も好ましくは1.1~2.5である。
【0136】
成分V2A)、V2B)ならびに任意でV2H)、V2D)およびV2E)のプレポリマーへの変換は、部分的にまたは完全に、しかし好ましくは完全に行うことができる。このようにして、遊離イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーを、ニート形態でまたは溶液で得ることができる。
【0137】
イオノゲン性基、例えばカルボキシル基がプレポリマーに存在するべきである場合、これらをさらなるステップで中和によってイオン性基に変換することができる。
【0138】
中和ステップでは、潜在的アニオン性基のアニオン性基への部分的または完全な変換のために、第三級アミン、例えば各アルキル基中に1~12個、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは2~3個の炭素原子を有するトリアルキルアミンなどの塩基、最も好ましくは対応する水酸化物などのアルカリ金属塩基を使用することが可能である。
【0139】
使用可能な中和剤は、好ましくは、アンモニア水溶液または水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの無機塩基である;水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましい。
【0140】
塩基のモル量は、中和される酸基のモル量の好ましくは50~125mol%、より好ましくは70~100mol%である。水分散体が中和剤を既に含有しているという点で、中和を分散と同時に行うこともできる。
【0141】
中和後、さらなるプロセスステップで、これが行われるにしても部分的にしか行われていない場合、得られたプレポリマーを、アセトンまたは2-ブタノンなどの脂肪族ケトンを用いて溶解する。
【0142】
段階b)の鎖延長/停止では、成分V2C)、V2G)、および任意でV2D)を、プレポリマーにまだ残っているイソシアネート基と反応させる。水に分散させる前に鎖延長/停止を行うことが好ましい。
【0143】
鎖延長に適した成分V2C)および鎖停止に適した成分V2G)は、既に上に列挙されている。上記の好ましい実施形態も同様に適用可能である。
【0144】
NH基またはNH基を有する定義C2)によるアニオン性親水化剤が鎖延長に使用される場合、ステップb)におけるプレポリマーの鎖延長は、好ましくは水への分散前に行われる。
【0145】
プレポリマーの遊離NCO基に対する鎖延長および鎖停止に使用される化合物のNCO反応性基の当量比は、一般に40%~150%、好ましくは50%~110%、より好ましくは60%~100%である。
【0146】
成分C1)、C2)およびV2G)は、本発明の方法において、水または溶媒で希釈された形態で、個別にまたは混合物で使用されてもよく、原則として任意の添加順序が可能である。
【0147】
水または有機溶媒がステップb)で希釈剤として含まれる場合、使用される成分C1)、C2)およびV2G)のそれぞれの希釈剤含有量は、好ましくは40重量%~95重量%である。
【0148】
分散は、好ましくは鎖延長および鎖停止の後に続く。この目的のために、(例えば、アセトンに)溶解し、アミンと反応したポリウレタンポリマーを、任意で高剪断下で、例えば激しい攪拌下で分散体水に導入する、または逆に、分散体水を鎖延長ポリウレタンポリマー溶液中に攪拌する。好ましくは、水を溶解したポリウレタンポリマーに添加する。
【0149】
分散ステップ後、分散体中にまだ存在する溶媒は、典型的には蒸留によって除去する。分散中であっても同様に除去が可能である。
【0150】
得られた水性ポリウレタンウレア分散体は、好ましくは、水性ポリウレタンウレア分散体に基づいて、10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満の含有量の揮発性有機化合物(VOC)、例えば揮発性有機溶媒を有する。本発明の文脈におけるVOCは、特に、101.3kPaの標準圧力で最大250℃の初期沸点を有する有機化合物である。
【0151】
本発明の文脈において、揮発性有機化合物(VOC)の含有量は、特にガスクロマトグラフィー分析によって決定される。
【0152】
ポリウレタンウレアは、好ましくは水性分散体として製品の調製に使用される。
【0153】
本発明により使用される水性ポリウレタン分散体のpHは、典型的には9.0未満、好ましくは8.5未満であり、より好ましくは5.5~8.0である。
【0154】
良好な沈降安定性を達成するために、特定のポリウレタンウレア分散体の数平均粒径は、脱イオン水で希釈した後にレーザー相関分光法(機器:Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst.Limited)によって測定して、好ましくは750nm未満、より好ましくは500nm未満である。
