(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】リモートオブジェクトの位置と方向のための携帯式システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20231005BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01B7/00 103M
G01R33/02 Q
(21)【出願番号】P 2020562118
(86)(22)【出願日】2019-05-05
(86)【国際出願番号】 CN2019085580
(87)【国際公開番号】W WO2019214556
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-12-11
(32)【優先日】2018-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517396261
【氏名又は名称】アンコン メディカル テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON MEDICAL TECHNOLOGIES (SHANGHAI) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Floor 1, No. 2218 Jinsui Road, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 200131, China
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シャォドン
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/025400(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/092188(WO,A1)
【文献】特表2017-524444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
A61B 1/00-1/32
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の内部のターゲットエリア内のリモートオブジェクトの位置を確定するための電磁ポジショニングシステムであって、
x、y、およびz座標で互いに垂直に配置され、それぞれがパルス磁場を発生することができる
3つの励磁コイルを有する外部磁場発生アセンブリと、
前記ターゲットエリアの外部の支持面に配置される第2の磁場センサーと、を含み、
前記リモートオブジェクトは、前記パルス磁場を感知可能な第1の磁場センサー、信号処理モジュール、および無線通信モジュールを有し、
前記ターゲットエリア内の前記リモートオブジェクトの位置は、前記第1の磁場センサーにより測定された前記パルス磁場のデータに基づいて確定され、
前記外部磁場発生アセンブリは、
前記生体の表面を囲むベルト上に配置され、
前記第2の磁場センサーは、前記生体の表面を囲むベルト上に配置されないように、前記外部磁場発生アセンブリおよび前記第2の磁場センサーは、それぞれ、前記ターゲットエリアの外部の第1の表面および第2の表面に配置され、
前記第2の磁場センサーは、前記
外部磁場発生アセンブリ
の動
きが
あるかどうかを
参照し、および/または
前記ターゲットエリア
内を移動
しているリモートオブジェクトと当該第2の磁場センサーの距離を追跡するために用いられる
ことを特徴とする電磁ポジショニングシステム。
【請求項2】
前記第1の磁気センサーは、3D磁気抵抗性AMRセンサー、3Dホール効果センサー、MESベースの磁気センサー、フラックスゲートまたはコイルに基づく磁気センサー、磁気誘導磁気センサー、光ファイバ磁気センサー、3D磁気センサーと3D加速度センサーを組み合わせた6軸センサーなどの集積センサー、3D磁気センサーを組み合わせた9軸センサー、3D加速度センサー、および3Dジャイロセンサーを含むセンサーのグループから選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁ポジショニングシステム。
【請求項3】
前記外部磁場発生アセンブリの前記3つの励磁コイルは、
当該各励磁コイルに接続されたパルスまたはバイポーラパルス電流発生器によってパルス磁場を発生することができ、前記
パルス磁場のパルス幅は、1
nsから10秒の間である
ことを特徴とする請求項1に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項4】
前記外部
磁場発生アセンブリは、前記第1の磁気センサーにおいて0.0002~1200ガウスの範囲の磁場を発生することができる
ことを特徴とする請求項3に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項5】
前記第1の磁場センサーは、前記外部
磁場発生アセンブリから0~80cm離れて配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項6】
前記外部磁場発生アセンブリと
同一構成の、2つの追加の外部磁場発生アセンブリをさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項7】
前記外部磁場発生アセンブリ
および前記追加の外部磁場発生アセンブリは、前記ターゲットエリアを取り囲むように分散
配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項8】
コイル駆動モジュールを介して
前記外部磁場発生アセンブリに命令を送信して、
前記外部磁場発生アセンブリの前記3つの励磁コイルを独立して動作させ、前記リモート
オブジェクトの
前記第1の磁場センサーからデータを受信するモバイルレコーダーが前記ベルト上にさらに配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項9】
前記モバイルレコーダーは、記憶モジュールをさらに備える
ことを特徴とする請求項8に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項10】
前記リモートオブジェクトの
位置に加え方向
を確定する
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか一項に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項11】
前記外部磁場発生アセンブリ
の前記3つ励磁コイルによって発生される3つの純粋な磁場の確定に基づいて、前記リモートオブジェクトの位置および方向が
確定され、
前記3つの純粋な磁場の確定は、
前記各励磁コイル
によるパルス磁場の
印加の前または/および後に毎回、環境磁場
のベクトルを測定すること、および当該環境磁場
のベクトルを除去することにより
測定された当該各パルス磁場のベクトルを較正することを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項12】
前記外部磁場発生アセンブリの前記3つ励磁コイルによって発生される3つの純粋な磁場の確定に基づいて、前記リモートオブジェクトの位置および方向が確定され、
前記3つの純粋な磁場の確定は、当該各
励磁コイルによって発生される磁場を正および負の両方向で測定し、
測定された前記両方向の磁場データを
加算することによって、環境磁場を相殺
することによって達成される
ことを特徴とする請求項10に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項13】
前記外部磁場発生アセンブリの前記3つ励磁コイルによって発生される3つの純粋な磁場の確定に基づいて、前記リモートオブジェクトの位置および方向が確定され、
前記3つの純粋な磁場の確定は、
各磁場について3回
の測定
シーケンスを行うコンビナトリアルシーケンシング法によって達成され、
前記3回の測定シーケンスにおける後の測定シーケンスにおいて、前記3つ励磁コイルのうち1つの
励磁コイルの電流方向が前の測定シーケンスとは異なる
ことを特徴とする請求項10に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【請求項14】
前記リモートオブジェクトと前記第2の磁場センサーとの間の距離を基準曲線として経時的に追跡し、前記外部磁場発生アセンブリが転位したかどうかを確定し、且つ前記基準曲線に基づいて前記リモートオブジェクトの位置を較正することをさらに含む
ことを特徴とする請求項10
~13に記載の
電磁ポジショニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クロスリファレンス
【0002】
ない
【0003】
技術分野
【0004】
本発明は、リモートオブジェクトの配向及び移動のための磁場の使用に関する。より具体的には、本発明は、携帯式磁気発生システムを使用して、リモート小型化検査装置の位置を確定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
背景技術
【0006】
比較的に小さい検出器またはセンサーを配置して、狭くて、近接しにくくまたは遠い空間でタスクを実行するのは、多くの場合に有効である。例えば、無線リモート小型化検査装置を使用して、カメラで画像を収集することや、薬物の容器を配備することによって、薬の量を消化システムの全域に搬送することが当業者には知られている。医療分野で使用される現在利用可能な無線リモート小型化装置は、消化管の蠕動によって運ばれる。非医療用途において、プローブリモート小型化試験装置は、配管またはチューブのシステムを通じて流体の流れ及び/または重力によって運ばれている。そのようなアプローチは、調査される環境に固有の動きを利用し、プローブの動きと方向はある程度偶然に任されている。リモートプローブ技術のために、制御可能な位置と方向を提供するという課題は重要である。リモートプローブに移動機能を提供する試みは、機械的な駆動システムによって行われている。しかしながら、そのようなシステムはかなりの量の電力を必要とし、利用可能なスペース内で提供されるのが困難である。近年、リモート小型化検査装置内でその場に置かれた永久磁気双極子と外部磁気制御システムとの相互作用による磁気制御システムが開発されている。しかしながら、永久磁気双極子の使用がリモート小型化検査装置のサイズと重量を増加させ、外部磁気制御システムが高価であり、リモート小型化検査装置の内視鏡の位置を検出する代替法を見付けることが重要である。
【0007】
電磁ポジショニングシステムを利用して、消化管内のリモート小型化検査装置の位置をリモートで測定することが知られている。ここで開示されている電磁ポジショニングシステムは、三次元磁場センサー、信号処理モジュール、無線通信モジュール、3つの外部磁場励磁コイル、及び外部データ記録装置を有する密閉型リモート小型化検査装置を含む。電磁ポジショニングシステムの動作中に、3つのコイルは、患者の体の表面に固定され、且つ電流の励磁の下で連続的に磁場を発生し、消化管内のリモート小型化検査装置は、外部磁場を検出し、且つデータを発生して記録装置に送信する。そうすることにより、記録装置は、外部励磁コイルとリモート小型化検査装置の両方に関連する情報を一度に受信するため、リモート小型化検査装置の消化管内での行程を追跡することができる。
【0008】
