(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】容量性送電ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/30 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01B7/30
(21)【出願番号】P 2020568384
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 GB2019051593
(87)【国際公開番号】W WO2019234449
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-06
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】523088545
【氏名又は名称】エネルテクノス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サーレヒ-モガダム,マンスール
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス-クレメンツ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ケネル,ドミニク
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04204129(US,A)
【文献】特開平07-073749(JP,A)
【文献】米国特許第03164669(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに絶縁され、一方が他方に対して電気容量性の関係にある、少なくとも2セット(21,121;22,122)の導電撚線(23,123;24,124)を備えた容量性送電ケーブルであって、前記セットの導電撚線は前記容量性送電ケーブルの横断面に分布
する容量性送電ケーブルにおいて、
各セットに属する導電撚線の全てが電気的に接続された場合に、前記少なくとも2セットのセット間の静電容量が少なくとも10nF/mであり、
前記導電撚線が反対向きに捻られた層(L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7)の中に配置されることを特徴とする容量性送電ケーブル。
【請求項2】
導電撚線の前記セット間の静電容量が3.6kVのケーブルに対して10~170nF/mの範囲内にあり、72.5kVのケーブルに対して
10~92.5nF/mの範囲内にあり、240Vのケーブルに対して14~235nF/mの範囲内にあり、145kVのケーブルに対して
10~84nF/mの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項3】
前記セットのうち少なくとも一方に属する全部の導電撚線に、絶縁耐力を持つ個別の絶縁体(25,125;26,126)が設けられることで、前記セットの導電撚線を絶縁されたままにさせることを特徴とする請求項1に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項4】
前記絶縁体の厚さが少なくとも10μ
mの厚さであることを特徴とする請求項3に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項5】
前記2以上のセット(21,121;22,122)の導電撚線(23,123;24,124)が層(L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7)内で交互になっていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項6】
前記導電撚線(23,123;24,124)は、1つのセット(21;121)の導電撚線が全て配置された後に、別のセット(22;122)の導電撚線が全て配置されて交互になっている層(L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7)の中に配置可能なことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項7】
導電撚線(23,123;24,124)のセット(21,121;22,122)のうち少なくとも1つを絶縁せずに、その他のセットの撚線(25,125;26,126)を絶縁させることにより絶縁が提供されることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項8】
異なるセット(21,121;22,122)に属する層(L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7)の間に絶縁体(27;127)が設けら
れることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項9】
導電撚線の一方のセット
が着色され、その他のセットが無着
色となることを特徴とする請求項8に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項10】
前記絶縁体にいわゆる「マグネットワイヤ」で使用される種類のエナメルからなる絶縁被覆(25,125;26,126)が用いられ、または
