IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テクノプローべ ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

特許7361036カンチレバーコンタクトプローブおよび対応するプローブヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】カンチレバーコンタクトプローブおよび対応するプローブヘッド
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20231005BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01R1/067 G
G01R1/073 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020539191
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019051024
(87)【国際公開番号】W WO2019141716
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102018000001173
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェットーリ、リカルド
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0342232(US,A1)
【文献】特開2007-303826(JP,A)
【文献】特開2011-043377(JP,A)
【文献】特開2002-365308(JP,A)
【文献】特開2005-069712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下降プローブセクション(31b)と上昇プローブセクション(31c)との間に挿入されたプローブ本体(40)であって、コンタクトプローブがカンチレバープローブヘッド(30)内に実装されると、前記下降プローブセクション(31b)が被試験デバイス(35)のウェーハの平面に対応する参照平面(π)に対して傾いた所定の長手方向軸(HH)に沿って延在するプローブ本体(40)、を備えるカンチレバーコンタクトプローブ(31)であって、
前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)がさらに、前記下降プローブセクション(31b)における屈曲点(PG1)に始まり、および、前記ウェーハの前記被試験デバイス(35)の接触パッド(35A)に当接するように構成された前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)の接触先端(36A)で終端する、前記長手方向軸(HH)に対して曲げられた、前記下降プローブセクション(31b)内に形成された少なくとも1つの端部(31a)を備え、
本体(40)が、少なくとも1つの基部(40a)であって、前記基部(40a)に始まり、前記参照平面(π)に対して直交して、成形された前記本体(40)の長手方向延在軸(A)に沿って延在し、前記本体(40)の横方向延在軸(BB)方向の寸法である径(D1)を有する上部(40d)と、前記上部(40d)に接続され、前記上部(40d)の前記径(D1)よりも大きな前記横方向延在軸(BB)方向の寸法である径(D2)を有する最上部(40e)とを備えている、少なくとも1つの基部(40a)を備えており、
前記上部(40d)および前記最上部(40e)は、前記参照平面(π)に対して直交する方向に沿ったT字状の断面を有する構造を形成するように成形され、前記上部(40d)は、前記T字状の断面を有する要素の縦棒であり、および前記最上部(40e)は、前記T字状の断面を有する要素の横棒であり、
前記成形された本体(40)の前記基部(40a)が、前記長手方向延在軸(AA)に対して直交しており、および、前記参照平面(π)に平行の、前記成形された本体(40)の横方向延在軸(BB)に沿って前記基部(40a)の反対の部分から延在する少なくとも一対のアーム(40b1、40b2)を備え、
前記一対のアーム(40b1、40b2)それぞれが、そこから始まり直交して、前記最上部(40e)の方向において、前記成形された本体(40)の前記長手方向延在軸(AA)に沿って延在するそれぞれの突出部(40c1、40c2)を備え、
少なくとも前記基部(40a)、前記上部(40d)、および前記最上部(40e)を備える前記成形された本体(40)が単一の片であるカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項2】
前記上昇プローブセクション(31c)が前記成形された本体(40)の前記最上部(40e)から延在しており、前記下降プローブセクション(31b)が前記成形された本体(40)の前記基部(40a)から延在している、請求項1に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項3】
前記成形された本体(40)の前記基部(40a)が、矩形形状の長手方向セクション、および、前記上部(40d)の前記径(D1)および前記最上部(40e)の前記径(D2)よりも大きな、横方向延在軸(BB)に沿った最大横方向寸法を有する、請求項1に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項4】
前記成形された本体(40)の前記最上部(40e)近くの前記上昇プローブセクション(31c)において画定されたさらなる屈曲点(PG2)を備え、前記上昇プローブセクション(31c)が、前記参照平面(π)に対して直交しており、前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)のさらなる接触端(36B)で終端する、請求項1に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項5】
前記成形された本体(40)が、前記横方向延在軸(BB)に沿って略スロット状に設けられた開口(38)を備える、請求項1に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項6】
前記一対のアーム(40b1、40b2)の内、他方のアームよりも大きな長さを有する一方のアームのより近くに前記開口(38)が形成される、請求項5に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項7】
前記下降プローブセクション(31b)において、および/または前記上昇プローブセクション(31c)において形成された、前記被試験デバイス(35)の前記接触パッド(35A)に加えられる力、および/または、PCB基板(33)の接触パッド(33A)に加えられる力を減衰する、少なくとも1つの減衰部(50、51)をさらに備える、請求項1に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの減衰部(50)は、前記下降プローブセクション(31b)において形成され、屈曲点(PG1a)において、前記端部(31a)に接続され、および、屈曲点(PG1b)において前記下降プローブセクション(31b)に接続されたパンタグラフ部として成形され、基本的には、空のスペース(50e)を画定する四辺(50a~50d)を備える、請求項7に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの減衰部(51)は、前記上昇プローブセクション(31c)において形成され、基本的には、前記上昇プローブセクション(31c)のさらなる屈曲点(PG2)において前記成形された本体(40)に接続されたばね部として成形され、および、前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)のさらなる接触端(36B)を備える、請求項7に記載のカンチレバーコンタクトプローブ(31)。
【請求項10】
被試験デバイス(35)上に支持構造(32)からカンチレバー状に突出する複数のカンチレバーコンタクトプローブ(31)を収容するように構成された支持構造(32)、を備えるカンチレバープローブヘッド(30)であって、
前記複数のカンチレバーコンタクトプローブ(31)それぞれが、請求項1~9のいずれか1項の記載に従って実現され、および、前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)が、前記支持構造(32)において形成された対応する収容座(41)に挿入することが意図され、および、前記カンチレバープローブヘッド(30)内に前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)を保持するように構成された、成形された本体(40)を備え、
前記支持構造(32)は、互いに重なり合う少なくとも1つの第1の部分(32A)および1つの第2の部分(32B)を備え、
前記支持構造(32)は、前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)の前記成形された本体(40)の前記上部(40d)および前記最上部(40e)の収容のための少なくとも1つの第1の収容座(41d)を備え、前記第1の収容座(41d)は、前記成形された本体(40)の前記上部(40d)および前記最上部(40e)の断面の結合に等しい断面を有しており、
前記支持構造(32)の前記第1の部分(32A)は、前記成形された本体(40)のアーム(40b1、40b2)の突出部(40c1、40c2)の断面と対応しており、および相補的な断面を有する一対の第2の収容座(41c1、41c2)を備え、前記突出部(40c1、40c2)は、前記カンチレバープローブヘッド(30)の通常の作動中に前記第2の収容座(41c1、41c2)内に収容され、
前記支持構造(32)の前記第2の部分(32B)は、前記成形された本体(40)の前記最上部(40e)の通過を可能にする、前記第1の収容座(41)において配置された開口(41e)を備える、カンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項11】