【0155】
ポリウレタンウレア分散体の固形分は、好ましくは10重量%~70重量%、より好ましくは20重量%~60重量%、最も好ましくは40重量%~60重量%である。固形分は、秤量した試料を125℃に加熱して一定重量にすることによって確認する。一定重量で、試料を再秤量して固形分を計算する。
【0156】
好ましくは、これらのポリウレタンウレア分散体は、分散体の質量に基づいて、5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満の未結合有機アミンを含む。
【0157】
本発明の製品の製造に使用されるポリウレタンウレア分散体は、23℃で、10s-1の一定剪断速度で、好ましくは1mPa・s以上10000mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以上5000mPa・s以下、最も好ましくは100mPa・s以上4000mPa・s以下の粘度を有する。粘度は、「方法」節に記載されるように決定される。
【0158】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、成分(V1)と(V2)が、2つの成分(V1)および(V2)の総重量に基づいて、5:1~1:1、または好ましくは4:1~1:1、または好ましくは3:1~1:1の重量比の成分(V1)と(V2)の反応にある。
【0159】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、粘弾性要素が、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
i.DIN EN ISO 3386-1:2015-10に準拠して測定して、0.40~0.90、または好ましくは0.45~0.80、または好ましくは0.45~0.70の減衰(圧縮硬度測定から);
ii.DIN EN ISO 527-2に準拠して測定して、0.12MPa~0.40MPa、または好ましくは0.13~0.35MPa、または好ましくは0.14~0.30MPa、または好ましくは0.15~0.25MPaの範囲内の破壊応力;
iii.DIN EN ISO 527-2に準拠して測定して、150%~300%、または好ましくは180%~290%、または好ましくは200%~280%、または好ましくは220%~270%の範囲内の破壊時の伸び率;
iv.DIN EN 13726-1に準拠して測定して、乾燥フォームの重量に基づいて、1800%(g/g)以下、または好ましくは1700%(g/g)以下、または好ましくは1500%(g/)以下の吸水率;
v.方法で後に記載される、最大吸収に基づいて、80%以下、または好ましくは70%以下、または好ましくは60%以下、または好ましくは20%以上80%以下の範囲内、または好ましくは30%以上70%以下の範囲内の保持率;
vi.2~50秒、または好ましくは3~40秒、または好ましくは4~30秒の範囲内の、標準圧およびRTでの、元の体積の少なくとも90%までの、50%の元の体積の圧縮(7kPaの圧力で)後の回復時間;
vii.0.1cm~1m、または好ましくは0.15cm~0.5m、または好ましくは0.2cm~0.1mの範囲内の体積;
viii.150~400g/l、または好ましくは170~380g/l、または好ましくは180~350g/l、または好ましくは200~300g/lの範囲内の密度;
ix.DIN EN ISO 6721-1に準拠して測定して、0.140以上(レオロジー試験から)の損失係数、好ましくは0.140~0.400、または好ましくは0.150~0.350、または好ましくは0.160~0.300の範囲内の損失係数;
x.0.08MPa~0.25MPa、または好ましくは0.08MPa~0.2MPa、または好ましくは0.08MPa~0.15MPaの範囲内の、DIN EN ISO 527-2に準拠した弾性率。
【0160】
粘弾性要素は、特徴i.~x.の全ての可能な組み合わせを有し得る。好ましくは、粘弾性要素は、少なくとも特徴vi.を有し、さらに好ましくはvi.と特徴i.、ii.またはiii.の少なくとも1つの特徴の組み合わせを有する。好ましくは、粘弾性要素は、特徴i.~iii.とvi.の組み合わせを有する。さらに好ましくは、粘弾性要素は、特徴i.~vi.の組み合わせを有する。好ましくは、粘弾性要素は、特徴i.~x.の全てを有する。
【0161】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、成分V2B)およびV2F)が合わせて、成分V2B)およびV2F)の総質量に基づいて、30重量%以下の成分V2F)を含有する。