前記絶縁被覆が押し出し、巻き付け、または編み込まれたものであることを特徴とする、
請求項
3、4、8の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項11】
導電撚線の全てのセットに個別の絶縁体が設けられ、各セットに属するそれぞれの絶縁体を別々に着色することでケーブルの両端において接続の区別ができるように構成さ
れることを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項12】
・1セットあたり4を超える導電撚線が存在
することを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項13】
前記導電撚線は、層内でダイ圧縮されていることを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項14】
各層が互いに絶縁されている場合に各層が導電線1つの径の厚みを有するか、或いは前記各層に、一方が一方向に他方が反対方向に配置された、導電線からなる2つの副層が備えら
れていることを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項15】
・電気容量的に接続された前記導電撚線のセットの周りに設けられた絶縁体(7)と、
・前記絶縁体の周りに設けられ、電気容量的に接続された前記導電撚線のセットと電気容量的に接続されている接地シース(5)と、
を備え、
前記絶縁体が誘電体として機能するのに十分な厚みを有することで、導電撚線からシースまでの電気容量の大きさが、前記2セットの導電撚線の間の電気容量と比べて、実質的に2桁以上小さくなって
いることを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項16】
電源側の導電線または負荷側の導電線の接続のために、第1セットの導電線(1003)および第2セットの導電線(1004)のための端子(1009)をケーブルの各端部(1005,1006)に有する接続ブロック(1007,1008)が設けら
れていることを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項17】
・両側のそれぞれの導電線セットに対して設けられたそれぞれの端子(15381/2/3/4)を備え、また相互接続部(15481/2)が設けられた、並列接続コネクタを備え、一本の導電線が同じもう一本の導電線と接続され、その他の導電線も同様にして接続されるか、或いは
・一側に一方のセットのための端子(15391)を有し、前記端子(15391)が他側にある別のもう一本の何れかのセットのための端子(15394)に内部接続されている、直列接続コネクタを備え、前記直列接続コネクタのそれぞれの側に設けられた、残りのセットの孤立した端子(15392/3)が終端処理されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項18】
請求項1~16の何れか一項に記載の少なくとも2以上のケーブルと、請求項17に記載の少なくとも1つの並列接続コネクタと、請求項17に記載の少なくとも1つの直列接続コネクタと、が組み合わされ、ケーブルとコネクタが望ましい電気容量を有する1つの長いケーブルとして接続されていることを特徴とする、請求項1~16の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項19】
ケーブルの電気容量を選択するため、または一本のまっすぐな接続のために、少なくとも1つの追加セットの導電撚線が備えられることを特徴とする請求項1~18の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項20】
・1以上の隣接した層に属する撚線が全て1つのセットに属し、これより半径方向に外側にある1以上の隣接した層に属する撚線が全て別の1つのセットに属し、
・異なるセットに属する層と層の間に絶縁体が設けられ
、
・個々の撚線は絶縁されて
いない、
ことを特徴とする請求項1に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項21】
各層の中に少なくとも2セットの導電撚線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項22】
各セットに属する導電撚線の全てが、一方のセットは一端側で、他方のセットは他端側で、互いに接続されていることを特徴とする請求項1~21の何れか一項に記載の容量性送電ケーブル。
【請求項23】
一方のセットを電源に一端側で接続させ、
他方のセットを負荷に他端側で接続させるようにして、電力を送電するための、請求項1~22の何れか一項に記載の容量性送電ケーブルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容量性送電ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第1,825,624号明細書には以下が説明され特許請求されている:
【0003】
1.電力送達システムにおいて、交流電流源と、受信回路と、前記電流源および前記受信回路を内部接続する伝送回路と、前記伝送回路と直列に介在し、前記システムの電力限界を高めるために、前記伝送回路の誘導リアクタンスをなくすのに実質的に十分な値を有する分散型電気容量と、を備える。