前記支持構造(32)は、前記複数のカンチレバーコンタクトプローブ(31)それぞれの前記成形された本体(40)の少なくとも1つのアーム(40b1、40b2)において配置され、前記少なくとも1つのアーム(40b1、40b2)を収容するように構成されたくぼみを備えている少なくとも1つの第3の部分(32C)をさらに備える、請求項10に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項12】
前記支持構造(32)の第2の部分(32B)に接続され、および、前記複数のカンチレバーコンタクトプローブ(31)のさらなる接触端(36B)を備えている前記上昇プローブセクション(31c)の通過に好適な穴(37A)を設けている少なくとも1つの支持板(37)をさらに備える、請求項10に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項13】
前記支持板(37)が、絶縁材料でできており、および、前記支持構造(32)の第2の部分(32B)と、またはPCB基板(33)と一体化している、請求項12に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項14】
前記支持板(37)を備えている、前記支持構造(32)の第2の部分(32B)がPCB基板(33)との押圧接触で実装され、前記上昇プローブセクション(31c)における前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)の前記さらなる接触端(36B)は、前記PCB基板(33)の接触パッド(33A)に当接する、請求項12に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項15】
それぞれの前記接触先端(36A)またはさらなる接触端(36B)で終端する、前記カンチレバーコンタクトプローブ(31)がそこから突出する前記支持構造(32)をそれぞれが備えている複数のモジュール(60)を備え、前記複数のモジュール(60)の各々は、前記被試験デバイス(35)の前記ウェーハの、前記被試験デバイス(35)によって占められた面積の値に等しいか、または前記値よりも50%高い値を有する面積を有する、請求項10に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項16】
前記複数のモジュール(60)は、前記被試験デバイス(35)の前記ウェーハの面積に等しい、PCB基板(33)の面積を包含するように配分される、請求項15に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項17】
前記複数のモジュール(60)それぞれは、少なくとも1つの固定要素(62)を収容するように構成された少なくとも1つの穴(61A)を設けている少なくとも1つの接触部(61)を備える、請求項15に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項18】
前記複数のモジュール(60)それぞれがアラインメントピン(63)をさらに備える、請求項15に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項19】
前記アラインメントピン(63)と同じ数で相補的な形状を有する収容部を備えている、前記モジュール(60)を収容するための、PCB基板(33)に備えられた支持構造をさらに備える、請求項18に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【請求項20】
PCB基板(33)の接触パッド(33A)の配分を修正するように、異なるサイズを有するそれぞれの第2の端部(31c)を有するコンタクトプローブ(31)を備える、請求項10に記載のカンチレバープローブヘッド(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンチレバーコンタクトプローブに、および対応するプローブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、排他的でないが、特に、半導体ウェーハ上に集積されたデバイスの電気的試験のための試験装置内に実装されるように構成されたプローブヘッドに関し、以下の開示はその説明を簡素化する目的のみで本出願の技術分野を参照して行う。
【0003】
よく知られているように、プローブヘッドは基本的には、マイクロストラクチャの複数の接触パッドを、その試験を行う装置の対応するチャンネルと電気的に接続するように構成された装置である。
【0004】
集積回路に対して行われる試験は、早ければ製造工程において欠陥回路を検出し、分離するのに有用である。通常、プローブヘッドは、したがって、ウェーハ上に集積された回路の、それらの切断、および、チップ格納パッケージ内での組み立て前の電気的試験のために使用される。
【0005】
いわゆる「カンチレバー」プローブヘッド、すなわち、好適な支持体から始まってカンチレバー状に突出する複数のプローブを備えるプローブヘッドは広く使用されている。
【0006】
特に、図1に概略的に示すように、カンチレバープローブを備えたプローブヘッド、すなわちカンチレバープローブヘッド10は通常、集積回路基板すなわちPCB12と関連付けられた、たとえば、アルミニウム、セラミック、または他の好適な材料でできた支持環11を備える。樹脂で通常できている支持体13は、支持環11と関連付けられ、および、複数の可動の接触要素すなわちコンタクトプローブ14であって、一般に、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金でできた線材で構成され、および、参照平面、特に被試験デバイス15、たとえば、それらのコンタクトプローブ14によって試験される対象の集積回路のウェーハの平面に対して好適な角度αで樹脂支持体13を出る複数の可動の接触要素、すなわちコンタクトプローブ14、を実装するように構成される。この理由で、そうしたコンタクトプローブ14は、実際に、片持梁型の、またはカンチレバープローブとして示される。
【0007】
特に、カンチレバーコンタクトプローブ14は、プローブ本体14bに対して、好適な角形成を伴って曲げた、フック14aと通常呼ばれる端部を有する。フック14aは、被試験デバイス15の接触パッド15Aに当接するように構成された接触先端16Aで終端する。したがって、フック14aはプローブ本体14bとフック14aとの間に画定された屈曲点14cにおいて曲げられるので、フック14aは、被試験デバイス15の平面に対して略直交している。
【0008】
図1の局所参照を使用することにより、被試験デバイス15が、水平方向に配置されている一方で、フック14aが垂直方向に配置されており、プローブ本体14bが、角度αを形成して、被試験デバイス15の平面に対して傾斜しているということが判明している。
【0009】
カンチレバープローブヘッド10のコンタクトプローブ14の接触先端16Aと、被試験デバイス15の接触パッド15Aとの間の良好な接続は、デバイス自体にカンチレバープローブヘッド10を押圧することによって確実にされ、コンタクトプローブ14はカンチレバープローブヘッド10に向けたデバイスの移動に対して反対の方向における、垂直方向の曲げを受ける。
【0010】
特に、集積回路のウェーハの通常の試験動作において生じるように、被試験デバイス15が、フック14aに対して垂直方向に移動すると、対応するコンタクトプローブ14は、その被試験デバイス15の平面に対して略直交の方向に曲がり、および、その屈曲点14cは円弧に沿って移動する。
【0011】
被試験デバイス15の方向において樹脂支持体13に対して突出している第1のプローブセクション18aは、その垂直方向の屈曲動作における、コンタクトプローブ14用の作動アームを画定し、通常、「自由長」との語で示される。
【0012】
カンチレバーコンタクトプローブ14のフック状の形状は、被試験デバイス15の接触パッド15Aとの接触、および、予め決められた接触点を超えたその上方のトラベル、すなわち「オーバートラベル」の間に、プローブヘッド-被試験デバイスのシステムの形状によって決まる方向において接触パッド15A上を移動し、それらの接触パッド15Aに対する、カンチレバーコンタクトプローブ14の接触先端16Aのいわゆるスクラブを確実にする。
【0013】
各カンチレバーコンタクトプローブ14はさらに、PCB基板12の方向において樹脂支持体13から突出しており、および、通常、溶接部17においてPCB基板12に溶接されたコンタクトプローブ14のさらなる端部16Bで終端する第2のプローブセクション18bを備える。
【0014】
その溶接部を作るために、第2のプローブセクション18bは、特に数センチメートルオーダーの適切なサイズを有していなければならず;特に、溶接部17は通常、顕微鏡およびピンセットを使用することにより、プローブ毎に手作業で作られる。
【0015】
したがって、溶接部17を作るために、PCB基板12に向けて突出しているプローブセクション18bに対して多少のスペースを設ける必要性が存在している;特に、カンチレバープローブヘッド10の全体の寸法は、別個の接触部、すなわち、コンタクトプローブ14毎に別個の溶接部17を作るために支持環11周りに与えられなければならないスペースの所為で増加する。
【0016】
特に、チップまたはダイの形式における被試験デバイス15のサイズが約5mmである一方で、溶接部17を作るための第2のプローブセクション18bは、数センチメートル(少なくとも10mm=1cm、すなわち、ダイのサイズの2倍)もの長さを有していなければならないことを念頭におくべきである。
【0017】
被試験デバイス15の接触パッド15Aに対して各コンタクトプローブ14によって加えられる力が、とりわけ主なものが:コンタクトプローブ14を作る材料の種類、その形状、それが配置される角度α、第1の突出セクション18aの長さ、すなわちその自由長、および被試験デバイス15のトラベルまたはオーバートラベルである多くの要因に依存することにさらに留意すべきである。それらの要因は、接触パッド15A上の接触フック14aの摺動すなわちスクラブの程度をさらに定める。