【0162】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、成分V2A)がイソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートである。好ましくは、成分V2A)が、イソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートのみを含む。
【0163】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、成分V2B)が、ポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオール((HO-(CH-CH-CH-CH-O)-Hなど)を含有するまたはからなる。好ましくは、成分V2B)が、成分V2B)の総質量に基づいて、少なくとも50重量%の程度まで、または好ましくは少なくとも70重量%の程度まで、または好ましくは少なくとも90重量%の程度までのポリ(テトラメチレングリコール)ポリエーテルポリオールを含有する。
【0164】
粘弾性要素の好ましい実施形態では、成分(V1)が、
V1A)140g/mol以上278g/mol以下、好ましくは168g/mol以上258g/mol以下のモル質量の低分子量または脂肪族ジイソシアネートと、
V1B)22.5mg KOH/g以上112mg KOH/g以下のOH価、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50mol%以上100mol%以下のエチレンオキシド含有量の二~六官能性ポリアルキレンオキシド、
V1C)任意で、140g/mol以上278g/mol以下、または好ましくは168g/mol以上258g/mol以下のモル質量を有する低分子量または脂肪族ジイソシアネートの複素環式4員または6員環オリゴマー、
V1D)任意で、触媒、
V1E)任意で、弱無機酸のアルカリ金属塩、
V1F)任意で、界面活性剤、
V1G)任意で、一価または多価アルコール、
V1H)以下の成分:
V1H1)1つまたは複数の、140g/mol以上278g/mol以下、好ましくは168g/mol以上258g/mol以下のモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネート、および/または2以上6以下のイソシアネート官能価を有するそこから調製可能なポリイソシアネート;
および/または
V1H2)1つまたは複数の、10以上250以下のOH価、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50mol%以上100mol%以下のエチレンオキシド含有量を有する単官能性ポリアルキレンオキシド;
および/または
V1H3)V1H1)で言及した成分とV1H2)で言及した成分の反応によって得られる親水性イソシアネート成分
の反応によって得られる、プレポリマーに基づいて、1.0重量%以下の重量割合の、140g/mol以上278g/mol以下、好ましくは168g/mol以上258g/mol以下のモル質量を有する低分子量脂肪族ジイソシアネートを有するイソシアネート官能性プレポリマーである。
【0165】
V1H)で言及した親水性ポリイソシアネートは、典型的には、1molの単官能ポリアルキレンオキシド成分V1H2)のOH基と1.25~15mol、好ましくは2~10mol、より好ましくは2~6molの脂肪族ジイソシアネートに基づいて2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートV1H1)のNCO基の反応によって調製される。このようなポリイソシアネートV1H1)の例は、ビウレット構造、イソシアヌレートまたは脂肪族ジイソシアネートに基づくウレトジオンである。ポリイソシアネートV1H1)およびポリアルキレンオキシドV1H2)は、好ましくはウレタン基または尿素基を介して互いに結合しており、特にウレタン基を介した結合が好ましい。
【0166】
イソシアネート官能性プレポリマーV1A)のNCO含有量は、好ましくは1.5重量%~4.5重量%、より好ましくは1.5重量%~3.5重量%、最も好ましくは1.5重量%~3.0重量%である。
【0167】
成分V1A)の低分子量脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)が好ましい。BDI、HDI、IPDIが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが極めて特に好ましい。
【0168】