【0004】
米国特許第4,204,129号明細書の要約書は下記の通りである:本発明は、電力の送電に関し、特に発電機と負荷との間の直列のケーブルに電気導体を利用して静電容量を含めることにより、ベクトル調整、電圧降下、および電力損失が低減された送電システムを提供し、電気導体とは、ケーブルの長さに沿って分布した静電容量を有する接続リンクのことである、ことを特徴とする。この種の電気容量は、導体を誘電体で隔てた2つの部分に分割し、これら2つの導体部分がケーブル長に沿って静電容量的な関係になるようになっており、一方の導体部分を発電機側に接続し、他方の導体部分を負荷側に接続することで、分散した電気容量が発電機と負荷に直列に存在するようにすることで、達成される。
【0005】
国際公開第2010/026380号には、その要約書と
図0(従来技術である)を参照して以下が記載されている:電荷移動ゼロ損失電力及び信号伝送ケーブルは、一直線に順に重ねて積層され、それぞれがいかなる所望の長さのケーブルをもたらすよう電気的に結合可能な、8本の導電材料(18)を備える。各導電層は、誘電材料(19)の代替層により互いに分離している。導電層(10-17)は、各折り畳み閉ループのひだ(22)の頂点は互いに反対向きで、ケーブルの端である、帯電折り畳み閉ループ(20)と放電折り畳み閉ループ(20)へ形成され、誘電材料(19)により互いに分離されることにより容量接触させ、電荷を帯電ループから放電ループへ移動する手段であり、これにより交流を電源から伝送地点へ上記ふたつの帯電及び放電ループにより実質的にゼロ抵抗で伝送し、これにより電力を電源から伝送地点へゼロ電力損失で所望の距離を超えて伝送する。
【0006】
驚くべきことに、この種の容量性ケーブルは、長距離にわたって、損失を完全にはゼロにすることはできないにしろ、損失を低く抑えながらデータおよび/または電力を送達することができる。我々の実験によりこれが証明された。
【0007】
このケーブルについては、ループの構成が重要であるとこれまで教えられてきた。我々はループの構成は本質的ではないと信じている。
【0008】
リッツ線およびミリケンコンダクターは、通常いわゆる「エナメル」により互いに絶縁された、細い撚り線と太い撚り線からそれぞれ構成され、通常は撚られて共に束ねられているものとして知られており、エナメルは磁気ワイヤに使用されるポリマーベースである。これらにより、単位長さあたり同じ導電材料の量で、単巻の導電体の導電容量を小さくするスキン効果を抑えることができる。ミリケンコンダクターにおいて、ワイヤは必ずしも互いに絶縁されているわけではなく、特に互いに6つのセグメントに絶縁されて配置されている。ミリケンコンダクターにおけるワイヤの互いの絶縁の通常の程度は軽い。(インターネット:URL:http://www.electropedia.org/iev/iev.nsf/display?openform&ievref=461-01-15)
【0009】
リッツ線およびミリケンコンダクターはこのようなものとしては不適であるが、これは前者が低負荷に適しているが、ミリケンコンダクターには軽い絶縁しか存在しないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は改良した容量性送電ケーブルを提供する点にある。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも2セットの導電撚線を備え、前記2セットの導電撚線が互いに絶縁されて、互いに電気容量性の関係にあることを特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。
【0012】
好ましくはこの電気容量は少なくとも10nF/mである。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、容量性送電ケーブルであって、少なくとも2セットの導電撚線を備え、前記2セットの導電撚線はケーブルの横断面に分布し、前記2セットが互いに電気容量性の関係にあり、前記少なくとも2セットのうち少なくとも1つの全ての導電撚線のそれぞれに、絶縁耐力を持つ絶縁被覆が設けられることで、前記セットの導電撚線を絶縁されたままにさせることを特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。
【0014】
通常、1セットあたり4を超える導電撚線が存在し、好ましくは19~547の間、通常は37~397の間だけ導電撚線が存在する。通常は、撚線は反対向きに捻られた層の中に配置されることになる。さらに2以上のセットからなる撚線は好ましくはそれぞれの層で交互になっている。
【0015】
ケーブルは外シースを設けることができ、これには渦巻状に配置されたスチールワイヤの外装が含まれる。外装は接地導体とすることができる。
【0016】
場合によっては、撚線は交互の層内に1つのセットを全部配置させた後に、別のセットを全部配置させることができる。
【0017】