【0018】
コンタクトプローブ14の自由長値を均一にし、および、したがって、パッド自体に対して加えられる力の値を均一にし、よって、カンチレバープローブヘッド10全体の消耗および挙動の不変性を確実にするように、それに対して試験を行わなければならないその接触パッド15Aの組に応じて、異なるサイズを有する、一般にアルミニウム、セラミック、または他の好適な材料でできている支持環11を当該技術分野において使用することがさらに知られている。
【0019】
あるいは、図2に概略的に示すように、垂直手法により、プローブヘッドを製作することがさらに知られている。
【0020】
全体として20で示すそうした垂直プローブヘッドは基本的には、良好な電気的および機械的特性を有し、略板状の、および、互いに、ならびに、上述したように、通常、集積回路のウェーハの形態の被試験デバイス25によって画定された平面に平行の、少なくとも一対の支持体またはガイドによって保持された、特殊な合金でできた線材でできている複数のコンタクトプローブ21を備えており、コンタクトプローブ21はその場合、被試験デバイス25の平面に対して略直交している方向において延在する。
【0021】
特に、垂直プローブヘッド20は、少なくとも1つのコンタクトプローブ21がそれらを通って摺動するそれらのガイド穴22Aおよび23Aそれぞれを有する、通常「下方ダイ」、または単に下方ガイド22として示される少なくとも1つの板状の下方支持体、および通常「上方ダイ」、または単に上方ガイド23として示される板状の上方支持体を備える。
【0022】
プローブおよびガイドは、パッケージまたはケース24内に収容され、コンタクトプローブ21の移動および考えられる変形のために自由ゾーンまたはエアギャップ24Aを残すように互いに任意の距離をおいて配置される;この理由で、そうしたゾーン24Aは、屈曲ゾーンとしても示される。
【0023】
各コンタクトプローブ21は、その場合にも、被試験デバイス25の接触パッド25Aに、被試験デバイス25と垂直プローブヘッド20がその端要素を形成する試験装置(図示せず)との間の機械的および電気的接触をもたらすように、当接することが意図された、接触先端21Aを有する一端において終端する。
【0024】
「接触先端」との語は、ここでは、および以下では、被試験デバイスまたは試験装置に接触することが意図されたコンタクトプローブの端ゾーンまたは領域を意味し、その端ゾーンまたは領域は必ずしも尖っていない。
【0025】
場合によっては、複数のコンタクトプローブ21は、上方ガイド23において、ヘッド自体に固定され拘束される:それらは、ブロック化プローブを有するプローブヘッドとして表される。
【0026】
しかし、固定でブロック化されていないが、それぞれの接触パッドを備えているマイクロコンタクト基板を介する場合に、いわゆる基板とインターフェース接続して保持されたプローブを有する複数のプローブヘッドがより頻繁に使用されている:それらは、非ブロック化プローブを有するプローブヘッドとして呼ばれている。マイクロコンタクト基板は通常、「スペーストランスフォーマ」と呼ばれている。というのは、プローブに接触する他に、その両面上に形成され、スペーストランスフォーマ内の好適な金属トラックを介して接続された接触パッドを空間的に再配分し、したがって、被試験デバイスに対して許容されるパッドの中心間の距離の制約を解除することも可能にするからである。図示の便宜上、コンタクトプローブに接触する、スペーストランスフォーマの接触パッドのみを図2に示す。
【0027】
特に、そうした図2を参照すれば、コンタクトプローブ21は、この場合、スペーストランスフォーマ26の複数の接触パッドのうちのパッド26Bの方に向かう接触ヘッド21Bとして示されるさらなる接触先端を有している。プローブ21とスペーストランスフォーマ26との間の良好な電気的接触は、図示しないPCB基板とインターフェース接続することが意図されたスペーストランスフォーマ26の接触パッド26Bに対する、コンタクトプローブ21の接触ヘッド21Bの押圧当接によって常に確実にされる。
【0028】
図2の例では、複数のコンタクトプローブ21はさらに、被試験デバイス25に対するプローブヘッドの押圧接触中の、それらのプローブの曲げを支援するように構成された予変形部21Cをさらに備える。
【0029】
したがって、その場合には、複数のコンタクトプローブ21の複数の接触ヘッド21Bは、ブロック化されておらず浮遊しており、それらは、スペーストランスフォーマ26の接触パッド26Bと押圧接触する。
【0030】
さらに、スペーストランスフォーマ26は、それに接続されることが意図されたPCB基板からスペーストランスフォーマが直接得られることを提供するいわゆるダイレクトアタッチによる、または、スペーストランスフォーマが、PCB基板と物理的に分離され、配線を接合することによりそれに接続される配線手法による、異なる手法によって製作することが可能である。
【0031】
垂直手法の主な利点は、近い接触パッド、すなわち非常に狭いピッチを有する、および、さらに、完全アレイタイプの、すなわち、四辺すべての上に配置されたパッドを有するデバイスを試験することができることである。
【0032】
実際には、カンチレバー手法では、先端がテーパー形状を有しているので、カンチレバープローブヘッドは、特に、対応する支持環について多層構造を使用して、および、非常に近い、すなわち低減されたピッチを有するパッドに接触するための、テーパー状の先端パターンのみを活用して、ピッチの点において奏功している。
【0033】
垂直手法では、パッド間の距離は、プローブ径によって、および、ガイド内に形成されるガイド穴を近付け得る能力によって制限される。ここでは、および以下では、「パッド間の距離」の定義、すなわちピッチは、それらのパッドの対称中心間の距離を示す。
【0034】
現行の手法では、垂直手法によって製作されたプローブヘッドは、カンチレバープローブヘッドによって得られるピッチを実現することに奏功するものでない。
【0035】
垂直手法によって製作されたプローブヘッドは、その代わりに、カンチレバーヘッドに対して、被試験デバイス上のパッドの配分を「複製する」接触先端との、平行度を高くした、ダイの接触に奏功するという利点を有する。
【0036】
カンチレバー手法によって製作されたプローブヘッドでは、その代わりに、溶接部を作るために多少のスペースを与える必要性が存在しており、および、たとえば、垂直手法の特性を実現するものでないにもかかわらず、プローブをずらすために段を使用することにより、または斜めに配置されたプローブを使用することにより、2つの近いダイを試験するために、この欠点を改善し、単一のダイよりも高い平行度を得るための手段が知られていても、平行していくつかのダイの同時の試験を行うことは不可能である。
【0037】
さらに、カンチレバープローブヘッドのコンタクトプローブを配置することの課題が、複数のプローブ自体の所望の保持を行う一方で、望ましくないずれをもたらし、および、その中の、異なるプローブの位置を確立する際に適切な修正を考慮に入れることをカンチレバープローブヘッドの設計者に強いるものであり、このことが明らかに、それらのプローブ間、特に、それらの接触先端間の距離、および、したがって、そのプローブヘッドによって試験することが可能なデバイスの接触パッド間のピッチの低減を制限する、樹脂支持体の材料の使用に関連付けられることを念頭におくべきである。
スペーストランスフォーマの必要性をなくすために。プリント回路基板と、モジュール式サブプローブユニットを電気的に接続するプローブカードは、たとえば、Park(M2N INC)による米国特許出願公開第2013/342232号明細書によって知られている。さらに、導電性金属板でできている本体部と、本体部と一体化された下方および上方のカンチレバー部それぞれが、JAPAN ELECTRONICS MATERIALSによる特開第2002-365308号公報によって知られている。
さらに、Takase et. al(TOKYO ELECTRON LIMITED)による米国特許出願公開第2011/043232号明細書は、プローブ支持板によって係合された係合部を有する複数のプローブを支持するプローブ支持板を備えるプローブヘッドを開示しており、および、Kuniyoshi et.al(NIHON MICRONICS KK)による米国特許出願公開第2010/0219854号明細書は、取り付け端を有する基部と、基部から延在しており、およびプローブ先端を支持しているアーム部とを備えるプローブを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明の技術的課題は、先行技術によって製作されたヘッドの制約を解消する、特に、プローブヘッド内でのプローブの高精度の保持を行うことができるようなそうした構造的および機能的特徴を有する、カンチレバーコンタクトプローブおよび対応するプローブヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の根底にある解決策の考えは、保持樹脂を使用することなく、剛性支持体において形成された、好適に対応し相補的な形状を有する座にフィット(fit)するような、少なくとも1つの成形された本体を有するように、カンチレバープローブの構造を修正することである。
【0040】
その解決策の考えに基づけば、技術的課題は、下降プローブセクションと上昇プローブセクションとの間に挿入されたプローブ本体であって、そうした下降プローブセクションが、コンタクトプローブがカンチレバープローブヘッド内に実装されると、被試験デバイスのウェーハの平面に対応する参照平面に対して傾いた所定の長手方向軸に沿って延在するプローブ本体を備えるカンチレバー試験プローブであって、カンチレバーコンタクトプローブがさらに、屈曲点に始まり、および、ウェーハの被試験デバイスの接触パッドに当接するように構成されたカンチレバーコンタクトプローブの接触先端で終端する長手方向軸に対して曲げられた下降プローブセクション内に形成された少なくとも1つの端部を備え、本体が、好適に成形され、および、少なくとも1つの基部であって、基部に始まり、参照平面に対して直交して、成形された本体の長手方向延在軸に沿って延在する上部と、上部に接続され、上部の径よりも大きな径を有する最上部とを備えている少なくとも1つの基部を備えており、それらの上部および最上部は、T字を形成するように略成形され、上部はT字の縦棒であり、および最上部はT字の横棒であるカンチレバー試験プローブによって解決される。