成分V1D)の触媒を使用することによって、尿素/ウレタン形成を加速することができる。これらは典型的には、ポリウレタン技術から当業者に知られている化合物である。ここでは、触媒活性金属塩、アミン、アミジンおよびグアニジンからなる群の化合物が好ましい。例としては、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、酢酸スズ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン-4(DBO)、N-エチルモルホリン(NEM)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ペンタメチルグアニジン(PMG)、テトラメチルグアニジン(TMG)、シクロテトラメチルグアニジン(TMGC)、n-デシルテトラメチルグアニジン(TMGD)、n-ドデシルテトラメチルグアニジン(TMGDO)、ジメチルアミノエチルテトラメチルグアニジン(TMGN)、1,1,4,4,5,5-ヘキサメチルイソビグアニジン(HMIB)、フェニルテトラメチルグアニジン(TMGP)およびヘキサメチレンオクタメチルビグアニジン(HOBG)が挙げられる。
【0169】
成分V1D)の触媒としてアミン、アミジン、グアニジンまたはこれらの混合物を使用することが好ましい。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)を使用することも好ましい。
【0170】
しかし、触媒を省くことも可能であり;これが望ましい。
【0171】
弱無機酸のアルカリ金属塩が成分V1E)として使用される。これらは、無機酸のアルカリ金属塩を意味すると理解され、その対応する遊離酸は、25℃で水中のpKaが4.0超である。弱無機酸の特に適切なアルカリ金属塩の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムであり、これらの塩の任意の混合物を含む。
【0172】
フォーム形成、フォーム安定性、または得られるポリウレタンフォームの特性は、成分V1F)の化合物を使用することによって改善することができ、このような添加剤は、原則として、それ自体既知のアニオン性、カチオン性、両性および非イオン界面活性剤、ならびにこれらの混合物のいずれかであり得る。アルキルポリグリコシド、EO/POブロックコポリマー、アルキルまたはアリールアルコキシレート、シロキサンアルコキシレート、スルホコハク酸のエステルおよび/またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属アルカノエートを使用することが好ましい。EO/POブロックコポリマーを使用することが特に好ましい。成分V1F)としてEO/POブロックコポリマーのみを使用することが好ましい。
【0173】
さらに、得られるポリウレタンフォームのフォーム特性は、成分V1G)の化合物を使用することによって改善することができる。これらは、原則として、それ自体が当業者に知られている全ての一価および多価アルコール、ならびにこれらの混合物である。これらは、一価もしくは多価アルコールまたはポリオール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、デカノール、トリデカノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、単官能性ポリエーテルアルコールおよびポリエステルアルコール、ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオールである。
【0174】
V1H)に列挙されている親水性ポリイソシアネートの調製では、単官能性ポリアルキレンオキシドV1H2)と低分子量脂肪族ジイソシアネートV1H1)の比が、好ましくは単官能性ポリアルキレンオキシドのOH基1mol毎に、1.25~15mol、好ましくは2~10mol、より好ましくは2~6molの低分子量脂肪族ジイソシアネートV1H1)のNCO基があるように調整される。これに、アロファネート化またはビウレット化および/またはイソシアヌレート形成またはウレトジオン形成が続く。ポリアルキレンオキシドV1H2)がウレタン基を介して脂肪族ジイソシアネートV1H1)に結合している場合、アロファネート化が好ましくはその後に行われる。イソシアヌレート構造単位が形成されることがさらに好ましい。
【0175】
反応を、スズ化合物、亜鉛化合物、アミン、グアニジンもしくはアミジンなどのウレタン化触媒の存在下、または亜鉛化合物などのアロファネート化触媒の存在下で行うことができる。
【0176】
反応は典型的には25℃~140℃、好ましくは60℃~100℃で行われる。
【0177】