前述した内容及び発生する可能性がある問題について、リモートオブジェクトの配向及び移動のための改善された装置、システム及び方法は、技術への貢献に役立つでしょう。さらに、以上に鑑みて、システムまたはリモートプロジェクトが予測可能にまたは予測不能に移動する過程において、リモートオブジェクトの位置及び方向を正確に検出できるシステム及び方法は、必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
発明内容
【0010】
本発明は、時間と共に隔離されたターゲット検査エリアにおけるリモートオブジェクトの位置と方向を測定できる電磁ポジショニングシステムを開示する。具体的には、リモートオブジェクトは、リモート小型化検査装置である。ポジショニング過程では、電磁ポジショニングシステムとリモート小型化検査装置は、何れも予期されるまたは予期できなく、制御される及び制御できない動きを有し得る。本明細書で開示された電磁ポジショニングシステムを実施することにより、リモート小型化検査装置の位置と方向の情報を時間とリンクさせることができ、リモート小型化検査装置によって収集された情報、例えば収集した写真画像は、リモート小型化検査装置が隔離されたターゲット検査エリア内を移動する時に、検査装置の時間及び位置情報と動力学的に関連付けることができる。
【0011】
本発明の1つの目的は、リモートオブジェクトの位置を電磁的に確定するためのシステムを提供することであり、このシステムは隔離されたターゲットエリアにおいてリモートオブジェクト及びその運動データを追跡することができる。
【0012】
本発明の他の目的は、リモートオブジェクトの位置を電磁的に確定するためのシステムを提供することであり、リモート小型化検査装置が隔離された対象となる検査エリアを通過する時に、時間または地理情報がダイナミックにラベル付けされる高品質の写真画像を撮ることができる。そうすることにより、撮像手段を有するリモートオブジェクトは、予め定められた位置間隔で写真を撮るか、またはリアルタイムでプログラムするようにプログラムされることができ、そのため、撮影及び処理が必要な、隔離されたターゲット検査エリアの写真画像の総数が大幅に削減される。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、リモートオブジェクトの位置を電磁的に確定するための、エネルギー消費率が低い携帯式システムを提供することにあり、これにより、リモートオブジェクトは、リモートエリアでの移動中に全員一致で効率的に動作できる。低エネルギー消費率は、リモートオブジェクトをインテリジェントにオンにして動作状態にするか、または高エネルギー消費の仕事関数の総数を減らすことによって達成される。例えば、受け取った情報の量と質を犠牲にすることなく、撮影が必要な写真の総数を減らすために選択的に写真を撮る。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、携帯式外部磁場発生アセンブリが追加の物理的機械器具を使用せずに、リモートされたエリアに容易に持ち運ばれたり、リモートされたエリアを覆うように配置されるように、リモートオブジェクトの位置を電磁的に確定するための携帯式システムを提供することである。前記携帯式システムは、環境に対する感度が非常に低く、屋内または屋外で正確に働くことができる。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、携帯式システムが静止状態であるかまたは移動状態であるかにかかわらず、リモートオブジェクトの位置を電磁的に確定するための携帯式システムを提供することである。また、リモートオブジェクトの移動が携帯式システムの移動と同期するかどうかにかかわらず、本明細書で開示された測定システム及び計算方法から得られた位置情報は信頼できる。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、携帯式電磁ポジショニングシステムが開示される。携帯式電磁ポジショニングシステムは、隔離されたターゲット検査エリアにその場に配置されるように構成されたリモート小型化検査装置を備え、第1の三次元磁場センサー、信号処理モジュール及び無線通信モジュールを有する。携帯式電磁ポジショニングシステムは、三次元でパルス磁場を発生することができる携帯式外部磁場発生アセンブリをさらに含み、外部で発生されたパルス磁場は、第1の三次元磁場センサーによって感知されることができる。電磁ポジショニングシステムは、必要に応じて少なくとも第2の三次元磁場センサーを含む基準位置ユニットを含み、隔離されたリモートターゲットエリアの外部のサポートサーフェスに配置されるように構成されている。第2の三次元磁場センサーは、リモートオブジェクトがリモートの隔離されたターゲットエリアを移動する時に、所定の位置と固定方向で外部支持面に配置される。さらに、前記電磁ポジショニングシステムは、モバイルレコーダーを備える。前記モバイルレコーダーは、三次元コイルアセンブリに命令を送信し、且つリモートオブジェクトから情報を受信する。
【0017】
一実施形態では、本発明の第1の態様によれば、前記リモートオブジェクトは、リモート小型化検査装置である。
【0018】
別の実施形態では、本発明の第1の態様によれば、前記携帯式外部磁場発生アセンブリは、パルス磁場を三次元的に発生する三次元励磁コイルアセンブリである。前記三次元励磁コイルアセンブリは、0.02~12ガウスの範囲内で磁場を発生できる。本明細書に開示される実施形態では、前記三次元励磁コイルアセンブリは、リモートオブジェクトまたはリモート小型化検査装置から3~20cm離れて配置されるように構成される。
【0019】
一例では、三次元励磁コイルアセンブリは3組のコイルを有し、各コイルは1つの軸を巻いて巻き付けられ、各軸は別の2つの軸に対して垂直であり、3つの軸は三次元励磁コイルアセンブリの中心で交差しており、そのうち、前記三次元励磁コイルアセンブリは、球形または立方体である。好ましくは、三次元励磁コイルの中心からリモートオブジェクト中心までの距離は、約10cmである。
【0020】
好ましい実施形態では、本発明の第1の態様によれば、外部磁場発生アセンブリは、追加の物理的な機械的固定具なしで、リモートエリアに容易に近づけるか、またはリモートエリアを覆うように配置されることができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、本発明の第1の態様によれば、携帯式外部磁場発生アセンブリは、3つの三次元励磁コイルアセンブリを含み、各三次元励磁コイルアセンブリは、x、y、z方向に巻かれた励磁コイルから構成される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、電磁ポジショニングシステムを使用して、リモートオブジェクトの位置を正確に検出して、計算するための方法は開示される。この方法は、三次元磁気励起アセンブリにより発生される3つの「純粋な」磁場を確定する第1のステップと、リモートオブジェクトの位置を計算する第2のステップと、リモートオブジェクトの方向を確定する第3のステップとを含む。
【0023】
三次元磁気励起アセンブリによって発生された3つの「純粋な」磁場を確定するための3つの代替方法が開示される。第1の方法は、三次元磁気アセンブリの測定された全磁場データから環境磁場データを測定し、環境磁場データを除去することを含む。
【0024】
第2の方法は、環境磁場データを正負方向に測定するバイポーラパルスシーケンシング法を用いて全磁場データを測定し、2つの全磁場データを加算すると環境磁場が打ち消される。
【0025】
第3の方法は、コンビナトリアルシーケンシング法を使用して全磁場を3回測定することを含み、その中、1つのコイルの少なくとも1つの電流方向は、前のシーケンスとは異なる。
【0026】
さらに、全磁場から環境磁場を差し引くことによって環境磁場を取得する実施形態では、一実施形態では、全磁場を測定する前に第1の環境磁場を測定することを含む。別の実施形態では、環境磁場を確定することは、パルス磁場を発生するステップの後に第2の環境磁場を測定することを含む。好ましい実施形態では、環境磁場を確定することは、パルス磁場を発生するステップの前に第1の環境磁場を測定することを含み、パルス磁場を発生するステップの後に、第2の環境磁場を測定し、環境磁場のデータとして、第1の及び第2の環境磁場の平均値を取る。
【0027】
本発明の原理を実行する際に、好ましい実施形態によれば、本発明は、リモートオブジェクトによって発生または収集された情報がリアルタイムで地理的または状態情報で標識されることを可能にする携帯式システム及び使い易い方法を提供する。本明細書に開示される携帯式システム及び使い易い方法は、隔離されたエリア内のリモートオブジェクトの動きをリアルタイムまたは所定の時間間隔で追跡することができる。リモートオブジェクトの位置や方向などの検出可能で信頼性の高い地理情報と効果的なワイヤレス通信モジュールによって、オペレーターまたは人工知能インターフェースは、リモートオブジェクトと対話して、リモートオブジェクトをよりインテリジェントかつ効率的に動作させて、設計された目的に適合するより関連性の高い情報を収集させる。
【0028】
本発明は、リモートオブジェクトの方向制御、リモートオブジェクトの制御された動き、プローブ運動システムの低電力消費要件、及び運動制御及びデータ収集要素の堅牢性を含む1つ以上の利点を提供するが、これらに限定されない。本発明のこれら及び他の特徴、機能及び利点は、添付の図面に関連して本発明の代表的な実施形態の詳細な説明を慎重に検討することにより、当業者によって理解することができる。
【0029】
本発明は、以下の説明及び図面考慮した上に、明らかに理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の態様による、電磁ポジショニングシステムの第1の例示的な実施形態の概略図である。
【0031】
【
図2】
図2は、本発明の態様による、電磁ポジショニングシステムの第2の例示的な実施形態の概略図である。
【0032】
【
図3】
図3は、本発明の態様による、リモートオブジェクトの例示的な実施形態の分解図である。
【0033】
【
図4】
図4は、本発明の態様による、基準位置アセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
【0034】
【
図5】
図5は、使用状況の一例の概略図であり、人物像が図解目的のためであり、本発明の一部ではない。
【0035】
【
図6】
図6は、三次元励磁コイルアセンブリの中心とリモートオブジェクトの位置との間の空間関係を示す図であり、位置Oは、三次元励磁コイルアセンブリの中心である。
【0036】
【
図7】
図7は、三次元励磁コイルアセンブリをオン及びオフにするためのパルスシーケンスの一実施形態である。
【0037】
【
図8】
図8は、三次元励磁コイルアセンブリをオン及びオフにするためのパルスシーケンスの別の実施形態である。
【0038】
【
図9】
図9は、本発明の態様による三次元励磁コイルアセンブリの例である。
【
図10】
図10は、本発明の態様による三次元励磁コイルアセンブリの例である。
【
図11】
図11は、本発明の態様による三次元励磁コイルアセンブリの例である。
【
図12】
図12は、本発明の態様による三次元励磁コイルアセンブリの例である。
【0039】
【
図13】
図13は、リモートオブジェクトの位置及び方向を確定するための方法ステップを示すフローチャートである。
【0040】
【
図14】
図14は、環境磁場を確定するための方法ステップを示す例示的なフローチャートである。
【0041】
【
図15】