【0041】
さらに特に、本発明は、単独で、または必要に応じて組み合わせで採用される以下のさらなる、および任意的な特徴を備える。
【0042】
本発明の別の態様によれば、上昇プローブセクションが最上部において、成形された本体に接続される場合があり、下降プローブセクションが基部において、成形された本体に接続される場合がある。
【0043】
さらに、成形された本体の基部が、長手方向延在軸に対して直交しており、参照平面に平行の、成形された本体の横方向延在軸に沿って基部の反対の部分から延在する少なくとも一対のアームを備える場合がある。
【0044】
特に、それらのアームそれぞれが、そこから直交して、最上部の方向において、成形された本体の長手方向延在軸に沿って延在する、それぞれの突出部を備える場合がある。
【0045】
本発明の別の態様によれば、成形された本体の基部が、略矩形形状の長手方向セクション、および、上部および最上部の径よりも大きな、横方向延在軸に沿った最大横方向寸法を有する場合がある。
【0046】
さらに、少なくとも基部、上部、および最上部を備える成形された本体が単一の片として作られる場合がある。
【0047】
本発明の別の態様によれば、カンチレバーコンタクトプローブは、成形された本体の最上部近くの上昇プローブセクションにおいて画定されたさらなる屈曲点を備える場合があり、そうした上昇プローブセクションが、参照平面に対して略直交であり、カンチレバーコンタクトプローブのさらなる接触端で終端する場合がある。
【0048】
本発明のなお別の態様によれば、成形された本体が開口を備える場合がある。
【0049】
特に、開口は、アームの他方よりも大きな延在部分を有する、アームの一方近くに形成される場合がある。
【0050】
好適には、カンチレバーコンタクトプローブは、下降プローブセクションにおいて、および/または上昇プローブセクションにおいて形成された少なくとも1つの減衰部をさらに備える場合がある。
【0051】
特に、少なくとも1つの減衰部は、下降プローブセクションに沿って形成され、好ましくは、それぞれの屈曲点において、端部に、および下降プローブセクションに接続されたパンタグラフ部として成形され、基本的には、平行六面体として実質的に配置され、それらの中の空のスペースを画定する四辺を備える場合がある。
【0052】
少なくとも1つの減衰部は、上昇プローブセクションにおいてさらに形成され、基本的には、さらなる屈曲点において、成形された本体に接続されたばね部として成形され、および、カンチレバーコンタクトプローブのさらなる接触端を備える場合がある。
【0053】
課題は、被試験デバイス上の支持構造であって、支持構造から、カンチレバー状に突出する複数のカンチレバーコンタクトプローブを収容するように構成された支持構造を備えるカンチレバープローブヘッドであって、複数のカンチレバーコンタクトプローブそれぞれが、上述したように製作され、および、支持構造において形成された好適な収容座に挿入することが意図され、および、カンチレバープローブヘッド内にカンチレバーコンタクトプローブを高精度で保持するように構成された、成形された本体を備えるカンチレバープローブヘッドによってさらに解決される。
【0054】
本発明の別の態様によれば、支持構造は、いずれも、好ましくは、環状であり、互いに重なり合い、および、複数のカンチレバーコンタクトプローブそれぞれの成形された本体のそれぞれの収容座を備えている少なくとも1つの第1の部分および第2の部分を備える場合がある。
【0055】
本発明のなお別の態様によれば、支持構造は、複数のコンタクトプローブそれぞれの成形された本体の少なくとも1つのアームにおいて配置され、および少なくとも1つのアームを収容するように構成されたくぼみを備えている少なくとも1つの第3の部分をさらに備える場合がある。
【0056】
特に、支持構造の第1の部分は、カンチレバーコンタクトプローブの成形された本体の上部および最上部の通過および保持のための少なくとも1つの第1の収容座を備える場合がある。
【0057】
さらに、第1の収容座は、成形された本体の上部および最上部の断面の結合に等しい断面を有する場合がある。
【0058】
さらに特に、支持構造の第1の部分は、成形された本体のアームの突出部の断面と対応しており、および相補的な断面を有する一対の第2の収容座をさらに備え、それらの突出部は、カンチレバープローブヘッドの通常の作動中に第2の収容座内に収容される場合がある。
【0059】
さらに、支持構造の第2の部分は、成形された本体の最上部の通過のために、第1の収容座において配置された好適な開口を備える場合がある。
【0060】
本発明の別の態様によれば、カンチレバープローブヘッドは、支持構造の第2の部分に接続され、および、複数のカンチレバーコンタクトプローブのさらなる接触端を備えている上昇プローブセクションの通過に好適な穴を設けている少なくとも1つの支持板をさらに備える場合がある。
【0061】
さらに特に、支持板が、絶縁材料でできている場合があり、および、支持構造の第2の部分と、またはPCB基板と一体化している。
【0062】
本発明の別の態様によれば、支持板を備えている、支持構造の第2の部分がPCB基板との押圧接触で実装され、上昇プローブセクションにおけるコンタクトプローブのさらなる接触端は、PCB基板の接触パッドに当接する場合がある。
【0063】
本発明のなお別の態様によれば、カンチレバープローブヘッドは、それぞれの接触先端または端で終端する、カンチレバーコンタクトプローブがそこから突出する支持構造をそれぞれが備えている複数のモジュールを備え、それらのモジュールは、単一の被試験デバイスのものと比較することが可能なサイズを有する場合がある。
【0064】
本発明のこの態様によれば、複数のモジュールは、被試験デバイスのウェーハの面積に等しい、PCB基板の面積を包含するように配分される場合がある。
【0065】
さらに特に、それらのモジュールそれぞれは、好適には、少なくとも1つの固定要素を収容するように構成された少なくとも1つの穴を設けている少なくとも1つの接触部を備える場合がある。
【0066】
それらのモジュールそれぞれが、同じ数の収容部と相補的な好適な形状を有するアラインメントピンをさらに備える場合がある。
【0067】
さらに、カンチレバープローブヘッドが、モジュールのアラインメントピン用の収容部を備えている、モジュールを収容するための、PCB基板に関連付けられた支持構造をさらに備える場合がある。
【0068】
最後に、カンチレバープローブヘッドは、PCB基板の接触パッドの配分を修正するように、異なるサイズを有するそれぞれの上昇プローブを有するコンタクトプローブを備える場合がある。
【0069】
課題は最後に、以下の工程を備える、上述されたように製作されたカンチレバープローブヘッド内に、複数のカンチレバーコンタクトプローブを組立てる方法によって解決される:
複数のカンチレバーコンタクトプローブそれぞれを、それらのカンチレバーコンタクトプローブそれぞれの成形された本体の上部および最上部を参照平面に対して直交している第1の移動方向に沿って、カンチレバープローブヘッドの支持構造の第2の部分内に形成された開口を通過するまで、カンチレバープローブヘッドの支持構造の第1の部分内に形成された第1の収容座よりも大きな径を有する対応するセクションに挿入することにより、および、成形された本体のアームの突出部を、第1の移動方向に沿って、カンチレバープローブヘッドの支持構造の第1の部分内に形成された対応する第2の収容座に挿入することにより、カンチレバープローブヘッドに挿入する工程と、
参照平面に対して直交している第2の移動方向に沿って横方向にカンチレバーコンタクトプローブそれぞれの成形された本体を移動させることにより、カンチレバーコンタクトプローブをカンチレバープローブヘッドにフィットさせる工程であって、上部が、カンチレバープローブヘッド内にカンチレバーコンタクトプローブを塞ぐように、第1の収容座のより小さい径のセクションに収容される工程と
を備え、
複数のカンチレバーコンタクトプローブそれぞれのプローブ本体の上部が、支持構造の第2の部分の厚さ以下の高さを、成形された本体と、カンチレバープローブヘッドのその支持構造との間の機械的結合を確実にするように有する。
【0070】
本発明の別の態様によれば、複数のカンチレバーコンタクトプローブそれぞれをカンチレバープローブヘッドに挿入する工程が、それらのカンチレバーコンタクトプローブそれぞれの、成形された本体の最上部の径に等しいサイズを有する、T字の横棒におけるそれぞれの第1のT字状の収容座にその上昇セクションを挿入する工程と、上部の径に等しいサイズを有する、T字の縦棒において、その成形された本体の上部にフィットさせるために後に横方向に移動させる工程とを備える場合がある。
【発明の効果】
【0071】
本発明によるカンチレバーコンタクトプローブの、およびカンチレバープローブヘッドの特徴および利点は、添付図面を参照して、限定的でない例によって表す、それらの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】先行技術によって実現されたカンチレバープローブヘッドの断面図を概略的に示す。
図2】先行技術によって実現された垂直プローブヘッドの断面図を概略的に示す。
図3A】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの、およびカンチレバープローブヘッドの実施形態の断面図を概略的に示す。
図3B】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図3C】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図4A】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの細部の代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図4B】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの細部の代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図4C】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブの細部の代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図5A】本発明によって実現されたカンチレバープローブヘッドの細部の代替的な実施形態の上平面図を概略的に示す。