成分V1H1)の低分子量脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ビスイソシアナトメチルトリシクロデカン、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはジイソシアナトドデカンであり、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシアネート(BDI)およびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)が好ましい。BDI、HDI、IPDIが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが極めて特に好ましい。高分子量ポリイソシアネートV1H2)の例は、上記のパラグラフで言及した脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートに基づいて、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジントリオン、オキサジアジントリオンおよび/またはウレトジオン基を有する2~6のイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートである。
【0178】
使用される成分V1H1)は、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づく、ビウレット、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレートおよび/またはウレトジオン基を有する高分子量化合物である。イソシアヌレートがさらに好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく構造が極めて特に好ましい。
【0179】
単官能性ポリアルキレンオキシドV1H2)は、15~250、好ましくは28~112のOH価、および存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%、好ましくは60~100mol%のエチレンオキシド含有量を有する。
【0180】
本発明の文脈における単官能性ポリアルキレンオキシドは、ただ1つのイソシアネート反応性基、すなわちNCO基と反応することができる1つの基を有する化合物を意味すると理解される。
【0181】
適切なスターター分子のアルコキシル化によるポリアルキレンオキシドV1H2)の調製は、文献(例えば、Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie [Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry],4th edition,volume 19,Verlag Chemie,Weinheim p.31-38から知られている)。適切なスターター分子は、特に飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、および芳香族アルコール、例えばフェノールまたはモノアミン、例えばジエチルアミンである。好ましいスターター分子は、上記のタイプの飽和モノアルコールである。スターター分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn-ブタノールを使用することが特に好ましい。単官能性ポリアルキレンオキシドV1H2)は、典型的には220~3700g/mol、好ましくは500~2800g/molの数平均分子量を有する。
【0182】
単官能性ポリアルキレンオキシドV1H2)は、好ましくはイソシアネート反応性基としてOH基を有する。
【0183】
本発明はさらに、
I)イソシアネート反応性基を含む媒体の存在下で、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー(V1)を少なくとも1つのポリウレタンウレア分散体(V2)と混合して、ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物を得るステップであって、媒体は好ましくは水であるステップと;
II)ステップI)のポリウレタンプレポリマー/媒体混合物を基板に適用するステップと;
III)ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物を硬化して、粘弾性要素を得るステップであって、媒体は好ましくは水であり、ポリウレタンプレポリマー/媒体混合物は特にステップII)のポリウレタンプレポリマー/水混合物であるステップと;
IV)任意で、基板から粘弾性要素を取り除くステップと
を含む、粘弾性要素を製造する方法に関する。