図15は、本発明の態様による、リモートオブジェクトの位置及び方向を取得するための方法ステップを示す例示的なフローチャートである。
【0042】
【
図16】
図16は、本発明の態様による、リモートオブジェクトの位置及び方向を取得するための方法ステップを示す例示的なフローチャートである。
【0043】
【
図17】
図17は、三次元磁気励起アセンブリによって発生された3つの「純粋な」磁場を取得するための3つの代替経路を示している。
【0044】
【
図18】
図18は、本発明の態様による、例示的な小型医療機器の概略図である。
【0045】
【
図19】
図19は、モバイルレコーダーとその外部コイルアセンブリとの相互作用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明における参照は、特に言及しない限り、様々な図面における同様の参照に対応する。書面による説明で使用される上、下、水平、垂直、アッパー、サイド等の記述性及び方向性の用語は、特に明記されていない限り、図面自体を指すが、本発明の物理的制限ではない。図面は、縮尺通りではなく、図示されるかまたは説明される実施形態の幾つかの特徴が本発明の原理及び特徴を説明するために、簡略化または増幅される。
【0047】
本発明の様々な例示的な実施形態の作成及び使用が本明細書で論じられているが、その使用のための装置及び技術は、多種多様な特定の状況で具体化することができる発明の概念を例示することが理解されるべきである。本発明は、本発明の原理を変更することなく、様々な用途及び実施形態で実施できることを理解されたい。明確にするために、該当する技術分野の当業者によく知られている機能、コンポーネント、及びシステムの詳細な説明は含まれていない。一般に、本発明は、リモートオブジェクトを移動して、方向付けるための装置、システム、及び方法を提供する。本発明は、代表的な例示的な実施形態の文脈で説明されている。実施形態の詳細についての変形例及び代替案が可能であるが、それぞれが従来技術に対して1つまたは複数の利点を有する。
【0048】
簡単にするために、本明細書に開示される小型化検査装置は、生体内に配置されるように設計されている。ターゲットエリアは消化管であり、非侵襲的な配達方法の1つは、消化管に飲み込むことである。しかしながら、本明細書に開示される小型化検査装置は、その形状、寸法またはサイズの制限として解釈されるべきではない。本明細書に開示される小型化検査装置及び三次元励磁コイル及びそれを使用する方法は、小型化検査装置及び励磁コイルの動きが本発明の態様を満たす限り、他の多くの用途に適用することができる。
【0049】
簡単にするために、ソレノイドは、三次元励磁コイルアセンブリの幾つかの例で使用されている。殆どの説明では、ソレノイドは、円筒状体の周りに巻かれたコイルと呼ばれる。しかし、本発明の範囲内で、ソレノイドに関する例及び計算は、例示の目的のためだけであり、限定的であると解釈されるべきではない。
【0050】
3Dソレノイドアセンブリは、互いに対して垂直である3つのコイルを含む。3つのコイルは、共通の幾何学中心を持つ。各コイルの断面形状は、円板、正方形、長方形または楕円形であってもよい。断面面積は、同じまたは僅かに異なることができる。可変な断面の例は、球形のコイルまたは長方形の三次元コイルアセンブリが挙げられる。
【0051】
本発明は、リモートオブジェクトのポジションを確定するための計算を含む。計算では、全ての3Dソレノイドアセンブリが3つの垂直磁気双極子としてモデル化されている。この仮定は、通常、リモートオブジェクトからコイルの中心までの距離がその幾何学長より2倍長い場合には、適切な近似値である。ただし、均一な球形コイルの場合、リモートオブジェクトから球形コイルの中心までの距離がその半径よりも長い場合、双極子モデルは正確である。これは、測定ポイントがソレノイドバルブに非常に近い場合の概算である。私たちのダイポールモデルは、コイルまでの距離が最長寸法から約2~3倍離れている場合に適している。
【0052】
本出願の態様によれば、幾つかの実施形態では、「携帯」は、積載される、運搬される及び容易に輸送されることができることを意味する。幾つかの実施形態では、「携帯」は、着用可能、着用に適している、または着用可能であることを意味する。さらに、幾つかの実施形態では、「携帯」とは、電磁システムが絶えず、予測可能または制御不能に移動することを意味する。
【0053】
本発明の態様によれば、磁気励起アセンブリとリモートオブジェクトとの間の距離は、磁気励起アセンブリの中心からリモートオブジェクト内の3D磁気センサーの瞬時位置までの距離として定義される。磁気励起アセンブリの中心は、磁気励起アセンブリの個々の磁気軸の交点として定義される。一例では、磁気励起アセンブリの中心は、磁気励起アセンブリの幾何学的中心である。別の例では、磁気励起アセンブリの中心は、磁気励起アセンブリの幾何学的中心ではない。
【0054】
本発明の態様によれば、3D磁気センサーは、リモート移動オブジェクトに固定される。前記リモート移動オブジェクトは、3D磁気センサーに電力を供給するための電源と、3D磁気センサーによって感知された磁場をデジタル化できるマイクロプロセッサ制御ユニット、及びオプションの無線通信ハードウェアを含む。
【0055】
本発明の態様によれば、リモートオブジェクトの距離及び位置を確定するための数学的計算及び本発明の範囲内の他の計算において、Bは、磁場の強さである。Bxでは、1番目の記号xはBの隣にある通常のフォント文字であり、磁場強度の起源または所有者である。例えば、Bxは、磁場の強さがxコイルに属することを意味する。Bxxでは、2番目の記号である下付き文字は、磁気センサーによって測定された指向性またはコンポーネントの磁場強度である。例えば、Bxxは、リモートオブジェクトの磁気センサーによって測定されたxコイルのxコンポーネントの磁場強度を意味する。さらに、他に上付き文字がないBは、コイル座標で参照されていることを意味する。B’(上付き文字’があるB)は、3D磁気センサー座標で参照されていることを意味する。
【0056】
図示及び説明された本発明の原理は、生体内の他の用途または他の状況のプローブにも適用され得る。例えば、機械または流体または医学的処理または搬送システムなどに使用され得る。「リモート小型化検査装置」という用語は、本明細書では「プローブ」という用語と交換して使用され、形状に関係なく、一般的なプローブ装置及び類似するリモートオブジェクトを指す。リモート小型化検査装置は、半球状の円筒状であってもよく、半球状の端部を有する実質的に円筒状であってもよいし、又は他の適切な形状又は形状の組み合せであってもよい。リモート小型化検査装置100。
【0057】
本発明の第1の態様によれば、第1の実施形態では、携帯式電磁ポジショニングシステムが開示されている。携帯式電磁ポジショニングシステムは、第1の三次元磁場センサー、信号処理モジュール及び無線通信モジュールを備えた、隔離されたターゲット検査エリア内にその場で配置されるように構成されたリモート小型化検査装置を含む。信号処理モジュール及び無線通信モジュールは、RF送信機及びアンテナであり得る。リモート小型化検査装置は、イメージセンサー、レンズ及び1つ以上のLEDをさらに備える。
【0058】
第1の実施形態の一例では、リモートオブジェクトの内部には永久磁気双極子が配置されていない。第1の実施形態の別の例では、永久磁気双極子がリモートオブジェクトの内部に配置されている。
【0059】
図1を参照すると、携帯式電磁ポジショニングシステムは、本質的にリモート小型化検査装置100を備えており、隔離されたターゲット検査エリア内に配置されており、第1の三次元磁場センサーと、携帯式外部磁場発生アセンブリ101と、第2の三次元磁場センサー103と、モバイルレコーダー104と、を有する。携帯式外部磁場発生アセンブリ101は、それぞれ三次元でパルス磁場を発生することができる。そして、外部で発生されたパルス磁場は、第1の三次元磁場センサーによって検知されることができる。モバイルレコーダー104は、コイル駆動モジュールを介して携帯式外部磁場発生アセンブリに命令を送信して、各コイルを独立して動作させ、且つリモート小型化装置の第1の三次元磁場センサーからデータを受信する。前記リモート小型化検査装置の中の第1の磁気センサーのz軸は、小型化検査装置の長さ方向と一致している。
【0060】
図2に示すように、同様に、携帯式電磁ポジショニングシステムは、主としてリモート小型化検査装置100からなる。前記リモート小型化検査装置100は、第1の三次元磁場センサー、3つの携帯式外部磁場発生アセンブリ101、第2の三次元磁場センサー103及びモバイルレコーダー104を有する。
【0061】
図1及び
図2において、携帯式外部磁場発生アセンブリ101及びモバイルレコーダー104は、リモートの隔離されたターゲットエリアの外部の支持面上に配置されるように構成される。基準磁場センサー及び第2の三次元磁気センサーとしては、リモート検査装置がリモートの隔離されたターゲットエリア内を移動する時に、所定の位置及び固定された方向で前記外部の支持面に配置される。
【0062】
図1及び
図2で示されているシステムは、採用したソレノイドの数が大きく異なる。
図2に示すシステムには、3つのソレノイドがある。理論的に言えば、1つのソレノイドを有するシステムは、3つのソレノイドを有するシステムとほぼ同じ位置測定を実行することができる。3つのソレノイドを備えたシステムは、より優れた位置決め精度を提供し、より広い検出範囲を可能にする。検出範囲は、磁気センサー測定の信号ノイズ比に依存するためである。信号ノイズ比を改善するために、ソレノイドの磁気モーメントを増加させる必要がある。ソレノイドの磁気モーメントを増加させる1つの方法は、励起電流を増加させることである。発生した磁場は、ソレノイドの中心からリモートオブジェクトまでの距離の三乗の逆数に比例するので、検出範囲を2倍にするために、励起電流を8倍に増やすはずである。しかし、定義されたコイルセットアップでは、最大許容電流は、ワイヤーの直径、パルス幅及び最大出力電流によって制限される。ワイヤーの直径が大きいほど、許容される電流は大きくなる。パルス幅が短いほど、許容される電流は大きくなる。そして、電源の最大出力電流は電流の制限である。言い換えれば、一旦ソレノイドを作ると、最大許容電流が明確に定義される。このような状況では、新しいソレノイドを作成せずに、検出範囲を拡大することもでき、1つではなく3つのソレノイドを同時に使用することで、より多くのパルス電流を収容することができる。
【0063】
図5に示すように、外部磁場発生アセンブリ101及びモバイルレコーダー104は、リモートオブジェクト100を含むターゲットエリアの外側に固定され、且つ患者の腰を囲むベルトのように、前記ターゲットエリアを囲む。
【0064】
一例では、小型化検査装置は、カプセルまたはカプセル内視鏡である。カプセルの典型的な構造の詳細は、
図3と
図18に概略的に示されている。
【0065】
本明細書に開示される基準センサーは、
図4に示されるように、処理回路、バッテリー、及びアンテナをさらに含む基準センサーアセンブリに封入されている。
【0066】
三次元磁場センサー
【0067】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、飲用用途のためのものである。本発明の第1の態様の第1の実施形態では、信頼性が高く、堅牢で高感度の三次元磁場センサーを使用する必要がある。三次元磁場センサーの検出限界値は数ガウス関数以内であり、動作ノイズが低い。リモートオブジェクト内に永久磁気双極子がない場合には、毎回測定する前に、地磁気の影響を取り除くために3D磁場センサーを較正する必要がある。