場合によっては、絶縁体はいわゆる「マグネットワイヤ」で使用される種類のものであって、少なくとも18μm厚を有し、好ましくは24μm~262μmの間にあり、通常は26μm~190μmの間にある。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも2セットの導電撚線を備え、前記セットのうち少なくとも1つに含まれる全ての撚線が個々に絶縁被覆を有し、前記2セットが互いに電気容量性の関係にあって、前記導電撚線が、対向して捻られている層の中に配置され、各層の中に少なくとも2セットの撚線が設けられていることを特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。
【0019】
絶縁体は押し出し、巻き付け、編み込むことができるが、好ましくは典型的にいわゆる「マグネットワイヤ」で使用される種類のエナメル製である。
【0020】
さらに2以上のセットからなる撚線が好ましくは層の中で交互になっている。
【0021】
3つ全ての態様において、導電撚線のセットの1つを絶縁せずに、他のセットの撚線を絶縁させることにより絶縁を提供することができるが、好ましくは全撚線のうち両方に自身の絶縁体が設けられる。
【0022】
好ましくは、各セットに属するそれぞれの絶縁体を別々に着色することでケーブルの両端において接続の区別ができる。2セット以上の撚線が設けられる場合には、各々が個々の色を有する。
【0023】
自身の絶縁体に加えて、撚線は通常、各層の間にソフトポリマー絶縁体を設けることで個々の撚線の間の隙間が埋められる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、少なくとも2セットの導電撚線を備え、前記導電撚線が反対向きに捻られた複数の層の中に配置され、1以上の隣接した層に属する前記撚線が全て1つのセットに属し、これより半径方向に外側にある1以上の隣接した層に属する前記撚線が全て別の1つのセットに属し、異なるセットに属する層の間に絶縁体が設けられ、前記少なくとも2つのセットが互いに静電容量的な関係にあることを特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。個々の撚線を絶縁させ、認識させやすくするために異なる色を着けることもできるが、この観点からその必要はない。もしくは、一方のセットをスズメッキにより着色し、他のセットはメッキさせずにすることで、好ましくは別に着色させることができる。
【0025】
層間の絶縁体は好ましくはポリマーテープからなり、好ましくは25μm~2.7mmまでの厚さであり、通常は30μm~1.35mmまでの厚さである。
【0026】
前出の態様において撚線は、各層が加えられた後、ダイを通過するときに通常は圧縮される。ダイの圧縮の程度を制御することにより、撚線の外縁に接して設けられている絶縁体への損傷が防止される。
【0027】
導電体は通常は銅製またはアルミ製のワイヤである。通常、絶縁体はいわゆるマグネットワイヤで使用される俗に言われるエナメルである。
【0028】
通常の送電ケーブルと同様に、ケーブルの電力容量が本発明に係るケーブルの導電体全断面積を決めている。ケーブルの末端では、電流のほとんどは、2セットの撚線の一方または他方が担っている。各セットの撚線が通常の導体断面積を有するならば、ケーブルは2倍の量の金属を使用していることになる。しかし、導体の量は、一端側での一方のセットの割合と他端側での他方のそれを高めることにより、何れかの端部で変更させることができる。これは一方のセットの撚線の数を減らし、他方側の撚線の数を増やすことにより行うことができる。場合によっては、各層が交互のセットからなる場合には、追加の、1セットの外層を含めることができる。前者が同量の導体を使用し、後者はより多くの導体を使用する。これはケーブルの1つまたは2つの部分で、通常は長さが250m~400mの埋設ケーブルであって、ケーブルのバランスが通常のケーブル部分である、ケーブルの末端でのみ起こることが予想される。各部分は下記の通り接続することができる。
【0029】
例えばケーブルが海底ケーブルであるである場合には、その大部分はコネクタのない1つの長い部品として敷設することができる。これは1つの層に属する撚線の全てが1つのセットからなり、別に属するものの全てがまた別のセットからなる層状ケーブルで特に都合が良い。セット内の撚線が層の中で絶縁されている場合、層と層が絶縁されているが、これは撚線の新たな長さ部分を積み重なりの中に段々と取り込むことができるからである。さらに我々は最小となる導体断面積を50mm2と予想する。
【0030】
本発明の第5の態様によれば、少なくとも2セットの導電撚線を備え、前記セットの導電撚線は互いに絶縁され、一方が他方に対して電気容量性の関係にあって、前記電気容量は少なくとも10nF/mであることと特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。
【0031】
好ましくは、撚線からなる各セットの間の電気容量は、240ボルトケーブルに対して25~360nF/mの範囲内にあり、145kVケーブルに対して13~l87nF/mの範囲内にあり、特に3.6kVケーブルに対して22~317nF/mの範囲内にあり、72.5kVケーブルに対して14.5~209nF/mの範囲内にある。直観とは反するが、撚線が積み重なる形状とそれらの径によって、これらのセット間で達成することのできる電気容量は、高まる電圧の値と共に落ちて行くことが認められる。本発明は145kVケーブルに限定されない点に注意されたい。より高い電圧のケーブルを想定することができる。
【0032】