【0184】
本方法の好ましい実施形態では、ステップI)の混合が、ステップII)で混合物を基板に適用する前に3~90秒以内、好ましくは5~60秒以内、または好ましくは6~30秒以内行われる。
【0185】
ステップI)の混合は、当業者によって目的のために選択される任意の混合方法によって行うことができる。混合は、好ましくは、ディスクスターラー、スピードミキサー、アンカースターラー、精密ガラススターラー、静的、動的もしくは静的-動的スターラー、または低圧二成分混合ユニットによって行われる。ステップI)の混合は、好ましくは10~100℃の範囲内、または好ましくは20~60℃の範囲内、または好ましくは23~50℃の範囲内の温度で行われる。ステップI)の混合は、好ましくは大気圧~20バールの圧力の圧力範囲内で行われる。混合は、好ましくは標準圧力で行われる。
【0186】
ステップII)でのステップI)からのポリウレタンプレポリマー/媒体混合物の基板への適用は、当業者によって目的のために選択される任意の方法で行うことができる。適用方法は、好ましくは、注入、噴霧、印刷、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される。その注入は、当業者によって目的のために使用される任意の容器から行うことができる。噴霧は、当業者によって目的のために使用される任意の噴霧ツールによって行うことができる。噴霧は、好ましくは、0.1mm~10mの範囲内、または好ましくは0.5mm~1mの範囲内、または好ましくは1mm~50cmの範囲内の直径を有するノズルによって行われる。基板は、当業者によって目的のために選択される任意の基板であり得る。基板は、好ましくはステップII)のポリウレタンプレポリマー/媒体混合物、特にポリウレタンプレポリマー/水混合物と反応を起こさない材料でできている。基板は、好ましくは、要素が損傷を被ることなく、基板上に要素の残留物を残すことなく、硬化した粘弾性要素から容易に剥離することができるように選択される。基板は、好ましくは、ポリマー、ガラス、セラミック、紙、コート紙、木材、金属またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0187】
粘弾性要素を得るためのステップIII)でのステップII)からのポリウレタンプレポリマー/媒体混合物、特にポリウレタンプレポリマー/水混合物の硬化は、当業者によって目的のために選択される任意の条件下で行うことができる。硬化は、好ましくは、20~100℃の範囲内、または好ましくは30~80℃の範囲内、または好ましくは40~70℃の範囲内の温度で行われる。硬化は、好ましくは、1~180分の範囲内、または好ましくは2~100分の範囲内、または好ましくは5~60分の範囲内、または好ましくは7~30分の範囲内の期間にわたって行われる。硬化は、好ましくは、40~80℃の範囲内の温度で2~30分間行われる。温度は、好ましくは、熱風炉、熱風銃、加熱基板、ラジエーター、例えばIRラジエーター、またはこれらの組み合わせによって制御される。
【0188】
媒体はより好ましくは水である。存在していてもよい他の液体媒体、例えば溶媒と並んで、水は、一般にポリウレタンプレポリマー/媒体混合物の総量に基づいて、媒体の主成分(50重量%以上)を形成し、液体形態で存在する唯一の媒体でさえあってもよい。
【0189】
本発明はさらに、本発明の粘弾性要素または本発明の方法によって製造された粘弾性要素を含む、耳または耳道に導入するための耳栓に関する。
【0190】
本発明はさらに、内部の雑音を最小化するための、本発明の上記の粘弾性要素および本発明の方法によって製造された粘弾性要素の使用に関する。ここで、内部は、少なくとも1つの壁によって囲まれた任意の容積を意味すると理解され得る。適切な内部は、当業者によって目的のために選択される任意の容積である。内部の例は、自動車内部の少なくとも一部、航空機内部の少なくとも一部、耳道もしくは耳の内部、ベッドもしくはベッドフレーム、椅子もしくは椅子フレーム、クッションもしくはクッションカバー、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせである。
【0191】
体の部分の圧力点を低減するための、本発明の上記の粘弾性要素および本発明の方法によって製造された粘弾性要素の使用が好ましい。これらの例は、支持された体の部分に圧力点が発生することなく、好ましくは数時間、または好ましくは数日間、または好ましくは数週間の期間にわたって、体の少なくとも1つの部分を支持する目的で使用することができるマットレス、枕、椅子クッション、肘掛け椅子クッション、自動車の座席、航空機の座席、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせの形態の粘弾性要素である。