【0068】
本発明の態様によれば、任意の三次元磁場センサーを使用して、本発明の目的を達成することができる。三次元磁場センサーは、3D磁気抵抗AMRセンサーと6軸センサーを含むセンサーのグループから選択できる。適切なセンサーは、検出範囲、感度、ノイズ、消費電力、及びサンプリング速度を考慮して選択される。
【0069】
代表的な3D磁気抵抗AMRセンサーの1つは、3D磁気抵抗AMRセンサーMMC314xMSであり、検出範囲が+/-4ガウス、感度が2mガウスであり、ノイズが0.6mガウス未満、消費電力が0.55mA@3Vであり、読み取り時間が7-10msである。
【0070】
代表的な6軸センサーの1つは、6軸センサーLMS303Dであり、検出範囲が+/-12ガウス、感度が0.08mガウスであり、ノイズが5mガウス未満であり、消費電力が0.3mA@1.8Vであり、最大のサンプリング速度が100Hzである。
【0071】
もう1つの典型的な6軸センサーは、6軸センサーFXOS8700CQであり、検出範囲が+/-12ガウスであり、感度が0.18mガウスであり、ノイズが10mガウス未満であり、消費電力が0.24mA@1.8Vであり、最大のサンプリング速度が800Hzである。
【0072】
第1の3D磁場センサー104は、x軸、y軸、及びz軸の磁場を感知するために、外部励磁コイルアセンブリと位置合わせされている。この例では、z方向はリモートの小型化検査装置の軸に沿っている。磁場センサーで感知された磁場値は、付属のRF送信機106及びアンテナ108を使用して、リモート小型化検査装置100から送信されることが好ましい。必要に応じて、画像センサー110、レンズ112、及び1つまたは複数のLED114は、画像データを処理、保存、及び/または送信するための関連する処理回路116と共に、医療画像化の目的でリモート小型化検査装置100に含まれ得る。摩擦力は、方向付け及び/または移動操作中にリモート小型化検査装置100を安定させるために使用することができ、従って、リモート小型化検査装置の端部近傍等の選択点での静摩擦力を、リモート小型化検査装置の材料及び/又はテクスチャ及び/又は形状を変更することによって高めることが好ましい。
【0073】
本発明の第1の態様によれば、第2の実施形態では、携帯式電磁ポジショニングシステムは、携帯式外部磁場発生アセンブリをさらに備え、前記携帯式外部磁場発生アセンブリは、パルス磁場をそれぞれ三次元で順次に発生することができ、そして、外部で発生されたパルス磁場は、第1の三次元磁場センサーによって感知されることができる。
【0074】
図7~
図10に、携帯式外部磁場発生アセンブリの4つの例を示している。本発明の一実施形態では、磁場発生アセンブリは、励磁コイルアセンブリである。本発明の態様によれば、三次元励磁コイルアセンブリは、3つの垂直に配置されたコイルを有し、各コイルは、それ自体の中心軸の周りに巻かれており、各中心軸は、他の2つの中心軸に対して垂直であり、3つの中心軸は、三次元励磁コイルアセンブリの中心で交差している。ここで、前記三次元励磁コイルアセンブリは、球形または立方体の形状である。
【0075】
磁場発生アセンブリは、複数の励磁コイルで構成されている。各励磁コイルは、コイルの長さ、コイルの半径、コイルの軸の周りの巻数、及びそれぞれのコイルの搬送電流によって特徴付けられる。
【0076】
本発明の範囲において、三次元励磁コイルアセンブリは、磁場を発生することができる3つの独立した励磁コイルからなり、タイミングシーケンスで発生される3つの磁場は互いに垂直である。発生される磁場が励磁コイルの磁気軸と同じ方向に沿っているため、結果として、3つのコイルを含む三次元励磁コイルアセンブリは互いに垂直になる。3つの励磁コイルは、それらの幾何学的中心が互いに一致するように構成されている。個々のコイルの断面の形状は、ディスクまたは正方形、長方形または楕円形などとすることができる。3つの独立したコイルの断面面積はわずかに異なるが、何れか2つのコイルの断面面積の差は5%以下であるので、本発明の第2の態様で説明した計算モデルにおいて、この差はゼロに近似できる。
【0077】
本発明の範囲内で、三次元励磁コイルアセンブリは、後で説明する計算で使用されるパラメータ及び原理に従って設計される。計算では、全ての三次元励磁コイルが3つの垂直磁気双極子としてモデル化される。さらに、一例では、計算モデルを検討する際に、三次元励磁コイルアセンブリの中心とリモートオブジェクトとの間の距離は、三次元励磁コイルアセンブリの幾何学的長さよりも少なくとも2.5倍長く、ここで、三次元励磁コイルアセンブリの幾何学的長さは、コイル長の中で最も短い。別の例では、三次元励磁コイルアセンブリが球形である場合、三次元励磁コイルアセンブリとリモートオブジェクトとの間の距離が球形の三次元励磁コイルアセンブリの断面半径よりも大きい場合、計算モデルは正確である。球形の三次元励磁コイルアセンブリの半径は、三次元励磁コイルアセンブリの3つの半径の中で最大の半径である。
【0078】
磁気モーメントは、巻数、断面面積及びコイル電流に比例している。本発明の範囲において、一例では、コイルの長さ、コイルの半径、コイルの軸の周りの巻数、及びそれぞれのコイルの搬送電流は、3つのコイルについて同じであるか、または実質的に同じである。別の例では、前述のパラメータは完全に同じではなく、パラメータが同じであると考えられる状況下でさえ、コイルの巻数は、同じコイル電流を持つ各コイルの磁気モーメントが互いに近くなるように調整される。
【0079】
この実施形態の一例では、
図9に示すように、励磁コイルアセンブリは、本質的に3つの励磁コイル701、702及び703からなる。コイル701は、磁気コイル軸yの周りに連続的に巻かれている。コイル702は、磁気コイル軸xの周りに連続的に巻かれている。コイル703は、磁気コイル軸aの周りに連続的に巻かれ、一方の上端から中央に向かって徐々に巻線直径が増加し、中央から他方の下端に向かって徐々に巻線直径が減少する。3つの磁気軸x、y、及びzは、励磁コイルアセンブリの中心として定義されるO点で交差する。この例では、3つの磁気軸x、y、zは互いに垂直である。この例では、各コイルの断面は丸い形状である。断面直径の差異は、5%未満である。
【0080】
この実施形態の別の例では、
図10に示すように、励磁コイルアセンブリは、本質的に3つの励磁コイル、801、802及び803からなる。コイル801は、磁気コイル軸yの周りに連続的に巻かれている。コイル802は、磁気コイル軸xの周りに連続的に巻かれている。コイル803は、磁気コイル軸aの周りに連続的に巻かれ、一方の上端から、中央に向かって、他方の下端まで均一な巻径を有する。3つの磁気軸x、y及びzは、励磁コイルアセンブリの中心として定義されるO点で交差する。この例では、3つの磁気軸x、y、zは互いに垂直である。この例では、各コイルの断面は丸い形状である。
【0081】
この実施形態のさらに別の例では、
図11に示すように、励磁コイルアセンブリは、本質的に3つの励磁コイル、901、902及び903からなる。コイル901は、磁気コイル軸yの周りに連続的に巻かれている。コイル802は、磁気コイル軸xの周りに連続的に巻かれている。コイル903は、磁気コイル軸aの周りに連続的に巻かれ、一端が第1の最小直径を有し、中央が最大直径を有し、他端が第2の最小直径を有するように、連続的に増加する巻線直径を有する。3つの磁気軸x、y及びzは、励磁コイルアセンブリの中心として定義されるO点で交差する。この例では、3つの磁気軸x、y、zは互いに垂直である。この例では、各コイルの断面は丸い形状である。一例では、球形構造の三次元磁気コイルアセンブリは、2cm×4cm×4cmの磁気コイル巻線を含む。
【0082】
この実施形態のさらに別の例では、
図12に示すように、励磁コイルアセンブリは、本質的に3つの励磁コイル1001、1002、及び1003からなる。コイル1001は、磁気コイル軸yの周りに連続的に巻かれている。コイル1002は、磁気コイル軸xの周りに連続的に巻かれている。コイル1003は、磁気コイル軸aの周りに連続的に巻かれ、一端が第1の最小直径を有し、中央が最大直径を有し、他端が第2の最小直径を有するように、均一な巻線直径を有する。3つの磁気軸x、y、及びzは、励磁コイルアセンブリの中心として定義されるO点で交差する。この例では、3つの磁気軸x、y、zは互いに対して垂直である。この例では、各コイルの断面は円形、長方形、または正方形である。一例では、長方形構成の三次元磁気コイルアセンブリは、
図10に示されるように、その三次元で2cm×4cm×4cmの磁気コイルの巻線を含む。三次元は、x、y及びz方向である。一例では、長方形構成の三次元磁気コイルアセンブリは、
図10に示されるように、2cm×4cm×4cmの三次元磁気コイル巻線を含む。前記三次元は、x、y及びz方向である。
【0083】
本発明の唯一の目的は、リモートオブジェクトの位置を確定することであり、その目的のために、1つの検出-測定サイクル内の磁場測定期間は、限られた時間内に達成される必要がある。一方では、限られた時間は、最初にリモートオブジェクトの移動頻度によって確定される。本発明の1つの利点として、リモートオブジェクトが1つの場所に固定されていなくても、リモートオブジェクトの位置を検出することである。他方では、限られた時間は、第2に、励起アセンブリ自体の移動周波数によって確定される。地磁場の変化により、励起アセンブリとリモートオブジェクトの両方が同期した状態で移動する状況でも、ポジショニングを正確にするために、検出-測定サイクルを限られた時間内に終了する必要がある。本発明の態様によれば、磁気アセンブリ内の各コイルは、個別に充電されることが可能である。個々のコイルは、正確に制御されたタイミングシーケンスで充電する必要がある。さらに、個々のコイルは、各シーケンスで発生された3つの磁場の間に干渉がないように、非常に迅速に充電及び放電する必要がある。
【0084】
限られた時間は、許容可能な検出精度を含む追加の要因によってさらに決定される。許容可能な検出精度は、異なるアプリケーションや最終使用計画によって異なる。
【0085】
一例では、リモートオブジェクトは、磁気センサーを備えたカプセル内視鏡であり、10mm/秒の速度でターゲットエリア(例えば、消化チャネル)内で移動する。0.5mmの許容可能な位置精度目標を達成するために、限られた測定時間は50ms未満に設定されている。
【0086】
本発明の範囲において、ターゲットエリア(例えば、ダイジェストチャネル)内を10mm/秒の速度で移動する磁気センサーに関しては、0.5mmの許容可能な位置精度目標を達成するために、限られた測定時間は50ms未満に設定されている。
【0087】
さらに、充電時間と放電時間をできるだけ短くする必要がある。例えば、1マイクロ秒未満が望ましい。充電と放電の時間は、コイルの材料組成、コイルの直径、コイルの巻数によって決められる。
【0088】
本発明の範囲において、一例では、長方形の三次元磁気コイルアセンブリは、1つの表面に4cm×4cmの巻線構成を有し、1000ターンを有する。もう1つの表面に2cm×4cmの巻線構成を有し、2000ターンを有する。選択される励磁コイルは、直径が0.18mmで、抵抗率が160オームまたは240オームである横断面を有する。一例では、三次元励磁コイルアセンブリの電流は0.1Aである。別の例では、三次元励磁コイルアセンブリにおいて、各コイルは、約10層の巻線がある。
【0089】
三次元励磁コイルアセンブリの動作中に、励起電流は、電圧24Vで、パルス定電流源0.1Aの下でパルス10msに設定される。現在値は、リアルタイムプログラムで設定できる。三次元励磁コイルアセンブリは、最大コイル電力7.2W、検出頻度2回/秒、及び平均消費電力<1Wを実現できる。