導線の電極セットの両方に同じエナメル絶縁体を設けることが可能であると想定される場合、これらは視覚的に区別できないであろう。しかし、他端側で電気信号を印加することにより、一端側で個々にこれらを認識することができると予想される。都合が良いことに、各導電線は他端側で1つの電極セットに一緒にまとめることができ、好ましくは共に接続され、信号が印加されると一端で選別され、もう一方の電極を、個々の導線に信号が存在するか否かで認識することができる。
【0033】
通常は、特に各層が互いに絶縁されている場合、各層の厚みは導線1つの径の厚さとなる。しかし各層には、都合よくは一方が一方向に他方が反対方向に配置された、導線からなる2つの副層を備えることができる。特に、各層の副層は編組により組み合わせることができる。
【0034】
本発明の第6の態様によれば、
・少なくとも2セットの導電撚線を備え、導電撚線からなる前記セットが互いに絶縁されて、一方が他方に対して電気容量的な関係にあり、
・電気容量的に接続された前記導電撚線のセットの周りに絶縁体が設けられ、また
・前記絶縁体の周りに接地シースが設けられ、前記接地シースが電気容量的に接続された前記導電撚線のセットと電気容量的に接続されており、前記絶縁体が誘電体として機能するのに十分な厚みを有することで、導電撚線からシースまでの電気容量の大きさが、前記2セットの導電撚線の間の電気容量と比べて、実質的に2桁以上小さくなっていることを特徴とする容量性送電ケーブルが提供される。
【0035】
通常の絶縁体およびシースからコアまでの電気容量、通常は8mmのポリエチレン製は、実質的に2桁大きさが小さな電気容量を提供することになる。
【0036】
電源側および負荷側の導電線に容量性送電ケーブルを接続するために、接続ブロックに、通常は第1セットの導電線および第2セットの導電線用の端子が設けられる。各ブロックにおける一方の端子は通常、電源接続端子または負荷接続端子がなく孤立しており、他方に電源接続端子または負荷接続端子が設けられている。このブロックにより容量性ケーブルとしてのケーブルの接続が促進され、一方の導線セットを電源側での使用に接続し、他方の導線セットは負荷側の他端側に接続される。
【0037】
電源側コネクタと負荷側コネクタの両方または一方に、電源側端子および負荷側端子に永続的に接続されたバスバーを備えることができる。実際、このようなバスバーにこれらのコネクタを設けることができる。
【0038】
本発明に係る2本のケーブルを接続するために、2種類のコネクタが提供される。並列接続のものは、両側のそれぞれの導電線セットに対してそれぞれ端子が設けられ、また内側に相互接続部が設けられ、一本の導電線が同じもう一本の導電線と接続され、その他の導電線も同様にして接続される。直列接続のコネクタには一側に1セットのための端子を有し、これは他側にある別の何れかのもう一本のためのセットの端子に内部接続されている。その他のセットはコネクタのそれぞれの側における孤立した端子で終端処理されている。
【0039】
電気容量を、特定の長さ部分の間の並列コネクタと、他の長さ部分の間の直列コネクタを使用することで設計するためには、長いケーブルが期待される。
【0040】
3セット以上あるケーブルを利用することでケーブルの電気容量をさらに選択することができ、これは例えば第3セットの導電線を第1セットの導電線と並列にして追加し、また第4セットの導電線を第1セットの導電線と並列にして追加し、第3セットと第4セットを静電容量的に接続することによりなされる。
【0041】
場合によっては、または追加で、別のセットの導電線を両端で接続することにより、一本のまっすぐな接続を提供することができる。
【0042】
本発明の理解を助けるために、次に、その様々な特定の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は本発明のケーブルを一部むき出しにした短い部分の側面図である。
【
図2】
図2は外シースのない本発明の簡単な導電線からなる導電線セットの横断面図の線図である。
【
図3】
図3は
図2と同様に、交互になった2セットの導電撚線を層と共に有する本発明の7層ケーブルに関する図である。
【
図4】
図4は撚線のセットが層で交互になっている5層ケーブルを表す同様の別の図である。
【
図6】
図6は
図2のケーブルの両端に同様のコネクタが設けられることによりケーブルが他の同じようなケーブルと並列接続されることを示す図である。
【
図7】
図7は
図2のケーブルの末端にバスバーコネクタが設けられたことを表す図である。
【
図8】
図8は本発明に係るケーブルのペア用の並列コネクタである。
【
図9】
図9は本発明に係るケーブルのペア用の直列コネクタである。
【
図10】
図10は本発明に係るケーブルのケーブル末端コネクタである。
【
図11】
図11は一般的なエナメル被覆の選択に関する典型的な絶縁耐力を示すチャート図である。
【
図12】
図12は一般的なフィルム/テープの選択に関する典型的な耐力を示すチャート図である。
【
図13】
図13はkV単位の電圧に対するmm単位での下限のエナメルの厚みを表すチャート図である。
【
図14】
図14はkV単位の電圧に対するmm単位での好ましい下限のエナメルの厚みを表すチャート図である。
【
図15】
図15はkV単位の電圧に対するmm単位での好ましい上限のエナメルの厚みを表すチャート図である。
【
図16】
図16はkV単位の電圧に対するmm単位での上限のエナメルの厚みを表すチャート図である。
【
図18】