【0192】
本発明はさらに、
(V1)イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと;
(V2)ポリウレタンウレア分散体と
からなる、粘弾性要素を製造するためのキットに関する。
【0193】
本発明の粘弾性要素に関連して成分(V1)および(V2)について上でなされた全ての意見は、キットの成分(V1)および(V2)にも同様に適用可能である。
【0194】
キットの好ましい実施形態では、成分(V2)が水性分散体の形態である。水性分散体が意味することは、本発明の粘弾性要素について既に記載されており、キットにも同様に適用可能である。
【0195】
キットの好ましい実施形態では、成分(V1)が、少なくとも以下の成分:
V1A)脂肪族ジイソシアネートと
V1B)存在するオキシアルキレン基の総量に基づいて、50~100mol%のエチレンオキシド含有量を有する二~六官能性ポリアルキレンオキシド
の反応によって得られる。
【0196】
キットの好ましい実施形態では、ポリウレタンウレア分散体V2)のポリウレタンウレアが、少なくとも
V2A)1.8以上2.6以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分、
V2B)ポリマーポリエーテルポリオール成分、
V2C)少なくとも1つのいかなるイオン性もしくはイオノゲン性基も有さないアミノ官能性化合物C1)および/またはイオン性もしくはイオノゲン性基を有するアミノ官能性化合物C2)を含有する、少なくとも2つのイソシアネート反応性アミノ基を有するアミノ官能性鎖延長剤成分、
V2D)任意で、C2)とは異なるさらなる親水化成分または
V2E)任意で、62~399g/molの分子量を有するヒドロキシ官能性化合物または
V2F)任意で、V2B)とは異なる少なくとも1つのさらなるポリマーポリオールまたは
V2G)イソシアネート反応性基の1つのみが選択された反応条件下で反応混合物中に存在するイソシアネート基と反応する、正確に1つのイソシアネート反応性基を有する化合物または2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物、および任意で、2.6以上4以下の平均イソシアネート官能価を有する脂肪族ポリイソシアネート成分
を反応させることによって得られる。
【0197】
方法:
特に指示がない限り、全てのパーセンテージは組成物の総重量に基づいている。
【0198】
特に明記しない限り、全ての分析測定値は、23℃の温度(室温RTとも呼ばれる)および標準圧力での測定値に関連している。
【0199】
厚さ測定
層厚の決定は、層厚を表示するためにHeidehainのディスプレイ(MT25P)に接続された圧縮空気ゲージで確認した。
【0200】
密度測定
密度を決定するために、5×5cmの寸法のパンチを使用して試料の一部を打ち抜いた(角が丸く、曲線半径3mm)。高さを、上記の方法によって5倍測定の平均から確認した。その後の密度の計算のために、Mettler Toledo XS603S天びんを使用して試料片の質量を決定した。
【0201】
保持率:
フォームの最大吸収を、サイズ5×5cmのフォーム片でDIN EN 13726-1:2002-06に従って決定した。試験溶液A(DIN EN 13726-1:2002-06に従って調製)の完全な吸収後に、サイズ5×5cmのフォーム片をピンセットで拾い上げ、30秒間したたらせて、秤量する。
【0202】
フォーム片を金属製プラットフォームに置き、20秒間、6kgのおもりに均一に供する。おもりを取り外し、おもりを取り外した後、フォーム片を再び秤量する。残っている水分量を、最大吸収の割合として比較によって決定する。
【0203】
回復時間の決定:
寸法6cm×7cm(直径x高さ)の円柱状フォームを2kgのおもり(7kPaの圧力に相当)に供した。約50%に圧縮し、その後、おもりを除去した後、フォーム円柱が元の高さの少なくとも90%に再び達するまでにかかった時間を確認した。
【0204】
本発明の粘弾性フォームの製造:
[実施例1]
(B1):接着剤フリーの創傷接触フォーム
Covestro Germany AGから入手可能なBaymedix(登録商標)FP505(V1)125gを、0.44重量%の炭酸水素ナトリウム(Fluka、ドイツから入手可能)、1.6重量%のPluronic(登録商標)PE6800(BASF SE、ドイツから入手可能)、0.13重量%のクエン酸一水和物(ACROS Organicsから入手可能)および66.6重量%のBaymedix(登録商標)AD111(V2)(Covestroから入手可能)の水溶液75gと、930rpmでアンカー撹拌翼(Pendraulik GmbHのLabordissolver 5 green 037)を有する攪拌システムを使用して7秒間激しく攪拌しながら混合し、次いで、1.5mmギャップのスキージを使用して、Felix Scholler Group、Osnabruck製のY 05200型の剥離紙にx-y方向に適用した。その後、x-y方向に延びる反応混合物の表面を、同じ紙のニードルバリアント(needled variant)(直径0.1mmの穴および1cm当たり10の穴密度を含む)で覆った。