【0090】
本発明の目的のために、小型化検査装置が標的場所に配備された時に、外部三次元励磁コイルアッセンブリは、小型化検査装置内の第1の三次元磁場センサーによって検出されるべき磁場を発生する。三次元磁場センサーの検出限界と感度要件、及び外部三次元励磁コイルアセンブリとターゲット位置の間の特定距離構成によって、三次元励磁コイルアッセンブリは、幾つかの実施例では、小型化検査装置によって測定されるために、0.02~12ガウスの磁場を発生するように構成されている。他の幾つかの例では、三次元励磁コイルアセンブリは、小型化検査装置によって測定された、0.005~1ガウスの磁場を発生するように構成される。さらに幾つかの他の例では、三次元励磁コイルアセンブリは、小型化検査装置によって測定された、0.5~100ガウスの磁場を発生するように構成される。さらに幾つかの他の例では、三次元励磁コイルアセンブリは、小型化検査装置によって測定された、10~2000ガウスの磁場を発生するように構成される。
【0091】
さらに、小型化検査装置の第1の三次元磁場センサーが、外部の三次元励磁コイルアセンブリによって発生された磁場を感知すると、小型化検査装置は、定義された境界内のターゲット位置に移動する。言い換えれば、操作または検査プロセス中に、三次元磁場センサーと外部の三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離が比較的定義される。一例では、小型化検査装置がターゲット位置まで移動する時に、小型化検査装置と三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離は、3~5cmの間である。別の例では、小型化検査装置がターゲット位置まで移動する時に、小型化検査装置と三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離は、5~7cmの間である。別の例では、小型化検査装置がターゲット位置まで移動する時に、小型化検査装置と三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離は、7~11cmの間である。別の例では、小型化検査装置がターゲット位置まで移動する時に、小型化検査装置と三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離は、11~15cmの間である。別の例では、小型化検査装置がターゲット位置まで移動する時に、小型化検査装置と三次元励磁コイルアセンブリとの間の距離は、15~20cmの間である。
【0092】
小型化検査装置での3D磁気センサーによって感知される値、及び外部三次元励磁コイルアセンブリと3D磁気センサーとの間の距離制約に基づいて、三次元励磁コイルアセンブリは、0.02~12ガウスの範囲内で、磁気モーメントを発生するように構成される。
【0093】
三次元励磁コイルアセンブリは、管理モジュールをさらに備え、前記管理モジュールは、通信ユニットからの命令を受信し、且つ励起電流をオン及びオフにするためのアンテナと、タイミングプロトコルと、を含むる。
【0094】
本発明の第1の態様によれば、第3の実施形態では、電磁ポジショニングシステムは、外部基準位置アセンブリをさらに備える。外部基準位置アセンブリは、第2の三次元磁場センサーを含み、且つ基準磁場センサーとして、隔離されたリモートターゲットエリアの外部の支持面上に配置されるように構成される。第2の三次元磁場センサーは、リモートオブジェクトがリモートの隔離されたターゲットエリア内を移動する時に、所定の位置及び固定された方向で外部支持面に配置される。第2の三次元磁場センサーの配置によって、外部三次元励磁コイルの動きがあるかどうかを参照したり、相対位置を参照したり、ターゲット内を移動している間のリモートオブジェクトの動きを追跡したりすることができる。
【0095】
本発明の態様によれば、任意の三次元磁場センサーを使用して、本発明の目的を達成することができる。三次元磁場センサーは、3D磁気抵抗AMRセンサーと6軸センサーを含むセンサーのグループから選択される。適切なセンサーは、検出範囲、感度、ノイズ、消費電力、及びサンプリング速度を考慮して選択される。
【0096】
外部基準位置アセンブリは、電力用のバッテリのデータを読み出して送信する制御ユニットをさらに備える。
【0097】
基準3D磁場センサー104は、x軸、y軸、及びz軸の磁場を感知するために、外部励磁コイルアセンブリと位置合わせされる必要がある。この例では、z方向は、基準位置アセンブリ軸に沿っている。基準3D磁場センサーによって感知された磁場値は、RF送信機106及びアンテナ108を含む無線通信モジュールを使用して送信されることが好ましい。
【0098】
動作中に、
図3に示すように、外部励磁コイルアセンブリ及び基準位置アセンブリは、周りの第1及び第2の表面に配置される及びターゲットエリアを囲む。一方、プローブは、2つの表面の間のスペース、キャビティ、閉じた領域または半閉じた領域の間のターゲット領域に配置される。1つの好ましい例では、ターゲットエリアを取り囲む第1の表面及び第2の表面は、2つの対向する表面である。従って、システムは、発生された磁場の最も高い感度を実現する。
【0099】
以上が、本発明の範囲内で可能な特定の実施形態の一例である。本発明の原理は、この特定の実施形態に限定されず、多くの変形が可能である。コンポーネントの詳細及び配置における多くの他の変形が、本発明の範囲内でなされてもよいことを理解されたい。
【0100】
一例では、
図3に示すように、リモートの小型化されたデバイスはカプセルであり、患者さんの消化管内を移動できる。励磁コイルは、アンテナと共にベルト上に配置され、前記ベルトは、1ターンで患者を包む。ベルトの外周の長さは、成人のウエストラインの程度である。励磁コイルとアンテナを含む三次元磁気アセンブリは、患者のベルトの第1の位置(腹部の位置)に配置される。基準位置は、第2の位置、例えば、患者のスピンの近くの患者の後ろに配置される。この構成では、基準位置を使用して、位置測定期間中にベルトが意図した位置から移動したかどうかを判断し、必要に応じてキャリブレーションを提供できる。例えば、カプセルと基準位置の間の距離を基準曲線として経時的に追跡し、ベルトの転位が顕著であるかどうかを判断し、且つ前記基準曲線の痕跡に対して較正する。
【0101】
図1及び
図3を参照すると、3つの磁気励起アセンブリは人体を横切るベルト上に配置され、第2の磁気センサーは人の体と距離を置くように同じベルトに固定されている。この例では、
図3に示すように、前記距離は、ベルトの周囲の1/4である。さらに、リモートオブジェクトの3D磁気センサーから第2の磁気センサーまでの距離は、リモートオブジェクトの3D磁気センサーと三次元磁気励起アセンブリとの間の距離と同様である。
【0102】
例示的な装置の概要を考慮すると、三次元磁気センサーを備えたリモート小型化検査装置の位置及び基準位置は、以下の方程式及び原理によってリアルタイムで決定されることを理解されたい。
【0103】
本発明の第2の態様では、リモートオブジェクトの位置を確定するために三次元磁気励起アセンブリを使用する方法が記載され、開示されている。この方法は、以下のステップを含む。まず、三次元磁気励起アセンブリによって発生される3つの「純粋な」磁場を確定する。次に、三次元磁気励起アセンブリとリモートオブジェクトと間の距離を計算する。そして、リモートオブジェクトの位置が計算された後、リモートオブジェクトの方向を計算する。
【0104】
三次元磁気励起アセンブリによって発生される3つの「純粋な」磁場を確定する第1のステップは、環境磁場を確定して、三次元磁場アセンブリによって発生された磁場を測定して、測定されたパルス磁場から環境磁場を除去して、三次元磁場アセンブリによって発生された純粋な磁場を取得することを含む。
【0105】
ここで、三次元磁気励起アセンブリによって生成された磁場を測定するステップは、三次元磁気励起アセンブリの第1、第2及び第3のコイルのパルスシーケンスを通して磁場を測定することを含む。さらに、三次元磁気励起アセンブリの個々のコイルの第1、第2及び第3の磁気軸方向は、第1、第2及び第3の方向に垂直である。
【0106】
環境磁場を除去する3つの方法の概要
【0107】
本明細書に開示されるように、三次元磁気励起アセンブリによって発生される3つの「純粋な」磁場を確定するための3つの代替方法が存在する。第1の方法は、環境磁場データを測定し、三次元磁気アセンブリの測定された全磁場データから環境磁場データを除去することを含む。前記第1の方法によると、ステップの詳細なシーケンスが
図13及び14によりリストされている。方法ステップ間の違いは、環境磁場測定がいつ行われるかと、その後の計算において、三次元磁気励起アセンブリによって発生される実際の全磁場の前/後の平均値が使用されているかということにある。
図13及び14にリストされている2つのメソッドステップは、特定の測定条件に従って選択できる。全磁場データ測定の前後で環境磁場が大きく変化する場合、最も正確な結果を得るには、
図14にリストされている方法の手順がより適切である。
【0108】
第2の方法は、環境磁場データを正負方向に測定するバイポーラパルスシーケンシング法を用いて全磁場データを測定し、2つの全磁場データを加算すると環境磁場が打ち消される。
【0109】
第3の方法は、コンビナトリアルシーケンシング法を使用して全磁場を3回測定することを含み、そのうち、1つのコイルの少なくとも1つの電流方向が前のシーケンスとは異なる。
【0110】
三次元磁気励起アセンブリによって発生された3つの「純粋な」磁場を確定する各代替ステップの詳細な説明
【0111】
第1の方法の使用
【0112】
本明細書に開示される三次元磁気励起アセンブリは、地球上の環境磁場の下に配置されて使用されることを意図している。測定において地磁気の影響を考慮するが、リモートオブジェクトを確定する際にそれを計算から削除するはずである。
【0113】
地磁場は時間の経過と共に殆ど変化しませんが、環境内のフェライト材料は、異なる場所でローカル地球の磁場を変更する。最も重要なのは、移動中に磁気センサーの方向が変化する可能性があるため、磁場ベクトルの3つの磁場コンポーネントが時間と共に変化する可能性があることである。位置確定が行われるのと同時期に環境磁場が確定されるのがベストである。
【0114】
一例では、リモートオブジェクトはカプセル内視鏡である。人が三次元励磁コイルアセンブリを着用し、磁気センサーが固定されたカプセル内視鏡を使用する場合、人が動くと、測定される環境磁場が変化する可能性がある。環境磁場が変化しなくても、体が回転すると、磁気センサーの方向が変わることがあるため、磁気センサーによる3D磁場のコンポーネントの読み取りが変化する。従って、環境磁場は、確定位置の近くで測定されるべきである。
【0115】
一例では、リモートオブジェクトの位置確定のためにパルス磁場を印加する直前に環境磁場を測定し、測定値を環境磁場の値として取り、且つその後の計算で差し引く。
【0116】
別の例では、リモートオブジェクトの位置確定のためにパルス磁場を印加した直後に環境磁場を測定し、測定値を環境磁場の値として取り、且つその後の計算で差し引く。
【0117】
好ましい例では、リモートオブジェクトの位置確定のためにパルス磁場を印加する前後の両方で環境磁場を測定し、次に2つの測定データの平均値を環境磁場の値として取り、且つ後続の計算で差し引く。
図13及び14は、本発明の方法ステップの2つの実施形態を示している。第1の実施形態では、環境磁場が最初に確定され、三次元励磁コイルアセンブリによって発生された磁場が、所定の順序で1つずつ測定される。