図5B】本発明によって実現されたカンチレバープローブヘッドの細部の代替的な実施形態の上平面図を概略的に示す。
図5C】本発明によって実現されたカンチレバープローブヘッドの細部の代替的な実施形態の上平面図を概略的に示す。
図6A】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブのさらなる代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図6B】本発明によって実現されたカンチレバーコンタクトプローブのさらなる代替的な実施形態の断面図を概略的に示す。
図7】少なくとも一対のコンタクトプローブを備える、図6Bのカンチレバープローブヘッドの断面図を概略的に示す。
図8】本発明によるカンチレバープローブヘッドの平面図を概略的に示す。
図9A】モジュール式に、本発明によって製作されたプローブヘッドの平面図および側面図それぞれを概略的に示す。
図9B】モジュール式に、本発明によって製作されたプローブヘッドの平面図および側面図それぞれを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
これらの図、および特に図3Aを参照して、以下でカンチレバープローブヘッドと呼ばれ30で全体として示され、本発明によって実現される、カンチレバー手法におけるプローブヘッドが説明される。
【0074】
図が、本発明によるプローブヘッドの概略図であり、縮尺通りに描かれていないが、その代わりに、本発明の重要な特徴を強調するように描かれていることに留意すべきである。さらに、図では、異なる構成要素は概略的に描かれており、それらの形状は、所望の応用分野によって変わり得る。図では、同一の参照番号が、形状または機能の点で同一の構成要素を表していることにさらに留意すべきである。最後に、図において例として描かれている、本発明の異なる態様は明らかに、互いに組み合わせることが可能であり、一実施形態と別の実施形態との間で入れ替え可能である。
【0075】
さらに特に、カンチレバープローブヘッド30は、互いの所定の距離関係により、カンチレバーコンタクトプローブ31を保持するように構成され、および、集積回路基板すなわちPCB基板33と関連付けられた支持構造32からカンチレバー状に突出する、複数の可動の接触要素すなわちコンタクトプローブ31を備える。図3Aの例では、1つのカンチレバーコンタクトプローブ31のみが図示の便宜上、描かれている。各カンチレバーコンタクトプローブ31は通常、PCB基板33を介した、試験装置(図示せず)に対しての、および被試験デバイス35に対しての良好な電気的接触を確実にするように構成された、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金でできた線材でできている。
【0076】
好適には、カンチレバーコンタクトプローブ31の支持構造32は、たとえば、環状であり、互いに重なり合い、および、以下でより良く明確にされるように、好適に成形された、コンタクトプローブの本体のそれぞれの収容座を備えている第1の部分32Aおよび第2の部分32Bそれぞれを備える。図3Aの実施形態では、支持構造32の第1および第2の部分32A、32Bは略板状である。
【0077】
さらに特に、第1の部分32Aは被試験デバイス35に面する、すなわち、図3Aの局所参照によれば、下方を向くように配置され、および、第2の部分32BはPCB基板33に面する、すなわち、図3Aの局所参照によれば、上方を向くように配置される。
【0078】
支持構造32のそれらの第1の、および第2の部分32A、32Bは、カンチレバープローブヘッドを作るために当該技術分野において使用されるものから選択される、特に、アルミニウム、セラミック、または好適な材料から選択される同一の、または種々の材料でできている場合がある。
【0079】
知られているカンチレバープローブヘッドについては、カンチレバーコンタクトプローブ31は、参照平面π、特に、被試験デバイス35、たとえば被試験集積回路のウェーハの平面と角度αをなして傾いた長手方向軸HHに沿って支持構造32を出るものであり、各コンタクトプローブ31は、一種の釣り竿として、すなわちカンチレバー状に、そのウェーハの上方に突出する。特に、角度αは、0~65度、好ましくは8度の値を有し得る。
【0080】
好適には、カンチレバーコンタクトプローブ31は、長手方向軸HHに沿って延在する下降プローブセクション31bに対して曲がっている、通常、フック31aと呼ばれる端部を有する;特に、フック31aは、好ましくは、被試験デバイス35の参照平面πに対して略直交しているように曲がっており、下降プローブセクション31bと、角度αに90度だけ増加させた角度に等しい角度、すなわち、90~155度、好ましくは98度の値をなす。
【0081】
フック31aは、被試験デバイス35の接触パッド35Aに当接するように構成された、カンチレバーコンタクトプローブ31の接触先端36Aで終端する。
【0082】
先行技術に関して行われるように、その場合に、「先端」との語が、必ずしも尖っていない、コンタクトプローブの端ゾーンまたは領域を意味することも指摘する。
【0083】
フック31aは、カンチレバーコンタクトプローブ31がカンチレバープローブヘッド30内に実装されると、被試験デバイス35の方向において突出する下降プローブセクション31bにおいて画定される屈曲点PG1において曲がっている;その下降プローブセクション31bはしたがって、その通常の作動において被試験デバイス35へのカンチレバープローブヘッド30の(すなわち、補接触デバイス35の接触パッド35Aへのカンチレバーコンタクトプローブ31の接触先端36Aの)接触中のその垂直屈曲移動における、カンチレバーコンタクトプローブ31用の作動アームを画定し、その長さは通常、「自由長」との語で示される。
【0084】
実際に、先行技術に関して説明したように、カンチレバーコンタクトプローブ31の接触先端36Aと、被試験デバイス35の接触パッド35Aとの間の良好な接続は、被試験デバイス35に対してカンチレバープローブヘッド30を押圧することによって確実にされ、カンチレバーコンタクトプローブ31は、デバイス自体の移動に対して反対の方向における、参照平面πに対して直交する方向において(すなわち、図3Aにおいて示すような方向Zにおいて)その接触中に、曲げを受ける。
【0085】
特に、被試験デバイス35がフック31aに対して移動すると、対応するカンチレバーコンタクトプローブ31は曲がり、その屈曲点PG1は円弧に沿って移動する一方で、そこでフック31aが終端するその接触先端36Aは参照平面πに沿って、特に、それぞれの接触パッド35A上を移動し、そうしたパッドの表面のいわゆるスクラブを確実にする。
【0086】
さらに、フック31aは、互いに非常に近い、すなわち、低減されたピッチを有する、被試験デバイス35の接触パッド35Aに接触するために、特に、多層構造において使用することが可能なテーパー形状を有している。
【0087】
当業者によく知られているように、「ピッチ」、すなわち接触パッド間の距離とは、関係しているパッドの対称中心との意味である、対応する中心間の距離を意味する。
【0088】
各カンチレバーコンタクトプローブ31は、カンチレバーコンタクトプローブ31がカンチレバープローブヘッド30内に実装されると、PCB基板33の方向において支持構造32から突出する上昇プローブセクション31cをさらに備える。また、上昇プローブセクション31cは、下降プローブセクション31bの軸HHに略一致している、または略平行の長手方向軸KKに沿って支持構造32から突出する。
【0089】
その下降プローブセクション31bは、好適には、溶接部34により、図3Aの例において接続されたPCB基板33に接触する状態まで続く。
【0090】
好適には、本発明によるカンチレバーコンタクトプローブ31はさらに、下降プローブセクション31bおよび上昇プローブセクション31cを接続し、好適には、支持構造32とのフィッティングを形成し、よって、以下に明確にするように、先行の樹脂支持体を使用することなく、カンチレバープローブヘッド30内のカンチレバーコンタクトプローブ31の所望の、および高精度の配置を得るように成形される、本体40を備える。
【0091】
さらに特に、成形された本体40は、成形された本体40の横方向延在軸BBに沿って、特に、被試験デバイス35によって画定された参照平面πに平行に、すなわち、図3Aの参照による方向Xにおいて、その基部40aの反対の部分から延在する少なくとも一対のアーム40b1,40b2を備えている少なくとも1つの基部40aを備える;アーム40b1,40b2は、それらのアーム40b1,40b2から始まり直交して、特に、参照平面πに対して直交している、すなわち、図3Aの参照による方向Zにおいて、成形された本体40の長手方向延在軸Aに沿って、延在するそれぞれの突出部40c1,40c2をさらに備えている。
【0092】
カンチレバーコンタクトプローブ31がカンチレバープローブヘッド30内に配置され、支持構造32によって保持されると、一対のアーム40b1,40b2は、支持構造32の第1の部分32Aの面、特に、被試験デバイス35に面する面に当接することが意図されており、突出部40c1,40c2は、図3Aに示すように、および、以下に、より明確にされるように、その第1の部分32Aに配置された好適な収容座内に収容されることが意図されている。
【0093】
好適には、成形された本体40は、基板40aから始めて、PCB基板33に向かって参照平面πに対して直交して、すなわち、図3Aの参照による方向Zにおいて、成形された本体40の長手方向延在軸Aに沿って延在する上部40dと、上部40dに接続され、上部40dの径D1よりも大きな径D2を有する最上部40eとをさらに備える。上部40dおよび最上部40eは、略T字を形成するように成形され、上部40dは、そのT字の縦棒であり、最上部40eはそのT字の横棒である。