【0205】
以下の測定結果を確認した。
【表1】
【0206】
[実施例2]
(B2)接着剤フリーの創傷接触フォーム
Covestro Germany AGから入手可能なBaymedix(登録商標)FP505(V1)125gを、0.66重量%の炭酸水素ナトリウム(Fluka、ドイツから入手可能)、2.4重量%のPluronic(登録商標)PE6800(BASF SE、ドイツから入手可能)、0.2重量%のクエン酸一水和物(ACROS Organicsから入手可能)および50.0重量%のBaymedix(登録商標)AD111(V2)(Covestroから入手可能)の水溶液50gと、930rpmでアンカー撹拌翼(Pendraulik GmbHのLabordissolver 5 green 037)を有する攪拌システムを使用して7秒間激しく攪拌しながら混合し、次いで、1.5mmギャップのスキージを使用して、Felix Scholler Group、Osnabruck製のY 05200型の剥離紙にx-y方向に適用した。その後、x-y方向に延びる反応混合物の表面を、同じ紙のニードルバリアント(needled variant)(直径0.1mmの穴および1cm当たり10の穴密度を含む)で覆った。
【0207】
以下の測定結果を確認した。
【表2】
【0208】
[比較実施例]
(VB1)(本発明によらない):
Covestro Germany AGから入手可能なBaymedix(登録商標)FP505(V1)125gを、1.32重量%の炭酸水素ナトリウム(Fluka、ドイツから入手可能)、4.8重量%のPluronic(登録商標)PE6800(BASF SE、ドイツから入手可能)、0.4重量%のクエン酸一水和物(ACROS Organics、ベルギーから入手可能)の水溶液25gと、930rpmでアンカー撹拌翼(Pendraulik GmbHのLabordissolver 5 green 037)を有する攪拌システムを使用して7秒間激しく攪拌しながら混合し、次いで、1.5mmギャップのスキージを使用して、Felix Scholler Group、Osnabruck製のY 05200型の剥離紙にx-y方向に適用した。その後、x-y方向に延びる反応混合物の表面を、同じ紙のニードルバリアント(needled variant)(直径0.1mmの穴および1cm当たり10の穴密度を含む)で覆った。
【表3】
【0209】
[比較実施例]
(VB2)(本発明によらない):
特許BMS111012(実施例1)のプレポリマー混合物125gを、2.6重量%のオレイン酸ナトリウム(abcr GmbH、ドイツから入手可能)、および55.6重量%のBaymedix(登録商標)FD10(Covestro Deutschland AGから入手可能)の水溶液22.5gと、930rpmでアンカー撹拌翼(Pendraulik GmbHのLabordissolver 5 green 037)を有する攪拌システムを使用して7秒間激しく攪拌しながら混合し、次いで、1.5mmギャップのスキージを使用して、Felix Scholler Group、Osnabruck製のY 05200型の剥離紙にx-y方向に適用した。その後、x-y方向に延びる反応混合物の表面を、同じ紙の(B1)に記載されるニードルバリアントで覆った。
【表4】
【0210】
[比較実施例]
(VB3)(本発明によらない):
特許BMS111012(実施例2)のプレポリマー混合物125gを、1.1重量%のオレイン酸ナトリウム(abcr GmbH、ドイツから入手可能)、および78.5重量%のBaymedix(登録商標)FD103(Covestro Deutschland AGから入手可能)の水溶液55.8gと、930rpmでアンカー撹拌翼(Pendraulik GmbHのLabordissolver 5 green 037)を有する攪拌システムを使用して7秒間激しく攪拌しながら混合し、次いで、1.5mmギャップのスキージを使用して、Felix Scholler Group、Osnabruck製のY 05200型の剥離紙にx-y方向に適用した。その後、x-y方向に延びる反応混合物の表面を、同じ紙の(B1)に記載されるニードルバリアントで覆った。
【表5】