【0118】
本発明の一実施形態では、三次元磁気励起アセンブリ及びリモートオブジェクトは、地球上に配置される。環境磁場は実質的に地球磁場である。コイル電流によって発生する磁場が地磁場よりも弱い場合、磁気センサーの方向の変化はかなりの誤差をもたらす可能性がある。例えば、センサー方向変化の1度は、地球全体の磁場の1.6%までのエラーを引き起こす可能性がある。例えば、合計測定期間が50msの場合、リモートオブジェクトの移動は、毎秒20°以下または1°の方向変化に対して3.3rpmに制限される。より高速に回転したり、突然移動したりするようなユーザーによって行われた更なる動作は、計画的または不可避的に、より大きいな位置測定エラーを引き起こすので、第2の方法は、これらの条件下で第1の方法よりも有利である。
【0119】
好ましい典型的な方法は、パルスシーケンス測定の前後の両方で地球磁場を測定するステップを含み、次に平均値を取ることにより、リモートオブジェクトの方向の変化によって引き起こされるタイプのエラーを大幅に減らすことができる。第1の方法(好ましい典型的な方法)の範囲内で、2つ以上の操作手続きもある。
【0120】
第1の好ましい操作手順において、まず、パルスシーケンスがソレノイドによって生成される前に、3D磁気センサーによってリモートオブジェクトにおいて第1方向、第2方向、及び第3方向での磁場を測定し、第1の環境磁場データを取得する。
ソレノイドは、第1のタイミングシーケンスの下で第1方向に磁場を生成する。
ソレノイドは、第2のタイミングシーケンスの下で第2方向に磁場を生成する。
ソレノイドは、第3のタイミングシーケンスの下で第3方向に磁場を生成する。
ソレノイドによって、パルスシーケンスの後に、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーを介して第1方向、第2方向及び第3方向の磁場を測定し、第2の環境磁場データを取得する。
第1の環境磁場データと第2の環境磁場データとの平均値を、測定された磁場データから差し引かれる環境磁場の値とする。
【0121】
第2の好ましい操作手順において、地球磁場測定及びソレノイドによって発生された磁場の測定が、全体的な位置測定シーケンスに散在している。散在されることによって、環境磁場の測定が三次元磁気励起コンポーネントによって発生されるパルスシーケンスの間で少なくとも一回発生し、三次元磁気励起コンポーネントのパルスシーケンスの前または後だけではないことを意味する。一例では、測定プロセス全体には、以下のステップが含まれる。第2の方法のこの好ましい操作手順内で、各地球磁場測定は一方向または3方向で行うことができる。測定シーケンスの一例を以下に説明する。
【0122】
第1に、ソレノイドによるパルスシーケンスの前に、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーによって第1方向、第2方向、及び第3方向の環境磁場を測定し、第1の環境磁場データを取得し、続いて、第1方向に沿って第1のソレノイドパルス磁場測定を実行する。
【0123】
第2に、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーによって第2の環境磁場を測定し、第2の環境磁場データを取得し、続いて、第2方向に沿って第2のソレノイドパルス磁場測定を実行する。
【0124】
第3に、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーによって第3の環境磁場を測定し、第3の環境磁場データを取得し、続いて、第3方向に沿って第3のソレノイドパルス磁場測定を実行する。
【0125】
第4に、選択的に、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーによって、第1、第2及び第3方向の環境磁場を測定し、第4の環境磁場データを取得する。
【0126】
さらに、環境磁場が実質的に地球磁場である場合、環境磁場の測定は、三次元励起アセンブリによって発生される純粋な磁場を確定するのに役立つだけでなく、リモートオブジェクトが移動したかどうか、どのくらい移動しているか、その前の位置に関してどれだけ移動したかを指示する。リモートオブジェクトの動きが事前設定されたしきい値を超える場合は、精度の目標を維持するために、位置測定の頻度を増やすか、1サイクルの位置測定のための期間を短縮する必要がある。地球磁場を測定するのにかかる時間が約10マイクロ秒であるため、測定サイクル時間を短縮する最も効果的な方法は、ソレノイドのパルスシーケンスステップを加速することである。
【0127】
例えば、ソレノイドのパルスシーケンスの前後に3Dセンサーによって測定された地球磁場の1つの方向が、地球磁場の2%または10mガウスを超える場合、リモートオブジェクトの動きが速すぎると考えられ、正確な位置確定目標を維持するために測定速度を上げる必要がある。このような状況下で、例えば、リモートオブジェクトでの3D磁気センサーによって測定された地球磁場の変化が20mガウスである場合、磁気センサーによる3D磁界測定を終了するためのしきい値10msの代わりに、測定時間を5msに短縮する必要がある。その結果、励磁コイルの電流パルス周期も、10msから、5msよりもわずかに長く(例えば、5.5ms)に短縮される。同時に、リモートオブジェクトの3D磁気センサーのノイズが増加するため、測定値は感度とトレードオフを行う。三次元磁気励起アセンブリと3D磁気センサーが固定されたシステムでは、測定対象の位置精度と感度の誤差許容範囲を均衡させるために、パルス幅、振幅及び測定時間を含む事前定義された最適なパルスシーケンスを選択することができる。事前定義された最適なパルスシーケンスは、予め設定された経験値を採用するために実行されることができるかまたは各測定中に地磁気コンポーネントの変更を監視することによって、適応的に変更されることが可能である。従って、任意選択で、本明細書に開示される方法は、位置変化の絶対値が第1の閾値より大きい場合、同じ測定期間内の前の位置からのリモートオブジェクトの位置変化を確定するステップをさらに含む。パルスシーケンスステップのサイクル時間または期間は、それに応じて調整される。
【0128】
第2の方法の使用する-環境磁場を除去するためのバイポーラパルスシーケンスステップ
【0129】
環境磁場を除去するステップに関して、第2の代替方法の実施形態では、環境磁場を除去する前に環境磁場を別個に確定する必要はない。代わりに、全磁場を測定するバイポーラパルスシーケンスステップを使用して、環境磁場の影響を効果的に除去することができる。名前が示すとおり、
図7及び8を参照すると、バイポーラパルスシーケンスは、任意のコイルの任意のx、y、及びz方向に正の電流を印加し、続いて負の電流を印加し、その逆も同様である。
【0130】
ただし、バイポーラパルスシーケンシング法が正常的に動作し、位置精度と高感度の要件を満たすために、リモートオブジェクトは、特定の事前定義された範囲で移動してはならなく、及び/または正及び負の電流条件下で測定された環境磁場の3つのコンポーネント(x、y、及びzコンポーネント)は、各パルス電流測定中の各測定方向に沿って互いに一致する必要がある。特に、三次元磁気励起アセンブリとリモートオブジェクトの両方が、計画的または予期しない形式で、位置測定サイクル全体で移動する可能性がある場合に、環境磁場を除去するためのこの第2の代替方法は、第1の方法ほど用途が広くない。
【0131】
本発明では、この双極法の2つの操作手順が開示され、且つ
図7及び8により示されている。例示的なパルスシーケンスでは、各パルスは10ms持続し、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは1ms未満になるようにプログラムされる。励磁コイルは、+x、-x、+y、-y、+z、及び-zの方向に、順次または順次ではなくパルスされる。
【0132】
図7に第1の操作手順を示している。
図7は、励磁コイルを充電して、個々の励磁コイルごとに、各座標方向にそれぞれ発生された磁場を測定する2つの典型的なパルスシーケンスを示している。
【0133】
パルスシーケンスの第1の例では、励磁コイルはx、y、z方向に正の方向にのみ、それぞれ10ms順次に充電される。
【0134】
詳細な第1の操作手順は次のとおりである。1)第1の磁気コイルに正の振幅方向の電流を10ms印加し、2)次に第2の磁気コイルに正の振幅方向の電流を10ms印加し、3)次に第3の磁気コイルに正の振幅方向の同じ電流を10ms印加する。すぐに、4)第1の磁気コイルに負の振幅方向の電流を10ms印加し、5)次に、第2の磁気コイルに負の振幅方向の同じ電流を10ms印加し、6)次に、第3の磁気コイルに負の振幅方向の同じ電流を10ms印加する。
【0135】
図8に、第2の操作手順を示す。パルスシーケンスの第2の例では、励磁コイルはx、y、z方向に、正と負の両方で、それぞれ10ms順次に充電される。従って、全ての測定は60ms維持する。このような測定は0.5秒ごとに繰り返される。
【0136】
第2の操作手順では、1)第1の磁気コイルに正の振幅方向の電流を10ms印加し、次に2)第1の磁気コイルに負の振幅方向の同じ電流を10ms印加する。3)第2の磁気コイルに正の振幅方向の同じ電流を10ms印加し、次に4)第2の磁気コイルに負の振幅方向の電流を10ms印加する。5)第3の磁気コイルに正の振幅方向の同じ電流を10ms印加し、6)第3の磁気コイルに負の振幅方向の同じ電流を10ms印加する。
【0137】
コイルアセンブリに任意の操作手順を適用した後、次の9つの計算が実行される。この例では、各検査の前に毎回地磁場が測定される。さらに、3つの磁気コイルx、y、及びzは、それぞれ双極法の2つの操作手順のうちの1つを使用して、3つのコンポーネントの座標方向(x、y、及びz)で個別に充電される。この結果から環境磁場を差し引く。記述式は、以下の通りである。
【数1】
【0138】
個々の方程式に適用した後、環境磁場が計算において成功に除去される。上記の9つの方程式を個別に計算することによって、ソレノイドのBx、By、Bzを計算するために順番に使われるコンポーネント磁場が発生する。
【0139】
上記の式で、各記号を以下に説明する。
【0140】
Bxxは、励起後のxコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場であり、環境磁場を含む3Dセンサーによって測定される。
【0141】
Bxyは、励起後のyコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場である。
【0142】
Bxzは、励起後のzコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場である。
【0143】
Byxは、励起後のxコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場である。
【0144】
Byyは、励起後のyコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場である。
【0145】
Byzは、励起後のzコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場である。
【0146】
Bzxは、励起後のxコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場である。
【0147】
Bzyは、励起後のyコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場である。