図18はkV単位の電圧に対するnF/m単位での最小電気容量を表すチャート図である。
【
図19】
図19はkV単位の電圧に対するnF/m単位での好ましい下限の電気容量を表すチャート図である。
【
図20】
図20はkV単位の電圧に対するnF/m単位での好ましい上限の電気容量を表すチャート図である。
【
図21】
図21はkV単位の電圧に対するnF/m単位での最大電気容量を表すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
各図面を参照すると、送電ケーブルはシース3内に銅撚線2を備えている。シースは一般的に慣習的なものであって、外保護ポリマー層4と、スチール/銅ワイヤ保護接地層5と、半導体層6と、絶縁層7と、半導体層8とを有している。銅導電撚線は本発明の通りである。
【0045】
典型的に300mm2の断面を持ち、33kVでの作動が意図されているケーブルでは、銅撚線2は典型的に16mmのレイアップ径12を有する。絶縁層は通常8mm厚であるから、32mmの径14および2:1の比率となる。各セット間の典型的な電気容量が120nF/mであり、導電撚線のグラウンドに対する電気容量が全体で典型的に0.3nF/mとなる導電撚線では、グランドに対する電気容量が2セットの撚線間の電気容量より2桁小さなものとなる。さらに撚線またはその層の間の絶縁体は通常0.1~0.2mmにあるため、撚線内の絶縁体の厚さに対する絶縁体からグランドまでの厚さの典型的な比率は、40:1~80:1である。
【0046】
2セット21,22の銅撚線が存在する。各々のセットにおいて、撚線23,24は、通常は赤と緑で、それぞれ別々に着色されている絶縁エナメル25,26を有しており、いわゆる「マグネットワイヤ」の製造で使用されるタイプであって、つまり銅線に絶縁ポリマー材料が被覆されることで、近接する巻線同志に電磁気装置内での絶縁が提供される。
【0047】
撚線は下記のように重ね合わせられる:
層1:2つの赤色撚線23および2つの緑色撚線24を時計回りに捩る。
層2:5つの赤色撚線23および5つの緑色撚線24を反時計回りに捩る。
層3:8つの赤色撚線23および8つの緑色撚線24を時計回りに捩る。
層4:11の赤色撚線23および11の緑色撚線24を反時計回りに捩る。
層5:14の赤色撚線23および14の緑色撚線24を時計回りに捩る。
層6:17の赤色撚線23および17の緑色撚線24を反時計回りに捩る。
層7:20の赤色撚線23および20の緑色撚線24を時計回りに捩る。
【0048】
各層は従来型のケーブル巻線機を用いて設置され、ケーブル巻線機は、交互となった個々の層に対する赤色撚線および緑色撚線のボビンを有する。各層の間にはソフトポリマー材料が巻かれている。各層が設置された後、最後に設置された層の撚線は、この材料に対して圧がかけられ、これにより撚線間の隙間がこれで埋められるように促される。この場合にもまた、エナメルの損傷を防ぐために撚線がこの圧縮のために通過するダイがそうでない場合と比べて僅かに大きな点を除いては、重要な慣用ステップである。
【0049】
撚線は互いに密着しており、3つの撚線が正三角形の配置にあるとき、エナメル被覆の厚さと、隙間を埋めるソフトポリマーの分だけで隔てられている。
図3を参照すると、図面には同じセットに属する数個の撚線が互いに整列して配列されているが、この図面はケーブルに沿った特定の箇所における断面図である。隣接している層の捻りが反対であるため、撚線の断面配置はケーブルに沿った各箇所で異なる。この配置により2セットの撚線は互いに電気容量的な関係にある。
【0050】
図4に着目すると、図示の送電ケーブル101は2セット121,122の銅撚線123,124を有しており、それぞれ別々に着色されている絶縁エナメルと、中間層絶縁体127とを有している。撚線は、すべて何れかのセットに属する対向方向に捩じられた層の中に配置される。中央のポリマーフォーマー131が提供され、これは温度感知光学ファイバー(図示せず)などのデータファイバーを収容するために中空である。撚線は下記のように重ね合わせられる:
【0051】
層1:16の赤色撚線123;
層2:22の赤色撚線123;
層3:28の緑色撚線124;
層4:34の赤色撚線123;
層5:40の緑色撚線124
【0052】
このケーブルでは、放射状に交互となった2セットの撚線から静電容量的な関係が発生する。追加の撚線層1が、次の層2と同じ色/セットの撚線である理由は、そうしないと赤色撚線123の合計数が緑色撚線124の合計数と比べて著しく少なくなるからであって、これから説明するように、このため前者にこれらの撚線が接続されているケーブル末端で、かなり多くの電流が流れるであろう。
【0053】
第2送電ケーブルの変形例が
図5に図示されている。同セットの層が内側2つではなく、2番目と3番目の層となっている。異なる撚線の層あたりの撚線の数は
層1:16の赤色撚線123;
層2:22の緑色撚線124;
層3:28の緑色撚線124;
層4:34の赤色撚線123;
層5:40の緑色撚線124;
層6:46の赤色撚線123
である。
【0054】
このケーブルには追加の層6が設けられており、電力送達能力が高くなっている。ケーブルの単位長あたりの電気容量の選択については、ケーブルおよびケーブルがなす電力供給システムの他の部品のインダクタンスを考慮し、このインダクタンスをケーブルの電気容量とバランスさせることが念頭に置かれる。より具体的には以下のステップが行われる。