【0094】
成形された本体40の基部40aは、略矩形形状の長手方向セクションと、上部および最上部40d,40eの径D1,D2よりも大きなその横方向延在軸BBに沿った最大横方向寸法とを有する。
【0095】
好ましい実施形態では、成形された本体40の異なる部分、特に、基部40a、突出部40c1,40c2を有するアーム40b1,40b2、上部40d、および最上部40eは単一の片として作られる。
【0096】
好適には、上昇プローブセクション31cはその最上部40eにおいて、成形された本体40に接続され、および、下降プローブセクション31bはその基部40aにおいて、成形された本体40に接続される。
【0097】
したがって、カンチレバープローブヘッド30は、支持構造32内に形成された、全体として41で示す、その成形された本体40用の好適な収容座を備える。
【0098】
さらに特に、支持構造32は、その第1の部分32A内に形成され、以下に、より詳細に説明するように、カンチレバーコンタクトプローブ31の成形された本体40の上部40dの、および最上部40eのセクションの結合に等しいセクションを有する少なくとも1つの第1の収容座41dと、常にその第1の部分32A内に、特に、被試験デバイス35に面するその面において形成され、カンチレバーコンタクトプローブ31の成形された本体40のアーム40b1,40b2の突出部40c1,40c2と、対応し相補的な形状を有する、一対の第2の収容座41c1,41c2とを備える。
【0099】
同様に、支持構造32の第2の部分32Bは、成形された本体40の、特に、その最上部40eの通過のために第1の収容座41aにおいて配置された好適な開口41eを備える。
【0100】
それにより、成形された本体40はカンチレバープローブヘッド30内のカンチレバーコンタクトプローブ31の、特にそれらの支持構造32の正しい保持が行われることを可能にし、第2の収容座41c1,41c2に挿入される、アーム40b1,40b2の突出部40c1,40c2は、カンチレバーコンタクトプローブ31が参照平面πと平行の方向において、すなわち、図3Aの参照による方向Xにおいて、移動することを阻止し、および、下にある上部40dの径D1よりも大きな、その径D2のおかげで第2の部分32Bに当接する最上部40eは、カンチレバーコンタクトプローブ31が参照平面πに対して直交する方向において、すなわち、図3Aの参照による方向Zにおいて、移動することを阻止する。
【0101】
図3Bに概略的に示す代替的な実施形態によれば、カンチレバーコンタクトプローブ31は、上昇プローブセクション31cにおいて、好ましくは、その始端において、すなわち、最上部40e近くで画定されたさらなる屈曲点PG2をさらに備えているので、上昇プローブセクション31cは、PCB基板33上のカンチレバーコンタクトプローブ31のさらなる接触先端を形成する、さらなる端36Bで終端するカンチレバーコンタクトプローブ31のさらなる端部を形成するように、参照平面πに平行の、PCB基板33の平面に対して略直交している。
【0102】
それにより、被試験デバイス35への押圧接触の際の、すなわちカンチレバープローブヘッド30の通常の作動中の、下降プローブセクション31bと同様に、さらに、上昇プローブセクション31cは、特にカンチレバープローブヘッド30の組み立て中に、PCB基板33に対して押圧される際の、カンチレバーコンタクトプローブ31用の作動アームを画定する。
【0103】
コンタクトプローブ31のさらなる端36Bが、その場合、先行技術を参照して説明されるように、垂直コンタクトプローブの接触ヘッドのように作動することができることを指摘する。好適には、この代替的な実施形態によれば、以下に、より詳細に説明されるように、さらなる屈曲点PG2、したがってPCB基板33に対して直交する上昇プローブセクション31cを備えているカンチレバーコンタクトプローブ31のおかげで、垂直手法で一般的な、プローブとPCB基板との接触の方式を採用することが可能である。
【0104】
さらに特に、好適には、本発明によれば、カンチレバープローブヘッド30は、その場合、カンチレバーコンタクトプローブ31のさらなる端36Bにおいて上昇プローブセクション31cの通過に好適な穴37Aを備えている支持板37をさらに備える場合がある。
【0105】
支持板37は、セラミックまたは他の好適な材料などの好適な絶縁材料でできており、および、支持構造32の第2の部分32Bと、たとえば、溶接により接続または一体化され、その支持構造32は、図3Bに示すように、その支持板37においてPCB基板33に当接する少なくとも1つの部分を有するように好適に成形される場合がある。
【0106】
支持板37は、PCB基板33に固定することが可能である。
【0107】
有利には、本発明によれば、コンタクトプローブ31のさらなる端36Bが、よって、PCB基板33、特に、その上に実現された好適な接触パッド33Aに直接、接触し、対応する上昇プローブセクション31cが好適には、支持板37の穴37Aによってガイドされることを指摘する。
【0108】
それにより、さらなる屈曲点PG2、およびPCB基板33に当接する上昇プローブセクション31cを備えた、コンタクトプローブ31の構造のおかげで、PCB基板33とのカンチレバーコンタクトプローブ31の溶接部34を取り除くことが可能であり、そのPCB基板33との接触はその代わりに、上昇プローブセクション31cにおける、プローブのさらなる端36Bによってもたらされる。
【0109】
すなわち、カンチレバーコンタクトプローブ31、および、さらに特に、その上昇セクション31cは、垂直手法におけるプローブの接触ヘッドと同様に、穴37Aを設けている支持板37内を摺動し、PCB基板33の接触パッド33Aへの圧力による接触に好適なさらなる端36Bを備えている。
【0110】
好適には、テーパー状であり、下降プローブセクション31bから始めて、被試験デバイス35のそれぞれの接触パッド35A上で曲がっている端部すなわちフック31aを有するカンチレバーコンタクトプローブ31が、支持構造32によって支持され、および、全体としてのプローブおよびヘッド両方についてカンチレバー基部構造を維持するようにその、成形された本体40におけるそれとのフィッティングによって保持されることをさらに指摘する。
【0111】
カンチレバープローブヘッド30は、その場合、垂直手法のいわゆる「ダイレクトアタッチ」と同様の方法論により、PCB基板33に接続される。
【0112】
さらに、それらの作動において、フック31aおよび上昇プローブセクション31cは、被試験デバイス25に当接し、PCB基板33に接触する際に、カンチレバーコンタクトプローブ31の両端、すなわち、カンチレバープローブヘッド30の通常の作動中にそれぞれの接触パッドに当接するように構成された端において配置された2つのばねと比較することが可能である。
【0113】
図3Cにおいて概略的に示されたさらなる代替的な実施形態によれば、カンチレバーコンタクトプローブ31は、略スロット状であり、特に、カンチレバープローブヘッド30の作動中に、すなわち、被試験デバイス35への押圧接触中にその中に収容されるカンチレバーコンタクトプローブ31のフック31aの、および対応する下降プローブセクション31bの動作中に、成形された本体40自体の弾性を増加させることができる、成形された本体40の横方向延在軸BBに平行の軸に沿って配置された少なくとも1つの開口38を、その成形された本体40においてさらに備える。好ましくは、開口38は、成形された本体40がそれに当接する第1の部分32A近くの、特にその基部40a内の、すなわち、成形された本体40と、支持構造32の第1の部分32Aとの間の界面近くの、成形された本体40の一部分内に配置される。好ましくは、その開口38は、より大きな延在部分を有するアーム40b2近くに配置される。
【0114】
さらに、カンチレバープローブヘッド30は、少なくとも1つのアーム、たとえば、図3Cの例におけるアーム40b1において配置され、および、好適には、そのアーム40b1を収容するように構成されたくぼみを備えている支持構造32の少なくとも1つの第3の部分32Cを備え得る。特に、アーム40b1は、支持構造32の第2の部分32Bと第3の部分32Cとの間に閉じ込められ、それにより、その移動が阻止される。
【0115】
さらに、その第3の部分32Cを他方のアーム40b2において、またはアーム40b1および40b2のいずれにおいても形成することが可能である。
【0116】
好適には、支持構造32の第3の部分32Cは、コンタクトプローブ31、特に、それらのアーム40b1,40b2を保持するのに有用であり、および、それらの破損の場合の考えられる材料の落下を阻止し、それにより、試験されるウェーハの安全性を確実にし、それを破損し得る何らかの材料が衝突する危険をおかすものでない。
【0117】
最後に、アーム40b1,40b2の突出部40c1,40c2に、対応する収容座41c1,41c2内に収容され、および、それらの突出部40c1,40c2の弾性を増加させることができるそれらの突出部40c1,40c2の部分において形成された好適なノッチ40f1,40f2を備えることが可能である。
【0118】
成形された本体40の異なる実施形態は、図4A~4Cに概略的に示す。
【0119】
特に、図4Aの例においては、成形された本体40は、互いに等しいそれぞれの長さL1,L2を有するアーム40b1,40b2を有している一方、図4Bおよび4Cの例においては、アーム40b1,40b2は互いに異なる長さL1,L2を有しており、それらの長さは、基部40aから始めて測定される。
【0120】
図4A~4Cの成形された本体40の実施形態に対応するアーム40b1,40b2の突出部40c1,40c2の収容座41は図5A~5Cに概略的に示し、第2の収容座41c1,41c2は、成形された本体40の突出部40c1,40c2の異なる長さに対応して第1の収容座41dに対してそれぞれの距離E1,E2をおいて配置され、それらの距離は最上部40eから始めて測定される。
【0121】