【0148】
Bzzは、励起後のzコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場である。
【0149】
Bx+(x)は、正の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0150】
Bx-(x)は、負の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0151】
Bx+(y)は、正の振幅の電流を流した後のyコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0152】
Bx-(y)は、負の振幅の電流を流した後の、yコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0153】
Bx+(z)は、正の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0154】
Bx-(z)は、負の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったxコイルの磁場を意味する。
【0155】
By+(x)は、正の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0156】
By-(x)は、負の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0157】
By+(y)とは、正の振幅の電流を流した後のyコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0158】
By-(y)は、負の振幅の電流を流した後のyコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0159】
By+(z)とは、正の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0160】
By-(z)とは、負の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったyコイルの磁場を意味する。
【0161】
Bz+(x)は、正の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0162】
Bz-(x)は、負の振幅の電流を流した後のxコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0163】
Bz+(y)は、正の振幅の電流を流した後のyコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0164】
Bz-(y)は、負の振幅の電流を流した後のyコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0165】
Bz+(z)は、正の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0166】
Bz-(z)は、負の振幅の電流を流した後のzコンポーネントの方向に沿ったzコイルの磁場を意味する。
【0167】
第3の方法の使用-コンビナトリアル混合シーケンス法による環境磁場の除去
【0168】
本開示の
図2及び段落[0063]に記載されたシステムにおいて、1つ以上のソレノイドが使用される場合、環境磁場を除去するための第3の方法が利用可能になる。
【0169】
コンビナトリアル混合シーケンシング法では、3つのソレノイドに同時に電流を3回印加する。そのうち、少なくとも1つの電流は、前の電流から異なる電流方向を有する。環境磁場が測定期間全体を通して同じままであり、且つ電流のみが方向を変えると仮定して、発生する磁場を3回測定して組み合せる。命名方法において、組み合せとは、複数の組み合せがあることを意味する。「混合シーケンス」とは、電流の方向が1つの組み合せ形式で正と負の方向を混合できることを意味する。本明細書において、組み合せとは、1つの操作手順において、各ソレノイドの1つの構成コイル(X、Y及びZ)が全て同時に励起されることを意味する。手順の詳細な操作は、以下の説明で理解できる。
【0170】
磁気モーメントMx、My、及びMzを持つコイルX、Y及びZを備えたソレノイドに対して、次のような関係を確立できる。Mx:My:Mz=Mx:My:1。例えば、パルス磁気励起を1つのシステムの3つのソレノイドに同時に印加する場合、3つの測定条件は(Mx,My,Mz)、(-Mx,My,Mz)、及び(-Mx,-My,Mz)を確立することができる。ソレノイドのx、y、z方向は、
図9-11に示されている。パルス電流は、
図7に示されている。
【0171】
【0172】
ここで、B1’は、第1の組み合せを表す。B1x’は、xコンポーネントの方向に沿った第1のソレノイドの磁場を表す。B1y’は、yコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場を表す。B1z’は、zコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場を表す。
【0173】
【0174】
ここで、B2’は、第2の組み合せを表す。
B2x’は、xコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場である。
B2y’は、yコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場である。
B2z’は、zコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場である。
【0175】
組み合せ3(-Mx,-My,Mz)の場合
【数4】
【0176】
ここで、B3’は、第3の組み合せである。
B3x’は、xコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場を表す。
B3y-’は、yコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場を表す。
B3z’は、zコンポーネントの方向に沿ったソレノイドの磁場を表す。
【0177】
上記の方程公式グループにおいて、記号の意味を以下に説明する。
Bxx’は、xコンポーネントの方向に沿って励磁コイルXによって発生される磁場を表す。
Byx’は、yコンポーネントの方向に沿って励磁コイルYによって発生される磁場を表す。
Bzz’は、zコンポーネントの方向に沿って励磁コイルZによって発生される磁場を表す。
Byx’は、xコンポーネントの方向に沿って励磁コイルXによって発生される磁場を表す。
Byy’は、yコンポーネントの方向に沿って励磁コイルYによって発生される磁場を表す。
Byz’は、zコンポーネントの方向に沿って励磁コイルZによって発生される磁場を表す。
Bzx’は、xコンポーネントの方向に沿って励磁コイルXによって発生される磁場を表す。
Bzy’は、yコンポーネントの方向に沿って励磁コイルYによって発生される磁場を表す。
Bzz’は、zコンポーネントの方向に沿って励磁コイルZによって発生される磁場を表す。
方程公式グループ8、9、及び10における「’」は、シンボルが確立され、リモートオブジェクトに関連する三次元座標で特徴付けられていることを示す。
【0178】
上記のソレノイドの磁場を組み合せると、各ソレノイドの磁場は、次のように導き出すことができる。
【数5】
【0179】
以下の式(3)~(5)を使用して、9つのコンポーネントの磁場(各ソレノイドには3つのx、y、zコンポーネント磁場があり、合計で3つのソレノイドがある)が確定されると、Bx、By、及びBzを導出できる。この計算では、Mx及びMyは、システム設計に基づく既知のパラメータである。
【0180】
上記の第3の方法は、環境磁場を実際に測定せずに環境磁場を除去する効果的な方法を教示している。対応するシステムの説明に開示されているように、3つのソレノイドを使用すると、最大許容電流と固定線径を有する固定コイルセットについては、位置検出と検出限界の精度が向上した。3つのソレノイドの中でパルス電流が同時に発生すると、全体的な出力制限が増加し、ある方式で電源制限が「克服」される。上記の方程公式グループ(8)、(9)及び(10)は、組み合せ1、組み合せ2、及び組み合せ3を作成するための3つの例を示している。原則として、各励磁コイルにおいて電流の2つの異なる方向(正と負)の組み合せを構築でき、合計で23=8の組み合せを構築できる。
【0181】
式(1)に基づいて、リモートオブジェクトの位置を計算する。
【0182】
計算の基本原理は、励磁コイルアセンブリによって発生された磁場を正確に検出できることに基づいています。励磁コイルアセンブリと3D磁気センサーの間の距離が励磁コイルアセンブリの寸法よりもはるかに大きい場合、励磁コイルアセンブリによって発生される磁場は、永久磁気双極子によって発生されるものと同等であると仮定することができる。
【0183】
3Dソレノイドアセンブリのパルス電流によって発生される3つの「純粋な」コイル磁場を取得した後、三次元磁気励起アセンブリとリモートオブジェクト間の距離は、次の式(1)によって計算される。ここで、三次元磁気励起アセンブリとリモートオブジェクトは、三次元磁気励起アセンブリの中心からリモートオブジェクトでの3D磁気センサーの中心までの距離によって定義される。
【数6】
【0184】
ここで、Pは、三次元磁気励起アセンブリの中心からリモートオブジェクトの3D磁気センサーの中心までの距離である。Aは
【数7】
【0185】
μ0は、真空透磁率であり、Mは、単一の励磁コイルの磁気モーメントであり、コイルの総巻数N、コイル電流I、及びコイル断面面積Sに比例する。さらに、M、N及びIは、以下の関係を具備する。
【0186】
【0187】
式(1)では、三次元磁気アセンブリ内の各コイルの磁気モーメントがMに等しいと仮定されている。
【0188】
Bxは、x方向のコイルに沿ったコイルの総コイル磁場である。Byは、y方向に沿ったコイルの総コイル磁場である。Bzは、z方向に沿ったコイルの総コイル磁場である。x、y、z方向は、三次元励磁コイルアセンブリの磁気軸である。例示的なx、y及びz方向または軸が
図7~10に示されている。Bxは、式(2)に示すような3つのコンポーネント磁場で計算できる。
【0189】
【0190】
Bx'x、Bx'y、Bx'zは、3D磁気センサーによって測定される磁場の3つのコンポーネントである。
【0191】
同様に、ByとBzは、y方向とz方向の同じコイルの全磁場であり、それぞれ、リモートオブジェクトの3D磁気センサーによって測定された3つのコンポーネントの磁場によっても寄与される。
【0192】
【0193】
【0194】
図6を参照すると、計算のために、3Dソレノイドアセンブリオブジェクトの三次元座標におけるx、y、z座標位置はそれぞれP(a,b,c)であり、次の式(5)を満たす。
【0195】
【0196】
Bx、By及びBz、P及びAは、式(1)~(4)と同じ意味を有する。上記の式(1)~(5)によれば、結果の8つの組み合せを導き出すことができ、そのうち、システムの制限と最後に計算された場所からの連続性を考慮すると、1つのデータポイントのみ意味がある。
【0197】
式(6)を使用して距離Pを計算する。
【0198】