【0055】
1.ケーブルが送電する電流と電圧、特にコアに含まれる金属の断面積と、第1イテレーションにおけるエナメル線の数、および/または、層の数と、長さ(1)に基づいて、最初のケーブルサイズを選択するステップ。
【0056】
2.コンピューターシュミレーションとモデリングを利用し、特に自己インダクタンスおよび、必要に応じて通常のケーブルのように、三相システムに含まれることから生じる可能性のある相互インダクタンスを含めることにより、ケーブルの設計インダクタンス(LD)とケーブルの抵抗(R)を計算するステップ。
【0057】
3.L
Dから生じるケーブルの誘導リアクタンスが下記の誘導リアクタンス式:
【数1】
で与えられ、ただしfはHzでの作動周波数であって、通常は50または60Hzである点を考慮するステップ。
【0058】
4.ケーブルの容量性リアクタンスとして、電気容量Cに対して下記の容量性リアクタンス式:
【数2】
が与えられ、ただしfはHzでの作動周波数であって、通常は50または60Hzである点を考慮するステップ。
【0059】
5.X
LがX
Cとほぼ同じであるがわずかに大きな点を考慮して、以下の範囲を推奨するステップ:
【数3】
【0060】
6.望ましいケーブル電気容量 (C)を以下の範囲で計算するステップ:
【数4】
【0061】
7.以下の各表を使用して、適切なケーブルパラメターを選択可能とし、これによりワイヤの数または層の数を見直すことを可能にし、この場合にケーブルの選択を改善するステップ。
【0062】
8.全てのインダクタンスがバランスされない場合には、LDをできるだけ最大限にバランスさせることができ、その負荷を支えることができるケーブルが選択される。
【0063】
9.他のインダクタンスの要素がバランスされる場合には、LD ひいてはXLを変更することによりこれを考慮することができる。
【0064】
10.得られた設計をその後シミュレーションの中でモデル化することで、最初のインダクタンスの計算のLDと、設計見直しを示唆している可能性のある得られたXLおよびXcを、実証することができる。一以上の追加イテレーションが必要とされる場合もある。
【0065】
規模の観点から言えば、15kmのケーブルに対して、120nF/mで375nH/mのケーブルインダクタンスをバランスさせることができ、これはトレフォイルに配置される三相33kVケーブルに対して典型的なものである。つまり長さの異なるケーブルを考える場合にはその長さを考慮する必要があることに注意するべきである。
【0066】
以上のステップは、マグネットワイヤエナメルであっても、チャート
図1~6(
図11~16)に図示される通り、誘電材料の耐力が電圧と共に線形に上昇しないという事実を考慮する必要がある。
【0067】
【0068】
Y軸のスケールは上のチャート図で異なっており、下限プロットと低く好ましいプロットは類似することが認められる。相対的な値を理解するためにこれらは、チャート
図7~12(
図17~22)、および下記の表2~6に示されているように、組み合わせることができる。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
上記表およびチャート図は最も一般的な送電電圧に対する変数の値を表している。しかし本発明はこれらの電圧には限定されない。
【0075】
また、以下のチャート図は、そのグラフが中心部分に基づくものであるが、幅広い電圧の範囲が示されている。上記のケーブルは何れも、その変形例を含めて、本質的には同じように接続されており、つまり一方のセットに属する撚線、通常は赤色のセット、が両端で束ねられており、他方のセットに属する撚線も同じようにして束ねられている。
【0076】
各々の束に分割された後、撚線の各末端でエナメルが剥ぎ取られる。むき出しとなった撚線はそれぞれの端子ブロックに挿入され、共に固く締め付けられることで、機械的な、より重要には電気的な接続が提供される。
【0077】
次に
図6~10を参照して本発明に係るケーブル1001のコネクタを説明する。全ての赤色ワイヤ1003は結束されている。全ての緑色ワイヤ1004も同様にして結束されている。ワイヤはケーブルの他端側で同様にして結束されている。エナメルは、結束されたワイヤの各末端から、好適には溶媒に浸すことにより剥がされる。結束された各末端は各々のコネクタ1007,1008に引き合わせられる。これらは結束の束のための両端ソケット1009を有する。ソケットの各末端部には孔1010が備えられ、ケーブル束のための締め付け螺子1012が設けられている。束となったワイヤはボア1010の中に挿入され、締め付けられる。この配置によりケーブル1001を他の同じようなケーブルに並列接続することができ、その赤色ワイヤはコネクタによりケーブル1001の赤色ワイヤに接続され、緑色ワイヤも同様にして接続される。このソケットに対して、他端の孔1011および他端の締め付螺子1014が備えられる。この孔1011は複数の孔1010を有する貫通孔とすることができる。穴開けされていない中間部を有する配置により、何れのワイヤセットも他方のためのスペースをとらない。
【0078】