第1の収容座41dは、成形された本体40の上部40dの断面の形状およびサイズと対応し、相補的な形状およびサイズを有する縦棒、および、成形された本体40の最上部40eの断面の形状およびサイズと対応し、相補的な形状およびサイズを有する横棒で、好適なT字形状を有しており、したがって、第1の収容座41dは、上部40dの、および最上部40eの断面の結合によって表される形状を有する。
【0122】
よって、カンチレバーコンタクトプローブ31であって、それらを備えるカンチレバープローブヘッド30の支持構造32内でのカンチレバーコンタクトプローブ31の高精度の配置、および正確な保持を、単純に、および、即座に得ることが可能であることを指摘すべきである。特に、カンチレバーコンタクトプローブ31の成形された本体40の上部40dおよび最上部40eは、支持構造32に、特に、第1の収容座41dにおいて配置された、開口41eまで、図4Aにおいて示されるように、参照平面πに対して直交する第1の移動方向Dir1に沿って、第1の収容座41dの横棒においてその第1の部分32Aに挿入され、アーム40b1,40b2の突出部40c1,40c2は、対応する第2の収容座41c1,41c2内に入り、および塞ぎ、したがって、第1の収容座41dの縦棒内に上部40dを収容し、および、カンチレバーコンタクトプローブ31の移動を阻止するように、図5Aにおいて示されるように、参照平面πに対して直交する第2の移動方向Dir2に沿って横方向に移動する。
【0123】
好適には、成形された本体40の上部40dの高さは、カンチレバーコンタクトプローブ31の成形された本体40と、カンチレバープローブヘッド30のセラミック支持構造32との間の機械的結合を有するように第2の部分32Bの厚さ以下である。
【0124】
それにより、複数のカンチレバーコンタクトプローブ31は、それらの上昇セクション31cを、最上部40eの径D2に等しいサイズを有する、そのT字の横棒におけるそれぞれの第1のT字状の収容座41dに挿入し、次いで、それぞれの成形された本体40を、特に、それらの上部40dを、成形された本体40の上部40dの径D1に等しいサイズを有する、T字の縦棒においてフィットすることにより、横方向にそれらを移動させることにより、そのカンチレバープローブヘッド30内に実装することが可能である。
【0125】
図6Aにおいて概略的に示すさらなる代替的な実施形態によれば、カンチレバーコンタクトプローブ31は、基本的に、パンタグラフ部50として成形され、下降プローブセクション31bにおいて形成され、およびフック31aに接続された減衰部をさらに備え得る。例として、カンチレバーコンタクトプローブ31は、図3Cに示す実施形態に対応する成形された本体40を備える一方で、図4Aまたは4Cのものとして、成形された本体40を、および、パンタグラフ部50を備えているカンチレバーコンタクトプローブ31も考慮に入れることが可能である。常に例によってのみ、支持構造32は、アーム40b1,40b2を保持するための第3の部分32Cを備える。
【0126】
さらに特に、パンタグラフ部50は、それぞれの屈曲点PG1a,PG1bにおいて、フック31aに、および、下降プローブセクション31bに接続される。
【0127】
パンタグラフ部50は基本的には、実質的に平行六面体として配置された、応力を均一に配分するための可変セクションを有し、および、それらの中の空のスペース50eを画定する四辺50a~50dを備える。パンタグラフ部50が、被試験デバイス35の接触パッド35Aへのカンチレバーコンタクトプローブ31の接触先端36Aの押圧接触中に所望の減衰機能を果たすことができることは即座に明らかである。
【0128】
図6Bに概略的に示す好ましい代替的な実施形態によれば、カンチレバーコンタクトプローブ31は、上昇プローブセクション31cにおいて形成された、基本的にばね部51として成形されたさらなる減衰部をさらに備え得る。さらに特に、ばね部51は、さらなる屈曲点PG2において、成形された本体40の最上部40eに接続され、および、PCB基板33の接触パッド33Aとの接触に好適なさらなる端36Bを画定する。上記の通り、単なる例により、カンチレバーコンタクトプローブ31は、図3Cにおいて示す実施形態に対応する成形された本体40を備える一方、図4Aまたは4Cのものとして、成形された本体40を備えているカンチレバーコンタクトプローブ31も考慮に入れることが可能である;さらに、支持構造32は、欠いている場合もあるが、アーム40b1,40b2を保持するための第3の部分32Cを備えているものとして示している。
【0129】
図6Bに示す例では、ばね部51は略細長いN字として成形される。ばね部51がPCB基板33の接触パッド33Aへのコンタクトプローブ31のさらなる端36Aの押圧接触中に所望の減衰機能を果たすことができることは即座に明らかである。
【0130】
ばね部51を備え、および、パンタグラフ部50を備えるものでないカンチレバーコンタクトプローブ31を実現することは明らかに可能である。
【0131】
コンタクトプローブ31がカンチレバープローブヘッド30内に実装されると、PCB基板33の方向において突出する上昇プローブセクション31cにおいて画定されるさらなる屈曲点PG2の存在が、特に、限定的でない例による、図3Cのカンチレバーコンタクトプローブ31の実施形態を使用することによって、図7において概略的に示すように、PCB基板33の接触パッド33Aの空間的配分にしたがって、コンタクトプローブ31のさらなる端36Bを空間的に配分することを可能にすることに留意すべきである。特に、コンタクトプローブ31の接触ヘッドとして機能する、ばね部51(さらなる端36Bを有する上昇プローブセクション31c)は、数行、図では2行にわたって配分される一方、接触先端36Aは単一行において位置合わせされて続き、パンタグラフ部50は図において重なり合っている。
【0132】
上昇プローブセクション31cの、および、存在する場合、その中に形成されたばね部51の異なるサイズのおかげで、3行以上にわたっても、PCB基板33上の複数の接触パッド33Aの配分を修正することが可能であることを指摘する。よって、被試験デバイス35の接触パッド35Aに対する、PCB基板33のそれらの接触パッド33Aについてのピッチ制約を解消することが可能である。
【0133】
それにより、有利には、垂直手法において先行生じているように、さらなる部品(特にはスペーストランスフォーマ)を挿入することなく、カンチレバーコンタクトプローブ31と、PCB基板33の接触パッド33Aとの間の接触をもたらすことが可能である。
【0134】
実際に、さらなる屈曲点PG2を備えている上記カンチレバーコンタクトプローブ31を備えるプローブヘッド30が、さらなる部品を使用することなく複製することを可能にする、被試験デバイス35の接触パッド35Aの配分に対してもっと大いに解除された空間的制約をPCB基板33の接触パッド33Aの配分が有していることはよく知られている。
【0135】
特に、図7には、少なくとも第1のカンチレバーコンタクトプローブ31および第2のカンチレバーコンタクトプローブ31’であって、互いに好適にずらされ、異なる位置におけるPCB基板33のパッド33Aに接触することが可能なそれぞれのさらなる端36B,36B’を画定するように構成されたそれぞれのばね部51,51’に接続されたそれらの上昇セクションにおいてそれぞれのさらなる屈曲点を備えている少なくとも第1のカンチレバーコンタクトプローブ31および第2のカンチレバーコンタクトプローブ31’を備えるカンチレバープローブヘッド30を示す。さらに特に、上昇プローブセクションの、すなわち、ばね部51,51’の端部は好適には、支持板37の異なる穴37A,37A’に収容される。カンチレバーコンタクトプローブ31,31’はさらに、図7の図において重なり合うそれぞれのパンタグラフ部50をさらに備えている。
【0136】
対応する接触先端36Aに対する、コンタクトプローブ31のさらなる端36Bの空間再配分は、図8に示す、PCB基板33が透き通されている、カンチレバープローブヘッド30の上平面図によってさらに強調される。第1の距離すなわちピッチP1を有する、被試験デバイス35の接触パッド35Aが、第1のピッチP1よりも大きな第2の距離すなわちピッチP2を有する(P2>P1)、PCB基板33の接触パッド33Aと接続することを、さらなる屈曲点PG2を備えているコンタクトプローブ31の構成が可能にし、したがって、スペーストランスフォーマのようなさらなる部品に頼る必要なしで所望のスペーストランスフォーメーションを行うことはその図において特に明らかである。
【0137】
支持構造32および支持板37が好適には、カンチレバープローブヘッド30の通常の作動中のPCB基板33の接触パッド33Aとの、カンチレバーコンタクトプローブ31の上昇プローブセクション31cの、および、特に、さらなる接触部36Bの接触を確実にするように、組み立て段階においてPCB基板33に押圧されることがさらに指摘される。圧力下のその組み立ては、カンチレバープローブヘッド30内に実装されたカンチレバーコンタクトプローブ31の押圧接触中に、特に、接触板37を備えている支持構造32がPCB基板33に当接する際にばねとしてふるまうことができる上昇プローブセクション31cを形成するさらなる屈曲点PG2の存在のおかげで得ることが可能である。
【0138】
その効果は、図6Bおよび7に示されたもののように、ばね部51を備えているカンチレバーコンタクトプローブ31の場合にさらに確実にされる。
【0139】
カンチレバーコンタクトプローブ31が、そこでフック31aが被試験デバイス35の接触パッド35Aへ終端するその接触先端36Aの十分な接触力を確実にするように好適に、所定の大きさに作られることをさらに指摘する。特に、各コンタクトプローブ31によって加えられる力Fは、支持構造32から突出するプローブ部によって形成されるアームに比例し、
F=E*4/L3 (1)
であり、ここで:
Eは、ヤング率(すなわち長手方向の引張弾性率)であり;
Dは、コンタクトプローブ31の径であって、下降プローブセクション31bにおけるその断面の最大寸法を意味する、コンタクトプローブ31の径であり;および
Lは、下降プローブセクション31bの長さであって、そのアーム(すなわち自由長)を画定する、下降プローブセクション31bの長さである。
【0140】