代替的に、上記のように複数のソレノイドを備えたシステムに対して、3Dソレノイドアセンブリ内の3つのソレノイドの磁気モーメントは、式(1)を修正して距離を計算できる。計算の基本原理は、励磁コイルアセンブリによって発生された磁場を正確に検出できることに基づいている。励磁コイルアセンブリと3D磁気センサーの間の距離が励磁コイルアセンブリの寸法よりもはるかに大きい場合、励磁コイルアセンブリによって発生される磁場は、永久磁気双極子によって発生されるものと同等であると仮定することができる。励磁コイルMx、My及びMzの磁気モーメントの関係は、Mx:My:Mz=mx:my:1である。
【0199】
そして、Mz=Mの場合に、式1は、次の式(6)に変更される。
【数13】
【0200】
そのうち、p、A、Bx、By、Bzは、式(1)での符号と同じ意味を有する。従って、3Dソレノイドアセンブリの3D座標内の位置に関連する式(5)は、公式グループ(7)に変更される。
【数14】
リモートオブジェクトの方向を確定する
【0201】
リモートオブジェクトの位置が確定された後、次の手順を使用しての方向を確定できる。本発明の範囲において、リモートオブジェクトの方向の確定は、その磁気軸に対するリモートオブジェクトの回転角度を確定することを意味する。さらに、リモートオブジェクトの回転角は、リモートオブジェクト内の3D磁気センサーの回転角と同じであり、それによって表されるものとして定義される。3D磁気センサーの回転角度は、3つの磁気軸x’、y’、及びz’に関して定義される。
【0202】
まず、3Dソレノイドアセンブリの座標における各サイテーションコイル(Bx、By及びBz)の磁場を計算する。計算は、磁気双極子モデルに基づいている。
【数15】
3つの励磁コイル(X、Y、及びZ)について、コンポーネントとして次のように、各x、y、z方向に沿って、3Dソレノイドアセンブリでの位置を計算した。
【数16】
【数17】
【数18】
ここで、前記磁場は、(Bx
x,Bx
y,Bx
z)、(By
x,By
y,By
z)、(Bz
x,Bz
y,Bz
z)である。3つの励磁コイルX、Y、及びZの磁気センサーの対応する測定値は、次のとおりである。
【数19】
【0203】
磁気センサーが3Dソレノイドアセンブリ座標で回転しない場合、磁気コイル励起アセンブリで定義されたx、y、z軸と、リモートオブジェクトの磁気センサーによって測定されたx’、y’、z’軸は、それぞれ同じ方向に沿って互いに平行である。ただし、回転がある場合、リモートオブジェクトの磁気センサーによって測定された軸と電磁コイル励起アセンブリの中の軸は、回転行列と関係を確立する。例えば、軸z’と軸zは、式(16)に示す関係を具備する。
【数20】
【0204】
図6は、回転角を示している。x、y、zは、コイルの座標またはグローバル座標と呼ばれる。x’、y’、z’は、磁気センサーの座標であり、またはローカル座標と呼ばれる。αは、X軸を中心とした回転であり、ピッチと呼ばれる。βは、Y軸を中心とした回転であり、ヨーと呼ばれる。γは、Z軸を中心とした回転であり、ロールと呼ばれる。
【0205】
軸の回転
まず、各軸+X、+Y、及び+Zを中心とした回転を見る。3つの軸が3つの異なる方法で平面に投影されるため、回転させたい軸はあなたの方を向いている。正回転方向は、反時計回り(右手ルール)となる。
左(X)軸を中心に回転する(ピッチ)
【数21】
左(X)軸を中心に回転する。
上(Y)軸と前軸(Z)の初期値は、(0,1,0)と(0,0,1)である。左(X)軸をA度回転させると、新しい上軸(Y')は、(0,cosA,sinA)になり、前軸(Z')は、(0,-sinA、cosA)になる。新しい軸は、3×3回転行列のカラムコンポーネントとして挿入される。すると、回転行列は、次のようになる。
【数22】
上(Y)軸を中心とした回転(ヨー、ヘディング)
【数23】
上(Y)軸を中心とした回転
今、B角度であなたに面する上方向のベクトルを中心に回転する。左(X)軸は、(1,0,0)からX'(cosB,0,-sinB)に変換される。そして、前軸(Z)は、(0,0,1)からZ'(sinB,0,cosB)になる。
【数24】
前(Z)軸を中心とした回転(ロール)
【数25】
前(Z)軸を中心とした回転
C角度で前軸(Z)を回転させると、元の左(X)軸(1,0,0)は、X'(cosC,sinC,0)になり、上(Y)軸(0,1,0)は、Y'(-sinC,cosC,0)になる。
【数26】
軸の角度
上記の3つのマトリックスを乗算することにより、これらの個々の軸の回転を1つのマトリックスに組み合わせることができる。マトリックス乗算は交換できないため、マトリックス乗算の次数が異なると、結果も異なることに注意されたい。R
xR
yR
z、R
xR
zR
y、R
yR
xR
z、R
yR
zR
x、R
zR
xR
y、R
zR
yR
xという6つの異なる組み合わせが可能である。
複合回転行列の左列は、回転された後の左軸とし、前記中間列は、前記上軸とし、前記右列は、前記前軸となる。
【数27】
【0206】
ここで、Rは、回転行列であり、Bzは、z方向に沿った3D励磁コイルアセンブリの磁場ベクトル(
図6)であり、Bz’は、リモートオブジェクト座標で磁気センサーによって測定される磁場ベクトルである。さらに、回転行列Rは、式17のように記述される。
【数28】
【0207】
そのうち、α、β、及びγは回転角である。
【数29】
【0208】
理論的には、式(15)及び(16)を使用して、α、β、及びγの値を計算できる。しかし、それは複数の非線形方程式を解くことを含んでいるかもしれなく、効果はあまり良くない。または、計算を簡単にすることができ、磁気センサーポイントにおける3D励磁コイルアセンブリの磁場をz方向に沿うように、X、Y及びZ励磁コイルの磁場の線形結合を数学的に使用することができる。また、X、Y及びZ励磁コイルの磁場の線形結合を数学的に使用して、磁気センサーポイントでの3D励磁コイルアセンブリの磁場がy方向に沿っているようにすることもできる。
【0209】
X、Y、Zは、それぞれx、y、z軸に沿ったX、Y、Zコイルを示す。
【数30】
【0210】
そのうち、(上側に矢印付きの)Bextは、3Dソレノイド座標の磁場であり、且つx、Bxまたはy、Byまたはz、Bzに沿って配置される。(上側に矢印付きの)Bintは、磁気センサー座標における磁場であり、且つx、Bx’、またはy、By’、またはz、Bz’に沿ったソレノイドに対応する。
【0211】
(18)の線形の組み合わせにより、式(17)の計算が簡略化される。さらに、式(21)、(22)で説明したように、式(19)、(20)を使用して、回転角度α及びβをより簡単に取得する計算が導き出される。
【数31】
【数32】
【0212】
そのうち、(上側に矢印付きの)B
coil,B
sensorは、それぞれ3D励磁コイルアセンブリ座標と磁気センサー座標との磁場である。磁気センサーの方向の角度は、次の通りである。
【数33】
【数34】
【0213】
それに応じて、式(23)で説明されているように、同様の手順をy軸に沿った3Dソレノイドアセンブリの磁場に適用できる。その結果、式(25)で説明されているように、回転角γを取得するための計算は、より簡単になる。
【数35】
【数36】
【数37】
【0214】
要約すると、式(21)、(22)及び(25)により、リモートオブジェクト内の3D磁気センサーの回転角を確定することができる。
【0215】
1つの三次元磁気励磁コイルアセンブリを使用してリモートオブジェクトの位置及び方向を確定するためのシステム及び方法は、上記で開示されている。別の実装では、同じ動作原理の下で、3つの三次元磁気コイルシステムを使用して、より正確な方法でリモートオブジェクトの位置を協調的に確定することができる。リモートオブジェクトを取り囲む異なる場所に3つの三次元磁気コイルアセンブリシステムを有する先進的なシステムは、各三次元磁気コイルアセンブリ間の距離を協調的に確定することができる。
【0216】
一実施形態では、3セットの3D励磁コイルアセンブリが、ターゲットエリアの周囲に配置される。一例では、3セットの3D励磁コイルアセンブリが、3つの異なる場所で患者さんの体を囲んで配置されている。一例では、第1の三次元磁気励起アセンブリは、(x1,y1,z1)に配置されると仮定して、第2の三次元磁気励起アセンブリは、(x2,y2,z2)に配置され、第3の三次元磁気励起アセンブリは、(x3,y3,z3)に配置される。第1の三次元磁気励起アセンブリから第2の三次元磁気励起アセンブリまでの距離はL1である。第2の三次元磁気励起アセンブリから第3の三次元磁気励起アセンブリまでの距離はL2である。第1の三次元磁気励起アセンブリから第3の三次元磁気励起アセンブリまでの距離はL3である。
【0217】
次に、位置を計算するための式は、次のとおりである。
【数38】
そのうち、
【数39】
そのうち、
【数40】
【数41】
式(26)-(27)は、磁気センサーの(x,y,z)位置を示している。
【0218】
本発明の代替実施形態では、基準位置を使用して、位置確定期間中に三次元アセンブリが移動したかどうかをさらに識別する。
【0219】
一例では、
図3に示すように、1つの3D磁気励起アセンブリがウエストのまわりで人体のまわりで着用されるとき、基準磁気センサーは人体、特に後部腰椎にテープで固定される。人体内部のリモート小型化検査装置の長く繰り返される位置確定プロセス中に、三次元励磁コイルアセンブリの位置が外れる可能性がある。三次元励磁コイルアセンブリとリモート小型化検査装置との間の距離、及び三次元励磁コイルアセンブリと基準位置との間の距離の両方を測定するステップを含む方法は、三次元励磁コイルアセンブリの動きによるエラーを取り除くことができる。この方法は、以下のステップを含む。第1に、三次元励磁コイルアセンブリからリモートオブジェクトまでの距離Pを確定する。ここで、Pはベクトルである。第2に、三次元励磁コイルアセンブリから基準位置までの距離Qを確定する。ここで、Qは、ベクトルである。次に、P(ベクトル)からQ(ベクトル)までの距離を計算して、三次元励磁コイルアセンブリの動きによるエラーを取り除く。距離Pと距離Qの測定は、同時に行われる。
【0220】
医療用途に用いるリモート小型化検査装置は、以下の1つまたは複数を備えることができる。医療診断ツール、医療治療ツールまたは手術ツール。医療診断ツールは、リモート小型化検査装置が置かれている地域の身体状態を検査するのに役立つ装置である。これらのツールには、画像を撮影したり、温度、圧力、PHなどを測定したりするセンサーを含めることができる。本発明の幾つかのバージョンでは、医療診断ツールは、そのエリアから物理的サンプルを収集し、さらなるテストのためにサンプルを体外に送達するデバイスを含み得る。医療治療ツールは、既存の病状を治療することを目的とした治療装置を指す。例えば、これらのツールは、薬物送達ユニット、光線力学療法のための医療用光源または低体温療法のための制御された熱源を含むことができる。医療外科用ツールには、生体内で外科手術を行うことができるデバイスが含まれる。
【0221】
本発明の装置、システム、及び方法は、リモートオブジェクトの配向及び動き制御を改善し、リモートプローブの電力需要を低減することを含む1つまたは複数の利点を提供するがこれらに限定されない。本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本明細書に記載されたものは、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。例えば、本発明を逸脱することなく、示されまたは説明された実施形態における特徴または材料の変化または組み合せを特定の場合に使用することができる。本明細書では、特定の例に従って、好ましい実施形態を説明しているが、本発明の例示的な実施形態及び他の利点及び実施形態の修正及び組み合せは、当業者にとっては明らかである。