ケーブルが電源と負荷との間で一本のケーブルとして使用される場合、ケーブルの電気接続は、細長いキャパシタとしての赤色ワイヤと緑色ワイヤの間で接続され、ケーブル1001の長さが延長される。それぞれの電源ケーブルおよび負荷ケーブル/バスバー1015,1016は、ケーブル一端の赤色ワイヤソケット1017と他端の緑色ワイヤソケット1018の、他方のボア1011の中で固定される。したがって、赤色ワイヤ1003は端部1005で電源ケーブル/バスバー1015に接続され、緑色ワイヤ1004は端部1006で負荷ケーブル/バスバー1016に接続される。電源ケーブル/バスバー1015と負荷ケーブル/バスバー1016との間に金属と金属の接触は存在しない。コネクタには他に絶縁された片端ソケット1019が備えられ、単一の孔1020と単一の締め付け螺子1021が設けられている。他のワイヤ、つまり電源供給側の緑色ワイヤと負荷側の赤色ワイヤは、これらのソケットの中に受け入れられ固定される。これらのワイヤはソケットで接続されておらず、絶縁状態を維持するため単に機械的な理由で固定されている。絶縁エナメルを剥がす必要はなく、むしろエナメル被覆させたままにすることで識別が容易となる。これらの絶縁された端部は送電に寄与しない。
【0079】
図6、7で示されたコネクタが図示されている。
【0080】
図8、9、10にはより詳細が示されている。これらにはコネクターカバー1050が含まれており、これは本質的に慣習的なものであって、使用時には絶縁材料1051で充填されている。実際の接続配置には、絶縁材料からなり、4つのソケット1053を有する中央ブロック1052が備えられており、各末端部から延びるケーブルワイヤを締め付けるための孔とボルトが設けられている。
図10では3つのソケットが存在する。
【0081】
一側のソケットが他側のソケットに内部で電気的に接続されている。これは内部孔と内部ボルトの間の短い慣習的なケーブルによるものである。まず接続が行われ、その後、接続部の周辺にブロックが形成される。
【0082】
図8では、4つのソケットがペアになって接続されており、2つの短長ケーブル部分15481,15482を介して、ソケット15381がソケット15383に、またソケット15382がソケット15384に接続されている。このコネクタにより本発明の2つのケーブルが並列に接続され、これらケーブルのうち赤色ワイヤ1003が、ソケット15381,15383とケーブル15481により、接続され、緑色ワイヤ1004がソケット15382,15384とケーブル15482により接続される。
【0083】
図9の場合、4つのソケットが1組になって接続されており、ソケット15391とソケット15394が短長ケーブル15491を介して接続されている一方で、ソケット15392,5393は接続されていない。このコネクタにより本発明の2つのケーブルが直列に接続され、例えばソケット15391,15392で接続されているケーブルの赤色ワイヤは、ケーブル15491により、ソケット15393,15394で接続されているケーブルの緑色ワイヤに接続される。第1ケーブルの緑色ワイヤと第2ケーブルの赤色ワイヤはコネクタ15392,15393により単に固定されている。ケーブル15494は、両側の赤色ワイヤと緑色ワイヤを同じ相対位置で接続するために、上から下に向かって交差している。
【0084】
図10では、3つのソケットに1つの内部ケーブル154101が設けられている。一側に入力ケーブル用のソケット153101,153102が設けられ、他側には、電源または負荷への出力用の慣習的なケーブル1
055のためのソケット153103が設けられている。これにより入力ケーブルの緑色ワイヤを、内部ケーブル154101で単一ソケット153103に接続させることができると同時に、入力ケーブルの赤色ワイヤを固定させることができる。
【0085】
架空ケーブル用の同様のコネクタを提供することができ、テンションコアに対する機械接続に関する追加の特徴を提供することができる。
【0086】
合計長の電気容量を小さくする必要がある場合には、コネクタは
図9に図示されるような直列コネクタとすることができる。2つのケーブル同士の赤(ケーブルA)と緑(ケーブルB)の接続により、末端の電気容量は、ケーブルAの緑色ワイヤとケーブルBの赤色ワイヤとの間の電気容量となる。電気容量は実質的に単一長のものとなり、誘電ギャップは2倍になる。直列の電気容量の式により与えられる。
【0087】
【数5】
2つの長さが同じ場合には電気容量が半分になる。
【0088】
直列の電気容量の特徴は、個々の電圧が電気容量の数で分割される点にある。これは高電圧ラインを3つの区分で構成し、各々に高電圧の1/3を持たせることを可能にする上で有用である。これは誘電体の被覆またはテープ/紙の厚さを減少させる上でさらなる利点を有する。直列接続による電気容量の損失はそもそも、単位長あたりの高い電気容量で補填することができる。コネクタについては、詳細を変更することができる。例えば、導電ワイヤの結束末端はソケットへの挿入前に圧着させることができる。さらにソケット自体をネジ締めせずに、後で封止することができるコネクタ体の内で対向して配置された孔を介して圧着させることができる。
【0089】
本発明は上記の実施形態の詳細に限定されることを意図しない。例えば、導電層を多くまたは少なく設けることができる。これらは上記の通り最内側と最外側が相互接続した偶数個または奇数個の導電シリンダーとして設けることができる。ケーブルの強度のためにケーブルの中心にスチールコアを設けることができる。別の場合、または付加的に、データ伝送および/または温度監視のために光ファイバーなどの他の細長い部品を収容するために、中空の管を中心部に設けることができる。