好適には、本発明によれば、同様な力が、前述したように、コンタクトプローブ31の、垂直手法プローブの接触ヘッド部として実質的にふるまうその上昇セクション31cにおける圧迫により、PCB基板33に、特に、その接触パッド33Aに加えられる。
【0141】
有利には、図6Bおよび7に示す好ましい実施形態では、被試験デバイス35の接触パッド35Aに、およびPCB基板33の接触パッド33Aに加えられる力は、減衰部、特に、さらなる屈曲点PG2を備えているカンチレバーコンタクトプローブ31の下降および上昇プローブセクション31b,31cそれぞれにおいて形成されたパンタグラフ部50およびばね部51によって減衰させられる。
【0142】
既に示しているように、さらなる屈曲点PG2の異なる配置は、好適なスペーストランスフォーメーションを取得すること、および、PCB基板33の接触パッド33Aを配分することを、特に、図8にも示すように、それらのより大きなサイズに適切な距離をおいてそれらを配置することによって可能にする。
【0143】
カンチレバープローブヘッド30の組み立て中に作られる、さらなる端36Aにおける、カンチレバーコンタクトプローブ31の上昇プローブセクション31cと、PCB基板33の接触パッド33Aとの間の接触のおかげで、および、特に、PCB基板33への、支持板37を備えている支持構造32の圧力のおかげで、本発明によるカンチレバープローブヘッド30が、垂直手法の否定的な局面、すなわち、垂直プローブのヘッド端部の、PCB基板との接触が浮遊しており、および、被試験デバイスの接触パッドへのそれぞれの先端部の各接触(タッチ)において毎回、再構築されなければならないことを解消することをさらに可能にすることをさらに指摘する。
【0144】
すなわち、本発明によるカンチレバープローブヘッド30において、PCB基板33の接触パッド33Aへのカンチレバーコンタクトプローブ31の上昇セクション31cの接触は、被試験デバイス35の接触パッド35Aへのそれぞれのフック31aの接触がない場合にも確実にされる。
【0145】
さらに、本発明による、コンタクトプローブの、およびカンチレバープローブヘッドの特徴に基づいて、特に、カンチレバープローブヘッド30の好ましい実施形態により、さらなる技術的課題を解決することが可能である。
【0146】
さらなる屈曲点PG2を備えているカンチレバーコンタクトプローブ31の構成、およびPCB基板33への、さらなる端36Bの圧力下の接触は実際に、モジュール式でプローブヘッドを製作することを可能にする。さらに特に、そうしたモジュール式プローブヘッドは、PCB基板33と、一方側がフック31aで終端し、および他方側が上昇セクション31cで終端する、コンタクトプローブ31がそこから突出するその支持構造32をそれぞれが備えている複数のモジュール60とを備え、上昇セクション31cは、好適には、支持構造32と、特にその第2の部分32Bと一体的に作られた支持板37内に形成された穴37Aによってガイドされる。したがって、各モジュール60は、上述したような、カンチレバープローブヘッド30の特徴を有している一方、単一の被試験デバイス35のものと比較することが可能な、特に、わずかに、より大きいに過ぎないサイズで作られ、「比較することが可能な」とは、モジュール60が占める面積が、被試験デバイス35が占める面積に等しいか、または、最大50%高い、好ましくは20%高い値でそれよりも大きいことを意味している。
【0147】
複数のモジュール60は特に、PCB基板の使用可能な表面と同等の、被試験デバイスを備えるチップウェーハの面積に対応する面積にわたって延在するように配置され、よって、より多くのデバイスの平行の試験に好適なモジュール式プローブヘッドをもたらす。
【0148】
さらに特に、PCB基板33は、モジュール60を収容するための好適な支持構造すなわち金属収容部を備えている。
【0149】
好適には、PCB基板33と関連付けられた複数のモジュール60を備えるそうしたモジュール式プローブヘッドは、破損の場合に、モジュールを個々に交換することを可能にするという利点を有しており、その交換は、垂直手法のいわゆる「ダイレクトアタッチ」と同様に、線材を溶接することを必要とすることなしで、PCB基板33の接触パッド33Aへの、カンチレバーコンタクトプローブ31のさらなる端36Bにおいて行われる接触のおかげで可能にされる。
【0150】
さらに特に、図9Aおよび9Bに示すように、各モジュール60は、少なくとも1つの固定要素、特にねじ62を収容するように構成された、好適には少なくとも1つの穴61A、特にねじ穴を設けている少なくとも1つの接触部61を備え、そのねじ止めのおかげで、モジュール60は、PCB基板33の支持構造と、またはPCB基板33自体と直接、一体化または固定される。
【0151】
図9Aに示す好ましい実施形態では、各モジュール60は、支持板37を備えている支持構造32に沿って、特に、略方形であるその支持構造32の対角において配置された少なくとも一対の接触部61を備えている。
【0152】
PCB基板33に対する各モジュール60の正しい配置を確実にし、および、その交換を容易にするように、PCB基板33の支持構造において予め配置された、同数の収容部(図示せず)と相補的である、好適な形状を有するアラインメント要素すなわちピン63を各モジュールに備えることが、図9Bに概略的に示すようにさらに可能である。
【0153】
さらに特に、それらのアラインメントピン63は、収容部とアラインメントピン63との結合のおかげで、各モジュール60の高精度の組み立てを確実にするように、限定されたクリアランス、たとえば10ミクロン未満で、PCB基板33の支持構造の好適な収容部において収まるように構成された、PCB基板33の方向において支持構造32から突出する小さな円柱または角錐として成形することが可能である。
【0154】
モジュール60を収容するための支持構造すなわち金属収容部は、好適には、PCB基板30との位置合わせのための接触点をさらに備えている。
【0155】
複数のモジュール60を備えるモジュール式プローブヘッドが、たとえば破損の場合に、その一部分のみを交換することを可能にするというさらなる利点、すなわち、いわゆる浮遊コンタクトプローブを有していることが、破損した1つまたは複数のプローブを、単にそれらを取り外すことによって交換することを可能にする垂直手法の、これまでほかにはないような利点を有していることを指摘する。好適には、1つまたは複数のモジュール60に対応する交換可能な部分は、被試験デバイスのウェーハのサイズよりも小さな、プローブカード全体よりも小さなサイズを有しており、したがって、プローブカード自体の保守コストを削減し、このことは、特に、メモリ試験分野のような低コストまたは大量生産分野において望ましい。
【0156】
PCB基板33の支持構造に、たとえば、ねじ止めによって固定することを可能にする好適な接触部61を備えているモジュール60の使用は、垂直手法において製作されるヘッドの1つまたは複数のプローブの交換よりも、破損した部分を交換する作業をなお簡単にし、モジュール60を交換するその作業は、プローブヘッドが実装される試験装置において直接、および熟練者を使うことなく行うことが可能である。
【0157】
まとめれば、成形された本体を備えているカンチレバーコンタクトプローブが、そのプローブが収容される、カンチレバープローブヘッドの支持構造において形成された対応する収容座と正しく、および高精度に結合することができることを指摘する。
【0158】
それにより、それらのカンチレバーコンタクトプローブのおかげで製作されたプローブヘッドは、先行のカンチレバー手法におけるような保持樹脂の使用を必要とするものでない。
【0159】
さらに、上述したように、カンチレバーコンタクトプローブであって、PCB基板の方向において支持構造から突出することが意図されたそれらの上昇セクションにおいて少なくとも1つのさらなる屈曲点を備えているカンチレバーコンタクトプローブの場合、カンチレバー手法であって、それらの基部構造を維持するカンチレバー手法の利点と、溶接部なしで接触が行われる垂直手法の利点とを組み合わせたカンチレバープローブヘッドを、支持板のみが一体化されるそのプローブヘッドの支持構造の全体寸法に対してもっと大きな面積を必要とすることなく、実現することが可能である。
【0160】
特に、そうしたプローブヘッドが、カンチレバー手法に一般的な、削減されたコストのおかげで製造時点においても、特に個々に交換可能なモジュールの使用のおかげでプローブヘッドの使用期間中にも確かに高価でないことが指摘される。
【0161】
さらに、PCB基板に対して略直交している上昇セクションを備えているカンチレバーコンタクトプローブの構成のおかげで、PCB基板自体の接触パッドの距離すなわちピッチを簡単に修正することが可能である;実際に、さらなる接触端で終端するそれらの上昇プローブセクションを、それらの長さを単に修正することにより、「広げる(ファンアウト)」することで十分であり、よって、非常に大きく、および非常に離れた接触パッドをPCB基板上に形成することができる。
【0162】
よって、実際に、そのパッドの密度すなわちピッチおよびサイズに結び付いた、カンチレバープローブヘッドに関連付けられたPCB基板のコストも削減することが可能である。
【0163】
本発明によって製作されるプローブヘッド自体が、PCB基板のコスト、すなわち、試験装置に最も関係のあるコストをさらに削減し、および、上述したように、実際に、接触パッドの密度すなわちピッチおよびサイズに結び付けることを可能にするスペーストランスフォーマになることをさらに指摘する。
【0164】
さらに、1つまたは複数のプローブセクションにおける減衰部の存在は、被試験デバイスの、および/またはPCB基板の、接触パッドへの、対応する端部の接触を改善することを可能にする。
【0165】
最後に、モジュール式での、本発明によるカンチレバープローブヘッドの実現は、1つまたは複数のモジュールに対応する、破損したヘッド部のみを交換することの可能性を確実にする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A-4B】
図4C
図5A-5B】
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B